電車の中、風の辿り着く場所が流れる
「やべっ、マナーにしとくの忘れた・・・」
まあ、こういうこともあるわな人間だし。
アラーム代わりの着メロを切り、いつもの駅で降りる。
明日から連休の為か、人もまばらだ。
ふと、後ろの方から声がする
「さっきの風の辿り着く場所、ですよね?」
「まずいの聞かれちゃったな、会社員らしくないよね」
気まずそうに頭を掻く。
「いえ、そんな事はないです 私も好きですよ その曲」
見れば自分より二、三歳ほど若い透き通った肌をした女性
この駅で見かけた事は今まで無かったと思う。
「よく、この時間に?」
興味本位で尋ねてみる。
「いえ、思わず降りちゃいました」
彼女も気まずそうに頭を掻く
「KANON、好き?」
スーツ姿には到底そぐわない言葉を投げかけてみる。