桜蘭高校ホスト部 指名客12人目

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240風の谷の名無しさん@実況は実況板で
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/04/30(日) 18:43:18.51 ID:m0gc1V5k0
「節子」と呟いてみた。懐かしい響き。
視線の先に、見覚えのあるものが落ちていた。そう、それは清太には見覚えがあった。
「――ドロップ」
正確にはドロップの缶、だ。持ち上げるとジャラ、と何か硬いものが缶にぶつかる音がした。
「おはじきや」
何故この中におはじきが入っているのだろうか。考えながら一個取り出してみる。赤く透き通るおはじきが出てきた。
「よう似とる」なるほどそれはドロップと似ていないこともなかった。節子は空っぽの缶にこれを入れてドロップに見立てていたのだろうか。そして味のしないこれを口に含んだりしていたのだろうか。
ありえない――。そう思った。あの冷酷な節子がそんなことをするはずもない。今自分が想像したことは偽りの方の節子がすることだ。
清太は缶を大事そうにポケットに入れ、そして今来た道をいち、に、いち、に。と戻っていった。