外務省側が問題にしたのはニューヨーク・タイムズ九月七日付の東京発の
「なぜ日本は一党に統治されることに満足なのか」という見出しの報道記事と
小泉純一郎首相を批判した同十三日付の社説。投書は「貴紙の日本に関する報道
への懸念を深めている」として、まず「七日の記事は自民党の統治の役割を
不公正にも中国や北朝鮮の一党支配にたとえている」と述べている。
同記事は日本国民が今回の選挙でも自民党を選ぼうとするのは民主主義の基盤が
弱いからだという趣旨で、自民党の長期政権保持を中国や北朝鮮の共産主義政権の
支配にたとえ、韓国や台湾の方が市民社会や自由なマスコミが健在で民主主義が
より進んでいる、と述べている。
文中には 「日本の民主主義は幻想、その基盤は希薄」「五十年の一党支配が
民主主義の成長を止めた」「マスコミはみな自民党路線」というような記述が続出する。
記事は民意の反映の結果としての自民党の政権担当という民主主義の基本を無視しているわけだ。
外務省の投書は今回の総選挙が有権者の改革継続への支持の劇的な結果だとして、
「すべて日本の民主主義の社会と制度の枠組み内での問題解決への道」だと評し、
北朝鮮などはそうではないと強調している。
十三日付社説は、総選挙が郵政民営化だけを争点としたとして、その結果、「小泉首相
の軍事的ナショナリズムという日本の伝統の愚かな受け入れを容認することとなった」
と述べ、さらに「軍国主義者が祭られる神社への小泉首相の参拝と、より力強い軍事政策
への同首相の支持はアジアの世論を警戒させた」と論評している。つまり、小泉首相は
軍国主義を推進していると非難するに等しいわけだ。
この点、外務省の投書は、アジアでの日本の役割は日本の内外での論議の的と
なっているとしたうえで「日本は平和憲法や国際協力、そして隣国との相互に有益
な関係の保持を続ける構えだ」と述べるとともに、「小泉首相は日本に過去六十年、
平和と繁栄をもたらした基本原則から逸脱はしていない」と説明している。
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20050923/m20050923004.html