イジドール・デュカスの新しさは、むしろ「第6の歌」での、
それまでを完全に放棄するかのような変転にあると思うが、
それによって永遠の生を、例えそれが偶然であっとしても、得たことは奇跡と呼ぶしかない。
「ポエジー」に於ける過去への反逆、否定には何かしら自己への言及が垣間見れるが
「第1の歌」から「第5の歌」まで貫いてきた方法論を最後の最後に、
結局は「小説」という様式に回帰したことへの反省と言えなくはないが
当時の状況を考えれば彼の思想、様式はまだ未知のものであり
理解の範疇を越えていたのも事実なのである。