★「狙撃」発言 口に出すおぞましさ
政治の場で使われる言葉は、ここまで乱暴になってしまったのか。15日に開かれた民主
党の両院議員総会でのことだ。小泉首相の掲げる郵政民営化を批判して、西村真悟衆院
議員が次のように発言した。
「マネーゲームの世界に国民をなだれ込ませているのが小泉なんです。あれは狙撃して
もいい男なんです」
周囲から「撤回しろ」との声が相次いだため、西村氏は「みんなが言うから訂正します」と
応じた。「狙撃してもいい」では、政治テロを容認しているとしか受け取れない。当人は、単
なる比喩(ひゆ)で訂正もした、と弁解するかもしれないが、そもそも公の場で口にできる言
葉とは思えない。政治家の発言の責任を厳しく問う欧米諸国だったら、進退問題に直結し
ただろう。
それにしても解せないのは、西村氏が民主党にいることだ。小沢一郎氏の率いた旧自由
党に属し、後に合流した経緯はわかる。しかし、民主党はアジア重視の外交を唱え、岡田代
表は首相の靖国神社参拝に反対している。
一方の西村氏は靖国参拝に賛成したうえ、日本の過去の戦争は自存自衛のためであり
侵略戦争ではないと断言する。97年には中国と領有権を争っている東シナ海の尖閣諸島
に上陸した。このときは石原氏が船で同行している。99年には雑誌の対談のなかで日本
の核武装の検討を唱え、防衛政務次官を辞任した前歴もある。あまりにも考えが違いすぎる。
それだけにとどまらない。03年に「建国義勇軍」や「国賊征伐隊」を名乗って広島県教組
などに銃弾を撃ち込んだ刀剣愛好家団体の最高顧問を務めたことがある。その団体の会
長が役員である会社から政治献金を受け取っていた。
「狙撃してもいい」という西村氏の発言に、その場で何人かの民主党の議員が声をあげて
撤回を求めた。適切な判断だったと思う。しかし、解党的出直しを言うのなら、こうした資質
の政治家を抱え続けることの当否についても、真剣に考える必要がある。 (一部略)
朝日:
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