ドラえもん 28

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598風の谷の名無しさん@実況は実況板で
平日の昼下がり。
ドラえもんに抜擢されてはや二ヶ月半のわさびは近所の公園で一人、のんびりとしていた。
夕暮れにさしかかった頃、砂場で遊ぶ一人の少年をみつける。小学校低学年と見られる
その少年は、小さい体に似合わない大きな黒ぶちの眼鏡をかけ、一人黙々と砂山を作る。
「おばちゃんもお手伝いしていいかな?」
少年はパッと顔をあげ、か細い声で
「うん・・いいよ」
と答えた。少年の横に座り、砂山に砂をかけていくわさびと少年。
「一人で遊んでるの?お友達とは遊ばないのかな?」
砂山にまっすぐ視線を向けたまま、少年は答える。
「僕・・・今日は友達と喧嘩しちゃったんだ・・あいつすっごい凶暴な奴でさ、気にいらないとすぐ
僕の事殴るんだよ」
わさびは目を細めながら少年を見つめる。あぁ、君みたいな子を私はずっと知っているよ・・と。
「僕ちゃん、ドラえもんてアニメ知ってる?」
「知ってるよ。僕分身ハンマーが欲しいな。あれがあればもう学校なんか行かなくていいのに!」
「おばちゃんね、ドラえもんの物真似ができるんだよ。」
「本当に?やってみせてよ!」 少年は初めて小さな笑顔を見せてくれた。
「・・・・・ノビ太くぅん、何でいつもジャイアンに負けるのん?君は本当にだめだなぁん。」
ふと見ると、少年の顔がうっすら雲っている。「おばちゃん・・・」
「ドラえもんの声は、そんな変なキモいキンキン声じゃないよ。全然にてないじゃないか。うそつき!」
砂山をぐしゃりと潰し、走り去っていく少年。わさびは何もいえなかった。
あたりは暗くなり始めていた。






「・・・・・・・・・・僕ぅ、ドラえもんですぅん・・・・・・」