AIR劇場版アニメ化決定

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525葉鍵板から転載
NewType 5月号/劇場版「AIR」紹介記事(1/3)

illustrated by AKEMI KOBAYASHI
text by SHIROU DEI


    今秋、スクリーンに新しい「夏」が甦る


 出崎統といえば、熱くカッコイイ男の姿を描く第一人者。
これまで「あしたのジョー」や「ブラック・ジャック」などを
生み出してきたクリエイターだ。

 その出崎監督が、人気美少女ゲーム「AIR」を手がけるという。
原作の「AIR」は、どちらかといえば涼風のような、
そしてはかなげな透明感を感じさせる作品。
その「AIR」と出崎統という組み合わせを聞いて、
驚いた人も多いのではないだろうか。

 出崎監督がこの作品を手がけることを決めたのは
「『AIR』のもつ不思議な世界に興味を持ったから」だという。
そして「この作品なら、新しい演出表現ができるかもしれないと思ったから」とも。

 監督にとって「AIR」は新たな挑戦の舞台。
そして、挑戦する題材はすでに決まっている。
それは"心"。
「いつもそうだけれど、"心"のもつ不思議さをドラマと映像で
どこまで表現できるかを大事に思っている」と監督は語る。
526葉鍵板から転載:04/04/09 00:10 ID:7CGM0ay8
NewType 5月号/劇場版「AIR」紹介記事(2/3)

 心、見えないもの。けれど感じるもの。
それをいかに映像で伝えることができるかが勝負どころだという。

 なるほど。それに挑むのなら、確かに「AIR」ほどふさわしい題材はない。
心を紡ぐ物語こそ、原作の持つ力の源でもあるのだから。

 だが、出崎監督が「AIR」で語りたい"心"とは、いったいどんなものだろうか。
それは、これまでの作品で描いてきたものとは異なるものなのか?
出崎監督が「心の物語」の軸としたいのはどんなテーマなのだろう。

「愛することや生きることそのものに思い悩みながらも、
懸命に生きていこうとする若者たちの姿をメインテーマに描いていきたい」

 これがその問いに対する監督の答えである。

 人は誰でも「悩み」や「苦しみ」を抱えながら生きている。
それらをまったくもたないという人はおそらく存在しまい。
自分の未来に不安と期待をもっている若者ならば、
それが心に占めるウエイトはより大きい。
「AIR」で監督が描こうとしているのは、
これまで描いてきたものとも共通する普遍的なものなのだ。
527葉鍵板から転載:04/04/09 00:11 ID:7CGM0ay8
NewType 5月号/劇場版「AIR」紹介記事(3/3)

 だが、「新たな演出表現にチャレンジしたい」という以上、
その表わし方はこれまでとは異なるものとなるに違いない。

 監督がスクリーンに描きだそうとしている新しい「AIR」。
それはこれまでの出崎作品と似て非なるものである。
そして、そこに登場するキャラクターたちも原作と似ていながら、
われわれが初めて出会う人々である。

 新しいフィールドにチャレンジする出崎統が
映画版「AIR」にどのような息吹を吹き込むのか。

 この秋、誰も知らない「AIR」を、我々は目撃することになる。