攻殻機動隊 SAC+2nd GIG -FILE 28-

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252風の谷の名無しさん
転載〜

 392 名前:名無シネマ@上映中 本日の投稿:04/02/03 11:56 ID:8lakFYza

 押井は、『攻殻機動隊』の企画には乗り気でなかったので、本気を出していない。
 金と役得のために引き受けたに過ぎない。

 ただ、彼もさすがに名だたるプロだけあって、既に、
 『少ない労力でそれなりに見栄えするケチな省エネ手法』を確立していた。
 そこで余計な創意工夫をせず、その『ごまかし手法』だけを徹底的に用いて製作したら、
 『典型的なジャパニメーション』としてその見た目が海外ウケし、海外でもてはやされた。

 市場を拡大し、活性化させたその功績は大きいし、もし映画の成功がなければ、
 原作に対するリスペクトに溢れた本格的なTVシリーズが作成されることもなかっただろう。

 ただ、原作の難解な台詞を引用しておきながら、『構造論』として成り立っていない脚本は、
 あまりにもカスすぎるし、こうなるともはや『攻殻機動隊』とは呼べない。
 理解できないなら無理に引用して誤用してしまうより、自分なりの表現に改変すればよかった。
 それなら、『別物の攻殻機動隊』として成り立っただろう。

 見た目だけで内容のないジャパニメーション映画のネタに、
 よりにもよって士郎正宗を引っ張り出すプロデューサーのセンスも凄いが…
253風の谷の名無しさん:04/02/03 16:19 ID:5LC/cL17
「攻殻機動隊」という作品を注意深く御覧になった方は−そんな人は滅多にいないと思いますが−
この作品が実はきわめて合理的に作られている、つまりとことんケチに作られていることに気づか
れたことでしょう。
動画枚数も背景も最小限、欠番もほとんど出さず、デジタルを売りにしているわりにはCGも実は
五〇カット程度に過ぎず、それらしく見えるのは全てビデオエフェクトであり、
実尺も八〇分程度で昨今の長すぎる劇場アニメの傾向からすれば嘘のような短さです。
何故かといえば、それはつまりこの映画を引きうけた直接の動機が住宅ローンの返済のためであり、
僕の企画でなかったからであり、さっさと済ませてアタミに帰り、ガブの出産に備えたかったからであり
−実は擬似妊娠で単純に太っただけだったんですけどね(涙)−
そしてなによりも予算がなかったからなのです。
無駄なことやる余地も何かを試みるなんて余裕も一切ありませんから、トコトン要点を絞り、
演出的にもすでに確立されている手法だけで作りました。実はそうだったんです。
まあ、ロケハンでヘリコプターに乗ったり、船をチャーターして香港の夜景を海から眺めたり、
グアムで鉄砲を撃ちまくったりはしましたが、せめてそれくらいはしなければ僕が可哀想すぎるし、
そもそも何のために映画を作ってるのか判らなくなりますから。

その合理性−ケチさ加減がもっとも端的に現われているのが背景美術なのです。
「機動警察パトレイバー」という作品で確立した方法論に、アジアという要素を外挿しただけ、
というお話は前回もしましたが、ではアジアという要素をいかに実現したかといえば、
これが建築の描写に関して言えば、実は前半の主要舞台となる旧市街の一部と真中のダレ場だけであり、
あとは要するに看板とポスターで埋め尽くしただけなのです。
嘘だと思う方は、もう一度ビデオなりDVDなりを回して御覧になって戴きたい。