十二国記〜第三十一章【総合】

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357風の谷の名無しさん
「ぼくはとりかえしのつかないことをしました」
菅は無言で続く言葉を待つ。
「これほどの裏切りはありません」
古賀は目を上げた。必死の色が浮かんでいる。
「・・・ぼくには・・・学歴がなかったのです」
愕然とした。
それは執行部の想像を遥かに超えた告白だった。
「学歴が・・・ない?」
古賀はうなずく。
「なんの学歴もありませんでした。単位も足りませんでした。
 ぼくは一度、エクステンションに出ただけでした。」
「・・・なぜ」
「ぼくはただ・・・有権者に高卒と思われるのが嫌だったんです」
伏せた目を上げ古賀は菅を見上げる。
「どう・・・すればいいんでしょう」
履歴書を握った手が震えていた。
「どうすれば、この局面を切り抜けられますか?どう誤魔化せばいいんでしょうか」
「・・・古賀」
「全部が嘘なんです。どうなりますか?私は失職ですか?エロ拓は復活するのでしょうか?
 もしもこれがバレたら、マスコミは私をどうするのでしょう」
菅は口を開きかけ、結局閉ざした。気落ちした小さな肩を軽く叩き、そして立ち上がる。
「俺は何も知らんぞ・・・今日までお疲れさん、と言っておく」