「ガンスリンガー・ガール」ハァハァスレPart2

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 ttp://comic.2ch.net/test/read.cgi/comic/1079462312/441-442
              ・・・をネタ振りに即興で書いてみまつた。
□□□GunslingerGirl 〜ガンスリンガーガール〜 萌死小劇場 ■■■
     −−「会いたいときに貴方は・・・」−−

 寒い・・・またクラエスは窓を開けてるのか。
 目覚めた私は、クマのぬいぐるみでも一番大きいのを抱いて寝ていた
事に気付いた・・・義体棟では年長なのに・・・恥ずかしいなぁ。

 「お目覚め?」

 クラエスが逆光の中で語りかける・・・眩しい。

 「・・・・・・ごめん、まだ起動シークエンス中・・・」

 とても楽しい夢を見ていた気がする・・・そんな幸福な気分から私は
現実の世界へとコネクトを始める。

 「今日の予定は何だった?まだ臨時の担当官も決まってないんでしょ?」

 ・・・いきなり現実へのシェークハンド情報だった。

 「・・・そうだったね。まだ何も決まってないのよ」
 「ジョゼさんがやってもいいって言ってるそうよ」
 「ああ・・・そうだった。ジャンさんがそんなこと言ってたわ」
 「ところで話は違うんだけど、もし良かったら午後から野菜畑を手伝って
欲しくてね・・・こういうときは体を動かしていた方が楽なんだそうよ・・・」

 そう・・・目覚めなきゃ・・・現実に目覚めなくては。

               ***
782309:04/03/24 13:05 ID:+25c2GEy
 貴方の机の前を通る。
 こんな日の朝には、夜間に届いたFAXやメールに目を通しながら、
頭を掻いて難しそうな顔をしているはずの貴方が、その椅子に居ない。
 卓上の花と少し微笑む貴方の遺影は、貴方の朝のイメージと遠すぎて
私には未だ受け入れられない。
 でも受け入れなきゃ・・・貴方の思い・・・貴方の遺言に応えるために。

 「コピー終わりました・・・ついでに製本もしてきました」
 「ありがとうトリエラ、助かるわ」

 そういうオリガさんの表情は努めて明るく振る舞いつつも、心配する
目が私の表情の変化を探っている。

 「やほ〜!!トリエラ!!助かるわ〜!!」

 資料室から戻ったプリシッラさんが私に駆け寄る。

 「じゃ、この資料と合わせてコレで全部ね!!本当にありがとうね!!」
 「いえ・・・今はこの位しかできないから・・・」
 「言わないの言わないの!!今はとにかく体を動かしているだけで
良いんだってビアンキ先生言ってたし!!」
 「プリシッラ、余りハイにならないで。ほらトリエラが引いちゃって
いるわよ・・・ある程度時間を掛けてかないと」
 「ごめ〜ん、そうだったわよね」
 「いや大丈夫です・・・立ち直らなきゃヒルシャーさんに悪いし・・・」

 じゃ急いで資料持って行かなきゃ・・・と努めて明るく、と言うよりは
私への気遣いで上気した顔のプリシッラさんは部屋を出ていった。
783309:04/03/24 13:06 ID:+25c2GEy
 「・・・まあ、あの子の良いところであり、それ故に希望への障害ね」

 溜息を付きながらオリガさんが言った。

 「あの子ね、トリエラの新しい担当官に立候補したのよ」
 「え・・・そうなんですか・・・初めて聞いた」
 「結果はもちろんダメ。ジャンさんと相当にやり合ってたけどね」
 「やっぱり基礎技術ですか」
 「まあそれは何とでもなると思うわ・・・あの子の場合は入れ込みが
激しくてね。プリシッラは貴方に『死』を命ずる事はまず出来ないわ」
 「・・・でしょうね、私たちの周りでは一番出来ないでしょうね」
 「最後はジャンさんに泣きながら噛みついていたのよ・・・まったく
もう・・・自分で『無理です』って宣伝してるような状態よ」

 そうだろう・・・アンジェに手首を粉砕されても気丈に笑っていた人だ。
 プリシッラさんには冷酷な判断なんて出来そうにはない。

 「でもね、トリエラも今更、アマデオやジョルジョ、アルフォンソや
ニハッドと組む気もしないでしょう?」
 「まあ・・・皆さんが勝ち気な私とやっていけるのか・・・」
 「そう。ヒルシャーの遺言で、貴方への過度な条件付けは逆に貴方の
能力を失う恐れがある・・・ってのが尊重されたからね。でも良い事よ」
 「だけど担当官が決まらない・・・」
 「それがね、プリシッラの猛烈なアピールで、彼女じゃダメだけど
一組ぐらい『姉妹』が居ても良いんじゃないって話が出てるの」
 「・・・あの、もしかして」
 「フェッロは指揮中枢に居た方が良いし・・・だから・・・」

 そう言ってオリガさんは親指で自分の顔を指した。
784309:04/03/24 13:08 ID:+25c2GEy
 「立候補はしてみたわ。ちょっと気が早かったし、貴方も現場復帰は
もう少し時間が掛かると思うから、どうなるか判らないけど」
 「いえ・・・オリガさんのためなら頑張って・・・」
 「ううん・・・いいのよ、私も勉強しなきゃならないし。でもヒルシャー
の遺言を守るためにも強烈にアピールしてるから・・・でね・・・」

 オリガさんが"来い"という手振りをする。
 そして耳元でヒソヒソと話しかける。

 「でね・・・さっきの『死を命ずる』話だけどね」
 「・・・はい」

 そうだった。それをオリガさんはどうするつもりなんだろう。

 「ごめん、私も出来そうにないわ・・・だから一応ジャンさんとかの
口頭試問の場合は『出来ます』って答えるけど、トリエラも何か
聞かれたら口裏合わせておいて」

 何だかヒルシャーさんには悪いんだけど、この一言で、この先の
大きな不安やヒルシャーさんへの未練が一気に吹き飛んでしまった。
 私は"あの日"以来、初めて満面の笑顔を浮かべて答えた。

 「判りましたオリガさん・・・ご心配なく、『オリガ・バレェ団』の
最初の団員として、しっかり進言します」
 「『バレェ団』・・・良いわねそれ。複数義体を併任してる担当官
から何人か引き受けて集団作戦チームにしようかしら」
 「本当にバレェもやりましょうよ。潜入の糸口になるし」

               ***
785309:04/03/24 13:17 ID:+25c2GEy
 「・・・という話だったのよ」

 雑草をむしりながら私はそういった。

 「バレェ団ね・・・良いんじゃない?偽装をする要素として」

 水やりをしながらクラエスが答える。
 午後のクラエスの野菜畑・・・麦わら帽子を被ったクラエスと私は
初夏の太陽の下、話ながら農作業をしていた。

 「でもトリエラ、そうなったら鏡張りの練習室を作るのかしら?」
 「貴族の御館だったんだから、案外、どっかの棟にあったりしてね」
 「バレェかぁ・・・私もやろうかな・・・作戦には参加出来ないけど」

 ピョォォォォォォ〜〜〜〜〜

 上空をトンビが舞っていた。
 私は手を休めて青い・・・深く青い空を見上げた。

 ヒルシャーさん・・・私は今・・・こんな風に・・・いきています。

 大丈夫ですよヒルシャーさん。
 貴方の愛のお陰で、貴方が其処に行っても私は"私"で居られる・・・。
786309:04/03/24 13:18 ID:+25c2GEy
       ****************

【鳥】・・・・・・という夢を見ました。

 ホテルのカフェテラス・・・日の当たる暖かな席で、トマトの刺さった
フォークを持ちながらトリエラは言った。
 眩しい・・・のかも知れないが、その顔は彼女の上機嫌な笑い顔である
"ニカ〜ッ"とした豪快な笑い顔に見えた。

【蛭】・・・大丈夫だ。今日の任務は聞き込み中心だよ。

 ホテルのカフェテラス・・・日の当たる暖かな席で、コーヒーカップを
持ちながらヒルシャーは言った。
 眩しい・・・のかも知れないが、その顔は彼の複雑な思いをしたときの
顔である"へなぁ〜"とした低調なシケ顔に見えた。
 まったく・・・何て夢を見やがるんだ・・・とヒルシャーは思った。

【鳥】他人に自分が死んだ夢を見られると長生きするそうですよ〜♪

 そう言ってトリエラはトマトを頬張った。

【蛭】それはどうもありがとう・・・ご期待に添うように長生きするよ。

 ヒルシャーはコーヒーを一口して、苦い顔をしてそう言った。

 いつも通りの穏やかな朝の風景・・・そして今日が始まっていた。