シスターになるというのはどういうことなのだろう。このごろ少し考えることがある。
「それが何かは聞いてないけど、お寺の娘がシスターに成りたいって言うんだから、
よっぽど何かあったんじゃない?」
どこかで聞いた噂話が耳をよぎる。
「人生変わっちゃう何か大変なことが。」
仏像をいっしょに見に行ってくれる志摩子さんは、とても穏やかで、
何があったとか聞いたことはない。
たとえば、漫画や小説で見るような、シスターになると言う事が神様との結婚を意味して、
神様のことだけをひたすら考えてすごすことだとしたら、
それはそれで素晴らしい事なのかもしれないけど、ちょっとさびしいような気もする。
わたしは仏像が好きだけど、たしかに、それをやめるつもりはないけれど、
それとは何か違う気がする。
「ねぇ志摩子さん」
「乃梨子、学校ではお姉さまと呼んでくれないかしら。」
「はい、お姉さま」
聞いてもいいですか。わたしではお姉さまの人生を変える何かになれませんか。
「あら、なにか用事があったのではなくて。」
「あ、そうだ、紅茶を入れましょうか。」
ナニカタイヘンナコト
それを聞く勇気は、まだ、出そうにない。
……
聖「ねぇ祐巳ちゃん。新しい自分を発見したくない?」
(じゃらり)
祐「あの、大学はいいんですか?」
聖「だいじょうぶ、休講だったから。それより、人生変えたくなあい&Hearts;」
祐「その後ろにまわした手に何を持ってるんですか。重い金属のような音がしてますけど。」