>>780の続き
鈴「あたしね、本当は景王に会いたくて慶に来たの。
祥慶もそうなんだって。 」
陽子が目を見開いた。
陽子「景王に?ーなぜ?」
同じ年頃の娘だから、と鈴は祥慶と声をそろえて言って笑った。
陽子「それだけでー?」
鈴は、違うわ、と言い添える。
鈴「あたしは違うわ。同じ海客だから。それもあったの。」
言って鈴は歩●を歩きながら、長い旅の話をする。
本当に長い旅だった。たくさんのことがあって、ここに
たどり着いた。戦いがあって、生きていられるか分からなくて
それでもちょうど今日の湯気のように、穏やかでいられる
自分が不思議だった。
鈴「あたしは自分が海客で、それがとっても可愛相だと
思っていたから。同じ海客の王様ならあたしを哀れんで
助けてくれるんだって思ってた・・・・・・・・・・・。」
祥慶「鈴は人間ができてるわね。」
祥慶が言って、鈴は祥慶を振り返る。