第三十八話 「風の万里 零明の空」 十五章より
戦いがあることが信じられない。
そんなふうなのんびりとした午後だった。
鈴「きっと明日になれば、たくさんの人が死ぬのにね。」
鈴は歩●を歩きながらこぼした。
祥慶「たくさんの犠牲が出るんだから、ちゃんと
景王の耳に届くといいわね。 」
祥慶がそう言うと、陽子が突然足を止めた。祥慶が振り返って
首をかしげ、すぐにああと、破顔する。
祥慶「謀反なんて起こしても、成功するかどうかなんて
分からないでしょう?私も●●も、●●をどうかできる
なんて思っていないわ。たとえどうにかできたって
どうせ首謀者は処罰されるの。でも、景王が気づいて
くれればそれでいいわ。 」
うん、と鈴もうなずく。
鈴「きっと王様は和州や止水がどんなふうだか知らないのよね。
乱が起こって、昇鉱や●●がこんなにも恨まれてるって
知ったら、ちゃんと調べて、これから考えてくれるかも
知れない。・・・・・そうなるといいな、って話。 」
言って鈴はくすくすとひとり笑った。