【荒野の】蘭たんハァハァスレ【花ビラ】

このエントリーをはてなブックマークに追加
97第2話全会話2/4
・ガベにて
長老 「上から降りて来たと言ったが・・・?」
吉井 「ええ、階段を降りるの、想定より四日も余計にかかってしまいました。」
長老 「ルクスに何をしに来た?」
吉井 「明確な目的は無いですよ。ただ、来てみたかった・・・かな?」
声   「大叔父。オルガノから電信です。」
長老 「ああ、親切な客人のおかげでこちらに問題はない。
     ああ、連合の坊主どもだったようだ。
     これから用心しておくので、ガベへの気遣いは無用。
     それより、そちらの足元に気を配った方が良いのではないか?大西君」
長老 「蘭は未来を覗くことができる娘なのだ。」
吉井 「未来・・・?」
長老 「ごく近い未来。だが、未来というものは、いかようにも変化しうるもの。
     蘭が見るのは、可能性の一つだ・・・。」

長老 「このガベの里は、ルクスで最初に、人が己の力で生き続けようとした土地だ。
     ガべの者も、今はほとんど街におる。」
吉井 「想像と同じ所と、違う所がありました。」
長老 「街に行くのだな?」
吉井 「ええ、そうです。」
長老 「客人には世話になった。」
吉井 「いや、私の方こそ、泊めて食事まで頂いて。」
長老 「あなたが、どんな人間か見通すほどの眼力はない。
     だが恩義は返すべきもの。蘭が今日街に帰る。あんたを連れて行かせよう。」
吉井 「有難うございます。長老様。」
長老 「あんたの名前を聞いてなかったな。」
吉井 「私は・・・吉井です。吉井一穂といいます。」
長老 「あんたがルクスに来た事・・・、
     あんたにとって良い事なのか、我々にとって良い事なのか? あるいは、
     あんたにとって悪しき事なのか、我々にとって悪しき事なのか?」
吉井 「蘭が見ているでしょう・・・そのどれかをね。」