カスミンその18 熱血単細胞

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572風の谷の名無しさん
元の姿に戻れぬまま、霞家の土鍋ヘナモンとして
家事手伝いの毎日を送るカスミ。

光陰矢のごとし。
人間界の時の流れから切り離された霞家でも、
しめやかにヘナモンの時は流れていく。
外の世界では両親や親しかった友人も残らず死に絶え、
いつしかカスミは自分が人間であったことすら忘れてしまう。

そして百年後、立派な青年に成長した龍ちゃんが竜宮城に帰る日がやって来た。
土鍋のカスミを使って、ささやかなお別れ会が開かれることになる。

ところがお別れ会の準備の最中、再婚して霞家に里帰りしていた蘭子の娘が、
運んでいたカスミを床に取り落としてしまう。

粉々に砕け散る土鍋。

そこに現われたのは、百年前と変わらぬままのカスミだった。
呆然と自分の姿を見下ろしてから、わっと泣き伏すカスミ。

「戻ったんだ……! あたし、人間に戻ったんだ……!」