ななか6才(声:阿部真弓)に/|ア/|ア…しても良いスレ

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410雨宮さん 1/2
それは、2年ほど前のこと・・・。

ゆり子は自宅でピアノを弾いていた。
バンッ!!
 雨宮 「だめっ・・・。こんなんじゃ・・・。」
ゆり子は悩んでいた。ピアノがうまく引けない。ピアノを弾くのが辛い。

昨日も・・・。
 先生 「前回、教えた所がまだできていないようですね。」
     「これでは、音楽高校の受験に間に合いませんよ。」
 雨宮 「・・・すみません。」
 先生 「いいでしょう。次回までに、この曲を練習しておいてください。」
 雨宮 「はい。がんばります・・・。」

あんなに好きだったピアノ。ピアニストになるのが夢だった。
そして、今それを目指している。 ・・・でも。

ふと目をやると、机の上に花の形をしたバッチがあった。
そして、あの時の事を思い出す。
いじめられていた自分を助けてくれた男の子のことを。まるで、王子様のようだった。
ゆり子は、無意識のうちに、昔見ていたアニメの曲を弾いていた。
その男の子が、そのアニメの登場人物に似ていたのだ。
 雨宮 「この曲を弾きたくてピアノをはじめたんだっけ・・・。」

はじめて、曲が弾けるようになった時、父も母も誉めてくれた。
それが嬉しくて、何度も何度もその曲を弾いた。
 ゆり子 『私、大きくなったらピアニストになるの』
 母    『じゃあたくさん練習しなきゃね』
 父    『パパも応援するよ。』

 雨宮 「あのころは、楽しかったなぁ・・・。」
昔のことを思い出しだしながら、気を取り直し、ピアノの練習を再開した。
411雨宮さん 2/2:03/04/03 10:07 ID:6O8oSbJa
>>410 のつづき

そして、音楽高校受験の日を向えた。
ゆり子は、高熱を出して寝ていた。 日頃の無理が祟ったのだ。 
 雨宮 「・・・受験に・・・、行かなきゃ・・・。」
 母   「そんな熱じゃ無理よ。安静にしてなさい。」
 雨宮 「・・・でも、ゴホッ。」
 母   「ほらっ。無理しないで・・・。」

結局、ゆり子は受験できずに、滑り止めで受けた地元の高校に入学することにした。
正直、自分の実力では、受かったかどうかわからない。
もし受験して落ちた時には、相当なショックを受けただろう。
返って言いわけができて良かったかもしれない。そう考えるように努めた。

高校の入学式の当日。
ゆり子は、受験の事を引き摺ったまま登校していった。
そして、クラスの振り分けを見ていた時、
 雨宮 「あっ・・・。」
見覚えがある名前。 あのバッチと同じ名前がそこにあった。
あわてて、周りを見まわすゆり子。 一人の男子学生が目に止まる。そして・・・、

無意識のうちにその男子学生に声を掛けていた。

(終)


※ これは、フィクションです。 原作とは一切関係ありません。