DTエイトロン

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610風の谷の名無しさん
「データニアタイム、起床」
「データニアタイム01まであと二十分」
無機質なデータボイスが、ドームの天井にこだまする。
パイル建造現場に集うデータニアンたちが、今日も人形のような感情の無い
表情で、動く歩道まで歩いていく。
汚れを知らない心身を包むのは、淡い色の制服。データミールは
飲み込まないように、センサーに引っかからないように、
作業速度を落とさないのがここでのたしなみ。
もちろん、感情が芽生えて脱走するなどといった、
はしたないデータニアンなど存在していようはずがない。

データニア。
大戦前に作られたこのドーム都市は、もとは地球脱出計画のためにつくられたという、
伝統ある人口統制ドーム都市である。
荒野の真ん中。ガレキの山を残している陽射しの強いこの地区で、
リセットシステムに守られ、
ヘクトランクからデータバンクまでの一生の面倒をみてくれるデータの園。
時代が移り変わり、大戦が終わって五十年経ったゼロデーまであと二百日の今日でさえ、
一定期間培養液に浸っていればドーム育ちの純粋培養ヘクトランクが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だに残っている貴重なドーム都市である。

思いついたままに改変・・・どうかな。