アニメ板最萌トーナメント準決勝・Round58

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786ギャルゲ風。 ◆OsaKa/TA
昼休み、なんとなく一人で考え事をしたくて登った屋上で、あいも変わらず一人で外を眺めている彼女に出会った。
吹き抜ける風に髪をなびかせる彼女。
その髪の隙間から何か僕の鼓動を高める粒子がこちらに流れてくる気がした。
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ねえ、なんでいつもそう窓の外を見てるの?
高まる鼓動に後押しされ、僕は人目があったので今まで聞けなかった疑問を思い切って口に出してみた。
彼女はふた呼吸ほどの間を置いてきょとんとした顔でゆっくりとこちらを振り返った。
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のもつかの間、ふたたびゆっくりとフェンスの向こうに視線を戻した。
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だめかな、そう思った矢先、
「このまま飛び降りてもぴゅーって、飛べそうな気がするの」
とんでもないことを口にした。
慌てて彼女を見やる。本気とも冗談ともつかない口調だ。
僕は彼女の真意を確認しようと、その大きな瞳を脇から覗き込んだ。
その黒曜石を思わせる瞳には遠くの町並み、校庭、この屋上、そして僕が映っている。
「?」
彼女が軽く首をかしげてこちらを振り返る。
その可愛い顔を至近距離で見つめていると、なんだか細かいことはどうでもよくなってきた。
彼女の見る世界、それは“普通”とはちょうど反対の極点にある。
それでいい。
いやむしろ、その世界を彼女と共に見てみたい、と思った。要するに、僕は完全に彼女にまいってしまったのだ。
ちょうどそこに間の抜けた音かかぶさった。午後の予鈴だ。
名残は惜しかったが、僕はまだフェンスに寄りかかっている彼女を促し、一緒に屋上を後にした。
少しして、僕の少し後ろについてきているはずの彼女の足音が、突然ぴたりと途絶えた。
まるで磁石が引き付けあうかのように、振り返った僕と彼女の視線が合わさる。
「あのね、」
今日は奇跡のサービスデーなのかもしれない。僕は期待に胸を膨らませ、なに?と応えた。
「しいたけとまつたけって、カレーとハヤシライスより違いが大きいのかなあ」
……どうやら先はまだまだ長そうだ。