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「せ、先生……く、くるしくて、そ、その」
「えっ?」
胸元から途切れとぎれに発せられる声に、みずほは我に帰って、
「きゃっ、草薙くんごめんなさいっ」
豊かすぎる胸乳の圧迫からようやく解放されたとき、桂はすっかり虫の息といった
有様だった。
――――
「僕に、お礼?」
みずほが机の上から取ってくれたメガネをかけながら、桂が言った。
「それとお詫びね……ほら、今日はたくさん迷惑をかけてしまったんですもの」
今日一日の出来事。
それは思い返してみても、どんな夢よりも非現実的だった。
自分に起こった出来事だなんて、とても信じられないくらいに。
「先生……」
「だから、こうして草薙くんに逢いに来たの。それが私の最優先事項よ」