798 :
キャラ名あってる?:
闇が渦を成し、あらゆるものを呑み込んでいく。
青空を。大地を。そして僕自身を。
抗う意志すらなく、ただこうして地平線の果てへ。闇の奥深くへ。
けど、その時だ。
諦めきったはずの僕の手を誰かが握った。
優しく。あたたかく。
その人に抱きしめられたまま、僕は――
「草薙くん。大丈夫、草薙くんっ?」
その声に呼び覚まされて、桂(けい)はガバッと上体を起こした。
汗に濡れたパジャマが、じっとり肌に貼りついている。
月明かりに照らしだされている、見慣れた自分の部屋。
開いた窓から流れ込んでくる、ゆるやかな夜風が心地よい。
なぜ窓が開いているのかという疑念が浮かんだのと、自分の手を握りしめている者の
存在に気づいたのは、ほぼ同時だった。
「せ、先生!?」
どうしてここにと問うより早く、風見みずほに抱き寄せられる。
「良かった……草薙くん、うなされていたから、どうしたのかと思って」