色仕掛けで…【おねがい☆ティーチャー】2限目

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 闇が渦を成し、あらゆるものを呑み込んでいく。
 青空を。大地を。そして僕自身を。
 抗う意志すらなく、ただこうして地平線の果てへ。闇の奥深くへ。
 けど、その時だ。
 諦めきったはずの僕の手を誰かが握った。
 優しく。あたたかく。
 その人に抱きしめられたまま、僕は――

「草薙くん。大丈夫、草薙くんっ?」
 その声に呼び覚まされて、桂(けい)はガバッと上体を起こした。
 汗に濡れたパジャマが、じっとり肌に貼りついている。
 月明かりに照らしだされている、見慣れた自分の部屋。
 開いた窓から流れ込んでくる、ゆるやかな夜風が心地よい。
 なぜ窓が開いているのかという疑念が浮かんだのと、自分の手を握りしめている者の
存在に気づいたのは、ほぼ同時だった。
「せ、先生!?」
 どうしてここにと問うより早く、風見みずほに抱き寄せられる。
「良かった……草薙くん、うなされていたから、どうしたのかと思って」