しかし「ハーメルンのバイオリン弾き」は・・

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462田中公平
はじめ、スタッフの方たちは割と気楽に魔曲の事を考えていて、
予算に応じてしかるべく編曲すれば、何とかなると思っていられたので、
それがどれほど大変な事か、場合によっては文化に対する冒涜になるやもしれない事をも、
口からアワを吹いてお話した所、皆さんよく理解してくれて、
出来るだけ原曲を壊さずに、作曲したご本人がもし生きていても(著作権問題は別にして)
絶対怒らない様に編曲する様に決まりました。
(その結果、予算は予定の倍はかかりました。どうもすみません)
さて、魔曲はそれでいいとして、オリジナルのBGMの作曲の方で頭をかかえてしまいました。
なぜなら、同じ番組でクラシックの魔曲と私のBGMが流れる訳で、比べられたらどうやっても勝てない。
惨敗が目に見えているからです。
2週間もの間、真っ白い五線紙に向かったまま、1曲も書けない日々が続きました。
でも人間最後にはあきらめるもんですねえ。
だって、カール・ルイスと1OOm競争して負けたって全然恥じゃないですもんね。
こんな簡単な事に気づくまで2週閥もかかるとはつくづく負けず嫌いなんですなあ。
ともあれ、曲はすべて完成し、試写で第1話と2語を見たとき、涙があふれて止まりませんでした。
その時、私はハッキリ自覚したのです。
この「ハーメルンのバイオリン弾き」こそ私の代表作になるだろうという事を・・・・・・。

魔曲全集Vより抜粋