【お肉壺】QB師匠の窪みを語るスレ【股間が竹の子】
この物語は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません
(第二章 その四)愛という名の檻〜苦痛と快楽の狭間〜
俺の名前は窪田彰浩、世間で言うFラン大学の3回生だ。
アメフト部の俺は筋トレが欠かせない。
本日もせっせとベンチプレスに励んでいる。
突然真上から視線を感じた。・・クニだ。苦痛に歪む俺の顔をニヤニヤしながら見つめている。
冗談じゃない。あっちいけ、怪我したらどうする!
言葉には出せないので心の中でそう言うと通じたのか、そそくさと去っていった。
後輩のクニと、何の因果か肉体関係を持ってしまってから、早約2週間が過ぎた。
正真正銘のホモになってしまった俺だが、未だ実感はなかった。
なんというか、性処理の延長上というか。
でもクニは違うようだった。何かにつけては、俺に纏わりついてくる。
コトのきっかけは俺があいつに自慰行為をして見せろとふざけて命じたせいなので、
どんなにウザくてもあまりきついことは言えないのだった。
・・はぁ、先が思いやられる。だんだんと濃厚な恋人風を吹かせるクニに、
どう接していいのかわからない。
筋トレを終えて、部室に戻ろうとした時、体育教育科の井山教授がこちらに向かってくるのが見えた。
俺はこの教授が苦手なので、咄嗟に物陰に隠れて教授が通り過ぎるのを待った。
スポーツ刈りに近い短髪、化粧気の一切ない顔。立ち居振る舞いも全て男そのものだった。
しかし、女を捨ててるのかと思えばそうではなく、むしろ男子に甘く、女子に厳しい。
その癖、「須らく男女は平等であるべし」が教授の口癖だ。
重い運動器具を運ぶ際は女子にもやらせ、こっぱずかしい女っぽいダンスも男子に踊らせる。
世の中には、男より男っぽい女もその逆もいる。体力のない男も体力の有り余る女もいる。
個人差を全く考えない男女平等を押し付けて、この人は何がしたいんだろう?
自分を正当化するために、自分という人間を肯定するために、ジェンダーを唱えているとしか思えない。
何かしらのコンプレックスをそれに打ち込むことで、必死で跳ね返しているようにも見える。
難しいことはバカな俺にはわからないが、個人に合わせて男女という性別に捕らわれず、
その人が心地よいと思えるような、生き易い生き方を選択できることこそが真のジェンダーフリーではないかと思う。
強制して何かをやらせるのとは、明らかに違うような気がする。
井山教授を見送って廊下にでると、
クニがスポーツタオルと国際的に有名なメーカーのスポーツドリンクを持って駆け寄ってきた。
国内メーカー製のものと、今クニが持ってきたものとが大部分のスポーツドリンクのシェアを占めているが、
俺はこっちのあっさりさっぱりした味の方がクセがなくて好きだった。
ヤツは俺の好みもしっかり覚えていたらしい。
「先輩、疲れたでしょ?疲れたでしょ?はい、これ」
「あー、ありがと」
「一緒に帰るよね、ね?今日も」
・・もう勘弁してくれ。いい加減にしてくれ。
俺は不意の事故でホモになってしまったけれど、お前と恋愛ごっこをするつもりはねーんだよ。
「いや、今日はちょっと・・」急に肘を両手で強く掴まれる。
「どこ行くの?ねえ、ねえ?なんの用?」・・用事なんかない。答えられない。
「俺も、俺も行くから、つきあうから」クニが半分泣きそうな顔をする。
「たまには一人で帰りたいんだよっ!!」
吐き捨てるように言い、振り払うと一人駆け出した。
一日一日秋が近づいている。一人で歩く帰り道。数日間一緒に歩いていたクニは隣にいない。
罪悪感と自己嫌悪。部室で着替えをしているときも目も合わせなかった俺。
かと言って、じゃぁ、どうしたらよかったんだろう。
俺はクニの気持ちに応えることは、多分出来ない。
かわいいヤツだとは思う。セックスだって悪くない。
でも、それは恋愛感情とは違う。
は〜っ。夜空に向かって思いっきり息を吐き出してみる。
自分できっかけを作ってしまったなら、自分自身で後始末をしなければいけない。
はっきりと拒絶するか、とことんまで付き合うか。
このまま続けていくことは、クニのためにもよくない。
・・でも結局俺はズルくて弱くて、このままズルズルと先延ばしをするのだろう。
一刻も早くけじめをつけた方が、俺もクニも傷は浅いとわかっていながら。
家について、夕食をとりシャワーを浴びて、ベッドに寝転がり漫画を読んでいたらクニからメールが入った。
「先輩、大事な、大事な話があります。今から行くので近くのコンビニで待っててください」
その後、何行か空白が続き、「来てくれるまで待っています」と。
う、うわ〜。とうとう話をすべきときが来てしまったのか。決着をつけねばならないのか。
同じ部で毎日顔を合わす先輩と後輩。流石にここで逃げるわけにはいかない。
パーカーをひっかけると、すぐさま指定されたコンビニに向う。駐車場にクニの車が見える。
コンコン、と窓をノックすると、シートを倒していたクニが起き上がり車のロックを外す。
俺が車に乗り込むと、クニが無言で車を発進させた。
助手席であれこれ考えているうちに、俺たちは川岸に着いていた。
長い沈黙のあと、クニがようやく口を開いた。
「お話したいから、後ろ行って」・・距離があると話せないことなのかな?などと思いつつ
一度車外に出て、後ろのドアを開け乗り込むと、クニにいきなり抱きしめられる。
「体で覚えさせなきゃね、先輩が誰のものか、覚えさせなきゃね」
首筋の辺りを舐められると、ぞくっとする快感がこみ上げてくる。・・まただ、流される、流される。
「先輩、今日はいつもの俺と違うから。優しくしないから。・・レッツ調教!!!!!!!!!!」
クニが、手を拘束する皮の手錠を後部座席下から取り出した。
手錠の他にもパールのネックレスの玉だけを大きくしたようなものや、
先が数本に分かれているムチなど奇妙なグッズがそこには隠されていた。
「まず、悪い子はお尻ペンペンしないとね」恍惚した顔で言う。
翌日、俺は講義を受けている間も、誰にもわからぬよう空気椅子をして筋トレに一人励んでいた。