「メンナク見っかぁ」
スーツを脱ぎ捨てると、縦じわでよれよれの本の入った紙袋を整えた。鏡の前に立ち袋を開く。
既に表紙をナックルガイが飾り、俺のメンズナックルは伊達ワル男の愛読を待つ。
身体を横にして鏡に映すと、ページを持ち上げて、ピラミッドがそこにあった。
「制御不能のとまらぬ伊達ワルスピリッツだぜ」声に出していう。
「男はやっぱ黒」
やおらタンスの中から、ズルムケ状態の仮性包茎迷彩を取り出す、手にオイルをたっぷり取り、逆手でページをこね回す、
「ヌリュッ、ヌチョッ」音が俺の伊達ワル中枢を更に刺激する。
「伊達ワルたまんねぇ」扱きに合わせて、身体を黒に染めていく。
「男の伊達ワルにゃあこれだよ」フェザーを着こむ。
「俺の、フェザーから、鳥人拳を、繰り出す!」顔から熱くなり、やがて頭の中が真っ黒になる。
「ガイアが俺にもっと輝けと囁いている」「ストリートという劇場に舞い降りた黒騎士」
頃合いをみてチェックにグラデをキかせる。俺は魔法をかける5秒前だ。
伊達ワルファッションだけが体に残り、ぶらぶらのフェザーのロングに、危険なフェロモン垂らして、腰を振り、左手でポーズ決め、右手でヌルヌルとページを扱く。
鏡の中のの俺は、日本一の伊達ワル男になっていた。
「ちきしょう伊達ワルは本場でも通じると断言しテェよ」最高潮が近付くと、いつもそう思った。グラデをもう一度効かせ、黒を追加すると、ブラ男へ向かってまっしぐらだ。
「ブラ男になってやる」「パイレーツすらも食い殺すワイルドな伊達ワル男」
「うりゃ、そりゃ」「ズリュッ、ブチュッ」しぶきを飛ばしながら、最強のストファイをめざす。
「フッフッフ……」グラサンの奥から、激しいうねりが起こった。やがて奔流となり、俺を悩ます。
―ストリートという劇場に舞い降りてぇ――もっと輝けと囁きてぇ―相反する気持ちがせめぎあい、俺は崖っ淵に立つ。
「きたっ」俺はエレガントに舞い、クレイジーに酔いながら、それに備える。奔流は堰を切ろうとしていた。
「黒以外破棄 ! 」「ぶちっ」
鈴口を押し分けて、黒い伊達ワル男がしゃくり出される。
真っ黒い時間が過ぎ、女たちはみんな一直線に俺の虜になる。