我が家の日常風景〜父の日…の夜〜
「ふぅ…明日も仕事だし今日は寝るとするか」
私が読んでいた本を閉じて敷いていた布団に潜り込もうとした。そのとき部屋のドアをノックする音が聞こえた。
http://dl6.getuploader.com/g/kuroneko_2ch/614/titi.jpg 「え、えと…お父さん、今日は父の日だしたまには…そ、その一緒に寝で寝てもいいかしら…?」
「ああ、瑠璃か。君から一緒に寝ようなんて言われるのは何年ぶりだろう!良いよ良いよ何なら毎日で…」
「呪うわよ」
「あはは、冗談冗談。ほらこっちにおいで」
「も、もう…」
そういって私の布団に入り込む愛らしい美少女は私自慢の娘である三姉妹の長女瑠璃だ。三人とも序列など付けられないくらい愛おしく私と妻が生きてきた証でもある。
まだ瑠璃が小さい頃は妻と一緒にこんな感じで寝ていた筈だが、次女である日向が生まれてから瑠璃はお姉ちゃんになったため一人で寝ることが多くなったのだ。
…ちなみに我が愛する妻は今日は三女の珠希と一緒に寝ているので決して喧嘩をしたわけではない、本当だ。
「瑠璃からお父さんと一緒に寝ようと誘ってくれるなんて嬉しいな、生きてきた甲斐があるよ!」
「ふふ…喜んでくれてよかったわ…」
「…ねぇお父さん…わたし…」
http://dl6.getuploader.com/g/kuroneko_2ch/615/titi2.jpg 「…いえ。やっぱりなんでもないわ…ごめんなさい、もう少し気持ちの整理が付いたら…話します…」
ああ…やはりそうか。ここ最近の娘の様子を見れば何があったのなんて嫌でも解る、なんといっても17年ずっと見守ってきた大切な大事な娘なのだから…。
正直私は苛立ちを感じるた。自分が出て行って娘を悲しませた彼を殴ることだって簡単にできる、しかし私の愛娘はそれを良しとしないだろう。
妻に似てとても友達想いで優しく素直で、とても強い娘だ。ちょっと浮世離れした言動や行動が目に余るが…それは私の若い頃の苦い黒歴史を思い出すとあまり強くはいえないだろう…。
とにかく良い娘なのだ、しかし自身に劣等感がありなかなか他人に頼らず本音を出せないのところも妻にそっくりだ。
「瑠璃?辛い事、悲しい事、怒れる事があったら人にはなしてごらん?お父さんやお母さんに話にくいことだったら友達でもいい。他人に思っていることを話したり頼ったりすることはとても大事なことなんだよ」
「お父さんもお母さんも君たちを世界で一番愛しているんだよ、きっと日向も珠希もね。君のことを一番に考え想っている人たちがいることを忘れないで自分を卑下なんてしないで」
「ん…ごほん。つまりだ、愛しているよ瑠璃、もちろん家族としてね」
口下手な私はこんなことしかいえない。もっと気の利いたことをいえればいいのだが。
「いつもありがとう、お父さん」