【リリカルなのは】ユーノ司書長はカワイイ141【無限書庫】
(今なら、師匠に勝てるでしょうか)
そんな考えが浮かぶが、すぐに打ち消す。
元々ユーノの資質は単独戦闘にはあまり向いていなかった。
いくらスキルを伸ばした所でそれは変わらないだろう。
むしろ資質が磨かれるほどに戦闘系との差は顕著になると言って良い。
あの頃はともかく、3年間成長し研鑽を積んだ今の自分ならば、10年以上経ったとはいえ戦いとは直接縁のない仕事に就いているユーノにはもっと安定して勝てるかもしれない。
だが自分が憧れたのは戦いの勝ち負けとかそういう事ではないのだ。
自分が彼の中に見出し、望んだのはもっと――
「シュテルー! 大丈夫―!?」
「…ナノハ」
上からかけられた声に、完全に立ち上がり上を見上げる。
痺れはまだ少し残っているが、痛みはもう殆ど収まっていた。
そんなシュテルの前に降りてきたなのはは両足を地につけて飛行魔法を解除すると、まっすぐシュテルへと駆け寄ってルシフェリオンを持っていない方の手を握った。
「シュテル! 良かった、墜ちた後ボーっとしてるからビックリしたよ」
「そこまで慌てずとも、互いに非殺傷設定で撃ちあったはずでは」
「でも、シュテル達は人間とはちょっと体の仕組みが違うから…」
「大丈夫です。躯体にも構成情報にも異常はありません。多少魔力の流れが乱れてはいますが、これも直回復するでしょう」
「ならさっきボーっとしてたのは?」
「少し、今の戦闘の反省をしていました」
「そっか、そうなんだ、よかったぁ…」
ホッと息をつくナノハに、少し申し訳なくなったシュテルは軽く頭を下げながら
「誤解させてしまったのなら、謝ります」
「ううん、良いんだよ。早とちりしちゃった私も悪いし、反省するのは良い事だからね」
にゃはは…と苦笑するなのはにシュテルも薄く微笑むが、すぐにいつもの無表情に戻り、さっきまでの自己問答の中で浮かんだ疑問の事を尋ねた。
「ところでナノハ、唐突なのを承知で一つお聞きしたいのですが」
「なに?」
「師匠は、息災ですか?」
「……師、匠? ええと師匠、シュテルの師匠って………あ、ユーノ君!?」
数秒考え込んでポムと手を打つなのは。
自身が未だ師と仰ぐ唯一の人物の微妙な扱いの悪さを感じて複雑な気分になるシュテルだったが、そう呼んでいたのはナノハからしてみれば十数年前のたった数日間の事。
ならば『師匠=ユーノ』とすぐ結びつかなかったのも無理はないか、当人もそう呼ばれる事を否定していたのだし、と納得して飲み込む。
「……ええ」
「うーん、最近はあんまり会ってないけど、アルフからは特に倒れたって話は聞いてないかなぁ。あ、今から呼んでみようか?」
なら最近より以前は倒れる事があったのですかと突っ込みたくなったが、話が逸れそうなのでやめて置いた。
「そんな事をして大丈夫なのですか? 師匠は今、無限書庫の司書長を務めているはず。非常に忙しいのでは……」
「ちょっと前まではそうだったけどね……ってあれ、シュテル、何でユーノ君が司書長だって知ってるの? あの時はユーノ君まだ司書だった……はずだよね」
「事件の後にあなたの娘からある程度聞いていたので」
「あっ、そうか! ちゃんとしたタイミングは知らないけど、そういえばヴィヴィオにとってはあの事件って割と最近だったんだっけ」
ユーノが自分達がエルトリアの侵略(笑)に出てから数年後に司書長に任じられた事だけではない。
少し前までの無限書庫はそれこそ目が回る様な忙しさでそんな部署の司書長であるユーノの労働状況はその最たる物だった(流石に倒れる程とは知らなかった)と言う話も、シュテルも3年前にヴィヴィオから聞いていた。
だがその後の話では、無限書庫は以前から積み重ねてきた功績やJS事件での情報提供による貢献をクロノやリンディが口添えした事で、つい最近ようやっと予算と人員が回されるようになったとの事らしい。
おかげで今の無限書庫の司書の徹夜日数は大幅に減り、まともな休憩時間や定時と言う物も出来つつあるなど、労働環境は以前とは雲泥の差。一部事務雑用にアルバイトを雇う事も可能になり、司書達も諸手を挙げて万々歳
無限書庫は優しくフレンドリーな職場です☆
もっとも、他の部署と比べなければ…の話なのだが。
閑話休題
ともあれ前よりは余裕のある現在の無限書庫。司書長であるユーノも緊急の請求さえ入ってなければ、1時間程抜け出して人と会ったり、出てくるのは無理でも通信で顔を見る位ならやろうと思えば出来ると言う話だった。
「で、どうしようか」
「いえ、それでもやはり師匠のお仕事の邪魔をする訳には」
「もっ、もももしかして、恥ずかしがってる?」
(何故そこで狼狽えるんですか、ナノハ)
それでは、面白くない勘繰りをしてしまうではないか。
「……ええ、今の戦闘で己の未熟を再び痛感しました。これではとてもではありませんが師匠に顔向けできません」
「なんだ、そういう話なの」
「それに―――」
「?」
そこで言葉を濁したシュテルは胸に手を当てながら、ちらりとナノハの比較的豊かな胸元やすらりと伸びた脚に視線を落とす。
(……万が一比べられたら、嫌ですし)
競うまでもなく満ちる敗北感。戦力差は大きかった様だ。
「? それに、で、どうしたの?」
「いえ、アミタ達もそう時間を置かずに帰還の道を用意してくれるでしょうから、王ならともかくあまり私個人の用事で時間を取る訳にもいきません」
「確かに、ここから無限書庫は転移ナシじゃちょっと遠いかもね。もしユーノ君が来る途中で帰れるようになったら、ユーノ君にもシュテル達にも悪いし」
「ですよ」
結局今回ユーノと会うのは見送り、と言う所で一先ず二人が纏まっていると……
「おぉ〜い、シュっテる〜ん!! 次ボクー!!」
飛んできた大声にそろって振り返ってみれば、訓練場の外からぶんぶん手を振りながら駆けてくる水色のツインテールに、その後を苦笑しながら追いかけている赤髪の少年。
「レヴィ…ですか」
「あはは…次はレヴィとエリオが使うつもりみたいだね」
「そのようですね。では、出るとしましょう」
「うん」
シュテルの言葉になのはは頷きながらバリアジャケットを解除する。
少し遅れてシュテルも殲滅服を解除し買ってもらったデニム姿に戻ると、二人で連れ立ってフィールドの出口へと向かっていった。
そして出入り口をくぐる途中、今の戦いの情報交換をしながら、シュテルはもう一度なのはの方を見て、次に下を見下ろして、思った
(あと10……いえ、5,6年位でしょうか。もっと私が成長したその暁には、師匠――)
その思いの本当の意味
こんな事を考えてしまった本当の理由
ひょっとしたらそれは、シュテル自身にもよく分かっていないのかもしれない。
*
「ひっぷし!!」
「ちょっとユーノ、人に向けてくしゃみするのやめておくれよ。汚いじゃないか」
「ごめんアルフ、でもくしゃみする直前にちゃんと唾を遮る様に小さいシールドを張ったから大丈夫だよ」
「え? …げっ、ホントだ。でもあの一瞬でそんな事するとか地味に凄いかもだけど、魔力とタスクの無駄遣いと言うか気持ち悪いよ」
「そうだね、次は気を付ける」
「まぁ良いんだけどさ。でも突然くしゃみとか、風邪でもひいたかい?」
「そんな感じはしないけどなぁ。ひょっとしたら誰か僕の噂してるのかも」
「なるほどね」
「えっ、そこで納得しちゃうんだ?」
「ユーノの噂する相手なんて、私には心当たり在り過ぎるからさ」
「へぇ、そうなんだ、物好きも居るもんだね。あぁ、この6冊、こっちのメモに書いた区画の司書に渡して収める様に言ってきて。それ
終わったら今日はもう上がってくれていいから」
「あいよ。じゃ、ユーノ司書長も本当に具合が悪くなったらこじらせない内に切り上げなー。風邪はひき始めが肝心だって言うしさ」
「仕事が終わったらね」
「そりゃ切り上げるとは言わんだろうが…」
…投下終了
なんか失敗したなぁ
3にする所が2になってるし
と言うかユノシュテと言うかなのシュテじゃないかと突っ込まれても私は反論できないorz
いいじゃないか
少なくとも、
>>942の言ってるような感じではないよ
気にしないことだ
>>955 GJ!
面白かったよw
充分ユノシュテだったと思う。
まぁ、なのは→ユーノ←シュテルという感じの方が強かったけど。
よし、そのスタンスで続き待ってるぞ!
シュテルはなのはの正反対って感じで設定されたみたいだが、
性格が正反対でもユーノに懐いちゃったみたいだね
>>955 よいSSだと思いますよ。シュテルがあくまで「戦闘思考」なのにユーノへの思慕が感じ取れるお話でした。
シュテるんは他の人と違って酒の勢いで……ってのが想像できない。
なのはさんからヴィヴィオやアインハルト辺りまで想像できるというのにw
シュテルさんみたいな人に限って、酒を飲むと暴れだす…
妙にかわいくなったりしちゃったりなんかして
なんか無表情&無口で服を脱がしはじめそう
ユーノくんって酒飲むの?
酒もたばこもやらないよね?
1つくらい悪癖というか嗜好品は嗜んでて欲しいな
山ほどコーヒーのむとか
シュテルが事に及ぶとしたら
「女は男を知る事で一つ上に成長すると言います。私は王達の為にももっと強く、成長したい。
だから師匠、私に男を教えて戴けませんか?」
って酔いで向上心と欲望を混同しちゃう感じでお願いするんじゃないかな
>>969 研究とかで徹夜のお供に飲んでそう
淹れ方にこだわりあったりするかもね
休みが重なったりした時に、クロノやロッサとバーで飲んでるイメージ
ピクシヴのユースバの方のSSのシリーズ番外編で、
ゲンヤさんと酒飲んでるトコの印象強いなあ。
酒だと何となく恭ちゃんとも飲んでそうな気がする…。
ハードカバー片手に一人飲んでいる姿が浮かぶ
あるいはたき火に当たりながら携帯ボトルでウイスキー飲んで姿とか
後者だったらエリキャロフェイトと一緒で
フェイト:カフェオレ エリオ:コーヒー キャロ:ホットミルク なイメージが浮かんできた……あれ、これ酒じゃなくていいよね
>>975 エリオってオレンジジュースとかじゃないのw
>>972 男連中で飲みに行くことはありそうだね
司書長で飲酒のSSっていえば、ユーなのでそんなSSが投下されてなかったっけ
おつかれ〜い^^b
>>977 エリオ(StS)ならジュースだろうけどエリオ(F)だとジュースはもはやギャップ萌えの域な気もw
でも司書長(9)だと背伸び気味にコーヒーもありかなと思う辺りは
司書長に限らないけど1期メンバーの子供っぽさ欠落というか歳不相応さ故か
昨日は妙に単発が多かったな
それに最近
>>970を越えた後もレスし続けて
新スレ立つ前に埋めようとしている人も増えたし新参が増えているのかね
致し方あるまい
昔からいる人間ばっかもそれはそれで問題だからな
適度に新しい風も必要だろう
埋めるか
埋め
ume
梅
勝手をするなよ
う
め
た
て
ち
995 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/11/19(月) 07:33:40.45 ID:2Ke7GZtO0
梅
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。