【とある魔術の禁書目録】初春飾利ちゃんマジ天使47
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/02/12(土) 01:03:09.36 ID:ObxX0uXd0
「私がどれだけ頑張ったって、無能力って言葉の前じゃ評価してもらうことすら不可能なんだよ。
私より劣っている人間だろうが能力さえあればそれは優秀な人間になるの。
その能力が役に立つのか立たないのかは別の話なんだから笑っちゃうよね。」
「佐天さん・・・。」
初春が悲しそうな顔で私をみつめている。
まるで私のことを哀れんでるかのようなその表情が私の中の何かを爆発させた。
「あんただってそうだよ初春!たまたまレベルが3だったってだけの理由で内定がもらえたの!
別にあんたが優秀だからじゃない!運が良かっただけ!なのにあたしを見下さないでよ!」
「私は佐天さんのことを見下してなんかいません!」
「うるっさい!!!」
もう我慢の限界だった。
かろうじて残っていた理性が初春のことを路地裏へと押しこみ、そして消えた。
ポケットから取り出したカッターから勢い良く刃を出して初春の首筋へ当てる。
初春と食事をしている時も、町を歩いている時も、映画を見ている時もずっと握り締めていたカッターだ。
「声出さないでよ初春?」
左手で塞がれた口が何かを求めるようにうごめくのを無視して言葉を続ける。
「私達友達でしょ?だったら、言う事聞いてくれるよね?」
もがくように振られた初春の頭から落ちた髪飾りを、思い切り踏みつけた。
初春、私あなたの笑顔が大っきらいなの。だから今からそれをグチャグチャにしてあげるね。
「初春、あなたの能力なんだったっけ?」
私の左手を引き離そうと奮闘する初春を尻目に、私はあの時の感覚を思い出していた。
能力者を、無能力者の私が、殺す。
たまらなく残酷で、愉快で、歓喜を湧き起こすあの感覚が今でもしっかりと両手に残っていた。
「ああ、思い出した定温保存(サーマルハンド)だったよね。初春にお似合いな地味な能力。」
首筋を撫でるように刃を顎へと移動させ、そこから耳へ向かって皮膚の表面をすこしづつ削りとっていく。
そして耳の穴へと吸い込まれかけた刃は急に向きを変え、初春の眼球へ刃先を突きつけるように静止した。
「でも今はずいぶん立派になった。触れている物体の温度を±50まで変化出来る、そうだよね?」
初春の頭が震えながら微かに上下した。
私の左手を引き離そうとするその両手に今は力は感じられず、恐怖だけが伝わってきた。
「ほら、私の腕の温度を上げれば助かるかもよ?なんでやらないの?」
歪んだ笑みを浮かべながら尋ねる。
カッターを持った手が勝手に動き、眼球を突き刺して抉り取るのを想像して気分が高揚するのを感じた。
「あーこんな状況じゃ演算なんてできないよねー。やっぱり初春は能力があっても無能なんだよ。」
そういってケタケタ笑う私は他人の目から見たらどう映っているのだろう。
まだ時間はそう遅くない。この声を聞きつけた誰かにみられる可能性も十分あるのに、そんなことを考える余裕なんて全くなかった。
「だからさー、こんな使えない腕・・・いらないよね?」
言葉が終わらないうちに初春の右手にカッターの刃を当て、そして思い切り引いた。