……
「ん……」
チチッ……チチチチ…… ……うるせえ雀だ……目が覚めちまったじゃ……っ! ……。
まだ半分靄のかかった頭で、昨晩のことを思い出す。……泣きたくなるような情けない話だなおい……。
そのせいだろうか、ろくでもない夢を見ちまった…………「行くな………行かないで……」そう泣き喚きながら、
誰かが遠くへ行っちまうのに必死ですがり付いて、その手を握り締めている夢とか……ガキ過ぎるだろ。
「情けないにも程があるな」
ぼやきながらベッドから抜け出す、冬場にしては部屋が暖かいままだったのは幸いだが、着替えもせずに
寝てしまったらしく昨日着ていた服はそのままで……なんつーか、まだ体も頭も重いし。
「おっと」
眠りに落ちる前に気になっていた机のスタンドの電気は、ちゃんと消灯になっていて……どうやら、俺の勘違いか
夢だったみてーだな。記憶がはっきりしないのだが、ちゃんと自分で部屋に戻って痛み止めも飲んだとみえ、
机の上には痛み止めの空き箱と、半分水が残ったコップがあった。意識が朦朧としてたのは、薬のせいだったのかもな。
まぁでも、ちゃんと薬を飲んだ俺、グッジョブ! ――残っていたコップの水を流し込むと、切れた唇に滲みた。
「いてー」
――口元を拭った俺の手の甲に、見馴れない朱色が残っていた――
>>653 長くなってスマンカタ