>>306 了解、恥を承知で
「ええぃっ!」
「くぅッ!?」
「…? ちょっと? あんた…?」
「………」
「え…あんた!? ねえ、ねえってば! しっかりしてよ!?」
「………」
「息は…してる、気を失ってるだけ…かな…? 兄貴、兄貴? 大丈夫?」
「………」
「…ど、どうしよう。そうだ、お父さんに…
いや、私の部屋で気を失ってるなんて、そんなの見せたら兄貴の立場がホントにヤバくなっちゃう。
と、とりあえず部屋に連れてかなきゃ…兄貴、今連れてくから、ちょっと我慢しててね」
「………」
「よいしょっ… お、重い、なんでこんなに重いのよ…いつもへらへら軽くて、すぐどっかいっちゃうくせに…」
「………」
「―――んっ…しょっ! はぁはぁ…な、なんとかベッドに横にできたけど…
どうしよう、やっぱりお父さん呼んできた方がいいのかな…?
―!! ち、血が!? ああ、ふ、拭かなきゃ…! ティッシュ、ティッシュは…」
「………」
「と、止まんない…っ! 拭いても拭いてもすぐ血塗れになっちゃう…っ!
あたしが強く打ちすぎたから、あ、あんたがこんな怪我を…うっく…ご…ごめんなさい…ごめんなさい…っ!!」
「………」
「う…グスッ…ま、待っててね、すぐにお父さん呼んで―――!?」
「………な」
「あ、あんた? いきなり腕…気付いたの?」
「………」
「…気付いてない? うわごと? ああもう、どんだけ強く握ってんの…! これじゃ呼びにいけないじゃない…!」
「………くな……乃……」
「さっきからなに言っ―――」
「桐乃………行くな………行かないで…くれ………」
「っ…………!!!!」
「桐………乃………」
「………なんでよ…なんで、なんで…なんでなんでッ!
さっきは言ってくれなかったくせにッ! 今更ッ!今更ッ!
なんであんたは! あんたは! あんたは…っ!!
なんであたしが一番求めてる時に、応えてくれないのよぉ…っ」
「……くな…」
「グスッ…ば、バカじゃないの。意識無いのに妹の腕離さないとか、あ、ありえないんですケド。
どんだけシスコンなんだっての。ああ、血が…」
「行くな………」
「………わかった。あんたはバカで変態でシスコンで、その上嘘つきで最ッ低ぇーな卑怯者だけど、
そのバカさ加減に免じて、行かないであげる。
だから安心して………でも、次ちゃんと、あたしの目を見て応えてよね………」
「………」
「―――血、もう止まったかな。腕も…じゃあ、部屋戻るね。怪我させて、ごめんなさい。おやすみ………ん」
三番煎じな上、一番微妙だが大丈夫か
ぐうの音も出ない…でも「なんでなんで!」は書きたくなるよね