★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その1★★
○話『タイトル』ライターによるストーリー紹介
★ランカ役、中島愛さんによる「ランカ・リーの視点」からのレビュー
*(画像の横)ライターによるコメント
1話『クロース・エンカウンター』人気シンガーのシェリルが来艦。女子高生ランカは
コンサートに行く途中で偶然、高校生のアルトと出会う。
★TVシリーズが終わってから、改めて振り返るとすごく懐かしく感じますね(笑)
第1話ではアルト君との出会いがありました。ランカが道に迷って本当に良かった(笑)。
ほんの小さな偶然が積み重なって、ランカの運命を変えていく。
もし、道に迷わなかったら。アルトに出会わなかったら。一つでも違えば、ランカの
運命はまったく違うものになっていたと思います。
あと、最後まで物語を知った上で見返すと、ランカが叫んだあとにバジュラがこちらを
振り向くシーンに、ゾッとします。当時は先の展開を知らなかったから
「人の気配を感じたのかな?」「ああ、襲われちゃう」と思っていたんですけど。
実はランカを探していたという。改めて映像を見ると「逃げて!声を出しちゃダメ!」と
言いたくなりますね。バジュラに悪意があるわけじゃないから、余計に怖い。
『マクロスF』は一つ一つのカットに、多彩な意味が込められている作品なんです。
*スプリンクラーを浴びて、水びたしになったランカの服をアルトが乾かしてあげる。
この出会いが二人の運命を変える。
2話『ハード・チェイス』謎の宇宙生物バジュラが来襲。アルトはランカを救出し、
S.M.S入隊を志願する。ランカはシェリルと偶然出会う。
★第2話は、ランカが叫ぶシーンがたくさんありました。
私は『マクロスF』に参加するまで、アフレコの経験がなかったですし、叫び方も
よくわからなかったんです。プレッシャーもすごく感じていたし、どうやって
叫び声を発声するんだろうと、どうやって喉を潰さないようにするんだろうと
アフレコ現場で先輩の演じ方を見ながら勉強させていただきました。
出演者の皆さんがすごく優しくして下さったんですよ。
第2話の空中に飛び出したランカをアルト君がキャッチするシーンは『超時空要塞
マクロス』のオマージュですよね。そうやって過去の作品とリンクするシーンを
演じられるのが、すごく嬉しかったです。
アルト君がランカを見捨てずに、助けてくれて良かったです。『マクロスF』は
魅力的なオマージュや、たくさんの愛に溢れてる作品だと思います。
今、改めて振り返ってみても、アルト君のランカ救出は、かなりの圧巻です。
前半の名シーンの一つですよね。
*ランカが空中に吸い出されるシーンは『超時空要塞マクロス』でリン・ミンメイが
バルキリーにキャッチされるシーンのオマージュ
3話『オン・ユア・マークス』ランカとシェリルとアルトが出会ったとき、バジュラが
再び迫る。3人は待避壕の中に閉じ込められてしまう。
★「まぐろ饅」にはびっくりしました!「ランカ、さすがにそれはまずいよー!」って
ツッコんじゃいました。ランカのドジっ子ぶりと、それを笑い飛ばしてくれる
シェリルさんの優しさが、すごく伝わってきましたね。
この段階では、アルト君とランカはすごく親密なわけじゃないんですけど、理屈抜きで
惹かれあうものがあったと思うんです。
この人には何でも打ち明けたいという気持ちになるのもわかるし、そういう相手が
出来たのも、ランカにとってすごく大事な転機だったと思います。
「歌っていい?」と聞いて「好きにしろ」って言われて。
歌を通じてアルト君が何かを感じてくれる。一連の流れが、すごく印象的でした。
歌を通じて、人は変化することもできる。そして自分の本心を伝える事が出来る。
美しくて心に染みいるようなシーンでした。
*ランカが心の中に秘めていた夢を語る。アルトの意地悪な返事に、ランカは優しさを
感じる。アルトとランカの距離が近づいた瞬間。
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その2★★
4話『ミス・マクロス』ミス・マクロスのオーデションを受けるランカ。
選考会場にアルトが駆け付けるが、非常招集がかけられる。
★実は第3話のラストに登場する「ミス・マクロスフロンティア」の面接会場は、私が
オーデションを受けたビクタースタジオにすごく似ているんですよ。
偶然かもしれないですけど。だから、オンエアを見て「うっ」と緊張してしまいました。
私自身、日本青年館で行われた『マクロス25周年記念ライブ』の初お披露目ステージに
出演した時、誰も自分のことを知らない場所に出ていく緊張感を味わいましたので、
ステージに出て行くランカの気持ちはよくわかりましたね。もちろん、控室で
「邪魔よ、どいて!と言われたことは、私にはありませんでしたけど(笑)。
ステージにあがったランカが踊りながら、歌っていて、映像を見た時すごく感動した
ことを覚えています。
*ミス・マクロスには水着審査もあった。ナイスバディのライバルに囲まれて、肩身の
狭い思いをするランカ。
5話『スター・デイト』イヤリングを探すために、シェリルとアルトは街をめぐる。
ランカは歌手になる夢を抱き、街の路上で歌を歌う。
★まさかミシェル君と接点があるとは、予想外でした。でも、ランカが家を飛び出した
時に一緒に行動した相手がミシェル君が良かったと思います。
深く話す事ができたし、怒ってくれたり、試してくれたりしてくれたから。
やっぱり、ミシェル君の言葉がなかったら、路上で歌い出すなんて大胆は行動には
出られなかったと思うし。 ミシェル君には感謝ですね。
この時の『What'bout my star?@Formo』の歌唱シーンでは、熱気バサラモデルの
ギターで演奏してくれる人が現れたり、手拍子が入ってたりして。
演出がすごく素敵でした。これが『マクロスF』のライブ感というものかと。
路上にいる、みんなが聴いてくれていましたよね。きっとランカの中に流れるセント
ラーディの血が、路上にいるゼントランの人達に通じたんじゃないかな(笑)。
*家を飛び出したランカは、美星学園の門でアルトを待つ。しかしランカが会ったのは
ミシェル。二人はともに出かける。
6話『バイバイ・シェリル』芸能プロに入ったランカは街で見かけたアルトとシェリルが
気になっていた。一方、シェリルは帰郷を宣言する。
★ランカの芸能界入りをめぐって、お兄ちゃんのオズマが反対するというエピソードです。
私がデビューする時は、家族も応援してくれて、止めようとする人はいなかったんです
けど、すごく心配する人がいて。そういう人達の想いを、一度は受け止めた上で、自分の
方向性を決めなくちゃいけないんですよね。それでも、やりたいのか。後悔しないのか。
人に迷惑をかけないのか。自分へ問いかけることが結局、一番大事なんですよね。
ランカも、歌手になりたいと思っていたも、そこまで問われた経験ってなかったんじゃ
ないかと思います。学校は退学になるし、お兄ちゃんは怒るし、大変だけど、ランカは
歌手の道を選んだ。お兄ちゃんも寂しそうな顔をするけれど、最後にはランカを許して
くれる。止めようとするのも、許してくれるのも、お兄ちゃんの愛があるからこそですし。
ランカは愛されているんだなあと実感しました。
*アルトはシェリルとのデートをランカに隠していた。TVの向こうのシェリルを見て、
憂鬱な気持ちを味わうランカ……
7話『ファースト・アタック』シェリルの故郷ギャラクシーがバジュラに襲撃された。
アルトは出撃。シェリルはさよならライブを決行する。
★シェリルさんのさよならライブですよね。イヤリングが光っている意味がTVシリーズの
最後までを観終わった後なら、よくわかります。実は、このさよならライブの映像は
『マクロスF』のイベントでシェリルの歌を担当するMay'nちゃんと私が一緒にステージへ
あがる時に、多く使用されていました。なので、個人的にはイベントを思い出す
エピソードでもあります。この第7話は映像的にも、クライマックスになっても
おかしくないくらい、充実した盛りあがりでもありました。
でも『マクロスF』はまだ前半戦。もっともっと先へ行くんですよ!
*さよならシェリルライブに向かったランカ。シェリルの歌声とランカの歌声が重なり、
アルト達が戦う宇宙に鳴り響く。
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その3★★
8話『ハイスクール・クイーン』アルト達は無事に帰還。帰郷できなくなったシェリルが
美星学園に来訪。学園をあげての大騒ぎが始まる。
★ランカのニンジンの衣装が衝撃的でしたね。 まさかの黒の全身タイツには
びっくりしました。そっちの方面へ行くとは思いもよりませんでしたね(笑)。
その格好で頭にはニンジンをかぶり、フリップを持って歌った
「ニンジーンLoves you yeah! 」はすごくかわいらしい曲です。私は菅野よう子さんが
手かけたCMソングを子供のころからずっと聴いていましたし、作詞家の一倉宏さんの
作品もたくさん目にしてきています。
「菅野さんと一倉さんのCMソングを歌える日がくるなんて!!」と感激しました。
余談なんですけど、井上喜久子さんが、巨大なデントラーディの子供の一人を演じて
いるんです。すごく可愛らしかった!第8話はランカが転校した早々に、シェリルさんも
やってくるという、日常の学校の話。今、思うと貴重なエピソードでした。
あとは何といっても……パンツ(笑)。平和でした!
*芸能活動で発覚し、お嬢様学校から退学になったランカ。アルト達が通う美星学園に
編入する。ランカの所属は芸能科。
9話『フレンドリー・ファイア』ランカは芸能活動に励む。戦闘時にミシェルがアルトを
誤射しそうになる。ミシェルには悲しい過去があった。
★第9話ではミシェルの人間模様が色濃く描かれているわけですが、ディープな物語が
展開している間も、ランカは一生懸命キャンペーン活動しているんです。
この時は街中でデビュー曲の営業をしていますね。ブレラさんがこっそりとランカを
監視しているんですが、そのシーンがすごく気になりました。
もちろんブレラの正体については、この段階では全くわかっていませんでした。
ランカのデビュー曲は『ねこ日記』です。この曲は、ランカの内面を表すような
暖かい曲だったので、レコーディングの時も試行錯誤することもなく、ナチュラルに
歌うことができました。コーラスの時も柔らかい声を入れることが出来て。
でも、あんなに優しい曲なのに、なぜかキャンペーンではランカが水着!?
そのミスマッチが未だに謎なんです(笑)。いつの日か、河森監督に伺ってみたいですね。
*ランカはティッシュを配ってシングルのプロモーション中。ネット宣伝では妨害され
失敗したらしい。何者かの陰謀の影?
10話『レジェンド・オブ・ゾロ』ミス・マクロス主演映画にランカの出演が決定。
撮影現場ではアルトとシェリルがいた。恋の駆け引きが始まる。
★映画『BIRD HUMAN-鳥の人-』に出演決定です!
アルト君とのシーンがすごく印象的でした。アルト君がランカとキスできたのも、
ボビーさんの“ナイスアシスト”のおかげですね。
ボビーさんの「ランカはまだ本当の恋を知らないのね」というセリフも意味深で。
ランカは今まで当たり前のように「アルト君、アルト君」と追いかけてきたんですけど、
この気持ちは何なのか、ちゃんと考える時間がほとんどなかったんでしょうね。
作品の中でキスすることになって。16歳の女の子で、クラスメイトとキスするなんて、
それだけでもドキドキなのに、さらに映画の中だなんて。
ランカはこの役を演じることができて良かったねと、応援したくなりました。
でも、一人ではきっとキスできなかったんじゃないかな。シェリルさんがいたからこそ、
背中を押されたという一面があるかもしれないですし……。
ふたりの関係が本当に面白いです。あとそっくりでしたね、ジョージ山森さん!
*島でランカがヒュドラに襲われる。アルトとブレラが競い合ってランカを救出する。
ランカはアルトの優しさに気付く。
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その4★★
11話『ミッシング・バースデー』映画出演でランカは注目の存在に。
アルトの誕生日を前に早乙女一門兄弟子やシェリル、ランカが行動を起こす。
★「ミッシング・バースデー」はアルト君の誕生日の話でした。
映画が公開されて、ランカは、たちまち人気者になって。街中のビジョンにランカが
映し出されて、テレビCMにも出演して。本当に忙しそうでした。
特に印象的だったのは、ランカがファンに追いかけられながら、タクシーに乗り込む
シーンです。私自身、デビューするまでタクシーに乗ることがほとんどなかったんです。
ですが、マクロスF』に出演してから、少しずつタクシーに乗る機会が増えて。
移動する際に「まめぐちゃん、まめぐちゃん」と声をかけていただけるようになったりと、
少しずつ生活が変化していく時期だったんです。
なので、ランカを見ていると、デジャブを味わっているような気分になりました。
*映画が話題になり、ランカの人気は大ブレイクする。撮影やインタビューが続き、
どこへ行く時にもファンがいっぱい
12話『ファステスト・デリバリー』シェリルの誕生日プレゼント・惑星ガリア4公演に
同行するアルトは暴動に巻き込まれる。ランカが救出に来る。
★惑星ガリア4でランカは『星間飛行』を初披露するんですけど、セントラーディの人達が
すごいことになってしまいましたね(笑)。
目がハートになったり、鼻血をボトボト落として下さって(笑)ありがとうございます!
あのシーンは忘れられないです。
『星間飛行』の「キラッ」というポーズは、振付師の方が考えて下さったんです。その後、
私が実際に踊っている姿をビデオで撮って。それをアニメに起こしていただいたんです。
まさか、星がキラッと飛んで、鼻血を噴き出すことになるとは思ってもいませんでした。
実は、この第12話が放映された日って、まさに私自身も『星間飛行』のキャンペーン中
だったんですよ。すごく自分のシチュリエーションとシンクロしていました。
『星間飛行』は自分のとってもデビューした大切な曲ですし、こんなにたくさんの人に
曲を聴いていただけて、私も「キラッ」と星を出して、まわりの人の目をハートにする
くらい頑張らないといけないぞと思ったのをよく覚えています。
*ランカはアルトの誕生日のために、ミシェルとルカの助けを借り、ゼントランが反乱を
起こしている惑星へ歌を届ける
13話『メモリー・オブ・グローバル』ガリア4離脱に失敗したアルトとランカ。
不時着した二人はマクロス艦を発見。ランカはバジュアに捕えられる。
★第13話のあたりから、物語は謎だらけになっていきましたね。
私自身も、この先の展開が全く読めなかったので、かなり迷いながら演じていました。
バルキリーが不時着して、アルト君と2人っきりになったわけですが、それが
ラッキーだったのか、アンラッキーなのか、わからないですよね。
そんな中でも、アルト君との時間に顔を赤らめたりしているランカがとても可愛らしいです。
この第13話の展開で、少なくともランカには何らかの秘密が隠されている事がわかって
くるんですが、当時の私としては「本当にそうなのかな?」と半信半疑で受け止めて
いました。第13話はその謎の入口ですね。
バジュラの謎や『マクロスF』全体の謎が 少しずつ見えてきて、最終的には
ランカ自身の謎に迫っていく……。
今、見直すと第13話のあちこちに、いろいろなヒントが隠されていることに気がつきます。
*エンジンが停止し、アルトとランカは惑星ガリア4からの脱出失敗。
未知の土地で2人きりのサバイバルが始まる。
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その5★★
14話『マザーズ・ララバイ』バジュラの中でランカは母の子守唄を聴き、記憶を思い出す。
アルトは謎の男ブレラと共にランカを救出する。
★第14話で、ランカはずっとバジュラの中にいるんですが、ランカが変わっていく
きっかけになるエピソードだと思います。
もし、私がバジュラの中に閉じ込められたとしたら、失神してしまう程の衝撃を受けると
思うんですが、ランカはバジュラを恐れていながらも、バジュラの気持ちを感じ取って
いるんです。
「もしかしたら、ランカはバジュラと何かの関係があるんじゃないだろうか?」と
私自身も予想しながら、演じていました。
でも、それだけに、もどかしかったですね。恐怖と共感を、アルト君たちに伝えようと
思うんですけど、ランカはそれを上手く伝えられない。結局、バジュラにしかわかって
もらえない。ランカがこの時思っていたことって「バジュラから助けてほしい」という
よりも、「悲しい、どうして?」って気持ちのほうが大きかったんじゃないかなと思い
ます。ランカの性格は変わっていないんです。
ただ、ランカの考え方や行動が変わっていく、すごく重要なエピソードでした。
*バジュラの体内の閉じ込めれたランカ。アルト達はバジュラを攻撃するが、その姿を
見て、ランカは涙を浮かべる
15話『ロスト・ピース』体調が回復しないシェリル。帰還したランカの人気は増していく。
アルトはシェリルとランカの見舞いに病院へ。
★第15話は、病院でシェリルさんと歌うエピソードですね。アルト君はシェリルとランカの
2人を心配しているんですが、ランカとシェリルは、その思いを一人に向けて欲しいと
思っているんです。だから……歌で気を引きあう。すごくインパクトのあるシーンでした。
この第15話で『What' bout my star?』のデュエットの部分が遂に流れましたね。
実は、この曲は私とMay'nちゃんが初めて会った日にレコーディングしたものだったんです。
少し前に収録した事もあって、2人で歌った部分がアニメの中で流れると、時間の流れと
それぞれの変化を感じて、すごく感慨深かったです。
でも、まさかアルト君を奪い合うシーンで流れるとは思っていなかったです。しかも、
病院なのに大声で踊り場がら歌ってるし。……でも、誰にでも自然と曲を口ずさむ時って
ありますよね?シェリルとランカだから、気が付いたら熱唱していた……ということに
しておきましょう!(笑)。
*マクロスFに帰還。検査入院するランカのもとにアルトがお見舞に来る。
ランカは大喜びするが、はしゃぎすぎて……
第16話『ランカ・アタック』政府はランカの歌を使ってバジュラの撃退を実験する。
一方、シェリルは病院を抜け出し、アルトの元へ向かう。
★ランカの大好きだった歌が、気が付いたら政治活動に利用されるようになり、
道具として使われるようになっていく。どんな時でも、歌を歌いたいっていうランカの
気持ちは本物なんだけど、周りはそれを利用しようとする。
「これでいいんだよね?」というセリフが私には重く響きました。
私もランカも、まだデビューしたばかりで、歌手としても一人前じゃない。
もしかしたら、“歌うことが大好き”という意識だけで半人前にも達していない。
そんな時期に、仕事とはいえ、人に命じられて正しいのか間違いなのかも分からないまま
歌うとなると、どんなに大好きな歌でも、声も死んでしまうし、顔も曇ってしまうんですよね。
好きなことと、仕事ということを。どうやって結び付けていくのか。
そういった葛藤の中でランカの顔が曇っていくことが、すごく辛かったですね。
*ランカは政府のプロジェクトに参加する。バジュラの襲撃で傷ついた街に、ランカは
訪問し、人々を勇気づけるのだった
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その6★★
第17話『グッバイ・シスター』延期していたランカのファーストライブが実現。
ライブ直前にバジュラが襲来。兄のオズマが負傷してしまう。
★延期したファーストライブが、とうとうマクロス・フロンティアで開催される
エピソードです。ですが、この第17話ではパインケーキが出てくるんですよ!
『マクロス』シリーズでパインと言ったら、不幸の予感させるアイテムじゃないですか!
『超時空要塞マクロス』にも出てきましたからね、パインサラダ。
もしかしたら、お兄ちゃんが死んじゃうんじゃないかと思って、台本を頂いたとき、
思わず結末から読んじゃいました。もし、この状況でお兄ちゃんが死んでしまったら、
ランカはもう行き場はなくなってしまいますから。……でも、無事にお兄ちゃんも
生きていて。ランカもファーストライブをリベンジできて、ほっとしたエピソードです。
今までのストリートや惑星ガリア4では、ライブをしてきたんですが、フロンティアの
ファンの前で歌を正式にしたのは、この時が初めて。それも嬉しいことでした。
このあたりから、ランカの芸能活動はどんどん加速していきます。
*子供の頃のランカは心を閉ざしていた。オズマの作ったパインケーキがきっかけで、
閉ざした心が少しずつ開かれていく
第18話『フォールド・フェーム』バジュラに疲弊する一同。アンカ・アタックを仕掛ける。
一方、シェリルは体調が回復せず、路上で倒れてしまう。
★第18話は、辛いエピソードでしたね。シェリルが最後のグレイスさんに詰め寄っていく
シーンも悲しかったですし、ランカも歌を武器にすることになり、苦しくそうな表情で
歌を歌っていく。
結局、2人とも利用されていたんだということがわかって衝撃的でした。アフレコの時、
シェリル役を演じられている遠藤綾さんと座席が隣同士だったんですけど、2人で
「これは辛いねえ」とすっと言っていたのを、よく覚えています。
最初のうちは、ランカとシェリルのどちらかが悲しい運命を辿るんじゃないかと思って
いた時もあったんです。でも、まさか、2人ともとは。
どちらも不幸な結末を迎えることになりそうで、先が読めませんでした。
*ランカの歌を武器に、バジュラへ反抗作戦を仕掛ける。作戦は無事に成功。
ランカは人類の希望の歌姫と呼ばれるが……
第19話『トライアングラー』街は祝勝パレード。迷いを感じていたランカは自分の本当の
気持ちに気付く。ランカのライブが開催される。
★第19話では、美星学園でライブをしましたよね。
「アナタノオト」が初めてオンエアされたのもこの回ですよね。ライブが終わったあと、
アルト君に思いを伝えたくて、伝えたくて。学校の会談を屋上に向かって駆け上がって
いく時のランカの顔は最高に可愛いかったです。
でも、その直後にシェリルさんとアルト君が抱き合っているのを見ちゃう。
とんでも残酷なシーンだと思いました。「ああ、ランカとアルトはもうダメなんだ」って
演じている時に感じました(笑)。
しかも、その裏ではバジュラがフロンティアの中で大騒ぎをしていますからね。
恋路に振り回されている場合じゃない。
でも、やっぱりアルト君との出来事はランカにとってかなりのショックですよね。
*自分が何のために歌うのか迷うランカ。ランカはアルトへの「想い」に気付く。
ライブが終わり、アルトのもとへ走る!
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その7★★
第20話『ダイアモンド・クレバス』ライブ後、ランカはシェリルとアルトに再会。
ランカの歌にひかれたバジュラが街を襲い、想いが交差していく。
★まさか、ミシェル君がバジュラに襲われるなんて……。
でも、この頃のランカは悲しい事が多すぎて、ほとんど感情を動かしていないんです。
感情が死んでいる状態でした。
あとに河森総監督から「本当の戦場はもっと凄まじいものだから」という話を伺って。
ただ、アフレコ中の私はボロボロ泣いてしまいました。
特にミシェル君がバジュラに襲われてしまうシーンは、声をあげてはいけないと思って、
一生懸命口を手で押さえていました。それでも、ぽろぽろと涙が零れてしまうんです。
ミシェル役の神谷浩史さんが、それを見て笑うんですよ。「泣いてるの?(笑)」って。
「そりゃ、泣きますよ!」って泣きながら返しました。
このあたりはランカにとっても、最も辛い時期です。逃げ場がない、流れを止めることも
できない、自分をひたすらに追い詰めてしまう辛さがありました。
*アルトとシェリルが抱き合っているのを見て、傷つくランカ。
人々を救うため、歌わねばならない。心が引き裂かれる。
第21話『蒼のエーテル』バジュラとの戦いが続く。政府で陰謀が進む。
ランカは自分の意思で歌う道具になることを拒み、宇宙へ旅立つ。
★よく質問で「友達と恋人どっちを優先するの?」とか「私と仕事どっちが大事?」って
聞くことがあるじゃないですか。それってすごく酷な質問だと思うんです。
だって、どちらも本当は大事だし、優先したいものだから。
この第21話でランカは旅立ってしまいましたが、それは、アルト君との友情を捨てたとか、
関係を終わりにしたというわけじゃなくて、きっと彼のことを思って、ランカなりの
精一杯の行動だったと思うんです。アフレコの最中は、辛かったですね。
収録していると、 別れのシーンがどんどん近付いてくるんですよ。そのたびに辛くて。
誰かを憎むわけではなく、最後に「さよなら、大好きでした」と言って、宇宙へランカは
飛んで行ってしまう。マクロスFの登場人物には悪い人はほとんどいないんです。
あ、グレイスさん以外ですかね(笑)。 だからこそ、相手のことをキライになったわけ
じゃないのに、どうしても別れなきゃいけない関係ってあるんだなと教えられました。
*深夜にアルトを呼び出し、2人で言葉を交わす。アルトの夢と、ランカの願いはすれ違う。
22話『ノーザン・クロス』ランカはバジュラの本星を目指す。
バジュラへの憎しみと絶望の中、シェリルは立ち上がり、歌い始める。
★ここからは私はしばらく宇宙にいますね。みんなと別れて1人ぼっちだったけど、
ブレラさんが守ってくれるというのはすごく心強かったと思います。
一方でフロンティアに目を移すと……
「アルト君とシェリルさんは一体何をやっているんだ!」って思いましたね(笑)。
確かに、シェリルさんには守ってくれる人がいないので、アルト君が傍にいなきゃ
いけないのはわかるんですけど……
「ランカがいなくなった隙に!!」って、アフレコ現場は 大騒ぎでした。
この辺りのエピソードでは『アイモ』のいろいろなバージョンが流れます。
私はお母さん(蘭雪)とデュエットしたり、ブレラさんのハーモニカとデュエットしたり、
いろいろ歌っています。子供版『アイモ』も歌いましたね。
確か、アフレコ現場のマイクを使って、その場で録ったんですが……。
「子供の声で歌って」と言われて、ドキドキしながら収録しました。
『マクロスF』の現場は、いつも刺激的なんです。
*ランカはブレラと共にバジュラの本星へと向かう。
広大な宇宙の美しさを見て、喜びとせつなさを感じるランカとブレラ。
★★ランカ公式本 ランカ役・中島愛さんTVシリーズ全話レビュー その8★★
23話『トゥルー・ビギン』アルトは衰弱していくシェリルと安らぎの時を過ごしていた。
バジュラの生態とランカの歌の秘密が明かされていく。
★あい君は最初、すごくかわいいペットだと思っていたんです。もしかしたらあい君は
パンツが好きなのかもしれないなって思うぐらいで(笑)。
私はストーリーの先の展開を何も知らされていなかったので、ずっと仲良く
過ごしていくのかなと思っていたんですが……。
でも、全然違いましたね。脱皮するし、姿が大変なことになるし(笑)。
気が付いたらバジュラそのものになってしまって。結局、あい君ががきっかけになって、
ランカは宇宙に出て行くことになるし。
しまいには「あれ?ランカ、ラスボスになっちゃたの?」って。
フロンティアの人達から 敵として扱われたのが悲しかったですね。一番苦しかったのは
アルトに「俺は……ランカを殺す」と言われたこと。正直、泣きたくなりました。
「お願い、それだけはやめて」と言いたくなりましたよ。
でも、アルトにとっては嘘偽りのない気持ちですから。ランカは何も出来ない。
それがまたすごく苦しかったです。
*ランカは、自分の歌が原因で、自分の母が死んだという事実を知る。
ショックを受けたランカは、心の隙を付かれてしまう。
24話『ラスト・フロンティア』シェリルの出身地ギャラクシーによる陰謀が発覚。
一方マクロスフロンティアはバジュラとの最終決戦へ向かう。
★『マクロスF』で暗躍しているのはグレイスと三島さんです。なので、ランカはあくまで
カモフラージュとして敵にされているわけなのですけど、今まで自分が信頼していた
仲間から「敵」として扱われるのが、見ていてこんなに辛いとは思いませんでした。
ましてやランカが自分の知らないところで敵になっていくことが、こんなに辛くて、
こんなに人達の関係をかき乱すとは思ってなかったです。
傷つけたくないのに人を傷つけてしまう。苦しかったです……。
ランカもブレラさんも 操作されて「心」がない状態でしたし……。最後の最後に
操作されていた状態から、やっと目が覚めるので、それまでは完全に
助けがなくなった状態、誰も助けてくれない状態で。
ランカとブレラさんは完全に宇宙で2人ぼっちになってしまいました。
ランカがこういうことになるなんて、「もうダメかも」って24話では思っていました。
*人類を裏切ったと呼ばれるランカ。ランカの歌によってバジュラは連携し、力を発揮する。
アルトは撃墜されてしまう。
25話『アナタノオト』バジュラとの最終決戦。アルトの前に立ちはだかるランカの背後には
真の敵が。シェリルとランカの歌が銀河に響く。
★とうとう最終回です。迫力満点、すごく盛りあがりましたよね!フロンティアの最終決戦、
皆で力を合わせて戦って、シェリルとランカは世界を救おうと全力で歌って……。
感動しました。最後の結末は、アルト君に対しては「え?え?これで終わり?嘘?」って
いうのもありましたね。
正直言ってシェリルさんとの絆が、アルト君よりもすっと深いものになっていったように
思うんです。それは恋とか愛ではなくて、当人同士にしかわからない絆ができていたんだと
思います。でもこうやって平和になったから降り立てる場所も出来て、それはアルト君が
二人を選ばず平和を選んだからこうなったわけで、そう考えたら納得できちゃいますね。
そして「許してあげましょう」という気持ちにもなります(笑)。
*アルトたちの攻撃で我に返るランカ。アルトに救出され、シェリルの元に帰還する。
2人の歌姫の歌が銀河に響く。