★☆★ 河森総監督インタビュー ★☆★その1
*誤字脱字があったら、脳内補正を頼みます
項目ごとに纏めてあるでの要約です
☆ランカ・リーというキャラが生まれるまで
・最初は歌手をどうしようというところから始まった。
「マクロス」シリーズの新作を作る以上、歌手を出さなきゃならない。
だけど、最近の芸能界では「一人でアイドル」というのも少ない。
リンメイの時のように1人だけ出すのは時代に合わない。
「マクロス7」でグループで出したので「じゃあ2人出せばいいかな」と。
・外国人アーティストが来日するのは当たり前だし
1人は外国人アーティスト風の女の子で、もう一人は歌手志望のコにした。
そういう構図がキレイなんじゃないかと。
・初代の時は素人のコがアイドルデビューするまで9話分を使用したが
今の時代ではスローペースでは誰も楽しんでくれない。
1人が売れている子なら、先にその子の歌を聞かせておいて、その間に
もう1人がアイドルになる過程を描ける。
そういう構図が見えてきた。
・最初は、銀河系No.1クラスのスター歌手を作品内で表現できるか
心配だったので、最初はランカ主体で物語を考えていた。
シェリルにふさわしい歌手が見つかったら、シェリルをふくらませようと。
・その2人の女の子に対応する2人の男の子を出そうとしてアルトとブレラを
考えた。人目を引きくような男の子にしたかったので美人にした。
・最初は4人構成で、アルトとブレラがランカを取り合う構成が主だったが
シリーズ構成・脚本の吉野氏が参加したときに「女の子2人が男の子を
取り合う話にした方がいいと提案。
その通りだということで今のような形になった。
・ネーミングはこだわるほうだが、アルト・シェリル・ブレラ・ランカの
4人はすぐに出てきた。
☆ランカ像(外見・服装など)
・ミンメイを出発点にして考えたけど、2人出すから両極端にしようとした。
「ミンメイにはニンジンの着ぐるみを着せることはできないでしょ(笑)」
アイドルを描くのに一番面白いところの一つは下積みだから、ランカでは
そこを思いっきり描こうと思った。
・キャラクターデザインはオーデションで4.5人に描いて貰った。
どの方も上手かったが、今風の作風に合うという事で江端さんと高橋さんに
お願いすることにした。
・ランカの衣装は割と自由にやって貰った。
キャラクターの基本メモ(性格・設定・どんなふうに行動するか)を渡して
思いつくままに描いて下さいとお願いした。
「歌手志望の女の子で、でも謎がある」「表向きは明るくて、行動的」とか。
・ランカの制服は2つあるが、美星学園の制服をデザインした時の2案。
もったいないから両方使おうということで。
・TV版のランカとシェリルの衣装は、ほぼ江端さんが描いた。
ランカはシンプルで普段着も可愛い感じとお願いして、あとは何があがって
来るのか楽しみにしてた。
江端さんは、とにかく種類を沢山描いてきてくれる方です。
・ランカの髪型では、ものすごく難航した。
「他のアニメキャラと絶対に被らない髪型」を模索して、何タイプ描いたか
わからないぐらい江端さんに描いて貰った。
ゲームキャラのように頭に、いろいろとくっつけたり派手すぎたりしたが
「シルエットを見ただけでランカだとわかる」という基本線を追求。
・江端さんから「性格にはあわないかもしれないけど、犬耳どうでしょう」
今の髪型のアイディアが出てきた。
一番個性的で今まで見たこともないない髪型で、性格面は「動かせばいい」
「ゼントラーディの血が入っているから髪が動く」と屁理屈をつけた。
元々「マクロスF」の仮タイトルが「マクロス・クォーター」で4分の1
マクロス艦が登場することになっていた、人間とゼントラーディとの
クォーターなのは、どうだろうという事で。
★☆★ 河森総監督インタビュー ★☆★(その2)
☆ランカ像(歌)
・ランカの歌はそのまま「80年代アイドル」平成じゃなくて昭和。
そこまでやらないと本物のアイドルとの差別化が出来ないと思ったし
同じ音楽性になってしまいそうで。
*菅野さんへの曲のオーダーの仕方
・最初に依頼する時に、ある程度、幅のある曲をお願いした。
後は曲があがってから、その曲にふさわしいシーンを探すやり方で、まず
最初にシェリルの曲を何曲かあげて貰ってからランカの曲をあげて貰った。
・「ニンジンloves you yeah!」はゼントラーディのモールで売られている
「なないろニンジン」の設定を考えて、効能書きなどを書いたプレゼン資料を
作って菅野氏に渡した。
そうしたら菅野さんと作詞家の一倉さんがその「なないろニンジン」の
CMソングを作るかのように実際に楽曲をあげてくれた。
☆ランカの携帯電話
・携帯電話については初代マクロスや愛おぼのころへの戒め。
「なんで、あの時に携帯電話を思いつかなかったんだ!」
マクロスFでは未来の携帯電話を出したいと思っていた。
・数十年後の携帯電話を考えた。
みんな携帯電話にジャラジャラとストラップをつけているので、ストラップが
携帯電話だったら、どうだろうと江端さんにストラップの人形のような
携帯電話のデザインを依頼し、オオサンショウウオ君が出てきた。
・「マクロス」の世界では2010年に一度、世界が滅んでいる。
第25次新マクロス級超長距離移民船団マクロスフロンティアのアイランド1では
2009年頃の世界各地を再現しようとしたテーマパークになっている。
携帯電話は表示系の部分で未来らしいイメージが出せればいいと思っていた。
☆あい君とランカについて(ここの2つは原文そのままです)
・「アイモ」と「愛」をあわせて「あい君」。
ランカはバジュラと同じ腸内細菌を持っていますし。動物にやさしい性格なんです。
その両方で仲が良いという設定なんですよね。当初、企画段階で考えていたのは、
ランカがあい君を飼ってるうちにものすごく巨大化していく、というエピソード。
押入れに隠していて大騒ぎ、という話。
残念ながら本編には入れられなかったけれど(笑)
(マクロス・フロンティアの中では、未確認動物を飼ってはいけない設定で)
・本当は禁止されているんだけど、あい君だけがランカを慰めてくれるんです。
気持ちも通じるし、こっそり飼い始めてしまう。それで大きくなってしまった、
あい君を隠しているところに、アルトがやってきて……
「ランカはかわいがっているのに、アルトから見ると、全然可愛く見えない(笑)」
というエピソードにするはずでした。
☆バジュラの話
・バジュラの本星には、ああいう可愛いバジュラが沢山いる。
初期の構成ではバジュラ本星のエピソードも5−6話入れる予定だった。
バジュラの家族とコミュニケーションを取る話もあったが、残念ながら、これも
本編では入らなかった。
・第3話でマクロス・フロンティアに張り付いていたバジュラが幼生を運んできた。
誰も気がついていなかったけど、フロンティア船団の地下には、可愛いバジュラが
大量にいたんです。
★☆★ 河森総監督インタビュー ★☆★(その3)
☆バジュラネットワークとシェリルとランカ
・物語の後半で「バジュラは集合知性で個を持たないという仮説」が出てくるが
あれはあくまでギャラクシー側の仮説だから信用しちゃダメ。
ランカがあい君を個体認識しているように、本当はバジュラにも個があるかもしれない。
・本来、バジュラと腸内菌は共生体であって、バジュラはヤドリギ、腸内菌が
本体という可能性さえある。
・ギャラクシー船団の人々は、バジュラのネットワークが腸内細菌にあるとは
気がつかなかった。脳にネットワークがあると思ってた。
だからシェリルのフェアリー計画は失敗した。
対して、ランカは脳で思考してるんじゃなくて、腸で思考してるとも言える。
・ランカは母の母体内で腸内細菌に感染した為に共生関係になれた。
ギャラクシー船団の人々のように、無理やり腸内細菌を宿らせようとすると、脳に
入ってしまって人体を殺してしまう。
・腸内細菌の話をしたのは限られたメンバーだけ。
「人間の感情は脳だけで生み出されているのだろうか?」
「臓器で感情が生み出されているのではないか?」という仮説があるが、立証されると
世界の在り方も変わるかもしれない。
この仮説を元にストーリーが作ることが出来れば、エンタテインエメントとして
まだ描かれていない初の物語を作ることが出来るんじゃないか。
(「その全ての謎を一身にランカが背負ってる訳ですよね」に答えて。↓原文)
・ランカは悲劇性がありますよね。でも記憶失ってるから本人はその謎に気付かない。
事実が分かってきたときの愕然とした感じを視聴者の皆さんにも体験して貰いたかった。
(ランカの解離性健忘について)
・悲惨な体験をしているけど、あまりにも悲惨すぎたが故に自分の自我から
切り離して記憶の外に置いてしまう。だから普段は明るく振舞うけど、その中に
一抹の寂しさが漂うのは、そこが理由。
その他の小ネタ
・ランカはクランと同じようにゼントラ化もマイクローン化もできるはず。
かといって、胸が大きくなりはしない。ランカはスポーツが出来るかどうか
分からないが、種族的には強い
☆ヒロインについて(ここは原文のままです)
―河森監督は「マクロス」シリーズのみならず、数多くのヒロインを生み出してきましたね。
ランカもその一人。
「僕は異質なものと出会わないと、魅力を感じないんです。
たとえば、日本の浮世絵が輸出されて、ヨーロッパで印象派に影響を与えたように、
異質なものとの出会いから新しいものが生まれるんです。
そういうことを自分でもわかってきたので、好きなものを7割から8割で構成して、
嫌いなものや知らなかったことを2割ぐらい混ぜる。
そうすると、新しい魅力が生まれるんじゃないかと思うんですよね。
そう考えるとスタッフみんなの力が必要なんですよ。スタッフのアイデアや
運の影響を受けることで、新しいヒロインが誕生する。
そのうえで……やっぱりね、かわいい子が一番じゃないですか?」