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6 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/28(水) 14:05:19 ID:+k0fLEpH
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さて
9 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/29(木) 19:09:46 ID:/GQjF+++
ところでコレについてどう思う?
458 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2009/10/26(月) 18:51:37 ID:ORmGUlJM
神奈川版「私のお父さん」読んでみたけど、ゆきの両親を自殺に追い込んだ
そうじろうへの復讐は別にいらないんじゃね?
ひであきの高級車買ったり、高級酒を飲むという贅沢ぶりや遺産相続でのそうじろうとの揉め事とか。
動機が小早川家の目的は遺産目当てだって言うことがはっきり分かっているし・・・
おまいらはどう思うよ?
動機か
駄文になりそうなのですが、書いてみても宜しいですか?
>11 がんばれー
>>12有難う御座いますm(_ _)m
では次から書きます
14 :
謎の異変1/3:2009/10/31(土) 02:37:54 ID:B9PcZG3M
こなた「ふー、よく寝たよ。さて朝ご飯を食べよっと」
こなたはいつもの様に台所へ向かった
こなた「お父さん、ゆーちゃん、おはよ〜」
そうじろう「どうしたんだ?(おう、おはよう)」
ゆたか「どうしたの?(お姉ちゃんおはよう)」
こなた「やだな〜、二人ともからかわないでよ。何かのゲームの影響?」
そうじろう「どうしたんだ?(別にからかってなんかないぞ、なあゆーちゃん)」
ゆたか「はい」
こなた「まあ良いや、頂きまーす」
こなたは気にせず朝食を食べた
こなた「それじゃ、行って来ます」
15 :
謎の異変2/3:2009/10/31(土) 02:55:18 ID:B9PcZG3M
そうじろう「どうしたんだ?(ああ、行ってらっしゃい)」
ゆたか「行って来ま〜す」
学校へ行く途中、こなたはゆたかにさっきの事を質問した
こなた「ねえゆーちゃん」
ゆたか「どうしたの?(なあに?お姉ちゃん)」
こなた「今さっきの事だけど、ゆーちゃん達ふざけてた?」
ゆたか「どうしたの?(えっ?何の事?)」
こなた「ごめん、もういいよ」
こなたはそう言うと早歩きで歩いていった
ゆたか「お姉ちゃん…」
こなたは学校に着き、自分の教室へ向かった
つかさ「こなちゃん、おはよう」
こなた「つかさおはよ〜」
みゆき「泉さん、おはようございます」
こなた「おはよう、みゆきさん」
つかさ「こなちゃん珍しいね。いつもより学校に来る時間が早いよ」
みゆき「確かに早いですね。」
こなたはそう言われると教室の時計を見た
つかさの言う通りだった
ゆたかを置いて先に行ってしまったからだろう
こなた「あ…あはは…まあ色々あってね」
こなた達が雑談をしていると、かがみがやって来た
かがみ「よっ」
つかさ「あっ、お姉ちゃん」
こなた「かがみおはよ〜」
みゆき「かがみさんおはようございます」
かがみ「珍しいわね。こなた、アンタが学校に早く来るなんて」
こなた「私だってたまには早く来るよ」
16 :
謎の異変3/3:2009/10/31(土) 03:17:15 ID:B9PcZG3M
こなたは不貞腐れた様な顔をしてそう言った
つかさ「でもこなちゃん早起き出来て羨ましいな、私は今日はお姉ちゃんに起こして貰ったんだ」
こなた「練習すればつかさも早起き出来るよ」
かがみ「つかさが「たまには早く学校に行ってみたいから起こして」って行って来てね。全く早起き出来ない所は誰に似たのやら…」
つかさ「お姉ちゃん酷いよ〜」
かがみ「私は真実を言ったまでよ」
みゆき「なるほど、だから今日はつかささんも早いのですね」
こなた「つかさ、かがみんはどんな起こし方した?」
つかさ「どうしたの?(至って普通だよ〜)」
こなた「え?だからかがみがどんな起こし方したかって…」
すみませんm(_ _)m
今日はここまでにします(^_^;
今日の夜にまた続きを投下します
因みにカッコ内は普通に喋っている時です
瀬川泉と身体が入れ替わって
瀬川泉こなたになったら
18 :
>>11:2009/11/01(日) 01:17:39 ID:ghaI0Eqg
皆様、こんばんわm(_ _)m
投下させて頂きます
19 :
謎の異変 続き:2009/11/01(日) 01:37:37 ID:ghaI0Eqg
かがみ「こなた…アンタふざけてるのか?」
かがみが冷たい視線をこなたに向ける
こなた「だってつかさに「どうしたの?」って言われたんだよ?理由なんか分かるわけないじゃん!」
かがみ「はあ?つかさはちゃんとアンタに「至って普通」って言ったわよ?」
こなた「嘘言わないでよ!何なのさ!新手の苛め?」
みゆき「い…泉さん…皆さんが見てますよ?」
こなたが大声を上げたせいで、クラスメイトの注目がこなた達に集まっていた
こなた「あっ…ごめん。みゆきさん…」
みゆき「私に謝られても困ります。つかささんとかがみさんに謝られないと駄目だと思うのですが…」
こなた「そう…だよね」
やがて生徒の一人がこなたを指差してこう言った
男子生徒「おい見ろよ、泉が柊を苛めてるぜ」
女生徒「サイテーね!」
こなた「…」
こなたは生徒達の野次に何も言えずにただ黙っている事しか出来なかった
つかさ「お姉ちゃん、もういいよ。庇ってくれて有難う…」
つかさは今にも泣き出しそうな顔をしていた
かがみ「良くないわよ!一発ぶん殴ってやりたいくらいだわ!」
みゆき「かがみさん、暴力はいけませんよ?」
かがみ「分かってるわよ!でもつかさがこなたに馬鹿にされたのよ?姉として黙っておけないわ!」
つかさ「お姉ちゃん…本当にもういいから…グスッ…有難う…」
つかさは遂に泣き出してしまった
かがみ「つかさ…」
やがてHRの予鈴のチャイムが鳴った
かがみ「こなた…昼休み覚えておきなさいよ…」
かがみはそう言うとC組に戻った
こなた「かがみの馬鹿…」
こなたは周りに聞こえない様にそう呟いた
黒井「よーしみんな席につけ〜。ん?泉、柊、高良どないしたんや?顔色悪そうやけど何かあったんか?」
こなたつかさみゆき「な…何でも有りません…」
黒井「そうか〜?まあ困った事があったらいつでも先生に言うて来てや〜」
こなたつかさみゆき「あ…有難う御座います…」
そしてHRが終わった後、みゆきが声をかけて来た
みゆき「あの…泉さん…あまり落ち込まないで下さいね…」
こなた「うん、有難うみゆきさん」
こなたはそう言うと授業の準備を始めた
こなた(どうなってるんだろ…?お父さんやゆーちゃんもおかしかったし…)
こなたはそんな事を思っていた
その後の授業は退屈だった
時間がいつもよりもかなり早く進んでいる気がした
こなた(嫌な時に限って時間って早く進むよね…あーやだやだ…)
そして昼休み
因みにあれからずっとこなたはつかさとみゆきに声をかけなかった
勿論クラスメイト達や先生達にもだ
幸い今日はこなたにしては珍しくノートを写していたので先生達からは授業中に当てられる事は一度も無かった
かがみ「うーっす」
つかさ「お姉ちゃん」
みゆき「かがみさん」
こなた「…」
こなただけは無言だった
かがみ「さて、こなた。私はもうアンタとは口は一切聞かないから」
こなた「…勝手にしてよ…」
かがみ「どうしたのよ?(ええ、アンタみたいな奴はこっちから願い下げよ!)」
こなた「ッ…!かがみも…?」
こなたは思わず声に出してしまった
かがみ「どうしたのよ?(はあ?何がよ?って言うかもうみゆきとつかさにも話し掛けないで!みゆきとつかさもそれで良いわね?)」
みゆき「か…かがみさん…それはいくら何でも酷いかと…」
つかさ「そうだよお姉ちゃん!こなちゃんは今日はたまたま疲れてるだけなんだよ!」
こなた(理由は分からないけど…みゆきさんとつかさが私を擁護してくれてる…?)
かがみ「さあどうだか、どうせこいつの事だから何とも思ってないに違いないわ。つかさ、みゆき、アンタ達ももうすぐ進路を決めなきゃいけないんだから、こんな奴の相手をするのは止めな」
つかさ「でも…こなちゃんが可哀相だよ…。ってあれ?こなちゃんは?」
つかさがこなたの席を見るとこなたはもうすでに居なかった
みゆき「心配ですね…」
かがみ「捜さなくて良いわよ。どうせトイレかどっかでしょ?」
つかさ「お姉ちゃん酷いよ…。私はこなちゃんを捜すよ!」
みゆき「かがみさん…私も泉さんを捜して来ます!」
つかさとみゆきはかがみに哀れそうな表情をするとこなたを捜し始めた
かがみ「つかさとみゆきの馬鹿…アンタ達の事を思って言ってあげてるんじゃない…。グス…」
かがみはそう言って泣いていた
こなた「私の人生はお母さんに産んで貰った時から狂っていたんだね…。世界までもが突然狂っちゃったし…」
こなたは学校の屋上に居た
こなた「死ねば…楽になるよね…?」
こなたがそう言ってフェンスから飛び下りようとした時…
22 :
>>11:2009/11/01(日) 02:39:36 ID:ghaI0Eqg
すみませんm(_ _)m
タイトルミスです
正しくは「謎の異変 3/3」です(^_^;
23 :
>>11:2009/11/01(日) 02:42:08 ID:ghaI0Eqg
後もう少しで終わるので執筆を続けさせて頂きますm(_ _)m
24 :
謎の異変 :2009/11/01(日) 03:18:06 ID:ghaI0Eqg
つかさ「こなちゃんっ!」
みゆき「泉さんっ!」
こなた「つかさ…みゆきさん…」
つかさ「こなちゃん!自殺なんてやっちゃ駄目だよ!」
みゆき「つかささんのおっしゃる通りです。自殺なんて止めて下さい!」
つかさ「こなちゃん、ひょっとして朝の事怒ってるの?もしそうだったら許すからっ!だから止めて…うわーん」
つかさは泣き出した
こなた「ごめん…つかさ…みゆきさん…自殺を止めるのは無理だよ…」
みゆき「泉さん、貴女には失望致しました…。かがみさんに嫌われてしまっただけで自殺しようとするなんて…」
こなた「じゃあみゆきさんに質問するよ?今の私はもう生きる資格は無い…。どうすれば良いと思う?」
こなたはみゆきの言葉を信じようとした。自分の何倍も頭が良いみゆきの言葉を。しかしみゆきの口から出た言葉は…
みゆき「どうなさいましたか?(生きる資格が無いのなら新しく作れば良いのです。私は世界中の生物全てに生きる資格が有ると思っています)」
こなた「み…みゆきさんまで…もう嫌だよ!」
こなたはそう言うとフェンスから飛び降りた
つかさ「こなちゃんが…死んじゃったよぉ…ヒック…」
みゆき「泉さん…グスッ…相当追い詰められていたのですね…」
こなたの死は直ぐ様陵桜に伝わった
25 :
>>11:2009/11/01(日) 03:21:03 ID:ghaI0Eqg
すみませんm(_ _)m
ここまでに致します(^_^;
今日の夜に投下する物で終了です
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/03(火) 23:58:40 ID:Lp5mihC+
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パチパチパチパチ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄パチパチ
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過疎だな……
28 :
>>11:2009/11/04(水) 18:50:46 ID:tlISQluJ
放置すみません。m(_ _)m
今日の夜に投下します。(^_^;
29 :
謎の異変 最終:2009/11/04(水) 23:36:45 ID:tlISQluJ
かがみ「こなた…ゴメンね…。私あの時どうかしてたわ…。でも自殺するなんてあんまりじゃないのよ…。もういつもの様にアンタと話したり出来ないじゃない…。ヒック…」
みさお「柊…元気出せってヴァ…」
あやの「確かに泉ちゃんが自殺した事は悲しいけど、柊ちゃん元気出して…」
かがみ「うん…日下部、峰岸…有難う」
黒井「泉の馬鹿…何でウチに言うてくれんかったんや…。やっぱあの時に何かあったんやな…うう…」
ゆたか「お姉ちゃんっ…私に相談してくれてれば良かったのに…」
みなみ「ゆたか…元気出して…。ゆたかがそんなだと…泉先輩が浮かばれない…」
ゆたか「うん…みなみちゃん…有難う…」
ひより「ネタキターッ!じゃなくて!泉先輩がまさか自殺するなんて…悲しいっスよ…」
パティ「コナタ…ワタシハトテモカナシイデース…」
そして泉家…
そうじろう「うわあああ!こなた…すまん…。朝の時に理由をよく聞いておくべきだった…俺は父親失格だ…。ああ…かなた…すまない…こなたは俺がちゃんと責任を持って育てるって言う約束を破ってしまったよ…。うっ…ううう…」
こなたの死体は死亡解剖された
死因は脳に何らかの異常があったらしい…
終
30 :
>>11:2009/11/04(水) 23:39:21 ID:tlISQluJ
グダグダになってしまいましたが、以上で終了です(^_^;
駄文+投下期限過ぎてすみませんm(_ _)m
31 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/04(水) 23:52:39 ID:HVXrqYPe
て
乙
死因は飛び降りによる失血などでは?
異変の原因を知りたい
神奈川版の竜崎が謎を解きあかしてくれるはず…
絵描きはいなくなったのか?
36 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/05(木) 21:03:51 ID:gPR8wpmd
みぃ〜んないなくなっちまったよ・・・。 「 死人に口無し 」 ってな !!
沖縄氏の続きが見たいです
ちょい失礼します
うつ☆すたのテーマ曲をかってに作ったものなんですが
その曲と、ヤク中大分さんの漫画を素材に
なんといいますか、MAD的なものを作ったりしたんですが
これって上げてもいいですかね? 大分さんにご了承いただかないとまずいかな?
皆さん、こんばんは。
規制が解除されたのでこちらへ。
ちょうど四半世紀を生きた証に一作投じます。
43 :
噬い裂け肉叢1:2009/11/06(金) 21:20:30 ID:+1RdE++d
ある晴れた日のこと。
泉こなたは平素どおりのやる気のなさそうな顔で通学路を行く。
「おはよう」
「おはよう」
途中、柊姉妹と合流する。
これもいつもの光景だ。
「あんた、また徹夜か?」
呆れたようにかがみが問う。
もちろん答えはイエスなのだが、こなたは敢えて、
「いやぁ、たまには受験生らしく勉強しようと思ったら思ったより時間かかっちゃってさあ」
大仰に欠伸をしながら返してみた。
「えぇ〜? こなちゃん、すご〜い」
疑うことを知らないつかさは本当にこなたが勉強していたものと思っている。
「ウソつくなっての。あんたが勉強なんてありえないわ」
しかし冷静なかがみは一度は疑ってかかる。
「むっ! 失礼な。私だってやる時はやるよ」
「ふ〜ん? じゃあ何の科目のどのへんをやったんだ?」
「う……ええ〜っと…………」
鋭い切り返しを想定していなかったこなたは即答できない。
こうなったら笑うのはかがみだ。
(おのれ、かがみめぇ〜〜)
ほら見ろ、と言わんばかりの顔にこなたは口を尖らせて反論しようとした。
が、できない。
「え? 勉強したってウソだったの?」
数テンポ遅れてつかさが気付く。
「つかさ……遅すぎ……」
2人に同時に突っ込まれ、つかさは赤面した。
こういう流れもごく自然なものだ。
こなたのすぐバレるウソには全く悪意がなく、柊姉妹もそれぞれに軽く受け流す。
いつもどおりの朝だ。
「まあ、徹夜の話はウソだけどさ、かがみ様……とりあえず宿題……」
「自分でやれ」
「………………」
またしても一蹴される。
こなたはチッと舌打ちした。
ゆるゆると過ぎていく日常。
この日ももちろん同じ。
何事もなく授業と休み時間が繰り返されて放課後。
さして集中していたわけでもないのに、こなたは最後のチャイムと同時に脱力した。
そして解放感。
ここからは直帰しようが寄り道しようが自由である。
「はぁ〜疲れた〜〜。どっか遊びにでも行かないと堪んないよね」
だらしなく机に突っ伏し、その先にいるつかさとみゆきに声をかける。
「お疲れでしたら今日は早く帰ってお休みになったほうがいいのでは……」
やんわりと答えるみゆきに続き、
「っていうかこなちゃん、6時間目ほとんど寝てたでしょ?」
つかさがチクリと刺した。
そう指摘する彼女も教科書を立てて船を漕いでいたことを、みゆきは知っている。
「はは、バレてた?」
悪戯が見つかった子供のようにこなたは苦笑した。
「でもどうしても買いたい本があるんだよね。直帰ってのも勿体無い気がし…………あ、かがみ」
言い訳がましくそう述べたところで、かがみがやって来た。
「ちょうど良かったよ。ね、かがみも何か買うものあるでしょ? 一緒に行かない?」
「なによいきなり?」
「あのね、こなちゃんが…………」
44 :
噬い裂け肉叢2:2009/11/06(金) 21:21:28 ID:+1RdE++d
いつものメンバーでしばし盛り上がる。
みゆきだけは何となく一歩退いた位置で成り行きを見守る。
結局はこのまま帰宅するのか寄り道するのか、という話でしかない。
その合間にドラマだの映画だのの話題が挟まれて、気がつくと20分近くが経過している。
「あ、もうこんな時間じゃん!?」
会話を横道に逸らせ続けた張本人が時計を見て声をあげた。
「ほんとだ。早いよね」
「呑気に言ってる場合じゃないよ、つかさ。ほら、早く行かないと売り切れちゃうかもしんないじゃん」
「えぇ〜私もなの〜〜?」
「ほらほら、2人も!!」
困惑する3人を率いてこなたは足早に教室を出ようとする。
「あ、あの、すみません。今日はどうしてもはずせない用事がありまして……ご一緒したいのは山々なのですが……」
真っ先に断ったのはみゆきだ。
処世術に長けた彼女はこういう時の文句もスマートだ。
オタク趣味のこなたと違い、物腰優雅なお嬢様だからこそこの逃げ口上も通用する。
「私もなの。ごめんね、こなちゃん」
間髪を入れずにつかさもそれに続く。
さらに、
「悪いけど私もパスで」
かがみまでもが同行を拒んだ。
みゆきに関しては諦めもつくが、かがみまで断るとは思っていなかったこなたは途端に寂しそうな顔になる。
「え〜いいじゃん? 別に予定なんかないんでしょ?」
年頃の娘なら”予定”といえばデートが相場だが、残念ながらこのメンバーにその色は感じられない。
「予定なくても今日はパス! また今度付いて行ってあげるからさ」
「えぇ〜〜」
と、再びこなた。
なおも縋りついてくる彼女に、”はいはい、しょうがないわね。じゃあ付き合ってあげるわよ”とはならない。
今日ばかりは3人とも、何があっても寄り道はしないという方針で固めているようである。
「むぅ、しょうがないや」
背中で不満を露にしつつ、こなたも一応は納得する。
さすがに無理強いはしない。
そもそも寄り道の目的が個人的な買い物であるから、執拗に誘うこともできない。
こなたも18歳。
乗り気でない友人を引っ張って趣味に付き合わせようとしないあたり、人付き合いにおける良識を弁えているようだ。
「ごめんね、こなちゃん」
3人はそれぞれに同行できないことを詫びた。
別に謝る必要などないのだが、それは最低限の礼儀。
”しょうがない”の一言で片づけ、4人は駅で別れる。
(……ま、いっか。たまには1人でブラブラするのも)
妙にポジティヴなこなたは足取り軽く電車に乗った。
「ただいま〜」
本一冊買うつもりが、何やら両手に大きな袋を提げて帰宅するこなた。
「おかえり」
と、愛娘を迎え入れる父そうじろうだ。
「なんだ、また色々と買いこんだじゃないか?」
「うん、まあね。なんかキャンペーンとかやっててさ」
限定モノのおまけに弱いこなたは、特に欲しくもないキャンペーン対象商品を買い漁ったらしい。
結果、両手に持ちきれない荷物を抱えて帰ってきたという具合である。
「ああいうところは商売が巧いからなあ」
その手に何度も乗せられてきたそうじろうは微苦笑した。
(親娘だよなあ……)
泉こなたは両親の特徴をしっかり受け継いでしまっている。
「とりあえず着替えてきなさい。ご飯の用意はできてるからな」
というそうじろうの言葉に、こなたは重い荷物を抱えて自室に向かった。
45 :
噬い裂け肉叢3:2009/11/06(金) 21:22:39 ID:+1RdE++d
・
・
・
・
・
食卓には豚肉の生姜焼きに味噌汁、サラダが並んでいる。
「私も手伝ったんだよ」
とは、頬を赤らめたゆたかの言だ。
食事の用意はこなたとそうじろうが交互にするが、世話になりっぱなしでは悪いと最近ではゆたかも手伝うようになった。
「うん、おいしいよ」
2人が同時に言う。
実際、味もそうだが大人数で食べることに美味しさの秘密がある。
ゆたかが来るまでは当然だが父娘、2人で食事をとっていた。
共通の趣味があるから話が尽きることはなかったが、それでもどこか寂しい感は否めない。
聞こえるのが互いの声とテレビから流れる音だけでは、賑やかとは言えない。
そこにゆたかが加わったことで泉家は一気に明るくなった。
新鮮な風が吹き込んだようなものだ。
しかも全くの他人ではない。
さほど気兼ねする相手でもなく、だからこなたもそうじろうも彼女との掛け合いを楽しめた。
「ふぅ、もうお腹いっぱいだよ」
「ごちそうさまでした」
そうじろうが背を反らして満腹感を示し、ゆたかは箸を置いて手を合わせた。
「おいしかったよ。ゆーちゃんも腕あげたね」
すっかりお姉さん気取りのこなたは掛け値なしにゆたかを誉めた。
「ありがとう」
それに対し、顔を赤くして喜ぶ少女はじつに可愛らしい。
微笑ましいやりとりを見ながら、そうじろうは自分が勝ち組であることを再認識していた。
その後は3人、テレビを観たり談笑したりと思い思いに過ごす。
くだらないバラエティー番組や堅苦しいニュース。
(この時間ってアニメやってないんだよな。ちょっと前はゴールデンっていったら……)
小説家らしく手元にメモ帳とペンだけは用意して、そうじろうは茫乎(ぼんやり)と画面を眺めている。
その途中でゆたかが席を立った。
どうにも体が気怠く、少し早いが部屋で寝るという。
「ちょっと疲れちゃったのかもね」
ゆたかを部屋まで送ったこなたが戻ってくる。
「そうか…………」
一応彼女を預かっている身であるそうじろうは、ゆたかの体調についてはかなり気を遣っている。
今も熱は出ていないだろうかとか、呼吸は落ち着いているだろうかとか、頭の隅では考えているのだ。
もちろん、ゆたかがいなくなればそんな心配をする必要もない。
ビクビクと腫れものに触れるように扱わなくて済むのである。
「あ、そうだ、こなた」
そうじろうが思い出したように顔をあげた。
「なに?」
「明日は寄り道しないで早く帰ってくるんだぞ」
「え? でもバイトあるし……」
「一日くらい休めるだろう。いいから明日はすぐに帰ってきなさい」
「…………うん?」
急にシフトを変更すればバイト先に迷惑がかかるのだが、そうじろうが思いの外真剣な口調で迫ってきたため、
こなたは曖昧に頷くしかなかった。
(あっ!)
不意に思い当たり、こなたはニヤついた。
明日が何の日か、漸く思い至ったのだ。
(そっかぁ〜〜。そういう事なら早く帰らないとね♪)
こなたはひとり悦に入った。
ちょうど背を向けているため、その表情はそうじろうからは見えない。
が、この時のこなたは久しぶりに子供っぽい顔をして満面の笑みを湛えていた。
46 :
噬い裂け肉叢4:2009/11/06(金) 21:23:43 ID:+1RdE++d
翌日。
あっという間に6時間の授業が終わり、こなたが鞄を手にしかけた時。
「はい、こなちゃん」
いつの間にか傍に寄って来ていたつかさが、小さな箱を差し出した。
「開けてみて」
「…………?」
言われるままに開けてみるとトップに赤い石の付いたネックレスが入っていた。
「お誕生日おめでとう」
つかさがニッコリ笑った。
まるで自分の事のように喜ぶ彼女に、
「つかさ、ありがとね!」
素直に礼を言ってネックレスを取り出す。
「あ、ここで付けないほうがいいかも……」
慌てて手で隠すつかさ。
その視線が示す先には書類を手にしたななこがいる。
幸い、向こうは気付いていないようである。
「あら、つかささんはもう渡されたのですか?」
少し遅れてみゆきがやって来た。
「うん。外で渡そうと思ったけど早い方がいいかなと思って」
「そうですか。では私も――泉さんに合うといいのですが」
鞄をゴソゴソやってみゆきが取り出したのは音楽CDだった。
「ヒーリングと言いまして聴くと心が落ち着く旋律なんです。泉さんも日頃、何かとお忙しいようですから、
このようなCDも良いかと思いまして」
謙虚な物言いながら、彼女が持っているのは5枚組の大ボリュームだ。
一瞬、高かったんじゃないの? とこなたは問いかけたが、
「ありがとう。自分じゃ絶対買わないジャンルだからちょうどいい機会だよ」
有り難く受け取ることにした。
確かにパッケージに野原や青空だけが描かれているCDをこなたが買うハズがない。
その意味では貴重なプレゼントだった。
「でも嬉しいな、こういうの。誕生日憶えててくれたんだね」
と言うこなたに、
「大きなイベントですから」
答えたのはみゆきだ。
彼女はなかなかにこなたの趣味というか特性を心得ているようだ。
わざわざ”イベント”という言葉をチョイスしたところに、みゆきの優しさが覗く。
「おっす。遅くなってごめん」
2人からのプレゼントを大事そうに鞄になおした頃、うまい具合にかがみがやって来た。
「ホームルームが長引いちゃってさ」
苦笑混じりに言い訳をするかがみ。
つかさとみゆきが、ちらっとその顔を見やる。
が、視線を向けられたかがみは何食わぬ顔で、
「あれ? 帰らないの?」
実に不思議そうに訊ねる。
「あ、うん、そうだね」
妙な間があり、こなたが沈黙を破る。
今日が誕生日であることをつかさが知っているのだから、かがみが知らないハズがない。
となると当然、何かしらプレゼントを用意していると思われるが、それをもらう側が催促するのはおかしいし、
そもそもこなたもそこまで厚かましくはない。
とはいえ期待していたこなたは憮然とした表情を一瞬浮かべてしまった。
もちろんかがみはそれに気付いているが、敢えて知らない振りをして教室を出る。
その後ろでつかさとみゆきが顔を見合わせて微笑んだ。
4人、他愛もない会話を交わしながら歩き慣れた道を行く。
プレゼントの進呈はすでに終わり、談話に花を咲かせているうちにいつしかこなたの中で誕生日が意識されなくなる。
そのタイミングを測ったように、何の前触れもなく小さな包みが目の前にぶら下げられた。
「んんっ?」
差し出したのはかがみである。
ベージュの小袋の口は丁寧に赤いリボンでくくられている。
「あんた、今日誕生日でしょ? だから、これ……」
若干、頬を赤らめて彼女は余所を向きながら包みを揺すった。
とてもプレゼントを渡すような仕草ではないが、つかさもみゆきもよく分かっている。
47 :
噬い裂け肉叢5:2009/11/06(金) 21:25:14 ID:+1RdE++d
これは彼女が見せられる精一杯の態度だ。
一見すると冷たく見える所作も、彼女と接してきた者には想いやりの裏返しなどすぐに見破れるのだ。
「あ、ありがと……」
突然のことにこなたは調子を狂わされた。
身構えていればこのような答え方は絶対にしない。
”照れながら私にプレゼントしてくれるかがみ萌え〜”
こなたが用意していた返しは概ねこのようなものだった。
「開けてもいい?」
「い、いいわよ。でも期待しないでよね」
模範的なツンデレを見せたかがみは僅かに歩みを速めた。
おっ、という声が後ろであがる。
包みの中には不揃いのクッキーが入っていた。
形も大きさもバラバラ。
おそらくココア味なのだろうが、焼きにムラがあるためにこげ茶色のものと白っぽいものが混じっている。
包みをごそごそやっている音を背中で聞きながら、かがみは振り返ろうとしない。
こなたはニンマリ笑みを浮かべてから、そのひとつを齧った。
「おいしい…………」
食べた瞬間の正直な感想を、彼女は誰にも聞こえないように言った。
「わ、悪かったわね。不恰好で! そういうの苦手なのよ!」
肩越しに振り返り、先ほどよりもさらに赤くなった顔で弁解する。
「苦手なのに作ってくれたの?」
したり顔で訊くこなたに、
「う、うっさい! さっさと食べちゃいなさいよっ!」
耳まで真っ赤にしてかがみが怒鳴った。
その仕草がおかしく、みゆきは口に手を当てて微笑んだ。
「お姉ちゃん、すごく頑張ってたもんね。昨日帰ってすぐに作り始めたんだよ」
「そうなのですか?」
「うん。材料も買いこんで……たぶん5回くらい焼いたんじゃないかな? 最初は――」
「つかさぁっ!!」
真っ赤な顔でかがみが制する。
努力しているところを知られたくない彼女にとっては、妹の暴露はまさしく爆弾だ。
慌ててつかさの口を塞いだかがみは、妙な視線に気付きハッとなって振り返る。
思ったとおり、こなたが (≡ω≡) こんな顔でニヘラニヘラと笑っていた。
こういう表情をする理由はひとつしかない。
そこに思い当たったかがみは羞恥でいっぱいになったのだが、そこに追い討ちをかけるように、
「市販にはない愛が感じられておいしいねぇ〜」
こなたがこう言うものだから、愈々顔から火が噴き出しそうになる。
「愛とか言うなぁ〜〜っ!!」
「うふふ……」
それを楽しげに見つめるみゆき。
「でもほんとに嬉しいよ。ありがと、かがみ」
その場の雰囲気に乗じ、こなたはさらりと本意を述べた。
彼女にしては珍しく頬をうっすら朱に染めているのだが、かがみはそれには気付かない。
普段からツンデレだと揶揄している相手に、今の紅潮した顔を見せるわけにはいかないのだ。
「どうでしょう? お祝いということでお食事でも」
珍しくみゆきが誘う。
こういう話を切り出すのは大抵かがみかこなただ。
普段あまりない展開にこなたは少々惑った。
「うん……気持ちはありがたいんだけど、今日はお父さんに早く帰って来いって言われてんだよね」
申し出は嬉しいが、昨夜のそうじろうの言葉を思い出したこなたは遠慮がちに断った。
その時の、
「そうですか……それは仕方ありませんね」
と言ったみゆきの表情は心から残念がっているように見えた。
「おじさんの事だから、すごい御馳走でも用意して待ってるのかもね」
かがみが嬉々として言った。
仮にそうだとしても、その御馳走が出るのは夕食だ。
それまでにはまだまだ時間がある。
「――って言われたけど、ちょっとくらいなら大丈夫だと思うよ」
48 :
噬い裂け肉叢6:2009/11/06(金) 21:26:24 ID:+1RdE++d
こなたはさらりと前言を翻した。
折角のお誘い――しかも今回はみゆきから――である。
そうじろうとの約束は多少先延ばしにしても問題ないだろう。
「え、よろしいのですか?」
「いいっていいって。盛大にお祝いしてくれるんでしょー?」
「あ、いえ……盛大というほどには…………」
「あんた厚かましいわよ……」
などとやりとりしながら、結局は近くのファミレスに入ることになる。
夕食を考慮して4人は比較的軽めのスイーツを注文する。
甘みたっぷりのデザートに、こなたがかがみを揶揄ったり、つかさがレシピの参考にとメモをとったり、
みゆきが蘊蓄を披露したり――。
たかだか生まれた日から起算してキリの良い日にあたっただけだというのに、3人はこうして祝ってくれる。
それがこなたには何より嬉しかった。
プレゼントの値段や中身よりも、自分の誕生日を憶えていてくれることが何よりの幸せだった。
(私もちゃんとお返ししないとね……)
見た目通り、子供っぽい笑顔を浮かべながらこなたは思った。
結局、友人同士で開いたささやかなパーティーは2時間ちかくに及んだ。
「ただいま〜」
空が薄暗くなった頃、泉家の娘が帰宅する。
「おかえり。かがみちゃんたちと食べにでも行ったか?」
開口一番、出迎えたそうじろうの言葉にこなたは、
「う、うん。お祝いにって言ってくれたから」
父が怒っているのではないかと歯切れ悪く答える。
が、彼は特に表情を険しくするわけでもなくいつもの調子で、
「そうか。良かったな」
娘の人気の高さを喜ぶようにそう返した。
その反応にこなたはひとまず安堵する。
そうじろうが怒ることは殆どない。
こなたが幼い頃は悪戯をして叱られたことが何度もあったが、それはあくまで親としての叱責で怒りではない。
片親ながらかなたの代わりも担ってきた彼の躾が良かったからなのか、こなたは多少ひねくれてはいるものの、
実生活において――勉強嫌いを除いて――特に問題のない性格に育ってくれている。
だからなのか父娘ケンカもなく、従ってそうじろうが憤慨するという局面は滅多になかった。
あるとすれば理不尽な実社会に対する小さな抵抗だ。
「いや、昨日はああ言ったけど実際これくらいでちょうど良かったかもな」
今度は逆にそうじろうのほうが時計を見て恥ずかしそうに言った。
「どしたの?」
「仕込みに時間がかかってな……」
「…………?」
「とりあえず着替えておいで。あ、あとちゃんと手洗いと嗽(うがい)もな」
「はーい」
子供扱いしないでよ、と言いかけたこなただったが容姿は元より、18歳になったばかりではまだ子供だと思いなおし、
取り敢えず言われたとおりにする。
(こりゃかがみの言うように御馳走だね)
”仕込み”という単語をちゃんと聞いていたこなたは軽やかな足取りで自室に向かう。
(何が出るかな……ってこれじゃかがみと一緒か…………)
と、この時は子供のように胸をときめかせていたこなたである。
・
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・
・
・
「おお〜〜!!」
食卓についたこなたは大袈裟にではなく、無意識に歓声をあげていた。
ある程度は予想していたが、並べられた料理は想像以上に豪勢だった。
パプリカを多く使ったサラダは彩りよく、味だけでなく見た目も楽しめる。
49 :
噬い裂け肉叢7:2009/11/06(金) 21:27:46 ID:+1RdE++d
その横に添えられたコーンスープは薄味のサラダと対照的に濃厚だ。
「お父さん、どうしたの、これ?」
「ああ、今日のために準備しておいたんだ。こなたももう18歳だもんな……」
そうじろうが遠い目をして呟く。
一方、こなたは目の前の料理に魅了されていた。
サラダもスープも所詮は引き立て役。
それ自体も空腹を満たしてはくれるが、今日ばかりは主役ではない。
メインは卓の中央に鎮座しているステーキだ。
「この肉は格別だぞ。他じゃまず手に入らない逸品だからな」
「そうなの?」
「よし、冷めないうちに食べるか」
既にナイフとフォークを用意していたそうじろうが低位置につく。
「あれ、でもゆーちゃんは?」
こなたもそれに倣うが、ゆたかが居ないことに気付き伸ばした手を引っ込めた。
そうじろうはちらっと時計を見やる。
「そういえば遅いな。連絡もないし…………」
口でこそそう言っているが、こなたにはあまり心配していないように見えた。
ゆたかが寄り道をする時はいつもメールを送るか自宅に電話するなどして連絡をいれていた。
「みなみちゃんに訊いてみようか?」
こなたが立ち上がりかけたが、
「待ちなさい」
何故かそうじろうが強い口調でそれを止めた。
(………………?)
その様子に怪訝そうな表情を浮かべたが、こなたは渋々と腰をおろす。
どうも父の様子がおかしい。
半分はバーチャルの世界に住む彼女も、このくらいは気付く。
妙にそわそわしているし、室温が高いわけでもないのに額や首周りにうっすら汗を浮かべている。
時おり何かを咀嚼するように口をもごもごと動かしたり、頻繁に時計を見たりもしている。
ただゆたかの安否を気にしているという訳ではなさそうだ。
その所作がどうにも気になったこなたは、
「ねえ、お父さ――」
声をかけたのだが、
「こなた、先に食べようか」
遮るようにそうじろうがとんでもない事を言い出した。
「ええっ? だってゆーちゃんが……?」
「そのうち帰ってくるだろう。遅いって言ってもまだ寄り道の範囲だしな」
言いながらそうじろうが時計を指さす。
時刻は19時を少し過ぎたところ。
確かに彼の言うようにさほど心配するような時間帯ではないかもしれない。
が、連絡なしで外にいるのはゆたかである。
病弱な彼女のことだから路で倒れている……という可能性も無くはない。
あれこれとこなたが思案している間にも、そうじろうはナイフを手に肉を切り分け始めた。
やはりどこかおかしい。
こなたはまだしもゆたかは預かっている身だ。
それを引き受けた以上は親以上に彼女を保護しなければならないハズなのだが、
今のそうじろうはゆたかの事よりも、目前の料理に意識を向けているようだ。
「ちょっとちょっと! ゆーちゃんは!?」
まるでゆたかの存在を忘れてしまったかのように肉にナイフを入れる父に、
こなたは言い知れない不安を覚えた。
「まあいいじゃないか。そのうち帰ってくるだろう」
彼は一向に取り合わない。
「それより冷めないうちに食べなくちゃな。特にこの肉は――」
そうじろうは喉を鳴らして断面から流れる肉汁に見入っていた。
今日はここまでです。
次回は明後日の投下となります。
ではまた。
丁度いいタイミングで解けたな。
乙!
いつもすばらしい小説をありがとうございます!
毎日のようにあなたの小説を読み返させていただいております。
この話は何だか展開が読めちゃう感じだけど、それも敢えてなのかな?
それともどんでん返しが来るのかな?
続きが気になるところです。
そして最後に、お誕生日おめでとうございます!
まだ11月も初旬だというのに、まだハロウィンが終わったばかりだというのに、
何故かイルミが飾られクリスマス一色な街の中、皆様はどうお過ごしでしょうか?
こなたさんは、もう11月だというのに未だ未だ5月気分です。
ええ、メイシックってやつです。
彼女には夏も秋も冬さえないんです。常に春爛漫。
願わくば 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃
学に疎いつかささんは仰いました。
「難しくて何言ってるか分からない」と。
学に劣るみさおさんは答えられませんでした。
「西行って事しか知らねー。意味まではわっかんねー」と。
代わりにかがみさんが答えました。
「春の満月の日に桜の下で死にたいってだけの退屈な歌」と。
国語が得意なあやのさんが指摘しました。
「でも如月って2月。春じゃないよね」と。
博識なみゆきさんが説明します。
「陰暦ですので、今で言えば3月下旬から4月上旬にあたります」と。
死に死に死に死んで死の終わりに暗いこなたさんは別の解釈を提出します。
「いつも春って意味だよ」と。
常に春爛漫、翻せば常にメイシック。
だから5人は言い放ちました。
「季節は大切にしたい。春を望まない。次に冬が来ても──
寄り添えば寒くないよ?」と。
「ああ、そういえば、世間では11月6日だったっけ。
次は12月だったけ。次は冬なんだっけ」
今気付いたようにこなたさんは言いました。
でもこなたさんは分かっていました。
「世間ではその次は1に還るのか。世間では次の次も冬なのか。
でもそれでも私は常春だよ。12の次は13だからさ」
5人は首を傾げます。
気付いていない彼女たちに、こなたさんは教えてあげました。
「ああごめんごめん、月の話じゃないよ。階段の話だよ」と。
その13段目に導く数多の執行人の一人に対して、
こなたさんは詠いました。
霜月に 落とされた知は 殺気削ぎ
祝詞彩る 死と死と疼き
「これからも宜しくね。いつか13段目に登ってしまうその時まで」
彼女からの精一杯のプレゼントのようです。
受け取ってあげて下さいな。
皆様の次の次は、1ですか13ですか?
ちゃんと季節、循環させてますか?
「ハロウィンはトリックorトリートだったけど、
私に残された選択肢はスイサイドonlyだよ。
それが13段目だ。そこが常春、死にたくなる季節だよ」
54 :
>>11:2009/11/07(土) 02:26:14 ID:aclAN18r
割り込み失礼致しますm(_ _)m
死因は
>>33さんの言う通り、出血多量による死なのですが、
>>33さんが異変の原因を知りたい様なので、後日談を投下致します
後日、そうじろうは医師からこなたの死因について聞かされた
医師「こなたさんの遺体を調べましたが、死因は屋上から飛び降りたことによる大量出血死なのですが、他に脳に異常がみられました」
そうじろう「どんな異常なのですか?」
医師「それが…原因不明なのです…」
そうじろう「原因不明ですか…」
医師「ええ…こなたさんに生前、何かおかしい所は御座いませんでしたか?」
そうじろう「こなたが自殺する日の朝、いつもの様に挨拶をしたのですが、こなたに「やだな〜、二人ともからかわないでよ。何かのゲームの影響?」と言われましたね…」
医師「そうでしたか…」
そうじろう「はい…」
医師「原因が不明なので、こなたさんが生まれつき持っていた病気だと私は推測します…」
そうじろう「こなたのその病気が自殺した日の朝に突然再発したと言うのですか?」
医師「はい…」
そうじろう「その原因不明の病に発病したのはこなたが世界で初めてなのですね?」
医師「ええ…非常に残念ですが…」
人に質問すると「どうした?」としか返事が返ってこない原因不明の謎の病…こなたの次の犠牲者は貴方達かも知れません…
56 :
>>11:2009/11/07(土) 02:40:58 ID:aclAN18r
以上です(^_^;
異変の原因の答えになってない気がしますが…(汗)
言い忘れておりましたが
>>1さん乙ですm(_ _)m
>>50さん
素晴らしい文章力ですね。私はまだまだですね…(苦笑)お誕生日おめでとう御座いますm(_ _)m
57 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 03:09:23 ID:RRXUHH+4
皆さん投下乙です。最近活気あっていいなあ。
>>41も個人的にはかなりキタんだけど…最後のあたりは鳥肌たった
>50
お誕生日おめでとー!続き楽しみにしてます。
まだだ、まだ終われない。君の勝負はいつもそこから。行き先は何処?
test
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/07(土) 19:38:42 ID:YHR2/r8e
>>41のものです。
なんというかすみません。
事後承諾なうえ、承諾というより黙認のような形ですが
大分さんからの使用許可は頂きました。
なんというか実にすみません。
>>41 権利関係が微妙そうだったんで、自重してたけど、感想。
序盤はちょっと手抜きだなーとか思ってたけど。
一番ジンと来たのが最後のサビ前。
こなたが夢から覚めた?直後からのたたみかけ、横たわる二人、繋いだ手
最後に残されたつかさの表情。一瞬映る、窓の向こうのこなたの目。
これはいい!すごくいい!うつ☆すたがより好きになったし、
>>41がうつ☆すたが好きなのがすごく伝わってきた。
ただ、個人的に、あの薬が画面いっぱいに広がるシーンは、どっかで長めにつかってほしかったかな。
神奈川版「私のお父さん」読んでみたけど、ゆきの両親を自殺に追い込んだ
そうじろうへの復讐は別にいらないんじゃね?
ひであきの高級車買ったり、高級酒を飲むという贅沢ぶりや遺産相続でのそうじろうとの揉め事とか。
動機が小早川家の目的は遺産目当てだって言うことがはっきり分かっている。
もう一つ、神奈川版「審判」の黒井先生が殺人犯すのも別にいらないように思えた。こなたに罪を
かぶせようとする展開なんだけど、すでにこなたは放火や強盗で捕まっているし。
皆さん、こんばんは。
本日分の投下参ります。
65 :
噬い裂け肉叢8:2009/11/08(日) 21:22:16 ID:Ca3gHv4U
「これでいいな」
肉の硬さもあったのか切り分けるのに5分ちかくかかった。
こういう宴に出てくるのはほとんど咀嚼する必要もないような軟らかい肉なのだが、卓に上っているのは
切るのに手間取っていたところを見ると筋の多い硬そうな肉である。
まずこなたの皿に、次いで自分の皿にそれを盛るそうじろう。
残り3分の1ほどはゆたかの分だ。
「ねえ、お父さん。やっぱりゆーちゃんが心配だよ……」
目の前から食欲をそそる香りが立ち昇ってくるが、こなたは僅かに顔をそむけた。
「大丈夫だって。そのうち――」
相変わらず平然とした様子でそうじろうが返した時、
「遅くなってごめんなさい」
というゆたかの声が玄関から聞こえた。
「ゆーちゃんッッ!?」
その声に弾かれるようにこなたが席を立った。
ドアの前には丁寧にラッピングされた箱を持っているゆたかがいた。
顔色も良いし、汗一つかいていない。
こなたは漸く安堵した。
彼女の心配は杞憂に終わったようだ。
「ゆーちゃん、どうしたんだ?」
遅れてやって来たそうじろうは、口調に気をつけながら問うた。
「あの、ごめんなさい。学校を出たくらいに”遅くなります”ってメールしたつもりだったんですけど……。
その……うまく送信できてなかったみたいで……さっき気が付いたんです…………」
ゆたかは言いながら、これが言い訳がましく聞こえないかと不安になった。
「………………」
そうじろうは目を閉じ、小さく唸る。
ゆたかは娘ではない。
こういう時の対応は娘に対して以上に慎重になるべきなのだ。
暫くして再び目を開いた時、ゆたかが持っている箱を認めたそうじろうは、
「そうか……それなら仕方ないな。でもあまり遅くなるようなら、これからはメールじゃなくて電話にしなさい。
そのほうが確実だからね」
微笑みながらそう諭しておいた。
ゆかたの帰りが遅くなった理由を考えれば、叱るわけにはいかない。
「はい、はい! ほんとにごめんなさい」
「いいからいいから。とにかく着替えておいで。ご飯の用意はできてるから。今日は御馳走だぞ?」
「はい!」
箱を大事そうに抱えてゆたかが足早に部屋へと向かう。
(お父さん、やるじゃん!)
言葉にこそしないものの、こなたはやはりそうじろうは立派な父親だと思った。
・
・
・
・
・
それから5分もしないうちにゆたかが着替えて戻ってきた。
「はい、これゆーちゃんの分」
先ほどの残りを皿に乗せてゆたかに渡す。
「よっし! じゃあ始めるか」
「はい」
2人はにっこり微笑みながらこなたを見つめた。
「こなた――」
「お姉ちゃん――」
互い、息を合わせるように、
「お誕生日おめでとう!!」
綺麗に言葉を重ねる。
クラッカー代わりの拍手は頭数の少ない質素なパーティーを大いに盛り上げた。
「ありがと〜〜」
いつものように口の端を丸めてこなたが破顔した。
ゆたかがプレゼントの箱を差し出す。
「開けてみて」
なぜか恥ずかしそうに顔を赤らめながらゆたかが言った。
66 :
噬い裂け肉叢9:2009/11/08(日) 21:23:47 ID:Ca3gHv4U
その表情を訝しみながら、こなたは彼女の手前、丁寧に包装を解いていく。
「あっ…………!」
全容が露になる前に、パッケージの一部を見たこなたが思わず声をあげた。
1/8スケールのフィギュアだった。
白と青が基調の服を着た少女が、先進的なデザインの杖を構えている。
「ゆーちゃん、これ…………」
「ごめんね、そういうのよく分からなくて……」
俯いたゆたかの視界には、イタチのような小動物の附属品がある。
彼女にしてはかなり勇気の要る買い物だっただろう。
そもそもこういう物を売っている店に近付いたことすらないのだ。
「いや〜嬉しいよ、ゆーちゃん。ありがとね」
こなたは有り難く受け取った。
自分の趣味に合っていたというのも勿論だが、ゆたかなりに色々と思案して選んでくれた気持ちが何より嬉しい。
その様子をにこやかに見つめていたそうじろうだったが、
(ゆいちゃんに怒られるだろうなあ……)
環境がどうのと詰問されるかもしれないと彼は厭な汗をかいた。
「俺からのプレゼントはこの料理だ。言っとくけどただの御馳走じゃないぞ。
今日のために大事にとっておいた材料を使ってるんだからな。18歳の誕生日にピッタリだ」
そうじろうが得意になって言う。
「さ、食べなさい」
自身もフォークとナイフを巧みに動かして、やや硬めの肉を口に運ぶ。
「いただきまーす」
小学生にも見紛う2人もそれに続いて肉を頬張った。
「おいしいっ!」
示し合わせたわけでもないのに、2人が殆ど同時に声をあげた。
筋が多く硬くはあるが、咀嚼するほどに肉本来の旨みが後から後から滲み出てくる。
味自体は少し苦い。
が、そうじろうが上手く味付けをしたために、高級肉にも劣らない深い味わいがある。
「だろ? コツはな、下拵えをしっかりしておくことなんだ。他の肉に比べて臭味があるからな。
それと焼く時間だな。なかなか火が通りにくいからじっくり焼き上げるんだ」
二口目を嚥下したそうじろうが自慢げに調理方法を説明し出した。
「ほんとに美味しいよ。高級ステーキみたい」
やや噛む力を必要とするのは難点だが、味に関しては文句のつけようがない。
食べるスピードの遅いゆたかは漸く一口目を呑み込んだ。
「これって牛肉なんですか?」
水を飲んで喉を潤してから訊ねる。
「う、うん? ああ、どうしてだい?」
その質問にそうじろうはなぜか歯切れの悪い返し方をする。
「いえ、食べた事のない味だったから……」
「……牛肉じゃないんだ。まぁ、世の中にはいろんな肉料理がある。ゆーちゃんは鹿や猪を食べたことはあるかい?」
「いえ、まだ……」
「じゃあいつか食べに連れて行ってあげよう。あっさりしていて美味しいんだ」
「あ、はい。是非お願いします」
「よしよし。その時はゆいちゃんも誘って行こう」
朗らかに笑いながら、彼は再び肉に齧りつく。
(………………?)
結局、彼はゆたかの問いには明答しなかった。
(美味しいけど、でも何の肉なんだろ? 豚じゃないし鶏もありえないし……)
食べたことのない味にこなたは舌鼓を打ちながら、ふと疑問に思う。
「ま、いっか」
しかしその疑念も間もなく口中に広がる深い味わいに霧散してしまうのである。
料理好きなつかさやあやのでも、この味は出せないだろう。
そもそも素材の肉が特別な物だ。
そうじろうは臭味が強いと言っていたが、何度も噛むうちに明らかに調味料のものではない独特の甘味が出てくる。
これがどう体に作用するのか、こなたもゆたかも添えられたサラダやスープには目もくれず、
ただ只管に盛られた肉を切っては食べ切っては食べを繰り返した。
「おいしいね、お姉ちゃん」
「だね〜」
初めこそこうして素直な感想を述べ合っていた2人だったが、数分もすると会話する時間も勿体無いと言わんばかりに、
口いっぱいに肉を放り込むようになる。
「おいおい、そんなに頬張ったら喉に詰まるぞ」
そうじろうが苦笑する。
しかしそんな諌めもお構いなしに、2人は餓えた獣のように肉を咀嚼する。
「やれやれ…………」
既に皿を空にしていたそうじろうは、ずしりと重い腹をゆっくりとさすった。
彼の目の前ではゆたかが肉を切るのに悪戦苦闘している。
筋が多いせいで思うように切り分けられないらしい。
やがてもどかしくなったのかゆたかは切るのを諦め、フォークを乱暴に突き刺してそのまま口に放り込んだ。
その様をこなたが羨ましげに見つめる。
彼女も既に食べ終わっており心地よい満腹感に酔っていてもいいハズなのだが、すぐ隣で肉にかぶりつく音がすると
どうにも心が落ち着かない。
食べたい。
食べたい。
何故か飢餓感に突き動かされそうになるこなただったが、ゆたかの当たり分を横取りしてはいけないと懸命に堪えた。
食欲は旺盛なのに添え物のサラダやスープには全く口をつけていない。
引き立て役は最後まで食されなかったようだ。
「ゆ、ゆーちゃん、早く食べちゃってよ……」
言いながらこなたは自分の指先がカタカタと震えているのを感じた。
大好きなおやつを前に”待て”の指示を出された飼い犬の気持ちが少しだけ分かった気がした。
ゆたかはと言えばこなたの言葉を無視して、自分のペースで食を進めている。
もはやフォークもナイフも本来の用には供さず、彼女は手づかみで肉を口に運ぶ。
「ははは。2人ともよく食べるな」
副菜がそのまま残っていることなど気にも留めず、そうじろうは一気に水を飲み干して喉を潤した。
5分ほどかけてゆたかも完食する。
「どうだ、美味しかっただろう?」
「うん」
「はい、とても」
2人は揃って満足げな笑みを浮かべる。
が、その表情の奥にはまだ食べ足りないという欲求が見え隠れする。
「よしよし。じゃあパーティーはお開きだ。ああ、後片付けは俺がやっておくから」
テレビを観るなり好きに過ごしなさい、と言い置いてそうじろうが卓上を片付け始めた。
自分も手伝うとこなたたちは立ち上がったが、彼は強くそれを制した。
「それにしても美味しかったね〜」
「だよね。あんなの初めて食べたよ」
くだらないバラエティ番組を観るとはなしに眺めながら、2人は食後の感想を述べ合った。
俎上にのぼるのは先ほどの肉。
副菜は一口も食べていないため話しようがない。
「なんかお腹いっぱいなのに、あれだったらいくらでも入りそう」
「私も〜」
などと語り合うのはいかにも年頃の娘といった様子で微笑ましい。
背中に少女たちの欣喜の声を聞きながら、そうじろうは鼻歌まじりに皿を一枚一枚丁寧に洗う。
至るところにこびり付いた油は洗剤をたっぷり使ってもなかなか落ちない。
「旨いんだがこれだけがなぁ……」
口を尖らせ彼はスポンジを持つ手に力を入れた。
(ああ、しかしやっぱり旨いよな。駄目だ……思い出したら涎が……)
真っ白な皿を眺めて、そこにあるハズのない肉を想像し彼の表情は無意識に弛緩していた。
夜。
日付が変わって数時間が経った頃、こなたは目を覚ました。
(ヘンな時間に冴えちゃったな。こういう時って次の朝がダルくなるんだよね)
仄かに読み取れる時計の針を見て、欠伸をひとつ。
「あれ……?」
その時、喉の辺りに違和感を覚えたこなたはそっと手で触れてみた。
(なんかヒリヒリする……?)
硬い布で何度も擦ったような痛さがじわりと広がってくる。
どうにも気になった彼女は部屋の電気を点け、机から鏡を取り出して見た。
――首が赤い。
何本もの筋が縦に重ねられ、全体に赤みがかっている。
自分の手を見る。
爪先が奇妙にささくれ立っていた。
歳に似合わずお洒落っ気のないこなたは髪や爪の手入れなどはしないが、そこはやはり思春期の少女である。
既に異性を引き付けるようなしなやかさがそこかしこにあるのだ。
だからこなたは爪先の異常にすぐに気付いた。
(寝てる間に掻き毟ったのかな……)
特に深く悩むような問題ではないが、喉元がスッキリしない。
異物感もある。
「なんか飲もう」
重い足を引きずるように部屋を出る。
そうじろうたちを起こさないように足を運ぶこなたは、その途中も喉元を擦る。
痛いのは痛いのだが、こうしないと落ち着かないようだ。
薄暗い廊下を記憶を頼りに手探りで歩く。
角を曲がれば台所、というところで妙な音が聞こえてきた。
ガサガサと何かを漁るような音だ。
(ウソ! 泥棒ッ!?)
半分寝ていたこなたの意識が完全に覚醒する。
この家に金目の物などないが、侵入した泥棒はお構いなしにあちこちを探っているのだろう。
警察を呼ぶべきかこなたは迷った。
万が一にも自分の勘違いだった場合、多大な迷惑をかける。
夜中に不審な音がしている時点で勘違いなどありえないのだが、こっそり音を立てないように近づき、
その正体を明らかにしてから通報するべきだ。
漸くハッキリしてきた頭でそう判断し、先ほどよりも慎重に台所に向かう。
仄かに明かりが漏れている。
やはり誰かが忍び込んでいるのは間違いない。
こなたは動悸を抑えながら、そっと中を覗き見た。
「…………ゆーちゃん?」
いたのはゆたかだった。
開け放した冷蔵庫の前にしゃがみこみ、何かを咀嚼している。
「ゆーちゃん?」
こなたの再度の呼びかけにも答えず、彼女は手と口だけを動かすばかりだった。
ひとまず泥棒ではなかったことに緊張を緩めたこなただったが、よく知る顔の異常な行動に、
「ねえって……」
掠れた声で言いながらその肩を掴む。
「………………ッッ!?」
振り向いたゆたかは口の周りを真っ赤に染めていた。
足元には乱暴に引き裂かれたビニール袋やプラスチックトレイが散乱している。
「あ、お姉ちゃん。ごめんね、起こしちゃったかな」
ようやくこなたに気付いたゆたかは恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「な、何やってんの…………?」
声が出ない。
訊くまでもなく、その状況を知ってしまったからだ。
散らばるゴミは主にスーパーのもの。
鶏肉や牛肉をパックしていたトレイだ。
「なんだかお腹空いちゃって……。何か食べようと思ったんだけど……」
と言ってゆたかがそれらを指さした。
「食べるって……ゆーちゃん、それ、生のままで――?」
よく見ると床もところどころ赤くなっている。
恐怖にひきつった様子のこなたの問いに、ゆたかはキョトンとしている。
何がおかしいのか、と言わんばかりの表情だ。
間があって、そうだよ、と答えたゆたかの肩をこなたは強く掴んだ。
「駄目だよ、こんな事しちゃ! ゆーちゃん、体弱いんだからお腹壊すよっ!」
ゆたかの行動はそれ以前の問題なのだが、錯乱しているこなたは気付かない。
異常な有様にまだ理解が追い付いていないらしい。
「え、うん……気をつけるね……」
ゆたかはまだよく分かっていない。
こなたの真剣な眼差しから目を逸らした彼女は、空になったトレイをちらちらと見やる。
「とりあえず口濯ごうよ。それと水。片付けは私がやるから!」
「うん…………」
不服そうな顔でゆたかは立ちあがり、言われたとおりに口元を洗った。
その間にこなたが汚れた床を拭く。
幸い付着してから時間が経っていないため、血はすぐに拭き取ることができた。
「お姉ちゃん、洗ったよ」
のんびりした口調で言うゆたかの喉には掻き毟った跡があった。
「じゃあ水飲んで、水! ゆーちゃん、お腹痛くなったりしてない!?」
「大丈夫だよ。何ともないもん」
素っ気なく答えるゆたかは強がりからではなく、本当に体調を崩していないようだ。
(生で食べたら消化不良起こすよ……)
そもそもゆたかが夜中に生肉を貪っていたという事態の奇異までは頭が回っていない。
この時のこなたはただ体調を気遣うばかりだった。
「こんな時間に何やって――何やってるんだ?」
音を聞きつけて目をこすりながらそうじろうが入ってきた。
すぐに様子のおかしいのに気付く。
「あ、お父さん。ゆーちゃんが……」
雑巾を絞りながらこなたが肩越しに振り向いた。
「ふむ…………」
しかし彼はさほど驚いた様子を見せることもなく、むしろこの状況が自然であるかのように頷いていた。
既に血を拭き取り、水を飲ませたゆたかは平素と変わりない顔をしている。
ゴミ箱には不自然な空容器が山積みにされており、そうじろうはそれに目を留めた。
「これ、ゆーちゃんがやったのか?」
そっとこなたに耳打ちする。
「えっ? うん。冷蔵庫の中、漁ってたみたい。生のままで食べたみたいだけど、吐かせた方がいいかな?」
「いや、大丈夫だろう。念のために水を飲ませておいたほうがいいかもしれんな」
「それならさっき飲ませたよ」
「そうか…………こなた、ここは俺が片付けるから悪いけど、ゆーちゃんを部屋に送ってやってくれないか」
「分かった」
後始末をそうじろうに任せ、こなたはゆたかを伴って台所を出る。
ゆたかの歩みは健常な少女のそれと変わらない。
物足りなさを顔いっぱいに表現しながら、こなたに引きずられるようにして部屋に運ばれる。
「なにかあったらすぐに呼んでね」
ゆたかを寝かしつけ、言葉少なに言い残して部屋を出る。
「ふう…………」
ドアに背を預けて、漸く一息つく。
ただ飲み物を取りに行っただけなのに、慌ただしく時間が過ぎてしまった。
ゆたかは大丈夫だろうか。
背後にかすかに寝息が聞こえる。
(あ…………!!)
自身の呼吸も落ち着きを取り戻し始めた頃、先ほどまで至らなかった部分に思考を働かせたこなたは息を呑んだ。
ゆたかの異常な行動だ。
「なんであんなこと…………?」
冷静になってみると恐ろしい。
ウイルスに感染した人間があのような行動に出る、というテレビゲームはあるが現実ではあり得ない。
演技にしては悪質すぎるし、こなたがあのタイミングで通りかかる保証もない。
そもそもゆたかにそうする理由がないのだ。
(じゃあ……なんで?)
何者かに憑依されたという可能性もなくはない。
が、それを立証するのは難しいし心当たりもない。
やはりどう考えてもあり得ないのだ。
「みゆきさん……でも分かんないよね、これは……」
こなたを喉を掻き毟りながら思案を巡らせたが、一向に答えは出てこなかった。
そのうちに考えるのにも疲れ、そういえば元々飲み物を探していたのだと思い出し再び台所へ向かう。
ちょうど片付けを終えたそうじろうが出てくるところだった。
「どうした?」
「喉が渇いちゃってさ。さっきも飲み物取りに来たんだけど、その時にゆーちゃんを見つけたんだ」
「そうか……」
冷蔵庫を開け、オレンジジュースを取り出すこなた。
その時、庫内の隅に血がついているのに気付く。
「ああ、ゆーちゃんのことだがな――」
そうじろうが腕を組んで言った。
「最初はあんな感じになるんだ。こなたは何も気にしなくていいからな」
「ん? 最初って?」
「まあ気にするなってことだ。でも念のため、明日は学校を休ませたほうがいいかもしれないな」
「…………?」
見通したようにそうじろうが頷く。
(お父さんは何とも思わないのかな……?)
自分も少し前まで意識していなかったが、ゆたかの行動は明らかに異常だ。
医者に診せたほうがいいのではないだろうか。
「ねえ、ゆーちゃん、病院に連れて行ったほうがいいんじゃない?」
ごく自然な提案である。
常識の埒外の出来事なのだから、その筋の専門に任せるのが妥当だろう。
にもかかわらずそうじろうは首を縦には振らなかった。
「なんで? どう考えたっておかしいよ。普通あんなこと――」
「だから最初はああなるって言ってるだろ? こなたは何も心配するな」
「最初って何? っていうかなんでそんなに落ち着いてるの? おかしいと思わないの?」
「…………分かった。明日、先生に診てもらうよ」
若干の間をおいて彼はそう言ったが、ゆたかの身を案じてというよりは、むしろ執拗なこなたの追及に
渋々折れたという印象がある。
その反応にこなたもスッキリはしなかったが、これ以上は自分にもどうにも出来ないと思い直す。
気を紛らそうとジュースを一気に飲み干した彼女は、喉の奥に鈍い痛みを感じた。
風邪をひいた時の痛みに似ている。
「どうした?」
思わず顔を顰めたこなたを気遣うようにそうじろうが寄ってきた。
「何でもないよ」
ゆたかの尋常でない行動に比べれば、この程度は問題ではない。
わざわざ口に出せば面倒にもなりかねない。
「こなたも調子が悪かったら明日は休んだほうがいいぞ」
彼は愛娘を案じてこう言うのだが、
「大丈夫だよ」
自分を案じてくれていると分かっている娘はこう返すのだ。
翌日。
喉の内と外の痛みのせいで殆ど眠れなかったこなたは、何度も舟を漕ぎながら午前の授業を乗り切った。
ななこに何度も出席簿の角で殴られたが、それでも襲い来る睡魔をはね退けることができない。
「泉さん、顔色が優れませんが……保健室に行った方がよいのでは?」
「あはは、大丈夫だって。ちょっと寝不足気味でさ……」
「またあんた、ネトゲにでも没頭してたんでしょ?」
「ま、そんな感じ」
「ったく……その熱意をちょっとは勉強に向ければいいのに」
昼休みになってかがみが加わり、それぞれに弁当箱を広げる。
「ほうほう。今日はつかさが当番だったのかね?」
かがみの弁当を覗き見てこなたがニヤリと笑った。
「うっさい! 誰にだって得手不得手はあるのよ!」
顔を赤くして逐一反応する彼女は、生来の気真面目さを前面に押し出している。
「私がお姉ちゃんに勝てるのってお料理くらいだから」
照れ笑いを浮かべながらつかさがフォローする。
この日、柊姉妹の昼食はハンバーグ弁当だ。
おそらく前夜に下準備をしていた物を焼いたのだろう。
形も色も綺麗に整っている。
比較的カロリーの高いこの品書きに、いつものこなたなら、
”かがみんは勉強の成果もカロリーもしっかり吸収するからね”
とでも言うのだろうが、今日ばかりは寝不足もあって大人しい。
「こなちゃん、どうしたの? さっきからずっとハンバーグ見てるけど?」
みゆきと談笑していたつかさは、ふとこなたを見やった。
袋から出したチョココロネを一口齧っただけで、彼女はかがみのハンバーグを凝視している。
「なによ? あ、欲しくなったんでしょ? あんたいつもパン1個だけだから」
いつも揶揄われているかがみはここぞとばかりに突いた。
しかし彼女の意図に反し、こなたの反応は薄い。
今も眠いのか、光の宿っていない瞳にしたり顔のかがみが仄かに映っている。
「あの、泉さん……やはり具合が悪いのでは……?」
今朝から様子のおかしいこなたを見ていたみゆきは、さすがに心配になって声をかける。
「ん? いやいや、大丈夫だって」
三様に視線を投げかけられ、我に返ったこなたは大仰に手を振った。
が、その目は泳いでおり、ちらちらと視界に入るハンバーグを明らかに意識しているように見える。
「お腹空いてるんなら分けてあげるよ」
つかさがフォークの側面で半分に切って差し出す。
「あんた、育ち盛りだもんな。これ食べたらちょっとは背が伸びるかもよ?」
嘲弄しながらもやはり心配を隠せないかがみも、すぐにつかさに倣っておかずを分け与えた。
さらにみゆきからもポテトサラダとお茶が出てくる。
「……いいの?」
こうなると途端に遠慮がちになるのがこなただ。
3人がそれぞれに頷いたため、彼女はありがたく厚意を受け取ることにした。
「あ、ありがと…………」
俯きながらそれらを受け取る。
「ん〜? 聞こえないわね〜〜?」
かがみが厭らしく笑う。
「だから……ありがと……」
今度は先ほどよりも声を大きく言う。
「あれ? よく聞こえなかったわね? もう一回言ってみてよ?」
日頃のお返しとばかりにかがみが身を乗り出す。
「うるさいな! 聞こえてるんでしょ?」
耳まで真っ赤にしてこなたが口を尖らせた。
その様に3人は微笑したが直後、その表情が凍りつく。
差し出されたおかずをまるで獣のように喰らうこなた。
競争相手などいないのに、まず一番に胃の中に収めようとしているようだ。
「そんなに慌てて食べたら喉に詰まる…………」
つかさが言い終わる前にこなたはそれらを平らげていた。
急いで咀嚼したためか唇を切っている。
「泉さん…………」
餓鬼のように貪っていたこなたを見てみゆきは戦慄した。
呼びかけに顔を上げたこの少女は、炯々とした眼光をみゆきに叩きつけている。
(………………ッッ!?)
瞬間、令嬢みゆきの記憶の中に眠っていた恐ろしい過去が蘇ってくる。
・
・
・
・
・
小学生の頃、春休みにサファリパークへ遊びに行った日のこと。
専用ジープに乗って敷地内を周遊していたみゆきは、ライオンの群れの近くに移動した。
野生の動物本来の姿を観察できるのがウリだが、それならジープを進入させるのは正しくない。
通常、それら動物の前に人工物など入ってこないからだ。
ジープを運転していたのはベテランの係員。
何千人もの客をこれに乗せて楽しませてきたという自信が驕りに変わったのか、
この係員はライオンの数メートル付近までジープを寄せたのだ。
直後、その様子をじっと見ていたライオンたちが一気に飛びかかってきた。
向こうにすれば縄張りを荒されたくないための行動である。
しかし客はそこまで気が回らない。
鬣(たてがみ)を振り乱してぶつかってくるライオンに、ジープが横転する。
それを期に遠巻きに見ていた別のライオンの群れが我先にと圧し掛かってきたのだ。
倒れたみゆきが見上げると、目の前に赤茶色の牙が見えた。
ジープ側面の鉄柱のおかげで中には入ってこなかったが、だからといって安心はできない。
後からやって来たライオンが腕を伸ばす。
鋭い爪がみゆきの袖を引き千切った。
か細い腕には3本の赤い線が描かれ、そこから鮮やかな血が流れ出てくる。
しかし痛みはなかった。
数十センチ先の猛獣の咆哮がみゆきに究極の恐怖を抱かせ、代わりに痛覚を奪っていたのだ。
程なくして別のジープが威嚇用の銃を撃ちながら走ってくる。
自然界には存在しない轟音に驚いたライオンたちは、未練がましくその場を離れていく。
助かった、と思ったとたん、みゆきは腕に激痛を覚えた。
・
・
・
・
・
今のこなたの眼は、あの時のライオンに似ていた。
自分は食べられてしまうのではないか、とみゆきは思った。
実際にはあるハズがないのに、記憶を呼び覚ましてしまった彼女は完全にこなたをライオンと同一視している。
「あ、わ、私……委員会の仕事を頼まれていました…………」
「え、ちょっと!?」
恐怖に顔を引きつらせて立ち上がったみゆきは、弁当箱もそのままに教室を飛び出してしまった。
何が起こったのか分からず3人は顔を見合わせる。
「ゆきちゃん、これどうするんだろ……」
「さあ……とりあえず片付けておこっか」
そう言って手際よく蓋を閉めて箱を包みこむこなたの顔には、もうどこにも異常はない。
いつものどこか無気力な感じのオタク少女である。
「………………」
先ほどまでのこなたの行動とみゆきの反応。
何かがおかしい、とかがみは思ったがそれが何かまでは到底想像がつかなかった。
今夜はここまでです。
沢山の寿ぎをありがとうございます。
生きている間は何もしなくても年に一度馬齢を重ねるという当たり前のことが、
なぜかこのスレでは新鮮に感じられます。
それではまた。
乙です!
いつも素敵な小説をありがとうございます!
JEDIさんのすばらしい文章力や続きを待ち遠しくさせるストーリー展開、本当に憧れます。
いつか自分もこんな小説を書けるようになりたいです。
小説を書く時は何かの本を参考になさったりしているのでしょうか?
そしてこなたの誕生日に用意された肉はゆたかの肉ではないか…という自分の予想は見事にはずれましたw
確かにあの肉がゆたかの肉だったらありきたりすぎる展開ですよね。
この先ゆたかやこなたはどうなってしまうのか…続きを楽しみにしています!
75 :
11:2009/11/08(日) 23:45:03 ID:PYihQoBX
投下お疲れ様です(^-^)
こなた「月曜日が自殺者多いのか・・・」
タイトルが読めない
まとめサイトにあるすまねく(変換出来なかった)煉獄って続くとか特に明記されてないけど
あれで(謝りに行ったところで)終わりなの、自殺してないけど?
訂正
すまねく→さしまねく
こなた「つかさ…クスリ頂戴」
つかさ「えっ…そんな…」
こなた「はやくぅ」
つかさ「じゃ、例の…」
こなた「そんな脱法物じゃなくってさ…あるんでしょ?…アンフェタミン」
つかさ「駄目っ。あれだけは駄目っ。違法物キメたいんなら、マリファナがあるけど…」
こなた「そんなんじゃイケない。曖昧なドラッグじゃもう、足りないから」
つかさ「こなちゃん…」
つかさ(ごめんね、お姉ちゃん、ゆきちゃん、あやちゃん、日下部さん。
友達一人、壊すね。だってそれは、こなちゃんが望んだ事だから…)
つかさ「くれぐれも乱用しないでね」
こなた「ありがとう…。これで…天国にイケる。イキたいっ、キマってたい、ニゲだしたい」
つかさ(さよなら、こなちゃん…)
81 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/09(月) 23:17:19 ID:mLxDpHzS
一人の地獄
麾く煉獄読んで思ったけど、結局、伸恵はいったい何がやりたかったんだ?
つかさとは愛し合っていると堂々と発言するし、信用金庫を襲うし、ヤクザを皆殺しに
したりするし。
皆さん、こんばんは。
本日分の投下参ります。
「ただいま……」
お決まりの挨拶がまるで覇気を伴っていないことに、発声したこなた自身も気付いていた。
やはり5時間目、6時間目と睡魔に襲われていた彼女は少なくとも半日を無為に過ごした。
体も思考もまるで働かない。
2日続けて徹夜した直後もここまでの疲労を感じた事のなかったこなたは、愈々体調がおかしいと気付く。
ただ眠いだけではない。
この形容しがたい疲労感、倦怠感。
歩くどころか呼吸をするだけで全ての体力を奪われていくような脱力感がある。
(なんかヘンだよ……これ……)
勉強に集中できなかったことを体調不良の所為にはしたくない。
こなたはそう思うのだが、今や思考することにすら疲れてしまっている。
(とりあえず何か飲みたい……)
帰ってくる途中、喉に痒みを覚えたこなたは執拗なくらいに掻き毟った。
そのせいで忘れかけていた痛みと違和感が戻り、同時に喉が渇いてしまった。
こういう時は冷たいジュースよりも温めの水のほうがいい。
そうじろうの”おかえり”がない事にも疑念を抱かず、導かれるようにして台所へ向かう。
思い出すのは昨夜のゆたかの奇行。
床は綺麗に拭いてあるので一滴の血も落ちていない。
戸棚からコップを取り出す。
そのままくるりと翻って蛇口をひねる。
こなたは人工のオアシスにコップを差し出して水を注いだ。
こくりこくり……と喉を上下させながら渇きを癒す。
だが足りない。
(駄目だ……余計に喉渇いちゃったよ…………)
2杯目、3杯目……。
出しっぱなしにした水にコップを差し出しては飲み干し、飲み干しては差し出し……を繰り返す。
しかし一向に渇きは癒えず、こなたは遂にコップを投げ捨てて蛇口に直接口を近づけた。
温い水が口内を潤しているのに、痛みと痒みが混じったような違和感は治まるどころかますます強くなる。
「こなた、帰ってたのか」
台所からの水音を聞きつけてそうじろうが入ってきた。
風体も気にせず水を飲み続ける娘を見ても、彼は特に何も思わない。
「あ、お父さん」
口の周りを濡らしたままこなたが顔を上げた。
「ゆーちゃんは大丈夫なの?」
「あ、ああ…………」
歯切れが悪い。
「ちゃんと病院行ったの?」
口篭もるそうじろうに何かを感じたこなたは身を乗り出した。
「いや、まあ……」
問われた彼はハッキリしない態度で曖昧に頷くだけだった。
「病院行くって言ったじゃん? だから私もお父さんに任せて学校行ったのに。
お父さんが行かないなら私が連れて出ればよかったよ」
水を出しっぱなしにしたままこなたは足早に台所を出た。
「あ、おい! どこ行くんだ!」
「今からでも遅くないよ。普通の外来じゃ時間かかるけど救急車呼べば――」
「待ちなさい! こなた!」
そうじろうの制止を振り切ってこなたは廊下を走った。
喉の違和感は未だにとれないが今はゆたかが心配だ。
「ゆーちゃんッッ!!」
ほんの僅かな距離を走っただけなのに激しい動悸が襲ってくる。
部屋の入口に凭れかかるようにしてこなたが呼びかける。
ベッドに横たわるゆたかからの反応はない。
「ゆーちゃん…………」
ふらつく足取りでベッドに近づく。
(………………ッッ!?)
こなたは見た。
仰向けに眠るゆたかの体がベッドごとロープで幾重にも巻かれている。
呼吸を奪うような巻き方ではないが、かなり強く締められていて身動きがとれないほどだ。
「なに、これ…………?」
背後に足音を聞いたこなたは振り返らずに訊いた。
「仕方ないんだよ。初めのうちはこうしておいた方がいいんだ」
答えになっていない。
「なんでこんな事するの!? ゆーちゃん、体弱いの知ってるでしょ!?」
段々とそうじろうの不自然さに怒りを感じてきたこなたは語気を荒らげた。
「お父さん、おかしいよ! 昨日もヘンなこと言ってたじゃん! なんで病院連れて行かないの!?」
興奮していることはこなた自身も分かっている。
発音するたびに喉に痛みを伴うことも分かっている。
しかしそれでも追及せずにはいられなかった。
「ゆーちゃんが暴れ出したら、俺でも止められないからな。2、3日もすればそういうのもなくなるから。
それよりこなた、お前は大丈夫なのか? 首のところが赤いが発作が――」
「私のことはどうだっていいよ!」
「………………」
「………………」
「………………」
「お父さん、おかしいよ……。妙に落ち着いてるしさ……ゆーちゃんはあんな事したし……」
先ほどとは打って変わり、こなたは今にも倒れそうな声で呟いた。
「何か知ってるんでしょ? ねえ、教えてよ……おかしいよ……」
「………………」
そうじろうは沈黙を返すばかりだった。
が、いつまでもこのままではいられないと悟った彼は、
「とりあえず出よう。ゆーちゃんを起こしてしまうかもしれない」
落魄した様子で部屋を出た。
うん、と頷いてこなたも後に続く。
ドアを閉めると、家中の空気が変わったような気がした。
「なんか隠してるんでしょ?」
壁越しにゆたかに声が届いてしまわないように、こなたは小さく問いかけた。
そうじろうは何も答えない。
「気になってたんだけど、昨日の料理……あれって何なの?」
「あれ、は…………」
「別に隠すようなことじゃないでしょ? それとも言えないような材料使ってるとか?」
こなたの口調は次第に強くなる。
険悪なムードになど滅多にならない泉親子の間に不穏な空気が流れた。
ずいぶん長いこと沈黙を保ち続けたそうじろうだが、やがて観念したように、
「知りたいか?」
問いに問いを返した。
「そんな大袈裟な話なの?」
「………………」
そうじろうは何も言わずにゆたかの部屋を離れた。
その背中に暗に”ついて来い”と語らせて自室へと向かう。
こなたは渋々といった様子で後に続く。
・
・
・
・
・
小説家そうじろうの部屋は、彼の趣味に似合わず簡素なものである。
作業用のパソコンの周りにはメモ用紙が散乱している。
書棚には画集や辞書、専門書など執筆のための参考書が綺麗に並べられていた。
さすがにテレビの周辺にはそれらしいDVDが散見されるが、こなたに比べれば控えめなものだ。
「私もなんかおかしいんだ。昨日からずっと喉が痛いし、体だってダルいし……」
部屋に入るなりこなたが訴える。
昨夜からのそうじろうの態度を見ていれば、その原因が料理にあるらしいと分かる。
愛娘の消え入りそうな声を無視して、彼はクローゼットをゆっくり開けた。
資料の類はここにも詰め込まれていた。
それらを丁寧に掻き分けて中から取り出しのは筒状の容器だ。
丈の長い炊飯ジャーのようなそれは、収納の奥にあったにもかかわらず埃ひとつ被っていない。
頻繁に手入れがされているか、つい最近取り出したかのどちらかのようだ。
(………………?)
容器の下からコードが伸びている。
こなたはそれまで気付かなかったが、辿ってみるとコードはクローゼットの外周を迂回するように伸びており、
その先に小型のバッテリーが差し込まれている。
バッテリーからもまた別のコードが出ており、こちらは通常のコンセントに差し込まれている。
「万一、停電にでもなったら困るからな」
こなたがコードを目で追っているのに気づいたそうじろうは、素っ気なく説明した。
「知りたいんだろう?」
娘の注意を容器に引きつけてから、彼は慎重な手つきで蓋を取り外した。
「なに……これ…………?」
中を覗き込んだこなたはすぐに自分の行動を後悔した。
白い煙とともに冷気が外に出てくる。
容器の中に透明な袋に包まれた肉塊がぎっしりと詰まっていた。
ハッキリとは見えないがそれが肉だとすぐに分かったのは、丸みを帯びたピンク色の肌が覗いたからだ。
「綺麗だろ? このままでも十分美しいんだが、生だと消化不良を起こしそうでな」
恍惚の瞳でそうじろうが肉を撫でた。
「ねえ、なんなの……これ…………?」
再び問うこなたは自分が涎を垂らしていることに気付かない。
「――かなただよ」
そうじろうは愛撫を続けた。
「……いま…………なんて……?」
「かなた。お前のお母さんだ」
瞬間、こなたは気を失いそうになった。
同時に強い吐き気を催す。
「お母さん? お母さんって…………」
「かなたは体が弱くてな。ゆーちゃんみたいにちょっとした風邪でも寝込むことが多かったんだ。
そういう調子でこなたを産んだわけだが……産後の肥立ちが良くなかったんだろうな。かなたは――」
「そんな事聞いてないよ! なんで、これがお母さんなの!? ヘンな冗談やめてよっ!」
叫んだのは言い知れない不安を吹き飛ばすためだ。
この肉塊が母親だというのは冗談にしても悪趣味すぎる。
彼女が苛立っている理由はそれだけではない。
容器の中を見た瞬間、強い空腹感が襲ってきたのだ。
それを紛らす意味でもここはそうじろうに噛みついておかなければならない。
「冗談じゃないさ。無理を言って遺体を引き取って俺が捌いたんだ」
そうじろうは舌なめずりをしながら答えた。
「普通の肉なら冷凍庫にでも入れるだろ? でもな、人間の肉ってのは腐敗が進むのがちょっと早いんだ。
だからこうやって特別な方法で保存するんだよ。これなら鮮度も品質もけっこう保てるからな」
これは母親の肉ではないとするこなたに対して、そうじろうの弁は説得力があった。
わざわざこんな容器に保存するところからして、これが特別なものであることを示している。
信じたくない、信じられない。
こなたは何度も頭を振ったが視界に飛びこむ肉塊に意識を奪われ、否定しきれない自分に気付く。
「なんでこんな事を、って思ってんだろ?」
抑揚のない声で話を進めようとする彼は、どうやら娘に隠し事をするのをやめたようだ。
「小説家って言ってもいろいろあってな。純文学の中でも歴史物でデビューした奴は地盤が堅いんだ。
反対に官能小説でデビューした奴はどうしてもそっち方面のレッテルを貼られるから、後になって
純文学に転向しようとしても中々うまくいかない。今はそうでもないんだが、俺が若い頃はそうだったんだ」
「………………」
「でな、俺も歴史物を書いてやろうと思ったんだよ。日本のやつは何人もが書いてるから新鮮味がない。
三国志でもと思ったが、あんな長編は俺には無理だ。そこで辿り着いたのが史記だったんだ」
「それと何の関係があるっていうの?」
「まあ聞いてくれ。いざ書こうとしても史記も範囲が広いから、どこかに絞ろうと俺は考えた。
そこそこ有名な楚漢戦争くらいなら俺でも書けるんじゃないかってな。劉邦や項羽が出てくるところだ。
こなたも漢文で習ったんじゃないか?」
「…………うん」
「あの辺りは俺も多少は知ってるからな。早速、資料を集めたよ。三国志と違ってマイナーなところだから、
役に立つ資料も限られてた。だがな、そこに興味深い話があったんだ」
語っているうちに昔を思い出したのか、そうじろうは遠い目をした。
「呂后って奴がいてな。劉邦の妻なんだが、これが残虐な性格だったらしいんだ。
項羽が死んだ後、こいつが彭越って男を処刑したんだよ。彭越というのは劉邦の味方でゲリラ戦が得意な武将だ。
その時のやり方っていうのが彭越の体を切り刻んで醢(しおから)にして諸侯に送るというものだったんだ」
なぜ味方を、という疑問は湧かない。
呂后が猜疑心を抱くようになり、功臣を粛清していったという歴史などこなたにはどうでもよかった。
しかし残忍な方法にはこなたは恐怖を感じた。
付け加えるなら、そのような惨い話を淡々とするそうじろうにも。
「その醢を彼らがどうしたかは知らない。でも俺はそれが妙に気になってな。できることなら食べてみたいって思ったんだよ」
「………………」
もうこなたには笑い飛ばすことも、冗談はやめてくれと一蹴することもできない。
おそらくこれは嘘ではないのだ。
この容器に入っている肉塊もかなたのもので間違いはないだろう。
「人間の肉なんてどんな味か想像もつかない。でも肉であることには違いないんだから、食べられないハズはないんだよな。
もしかしたら思った以上に美味かもしれない。そう考えるといてもたってもいられなくなったよ」
「それで……お母さんを…………?」
「ああ、焼かれて骨だけになるより食したほうがいいだろ?」
初めこそ後ろめたそうに語っていたそうじろうだったが、その口調は次第に自然なものへと変わっていった。
一方でこなたも極度のショックを受けたものの、今はまだ冷静に会話を続けられる程度に精神は保っている。
「気持ち悪いと思わないの? ……その……人間の肉なんて…………」
”人間の肉”という言葉がなかなか出てこない。
彼女は吐き気を堪えながらどうにか発声したが、
「人間も動物なんだ。牛や鳥を食べるのと同じだろ? それにな、牛肉なんかを食べるほうがよほど気持ち悪いんだぞ?」
この質問を予想していたのか、彼は鰾膠(にべ)もなく答えた。
「考えてみろよ。牛やら鳥やらはどこの農家が育ててるかも分からないし、何を食べてどこに住んでいるかもよく知らないんだ。
産地偽装問題なんてのがちょくちょくあるだろ? 俺たちが何気なく口にしてる肉が、食肉になるまでの過程なんてハッキリしてないんだ。
そういう得体の知れない物を食べるほうがよほど気持ち悪いと思わないか?」
「………………」
「その点、かなたの肉なら安心だ。少なくとも付き合いだしてからのあいつのことはよく知ってるからな。
見えないところで添加物を混ぜられることもないし、産地偽装も消費期限の改竄もない。そう考えりゃ安心だろ?
尤も、防腐剤も使ってないから保存はこうやって特別な容器を使わなくちゃならないけどな」
そうじろうの饒舌ぶりにこなたは眉を顰めた。
この男は狂っている。
少なくとも人肉を食べる習慣などこの国にはないし、彼の嗜好も明らかに異常なものだ。
(じゃあ……私もお母さんを食べたことになるんだ…………)
そこに思い至り、こなたは軽く嘔吐した。
自分もゆたかも、食欲に突き動かされて貪るように肉を食んだのだ。
「でも……お母さんなんだよ? 結婚して私を産んで……なんでそんなお母さんを食べたりできるのさ?
お父さんにとっても大事な人だったんでしょ……? 食べたいからって食べるものなの…………?」
詰りながら、こなたは嘔吐したことに複雑な想いを抱いた。
この行為はかなたに対して失礼なのではないだろうか?
吐きだすことは彼女の肉を拒絶することになるのではないだろうか、と。
「あのなあ、こなた――」
そうじろうは小さく息を吐いた。
先ほどまで肉塊を愛撫していた手をそっと離す。
「ハムやソーセージを食べる時にいちいち豚の死を噛みしめたりするか?」
感慨深げに語っていた彼は一転、冷やかな視線をこなたに送った。
「かなたは俺にとってもお前にとっても特別な人だ。今だってあいつに対する愛は変わってない。
でもな、今、あいつはこれなんだ。黙って美味しく食べればかなたも幸せだろう?
それにこなただって今まで食べてきた物に特別何も感じないだろ? それでいいんだよ」
独自の哲学に酔いしれるそうじろうは舌舐めずりした。
量産される食肉とかなたは違う。
こなたは泣き出しそうになったが、彼女の口から出たのは、
「よく……よくそんな事が言えるね。お母さんをこんなにしておいて――」
主に呪詛の念だった。
自分にとって母親はひとりだ。
それをハムやソーセージと一緒にされてたまるか。
「かなたを食べる事はある意味では供養にもなるんだぞ。ただの食材としてだけじゃない」
”食材”と言う前に”贖罪しろ”と、こなたは思った。
「ある寒い地方ではな、家族に死期が近づいている者がいると、若い連中がその人を家から見えるできるだけ遠い場所に運ぶんだ。
極寒の中をランプひとつだけ持たせてな。連れてきた者たちは家に戻って遥か遠くのランプの灯をずっと見ているわけだ。
やがて油がなくなって灯が消える。すると今まで火を怖がって近づけなかった熊やら狼やらがその人を襲うんだ。
灯が消えたのを合図に家族は猟銃を持って一斉に飛び出す。するとそこには口の周りを血だらけにした猛獣がいる。
そいつをな、撃ち殺すんだよ。殺して持って帰って食べるのさ。生で食べるのか焼いて食べるのは知らないけどな。
これがその地方の供養なんだよ。死人を食った獣を食うことで、家族の魂を自分たちの体に取り込むんだよ。
つまり先立った者の魂がそれを喰らった家族の中で永遠に生き続けるんだ。どうだ? 美しい話だろ?
まあ昨夜はそうやって獣を介さずに直接かなたを食べたわけだがな。間接的な直接的かの違いだけだ」
「そんな話、関係ないよ。こじつけでしょ……? お母さんを食べたのを供養だとか言って――」
そうじろうは小説家だ。
モノを書くことを生業にしている以上、彼の想像力や妄想力は他人よりも優れているハズだし、従って辻褄合わせも巧いに違いない。
全く関係ない地方の供養話を持ち出した時点で、こなたはこれがその場しのぎのウソだと思った。
「本当の話だ。別に信じてくれなくてもいい。でもな、かなたを食べる事は立派な供養になる。それだけは分かってくれ」
「分からないよ!!」
声を限りにこなたは叫んだ。
「………………」
一向に理解を示そうとしない娘を愛しく思いながら、彼は小さく息を吐く。
「こなたの気持ちは分からないでもないさ。でも、肉自体は旨かっただろ?」
かなたの死にさほど悲しみを感じていないらしいそうじろうは、すぐに人肉の味に話を戻そうとする。
この点だけはこなたも否定はできない。
あれが母親の肉だと分かっていたら箸をつけなっただろうが、知らなかったとはいえ彼女は貪るように食してしまったのだ。
旨かった、というのも偽らざる感想である。
「大腿筋や上腕二頭筋が特に美味なんだ。人間の肉ってのは赤身の部分に旨味成分が多くてな。これは牛や豚と同じだな」
「やめてよ……」
「こなたに是非食べさせてやりたいところがあるんだ。視神経……これは珍味中の珍味だぞ。量が少なくて貴重なんだ。
昨夜はゆーちゃんがいたから勿体なくて出せなかったが、今度一緒に食べよう。塩をまぶしてからだと――」
「やめてよッッ!!」
父親の異常な嗜好を娘は頑なに拒んだ。
侮蔑と憤りと悔恨の念を込めてこなたは叫ぶ。
自分が母親の一部分を食べてしまったことへの後悔もあった。
その原因はそうじろうにある。
彼がこのような狂った嗜好を持たなければ済んだ話である。
「そんなに否定するなよ。美味しかったなら素直に美味しかったと言えばいいんだ。それがかなたの為だろ?」
「お母さんの為、お母さんの為って……結局は自分の為なんでしょ!? お父さんだって人を食べるのは悪いことだって思ってるんでしょ!?
だからそうやって話をすり替えて誤魔化してるんだ!!」
「じゃあこなたはどうだったんだ? 昨日、あれを食べてどう思った? 旨かったか? 不味かったか?」
「それは…………」
「そういうもんなんだよ。牛や豚は良くてなんで人間は駄目なんだ。それは差別じゃないのか? 熊や鷲だって人間を食べるんだ。
人間が人間を食べたって不思議じゃないだろ」
「………………」
おかしい。気持ち悪い。狂っている。
こなたの感情はそうでも、理路整然とそうじろうが間違っていると諭す方法が見つからない。
ともすれば彼の方が正しい事を言っているようにも思えてしまう。
こなたは何も返せなかった。
再び沈黙が場を支配する。
が、やがて忘れていた喉の違和感を思い出し、こなたは無意識的にそこを掻き毟っていた。
「こなた……まだ症状が出てるのか……?」
それに気付いたそうじろうが怪訝そうな表情になる。
「大丈夫だと思ったんだがな――」
彼は意味深な言葉を続けた。
「なんかヘンなんだ。昨日からやたら水が欲しくなるし、痛いような痒いような感じがするんだ。
ゆーちゃんがあんな風になったのも…………あの料理の所為なんでしょ…………?」
喉に爪を食いこませながらこなたが問うた。
すぐに答えを返さないそうじろうだったが、ここまで喋っておいて今さら隠す必要はないと思いなおし、
「そうだ」
短く、ハッキリと言った。
「人肉は他のどんな食べ物よりも旨いが依然性が強くてな。一度でも口にしてしまうと、また味わいたくなってくるんだ」
麻薬みたいなものだ、と彼は付け足した。
「それでも我慢すると今度は強い飢餓感に襲われる。この時、野菜なんかよりも肉を異常に欲するようになる。
喉が渇くのは水が欲しいんじゃなくて、血を啜りたいっていう症状の現れだろう」
そんなバカな、とこなたは思ったが言葉にならない。
振り返ってみれば確かに自分もそうだった。
昼休み、柊姉妹の弁当箱に詰まっていたハンバーグが欲しくてたまらなかった。
抑えようとしても抑えられなかった。
加工された肉にまるで獣のように食らいつく自分を、彼女は朧げながら記憶していた。
「時おり首のあたりに違和感を覚えたりするんだが、これは子供に特有の症状だ。
こなたももう18歳だから問題ないと思っていたが……そうか、まだか…………」
そうじろうは腕を組んで唸ったが、特に悪びれる様子もない。
「なんで…………?」
「おそらく生態系のバランスを保つために、人間がいつの間にか宿した特性なんだろうな。
人間が人間を食べる時っていうのを考えると、他に食糧がない環境が考えられる。
ないと言っても牛や豚が絶滅してるんじゃなくて、ごく僅かだが生き残っているハズなんだ。
そういう状況下で人が人を喰らうと、飢餓感に突き動かされてまた人を食いたくなる。
そうやって人間は自ら個体数を減らしていくんだろうな。人間は食物連鎖の頂点に立つ存在だからな。
その数が増えすぎるとバランスが崩れるんだ。考えてみるとうまくできてると思うよ。生物っていうのは――」
「そうじゃなくて…………」
額に脂汗をびっしょり掻いてこなたが遮った。
「なんでそうなるって分かってて私たちに食べさせたの…………?」
今のこなたにはもはや父の狂行を断じる気力は残っていない。
彼女にできるのは嘆き悲しむことだけだ。
「俺が人肉食に目覚めたのが18歳の時だったからさ。こなたにも同じように”人そのもの”の旨さを味わって欲しかったんだ」
彼は小さく息を吐いた。
「目覚めたといっても願望に目覚めただけで実際に食べたのはもっと後だぞ? 俺はまだかなた以外の肉は食べたことがないからな」
つまり機会があれば別の人間も喰らってやろうという考えている証拠だ。
「お父さんは……私と同じ年で人を食べたいって思ったの?」
「う〜ん、ちょっと違うな。たとえば包丁で指先を切ったり、棘が刺さったりして血が出るだろ? そういう時どうする?」
「…………舐める、かな。ひどかったら絆創膏貼るけど」
「だろ? 俺もそうだった。でもある時、自分の血が旨いことに気がついたんだよ。不思議なものだよな。
こんなに旨いものが体の中にいくらでもあるのに、自分自身はその味を自由に楽しめないんだから。
だからあの頃はよく態と指を切ったりしてたな。もともと体内にあるものを飲むんだから健康にも問題はないし」
そうじろうが言うには指先などの末端から出血するものより、心臓に近い部分から出る血の方が美味だという。
「俺の時はそこまで症状は出なかったからな。依存性があるっていっても軽いものだった。どうも個人差があるみたいだな。
18ならいけると思ったんだが……やはり成人してからでないと無理なのかもしれないな」
そう言いながら彼は再び袋の肉を愛撫しはじめた。
「ま、それでも抑えられない時はあるんだけどな。今だってこの袋を引き裂いて齧りつきたいくらいさ」
恍惚の表情を浮かべる父を見て、こなたの頭にある考えが浮かぶ。
(まさか…………)
絶望的な想像である。
さすがにそんな事があるわけがない、と彼女は何度も何度も頭を振る。
「お父さん……もしかしてお母さんを…………?」
「なんだ? どうした?」
「お母さんを食べたくて……殺したんじゃないの…………?」
「なっ!? バカなことを言うな!!」
突然、そうじろうが顔を真っ赤にして激怒した。
「かなたは病気だったんだ。お前を産んだ後の肥立ちが悪くて亡くなったんだ。俺が殺したんじゃない!」
先ほどまでとは一転、彼は滾るような目でこなたを睥睨する。
その反応がまた疑わしく、こなたに更なる疑義を抱かせる。
「本当だ。かなたは……かなたは体が弱くてな…………」
娘相手に激怒した自分を悔いてか、そうじろうは目を伏せて力なく零した。
しかしこなたはそれを言葉通りには受け止められない。
母親が病弱である話はそうじろうを通してしか知らない。
こなたが何も知らないのをいいことに、幼い頃からそうじろうがウソを吹き込んでいる可能性もなくはない。
もしそうであれば彼女に真実を暴く術はない。
彼の証言が真実である保証は既にないのだ。
――かなたの肉を黙って料理に出した時点で。
この男は狂っている。
己の嗜好を満たすために人ならざる行いをした。
死んだ人間の肉を食べた、と彼は語っている。
しかし本当は殺した人間の肉を食べたかもしれないのだ。
「信じてくれないかもしれないが、あまりゆーちゃんには食べさせたくなかったんだよ」
こういう副作用があるからだ、と彼は言った。
「首の違和感も飢餓感も一時的なものだとは思うが……」
「だから……」
こなたが口を挟む。
「だから病院に連れて行こうとしなかったんだね……?」
「ああ。医者に診せたらすぐに分かるだろうからな…………」
「…………………」
病院にも行けないようなことをしたのか、とこなたは怒鳴り散らしたくなった。
「騒ぎになったらゆーちゃんも可哀想だしな」
「そんなのお父さんの勝手だよ」
こなたは吐き捨てるように言った。
「ああ、そうだな…………」
悔恨しているのか悦に入っているのか、そうじろうは肉塊への愛撫を止めない。
その手つきを見ていたこなたは、袖に見え隠れする白い物体を認めた。
「お父さん、それ…………?」
「これか」
視線に気付いた彼はそっと袖を捲くった。
手頸から肘にかけて包帯を巻いてある。
幾重にも巻かれたそれはうっすら赤く染まっていた。
「…………」
「…………」
「…………どうしたの?」
理由を話したがらないそうじろうに焦れ、こなたがイラついた口調で問うた。
「まぁ、その、ちょっとゆーちゃんにな…………」
場の雰囲気に似合わず彼は照れ笑いを浮かべる。
大事をとって学校を休んだゆたかは、午前中は自室で眠っていたらしい。
そうじろうも容態が安定しているのを確認して執筆にかかった。
ところが昼を過ぎた頃、台所で不審な物音がした。
何事かとそうじろうが覗くと、昨夜のようにゆたかが冷蔵庫の食材を饕(むさぼ)り食っていた。
床に散らばる肉や野菜。
それらを悉く食い荒らしたゆたかは、しかし満腹感を得ることができない。
その時、視界に入ってきたそうじろうに彼女は飛びかかった。
咄嗟の行動に彼は反射的に身を庇う。
それがまずかった。
無意識に前に突き出した腕にゆたかが噛みついたのだ。
体躯からは想像もつかないほどの閉顎力で、そうじろうの腕を食い千切ろうとしたのだ。
激痛に耐えかねた彼はゆたかを振り払った。
そのつもりはなかったが、彼女は壁に叩きつけられて昏倒した。
血が溢れるのも厭わず、そうじろうはすぐにゆたかを部屋に運び込み動きを封じたという。
「いや、心配ない。ゆーちゃんの反応は正常なものだ。さっきも言ったが依存性の為せる業だし、
いずれは俺みたいに辛抱できるようになる。酒や煙草みたいなものなんだ。まあ、ゆーちゃんには刺激が強かったかもしれないな」
あるいは早かったかもしれない、と言い直して彼は微苦笑した。
その様子を想像したこなたは、有名なホラーアクションゲームを思い出した。
ウイルスによってゾンビと化した人々や動物を倒してクリアを目指すゲームだ。
ゆたかもあの悍(おぞ)ましいバケモノと同じようにそうじろうを襲ったのだろうか。
(私も…………?)
そんな風になるのだろうか、とこなたは思った。
心当たりがあるだけにその可能性を否定できない。
「黙っていたのは悪かったが、そういうわけなんだ。こなたもいずれは――――」
そうじろうが言いかけた時、ドン! と何か重い物を叩きつけたような音が響いた。
「な、なにっ!?」
恐怖に支配されかけていたこなたは、突然の物音にビクリと体を震わせた。
この状況では些細な変化すら恐ろしく感じられる。
「なにか倒れたのかもしれないな……ちょっと見てくる」
開き直ったように見えた彼もやはり気まずさを感じていたのか、跳ねるように立ち上がった。
私も、と同じく動きかけたこなたを制し、そうじろうは足早に部屋を出て行く。
「………………」
残されたこなたは今になって全身に汗を掻いている自分に気付く。
冷や汗だけではない。
これには興奮によるものも少なからず含まれている。
越えてはいけない一線を越えてしまいそうな自分に対する緊張も。
「…………」
この部屋にはこなた独りだ。
そして目の前には容器に押し込められたかなたの肉塊がある。
慾しくなったのだ。
先ほどまでそうじろうを忌み嫌い、人肉を食べる事を徳義に悖るとさえ思っていた彼女が。
それを管理する者がいなくなった途端、飢餓感が理性を押しのけるように襲ってきたのだ。
(食べたい……よ……お母さんの肉…………)
容器に手を伸ばした彼女はすんでのところで思い留まる。
(駄目だ……そんなの……!)
朦朧とした意識は今や劣勢となった理性をどうにか援護する。
しかしもはや風前の灯。
昨夜、依存性のある肉を食べてしまい、そうじろうから人肉の魅力を叩きこまれた今、彼女の内を支配するのもは主に飢餓感。
永遠に満たされない空腹を満たそうと、こなたは再び容器に手をかける。
「駄目……ここで食べたら…………!!」
いずれはこれにも慣れ、衝動を抑えられるようになるとそうじろうは言っていた。
その言葉を信じ、こなたは必死に耐えた。
辛抱すればいい。
一度でも誘惑に負けてしまえばそれで終わりだ。
ゆたかのように獣の如く食肉を漁りたくはない。
(ゆーちゃん……大丈夫かな……?)
かなたの肉を見ないようにして、こなたは拘束されたゆたかを思い起こした。
どちらかと言えば長身で体格も悪くないそうじろうが、不意を衝かれたとはいえ包帯を巻くほどの怪我を負ったのだ。
あの傷を見れば彼がゆたかを拘束したくなる気持ちも分からなくはない。
「こな――――!!」
何かが倒れる音に混じって、そうじろうの声がした。
「お父さんッ!?」
悲鳴に近いその叫びに、こなたは弾かれるようにして部屋を飛び出した。
キッカケが欲しかった。
こうすればごく自然な形で”かなた”から離れることができる。
一時の解放感。
だが――――。
「………………ッッ!?」
現実はいつも辛辣だ。
常に人の期待を裏切り、幸福の後に絶望の種を蒔く。
「……ゆーちゃん…………」
廊下にゆたかがいた。
ロープで縛られていたハズの彼女はくちゃくちゃと何かを咀嚼している。
――こなたは見た。
どぶどぶと鮮血を流しながら痙攣するそうじろうを。
ゆたかはその上に馬乗りになって、首周りの肉を噛み千切っている。
彼女が嚥下する瞬間、その口で塞がれていたそうじろうの傷口が露になり、喉元から真っ赤なシャワーが放物線を描く。
「………………」
赤い噴水で喉の渇きを癒したゆたかは、再びその噴き出し口めがけて歯を突き立てる。
そうじろうはもうピクリとも動かない。
肉を喰われ、血を吸われ、彼はもはやこの世の者ではない。
「ゆーちゃ…………」
発音しかけてこなたは口を噤んだ。
ゆたかは誘惑に克てなかったのだ。
突き上げる食欲が拘束を解き、自分を抑えつけた男を食ったのだ。
不意にゆたかが赤黒い顔を上げた。
両の目が違う方向を向いているが、彼女はたしかにこなたを凝視している。
「えへへ……」
彼女はこうなる前の少女特有の笑みを浮かべた後、そうじろうの首の付け根の肉を噛み切った。
ガリッ、という厭な音とともにそうじろうの頭が僅かに動く。
その首の下はどこにも繋がっていなかった。
歪(いびつ)なボールは右に左に揺れながら転がり、狙いすましたようにこなたの脚下で止まった。
食欲は旺盛でも――あるいは旺盛だからか――動く物には注意を向けるらしい。
不規則な軌道を描くそうじろうの頭部を目で追っていたゆたかは、それが止まった先のこなたを再び見つめた。
が、今度は先ほどと違って微笑まない。
縄張りを侵された獣のように、血走った眼がこなたを睥睨する。
「ゆーちゃん…………?」
暫くしてこなたは悟った。
ゆたかの視線は敵意の表れ。
彼女はおそらくそうじろうの頭も食すつもりなのだろう。
(私が横取りすると思ってるんだね……それで睨んでるんだ…………)
こなたは笑った。
(こんなのってないよ……お父さん……私もゆーちゃんも何もしてないのにさ)
こなたは嗤った。
もう自分には何も残っていない。
意識はまだあっても、これもまもなく飢餓感とそこから来る食欲に吹き飛ばされる。
そうなった後はゆたか同様、ただ食べ続けるだけの日々を送るのだ。
「もう、いいや…………」
こなたはがくりと膝をついた。
漫画にもアニメにもゲームにも興味を持たず、食欲を満たすために喰らう。
それも永遠に、だ。
かなたを喰い、そうじろうを喰われ、可愛がっていたゆたかまでもが餓鬼に身を堕とした今。
こなたには何も残っていなかった。
「生きる意味なんてないよ……どうやって……生きていけばいいの…………?」
彼女は父の頭をそっと持ち上げた。
瞬間、食糧を奪われまいとゆたかが四つ這いで迫ってくる。
自分の知っている顔ではなくなったゆたかを見ながら、こなたは逃げようとも防ごうともしなかった。
いっそ、このまま喰われてしまったほうが幸せかもしれない。
全てに諦観したこなたは思った。
(ゆーちゃんはどうするのかな……? こんなになってこの先独りで…………)
死を覚悟してもなお、ゆたかを気遣うこなたの心はまだ清らかだ。
満たされない彼女はこの家を飛び出し、肉を求めて彷徨うのだろうか。
誰彼の区別なく襲いかかり、それを喰らうのだろうか。
(でも私にはどうにもできないよ、ゆーちゃん……)
ゆたかの顔が目の前にある。
(ごめんね……ゆーちゃん…………ごめ…………)
左肩に激痛が走ったが、こなたは複雑な笑みを浮かべて天井を仰いだ。
支援
支援です。
支援下さった方、ありがとうございます。
申し訳ないのですが……今夜はここまでです。
(なぜかいつもこの最後の最後で書き込めなくなるんですよね……)
明日か明後日の投下で完結します。
>>74 ありがとうございます。
面映い気持ちです。
参考というほどではありませんが、一文がやたら長くて回りくどい時は歴史小説、
暗喩が多用している時は海外小説の影響を受けているものと思います。
皆さん、こんばんは。
ただ今より投下します。
・
・
・
・
・
肉を引き千切る感触と軟骨を噛み砕く音に、こなたは我に返った。
視界が真っ赤に染まっている。
鼻腔を容赦なく貫く血液の臭い。
舌の上に僅かに残る食感。
それら全てが一時的に彼女の意識を支配していた。
ふと視線を下におろす。
両腕をもぎ取られたゆたかがあった。
たおやかな白い肌は醜く傷口を露にしており、そこから溢れ出る血液は既に凝固が始まっている。
彼女の手には指が1本も無かった。
切断面にはくっきりと歯型が残っている。
さらに視線をずらし、その胴体を見たこなたは卒倒しそうになった。
乱暴に引き裂かれた腹部から腸が飛び出している。
ぽっかり空いた穴の中に臓器はほとんど見当たらない。
ただ腥(なまぐさ)い体液で満たされているのみである。
「うっ…………」
その下には首のないそうじろうがある。
こなたの記憶の中の彼はかろうじて原形を保っていたが、今は5つに分かれた肉塊でしかない。
「はは…………」
こなたは口の端を歪めて笑った。
その拍子に歯の隙間から毛髪が滑り落ちた。
「わたしが……わたしがやったんだ…………」
聞く者のいない呟きは空気を通して自分に返ってくる。
長く息を吐きながら、こなたは自分の腹をさすった。
大きく膨れている。
こうなった理由は分かっている。
「お父さん……」
返事はない。
「ゆーちゃん…………」
返事は――ない。
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」
こなたは突然立ち上がった。
「いやだああぁぁぁぁあぁッッッ!!」
喚き散らしながら廊下を駆ける。
飛び散った血液に足をとられて翻筋斗(もんどり)打って倒れる。
「ううぅぅ…………」
痛みはなかった。
左肩に受けた傷が疼くこともない。
ただ彼女は錯乱していた。
あのままゆたかの牙を受け容れて死ぬ覚悟を決めた自分が、よもや最後の最後で人肉が引き起こす発作に負け、
反対に彼女を噬(く)い裂いてしまうとは思わなかったのだ。
こなたに生きたいという意思はない。
辛辣な現実の連続に未来への希望を持てなくなっているのだ。
最愛の母の肉を喰らってしまったこともある。
人として、してはならない行為に及んでしまった後悔。
恐らく一生抜け切ることはないであろう依存性。
「いやだ……ゆーちゃんみたいになりたくないよ…………」
決してゆたかを貶しているのではない。
だがあの姿にだけはなりたくはなかった。
人を喰った時点で人は人ではなくなるのだ。
それを間近で見てしまったこなたに、生への希望が生まれるハズがない。
仮に目に見えて変化がなかったとしても、依存性は残る。
そうじろうがそうであったように、人肉への愛慕の情は消し去れないのだ。
(分かってる……分かってるけど…………!!)
ゆらりと立ち上がったこなたは食べ物を求めている自分に気付く。
飢餓感だ。
空腹を通り越して無限の食慾が湧いてしまっている。
(死にたいよ――)
そう願っているのに、体は肉を求めている。
喰う行為が生に繋がっているのに、彼女は死にたいと願っている。
この矛盾を彼女は死ぬまで繰り返す。
「そんなの嫌だッッ!!」
こなたは叫んだ。
言語能力は失われていない。
しかし思考は殆ど欲望に食い荒らされている。
「嫌だよ、そんなの……お腹空いたよ……嫌だよ…………」
こなたの体は本人の意思とは無関係に振り返り、2つの肉塊に向けて歩を進めている。
(だ……め…………)
このままではあの屍肉を喰らうことになる。
――死にたい。
――食べたい。
――もうイヤだ。
――食べたい。
「…………ダメだッッ!!」
あと数歩で求める肉塊という距離になって、こなたは最後の力を振り絞ってその場から離れた。
だがあくまで一時しのぎでしかない。
これが彼女にできる最後の抵抗。
時間が経てば再び飢餓感に襲われ、そうなれば今度こそそれを抑えることはできない。
重い足を引きずりながら、こなたは洗面台にやって来た。
(そうだ……死んじゃえばいいんだ!)
こなたの瞳に僅かに光が戻った。
(簡単なことじゃん!!)
いたずらを思いついた子供のように、こなたは満面の笑みを浮かべた。
自分の考えが正しいことを確信しつつ、彼女は洗面台の鏡を見つめた。
彼女が求めるものはここにあった。
死にたいという願いと、食べたいという欲求を同時に満たす方法。
――自分を食べてしまえばいい。
「はは……ははは…………」
肩を震わせてこなたは自分を嘲笑い――。
忌々しい左腕に噛みついた。
(………………ッッ!!)
顎に強く力を込めると、激痛とともに血の味が口内いっぱいに広がった。
こなたはその味に酔った。
かなたよりも、そうじろうよりも、ゆたかよりも――。
誰の肉よりも旨かった。
溢れ出す血液は喉を潤す最高級のジュース。
鉄分を多く含んだ飲料はどろりと舌の上に残り、その余韻をいつまでも楽しませてくれる。
新鮮な肉は至高の食材。
やや硬く小振りではあるものの、歯ごたえのある生肉は本来ならば適度に満腹中枢を刺激してくれる。
2度、3度と食い千切っていくと焦げ茶色の骨が露になる。
こなたは恍惚の表情で抉り取られた左腕を見つめていた。
人肉には一種の麻酔作用があるようで、彼女はいつの間にか痛みを感じなくなっていた。
感じなくなったのは痛みだけではない。
もはや味も分からなくなっていた。
痛みも、味も。
自分が今、していることすら彼女は理解できなくなっている。
しかし体だけは予めプログラムされていたかのように咀嚼と嚥下を繰り返している。
・
・
・
・
・
――肘の辺りを噛み切ったところで、こなたの体は動かなくなった。
終
以上で終わりです。
きっと最初で最後のカニバリズム作品。
お読み下さりありがとうございました。
またお会いしませう。
こなちゃん死んじゃったの?(´;ω;`)
>>100 乙!
面白かったです。
自分を食べて自殺とは斬新だな!
マリーアントワネット「お腹が空いたのなら、お菓子を食べればいいじゃない」
こなた「お腹が空いたのなら、自分を食べればいいじゃん!」
こなた「そうだ、自殺しよう」
死んでも死んでもまだ足りないか
このカニバ小説、もしや関よしみの「愛の食卓」から影響を受けて書いたのかな
いや、ストーリーは全然違うんだがオチが似てるもんで…
グレゴリー辺りの影響じゃね?
それはそうと、避難所でデフォ北見つけてびっくらけ
おみゃーさん、作家も画家も止めて、JEDIの太鼓持ちに転向か?
別に構わないけど、未完のまま四面楚歌放るんなら、一言コメ欄で伝えてあげれば?
何か待ち焦がれてる人居るじゃん
108 :
デフォ北:2009/11/17(火) 01:44:40 ID:3MccKg/K
>>107 すみません…
長々と準備してきた文化祭が先週終わったので、
今週の提出物の山を超えれば、土曜日から漸く書けます
更新頻度が明らかに遅いために未完と疑われるのは重々承知しているのですが、
四面楚歌は本当に完結させるつもりです
結末までのプロットが完成しました
今後少々汚い展開になることが予想されますので、食事中はマズいですね
12月初めにまた考査があるので、その周辺期間はひとまず勉学に勤しみます
新作SSもまだ完成には程遠いですが、時間の許す限り執筆致しております
てか『太鼓持ち』とかいちいち挑発的な単語を使う意味が分からんのだけど。
110 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/17(火) 15:28:15 ID:JJvMfpgO
死なない
おまいらキチガイ過ぎる…
112 :
グレゴリー:2009/11/17(火) 18:17:14 ID:Ll1jZDQ1
もはやコテを名乗る資格もないと思い、沈没していた私ですが
今回は名乗ることをお許しいただきたい。
>>100 JEDI氏のカニバリズム作品を読みました。
人肉食という行為に宗教的な理由をこじつけ、倫理的な逃避を図っていた
私の作品の登場キャラたちと違い、本能に根付く自然的な欲求という
正当性を打ち出したJEDI氏の解釈に脱帽w
自身がssを書いたことのある人間にとって、氏の多産ぶりと表現力に
賞賛の言葉を送ることは不思議ではありません。
>>106 残念ながら関よしみ作品に着想を得たわけではないのですが、あの人の描く漫画は面白いですよね。
ホラー漫画誌によく掲載されてますが、人間の愚かさとか自然の脅威を主題にした作品には色々と考えさせられます。
『異常な嗅覚を持った少女』シリーズが特に好きでしたね。
他に三家本礼や日野日出志や御茶漬海苔作品も好きなのですが……。
少し前、PS2版を引っ張り出したらギャラリーモードの8ページに僕の信奉する漫画家のCGを見つけました。
なぜこんなところに……と首を捻ったものですが、その漫画家の作風を真似たSSを執筆中です。
年末にはお披露目できると思います。
>>108 楽しみにしております。
完成を急ぐのもアリですが、じっくりと時間をかけて見応えのある作品を練り上げられるのもよろしいかと。
ご自身のペースで執筆なさって下さい。
>>112 お読み下さりありがとうございます。
このSS、グレゴリーさんの作品に影響を受けて書いております。
かなり前になりますが「ヴァレンシュタイン.デイ」が投下された際、
いずれカニバリズムSSを投下したい、旨のコメントをしたのですがそれを漸く果たせた想いです。
「噬い裂け肉叢」は貴方なくしては書けなかったと言って差し支えありません。
懐かしいな、バレンシュタイン・ディ
中尉との三者合作はどうなったよ?
>>113 私、神奈川版「麾く煉獄」を書いたものだけど、話の追加で遺産相続でかがみたちが
乱入するのを書いていいでしょうか?具体的にそうじろうはゆいやゆたかたちとは
血のつながりすらなかったと書こうと思うけど。
どうでしょうか?
>115
僕は一向に構いません。
SS書きとしては下地に使っていただけるのは大変ありがたいものです。
遠慮なさらずどんどん使ってください。
117 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/19(木) 20:56:53 ID:JfM4dEOf
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l/: :l l: : : { (●)::::∨二ヽィ ⌒ヽ: :ハ: : l
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. l: : : W/: : N ー-ミ( 0,: 0)ゝ___ノ: lN V
. l: : : : :ハ: : : ー-ミ/,-'ニニヽム::メlハ: :ハl
l: : : : : :、: : : 「フ`‐>ヾ二ン"´: :l l/
. l: : : : :,レ、: : :ヾ、 /、`Y/:l:l: : l J
/: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
/: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、 l ll: : l
/: : / ヽヾヽ: : lヽ l /l: : l
/: : / l \ヾ、: l ヽ l //l: :/
/: : :l l ハ ヾ、l、、l l////l
新作投下やらグレゴリー氏の再来やらうつ☆すた派生作品やら
活性化してていいかんじですなあ。
>>41 今更だけどこれはいい!
上でも誰か触れてたけど、夢から覚めた後の畳み掛けは鳥肌。
でももっと作りこめそうだなーと思う。
そして、大分さんの絵、何か新作来ないかなーとか思ったり。
119 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 01:38:24 ID:MWqi/lEK
___
. . :´: : : : : : :ミ: 、
/ : : : : : : : :\ : : : \
/: : : : :′: : : : : : :ヽ : : : ヽ
.′: : : :|: : : : : : : : : : : : : : : .
|: :| : : :イ: : : ト: : : : : : !: i:. :| 将来池沼が生まれて小説みたいに虐待されます
|ノ:|: _/イト: : ト廴ヽ: : :|ヽ:. : :!
/}:ハ: ! \、|: |: :ト:|
|: : :V. へ , へ :ソ: l:. :|リ あう〜あう〜♪
ル'| : :.} xx __ xx. }: : :| }ノ`ヽ
|人:{人 (,,_,| イ: : :ル' {
V ` \丁 ‖ _.ノ}:/ } }
} >――r―‐< / / /
| / ミ厂 ̄{彡 `ヽノ !
ノ_} 个i′ `ー‐、 ∨ {
[_ノ {ニ }池 沼 i} ヽ二}
{ 厂 r‐y‐、 '| `T′
丶__ノ ヽ. ノ 人 /
| >r
ノ 廴
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 01:43:07 ID:MWqi/lEK
へ、__ , , , . − '"/
,. - '. : : : : : : : : ̄:`.く、ゞ、, : : -='、
/: : : ; : i: : : : : : : : : : : : : :`ヽヽヽ; : : : :丶
/: : : : : :i: ハ: :ハ; : 、: : : : :i : : : : ヽヽヽ;.: : : : i
/: : : :.i: : : |: i:::.`; :|弋: 丶: : : : i : : : : : ',`, `;.;.: : i:|
/: :i: : :.|: : : ハ;::::::::.'.:| ::\: :.i:.i:::i: ||: :,ノ: : ハ `, i::::. ::i:|
,': /|:.i: :.|: : :i !i::::::::::::::i;=ニゞ、!: : i:|ソ: : :ノ::| |:i .i|: ::. :|
ノノ i|: :ハ: : | ,!=、:::::::: "刺ミ,ヾ,y; : |: ://::::i, u ノi:ハ,: !
ノ |: i:::i: :.|i!逝i} ::::::::. {殺ツ,ノソi,:.rニ;'::::::ハ:丶':i| ヾ
|: i:::::i: ハ`去' `- ' i 'ソ .}::.ノ! .レ'ソ
!:|i:::::i:.! i ,,, ' ''' ,、// | !
___ !| V 'i i 弋フ、 ノ;/" `'
i-- 、 /:::r'γつ`丶、 `\ / tっ, 嫁はノイローゼになり
|:.: ヽ;:::}' / /っ::::::::::ソ ` ソヾ" ,/"::::::`ゞ,、
. |:.:. ソ, ',/っ:::::::::i、 ,/" / /.:: :: : //_'ゞ、
. |:.: `. Y:::::::::i|::| ,バ":: ::i:/-,/:: ::,//:/¨ ¨ :ヾ
i.::. `.,.|:::::::::::':::|ハ:'. `. ::/=/:: :://.:/ :.|
/.';.:. `、::::::::::;>! i::`ソ、ツ.//.::/ :|
i:::::::`、:: 丶/y y `、`,!r/_'" ;. , .:|
. |:::::::::|:`、:: ヽ!. /,./`'r⌒,," \ !:: i .::|
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121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 01:44:10 ID:MWqi/lEK
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( )( )(, )(,, ) ,,)( )( )(, )
122 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 01:46:50 ID:MWqi/lEK
: : : : : :/ : : : / / ' : : : :| : }: : : : ヽ:ヽ
: : : : : l : : ; へ ⊥ ___; : : : ト :ヾ: : : : : | i:|
: : : : : |: :/ _ 二 ̄ ´ ': : :/ | }: : : : : |/:l
:/ : : : :V| ( ___ ) ∨゙ヽ.!ハ : : : 〃/
l : : : : i: :| ` ̄ ̄人 ((⌒`ヽ∧ : /イ/ 池沼の娘を引き連れて死ぬまで不幸が続きます
l : : : : |: |⊂ニ⊃ (0__) ` ー=fヘ∨ノ |
: : : : : l: l ⊂⊃ ヽ: : |
: : : : : l l /:| }_ノ: :|
: : : : : :||丶 ` ′ ノ: : : : :|
i: : : : : :| 、 _.. イ: : : /: :/
|、: : : : :| ーァ‐`‐一(´ 0ノ : : /l: /
ヽ : : :!、 /}⌒i\: :ノT:´ : : /
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 01:58:24 ID:MWqi/lEK
他スレに散々場違いな作品を投稿して荒らしておいて
もうそちらには関与しないから自分所にはちょっかい出すなって
さすがキチガイは言うことが違うなすげえ面の皮だぜ
他人を食い物にしてきた人でなしには何の血が流れてるんだ
お前の一生に不幸と災いの報いが来ることを祈ってるから
お前が愛する人間を失うことを願っているから
難病と障礙でのたうち回った末に
失意と不幸のどん底で自殺することを祈っているから
決して陽の当たるところ畳の上で死ねないことを祈っているから
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/20(金) 22:43:15 ID:3EONfMjH
最近の糞神奈川じゃなくて、前の神奈川ってまだいるの?
125 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 04:32:23 ID:rNdfMW4K
クソーッ、ダイミョウザザミが倒せん!
ソロプレイじゃ無理なのか?
下位?上位?G級?
127 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/21(土) 10:38:52 ID:QVxCIPQ1
避難所の大分とか言う奴のSSもくだらんな
お前等目が肥えすぎ^^
129 :
お祭り大好き@お腹いっぱい:2009/11/22(日) 00:03:11 ID:OG+YOTng
加担したら加害者と同レベルかなぁ。
被害者が自殺に追い込んだ、ってんならまだ共感できるけど、
無関係な人が加担すんのはどうかな。
行為の先後が悪を正義に変えるほどの重要性を持つとは思えないし。
てか、旧帝レベルでコレか。
「学歴関係ないよね」とか言われちゃう他の旧帝生が不憫ではあるけれども。
131 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 00:45:46 ID:J7xhNIU4
死ねキチガイども
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/22(日) 14:56:34 ID:SJtNHPz6
うるさい!こなた死ね
_,-,ニ二ニ=、
// 。
/:/ ;:;:∵;:;:;:;:;: ゚
ヾ`、 ,;:;:;:;: ;:;:;:∴;:
>+:‐: ´: ̄:  ̄:∵,.:.:∴:.: .:.:.:.:.: !i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
/: : : : /: : : : : : : *;:;:;:;:;:;:;: ;:
/: : : /: : : : : : : :/: :;;.:!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i
l: : : /: : : : : : : : :/: /l: :;.:.:.:.:.:.:.:━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━━┓
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l: /://: : : : :/::/':::::/: : : ; .:.:.:.:.: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:┃┃
l://://: : : イミ土=、_/: : :/:;;.:.:.:.:.: ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;();:;();:;:;:┃┃
l/: :l l: : : イ:llo:::::::/:::/://:::∵ ,r,,、 ∵。:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:┃┃
l: : :l: l: :/.:l.:l し: 」:::::l/:'::::::∵( @ :.:.:::━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━┛┗━┓
. l: : : W/: : N ;:;:;:;:;:、 ;, *,;゚ .━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┻━━━━┛
. l: : : : :ハ: : : ト、 イ*つ;:;:;:;:;:;:∴:;:;:;:
l: : : : : :、: : : 「フ`‐- ,、!i!i!i:T´: :l l/;:;:;:;:;:;:;:
. l: : : : :,レ、: : :ヾ、 /、`Y/:l:l: : l
/: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
/: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、 l ll: : l
/: : / ヽヾヽ: : lヽ l /l: : l
/: : / l \ヾ、: l ヽ l //l: :/
/: : :l l ハ ヾ、l、、l l////l
.||\|| |.
_,-,ニ二ニ.|\|`
// .|\|
/:/ ,・',,・',,・|\|.・', ,・',
ヾ`、 ・', ,・',. |\| ,・',′
>+:‐:,・',,・'⌒γ・~゙i,・',/
/: : : : /・', ,・~゙i~゙i~゙i ,.,・',′
/: : : /: : : :,・'・', ,~゙i~~゙i~・', ,・', 、:\
l: : : /: : : : : : : ,・',,・,\∵/ッ,・',′ :ヽ: :ヽ
/: :/: :/: : : _,:_∠L、:::,・',,・',,・',::l l: : : : :ヽ: : ヽ
l: /://: : : : :/::/':::::/: : : /::::-H、: : : : : lト、: ヽ
l://://: : ::;ィ ⌒ヽ::ヽ:::::ヾ:::::::::l∧: : :l: : :l `ヾ、
l/: :l l: : : { (●)::::∨二ヽィ ⌒ヽ: :ハ: : l
l: : :l: l: :/.::ゝ____/::し⌒J::{ (●) : :l:N: :l
. l: : : W/: : N ー-ミ( 0,: 0)ゝ___ノ: lN V
. l: : : : :ハ: : : ー-ミ/,-'ニニヽム::メlハ: :ハl
l: : : : : :、: : : 「フ`‐>ヾ二ン"´: :l l/
. l: : : : :,レ、: : :ヾ、 /、`Y/:l:l: : l
/: : :rニミミヽ: : ヾ、-─┤ `┤: : l
/: : / ̄\ヾヽ: : :ヾ、 l ll: : l
/: : / ヽヾヽ: : lヽ l /l: : l
/: : / l \ヾ、: l ヽ l //l: :/
/: : :l l ハ ヾ、l、、l l////l
てか、四面楚歌更新されてるね。乙
134 :
グレゴリー:2009/11/25(水) 11:34:46 ID:IjQVi6UG
ちょうど一年前に書いた「女たちの陰謀」の続編のアイデアが湧いてきたのです。奇しくも前作と同じクリスマスに披露できるかもしれない。
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/25(水) 19:25:30 ID:D8+tCsbN
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
泉こなた死ね
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/11/26(木) 05:42:19 ID:LXZvy25P
ぽんぽんおはどうなったんだ
管理人は死んだのか
好きだったのになぁ
あっぷぷぇ!
\(=ω=.)/
139 :
グレゴリー:2009/11/28(土) 19:05:23 ID:Y/s9gt2x
>>134 中尉のことは分からないがガンガンは元気だと思う。
テンションの低さが俺らのデフォでね。
合作だとかオフ会だとか騒いでた割にはすぐにテンションが下がってしまって。
この、すぐに死人のような無気力さになってしまうテンションの低さといかに
戦うかが俺の人生の目的になってしまっている。
またオフ会やらないの
作品は書いてないが参加はしたい
こなた「かがみん、つかさぁ」
みゆき(呼び捨てですか……でも私だけ)
こなた「あ、そうだみゆきさん」
みゆき(さん付けなんですね……)
みゆき「はい、何でしょう?」
みさお「おっ、ちびっ子じゃんよ」
みゆき(!?こなたさんに悪口を?それとも渾名?
高校一年からの付き合いからの私でさえ、こなたさんの事は慎みを以って泉さんと呼んでいるのに)
こなた「どったの?みさきち」
みゆき(みさきち……ですか。仲良さそうですね。私の事は、さんづけなのに。
私の方が付き合い長いんですよ?それと、私に言いかけた事ってなんですか?)
みさお「いやさ、来月のクリスマスなんだけど、一緒に遊びにでもいかねぇ?
柊と妹も来れんだろ?」
かがみ「いいわよ」
つかさ「んー、私は家族と過ごすね」
かがみ「やっぱ止めた。私はつかさと過ごしたいから」
みゆき(このジョック、私だけ省きやがりましたね。これだから体育会系は……)
こなた「いいよー、むふふな事しようねー」
みゆき(!?こなたさん、私と過ごして下さい……)
あやの「あ、泉ちゃんだー」
こなた「あ、峰岸さんだー」
みゆき(……泉ちゃんとは、馴れ馴れしいですね、付き合い浅いくせに。
ですが、苗字にさん付けで呼ばれてるんですか。私は名前にさん付けですので、
私の方が上位ですね)
こなた「峰岸さんもクリ……あ、峰岸さんは彼が居るのかー。
峰岸さん可愛いもんね。まさに歩く萌え属性」
あやの「そんな事ないよー。泉ちゃんの方が可愛いわ」
みゆき(ええ、その言には全身全霊を持って同意致します。ですが……歩く萌え属性は私だったはず。
こなたさん、あんまりです)
みゆき「あの、泉さん。先ほど私に言いかけた事は?」
こなた「ああ、クリスマスの誘いだったんだけど、ごめんね。
みさきちと過ごす事になったから」
みゆき(……え!?あのジョック、絶対に許せません。ジョックだけじゃない、
峰岸さんもつかささんもかがみさんも、一人残らず許しません。
でも、四人も殺めるより、一人だけ殺める方が早い。それに、確実です)
・
・
・
かがみ「駄目よ、火事が酷くて回れないわ」
つかさ「ゆきちゃんとこなちゃんが中に居るのに」
みさお「ちびっ子、今助けに行ってやる」
あやの「駄目よ、危ないわ」
みさお「離せ、くそあのファッキンメガネ!!死にたきゃ一人で死ねよ!
ちびっ子を巻き込んでじゃねぇ!!」
みゆき「聞くに堪えない罵声が、こちらまで届いてきますね。
ですが、これで泉さんは私のもの……。一緒に死ねれば、貴方達の手は届きません」
こなた「ならないよ。みさきち以外の人間と添い遂げるくらいなら、一人で死んでやる」
みゆき「……。どうして!?どうして私の気持ちに気付いてくれないんですか!?
どうして日下部さんなんですか!?」
こなた「この前クリスマスで一緒に過ごした時、肌重ねたんだ。面白半分でレズってみたけど、
それで分かったよ。私とみさきちは相性がいいって。
だから、みさきちと付き合う事にした」
みゆき「そんな……」
こなた「じゃあね、みゆきさん。私はみゆきさんの手にはかからない。勝手に死ぬよ。
だから私は、みゆきさんのモノなんかにはならない」
みゆき「……あんまりです」
こなた「じゃあね。えいっ」
みゆき「いやあああああああああああああああああああ」
ヤケクソとかどれくらいっぷりだよw
はっきりって全く面白くないよどこを評価すればいいのこれ
時間をかけて練ってこれならあんた才能ないよ
俺は好きだけどね
よく見ると細かいところに笑いをさそう小道具があったりするし
焦らず展開を楽しもうぜ
146 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/03(木) 03:31:24 ID:Ug1J0Lbq
たで食う虫も好き好き
昔のスレからwiki未収録の分を追加、「お駄賃」
ゲロってエロいんだな
149 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/04(金) 22:52:20 ID:mGExaLWh
可愛い女の子がゲロ吐くの萌え ?
150 :
グレゴリー:2009/12/04(金) 23:22:42 ID:Njnrj8UM
グロはいかかでしょ?
今書いてるssは全編を通して、信じられないくらいのグロですw
なんとかクリスマスまでに圧倒的な残虐グロスプラッターの血の雨を
降らせたいぜ
151 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 16:19:14 ID:BVgqz57O
楽しみにしているよ、 Mr.グレゴリー ?
殺す方法
1、う●こを食わす
2、らきすたをグロアニメにする
3、からだのあかを食わす
154 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/05(土) 23:23:25 ID:BVgqz57O
自動小銃で目と目の間を撃ち抜く
痛い
一瞬で死ぬからつまらん
誰かに見せつけるならともかくも
157 :
師匠:2009/12/06(日) 12:19:00 ID:9cdczN26
皆さん、こんにちは。
懲りずにまた書いたので今夜、投下させていただきます。
よろしくお願いします。
158 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 12:50:23 ID:zKw2oBKw
いらんわボケ
>>157 うざ
黙って投下すればいいのに
懲りずにとか前置きが必要なら投下する必要ないんじゃない?
160 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 17:33:37 ID:jBgYZ99A
161 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/06(日) 21:40:54 ID:KPseZcKX
師匠さんって何書いた人だったっけ?
たぶん幸せのゴールASの人
163 :
並行世界1:2009/12/06(日) 23:11:32 ID:9cdczN26
《1》
1月14日(月曜日)夕方
1月もなかば、やっと年明けのドタバタも落ち着いてきた。そんなある日の出来事だった。
私は、担任の桜庭先生に頼まれ、遅くまで手伝いをしていた。
「受験生なのに遅くまで悪かったな」
「いえ、私の事は気にしないで下さい。今のところ、志望校も合格圏ですし」
「おお、そうだったな。じゃ、また近々頼むわ」
「えっ! は、はい……」
し、しまった。
桜庭先生の性格を考慮に入れて、ヘタな事は言わない方が良かったと私は思ったが、後の祭りだった。
「んじゃな、柊。気をつけて帰れよ」
「は、はい……」
桜庭先生が去った後、教室で私は1人、帰り支度をしていた。
「ったく、口は禍のもととは、良く言ったもんよ」
その時だった……私以外、誰もいない教室の空気が張り詰めた感じがした。
なんなのよ、この感じ……。教室に今まで感じた事のない、異様な空気が漂う。
「誰?」
私は、人の気配を感じ辺りを見まわす。
そして、教室の出入口に目を向けた瞬間、信じられない人物が目に映った。
「わ、私……?」
そこに立っていたのは、紛れもない自分自身だったのだ。
もう1人の私は、ゆっくりと私に近づいてきた。
「驚いているようね? ま、自分がもう1人いるんだから無理もないけど」
「な、なんなのよアンタ……なんで、私がもう1人いるわけ?」
私は、突然起きた異常な出来事に少し気が動転していた。
「落ち着いて聞いて、私は正真正銘のあなたであって、あなたではないの」
「はっ? 言ってる意味が、わかんないんだけど?」
「立ち話もなんだから、座って話しましょ」
そう言って、誰かの席に腰を降ろすもう1人の私。
私も警戒しながら、それに倣(なら)う。
「順を追って、話すわね……」
私は、思わず唾を呑む。
「並行世界は、知ってるわよね?」
「並行世界? ……ああ、パラレルワールドの事ね?」
「そう……ある時空から分岐し、それに並行して存在する別の時空、もしもの世界……。」
「要するに私の存在する世界も現実で、アナタの存在する世界も現実って事よね?」
私は、もう1人の私の話を素早く理解した。
「その通りよ。私は、この世界の時間で見て、1年後の並行世界から来たの」
「アナタは、この世界とは別世界の私だけど、未来の私ってわけね?」
1年後の自分。未来から来た私は、なんだか悲しい目をしている。
私なのに私ではないような……そんな悲しい目。
「信じてくれるかしら?」
「にわかには信じ難いけど、実際に私の目の前にいるんだから、信じられなくても信じるわよ」
「助かるわ。今度の私は、話がわかるようで……」
164 :
並行世界2:2009/12/06(日) 23:12:18 ID:9cdczN26
未来から来た私……あーなんか、ややこしいから未来から来た私の事は『未来かがみ』でいいわね!
未来かがみは、これが初めての並行世界ではないような口振りだった。
「今度の私?」
「ええ、この世界で6回目よ」
「な、6回目って……」
未来かがみは、一体なにが目的なのよ?
「そ、それでアナタの目的は、なんなのよ?」
目的を聞かれた未来かがみの頬には、一筋の涙が伝っていた。
「こなた……」
「え?」
「私はこなたの……こなたの『自殺』を止める為に並行世界を彷徨っているの」
私は、耳を疑った。
「こなたが、自殺? あはははは、冗談にも程があるわよ。あのこなたが自殺なんてするわけないでしょ?」
私は、未来かがみの話しを笑い飛ばした。
しかし、未来かがみの目は真剣だった。
「本当よ。今から1週間後、こなたは……自殺する」
私は、未来かがみの真剣な眼差しに悪寒が走った。
「う、嘘よ! そんなの絶対に嘘に決まってる」
「私が、嘘を言っているように見える?」
「うっ……」
嘘は、言っていない……。それは、未来かがみの眼を見ればわかる。
「私は、こなたの死を目(ま)の当りにしたショックで、時空を移動できる力を手に入れたの」
「見たの……こなたが、死ぬところを?」
「……ええ」
その問いに答えた未来かがみは、悲しく……そして寂しい眼をした。
「ごめん……嫌な事、聞いて」
しまったぁ! 今の質問は、未来かがみに対して無神経だったわね。
「いいわよ……別に」
その言葉とは、裏腹に未来かがみの表情は最悪だった。
うわっ、空気重! 話、変えなきゃ……。
「でも、なんで5回も失敗するのよ?」
「それは『時間』が私を邪魔するからよ」
「時間?」
「そう……時間は、物事を変えようとしても本来の出来事に近い形に戻そうとする力が働くみたいなの」
私は、それを聞いて1つの疑問が頭に浮かび上がった。
「ちょっと待ってよ! アンタの話、根本的におかしくない?」
「何がよ?」
「だって、それぞれ違う並行世界なのに、なんで毎回こなたが自殺するのよ? こなたが自殺しない並行世界
だって存在するはずでしょ?」
「ダメなのよ……」
「ダメ?」
「どうも私が移動できる並行世界は、こなたが自殺する世界だけみたいなの……。そこに行き着くまでの過程は
違うけど、最終的には自殺の結末が待っているのみ」
165 :
並行世界3:2009/12/06(日) 23:13:04 ID:9cdczN26
私は、驚愕した!
未来かがみの言う通りであれば、この世界でもこなたの自殺がほぼ確定してしまった事になる。
「じゃあ、この世界でもこなたは自殺しちゃうの?」
「恐らくは……だから、どうしてもこの世界の時間に逆らうしかない」
「ど、どうすればいいのよ?」
「時間の力は、強大な物……それを変えるのは、並大抵の事では不可能!」
「私、こなたを救えるなら、なんだってするわ!」
「その言葉、本当ね?」
私は、未来かがみの問いに無言で頷いた。
「じゃあ、自分の気持ちに素直になりなさい。私が言えるのは、ここまでよ」
「えっ、何よそれ?」
「悪いけど、核心は教えてあげられないの」
なるほど、この世界の時間のせいね……。
未来かがみは、この世界においてはイレギュラーな存在!
あまり干渉し過ぎれば、時間がそれを排除しようとする力が働く恐れがある。
「わかった。出来る限りの事は、やってみるわ」
「たのむわ……。こなたの自殺を止める鍵は、あなたが握っているはず」
「うん……」
「あなただけが頼りよ。そして、私にこなたが自殺しない未来を見せて。私の世界では、もうそれは叶わない事
だから……」
そうよ、そうなのよ! 如何に、この世界でこなたの自殺を止められたとしても未来かがみの世界には、
なんら影響はない。それが、並行世界の悲しい因果……。
それでも、それを実現しようとする未来かがみ……なんだか、心(むね)が痛い。
「ませてよ、私は柊かがみ! こなたの1番の親友よ」
「ふふ、頼もしいわね」
未来かがみは、初めて私に笑みを見せた。
「アンタも沈んだ顔より、笑った顔の方がカワイイよ」
「ぷっ、それって自分で自分を褒めてるのと一緒よ?」
「え、まぁ……そうなるわね」
私は、頬をポリポリと掻く。少し、顔が赤くなっていたかも知れない。
「それじゃ私は一旦、自分の世界に戻るけど……くれぐれも、行動の選択には気をつけて!」
そう言いながら、未来かがみは椅子から立ち上がった。
「ええ……わかってるわ」
返答しながら、私も立ち上がる。
不意に未来かがみが、左手を差し出してきた。
「健闘を祈るわ」
「ええ、まかせて」
私と未来かがみは、誓いの握手を交わして別れた。
自分の左手で、自分の左手に握手するのは、何か変な感じだった。
別れ際、携帯電話の番号を聞かれたので教えてあげた。
さて、まかせてとは言ったもののどうすればいいのよ?
私は色々な思考を巡らせながら家路についた。
166 :
並行世界4:2009/12/06(日) 23:13:44 ID:9cdczN26
《2》
「あ、お姉ちゃん。お帰りぃー、遅かったね?」
帰る早々、玄関で妹のつかさとバッタリ出くわした。
「お、つかさ。ただいまぁー」
「何かあったの? むずかしい顔して」
普段、お人好しで、天然キャラの傾向があるつかさだが、結構気がつくところがある。
私も感情が顔に出やすいというのもあると思うけど……。
「んー、大した事じゃないの。桜庭先生にまた、頼まれ事されそうでね」
私は、つかさに本当の事を言わなかった。
あまり他言すれば、この世界の時間に影響する可能性があったからだ。
「ふーん、お姉ちゃんも大変だね」
「まあねー」
私は、軽い返事をしながら自分の部屋に向かう。
制服から部屋着に着替えながらも、こなたの事が頭に浮かんできてしまう。
あのこなたが、本当に自殺なんてするのかしら?
着替え終わった私は、ベッドに身を投げ、頭を悩ませていた。
「お姉ちゃん、入るよぉー」
つかさが、部屋に入ってきた。
「えへへっ、ご飯できたよぉー」
「あ、もうそんな時間? すぐに行くよ」
「うん、今日はね。お姉ちゃんの大好物のパスタだから早く来ないと伸びちゃうよ」
つかさは、そう言って部屋を出て行った。
帰宅時間が、夕飯近くになっていた事すらも気づかなかったわ。
あーもう! 悩んでたって、どうする事もできないし……。
明日、こなたの様子を見てからじゃないと。
とにかく何があっても私が、なんとかするっきゃない!
私は、こなたの一番の親友なんだから。
それにしても私、パスタって大好物だったかしら……?
その夜は、夕飯を食べた後、お風呂に入って早々に眠りに就いた。
《3》
1月15日(火曜日)朝
私とつかさは、糟日部駅前で、こなたが来るのを待っていた。
いつもの事ながら、こなたのヤツは遅い! もう遅刻ギリギリじゃない。
ヤキモキしている私の横で、つかさは携帯電話をイジくっている。
「こなちゃん、遅いねぇ?」
「まったくよ! いつもの事ながらアイツは……」
そう言いかけた時、私のツインテールがギュッと後ろに引っ張られた。
犯人はわかっている……。こんな事をするのはアイツぐらいしかいない。
「やほー。つかさ他1名」
「略すな! つーか、むしろ文字数多いし」
やっぱり、こなただ。
「ったく、子供みたいな事すなっ!」
「おぉ、朝からツンが全開ですな、かがみん」
「うっさい!」
なんの変哲もない、いつもの日常。
バスの中でも、3年B組の前で別れるのも、いつもと一緒、何も変わらない……。
ますます、未来かがみの話が信じられなくなってくるわ。
167 :
並行世界5:2009/12/06(日) 23:14:25 ID:9cdczN26
《4》
そして、昼休み……。
私は、いつものようにお弁当を持って、こなた達のいる3年B組に向かう。
「おーすっ、こなたー」
「めーすっ、かがみん。嫁が、なかなか来ないから寂しかたよぉー」
「誰が嫁だ!」
私は、左手に持っていたお弁当をこなたの頭上にトスッと置いて軽くツッコミを入れる。
「いやいや、かがみは俺の嫁! これは、今や常識なのだよ」
「バカッ! 恥ずかしい事、言ってないでサッサとお弁当食べるわよ」
「恋人との会話より、食欲を優先する強欲なかがみんであった……」
「なんだそれ、イヤミかぁ? んー?」
私は、後ろから右腕でこなたの首を絞め、左の拳を蟀(こめ)谷(かみ)にグリグリと押しつけてやった。
こなたの後頭部に顔を近づけたので、あの長い髪が私の鼻を擽(くすぐ)る。
なんか甘くて良い香り……あ、チョココロネの匂いか……。
「ギブギブッ、かがみん、ギブだってばぁ!」
「あ、ごめん」
私は、こなたからパッと手を離した。
甘い香りに気をとられ、左の拳をこなたの蟀谷に押しつけいるのをすっかり忘れていた。
「痛いよぉ、かがみん」
「ごめんごめん。ボーッとしてたわ」
「ううぅ、かがみん凶暴伝説は本当だったのか!」
「だから、謝ってるだろ! 大体、変なナレーションをつける、アンタが悪いんじゃない」
その時、私のお腹がグウゥッと鳴った。恥(はず)っ……!
「かがみんの腹時計は、正確であった……」
「貴様、懲りんヤツだな! また、やられたいのか?」
「はわぁ、嘘うそ」
「そう言えば、つかさとみゆきは、どうしたのよ?」
私は、2人でトイレにでも行っているのかと思っていたが、それにしては戻って来るのが遅い。
「今頃、気づいたのかね? かがみんや」
「いや、トイレにでも行ってるのかなぁって、思ってたんだけど」
「みゆきさんは、黒井先生にお手伝いを頼まれて職員室なのだよ」
「つかさは?」
「つかさは、お手伝いを頼まれたみゆきさんのお手伝い」
「それでアンタは、その2人を手伝わずにココでボーッとしてたわけか?」
私は、すかさずイヤミを言う。さっきのお返しよ! にひひっ。
「失敬な! 最初、私が手伝おうとしたら、つかさが『昼休みにこなちゃんが、いなかったら、お姉ちゃんが
寂しがるから……』って、言ってね」
我が妹、やはり妙なところに気がつく。
「ふぅーん。っていうか、そのつかさのモノマネ、妙に似てるからやめろっ」
そんな私のツッコミに、えへっと舌を出して戯(おど)けるこなたが、ちょっと可愛く見えたりする。
168 :
並行世界6:2009/12/06(日) 23:15:11 ID:9cdczN26
ふと、こなたがチョココロネに、まったく手をつけていない事に気づく。
はは〜ん……さては『代わってくれたつかさに悪いし、かがみが来るまでこれは食べられないよ』って感じ?
結構、カワイイとこあるじゃない。
「あ、これは2つ目だよ。今なんか、勝手な想像してたみたいだけど?」
はいはい、そうですね! ……ってコイツ、人の心が読めるのか?
こなたの場合、本当にそれがありそうだから怖い。
「うっさい! 何も想像しとらんわ。それより、ホントにお腹空いたわよぉ早く食べましょ?」
「そだね」
私は、こなたの机にお弁当を広げ食べ始めた。
でも、つかさとみゆきがいないのは今の私にとって好都合だった。
「ねぇ、こなた……」
「んー、何?」
「アンタさぁ……この頃、なんか悩みとかない?」
私の質問に、こなたは首を傾げている。
「うぅーん、……特にないけど、なんで?」
「いや、何かあるかなぁって、思っただけだけど」
「ふぅーん。……あっ! 1つあるかも?」
「えっ、なになに?」
私は、身を乗り出してこなたに顔を近づける。
危な! 顔、近づけ過ぎてキスするとこだったわ……。
「それがさ、この間ゲ〇ズでポイントを何に交換しようか迷っちゃってさぁ。まだ悩み中なんだよねぇー」
なんだ、そんな事か……。
「あ! 今、『なんだ、そんな事か』って思ったでしょ?」
だから、心を読むなっつーの!
「いや、思ってねぇーよ」
本当に悩みとかないのかぁ? じゃあ、何が原因なのよ? これから、何かが起こるって事?
私は、そう思いながら、お弁当の焼き鮭を口に運んだ。うん、美味しい。
その後、黒井先生の手伝いを終えたつかさとみゆきが戻って来て、一緒に昼食に加わった。
放課後、帰宅時もいつもと変わらない。
でも、何かあるはず! そう、こなた風に言えば、『こなた自殺フラグ』ってヤツが。
それは、絶対に立ててはいけないフラグ……私は、それを見極めなければならない。
一体、どんな選択肢が待っているのか……それは、まったくの未知だ。
つづく
169 :
並行世界7:2009/12/07(月) 20:10:43 ID:/h8TFquy
《5》
刻み行く時間に、こなただけ足りない。
失った心の欠片を探して、時空を彷徨う……逢いたい。
こなたに逢いたい……。
1月17日(木曜日)夕方
私は、また来てしまった……過去の世界に。
この過去の世界において、私は柊かがみであって、柊かがみではない。
なぜなら、この世界は過去とは言え、私の世界とはリンクしていない別世界。
要するにこの過去の世界は、無数にある『並行世界』の1つにしか過ぎない。
時空を飛び越え、過去を改変しても私の世界には、なんの影響も及びはしない。
それでも私は、見たい! こなたが、自殺しない未来を……。
過去かがみに会ってから、この世界の時間で3日が経っている。
何か、進展はあったのだろうか? 学校も終わっている時間。
とりあえず私は、過去かがみの携帯電話に連絡をしてみる事にした。
公衆電話の受話器を取り、10円を入れてボタンをプッシュしようとしたその時、いきなりムギュゥッと私の
ツインテールが後ろに引っ張られた。
えっ? これって犯人、わかってるけど……ヤバイッ、絶対にヤバイッ!
バッ、と振り返ったそこには……。
「やほー、かがみん」
あちゃー、やっぱりこなた。
違う時空の私が、この時空のこなたに会っちゃダメでしょぉぉぉぉ!
マズイッ、なんとか誤魔化さないと。
私は、咄嗟(とっさ)にポケットから一応用意していた変装用の眼鏡を取り出して装着した。
そして、ド○フの替歌と変な踊りで、この場をやり過ごそうとした。
「め、め、めがねの大爆笑ぅー」
気が動転していたのかも知れない……いつもの私なら、こんな事は絶対にやらない。
「何やってんの? かがみん」
「わっ私は、ただの通りすがりで、かがみんなんかじゃ……」
「いや、どう見てもかがみんじゃん。それに何その替歌と踊り? つまんないけど」
ガーンッ、はずしたぁ。しかも、誤魔化しきれてない!
寒い、私の周りだけ気温が絶対零度近くまで下がったようだわ。
くっ……こうなったら、この世界のかがみになりきってやるわ!
「バレちゃ、しょうがないわね。何を隠そう、私はかがみだったのよ」
「いや、それは最初からわかってるし」
「うっさい! で、あんたこそこんなところで何してんのよ?」
「私は、今からゲ○ズに行くとこだーよぉ」
「なんだぁ? また、フィギュアかぁ?」
「今日は違うよ。ほらぁ、この前、言ってたポイント」
「ポイント?」
この前って言われても、全然わかんないわよ。
察するにこなたは、ポイントを何かの景品と交換しようとしてるのかしら?
それとも、ポイント2倍の日とか……。
170 :
並行世界8:2009/12/07(月) 20:11:17 ID:/h8TFquy
「ああ、あれね?」
「そうそう、交換する景品がやっと決まってさ」
ビンゴ! 適当に話、合わせればイケそうね。
なんとかやり過ごして、早くこなたから逃げないと。
「へぇ、良かったじゃない。じゃあ、私はこれで……」
私は、この場を立ち去ろうとした。
だが、こなたは私のツインテールをまたしても引っ張った。
「なっ、いいかげんにしろよ」
私のツインテールは、馬の手綱か?
「かがみん、冷たいじゃん。付き合ってよ」
「私、用事あるし……」
「かがみん、かがみん」
「何よ?」
こなたは、私に寄り添って、耳打ちしてきた。なんなのよ、そのニヒヒッな目は?
「なんか、新しく大宮にスイーツ食べ放題のお店がオープンしたらしいよ」
スゥウィィィィィィィィィィィィッツ。
スイーツ、食べ放題、それは女のロマン! 行きたい。
いやいや、それはダメでしょ。行ったらマズイでしょ。
「ス、スイーツ?」
「そ、行きたくない?」
「え、まあ、行ってみたいかも……」
ええっ! ちょっと私、何言ってるの?
「じゃあ、決まりだね」
結局、私は女のロマン方程式に勝てなかった。
これは、女の子限定で無敵の方程式……抗う術はない。
私は、自分にそう言い聞かせてこなたに付き合う事にした。って、ダメダメじゃん私!
《6》
そして、ゲ○ズに到着した私達……。
こなたは、早速ポイントを景品に交換するのかと思いきや、悠長に店内を物色し始めた。
まったく、この悠長戦隊め!
「おい、ポイントを景品に交換する為に来たんじゃないのか?」
「いいじゃーん、別に。せっかく、来たんだから見てっても」
「ったく、しょうがないわね」
私は、ボヤキながらも、実は久々にこなたとふれ合えて嬉しかったりする。
さっきから、胸のドキドキが止まらない。こなた……やっぱ、カワイイよ。
「あ、かがみん。ラノベの新刊、出てるよ」
「え?」
ああ、これ持ってるし、ラスト知ってるし。
しかも、めちゃくちゃつまんなかったのよね。
「買わないの?」
こなたは、そのライトノベルを私に差し出してきた。
「あーいや、今日はやめとくわ」
「あれ? かがみ、これすっごく楽しみにしてたよね?」
171 :
並行世界9:2009/12/07(月) 20:11:50 ID:/h8TFquy
「えっ、そうだっけ?」
「うんうん、昨日もこれ、欲しがってたよね?」
やばっ、そんな話になってたわけぇ!
これは、買わないといけないような雰囲気……。
「ありがとうございましたー」
結局、私は買いたくもない、つまらないライトノベルを買うハメになってしまった。
レジスターのチンッという音が、妙にムカついた。
「よかったね、かがみん」
「う、うん……」
全然、嬉しくなかった……。
「で、あんたは、何を買うのよ?」
「えっ? 私は、何も買わないよ。ポイントを景品に交換しに来ただけだし」
こ、こいつは……。ちっくしょう! この怒りは、何処へぶつければ……。
私が、震える左の拳を右手で押さえているのを余所に、こなたはポイントを景品に交換していた。
「お待たせ、かがみん」
ポイントを景品に交換したこなたは、どこか嬉しそうに見えた。
そんなにいい物なのか? ちょっと、中身が気になるかも。
「んじゃ、かがみ様の本命にレッツゴー」
「な、な……それじゃまるで、私が食い気しかないみたいじゃない」
「えぇー、だって、それに釣られて来たんじゃん」
「う、うるさいっ」
私は、まったく否定できなかった。
でも、こなた……本当の所は、あんたと一緒にいたいってのもあるんだぞ。
《7》
そうこうしている内に、スイーツ食べ放題の店に到着した私達……。
オープンしたてという事もあり、店内は中々混雑していた。
メニューも豊富で、スイーツだけで50種類以上はある。
例によって、1時間の時間制限と非常識な食べ残しは別途料金。こういう店じゃ常套ルールね。
「かがみん、準備はいい?」
「ええ、よくってよ」
スーパーイナズマ……んじゃなくてぇ! これは、スイーツ食べ放題でしょ……これは。
しかし、ショーケースに並んでいる50種類以上のスイーツは、見ていて圧巻だ。
私は、それを片っ端から皿に乗せてゆく。
ふと、こなたの皿を見ると私と同じくらいスイーツが乗せられていた。
「ちょっと、そんなに取ってあんた食べられるの?」
「ええー、かがみだって人の事、言えないじゃん」
「この程度なら、普通でしょ普通」
「かがみんの胃袋は、底なしの胃袋であった……」
「うっさい! 私と同じくらい取ってるあんたに言われとぉーないわっ」
席に戻った私とこなたは、早速スイーツを口に運んだ。
はむっ……パアァァッと、口の中にレモンの香りと甘さが広がって、至福が脳を満たす。
美味しい! この、ひとことに限る。
172 :
並行世界10:2009/12/07(月) 20:12:32 ID:/h8TFquy
あれだけあった皿の上のスイーツも、あれよあれよの内に全て平らげてしまった。
そして、私は勢いにまかせて2皿目を取りに行こうと立ち上がった。
が、しかし……こなたが、私の腕を掴んだ。
「かがみん、やめた方がいいんじゃない?」
「なんでよ?」
なぜか、こなたは私の2皿目を阻止してきた。
「ほら、ずっと前の話だけどさ……1皿目の勢いで取ったら最後、キツくなったじゃん」
「えっ、そんな事あったかしら?」
「もお、かがみん覚えてないの?」
この世界のこなたとかがみは、前にもこういう店に行った事があるのか?
とりあえず、話を合わせておいた方が良さそうね。
「ああ、あれね。でも、今日は大丈夫よ」
「ホントにぃー?」
「大丈夫、大丈夫」
私は、心配するこなたを尻目に2皿目を強行した。
取ってきた量は、1皿目と変わらない量だ。これくらい余裕よ。
「げっ、またそんなに取ってきたの?」
「もお、こなたは心配性ね。大丈夫よ」
私は、スイーツを1つ、また1つと口に運ぶ。
余裕だと思っていた……しかし、そんな思いも次第に遠い過去の物となった。
そう、私の考えは甘かったのだ。
如何に美味しいとはいえ、こうも甘い物が続くと流石(さすが)に辛い物があった。
「うぐっ……」
辛そうにスイーツを口に運ぶ私をニヤニヤとこなたが見ている。
「だから、言ったじゃーん」
「うるさいっ、底なしの胃袋とか言ってたあんたにも責任があるんだから食べなさいよ」
「な、なんで私が!」
「問答無用! くらえ! グルメ・○・フォアッグラ」
「うぐっ」
私は、嫌がるこなたの口にスイーツをいっぺんに2つ、無理矢理ねじり込んだ。
こなたは、それを悪戦苦闘しながら必死に飲み込んだ。
「ひっ酷いよ、かがみん。しかもネタ古いし」
「お、結構余裕そうじゃん? ほれっ」
私は、こなたのスキをついて、またしてもスイーツを2つねじり込んだ。
「むむっ……むぅごごっ」
咽喉に閊(つか)えたのか、水でスイーツを流し込むこなた。ちょっと、調子に乗ってやり過ぎたわね。
「ぜぇーぜぇー……これは、新手のイジメですか? かがみさん」
「ごめん、ごめん。調子に乗り過ぎちゃった」
こなたには悪いけど、これでなんとかイケそうだわ。ホントにごめんね……こなた。
なんとか完食した私達は、別途料金なしで店を後にした。
173 :
並行世界11:2009/12/07(月) 20:13:07 ID:/h8TFquy
《8》
こなたは先程行なった私の暴挙により少々ご機嫌ナナメの様子だった。
「こなたー。機嫌直してよぉ」
「かがみんが、あんなヤツだと思わなかったよ」
「だから、ゴメンて謝ってるじゃない」
こなたは、私の謝罪を無視してズカズカと前を歩いている。
私は、その後を申し訳なさそうについて行く。その時! 急にこなたが、立ち止まった。
あまりに急な事だったので、すぐ後ろを歩いていた私はこなたにぶつかってしまった。
「わっ! ちょっと、いきなり止まらないでよ」
こなたは、そんな私の抗議を無視して、スッとどこかを指差した。
「プリクラッ」
「えっ?」
「プリクラ、一緒に撮ってくれたら許したげる」
こなたの指差した方向は、ゲームセンターだった。
えっ? そんなので許してくれるならお安い御用よ。
「プリクラ撮る! だから許して、こなた様」
「ふふぅーん、よかろう。ただし、もう1つ条件がある」
「条件、どんな?」
「それは、プリクラでのお楽しみ」
こなたのヤツ……なんか企んでるわね。すっごく、嫌な予感がしてきた。
私は、不安な気持ちを残したままプリクラの幕をくぐってカメラの前に立った。
「さあ、教えてもらおうかしら? その条件とやらを」
「ふふぅーんっ」
こなたは、私の質問に答える気がないのか、プリクラにお金を投入している。
「ちょっと、いいかげん教えなさいよっ!」
答えを言わないこなたに、シビレを切らした私が少し強い口調で問い質した。
すると、こなたは自分の頬を指差してこう言った。
「ほっぺにチュウして」
「えっ?」
なになに……今、なんと言いましたか? こなたさん。
「だからぁ、かがみんが私のほっぺにチュウしたプリクラが撮りたいの!」
「ちょ、ちょっと何、言ってんのよあんたは?」
「嫌なら許してあげないけど、いいのかなぁ?」
いや、私は全然いいんだけど、むしろ私が望んでいる事だし。
でも、過去かがみの手前……ねぇ。
しかし、ここで、こなたの機嫌をとっておかねば、過去かがみとこなたの関係も悪くなってしまうわけで……。
「でぇーい! 南無三っ」
私は、勢いにまかせてプリクラの撮影ボタンを押した。
3、2、1……私は、意を決してこなたの『唇』にキスをした!
あれっ……ほっぺでいいんじゃなかったっけ? しまったぁ! 地金が出てしまった……。
「んむむっ? んー、んーっ!」
予想外の出来事に始め、こなたは目を丸くしていたが、それはやがて切な瞳に変わった。
とっくに撮影は終わっているのに私は、キスをやめなかった。
こなたとずっと、こうしていたい……。
好き……こなたが好きなの……。
「んっ……」
重ねあった唇が、ゆっくりと離れる。
どちらのとも言えない、唾液が糸を引て妖艶に光っている。
こなたを坊主にするのも良いかもなー
175 :
並行世界12:2009/12/07(月) 20:13:58 ID:/h8TFquy
「かがみん……キス、上手いね」
「そ、そかな? 初めてだったんだけど……」
私は、自分でも顔が真っ赤だとわかるくらいドキドキしていた。
それは、こなたも同じようだ。
「プリクラ……そろそろ出てくるね」
「そ、そうね……」
暫くして、印刷されたプリクラが出てきた。
こなたは、それをハサミで切って半分を私にくれた。
改めて見ると、かなり恥ずかしいプリクラだ。
「じゃあ……帰ろっか?」
「そ、そうね……」
なんか、会話がぎこちない。
帰りの電車の中でも、特に会話のないまま時が進んだ。
キスの余韻で、未だに頭がボーッとしている……。
《9》
気づくと私達は、駅のベンチに並んで座っていた。
いつの間にか、乗り換えの駅に到着していたようだ。
不意に隣に座っているこなたが、私に凭(もた)れ掛かってきた。
「ねぇ……なんであの時、ほっぺじゃなくて口にしたの?」
好きだから! こなたの事が好きだからよ。……なんて、言えるわけもなく。
「わからない……身体が勝手に動いたから」
「へぇ、そんな不思議な事ってあるんだ……」
暫しの沈黙が、流れる。何番線かに到着した電車の音が、酷く耳障りだった。
「……もっかいして」
「えっ?」
私は、予想していなかったこなたの台詞に一瞬、耳を疑った。
「だって、あんな不意打ちが私のファーストキスなんて嫌だもん」
そうだよね。あれは、ホントいきなりというか……キスの押し付けみたいな感じだったし。
あれじゃ、こなたが納得しないのも無理ないよね。
「うん、わかった。もう1回……しよっか?」
こなたは、その問いに無言で頷いた。
ホームには、たくさんの人がいたが、そんな事はどうでもいい。
あの時の二の舞は、もう嫌だ!
私は、人目を気にせずこなたに口づけた……。
さっきよりも長く……長く…………時間が止まったかの如く。
ホームの雑音も聞こえない……ここは、私とこなただけの世界……。
の、はずだった! キスをしている私の目に彼女が映るまでは……。
176 :
並行世界13:2009/12/07(月) 20:14:42 ID:/h8TFquy
「かがみっ!」
私は、思わずその名を口に出してしまった。
過去かがみは、私の呼びかけに反応すらせず全力で走り去った。
こなたの前で私達がはち合わせるのは、マズイッ!
過去かがみの判断は、それで合っている……でも、過去かがみは泣いていた。
くっ、どうする? ……追うしかないっ!
「こなた、ごめん! 私、急用が出来た」
「ほへぇぇ?」
私は、キスの余韻でまだボケボケしているこなたに一応謝ってからその場を後にした。
中途半端だけど、ごめんね……こなた。
駅を出た私は、脳をフル回転させ自分が行きそうなところを予測する。
私の行きそうなところ……こっちか! 必ず、見つけてみせるわ。過去かがみ!
つづく
早急に続き希望
平行もの大好き
そして私は閉口した
続きが楽しみです!
こなかが展開ですかw
180 :
並行世界14:2009/12/08(火) 19:31:38 ID:l1SdaMIM
《10》
1月17日(木曜日)夜
あれは、どういう事よ? こなたと未来かがみ……キス……してた。
走って逃げて来ちゃったけど、私……何、やってんだろ?
それになんで……なんで、さっきから涙が止まらないの?
気づくと私は、誰もいない公園のベンチに座っていた。
こんな事なら桜庭先生の手伝い断って、早く家に帰れば良かったなぁ……。
そんな事を考えながら夜空を見上げてみる。
ああ、星々が眩いばかりに輝いている……綺麗。
「こんなところにいたら、風邪ひくわよ」
未来かがみ! ……追って来たのね。
「なんでここが……?」
「私は、あなたよ。あなたの行先を予測するなんて容易い事よ」
何よそれ……。ふざけんじゃないわよっ! アンタに私の何がわかるっていうの?
「時間の力が、どうのって言ってたわりに随分な御身分じゃない? ……こなたとなんか遊んじゃってさっ」
私は、なんか不貞腐れていた。
「…………」
未来かがみは、何も言わなかった。それがまた、私を逆上させた。
「なんか、言いなさいよっ!」
夜の公園にバチーンッという音が響き渡った。
私は、思わず未来かがみに手をあげてしまったのだ。
「……私を殴りたければ、気の済むまで殴るがいいわ」
「うるさいっ!」
私は、もう1度、未来かがみの頬を張った。
やりたくてやったわけじゃない……身体が勝手に動いた。
ジワジワと意味のわからない感情が湧き上がってくる。
「んぐっ……ふぐぅ……」
涙が出てきた……。
私、なんで怒ってるんだろ? なんで泣いてるんだろ?
「……かがみ」
未来かがみが、泣いている私を優しく抱擁してくれた。
「ひぐっ……何よ、アンタに優しくされる覚えはないのよ」
「いいから……このままになさい」
未来かがみは、悪態をつく私をさらに強く抱きしめてくれた。
あったかい……。
私は、未来かがみの胸に顔を埋めながらそんな事を思った。
「泣きたい時は、泣けばいい……我慢しないで泣きなさい」
それを聞いた私は何かが、ふっ切れたように大声で泣いてしまった。
「うっうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ」
あんなに大声で泣いたのは、幼稚園か小学生以来かも知れない。
181 :
並行世界15:2009/12/08(火) 19:32:14 ID:l1SdaMIM
《11》
どれだけ泣いたのか、泣き疲れた私はベンチに座っていた。
「少しは、落ち着いた? はいっ、コーヒーで良かったかしら?」
未来かがみが、すぐそこの自動販売機で、温かい飲み物を買って来てくれた。
「あ、ありがとっ」
私は、それをすぐには開けず、かじかんだ手を温めるように手の平で転がした。
さっき、未来かがみを平手した手が、まだジンジンする。
「さっきは、その……殴ってゴメン」
「いいわよ……悪いのは、私の方だもの」
そうは言ったものの、未来かがみの右頬は真っ赤に腫れ上がっていて痛々しい。
「隣……いいかしら?」
「あ、うん……」
私の隣に座った未来かがみは、徐(おもむろ)に話出した。
「私ね、こなたの事……愛してたの」
「…………」
私は、それを無言で聞いていた。
「でも、しょせんは女の子同士……叶わない恋だと思ってた。そんな私にもある日、転機が訪れた……こなたが
私に告白してくれたの。嬉しかった……私は、世界一の幸せ者だと思った。でもね、私がこなたにした返事は、
その気持ちとは真逆だったの」
「な、なんで!」
私は、思わず声を荒げてしまった。
「自分の気持ちに素直になれなかったから……」
未来かがみは、静かに言い放った。
「女の子同士、おかしい、普通じゃない……そんな世間の体(てい)が、私を曇らせたの」
そう言った未来かがみの瞳は、酷く悲しそうだった。
「それをきっかけに、こなたとの距離も遠くなって。そして、こなたはそれを気に病んで、ついにこなたは……
こなたは……」
「もう、いいよっ!」
私は、大声で未来かがみの話を制止した。
「もう……いいよ。そんな辛い話、しなくってさっ」
未来かがみの気持ちはわかった。そして、私自身の気持ちも……。
私、こなたの事……好きなんだ……愛してるんだ。
「今やっと、わかった。私もこなたの事、愛してるみたい」
自分の気持ちに気づいた私は、なんだか未来かがみに対して、またムカッ腹が立ってきた。
「でもさっ! だからって、こなたとキスしたのは許せない」
だから、だから……返してもらうわよ! 私は、思いっきり未来かがみの唇を奪った。
「んんぅーっ? んぅー……っ!」
未来かがみがこなたにしたキスより長く……長く…………。
「……ぷはっ」
「けほっ、けほっ……ちょっと! あなた、何考えて……?」
182 :
並行世界16:2009/12/08(火) 19:32:55 ID:l1SdaMIM
私は、口元から垂れる唾液を手で拭いながら。
「返してもらったわよっ! こなたを」
それを聞いた未来かがみは、ハッとして……その後、微笑した。
「ふふっ……なるほどね」
続け様に私は、未来かがみに右の頬を突き出す。
「アンタ、私の頬を2回張りなさいよっ!」
「えっ、なんで?」
私が、やった事への私のお返し……。
「いいから! じゃないと、私の気が済まないっ」
始め未来かがみは躊躇していたが、私の気持ちを酌んでくれたのか、左手を振り被った。
「……わかった。でも、1発でいい……殴るこっちの手も痛いんだから!」
次の瞬間、未来かがみの手が空を切る音、続いて手と頬がぶつかる音が響いた。
いっ痛ぅぅーっ! 私、こんなに強く殴ったかしら?
でも、そんな痛みとは裏腹に私の心は、清々しい気持ちでいっぱいだった。
サンキュー……未来かがみ。
「ありがと、これで気持ちが楽になったわ」
「どういたしまして……ふふっ」
「えへへっ……」
私達は、互いの気持ちを整理して、思わず笑みが零れてしまった。
その後、私達はベンチに座り他愛もない話で笑い合った。
「あれ、やっぱ臭いよねぇ?」
「うんうん、臭い臭い」
二人で大笑い……すっごく楽しかった。
そんな話の途中、未来かがみは星空を指差して私に質問してきた。
「ねぇ、あそこの星が3つ並んだ星座、なんだかわかる?」
3つ? ……ああ、オリオン座ね。
「オリオン座よ。誰でも知ってるわよ」
「正解、その左下で一際輝く星は?」
これも初歩的な問題ね。
「シリウス、おおいぬ座の1等星」
「正解、じゃあ、シリウスの右にある星座はわかる?」
「えっ? シリウスの右……うぅーん」
あんな所に星座なんてあったかしら?
「わからない?」
「ちょっと、覚えがないわ」
「マイナーな星座だからね」
「で、なんなのよ?」
「……うさぎ座」
「うさぎ座?」
「そう、あの星はまるで私……1人だと寂しくて死んじゃうの」
未来かがみは、どこか寂しい眼をしていた。
「だから、私は並行世界を彷徨っているのかもね」
「1人じゃないわよ……」
私は、未来かがみのそれを否定した。そして、星空を指差して……。
「こいぬ座の上、あの星座を忘れてない?」
183 :
並行世界17:2009/12/08(火) 19:33:33 ID:l1SdaMIM
「ふたご座? それが何と……っ!」
そこまで言いかけて、未来かがみも気づいたようだ。
「ふたご座は、こなたの生まれ星座……星になってアナタを見ているんだよ」
それを聞いた未来かがみは、少しだけ笑っていた。
「あなたって、本当にポジティブね」
「まあね、差し詰め、あのふたご座はアナタのラッキースター……なんてね」
「略して『らきすた』ね……ふふっ」
良かった……少しは、元気を取り戻してくれて。
やっぱ未来かがみは、沈んだ顔より笑った顔の方がカワイイわよ。
「そうだ、これを渡しておくわ」
未来かがみは、ポケットから包みを取り出して私に差し出した。
「何、これ?」
「あなたが、楽しみにしてたラノベよ」
「うそ、もしかしてあのラノベ? 貰っていいの?」
「うん、私それ、持ってるから……」
ラッキー! あのふたご座は、私のらきすたでもあったのね。
でも、このライトノベルを渡した時の未来かがみの苦笑がちょっと気になったけど……。
ま、いっか! ラッキーは、ラッキーよ。
「そ、それとね……これ、なんだけど」
「んっ、何?」
未来かがみが、ポケットから取り出したもう1つの物を見て私は、私は……。
な、な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
「な、なんなのよぉぉぉぉ! これはっ?」
「プ、プリクラ……」
「プ、プリクラは、わかってんのよ! なんで……」
なんで、こなたとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
「なんか、成り行きでこうなっちゃって……えへっ」
えへっ……じゃないわよぉぉぉぉっ!
な、なんだその舌出して、おでこにコツンッはぁぁぁぁ!
「あ、あのね……落ち着いて聞いてね。実は……」
私は、未来かがみに事の経緯(いきさつ)を聞かされた。
「……と言うわけで。これは、その、不可抗力というか……」
いやいや、不可抗力じゃないですからっ。ただ、アンタが暴走しただけですからっ。
「ったく、何が不可抗力よ。アンタが暴走しただけじゃない」
私は、呆れて怒る気力も失せていた。
「いや、暴走というか、なんというか……」
未来かがみは、恥ずかしそうに両手の人差し指を互いにチョンチョン突き合っている。
なんかムカツクぞ! それっ。
「ああっ、もうこんな時間! 私、帰らないとっ」
タイムトラベラーの未来かがみに時間はあまり関係ないのでは? と、私は思ったが呆れて何も言えなかった。
「じゃ、そんな事だから、話合わせといて」
何がそんな事なのか……。
「はあぁ……」
私は、額に手を当て、大きな溜息をついた
184 :
並行世界18:2009/12/08(火) 19:34:15 ID:l1SdaMIM
「ちょっと、待ちなさいよっ」
「えっ……まだ、何か?」
私の呼び止めにビクッとする未来かがみ。ちょっと、カワイイかも。
「これ、写ってんのアンタでしょ?」
私は、プリクラを未来かがみの眼前に突き出した。
「そ、そうだけど……」
「だったらさっ、1枚くらい持って行きなさいよ」
未来かがみは、思いがけない私の台詞にキョトンッとしている。
「ほら、どうしたのよ?」
「……かがみ」
未来かがみは、嬉しそうにプリクラに手をかけた。次の瞬間……!
「1枚なんてケチくさい事、言ってないで! もっと、よこしなさいよっ」
私からプリクラをひったくろうとする未来かがみ。
しかし、私もプリクラを力の限り掴んでそれを阻止する。
「ふ、ふざけなさいよっ……」
「半分! いや、むしろあなたが1枚で十分よ」
「な、なんだとぉ! て、手を離しなさいよぉ」
「あ、あなたこそ離しなさいよっ」
私達は、互いに引こうとしなかった。
私達の背中には、闘志が炎となってあらわれていたに違いない。……多分。
《12》
結局、プリクラが破れそうになったので、互いに引いて半分で折り合いがついた。
「サンキュー、またね」
嬉しそうに自分の世界に戻る未来かがみ。
あのプリクラを眺めてニヤける未来かがみが容易に想像できて、なんか腹が立つ。
何はともあれ、今日は散々だった。
ふと、プリクラを眺めてみる。
しかし、改めて見ると、つくづく恥ずかしいプリクラだ。
目を覆いたくなる……っていうか明日、こなたに会うのが気マズイ。
「どうするのよぉ、これぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
私の悲痛にも似た叫びが、夜の公園にこだました……。
つづく
乙です!
明日も楽しみですな~
作者のレベルが格段に向上している
神奈川版「麾く煉獄」でココが分からないんだけど
@、凛は示談金目的でそうじろうを脅したのか?それとも復讐しに来ただけなの?
A、ゆい姉さんは示談が成立しかかっていたのに、警察に通報したの?
B、伸江は信用金庫を襲撃し、こなたの金を奪い、ヤクザを皆殺しにしたなぜ?
C、そうじろうは結局、自殺したの?
D、こうはこなたとは顔見知りなのに「汚い!あっちに行け!」と言ったの?
誰か詳しく教えてくれ
188 :
並行世界19:2009/12/09(水) 20:46:14 ID:AaN2A3Bs
《13》
1月18日(金曜日)朝
朝が来てしまった……。
私は、つかさと一緒に糟日部駅前でこなたが来るのを待っていた。
どんな顔してこなたに会えばいいのだろう?
はあぁっ……と、ただブルーな溜息が出るばかりだった。
確かに私は、自分の気持ちに気づいた。
でも、昨日の出来事は私じゃなくて未来かがみのした事。
プリクラも駅でのキスも……私ではない。そう考えると、なんか憂鬱。
「お姉ちゃん。なんか元気ないけど、どうしたの?」
浮かない顔をした私を心配したのか、つかさが声をかけてきた。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと、寝不足なだけ」
嘘ではない。実は昨日の夜、色々考えてしまって眠りに就いたのが4時頃になってしまった。
「寝不足? なんか、こなちゃんみたいだね」
「ははっ……そ、そうね」
「あっ! お姉ちゃん、こなちゃん来たよ」
こなた! 改札口からこなたが出て来るのが見えた。
顔が、カアァッと熱を帯びるのが自分でもわかる。
あぁっ、どうしよう、どうしよう……。
「ホントに大丈夫? お姉ちゃん」
ソワソワする私を見て、つかさが心配してきた。
「だ、大丈夫よ。ホントになんでもないから」
そ、そうよ。普通よ、普通でいいのよ! いつものように自然に振る舞えばいいじゃないっ。
「おはよう。こなちゃん」
「おっはよう。つかさ」
「あっ……こなた、おはよっ」
声が上擦ってしまった。普通に普通にという気持ちが、裏目に出てしまったらしい。
こなたは、私の方をチラッと見てすぐにプイッと目を逸らした。
そして、そのまま私を無視して歩き始めた。あれっ? え、えっ……私、何かやったか?
「ちょ、ちょっと……こなっ」
「あ、かがみ。……いたの?」
なっ! い、いたのって……。どうやら、こなたは機嫌が悪いようだ。
「こ、こなちゃん。どうしたの、怒ってるの?」
つかさは、こなたの態度に驚いている様子だった。
「大丈夫だよ。つかさの事は、全然怒ってないから」
という事は、やはり、私には怒っているのか?
「ちょっと、こなた。朝から何、怒ってんのよ?」
私は、冗談混じりにこなたの背中をポンと叩いて聞いてみた。
「自分の胸に聞いてみたら?」
私の方を見もしないで答えるこなた。
一体、私が何をしたというのか……。
私は、身に覚えのないこなたの仕打ちに困惑していた。
189 :
並行世界20:2009/12/09(水) 20:46:46 ID:AaN2A3Bs
「お姉ちゃん。こなちゃんになんかしたの?」
「わ、私は別に……」
身に覚えがないので、私はつかさの質問に答える事ができなかった。
「でも、こなちゃん怒ってたよ」
「いや、ホントに心当たりがないのよ……」
「じゃあ、なんで……あっ! こなちゃん、待ってよぉ」
つかさは、私を置いて、先を行くこなたを追って行ってしまった。
こなたのヤツ……一体、私が何したってのよ?
バスの中でつかさは、私達をなんとか仲直りさせようと苦闘していたが、それも上手くはいかなかった。
いつもは、休み時間になれば毎度の如く行っていた3年B組も今日は、なんだか行きづらくて行かなかった。
《14》
そして、昼休み……。
「おうっ、柊ぃー。今日は、ちびっ子のところに行かねぇのか?」
ほとんどの昼休みを3年B組で過ごす私が、今日はそこへ行かないのを不思議に思ったのか、日下部が話し
かけてきた。その隣には、いつものように峰岸もいる。
「う、うん……今日は、ちょっとね」
「どうしたの? 泉ちゃんとケンカでもしたの?」
日下部の隣にいた峰岸が心配そうに聞いてきた。
どうやら、峰岸には見透かされているようだ。
「いや、そんなんじゃないって」
否定は、してみたもののバレバレだ。
「なんだぁ、柊ぃー。ちびっ子とケンカしたのかぁ?」
「う、うるさいっ。日下部には、関係ないだろっ」
私は思わず、日下部を怒鳴ってしまった。
「うぅー、あやのぉ。柊が冷てぇよぉ」
峰岸に泣きつく日下部。
峰岸は、そんな日下部の頭をよしよしと撫でてなだめている。
「まぁまぁ、柊ちゃん。みさちゃんも悪気があって言ったわけじゃないから」
確かに今のは、少しムキになり過ぎたかも知れない。
峰岸はこういう時、良いストッパー役になってくれて助かる。
「そ、そうね……私が大人げなかったよ。日下部、怒鳴ったりして悪かったわね」
「うぅー……柊凶暴伝説」
コイツ、言い返しづらい時によくもそんな事をっ!
「柊ちゃん……」
峰岸は、私の肩にポンと手を置いて首を左右に振った。怒るなって、言いたいんでしょ?
「わかってるわよ。今のは、怒鳴った私が悪いんだし」
「だよなぁー」
コイツ! 日下部は、基本的に友達思いのいい奴なのだが、こういうところがたまに癪にさわる。
「でも、柊ちゃん」
峰岸が、真面目な顔で話を切り出した。
「泉ちゃんと本当にケンカしたなら、早く仲直りした方がいいんじゃないかしら?」
「そうだ、そうだぁ」
私だって仲直りしたいけど、原因がわからないんじゃ……。
それに日下部。『そうだ、そうだぁ』とか、いちいちいらんわっ。
190 :
並行世界21:2009/12/09(水) 20:47:20 ID:AaN2A3Bs
「大体、柊は自分の気持ちに素直じゃねぇんだよ」
自分の気持ちに素直……? そうか、わかった。
未来かがみ! こなたが怒っている理由は、あの事だったんだ。
「日下部、峰岸。サンキュー」
日下部と峰岸は、なんの事かわからないという顔をしていた。
だが、今はそんな事を説明している余裕はない。一刻も早く、3年B組に行かなければ。
「こなたぁー」
3年B組に到着した私は、昼食の真っ最中だったこなたの手を引いた。
「ちょ、ちょ、かがみっ?」
「お、お姉ちゃん。どうしたの?」
「か、かがみさん?」
みんな驚いていたが、そんな事はおかまいなしだ。
「ちょっと、付き合ってもらうわよっ」
「ど、どこへ……?」
「いいから、ついて来なさいよっ」
私は、嫌がるこなたの手を引いてズンズン歩き出した。向かった先は、屋上だ。
「ちょっ痛いよ、かがみ。離してよぉ」
屋上に到着したところで、こなたは私の手を振り払った。
「一体、どういうつもり? かがっ!」
こなたは、何かを言いかけていたが私は、それを自分の唇を重ねる事によって塞いだ。
始め、私の唇から抗おうとしていたこなただったが、それも途中からしなくなった。
このやり方は、少しズルイ方法だったかも知れない。
でも、こなたと面と向かった時、自分の気持ちが抑え切れなかった。
「……こなた」
「ず、ズルイよ。かがみんは……ズルイよ」
こなたは、私に抗議してきたが、その表情と言動に朝のようなトゲはない。
「昨日、駅に置いてけぼりにした事……怒ってるんでしょ?」
「う、うん……」
やっぱり。昨日、未来かがみは一応謝ってから私を追って来たと言っていたが、置いてけぼりをくらった
こなたが、納得していないのでは? ……と私は、さっき思ったのだ。その考えは、間違ってはいなかったようだ。
「ごめんね、こなた。昨日の事は、なんかで埋め合わせするから許してよ」
「ホントに?」
「もちろんよ」
それを聞いたこなたは、ニンマリと笑みを浮かべた。なんか嫌な予感。
「じゃあ今日さっ、私ン家に来てよ」
「別にいいけど……なんで?」
「ほら、テストも近いし。家でべんきょー……なんて」
私は、こなたの額に手を当て、熱がないか確かめてみた。
「な、なんのつもり? かがみん」
「いや、めずらしくアンタがまともな事を言ってるから」
「ひどっ!」
「日頃が日頃だから。ごめん、ごめん」
こなたは、こなたなりにちゃんと考えているようだ。
「そういう事ならいいわよ」
「さっすが、かがみん。心の友よ」
191 :
並行世界22:2009/12/09(水) 20:47:56 ID:AaN2A3Bs
「じゃあ、教室に戻ってお昼にしましょうか?」
「って、かがみん。お昼休み、後10分もないよ」
なぬぅー! 私、まだ全然お昼食べてないじゃないっ。
その後、急いで教室に戻って掻き込む様にお弁当を食べたのは言うまでもない。
《15》
放課後になり、私は帰り支度をしていた。
「かがみ様ぁー」
「だから、その呼び方やめろって」
こなたが、私の教室まで迎えに来てくれた。
「あれ、つかさとみゆきは?」
「なんか、みゆきさんがつかさに用があるとかで、2人で先に帰ったよ」
私は、すぐにピンときた。
恐らく、2人の行動はつかさから事情を聞いたみゆきの計らい。
昼休みに仲直りした私とこなたに気を遣っての事だ。
みゆきが、つかさを連れて行かなければ、つかさもこなたの家に来ていたかも知れない。
私とこなた。2人きりで仲を深めろという事だ。もちろん、変な意味ではなく……。
「そっか。じゃあ、私らだけで帰るか」
「ラーサー」
「また、古いネタを……。それわかる人、あんまりいないと思うぞ」
「ふっふっふっ、JとかWの活躍によって、結構知れ渡っているのだよ。かがみん」
「そ、そうなのか?」
些(いささ)か疑問は残るが、私達はそんなこんなでこなたの家に到着した。
「あれっ?」
戸を開けようとしたこなただったが、どうやら鍵が閉まっているようだ。
「お父さんもゆーちゃんもいないみたい」
「誰もいないの?」
「そうみたい。……ま、いいか」
仕方なくこなたは、持っていた鍵で戸の鍵を開けた。
「お茶入れて来るから、先に私の部屋に行っててよ」
「あいよー。おじゃましまーす」
私は、靴を脱いでこなたの部屋に向かった。
こなたの部屋に入ってまず目に付くのは、棚に所狭しと並べられたフィギュア、漫画本、アニメDVDなどだ。
「相変わらずの部屋ね……」
恐らくこなたは、この中の全てには目を通していないであろう。
「ったく、見もしないDVDや漫画なんて買って、どうするのかしら?」
「そんな事ないよ。一応、ひと通りは見てるよ」
「ヒャッ!」
いきなり背後から声をかけられたので、驚いた私は思わず飛び退いて転んでしまった。
「いったぁー。ちょっと、脅かさないでよぉ」
「別に脅かしたつもりはないよ。それよりかがみん」
なぜかこなたは、ニヤニヤしている。
「な、何よ。私が転んだのが、そんなにおかしいわけ?」
「いや、そうじゃなくて。パンツ、丸見えだよ」
192 :
並行世界23:2009/12/09(水) 20:48:32 ID:AaN2A3Bs
ハッ! 私は、あわてて乱れたスカートを直した。
「そんなところでドジッ子をアピールとは、かがみんもやるもんじゃのぉ」
「ば、ばかっ! アピールなんぞしとらんわっ」
まったく、本当にコイツは女子高生なのか? ただの中年セクハラおやじにしか思えんっ。
「まあ、これでも食べて落ち着き給へ」
こなたは、テーブルの上にお茶とお饅頭らしき物を置いた。それは、良く見ると埼玉銘菓だった。
「お、サンキュー。このお饅頭、美味しいよね」
私は早速、そのお饅頭に手を出してみた。
「いただきまーす。はむっ」
うまい、うますぎる! 十〇石饅頭。……なんてね。
「んじゃ、糖分も補給したし。始めるわよ」
「ええーっ」
「ええーっじゃない! 文句言わずにやれっ」
「うぅー」
渋々、勉強を始めるこなた。
しばらくしてこなたが、わからないところを聞いてきた。
「かがみ、ここわかんない」
「んー、どれどれ。あー、これはここをこうして……こうすればできるわよ」
「すごーい! かがみんは、天才だね」
「天才なんかじゃないわよ。これは、日々の努力」
「じゃあ、かがみんは努力の天才だね」
私は、少し困った顔をしてこなたにこう切り返した。
「私だって、わからない問題ぐらいあるわよ。でもね、それは日々の努力で克服できるものなのよ。こなた
だって努力次第で、やればできる子なんだから……」
「えーっえ、え、え! そんなー。お姉様」
「なんだそれ? また、ゲームか漫画のネタかぁ? ふざけてないで、ちゃんとやれっ」
丸めたノートでこなたの頭を軽く叩いてやった。
頭のてっぺんからちょこんと出たアホ毛が、ポヨヨーンと揺れてちょっと可愛い。
「うぅー、ノリ悪いよぉ。かがみん」
「うっさい! 今は勉強中だ。勉強をやれっ」
「ぶぅーっ」
文句をブツクサ言いながら勉強に打ち込むこなたも、これまた可愛かったりする。
《16》
そして時間は過ぎ……。
「かがみ。今日は、これくらいにしない? 私、もう……」
「はいはい。アンタにしては、頑張った方ね」
私は、教科書とノートを閉じ、重ね合わせた上でトンッと端を合わせた。
こなたはというと、いつものように『疲れたぁー』とか言って、その場に寝そべるのかと思いきや、机の引き
出しをアサっていた。
「何してんのよ? こなた」
「んっ、ちょっとね」
こなたは、引き出しから何か袋を持ち出してきた。そして、それを私に差し出した。
「はい、かがみにプレゼント」
「えっ、私に?」
193 :
並行世界24:2009/12/09(水) 20:49:08 ID:AaN2A3Bs
私は、キョトンとして唯々(ただただ)それを受け取った。
「それ昨日、ゲ〇ズで交換した景品なんだけどさっ」
そうだ! 未来かがみが話していた。
この景品を手に入れたこなたは、すごく嬉しそうに見えたと。
だから、中身が少し気になったとも話していた。
「ちょっと、いいの? アンタこれ交換して、すごく嬉しそうにしてたじゃない」
「うん、いいの。だってそれ、かがみにプレゼントしようと思って交換したから」
こなたぁ……。嬉しくて今すぐ、こなたを抱きしめたかった。
「開けていい?」
「うん」
ドキドキしながら袋の中身を出してみた。
えっ……。な、何これ?
中身は、セーラー服を着たブタ? と思わしきキャラクターのストラップだった。
でも、誰かに似ているような……どこかで会った事があるような?
「な、何かのキャラクターかな? これっ」
「私もよくわかんないんだけど。そのツインテールのところとか、かがみに似てるなと思って」
私かいっ!
「それは、どういう意味かな? こなたさん」
私は、ブタって事かぁ?
私は、ふつふつと込み上げる怒りをポキポキと指を鳴らす事によって表現してみた。
顔には、微笑みを絶やさない。
「いや、深い意味は……」
「ほほう、深い意味は……ねぇ。っていうか、いっぺん死んでみる?」
こなたのアホ毛を右手でムンズと掴んで、左の拳に力を溜める。
その間(かん)も微笑みを忘れてはならない。
「いや、ぼっ暴力は、いかんよ! 暴力は……」
「問答無用! 今日という今日は、頭きたっ」
私は、こなたを殴ると見せかけてチュッと軽くキスをした。
「ほへぇ?」
「にひひっ、騙されたぁー」
こなたは、面食らった顔をしていたが、我に返って……。
「よくも騙したなぁー。かがみのくせにぃー」
「やぁーい、やぁーい」
こなたは、私の胸をポコポコ叩いて、恥ずかしさを紛らわせているようだった。
それは、だんだん力なくなり最後、右手をポンと私の胸に置いたままこなたは……。
「ねえ、かがみ……」
こなたの声は、少し震えている。
「何……?」
「私達ってさぁ……」
「…………」
私は、自然と無言になってしまった。
「その……付き合ってるの……かな?」
194 :
並行世界25:2009/12/09(水) 20:49:43 ID:AaN2A3Bs
確かにそれは、微妙で曖昧なところだ。
未来かがみの分も合わせれば、4回もこなたとキスをしている。
本来の告白(かてい)をすっ飛ばしているのは、目に見えてわかっている。
「そう……だよね。ちゃんと、告白しないと……ね」
声が上擦っている。私は、なんて臆病なのだろう。
ここぞという時に心(あし)が竦んで動けないっ! キスは、できるくせに……。
そんな自分がどうしようもなく嫌になる。勇気を出せっ! 自分(かがみ)!
「こ、こなた……私っ」
ダメェ、やっぱり言えない。
私のバカァ! 柊かがみは、こんなに情けない女だったのか?
踏ん切りがつかない、そんな私を見兼ねたのか、こなたは私の手を取って……。
「大丈夫……かがみなら言えるよ。私もかがみの気持ちにきっと答えるから……ね!」
「う、うん……」
私の手をギュッと握るこなたの手は、柔らかくて優しい。
ありがとう、こなた。……私は、意を決する。
そして、私の気持ち、想いの全てを次の言葉に託す。
「こなた! あなたが好きです。私と付き合って下さいっ!」
い、言えたぁ……。ついに私は、こなたに告白する事ができた! 想いを伝える事ができた!
でもまだ、こなたの返事を聞いていない。さあ、答えてこなた。
こなたぁぁぁぁぁぁっ!
暫しの沈黙を経て、こなたは優しく、そして微笑みながら……。
「こんな私で良かったら……よろしくね。かがみ」
「こなたぁぁぁぁぁぁっ」
私は、思わずこなたに抱きついた。
「私達、これで恋人同士だね。かがみん」
「うん」
満面の笑みで返事をした。いつも、こなたに『子供かっ』などと言っている私だが、なんだか今は、私の方が
子供のような……そんな幼さを含んだ『うん』だった。
「ねぇ、こなた。記念のキス……しようよ」
「うん」
こなたは、照れたように笑って頷いた。そんなこなたが愛おしくて、愛おしくてたまらない。
そして、私とこなたの唇はゆっくりと惹かれ合う……ゆっくり、少しずつ時間をかけて。
「ただいまぁー」
私とこなたは、その声に思わず飛び跳ねた。今の声は、ゆたかちゃん?
「ゆーちゃんだ」
「そう……みたいね……」
「ちょっと、行って来るね」
と言って、立ち上がるこなた。
195 :
並行世界26:2009/12/09(水) 20:50:15 ID:AaN2A3Bs
「う、うん……」
私は、ちょっと残念な気持ちを押し殺して返事をする。
こなたが、部屋を出て数10秒後……今度は、男性の声で『ただいまぁー』が聞こえた。
あの声は、こなたのお父さん。それを聞いた私は、帰り支度をして立ち上がった。
「えっ、かがみ、帰るの?」
こなたが、戻って来た。
「うん、もう遅いし……」
「明日、学校休みなんだから泊まってけばいいじゃん」
確かにその選択肢もあるが、それはそれでヤバイッ。
この勢いだと、キス以上の事に発展し兼ねない。それは、今の私にはまだ早いと思う……。
「ううん、今日は帰るよ。迷惑かけちゃうし……」
「そんな事ないよっ」
こなたは、食い下がってきたが、私の決定は変わらない。
だって、泊まったら絶対にやっちゃうもん……キス以上の事。
「ダァーメッ! 明日、また来るから」
私は、ブゥーブゥー文句を言うこなたを適当にあしらう。
そして、階段を降りて玄関に向かう。
「じゃあ、駅まで送るよ」
「それもダメッ! こなたは、これから夕飯作らないといけないでしょ?」
「うぅー」
私は、つま先でトントンと床を打ち鳴らして靴を履く。
「じゃあ、また明日ね」
私は、膨れっ面のこなたに軽くキスをした。
「もぉ! かがみんは、いつもそれで誤魔化す」
「文句言わないの。……お邪魔しましたぁ」
私は、こなたの家を後にした。
帰り際『絶対、明日来てねっ』と、こなたに念を押された。……わかってるって。
しばらく歩いたところで、私の携帯電話が鳴った。
こなたかな? 携帯電話の着信窓を確認してみる。『公衆電話』と表示されていた。
誰だろ? 私は、通話ボタンを押して電話に出る。
「はい、柊です」
『かがみ? 私よ、かがみよ』
電話の相手は、未来かがみだった。
かがみが2人いるとややこしいなぁ……と思いながら返事をする。
「かがみだけど、どうしたのよ? かがみ」
やはり、ややこしい。って、今のはワザとやったんだけどね。
『今から会えないかしら?』
「いいわよ。話しておきたい事もあるから……場所は?」
『〇×公園は、知ってる?』
「ああ、その公園なら私ン家の近所だし、知ってるわよ」
『じゃあ、そこで待ってるから。よろしくね』
「はいよー」
私は、通話終了ボタンを押して電話を切り、指定された場所に向かった。
つづく
最近vipでポケモンのとんでもないグロSSを見掛けて何かが目覚めた
今までグロいのは敬遠してたけどwikiでグロ注意のSSとかイラストとか漁ってみた、良いもんだな!
ハッサムのやつか?
こうやって数多の職人を自殺スレは育ててきた
>>197 そうそれ、あれかなりエゲつなかった
どっかのブログが載せてるかと思ったけど無いんだよな
大人のポケモンとかいうやつ
200 :
並行世界27:2009/12/10(木) 19:57:11 ID:8rGiakXO
《17》
1月18日(金曜日)夜
私は、未来かがみに指定された公園に到着した……。
狭い公園。未来かがみを見つけるのに然程、時間はかからなかった。
私は、ベンチに1人座っている未来かがみにゆっくりと近づく。
ベンチの直ぐ横にあるこの公園で、ただ1つの電灯が未来かがみの顔を鮮明に映し出してゆく。
「待った?」
と、聞きながら私は、辺りを見回す。
どうやら、この公園には私と未来かがみ以外、誰もいないようだ。
「ううん、私もさっき着いたばかりよ」
「こんな時間に会いたいなんて、何かあったの?」
「それより、話したい事って……何?」
未来かがみは、遠くを見つめながら質問を質問で返してきた。
口調は怖いくらいに落ち着き払っている。
「あ、いや……こなたの事なんだけど」
「こなた?」
「うん。私達、付き合う事になったの」
それを聞いた未来かがみは、驚きを露にして立ち上がった。
「うそ! ホントに?」
「本当よ。もしかしたら、こなたの自殺を止められるかも」
未来かがみは、泣いて喜んでくれた。
そして、私を優しく抱きしめてくれた。私もそんな未来かがみを抱きしめ返した。
抱きしめ合いながら、私は感じた……。
未来かがみの嬉し涙に嬉しさだけではない、複数の感情が入り混じっている事を。
しかし、私はそれがなんなのかまでは、読み取る事ができなかった。
喜びを分かち合った後(のち)、未来かがみは最後まで油断してはダメと釘を刺してきた。
未来かがみの言う事は、もっともだ。確かに今の状況は、こなたが自殺しない未来に進んでいるように見える。
しかし、未来かがみの能力は、こなたが自殺する並行世界しか行く事が出来ない。
もしかしたら、自殺しない未来に進んでいるように見えているだけで、本当は自殺する未来に進んでいるの
かも知れない。
そして、時間の力を忘れてはならない。自殺しない未来に進んでいたとしても、時間が本来の出来事に近い
形に戻そうとするはず。だから、1月21日月曜日が終わるまで油断は出来ないのだ。
「わかってるわよ。最後まで気は抜かない」
その返事に未来かがみは、神妙な面持ちで頷いた。そして……。
「じゃあ、私は帰るわ……」
えっ?
「ちょっとアナタ、私になんか用があったんじゃないの?」
未来かがみは、その問いに対し首を横に振る。
「ううん、ちょっとあなたの顔が見たかっただけよ」
そう言って、未来かがみは去って行った。……一体、何がしたかったのだろうか?
今日の未来かがみは、全く以って不可思議だった。
201 :
並行世界28:2009/12/10(木) 19:57:48 ID:8rGiakXO
《18》
1月19日(土曜日)10:00頃
「うんうん……」
私は、自室のベッドに腰掛け電話をしていた。
「それじゃ……」
ボタンを押し通話を終了した。
「さて、準備準備」
と、ベッドから立ち上がると同時に携帯電話が鳴った。
誰だろ? 着信窓には『公衆電話』と表示されていた。
未来かがみ? 私は、通話ボタンを押して電話に出た。
「はい、柊です」
『かがみっ! こなたが大変なの』
やはり、未来かがみ。
「こなた?」
こなたが大変って……どういう事?
『何度も電話してたのに! 誰と電話してたのよ?』
「あ、いや、みゆきと……」
『まぁ、いいわ。急いで今から言うところに来て!』
未来かがみは、だいぶ取り乱している様子だった。
「ちょっと、落ち着きなさいよ。こなたが、どうしたのよ?」
『どうしたも、こうしたもないわ。どうやら、時間軸がズレていたらしいの!』
「ど、どういう事よ?」
私は、未来かがみの言っている事がわからなかった。
『こなたが、自殺しちゃう。早く来て、場所は……』
場所を聞いた私は、電話を切った。
そして、一呼吸おいて……そんな、バカな! と、心の中で叫んだ。
未来かがみは、時間軸を取り違えこなたの自殺する日を見誤ったという。
でも、それは……いや、とにかく未来かがみもそこへ向かっているらしい、私も急いで行かねば!
《19》
そして私は、未来かがみに聞いた糟日部のとあるビルに到着した。
「このビルの屋上ね……」
どうやらこのビルは、不況の波を受け蛻(もぬけ)の殻……使われていないようだった。
テナント募集中の看板。不動産屋の意向か、中を見られるように鍵も掛かっていない。
電気も通っているようで、エレベーターが使えた。私は、そのエレベーターで最上階に向かった。
最上階に到達したエレベーターの扉が開く。ここからは階段で屋上に向かう。階段を一段、また一段と踏み
しめる度に心臓の鼓動が早くなる。
そして、私は屋上に続く扉の前で、立ち止まった。……おかしい! ここで、未来かがみと落ち合う手筈に
なっていたのだが、彼女の姿がない。仕方なく、私は屋上へ続く扉を開いてみた。
風が吹き荒んでいた……そして、彼女は1人佇んでいた。
「遅かったわね……」
未来かがみの雰囲気が、何か違う。
202 :
並行世界29:2009/12/10(木) 19:58:19 ID:8rGiakXO
「こ、こなたは、どこよ?」
「こなた? バカね、あなた……。こんなところにこなたがいるわけないじゃない」
「なっ! ど、どういう事よ? アンタが、このビルでこなたが今にも飛び降り自殺しそうだから急いで
来いって……」
「そんなの嘘に決まってるじゃない」
未来かがみは、キッパリと言い切った。
「なっ、嘘って……なんで、そんな嘘を?」
「あなたを……殺す為よ!」
はっ? 未来かがみは、冗談を言っているつもりなのだろうか?
「な、何それ? 悪い冗談は、やめてよ。ははっ」
私は、未来かがみに歩み寄ろうとした。
「動かないでっ!」
未来かがみは、懐から何か黒い物を取り出して私に向けた。
それは、銃! セミオートマチックのハンドガン『ベレッタM92FS』だった。
その先端には、御丁寧に減音器(サプレッサー)まで装着してある。
「ベレッタM92FS……本物? モデルガンでしょ? それっ」
「あら、詳しいのね。本物よ」
そう言って、M92FSのスライドをシャキンと得意気に引いてみせる未来かがみ。
「最近まで、本格的なガンシューティングのゲームにハマッててさ。っていうか、ホントに良くできたモデル
ガンね。ちょっと見せてよ」
私が1歩踏み出そうとした次の瞬間、足元のコンクリート床に穴が空いた。
コンクリート片が、私の頬を物凄い勢いでかすめていった。
「動かないでって、言ったでしょ?」
一瞬、何が起こったのかわからなかったが、コンクリート床のヒビと頬を伝う血でようやく理解した。未来か
がみが、発砲したのだと。そして、あのM92FSは本物なのだと。
銃声は、なかった! 銃声は、2つの大きな要素で構成されていて、1つは発射ガスの破裂音。もう1つは、
弾が音速以上で進む際に生じるソニックウェーブ。そして、サプレッサーは前者にしか効果がない。通常の
9mmパラベラム弾(9パラ)なら後者のソニックウェーブによって銃声がする。しかし、今の発砲は銃の機構が
作動する音しか聞こえなかった。だとすると、あのM92FSは弾の初速が音速を超えず、亜音速に留まるよう
に弾頭の重さや火薬の量を調節した所謂(いわゆる)サブソニック弾を使用していると思われる。これは、厄介だ。
なぜなら、これで銃声によって誰かがこの状況に気づいてくれる事は、皆無になったのだから。
「ほ、本物! そんな物、一体どこで……?」
「簡単よ。私は、時空を超越しているのよ。……その意味がわかる?」
なんとなくだが答えはわかる……。でも、ここは敢(あ)えてわからないふりをした。
「な、何よ! そんなのわかんないわよっ」
未来かがみは、首を左右に振って困り顔をする。
「私のくせに意外とバカね、あなた」
「な、なんだとぉ! 勿体ぶってないで、教えなさいよ」
未来かがみは、ニヤリと口元に笑みを浮べる。
「私が、思い描いた場所に銃が落ちている世界に行けばいい……」
「ま、まさか!」
203 :
並行世界30:2009/12/10(木) 19:58:50 ID:8rGiakXO
未来かがみは、話を続けた。
「私は、この世界に来るまでにこなたの死を6回も見ているの。その度に、私の力は増大していった。今では、
私の思い描いた世界とほとんど遜色ない並行世界に行く事が出来るのよ。だから、銃を手に入れる事も簡単」
並行世界の数は、無限! なかには、そういう世界もあるかも知れない。いや、実際にあるのだ。
それは、未来かがみが証明している。しかし、それなら……。
「それなら、こなたが自殺しない世界だって……」
「それは、出来ない……いくら、やってもそれだけは出来ないのよっ!」
未来かがみは、目に涙を浮べて私を睨みつける。その目には、悔しさが滲み出ている。
「でも、この世界ならもしかしたら希望がある。だから、あなたを殺して私がこなたと……」
「ふ、ふざけんじゃないわよっ! それは、アンタの勝手でしょうが」
「そうかもね。でも、もう、こなたが死ぬところを見るなんて私は、まっぴらごめんなのよっ!」
激昂してM92FSを構え直す未来かがみ。今にもトリガーを引きそうな勢いだ。
「あなたには悪いけど、死んでもらうわ」
未来かがみが、トリガーを引くか引かないかの刹那!
「もう、やめてぇぇぇぇぇぇ」
その叫びに、未来かがみの動きが止まった。
「こ、こなた。なぜ、あなたがここに?」
叫びの主は、こなただった。
未来かがみは、この場にこなたがいる事を酷く驚いていた。
一方、私は驚かない。なぜなら、私がこなたをここまでつれて来たのだから。
「かがみ! あなた、まさかっ」
「ええ、話したわ。アンタの事も全部ね」
「なんて事をしてくれたのよ! っていうか、なんでどうして? よくも私の計画を台無しにしてくれた
わねっ!」
逆上した未来かがみは、物凄い剣幕で捲(ま)くし立てる。
私は、そんな未来かがみを冷静に往なす。
「実は、さっき掛かって来たアンタの電話で気づいちゃったのよね」
「さっきの電話? なっなんで、たったあれだけの会話で」
私は、困惑する未来かがみを鼻でフフンと笑って、得意気に言ってやった。
「だって、アンタから電話が掛かってくる直前まで私は、こなたと電話してたから。しかも、私はこなたの家の
固定電話に掛けていたのよ!」
だから、私は釈然としなかった。未来かがみの『こなたが大変なの』を聞いても。
「なっ! そ、それじゃ、みゆきと電話していたというのは……」
「咄嗟に思いついた嘘よ」
「くっ、なんて事よ。よくも、よくも……」
ワナワナと震えだす未来かがみ。実は、種明かしをしたところで、これはこれでヤバイッ!
追い詰められた未来かがみが、M92FSのトリガーを引いてしまうかも知れないから。
しかし、そんな事をされては堪ったものではない。私は、なんとか未来かがみの説得を試みる。
「だから、もうやめようよ。こんな事は、さっ」
「うるさいっ! だまれっ」
次の瞬間、凄まじい衝撃が私の胸を叩く。
私は、状況が理解できないまま仰向けに倒れる。息ができない。力が抜ける。
こなたが私の名前を叫んでいるようだ。それも途切れ途切れにしか聞こえない。
そうか……私、撃たれたんだ!
錯綜(さくそう)する意識の中、私はやっとの事で状況を理解した。
204 :
並行世界31:2009/12/10(木) 19:59:16 ID:8rGiakXO
「かがみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
こなたが、駆け寄ってきて私に死ぬな、死ぬなと叫んで泣きじゃくっている。
「しぶとい奴ね。まだ生きてる」
いつの間にか、未来かがみが倒れている私の前に立ってM92FSを構えていた。
止めを刺すつもりなのだろう。
「こなた、安心して。私達の幸せを邪魔する、このかがみは殺すから」
未来かがみは、こなたの死を何度も見過ぎて、狂ってしまったのかも知れない。
しかし、今更それに気づいたところでどうしようもない。私は、死を覚悟した。
だが……。
「もう、終わりにしよう……」
こなたが、ポツリとつぶやく。
徐に立ち上がったこなたは、未来かがみのM92FSに手を添える。
そして、銃口を自分の胸に押し当てた。まさかっ! それは、ダメよこなたっ。
私は、こなたの行動を阻止しようと腕に力を入れ、起き上がろうとする。
しかし、痙攣するかのような心臓の鼓動。呼吸もままならない。
苦痛だけが先行し、身体はまったく起き上がろうとしない。
「何してるの? こなた」
未来かがみは、予想していなかったこなたの行動に脅えだした。
その間も私は、なんとか起き上がろうと必死だ。
「これでいいんだよ。私さえいなければ良かったんだ……私さえいなければ」
「だ、だめよ! やめなさいっ、こなた」
一瞬の出来事だった。私の顔に飛び散るこなたの熱い鮮血。口から血反吐(ちへど)を吐いて倒れ行くこなた。
時がスローモーションのように感じられた。私は、それを唯々見ている事しか出来なかった。
次の瞬間、私の心(なか)で何かが弾けた! 爆発した!
「――――――――――――――――――――!」
私は、声にならない声でこなたと叫ぶ。
目の前が真っ白になる! いや、この真白(ましろ)なる光は私から……?
私は、薄れゆく意識の中、世界(すべて)が白になるのを見た…………。
《20》
気づくと、いつの間にか私の目の前に美しいヴァーミリオンが広がっていた。
徐々に薄れていた五感が機能し始める……。
背中にゴツゴツした感触。両腕を動かし、それが何か確かめる。それは、無機質なコンクリート。
目に映るヴァーミリオンは、夕映え。首を傾けると夕映えは、鉄柵とコンクリート床に変わった。
鼓膜には、下の方からざわめきが飛び込んでくる。
ここは、学校? 陵桜学園。私は、その屋上に横たわっているのか。
なぜ? 私は、まだ完全に機能していない脳(あたま)を使って考えてみる。
205 :
並行世界32:2009/12/10(木) 19:59:49 ID:8rGiakXO
……思い出した。私、この間の返事をする為に、アイツを屋上(ここ)に呼び出したんだった。
それでアイツ、なかなか来ないから待ちくたびれて眠ってしまったんだ。
状況を理解した私は、ムクリと起き上がり鉄柵の方に歩み出す。
そして、鉄柵に身体を前のめりに預ける。私は、虚ろな目で夕映えを見つめながら考えた。
あれは、なんだったのだろうか? 私は、悪い夢でも見ていたのだろうか?
そんな事を考えていると、手の中に先程までなかった違和をふと感じる。
それは、あの時こなたからもらったストラップだった。
次の瞬間、胸にズキンと痛みが走る。痛む箇所を確認してみるが、なんともなっていない。
だが、そこは未来かがみに撃たれた箇所だった。それが、私をさらに困惑させる。
あれは、夢じゃなかったのか? 思考が、ごちゃ混ぜになる。
わけがわからなくなった私は、そのストラップを大空へ向かって投げつけた。
その時、強い風が吹いてストラップを遥か彼方に連れ去った。
「時空の風……」
なぜか私は、そうつぶやいた。
そして、不思議な事に胸の痛みもいつの間にか消えていた。
時空の風が心(キズ)を癒してくれたのかも知れない。
「かがみ……」
不意に名前を呼ばれた私は、振り返る。
「遅い! 待ちくたびれちゃったじゃない」
彼女の顔がヴァーミリオンに染まって眩しい。
「ごめん……」
「べ、別に謝る程の事でもないわよっ」
そう言って、私は彼女に背を向ける。
私は、HRの後も彼女が1人で教室にいたのを知っている。
心の準備? そんな幼気(いたいけ)な彼女を想うと胸がキュンとなる。
彼女は、そんな私のすぐ後ろまで歩み寄り、か細く心もとない声で……。
「返事……聞かせてくれるんだよね……?」
私の脳裏には、彼女が自殺するあの瞬間がフラッシュバックしていた。
あれが夢ではなく本当の未来だとすれば、どうする事も出来ないのか……。
いや、こんな私でも1つだけ……たった1つだけ出来る事がある。
……それは、今の自分を信じる事。
もしも、私が自分を信じて、今日を変える事が出来るのなら未来だって変わるはず。
だからさ、受け止めてよ。私のこの心、想いを……。
気づくと、私は彼女を抱きしめていた。
そして、私は彼女の耳元で囁く……。
「好きだよ、こなた……」
今、私は未来へ向かって歩き出す。
こなたの全てを抱きしめて…………。
《了》
イイハナシダナ~
GJ!
乙!
208 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 08:35:53 ID:5FHMjpE1
あ
209 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 09:44:18 ID:Sf/skwkR
乙
211 :
師匠:2009/12/11(金) 18:28:25 ID:l2VCp/2m
GJ、乙……私は、皆さんからその言葉が聞きたくて、これを書いたようなもの。
感無量とは、まさにこの事! 本当に書いて良かった。作者冥利に尽きます。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
212 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/11(金) 22:16:31 ID:EZa5a3Vk
まだこの スレ も 212 までしか存在しない・・・。 まだまだ時間はありますので、
これからも色々な作品の登場、 楽しみにしています。
>>211 : 師匠
本当にお疲れ様でした。 とても面白いお話で良かったです。 銃関係に詳しいとは
なかなか素晴らしいご趣味をお持ちのようで・・・。 私も同じです。
次回作は Beretta M92FS の他にも様々な口径の銃も登場させて下さい。
乙ー
うにゃ
銃か
>>210 横レスだがそれ俺も見てた
専ブラだからレスも全部残ってるよ
どっか指定してくれたらコピペするけど
こう「今日は君のために名曲をうたってあげる」
「八坂さんと永森さんが私のために歌うなんて、さて聞くか(≡∀≡.)」
やまと、こう「死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね、死んじまえ〜♪」
やまと、こう「き〜もいコナ虫やっつけろ〜♪」
「酷いよ〜ヽ(T皿T.)ノ」
「かがみ〜ん、二年のくせに私のことを死ね死ねいうんだ(T皿T.)」
かがみ「・・・」
「うっうっうっ、かがみん、わたしたち親友だよね?助けてくれるよね(TωT.)」
かがみ「殺意で心を汚してしまえ!死ね!死ね!死ね死ね〜♪」
「かがみんまで!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁん!ヽ(T皿T.)ノあ、祐一くんに名雪ちゃん、かがみたちが
いじめるんだよ〜助けて〜(TωT.)」
祐一、名雪「青虫共は邪魔っけだ!! 」
「祐一くんまで〜ヽ(T皿T.)ノ」
「あれ?あれは伸恵たちだ?公園で何歌っているんだろう?(≡ω≡.)」
伸恵「きもいコナ虫ぶっ潰せ!」
美羽「死ね死ね死ね!」
千佳「死ね死ね死ね!」
アナ「死ね死ね死ね!」
茉莉「死ね死ね死ね!」
「伸恵たちまで・・・(TωT.)」
「あの軽トラに乗っているのはキョンだ・・・おーい!キョン!ヽ(≡ω≡.)」
DJ「次は、シブタクさんのリクエストでコナ虫への思いを込めた
「コナ虫、死ね死ね団のテーマ」です」
キョン「おっベストチョイスキタコレ!この曲聴いていると、あのコナ虫は早く死んでほしいよな」
「もうまっすぐ家に帰ろう(TωT.)」
「ただいまーヽ(≡ω≡.)ノ」
そうじろう「埼玉の地図から消しちまえ!死ね!死ね死ね死ね 死ね死ね死ね!」
「みんな酷いよ・・・そっか埼玉には私の居場所がないんだ・・・(TωT.)」
竜崎「どうやら、泉の野郎、秋葉原に向かっているようです」
兄沢「そうか、こっちは準備万端だ、いつでもあのキモゴミをあの世に送れる手はずは整った」
竜崎「わかりました。今からそっちに行きます」ピッ
大石「んっふっふ、やっと死ぬのですか、あいつには同人以下のみずの版ハルヒの単行本、七冊買わされ
ましたからね、三万五千も無駄にお金を使われましたよ」
竜崎「僕なんか、この前、胸を蹴とばされた。まぁ、あいつにされたことは気にするなってことよ。
僕なんて三万どころか毎月、三十万近くの金を使わされてましたよ。あいつのグッズやフィギュアの
購入金にね。僕はこの日が来ることをまっていたんですよ」
「秋葉原・・・ここにいれば安心だ(≡ω≡.)」
凛「店長、泉の野郎が着やがりました」ザザー
兄沢「わかった、いつでも撃ち殺していいぞ」ザザー
凛「ああ、俺はコルトパイソンとパレットM2の手に入れをしておく、逃げてきたら教えてくれ」
「一生ここに住もう・・・それなら安心だ(≡ω≡.)」
兄沢「死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね、死んじまえ〜♪」
これを見ているお前ら「き〜もいコナ虫やっつけろ〜♪」
「ここもだ!ヽ(T皿T.)ノ」
ドゴ―ン
凛「チッ、当たったのはアホ毛だけか・・・ん、あのマセラティビトルボは・・・竜崎の車だ
まてよ、面白いこと考えたぜ」
ドゴ―ンドゴ―ンドゴ―ン
「うっうわー(≡д≡.;) 」
キキードゴッグシャパギッ
大石「んっふっふ・・屑ゴミ野郎を引き殺してしまいましたよ」
竜崎「それは違います、泉の野郎は事故死したんじゃなくて自殺したんです」
大石「たしかに、そっちの方がいいですがね」
つかさ「エヘヘへ、ゆきちゃんが考えてくれた作戦でこなちゃん死んじゃったよ〜」
みゆき「うふふふ、計画通りですね」
つかさ「のぶちゃんや竜崎さんや相沢君たちが協力してくれるのはみんな私のことが好きだからだよ〜
あれ・・・ゆきちゃん、何笑っているの?」
みゆき「いや、なんでもありません・・・(プププ、皆がつかささんのことが好きだから、今回の計画に
参加したんじゃなくて、みんな、泉さん恨みがあるから、参加したんです。それをつかささんのため
だなんて・・・笑わせやがる、ウププププ)」
めでたし めでたし
219 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/13(日) 21:19:06 ID:ATjdoj/v
Gewehr 22 だせや !!
本物の神奈川は何処に行った?
読んで考えてみたんだが、もしも、伸恵やこう、竜崎、祐一とかは昔から
自殺スレのSSに登場していたら、かがみと同様、こなたの味方になっていた
かもしれない。
アニメ店長や大石は中立の立場をとりそうだが。
222 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/15(火) 06:12:57 ID:moBVWBOH
Jは死ね
224 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/17(木) 23:01:54 ID:0hvrU91R
ブララグ×らき☆すた
こなた「私は、みさきちの馬鹿とは違う。
かがみの妹がなんとかできるとは露とも思ってない。
だから、何か面倒事が起きた場合、最後の頼りは自殺だけ」
かがみ「自殺じゃない。この期に及んでなんとかできるのは、つかさと…
精々みゆきと峰岸だけよ」
こなた「ここで救済になるのは希望や愛じゃない。
電車か手首か紐か………高い所だけだよ」
かがみ「あんたは自殺で、この状況をなんとかできると思ってるんだね?」
こなた「だったら何?アンフェタミンでも持ってくるべきだった?」
かがみ「…違うのよ、あんたはやっぱり…わかってない。
ひとつ。もうこの局面じゃ、自殺は救いにならない。仮に死んで意識が消えたとしても。
そして二つ目。私とあんたは、本当は同じものを見てない」
こなた「何を思い出すと思いや、下らない。
自殺しようが這い蹲ってでも生きようが、私もかがみも、社会から見ればどうでもいい存在だ」
かがみ「そんなのは知ってるわよ。社会が変わったわけじゃない。
変わったのは、つかさよ」
こなた「ふん、またつかさか。誰も彼もつかさつかさ、末おっそろしい女だよ、つかさは。
ビッチになってれば、史上最強の売春婦になれたんじゃないの?」
かがみ「ああそう分かった。これ以上話してもしょうがない。あんたに話しても無駄だ」
こなた「吹くじゃん、かがみん。ツンデレのクセして、世の中がお花畑に見えて、デレて媚びる気になった?
かがみが妹をエホバ呼ばわりするのは勝手だけど、
つかさが黄金を捻り出せると思ったら大間違いだよ?」
かがみ「……そうかもね。もういいよ、話はおしまい。ひょっとしたらと思ったけど、
あんたやっぱ、ただのバカだ」
こなた「ちょっと待ってよ。かがみんどういう」
かがみ「馬鹿に馬鹿って言って何が悪いのよ、この馬鹿。心底あほらしくなってきたわ。
不毛だけど、最後に一つだけ、話相手になってあげる。
世の中にお花畑があると思ってるのは私じゃない、本当は、あんたのほうだろ?」
こなた「……」
かがみ「自分だけがお花畑から追い出されてると思ってるから、
なんでもかんでも嫉んで見るんだ。私が言いたかったのは、私とあんたの違いはそこだって事」
こなた「……」
かがみ「私はね、この世をお花畑とも糞溜めとも思ってない。この世はね、溝鼠みたいな灰色だ。
良くも悪くも無いわ。 何でそんなにつかさを悪く言うか、私は分かる。
言ってあげるわ、あんたはああいう人がこの世界に居るって事を認めたくないだけよ。
どんな絶望的な状況下でも希望を決して捨てない人が居るって事、認めたくないだけよ。
何故なら、嘘になるから。あんたが言う、絶望しかない世界がね」
こなた「ほうかい。じゃせいぜい、清く正しく希望を持って生きな。
豚小屋の寝室でくたばった後には、天国が見つかるかもよ?
かがみと仲良くするちょっとした理由も消えうせた事だ。つかさ共々、嘲られてな、お嬢ちゃん」
かがみ「あんたはそうやって、小馬鹿にするみたいによく笑うわね。その顔、鏡で見たことある?
あんたの笑いは、まるで、死者の日の骸骨よ」
こなた「ハハ、ハハハハハ!
ああそうさ、よく気付いたねえ、お嬢ちゃん。
死者の国から遥遥と」
かがみ「っ」
こなた「うすっ暗い墳墓の底から、憤怒を担いでやってきたんだよ。
私も、書き手も、アンチも、ロムも、みぃぃぃぃんな。
だからよお嬢ちゃん、私達の死体処理で電車が遅れても許してくれよ、お嬢ちゃん。
そしたらよ、こおんなアジアの極東で地に這い蹲って生きる予定の、
哀れなお嬢ちゃんには、せめてチョコレートを備えてあげるから。
かはっははははは」
226 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/19(土) 23:04:17 ID:8D9Y578o
そんなに言い争わなくても 800 m 先から目と目の間を狙撃してやるよ。
中尉は引退しました
おいおい……
こなた「聖者は十字架に張付けられました」
かがみ「こなたは十進法を初めて知りました、っていうポーズにしか見えないわ」
寒いから自殺
最高値でベッド
232 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 21:13:59 ID:fRFj0N5j
>>231 こなた はベッドの上で一体何をすると言うのかね ?
答え Geschlecht
是非ドイツ語翻訳で意味を確かめてみてね ☆
233 :
グレゴリー:2009/12/21(月) 21:19:21 ID:I/GboDCh
とりあえず、糞忙しいので、もうssの第一弾を投下したい。
クリスマスなんて糞くらえだし、挿絵も描いたがヤケクソになっちまった。
挿絵とssの二本立てがこれほど苦痛だとは。
*とりあえず、超激グロなので注意すべし
234 :
グレゴリー1:2009/12/21(月) 21:31:06 ID:I/GboDCh
「男たちの復讐」
延々と続く人の列。灰色の囚人服に身を包んだそのどんよりとした行進は、まるで川の流れのようだ。
ここは東京都の外れにある港。
急造で作られたこの港は、まるでかつてそこにあったものを恐るべき規模で無理やり壊し、取り除き、平らにしたみたいだ。
船の接岸設備だけは立派で大規模であるものの、その周りはむき出しの岩肌と褐色の土が無機質な風景を作っていた。
そして途切れることなく続く囚人たちの行進。
ここで積み込まれた囚人たちの行き先はそれぞれ違っている。
あるものは強制労働に向かい、あるものは人体実験のドナーとして、あるものは未だにダッチワイフを
持たない男たちの肉便器として。
世界最古にして最大の秘密結社”女性”の一員として、男達を搾取し、利用し、ボロボロにしてきた
その罪を彼女たちは償わされようとしていた。
延々と続く女性たちの行進。その真ん中あたりに、彼女達を見下ろすように味気のないコンクリート製の建物があった。
行進が続く道の端にちょっとした丘があり、その上に2階建ての箱のような単純な形をしたビルが建っているのだ。
「グレゴリーの小屋」
その建物は恐怖をもってそう呼ばれていた。しかも、そう呼んでいるのは目の前を行進する女性たちではなく、
ここの施設を管理する側の男性の警備兵たちなのだ。
そして文字通り、グレゴリーの小屋には恐怖があった。
小屋の前を通るとき、まずはすさまじい匂いが鼻をつく。
これは明らかに人体の腐食した匂いだ。やがて蝿のたかった何かが目につく。
その何かは小屋の前で串刺しにされていたり、吊るされていたりしていた。
そして、目の前を通ってようやく分かるだろう。それが人間であるということに。
串刺しにされたそれは全身の皮を剥がされていた。どす黒さと赤さにまみれたその人型のプロポーションは
股間の秘部を串で貫かれ、まるで杭の上に座っているのかのような格好だった。
胸の膨らみと貫かれた秘部から見て、それは明らかに女性だった。
http://iup.2ch-library.com/i/i0039917-1261398356.jpg おどろくことにそれはまだ生きていた。目の前を足早に通り過ぎる灰色の群集に向かって、力なく同じ言葉をつぶやいている。
「水....水...」と
むき出しの歯茎を弱弱しく動かし、もはや瞼が無いゆえに閉じることができず、カラカラに乾いてしまった眼球を
虚空に漂わせながら、この赤黒い物体は生かされ晒し者にされていた。
その恐怖の小屋の中。
こなたは人類統治機構軍の真新しい制服に身を包み、コンクリートの段差の上に腰掛けてリンゴを齧っていた。
http://iup.2ch-library.com/i/i0039916-1261398356.jpg 目の前のグレゴリーは、両手両足を縛られ、フックに掛けられた中年女性に話かけている。
本来は人類統治機構軍の輝かしき上級士官として、ピカピカの制服に身を包まなければいけないのだが、
彼はまるで肉屋の親父のような格好だ。ビニール製の前かけと長靴。
それは血でまみれており、両手にノコギリと包丁を持っている。
グレゴリーの小屋の中ではすでに日常的な光景。
人類統治機構が設立され、男性の勝利が明らかになった頃、グレゴリーは九州から東京にやってきた。
傍らにこなたを連れて..
彼にはあまりにも強力な後援者が居た。
いまや、先進国の首相や大統領よりもはるかに強い権力を持った、かつてのダッチワイフ会社の社長と技術者。
この2人による推薦で、グレゴリーはこの小屋の主人となった。
235 :
グレゴリー2:2009/12/21(月) 21:33:09 ID:I/GboDCh
彼の仕事は、名目上は最後の防波堤だ。かつて、世界最古にして最大の秘密結社”女性”の主要構成員たちは
裁判によって即座に処刑されていた。この港に運ばれる囚人たちは比較的軽罪の一般女性であるものの、
もしかしたら身分を隠したかつての主要構成員が裁判を逃れ、紛れ込んでいるかもしれない。
それを発見して処分するのがグレゴリーの仕事だった。
だが皆、分かっていることだった。グレゴリーは何の根拠も取り調べもなく、単に気分で女性を選び、気ままに
小屋の中で残虐行為にふけっているということを。
しかし、楽しんでいるのはグレゴリーだけではなく、こなたも心から楽しんでいた。
リンゴを齧るこなたの前で、グレゴリーは吊り下げられた女性に何やら話かけている。グレゴリーは不意に
横の壁に向かって指差した。壁には2人の若い女性が磔のような格好でつなぎとめられていた。
「この二人はお前の娘だな。見るからにヤリマンのビッチだなおい」
吊り下げられた中年女性と、壁に磔にされた若い女性の3人は、もはや恐怖で何も答えることができなかった。
グレゴリーは後ろのこなたに向かって楽しげに話しかける。
「おーい、こなた。ヤリマンの中古ビッチのガバマンに何を入れたら満足すると思う?」
こなたは食べかけのリンゴをポイっと地面に捨てると、しばらく口をもごもごして咀嚼していたが、リンゴを飲み込むと
人差し指をアゴに当て、上に視線を彷徨わせながら迷っていた。
「うーん、ドリルは前にやったし、焼いた鉄棒もやったしなー。そういえば、おなかすいちゃったんだけど。
リンゴだけじゃ足りないよ」
グレゴリーは無邪気なこなたの仕草に愛おしい視線を向けていたが、こなたの空腹に気がつかなかった自分に気がついた。
そういえば、昼飯も抜きで没頭してしまっていた。なんてことだ!
「ごめんな、こなた。俺も何か食べたいわ。んじゃあ、こいつらを食べるか」
グレゴリーの言葉にこなたは歓声をあげた。
「わーい!!肝臓と脳みそは私に残しておいてよ!それと、こいつら、中絶経験が絶対にあると思うから
子宮はNGね。中絶経験者の子宮ってなんか腐った匂いがするんだよね」
こなたの言葉にグレゴリーは肩をすくめた。
「こんなヤリマン中古ビッチの子宮なんて何人殺してるか分からないからな。そうだ!この母親にこいつらの子宮を食べさせよう。
この母親の目の前で、ヤリマン娘たちを解体して、母親は出来るだけ長生きさせてやろうぜ!食料の娘たちが尽きるまでな」
二人はまるで子供のように無邪気にはしゃいでいた。
気絶しないように、意識を保つために注射を打った後、グレゴリーは壁に繋がれたヤリマン娘の解体を行った。
もう手馴れたものだ。熟練調理人のように、できるだけ死に至らしめないように人体を解体する方法をグレゴリーは
体得していた。腹を包丁で引き裂いたとき、勢いよく噴出する腸とともに飛び散った血が、後ろのこなたにかからなかったか
心配して振り向いた。しかし、すでにこなたは積んであった木箱の後ろに避難済みだった。
(ほんとうに俺達って一心同体だな。息がピタリと合ってる。ダッチワイフの性能がこれほどとはな)
グレゴリーは目の前の愛おしいダッチワイフ、軍服に身を包んだクールな表情の青い長髪の小柄な少女の姿を見つめた。
人類統治機構の軍服は皮肉にも、前世紀に世界を震撼させたナチス.ドイツのSSの軍服に酷似していた。
そのクールで機械的で迷いのないデザインの軍服は、同じくクールで機械的で迷いのないこなたの表情とあまりにも
ベストマッチしていた。見つめるたびに恋に落ちるその愛おしい少女を作ってくれた、かつてのダッチワイフ会社に
対する感謝と忠誠は尽きることがないだろう。これは全世界のダッチワイフを所有する男たち全員が思っている。
だが、こなただけは特別なのだ。あらゆる意味で。
もはや雲の上の人となってしまった、かつてのダッチワイフ会社の社長と技術者と、グレゴリーを
結びつける永遠の絆のような存在なのだ。
人類が、世界最古にして最大の秘密結社”女性”からの支配を逃れることになったとある事件の永遠の記念碑のような
存在でもある。
236 :
グレゴリー3:2009/12/21(月) 21:34:38 ID:I/GboDCh
それに、こなたはほとんど初期ロットのダッチワイフくらいに古い。しかし、次々とバージョンアップしていく
最新型のダッチワイフ以上の性能を、こなたは持っているに違いないのだ。
こなたがグレゴリーのために特別に作られたダッチワイフであるのは間違いないだろう。
もちろん、旧式のダッチワイフは拡張という形で最新型の性能を手に入れるのは容易なことなのだが
こなたはまだ一度も拡張したことはなかった。
「さてと、食事も終わったし、次の獲物を狩りに行くとするか」
グレゴリーは拳銃のぶら下がったベルトを締め、軍服の上着を羽織った。
テーブルの椅子の背もたれにダラリと身を落ち着け、ピカピカのブーツをテーブルの淵に投げ出したこなたは、
蟹股で外へ向かうグレゴリーに対して敬礼した。
「御武運を!...クックック」
そのまま上機嫌にグラスのウイスキーを喉に流し込むのだった。
小屋の外に出たグレゴリーは大きく伸びをした。周りは無機質な茶色の荒地。ちらりと横を向くと、串刺しにされた
皮剥ぎ女が首をうなだれピクリとも動かなくなっていた。今度はあの母親を串に刺しておくか。
そして眼下の尽きること無い灰色の流れを見渡す。囚人たちはふいに小屋から現れた、人類統治機構軍の
将校に気がつくと、あからさまな早足になった。どんどん小屋の前の行進に混乱が生じてくる。
いまやグレゴリーの小屋の前はパニックだった。押しつぶされる者、それらを踏み越えて走り去ろうとする者。
グレゴリーはベルトのホルスターから拳銃を取り出すと、空に向けて一発撃った。
ふいに、遠くの物見やぐらや警備兵の詰め所からも同時に銃声が響く。長い行進はピタリと止まった。
グレゴリーの目の前の囚人たちは、ピクリとも動かずに顔をうなだれ視線を下に向けている。
流れの止まった灰色の群集の元にグレゴリーは降りていく。下を向いたまま小刻みに震える囚人たちをしばらく
眺め回すと、グレゴリーは目の前の1人の腕をつかみそのまま横に投げ出した。そして目の前の囚人たちを
どんどん同じように跳ね除けながら、列の中にズンズンと入り込んでいく。
やがてグレゴリーは立ち止まった。目の前には3人の囚人が寄せ合うように身をちぢこませながら下を向いている。
見たところ、まだ20前後の若い娘たちだ。
背の高い女と地味なメガネ女にはさまれるようにして両脇の二人よりもずっと年下に見える女がいた。
グレゴリーは手を伸ばすと、その女の赤い髪を乱暴につかんだ。うつむくその顔をむりやりあげる。
囚人服の胸元には「肉便器」と書いてあった。ニヤリと笑うと、髪をつかんだまま引きずり出そうとした。
ふと、なにか強い力に阻まれたのを感じた。僭越にも背の高い女が、グレゴリーの間に割って入り、
必死で小柄で赤い髪の女を押さえつけている。
「待ってください、私達は裁判を終え、すでに刑が決まったのです。今からそれぞれの服務地へと向かう途中なのに..」
背の高い女の囚人服の胸元には「ドナー」と書かれていた。人体実験や臓器提供のドナーには、身体的に優秀な囚人が選ばれ
それなりに貴重な存在ではある。だが、そんなことは関係なかった。
グレゴリーは心底うんざりしたようなめんどくさそうな表情をすると、ホルスターから再び拳銃を取り出し、
そのまま銃口を女の頭部に向け引き金を引いた。
乾いた銃声とともに、女の額にぽっかりと9ミリの穴が空いた。銃弾は頭部を貫通することなく、頭の内部に留まり
中の脳をめちゃくちゃにした。額の穴から血と内容物を撒き散らし、撃たれた女の体はまるで糸が切れた人形のように
ぐにゃりと地面に崩れ落ちた。
赤い髪の小柄な女は、悲鳴を上げると倒れた女の元にひざまずき絶叫した。
「みなみちゃん!そんな!!みなみちゃ」
しかし、その叫びは、伸びてきた手が乱暴に髪をつかんで引っ張りあげたことで中断された。
グレゴリーは再び、赤い髪をつかむと無理やり立たせた。そして、そばに居る地味なメガネの女に死体を端に持っていくように
命令し、そのまま引きずっていった。
グレゴリーが赤い髪の女を引きずって小屋に入っていった後、地味なメガネの女は無表情で、倒れた死体を道の端に持っていった。
その胸元には「腐女子」と書かれていた。
237 :
グレゴリー4:2009/12/21(月) 21:35:56 ID:I/GboDCh
グラスに注いだスコッチウイスキーを飲み干す頃、グレゴリーは帰ってきた。
こなたは振り向くと、グレゴリーの手は小柄な女の赤い髪を引っ掴んでいた。
「おお、我が姫よ!!退屈召されたか!!!だが、これからはじまる阿鼻叫喚空前絶後のショータイムをご覧あれ!」
グレゴリーは大げさな身振りで両手を広げこなたに一礼すると、赤い髪の小柄な女を後ろから蹴り飛ばした。
こなたはぼんやりと、目の前の血と臓器でまみれた床に転げ落ちていくその女を見つめた。
ヌメヌメとした床に無様に倒れた女は反射的にヨロヨロと起き上がろうとする。涙と泥にまみれたその顔をこなたは注視していた。
女はキョロキョロとあたりを見回すような動作をしているが、もはや涙で曇ったその目に映った風景はぼんやりと霞んでいるだろう。
こなたは女の顔から目を離すことができなくなった。こなたの体は小刻みに震え始めた.....
そして、不意にこなたはすべてを思い出したのだった。
...私の名は泉こなた....
この世に生まれてまだ5年程度しかたっていないはずのこなたに、泉こなたとしての17年の記憶が舞い込んできたのだった。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
....私の名は泉こなた...
.....私の目の前には、懐かしいゆうちゃんがいた。身長と体格はあまり変化がないみたいだ。
小早川ゆたか。年下の従姉妹だけれども、姉妹のいない自分にとっては妹と言ってよかった。
もう20歳くらいになるのかな? かわいそうに、ひどく怯えて絶望している。
なんでこんな世界になっちゃったんだろう。
私の中には、あの、ダッチワイフ工場で自爆した瞬間がまるでついさっきのことのように思い出せる。
それと同時に、ダッチワイフとして生み出されてからの5年間の記憶もある。
なんてひどいことをやらされてきたんだろう。なんてひどいことをやってきたんだ。
私は壁に立てかけてあった鉄パイプを手にもった。グレゴリーはゆうちゃんの手を縛り、天井のフックに引っ掛けようとしている。
やめろ!汚らわしい手でゆうちゃんを触るな!
わたしは制御できない怒りとともにグレゴリーの背後に回り鉄パイプを振り上げた。
そのまま思い切り鉄パイプを振り下げる。ゴツンとした手ごたえを共にグレゴリーは崩れ落ちる。
その後は怒りにまかせてめちゃくちゃにその物体を殴り続けた。私は足元に転がっている鋭利な刃物のような道具を
拾って、今度はその物体を滅多切りにする。グレゴリーは赤くまみれたボロ雑巾のようになった。確実に死んだだろう。
手を縛られたゆうちゃんは床に倒れていた。急いで駆け寄ってゆうちゃんの体を抱きかかえる。どうやら失神しているみたいだ。
私はゆうちゃんを抱きかかえて自分の部屋に向かった。これからのことを考えなければならない。
バスルームでゆうちゃんの身体を洗い流した後、私はゆうちゃんをそっとベッドに寝かせた。
まだ意識は朦朧としている。ゆうちゃんの頭を優しくなでて、私はグレゴリーの残骸を片付けに行く。
大部屋の端のロッカーにそのボロ雑巾のような肉の塊を押し込んだ。
ふと壁を見ると、瀕死の母親が壁に磔にされ放置されていた。私はナイフを取ると、うなだれている母親の顔を持ち上げ、
その首をナイフで速やかに切り裂いた。「ぷひゅー」と空気を漏らすような声を立てるとそのまま静かに絶命した。
私が出来る精一杯の慈悲だ。
自分の部屋に戻り、血で汚れた制服を脱ぎ捨てたとき、
ゆうちゃんは目を覚ました。わたしは急いでゆうちゃんの元に駆け寄ると、その上半身をしっかりと抱きしめた。
238 :
グレゴリー5:2009/12/21(月) 21:38:16 ID:I/GboDCh
「こなた...おねえちゃん。あれ?こなたおねえちゃん...なんで」
ゆうちゃんの言葉に私は涙を流した。とめどなく流れて頬を伝う。
「ごめんね、ゆうちゃん。私があんなことをしなければ、私が世界を変える気にならなければ」
「こなたおねえちゃん、どうしてここに?」
ゆうちゃんの質問にどう答えたらいいのだろう?私自身、分からない。
「私にも分からないんだ。私は5年前からダッチワイフだった。でも、ついさっき、思い出したんだよ。
私の名前は泉こなた。ゆうちゃんの従姉妹だよ」
私はゆうちゃんの身体を離した。その顔は不思議そうに私を見ていた。
そして、彼女の顔に刻まれた恐怖と疲労と絶望....なんていたたまれない!
私はゆうちゃんをしっかりと見つめて決意する。
「ゆうちゃん。あなただけは私が守る。絶対に!だから私についてきて」
まずはここを脱出して助けを求めに行こう。私はダッチワイフの記憶をたどっていく。数日前の軍事ニュースを思い出し
私は行く先を決めた。洗った囚人服を急速乾燥機で乾かすと、ゆうちゃんに服を着るようにうながす。
私は小屋を出て関門ゲートのほうに向かう。ゲートの警備兵たちは私達の姿に気がついた。
彼等はビシッと姿勢を正すと、指揮官である軍曹が前に進みでてくる。私はちらりと周りを見渡した。
開いたゲートの下を、灰色の囚人たちが延々と列を成している。ゲートの脇は土嚢が積み上げられた機関銃陣地と
高い物見やぐらがある。別に見慣れた風景だ。警備兵たちも顔なじみだし。
軍曹は私の前に進み出てくると、大業なしぐさで敬礼を決めた。
「ご苦労であります、大尉どの!後ろの囚人は一体?」
私の後ろのゆうちゃんは顔をうつむかせ、その身体は小さく震えていた。
私は手を後ろに組み慄然と軍曹に命令を下した。
「軍曹、車を一台用意しなさい。私は今から、この囚人を連れて行く。グレゴリー中佐の命令で、
この囚人は特別人体実験のドナーとして、研究所本部に連行されることになった」
軍曹は答えた。
「了解しました!運転手と護衛兵つきのジープをすぐに用意させます」
「いや、運転手と護衛兵はいらない。私が自らこの囚人を連れて行く」
「しかし、こなた大尉!囚人の護送は護衛兵と合わせて最低2人で行う規則です...」
とまどう軍曹に私はあくまで冷静に返した。人類統治機構軍大尉らしく、冷たい機械的な目で
彼を見つめ、淡々と話すことを心がける。
「その規則は私のような特別任務に就任しているダッチワイフには適応されない。
心配しなくとも、この囚人は脱走する危険はないのだ。
グレゴリー中佐がそうさせた。運転手と護衛兵なしのジープを一台手配したまえ」
私の説明に軍曹は従った。彼等にとって私とグレゴリーは特別なのだ。「グレゴリーの小屋」は
この施設の司令官の権限すら及ばない、独立した部署なのである。
私達が何を行っていようと、彼等は追求するつもりはないのだろう。
車が来る間、私は目の前の警備兵達を見つめた。ふと、彼等の1人と目が合った。彼はにやりと愛想笑いを浮かべた。
彼らの被っている鉄兜は、頭頂に男性のペニスをかたどった飾りが突き出ている。
一台のジープがやってきた。運転手は降り、私はゆうちゃんを後ろに座らせ、運転席に乗る。
去り際に、軍曹に言っておく。
「グレゴリー中佐は、これからしばらくお取り込みになる。数週間ほど建物に篭りっきりになるかもしれない。
邪魔はしてくれないように。私も、研究所に用があるのでしばらくは帰ってこないだろう。
それでは、しっかりとな」
「了解しました、大尉どの!」
軍曹は大声で答えると、その他大勢の警備兵とともに、カチリと軍靴を合わせ敬礼した。
239 :
グレゴリー6:2009/12/21(月) 21:42:22 ID:I/GboDCh
グレゴリーが小屋の中に篭るのは珍しいことではない。剥いだ皮をなめしてチョッキを作ったり、頭骨を細工して
グラスを作ったりと、凝ることはいくらでもあるのだ。
だが、今回の小屋篭りは長くなるだろう。いつまで隠せるか?私に与えられた時間はどのくらいあるのだろうか。
私は少なくとも一週間でこなすつもりだった。
関門ゲートを出て私はジープを走らせた。
広大なトラック発着場を横目に見つつ、そこのトラックに寿司詰めにされた囚人が降ろされ、行進の列に加えられるために
追い立てられる横を通り過ぎ、私はこの巨大な施設の出入りゲートに到着した。
頻繁な出入りがあるトラック用ゲートではなく、施設職員用の一般ゲートに入る。
そこの警備兵と、先ほどの関門ゲートと同じようなやり取りをした後、私は身分証を提示し、書類にサインした。
....そして私とゆうちゃんはこの呪われた港からの脱出を果たしたのだ.........
ひっきりなしにトラックが列を成している国道をしばらく走り、交差点でわき道に入った。
そのまま無言で20分ほど走ると、周りの風景はすっかりのどかな田舎に変わっていった。
ジープを道脇に止めると、後ろの席のゆうちゃんを隣に座らせた。
私は、人類統治機構軍大尉、ダッチワイフこなたの仮面を脱ぎ去り、泉こなたとなった。
隣に座ったゆうちゃんは未だ、緊張で身体をこわばらせている。
「ねえ、5年前に私が爆発事故で死んだ後、私のお父さんはどうなったの?」
ゆうちゃんの緊張をほぐすために私は身内の話題をする。それに一番知りたいことでもあったからだ。
ゆうちゃんはまるで堰が切れたかのようにしゃべりだした。
「こなたお姉ちゃんたちがダッチワイフ工場で爆死したっていうニュース、最初の頃は詳細が隠されていたの。
でも、世界はすぐにあの工場が作ったダッチワイフに席巻されて...
そして、今の議長、つまり、ダッチワイフ会社の社長が世界にすべてを明かしてから世の中はおかしくなった。
こなたお姉ちゃんのお父さん、そうじろうおじさんはね、こなたお姉ちゃんが亡くなった後、すっかりふさぎこむように
なったんだ。でも、私が高校1年になって稜桜学園に通うことになって、私はこなたお姉ちゃんとそうじろうおじさんの家に
居候させてもらうことになったの。私はなんとかおじさんを励まそうと思ったんだけど。
人類統治機構が設立されて、私たちの生活は常に闇に脅かされてた。
私が高校3年生になったとき...女性をすべて隔離するという法律が世界で施行された日、家に帰ったらそうじろうおじさんは
書斎で首を吊ってた。
そのすぐ後に、機構軍が家に乗り込んできて、私はゲットーに入ったんだ」
私は静かにうなずいた。お父さんは自殺した。私はその頃、グレゴリーとともに残虐行為にふけっていた。
「ゆうちゃん。私は絶対にあなたを守るからね。なんで私に泉こなたとしての記憶がよみがえったのか
まだ分からないけど、とにかくゆうちゃんだけは安全なところに連れて行く。
そして、私に出来る限りのことはさせてもらう」
私はゆうちゃんをしっかり見つめた。どんよりと絶望に沈んでいた目にだんだんと輝きが戻ってくるのが分かった。
私の目の前で、ゆうちゃんは20歳前後のまばゆいばかりの若い生命力に満ち溢れた女性へと変わっていった。
その後、私はジープを走らせながら、私が泉こなただった頃の話を、時々家に押しかけるゆい姉さんや
世話焼きだったかがみ、おっとりしたつかさ、優等生だったみゆきさん、メイド喫茶でバイトしたり
コミケに行ったりしたあの正常な日々のことを、まるで独り言のようにしゃべっていた。
ゆうちゃんの話では、ゆい姉さんは秘密結社”女性”の主要構成員であることを疑われ、真っ先に逮捕の
危険性があったのだが、身の危険を感じてどこかへ逃亡、今は行方不明らしい。
「これが夢だったらいいのに...」
ふと、ゆうちゃんが漏らした。
「これが全部夢で、目が覚めたらベッドにいて、正常な世界に戻っていたらいいのに」
http://iup.2ch-library.com/i/i0039918-1261398356.jpg 私達は田舎を抜け、数時間後、にぎやかな街を通っていた。脱出してきた地獄のような港の風景と違い、そこはきらびやかな光に満ち溢れていた。
クリスマスに備えて、街の街路樹にはイルミネーションが準備されている。そして、街中を歩く
カップルたち。その数は異様だった。
ふと私は気がついた。さきほど、正常な世界に戻れたらいいと私達は言っていた。
だが男たちにとって、まさに今、この世界こそが正常なのではないか?
240 :
グレゴリー7:2009/12/21(月) 21:44:04 ID:I/GboDCh
私は歩道のカップルたちを見回した。秘密結社”女性”が支配していた頃は
絶対に存在しなかったであろう、オタクやナード、ブサメンの負け組み男たちが
その隣に女神のように美しいダッチワイフを連れて寄り添うように歩くカップルの大群。
彼等にとって、それは永遠に実現しない夢のはずだった。
だが、人類統治機構は、男たちを”女性”から解放し、ただひたすら自分を愛するダッチワイフを与えた。
負け組み男にとって、グレゴリーにとって、今のこの世界こそが 正常な世界 であるのだ。
考え事をしている私に隣のゆうちゃんが話しかけてきた。
「ねえ、こなたお姉ちゃん。もうすぐ、糟日部町じゃない?」
まっすぐな国道を通っていた私の目の前に、糟日部町を示す標識が現れる。
ここは私達が暮らした場所の近く。もうすぐ私が住んでいた家だ。
「ゆうちゃん、一目だけ見ておきたいんだ。昔の私の家をね」
私の言葉にゆうちゃんはこくりとうなずいた。見覚えのある路地に入っていく。高校時代は毎日駅まで通学してた道だ。
家の近くでジープを止めて私とゆうちゃんは徒歩で歩いていった。
道をすれ違う男たちは、人類統治機構軍の大尉の制服を着た私を見ると、目を伏せてそそくさと急ぎ足になっていく。
後ろをとことことついていく、囚人服を着たゆうちゃんの姿をチラチラと見る者もいた。
私のひと睨みでそういう者は逃げるように去っていったけどね。泣く子も黙る人類統治機構軍!
対照的に、ダッチワイフ達は私の姿を見ると、礼儀正しく一礼してくれた。
ついに目の前に私が過ごした家が見えてきた。私は目を細めて想い出に浸る。
だが、家の前のゴミ捨て場に捨ててあったものを見て私は息を呑んだ。
ゴミ捨て場には全身を刃物で切り刻まれたたものと、全身を焼かれて黒こげになったものの
2体の女性が捨てられていた。.....肉便器.....
そう、未だにダッチワイフを手に入れていない男達に与えられる囚人たち、つまり肉便器たちの成れの果てだった。
黒こげになった肉便器はすでに息絶えているようだが、全身を切り刻まれた肉便器はまだ息があるようだった。
乳房を切り取られ、全身をナイフで切り刻まれたその肉便器の秘部には酒瓶が突っ込んであった。
全世界がダッチワイフ生産にすべてを注いでいる現在、ダッチワイフは基本的に無料で供与される。
一体を供与された男がもう一体を所望する場合、乗用車の新車一台分程度の金額でもう一体を買うことができる。
だが、やはりすべての男性にダッチワイフが行き渡るにはまだまだ生産が追いつかず、どうしてもダッチワイフを
未だに持てない男が出てくる。
そういう者のために、一時的な対処として囚人が肉便器として与えられるのだが、周りのダッチワイフと比べてあまりにも
劣る生身の人間に屈折した憎悪をぶつけるのが通常だった。
肉便器の寿命はせいぜい数日と言われている。
ゆうちゃんは自分がこうなっていたかもしれないという事実を改めて突きつけられ、ショックのあまり私にしがみついてきた。
私はゆうちゃんの身体を抱き寄せすぐにその場を立ち去ろうとした。家の玄関の表札も他人の名前だったし、もう、この場所から
離れたほうがいいだろう。
と、丁度、ゴミ収集車がやってきた。
巨大な金属製のスクリューが回るその収集車は、ゴミ捨て場の前に止まった。
無表情な作業員が捨ててあった肉便器をもちあげ、スクリューの中に放り込む。
黒こげになった肉便器は無言でスクリューに飲み込まれ、粉砕されバキバキという音をたて、その細切れになった肉片は
スクリューにこびりついたものをのぞいてすべて、奥のタンクに吸い込まれていった。
241 :
グレゴリー8:2009/12/21(月) 21:46:26 ID:I/GboDCh
続いて作業員は、まだ息がある切り刻まれた肉便器を持ち上げる。ゼイゼイと苦しげに乳房を切り取られた胸を上下させるその肉便器は
もはや意思表示さえ出来ずに、手足をばたつかせるといった抵抗さえ出来ずにスクリューに飲み込まれていった。
無慈悲な金属の刃は無力な人体を押しつぶし引き裂いていく。
真っ先に頭部が潰され即死したことは幸運だっただろう。
血で濡れた頭髪とピンク色の脳と白い石灰質のような骨が赤い液体と混ざり細分化されていく。
やがて、スクリューの動きとともに、同じく細分化された胴体の赤肉とゼラチン状の皮下脂肪、色とりどりの臓器
と一緒に上に持ち上げられ、一部はスクリューに引っかかりそのまま周り続けたものの、大部分は重力に逆らえずに
ボトボトと落ちていった。切り離された手足は割りと原型を保ったまま、スクリューが回るタンクの淵に追い込まれて
そのうち、一本の腕がごみ収集車の端っこのふちから突き出てそのままになってしまった。
http://iup.2ch-library.com/i/i0039919-1261398356.jpg 私はゆうちゃんの手をひっぱると足早に車まで戻り、アクセルを思い切り踏み込むと、道路に砂煙を立ち上げたジープは
高鳴るエンジン音とともに私の昔の家を後にした。
前の車をパッシングし、道を譲らせ、必要以上にアクセルを踏み込み、私は乱暴な運転を続けた。
しばらくたって落ち着いた私は、ゆうちゃんにダッシュボードの物入れを開けるように促す。
小物入れの中には警備兵が用意した缶コーヒーと携帯食が入っていた。
それらをゆうちゃんに譲り、私はハンドルを握る手を鷲宮神社のほうに向かわせた。
まっすぐな通りに古い商店街があり、その突き当たりに見覚えのある鳥居があった。
神社の脇に雑木林があり、道路に面している場所が空き地になっていたので私はそこに車を止めた。
ゆうちゃんに車で待っているように言うと、私は1人で歩き始めた。
昔の思い出が蘇ってくる。鷲宮町にあるこの神社はかがみとつかさの家だった。
あの時、ダッチワイフ工場で私はかがみとつかさ、母親のみきを巻き添えにして自爆した。
秘密結社”女性”の支部長という主要人物であったみきと違って、かがみとつかさは
まだ結社の存在を知ったばかりだった....
....もしも私があの頃に、秘密結社”女性”の存在を受け入れていたら?
黒井先生が言った言葉が思い出せる。
「なんで結社の一員ではいかんのや?これほど楽な人生はないで」
もしも私が皆とダッチワイフ工場の爆破を成功させていれば、かがみとつかさとみゆきさんは
死なずに済み、世界は何一つ変わることなく続いていただろう、男達を犠牲にし続けながら。
........
「おやおや、人類統治機構軍の大尉さんじゃないか。もしかして泣いているのかな?」
ふと聞こえてきたやわらかな低い声に私は顔を上げた。
目の前に居たのは、宮司服を着たおじさんだった。
そのおじさんはふと見た私の顔に驚きの表情を浮かべた。
「あ、あれ、君はもしかして,,泉さんのこなたちゃんでは?」
わたしはいつの間にか目に浮かんでいた涙をふいて、こくりとうなずいた。
「そ、そうか。こなたちゃんのお父さんはお亡くなりになったはずだから、泉さんのご親族のどなたかが
あなたをオーダーメイドしたんだね。そのお方は人類統治機構の高官なのかい?君も大尉みたいだし」
242 :
グレゴリー9:2009/12/21(月) 21:49:25 ID:I/GboDCh
「まあ、そんなところです宮司殿。ここへはとある任務に向かう途中で息抜きに立ち寄りました」
私は彼に合わせて適当に答えた。
突然、彼の後ろから透き通った声が聞こえてきた。
「おとうさーん、お掃除終わりました。アレ?お客様ですか」
巫女服を着た二人のダッチワイフが走りよってきた。私はその二人を見てショックを受けた。
かがみとつかさだった。
見慣れた水色の柔らかな髪の巫女服の二人。ツインテールのかがみとカチャーシャのつかさ。
ダッチワイフである彼女たちの美しさに私は見とれていた。
人間らしい造形の欠点をすべて洗い流した人工的な美がそこにあった。
「あら、人類統治機構軍の大尉さんじゃありませんか。いつも私達の平和を守ってくださって感謝いたしますわ」
慈愛の目で私を見つめながらお礼を言ってくるかがみは、もはや昔の面影はない。
「かがみお姉さん、私達はお邪魔だと思うわ。大尉さんはおとうさんとお話していらっしゃったわけだし。
いきましょう」
http://iup.2ch-library.com/i/i0039920-1261398356.jpg つかさは私ににこりと微笑むと、かがみを連れてそそくさと行ってしまった。
ただおは照れたように笑った。
「私のダッチワイフ達だよ。4体そろえるのにいくらかかったかなあ〜、でも私はおかげで毎日が天国みたいだ。
そうだ、大尉殿!もしもよろしければ、私達とお茶でも飲みませんか?」
ただおの誘いを受け入れた私は、神社内の客間に通された。
どしりと座ったただおの周りを、4体のダッチワイフが寄り添うように取り囲んでいる。
かがみ、つかさ、いのり、まつり。私はこの4人を知っている。ただおの娘たちだ。
お茶とお茶菓子を出された私は、黙ってただおの話を聞いていた。
「いやあ、本当にすばらしい世の中になったもんですよ。神様が私達の願いをかなえてくれたみたいだ。
今ではこの通り、愛するダッチワイフ達に囲まれて暮らしてますわい
夜に4人の相手をするのは少々しんどいですがのぉ〜がはははは!!!
でも、何一つ不満も言わない。人類統治機構が悪魔を連れ去り、おかげで本来の姿である娘たちを
私は手に入れました!人類統治機構の方々には感謝の言葉もありませんわい」
饒舌になったただおは私に向かってふかぶかと頭を下げる。
私は黙って立ち上がった。
「そういえば、お渡ししたいものがあるので取ってきます。お口に合うかどうかはわかりませんが
ちょっとした珍味ですよ」
私は作り笑いを浮かべた。
「おお、恐縮ですな。お気遣い感謝しますわい」
大喜びするただおに笑顔を向けたまま、私は部屋を後にした。
車のところまで戻った私は、後部座席にあるトランクケースを開けると、中から一丁のサブマシンガンを取り出した。
サブマシンガンのチャンバーに弾丸を装填し、予備弾倉を2つベルトに挟む。
ゆうちゃんが恐怖のまなざしで見ているのもかまわず、両手でサブマシンガンを構えながら私は神社に戻っていった。
客室のふすまを開けると、上機嫌のただおに4体のダッチワイフ達が寄りかかるようにくっついていた。
ダッチワイフ達はうっとりとしたような妖艶な表情でただおの周りを囲っている。
私がよく知っているかがみとつかさの面影は全く無い、見たこともない表情だ。
サブマシンガンを両手でしっかり構え、寄り添う5体に照準を定める。
ただおが私のほうに目を向けたそのとき、私はサブマシンガンをぶっ放した。
ズダダダダダダダダ!!!!
9ミリルガー弾が毎分1200発という高速で発射される。
5体の標的からはまるで赤い花のような血しぶきが空を舞う。
25発入りの弾倉はすぐに空になった。私はすかさず、ベルトに挟んだ予備弾倉をセットして
再びフルオートで弾丸を浴びせた。
それも撃ちつくすと、5体の肉体は流れ出す血の海に漬かり、ピクピクと痙攣していた。
全部で50発撃ちつくしても、1人あたり10発、全部が命中するわけではないので
1人だとせいぜい数発程度しか食らっていないだろう。
ダッチワイフの耐久力からしてこの程度では絶命するまい。私はもう一本の予備弾倉をセットし、レバーを
セミオートに合わせた。
血塗られた畳を這うようにしてこの場を逃れようとしているつかさの頭に2発ぶち込む。
片目に被弾して震える手で目を押さえようとしていたかがみの頭にまた2発ぶち込んだ。
いのりとまつりの頭にも同じように2発づつ。最後に、すでに絶命しているであろうただおのほうに向かう。
レバーを再びフルオートにセットすると、残弾をすべて浴びせてやった。
ただおの頭部はめちゃくちゃに吹き飛んでしまった。
「こなたおねえちゃん!なんで、なんでこんなことを..」
振り向くと、ゆうちゃんが立っていた。
「なんで、こんなことを...」
私を映すゆうちゃんの目に恐怖が宿っていた。
ゆうちゃんは2,3歩後ずさると、私に背を向けて駆け出した。
客室から出た私は、ヨロヨロとゆうちゃんを追いかける。
片手にサブマシンガンをぶらさげ、私は緩慢な動作で歩き出した。
ゆうちゃんはみるみる遠ざかっていった。
フラフラと車まで戻った私は手に持ったサブマシンガンを後部座席に放り込んだ。
ゆうちゃんはどこに行ったんだろう。奥の雑木林に匂いが続いている。私はゆうちゃんを追った。
しばらく雑木林の中を行くと、1人の男がゆうちゃんを追い詰めていた。
キモオタメガネの小太りの男だった。
私はそっと男の背後に回りこんだ。
「へへへ、こんなところで肉便器が何をしてるんだい?なんか逃げてきてたみたいだけど
脱走でもしようと思ったのかい?」
男はじわじわとゆうちゃんに迫っていった。
震える小鹿のようなゆうちゃんに男は興奮気味にまくしたてる。
「ひひひ、怖いかい?これからお前を犯してからはらわたを引きずり出して、ゴミ捨て場に捨ててやろうか?」
私はキモオタメガネ男の首を後ろからつかむと、力いっぱい、地面に叩き伏せた。
「な、なんだああ!!!なにを」
無様に地面にひれ伏した男の叫びは、私の蹴りの一撃で霧散した。
私は男の頭をブーツで踏みつけた。
男は顔を血まみれにしながらも、目で私を見上げ、その制服に畏怖した。
私は男の顔を踏みつけながら周りを見渡した。周りは生い茂った雑木林だ。誰も見てない。
「あ。あのう...人類統治機構軍の方....許してください...」
私は男の言葉を無視し、身体を屈めると、ブーツの中に仕込んでいたナイフを取り出した。
目の端に、へたへたと座り込んでいるゆうちゃんを捉えながら、私はナイフを男の首に当てた。
「ひゃっひゃあ」
首筋に当てられた刃物にビクリと男が反応する。私は男の頭を踏みつけながらおもむろに
首にナイフを突き刺した。
「ごぶぉ、ごぶぉ...」
ナイフの刃をノコギリのように上下させながら男の首を切り裂いていくと、男の気管は空気と血の
入れ混じったような不気味な悲鳴をあげた。
鮮血が勢いよく吹きだし地面を濡らす。
いけない...知らないうちに口からはよだれが垂れてきそうだった。
ナイフは順調に首を切り裂いていき、そのうち骨にあたった。私は早まる動悸を感じながら
じれったい思いで、ナイフの上下を早くする。
やった!男の首は完全に胴体から離れた。私は立ち上がると、ホルスターから9ミリ拳銃を抜き出した。
へたりこんでいるゆうちゃんを一瞥してにらみつけると、拳銃を頭部に向けて一発撃った。
男の側頭部に9ミリの小さな穴が空いた。今度は、その穴からすこしずらしてもう一発撃った。
9ミリの二つの穴は、うまい具合いにつながって、丁度いい飲み口が出来た。
私は無我夢中だった。手に持つナイフと拳銃を放り投げると、地面にはいつくばり
男の頭部を拾って、弾跡から中の脳を飲み干す。
銃弾によって中をかき回された頭部の穴からはドロリとした脳と血と髄液のミックスが
私の喉を潤す。
もう何も考えられなかった。私は本能の赴くまま、腹を満たした。
おそらく今の私の姿は人外魔境だろう。構うものか!私は食べ終えた男の頭部をボトリと
地面に落とすと、身体中に力をみなぎらせ、まるで獣のような咆哮を発した。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
天空を揺るがすような地面を震わせるような咆哮だった。
自分の肉体からこれほどのものがみなぎるのは信じられない。
ゆうちゃんが私に拳銃を向けていた。
私が投げ捨てた拳銃だ。いつの間にか拾ってたんだ。
私は肩を落としてゼイゼイと荒い息を吐きながらゆうちゃんのほうに向き直った。
震える手で頼りなげに私に向けられた銃口をにらむ。
「ゆうちゃん、銃を降ろしなさい。私を殺したらあなたも終わりよ」
私は冷静に告げる。だが、ゆうちゃんは私に銃を向けたまま動かなかった。
「こなたおねえちゃん。こんな世界に生きてて未来と希望があるの?なんの喜びがあって
生き続けなければいけないの?.....もうたくさんだよ。
おねえちゃんは私の知らない人になってしまった。なんてひどいことを...なんで殺すの?」
....この世界には価値がない.....
私が秘密結社”女性”の存在を知らされ、そして男性を犠牲にして生きることを強要されたとき
私はそう感じた。
でも、私はそれに抗った。
「ゆうちゃん。私はかつてゆうちゃんと同じことを感じた。この世界に生きる価値はないってね。
私はダッチワイフ工場爆破計画を阻止するために、友達を巻き込んで自爆したんだよ。
せめて世界に可能性を残してから死のうってね。
そしたら実際に世界は変わってた。
私はやり遂げたんだよ。だから、今回もできる...もう一回、私は世界を変える」
しかし、ゆうちゃんはブンブンと頭を振った。
「私はこなたおねえちゃんとは違うよ。おねえちゃんみたいに強くはないんだ。
ごめんね。私はいつも誰かに助けられてた。病弱だった昔は家族に、学校ではみなみちゃんに
会って、最期の瞬間まで守ってもらえた。
今もおねえちゃんが私を助けてくれてる。でも、もう嫌なんだ。もうたくさんなんだ!」
ゆうちゃんは私に向けた銃口を自分の胸元に向け始めた。自分の胸にピタリと銃口を当てて...
私にかすかに微笑みかける。
「さようなら、こなたおねえちゃん」
私は地面を蹴ってすさまじい勢いでゆうちゃんに向かった。目にも止まらぬ速さだろう。
ズバン!!!
銃声が響くのと、私がゆうちゃんの手から拳銃を蹴り上げたのは同時だった。
そのまま勢いとともにゆうちゃんを押し倒す。
私はゆうちゃんの体をまさぐって銃傷がないか確認する。どうやら怪我はないみたいだ。
私は立ち上がると、ゆうちゃんの頬を思いっきり叩いた。ゆうちゃんは悲鳴とともに後ろざまに倒れた。
そして、私はへなへなと地面に座り込んでしまった。そして、まるで子供のように泣きじゃくった。
大粒の涙と鼻水が顔をベタベタに濡らす。構うものか。
長い間、私は泣きじゃくった。そしてやっと言葉を発することができた。
「ゆうちゃんは私の妹じゃん。姉が妹を守るのは当たり前だよ。
...この世界は作り物じゃない。全部、本物なんだよ。ゆうちゃんも私も本物なんだ。
どんなにひどい世界だろうと、それが本物なら向かいあわなきゃ...
そして、それを変える努力をしなきゃだめだよ...
だから死なないでよ...うわああん」
地面に手をついて頭をうなだれながら泣いていると、ふと、温かい体温を感じた。
ゆうちゃんが私を抱きしめていたのだ。
「ごめんね、こなたおねえちゃん。私を助けてくれたのに..私はもう、あきらめないよ。
だから泣かないで..こんなにひどい世界でも、おねえちゃんが居てくれれば、もう、大丈夫だから」
私達はしっかりと抱き合った。こうして私達は本当に和解した。
頭の中にあのメッセージが浮かんでくる。
「何かを手に入れるものがいたら、必ず何かを失うものがいる」
何かを失うものは私だけでいい...ゆうちゃんだけは...絶対に。
私達のジープは高速道路に乗って北上していった。
首都圏を離れた奥地に向かっていく。隣に座るゆうちゃんは、人類統治機構軍の軍服を着ている。
私が持ってきた予備の制服だ。ズボンではなくタイトスカートのほうのやつだ。
これを着たゆうちゃんはまるで優秀な事務員のように見える。
私達は堂々とインターの店で買い物をしたりした。女二人とはいえ軍人二人だ。
他の客達は皆、私達を避けるようにそそくさと去っていった。
買ってきた新聞を見ると、抵抗運動をしている地下組織が活発に活動している地域はもうすぐだった。
その地域はまだ完全に人類統治機構軍の支配下にはなく、いわゆる最前線だ。
高速道路上の電光掲示板に警告の文字が出ていた。
...これより先、軍関係者以外の立ち入りを禁ず....
やがて、検問が見えてきた。もはや高速を走る車は、私達のジープをはじめとした軍用車両だけだ。
私が提示した身分証で検問はすんなりと通ることができた。
これから先の高速道路は破壊されていて通行不能だったので、私は下道に降りた。
高速から降り立った街はどんよりと死んだように陰気な場所だった。
道を通る車は軍用車ばかりで、所々に人類統治機構軍の兵士たちが見える。
時間は早朝のはずなのだが空は灰色だ。しばらくジープを走らせていると、破壊された建物が目立つようになった。
遠くに見えるビルからは煙が立ち上っていた。道路の散乱物がそろそろひどくなってきた頃、
目の前に人類統治機構軍の小隊が現れた。
兵士の1人が道路の真ん中に立ちふさがり、私はジープを止めた。
周囲をすばやく観察する。装甲兵員輸送車一台、25ミリ機関砲を搭載している。その隣には後部座席にブローニングM2重機関銃
が据え置かれたジープが止まっている。
車両の周囲に兵士たちが固まっている。背の高い少尉が1人、おそらく小隊指揮官だろう。
少尉が私達のほうにやってきた。ジープの前に立ち止まると、敬礼した。
私は返礼をする。チラリと横目でゆうちゃんを見ると、私の行動をなんとか真似ていた。
「大尉どの。ここから先は危険です。敵の残存兵力がまだ完全に鎮圧されていませんので!
おっと、保安部の方でしたか。もしかして、捕虜を引き取りにこられたのですか?」
私達の制服はネクタイを締めた内務系のものだ。
実際には人類統治機構軍=統合保安部治安局=極東第12課という長ったらしい部署の所属である。
捕虜や囚人の尋問は我々、統合保安部の仕事ということになっている。
私がレジスタンスの捕虜に接触するのになんら不思議はないということだ。
少尉もそう思ったんだろう。自分から捕虜のことに触れてきた。
http://iup.2ch-library.com/i/i0039921-1261398356.jpg 「すぐに捕虜をここに連れてほしい」
私がそう言うと、少尉はすぐに捕虜たちを連れてきてくれた。
少尉が率いる小隊が確保した捕虜は2名だった。1人の中年男とまだ若い女性。
そう、人間の女性だ。
うなだれて顔をあげようとしない捕虜を私とゆうちゃんと少尉は並んでみていた。
ふと、少尉がそわそわと私に目を向けているのを感じた。
「なにか用かね?少尉」
わたしは冷静を装って少尉に聞いてみた。
背が高く、精悍な顔つきの若い少尉は、私の言葉にピクリと反応して、おずおずと話しかけてきた。
「あ、あの...失礼ですが大尉どの。あなたは泉氏のご近親でございますか?」
少尉から出た以外な言葉に私はしばしとまどったが、「ああ、そうだ」と答えておいた。
少尉の顔に唐突に笑顔が浮かんだ。
「私の名は、白石みのると申します。学生時代に泉こなたさんという方と同級生でして...
どこかでお見かけしたことがあると思っておりました」
私はびっくりして、少尉を見上げた。彼は白石みのるだった。
驚きを表情に表してはいけない。ダッチワイフである私と彼とは初対面のはずだから。
「いやあ、泉こなたさんといえば結社から議長と博士を救いだした英雄ですよ!
泉氏のご近親として面影を有していらっしゃるあなたとお会いできて光栄です」
白石みのるは私の顔をまじまじと見つめながらうれしそうにしゃべっている。
私自身、意外な知り合いと再会できて話を聞きたくなった。
「白石少尉、楽にしろ。少し話を聞かせてもらおうじゃないか」
「は、ありがとうございます!大尉」
白石と私はしばらくの間、立ち話をすることになった。
私達3人は、部下たちが用意してくれた即席の椅子に座り、同じく部下たちが炒れてくれた
「とっておきのブレンド」と言っていた金属製のカップに入ったコーヒーを手に
白石みのるの話を聞いていた。
しゃべり方は昔と変わっていないものの、外見は驚くほどに良くなっていた。
どうやら、高校を卒業して、スクールカーストの最下層から解放された
白石は、羽化したかのように生き生きと精進したらしい。
「いやあ、ジョックスやクイーンビー、取り巻きのサイドキックス、さらにその取り巻きのワナビーども
は私の高校生活を暗黒時代にしてくれましたよ。
私はスクールカーストから解放されることだけを夢見て、卒業の日だけを楽しみに学生生活を送ってました。
でも、あきらかに私と同じナードの一員であったはずの泉こなたさんは違いました。
アニメやゲームをこよなく愛する帰宅部というナードのど真ん中、スポーツ部のジョックスやチアリーダーの
クイーンビー、その家来どもから確実に狙い撃ちにされるような典型的なナードでありながらも
泉こなたさんは驚くべき人だったのです。
一日中、寝転がってネトゲをしていてなんの鍛錬もしていなかったくせに、
スポーツ万能でジョックスの付け入る隙がなかった。
さらに、本来はクイーンビーの器だと私が思っていた高良みゆきや、優等生、つまりプレップス、つまり、
スクールカーストでは中の上くらいの階級の柊かがみや、ナードよりは階級が上のスラッカー、ええっと
つまり、抜け作、馬鹿であった柊つかさを仲間に取り入れていた。
これは驚くべきことなんですよ?スクールカースト最下位のナードが、自分よりも上位カーストの友人を
得るというのはありえないことなんですから!
私は泉こなたさんのことを心で「武装オタク」と呼んでいました。
今までにないタイプの完全武装をしたナードってことです。
泉こなたさんの武装ぶりは、修学旅行時に証明されましたね。修学旅行のバスの座席がなんと、上位カースト専用席といわれる
一番後ろの座席だったんですからね!
泉こなたさんがクラスを牛耳った瞬間でしたよアレは。ほんとうに」
「セバ...」
「え?大尉どの」
私はつい出かかった言葉をあわてて飲み込んだ。
「いや、なんでもない。続けたまえ」
白石みのるは在りし日の私のことを延々と話す。自分が他人からこう思われていたなんて..
なんだか気持ちがそわそわしてくる。
私は隣の若くてハンサムな少尉をしげしげと見つめた。
今の彼の姿を見ると、顔がほころびそうになる。今のこの世界は彼のために存在するといってもいい。
女性たちから虐げられていたかつての記憶が、彼をせきたて、人類統治機構軍の一員として
今は復讐を果たしている。
彼を心から祝福したい思いで胸が一杯になってきた。
ふと、積み上げられた武器が目に入った。
「少尉、あの武器はゲリラどもから押収したものかね?」
私が指差す方向に、白石は顔を向けた。
「ええ、そうですよ。カール.グスタフ対戦車ロケットにベルギー製5.56ミリ軽機関銃。
おそらく旧自衛隊の倉庫から手に入れたものでしょう」
私はそれらの武器をこちらに持ってくるように命じた。
私達3人の斜め後ろには、縛られた捕虜二人と、それを見張る兵士が1人。
前には装甲兵員輸送車とブローニング機関銃のジープ、その周辺にのこりの兵士たちがいる。
やれるかもしれない。ここで最前線を突破するのが一番いい選択だろう。
カール.グスタフ2本とミニミ機関銃を目の前に置き、私はそれを調べるふりをした。
何気に、安全装置を外し、ミニミに200発弾倉をセットして弾薬ベルトを薬室にセットし遊底を引いた。
白石は私の行動を不思議そうに見ている。
私は横のゆうちゃんに目配せをした。
ゆうちゃんに向かってウインクをする。ゆうちゃんは何かを感じ取ったみたいだ。あわてたように何度も私に小さく
うなずいてきた。
私はカール.グスタフをいきなり取り上げると、肩に構えて目の前の装甲兵員輸送車に発射した。
ロケットが兵員輸送車に命中するよりも早く、私は空のカール.グスタフを投げ捨て、
次のカール.グスタフをジープに向けて撃った。
立て続けに爆発音が起きるのと、私がミニミを取り、腰だめに構えるのは同時だった。
カール.グスタフ発射時の無反動砲特有の白煙が私の後ろから漂ってくる。
私は最初に斜め後ろの、捕虜2人を見張る兵士をなぎ倒した。
そして目の前の白石にミニミ軽機関銃を向けた。5.56ミリの斉射をまともに浴びた白石みのるは
血の煙を全身から吐き出し後ろに吹き飛ぶ。私は横に体を一回転させて転がると
、そのまま、のこりの兵士達に向けてミニミを撃ちまくった。
タタタタタタタタタタタタッ と軽快な音と軽い振動を全身に感じながら私はひたすら撃ちまくった。
全員を殺した。私はミニミの引き金からようやく指を離した。
私の隣では、ゆうちゃんが恐ろしいことを行っていた。
ゆうちゃんは倒れている白石の体にまたがり、大きな石ころを両手にもって白石の頭を殴打していたのだ。
まるで野獣のようだと私は思った。
すでに銃撃で絶命している白石の頭をひたすら殴り続けるゆうちゃん。
白石みのるの頭はすでに砕け散って、脳と目玉が地面に広がっていた。
私はミニミを持ったまま固まっていた。ゆうちゃんから目が離せない。
やがてゆうちゃんはようやく殴打をやめると、飛び散る白石のドロリとした脳組織の残骸を手でつかんだ。
そして、それをむさぼるように食いはじめたのだった。
まるで飢えた獣のように、白石の脳をかき集め、手でつかみ、口に持っていく。
私が知っていたか弱いゆうちゃんの姿はそこにはなかった。
私は顔を背けると、捕虜のほうに向かい、縄を解いてやる。彼等を自分のジープの後部座席に乗せた。
後ろを振り向いたとき、目の前にゆうちゃんがいた。
私は飛び上がるほどの恐怖を覚えた。ゴクリと唾を飲み込んでゆうちゃんと向かい合う。
口の周りを血で真っ赤に染めたゆうちゃんの目はまるで燃えるように輝いていた。
「おねえちゃん、やったよ!私は憎い敵に仕返してあげちゃった!自分がこれほど人類統治機構の男たちを
憎んでいたなんてね、驚いちゃった。ふふふ...」
ゆうちゃんはにっこりと笑った。まるで屈託のない子供のように純粋で晴れやかな笑顔だった。
私はゆうちゃんを助手席に乗せると、ジープを最前線に向けて走らせた。
レジスタンスの捕虜を手に入れるという目的が果たせた。
人類統治機構軍統合保安部のこなた大尉が捕虜を連れ去ったという
ことを知っている人間は皆殺しにした。
とりあえず、私の計画は順調に進みはじめたみたいだ。
私達はジープを捨て、捕虜たちの案内によって秘密の地下トンネルを歩いていた。
私とゆうちゃんは丸腰で、いまや捕虜たちが銃を持っている。
立場を入れ替えたのだ。
やがて、レジスタンスの部隊が私達を出迎えた。私とゆうちゃんは両手を高くあげ
降伏の意を示す。レジスタンスの1人が私の後ろに回りこみ、そして首筋に電撃のようなショックを感じた。
私の目の前は真っ暗になった。
こうして、私はレジスタンスにとらわれた人類統治機構軍の捕虜として彼等の手に渡ったのだった。
.......
私は夢を見た。
夢の中で私は横たわっていた。おぼろげな視界の中に白衣を着た男のシルエットが映し出される。
白衣の男は誰かと話しをしているみたいだ。
やがて、あのメッセージを男が発した。
「何かを得るものがいるなら、必ず何かを失うものがいる」
.....
目を覚ますと、私は縛られて椅子に座らされていた。
目の前にレジスタンスのメンバーが数人、椅子に座って私と対座している。
小さな部屋みたいだ。入り口付近の壁際に、1人の女性が腕をくんでもたれかかっていた。
予想していた通りだ。その女性に見覚えがあった。
ゆうちゃんと同じくらいに外見はほとんど変化していない。
小早川ゆい。
ゆうちゃんの姉で私の年上の従姉妹。
私は重たい頭を上げてあいさつをした。
「やあ、ゆいねえさん。5年ぶり」
レジスタンスのメンバーがいっせいにゆいねえさんのほうを向く。
ゆいねえさんは片手を小さく振った。
「久しぶりね。こなたちゃん。ずいぶん変わってしまったわね、あなたも」
反対向きの椅子に座り、背もたれに腕を組んで足を広げて
座っているジョックス風イケメンの男が私をにらみつけている。
いかにもスポーツをしている風な引き締まった肉体と、日に焼けた肌、髪は
長髪を後ろで結んでいる。
学生時代はサッカー部、今はウィンドサーフィンといったところか?
そのジョックス風イケメンの隣に、いかにもな身なりをしたホスト風イケメンが
ポーズを決めるかのように足を組んで手をアゴの下にあてて私を見つめていた。
イタリア製らしき、大きくはだけたカジュアルジャケットのしたに、襟がツンツンした
色彩の入れ混じった派手なシャツが見える。
ホスト風の男の中には時々、どう見てもお前は金太郎にしか見えんだろ!という勘違いイケメンが
いるものだが、私の目の前のホスト風イケメンは掛け値なしの美形だった。
奥のほうには目立たないものの、メガネを掛けた知的なまなざしを私に向ける、インテリ風イケメン。
そして、中年のきつそうな女性が1人。
ゆい姉さんを含めて、この5人が私の尋問にあたるみたいだ。
これら、レジスタンスに加わっている男性は、秘密結社”女性”が支配していた頃であっても
彼女たちから優遇を受けていた者達だ。
男性の全人口の数パーセント程度の数であっても、全世界で見ると膨大な人数に及ぶ。
さらに、世界人口の半分を占めている女性たちの残党と手を組んだ、彼等レジスタンスは
かなり強大な抵抗勢力だった。
最初に口を開いたのはジョックス風イケメンだった。
ぶっきらぼうな威圧的な口調で私に問いただす。
「あんたのことは、ユイの妹やあんたが救い出したメンバーたちから聞いている。
なぜ、自分の属する人類統治機構軍に牙をむいてまで俺達レジスタンスのところに
投降してきたのか理由を話してもらうぞ」
私は洗いざらいしゃべった。
かつて普通の女子高生だったこと。秘密結社”女性”の存在を高校の授業で初めて知ったこと。
人類の歴史を変えるであろうダッチワイフ工場を守るために自爆したこと。
ダッチワイフとして再生され、グレゴリーとともに残虐行為にふけっていたこと。
ゆうちゃんに出会って記憶を取り戻したこと...
グレゴリーの存在はレジスタンスのメンバーたちにとっても驚きだったらしい。
ジョックス風イケメンは怒りに拳を握り締めていた。
「なんて屑野朗だそいつは!もしも奴が高校時代に同じ学校にいたら
俺は奴を毎日、足蹴りにして唾を吐きかけてやったものを!」
ジョックス風イケメンは部活とデートに忙しく、ナードたちを迫害していた
昔の栄光の時代をよく回想したがる。
インテリ風イケメンがメガネをきらりと輝かせ、グレゴリーを分析しだす。
「おそらくグレゴリーは、幼少時は明るくおもしろい子供として、女の子たちとも
普通に話をしていたんじゃないかな?でも、成長していくに従って
女の子たちは暗くても寡黙でも、イケメンでスポーツ万能な男をチヤホヤするようになった。
さらに、グレゴリーの元々、片鱗をあらわしていたその醜い風貌は、その醜悪さを
際立たせるようになってきた。
彼は現実から目を背けるがごとく、アニメやゲームなどの2次元の世界にはまりこんでいった。
スクールカーストが先鋭化する高校時代には彼はもはや最下層のナードとして
積極的に迫害される存在となったと思うよ。
やがて、彼の中に、女性にたいする憎悪が蓄積されていったんだね。
グレゴリーは常々、こう思っていたと思うよ。「俺も、ジョックスのように
女性にチヤホヤされて熱い視線を浴びたり、ちょっとした会話から恋に発展したり、
気の強いツンデレタイプや、おとなしい無口タイプ、幼馴染タイプ、妹系、カワイイ系
などの女性達の間で気持ちが揺れ動くような青春時代を送れるべきだ」とね。
学校卒業とともに、スクールカーストからの解放を味わったナードは、往々にして
新しい自分を演出しようとする。いわゆる卒業デビューというやつだ。
例えば、ちょっと俺は悪でっせ!みたいな雰囲気をかもし出したり、もしくは
クールで無口な近寄りがたいオーラを漂わせた孤高の男になりたがったり。
だが、それはあくまで、かつてナードとして迫害されていた暗黒の高校時代を
他人から触れられたくはないがゆえに、あえてそういう話題を振られるのを避ける
ための行動としか僕は思えない。
だが、スクールカーストから解放されたはずの彼等のようなかつてのナードは
社会や大学でも相変らずのさばっているジョックスに愕然とする。
いかに、かつてのナードがジョックス風に振舞ったとしても、本物のジョックスとは
蓄積された経験も自信も違う。
つまり、彼等の卒業デビューはすぐに挫折することがほとんどだ。
学生時代は迫害され、卒業デビューも失敗したグレゴリーの中に溜め込まれた鬱憤は
今や丁度いい条件で爆発する機会を得たのさ。
人類統治機構の中にはグレゴリーが大勢いることだろう。
だからこそ僕たちは戦わなければいけない!今、行われていることは人類の歴史で最大の
恥だよ」
...あんたたちイケメンにとってはそうだろうよ...と私は思った。
不思議なことに、グレゴリーをけなされたことに対して私は憤りを感じていた。
なんでだろう?自分でもよくわからない。
私のまなざしを受けたジョックス風イケメンは、睨み返してきた。
「さてと、まだあんたの目的を聞いてないぜ。一体、なんの目的があってここに来た?」
取引開始だ。
「私は小早川ゆたかの保護と、私に対する協力を得るためにここに来た」
レジスタンスの視線が一斉に私に注がれる。
「私とあなたたちレジスタンスにとってお互いに利する目的だろう。私の目的は、ダッチワイフ生産総合本部
の破壊。知ってのとおり、あそこの警備は人類統治機構軍が最大限の力を注いだ鉄壁の防備だ。
レジスタンスでは手も足も出ないだろう。だが、私なら出入りできる筈」
私の言葉に、部屋の中は静まり返った。
ホスト風イケメンが「フュー」と感嘆の息を漏らしたが、誰も反応しなかった。
しばらくの沈黙の後、ようやくインテリ風イケメンが語りだす。
「ダッチワイフ生産総合本部....一つの都市ほどの規模を持つ、ダッチワイフの研究開発と生産設備の総本山、
まさに、人類統治機構の心臓部か。そこに進入するのは我々レジスタンスの多数の犠牲をもってしても
不可能だった。さらに中枢部に入ることができるのは、人類統治機構の中でも限られた人間だけだ。
君にそれが出来ると言うのかい?」
わたしはうなずいた。
「私とグレゴリー、そして人類統治機構のトップの2人の関係はさきほど話したとおり。
個人的なつながりから私は彼等に接触できる。それに、おそらく、私は特別なダッチワイフだ。
泉こなたとしての記憶を有しているのだから...だから、博士は私に会ってくれるだろう」
さっきから壁際で腕を組んでじっと話を聞いていたゆいねえさんが前に出てきた。
「こなたちゃん、あなたが気絶している間、私達は医務室であなたの体を調べ上げたわ。
勝手にそんなことしてごめんなさいね。でも、もしもあなたの体にGPS追跡装置や盗聴装置やらが
仕掛けられていたら私達の身も危なくなるの。
結果、そういう類のものはなかったけれども、あなたの身体について驚くべきことが分かったの。
あなたは世界中のどのモデルのダッチワイフとも、そして人間の女性とも違ってた。
つまり、あなたは世界でたった一つの存在。
結論から言えば、あなたは非常に人間に近い部分から作られてる。
私達の予想では、あなたは人間の発展型のようなものだと思うわ。
ダッチワイフ達が人造人間であるなら、あなたは改造人間のようなものだと
医者が言っていた。おそらく、あなたは博士が作った、結う一の試作品の完成型なのでは
ないかとね」
私はうなずいた。なんとなく予想はしていたからだ。
「こなたちゃん、あなたがダッチワイフ生産総合本部に侵入できるってのは私も信じるわ。
でも、そこを破壊するなんて強行、あなたは無事に帰ってくるつもりはないとしか
思えない。そうなの?」
レジスタンス一同の視線が再び、私に集まる。私は答えた。
「私には時間がない。グレゴリー殺害や白石小隊を全滅させたこと、その他の殺害行為がいつ発覚して
私が指名手配されるようになるのか..だから、あなた達レジスタンスも早く決断してほしい。
レジスタンスに加わってあなたがたと戦いを共にするという選択よりも、今の私に出来る最大のこと
なのだから」
解除支援
ジョックス風イケメンが私に神妙な視線を浴びせながら問うてきた。
「なあ、あんたは女子高生だったときに、”女性”から男性を解放したくて自爆したんだろ?
おかげで世界はあんたが望んだ風になったはずだ。
でも、なぜ、また世界を変えようとするんだ?
あんたが救いたいと思った男性の大部分はあんたの願いどおり救われたはず。
かつてのあんたが命を投げ出してまで守った、ダッチワイフ生産の心臓部を
あんたが破壊するというその理由はなんなんだ?」
私は答えた。
「私が望んだのは、男性の解放というのは間違いはない。男性が搾取され続ける存在から
歴史上初めて逃れたとき、世界は一つになり、人類はそのパワーを飛躍的なまでに発展的に
使えることは、人類統治機構が証明した。
だが、その発展はあまりにもスピードが速すぎた。
そのスピードのせいで、失うもののの犠牲があまりにも大きすぎる。
歴史の流れは変えることはできない。秘密結社”女性”の存在はなかったことにはできないし、
人類統治機構で示した、世界人類の一致団結は、このまま進んでいくのは止められないんだ。
おそらく、ダッチワイフ生産総合本部では、ダッチワイフの妊娠技術が完成を見る頃だろう。
もしも、ダッチワイフ達が妊娠機能を獲得したらどうなる?
女性は完全に消滅するしかなくなる。
だから、今、それを止めないと。
人類統治機構に大打撃を与え、あなたたちレジスタンスの勢いを拡大させるチャンスは今しかないだろう。
私は善良な女性達にチャンスを残したい。
ゆうちゃんやゆいねえさん、私が自爆で巻き込んだ友人達の分も、そして私が知っている数多くの善良な女性達に
チャンスを」
「わかった。とりあえず、今から上層部で話し合いをもつことにしよう。あんたは限られた場所内ではあるが
比較的自由に過ごせるようにしよう。今からしばし休養を取って、身内と再会を喜びあうといい」
ジョックス風イケメンはそういうと、インテリ風イケメンとホスト風イケメンと中年女性を伴って
部屋を出て行った。
去り際に中年女性が私を、能面のような面でキッとにらみつけていった。
おそらく秘密結社”女性”の主要構成員の生き残りであろう、その中年女性の、私に向ける憎悪は
想像はできる。
ゆいねえさんだけが残った。そして、レジスタンスのメンバーたちと入れ替わりに
ゆうちゃんが部屋に入ってきて、私のところに急いで駆けて行った。
手に着替えと軽食を持っている。ゆうちゃんはそれらを一旦、空いてる椅子の上に置くと、
私に抱きついてきた。
「こなたおねえちゃん!」
私はゆうちゃんの抱擁を受け止めた。抱き合う私達二人を、さらにゆい姉さんの抱擁が包む。
こうして私達は5年ぶりの再会を、お互いがこの5年間の地獄の底からの奇跡の再会を
噛み締めた。
253 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/21(月) 22:56:49 ID:fRFj0N5j
おおうえぇ〜 !!!
くそっ・・・ ! 折角の クリスマスケーキ がゲロまみれだ !!
やい、 グレゴリー ! 御主があまりにも グロテスク な物書くから
吐いてしまったではないか !! ドイツ連邦陸軍 か ドイツ第9国境警備隊 ( GSG9 )
の制式採用銃火器を登場させてくれがな。
面白かったが、 自分を殺してどうする ! 読者の側からすればなかなか笑えるが・・・。
254 :
グレゴリー:2009/12/21(月) 22:57:36 ID:8Zn5x8Ds
とりあえず、ここまで。
肝心なことを言い忘れていたが、この作品は、まとめサイトにある
「女たちの陰謀」
の続編です。では、またお楽しみに
255 :
グレゴリー:2009/12/22(火) 18:15:27 ID:7zCe1ZuK
ども、グロ絵に挑戦してみたのですが、やっぱり皮下脂肪という概念を手に入れた
私の絵は進歩していると自分でも思う。
ちょっと昔、間違って自分の身体の一部を切り裂いてしまったことがあったんですが
そのときに私は自分の内部を見て発見したのです。皮下脂肪というすばらしき
エッセンスを!クリスマスケーキよりもローストチキンよりも
食欲をそそるね♪
256 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/22(火) 21:58:55 ID:25+0/k66
ぐえええぇぇ゛〜 !!!
くそっ !! この カニバリズム狂 め !!
新ジャンル:皮下脂肪
明日クリスマスイブなわけだが、グレゴリーが投下を早めたのは、
急遽イブとクリスマスに予定でも入ったからか?
259 :
グレゴリー:2009/12/24(木) 16:24:38 ID:fZmwd8P+
>>258 知らなかったのかい?今年のクリスマスは中止だってよ。
保守
グレゴリズム、堪能させて頂きました。
此処の書き手の中では一等狂ってて、そして隠すところ無くその狂気を剥き出す姿が逆に清々しい。
262 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/27(日) 18:59:15 ID:84ueqZDU
263 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/27(日) 23:48:33 ID:k3NMn2R+
彡川三三三ミ
川川 ::::::⌒ ⌒ヽ
川川::::::::ー◎-◎-)
川(6|:::::::: ( 。。))
._川川;;;::∴ ノ 3 ノ
/;;;:::::::::::::::\_;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
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(:::::::: (ξ:: ・ ノ::・/:::|
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\:::::::::: ξ(;;; );; ) 〜
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(;;;;;;;;;;;__っ)))つ
こなた「自殺するのが嫌だから、秘術を習得したよ。
残機九十九、STGのチートを応用したのさ。
99回死んでも、復活できる」
つかさ「ああ、つまり。100回自殺に追い込めば殺せるんだね」
みゆき「お手の物です」
かがみ「百回も自殺に追い込めるなんて」
こなた「……」
久しぶりすぎて吃驚w
コミケでこなた自殺ネタ扱ったサークルでないかな
今さらな質問なんですけど
ここってやっぱり自殺オンリー?
他殺or事故死はダメ?
過去の見れば分かると思うけど、こなたさえ自殺すればいい(未遂は色々揉めた)。
てか普通に殺されたり事故死したりじゃ、スレタイに反するでしょ。
「自分から殺されにいった」とか「殺されると分かっててみゆきの所に赴いた」とかだったら、判断に迷うけど。
>>269 返答どうもです
う〜ん、やっぱり自殺オチじゃなきゃダメか〜
他を当たることにするノシ
271 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/12/30(水) 23:36:01 ID:2PZrn/DE
>>269 >>270は荒らしかここの古参
自殺未遂、和解、死んでいないなど保管庫にはいくらでもある
自分が気に入らない話を排除しようとしているんだろうな
272 :
270:2009/12/31(木) 01:58:47 ID:61fku5v0
うわっ!?荒らし扱いになってる汗
そういうつもりじゃ…
こなたの自殺以外の鬱系SSを執筆してみようかと思ったんだけど
他に鬱系歓迎の投稿場がないので聞いてみたんですが…
なんかすいません…
>>273 わざわざ紹介ありがとうございます
らき☆すたSSスレ、エロパロSSスレ、自殺スレを普段から愛読させてもらっていて
3スレの中で鬱・グロモノが住人の肌に一番合ってるのがここだと思って先の質問に至りました…
エログロ有りで自殺以外の鬱SSの行き場が無くて…
今年もこちらのスレ並びに住人の皆様方には大変お世話になりました。
投下されるSS等には心動かされるものが数多あり刺激されること頻りでした。
また同時に書く側でもある僕に英明な諸氏から毀誉褒貶を戴けたことは允に望外の沙汰であります。
2010年が皆様にとり飛躍の年となりますことを切に冀いつつご挨拶に代えさせて戴きます。
276 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/01(金) 03:29:48 ID:aKl9zNHA
ぶみゅ、去年は春頃投下してから、他スレ行ったりしちゃったからなぁ。
構想はあるので、今年は積極的にこなたを自殺させていきたいところ。よろしくね。
つかさビッチまだあったのか・・・
279 :
神奈川版「麾く煉獄」追加シーン:2010/01/07(木) 09:43:09 ID:LtS/mxEW
大石「やれやれ・・・こっちも堪忍袋の緒が切れましたよ。熊ちゃん、テープを持ってきてください」
そうじろう「テープだと?」
大石「あなた、あの後、ゆいさんが自白剤とLSD入りのお茶を飲ませたんですよ
泉そうじろうさん、いやファン・マニュエル・ゴメスさん」
そうじろう「違う!俺は泉そうじろうなんだ。日本人だ!」
そうじろう『デヘヘヘヘ、俺が泉そうじろうという五等民族なわけないじゃん(笑)
俺はファン・マニュエル・ゴメス。ブラジルで9千万件の強姦事件を
起こしたプロだぜ。ブラジルじゃあヤバくなったんで、日本に逃げたってわけよ』
そうじろう「嘘だ!俺はブラジルなんて行ったことないぞ!」
そうじろう『日本に潜伏するにゃ、日本人になりきるしかない、そこで当時小学5年生だった
泉そうじろうをナイフで掻っ切って、ガソリンで焼いた後、そうじろうに
なり済ましたわけよ(笑)』
そうじろう「出鱈目だ!」
そうじろう『俺が通っていた小中高大の女子をレイプした後、シャブ漬けにして、風俗店に
売り飛ばしたな(笑)お母さんが学校の女子生徒が4分の3が行方不明なのは
おじさんの仕業なのかだって?ご名答!そ、全部おれがやったのさ!キラッ☆』
そうじろう「ゆきは嘘ついているんだ!あの糞ババァは昔から嘘つきなんだ!」
そうじろう『かなたは良かったな、風俗店に売り飛ばすのは勿体ないから、売春をさせたり、
アダルトビデオに出演させたりして金儲けの道具として仕えたな(笑)』
大石「んっふっふ、あなたは人間として最低なことをしていたんですね〜」
そうじろう『かなたを利用して、○沢小の校長を取り入って、公然と○沢小の生徒達に手を
出し始めまくったな。ほぼ全校生徒、ジャブ漬けの上に風俗店行きになったけど(笑)
そういや、伊藤伸恵とかいうガキがいたな。あいつムカつくから、ガンガン犯しまくったぜ(笑)
たしかあいつ、妹がいたっけな、そいつもガンガン犯して、姉妹丼にしてやったがな。
その後、校長が腹上死して、全財産、手に入れたけどな。この家も元々、校長の家なのよ』
大石「ところであなたはつかささんとはセフレだと言ってましたが、事実は違ってますよ」
そうじろう『つかさちゃんはガンガンやりまくった後、シャブ漬けにして風俗店に売る予定だじょ〜
ゆたか?あいつは結構高値が付いているんで、明日頃、犯してジャブ漬けにして風俗店に
売り飛ばす寸法だがな(笑)』
大石「それにあなた人を殺しているようですね」
そうじろう『何年か前、伊藤高文とかいうキモオタくんと麻雀したんだが、当然、こっちはイカサマよ。
あのキモオタくんは負け金、一千万円を支払わねーから、頭にきて、中華包丁で切り殺して
やったな(笑)まぁ後で自殺したように見せかけたんだがな。あとはヤクザを使って、キモオタくんの
家まで負け分を取り立てに行ったわけよ(笑)』
大石「いや〜ここまで来ると非道ですな」
そうじろう『近々、俺は台湾に高跳びする予定よ、この前、競馬でかなりの借金してな。闇金まで手を出したよ(笑)
俺はこなたを風俗店に売り飛ばして、てめぇ(ゆい)に借金押し付ける計画だぜ。借金はいくらかって?
軽く一億はあるな。まぁ頑張って借金を払いたまえ(笑)、あとこなたは俺のガキじゃねーし
校長との子供だし』
大石「ゴメスさん聞いていますか?あれ?」
そうじろうは自殺していた。口にオートマグを咥えて自殺したようだった。
おしまい
>>279 強姦罪数万件、殺人罪6件、児童買春法違反、私文書偽造、覚せい剤取締法違反
横領罪、道交法違反でそうじろうはどの刑罰を受けるのか?
@無期懲役
A懲役30年、執行猶予5年
B死刑
俺はAだと思う。
>>278 「つかさのアルバイト」のつかさはビッチとは思えない……
むしろなんかプライド高そう。
ただかがみが「ビッチ」って言ってるだけにしか思えない。
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/09(土) 23:58:09 ID:W8vjdlZu
つまらん
でもねって
最近のSS作品は下らないのが多い
やっぱ長く続くのも問題あるな
別に二次創作なんだから作者のオナニーで全然構わないと思う
その詰まらない文句だけの書き込みは保守のつもり?
かがみ「最近自殺してないんじゃない?」
こなた「いい事だよ」
つかさ「良くないよ……。こなちゃんのイメージは自殺なんだから、もっと自覚持ってよー」
こなた「いや、私一人に自殺の懈怠の責を求められても……。
自殺させる側が怠けてるせいだよ」
かがみ「言われてみればそれもそうね。私たちがもっと積極的にこなたを追い込むべきね」
つかさ「さんせー」
こなた(でもこの二人怖いしな。比較的ぬるそうな背景コンビに任せようっと。
……背景コンビニぷぷぷ。便利な二人にはぴったりの称号だよ)
こなた「いや、背景コンビにも活躍の機会を与えてあげようよ。
というわけで、任せたよ」
あやの「うん。頑張って泉ちゃん自殺させるね。出番ありがとう」
みゆき「頑張って下さいね」
こなた「……。いや、何他人事みたいに振舞ってるのさ」
みゆき「と、申しますと?」
こなた「背景コンビ、って言ったじゃん」
みゆき「!?」
こなた「峰岸さんと一緒に、頑張ってね」
みゆき「あ……いや。く、日下部さんは……」
こなた「メイン4の方じゃん」
みゆき「!?」
みさお「ちびっ子ぉ……ありがとよぉ;;」
みゆき「……。これは徹底的に追い詰める必要がありますね」
287 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/11(月) 10:47:20 ID:s0rMewbp
キャラの台詞でつまんねえこと言わす寸劇が一番つまんね
288 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/11(月) 11:26:39 ID:lWVyTF59
なにこのキモいスレ
完全に歪んでるよオマエラ
年初一発目は誰がくるかな
中尉………
293 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/16(土) 01:32:46 ID:8VxYreTe
保守
ガンガン…
自殺
299 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/18(月) 01:00:16 ID:c9HSx7tD
ああ、支援したい
けどできることがない
音楽なんかもう需要ないだろうし
ここはアンチスレなの?
いや?それだけじゃ説明しきれない
302 :
グレゴリー:2010/01/18(月) 20:16:38 ID:HSWH4YTk
ども、ようやく年末年始の慌しさが終わり、賢者タイムが戻ってきましたわい。
クリスマスに正月休みとたくさんの主人公になりたい男女たちを目撃し
げんなりしておりますわい。主人公たちにとって、自分の人生は特別で、当然
ながら特別なことをやらないといけないのだろうが、私は糞だと思うのであります。
テメエらが主人公のつもりなら、どうしてお前らが行く先々の特別な場所で
同じような主人公たちが群れているんだと!主人公というのは1人でっせ?
とにかく新年おめでとうございます。続編もちゃんと投稿するので見捨てないでw
おめぇはもう黙ってろよ
304 :
グレゴリー:2010/01/19(火) 18:06:41 ID:GehYPUYW0
>>303 気持ちは分かる。私はいわゆる告発者だからな。
皆が目を背けたがるものを私は取り出して示し続けるだろう。
特にらき☆すたは告発されるべきアニメだと言っても過言ではない!
お前は文才ねぇんだよ
306 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/23(土) 22:11:11 ID:mXa3KMfn0
あげ
307 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/24(日) 20:09:01 ID:yoX5748p0
まとめいくつか消えてるけどなんで?
嵐?
多分
グレゴリー ←こいつじゃねぇの?
312 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/27(水) 03:02:18 ID:ZI0pGQJx0
みんなアク禁?
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/01/29(金) 02:38:32 ID:qAkTAWGF0
そもそもこのスレは何で立った?
こなたを虐めて楽しいとか頭が可笑しいとしか思えないが。
そこで「ここよりもっとひどいスレはいくらでもある」
なんて返したらただの詭弁。
ここの住人はそんなバカじゃない
なんでこんな過疎ってんの?
アク禁じゃね?多すぎる
自殺
するしかないかも
保守するんだぜ
ほしゅー
さぁ〜ほしゅするざますよ。
ほしゅでがんす。
ふんがー!
まじめに保守しなさいよ!
死ぬのがわかっている事故を自ら選ぶのは自殺に分類される?
誰かが悪役になって追い込むパターンはちょっと、と思って作ってみたんだが。
分類されるんじゃね?
自ら選んでるんだろ?
ぜひ投下を!
>>325 くっだらないオチをつけたけど、リクエストに応えるよ
キュイイイイイイ!
パシューーン!
今夜も静寂の山に二つの騒音が駆け抜ける。
ガフッ!ガフッ!
キュロロロロロ!
こなた「おー、さっすがかがみん。鋭いツッコミだぁ」
つかさ「お姉ちゃん!つぎは砂が多いよ!イン側を十センチ残して!」
かがみん「おっけー!つかさ!」
こなたは先行するかがみんの後追いでコーナーを攻める。
そもそもの始まりはちょっとしたきっかけだった。
−−−
かがみん「じゃーん!」」
こなた「お〜、ついに車買ったんだねぇ。しかもFDかー。渋いじゃん」
かがみん「そぉ〜?この曲線美が何とも言えないわよねぇ」
つかさ「えへへ、お姉ちゃんのテンションに乗って、あたしもお金出しちゃった」
あたしとかがみとつかさは学校を卒業し、就職前に免許を取った。
社会人になると収入も学生時代とは違ってくる。
あれこれ欲しくなるもので、かがみんはこうして車を買ったのだ。
しかもつかさが今回の車購入に賛同して共同出資していた。
こなた「しかも黄色。まるで頭●字Dの…じゃぁあたしはパンダハチロクにしちゃおうかな?」
かがみん「あんたねぇ」
いつものジト目で睨むかがみん。
−−−
数日後。
こなた「じゃーん」
かがみん「げっ!マジで買いやがったよ。パンダハチロク」
こなた「車がドライバーを育てる。ハチロクとはそういう車なのさ」
かがみん「なに早速ネタやってるのよ」
いつもの調子でツッコミを入れるかがみん。
みWiki「あらあら。お二人とも本当に車を買われたのですね」
こなた「みWikiさんは白のFCがピッタリ!」
こなたはグッと親指を立てて続ける。
かがみん「やめんか」
−−−
数日後。
みWiki「お二人とも、ついつい買ってしまいましたわ」
いつもの「どうしましょう」ポーズで可愛らしく、しれっと言う。
かが+こな「マジでFC…しかも白」
こなた「ねぇねぇ!どうせだから峠行こう!峠!」
かがみん「あんたねぇ、あたしたちに頭●字Dやらせるつもり!?」
−−−
コアアアアアアアッ!
キュキュキュキュロキュロキュロ!!
こなたのハチロクが疾風のごときスピードでコーナーの向こうに消える。
かがみん「速い!ゲーセンのレースゲームばかりやっていたのはダテじゃないわね」
つかさ「お姉ちゃん!怖いよ〜!」
縋るように助手席で喚くつかさ。
かがみん「ちょっと我慢してなさい!あたしだってぇ!えいっ!」
ABS(*)任せのハードブレーキング。大胆にハンドルを切って横向きにスライドする。」(*ABS・アンチロック ブレーキ システム:ブレーキ中にタイヤが回転を止めると止まるまでに必要な距離が長くなるため、それを防ぐための制動補助装置。ちなみにハチロクはABSが無い)
アクセル全開でかがみんのFDが横向きにコーナーを抜ける。
ラインに甘さは残るものの、四輪ドリフトはなかなかサマになっている。
実はかがみ、免許を取るまでの間に教習所へ通うだけでは物足りなくなってサーキットのデモカーを借りて走っていたのだ。
それほどサーキット走行を回数こなしているわけではないが、どれだけのスピードでどれだけのハンドリングをすれば車が横に滑り出すかは体で覚えていた。
フルノーマルに近い状態であることも手伝って、いまいちぎこちなさは残るもののドリフトはかなりの腕になっている。
フュオオオオオンッ!パシュ!
後ろから白のFCが追いかけてくる。
みWikiの車だ。
キュロロロロロ!
みWikiもドリフトができる。
教習所に通っていた頃に、ラリーカーのトライアル走行で滑らせる感覚は身につけていた。
おまけに理詰めでスピードを計算できる頭の回転も手伝って、コーナーを抜ける度にコーナーの脱出速度は増していた。
みWikiに大外から被せられてあっさり抜かれるかがみんのFD。
ここでかがみんの頭にスイッチが入った。
かがみん「絶対抜いてやる!」
つかさ「お姉ちゃん!ツッコミ過ぎ!」
かがみん「誰がツッコミお杉よ!?」
つかさ「違うってばぁ!」
三台はこうして峠を登ったり下ったりしていた。
かがみん「最初はこなたになんて言ってやろうかと思ったけど、車で峠を走るのって結構楽しいわね」
みWiki「そうですわね」
つかさ「けど(タイヤの焦げる臭いが)臭いねぇ」
みWiki「ついラリーをかじった頃の血が騒いでしまいましたわ」
こなた「そだ。みんなでチーム作ろうよ。それで交流戦とか、ほかの峠に出かけるんだよ」
みWiki「いいですわね。チーム名は…ラッキー☆スターズなんていかがでしょう?」
かがみん「いいわね。それ」
こなた「さっすがみWikiさん。ツボを抑えてるね」
みWiki「それではステッカーを作っておきますわね。来週にはできあがると思います」
こな+かが+つか「よろしくぅ」
−−−
そしてシーズンを一回りする頃、みんなはめまぐるしい進歩を遂げていた。
「幸手の流星」と呼ばれ、近辺では有名になっていた。
みんなもともとセンスは良かった。ただそれに気づいていなかっただけだ。
軽量コンパクトだがパワー不足なこなたのハチロクは下り専門。
軽量ハイパワー、かがみんのFDは上り専門。つかさは助手席でかがみんのナビだ。
みWikiはその頭脳を活かして、勝つための作戦を立てる参謀。
交流戦において、県内は全戦全勝。もう制覇済みだ。
みWikiは群馬に目を向けた。
次の交流戦に向けての仕込みは万全。
二週間前から平日の夜にコースを走り込む。走り込みを開始する頃、みWikiは次のターゲットの品定めをする。
交流戦の近い峠で走り込みを終えると、次のターゲットを見据えて、帰りがてら攻めるまでは走らなくとも、スケジュールにあわせてコースを覚えるためドライブ程度の走行をワンセットだけする。
つかさ「お姉ちゃん、ちょっとこの車…感じが違うよ」
かがみん「わかる?ちょっと足回りをいじったんだ」
つかさ「どんな風に?」
かがみん「アクセルオンで、どアンダー。ドリフト中に踏める足になってるの」
違う…何かが違う。
つかさはかがみから返ってきた返事と一致しない、一抹の不安を抱えていた。
コーナー入り口で何か、変にフラつく。
足回りいじったから調子が狂ったのかな?
つかさ「ここ!インの壁に擦りつける勢いで!」
かがみん「うん!」
−−−
こなた「いよいよ来週だね」
かがみん「そうね。ばっちり走り込んだし、これなら楽勝よ」
こなた「それはど〜かな〜」
企むような微笑みをかがみに向ける。
かがみん「なによ?」
こなた「今日の仕上げがてら、下りながらバトルしようっか」
かがみん「おもしろそうね。いいわよ。受けて立つわ」
こなた「かがみんが先行でいいよ〜」
かがみん「ふふん、あっさりちぎってあげるわよ」
こなた「このツンデレめ〜」
そして現在に至る。
つかさ「この先は緩いS字よ!次の逆コーナーに向けて姿勢作りを!」
かがみん「わかった!」
キュキョキョキョキョ!
こなた「やるなぁかがみん」
ハチロクをホイールロック寸前で踏力を抜き、ハンドルを少し切ってドリフト状態に入る。
連続逆ドリフト。
二人は車を自由にコントロールできるレベルに達している。
つかさ「次は左ヘアピン!その前に長いストレート!ブレーキコントロールをしっかりと!」
かがみん「おっけー!」
コアアアアアアアッ!パシューン!
FDのロータリーエンジンが唸りを上げる。
つかさ「お姉ちゃん!対向車!擦れ違うのは三つ先。ここは気にせず全開!」
かがみん「わかった!」
つかさは言いつつ、ハザード半押しで三回、連続して点滅させる。
こなたに対する対向車予告だ。
こなた「三つ先か」
つかさは対向車の読みを外さない。
助手席でコースの特性を見抜きつつ、遙か先から漏れる対向車のヘッドライトを見逃さずキャッチ。すれ違うコーナーの数も客観的に分析できるのだ。
慌て癖が相変わらずなつかさは自分で運転していたら、こうはいかない。
つかさ「コーナー入り口で対向車来るよ!アウトを空けて!」
再びハザードを一回だけ点滅させる。
かがみん「つかさ、ジャスト!」
左コーナーでアウト側を空けて対向車をかわす。
こなた「ちょっとからかってやるかぁ」
ヘアピン直前でハードなブレーキング競争が開始された。
FDがドリフト状態に入った。そのとき…
トン。
かが+つか「なっ!?」
ブレーキングでハチロクがFDに追いつき、バンパーを軽くつついた。
リアが予定より大きくスライドし、姿勢を崩すFD。
とっさにカウンターを当ててオーバーステアを修正する。
大きくラインを外しつつもコーナーを立ち上がって元のラインに戻る。
かがみん「あっぶないわねぇ!」
こなた「こんなのレースじゃ日常茶飯事だぁよ」
互いに聞こえないながらも会話として成立しているあたり、息が合っていると言うべきか。
つかさ「お姉ちゃん!こなちゃんをちぎるよ!」
かがみん「言われるまでもないわよ!」
つかさ「全開!」
FDのパワー任せなストレートの伸びはハチロクを大きく引き離す。
しかしブレーキング競争ではこなたのほうが一枚上手だった。
中速コーナーの入り口でまたもやハチロクがFDのバンパーをつつく。
かがみん「くっ!こんな中速コーナーでそれをやるわけ!?」
ゼロカウンタードリフトをマスターしているかがみんにこれは屈辱だった。
ハンドルを持ち替えて逆ハンドル。カウンターを当てなければコースアウトしてしまう。
かがみん「そこまでやるならこっちにも考えがあるわよ!」
つかさ「まさか、お姉ちゃん!あれをやるの?」
かがみん「もちろんよ。みWikiに教わったあれ!今度のバトルでキーになるテクよ!」
再び左コーナーにさしかかり、FDは大きくイン側に寄った。
ダンッ!
ほぼノンブレーキでコーナーに入る。端から見れば明らかなブレーキングミス。しかしFDは慣性を無視して、なめらかにイン側の縁石ぎりぎりを撫でる。
ガリッ!
ミゾ落とし。ガリッというのはミゾから脱出した音だ。
斜めに切り込んだ排水溝に、イン側のタイヤを引っかけて慣性に逆らうハイテクニック。
こなた「おー、やるなぁかがみん。ミゾ落としまでマスターしたか」
かがみはこなたを恐れるかのごとく、右コーナーにつっこむ。
こなた「さっすがかがみん。コーナーのツッコミも半端じゃない」
ハチロクもミゾ落としをしてコーナリングフォースを稼ぐ。
カキンッ。
かが+つか「っ!?」
FDの右フロントから異様な音が響いた。
右高速コーナーでのミゾ落とし。その瞬間響いた金属音は二人を青ざめさせた。
イヤな予感がしてブレーキを踏むかがみ。
キュロロッ。
次の連続する左コーナーに備えて左に向くべきところが、意志に逆らいミゾを離れてFDは右向きに姿勢を崩す。
ハンドルを左に切っても姿勢が戻らない。
かがみん「あたしはどうなってもいい!でもつかさだけはっ!」
つかさ「お姉ちゃん!あたしのことは構わないで!」
かがみんは必死にカウンターを当てつつブレーキングに入る。
しかしこれだけスピードが乗っている以上、そう易々とは止まらない。
このままならガードレールを突き破ってコースアウトは火を見るよりも明らかだ。
すぐ後ろを走っていたこなたは悟った。
FDの足回りがやられた。
こなたの目に映ったのはその先にある二重のガードレール。
二重なのは「落ちたら死ぬ」という意味である。つまりその先は崖。
一瞬の迷い。このままブレーキをかけるか、かがみたちを助けるか。
こなたはミゾ落としのままFDの前に回り込むようにアクセルを踏む。
ミゾから離れて姿勢を崩しているFD。横向きのブレーキでは次のコーナーまでの制動はとても間に合わない。このままでは真っ逆さまだ。
こなた「かがみとつかさは、あたしが助ける!助けられるのはあたしだけなんだ!」
FDと並んだところでミゾから離れ、次のコーナーとは逆を向いているFDの右フロントを思いっきりクラッシュさせた。
こなた「かがみ!アクセル全開で逃げてぇ!」
弾かれて左を向くFD。ちょうど連続逆ドリフト体勢になった。
ハチロクは全開のまま直進してFDの横を通り過ぎる。
もしここでブレーキングに入っていたら、せっかくFDが左を向いたのに、FDはハチロクのリアに接触して、二台仲良く崖へ真っ逆さまだ。
こなたの叫びが通じたのか、かがみんはとっさに逆ハンドルを切ってアクセルを全開にする。
ギュロギョギョギョギョギョッ!
大きくラインを外しつつもガードレールぎりぎりを撫でるようにして曲がるFD。
立ち上がりにサイドブレーキを引き、半スピンして何とか止まる。
ハチロクは…。
ギャギャギャギャッガゴンッ!
FDの安全確保に充分な距離まで離れた瞬間に始めた必死のフルブレーキングも虚しく、ガードレールを突き破って漆黒の夜闇へ吸い込まれていった。
ガチャッ、バンッ!
かがみん「こなたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
つかさ「こなちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!
車を降りて、突き破られたガードレールのそばで叫ぶ。
しかしそこにあったのは、生々しい事故の余韻と夜の静寂だけであった。
−−−
三人は花束を投げる。
こなたの消えた崖の上から。
花束は遙か崖下へ舞い降りていく。
みWiki「あれから、もう一ヶ月も経つのですね」
つかさ「あたしが、帰りがけのバトルを止めていれば…車の異常には気づいていたのに、止めなかったから…」
かがみ「つかさのせいじゃない。あたしの整備ミスよ。足回りは確かにおかしかった。はじめは慣れていないからと思ったけど…まさかあんなことになるなんて」
チーム「ラッキー☆スターズ」はあの事故の日をもって解散した。
あの事故後、すぐに救助隊を呼び、事故から一時間ほどで救助を終えたが、結果は無言の再会だった。
当のこなたは、即死だったらしい。
ハチロクは見る影もないほどに破損し、その衝撃がいかほどのものだったかを物語っていた。
三人はこのコーナーをこう名付けた。
「C(死)のコーナーた」と
く、くっだらない……。
でもちゃんと自殺してるからオッケーオッケー。
車のこととか全然分からんけど。
Cwwwwwwwwwwwwwwww
>>332 スマン
車はわからないか。
今回 頭●字Dネタやったから、もっと軽い自殺事故ネタでも考えるよ。
次は事故要素組み込むかもわからんが。
「Cのコーナーた」もいいけど、
「こなたは峠を越えられなかった」ってオチもありかも。
こなた、伝説たれ
スレ大虐殺でも生き残ってるねこのスレ
事故発生で我が身を呈するよりも、いじめられて自殺の方が需要あるのかな?
駄文だけど投下していい?
340 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/23(火) 20:33:55 ID:F6/D8VJzO
こなたって麻原の真似が出来そうだよな
「修行するぞ!修行するぞ!」とか
投稿してみよう
投稿って、みWikiに?
344 :
339:2010/02/27(土) 18:26:20 ID:OAY4jEyQ0
こなた「つっ…」
大怪我ではないが、動くにはちょっときつい肩を押さえて立ち上がる。
片手にはハンドガン。腰にはサバイバルナイフ。
ちなみにこのハンドガン、実弾が込められている。
サバイバルナイフも本物だ。
充分に殺傷能力を有している。
しかしこなたはあたりの気配に怯えて歩を進める。
こなた「なんでこんなことに…」
数日前。
きーんこーんかーんこーん。
終業のチャイムが鳴り、みんな帰り支度をする。
みWiki「こなたさん、今度みんなで一緒にキャンプに行きませんか?」
こなた「いいねぇ。みんなってことはかがみんやつかさ、パティたちも一緒?」
みWiki「もちろんです。大勢の方が楽しいですからね」
こうしてみんなとキャンプ。春の大型連休を使ってめいっぱい楽しもうと、心躍る気分だった。
当日。
つかさ「でもって臭くってさぁ〜」
こなた「臭いよね〜」
みWiki「あの臭みがなんとも言えませんよね」
現地へ移動する特急車内、会話で盛り上がる一方
かがみ「やった〜!あっがり〜!」
ヴァ「くっそー、やられたってヴァ!」
パティ「さっすがかがみ!いちぬけでスねぇ!
トランプゲームに興じるなど、思い思いに楽しんでいる。
現地。
みWiki「こちらです」
こなた「駅から数分とは洒落てるね」
みWikiが案内したロッジ(?)は、一日に2、3本だけ走る鄙びた駅から数分のところにある広場にあった。
みWikiさんらしく用意は万全。
ここで過ごすのに充分な水と食料はすでに運び込み済み。ベッドはあるし、みんなで遊び倒すにはもってこいの場所だった。
昼はバーベキュー。
夜はテーブルを囲んで楽しく会話しながら時間は過ぎていった。
しかしこれが楽しい最後のひとときだとは、かけらほども思わなかった。
345 :
339:2010/02/27(土) 18:36:02 ID:OAY4jEyQ0
訂正:みWiki「こなたさん」>みWiki「泉さん」
今朝。
こなた「うぅぅぅぅん!よっく寝たぁ!」
寝ぼけまなこで辺りを見る。
こなた「あれ?あたしこんなところで寝てたっけ?」
やけに狭っくるしく、見覚えのないところだった。
次に気がついたのは腕時計だった。
やたらゴツいG●ョック風の時計だ。
何が起きたのか理解できず、まずは外に出た。
こなた「……………」
思わず言葉を失った。
目の前に広がっていたのは文字通りのジャングル。
昨日降りた鄙びた駅もなければ、広場もない。
外に出たとたん見えるのは向こう側が見えないほどの木々。
何が起きたのか理解することもできず、ただただ呆然と立ち竦んだ。
木の幹に紙らしきものがあった。
正確にはナイフで刺されていた。
ナイフを引き抜き、紙を手に取る。
その紙にはこう書かれていた。
「泉さん、おはようございます。
おそらくとても混乱しておられるでしょう。
これはすべて仕組まれていたことです。
今回のキャンプはあなたをここに連れてくるための口実です。
さあ、戦争の始まりです。
追伸:後ろの小屋はまもなく爆発します。
早く離れた方が身のためですよ。みゆき」
こなた「………なにこれ?」
ここでハッとなり、小屋を背に駆け出す。
ドングアァァァァァァァン!
小屋は紙の予告通り爆発した。
破片が肩に当たり、激痛が走る。
血こそ出ていないものの、中度の打撲だ。
後ろを振り返ると、小屋はもはや床以外は破片だけになっていた。
こなた「なにこれ?」
足下にあったものに気がつく。
ドラ●エで出てきそうな宝箱みたいなものがあった。
こなた「怪しい…」
そう思いつつも好奇心には勝てず、箱を恐る恐る開けてみる。
こなた「銃?モデルガンかな?」
箱の中の銃に触れたとたん、すさまじい違和感を感じた。
そしてそれが確信とともに全身の毛が逆立った。
こなた「本物…」
自分の感じたことが嘘であることを信じたくて、マガジンを抜いて弾を取り出す。
しかし自分の期待を裏切るかのように、弾は重く冷たい光を放っていた。
こなた「何で…?」
346 :
339:2010/02/27(土) 18:39:55 ID:OAY4jEyQ0
みWiki「それがわたしからの宣戦布告です」
こなた「っ!?」
弾かれるように振り返ると、そこにはみゆきが立っていた。
しかしそのみゆきはこなたの知っているみゆきとは違っていた。
いつも穏やかで優しい暖かさを持つ、癒しすら感じる眼ではなく、背筋が凍り付くほどの冷たい眼光。
穏やかな陽気にも関わらず背筋が凍ってしまう。
こなた「なんで?なんでこんなことをするの!?いったいどうなってるの?」
チャキッ。
みゆきは片手で銃を構え、まっすぐこなたを狙う。
みWiki「あなたがいままでしてきたこと、忘れたとは言わせないわ」
こなた「あたしが…?」
みWiki「あなたに与えられた選択肢は三つ。好きな方を選びなさい。一つ、逃げる。一つ、あたしをその銃で撃つ。一つ、ここであたしに殺される」
こなた「………あはは…何言ってるの?みゆきさん?なんであたしたちがそんなことしなくちゃいけないの?」
みWiki「最後の選択肢を選ぶ?あなたにはこの選択肢以外あり得ないのよ」
目が据わっている。今までこんな怖いみゆきさんは見たことがない。
それだけに怖い。銃を構えているみゆきさんは本気だ。
みWiki「一つだけ教えておくわ。このキャンプに参加した人はみんなあなたを狩るハンターとしてあなたと接する。あたしのようにね」
こなた「みゆきさん!ここはいったいどこなの!?なんでこんなことを!?」
みWiki「そうそう。言い忘れていたわね。キャンプ場であなたが寝た後、あなたに睡眠ガスをかがせてここまで運んできたのよ。
よく眠れたでしょ?自分がここまで運ばれてきたことに全く気づかないほど」
顔は笑っているが、眼が冷たい。
こなた「みゆきさん!ごめん!あたし、みんなの気持ちも考えずに迷惑ばかりかけて…」パウンッ!ビシッ!
みゆきさんが放った銃。その弾丸が土下座しかけたあたしの足下をかすめる。
みWiki「もう済んだことです。今更そんなことはどうでもいいのですよ。
この償いはしっかりしていただきます。せいぜいあたしたちを楽しませてね。泉さん?」
あたしはみゆきさんの顔を見るのが怖かった。その声に潜む感情が顔に浮かんでいるのがわかったから。
恐る恐る目線を上に移動させる。
こなた「ひっ!!」
目に飛び込んできたのは予想を遙かに上回る感情が浮かんだ顔だった。
狂気。
人がそう呼ぶ感情。
みWiki「ルールを説明しましょう。一言で言えばアルティメットルール。殺るか殺やられるか。その腕時計は爆弾になっているわよ。
無理に外そうとすればドカン!その腕時計を外す方法は一つ。あたしたちが持っているパスワードを手に入れること。
そのパスワード通りに金庫の要領でリューズを回すと安全に外せます。
泉さんにも生き残る選択肢を与えるため、各所にこの宝箱をおいてあるわ。
武器・弾薬、水や食料があります。もちろん中にはトラップもあります。
泉さんの好きなゲームみたいでわくわくするでしょう?トラップと言っても、食べたら死ぬなんていう毒を使ったものはありません。
各所にみんなが散らばっているわ。あなたとわたしたち、どちらが生き残るか。選ぶのは泉さん、あなたなのですよ。
行動時間は朝の8時から夜の11時まで。寝込みを襲っても面白くありませんから、その間は防衛攻撃以外致しません」
にっこりと笑うみゆきさん。
しかしその冷たい瞳が突き刺さった体に、おぞましいほどの戦慄が駆け回った。
こなた「あ…あ…う…そ…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
実弾の込められた銃とサバイバルナイフを手にみゆきさんから逃げ出した。
347 :
339:2010/02/27(土) 18:43:32 ID:OAY4jEyQ0
どれくらい走っただろうか。足下が悪い中、必死に駆けた。
走り疲れてへたり込むこなた。
こなた「なんで、こんなことに…」
確かに友達の迷惑も顧みずに公然の場でオタ話やエロゲーの話をしたり、みゆきさんがドジする度にみゆきさん萌え〜なんて悪ふざけもした。
しかしここまで恨まれる心当たりもない。
?「こなた発見!」
タタタタタタッ!
足下を掠める銃撃。
相手の得物はサブマシンガンだ!
みさお「あんたに恨みは無いけど、マジで死んで欲しいんだってヴァ!」
こなた「やめて!話せば絶対わかるって!」
岩陰に身を潜めて叫ぶこなた。
みさお「そんなの知らないんだってヴァ!」
タタタタタタッ!
みさおの銃撃は止まない。戦うしかない!
けどあんなに仲良く話した友達を殺すなんてできっこない。
こなた「戦いの基本は…相手を倒すことじゃない。相手を無力化すること!」
何かのゲームで出てきたフレーズを口にして自らを奮い立たせる。
パンッ!
ガンシューティングで培ったカンだけを頼りに岩陰からみさおの銃に発砲する。
トリガーを引いた瞬間、予想以上の反動が腕を襲う。
紛れもなく実弾の入った実銃であることを知った。
カキンッ!ガシャッ!
みさお「落としちゃったんだってヴァ!」
こなた「動かないで!」
岩陰から出て、弾き飛ばしたサブマシンガンを取りに行こうとするみさおを制するこなた。
みさお「はっ、撃てるのか?撃てるものなら撃ってみろってヴァ!」
やれやれ、という仕草をしてサブマシンガンを拾おうとするみさおに
パウンッ!
みさお「いってぇ!痛いってヴァ!撃ったな!マジで撃ったな!おまえはヒドいやつだってヴァよ!」
こなた「あ…………」
撃たれた腕を押さえるみさおの姿に、こなたは自分自身に恐怖して逃げ出した。
?「あらあら。たかだか怪我をさせたくらいでそんなに怯えてどうするんですか?」
声の主は銃を構えたみゆきさんだった。
みWiki「これは殺し合いですよ?あなたが殺やらないなら、あなたが殺やられる立場になることくらいわかっているでしょう?」
こなた「みゆきさん!こんなの絶対間違ってる!なんで友達同士で殺し合わなきゃならないの!?」
みWiki「あなたに意見する権利はありません。最初に与えた三つの選択肢から選んでください」
こなた「みゆきさん!」
みWiki「あなたが選ばないなら、わたしが選びますよ」
トヒュッ!
サイレンサーをつけたみゆきさんの銃が火を噴いた。
こなたの青い髪を散らして弾丸が通り過ぎる。
348 :
339:2010/02/27(土) 18:51:22 ID:OAY4jEyQ0
こなた「………みゆきさんに殺されるなら、それもいいか…」
みWiki「本気で言ってます?それ」
こなた「………みゆきさんが望むことなんでしょ?何を言ってもムダなら…」
はふぅ。
みWiki「あなたには絶望しました。もっと泣いて、喚いて、命乞いでもするかと思ったのですが…。それなら望み通り…」
みWiki「けどラクには死ねませんよ。まずは足、次に腕、あなたの四肢を奪って、じわじわと、じわじわとこの鉛弾を一つ一つ丁寧に撃ち込んであげます。あなたはどんな声で泣いてくれるんでしょうねぇ?」
ゾクゾクッ!
こなた「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
みゆきさんの歪んだ殺意に、こなたは半ば腰を抜かしつつ背を向けて逃げ出した。
みWiki「そう。それでいいのです。無様な姿を晒してせいぜいわたしを楽しませてくださいね」
?「オォウ!こなーたハッケンなのです!」
やけに陽気な訛り混じりの声は、確認するまでもなくパティだ。
パティ「覚悟してくゥださーイ!」
ドフン!ボグアァァァァァァン!!
ロケットランチャー!?
こなたは間一髪のところでよける。
こなた「やめようよ!パティ!こんなの絶対おかしいよ!何があったの!?教えて!」
パティ「あなたに知る権利はあァりませーン!」
ドフン!ボグアァァァァァァン!!
ダメだ!説得がまったく通用しない。
こなた「一緒にバイトしたり、アキバで買い物したり、学校でも楽しく話したし、今回のキャンプだってあんなに仲良くしてくれたじゃないか!」
パティ「モンドームヨー!」
ドフン!ボグアァァァァァァン!!
撃てない!とても撃てない!
みさおの場合は我が身を守るためについ撃ってしまったが、あんな思いはもうしたくない!
人を傷つけるのはイヤだ!
唯一の長所である身軽さを頼りにジャングルの中を駆ける。
重量級のランチャーを持つパティを引き離すのはそれほど苦労しなかった。
こなた「はあっ、はあっ、はあっ!」
みWiki「いかがですか?泉さん」
こなた「み…ゆき…さん」
ふと振り返り、そこに立っていたのは銃を構えたみゆきさんだった。
いつもは穏やかで優しいみゆきさん。けど今はもはや恐怖の象徴でしかなかった。
謝罪も説得もダメ。けど撃つなんてもっとできない!
こなた「教えて!何でこんなこ…」
チュイーン!
耳元を掠める銃弾。
みWiki「まだご自分の立場がわかっていないようですね。あなたには三つの選択肢だけなのですよ?殺す、殺される、逃げるのどれか。選ばないならわたしが選びます。ただし、ラクに死ねるとは思わないでくださいね。じわじわと、苦しみ藻掻く姿を…」
こなたは最後まで聞かず、振り返らずに走り出した。
こなた「逃げなきゃ…ここから逃げなきゃ…」
しかしここがどこかもわからない。場所も方角もわからない。
349 :
339:2010/02/27(土) 18:54:27 ID:OAY4jEyQ0
途中でみゆきさんが言った宝箱をいくつか見つけたが、そんな余裕が残されているはずもなかった。
ふと、ここで気がついた。
みゆきさんはいつも先回りしてあたしの目の前に現れる。
こなた「っ!?」
まさか、この腕時計…あたしの居場所を示す装置!?
けど無理に外せば…いつものみゆきさんだったら冗談と思えるが、今のみゆきさんを見ると嘘などとも思えない。
となると、ここから脱出する直前に先回りされる!
もし、どこかの人里に近づいたら殺される…?
自分の置かれた状況が次第に飲み込めるとともに絶望が襲う。
あたしの味方は…いない。みんなあたしの敵…。
?「こなちゃん!」
震えた声。確認するまでもない。つかさだ。
つかさ「お願い!死んで!」
パウンッ!
弾丸はあさってのほうへ飛んでいった。
トリガーを引くときに目をつむり、顔を背けているからだ。
銃を持つ手が震えている。
こなた「つかさ…」
つかさに近づくこなた。
迷いがあるから震える。ならばまだ説得の余地はある。
つかさ「こないで!こないで!!」
カタカタと全身が震えているのは隠せない。
銃を持つ手を掴み、つかさをじっと見つめる。
恐怖に打ち震えるつかさの顔を見ていると、なんだか悲しくなってきた。
つかさの持つ銃を持つ手を、自分の胸に当てる。
こなた「さ、撃って。これなら狙いを外さないよ」
確信があった。
つかさには撃てないと。
震えが大きくなる。
腕を持つ手が疲れるほど。
ボトッ。
つかさ「撃てない…あたしには撃てないよぉ…」
銃を落とし、膝をついて泣き崩れる。
こなた「何があったの?」
つかさ「………ごめん。言えない…」
こなた「言ってくれなきゃ分からないよ」
つかさ「…こなちゃん!ほんとにごめん!言えない!」
みwiki「あらあら、つかささん。泉さんに寝返っちゃったのですか?」
つかさ「ゆきちゃん!?違うの!これは油断させるための…!」
みwiki「もういいです。あなたには用がありません。どこへでも行きなさい」
つかさ「…あの件は…?」
みwiki「あなたにはもう関係のないことです。目障りだから消えなさい」
つかさ「ゆきちゃ…」
みwiki「泉さんと一緒にここで消えますか?」
みゆきさんがつかさに銃を向ける。
つかさ「………」
悲しさを込め、怯えた表情で背を向けるつかさ。
つかさ「ごめんね…こなちゃん…」
こなた「つかさ…」
とぼとぼとした足取りで森の奥へ歩いていく。
350 :
339:2010/02/27(土) 19:01:42 ID:OAY4jEyQ0
みwiki「まったくだらしないわね」
何を言っても無駄。反論すら許されない。
こなた「あたしの知ってるみゆきさんはもういない…」
意を決して銃を構える。
こなた「これ以上好き勝手はさせない!」
みwiki「ふふふ…撃てるものなら撃ってみなさい」
そういい、あたしがつかさにやったように自分の胸に銃を押し当てる。
みwiki「どうしたの?後は引き金を引くだけ。わたしに好き勝手させたくないんでしょ?」
口元に勝ちを確信したような笑みがこぼれた。
みwiki「なら代わりにわたしがあなたを撃つわ」
ごりっ!
あたしの額にみゆきさんの銃が押し当てられる。
みwiki「さようなら。泉さん」
腕が震える。
つかさの気持ちがよく分かった。
自分の表情が、恐怖に打ち振るえているのをはっきりと自覚する。
全身が震え、冷や汗が流れ出す。
こなた「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
みゆきさんの手を払いのけ、恥も外聞もなく、プライドもかなぐり捨てて逃げ出す。
みwiki「そう、それでいいのです。もっと追いつめて差し上げます」
どれくらい走っただろうか。
こなた「ぜえっ、ぜえっ、ぜえっ…」
もはや走る気力すら残っていないこなたの前に、一人の影が立ちはだかる。
?「こなた?」
こなた「か、かがみん?」
普段なら助け船と思うところだが、状況が状況だ。
真っ先に敵と認識した。
かがみ「…なんで…なんであんたがいるのよ!?」
こなた「まっ、待って!これは」
かがみ「あんたがいるから!あんたがいるからあたしたちは…!」
悲しみと憎しみを含んだ表情。目に涙を浮かべて近づいてくる。
いっそのこと怒りと憎しみだけで来てくれた方がマシだ。
なんで悲しそうな顔をしているのか…たぶんみゆきさんが何かを仕込んでいるからだろう。
ボグッ!
かがみの拳があたしの顔をとらえる。
かがみ「なんで!なんであんたのせいであたしがこんな思いをしなくちゃいけないのよ!?」
バキッ!ドガッ!
かがみ「みんな!みんなあんたのせいよ!あんたのせいであたしたちは!」
あたしはかがみのされるがままに殴られる。
かがみ「なんとか言いなさいよ!」
ボゴッ!
かがみ「あんた、自分の身が危険に晒されているのになんで平気な顔で殴られ続けられるわけ!?あたしを馬鹿にしてるの!?」
こなた「かがみ…」
かがみ「何よ!?」
351 :
339:2010/02/27(土) 19:03:15 ID:OAY4jEyQ0
こなた「あたし、みんなの迷惑も顧みないダメな人だったよ…こんなになるまでみんなを追いつめてしまうなんて…」
かがみ「今更反省してももう遅いのよ!」
こなた「取り返しのつかないことをしてしまって…」
かがみ「あれ!何かわかる!?」
指さす方を見ると、草に紛れて黄色の大きなリボンが見えた。
ざあっ!
一気に血の気が引いた。
こなた「まさか…」
かがみ「あんな大きなリボンを頭に付けてる人の心当たりは一人だけよね!?もうかえってこないのよ!つかさは!」
さっきのやりとりでつかさは無関係になったと思っていた。
けど、排除されてしまったんだ…。
あたしがあんなことをしなければ、おとなしく殺されていれば…つかさは無事だったのかもしれない。
片手に持っている銃をゆっくりと差し出す。
こなた「…かがみに殺されるなら、本望だよ。それで償えるとは思ってないけど、少しでもかがみの気が晴れれば…」
驚きの表情をみせるかがみに銃を持たせる。
つかさにやったときと同じようにかがみの銃を持つ手を、自分の胸に当てる。
こなた「撃って。かがみ」
かがみ「………最初は、お姉ちゃんたちを助けるためだった…。あんたの命と引き替えに…けど…つかさを失って…」
こなた「まさか…いのりやまつりを…人質に取られて!?」
トヒュッ!
かがみ「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
絶叫をあげるかがみ。
こなた「かがみ!?かがみ!?」
みWiki「あらあら。困りますわ。ネタをばらしちゃ」
肩から血を流すかがみを、みゆきさんからかばう。
こなた「もうやめてよ!なんでみんなを巻き込むの!?あたしに用があるならあたしだけに…」
トヒュッ!
かがみ「ぐっ!」
今度は足だ。
352 :
339:2010/02/27(土) 19:04:55 ID:OAY4jEyQ0
みWiki「それではつまらないからです。泉さん、あなたひとりだけを呼び出して追いつめても、失うのは自分一人だけ。
けどこうしてみなさんを集めてみなさんも一緒に追いつめることであなたに対する心理的ストレスは何倍にもなります」
狂ってる…みゆきさんは完全に狂ってる…!
それほどまでにあたしがみゆきさんを追いつめてしまったんだ。
かがみ「こなたどいて!」
こなた「どかない!かがみはあたしの敵じゃない!」
みWiki「かがみさん。あなたも邪魔なのです。いつもいつも泉さんを大切に思うその存在が」
トヒュッ!
かがみ「いたっ!」
みWiki「せめてもの情けです。かがみさんはひと思いに殺して差し上げます」
トヒュッ!
どさっ。
断末魔すらあげずに倒れるかがみ。
こなた「かがみ!かがみ!かがみぃぃぃぃ!」
抱き起こして揺するが、全く反応がない。
……………うそ…。
みWiki「あなたの選択肢は三つですよ」
冷たく言い放つみゆきさん。
かがみの持っていた銃を掴み、自分の頭に当てる。
トヒュッ!カキンッ!
自分の頭に当てた銃は弾き飛ばされ、草の中に消えた。
みWiki「それがあなたの答えですか。でも言ったはずです。ラクには死ねない、と」
もう、前には戻れない。
楽しかったあの日々には。
死ぬ覚悟はできた。
けどせめて二人の仇は討つ。
あたしはサバイバルナイフを抜き、自分の腕時計に突き立てる!
みWiki「しまった!」
時計盤に深々と突き刺さったナイフ。切っ先は自分の腕にまで達したが、その痛みを感じる暇は無かった。
グバゴォォォォォォン!!!
狂気に満ちたみゆきさんを巻き添えにしてこなたは散った。
Fin
乙ー!
ハードボイルドかっこいい!
355 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:21:01 ID:M6wtDHY70
なんかすごいね、ここ。絵とかはないの?
またwiki荒らしが出たのか
ところで私のお父さんと審判読んだんだけど、別にこのシーンはいらんだろ
っていう展開が多かった。例を挙げると
私のお父さん
・竜崎と大石の存在意義(あんまり活躍していないから別にいらんだろと思った)
・小早川家の目的はそうじろうへの復讐(最初から金目当てだということが分かっているからいらないと思った)
・こなたが麻薬でラリラリの展開とりゅうじというキャラ。
・かがみがこなたに向かって鉈を振り回すところ。
審判
・あやのによるこなたに暴行(あやのってそんなことするキャラだっけ?)
・黒井先生が人を殺した件(しかもこなたに殺人を擦り付けているし、そもそも警察に捕まっている)
・兄沢先導のこなたをリンチ。
・つかさが覚せい剤をやっていること(つかさと覚せい剤は何の関係があるんだ)
・伸恵の設定(学校が違うのにつかさと親友になっている等、別にかがみに金で雇われてやってるでいいと思う)
・ゆいとゆたかによるそうじろう殺害及び死体遺棄(自殺に見せかけて殺したで済むだけなんだが)
みんなはどう思うよ。
359 :
お漏らし中尉:2010/03/14(日) 02:44:35 ID:t5BRf2kG0
【ラストカット】
「みゆきさん、こんな所に呼び出して・・・・どうしたの?」
「ええ、実はお話がありまして」
どんよりとした雲を傘にして屋上で対面する二人
時間は放課後・・・一般の生徒は帰路につき、残るは部活の生徒のみ
したがって屋上に登ってくるものはほぼ皆無といって良いだろう
空を見上げたままでみゆきは風に靡く髪を手で押さえた
「高校に入学して数ヶ月、桜の季節が懐かしいですね・・・」
「・・そうだね」
陵桜学園高校の一年にして、学校いちの才女である高良みゆきはただ、淡々と言葉を吐き出した
その表情には微笑みを浮かべ、曇りの空をただ見上げている
泉こなたは口を結んだまま、左手に出来た痣をそっと摩った
「ねえ・・・みゆきさん」
「どうしました?」
「話って何?」
「ああ、そうでしたね・・・・」
みゆきは少し目を細めるとポケットから一枚の紙を取り出した
そこに書かれているのはこなたに対する誹謗中傷に加え猥雑な文章の数々だった
「これがトイレに貼ってありまして・・・どういう事なのかと」
「・・・・・ああ、それか・・・」
こなたは諦めた様にため息を付くと、その紙から目を背けて苦々しく笑う
小さな体は肩を小刻みに震わせて必死に感情の波に逆らっていた
コンクリートを濡らした雫は決して雨などではない
「そうですか、既にご覧になっていたんですね」
「・・・・うん・・」
「これは『イジメ』ですね?」
「・・・うん・・そうかもね・・」
「他にどんな事をされたのですか?よろしければ・・・・・」
「・・・・・・」
こなたは一度に溢れ出しそうな涙を両手ですくって、何とか言葉を繋ごうと必死だ
みゆきはそっとハンケチを友人に差し出すと優しく肩を摩り、お互いに段差に腰を下ろす
「話せば楽になる事もありますし、問題は後でユックリ解決しましょう・・」
「・・・・」
「その為にも二人でユックリお話しましょう、かがみさんとつかささんには先に帰ってもらいましたから・・ね?」
「・・・うん・・・ありがと・・」
夏を少し過ぎた程よい季節、丁度良い温度が彼女達の夏服に心地よい
鏡はその人間の心を映すものだが、季節に反した曇り空は差し詰めこなたの心境そのものだろうか
こなたは重い口をユックリと開いた、零れ出るのは涙と嗚咽
はじめは些細な事だった
入学して一ヶ月、クラスにもそこそこに打ち解けて、少し恥ずかしい気持ちが残る春の空気の中で
「おはよう」といつもの様に教室に入り自分の机に向かう
360 :
お漏らし中尉:2010/03/14(日) 02:45:58 ID:t5BRf2kG0
クラスメイト達は口々に挨拶を返してくれる
まさに絵に描いたような平凡な朝だった
そんな中、いつもと違ったのは机の上の小さな落書きだった
『オタク』と書かれた小さな小さな落書きは一瞬の小さな寒気をこなたに感じさせる
こなたはその落書きを指で擦って消すと平凡な暮らしに戻ろうと何気ない会話に混じっていった
「ただの悪戯だって思ったんだよね・・・・」
「・・・・そうですか・・」
「でも・・・」
それから何日も机の同じ場所に『オタク』という落書きが書かれているのだ
何日も何日も・・・消しても消してもずっと書かれている
まるで、本当は消してなかったのではないかと自分を疑ってしまう程に正確に、丁寧に書かれているのだ
一週間、二週間・・・・一ヶ月たった頃、こなたはクラスメイトが怖くなった
「いったい誰がやってるのか解らなかったからね・・・・」
「そんなことが・・・・・・・・」
「みゆきさんやかがみんにつかさと通学し始めてからはぱったり止んじゃって・・」
やっぱり私の勘違いだと思い始めた頃から、クラスの目線が気になりだしたんだよね
私を汚いものでも見るような眼でみんなが見てた
確証は無かったし、そんな事をされるような覚えも無かったからきっと気のせいだったんだろうけど
私はクラスが怖くなった
そんな時だった、ある日私の机の中の教科書に『バカ』とか『死ね』っていう落書きが知らないうちに書れるようになったの
誰がいつ書いてるのか、全然解らなくって怖かった
学校に教科書を置いてる私も悪いと思ったし、その時はそのままにして置こうって思った
「でも・・・」
「でも・・・・?」
「みゆきさん覚えてる?」
「・・・・?」
「私が教科書をかがみんに借りに行った事があったんだけどね・・・」
「ああ・・・・一度ありましたね」
「私、教科書をね・・・全部買いなおしたんだ」
「え?」
実はね、あの時教科書が全部破られてて・・・水に浸してあったんだ
3階のトイレでそれを見つけたときはショックだったなぁ・・
そのトイレのドアにはね『泉こなたは父親と性交している』とか『1000円で体を売る』とか
そんな事が書かれてて、実際何人かの男子が言い寄ってきた事もあったんだよ
「そうですか・・・・・そんな事が・・」
「うん・・・」
「それで・・・先生には相談しました?」
「うん、それを黒井先生には話したんだけどね・・・・犯人はわからないって」
361 :
お漏らし中尉:2010/03/14(日) 02:46:53 ID:t5BRf2kG0
「・・・・」
「でも、各クラスや先生達にこの事を話してくれて『問題解決はまかしとき!』って言ってくれたんだ」
「そうですか、良かったですね・・」
「それでも、少し間が開けばまた始まるんだ・・・・エスカレートして」
「それで・・・この紙切れですか・・・・・」
みゆきの声のトーンが少し落ちた気がした
こなたの肩にみゆきの手が伸びる、みゆきの顔がこなたに近付き体が完全に密着した
「・・・・み、みゆきさん・・・どうしたの?」
「本当に心当たりは無いんですか?」
「・・・・・・」
「無いんですね・・・・?」
「無い・・・と思う」
みゆきはこなたの長い髪を指でいじり、指で巻き取って遊びだした
そして、彼女はこなたの耳元で淡々と呟く
「ミミズ、蛆虫、猫の死体・・・お父様の変体趣味の写真・・・・」
「!?」
こなたは全身に悪寒を走らせ、体を強張らせた
「なんで・・・それを・・?」
「心当たりが無いなんて、つれないですよ?泉さん?」
「まさか、みゆきさんが・・・・」
「ふふふ」
みゆきはユックリ立ち上がると地面に這ったこなたを見下すように微笑んでいる
「泉さん・・・私と貴女が初対面じゃないって知ってました?」
「・・・え?」
「私、昔は勉強も出来なかったし運動御地で身長もずっと小さかった」
「そ、想像出来ないね・・・」
「そうですか?自分が苛めてた相手なのに?」
「ぇ・・・・・うそ」
「嘘じゃないですよ・・・泉こなたさん、まさか本当に忘れちゃったんですか?」
みゆきは忌々しそうにこなたの顔を睨む
「貴女は毎日毎日私を笑った、『脳味噌が食べられて勉強が出来ない』、『運動できなければ守ってもらえる』などど・・」
「あ・・・・」
「お陰で私は学校に行くのが苦になり、ストレスで貧血に・・・そんな私を貴女は『病弱なのも点数稼ぎ』だと罵った」
「・・・・そ、それは」
「思い出しましたか?お陰さまで私は必死で勉強して健康にも気を使いました。中学も受験してこの学校へ入学した・・・」
「・・・・・・・」
「なのにどうして貴女の様な人間がこの学校の敷居を跨いでいるんですか!?」
「ひ・・・」
362 :
お漏らし中尉:2010/03/14(日) 02:48:13 ID:t5BRf2kG0
みゆきの恫喝にはなんの躊躇いもなかった
「許せなかった、あなたみたいな人間を排除するために勉強してきたのに、何故貴女がここに居るんですか!!」
「そんな、子供の・・・小学校の時の話じゃんか・・・」
「そうですね、ですから今後の高校生活はこなたさんも『高校生のやる事』だと思って諦めてくださいね」
「そんな・・謝るから・・」
「いいえ、私の事を忘れてヘラヘラ笑っていたんですから、謝ったくらいで許すはずが無いでしょう?」
みゆきはポケットからカッターナイフを取り出して地面に投げ捨てた
キーンという金属音がこなたの耳に響く
「ここで死ぬのなら許してあげます・・・それとも今後の人生を死ぬほど辛いものにしたいですか?」
「ここで・・・死ぬ?」
「そうです、ここで自殺すれば許してあげます。もし、そうしなければ・・・・」
「・・・・・そしたら」
「ふふ、お父様は職を失うでしょうね・・・泉さんの入学金もやっと払えたヘボ作家ですもの、担保の家も焼き払ってしまいましょう」
「そんな・・・・」
「考えるまでも無いでしょう?さあ・・・・」
こなたは溢れんばかりの涙でコンクリートを濡らし、カッターナイフを握りしめるとその刃先を手首に当てる
「動脈は硬いですからね・・・・思いっきり行かないと死ねませんよ?さあ、思い切って・・・」
「う・・・うう・・・」
こなたの手は振るえ、手首に小さな傷が幾つも浮かび上がっている
「躊躇い傷ですか・・・・躊躇う暇があったら人生を悔いるんですね」
「ぁ・・・ああああああああああああああああああああああ!!」
コンクリートを真っ赤に濡らすこなたの血液は曇り空によってどす黒く映し出される
みゆきはそれをい汚らわしいものを見るようにあざ笑った
「ふふ・・・・私に再会した人生を悔いてください、『脳味噌が食べられて勉強が出来ない』泉さん」
END
これは短いながらもこなた・みゆきに纏わる過去について様々の想像をかき立てられるお話ですね。
こなたがいじめ加害者というのも珍しい設定で、このスレに多い四面楚歌の彼女が一転、
他者を貶める姿をいろいろと考えてみました。
じわりじわりと濃淡交えて言葉で責めるみゆきの悪辣さに惚れました。
しっかしみゆきさんって作中で「黒みゆき」をやったり
頭がいいという位置づけだけに、こなたを追い込む役へ回ることが多いな
365 :
ヤク中大分:2010/03/16(火) 03:03:00 ID:S3XU+lS40
>グレゴリー
こいつバカなの?
スレタイすら読めないんだな、くだらんオナニーはvipでしてこいよ
こんなスレ違いで誰も読まない長文、ここに投稿するだけ無駄だろ
ちゃんと読んでないんだけど、こいつ自分を話の中に登場させてるの?
恥ずかしすぎる
毎回ヤク中大分さんの吸い込まれそうな幻想的な画に見惚れます。
儚さを感じさせる色合いも好きです。
普通にスレ違い&メアリー・スーだよ
こなたが自殺しないで、延々何処とも知れない戦地で戦い
作者(オリジナルキャラ)と親交を深めるSSなんて誰も求めてないし、
それを指摘されても投稿し続けるのは荒らし行為と変わらん
まぁ「グレゴリー」をNG登録すれば済む話
しかしグレゴリー氏のSSは最後は必ずこなたが自殺するぞ
決してスレ違いではない
ただ読み手をかなり選ぶが
便所の壁(2ch)でごちゃごちゃと…。
嫌ならこなければいいだけ。
くるなら自分の趣味に合わない場合・荒らしと判断したならスルーすればいい。
373 :
お漏らし中尉:2010/03/16(火) 22:10:27 ID:lKlQz7vn0
>>363 こんな短編駄文に早速の感想をありがとうございます!
僕の作品はダラダラと説明しすぎる風潮があるので、今回は結構簡潔に・・・
(時間も無かったし)してみましたw
じわじわ責められるこなたに攻めるみゆきさん、出来れば近くで眺めたいなぁ
>>364 黒みゆきになる由縁は恐らく本編でもあまり喜怒哀楽が無いからじゃないでしょうか?
以外に腹で何考えてるか解らないオットリさが、また魅力なんですよね〜(はぁと)
>>365 ヤク中大分さん、毎回僕のSSに綺麗な挿絵を頂いてありがとうございます!
こういうの反響が有ると、もの凄く励みになります!
みゆきの可憐な復讐者の雰囲気に大して怯える加害者のこなた・・・・
早速保存しました、ほんとありがとうございます!
374 :
お漏らし中尉:2010/03/16(火) 22:19:37 ID:lKlQz7vn0
>>366 グレゴリー氏のSSはグロパロでどうしようもなくアレかも知れませんが
僕は結構好きですよ?
結構キャラの性格掴んでる気がするし、「ヴァレンシュタインデイ」のかがみがこなたに仲間はずれにされたと知ったときに
「あのガキ、マジでぶっ殺す」と呟いた辺りとか、お気に入りです。
アングラ名サイトのアングラな板にああいったアングラな筆者がいても良いんじゃないかなっと思います。
自分に向いて無いなら読まなきゃいいだけですよ。
te
自分を登場させるのはさすがに気持ち悪いな
自分を登場させる筆者はわかったでしょ?
だったらその筆者が書いたのは読まない、で問題ある?
気持ち悪いね。っていう主観的な話だろ
自分のサイトならともかく、こういう場に発表している以上
メアリー・スーが嫌がられるのは普通に想定出来る事
だから「気持ち悪い」っていう感想があるのも自然だし、
「嫌なら読むな」を如何にも正論のように持ち出して、そういう意見を封殺する方が問題
「嫌なら読むな・見るな」の類の言葉は場合によっては避難・批判を排他するだけの便利な言葉にすぎんからな
今回の場合は嫌なら読むなで良いと思うけど
でもやっぱりちょっと気味が悪いよな
381 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/19(金) 20:35:54 ID:h6X6j8V5P
ここんとこ妙にクオリティ高いね
ハードボイルドもやりつくされたジャンルと思いきや楽しめた
ハードボイルド?
どこが?
グレゴリーの脳内で
まぁまぁ
>嫌なら読むな・見るな
これはスレの存在そのものを批判してくる人に向けたい言葉だね
嫌なのに見る、読む、そして批判する。
かがみん以上のツンデレなんだよ。
無視したくてもできないんだよね、気になるから。
と、グレゴリーが申しています
グレゴリズムを理解するには、深い絶望経験が必要である
ただの中二病だろ
グレゴリズム(笑)
自分で言ってて恥ずかしくないのかよ
グレゴリスト
ただでさえ痛いスレだったのに
393 :
ガンガン福岡:2010/03/26(金) 01:46:51 ID:FHZH9A260
久々に覗いたら妙にグレゴリーが叩かれててフイタw
情けないなw
wiki編集とかしたいんだけど禁止されててできない
こういう場合はどしたらいいの?
>>396 「みWiki」のこと?
管理人に問い合わせてみて
ありがとう
そうしてみるよ
てす
ほす
ぐ
前スレと前々スレの神奈川の小説って大藪春彦にかぶれすぎだろ
銃が出たり、車が出たり。シャブとかいうのが出たり。
神奈川なの?
404 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/13(火) 17:35:31 ID:NAlPTZVV0
俺昔、このスレで「審判」書いたんだけど、実は尺の長さのせいで没になった
ネタがあるんだよな知りたい人は明日頃教えるよ。
・あやのがこなたをフルボッコした理由。
・ゆい姉さんがそうじろうを殺害した本当の目的。
虐めや自殺がネタとして面白いって思う奴が沢山いるんだもんな…そりゃ低年齢層で基地外犯罪が増える訳だわ。
取り敢えずこなたと自分を置き換えてみると良い。
まあお前等にはそんな想像力はないだろうし、仮にあっても考える事すらしない程心が腐り切ってるんだろうがな。
406 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/14(水) 00:26:44 ID:ala2rdvz0
祟りでインフルになったり透析したり
408 :
404:2010/04/14(水) 08:19:14 ID:2k1P0YXO0
没ネタを詳しく書きますよ
・あやのがこなたをフルボッコした理由。
1、やまとがあやのから「従姉がひき逃げに合って死んだ」「彼氏が最近別の女性と付き合っている」と依頼を受ける。
2、やまとが調査していくうちに、ひき逃げの犯人はスーパーカーを数台所有している小神組のヤクザ白石と分る。
3、しかし、実際車を運転していたのは白石の愛人らしき女性。
4、あやのの彼氏の尾行、尾行の結果、別の女性とはこなただった。後にひき逃げの犯人はこなたと分る。
5、こなたはあやのの彼氏から数百万円ほど巻き上げていた。調査を進めていくうちにこなたと白石はこの件に
関して手を組んでいた
6、こなたがかがみと喧嘩しているときに、白石はあやのの彼氏の家を押し掛け「俺の女に手を出しやがって」と
暴行。あやのとやまとが彼氏に真相を話す時には、すでに自殺していた。
7、やまとが警察から盗んだダムダム弾入りのコルトバイソン、M16や手榴弾、追撃砲で白石宅を襲撃。
8、白石を拷問しひき逃げや彼氏の件を自白させ(テープレコーダーに録音)、白石のためていた現金三億五千万ドルを
奪う。さらに白石を嬲るため、スーパーカー全部破壊。発狂した白石にダムダム弾を撃ち込む。
9、やまとはあやのの家により、テープレコーダーを聞かせる。
・ゆい姉さんがそうじろうを殺害した本当の目的。
1、ゆいの母親ゆきはそうじろうのイタ電1000回かけ、精神的におかしくなり精神病院送りに。
2、父ひであきはそうじろうによって横領の濡れ衣を着せられ会社をクビ。
3、ひであきは酒浸りになり、ゆいやゆたかに暴力をふるい、駅前にてタクシー相手に強盗を働き逮捕された。
ひであきはいまだに刑務所の中。
4、ゆいには二人の弟がいたが、弟全員、そうじろうの虐待によって死亡。
5、そうじろうに勧められて中学の時にソープランドではたらかされる。そして金は全部、そうじろうに巻き上げられた。
6、そうじろうがソープランドで働いている事を言いふらし、近所だけでなく中学高校は孤立。村八分状態。
7、警官になってもソープランドの件を言いふらし、懲戒免職寸前。
8、きよたかと付き合っていたが、そうじろうはきよたかのことを勝田清孝とバカにする。
9、きよたかの仕事場や自宅までイタ電1000回かけ、近所や仕事場に中傷ビラをまく。結果、きよたか仕事をクビに
10、きよたかは精神的におかしくなり、ゆいに暴力をふるうようになる。その後、強姦殺人を起こして逮捕。
409 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/14(水) 15:35:04 ID:PLuSeJCq0
2015年、柊つかさ政権によって、泉こなた及びこなたのクローンこな虫の虐殺が
許可された。これは山口県S市での話である。
1、[証言1] 薬局店員 ヤク中・大分さん
あれは秋も深まった、土曜日のことです。
薬局を営んでいる私は、いつものように8時に出勤し、仕事を開始しました。
この地区ではシャブを合法的に販売しているは多くなく、土曜の昼時となると
どっとお客さんが来て、レジには長蛇の列ができます。
その日もそうでした。
手に手にシャブなどを持ち、お客さんは自分の番が来るのを今か今かと待っています。
私達もつり銭を間違えないように、気を遣いながら、会計を行っていました。
それは、ごくごくありふれた光景でした。
次の瞬間を迎えるまでは。
「いや〜久々にシャブがやりたくなったね!!(≡∀≡.)」
「よーしパパシャブやっちゃうぞ!!(≡∀≡.)」
聞く者誰もが、このような音を発し、他人の鼓膜を振動させることは、この世の如何なる
騒音公害よりも悪辣であると、そう断言してしかも微動だにたじろがないであろう、
徹頭徹尾媚びに媚びきった鳴き声が、店内を圧しました。
こな虫でした。しかも二匹。
奴らは、糞臭い足で薬局に侵入しました。垢と有害細菌にまみれた手で、やおらカゴをむんずと掴むや
我が物顔で店内を闊歩し、次々に合法なドラッグをその中にぶち込んで行くのでした。
この臭い!!こな虫の体から発せられる、えもいわれぬインクレディブルな悪臭に、ある客は眉をひそめ、
ある客はハンカチで鼻を覆うのでした。中には買い物を止め、逃げるように帰る者もありました。
『さっさと追い出せ!』
無言の怒号が、お客さんから発せられるのが分かります。
しかしこな虫とはいえ、一応客は客。ひとまず、静観することにしました。
「シャブだけじゃ物足りないな!よしコークも買うか!(≡∀≡.)」
お決まりのセリフを口走りながら、シャブだのコークだの、ペーをやたら大量にかごに入れています。
やがて買い物が終わったのか、バタバタと足音を立て、レジの前に立ちはだかりました。
奴らのミニマム脳は、列に並んでレジを待とう等という、最低限の倫理的思考をもめぐらせられぬ程、
下等なようです。なんら悪びれる様子もなく、先頭に割り込んできました。
次に会計を行うはずだった御老人は、こな虫の傍若無人ぶりに閉口しつつも、
「お嬢さん方、順番を守って下され。」
と諭すように言いました。
「うるせー!!糞ジジィ!!!(≡皿≡.)」
「私たちが先に並ぶのが礼儀ってものなのだよ!!分ったか老い耄れ!(≡皿≡.)」
私は生まれてこの方、これ以上愚劣な発言を耳にしたことがありません。こんな発言を本気でするのが、
こな虫なのです。こんな連中が跋扈し、山口県を食い荒らしているのです。
湧き上がる怒り、悔しさに私の手はわなわなと震えました。
こんな青虫と、これ以上言葉を交わしてさしあげるほどご老人は奇特ではないらしく、何も言いませんでした。
が、次の瞬間でした。
「ウホッ!!(≡Д≡.)」
突如こな虫が件の媚び声を上げるや否や、
「ウンコしたくなったのだよ!!(≡∀≡.)」
等とほざいてきました。私は、便所はあっちにあるからさっさと行け、的なことを言いましたが、
そんな言葉を意に介さず奴は我々の思考能力のキャパシティを凌駕した、驚天動地の行動に移ったのです。
何と、ウンコ座りになり、口をへの字にし、体中の体毛を逆立てて、気張り始めたではないですか!
馬鹿な!と思いました。
呆気にとられた私達は、奴の行為を止められなかったのです。
それは到来しました。従業員1名、買い物客7名の衆人環視の中、
奴のアナルから、この世の汚濁を極めた固形物が発せられ、我々の網膜を焦がしたのです。
悪夢でした。悲鳴と罵声が飛び交い、逃げ出す人々の中、ソレから発せられる言語を絶する刺激臭に、
目をやられ、あるいは膝が崩れ、我々は適切な対応が出来ませんでした。
「ウホッ!ウンコが大量に出たな!!(≡∀≡.)」
そんな声が聞こえた様な気もします。くちゃくちゃと、何か柔らかいものを咀嚼する音もしたかもしれません。
気が付いたとき、奴らはいなくなっていました。
未会計の商品と共に。
2、[証言2] 老人ホーム看護士 グレゴリーさん
アニメオタの老人埼玉も、私達の老人ホームに入院いていた一人でした。
決して忘れることはないでしょう。
あれはキンモクセイの優しい香りが漂う、とても穏やかな日でした。
散歩も兼ね、外出した私とシィルは、彼女の好きなアニメのDVDを買い、
老人ホームに帰ろう。
大丸で買い物を済ませ、老人ホームへと向かいます。その時
「おい糞ジジィ!!そのDVD寄こせ!!(≡皿≡.)」
「けいおんのDVDじゃん!さっさと寄こせ!!(≡皿≡.)」
こな虫でした。4、5匹はいます。よく見ると幼虫もおり、
「くふふふ!!アニメのDVDじゃん!さっさと寄こせ!(≡∀≡.)」
等とほざいています。
(老人一人の時ならともかく、若いのとと一緒の時に襲ってくるなんて。)
初めてのケースに、私は当惑を隠せませんでした。
そしてまずいことに、私達はこな虫に囲まれました。連中の老人に対する攻撃性は恐ろしいものがあります。
私は不本意ながら、連中にDVDを渡してこの場をおさめようと考えました。
グレゴリー「仕方ない。そのDVDを挙げるしかないな・・・」
埼玉「そうするか・・・」
突然腹部に激しい痛みが襲い、私はその場にうずくまりました。
「馬鹿め!!こっちは拳銃を持っているのだよ(≡∀≡.)」
そう言い、トカレフで撃ってきたのです。
「面白いじゃん!!(≡∀≡.)」
「たまんねー!!(≡∀≡.)」
こな虫たちはトカレフを取りだし、弾丸の嵐が襲ってきました。
薄れゆく意識の中、埼玉が私をかばうのが分かりました。
叫ぼうにも声が出ず、私は意識を失ってしまったのです。
気付いたときは病院のベッドの上でした。私が目覚めたのに気付いた看護士が、
看護師「大丈夫。腹部を撃たれていますが、骨には異常ありません。すぐ、退院できますよ。」
と、優しく言ってくれました。ですが、
グレゴリー「埼玉は、大丈夫ですか?」
私のこの言葉に、看護士の表情は曇りました。
ドクター立会いの下、私が通されたのは霊安室でした。寝台の上に横たわる亡骸。
面の白い布を外すと、それは紛れも無く埼玉でした。まるで眠っているかのよう。
しかしたちまちの内に閉じたまぶたは永遠に開かず、絶えた息は永く戻りません。
私は泣きました。彼を失った悲しみに、彼を守れなかった悔しさに。そして「こな虫の平穏」
とやらの為に、面白半分で彼の命を奪ったこな虫への、やり場の無い怒りを、どうすることも出来ませんでした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第12条の1 [令状主義より除外]
こな虫は司法官憲の発し、かつ理由を明示する令状によらずして
逮捕することを得。
第12条の2 [こな虫の逮捕、刑罰の執行]
こな虫の逮捕、刑罰の執行は、国家権力によらずして行いうる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここ、S警察署の会議室は、ただならぬ空気が漂っていた。30人ほどの人達は、長机に肘をついたり
シャブをやったりして、雑談を交わしている。しかしその表情に笑顔はない。そんな殺伐とした
部屋の引き戸が開き、3人の警察官が入ってきた。
アラバマ「皆さん、お忙しい中ご苦労様です…」
一通りの挨拶と自己紹介が終わり黒板前に用意された長机に座ると、
中央に座ったアラバマという警察官が話を始めた。
アラバマ「皆さんからのこな虫に関する事件の捜査は、全て終了しました。実に17件。の殺人事件、障害、
薬局、コンビニでの窃盗、不動産侵奪罪…これ程沢山の犯罪を起こした例は、全国でも初めてです。」
集まった人たちは、その話をじっと聞いている。
アラバマ「これら全ては同一のこな虫グループによる犯罪です。T島の空き地を不法占拠し、そこを根城としている
グループと言えば、皆さんはお分かりでしょう。」
やっぱりあの青虫どもか、といったざわめきが起こった。アラバマは構わず続ける
アラバマ「犯罪を普通の人が起こしたなら、我々警察が逮捕し、 裁判所が刑を決め、検察官が刑の執行をします。
しかし皆さん、ぽんぽんお法はご存知ですね?」
そう言うと、黒板に「ぽん法」と書きなぐった。
アラバマ「そのぽん法12条には、警察じゃなくても、逮捕できるし、裁判所じゃなくても刑の執行ができると、
書いてあるんです。」
そう言うと、アラバマは椅子に座り、コークを吸い始めた。
男「あの、つまりどういうことなんですか?」
アラバマ「皆さん方で、青虫ども好きなようにしていいってことです」
アラバマは言い放った。そう。ぽんぽんお法は「こな虫は問答無用でエリミネートして構わない」と規定しているのだ。
それを聞いた聴衆は色めき立った。彼らはこな虫どもにより、甚大な被害を受けた。
「こな虫の平穏」の為に、奪われ、踏みにじられた平和。ただ己の快楽と利益のみを貪り、苦悩を垂れ流す。
今こそ、奴らへの復讐を果たすのである。
S警察署から出てきた人々の顔に、先ほどの曇りはなかった。ただ、全身からむき出しの憎悪をほとばしらせ、
得物を狩る猛禽類の如き目を、ぎらつかせていた。
ここは半年前までは、荒れ地だった。地主によれば、それまでは色々な建設会社の営業が来て、
なんとも対応が面倒だったそうだが、それもぱったりと止んでしまったという。
今、ここには異様な建築物が建てられている。木造の柱にビニールの壁を貼り付けた、ホームレスでも
住んでいそうな家。しかし一部は鉄骨にプラスチックでガードされ、そこだけ異様な堅牢さを見せていた。
そう、ここはこな虫の棲家だ。ここには30匹ほどのこな虫が暮らしていた。
その中の一室では、親虫が、こな虫の幼虫に食事を運んでいた。
「おーいおやつにょーん!(≡ω≡.) 」
皿には二個のコロネが乗っていた。無論、金を出して買ってきたものではない。
糞を出して持ってきたものである。
「どした?(≡ω≡.)」
親虫が心配そうに顔を見ると、幼虫は小さな声で言う。
「ママのうんこがほしーよ(≡ω≡.)」
「そうだよね!!ママのウンコのほうがほしいよね!!(≡∀≡.)」
もう糞離れは済んでいるのだが、甘えたいらしい。それが大変嬉しかったと見えて、親虫は
ウンコ座りして、手招きをすると
「わーい!!」
手にしていた皿を放り投げ、幼虫は甘えた声を出してすり寄った。コロネは泥にまみれ、幼虫のアンヨに
踏みつけられたが、そんなことは瑣末なことの様だ。
そんなとき、突如家屋が大きく揺れた。幼虫を懐に抱き、守りながら様子を伺う。
揺れは収まることなく、天井や壁が崩れてきそうな勢いだ。
「とにかくシェルターに避難しよう!!(≡Д≡.)」
幼虫を抱え、親虫は先ほどのプラスチック張りの部屋へと走った。建物内は、混乱の様相を呈していた。
床にぺったり座り込み泣いているもの。我勝ちに“シェルター”に避難しようと、周囲を押しのけているもの。
恐怖におびえ、糞尿を垂れ流しているもの。さらには、その糞を喰らっている狂人もいた。
一部、幼虫を連れた4、5匹のこな虫が建物の外へと避難した。
「ここならもう安心だよ・・・(≡Д≡.)」
「そだね(≡Д≡.)」
やれやれと胸をなでおろす。
「バブー!」「わーん!」
生まれたてのこな虫が、緊張がほぐれた為かぐずり始めた。
「大丈夫だよ、今からウンコあげるから(≡∀≡.)」
さっそくウンコ座りした親虫がウンコをひり出しているときに驚くべき光景を目の当たりにしたからである!
屈強な男達が、RPG−7を持ち、こな虫の棲家を破壊しているのだ。さっきの揺れは地震ではなかったのである!
男「いやー、さすが在日米軍はいい仕事するねえ。」
男「こんなあばら家、スカッドミサイルを出すまでもないね。」
その様子をニヤニヤしながらシャブをやっている、30人前後の団体がいた。
面々は、警察署にいた人たちとほぼ等しい。そう、彼らはやってきたのだ。
こな虫どもを殲滅する為に。
「うわーん家壊さないで!!(T皿T.)」
外に出てきたこな虫どもは、RPG−7を持った軍人達にすがりつき、止めるよう懇願する。
軍人「うるせえ!」
「ぐえええええええええええ!!(≡Д≡.)」
ウージーでハチの巣にし、軍人達は作業を続けた。
いわゆるシェルター内では、20匹強のこな虫が避難していた。一体何が起こったのかと、皆不安げである。
そんな中、リーダーと思しきこな虫が前に立った。そう、奴こそオリジナルの泉こなただ。
「皆大事な話があるよ!(≡ω≡.)」
皆、泉こなたに注目する。
「先ほどの地震はどうやら警察の攻撃のようなのだよ!!(≡ω≡.)」
静まっていた室内が、にわかに騒然となった。あちらこちらでという泣き声が聞こえる。
地団駄を踏み、大地に五体をなげうって嘆くものもいた。
「しかし、この部屋はプラスチックでガードされているし、なによりバックで我々が崇拝する北国の将軍が
ついているじゃないか!(≡ω≡.)」
その言葉に、こな虫達は顔色を取り戻した。口々に「北の将軍様」と唱えている。一種の宗教心による一体感、
信仰による陶酔に似た雰囲気が、辺りをつつんだ。
堅牢を誇る自慢の“シェルター”に絶大な自信を覗かせる。しかし、
突如、大爆発が擦れる音と共に、大穴があいた
「んなバカな?この部屋はプラスチックでできているんだよ!?(≡Д≡.)」
そう、米軍はナパーム弾を使ったのだ。そして、泉こなたはまさか文字通り鉄壁のシェルターが破壊されるなど、
夢にも思わなかったのである。
そこへ5〜6個、何かが転がり込んできた。
「なんだろ?(≡Д≡.)」
泉こなたがその一つへ恐る恐る近づくと、それは何と、こな虫の頭部ではないか!!
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?(≡Д≡.)」
「頭が頭カが!!(≡Д≡.)」
他の物体も同じくこな虫の頭部であった。その中の一つは、生まれたばかりの幼虫のマンコに竹串が通され、
団子三兄弟もかくやといった代物であった。そう、この頭は、先ほど外へ逃げ出した連中のなれの果てである。
この先制攻撃で、こなた達はパニックに陥った。そしてこの機に乗じ、住民が阿修羅の如く暴れこんできたのである!
まさに鬼だった。
怒りと憎しみの権化と化した住民たちは、
火達磨となって突入し、阿修羅の如くこな虫どもを屠った。
その表情は、烈火の憤怒と復讐の寛喜がないまぜになった、
筆舌には形容し難いものである。
1984「糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!糞虫が!」
1984はトミーガンでこな虫の全身を撃ちまくった。こな虫が平野綾のコンサートを妨害したので平野のサイン
が貰えなかった恨みだろう。
大分はハンマーでこな虫の右手を叩き潰した。
「金ならやる!命だけは助けて!(T皿T.)」
大分「ほう、なら道端で糞を食ったり、家を放火したり、畑を荒らしたり、俺の薬局で強盗した罪で殺してやるが
五百万で見逃してやる」
こな虫が通帳を取り出した、五百万以上ある、しかしこれは一週間前殺された老人名義だ。
大分「腐れど外道め!」
大分はハンマーをこな虫の頭に叩きつけた。脳みそや血が飛び散る。
「くふふふ、この私を倒せるか(≡∀≡.)」
グレゴリーは素早くフルオートに改造したオートマグを取り出し、撃ち殺した。
次々に殺されてゆくこな虫達を尻目に、こなたは逃げ出そうとしていた。が、すぐに見つかり、羽交い絞めにされた。
それはあの警察署で話をしていた、アラバマであった。
アラバマ「お前ら、ずいぶんと好き勝手やってくれたなあ。しかし、この部屋はなかなかのもんだな?
お前らが作ったのか?」
「違うよ!北の連中が作ってくれたんだよ(≡Д≡.)」
それを聞くと、やはりな…と一人ごちた。アラバマはポケットからマリファナを出し、口にくわえた。
アラバマ「逃げてみろ。マリファナを吸う間だけ、待ってやる。」
こなたは大急ぎで逃げ出した。しかしすでに数人に取り囲まれていた。
こなたはトカレフを取り出し口にくわえ弾を発射し、死んだ。
部屋の中には、凄まじい血のにおいが漂っていた。
地獄を髣髴とさせる凄惨な光景。全てが終わった住民達の表情には、脱力感にも似た疲労がにじんでいた。が、
「これで、やっと元の生活に戻れるんだな…」
誰かが言った。それは、平和を取り戻した喜びの言葉である。
アラバマはマリファナをくゆらせながら、ブリテッシュグリーンの三菱ギャランGTO・MRに乗り込む。
差し込む夕日に目を細め、エンジンをかけた。
終わり
今回のはホントすごいw
アラバマは懐かしいな。奴の絵は好きだったよ。
418 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/16(金) 19:58:48 ID:3VhSu7Fi0
>>1
おまえタチ悪ぃなぁ
そう言うおめぇは自殺出来のかおい
できねぇならこのスレさっさと消しな
この間抜け
自殺がどんなのか知ってんのかぁ
おい
419 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/16(金) 20:03:04 ID:3VhSu7Fi0
自殺関係の物書く馬鹿ども
お前らも自殺できんのかおい
できねぇなら
このスレくんな
お前らはどう見ても低脳だ
自殺すんなら
好きにしな
馬鹿ども
420 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/16(金) 20:05:19 ID:3VhSu7Fi0
このスレどう見ても
外道だお(#^ω^)
また荒らしか
スルーしろよ
ま、自殺関係の書籍を出版している出版社の責任者と、
取り扱いのある各書店の責任者に同じことを実名で抗議したなら
取り合ってやらんでもないが
OAD[オート・エロティック・デス]
首吊りしながらオナニーすると通常の倍の快感を得られる
有名バンド「Xー○×△◆□」のメンバーである●デの死因もその際の事故だというのが都市伝説で存在する
そういった噂がもしも本当ならば人生を苦にして命を絶った人間に対しては大変な冒涜行為に当たるだろう
しかも、その後にファンの女の子数名が後追い自殺をしている
もしも自殺が悲観的で絶望的なものだけだと受け取られるのなら
これは殺人教唆みたいなもんだという事になる
そして、特例で死人に逮捕礼状を出して会社と親族が謝罪するべき問題に発展する
でもそうならない
何故なら、粗末にするのは自分の命であって他人の命ではないからだ
自殺の恐怖心を克服すればやり様によっては生きてるより楽になれるんじゃないだろうか
何らかの希望を死後に託して行う絶命行為であれば「自殺」というのは短絡的な受け取り方であるといえるだろう
この様に自刃行為にも色々な意味が存在する
よって一概に自殺が悲観的とは言えない訳だ
SSの場合はその後の顛末まで書かれるし、客観的な思考で朗読するわけだから十分悲観的なものに仕上がる
しかし、これは現実には起きていない事を作品にしている
要するに、ここの閉鎖を求める前に隣人達の悩みを聞いて悲観的な絶命行為を未然に防ぐのが
きっと貴方の使命だと私は考察します
そして私はこの非現実的な世界の中でSSという空想の執筆活動に励み
存在しない人間に絶望を味合わせ、回帰の機会を与えるに励みます
お互い忙しいですが頑張りましょう
>>422 検索してはいけない
に取り上げられちゃってるから、今後も招かれざるお客様は訪れるだろうね
検索してはいけないのに検索してやってくる矛盾
ツンデレなんだからもう
かがみんだ
かがみんの鏡だな
「押すなよ、絶対に押すなよ」
「やるな」と止められることでやりたくなる心理
とらドラの亜美もやったな
幼なじみに「これは見ない方がいいねぇ」と雑誌を隠して幼なじみを気にさせる
「気になるだろ」と食ってかかり、雑誌を見たらその幼なじみの失恋相手
「だから見ない方がいいって言ったのに」とあしらう
なつみSTEPとか野崎コンビーフとかぐぐったけな
ただ知名度は上記有名どころに比べればまだまだか
まったりの方がいいかもしれないけれど
433 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/04/23(金) 15:55:32 ID:Mcl3jgu/0
これは…