キョンが居なくて不機嫌なんだよ
ロングはポニテに期待
>>953 いやみくるちゃんが居ないから、ってそうじゃなくて制服のことじゃない?
そういえば中学の制服姿って出てないな。
中学時代はパンダTシャツ以外は
「普通の人間の相手をしている暇はないの!」
のシーンだけしかなかったか
最近、ハルヒの元気がない。
機嫌が悪いとか、何かイライラしているとかならまだ解りやすい。せいぜい俺を始めSOS団のメンバーが振り回される程度で済むからな。
だが、教室では俺の後ろで一日頬杖をついたまま窓の外を向いている――向いているだけなのだ。空でも見ているのかと俺は思ったのだが、どうやら違うのである。まるでピントの合わないカメラか何かみたいなのだろう。
そんな様子は授業中も変化することはなく、当然ながら教師たちがそれを咎めようとハルヒを集中的に指名したりしたのだが、どうもコイツは授業内容自体をちゃんと把握していたのか、それらに全て模範解答でもって応じ、みんなを唖然とさせたのみだった。
もっとも、座席位置が前だからということで、俺がとばっちりを受けたのは誰もが予想通りであろう。ふざけんな、チクショウ!
もとい――そんなハルヒを心配してか、阪中をはじめ女子の一部が声を掛けてくることもあったのだが、ハルヒの返答は力なく「何でもないわ」の一点張り、でそいつらが何故か俺の方にまで尋ねてくるものだから鬱陶しい。
大体、俺が何を訊いても似たような反応なのだからな。
「よう、どうしたハルヒ、体調でも悪いのか?」
「別に……具合が悪かったら休んでるわよ」
「そうか。うーん――なあ、ひょっとして、お前何か俺に対して怒ってることがあるのか?」
「どうして?」
「いや、何か、その……」
「あんた、何かあたしにやましいことでもあるの?」
「いいや」
「あっそ……」
と、まあこんな調子なのであり、しかも声に勢いがないというか、要するにいつものハルヒではないのだ。
やれやれ、こうなってみれば以前のように有り余るエネルギーを放出してた頃が懐かしい、なんてのは俺もどうかしちまったんだろうかね?
で、放課後もハルヒは窓の外に向かったまま本日も下校時刻まで不動の体勢である。ここ数日はパソコンを起動することもなく、朝比奈さんのお茶にすら口をつけようとしないのだ。
根が真面目な朝比奈さんは、自分のお茶に何か原因があったのかと思い込んで、冷たいお茶を準備してみたり、ハーブティを薦めてみたりと奮闘されていたのだが、今はお盆を胸元に抱えてしょんぼりと俯いているのが痛々しい。
古泉は特に最近は例の空間も発生してないと言い切っていたし、さて、これはどういうことなのか?
ふと長門の方に目を遣ると、ほんの一瞬だが、辞書みたいに分厚い単行本から視線を俺に向けたのを確認できた。
ううむ、何かハルヒのことで教えてくれたりする、と思っていいんだよな?
そして、ここしばらくのパターン通りに、「じゃあ、みんなあとはよろしくね」と、一人でさっさと鞄を担いでハルヒがドアから出て行くのと同時に、俺は長門に訊いてみた。
「なあ長門、ハルヒに一体何かあったのか?」
朝比奈さんと古泉も注目する中、長門は読んでいた本を鞄に仕舞い、それとは別の何か古惚けた和綴じの本を手にこう切り出した。
「涼宮ハルヒの精神は外部からの攻撃によってダメージを受けている。汚染レベルは深刻な状態。辛うじて通常の意識行動に支障が出ていないのは、彼女の意識エネルギーの総量が常人とは比較にならないほど多いため」
……えーと?
「解りやすく言うと、涼宮ハルヒは呪いに掛かっている」
「ふえっ、の、呪いですか?」
「なるほど、それは厄介ですね」
って、状況をちゃんと理解できてないのって、もしかして俺だけ?
「そもそも、『呪い』って一体どういうことなんだ? 第一、そういうのって実際に存在するものなのか?」
すると、長門は手にしていた和書を差し出して、
「これを見てほしい」
とだけ言った。
どういう意味があるのかも解らずに、俺は言われるままにその本のしおりが挟まれていた箇所を開く。
そこには、不気味な赤黒い文字で大きく『呪』の一文字が書かれていたのだった
……ちょっと待て、もしかして、これって本当に『呪いの本』か何かで、おれはそれをまともに読んじまったってことなのか?
「大丈夫。これはフェイク。つまりニセモノ」
はあ?
「概念を説明するために先程わたしが用意した。心配は無用」
そ、そうか。まあしかし、何と言うか心臓に悪いな、ははは……って、長門?
どこか目線を下方にシフトした感じで、長門は俺に謝罪してきた。
「効力が想定以上に強力だった。わたしの判断ミス。ごめんなさい」
あー、長門。もしかして俺が予想以上にビックリしたことについて謝ってるのか?
「そう」
いや、もう気にするなって。驚いたのは事実だが、そもそもアレはお前が直前にでっち上げた捏造品でしかないんだろ?
「あなたが驚いた原因はそれを見て精神的ダメージを受けたため。原因よりも過程を考慮すれば『呪い』は成立している」
つまり、出自とかは関係なく、言葉がそれを読んだ者に働き掛ける結果さえあれば『呪い』そのものは成立している、ということらしい。
長門に促されて俺はパソコンを起動する。ウェブブラウザの履歴から、とあるサイトを選択したところ、そこには該当のコンテンツが存在しないことを示すエラーメッセージが表示されたのみであった。
「既に内容はあらゆる記憶媒体上からも消滅している。そしてこれを作成した人物の存在も同様」
って、まさか、ここに『呪い』だか『精神的ブラウザクラッシャー』を仕掛けた下手人は――、
「生命活動を停止している」
長門の話では、犯人が自殺を図ったのが三日前、つまりこれは例のサイトが公開されてから削除されるまでの時期と重なるのだが、入院先の病院で死亡が確認されている、とのことだった。
動機は――これはただの推測でしかないのだが――実社会でもネット上でも破綻した人間関係に絶望したため、らしい。それでウェブ上で不特定多数に『呪い』をバラ撒いた挙句に、その痕跡をどうやったのかキレイさっぱり消滅させちまった、というわけだ。
世の中に対する復讐かなんか知らんが、傍迷惑なことこの上ない。それに『自殺』ってのがまた……まるで自分の命を贄に捧げたようではないか。そこまでの怨恨ってのは尋常じゃないと思わされるぜ。
と、それまで珍しく黙っていた古泉が、今度は自分が解説を始める番だ、とばかりに口を開いたのだった。
「劣等感と言うものは誰しもが多少は持ち合わせているものでしょう。あなたもそうでしょうし、当然ながら僕もです。みんな普通は自覚のあるなしを問わず、それに対処する術は身に着けているはずなのですけどね」
確かに、人には長所もあれば短所もあるわけだし、他人のいいところばかりを気にしても仕方がないことだ。それが何を間違って誰かを羨み呪うことに全てを捧げることになっちまったのか? そいつ自身の方が余程おぞましいモンスターじゃないか。
「化け物よりも本当に恐ろしいのは実は人間自身である――古今東西のモンスターや妖怪を扱った物語には大抵このようなメッセージが込められていたというのにも肯けるものです」
ところで、そもそも、その『呪い』を解除する方法はおろか、一体どういった呪いであるのかもまだ判明しないってのは致命的だな。かといって、呪いを掛けた本人を問い詰めて訊き出すことも出来やしないし。
「死人に口なし、とはよく言ったものです。もちろん、僕たちも状況証拠などを踏まえた上で、犯人の行動を可能な限り洗い出してみるべきでしょう。まあ、やらないよりはまし、といった程度ではあると思いますけど」
そして、結局のところは俺がハルヒをなんとかする役どころに着地してしまうのだった。
古泉は俺にしか出来ない、なんていつものようにニヤニヤしてやがるが正直勘弁して欲しい。
言っておくが俺はSOS団でもただの雑用でしかなく、それ以前に宇宙人でも未来人でも超能力者でもないただの人間だ。そいつにまたしても首に鈴をつけるようなクリティカルミッションが振られるとはね。やれやれだ。
しかし……どうでもいいことなんだが『窮鼠猫を噛む』ってのは、俺にはどうも釈然としないんだが、一体どういう理由なのかは真面目に考えたこともない。
「ネズミの方が実は強かった、というわけですね。……ふふふ、冗談ですよ」
帰り道、俺は何の気なしに朝比奈さんに訊いてみた。
「今から三日前に戻れば、ハルヒがネットでその『呪い』を見るのを防ぐこともできるんですよね」
「ほえ? い、いけませんよ、キョンくん。ダメです、禁則事項です! 時間遡行には厳重な審査を通じてしか許可されなくって……」
それじゃあ、今からそれを申請してみる、ってのは無理ですか?
「キョンくん……ごめんなさい。わたしにはできません」
それは、過去を変えることになってしまうからですか?
「いいえ。だってそれだと、わたしが今この時代にいて禁則事項してるのも、あっ、これ喋っちゃいけないんでした?」
いや、俺には『禁則事項』としか聞こえてませんが。
「と、とにかく、厳密にはわたしの存在自体もこの時間平面への干渉なんです。それが例え……パラパラ漫画の落書き程度だとしても」
寂しげな横顔は、以前の俺に対する説明の否定とも取れる内容を必死で堪えてるかのように見え、そういう意味では実は朝比奈さんが一番精神的にタフなんじゃないのかとすら思えてしまうのだ。
翌日の放課後、俺はハルヒを捕まえてそのまま校外に繰り出した。
「ちょっとキョン、あんたSOS団の活動サボる気?」
「いいや。大体お前だって週末は不思議探索パトロールとやらに俺たちを招集してるだろうに。まあ、たまには俺に付き合ってくれてもバチは当たらんだろ」
「つ、付き合うって……ま、別にいいけど」
語尾を濁しながらも、ハルヒは俺に手を引かれるままに大人しくついてきてくれたのであった。
「で、ここは?」
見ての通り、鰻屋だが。
「どういうつもり?」
そういうつもりも何も、食べるだろ?
「へっ?」
ハルヒ、お前は今日の昼も「お腹空いてない」とかいって学食行かなかっただろ。ひょっとして夏バテを先取りでもしてるつもりか?
「そんなわけないでしょ」
だったら、ちゃんと食べられるよな。もっとも、さっきまで腹の虫が鳴いてたぐらいなんだし。
「うっ、うっさいわね、このバカキョン!」
まあ安心しろ、今回は俺の奢りってことにしておいてやるからな。
「今回、じゃなくて罰金分はまだまだ貯まってるわよ。でもまあ、一回分は大目にみてあげてもいいかしら」
ハイハイ、勝手に言ってやがれコンチクショウめ。
「あー、なんか久々にお腹いっぱいってのを実感したわね。もうこれ以上入らないわ、あっ、でも甘いものは別よ」
こいつ、今度は食後のデザートを強請る気か?
「甘いだけじゃなくて、酸っぱくていいならこれ食うか?」
俺は持っていたコンビニ売りの干し梅を一つ自分の口に放り込むと、パッケージをハルヒに渡した。
「な、なによこれ……梅?」
だから、見ての通りだぞ。
「ふーん」
ハルヒはしばらく俺の顔と手元の干し梅を見回していたが、一瞬ニヤリとしたかと思うと、一つを取り出して自分の口に運んだ。
「ねえキョン……あんた、『合食禁』のことぐらい知ってるわよね?」
ガッショウキンだか超合金だか知らんが、食い合わせなら知ってるけどな。
「じゃあ、その中に『鰻と梅干』って組み合わせがあることも知ってるのよね? あんた……ひょっとして、あたしを嵌めるつもりだったんじゃないでしょうね」
「だったらどうするんだ? 第一、俺自身が両方ともちゃんと食ってるんだぞ。そいつはどう説明をつける?」
「道連れのつもり……ってこともないか。まあそれに、脂っこいのが酸っぱいので丁度いい感じだし、科学的根拠もないらしいし、どってことないんだけどね」
「まあな」
「……キョン」
「うん?」
「あんたがあたしに言いたかったことが何なのか、なんとなくだけど解ったような気がするわ」
「ああ、そうかい」
「今日はその……一応、お礼だけは言っておくことにする――ありがと、キョン。でも明日はサボりなんてダメよ。じゃあ、またね」
そう言ってハルヒは俺の方も見ずに一人で駆けて行ってしまった。なんとなく、ね。まあ全然空振りの三球三振てなことではなかっただけ、まだマシってことにしておくか。
こうして、例の『呪い』の一件は特に問題なさそうな雰囲気のまま落着しそうである。元々、時間の経過で解決されるようなことだったのかも知れんが、何事もないに越したことはないのだ。
後日、ハルヒが天ぷらとカキ氷大会なんてのを企画したのはまた別の話。つーか、その組み合わせはマジ胃腸に負担が大きいからみんなは真似しないように……やれやれ。
>>960 乙です。
食い合わせは迷信だから、呪いも迷信って訳ですね。
その日の晩、恋の願掛けアイテムを捨てるかどうかで悩んでいる
ハルヒを幻視した。
>>963 乙&GJ
こういう雰囲気のSSは久々で新鮮に感じる
GJ!&乙
ハルヒ「超者ッ降〜臨ッ!」
みくる「ふえぇ〜ん、超者、こうり〜ん!」
長門「超者、降臨」
古泉「皆さん、着替えは用意しておきますね」
974 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 23:24:11 ID:o1pSC4KX
>>973 下手糞すぎだろ
ウンコをモチーフにしたのか?
あ、糞女だから糞としてうめぇわwww
>>973 横顔も始められましたか。お可愛い顔です。
なかなか憂いのある表情ですな!いい!
頬を膨らませている有希の機嫌を直すために奔走するハルヒとキョン
ハルヒ「キョン!有希を高い高いしてあげなさい!」
キョン「おいおい、いくらなんでもそれは……」
ハルヒ「やってみなきゃわからないじゃない!」
キョン「……。よっと。ほーらたかーいたかーい……。ほれみろ、こんなんじゃ機嫌良くなるはずが」
長門「……もう1回」
キョン「へ?」
長門「もう1回」
キョン「た、たかーいたかーい」
>>979 キョン「ぜえ〜ぜえ〜。ああ、疲れた・・・」
ハルヒ「次はあたしよ」
キョン「へ?」
ハルヒ「さあ、たかいたかいをしなさい。キョン」
キョン「まじですか?ハルヒさん」
>>958-960>>973 GJ&スレ建て乙
憂いの表情のハルヒも可愛いもんだ。
>>981 ハルヒ「ええ、まじだから」
キョン「ちょっと待て。少し休ませてくれ」
ハルヒ「なによ、すぐにしてくれたって…」
キョン「今は疲れて支えきれそうにない。俺は大事なものは掌から落としたくないんだ」
キョン「ホラ、高い高〜い」
ハルヒ「って、ここ120階じゃないの!なんてビルに連れて来たのよ!」
キョン「うるせーな、もう。さっさと窓拭かないとバイト終わらないんだがな」
「梅の雨と書いて『梅雨』ってことなので、これに対抗すべく、梅の飴をみんなで食べようと思うわけなのです」
またハルヒが突然に妙なことを言い出したのだが、まあいつものことか。俺は知らん。
「というわけで○梅ちゃん買って来ました」
ぜーっ、ぜーっ、お、俺がな! つーか体力的にも財布的にも非常に苦しいのはどういうこった?
「ほらキョン、ブツブツ文句言ってないで、みんなにちゃっちゃと配りなさい!」
へいへい。
「じゃあみんな、食べるわよっ」
「はぅ、す、酸っぱいでしゅ」
「ほほう、久々に食べると結構新鮮なものですね」
「……初恋の味」
うん、ハルヒどうした? 袋引っ繰り返して中身全部ぶち撒けて、何か探してるのか?
「おかしいわね、一つも入ってないわ」
だからお前は何を……、
「決まってるでしょ、大玉よ、大玉! って、ああああっ!」
おわっ、いきなり大声出すなよ、ビビるだろーが!
「このバカキョン、あんた一人で大玉二個とも食べちゃったの?」
へっ、そ、そうだったのか……いや、すまん。
「すまんで済むわけないでしょ! 今すぐ返しなさい」
いや、既にもう二個とも今は俺の口の中にあるわけで、要するに無理であるからして、つまり不可能だ。
「あたしは欲しいと思ったモノは必ず手に入れる主義なんだからね。不可能をも可能にする存在、それがSOS団の団長の真骨頂ってモンよ! さあキョン、覚悟はいいかしら? そこを一歩たりとも動いちゃダメよ」
って何をする気だハルヒ……おい、まさか? アッー!
ズキュゥゥン!
「もごもご、大玉を最終的にゲットしたのはキョンじゃないわ。このあたしよっ!」
ううぅ、酷い……もう、お婿に逝けないわぁん。
「大丈夫ですよ、キョンくん。お婿さんに行けなくても涼宮さんがきっとお嫁さんに来てくれますから」
「さすがは涼宮さん。僕たちにはとてもできそうにないことを平然とやってのけるわけですね」
「……そこにシビれる。憧れる」
ズキュゥゥン!ワロタw
GJ!
ジョジョネタうめぇw
これは良い梅w
なかなかうめぇSSだな
涼
宮
ハ
ヒ
ル
は
に
せ
も
の
本物は
1000ならハルヒはキョンに殴り殺される
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。