きょう未明巴の家から蹴り出され、泣きながら野を越え山越え、徒歩一時間ほどのジュンの家にやって来た。
雛苺には、父も母も無い。女房も無い、サディストの巴に飼われている。
巴は、同級生の暗い、引きこもりニートである桜田ジュンを舎弟にしていた。
巴からジュンの家にお使いぱしりを命じられていたのだ。
雛苺は、それゆえ、賞味期限のとうに過ぎ去ったうにゅーやら学校のプリントやらを持って、はるばる桜田家にやって来たのだ。
先ず、うにゅーを一つつまみ食いをして、腹を壊してゲロを吐き散らしながら街をフラフラ歩いていた。雛苺には畏怖する姉があった。
ローゼンメイデン第5ドール真紅である。
今このジュンの家で、ジュンを家来(下僕)にして生活している。その姉に、使いパシリのついでに謁見してみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、土産も無しに訪ねて行くのが恐怖である。
歩いているうちにジュンの家に着いた雛苺は、家の様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう既に日も落ちて来ていて、うす暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夕暮れのせいばかりでは無く家全体が、やけに寂しい。
愚鈍な雛苺も、だんだん不安になって来た。
中に入ってジュンに逢い、この家の様子について語勢を強くして質問した。
ジュンは答えなかった。その代わりに無言で雛苺を殴った。ジュンは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「何勝手に人ン家に入って来てんだよ。殺すぞ。」
「うびぃっ!ご、ごめんなさいなの」
「それに何だよ…お前の口から物凄い悪臭がするんだが。」
「とぅもえに嵌められたの。腹を壊したのよ。」
「ああ?お前が臭いのは元からだろ。それから、土産も持ってきてないのか?舐めてんのか?」
「ごめんなさいなの。雛は一円もお金を持ってないの。」
「金が無いなら臓器でも何でも売って今すぐ金を作って来いよ。それとも今ここで死ぬか?」
聞いて、雛苺は萎縮した。「あ…あんまぁ…それだけは簡便してなの…。」
雛苺は、単純なドールであった。JUMに半殺しにされ、鼻血とボトボト落としながら
血で汚れたプリントとうにゅーを、持ったままで、のそのそ翠星石の所へやってきた。
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/02(木) 17:39:03 ID:DEeHKPuy
きょう未明巴の家から蹴り出され、泣きながら野を越え山越え、徒歩一時間ほどのジュンの家にやって来た。
雛苺には、父も母も無い。女房も無い、サディストの巴に飼われている。
巴は、同級生の暗い、引きこもりニートである桜田ジュンを舎弟にしていた。
巴からジュンの家にお使いぱしりを命じられていたのだ。
雛苺は、それゆえ、賞味期限のとうに過ぎ去ったうにゅーやら学校のプリントやらを持って、はるばる桜田家にやって来たのだ。
先ず、うにゅーを一つつまみ食いをして、腹を壊してゲロを吐き散らしながら街をフラフラ歩いていた。雛苺には畏怖する姉があった。
ローゼンメイデン第5ドール真紅である。
今このジュンの家で、ジュンを家来(下僕)にして生活している。その姉に、使いパシリのついでに謁見してみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、土産も無しに訪ねて行くのが恐怖である。
歩いているうちにジュンの家に着いた雛苺は、家の様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう既に日も落ちて来ていて、うす暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夕暮れのせいばかりでは無く家全体が、やけに寂しい。
愚鈍な雛苺も、だんだん不安になって来た。
中に入ってジュンに逢い、この家の様子について語勢を強くして質問した。
ジュンは答えなかった。その代わりに無言で雛苺を殴った。ジュンは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「何勝手に人ン家に入って来てんだよ。殺すぞ。」
「うびぃっ!ご、ごめんなさいなの」
「それに何だよ…お前の口から物凄い悪臭がするんだが。」
「とぅもえに嵌められたの。腹を壊したのよ。」
「ああ?お前が臭いのは元からだろ。それから、土産も持ってきてないのか?舐めてんのか?」
「ごめんなさいなの。雛は一円もお金を持ってないの。」
「金が無いなら臓器でも何でも売って今すぐ金を作って来いよ。それとも今ここで死ぬか?」
聞いて、雛苺は萎縮した。「あ…あんまぁ…それだけは簡便してなの…。」
雛苺は、単純なドールであった。JUMに半殺しにされ、鼻血とボトボト落としながら
血で汚れたプリントとうにゅーを、持ったままで、のそのそ翠星石の所へやってきた。
それを聞いて翠星石は、哀れなモノを見る目で、そっと汚物うんこ人形を見つめた。生意気なことを言う汚物ですぅ。
どうせ帰っても巴にしばき回されるにきまっているのですぅ。
このチビ苺に騙された振りして、放してやるのも面白いのですぅ。
そうして巴に殺される雛を見届けるのも面白そうなのですぅ。
これは、雛苺のせいなのですぅ。と翠は悲しい顔をして、そのパンティーを雛苺の糞まみれにしてチビ人間と巴に見せてやるのですぅ。
そうすれば、巴は確実に雛苺の息の根を止めてくれるのですぅ。
「わかったですぅ。その袋をよこすですぅ。仕方が無いからチビ苺のことは、永遠に許してあげるですぅ。」
「当たり前なの、翠星石。雛はかわいいの、お前はどくされヤローなのー。」
「ぐぬぬ。命が大事だったら、口の聞き方に気をつけるですぅ。チビ苺のオツムは、ミジンコ並ですぅ。」
雛苺は口惜しく、ウンコを漏らした。小便も漏らした。
大事なうにゅーとジュンのプリントは、翠星石に奪われた。
渡す直前、雛苺は巴のパンティーを頭から被った。もううこの匂いは嗅げないけれど、、これでよかったの。
そうしてうにゅーとプリントとパンティー入ったバッグは、翠星石にわたしたのであった。
雛苺は、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
雛苺が、、巴の家へ到着したのは、7時、
巴はもう既に夕食を食べて雛苺を待っていた。。
よろめいて歩いて来る雛苺の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。
そうして、雛苺に浴びせ蹴りをお見舞いした。
「うびぇー!とぅもえ酷いのー。」雛苺は無理に笑おうと努めた。
「ジュンの家に行く途中にパンティー無くしたの。とぅもえ、ごめんね。」
巴は拳の骨を鳴らした。
「雛苺はとぅもえのことが大好きなの。だから命だけは許して欲しいの。」
そう前置きをして雛苺は巴に事情を話した。
そうして雛苺はこれからも居候として居座ることを願い出た。
巴は、ふざけんなこのガキと思い、とりあえず雛苺をフルボッコにする事にした。
雛苺は、ごめんなさいなの。簡便してくださいなの。と更に押して頼んだ。
巴も頑強であった。なかなか攻撃の手を緩めない。
30分ほど殴り蹴りつづけて、やっと、どうにか巴は気が済み、雛苺をベランダから庭に放り投げた。
突如、窓の外からぽつりぽつり雨音し、やがて車軸を流すような大雨となった。
巴は、何か不潔なものを感じたが、それでも、お互い気持ちを引きたて、
巴は部屋で、雛苺は庭で短い時を過ごした。しばらくは、翠星石とのあの約束をさえ忘れていた。
雛苺は、生きた心地がしない、と思った。
巴と生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。
このままでは殺される。雛苺は、わが身に鞭打ち、ついに脱走を決意した。
外は雨だ。きっと気付かれないだろう。
ちょっとウンコして、それからすぐに出発しよう、と考えた。その頃には、雨も小降りになっていよう。
少しでも早くこの家から逃げ出したかった。
雛苺ほどのクズドールにも、やはり未練の情というものは在る。
「ごめんなさいなの。雛は全身複雑骨折だから、ちょっとだけ鞄で眠りたいの。
30分経って眼が覚めたら、すぐに家を出るの。雛がいなくても、 決して寂しい事は無いの。
雛苺が嫌いなのは、巴の存在そのものと、それから、お前のゲスなドS顔なの。」
巴はキレた。雛苺は、それから、、
「仕度の無いのはお互さまなの。雛には、宝といっても、うにゅーとくれよんととぅもえのパンティーだけなの。
他には、何も無いの。全部あげるの。もう一つ、雛のミーディアムになったことを誇って欲しいの。」
雛苺は会釈した次の瞬間、巴の膝蹴りをモロに食らい、死んだように失神KOした。
眼が覚めた時、時計の長針が2を指していた。雛苺は跳ね起き、南無三、なの、寝すごしたの、
…いや、まだまだ間に合うの。
これからすぐに出発すれば、ここから逃げ出せるの。
あの鬼畜ババァに、人の信実の存するところは理解不能なの。
そうして最後に玄関にウンコしていってやる。雛苺は、悠々ときばりはじめた。
雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。
さて、雛苺は、ぶるんと汚いケツを大きく振って、雨中、ゴキブリの如く走り出た。
雛苺は、今日、このままでは殺される。生きる為に逃げるのだ。大好きな自分の為に走るのだ。
巴の奸佞(かんねい)邪智を打ち破る為に逃げるのだ。逃げなければならぬ。
そうしないと、雛苺は殺される。若い時から名誉を守れ。
さらば、巴よと。幼い雛苺は、うれしかった。幾度か、嬉しさのまり叫びそうになった。
雛かわいいのー、ざまぁみろなのと大声挙げて小便を撒き散らしながら走った。
家を出て、道路で車に撥ねられ、検問をくぐり抜け、隣町に着いた頃には、雨も止み、月は高く昇って、
そろそろ寒くなって来た。
雛苺は濡れた服の雫を振るい、ここまで来れば大丈夫、最初から巴への未練は無い。
巴も、きっと悔しがっているだろう。雛は、いまとっても気分がいいもの。
後はこのとぅもえの部屋から盗んだ定期券で電車に乗れば、大丈夫なの。そんなに急がなくても大丈夫。
ゆっくりいくの。と、持ちまえの愚鈍さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。
SATSUGAIせよ♪SATSUGAIせよ♪SATSUGAIせよ♪SATSUGAIせよ♪
SATSUGAIせよ♪SATSUGAIせよ♪思い出を血に染めてやれ〜♪
発射時刻まで既に15分を切った。ぜいぜい荒い呼吸をしながら坂道をのぼり、のぼり切って、
ほっとした時…、突然、がくりと膝を折った。
立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。
長い道のりを登り、雨の中、走り続け、突破して来た雛苺よ。真のクズ、雛苺よ。
今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは…バ〜カ、バ〜カw
大好きな自分、おまえは皆を不幸にしたのだ。おまえは、稀代のうんこドール、
まさしくとぅもえの思う壷ぞ。と自分を叱ってみるのだが、
全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。
塀の壁ににごろりと寄りかかり、ころがった。身体疲労すれば、精神も共にやられる。
もう、どうでもいいという、ローゼンメイデンのドールには不似合いな、しかし雛苺にはお似合いの、
ふてくされた根性が、心の中心で更に増幅された。
雛は、がんばったの。世の中が間違ってるの。
雛は精一ぱいに走って来たの。動けなくなるまで走って来たの。
雛はうんこドールでは無いはずなの。ああ、誰でもいいから今すぐ最高級うにゅー持って来いなの、
。欲と慢心だけで動いている。
けれども雛は、この大事な時に、疲れきってしまったの。雛は、よくよく不幸な子なの。
雛は、きっと捕まる。とぅもえからも殺されちゃう。雛はとぅもえを騙したの。
途中でやめるのは、はじめから何もしないのと同じ事なの。
ああ、もう、どうでもいいの。これが、雛の運命なのかも知れない。
ジュン、さっさと迎えに来いなの。ジュンは、いつでも雛を優しく殴ってくれた。
雛もジュンに、唾吐いてやったの。ジュンと雛は、本当に歪み合ってたの。
いまも、ジュンは雛のことを忘れてると思うの。ううん、ぜったい忘れてる。
死ねよ、ジュン。雛のことをサンドバッグにして。
自分はこの世で一番の宝物なの。他人の命なんてどうでもいいの。ジュン、雛は頑張ったの。パシったの。
とぅもえに捕まるつもりは、無かったの。助けて欲しいの! 雛は急いで頑張ってここまで逃げたの。
雨の中でも、服がびしょびしょになっても一気にここまでかけ降りて来たの。
雛だから、出来たの。もう、これ以上、雛には無理なの。タクシーに乗りたいの。
どうでも、よくないの。最後に笑うのは雛なの。
笑ってくれ。なの。翠星石は雛に、ちょっと臭いですぅ、と舌打ちした。
土下座したら、うにゅーとプリントととぅもえのパンティー引き換えに、雛を助けてくれると約束した。
雛は翠星石の事を馬鹿だと思った。だけど、今になってみると、雛は翠星石の思うまま。雛は、逃げれない。
とぅもえは、雛のことを血眼になって探すだろう。そして雛のことをメリケンサックで殴る。そうだったら、雛は、死ぬの。
雛は、永遠にうんこドールなの。
ローゼンメイデンの中で最も、アリスにふさわしくないうんこドールなの。
ジュン、ジュンは雛の事を半殺しに留めてくれると思う。
ううん、それも雛が、自分勝手なのかも知れないの?あうー、もういっそ、うんこドールとして生き伸びてみる。
この道を戻ればとぅもえの家が在る。巴も居る。巴は、まさか雛を家から生きて返さない。
正義、信実、愛、考えてみる間でも無く、くだらない。
ドールを壊して自分が生きる。それがローゼンメイデンのはずななの。
ああ、何もかも、ばかばかしいの。雛は、醜い汚物。どうでもいいの、勝手にすればいいの。
やんぬる哉。なの。
――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。
ふと耳に、潺々と、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで鼻を利かせた。
ジョロジョロと音がする、頭が生温い。臭い。
よろよろ起き上って、見ると、野良犬が。犬が雛苺の頭にマーキングをしていた。
その小便に吸い込まれるように雛苺は絶叫した。両手で頭を押させ、ぐちゃぐちゃに掻き回した
。
ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。
歩けるの。頑張るの。肉体の回復と共に、わずかながら希望が生まれた。
逃避行の希望である。わが身を殺して、我が身を守る希望である。
月光は蒼い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も静かに囁いている。
時計をみる、まだ時間がある。雛を、待っている電車があるの。
少しも疑わないで、静かに雛抹殺を期待している人がいるの。雛は、疎んじられている。
雛の命なんて、地球上で一番大事なの。死んでお詫び、なんて都合のいい事は言ってられない。
雛は、とぅもえから逃げ切る。いまはただそれだけ。走れ!雛苺。
雛苺は疎んじられている。雛苺は疎んじられている。さっきのは、あの犬の小便は、あれは夢。
悪い夢なの。忘れてしまえ。なの。 でも無理、臭いの。
疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見てしまうもの。雛苺、雛のせいじゃない。
やはり、雛は真のうんこドールなの。再び立って走れるようになったの。
頑張るの! 雛は逃げる事が出来る。ああ、時間が進む。ずんずん進む。
待っててなの。雛は生まれた時からうんこ漏らしまくるドールだったの。
せめて普通のドールのままにして居候させて欲しいの。
路行く人の足元を縫い、すり抜け、雛苺はゴキブリのように走った。
急げ、雛苺。遅れてはならぬ。
欲と自惚れの力、いまこそ教えてやるの。格好なんて、どうでもいいの。
雛苺の服は、いまは、ほとんどウンコ塗れであった。
呼吸も出来ず、二度、三度、肛門から黒いうにゅーが戻って来た。
見える。はるか向うに小さく、駅が見える。
駅のホームは、明かりがうっすらとついて佇んでいる。
「雛苺。」怒鳴るような声が、風と共に聞こえた。
「誰なの。」雛苺は走りながら尋ねた。
「真紅よ。主の名前も忘れたの。だめな家来ね。」
その真紅も、真紅も雛苺の後について走りながら言った。
「とにかく、止まりなさい。こんなくだらないことで逃走して。走るのはやめて。
もう、パンティーごときで命をかけるなんてばかばかしいわ。」
「いやなの、雛は命が惜しいの。」
「もう少しで時間よ。そもそも、あなたの足じゃどうあがいても無理だったのだわ。
だから、さっさと巴に謝りに行きなさい。!」
「いやなの、雛は悪くないの。」
雛苺は聞く耳持たずで、赤い大きい屋根ばかりを見つめていた。走るより他は無い。
「止めなさいと言っているでしょう。もう、お父様からいただいた服もウンコ塗れじゃないの。
パンティーなんかより、お父様からいただいた服の方が大事でしょう。そんなこと、
巴もわかってくれるわ。巴なら大丈夫よ。巴が、さんざん雛苺を半殺しにしても私の家来ですもの、
そんなことでへこたれるようにしつけた覚えは無いのだわ。」
「それでもだめなの。雛はとぅもえのこと信じてないの。
間に合う、間に合わないの問題じゃないの。雛自身のことだけが問題なの。
雛は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているの。真紅には!関係ないの!!」
「雛苺。言ってることは正しいわ。でもね。。。いえ、もういいわ。
勝手にするといいわ。巴にはとっくに言って聞かせてるわ。」
まだ時計は九時を指さぬ。最後の死力を尽して、雛苺は走った。
雛苺の頭は、元からからっぽだ。常日頃から何も考えてはいない。
ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。時計は、時計の短針は刻一刻と九時に近づいた、
まさに最後、九時を知らせる鐘の音が鳴ろうとした時、
雛苺はスリッパから逃げ惑うゴキブリの如く駅のホームに突入した。