かがみ「みんな成人したし、初飲酒といきますか!」
つかさ「わーい♪お酒!お酒!」
みゆき「ビールとワイン、焼酎がありますよ」
こなた「ふっふっふ…これを見よ!」
つかさ「これって…」
みゆき「某レスで仰っていた、“マーテルXO”ですね」
かがみ「すげぇこんな物…」
こなた「なけなしの小遣いで買ったんだよ。最初はこれで乾杯しようよ」
かがみ「かんぱーい」
つかさ「かんぱーい」
みゆき「かんぱーい」
こなた「ぐぶぉうぇ!」
かがみ「…何よこれ!」
つかさ「口がああぁぁ」
みゆき「死にそうです」
こなた「おかしいなあ…高級酒なのに」
つかさ「それ、“マーテルXO”じゃなくて“メーテルX脚”だよ…」
かがみ「本当だわ」
みゆき「偽物を買わされたんですね」
こなた「ええーこんな小さい瓶で6万円もしたのにぃ…」
かがみ「本物より高くないか?」
こなた「もういいよ。自殺するよ」
かがみ「180度の油を用意してどうするんだ?」
こなた「油で顔を揚げて自殺するんだよ」
つかさ「熱そうだね」
こなた「さあ逝くんだーその顔をー揚げてー」
かがみ「動かなくなったわね」
みゆき「こなたさん、生命保険の受け取りを、私達にしてくれてました」
つかさ「こなちゃん、999!」
これは…
こなた「武蔵野台駅で戦艦の模型を拾ったよ」
かがみ「大和ね」
つかさ「大和だね」
やまと「呼んだ?」
こなた「違うよ!武蔵のだい!」
みゆき「いえ、改装後の武蔵は高角砲が12門、大和は24門です」
かがみ「やっぱり大和ね」
つかさ「こなちゃんのしったか〜」
やまと「ねえ、呼んだ?」
こなた「うぐうっ…自殺したくなってきた。むっさ死のうdie」
つかさ「やっぱり自殺したね」
やまと「ねえってば!」
178 :
グレゴリー:2009/03/02(月) 00:10:11 ID:e3t1h/4o
酒を飲んだ勢いで書いた超短編作品ですが投稿します。
おそらく、新時代の宗教は神からの解放が目的となるだろう!
179 :
グレゴリー:2009/03/02(月) 00:12:20 ID:e3t1h/4o
こなたは川を渡る一群の人々の中の1人だった。
そして、隣で待っている男をさっきからちらちらと見ていた。
赤い布を頭に巻いており、くどいほどの髭が顔を覆っている。
しかし、その頭部は半分崩壊しており、半壊した口の中から
だらりと舌がたれていた。
赤い布の男は、こなたの視線に気がつくと、陽気に話しかけてきた。
「やあ、おじょうさん。あんた、一体何をしてこんなところに来たんだい?」
明らかに外国人なのに流暢な日本語に聞こえた。ここではデフォルトらしい。
テメエみたいな自爆テロのイスラムのゴミとは違うよ。と内心思ったし、
いっそ、口にしてやろうかと思ったが、こなたは辞めた。
「おじさんと同じだよ。自殺したんだよ」
赤い布のイスラムのゴミは、大仰に目を見開いた。
「日本みたいな平和で豊かな国でも、こんな小さい子が自殺することなんてあるんだなあ」
テメエのところみたいななんの価値もない単純で馬鹿な国とちがって自分の祖国はちょっと複雑なんだよ。
とこなたは言いかけて辞めた。
「ねえ、おじさんの国では、自爆テロをしたら天国に行けるんじゃなかったの?」
こなたは皮肉たっぷりにイスラムのゴミに言った。
そのゴミは泣きそうな顔になると、こなたからそそくさと離れていった。
やがて、お迎えの船が来た。
地獄へと向かうその船には、1人の船頭が乗っていた。
「俺の名はグレゴリーだ。地獄へようこそ諸君!お前らが悪人だったのか、それとも自殺して、神から与えられた
命という恩寵を踏みにじるという冒涜を犯したのか...」
こなたは我慢できなくなって、グレゴリーに詰め寄った。
「神なんて糞くらえだよ!神が私たちに何かしてくれた?苦悩ばかり与えて私たちに何もしてくれず、
それでいて死後に人を裁いて、善だの悪だの区分けしてさ。
勝手に神の持ち物にされた私たちの気持ちを一度でも考えたことがあるの?
ケツを蹴り飛ばしてやりたいわ」
帽子を深く被ったグレゴリーの表情は読み取れなかったが、彼は肩をすくめた。
180 :
グレゴリー:2009/03/02(月) 00:13:30 ID:e3t1h/4o
「まあ、あんたみたいなことを言う奴が最近増えてきたが、仕方ないんだよ。人間は神が作り出した。
故に、神が何をしたってそりゃあ自由さ。あんたはさっきあんたが言ったように、神の所有物なんだからな」
船に乗せられた人間は必然的に老人が多かった。
自分より小さい子供たちはおそらく、例外なく天国に行くだろうし、
この連中の中で自分が最年少っぽいのは仕方あるまい。
大方の連中がおとなしいのは、その長い人生で、自分が地獄に落ちるのは当然の結果だと諦観してるからだろう。
しかし、こなたとイスラムのゴミは違った。
イスラムのゴミは自分は天国に行けるという周囲の吹き込みで自爆テロを行ったわけだ。
無関係な人々を殺し、文明社会の秩序を乱すだけのそのおろかな行為がどうして
天国に行けるだけの価値があるのか。それはこなたですら分かることだ。
それに、そのゴミ野朗にとって我慢ならないのは、戦死したアメリカ兵のほとんどが天に召されていることだろう。
「お母さん、ごめんね。死んだら会えると思ってたけど、行く方向が逆じゃあどうしようもないね」
こなたは独り言をつぶやいていたが、グレゴリーはこなたのほうを振り返ると話しかけてきた。
「まあ、自殺じゃあしょうがねえよ。最近は、神も緩くなってきてさ、よっぽどの悪事を行わないと
地獄には行けないんだがね。というのも、かつてあまりにも基準を厳しくしたんで、地獄が満員になったことが
あってな。でも、安心しな。地獄で刑期を終えたら、お前さんはちゃんと天国に行けるからさ。
それまでの辛抱だ」
こなたはグレゴリーにたずねた。
「ねえ、地獄ってどんなことさせられるの。いつも見てるんでしょ、教えてよ」
グレゴリーは口の端をにやりとつりあげると、深くかぶった帽子をあげ、はじめて目を見せた。
しかし、こなたは唖然として、グレゴリーの顔を見つめた。
グレゴリーの目は深くえぐった跡があり、その眼窩にはむなしい空洞があるだけだったのだ。
「俺は地獄の惨状に我慢ならなくなって、自分で自分の目をえぐった。だから最近は知らねえ」
川を渡り終えると、そこに居たのは筋肉モリモリの鬼たちだった。
船から降りた人々を鬼たちは区分けしていき、そして、1人の鬼がこなたのほうに向かってきた。
「あんたはこっちだ」
そして、こなたは1人だけ連れて行かれた。
連れて行かれた先は、なんと神の御殿だった。
そこでこなたは見た。母親のかなたが神のそそりたつ巨根を必死にしごいているのを。
鬼はこなたにそっとつぶやいた。
「神が、親子どんぶりがやりたいって言い出したんでな。まあ、がんばれよ」
完
まあ、人間が神という言い訳をわざわざ作って、それに全てを責任転嫁してるだけなんですがね
合格祈願の絵馬とかも建前は「○○に受かりますように」ですが、
結局「受からなかったらお前のせいだからな」と神に保険を作ってるのと同じようなものです
すっげwwwwwwww放送禁止用語連発wwwwwwwwwww
ホント躊躇わない漢だなwwwwwwwww
>>175 こなた「いやいやいや、顔熱かったよ」
つかさ「うわ!こなちゃんが復活してる」
こなた「しばらく自殺は控えようと思うんだ」
みゆき「そんなこなたさんに会わせたい人がいます」
こなた「へえ…どんな人?」
みゆき「メー○ルさん、こちらへ」
メ-○ル 「ええ…」
こなた「あ…あなたは」
メ-○ル 「貴女に食べさせたい物があって来ました」
こなた「ふうん。一体何?」
メ-○ル 「これよ」
こなた「青いかき氷だね。おいしそうじゃない」
つかさ「わ♪ブルーハワイだ。私にも一口ちょうだい」
メ-○ル 「汚らわしいメス犬め!」
つかさ「な…なによう!睫毛が長いからって。サイリスタチョ…」
メ-○ル 「蒸気機関車にチョッパ制御は通用しないわ」
つかさ「ぐぅ……」
メ-○ル 「さぁ。このブルーハワイは選ばれた貴女だけの物」
こなた「いやいや、見る目あるねえ!私こそ選ばれた女だね!うんうん」
つかさ「こなちゃんのくせに…」
こなた「いただきまーす♪おや?お酒入ってる?アルコールの感じが…」
メ-○ル 「貴女は味のわかる大人の女ね。この原液も飲んでくださる?」
こなた「もっちろん♪原液っていうかこの酒サイコー!!」
みゆき「こなたさん、ぐいっと」
こなた「ぷはーもう一杯。…………………。あれ?体が…メ○テルさん?」
メ-○ル 「私はメ○テルではありません。メーチルです。その青いお酒はウインドウォッシャ液」
こなた「メーチル?それとウインドウォッシャと何の関係が?とにかく体がおかしいよ」
メ-○ル 「ウインドウォッシャ液のアルコールは、メチルアルコールだからです」
こなた「………。ヴぉぼげあぁあぁあぁ!」
みゆき「うまく行きました」
こなた「そんなぁ…それじゃ私は…」
みゆき「死ぬか、良くて失明ですね」
こなた「がくっ」
ななこ「何や?泉の奴、また自殺したんか?」
みゆき「必死に止めたのですが…」
ななこ「しゃあない。小早川に遺体持って帰るよう言うとけなぁ」
みゆき「はーい」
めでたしめでたし
184 :
グレゴリー:2009/03/03(火) 19:04:43 ID:1XhVFy/3
>>170 いや、単に私は失うものも夢も希望もないからヤケクソな作品が作れるって
だけですw
>>171 むしろハードルは低くなっている
>>182 私がもっとも嫌うのは、神の名の下に人殺しを正当化してる連中です。
まだ、自分がやっていることを分かっている殺人鬼のほうがマシです
ほんとうに。
>>183 愚かなことは愚かだとみんな声を大にして言えばいいんですよ
どなたもご予定がないようでしたら金曜日よりSSを投下いたします。
こなた「さっき間違って4速発進したけど大丈夫だったよ。軽はギヤ比きついからいいね!」
つかさ「こなちゃんは間抜けだね」
みゆき「私はATしか…」
こなた「みゆきさんはどっちにしろ無理だよ。4速というより豚足だもんね」
かがみ「ひでぇ…」
みゆき「ガーン…」
こなた「なんだったら温水プール行ってシンクロでもやれば?少しましになるかもよ」
こなた「さあて帰るか。ここで高速に…電話だ」
みゆき「こなたさん…?」
こなた「今本線に合流するところなんだ。あれ?あれぇ?シフトチェンジできない!」
みゆき「こなたさんの仰る通り、シンクロを殺っておきました」
こなた「シンクロってシンクロナイザ?困るよ後続車きてるのに加速がぁ!」
みゆき「ダブルクラッチでも踏んだらいいじゃないですか…御機嫌よう…」
こなた「タンクローリーが…アアーッ」
めでたしめでたし
「私は大学卒業後、ニートしていたが、昔書いた短編小説がテレビ局の目にとまり、テレビドラマの
脚本を書く羽目になった・・・(≡ω≡.)
まぁいいさ、大金持ちになるまで頑張ろう!ヽ(≡ω≡.)ノ」
「とはいっても・・・高校生の純愛ドラマの続編を任されても、好きなことがかけないし・・・・(≡ω≡.;)
そうだ!前作の雰囲気や流れをぶち壊して新しくストーリーを作ろう!私って頭いい!ヽ(≡∀≡.)ノ
まずヒロインと相手役がヒロインが転校して別れるんだったけな、その1年後、ヒロインが戻って
来るんだよ。しかし、相手役はタカビ―女と付き合っていて、ヒロインをあっさり振る(≡ω≡.)
ヒロインはアニメオタクの同級生と結ばれるのであった。清楚な女性から私みたいなオタクになって・・・
いいね、いいねヽ(≡∀≡.)ノ」
テレビ「正午、秋葉原で殺傷事件が発生しました」
「そうだ!最後はこうしょう、実はオタクの同級生に遊ばれていて最後は捨てられ、最後は秋葉原で
大量殺戮を行って自決するのであった・・・いや〜私って天才だな〜(≡∀≡.)」
プロデューサー「こなちゃん凄いね〜まるで書いている脚本が山崎淳也みたいだよ!」
「照れるな〜(≡∀≡.)」
その後、平均視聴率17%のヒット作品になった。いっぽう、2ちゃんねるでは
79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:39:56 ID:W3J3/t1t
これ完璧、前作好きな人を馬鹿にしている内容じゃないか!しかし、主人公、オタクに変貌させて
いるし、純愛どころかギャグだよ、ギャグ!
80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:10:22 ID:jO9IYslE
このドラマ作った脚本家はどんな奴か知りたい、前作が良かったのに今回は目茶苦茶な作品になっとるし
「私の素晴らしい脚本に文句いう奴はロクなやつじゃないな、ドラマは質より視聴率優先なんだよ(≡ε≡.)」
半年後、
プロデューサー「こなちゃんは「みなみけ」って知っているかい?」
「知っていますけど(≡ω≡.)」
プロデューサー「実はそれをドラマ化するんだよ、脚本書いてくれないかな?」
「うーん、これは悩むなぁ〜「みなみけ」は「おかわり」が面白いと思っていたけど人気ないからな〜
原作ファンから酷評されかねないな(≡д≡.;)
そうだ!逆点の発想で明るい「みなみけ」を暗くドロドロとした「みなみけ」にしょう!ヽ(≡∀≡.)ノ
フユキを巡って三姉妹が大喧嘩になる!そして殺人事件に発展する、レイプやいじめ何でもあり!
さーて、仕事に入る前につかさから貰ったシャブでも打つか・・・ヽ(≡∀≡.)ノ」
その後、平均視聴率29%のヒット作品になった。いっぽう、2ちゃんねるでは
79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 17:39:56 ID:W3J3/t1t
脚本家はみなみけ読んでいないで書いているだろ・・・マジドラマ版最悪だった。
80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/07(土) 02:10:22 ID:jO9IYslE
同意、あんな昼メロ並みにドロドロしたの、みなみけじゃないし、脚本家は馬鹿かアホだろ
ドロドロがやりたいなら昼メロの脚本でも書いていろ
「アンチの言い分なんか無視無視、視聴率さえ良けりゃいいの(≡ε≡.)」
数ヶ月後
映画プロデューサー「アナ―タが泉こなたさんね?ワターシ、ハリウッドのユニファーサルで働いている
Aデース。アナ―タに脚本書いて欲しいのデース」
「どんな映画ですか?(≡ω≡.;)」
映画プロデューサー「ジェームス・ロメールのゾンビ映画の最新作デース」
「わかりましたやりましょう!ついにハリウッドデビューか・・・くふふふふヽ(≡∀≡.)ノ」
「よーし羽目外してやるぞ!シャブ決めてギンギンだぜ!ヽ(≡∀≡.)ノまずゾンビに支配された秋葉原が舞台で
エロゲー、DVDを手に入れるオタクたちが仲間を犠牲にしながらもグッズをかき集める!メイドが
機関銃を撃ち、オタクやメイドたちがゾンビがうじゃうじゃいる中で晴れ晴れダンスを踊る!そして全員食われて
死ぬ!イエーイ!書いていて一番最高なストーリー書いているなぁ〜私ヽ(≡∀≡.)ノ」
劇場公開後、映画は大ゴケ、DVDも大ゴケの上、すぐワゴンセール行き、ロメール監督はショック死。
映画会社ユニファーサル倒産。そして、映画の内容があまりにも糞過ぎた。そしてこなたは・・・
「映画がコケたせいで脚本の仕事が来なくなった・・・(≡д≡.;)
家には脅迫電話と嫌がらせのメール・・・そして、溜まりに溜まった借金・・・(≡ω≡.;)
もうシャブきめて現実逃避するしかないな・・・ヽ(≡д≡.)ノ」
ドンドン!
警察「開けろ警察だ!麻薬所持の罪で逮捕する!」
「そっそんな・・・どこまでついていないんだ〜Σ(≡皿≡.)!
うわぁぁぁぁんヽ(T皿T.)ノ」
ドンガラガッシャーン!
テレビ「昨夜8時頃、脚本家の泉こなたさんがマンションから飛び降り自殺をしました、ざまぁ!」
めでたし めでたし
こなたは、某テレビ局のスタジオで番組が始まるのを待っていた。
ある心理的ショックから欝状態に陥っていたつかさが回復し、とある切っ掛けから通販番組の司会を努める
ことになった。その番組にゲストとして出演することになったからだ。
やがて放送時間が来ると、眩しいばかりの照明がこなたたちを包み込んだ。
「つかさのサイリスタチョッピング!」
つかさとかがみが番組のタイトルを読み上げる。万雷の拍手の後、かがみがマイクを手に取った。
「はじめまして。私は司会者柊つかさの姉、柊かがみです。つかさは、6000系がサイリスタチョッパで
はなく界磁チョッパだったことがショックで、長らく鬱状態にありました。しかし、つかさは困難を乗り越
え鬱から立ち直るると共に、界磁チョッパをも受け入れることができました」
観客席からは再び拍手が送られ、ある者は涙し、またある者は“YES CHOPPER・NO MORE
VVVF”と書かれた横断幕を掲げてつかさを励ました。つかさは観客に頭を下げ、語りだす。
「今日お集まりいただいた方々には、心から感謝しています。感謝の印に、私の必殺技を披露しますね」
いつの間にか、テーブルの上に小さい201系と6000が置かれている。つかさは橙色の201系を手に
取ると、こなたに向き直った。
「サイリスタチョップ!」
言うが早いか、こなたの頭に201系を振り下ろした。こなたは一瞬目を見開き、その場にうずくまる。
「く…くおお…つかさ…何を…」
「さあ、つかさ。完成された技を見せるのよ!」
かがみがつかさに6000系を渡す。つかさが小さく頷くと、観客達は固唾を飲んで見守った。
「6000系…これでこそこの台詞を言えるね。高尾とめじろ台の狭間に引きずり込んであげる。界磁チョップ!!」
よろめきながら立ち上がったこなたのアホ毛に6000系が命中すると、こなたはもんどり打ってリノリウ
ムの床に叩きつけられた。
「KO!KOooo−!」
飛び上がって喜ぶつかさに、惜しげなく拍手が送られ続けた。その日の通販は記録的な売り上げだった。
あれから数週間が過ぎた。こなたのアホ毛は後遺症が残り、萎びたセロリのようになっている。
医師の診察によれば、回復する見込みはないとのことだった。
こなたはテレビ局に損害賠償を請求したが、放送中の事故として僅かな見舞い金が支払われただけであった。
だが落ち込んではいられない。あの日以来、つかさの番組では高いレベルの売り上げが続いている。
「私も通販番組で一儲けしよう」
一念発起したこなたは多額の借金をし、仕入れとテレビ局との交渉に明け暮れた。
そしてようやく、ローカル局で特別番組の枠を使わせてもらえることになったのだった。2回目以降は1回
目の視聴率・売り上げ次第というのが条件なので、今回の番組は、正にこなたの生命線である。
会場は野外に特設会場を設けることにした。当初は南平駅を予定していたが、駅前ロータリーがないことと
ゆたかと共に出演してくれる、彼女の岩崎みなみに対する配慮から隣の平山城址公園駅に変更した。
会場は、まあまあの人出だった。
「うん。いけそうだ」
「緊張しちゃうね…みなみちゃん」
「ゆたか、大丈夫」
抱き合う二人を忌々しげに見つめてから、こなたが番組開始を宣言した。
「通販の、日本網こなた!」
会場が静まり返った後、数人が失笑した。こなたは眉間に皺を寄せながらも商品紹介を始める。
「まずは新開発、“金のエンゲルと銀のエンゲル”です!」
こなたが箱を開けると、手のひらサイズの天使が二人、飛んで出た。
それぞれ全身を金色と銀色に染めているが、顔はバタ臭く歯を剥き出しにして笑っている。
「HAHAHAHAHA…」
二人の天使は、不気味に笑いながらゆたかの頭上を飛び回った。
怯えていたゆたかは我にかえると、携帯電話の家計簿機能を立ち上げる。
「うわーん!エンゲル係数があぁぁぁ…家計がぁ」
床に座り込むゆたかに、みなみが駆け寄ろうとする。こなたは次の商品を紹介し、それを制した。
「えーでは次の商品です。みなみちゃん」
みなみはゆたかを心配しながらも、こなたの元へ戻った。こなたの手にしているのは、腹筋を鍛えるための
振動するベルトであった。
「このベルトは、筋肉増強に高い効果があることが実証されています。さあ、みなみちゃんに装着するよ」
不承不承に応じるみなみに、こなたはベルトを装着した。
「なぜ…ここに…」
こなたはみなみの胸にベルトを装着していた。
「みなみちゃんの胸って平山でしょ。筋肉をつければ、少しはあるように見えると思ってさ」
たちまち、みなみの両目の下にクマができる…みなみが両腕に気合を入れると、筋肉で袖が破けた。
「みなみちゃんが、岩裂きみなみに変身だぁ」
ゆたかがナレーションを入れ、彼女としての責務を果たした。
「イワサキックみなみ野行き!!!!!」
みなみに渾身の力で蹴り上げられたこなたは、遥か横浜線の方角へと飛ばされて行った。
ここは八王子みなみ野。今だ開発途上の新興住宅街の中心が、八王子みなみ野駅である。
そんな駅に、横浜線の一編成が停車しようとしていた。
「世間はVVVFだのチョッパだの騒がしいですが、界磁添加励磁制御が一番です」
高良みゆきは、205系の運転に明け暮れていた。
「当り障り無いのが一番ですよ。おっと、八王子みなみ野駅停車」
みゆきがブレーキレバーを引くと、右前方の空から見覚えのある少女が飛んできた。それは見る見るうちに
近接し、205系の正面に激突する。
「あーーーーっ・・ぼぐぉっ・がべべべべべべ」
こなたは205系へ派手に衝突すると、プラットホームを顔で滑って行った。
所定の位置に停車したみゆきが、こなたに話しかける。
「こなたさん、いい顔面スライドでしたよ」
「みゆきさん助けて…顔が腫れて…力が出ない」
みゆきは答えず、静かに主幹制御器ハンドルを引いて片倉駅へ向かって行く。
後には、乗車券も財布も持たないこなたが途方に暮れて立ち尽くしていた。
その後…当然ながらこなたの番組は失敗に終わり、多額の借金だけが残された。
凍て付く寒さの朝、こなたは浅川に飛込み、自殺した。
辞世「浅はかに 背負いし負債 深過ぎて 浅川の波に 深く眠らん」
>>188 >「私の素晴らしい脚本に文句いう奴はロクなやつじゃないな、ドラマは質より視聴率優先なんだよ(≡ε≡.)」
>「アンチの言い分なんか無視無視、視聴率さえ良けりゃいいの(≡ε≡.)」
作品の質より視聴率優先とは現実のテレビ局が考えていそうなことだな。
あと話題性を呼ぶため、作品を改悪するのもよくあることだな、と思った。
2012年6月、有名アニメスタジオ、凶吐ウニメーションが倒産した。倒産の原因は
社長、泉こなた(23歳)によるワンマン体制ぶりからである。泉氏が凶ウニに入社
したのは2009年4月であった。
「ここか・・・憧れの凶ウニで仕事ができるなんて死んでもいいよ(≡ω≡.)
今日からよろしくお願いしまーす!ヽ(≡∀≡.)ノ」
泉氏は最初、動画担当から始めたが1ヶ月で
「私が考えた作品をやれば凶ウニはトップ企業に躍り出れるんだ!(≡皿≡.)」
前社長「しかしねぇ、君、今はそれをやれる体制じゃないんだよ、作品二本も
制作中だしねぇ」
「・・・(≡ω≡.;) 」
「これじゃあ私が凶ウニに入社した意味がないなぁ、あっ駅の辺に外国人労働者が
いっぱいいる・・・おまけに失業者らしい外人もいるし・・・嫌だなぁ〜(≡ω≡.;)
まてよ・・・思いついた!ヽ(≡∀≡.)ノ」
泉氏が思いついたのは日本で職のない外国人労働者をアニメーターとして使うことだった。
さっそく泉氏は多額の借金をし、その金で凶吐ウニメーション第三スタジオを立ち上げた。
2009年5月、泉氏、監督、脚本、キャラデザのアニメ「秋葉男」の制作を開始した。
アニメーターや脚本家はズブのド素人ばかりで作画崩壊を繰り返しながらも、制作を続けた。
そして、2009年7月に「秋葉男」がUHF系列で放送開始された。
当初は作画崩壊の連続で「本当に凶吐ウニメーションのアニメか?」と疑うぐらいの出来で
あったが、徐々に主人公が秋葉原で「自分だけのハーレムを作り上げる」というぶっ飛んだ
ストーリーが受け入れられ、大ヒットしたという。その著作権で借金を全額返済した。
それだけでなく、高級マンションにフェラーリにポルシェ、ランボルギーニといった
スーパーカー三台買ったという。しかもハルヒの痛車仕様に改造してである。
調子に乗った泉氏は2010年1月、凶ウニが制作しているギャルゲー会社「ケイ」の処女作
「輝きの季節」の制作を乗り出した。今回も泉氏が監督、脚本、キャラデザを担当し、
ズブのド素人たちで構成された第3スタジオのスタッフたちと共に制作に乗り出した。
「輝きの季節」は2010年1月にUHF系列で放送され、人気を博した。しかし、アニメオタクや
アニメ雑誌の記者たちは「凶ウニ、とくに泉氏制作作品のクオリティの低さ」を酷評した。
2010年3月、「輝きの季節」を正当に評価しなかったとして「ニュータイプ」編集部に
「なぜ、人が汗水たらして作った作品を評価しない!Σ(≡皿≡.)
アニメーターに対する冒涜だ!もう2度と角川のアニメは制作しないよ!ヽ(≡皿≡.)ノ」
という抗議文を叩きつけた。泉氏は、公式サイトの掲示板、そしてアニメ専門誌へ頻繁に
「業界の地位向上」「アニメーターの給料向上」のフレーズを掲げたり、その旨を含んだ
広告やコラムを載せ続けるなどの行為を行った。しかし・・・
アニメーターA「あの新入り、デカイ顔してねーか?」
アニメーターB「そう思っていたところだよ」
アニメーターA「俺たち新入り共と仕事したくないから俺達で会社作ろうぜ」
アニメーター達「そうしよ、そうしよ」
以上のことにより、第3スタジオと別の凶ウニスタッフの中には凶ウニを見限り早々に離反する
アニメーターや、それまで視聴を続けていたアニメオタクの中にも視聴を止める者が現れ始めた。
2010年5月、とあるアダルトゲーム会社からアニメ制作の依頼があった。
ゲーム会社社長「実はおたくで「W触区」をアニメ化してほしいのですわ」
「「W触区」って某アニメにキャラがそっくりのあれ?(≡ω≡.;)」
ゲーム会社社長「是非、凶ウニ所属の人気アニメーターの方々に作ってほしいんですわ」
「いや・・・ほとんどの人が辞めっていって第3スタジオの人たちしかいないし(≡ω≡.;)」
ゲーム会社社長「謝礼は払いますわ。あなたの懐に五百万ほど・・・」
「わかりました!やりましょう!ヽ(≡∀≡.)ノ」
しかし、夏のアニメフェスタにて広報強化策としてアメリカのポルノ女優にアニメキャラの
コスプレをさせて、登場させたが、欲情した凶ウニスタッフが会場まっただ中でやり始めて
会場にいた人たちをドン引きさせてしまった。また、2010年7月、放送開始された「W触区」の
第1話で無修正のセックスシーンを登場させて、アニメオタクたちをドン引きさせた。
後者の件に関しては泉氏はアニメ制作にノータッチであり、これは作画監督が独断でやって
しまったためである。
以上の失態が大きな痛手となり、業界やアニメオタクからの信頼を完全に失った凶ウニは
下降線へと転じる。凶ウニスタジオは舞鶴のボロアパートへの移転、アニメオタクからの
苦情やそれに乗じた悪戯が絶えなくなった公式掲示板はそれぞれ閉鎖へと追い込まれた上
離反したアニメーター達が「新凶吐ウニメーション」を設立し、古くからの凶ウニファンは
新凶ウニへと流れて行った。しかし、泉氏は
「まぁなんとかなるさ、失敗しても這いあがれるチャンスがある!ヽ(≡∀≡.)ノ」
とコメントした。そんな中、2011年にはギャルゲー会社「ケイ」の凶ウニ制作アニメを
アダルトアニメ化したが、作画崩壊の連発や脚本家のSM、スカトロ、レイプ嗜好が災い
して、状況を好転させることは叶わなかった。さらには「ケイ」側は
「もう2度と凶ウニとはアニメを作らない」
と通達した。そして最悪な事件が起こった。2012年1月のことである。
「おーい、みんな!民放のゴールデンタイムの仕事ゲットしたぜ!ヽ(≡∀≡.)ノ」
韓国人アニメーター「すげえニダ!さっそく制作会議ニダ!」
「これで凶ウニは持ち直せるな・・・うぷぷぷ(≡∀≡.)」
ドンドン
警察「警察だ!不法滞在と不法就労の罪で全員逮捕する!」
「えっ!そんな!Σ(≡皿≡.)」
この事件で所属していた泉氏を除く外国人アニメーター全員逮捕でアニメ制作が不可能になって
しまった。しかし、泉氏は機転を利かせて
「そうだ、この前見た同人アニメは良かったな〜たしか「大阪芸術院」というところだったっけ?(≡ω≡.)
そこに頼もう!ヽ(≡∀≡.)ノ」
そこのサークルにアニメ制作を任せたのが凶ウニ崩壊のスタートであった。そのサークルはアニメ制作より
暗黒舞踏、アングラ演劇に傾け始めていた。原画や動画担当は代々木アニメーション学院の学生ばかりを
かき集めて制作を開始した。
2012年4月、凶ウニ制作のロボットアニメ「大巨人コナターン5」が放送開始。
第1話で登場人物が暗黒舞踏を踊るだけで終わり、視聴率は過去最低0%を記録。
第2話で登場人物が吉野家で食べるだけで終わり、スポンサーやテレビ局が見限りはじめた。
第3話で登場人物がラインダンスを踊るだけで終わり、今回で打ち切られた。
あまりのショックを受けた泉氏は世界遺産の一つ、金閣寺に火をつけてそのまま焼身自殺した。
完
就職難に喘いでいたこなたは、みゆきが経営する酒造会社に雇ってもらえた。
契約社員扱いで手取り13万円だが、十数ヶ所で採用されなかったこなたには有り難い話だ。
「みゆきさん…じゃなかった。高良社長、今日からよろしくお願いします」
「どうか楽になさってください。こなたさんと一緒に働けることを、うれしく思っています。」
緊張して挨拶するこなたに、みゆきがやさしく答えた。
社員は他に、かがみとつかさだけだった。
「さあ、初仕事と行きましょう。つかささん、こなたさんを工場へ案内してください」
みゆきの指示を受け、つかさが米の貯蔵庫へこなたを連れていった。
「さあこなちゃん、台車にお米を載せてラインへ運ぶよ」
つかさと一緒に米の入った袋を台車に載せたが、妙にかび臭かった。
不審に思いながらも生産ラインへ米を運び込むと、みゆきとかがみが薬品を持って待っていた。
「さあこなた、この薬品で米に生えたかびを落とすのよ」
かがみに言われて思わず、わかった、と言いそうになったが口元で止めた。
「かがみん…これって事故米じゃぁ…?」
こなたの言葉を聞いたみゆきは、瞬時に座り込み泣き始めた。
「事故米だなんて…なんという誹謗中傷でしょうか…」
「ゆきちゃん大丈夫?」
「こなた!みゆきに謝れ!」
つかさもかがみも、みゆきの心配をしている。
正論を言ったはずなのに悪者扱いされ、表情を曇らせるこなたにみゆきが言う。
「これは、事故米ではありません」
「…?みゆきさん?事故米じゃなければ何なのさ」
「故障米です」
聞いたことのない言葉に、こなたは呆気に取られている。
みゆきが言うには、故障米というのはかびの程度が軽く、修理すれば使える状態の米らしい。
「安くて良い物をお客さんに提供したくて…うぅ…」
みゆきは再び泣き崩れる。
このままでは、完全にこなたが悪人である。
「みゆきさん、私やるよ!」
みゆきは一瞬虚を突かれたような顔だったが、すぐに何時も通りのやさしい表情に戻った。
「こなたさん、わかってくれてうれしいです。共に安価良品を生産しましょう」
「こなちゃんなら、わかってくれると思ってたよ。はい薬品」
「私たちは、みゆきを休ませてくるわ」
かがみとつかさは、みゆきに肩を貸し社長室へ向かっていった。
こなたは大量の“故障米”を開封し、薬品を掛けていく。
「おっ…黒ずんだ米が白くなっていくね。凄いすご…い…」
こなたは、コーヒーにミルクを注いだように視界が捻れていくのを感じたが、それもわからなくなった。
「こなちゃん倒れたよ」
防毒面を着けたつかさが、工場から戻ってきた。
「米に塗っておいた毒と、掛けた薬品が反応したのね」
「会社はペーパーカンパニーですし、密造酒を造ろうとして事故死したとしか見えないでしょう」
「それではこなちゃん『楽になさってください』!!」
三人は、呵々と笑い転げた。最初に異変に気付いたのはつかさだった。
「ね…ゆきちゃん、お姉ちゃん、気分悪くない?」
「視界が歪むわね。みゆき…?」
「さっさと逃げなかったから、こちら迄有毒ガスが…」
人を呪わば。
こなたに彼氏が出来て恋愛の末結婚
彼氏が婿養子になって親父と三人で幸せに暮らす日々
三人で車で外食に出かけた帰り道、飲酒運転の車に追突されて旦那と親父死亡
愛する男と父親を一度に亡くしてこなた半狂乱
葬式で取り乱して泣き喚くこなたの姿にかがみ達も涙
心配してちょくちょく様子を見に行くかがみ達
こなたが風呂場でリストカットしてる
病院に運ばれ一命を取り留めたこなたにかがみ達が友情のビンタと説教
こなた改心し実は妊娠してた事が発覚
子供と共に強く生きて行く事を決意するこなた
財布に最後に三人で撮った写真を入れて持ち歩くこなた
買い物の帰り道、DQNにひったくりをされる
写真の入った財布を奪われまいと必死に抵抗するこなた
しつこいこなたに腹を立てたDQNがこなたの腹に強烈なケンカキックをお見舞いしてバッグを奪い去って行く
腹を押さえて苦しむこなたを通行人が発見し病院へ
こなたが流産して一生子供の産めない体になる
こなた病院の屋上から飛び降り自殺
パティ「ジーザス!」
こなた「自ー殺?」
パティ「コナタガ首吊ッタデース」
こなた「かがみん達が私を愛してる証拠を見せてほしいな」
みゆき「では私のティーバッグの出がらしと」
かがみ「私のと」
つかさ「私のも入れてこなちゃん一人分♪」
こなたは泣きながら薄い紅茶を飲み干しましたとさ
めでたしめでたし
204 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 00:59:48 ID:2teIR59q
お邪魔じゃなければ投稿します
いつぞやのグロSSの続き
205 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:01:23 ID:2teIR59q
夕暮れの縁
町並みに変化は無い・・・・かの様に見えたのだが
時折カラスの声に混じって断末魔が聞こえてくる
あれから、ゆたかの死を目前にしてから後の記憶が殆ど無い
おそらくそれ程に取り乱したのだろう
覚えているのはそうじろうを突き飛ばして家から逃げ出した事くらいである
気が付けばある方向を目指して駆けるばかり
「はあ、はあ、はあ・・・・・」
駆けていく少女が目を伏せながら進むその道なりが深紅に染まっているのは
きっと夕焼けだけのせいではない
散りばめられた臓物と哀しげなで哀れなその肉塊
喪失感と達成感に恍惚たる表情を浮かべて、愛しかった者の肉を喰らう者
事切れた肉親の亡骸に性的な虐待を容赦なく加える者
様々な者達が待ちの中を埋め尽くしたいる
その光景はすでにこなたが知っている日本では無かった
こなたは目を伏せて走る
向かう先は・・・・・鷲宮神社だ・・・
神社に・・・柊家に行けばきっと皆が助けてくれる
お父さんがおかしくなったって言えばかがみとつかさが私を助けてくれる
お姉さん達も私をかくまってくれるに違いない
おじさんやおばさんもこの悪い冗談なんかに加担するような人じゃないんだ
だっておじさんは神主でおばさんはその妻・・・・
きっと、きっと・・・・
こなたは走った
決して近くないその距離をバスも電車も使うことを忘れて走った
足には自信がある
しかし、流石にこの距離は遠すぎた・・・
時刻は・・・・今、何時だろうか?
ふと携帯電話を見る・・・
『不在着信 1件』
「・・・・」
こなたは恐る恐る携帯を操作する
着信は柊かがみからのものだった
急いでかがみに電話する・・・・が繋がらない
呼び出し音だけが延々と鳴り続ける
こなたの全身の芯に氷点下を超えた寒気が駆け巡った
朱色の夕暮れが、街中をまるで戦慄の赤の様に染め上げるこの空間
あの角を曲がれば、そこは鷲宮神社・・・・
こなたはかがみ、つかさの無事を祈って駆けた
206 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:01:57 ID:2teIR59q
ドンドンドン!!ピンポーン・・・・ピンッポーン!ドンドンドン!!
「こんにちは、こなたです!泉です!かがみ、つかさ!いないの?開けて!!」
神社の境内は薄暗く、そして不気味・・・・
柊家の二階も真っ暗で何となく不吉な空気が漂っていた
その焦りからか、こなたの声もドアを叩く音も自然と大きくなってしまう
返事の無い扉の向こう側
こなたは執拗に声を張り上げる
ドンドンドン!ドンドンドン!ピンポーン!ピンポーン!
「かがみん!つかさ!!」
タッ・・・タッ・・・タ・・・
「!?」
微かだが、家の中から小さな足跡が聞こえた気がする
こなたはやや緊張した様子でドアから離れた
危険の臭い・・第六感がその臭いをおぼろげに嗅ぎ付けたとでも言おうか
足音はドアのすぐ前で立ち止まる
「・・・・誰・・?」
こなたの面持ちとは裏腹にそのドアはやけに軽快に開いた
「こんばんわ♪さっき振りね〜こなたちゃん」
「・・・・おばさん・・・・?」
ドアを開けたのは予想外にもみきだった
「やーね、おばさんだなんて・・・みきお姉さんって呼んでよね・・」
「・・・おば・・・・お姉さん・・・」
さっきまでの緊張感が嘘だったかのようにみきの空気に呑まれるこなた
しかし、はっと目的を思い出しそれを言葉へと変えた
「そうだ、かがみとつかさは!?」
「・・・・ふふ・・・」
みきは静かに笑うと「もう寝たわよ?」とにこやかに返事をする
もう?こんなに早く?のんびり屋のつかさならまだしもかがみまで眠るだろうか?
かがみは毎日夜遅くまで勉強している・・・・
いつも12時過ぎまでメールの返事が返ってくるのだ、間違いない
しかし・・・・もしかしたら
こなたは怪訝そうな表情を出来るだけ明るいものへと変えて相槌を打った
207 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:02:29 ID:2teIR59q
「そ、そうか〜参ったな・・・・」
「・・・・なんの様だったのかしら?なんなら起こして来ましょうか?」
「え?」
「ふふ・・・・」
こなたからすれば今のみきの言葉は意表を突く言葉だった
起こして来るということは二人はまだここにいるということだ
きっとここは『まだ』安全なのだろう
しかし、安心は出来ない・・・一刻も早くこの事を二人に伝えてこの奇妙な空間から逃げなければ
ここは『もうすぐ』安全じゃなくなりそうだから
「お願いします・・・」
「解ったわ、少し待っててね♪」
こなたは考えたここから先、どこが安全そうだろうか?
自宅も危険だし、ここも神社もなんとなく嫌な予感がする
ひとまずみゆきさんの家に非難して・・
と、思いかけた矢先にゆかりの・・・みゆきの母の言葉がこなたの頭に蘇った
・・・あんな言葉を口にする人間を信用することなんか出来ない
学校・・・・学校なら安全かもしれない、それに明日になれば黒井先生が助けてくれるかも知れないし
こなたは、一応の策として学校に避難する事にした
ひと思案終えた頃、ドア超しに足音が聞こえた
「こなたちゃん・・・お待たせ♪かがみはちょっと電話中で出られないのよ・・・・」
「・・・・そうですか・・」
こなたは眉をひそめる
かがみが、電話中・・・?
そんな筈無い・・・だってさっき電話して、話中なんかじゃなかった筈だ
まさか、もう
「かわりにね、つかさだけ連れて来たわよ・・・ゆっくり話してね♪」
「え・・・あ、はい」
ひょっこりとドアから顔を出すつかさ、寝起きなのだろう目は薄っすらと眼を垂れて
涎も零れっぱなしだった
まったくつかさは仕方の無いお子様である
「こなちゃん、なあに?」
「あ、つかさ・・・・」
208 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:09:29 ID:2teIR59q
カクン・・・
そう頭に音が響いた気がした
気が付けば膝を地面に付き、口から吐瀉物が溢れ出す
「う・・・ヴェエエエ!・・ゲエエ!?・・・」
「ふふ・・・どうしたの?こなちゃん?」
ドン・・・と音を立ててつかさがこなたの横に転がった
つかさのたった10%程の部分
しかし、つかさ本人のものだと十分すぎるほど認識できるソレは切断面から
どろりとした真っ赤なゼリーを流し、朽ち果てていた
「ふふ・・きゃははは♪さあ、お話してあげて☆つかさ、こなちゃんに挨拶は?あははは♪」
「つかさ・・・う・・・・」
こなたはつかさの生首に目を向けて体を抱いた
みきの笑い声も手伝って、おぞましい程の悪寒がこなたを包む
「あ・・あうう・・・・・・ひ・・・・」
「どうしたの、こなちゃん?」
みきは転がったつかさの首を拾うや否や、こなたの顔につかさの顔を近づける
「『コナチャン、ナニヲコワガッテルノカナ、カナ?』なか?うふふ♪」
「いひいっやあ!?」
「ほらほら、どんな気持ち?ねえ、私が殺したのよ?あはは☆」
「ひい・・・」
後ずさるこなた、知らない内に壁を背負ってしまい逃げ場が無い
みきはつかさをこなたに向かってポイッと投げ捨てると
ちょうど、こなたに膝枕されるようにしてつかさが落ちてきた
「いひゃあああああ!!」
こなたは、かつての友達を力いっぱい払いのけると下着がジワジワと濡れていくのが解った
恐怖の余り、尿道の筋肉が緩み尿意の制御が出来なくなってしまったのだ・・・
つまり、失禁したのだ
みるみるスカートを濡らし、柊家の石畳を臭わせる尿・・・・
こなたは生暖かい小便に両足を浸らせながらも恥ずかしげも無く尚、体を震わせていた
209 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:13:55 ID:2teIR59q
振り払ったつかさの顔は、床にぶつかった拍子に鼻や口元が曲がり
あの可愛かった顔が、原型を留めぬほど変形し変色している
やがて、そのサラサラした髪の毛もこなたの小便によって汚れてしまった
「あら、うちの子に随分なあつかいじゃない?」
「うう・・・どうしてこんな事・・・・」
こなたは吐き出した胃液のネバを引いた口でみきを責める
が、返ってきたのは聞きたくも無い言葉・・・
「つかさったら、可愛いのよ♪『おかあさん助けて〜!死にたくないよ!お姉ちゃん!』ですって・・」
彼女は大袈裟な身振り手振りで嬉しそうに語る
「最初はね手足をハサミでユックリ斬っていったの、ちゃんと根元は止血してたから出血多量にはならなかったけど・・・・」
自分が腹を痛めて産んだ娘を殺した女はその手で笑う口を隠していた
「何度も失神しながらもがいてたのよ〜☆あ、『こなちゃん助けて!』とかも言ってたわよ♪」
ゆっくりとこなたに歩み寄る足音、手には何時の間にか大きな斧が握られている
「この斧で二人の首を切り下としたのよ・・・聞かせかったわ〜、あの断末魔♪」
こなたの脳裏にかがみとつかさの悲痛の顔が浮かび上がる
きっと痛かった、きっと恐ろしかった・・・愛する人たちに殺されるのは恐ろしく哀しいに決まっている
「そうじろうさんには悪いけど・・・娘へのはなむけにその首貰うわよ☆」
「ひ・・・・」
『私・・・ここで死ぬ・・・』
支援
211 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:43:36 ID:2teIR59q
こなたは思い切り目を瞑った・・・
思い出される楽しかった日々、お祭りや海に行ったあの思い出
走馬灯・・・これがあの走馬灯なのだろうか?
人間が死ぬ瞬間に見る今までの過去
美しかった過去、そうでなかった過去、様々な光景がこなたの頭を過ぎった
「こなた〜、まちなさいよ!」
「こなちゃん〜♪」
「こなたさん☆」
思い返せばなんと素敵な友人達だったのだろうか
もっとかがみに優しくしておけば良かった
つかさとも沢山会話をしたかった
みゆきさんにもっと色々教えて欲しかった
素敵な友人、素敵な父親にゆたか、ゆい・・・贅沢すぎるほどの環境
そうじろうはどうしてあんな事になってしまったのだろう
でも、きっと元に戻る
そしたら罪を償って、また幸せになってほしい
今までの人生、ここで死んでしまってもきっと十分すぎるほど幸せだったに違いない
みんなさようなら・・・・
・・・・・
長い、長い沈黙
みきの放った斧が自分の首に達するには長すぎる時間が経過した
もしかしたら、自分は既に死んでいるのかもしれない
そんな恐ろしい事を考えながらそっと目を開けてみると
なにかがみきの体を羽交い絞めにしていた
「離しなさい・・・・!?」
「?」
212 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:44:10 ID:2teIR59q
あの身長・・・あの背格好
「こなたちゃん、早く逃げて!!」
「まつり、どういうつもりなの!?離しなさい!!」
確か、かがみとつかさの姉だ
一瞬かがみに見えてしまったのはきっと心の中の光景がそのまま瞳に映し出されたからだろう
こなたは大きく息を吸う
「でも・・・」
「いいから早く!早くしないと手遅れになっちゃう!!」
「まつり、アンタから殺すわよ!離しなさい!」
「・・・・・」
「だめ!姉さんやかがみ達に手を上げて、こなたちゃんまで殺したら本当の殺人鬼じゃない!?」
「母さんに逆らうの!?」
「こなちゃん、逃げて、はやく!!」
「でも・・・そしたら、お姉さんが・・・」
「まったく、まつりは悪い子だなあ・・・・」
ザシュ!
「あ・・・・」
鮮血が地面を染める
いつの間にか現れた長身の男は優しい笑顔を血で染めて
愛娘の首筋に出刃包丁を突き立てていた
包丁が引き抜かれたと同時にまつりはずるずると倒れこんだ
「ただおさん、遅いじゃないの・・・・もう」
「いやあ、思ったより手間取ってね・・結局・・・おや?」
柊家の健気な次女は、体を真っ赤に染めながらも賢明に起き上がり
二人の足を掴んでいた
「は・・やく・・・逃げ・・・て」
「・・・・・・まったく、柊家の女の子は強いな〜、みきの血が濃いのかな?」
「ふふ、女は逞しくないとね☆だけど・・・」
213 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:53:22 ID:2teIR59q
「こな・・・た・・ちゃん、は、はや・・く!!」
「あ・・あ・・・・・」
みきは嬉しそうに斧を振り上げる
「慎ましさもかね揃えなきゃね・・・・」
ザク!
「いいいいいい!!!」
「ああ・・・・」
まつりの左肩が体から分離した
血しぶきがこなたの頬にまで達し、悲鳴が鼓膜に突き刺さった
「いいいいい・・・いひいい・・・」
しかし、まつりの瞳は未だこなたに向けられている
そして『はやく逃げろ』とメッセージを送っているのだ
まつりは残った右手でみきの両足を掴み、賢明に足止めをしていた
「しつこいわね、まったく誰に似たのかしら?」
「はは、君に決まってるだろ?」
和やかに笑うただおもまつりの背中を足で踏みつけて、頭を固定した
今一度振り上げられるみきの斧、今度の標的はまつりの頭だ
こなたは何とか足を動かす
まつりを助けなければ・・・・
が、まつりは首をユックリ横に振るとその唇が動いた
大人の色香を光らせる唇がこなたに放つ言葉は『に・げ・て』の三文字
こなたは涙で瞳が見えなくなる前に道路に向かって立ち上がる
だが、足に力が入らない
このままではまつりの行動を無駄にしてしまいかねない
まつりはその背中にほっと安堵しながら大きく酸素を吸い込んだ
「走って!!」
「・・・う、うううわあああああああああ!」
「まつり、悪い子ね・・・・!!」
まつりの一喝にこなたの足が唸る
一瞬だがかがみの声と錯覚してしまう程のその声は
間違い無くかがみの姉に相応しい気迫が込められていた
214 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 01:54:07 ID:2teIR59q
『まつりお姉ちゃんはかがみお姉ちゃんと似ててね気が強いんだ、それでいっつもケンかになっちゃうの』
『そうなんだ、かがみが二人なんて大変だね☆』
『でもね、いざと言う時に二人とも頼りになるんだよ?』
『例えば、どんな時?』
『例えばね・・・・』
どうしようもなく怖いときに勇気をくれるんだ
地面を踏みしめるこなたに、つかさの声が後ろから聞こえた様だった
こなたは小さく「ほんと、ソックリだよね」と笑うと涙を拭いながら髪をなびかせ
柊家の敷居を越えた
それとほぼ同時に聞こえたざくろが割れる音
おびただしい量の脳漿が地面に零れたであろう音に振り向くことも無く
いや、振り向く事を恐れてこなたは柊家から逃げ出した
聞こえてくるのは、息の根の止まった愛娘にさらに非道を重ねるただおの声と
みきの不愉快で恐ろしい笑い声だけだった
既に幾多の友人を失ったこなたは・・・残された親友みゆきの家に向かった
一旦終わります
215 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 05:56:28 ID:2teIR59q
再開
みゆきの家に向かう途中
空を見上げたこなたにむかって雲が夜だと告げてくれた
見渡せば、周囲にはサラリーマンやOLに学生、子供連れの親子もいる
ここにいる人間達はまともなのだろうか?
それとも以上だがまともな振りをしているのだろうか?
一体どんな条件で、どんなルールでこんな惨事が起きているのか
まったく規則性も無く、またある種の規則性を感じさせた
きっと何かしらのキーワードが存在するのだろう・・・
だが、そんな事はどうでも良かった
春日部のあの駅でこなたに届いた一通のメール・・・
みゆきから届いた余りにも短く、そしてその一行で全てが伝わってきそうな内容
『こなたさん、今までお世話になりました』
きっと自分の母親に襲われ、恐怖しているにも関わらず送られてきたこの内容は
いつものみゆきらしくもあり、そうで無いような気もした
死に際を悟った今ですら、彼女は清楚なままでいようというのだろう
わきまえた人間でいようとする姿勢は確かに立派だと思う
しかし、こんな時だからこそ頼って欲しいと思うのが、こなたの本当の気持ちだ
風邪になびいた水濡れのスカートとその中身が若干冷たく現実味を帯びている
張り付いたスカートを膝上までまくると人目もはばからず肩結びで太股の中央までたくし上げ
『ヨーイドン!』でみゆきの家まで駆け始めた
今日は良く走る日だ、すでに10キロ以上は走っているのではないだろうか?
気が付けば体もだるく、息も先ほどと比べ物にならない位に荒くなっている
全身が酸素を欲して、心臓が主に逆らうように鼓動を早める
それでもこなたは走った、残されたみゆきの為に
これ以上誰も失いたくない
「はあ・・はあ・・・みゆきさん・・・待っててね」
みゆきの家は駅からそれ程遠くない
あの花火大会の夜に皆で高良家にお邪魔したのを思い出す
大きく立派なお屋敷で、あの場所はお金持ちに家が連なる一等地
交通の便も良く、もう少し進めばすぐに見えてくる
216 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 05:57:39 ID:2teIR59q
薄暗くなった歩道を、こなたは懸命に走った
ふと目に入る見知ったソレ
外灯に照らされるその犬は、たしかみなみが飼っているチェリーだ
人見知りで、食い意地のはったあの愛らしい犬がそこに佇んでいた
こなたは立ち止まりゆっくりと歩を進めることにした
チェリーがいる、ただそれだけで忘れかけた日常を取り戻した気がしたからだ
立ち止まった事で、こなたの全身から汗が噴出す
そして、やや安心したせいだろう節々の関節が悲鳴を上げているのに気が付いた
こなたは大きく深呼吸を二、三度すると外灯の影に佇むチェリーに向かって挨拶をする
「はあ・・・はあ・・・チェリーはいつもと変わらないんだね?」
「・・・わふ・・・・」
「あはは・・・・」
普段はなれた人間以外には殆ど無反応なあの犬が返事に応じるなんて、よっぽどご機嫌なのだろう
クッキーでも拾ったのだろうか?
こなたがチェリーの頭を撫でようと近づくと、すぐにその理由が解った
チェリーは食い意地の張った犬だ、何でも食べる
こなたはチェリーの頭にぽんと手を置くと恨めしそうに呟いた
「チェリー・・・いくらお腹がすいたからって・・・・」
チェリーはそんな事気にも留めずに食事を堪能している
その食事の光景は散々たるものだ
「みなみちゃん食べちゃ駄目じゃん・・・」
チェリーの口の周りは真っ赤に染まり、緑色の髪の少女は見る影も無く
全身のいたるところから中身を覗かせている
頬や耳、首筋、腹部・・・・加えて太股や臀部、生殖器などは比較的柔らかく食べやすいのだろう
そこらじゅうに食いちぎられた後が見られてその長身と髪が無ければ本人と解らないほどに原型を留めていない
あの凛々しかった眼と鼻は既に眼球や軟骨に至るまで綺麗に外されてしまい
致命傷を思わせる頭部への一線で脳がはみ出したまま、とめどなく体液が流れ出ていた
「ゆーちゃん・・・・・・みなみんまで・・・・やられちゃったよ」
恐らくみなみを殺めたのはみなみの母だろう
愛犬はみなみちゃんの匂いのするコレを餌だと思い、それにがっついているに違いない
ひょっとしたらみなみと知って食べているかもしれない・・・
これがチェリーなりの弔いなのだろうか?
こなたは勝手な想像を都合よく解釈し、せめてみなみが救われるようにと祈った
チェリーは大型犬だ、きっと残さずみなみを平らげてしまうことだろう
きっとみなみも・・・・・・
こなたはそのままチェリーを殴り倒してしまいたい気持ちを抑えながら、みなみの愛犬の頭をそっと撫でた
「わふ」と小さく吼えたチェリーの瞳が泣いている様に見えたのは、外灯のせいだろうか?
それを目端に再び走り始める少女、彼女に落ち込んでいる暇など無い
目的地まで、あとほんの数十メートルだ
217 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 05:58:46 ID:2teIR59q
「みゆきさん・・・間に合って!」
電信柱が十数本、見慣れた家屋が数件、角を曲がらずに真っ直ぐ突き進んですぐ左
『TAKARA』と書かれた表札を視覚で認識し、五感の全てをフル稼働させながら
高良家の庭に突っ込むこなた
「みゆきさーん!!」
「泉さん!?」
「余所見なんかしてる場合じゃないでしょ?」
シュン!
「うう!?」
まるで音速の何かがみゆきを襲う
今の一撃で右肩を何かが掠めたのだろう、その柔肌に深紅の一閃
すでに制服やストッキングもところどころ破れ、未熟なグラマラスさを誇るみゆきの体が
なんの遠慮もなくほぼむき出しになってしまっている
が、異様なのはその妖艶な体には自らの血のりで不均等な化粧がされている事だった
その原因は・・・・
「んもう、コレが最後の一本だったのにぃ〜」
ゆかりは左手に持っていたボーガンを悔しそうに地面に捨て、ブーブー言っている
こなたはその隙にみゆきに駆け寄った
「みゆきさん、助けに来たよ!」
「泉さん、どうして・・・」
「どうしてって」
「私は・・・私はこんな所見られたくなかったです・・」
思わぬ言葉にこなたは戸惑いを隠せなかった
そうか、彼女は未だに母親を慕っているのだ、こなたはそうじろうを許したいのと同じように
だから、自分を殺そうとするゆかりの姿を親友のこなたには見せたくなかったのだ
それであんな内容のメールをこなたに送ったのだろう
「ごめん、みゆきさん」
「・・・・あ、いえ、私ったら」
深刻そうなこなたの顔に、みゆきは自分の発してしまった言葉を恥じ、改めて友人に向き直る
「私のほうこそ、申し訳ありません・・・その、ありがとうございます」
危険を承知でここまで助けに来てくれた友人に、少しでも当たった自分が恥ずかしかった
こなたもみゆきのその言葉が嬉しく、こんな場所にも関わらず涙が頬を伝う
今、この残酷な世界の中にも友情が存在する
その事に二人は感謝した
218 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 05:59:51 ID:2teIR59q
見ればゆかりもハンカチを片手に「うんうん、みゆきはいい友達を持ったわね」と涙ながらに二人の様子を伺っている
どうやら暫くは時間稼ぎが出来そうである
それにしても、普段と殆ど変わらないあのゆかりが娘を殺しにかかるなど
もしかしたらゆかりには快楽殺人者の素質が有るのでは無いだろうか?
そう言えば過去にそういった類のよた話を見た事がある気がした
「こなたさん・・・・」
とんでもない事を考えていると、みゆきがこなたに話しかけてきた
こなたは心の中を読まれた様な気がして少しバツが悪そうに耳を傾ける
「かがみさんとつかささんは・・・?」
「・・・」
痛い質問だ、がみゆきらしい質問だった
こなたは黙って首を横に振る
「ゆーちゃんもお父さんにやられて、みなみんも通りに倒れてたよ」
「・・・そうですか」
「一体、なんでこんな事になっちゃったのかね?」
「ほんと、一体どうして・・・・」
「本当にね・・・ぐす・・・」
気が付けばこなたのすぐ後ろにゆかりが立っている
しかし、攻撃してくる様子も無く泣き顔のままハンカチで鼻をかんでいた
柊家のみきとは偉い違いだ
「おばさん・・・」
「お母様・・・」
「でもね、仕方ないのよ・・・だって決まってることなんだもん」
ゆかりの言葉はなんとも不可思議だが、真実味を帯びていた
「どーいうこと・・・?」
「決まってる事って・・・・そんな」
「二人とも、本当に良い子なのに残念ね・・・・こんな若さで死んじゃうなんて」
ゆかりは自分のスカートをたくし上げると太股に隠していたデリンジャーを取り出した
しかし、取り出したのは二丁・・・
「はい、アナタの分よ♪」
219 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 06:00:38 ID:2teIR59q
ゆかりはデリンジャーをみゆきの目の前に投げる
「デリンジャー・・・・フィラデルフィア・パーカッションスタイルですか」
みゆきはその小型拳銃を手に取ると、そう呟いた
みゆきの博識は本や科学の事ばかりではない
こなたは少し驚いた、もちろんゆかりも例外ではない
「流石みゆきね、ご名答♪ついでに言えばこれはダブルデリンジャー・・・一人二発うてるのよ★」
「もちろん、モデルガンではなさそうですね・・・」
「そんな、馬鹿な・・・本物なんてこのご時勢」
チューン!チューン!
「いい!?」
ゆかりはこなたの足元目掛けて銃弾を発射した
こなたの足元には弾丸が減り込み、中から硝煙が立ち上る
ゆかりは銃を地面に捨てると、今度は胸元からもう一丁のデリンジャーを持ち出した
「ふふ、高良財閥をなめたら痛い目みちゃうぞ♪」
「・・・・・」
「こなたさん、先に行ってて下さい」
「え、でも・・・」
「後で私も合流します、そしたらもう一度花火大会に行きたいですね★」
みゆきの精一杯の笑みがこなたの胸を熱くする
ゆかりも再びハンカチで涙を拭っていた
多くの友を失ったこなた、ここを離れるのは心苦しいが
みゆきはきっと自分なりのけじめを付けようとしているのだろう
こなたにはソレを妨げる権利など無い
ただ、友人としてソレを応援する義務が有る事だけは解った
例え助からなくても、みゆきは後悔しないだろう
「さあ、早く行って下さい!!」
「みゆきさん、きっとだよ!花火大会行くんだからね!!」
少女はそう言って高良家を後にした
220 :
お漏らし中尉:2009/03/09(月) 06:01:11 ID:2teIR59q
「ええ・・・、きっと」
見えなくなった背中を目で追って、呟くみゆき
そして、ゆかりもまた「こなたちゃん、頑張ってね」と涙を流しながら見送った
みゆきは我が親ながら誇らしいような、情けないような不思議な気持ちで苦笑いがこみ上げてくる
そんな中お互い、親子であるにも関わらず銃口を向け合う二人
みゆきは眼鏡の奥で瞳をトリガーに向けて集中している
「お母様、聞いても良いですか?」
「なあに?みゆき」
ゆかりもまたタイトに構え、みゆきの頭部に照準を定めたまま答えた
「何故、私に銃を?」
娘の素っ頓狂な質問に母親は笑って答える
「あら、みゆき・・・・」
「・・・?」
「それ、空なのよ?」
「・・・・え」
みゆきが引き金を引くがカシャ、と隙鉄の音が木霊する
「お母さ・・・・」
チューン!チューン!
静かな空間に二発の銃声、色とりどりのコスモスは深紅に染まり
大空を哀しく見つめる少女を彩る
かつての愛娘をその手にかけた母親は、その亡骸の頬をハンカチで拭い薄く笑った
「ふふ・・・みゆきのおばかさん♪」
みゆきは死して尚、美しかった
つづく
こえーよw
なんか泣けてきたw
223 :
グレゴリー:
>>220 1リッターのラム酒でグデングデンに酔っ払っていてまともなことがいえる自信が
ないけど言わせてくれ。
狂気の中にせつなさを漂わせていて泣ける!
中尉の語彙の豊富さと美しい文章のひとかけらでも俺にあったら
おいらはもっと伝えたいことを皆に伝えられるのにと思います。
あと、シラフならもっといい文章が描ける気がするがそれは無理だす。