こなた×かがみPart28【こなかが】

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398名無しさん@お腹いっぱい。
「ゆきちゃん何か忘れ物でもしたの?」
そのまま黙り込むみゆきを不思議に思ったのか、つかさが辞書を閉じて首を傾げる。
「何々?何かのドジッ子フラグ?」
意味不明なセリフとともにこなたも漫画から嬉しそうに顔をあげた。
(ん?漫画…?)
「って、あんた何漫画なんて読んでるのよ?!」
なぜそれらを避けようと思ったかは分からない。
ただその言葉や気持ちと向き合うことが怖くてわたしはひたすらかわし続けた。
おかげで我に返った後も、わたしは筋肉痛のようにギシギシきしむ心の痛みで動くことも出来ずにいた。
それでもなんとか視線だけは無理やりこなたの方に向ける。
今自分がどんな顔をしているのかよりもこなたがどんな顔をしているのかが気になったからだ。
集中力が高まると聞き、勉強のためにと選んだペパーミントの清涼感でぼんやりとした頭が少しだけ覚醒する。
わたしが半生解凍状態まで回復するために要した時間は5秒くらいだろうか。
その5秒感――光が地球を35周半回る間、わたしは視界がブラックアウトして平行感覚すらなくなった世界の中にいた。
まずわたしの頭に浮かんだのは(あれ?『好き』ってどういう意味だったっけ?)という疑問だ。
最初の1秒間をフルに使ってわたしはみゆきの言葉の意味を思い出そうとする。
しかし直下型大地震が起きている頭ではその意味を探し出すのに永遠と思える1秒が必要だった。
さらに次の1秒で本当にみゆきが『その意味』で言ったのかどうかを確かめ、同じ時間をかけてその確認を終える。
最後の1秒間、混乱するわたしの心の中を『サキニ』『言わ』『Letter』だの『綿霜』『こなたが』『好』といった自分でも理解できないほど断絶した言葉や気持ちの段幕がまさに光の速さで駆け抜けていった。
その凄まじさはシューティングゲームなら怒りで画面を打ち砕きたくなるほどだ。
なぜそれらを避けようと思ったかは分からない。
「そうそう。それはオーブンも一緒なのだよ。」
「はぁ?だって温度設定とかできるんだから、同じじゃないの?」
「違う違う、使ってるオーブンが元々どれぐらいの火力を持ってるかってこと。
全部一緒じゃないからネ。ここのは結構新しいやつだから、多少火力が強いはずだよ。
このケーキのレシピはどこ?」
「それなら書斎にあるけど私が取ってくるわ、あんたは知らないだr…」

私が言い終わる前に、こなたは私の部屋になるはずだった、書斎と称される部屋に行き、
一枚の紙を持って戻ってきた。隠してあったレシピをすんなり持ってこれたことに対して、
いささか疑問を感じたが、これはこの際気にしないでおこう。

「ほら、ここの部分。」
「…ほんとだ。全然気付かなかったわ。」

確かにそこに書いてある通り、オーブンによって誤差やクセがあると書いてある。
特に電気オーブンとガスオーブンによる違いは他のより大きいらしく、
レシピは電気オーブンを使用していたが、ここのはガスオーブンだ。
(つまり、いくら時間をぴったりやっても焦げたのは、これが原因だったってわけね…)

「そ・れ・に、こんなのも見つけちゃったしね〜」
「ん?…っ?!?!」