「ほんとに?」
そう言うと、それ以上何も聞かないでいてくれた。
しばらく心配そうな顔してたけど、また元の優しい表情に戻った。
「これからお出かけ?」
「え、ええ。……ちょっと……と、友達の家に」
最後の部分は口から出任せだったけど、それもいいかもしれない。
かがみとの冷え切った関係がこれ以上続くのはもう嫌だった。
──会ってもう一度謝ろう
このままの状態でかがみと離れ離れになるなんて……絶
「顔の部分が良くできてますね。何度も作り直した跡がありますし」
お世辞じゃなく、本当にそう思った。
何度も作り直した苦労の跡が見て取れる。
「ええ、両手が真っ赤になるまでね。二人の思い出作りなんでしょう」
「えっ?」
「もうすぐ、引っ越す予定なの。だから、あの子も友達と別れることになるから。記念にね」
思ってもみなかった言葉に、何も言い返せない。
今目の前で仲良く遊んでいる二人は、もうじき離ればなれになる。
その事実に胸が締め付けられる思いがした。
もし自分が友達と離ればなれにならなくなったら?
みゆきさんや、つかさ、それに……それにかがみとも会えなくなる。
最初は電話やメールでやり取りするも、直に疎遠になり、やがて連絡も取らなくなる。
そんな現実を想像し、悪寒が走った。
「とても仲良さそうなのに……」
今目の前に溢れている笑顔は、もうすぐ失われる。
元気いっぱいに雪の上を駆け回り始めた女の子は、嬉しそうにはしゃいでいる。
その様子を見ていると友達だろうか、家の中から別の女の子が出てきた。
ふたりは一緒になって、家の前を駆け回り始める。
何の曇りも無い純粋な笑顔が、とてもまぶしく映った。
「今日はすごい雪ですね」
いきなり後ろからかけられた声にびっくりした。
振り返ると、女の子の母親だろうか、家の前にいた私に声をかけてきていた。
別にこちらを不審がっている様子は無い。
たまたま家の前にいた私に声をかけてきたのだろう。
とても優しそうな雰囲気を持った人だった。
「そ、そうですね」
いきなり話しかけられたこともあり、ちょっと受け答えに戸惑ってしまった。
それに、普段母親という存在と話す機会はあまり無い。
友達の母親と会うことはたまにあるけど、いつも友達と一緒だ。
一対一で母親と向き合うという経験は、ほとんど記憶になかった。
すこし気まずく感じて、視線を雪だるまに移した。
まるで自分の心の中に語りかけてくるような表情。
まるで自分の心の中に語りかけてくるような表情。
目をこすりもう一度良く見ると、もとの笑顔に戻っていた。
──勘違いしたのかな?
しばらくそのまま雪だるまを見ていると、家の中から小さな女の子が飛び出してきた。
元気いっぱいに雪の上を駆け回り始めた女の子は、嬉しそうにはしゃいでいる。
その様子を見ていると友達だろうか、家の中から別の女の子が出てきた。
ふたりは一緒になって、家の前を駆け回り始める。
何の曇りも無い純粋な笑顔が、とてもまぶしく映った。
「今日はすごい雪ですね」
いきなり後ろからかけられた声にびっくりした。
振り返ると、女の子の母親だろうか、家の前にいた私に声をかけてきていた。
別にこちらを不審がっている様子は無い。
たまたま家の前にいた私に声をかけてきたのだろう。
とても優しそうな雰囲気を持った人だった。
「そ、そうですね」
いきなり話しかけられたこともあり、ちょっと受け答えに戸惑ってしまった。
それに、普段母親という存在と話す機会はあまり無い。
友達の母親と会うことはたまにあるけど、いつも友達と一緒だ。
一対一で母親と向き合うという経験は、ほとんど記憶になかった。
すこし気まずく感じて、視線を雪だるまに移した。
まるで自分の心の中に語りかけてくるような表情。
目をこすりもう一度良く見ると、もとの笑顔に戻っていた。
──勘違いしたのかな?
しばらくそのまま雪だるまを見ていると、家の中から小さな女の子が飛び出してきた。
元気いっぱいに雪の上を駆け回り始めた女の子は、嬉しそうにはしゃいでいる。
その様子を見ていると友達だろうか、家の中から別の女の子が出てきた。
ずっと俯いたままの私に、大丈夫と声をかけてくれた。
見上げると、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「だ、大丈夫です」
知らない人に迷惑かけちゃいけない。
「ほんとに?」
そう言うと、それ以上何も聞かないでいてくれた。
しばらく心配そうな顔してたけど、また元の優しい表情に戻った。
「これからお出かけ?」
「え、ええ。……ちょっと……と、友達の家に」
最後の部分は口から出任せだったけど、それもいいかもしれない。
かがみとの冷え切った関係がこれ以上続くのはもう嫌だった。
──会ってもう一度謝ろう
このままの状態でかがみと離れ離れになるなんて……絶
「顔の部分が良くできてますね。何度も作り直した跡がありますし」
お世辞じゃなく、本当にそう思った。
何度も作り直した苦労の跡が見て取れる。
「ええ、両手が真っ赤になるまでね。二人の思い出作りなんでしょう」
「えっ?」
「もうすぐ、引っ越す予定なの。だから、あの子も友達と別れることになるから。記念にね」
思ってもみなかった言葉に、何も言い返せない。
今目の前で仲良く遊んでいる二人は、もうじき離ればなれになる。
その事実に胸が締め付けられる思いがした。
もし自分が友達と離ればなれにならなくなったら?
みゆきさんや、つかさ、それに……それにかがみとも会えなくなる。
最初は電話やメールでやり取りするも、直に疎遠になり、やがて連絡も取らなくなる。
このままの状態でかがみと離れ離れになるなんて……絶
「顔の部分が良くできてますね。何度も作り直した跡がありますし」
お世辞じゃなく、本当にそう思った。
何度も作り直した苦労の跡が見て取れる。
「ええ、両手が真っ赤になるまでね。二人の思い出作りなんでしょう」
「えっ?」
「もうすぐ、引っ越す予定なの。だから、あの子も友達と別れることになるから。記念にね」
思ってもみなかった言葉に、何も言い返せない。
今目の前で仲良く遊んでいる二人は、もうじき離ればなれになる。
その事実に胸が締め付けられる思いがした。
もし自分が友達と離ればなれにならなくなったら?
みゆきさんや、つかさ、それに……それにかがみとも会えなくなる。
最初は電話やメールでやり取りするも、直に疎遠になり、やがて連絡も取らなくなる。
そんな現実を想像し、悪寒が走った。
「とても仲良さそうなのに……」
今目の前に溢れている笑顔は、もうすぐ失われる。
その現実がとても悲しい。
「別れは辛いけど、二人離れてもずっと友達のままよ
「顔の部分が良くできてますね。何度も作り直した跡がありますし」
お世辞じゃなく、本当にそう思った。
何度も作り直した苦労の跡が見て取れる。
「ええ、両手が真っ赤になるまでね。二人の思い出作りなんでしょう」
「えっ?」
「もうすぐ、引っ越す予定なの。だから、あの子も友達と別れることになるから。記念にね」
その言葉が胸に突き刺さる。
ずっと俯いたままの私に、大丈夫と声をかけてくれた。
見上げると、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「だ、大丈夫です」
知らない人に迷惑かけちゃいけない。
「ほんとに?」
そう言うと、それ以上何も聞かないでいてくれた。
しばらく心配そうな顔してたけど、また元の優しい表情に戻った。
「これからお出かけ?」
「え、ええ。……ちょっと……と、友達の家に」
最後の部分は口から出任せだったけど、それもいいかもしれない。
かがみとの冷え切った関係がこれ以上続くのはもう嫌だった。
──会ってもう一度謝ろう
このままの状態でかがみと離れ離れになるなんて……絶
「顔の部分が良くできてますね。何度も作り直した跡がありますし」
お世辞じゃなく、本当にそう思った。
何度も作り直した苦労の跡が見て取れる。
「ええ、両手が真っ赤になるまでね。二人の思い出作りなんでしょう」
「えっ?」
「もうすぐ、引っ越す予定なの。だから、あの子も友達と別れることになるから。記念にね」
思ってもみなかった言葉に、何も言い返せない。
今目の前で仲良く遊んでいる二人は、もうじき離ればなれになる。
その様子を見ていると友達だろうか、家の中から別の女の子が出てきた。
ふたりは一緒になって、家の前を駆け回り始める。
何の曇りも無い純粋な笑顔が、とてもまぶしく映った。
「今日はすごい雪ですね」
いきなり後ろからかけられた声にびっくりした。
振り返ると、女の子の母親だろうか、家の前にいた私に声をかけてきていた。
別にこちらを不審がっている様子は無い。
たまたま家の前にいた私に声をかけてきたのだろう。
とても優しそうな雰囲気を持った人だった。
「そ、そうですね」
いきなり話しかけられたこともあり、ちょっと受け答えに戸惑ってしまった。
それに、普段母親という存在と話す機会はあまり無い。
友達の母親と会うことはたまにあるけど、いつも友達と一緒だ。
一対一で母親と向き合うという経験は、ほとんど記憶になかった。
すこし気まずく感じて、視線を雪だるまに移した。
まるで自分の心の中に語りかけてくるような表情。
目をこすりもう一度良く見ると、もとの笑顔に戻っていた。
──勘違いしたのかな?
しばらくそのまま雪だるまを見ていると、家の中から小さな女の子が飛び出してきた。
元気いっぱいに雪の上を駆け回り始めた女の子は、嬉しそうにはしゃいでいる。
その様子を見ていると友達だろうか、家の中から別の女の子が出てきた。
ふたりは一緒になって、家の前を駆け回り始める。
近年これほど積もることのなかった雪にしばし見入ってしまう。
外の世界は朝日を受けて、きらきらと輝いていた。
見たところ雪の上には足跡一つ無い。
「うう〜、さむっ、さむっ……ってあれ? こんな朝早くからどうしたんだ?」
「あ、お父さんおはよう。久しぶりに積もった雪を見にちょっと散歩に出ようと思って」
そういって玄関のドアを開け、外の様子を見せる。
手に触れたドアノブが冷たかったけど、仕方ない。
手袋はまた今度探そう。
「うわ、こりゃあすごい雪だな。何年ぶりだ、こんなに積もったのは」
「久しぶりだよね」
「しかし、こんな雪の中出歩いて大丈夫なのか? 滑って怪我でもしたら大変だぞ」
「心配しすぎだよ。私の運動神経知ってるでしょ?」
「まあ、確かに。大事な時期なんだから、くれぐれも怪我だけはせんように気をつけてな」
「うん、じゃあ行ってくる……よ!?」
元気良く出ていくと、玄関に積もった雪に足を滑らせそうになった。
「おいおい、ほんとに大丈夫か?」
「ハハハ、雪の上を歩くのは久しぶりだからね」
言葉とは逆の結果に、慌ててごまかした。
心配かけすぎて外に出ちゃだめなんて言われたら困る。
薄暗い室内に、整然と並ぶフィギュアが目に入る。
それらはまるで自分を見下ろしているように見える。
パソコンのディスプレイに目を移すと、電源が入ったままだ。
暗いディスプレイには、ひどい顔をした自分がぼんやりと映し出されていた。
──泣いた後、疲れて寝てしまったんだ
泣いたせいで幾分まぶたが腫れてるような気もするけど、昨日より気分はましになってる。
また暗い感情に支配されそうになる前に、気分を変えるためにもベッドから起き出した。
「うわ、さむっ!」
部屋の中で氷漬けにされた哀れな自分の姿を想像していると、
「駄目だ……早くなんとかしないと……」
変な想像をしている余裕はさすがに無い。
全身鳥肌でガクガク震えながら素早く着替えを終える。
ヒーターもオン。
しばらくしてようやく部屋の中が暖かくなった。
「ふう、一時はどうなることかと……」
ぶつぶつと呟きながらカーテンを開けると、
「こ、これは……」
目の前に広がるのは一面雪の世界。
近年これほど積もることのなかった雪にしばし見入ってしまう。
外の世界は朝日を受けて、きらきらと輝いていた。
見たところ雪の上には足跡一つ無い。
「うう〜、さむっ、さむっ……ってあれ? こんな朝早くからどうしたんだ?」
「あ、お父さんおはよう。久しぶりに積もった雪を見にちょっと散歩に出ようと思って」
そういって玄関のドアを開け、外の様子を見せる。
手に触れたドアノブが冷たかったけど、仕方ない。
「こなちゃんのアパートにくるの、これで2回目かな?」
「ん、確かそだったかな? まぁ相変わらずの部屋だけどね」
何故か立ちっぱなしのつかさにお茶を手渡す。
つかさが言うように、つかさがこの家にくるのは2回目だ。
ちなみに1回目は、つかさにみゆきさんに、ご招待というなのお手伝いをしてもらった日。
ストレートにいうと、引っ越し初日だった。
── かがみにもあのヲタ区域については、2日に1回は口うるさく言われてたっけ。
そこまで考えが至って、自分の思考に落胆した。
── …また、やってしまった。
最近は何を考えても、最後はかがみに結びついてしまう。
それが悪いとは思ってはいなかった。…つい2日前までは。
今の私はかがみのことに考えが至る度に、かがみを失う可能性の未来を考えては、陰鬱になり、周りが見えなくなってしまう。
── まだ失うとは決まったわけじゃないのに、ね…。
そう。その可能性に縋るか、捨てるかは自分次第なのに、私は未だ決められていない。
「こなちゃん、どうしたの?」
「へ…あー…なんでもないよ」
「そっかぁ」
かがみと一緒に暮らすようになってから、常備するようになったお茶だ。
手元にあるコップが、注がれていくお茶の量に比例して冷えていくのが心地いい。
「こなちゃんのアパートにくるの、これで2回目かな?」
「ん、確かそだったかな? まぁ相変わらずの部屋だけどね」
「へ…あー…なんでもないよ」
「そっかぁ」
かがみと一緒に暮らすようになってから、常備するようになったお茶だ。
手元にあるコップが、注がれていくお茶の量に比例して冷えていくのが心地いい。
「こなちゃんのアパートにくるの、これで2回目かな?」
「ん、確かそだったかな? まぁ相変わらずの部屋だけどね」
何故か立ちっぱなしのつかさにお茶を手渡す。
つかさが言うように、つかさがこの家にくるのは2回目だ。
ちなみに1回目は、つかさにみゆきさんに、ご招待というなのお手伝いをしてもらった日。
ストレートにいうと、引っ越し初日だった。
── かがみにもあのヲタ区域については、2日に1回は口うるさく言われてたっけ。
そこまで考えが至って、自分の思考に落胆した。
── …また、やってしまった。
最近は何を考えても、最後はかがみに結びついてしまう。
それが悪いとは思ってはいなかった。…つい2日前までは。
今の私はかがみのことに考えが至る度に、かがみを失う可能性の未来を考えては、陰鬱になり、周りが見えなくなってしまう。
── まだ失うとは決まったわけじゃないのに、ね…。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「こ、こなちゃん、大丈夫!??」
「げほっ!げほっ!」
本気とかいてマジで心配そうな顔なつかさに、咽せつつもジェスチャーで大丈夫と意思表示しておく。
まぁ咽せた原因は間違いなくつかさにあって、本人はそんなこと露にも思ってないのはさすがだと思う。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「こ、こなちゃん、大丈夫!??」
「げほっ!げほっ!」
本気とかいてマジで心配そうな顔なつかさに、咽せつつもジェスチャーで大丈夫と意思表示しておく。
まぁ咽せた原因は間違いなくつかさにあって、本人はそんなこと露にも思ってないのはさすがだと思う。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
最近は何を考えても、最後はかがみに結びついてしまう。
それが悪いとは思ってはいなかった。…つい2日前までは。
今の私はかがみのことに考えが至る度に、かがみを失う可能性の未来を考えては、陰鬱になり、周りが見えなくなってしまう。
── まだ失うとは決まったわけじゃないのに、ね…。
そう。その可能性に縋るか、捨てるかは自分次第なのに、私は未だ決められていない。
「こなちゃん、どうしたの?」
「へ…あー…なんでもないよ」
「そっかぁ」
かがみと一緒に暮らすようになってから、常備するようになったお茶だ。
手元にあるコップが、注がれていくお茶の量に比例して冷えていくのが心地いい。
「こなちゃんのアパートにくるの、これで2回目かな?」
「ん、確かそだったかな? まぁ相変わらずの部屋だけどね」
何故か立ちっぱなしのつかさにお茶を手渡す。
つかさが言うように、つかさがこの家にくるのは2回目だ。
ちなみに1回目は、つかさにみゆきさんに、ご招待というなのお手伝いをしてもらった日。
ストレートにいうと、引っ越し初日だった。
── かがみにもあのヲタ区域については、2日に1回は口うるさく言われてたっけ。
そこまで考えが至って、自分の思考に落胆した。
── …また、やってしまった。
最近は何を考えても、最後はかがみに結びついてしまう。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「こ、こなちゃん、大丈夫!??」
「げほっ!げほっ!」
本気とかいてマジで心配そうな顔なつかさに、咽せつつもジェスチャーで大丈夫と意思表示しておく。
まぁ咽せた原因は間違いなくつかさにあって、本人はそんなこと露にも思ってないのはさすがだと思う。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
「げほっ!げほっ!」
本気とかいてマジで心配そうな顔なつかさに、咽せつつもジェスチャーで大丈夫と意思表示しておく。
まぁ咽せた原因は間違いなくつかさにあって、本人はそんなこと露にも思ってないのはさすがだと思う。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「こ、こなちゃん、大丈夫!??」
「げほっ!げほっ!」
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「げほっ!げほっ!」
本気とかいてマジで心配そうな顔なつかさに、咽せつつもジェスチャーで大丈夫と意思表示しておく。
まぁ咽せた原因は間違いなくつかさにあって、本人はそんなこと露にも思ってないのはさすがだと思う。
一通り咳き込んですっきりしてから、一方すっきりとは程遠い頭を稼働させた。
つかさの質問の意図は解らないけど、言葉の意味は理解できる。
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
「こ、こなちゃん、大丈夫!??」
「げほっ!げほっ!」
「かがみのことが好きか?」と言われれば、もちろんYesだ。
お茶を吹きかけた。
ついでに、気管にお茶が入って、さらには手の中にあるコップを落としかけた。
そんな慌ただしい今の心境をゲームに例えると、グラフィックでエネミーエンカウントするRPGのプレイ中、
目視出来ない敵にバックアタック食らった感じだ。
一見冷静に例えてるけど、実際は唐突かつ意外な不意打ちに、咽せつつも頭の中はぐちゃぐちゃになってた。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
「そんなことない!嫌いなんかじゃない!」
脊髄反射ともいうのだろうか。
気付けば、語尾を強めた言葉を返しながら振り返っていた。
思ったよりつかさとの距離が近くて、驚いたのもつかの間。
彼女の持っているほんわかした雰囲気で忘れがちだけど、つかさは私より目線一個分身長が高い。
そんな身体的な特徴や、今、つかさが纏っている空気に、表情のせいもあるのかもしれないけど。
…記憶の中のかがみの面影と、目の前にいるつかさが重なって見えて、私はつかさに釘付けになった
つかさに言うような事じゃないし、気持ち悪いって思われても仕方ない。
女同士で、こんな気持ち抱くのは間違いだって、自分でもわかってるんだよ。
でも、そんなこと関係ないって、周りにどう思われてもいいって思っちゃうくらい、かがみが好き──」
そこまでいって、ようやく口の暴走が止まる。
雰囲気に飲み込まれた自我が、目の前にいるつかさの笑顔を確認したとき、そろっと帰ってきた。
想いの相手に伝えたわけじゃないのに、今の自分は間違いなく愛の告白をしているわけで。
沸き上がる羞恥心が顔を赤に染め上げるには、そう時間は掛からなかった。
しばしの間の後、背に刺さる言葉。
いや、この痛みはもっと深いところに刺さったんだろう。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
「そんなことない!嫌いなんかじゃない!」
脊髄反射ともいうのだろうか。
気付けば、語尾を強めた言葉を返しながら振り返っていた。
思ったよりつかさとの距離が近くて、驚いたのもつかの間。
彼女の持っているほんわかした雰囲気で忘れがちだけど、つかさは私より目線一個分身長が高い。
そんな身体的な特徴や、今、つかさが纏っている空気に、表情のせいもあるのかもしれないけど。
…記憶の中のかがみの面影と、目の前にいるつかさが重なって見えて、私はつかさに釘付けになった。
かがみが、泣いている私を抱き締めてくれたときと、同じ優しさが、
そんな私の想いは、日本という世間では冷たい目で見られる上に、
かがみの家族であるつかさに、非常識を一方的に突きつけていいはずがない。
そんな常識が、私の口を止めていた。
「…それともこなちゃんは、お姉ちゃんのこと…嫌い?」
しばしの間の後、背に刺さる言葉。
いや、この痛みはもっと深いところに刺さったんだろう。
《かがみのこと嫌い?》
そんな私をつかさは見続けていた。
ある種の羞恥プレイに心は悶えながら、身体は頭を抱え込んで、とりあえずつかさの視線から逃亡を図る。
「あ、いや…その、つかさ、今の…一部忘れてくれると、助かるんだけど…」
そんな私の想いは、日本という世間では冷たい目で見られる上に、
かがみの家族であるつかさに、非常識を一方的に突きつけていいはずがない。
そんな常識が、私の口を止めていた。
「…それともこなちゃんは、お姉ちゃんのこと…嫌い?」
しばしの間の後、背に刺さる言葉。
いや、この痛みはもっと深いところに刺さったんだろう。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
「そんなことない!嫌いなんかじゃない!」
──ふたを開けてみれば、私はかがみを好きになっていた。
そんな私をつかさは見続けていた。
ある種の羞恥プレイに心は悶えながら、身体は頭を抱え込んで、とりあえずつかさの視線から逃亡を図る。
「あ、いや…その、つかさ、今の…一部忘れてくれると、助かるんだけど…」
そんな私の想いは、日本という世間では冷たい目で見られる上に、
かがみの家族であるつかさに、非常識を一方的に突きつけていいはずがない。
そんな常識が、私の口を止めていた。
「…それともこなちゃんは、お姉ちゃんのこと…嫌い?」
しばしの間の後、背に刺さる言葉。
いや、この痛みはもっと深いところに刺さったんだろう。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
《かがみのこと嫌い?》
その一部だけが頭の中で反復され、心の中の何かが軋む音がした。
「そんなことない!嫌いなんかじゃない!」
──ふたを開けてみれば、私はかがみを好きになっていた。