【ひぐらし】園崎魅音スレ18【プラズマ】

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464おじさんと女子のひとこま。
レナ編(圭一編?)

「おじゃましまーす」
「魅ぃちゃん、いらっしゃーい」
私は久しぶりにレナの家に遊びに来ていた。
というのも、最近バイトが忙しかったり、圭ちゃんが引っ越して来てからは部活が活性化したりで今までよりレナの家で遊ぶ回数が減っていた。
圭ちゃんや詩音はもちろんだけど、彼らとは違う大切な立ち位置を保っているのがレナだ。
私にとっては実際に年の近い女の子はレナだけで、唯一無二の同性の親友だった。
これまで通り、レナの秘蔵のコレクションを見せてもらった後は、レナのお菓子作りを手伝う。
レナの家に遊びに来た時のプランはいつも、そんな感じ。
自分一人ではそんなにお菓子作りなどはしない。
でも、こうしてレナと一緒に女の子らしくわいわいだべりながら卵白を泡立てていくのはすごく楽しかった。
「ね、このケーキ明日みんなに持っていこうよ」
ケーキ類は詩音が好きな事もあって、詩音のアパートに行って材料がある時には一緒に作ったりするので実は得意だった。
「お、いいねぇ。じゃあ圭ちゃんの分にはこのタバスコをケーキの中にいっぱい入れちゃおう! くっくっく」
「もー、魅ぃちゃん。そんな事しなくたって普通に渡せないのかな、かな? ホントは普通に食べてもらいたいんでしょ?」
べ、べつにそんなこと……ある、けど……
「え……で、でも、こうでもしないと、そ、その…私……、ヘンに思われないかな?」
「何でかな、かな?」
「おはぎとかならまだしも、これだけあたかも女の子が作りました的なお菓子を私に渡されて、圭ちゃんは……その、ひ、引いちゃうんじゃないかなって……」
か、顔が暑い……っていうか、何でこんな事話してんだろ……。
「は……はぅ〜〜〜〜!! み、みみみ魅ぃちゃんかかかかぁいいい!」
「うぇ!? バカバカ! もー、いきなり抱きつかないでよー」
かぁいいモード発動!? 今の何処にそんなものが発動するスイッチがあったのさー。
わからない、わからない。
突然のレナの行動に驚いた私の手に持っていた泡立て器が、盛大に跳ね上がりメレンゲを私とレナの顔にこびりつかせる。
そんな甘い化粧に彩られた自分の目とレナの目が合って、きょとんと見つめ合った後、私たちは二人笑った。
ひとしきり笑った後に
「ぁ…ぅ…」
レナに泡を指で拭われている間、私は一時も動けなかった。
やがて、全て舐めとり終わったのか可愛らしくレナが舌を出して一言。
「うん、ごちそうさま」
「ちょ、ちょっと、何してんのさー!?」
「あはは、ごめんね。すっごく魅ぃちゃんが可愛かったからつい」
「か、かかか可愛くなんかないよー。と、とにかく、圭ちゃんのにはタバスコ入れるのー!」
もう決めた。絶対に普通になんか渡さない。……渡せない。
「だーめ! レナがそんなことさせないもん。こんなにかぁいい魅ぃちゃんで遊ぶ機会なんてそうそうないんだから」
「ひ、人をおもちゃみたいに言わないでよぉ!」
「あはははは。ね、魅ぃちゃん。だったらさ、いい方法があるよ?」
「え……?」
「レナが作ったケーキは魅ぃちゃんが持っていって、魅ぃちゃんが作ったケーキをレナが持っていくの。ね? これなら大丈夫でしょ? 先入観も何もない、圭一くんの正当な評価だって聞けるはずだよ」
「あ……ぅ、ぅん……。そ、そこまでレナが言うのなら……。レ、レナがそこまで言うから、仕方なくなんだからね」
「あはは、わかってるよ。楽しみだね、明日」
「……うん。ま、まぁ圭ちゃんもタバスコで苦しむ必要がなくなってレナに感謝しなきゃだね…って、ほっぺたつっつかないでよぉ、何さー!」
詩音の格好をして圭ちゃんにお弁当を差し入れた時のような面持ちだ……。でも、それなら素直に渡すことが出来そう。
レナにからかわれながらも、私は自分の思うままに作れる喜びを噛み締めて泡立てを再開した。

後日、圭一の評価を聞いて終始顔を真っ赤にして俯いている魅音をレナがお持ち帰りぃ!
と、首から泡を拭くまで抱き締め付けていたのは、また別のお話。