【らき☆すた】泉かなたに萌えるスレ2【幼妻】

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898続 ここにある彼方
「ふー、生き返ったわね」
「うん、そうだね。そんなに急いでなくても汗だくだもんね」
と、
「…あのね、お母さん…」
「なぁに?つかさ」
ぼそっと、照れながら
「…んとね…お母さんっていいよね。いるとすごく安心する…お母さんありがとう…」

「…?…ん?どうしたの?急に?」
手を休めて、こちらを振り向くみき。
普段なら突っ込むだろう、かがみも今日は赤くなりつつ黙ってこちらを見ている。
「泉さんちでなにかあったの?」
みきが聞き返す。
「うん…ちょっとね…神様っているんだなぁって思えることがあってね…」
今日あったことを、かがみがみきに説明していく。
「でね、これが、みんなで撮った写真…」
といって、携帯の画面を見せる。
「あらあら、泉さんそっくりね。ほんと双子みたい、でも、泉さんのお母さんはお亡くなりになってたんじゃ…」
「だから、いきなり、私たちの前に現れたんだってば!」
かがみが力説する。
思わず、携帯の画面に見入るみき。
「…うーん、嘘を言ってるようにも見えないし…不思議なこともあるものね…でもお盆なんだから有りかもね」
「たしかに、お盆だけどさ…」
「お母さんはね、黄泉がえりって言葉があるように、かつて、今頃の時期にこういうことがよくあったんじゃないの?
って思うのね。それが、何千年も語り継がれて今みたいなお盆ってのが出来たと思うの。伝説とか言い伝えって必ず
元になる出来事があるものだとお母さんは思うのよ。だから、そんな出来事も有りじゃないかなって」
「…う、うーーーーん…そう言われればそいうものかもしれないけど…」
みきにそう言われると、そうなのかもしれないと思ってしまい、かがみが考え込む。
「逢いたいって思いが今回の事を呼び込んだのかもね。きっと泉さんのお母さんも辛かったんじゃないかしら?
まだ幼い娘を残して逝ってしまうなんて……どうしても逢いたかったんだと思う…だから、きっとその思いが
神様に通じたのね」
しばし、間があく。

「あのね…お母さんがいるのが当たり前だと思ってた…でも…そうじゃなかった…いないかもしれなかったって……
こなちゃんに、お母さんがもう死んでていないって聞いても、いまいちピンと来なかったけど…今日、こなちゃんと
おばさんを見てて…こなちゃんが…こなちゃんが初めて泣いてるところ見て…お母さんいるってなんて幸せなんだろう
わたし達はなんて幸せなんだろうって…なのに、こなちゃんにはいなくて…わたしはお母さんがいないなんて
考えられないのに…あ、あれ、何言いたいのかよくわかんないよー」
話半ばでぽろぽろと泣き出してしまい、最後の方は声が震えている。
「つかさ…言いたいことはなんとなくわかるけど…こなたもお母さんに逢えたんだし、うちのお母さんがいなくなった
わけでもないんだし、あんまり、その、なんていうのか、深く考えなくてもいいんじゃない?」
「ふぁーーーん、ヒック、なんか、お母さん見てたら、ヒック、いろいろと…ヒック…」
なんとか泣き止もうとがんばるがなかなか、涙がとまりそうにもないつかさ。
「あぁ、もう、ほら…考え過ぎだって…涙ふいて…」
「ヒック、ヒック…お姉ちゃ〜ん…」
899続 ここにある彼方:2007/10/09(火) 04:03:59 ID:d8c1mm9E
みきが一旦夕飯の支度を止めて、かがみ達の方に向かう。
「そういえば二人が小さいときにも、お母さんが死んじゃうドラマかアニメを見て二人が大泣きしたことが
あったわね。あのときは…いのりやまつりまで巻き込まれて、みんな泣いちゃってすごかったわね…」
「ふえ?そんなことあったの?」
「つかさも、かがみもまだ小さかったから覚えてないのかもね」
「…覚えてないなぁ…そんなことが、あったんだ…」
「お姉ちゃんもおぼえてないの」
「そりゃーまぁ、あんたが覚えてないくらい子供の頃なんて、わたしだって覚えてないわよ」
「あの時はうれしいような、悲しいような、良くわからない気分だったわね」
かがみとつかさの座ってる椅子の後ろにきて二人の間に入るように立ち、ふたりの頭を腕で抱え込むように
自分の胸元に引き寄せる。
「大丈夫、お母さんはどこにもいかないから…つかさは甘えん坊さんだからよけい心配なのかもしれないけど」
「そ、そんなこと…そんこと……ない……うんん…あるかも…」
つかさが、ポンッ真っ赤になりつつも、みきのなすがままに頭をあずける。
真っ赤になりながらも微妙に抵抗するかがみに対して、
「かがみはしっかりさんだから、手間がかからなくていい子だけど、タマには甘えてもいいのよ?お姉ちゃんだからっ
てそんなに我慢とかしなくてもいいのよ?」
「え?…そ、そ、そんな…わたしは別に…」
「別に、なぁに?」
いじわるっぽく聞く。
となりのつかさと後ろのみきに目線を走らせてから
「わたしは、お姉ちゃんだから、つかさより少し先をいかなくちゃっとか、しっかりしなくちゃとか、守らなくちゃっ
とか思ってただけで、我慢とかは別に…しては…」
「そうね、お姉ちゃんだからね…でも、かがみは双子なんだから、いのりやまつりと違って、一番下の妹であった時が
なくて妹でありながらのお姉ちゃんしかやってないのよね。いのりやまつりだって、下が出来るまでは本当に、
甘えん坊さんだったんだから。だからかがみには、ただの妹として、つかさみたいに甘えても良いのにって思うときも
良くあったのよ?べったりでも困るど、少しくらいなら…ね?」
「……」
隣をみれば、いつまにやら泣き止んだつかさが、今にも溶けそうな顔でみきに頭を預けている。
それでも、なにか、つかさのように甘えることに対して抵抗を感じてしまう。
ちらっと後ろ見る。
みきが微笑む。
その微笑みでかがみの何かが音を立てて崩れさる。
900続 ここにある彼方:2007/10/09(火) 04:05:37 ID:d8c1mm9E
「あーー、もう!!」
言葉とは裏腹につかさ同様、溶けそうな笑顔でみきに頭を預ける。
「……お母さん…たまには…また、こうしてもいい?」
「全然。かがみがそう言ってくれるなんて、お母さん、うれしいわ」
「うれしいの?」
「それは、もちろん。少しぐらい甘えてくれた方が、親としてはうれしいわよ。みんな、大きくなるにつれて
離れていくから、寂しいのよね。親から見れば、いくつになっても子供は子供。こーんな小さいころも今みたいに
大きくなっても、それは変わらないわ。大切な宝物」
「…そうなんだ…」
「お姉ちゃん、こなちゃんも言ってたけど、お母さんっていいね」
「……うん……」
つかさは、中学入ってからもしばらくは、こうやってべったりだったけど、自分はいつぐらいから、
こういうことをしなくなったんだろう…小学校高学年のころにはもう多分…はっきりとは思い出せないくらい前…
ううん、そんなこと、今はどうだっていい…なにも考えず、こうしてよう。お母さん…今度は一人の時にでも
お願いしてみよう、いいよね、たまには…お母さんもいいって言ってるし…

「さて、いつまでもこうしていたいけど…ご飯をつくらないとね…みんなが帰ってきちゃうまえにね」
二人の頭から腕を外し、ぽんっと二人の頭に手をのせて、再び料理へと向かう。
「あ、お母さん、わたしも手伝うよ」
「あら、ありがとう、つかさ」
(いいなぁ…)
二人の後ろ姿を見ながら、素直にそう思う。
だからといって、料理はできないしなぁ…とも思う。と、
「お姉ちゃんも…いっしょにやらない?」
すこし、もじもじしながらも、つかさがこちらに振り返る。
「え?わ、わたしは…料理、苦手だし…その、足引っぱっても悪いし…遠慮しておくわ」
「だ、大丈夫だよ、わたしが教えるし、お母さんもいるし…お、お弁当の練習にも…なるし」
「う…お弁当か…つかさも、わたしの日のって嫌だった?」
「そ、そんな、ことはないよ。…ただ、こなちゃんにたまに…こう…突っ込まれるというか、からかわれてるし…」
「いや、まぁ〜確かにそうだけど……わたしも人並みには料理できるようになりたいし…やりますか」
「うわーい、お姉ちゃんとね、なんかつくるのわたし大好きなんだ…」
「そんなこと言われると、照れるじゃない…」
「へへへへー」
「で、なにから、やればいいのかしら?」
「じゃぁ、つかさとかがみは……」
多少のトラブルがありつつも、柊家の夕食の準備が進んでいく。