【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その53

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355ss クシャミが止まらない
6月下旬、二、三日前から降り続く雨が今日も窓を濡らす、梅雨冷のするある日のことだ。

「キョンッ!」
クラスメートたちが一斉に振り向く。
授業中にデカイ声で呼ぶな。恥ずかしいだろうが。
「何言ってんの? クシャミよ、クシャミ。 アンタなんか呼んでないわ」
ふざけんな。
そんなクシャミがあるか。
クラスメートたちがニヤニヤと俺を見る。
俺は前へ向きなおる。
「…キョンッ! …キョンッ! キョンッ!」
「うるせーぞ。いーかげんにしろ」
「クシャミだって言ってるでしょ。 しょうがないじゃない。 寒いんだもん」
紛らわしいんだよ。
クシャミならクシャミらしくしろ。
「アンタが勝手に聞き間違えてるんでしょ。 知ったこっちゃないわ」
クラスメートたちがクスクスと笑っている。
…勘弁してくれ。
俺は歯ぎしりしつつ前を向く。
「…キョンッ! …キョンッ! キョンッ!」
フン。
相手にしてられん。
無視するに限る。
「キョンってばさっきから呼んでるでしょ!」
何だってんだ。今度はクシャミじゃねーのかよ。
「消しゴムが転がっちゃったのよ。アンタの椅子の下」
この野郎…。
ハルヒの消しゴムを拾い、俺は前を向く。
恥をかかせやがって…。
ちょうど俺も鼻がムズムズしてきた。
少し仕返ししてやるかな。
「ハ…ハ…ハ……ハッッッッルヒッ!!」
教室中がドッと笑い出した。
「ちょ、ちょっと! 何よそれ! バカじゃないの!?」
振り返ると、ハルヒが耳まで真っ赤に染め、窓の外に顔を向けている。
ふん、どうだ、思い知ったか。

「WAWAWry」