・・・こっそりと、ちょっとばかしドギマギしながらフィギュア誌を読んでる、ルージの後ろからヒョイとコトナが現れ、
「あら、ルージ、何のお勉強かしら?」
と、不意打ちでルージの両肩にポンと手を置き、ほっぺたをくっつけるような格好で、ルージの背中から肩越しに覗き込んで来る。
「あっ・・・」
と、息を呑んで振り向こうとして、頬にザワつく柔らかい産毛の感触と共に、目と目が横ざまに絡み、ほの甘い髪の香りを吸い込んでしまったルージは、その場で感電したように瞬間フリーズ。
「ふーん・・・、これ、ほんとのわたしよりスタイルいいかもね」
「・・・・・」
叩いたら砕けそうに固まったルージの、バツが悪いとも甘酸っぱいともつかない横顔を、ちょっぴり意地わるそうに微笑しながら覗き込んでいたコトナの顔が、急にどこか切なくほころんだ。
「大丈夫よ。・・・こんな人形とか無くたって、ほんとのわたしが、いつもそばにいてあげるから。ね・・・」 そう言って、ルージの肩に置かれた両手が滑り落ちるように首へと巻かれ、紅潮した頬の上に、柔らかい唇の気配が一瞬よぎった。
(以下略)