腕の中のお姫様から、すっと力が抜けた。
抵抗をやめて、僕の身体にもたれかかる。
顔を覗き込むと、下から口を尖らせて拗ねるような目つきで僕を見る。
少し顔を赤らめて、アネモネは抗議する。
「でも・・・そういうことしないと大切な人に嫌われるって・・・別の女に気持ちがかたむくって・・・」
「誰がそんなこと言ったの!?」
「今月号の雑誌・・・」
ガクッと力が抜けそうになる。
でも溜息は絶対につかない。
ここで溜息でもついたら、彼女の機嫌が悪くなるのは長い付き合いで分かっている。
「僕は、アネモネのこと嫌ったりしないから」
「ほんと?怖いの・・・いつ私がもういらないって言われるか・・・」
「今、僕の腕の中にアネモネがいる・・・それは、すごい奇跡みたいだなって思ってる」
「・・・ほんと?」
「この世界を大嫌いだった時期があるんだ。何で生まれたんだろうって、いつも思ってた。
でも、君に会うためだったんだって、今は思ってる。」
「ドミニク・・・」
アネモネの顔が耳まで赤くなってうつむく。
可愛い。「世界中に彼女が僕の恋人です」って自慢したい。
「アネモネ、今、1番したいことはなんだい?」
「ええと・・・ドミニクに添い寝して欲しい!!」
「ああ、喜んでさせてもらうよ」
「あと、10秒に1回はキスしてよね。ほっぺでも、鼻でも、たくさんキスされながら眠りたいの。」
「僕はずっとキスしたいけど。」
「優しく頭撫でて。いい子いい子って、して欲しい。」
「分かった。今夜はずっとキスしながら頭を撫でるよ。」
昼に干しておいたフカフカのベッドが二人を迎える。
ドミニクの腕枕で、アネモネはしがみついて眠った。
その寝顔は、天使のようで。
ドミニクは、彼女がそれを本当に望んでくれる日が来るまで、我慢しようと思った。
だから今夜は、その柔らかい唇にキスすることで我慢しようと思い、ますます眠れない夜を過ごすハメになった。
>>189 長くなって、なおかつつまんない・・・ゴメン