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名無しさん@お腹いっぱい。:
その日は、いつも以上に遅刻ギリギリで登校していた。
母が泣いて騒ぐので、家にこもって本など読むことはできないし、繁華街をうろつきくにも今日は金がない。しかたなく学校に向かうが、足は縫いつけたように重い。
「走らないと遅刻しちゃうよ!」
背後からかけ足で弾んだ息が近付いて来る。どうやら俺に言っているらしい。
遅刻なんてどうでもいいし、正直学校なんてどうでもいいが、一応おせっかいな女の顔を横目で拝む。
……可愛い。
アングロサクソン系だが、上戸彩と滝川クリステルを足したような顔だち。珍しい鮮やかな赤毛。
見ない顔だな、教師が言ってた転校生か。
俺は……
A.ちょっとサービスも兼ねて、アクロバティック塀越えを披露して見せる。
B.勇気を出して「おはよう」と言ってみる。
C.頑張ってギャグを言ってみる。