あの作品のキャラがルイズに召喚されました part298
スタート地点付近には多数のテーブルが設置され、予選通過者達が用意された酒や料理を楽しんでいた。
テーブルに手を突きグラスを傾けているビダーシャルは、女性スタッフ達に促されて馬車に乗り込む。
「『ビダーシャル』様……、予選通過おめでとうございます。選手のために用意したホテルまで案内致します」
「ハルケギニア最強殺人鬼決定戦の本選は明後日……。明日はそれに備えて静養していただく予定となっております」
山道を走る馬車の中、ビダーシャルは女性スタッフから本選に関する説明を受けていた。
「それと優秀な成績で予選通過したビダーシャル様には、ぜひとも開会式での選手宣誓のスピーチをお願いし……」
「明日は近くの町に行きたいわ。1日だけのアルバイトがしたい」
女性スタッフの言葉を遮り、ビダーシャルは両親を模った人形を眺めつつ言った。
「……は!?」
「なるべくきついのがいい。私はね……、イライラが欲しいのよ」
「戦いに備えてモチベーションを蓄えたい……という事でしょうか?」
「そうそう。よくわかってるじゃない」
後部座席のビダーシャルを振り返った女性スタッフがビダーシャルの持つ人形に気付き、
「あら人形。どうしてそんな物持ってきて……」
そう尋ねた女性スタッフをビダーシャルは睨みつける。
「余計なお世話よ。あとこれは人形じゃない、家族よ」
ビダーシャルの迫力に、馬車を駆る女性スタッフは威圧されて横目で彼女を見るのみだった。