あの作品のキャラがルイズに召喚されました part298
「えうっ、お前……、何持って帰ってきたあ……。そのベッドに置いてある玩具は何だ?」
部屋に頭髪の薄くなった男が酒瓶片手に入り込んできて、少女に因縁をつけてきた。
「酒はどうしたあ、酒は……。てめー、あれほど酒屋から出てきた奴から盗めって教えたのに、俺の話を聞いてなかったのか」
「今日は酒屋が閉まってて……」
「じゃあ隣町にでも行ってこい!! 子供なら捕まっても平気だろうが!!」
少女の言葉に耳を傾けようともせず、男は少女に平手打ちをくらわせる。
「あうっ!」
「くそっ……、俺はついてねー男だぜ。あー、喧嘩で工房を辞めてさえなけりゃあなー。10年もあそこで頑張ってたのによー」
酒瓶の中身を口に流し込みつつ身勝手なぼやきを漏らす男。
そんな男の様子を見ていた少女が、かすかな声で何事か呟いた。
「ああ? でかい声で喋れ」
「母さんが家を捨てる前にこぼしてたよ。父さんが勤めてたあの工房は馬鹿しか雇わない所なんだ。下手に賢いやつを入れたら、組合を作られたり訴えられたりするから……」
「……!!」
娘の初めての反抗の言葉だった。本来なら子が親に向かって口にしていい言葉ではない。
しかしそれは親が懸命に働いて子を養っているのが前提である。この娘の場合、その役目は出ていった母親が担っていた。
この男は自分が得た金は全て自分のためだけに使っていた。
「きゃああああ!!」
突然男に襲いかかられ、少女は悲鳴を上げる以外不可能だった。