あの作品のキャラがルイズに召喚されました part298
それからしばらくして、男を撒いた少女は石段に腰掛けて戦利品である袋を物色していた。
「………」
中から出てきた1つの箱を見て少女の手が止まる。
その箱に入っていたのは、父親・母親を模った男女1組の人形だった。
しばらくその箱を眺めていた少女に、
「お前だろう……、ここら一帯で盗みを働いてるのは。何を手に入れたんだい」
ぼろぼろの服を着たエルフの老婆がそう声をかけてきた。
「!!」
「ここらはあたしの縄張りなんだ! 浮浪者には浮浪者の仁義ってもんがあるさあね。あるんだろう、酒や財布が? よこしな!」
少女は立ち上がると鞄・袋を手に老婆を睨みつける。
「……あたしは浮浪者じゃない。あんたと一緒にしないでくれる」
「はっ、あんたに家があるってのかい!! 心安らぐ家が!!」
「あ……、あるっ!!」
「じゃあなぜ盗むんだい。親に買ってもらえばいいだろう」
「………!! うるさいっ!!」
――ゴン
苛立ちに任せて少女は老婆に投石、怯んだ隙を突いてその場から逃走する。
「!! このガキ……。お待ちーっ!!」
走り去る少女の背中に対し、老婆は嘲笑混じりに大声を張り上げる。
「その年で他人の物を盗むようなガキは、先が知れてるよお〜っ!! あたしにゃわかるんだ!! 明るい未来なんてありゃしない!! まともな将来なんてありゃしない!! あたしと同様、ゴミ溜めがお似合いの人生さーっ!! あっはっはっは!!」
老婆の嘲笑から逃げるように、少女は必死になって家路を急いだのだった。