あの作品のキャラがルイズに召喚されました part293

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part292
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1303210094/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。



.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 00:39:15.07 ID:UDmAxasl
>>1
3名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 00:45:01.85 ID:hbM9gx/I
>>1
4名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 02:01:07.42 ID:REahj0q5
>>1
5名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/03(火) 10:42:48.64 ID:XY89FRXz
6名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 09:29:57.50 ID:yWrNklLu
ロックマンダッシュシリーズのロックマンことロック・ヴォルナッド召喚
エキセントリックなルイズを見てちょっとトロンに似てるなあと苦笑しつつ
この手のタイプとの付き合い方は心得てるので上手く行くロック
その上彼もまたフラグ立て名人なのでシエスタやティファニアとの好意はしっかりゲット

一方ダッシュ世界ではロックを連れ戻す為にロールとトロンが機械式ワールドゲートを開発中だった
7名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 12:06:15.65 ID:KE32SEz4
聖剣伝説LOMからレディパールを召喚。
種族の中での役割的に護衛とかは慣れてるだろうし、何よりシンクロ効果で常時精神力MAXのチートなルイズが爆誕。
ただ核に傷がつくと治せる手段が無いのが問題だわな。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 14:01:38.62 ID:F2bK6I/6
LOM。築地三枚卸しか。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 18:06:57.84 ID:ITrnO9eU
IS夢喰いこれゾンフラクタドラクラの男主人公召喚ものは無いだろうな、サイトと被るから意味無いし。

いや、それぞれちゃんと個性はあるんだけど、やっぱヒロイン達に比べるとゆれ幅が少ないっていうか。
10名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 18:24:49.17 ID:sSG9Frd8
聖剣伝説なら、食費稼ぎのアルバイトとしてジョゼフの下で働く死を食らう男とか思いついた
11名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 20:34:05.06 ID:xLpEBHrC
聖剣3は主人公と因縁なくて壊滅しちゃう勢力とかからだと呼びやすそうだね
12名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 20:44:02.19 ID:J/LfOdb2
>>7
普段は真珠姫で戦闘力0だな
13名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 20:50:32.01 ID:UFQO71JA
>>10
奴なら召喚されなくても紛れ込んでいそうな気がした

聖剣伝説3だったら紅蓮の魔導師をルイズが召喚あたりがありかと
元落ちこぼれが現在進行形落ちこぼれの力になるよう拾った命で償っていくような
14名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 21:49:03.08 ID:a5tlMuUj
フルメタルハガーを見て、「おいしそう」とつぶやくリュリュとか……ダメ?
15名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 22:49:16.49 ID:CZR7kn1t
まどマギより各魔法少女転移

ギ―シュと決闘、どのように推移か考察せよ    (東大 去年の入試問題)
16ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 22:52:50.17 ID:1fgtWMEO
今から投下します。
オリジナル話だ!気をつけろォ!
17ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 22:54:51.25 ID:1fgtWMEO
女帝 意味…愛情・嫉妬

日本のとある片田舎にある地方都市稲羽市。
昨年こそ連続殺人が起きたり、アイドルや探偵が地元の高校に転校、また謎の霧が発生したなどで妙な騒がしさがあったが
今年はもともとの稲羽市らしい様子を見せていた。つまり何もない田舎町に戻っていたのだ。
そんな静けさを取り戻す町の中で3人の少年が姿を消した。
元の姿を取り戻しつつある町の中で再び起きた失踪事件は、昨年の事件を解決した者たちの心を波立たせた。
陽介、完二、クマたちが姿を消してすぐに里中千枝、天城雪子そして白鐘直斗らは捜索を開始した。
2、3日の調査の結果、彼らがこの町から出たのを見た者がいないことと、
地元の大型スーパージュネス付近で彼らを最後に見た証言が集中していることがわかった。
そのことから彼女たちは彼らはテレビの中に入ってから何らかの事情で戻って来れなくなっていると推理し、現在テレビの中を捜索していたのだった。
テレビの中は優しい風が澄んだ湖面を波立たせ美しい植物たちが咲き乱れる世界だ。ついこの間までは霧が立ちこめ、
恐ろしい怪物がはびこっていたのがウソのようである。
その美しい世界を取り戻したのは千枝たちであったのだが、彼女らには現在それを楽しむ余裕はなかった。
千枝に至っては優しげな世界の中で似つかわしくない今にも泣きそうな表情を浮かべている。
彼女は短いボブという髪型とジャージを好んで着ることからイメージできるよう活発な少女だ、男勝りとさえ呼ばれるほどに。
しかしここぞというときに気弱になりがちなのだった。
「ど、どうしよう!?花村たちぜんぜん見つかんない!」
湖畔の青々とした草原に、千枝、雪子、直斗らが話し合っていた。
テレビの中の世界を駆け回ったのだが、彼らの姿どころか痕跡すら見つけられなかった。
「しっかりして千枝!私たちが弱気になっちゃダメ!」
弱気を見せる親友を勇気付けるのは赤い服を着た少女、雪子だ。
青を基調とした探偵ルックの男装をした少女、直斗も頷く。
「そうです。慌ててはいけません。しっかりと落ち着いて探しましょう」
二人の仲間に励まされて千枝はこくりと頷くが不安は隠せない。彼女らはこの世界で仲間たちを見つけ出す手立てをもっていないのだ。
「霧が晴れてもこの世界は広いですから探すのも一苦労ですね」
直斗がそう言うと雪子がポツリと言ってしまう。
「りせちゃんがいてくれたらね……」
久慈川りせは彼女たちの仲間で索敵など、補助に特化した能力を有しているペルソナを使える。何度も彼女の力に助けてもらった。
そして今こそ、また彼女の力を借りたいところだが、そうもいかない事情があった。
というのはりせはりせちーという通称で親しまれた元人気アイドルで、彼女が稲羽市に来たのは休業のためであったのだが、
今年の四月から彼女は復帰して稲羽市を離れてしまったのだ。
しかも彼女は現在、映画撮影のために長期的に海外ロケに行ってしまっているのだ。
一年近く休業していたアイドルが復帰して一ヶ月足らずでそれほどの規模の映画に起用してもらえるなど幸運としか言いようがない。
だが彼女の力を頼りにしたい千枝たちが間が悪いと思ってしまうのは仕方がないだろう。
そういうわけで連絡もなかなかつかず、連絡が通じて帰ってきた答えは稲羽市に来れるようになるまで一ヶ月ほどかかるというものだった。
りせもいなくなった彼らを心配しているようだったが、彼女にはどうしようもないことであるので、今は仕事に専念するようにと連絡をしておいた。
「りせちゃんもそうだけど彼もまさか親の短期出張に付き合って海外に行ってるなんて……」
彼とは昨年起きた事件を追った特別捜査隊でリーダーとなった少年のことだ。
彼は非常に強いリーダーシップを持っており、こういう困ったときに頼りしたくなる人物だ。
彼女らは頼りになる二人の仲間とたやすく会えないことに運命の悪意さえ感じた。
それでも彼らと合流できるのが先になるのなら自分たちで探すしかないと3人はテレビの中を探し続ける。だが彼女らの苦労は報われることはなかった。
まさか3人の内誰も、名探偵である直斗も見たこともないファンタジーの世界に少年たちが行ってしまったなど思いもよらなかった。
18ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 22:56:57.36 ID:1fgtWMEO
「な、なあ、タバサ。まだ着かねえのか!?」
「もう少し」
現在、陽介とタバサの二人は馬上の人であった。
陽介は馬術を持ち合わせていないため、自分より一回り以上小さい以上小さいタバサにしがみついているというなんとも情けない様子である。
二人は今ガリアの地にいた。
ガリアとはこの魔法の世界ハルケギニアで最大の領土と国力を持つ国家である。陽介たちが呼び出された国はトリステインで、ガリアの北西に位置する。
二人はトリステインからガリアへ入り、ガリアの首都のリュティスに向かっている所である。
陽介はタバサにつれられトリステイン学院を出る際にタバサに言葉数少なくガリアという国に用事があるので馬を駆ってトリステインからその国に向かうと聞いた。
しかし陽介はそこに至るまで何日もかかるとは聞いていなかった。隣国とはいえトリステインの首都近くからガリアの首都への道のりは決して短い道のりではないのだ。
タバサは慣れたもので連日馬に乗ってこたえている様子はないが陽介はそうではなかった。
「もう限界!腰が!ケツが!」
「我慢して」
彼の主の返答は陽介の腰には冷酷ものだった。

ガリア王国の首都リュティスの東端にガリア王家の住まうヴェルサルテイルが存在する。
ヴェルサルテイルの中の小宮殿プチ・トロワがタバサの目的地であり、着くなり彼女はさっさと入っていった。使い魔には外で待つように言付けて。
「人間が使い魔ってのは体裁が悪いらしいし、それか?にしても外で待っとけはちょっと愛がねーんじゃないですかね?」
日は沈んでおり、肌寒い中陽介はごちた。
なんでもタバサはこの国の騎士で依頼を受けているらしい。
この世界の常識がない陽介は、学生でも仕事させられて大変なんだな。と。この世界の魔法使いにとって一般的なことなのだと考えた。
夜の冷えた風に打たれながらしばらく待っているうちにある衝動が彼を襲った。両足をすり合わせるようにもじもじさせる。
「やべえ、なんかモーレツにションベンしたくなっちまった。でもここ宮殿っぽいし、立ちションってわけにも行かねえよな」
突然の尿意に襲われた陽助はきょろきょろと回りを見渡した。
メイドを見つけたので駆け寄り、トイレの場所を尋ねる。彼女は指を差して道を教えてくれた。タバサが入っていった扉の前を素通りすればいいようだ。
「あんがとさん!」
陽介はその方向へ一目散に駆けていった。道を尋ねた少女は、あ、そっちは!と言ったが、トイレが近くあせっている彼の耳には届かなかった。
19ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 22:59:56.15 ID:1fgtWMEO
プチ・トロワの花園に一人の女性がいた。長く青い髪をしておりその青は彼女がガリア王家の血筋であることを証明している。
手入れされた髪、そして彼女が身にまとっている平民どころかなみの貴族なら手の届かぬほど高価なドレスは高貴さをかもし出すが、
今の彼女からは何よりも怒りやねたみなどといった負の感情があふれ出ていた。
彼女、イザベラの機嫌をくずしたのは彼女の従妹の態度であった。
生卵、泥の入った豚の腸を投げつけ、下着姿にしてしもべたちのさらし者にしたというのに表情の一つも変えなかった。
まるで自分のことなど眼中にないかのようにだ。
  ガーゴイル
「あの人形、私をバカにしやがって……」
勝手と言えば勝手過ぎる怒りであった。イザベラも自身の身勝手さを感じないわけではない。
しかし自身の矮小さに気付きそうになると、その惨めな気分も従妹のせいだと思わずにいられないのだ。
眉間にしわを寄せ、庭園の花を愛でるというより射殺すような視線で見ているとき、彼女は視界に何者かが入りこんだのに気付いた。
「誰!ここは立ち入り禁止よ!」
「うわっ、え、っと、すいません、今すぐ出て行くんで!」
どうやら若い男のようだ。既に日は沈んでいるが庭園にある明かりで男の姿がぼんやりとだが見える。
黒い服を着た茶髪の少年のようだ。こそこそと去ろうとする姿を見てイザベラは意地悪く口を引きつらせた。
「待ちなさい。ここに来なさい」

陽介はトイレを探しさまよい歩いていると花が咲き乱れ、整えられた木々が並んでいる庭園に入った。
地球ではありえない二つの月光に照らされた庭園は言葉で言い表せないほど美しかった。
花というものに興味のない陽介も思わず見入っていると、突然どこからか大声で怒鳴りつけられた。
どうやらここは入ってはいけないところであったらしい。いそいそと元来た道に戻ろうとする。
しかし彼に警告した女性は何を思ったのか今度は逆に彼を呼びつけた。
陽介はよくわからないまま、言われたとおり彼女に近寄った。なにやらやんごとなき雰囲気の少女であった。
少なくともジュネスでは取り扱えない高級そうなドレスに身を包み、頭に冠をかぶっている。
美人といっていいが、つり目で陽介を射るように見ており、強気さが前面に出ている少女だった。
陽介はそのつり目とそして手入れの届いた長い青い髪と彼女の雰囲気に既視感を覚えた。
少女は陽介の違和感に構うことなくじっと見ながら話しかけてくる。陽介としては少し居心地が悪い。
「もしかしてあんた人形娘の使い魔じゃない?」
「人形娘?」
「人形みたいに感情のない娘よ」
もしかしてタバサのことであろうか?と陽介は思った。
人形とは決していい表現とは言えないが、感情を見せないこととこじんまりとして幼いながらも整った顔立ちは人形のようである。
「えーと、もしかしてタバサのことっスかね?」
なにやらエラそうな少女なので敬語を使っておく。
王族ならこんな砕けた敬語でいいものかと思わないでもないが、目の前の少女は気に留めなかったようだ。
「そう。あの人形にはぴったりな名前よね、タバサって。何あいつ本当にあんたみたいな平民呼び出したの!?
 騎士だの言われてるけどあいつの実力もこれで底が知れてるってものね」
話の途中から少女は下品に笑い始める。
陽介はむっとした。ハルケギニアに呼び出されて数日しか経っておらず、無口な彼女のことはよくわからない。
それでも彼女は衣食住を用意してくれているのだ(衣は基本学ランだが下着や学ランの下の上着を借りている)。
そりゃ、ここ数日は馬に乗せ腰を痛めつけてくれたものだがそれが全て彼女の責任とは思わない。
少なくとも完二の主だというSッ気たっぷりの少女に比べてはるかにいい少女だ。
色気たっぷりのクマの主の方がいいが、彼女が子供なのはそれも時間が問題で彼女のせいではない。
「タバサはそこまで言われるほど悪くねーでしょ」
「あんたあいつの肩持つの?」
彼女は面白いものでも見るようににやにやと陽介を見た。陽介は少女の言葉を真っ向から受ける。
20ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 23:01:57.57 ID:1fgtWMEO
「俺はあいつの使い魔らしいですし」
そうは言っても陽介は使い魔が何をするものか理解していなかったが。
この数日過ごしてみてもそれらしいことをした記憶もない。もちろん完二のように身の回りの世話をさせられたいわけではないが。
「ふーん……」
少女は陽介を上から下まで品定めするように見てきた。
陽介は居心地が悪くなり話題をそらそうとして先ほどからひっかかっていたことを尋ねた。
「えーと、あなたってタバサのご家族なんすかね?」
そう先ほど感じた既視感は目の前の少女がタバサと似ていると思ったからだ。青い髪もそうだが目もだ。
眼鏡をしていて物静かなイメージと合わないので印象に残りづらいがタバサはつり目がちなのだ。
「どうしてそう思うんだい?」
「なんとなく似てるって思ったんですけど……」
陽介の返答を聞くと彼女は何がおかしいのか笑い始めた。
「私があいつと?」
「あ、いや、雰囲気っていうかなんというか……」
更に彼女の笑いは強くなりヒステリックとすら言っていいものになった。
「王女の私が没落したあいつと?こき使われるあいつと?無表情のあいつと?トライアングルのあいつと?」
ゲラゲラと笑う少女に陽介は不快感よりも恐ろしさを感じた。
それから彼女は顔を下に向けて、はーあと息をついた。顔を上げたとき、そこから歪んだ笑みは消えていた。
だが、つき物が落ちたような表情は一瞬のことで意地の悪い笑顔を浮かべる。
そして彼女は陽介にぐっと顔を近づけてその指で陽介の胸を指す。
「いいことを教えてあげようか、使い魔。あの人形は喋らないかも知れないが私の趣味はあんたのご主人さま、従妹をいたぶることなのさ」
陽介は言語化された悪意に戸惑う。目の前の少女はどうやらずいぶんとタバサのことを毛嫌いしているらしい。
自分の主とやらになったらしい少女のことを陽助はまだよく知らない。
しかしそれでも彼女の悪口を言われるのはいいものではなかった。その悪意は自分にも向いているのだからなおさらである。
「もしかしてタバサにコンプレックスを持ってるんじゃねえのか」
その言葉は反撃の意を込めたものだった。だが実際、陽介が感じ取ったことでもある。さきほどからの少女の言動にゆがみを感じずにはいられない。
陽介の反撃は予想以上の効果を挙げたようた。
彼女の顔から意地の悪い笑みが消えた。しかしかわりにもっと強烈な感情が表れた。
眉間に深いしわが現れ目は大きく開いて、双眸は陽介を、いや陽介の向こうの何かをじっと憎憎しげににらみつけているようだ。
あ、やべ……。
陽介はその憤怒を見て言いすぎたことを早くも後悔した。
「出て行きなさい……」
底の低い声だった。
「あっ、いや、はい!」
陽介は首をがくがくとさせてうなずいた。
彼女の地雷をこれ以上踏まないようにゆっくりと歩いていこうとするとき背中から声をかけられる。
「名前は?」
「え、花村陽介っスけど……」
彼女の意図が読めないことと、先ほどよりは落ち着いた声であったので彼は思わず正直に答えてしまった。
「イザベラ」
すぐには理解できなかったがどうやら彼女の名前らしい。呼んでいいものか?
「えーとじゃあ、イザベラさん?お元気で?」
そういってイザベラの表情を窺いながら庭園を去る。
21ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 23:03:59.59 ID:1fgtWMEO
陽介が去った後、そこに残るのは当然イザベラだけであった。
「あの使い魔……」
コンプレックスを持っている――その言葉はイザベラの胸に突き刺さった。
それは間違いなく事実であった。そしてイザベラ自身も自覚していた。
彼女とは比べられないほどの魔法の才を持つあの小さな従妹。
彼女以上に王位継承者に相応しいと家臣たちから思われているあのシャルロット。
そのことを考えると胸が悪くなる。
なのになぜ?と自分に問いかける。
なぜ自分はあれほど無礼な平民を返してしまったのだろう?
なぜ名前を聞き、教えたりしたのだろう?
気まぐれだ。自分はあれが何かの暇つぶしになると考えた。それだけだ。イザベラはそう考えることにした。
「ハナムラ・ヨースケ……ふふ、変な名前」
イザベラは笑った。その笑みに不思議と悪意はなかった。

その変な名前の持ち主はというと、
「ダメだ、忘れてたけどモレそう!タバサ、トイレの場所教えてくれ!」
「我慢して」
「もっ、無理だって!」
尿意に苦しんでいた。

イザベラのこの夜の行動はきまぐれであった。
しかしその気まぐれは彼女の深い嫉妬を変えていくこととなる。
22ゼロのペルソナ 第3章 女帝:2011/05/04(水) 23:07:19.13 ID:1fgtWMEO
投下終了です。
今回こそ完全オリジナルですが、これから当分原作ネタや原作の組み換えなので安心(?)してくださないな
23名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 02:40:20.94 ID:FLpEJit7
>>15
乙!

>>17
まどか達は精神状態によって行動が変わるだろうから一キャラで2パターン位かな、
まどかとほむらはノーマルと覚悟完了状態。
さやかとマミさんはノーマルと病み…だけど後者だと即積みだからノーマルオンリー
あんこはさやかと会う前でも後でもこのイベントには行動に大差無さそうだ。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 03:27:08.75 ID:qWtJQcdI
乙でした
シルフィードがいないとなにかと不便ですなあ
完全オリジナルストーリーが悪いなんて決まりなんてないので、これからもガンガンやっちゃってください
25名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 07:03:34.55 ID:A8Gda2vN
スパロボで今、最も旬なシオニー召喚とかどうよ
26名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 07:46:07.91 ID:QJrSk9jY
>>25
ひっ
27名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 11:13:02.26 ID:3GHdo1PM
ペルソナ乙
この洞察の鋭さとうっかり加減が陽介らしいよな
28名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 11:54:57.31 ID:gZzDEK4n
>>25
土下座なさい!
29つかよん!:2011/05/05(木) 11:57:53.52 ID:p/dvnMVu
問題なければ正午辺りから
「使い魔は四代目」
第六話を投下しますぞ。
30使い魔は四代目:2011/05/05(木) 12:02:39.73 ID:p/dvnMVu
「いや、からかってるわけじゃなくてな。本当に読めないんじゃ。今まで不自由なく話せておったからうっかりしておったわい。
してみると、今会話ができているのもルーンの力か?…いや、違うか」
「…違う?使い魔にした動物と会話ができるようになるのは珍しい話じゃないけど?ああ、勿論ただの動物とリュオを一緒にするわけじゃないわよ」
「わかっておるわい。そうじゃなくてじゃな、ほれ、わしが召喚された時の事を思い出してみんかい」
「…ああ、そういえば最初はリュオからコルベール先生に話しかけたんだっけ。…そうか、確かにあの時から言葉が通じてたわね。」
「そうじゃ、勿論その時はルーンなんぞ刻まれておらんかったしのぉ。すると、問題はそれ以前じゃな。すると…まぁ、どう考えてもゲートの方が原因か
…しかし、融通が効かんなぁ、どうせなら文字も分かるようにしてくれれば良かったのじゃが」
「…ちよっと待って、これって新発見なのかも。」

ルイズは少し考え込んだ。使い魔と会話ができるようになるのは刻まれるルーンのせいだというのが通常の考え方のはずだ。
しかし、リュオの話だと召喚された時点で会話が可能であり、契約は関係ない、という事になる。
もっとも、偶々そうなったという可能性もあるし、新発見ではあるかもしれないがそれが重要な事だとは思えなかった。
要は契約までの順番が多少前後するだけだ。大発見とは行かないか。
エレオノール姉様辺りならまた違った受け止め方をするのかもしれないが…。
しかし仮に興味を持ったとしたら、色々と細部まで追求されるのは明白である。
本人に悪気が無いのは一応分かっているが、迂闊に話せない秘密を抱えている以上、ぼろを出さずにやり過ごせるとは到底思えない。
それに、やっぱりその、なんだ、怖いし。やはり姉様には話さない方が良さそうだ。ルイズがそう結論付けた一方で、リュオもその事に興味を引かれた様だ。

「新発見.…?そうか、魔法の知識がある故の先入観じゃな。使い魔になったから言葉が分かるようになる、という。しかし実はそうではない、と。
ん?それを推し進めていけば言葉が分かるからこそ使い魔になる…いや、使い魔にするために言葉を分かるようにする、のか?
…まぁ、情報が少ないからこれだけでは何とも言えぬか。…いずれにせよこのサモン・サーヴァント…じゃったか?
相当癖のある術式のようじゃな…というか、お主等そんな良く分かってない術式なんぞホイホイ実行するんでないわ。変な物を呼び出したらどうするんじゃ」
「そんな事言ったって今まで何の問題も起きなかったわけだし…大体、変な物って何よ」
「ん?そうじゃな、…やまのようにおおきなまじんとか、とてつもなくおそろしいもの、とか?」
31使い魔は四代目:2011/05/05(木) 12:07:09.44 ID:p/dvnMVu
リュオの言う「変な物」とやらが余りに荒唐無稽だったので、ルイズはからかわれていると感じ、少々ムッとしながら抗議した。

「…ちょっと、適当なこと言わないで頂戴よね」
「適当じゃないぞ。そういった物を召喚できる呪文があるんじゃ。『パルプンテ』というんじゃがな。なんなら実演して見せても良いぞ。
まぁ、実際にそういう物を召喚出来るかどうかは分からんがな、
なにせ唱えた本人にも何が起きるかわからない呪文じゃから…本当、何の為にある呪文なんじゃろうな?」
「…私に言われても分かるわけないじゃないのよ。ああもう、どうせ冗談なんでしょうけど、本当にそんな物騒な物唱えたりしないでよね」
「そうかそうか、見てみたいか。よろしい。始原の名もなき無なる神よ、混沌の太古よりその姿なき姿を現したまえ。虚無の力をわが前に現したまえ。我に」
「だから止めてってば!…全く人を驚かすのが好きなんだからもう。大体、何が虚無…え?虚無?」

リュオの詠唱を打ち切らせたルイズは、その詠唱中に出てきた言葉、「虚無」の単語に何か引っかかるものを感じた。
リュオの今の話が本当だとすれば、今の呪文は虚無の力を使って凄まじいものを召喚できるようだ。
そして、始祖ブリミルが操ったと言う、四大系統魔法に分類されない今は絶えたとされる幻の系統、虚無。
どちらにも虚無が絡むのは偶然だろうか。そして、リュオの存在自体が充分に凄まじいものなのではないのだろうか?だとすれば…?
前例の無いコントラクト・サーヴァント。リュオの存在、虚無の力を利用した召喚の呪文、それらがおぼろげながら一本の線で繋がった、ルイズはそんな気がした。
…が、すぐに自分でそれを打ち消した。馬鹿な。それでは自分は虚無の使い手ということになる。
コモンマジックすら成功しない者が始祖ブリミルと同系統の虚無の使い手などと、自惚れにも程があるというものだ。
大体、今の会話の流れだとリュオが自分をからかうために即興でそれらしく呪文の体裁を整えて唱えてみせた、というのが本当の所だろう。
それを真に受け、他人が聞いたら間違いなく誇大妄想と笑われるような考えを一瞬でも浮かべた自分が恥ずかしく、ルイズは赤い顔でリュオを睨み付けた。

「ん?どうしたんじゃ?難しい顔をして睨みおってからに」
「…いや、なんでもないわ.。ていうか、誰のせいだと思っているのよ…もう」
「ふぉっふぉっふぉっ。いや、流石に冗談が過ぎたか。済まんかったな。
しかし困ったの。いずれは字を習わなければならんが…取り合えず倉庫を漁るときはルイズにこのリストを読み上げてもらうしか無さそうじゃな。
さて、その話はここまでにして…ルイズ、一応確認しておこうかい。この世界での使い魔の勤めとは何かな?」
「…やっと本題に入れたわね。脇道に逸れ過ぎよ.、全く…そうね、色々あるけれど、主人の目となり耳となる、
秘薬の材料等といった主人の望む物を見つける、主人を護衛する、といったところかしら」
32使い魔は四代目:2011/05/05(木) 12:08:36.05 ID:p/dvnMVu
その返答が概ね予想通りのものだったので、リュオは頷くと、言葉を続けた。

「うむ、やはり使い魔のやる事はどこに行っても変わらん様じゃな。なら話が早いわい。それで、わしの見てるいものが見えているのか?」
「…駄目ね。いつもと変わらないわ」
「そうじゃったのか?わしにはルイズの見ているものが良く見えるがのぉ…これ、冗談じゃ。そんな顔で見るでないわ。
しかし、感覚を共有するというのはそういう事じゃ。自分の見ている物をずっと見られるというのは監視されているようで気分が良いものではないじゃろ?
今ルイズがそんな顔をして見せたようにな。じゃから、物は考えようじゃ。お互いこれで良かったと言う事にしようではないか。
さて、二つ目の探し物じゃな。物が分かっていれば出来なくは無いだろうが、こっちの世界のことは良く分からんから余り期待は出来んな。残念じゃったな」
「…自分で言わないで… で、最後の主人の身を守る、と言う点についてだけど。これに関しては何も言う事はないわね」
「戦闘に絶対はないから油断は出来んがな。とはいえ、大抵の敵には遅れをとらんじゃろう。
じゃが、敵が多いようなら己の生き方を振り返ってみるべきだとは思うぞ?」
「そんな敵キュルケぐらいしかいないわよ!私が言ってるのはそういうんじゃなくって…」
「ふぉっふぉっふぉ、わかっておるわい。まさかわしの力を疑うわけではあるまいな?」
「勿論凄く強いだろう、ってのは分かるんだけど、比較できるものが無いからどのくらい強いと言うのかが今ひとつ良く分からないのよね」
「それもそうじゃな。ま、それはその時がくればわかるじゃろ。正直戦闘なんぞせずに済めばそれが一番じゃからそんな時がこない事を願いたいもんじゃが…ん?誰じゃろ?」

その時、ドアをノックする音が響いた。続いてドア越しに聞こえてきた声にリュオは聞き覚えがあった。

「ミス・ヴァリエール様。夕食をお持ちしましたが」
「来たわね。開いてるわよ。入って頂戴」

ルイズの許可を受け、メイドが二人分の夕食を乗せた台車を押しながら部屋に入ってきた。リュオの予想通り、そのメイドは昼間会ったシエスタであった。

「こんばんはリュオ様、昼間はどうも」
「うむ、こんばんは、じゃなシエスタ。何じゃ、ルイズが頼んだのか?」
「そうよ。だって昼間に騒動やらかしたばかりよ?食堂で色々クラスメートに説明する事になるのも面倒だしね。
…まぁ、明日の授業からは出来るだけ一緒に出てもらうから、時間稼ぎでしかないけれど。
…それはそうと、何よ、メイドなんかといつ知り合ったの…って、私が授業に出ている間しかないか」
「うむ。偶然中庭で出会ったのじゃがな。なにやら…うむ、その。何じゃ。凶悪なドラゴンが出たという噂に怯えていたのでな。わしが落ち着かせた」
「…え?凶悪な…ドラゴン?」

ルイズは、何か嫌な予感がした。

「ミス・ヴァリエール様、リュオ様って凄いんですね!凶悪なドラゴンを見事宥めたんだそうですよ。ああ、見たかったなぁ…」
「宥めた…って…ねぇリュオ、その…凶悪なドラゴンってもしか」
「はっはっは、ん〜何の事かなフフフ」

図星だった。ルイズは内心頭を抱えた。薄々感じていた事だが、このリュオ、「話の分かる気さくな王」じゃなくて「ただ単に調子のいい王」なんじゃ…

「えぇ、まぁ、確かにその、色々と凄いメイジなのよ」

冷や汗を浮かべながらそう言ったルイズは、かなり扱いにくいけど、と内心で付け加えた。
33使い魔は四代目:2011/05/05(木) 12:10:45.09 ID:p/dvnMVu
「それはそうと、あー、あの、シエスタ、だっけ?リュオがそう言ったの?」
「はい。それだけじゃないですよ。怯えていた私を落ち着かせてくれて、厨房まで送ってくれたし、マルトーさんに怒られた時も庇ってくれたし…本当、リュオ様は素敵な紳士ですわ」
「…そ、そう、紳士、ねぇ」

どういう事なのよ?と口には出さず冷たい眼で問いかけるルイズにリュオは乾いた笑いを返した。

「…はっはっは、ルイズよ。そこら辺の所はその、何じゃ、軽く流してくれんか」
「あ、安心してください、ミス・ヴァリエール様。マルトーさん始め、厨房スタッフ総出で無礼のないよう歓待させていただきました!」
「…うむ、まぁ、そういう事だったんじゃよ」
「ああ、それで随分飲んでたのね。納得できたわ」

そう言った所でルイズはふと気付いた。このシエスタなら、リュオに好印象を持っているようだし、自分も面識はある。リュオに付けるメイドにするには丁度いいかもしれない。

「…そうね、貴女、シエスタだったわね?」
「え?そうですが… あの、私、何か粗相を?」

食事の支度の手を止め、怯えたように質問してくるシエスタを見てルイズは苦笑した。

「ああ、心配要らないわ。驚かせて御免なさい。実はこのリュオにつけるメイドを探していたんだけど、
シエスタならリュオに好印象を持っているみたいだし、丁度良いかと思ったの。
引き受けてくれるかしら?学院長の発案だからメイド長辺りには話が通っているはずだし、後の事は問題無い筈よ」
「おお、それは良いのぉ。わしもシエスタなら安心じゃ。無論、シエスタが良ければの話じゃがな」
「はぁ…それは構いませんが。そうなると、私はずっとここに詰めるような形になるのですか?」
「そこまでせんでええじゃろ。ルイズは授業もあるし…朝、出掛けるまでの間来て貰えば良いのではないか?
後は夜に少し来て貰って何か用があるならその都度やって貰う、そういう形でどうなんじゃ、ルイズ」
「うん、それで良いでしょ。確かにずっとここにいて貰うほどの仕事は無いと思うしね。じゃぁ、そういう形でよろしく頼むわ、シエスタ」

「はい、わかりました。では、早速明日の朝からこちらに伺えばよろしいのですか?」
「えぇ、それで頼むわ」
「わかりました、それではまた明日の朝伺います。それでは失礼します」
「うむ。明日からよろしくな」

深々とお辞儀をして退室するシエスタを見届けると、ルイズは口を開いた。

「さて、それじゃ冷めないうちに食べちゃいましょ。流石にお腹もすいたしね。
偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今夜もささやかな糧を我に与えたもうことを感謝いたします」
「え…ささ…やか…?」

豪華な食事を前にして祈りを捧げるルイズにリュオは言わずにはいられなかった。

「悪かったわね、生憎と学生の身だから質素な食事なのよ。そりゃ王族の食事のようにはいかないわ」
「…逆なんじゃがなぁ。まぁえぇわい。」

どこがささやかなんじゃ、竜王たる自分より余程贅沢な物食べてるわい、とリュオは多少切なく思ったが、美味そうな食事にケチを付ける気は無かったので黙っている事にした。
34使い魔は四代目:2011/05/05(木) 12:13:39.01 ID:p/dvnMVu
食事をしながらルイズは、リュオの事を聞きたがった。

「仮にも主人としては使い魔の事を良く知っておかないとね」

と、尤もらしく言ってはいたが、いかにも興味津々と言ったその表情からそれが建前であることは明白だった。
が、その事にはあえて触れず、リュオはアレフガルドで広く知られている英雄譚、そして自分とも深く関わりのある話…
つまり、ロトの子孫であるアレフが竜王から世界を救い出す戦いの話を披露する事にした。
それにルイズは眼を輝かせて、質問を挟みつつ聞き入った。
その様子を見ているだけで、リュオの中から先程感じた切なさは跡形もなく消え去っていった。

「…それで?その魔王の方の竜王と、リュオとどっちが強いの?」
「まぁ、実際会った訳でもないから比較しようがないがな、まずひい爺さんじゃろうな」
「…ちょっと待ってよ。そんなとんでもないドラゴンに、そのアレフは立ち向かったっていうの?たった一人で?」
「うむ、凄いじゃろう。伊達に勇者として延々語り継がれとらんわい。それでじゃな。ローラ姫は自分を救い出したアレフにぞっこんになってな。
まぁ無理も無い話じゃがな。『王女の愛』を授けたんじゃ。これはな…」

リュオは、どこと無く子供や孫が出来たような気分で話し続けていたが、ルイズが大きな欠伸をしたので、そこで話を止めることにした。

「なんじゃ、おねむの時間かい。確かに随分と夜も更けたし、頃合かの。続きはまた今度じゃ。
ところでルイズ…わしをどこで寝かせる気かな?」
「え、それは」
「一つ言っておくぞい。言った通り使い魔としての勤めはやってやらん事もない。
だからこそ今わしはここにいるわけじゃしな。じゃがわしにも竜王の一族としての誇りがある。
あまり馬鹿な事をさせると怒るからそのつもりでの。…例えば、床で寝ろとか」
「あああ当たり前じゃない…と言いたい所だけど生憎こんな事になるなんて思ってなかったから、ベッドは一つしかないのよね.…」
「そうじゃろうな。安心せい。わしとてルイズからベッドを取り上げて床で寝ろという気は無いわい。
まぁここは二人で一緒に寝るのが良かろう。…何じゃその目は。ワシは紳士じゃ、安心せんか」
「…一応聞くけど、ドラゴンの姿に戻って外で寝るってのはどうなの?あの姿なら寒さなんて感じないんじゃない?」
「ああ、それは良い案じゃな。夜が明けたら凄い騒ぎになりそうじゃ。それに最近風邪気味でな。
あの姿でうっかりくしゃみすると豪快に炎がなぁ。ま、ここは魔法学院じゃし耐火の魔法ぐらい」
「……一緒に寝るわよ。寝ます。寝させて下さい。寝れば良いんでしょう…」

「おお、見た目通りにふかふかじゃのう」
リュオは上機嫌でベッドに滑り込んだ。
「…はぁ…全く疲れるわぁ…」
ルイズはのろのろと着替え終えると、げんなりと横になった。

「ほっほっほ。娘っ子と一緒に寝るなんぞ何年ぶりかのう。これで『ぱふぱふ』があれば最高なんじゃが」
「…あまり聞きたくないんだけど、その『ぱふぱふ』ってなんなのよ」

その言葉にリュオはルイズを…詳しく言えばルイズの胸の辺りをしばし見つめた後に、気の毒そうな声で続けた。

「…悪かったのぉ。ルイズには縁の無い話じゃ。
……いや、むしろこれはこれでええと言う者もおるかのぉ。ふぉっふぉっふぉ」
「くっ……なにかすっごく馬鹿にされているような気がするわ…」

ルイズはしばらくぶつぶつ言っていたが、色々あって疲れていたのだろう。程なく眠りに落ちた。
リュオはその姿をしばし柔らかい表情で眺めていたが、やがて真顔に戻ると窓越しに空を見た。
リュオの視線の先には、煌々と輝き大地を優しく照らしだす、巨大な

「…二つの月か…果たしてこの地にルビスの加護は届くのかのぉ…」

少しだけしんみりとリュオは呟いた。

こうして、波乱の一日が終わったのである。そしてそれは、伝説の始まりであったのだが…
その事を知る者はまだ、誰もいない。
35つかよん!:2011/05/05(木) 12:14:34.44 ID:p/dvnMVu
以上、第六話でした。
六回に渡り続けてきた使い魔は四代目。これでひとまず終了です…一日目が…
もうちょいペース上げたいところですがね…

リュオの話に登場したDQ1の主人公、アレフですがこれも小説版の名前です。
小説読み返してみたら冒険開始当時アレフは15になったばかりだったんですな。やっぱロトの一族は半端ネェっす。
それにしても「やまのようにおおきなまじん」ってのは「魔人」「魔神」どっちなんでしょうね?
36名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 13:36:11.83 ID:nVT/Y4/L
乙でした
おじいちゃん言葉好きだわw
37名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 16:25:07.47 ID:8TfFhSkP
投下乙
38名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 17:47:30.41 ID:XJWGInCp

>やっぱロトの一族は半端ネェっす。
竹やりで送り出される勇者だからな
王様はなんと惨いことを・・・

パルプンテは小ネタで「とてつもなくおそろしいもの」を召喚してましたな
何故かサイトも
39名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 17:55:05.61 ID:j5lbi/jC


前スレ512k気付いてなかった
40ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:00:13.17 ID:xsRfgM5n
どうもみなさん、遅くなってすみません。
第三話が完成したので
誰もいないのなら5分後ぐらいに投稿したいと思います。
41ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:05:41.82 ID:xsRfgM5n
ゼロと魔王 第3話 魔王との決め事



ラハールはルイズの部屋でいろいろと説明を受けていたが、コルベールがラハールを呼び出し学院長室の前まで連れてこられた。
始めはルイズも付いて来ようとしていたが、コルベールに止められたため部屋に戻っている

「・・・この中にいる奴がここで一番偉い奴か?」
「ええ、何百年生きているのかわからないご老人ですがね」
「ほ〜う・・・」

普通数百年生きていると言われれば、もうちょっと驚くのだろうが、悪魔でありラハール自身が1000歳オーバーなので、『人間にしては長生きだな』程度にしか感じていない。

「まあ、廊下で話すよりまず先に中に入りますか。オールド・オスマン入りますがよろしいか?」

すると扉の向こうから承諾の声が聞こえたので、コルベールとラハールは扉を開け中に入った。

「ようこそトリステイン魔法学院へ魔王殿。立ち話もなんじゃし、そこに椅子をご用意した。どうぞお掛けになってください」
「何か仕掛けておらんだろうな?」

シャスが魔王城にいる時には、毎日遊びと称して死ぬギリギリの罠にかけられていたり、自分の家来であるはずのエトナに、椅子の下に爆弾を仕掛けられ爆破されたことのあるラハールは、一応罠が無いか疑ってかかった。

「そんな事はしませんよ」

ラハールは完全に信じたわけではないが、相手が座って話すのに自分が立っているのは気にくわないと思い腰を掛けたが、何もなさそうで安心した。

「それで?話とは何だ」
「その前に幾つか伺いたいがよろしいか?」
「よかろう」
「それではまず、あなたは本当に悪魔であり、魔王なのですか?」
「いかにも!オレ様が史上最凶の魔王ラハール様だ!」
「そうですか・・・それでは2つ目、あなたは人間をどう思っていますか?」
「悪魔のような人間や天使のような人間もいたりして面白いと言えば面白いが、まあ愚か者どもが多いぐらいにしか思わん」
「これはまた手厳しい答えですがその通りですじゃ。それでは最後ですが、あなたはヴァリエール嬢の使い魔になったと考えてもよろしいかな?」
「・・・・」

ラハールは少し考える。当然ラハールに使い魔になったつもりもなるつもりも無い、起きたら不当な契約をさせられていた状態だ。
それでラハールが納得するかと言われれば、それは絶対に無い。
もっと言えば、ラハールが使い魔になる事は絶対に無いだろう。
だが、ここは自分の知らない異世界で加えて力が制限されている、この状態で下手な事を言えばどうなるかわからない。
だがラハールは、嘘でも誰かに使われる事を了承するのが嫌でこう答えた。

「そんなわけなかろう。オレ様が誰かに使われるなどありえん」
「そうか・・・」

こう言ってしまった以上、何があってもいいように身構えるラハールであったが、オスマンは以外にもこう答えた。

42ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:06:47.97 ID:xsRfgM5n
「うむ、その答えを聞いて安心したわ」
「はぁ?お前頭大丈夫か?」
「いや何、人間というのは巨大な力を持つと野心なんかを持つ。ヴァリエール嬢がそうならんとも限らん以上その答えの方が安心出来るというものですじゃ」
「オレ様はあいつを殺すかもしれんぞ?」
「それならとうの昔にやっておるはず。ですがあなたは殺していない・・・それはどうしてですかな?」

質問された時、ポワワ〜ンとしたフロンの顔が浮かんだが、あれのせいではないと言い聞かせこう答えた。

「・・・別に深い意味は無い」
「それはそれでかまいません。ヴァリエール嬢は生きている、その結果がすべてじゃ」
「勝手に言っておれ。さあ、質問には答えたぞ、話とは一体なんだ?」
「ふ〜む、まずあなたの左腕に出来たルーンじゃが・・・それは何か知っておりますかな?」

ラハールは、ちらりと自分の左手の甲に出来たルーンを見てみるが、少なくとも自分が知っている文字ではないためなんと書いてあるかわからない。

「全く知らん」
「それは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンですじゃ」
「伝説の使い魔?」
「始祖ブリミルが呪文を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になる体を守る事に特化した使い魔と言われ。そして、あらゆる武器を自在に扱い、その強さは千人の軍隊を一人で壊滅させる程だったという。まあ嘘か本当か、そんな使い魔の事ですかのう」
「オレ様の手に出来たこれは伝説の使い魔のだとして、なぜオレ様にそんなものが?」
「そこがわからんのですよ。そして召喚して契約したのはあのヴァリエール嬢・・・一体何が何やら」
「・・・あいつがそのきょむだったか?その使い手という事はないのか?」

ルイズの事をよく知らないラハールだからこそこの考えに行きついたが、ルイズの今までを知っている者にとっては絶対にたどり着かない答えだろう。
その答えに対してのオスマンの反応は・・・

「第0の系統『虚無』、それについて知られている事は殆どと言っていいほどありませんが・・・ヴァリエール嬢の魔法は失敗ばかり、普通に考えればそれはありえんのですよ」
「普通ならばな、だがあいつは普通ではない魔王であるオレ様を呼んで。さらに伝説の使い魔のルーンがオレ様についた・・・ならば普通ならという答えは通用せんのではないか?」
「・・・とりあえず、これはおいおい調べていくとでもしますかな」

オスマンは完全に納得したというわけではないが、普通ではない事が続いている今の状況から一応調べてみるつもりになったらしい。

「しかし、なぜオレ様にこんな話を?」
「あなたも今の状態というものを知ってもらおうと思いましてな。ちなみにこの事が他所に漏れると、あなたはアカデミーという所に連れて行かれて徹底的に調べられてしまうかもしれんから、しゃべらん方がいいでしょう」
「・・・そんなの冗談ではないぞ」

とりあえず、この事は絶対に誰にも話さないようにしようと決めたラハールであった。

「他にも色々説明やら聞きたいことがあるがよろしいか?」
「ああ、かまわん」
「それではまず、あなたは一応東の方のメイジという事にしてもらいたい」
「なぜだ?」
「魔法を使えるのはメイジと、あと先住魔法を使えるエルフなんかですじゃ。あなたの魔法は詠唱が無いですから先住魔法に近いのですがな・・・その場合じゃといろいろ面倒くさい事になる可能性があるためですじゃ」
「つまり、オレ様はこれから何者かを聞かれた時、東のメイジだと言えばいいのか?」
「そうですじゃ。大体の奴らは魔法を使っても、疑問をもちはしても、問題はそこまでないでしょう」
43ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:07:47.93 ID:xsRfgM5n
本当はかなり際どいが、新種の魔法だとか、東の方の魔法だとか言えば少なくとも学院の生徒は騙せる・・・はず・・・とオスマンは考えている。

「他には?」
「それでは、『エクスカリバー』という剣を知っておられるか?」
「エ・・・クス・・・カリバー・・・だと・・・」

その剣の名前を聞いて、ラハールは凍りついた。
それはそうだろう、その剣に関わって今までろくな目に遭っていないからだ。

「その反応は知っているという事で間違いないですかな?」
「知っているも何も、あれの所有者はオレ様だからな、しかしなぜエクスカリバーがこの世界にある?」
「うむ、あれは数十年前にワイバーンに襲われた時に、助けてもらった二人組の一人に預けられた物なんじゃが。しかし、なぜあなたの所有している物が?」

実際問題、ラハールはエクスカリバーの所有者であるが、自分には合ってないという理由で使っておらず城の武器庫に適当に入れている。
まあそのせいで色々面倒な事が起るのであるが・・・

「そんな事は知らん」
「ふむ、とりあえずその人物は、これから現れるであろう魔王が本当の所有者だからそれに渡してやれと言いおって、助けられた手前断わるわけにもいかずに今まで預かっておったのですじゃ。相当力を持っている剣ゆえ、誰に使えんように封印しておるが・・・返そうか?」
「・・・いや、遠慮する。それはお前が持っておいてくれ」

確かに今の状態でも、エクスカリバーを持っていればかなり戦えるだろうが・・・エクスカリバーに関わってろくな事になったためしが無いため断った。
ちなみに、さっき魔王剣を出そうとした時には出てこなかったため、使うかどうか本気で迷ったのはここだけの話である。

「それは構わんが・・・しかしなぜ?」
「・・・気にするな。だがどうしても必要になった時には返してもらう」
「わかった。それまで預かっておこう」
「話はそれだけか?」
「うむ、もう結構じゃ。何か困ったことがあれば言ってくれれば用意するが?」
「・・・」

ラハールは少し考えた、何かいるものがあったかと思い出してみるが思い当たらない。

(いや、そういえば・・・)
「それなら、棺桶をくれ」
「棺桶?用意することは簡単じゃが・・・なぜそんなものが?」
「オレ様が寝るのに使う」
「・・・変わったおりますな」

オスマンは少し笑いが引きつっていたが、相手が人間ではない事を思い出し、そんなものなのだろうと適当に思っておくことにした。

「それでは、コルベール君や、棺桶のある場所まで連れて行ってやりなさい」
「はい、わかりました。さあ、こっちですぞ」

そう言い、コルベールは廊下に出ていき、その後にラハールが付いて出て行った。

「・・・ふ〜う、緊張したわい。しかし、あの者は昔助けられた2人組の1人に似ておるな・・・まあ、気のせいかの」



44ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:08:37.22 ID:xsRfgM5n
「・・・中身が入っていないとはいえ、持って歩く物ではないな」

ラハールは女子寮の中を棺桶を持って歩いていた。
それというのも、女子寮の前までコルベールが浮かせて持ってきていたのだが、女子寮の前でここからは、持って行ってくれと言われたためだ。
歩いていて少し迷いそうだったが、内装がそれほど難しい造りではなかったので、部屋の前に何とか着いた。

「ようやく、着いたか・・・」

1回棺桶を下して、ドアを開け中に入ってみると、ルイズは寝ていた。
今日1日いろいろあったために疲れが出たのだろう。
起こす必要性も感じなかったため放っておくことにして、棺桶をどこに置こうかと考えた。
結局、なぜか藁が敷いてある場所に置くことにして、やることが無い上に自分も少し眠くなったので寝ることにした。

「ハァ〜、これからどうしたものか・・・」

そう呟き、睡魔に身を委ねるラハールであった。
45ゼロと魔王:2011/05/05(木) 18:10:28.52 ID:xsRfgM5n
今回はここまでです。
ようやく、1日目が終わりました。
次回はいつになるかわかりませんが
早めに完成させたいと思います
46名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 18:16:48.91 ID:XJWGInCp

PSNがアレな所為で4のやりがいがなくて困るぜ!!
何より猫糞成功率低くね!?

・・・は、おいといて
小説版の内容に明るくないので予習と暇つぶしがてらに買ってこようと思うんだな乙
47名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 18:22:16.10 ID:j5lbi/jC

PSN復活したんじゃなかったの?



小ネタで塊魂
7万の兵で塊を大きくして
最後は大陸自体を巻き込んで…
48名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 18:42:58.07 ID:Ntv1WHFr
復活どころか、アメリカ政府まで敵に回しかねんソニーぱねえw
49名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 19:25:08.38 ID:SDwUP1Hn
つかよんの人乙
ベギラマが最強呪文だったころのファンだけど、最近のは技の数多すぎてついてけねえ
50名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 20:19:39.28 ID:ri37Eb1r
>>47
一部機能が復活、らしい

ストアで俺屍買おうと思ってポイント3k円分買って帰ったらすでに障害で繋がらなかったて愚痴
51名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 20:37:49.50 ID:brw80d3X
俺屍か、懐かしいな。
何気に人魚のネーちゃんは、台詞からして怖かったな。
「ウフフ・・・ こんな私でよけりゃ・・・いいわよ、どこからでも食べて・・・
さあ、この私の体! むしゃぶりついて ごらんなさいよ!!」
不老不死の薬ってことで人間に喰われて、効果がなきゃ黙って他の人間に売られてまた喰われて、最後は犬の群れに放りこまれて肉を齧られりゃ人間嫌いにもなるわな。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 21:00:09.36 ID:McIf6DbF
人魚といえばぬーべーの速魚も肉を食えば不老不死になるけど副作用がキツすぎる
53ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:05:27.72 ID:A8Gda2vN
今日は二つも投下されてるな。俺も仲間に入れてくれよ〜。
というわけで1、2分後から投下開始

前回が話の長さが最小に対して、今回最長なので2分割でもいけるかドキドキもんです。
これでいければこれからも大丈夫ってことになるけど
54ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:07:30.16 ID:A8Gda2vN
女教皇 優しさ・不安定

タバサがイザベラより受けた任務は過酷なモノであった。
ガリアの首都リュティスより南東に500リーグほど下った場所に存在する山間の片田舎、サビエラ村に巣くっている魔物の退治。
それだけなら騎士の仕事としては至極まっとうではあるようだが、問題はその退治すべき魔物が吸血鬼であることだ。
吸血鬼は、その名を聞いて恐怖しない者はハルケギニアにはいないと言っていいほどおそれられる魔物だ。
そして吸血鬼と戦うと命じられて恐怖しない者はあらゆる死線を越えた魔法使いか、圧倒的に危機感に欠如のある人物だけであるとされる。
吸血鬼は力ではオーク鬼、トロル鬼を下回る。彼らの使役する魔法――人間の使用する魔法とは別種の先住魔法の使い手としてはエルフに劣る。
そして太陽の光に弱いという弱点まである。
彼らを最悪の妖魔としているのは“人間と見分けがつかない”ことであった。
いかな魔法を駆使しても彼らと人間の選別することはできないのである。
                         グール
そして魔法使いが使い魔を持つように吸血鬼は一体の屍人鬼を意のままに操る。
吸血鬼に血を吸われた人間の末路は二つだけである。動かぬ死体か、動く死体か。その後者が屍人鬼である。
吸血鬼の中にはその能力と高い知性で街一つを壊滅させた者もいるという。
タバサと陽介が挑むのはそれほど凶悪な怪物なのだ。
55ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:09:32.24 ID:A8Gda2vN
さてタバサと陽介はサビエラ村にすでに到着していた。
彼らは村長宅で自己紹介をしている。ただし、事実どおりの紹介、ではなかった。
「えーと俺が魔法使いで花村陽介っていいます。で、この子は従者です、はい」
陽介はサビエラ村の村長にウソの自己紹介をしていた。
出会い頭からウソをつくなど気のいいものではないが、これはタバサの作戦だった。
それは吸血鬼にタバサが魔法使いだと悟らせないことである。
そして吸血鬼は人間の中に紛れ込み暮らしているので村中の人間全てにそう思わせなければいけないのだ。
つまり村のリーダーへのウソの自己紹介はその始まりなのだ。
当然のことながらこの世界で異質な学ランでは魔法使いとは思われないので陽介はいつもの姿ではなかった。
この世界に着いてから常に着ていた学生服ではなく、タバサが用意した魔法使いが着る服を着ていた。
また服だけでなくタバサの杖、マントを借り身につけていた。
着慣れないごわごわした服を着て、いかにも魔法使いという杖とマントを着て、陽介はなんだか冗談のようで、笑いたくなってくる。
もっとも先ほど笑いそうになったらタバサに背中をつねられたので今は笑わないようにしている。
タバサはというと陽介の隣で従者らしく荷物を持ちたたずんでいる。
荷物を持ちじっと佇んでいる姿は、そわそわして落ち着きのない陽介の変装よりはよっぽどそれらしく見えた。
もっとも彼女は役に入り込むというわけではなく、自然体であったが。
「ハナムラ・ヨースケさまですか……」
少なくなった髪は全て白となっている村長は確認するように言った。
ハナムラ・ヨースケという名前を変わったものと思ったのだろう。確かにこの世界では珍しい名前であろう。
実際、初めてタバサたちに名前を言ったときもキュルケとルイズに変な名前と言われた。
しかし彼は確認にとどめ名前のことはそれ以上触れなかった。
この世界だと魔法使いはイコールで貴族らしいから、貴族の名前を面と向かって変とは言わないのだろうと陽介は解釈した。
「それでは事件のことを話させていただきます」
犠牲者は報告に聞いていたとおり前任の魔法使い一人を含めた9人。
村では誰もが人を屍人鬼ではないかと疑心暗鬼に満ち、村を出て行く者も止まらない出血のようであるという。
「屍人鬼には吸血の痕があるはずと調べてみましたが、なにせこの山の中ですから、首に傷があるものだけでも7人はいましたわ」
陽介はタバサを見る。タバサは首をかすかに振った。
たとえ傷を見つけてもそれを吸血鬼のものかヒルや虫などがつけたものとの判別は難しいということだろう。
「そんなわけですじゃ……」
村長は自分の無力さを恥じるようにうつむいた。
その隙にタバサは陽介に耳打ちをした。陽介は戸惑ったが、尤もな事でもあるので結局従った。
「調査の前に村長さんの体を調べさせてもらいたいんですけど、いいっスかね?」
村長はぽかんと口を開けた。
「わしを屍人鬼と疑っているのですか?」
「あ、いや、そういうわけじゃ……って、そーなんですけど」
陽介は手を顔の前で振りながら否定しようとするが、否定するのもおかしいと気付いてその手で頭をかく。
「……こんな老いぼれの体ですじゃ。恥ずかしがることなどありません。存分にお確かめ下さい」
村長は服を脱ぎ、生まれたままの姿になった。タバサは陽介を押しのけその老体を調べた。
小さい女の子が老人の裸体をじっと調べる光景はある意味魔法以上に現実感のない光景だな。
と、緊張感のないことを陽介が考えているうちに調べ終わった。
タバサのアイコンタクトを受けて村長に終わったと告げる。
「疑いは晴れましたかの。では、騎士さま、よろしくお願いしますじゃ」
56ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:11:37.78 ID:A8Gda2vN
その時、陽介は女の子が廊下にいることに気付いた。小さな顔が扉の隙間から覗き込むように見ている。
「誰ですか、あの子?」
「エルザといいます。お入りエルザ、騎士さまにご挨拶なさい」
少女は脅えた表情のまま入室し、硬い礼をした。
陽介は笑顔を浮かべる。小さい子と話すときは笑顔が大切なのだ。
「エルザって言うんだ、キミ?いい名前だね、エルザちゃん」
陽介は知り合いの小さな女の子のことも思い出されなんだか微笑ましくなった。
彼の親友の妹――本当は従妹だが――は活発で年齢に似合わず理知的な子だったが、
たしか初めて会ったときはお兄ちゃんに隠れるようにモジモジしていたものだ。
昔の記憶が思い出され、自然と笑う陽介の耳元で、タバサが再び囁いた。
「うっそ!この子も調べんの!?」
陽介は素っ頓狂な声を上げ、村長は首を振った。
「この子は勘弁してやってください」
エルザはガタガタと脅えきっていた。
陽介も、こんな小さい子を裸にするのは……。と気乗りではないところを、タバサに思い切り背中をつねられる。
「イッテ!れ、例外は認められないんで!」
タバサの言うことが情がないように見えても、実際問題として正しいから従うのだ。
決して痛いのが嫌だからタバサの言うとおりにするのではない。
村長は悲しげに呟いた。
「エルザ、服をお脱ぎなさい」
エルザは恐ろしいのか、体を震わしながら服を脱いだ。透き通るように白い肌が現れる。再びタバサは念入りに裸体を調べ、頷いた。
「もういいよ、良く我慢したねエルザちゃん、えらいぞ」
陽介ができる限り優しい声で言うが、エルザはわんわんと泣き出し服を抱え逃げ出してしまった。
「嫌われちまったな……。当たり前だけどさ……」
しょうがないというふうに陽介は目をつぶって頭を振る。
「失礼をお詫びします。でも堪忍してやってください…。あの子はメイジが怖いのです」
「いやいや別に気にしてないっすから。……ってメイジが怖い?」
「エルザは両親をメイジに殺されておりますのじゃ」
「両親ってことはお子さんですか……?」
ためらいがちに陽介は尋ねる。村長はエルザの親というには年をとり過ぎている。陽介はエルザを村長の孫だと当たりをつけている。
村長は首を振った。
「あの子とわしに血のつながりはありません。拾い子ですじゃ。一年ほど前、寺院で捨てられたのです。
聞けば両親はメイジに殺されて、逃げてきたのとことでの。おそらく無礼討ちにされたか、メイジの盗賊に襲われたか……。
森は妖魔以外の危険もいっぱいですじゃ。家族のいないわしはあの子を引き取ったのです」
「そんなことが……」
村長は遠い目を見せる。
「わしはあの子の笑った顔をみたことがないですじゃ。体も弱くて……、あまり外で遊ばせてやれることもできん……。
一度でいいからあの子の笑顔をみたいもんじゃのう……」
陽介は思わずタバサを見てしまう。
彼女はいつもどおりの無表情のまま。
陽介は考えてしまう。この世界に来てから数日しか経っていないが、自分も彼女の笑顔を見たことがない。
笑顔だけじゃない。喜怒哀楽という感情を顔に出したところを彼は見たことがない。
自分を使い魔にした少女も何か笑顔になれない理由があるのだろうか。あのエルザという少女と同じような、悲しい何かが……。
57ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:13:39.03 ID:A8Gda2vN
タバサと陽介は調査を開始した。
まずは被害者である女性たちの家を調べている。吸血鬼は若い女の血を好むという。
なるほど派遣され返り討ちにあってしまったメイジ以外全て若い女性だった。
状況もほぼ同じで窓・扉を固く閉め切っているというのに、吸血鬼はどこからか侵入し、ベッドで眠る女性の血を吸いつくすという。
護衛で何人かいるそうだが、なぜかいつも寝てしまうという。
「“眠り”の先住魔法……」
タバサがぽつりと呟いた。
陽介はバステ魔法みたいなもんか。と一人納得した。
「でもどっから入って来たんだ?」
陽介は首をひねる。その被害者の宅は、できる限り惨劇当時のままでとどめられていた。
当然死体は運び出されたが、寝具や家具に至るまでそのままである。
窓には板が打ち付けられている。事件当時、ドアの前には開かないようにと家具が山と置かれていたそうだ。
ところが事件後、窓に打ち付けられた板は一枚もはがされておらず、
ドアに至っては家具が動いていないどころか鍵さえ外されてもいなかったという。
「完璧な密室殺人だな、こりゃ……」
陽介はチラっと彼の主を見る。その矮躯はすすで黒く汚れていた。部屋に備え付けられた煙突を入って調べたからだ。
薄汚れたというのに証拠は何も見つからないんだから、言っちゃ悪いが徒労っぽいな。と陽介は口に出さず思った。
「吸血鬼は蝙蝠になって家の隙間から入って来ると言います。本当でしょうか?」
調査する陽介たちと同室していた被害者の親が尋ねる。
陽介は妖怪についての専門知識どころか、この世界の常識すらろくすっぽ知らないので返答に困る。そうするとタバサが従者として答える。
「吸血鬼は変化の魔法は使えない」
老夫婦は従者の言うことは本当なのかというように陽介を見る。
「そ、そーです。吸血鬼はそんなことできません」
陽介はタバサの助け舟をありがたく思いながら、せいぜい魔法使いらしく見えるように偉ぶって言った。
窓の外に、荷物を満載した馬車がごとごととあぜ道を行くのが見えた。
被害者の老父はその光景を見ながら陽介たちに説明する。
「村を出て行く者たちです。若い娘がいる家族はどんどん出て行きます。わしらも準備していたんですが……」
間に合いませんでしたねえ……と老母が言葉の先を引き取った。
陽介の脳裏に昨年、彼の住んだ町に起きた連続誘拐・殺人事件が思い出される。その被害者の一人は彼にとって大切な人であった。
だから理不尽によって娘を殺された老夫婦の気持ちも分かった。
陽介が失ったのは肉親ではなかった。ただ、好きな人だった。
この事件を解決しよう。
最初は、元の世界に戻る方法を探すには魔法使いの協力が不可欠だから、渋々ながらタバサに付いて来ただけだった。
人々が殺されていることを知り、残された遺族と出会い、陽介はもう他人事とは思えない。陽介はこの村の恐怖を払うことを強く決意した。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 21:13:40.39 ID:OCoxPGvv
支援。
59ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:15:40.56 ID:A8Gda2vN
陽介たちが外に出るとなにやら騒ぎが起こっていた。
十数人の村人たちが物々しい雰囲気で歩いて行く。それぞれが鍬などの得物を携えている。火のついた松明を持っている者もいた。
陽介は不審に思った。
「なんだこりゃ……っておい?」
タバサは村人たちの後に続くようだ。陽介はしかたがないと先に歩いていくタバサの後を追う。
人々の流れに乗っていくとたどり着いたのは村はずれのあばら家だった。
人々がその家を取り囲み、口々に喚いている。
「出て来い!吸血鬼!」
「吸血鬼だって!?」
陽介は驚いた。あの家の中に吸血鬼がいるというのか?
見るとあばら家から四十前くらいに見える屈強な男が出てきて村人たちに怒鳴った。
「誰が吸血鬼だ!失礼なことを言うんじゃねえ!」
「アレキサンドル!お前達が一番怪しいんだよ!よそ者が!吸血鬼を出せ!」
「吸血鬼なんかいねえよ!」
「いるだろうが!昼間には出てこねえババアが!」
「おっかあを捕まえて吸血鬼とはどういうこった!病気で寝てるだけだ!」
「いいからここまで連れて来い!確かめてやる!」
「できるわけねえだろう!病気で寝てるんだから!」
「日の光に当たったら皮膚が焼けちまうからだろう!?」
「だから病気だって言ってるだろう!」
一触即発の雰囲気であった。
危ういものを感じて陽介は割って入った。
「ちょっと待てって!落ち着け!」
「なんだよコラ!引っ込んでろ!」
アレクサンドルと言い争っていた村人は陽介を怒鳴りつけるが、他の村人が彼の手にある節くれだった杖に気付いたようだ。
「貴族!」
「お城からいらっしゃった騎士さまじゃねえか」
陽介は今自分が演じている役を思い出し、それらしく振舞いこの場を納めようとする。
「そうだ。俺は騎士だ!だからおとなしくしてもらうぜ」
「だったらこの家のもんを調べて下せえ!間違いなく吸血鬼だ!」
陽介は嫌な気分になった。村長から聞いたとおりこの村には疑心暗鬼が蔓延しているようだ。
このままでは些細なことでだれかがリンチにあってしまいかねない。
「俺たちが調べっから、頼むからおとなしくしててくれ!」
村人たちが不思議そうな顔になる。頼むのは貴族らしくなかったか?と陽介は言葉の選択のミスを悟る。
「本当に貴族なのか、あんた?」
「ほ、本当に貴族で魔法使いだっつーの」
「だったら何か魔法を見せてくれ」
陽介はさっと血の気が引いていくのを感じた。
陽介は当然ながら魔法使いではない。ペルソナ使いとして魔法を使えるが、それはこの世界の魔法とは明らかに違う。
いくらこの世界のことを未だ理解していないと言っても、魔法を使う際に自身の化身を呼び出して魔法を使うのが一般的なことではないのはわかっていた。
困り陽介は隣で佇むタバサにヘルプの目配せをした。
「…タバサ」
しかし頼みの綱タバサはぼうっと立っているだけでなんのアドバイスもしない。
「なんだよ!魔法が使えないのか?」
「そんな騎士さまがいるものか!」
村人にどやされ陽介は困り果てた。ちょっと泣きそうだった。
60ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:17:46.35 ID:A8Gda2vN
そこでやっとタバサがその重いというかそもそも喋るための物かわからない口をようやく開いた。
「この騎士さまは音に聞こえた偉大なメイジである」
「ガキは黙ってろ!」
罵声に構わず淡々と喋り続ける。
「ただし、今は精神力が溜まってないのである。したがってあなたたちが望むような魔法が使えないのである」
「お城は何を考えているんだ!そんな情けない騎士なんかよこすな」
村人たちにあきれた顔が浮かぶ。
そこへ村長がやって来た。騒ぎを聞きつけてきたのであろう。
「お前たち何をしておるんじゃ!証拠もないのに誰かを屍人鬼に決め付けるなんてとんでもないことじゃ!
吸血鬼も怖いが、我らがお互いに疑い合うような事態はもっと恐いんじゃ!」
村長の説教に村人たちはしゅんと頭をたれた。
「でも村長……あいつの首には二つの牙のあとがあるんですよ」
アレクサンドルは激昂した。
「だから山ビルに食われたあとだっていってあるだろう。何度いったらわかるんだよ!」
タバサと陽介は駆け寄ってアレキサンドルの首を調べた。確かに赤い二つの傷が首にあった。
しかし、治りかけなので虫に刺された傷と区別がつかない。証拠としては薄弱であった。
「首に傷がついてるのは俺だけじゃないだろう?よそ者だからって俺ばっかり疑うのはひでえじゃねえか」
「とりあえず、お前の母親を改めさせてくれ」
村人の一人がそう言うと他のの村人たちも同調した。
「わかったよ!」
アレクサンドルは村人たちと陽介たちをあばら家の中へと案内した。家の中は一部屋だけであった。土間の奥に粗末なベッドが見えた。
人が入ってきたことに気付き、その上で寝ていた老婆が身を起こした。赤い派手な服を着ている。
「おい!マゼンダ婆さん!失礼するぜ!」
そう言うと老婆は「おお、おおお……」と、うめいて布団をかぶってしまった。
何人かが近づいて布団を引っぺがそうとする。
乱暴な扱いを受けようとする母を見てアレキサンドルは止めようとしたが、彼を数人の村人が羽交い絞めにして動けなくする。
一人は脅える老婆の口を無理矢理開いた。
「どうだ、レオン?」
「お袋は牙どころか歯すらねえよ!」
アレクサンドルが怒鳴り、調べていた青年レオンが頷く。それからレオンは、困ったことになったと様子を見ていた陽介たちに顔を向けた。
「騎士さま、たしか吸血鬼は血を吸う寸前まで牙をしまっておけるんでしたよね?」
陽介は横目でタバサを見る。こくりとタバサは頷いた。
「あ、ああ。そうらしい」
「じゃあ、歯がないからって吸血鬼じゃないって決まったわけじゃない」
「なんだと!」
アレクサンドルが再び激昂した。
あばら家は騒然となったが、村長が諫め、村人たちはしぶしぶといった感じで引き返していった。
「騎士さま、本当にお願いいたします。わしに出来ることならなんでもしますからの」
村長は神妙に頭を下げた。
陽介はさっそく村長に頼み事をする。もちろん、タバサに言われたとおりに。
それは自分の宿泊している村長の屋敷に、村に残っている全ての若い娘を集めてくれるようにと頼んだのだった。
おおよそ15人がタバサの寝泊りしている部屋の隣の大部屋に詰め込まれた。
それだけのことをするとタバサは調査を切り上げ、陽介を連れて自分の部屋に戻ってしまった。
人目もなくなったことで陽介はタバサに話始めた。
「アレクサンドルって親子が怪しいのはわかるけどよ……。違うような気がすんだよな……」
タバサは興味があるのかないのか判断のつかない無表情のまま尋ねた。
「どうして?」
「いや、あんまりにも怪しすぎるからってだけなんだけどさ。わかりやすいことが真実ってわけでもないだろ?
それに吸血鬼って頭いいらしいじゃん。ならそんな簡単に疑われるのかって……」
彼の言葉の言うことをどう思ったかはわからない。
彼女は「これから眠る」とだけ言った。
昼間なのにと陽介は思ったが、タバサはあっという間に寝付いてしまい、自分もやることもないので彼女にならうことにした。
61ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:19:55.93 ID:A8Gda2vN
時刻は夜である。
陽介は人目もはばからず、それどころか見せ付けるように酒をあおっていた。
現在、陽介の手にはタバサの節くれだった杖はなく、彼女も近くにはいない。
これは作戦である。
魔法使いが杖を持たずに酒を飲んでいるというのは、それを襲うモノとしては絶好の機会であり、何かしらのアクションを起こすはずである。
タバサは杖を持っていない魔法使い役の陽介を襲うときに不意を討つつもりである。
そのために彼女は陽介が酒を飲んでいる村長宅の庭にある納屋に隠れている。
だが陽介が酒を飲んで数刻経つが、吸血鬼は未だに姿を見せない。
陽介は顔を赤くしながら未だにちびちびと酒を飲んでいる。
「ういー、しょーじきなトコロ、おんなじご主人様にするならクマみたいにボンッキュッボンがよかったなー。なんつって…あいて!」
タバサの投げた石が使い魔にヒットした。
陽介が頭をなでていると、
「……きぃやあああああああああ」
という叫び声が聞こえた。その声は一階から聞こえてきた。
タバサが飛び出し、陽介も後に続く。
声は女性たちを集めた部屋からではなかった。幼い声であった。
家を外側から沿うように走ると割られた窓が見つかった。エルザの部屋だ。
杖を掴んだタバサ、そして陽介はそこから跳び込んだ。
「いやあああああああ!」
毛布をかぶって震えていたエルザは大きな悲鳴を上げる。
「大丈夫だ!俺たちだから安心してくれ!」
陽介は安心させようと力強く言う。しかし少女は震えているばかりである。
「くそっ、こんな小さい子まで……!」
陽介は憤りを隠せなかった。
それに対し、タバサは先ほどまでの緊張感も顔から消えて、いつもどおりの表情を浮かべていた。

それから少し経って、少し落ち着きを取り戻したエルザは小さな怯えた声で話し始めた。
「……お、男の人がいきなり入ってきて、私の体を掴もうとしたの」
「どんな奴だった?」
陽介が尋ねると、ひ!とうめきエルザは毛布をかぶってしまった。
彼女は両親を殺されたためにメイジを恐れているのだった。
実際は違うのだが純真な子供に怯えられるのは少し傷つくものだった。
「お、おねえちゃんもメイジなの?」
毛布の隙間から杖を握ったタバサに問いかける。タバサは恭しく陽介に杖を渡し、少女に向き直った。
「わたしはメイジじゃない。ちょっと騎士さまの杖を預かってただけ。だから安心して」
「魔法を使わない?」
「使えない」
タバサは表情を変えずに言った。
「寝てたら……、耳のそばで荒い息がしたの……。
そして目を開けたら男の人が立って、私をじっと見つめていたの。わたし、びっくりして叫んだの」
エルザは泣きそうな顔でタバサにしがみついた。
「口から牙が生えてて……、だらだら涎が垂れてきて……、ひっぐ、うっぐ、えぐ……」
エルザは泣き出した。
「もう大丈夫。その人は見覚えのある人だった?」
「……暗くてわかんなかった」
陽介とタバサが近づいてきたのに気付いたのか、男は何もせず出て行ったという。
その直後に陽介たちが飛び込んできたらしい。
「だから……、おねえちゃんたちが吸血鬼だと思ったの……」
「誰も見なかったよな。入れ違いだったか……!」
その男はおそらく屍人鬼だろう。だれかが分かれば、重要な手がかりとなったのに。
陽介は悪態をついて残念がった。
62ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:22:08.90 ID:A8Gda2vN
事態を村人たちに説明してタバサたちはエルザも伴って部屋に戻った。連れて来たのはタバサであった。
怯えていて一人では眠れそうにないということは陽介も思っていたことだが、タバサがそのように気を使ったことに陽介は少なからず驚いた。
親切心を見せながらも無表情のままのタバサの評価を上方修正する。
「それじゃあ、俺は寝るからなにかあったら起こすんだぞ」
陽介はエルザの目もあるので杖は自分で持っておくことにする。なにかあればすぐにタバサに投げ渡すつもりだ。
寝るという口実で従者役のタバサに預ける、ということも考えたが、エルザはメイジを恐れている。
せっかく彼女がなついているタバサにメイジの杖を渡すことをはばかったのだ。
タバサは何も言わないが、おそらくそれでいいと思っているだろう。
「こわい……」
「大丈夫」
寝たふりをしている陽介の耳に小さな少女とそれよりさらに小さい少女の会話が届く。
タバサの武器である杖を持っている以上、急変あればすぐにでも渡せるように寝るわけにはいかない。
「おねえちゃんはえらいよね、こどもなのにいっしょうけんめい、いっしょうけんめい働いてて、えらいなあ……。おねえちゃんのパパとママは何してるの?」
しばしの沈黙。
「パパはいない。ママはいる」
「そう。わたしのパパとママはメイジにころされたの。わたしの前で。まほうで。虫けらみいに……。だからわたしメイジきらい。おねえちゃんのパパはどうして死んだの?」
少しだけ沈黙があり、
「殺された」
とタバサは呟くように言った。
「魔法で?」
「魔法じゃない」
「じゃあママはどうしてるの?」
「寝たっきり」
陽介は横になりながらも起きて二人の話を聞いていた。
それにしてもタバサが言ったことは本当であろうか。
タバサのことだから自分が起きていることはわかっているだろうから、自分にも聞こえていることがわかって話したのであろう。
父が殺され、母が寝たきりとはどういうことだろう。彼女の身になにがあったのだろうか……。
陽介が考えごとをしているうちにエルザはタバサとさらに2,3言交わした後に寝ついたようだった。
そこに村人たちから事のあらましを聞いた村長が飛び込んできた。
「エルザ!おおエルザ!無事だったか!」
陽介はベッドから身を起こしエルザを指差し、人指し指を口に添え静かにするように示した。
村長はスヤスヤと寝ているエルザを見て安心したようだった。そして声のトーンを下げた。
「どうやら無事なようでほっとしました」
「今日から俺たちが預かります」
「そうして下されば安心ですじゃ……。しかしまさかこんな小さな子までとは……、
なんともはや、吸血鬼というのは血も涙もない連中ですのう……」
村長が出て行き、陽介は再び毛布にもぐった。布団の中でタバサの身の上について考えているうちに本当に眠ってしまった。
元の世界では飲めない酒を、いい機会だと調子に乗って飲みすぎてしまったようだ。
63ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 前編:2011/05/05(木) 21:26:44.57 ID:A8Gda2vN
投下終了。支援への感謝です。

毎回入れてるサブタイトルは「厨二病?」って思うかもしれませんが、厨二病なだけでなくいくつか意味があります。
話の方向性を示すためだったり、何より一番重要なのは話数制限を設けることですね

話は変わりますがゼロの使い魔原作で一番好きなキャラはイルククゥだったりします
64名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 21:37:22.21 ID:T39Mmatt
ペルソナ乙

複数召喚ってどうなの?とか思ってたけど
各召喚者で別々の話の流れになるのっておもしろいなあ
65名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/05(木) 22:13:37.19 ID:hB6MwXGY
ペルソナの人、乙。

ところでまとめサイトで2章は前半、後半でわけられていて今回の4章は前編、後編でわけられてるみたいですけど・・・・いいのかな。
66ゼロのペルソナ:2011/05/05(木) 22:46:55.92 ID:A8Gda2vN
>>65
あー、すんません。ソレ、俺のミスですね。
最初は前半・後半で分けようと思ったんですけど3分割するときに困るなと気付いて、前編・後編にしました。
というわけで編で統一していきます。
あと、ミスといえば>>54のグールのルビがズレまくってますね。吸血鬼ではなかく屍人鬼の上です。
コピペしたまま、プレビューしないからこんなことに……

>>64
そのうち、陽介たちも合流しますが、出来る限り誰も空気にはならないように頑張るのでご容赦を。
メインキャラは絞ってますしね
67名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 12:21:25.65 ID:ng9YjRJe
このエルザは悪だな、乙
68名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 16:43:27.66 ID:7iZA15hH
>>35
魔神でないかな
いや単に大魔神が好きだから言ってるだけだけど
69名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 17:14:37.50 ID:12ivTIwL
最近投下が多くて毎日見に来るのが楽しいのである^^
70名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 19:22:46.88 ID:e0evMVPz
エルザにグールにされたアレクサンデルって男、いつも思うが役柄の割には名前だけやたらかっこいいよな
71名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 19:53:44.43 ID:aknLFEz+
スパロボやってて「そういや以前に最低野郎が召喚された小ネタがあったな」と思い出して
コチャック召喚の小ネタを呼んで犬と呼ばれて激昂するというくだりを見て思い出した

種死のスティングのブロックワードが「犬」だという説があったなぁ、と

キレられるならまだしも泣き喚いて取り乱して行動不能になる姿を見たら
流石のルイズも犬とか言えなくなりそうだ
アウルにしろステラにしろ、フーケ戦までで潰れそうな気がしてきた
どっちにしろこの子らは薬が・・・だけど

オルガがタバサと本の貸し借りをする仲になる・・なんてのもちょっと思い浮かんだが
本を持ってこられればの話だな
72名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 19:59:36.75 ID:7g4xxdlX
>>71
旧三馬鹿の誰かが召喚されたのなら知ってるけど、出だしだけでそれ以後音沙汰なしだったな…
(このスレじゃないけど)
確かカラミティのパイロット
73Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:10:02.97 ID:v+1h2SdT
長くなった上に、途中で最初から書き直すことにした後半部分
結局、前回投稿分でLOG5@ENDして、次からはLOG.6になり、GBEの発砲シーンは更に後になってしまった

時間も無いので投下開始
74Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:10:53.31 ID:v+1h2SdT
LOG-6 襲撃者

・・・王都トリスタニアは、学院から徒歩で二日、馬の足なら二時間の距離であるという。
正確な距離は不明だが、霧亥にとっては徒歩でも何の問題も無い距離である。
もし、なんらかの移動手段を講じるというのなら、この程度は軌道車両や昇降機の類を用いれば、直線機動なら数分で到達可能になる距離だ。
歩くのは耐えられない、徒歩以外の移動手段も貧弱とは、なんとも頼りない。
仕方なしに、水と蛋白質の塊が制御不能なニューラルネットワークに指示されて牽いている、今にも致命的な損傷が発生しそうな車両に霧亥は乗っている。
もちろん霧亥は、この馬車が今この場で分解しても痛くもかゆくも無い。
むしろ、横転程度でも生命の危機に陥りそうなルイズが、顔色一つも変えずに揺られていることが、普段の彼女からすると理解できない。
「あれがトリスタニア。もう王城も見えるわよ」
真っ白な建材で出来た建造物が立ち並んでいる。
構成物質からは、堆積層を破って露出した地殻の一部を切り出して作られたらしいことが分かる。
中央の施設が王城だろうか?
学院と同じく、結合力等が意図的に改変されており、走査しにくい。
無数の有機物が動き回っているが、特に王城の内部には、金属製品を帯びて直立不動のものや、空中を浮遊する影など妙なものが見える。
“王”の何たるかを霧亥は当然知らないが、王への忠誠などといった言葉を聞いたことがある。
ルイズの簡単な説明からも、政治的な存在らしいことが分かる。
大方、貴族のように「近親間の交配で遺伝子情報を可能な限り変化させないように努力してきた」ような個体がその任に当たるのだろう。
統治者生育のためのリソースを最小限に収めるのはいいが、相対的高等教育を受けてなお、決して有能な存在とは思えない者たちに集中させるのは危険だ。
移民最初期の遺伝端末移植による魔法の使用権限が残っているだけで、その能力は平民と大差なく、むしろ魔法使用に多くを割くために、同等の教育を受ければそれ以外では劣る。
ましてや、目の前の集落の様子を見ても分かるように、比率において平民が圧倒しているのだ。
才能ある者達が偶然生まれ出る確率は平民のほうが遥かに高い。
常識的な社会であれば、貴族とは魔法使用に特化した専門職としての運命を誕生と同時に背負わされる。
もしかすると単純に、一対一の殴り合いでは貴族が有利という原始的な恐怖から、このような体制が生まれたのかもしれない。
ハードウェア―――肉体の性能が平民と互角である以上、そうまで圧倒的な優位性があるとは思えなかった。
もっともこの見解は、ハルケギニアが積み重ねてきたのとは、比較することすら困難な闘争の知識と理論を溜め込んでいる霧亥の考えであり、ここの人間が共有できるものではない。
遺伝子の変異を悪とし、古いものを善しとし保守するのも、殖民初期の文明が失われることへの恐怖の名残だろうと霧亥は納得した。
それはそうと、気になることが一つ、霧亥にはあったので、馬の足音に消されそうな感情の無い声を出す。
「ルイズ」
「えっ?」
霧亥のほうから話しかけてくるとは、まったくの不意打ちだったので、「機会があれば講釈しよう」と頭の中でまとめていた言葉も消し飛んだ。
「なんてここには天井が無いんだ?」
ルイズはいっている言葉の意味が分からず、間抜けに口をあける。
霧亥の基準で言えば、集落に一つの構造としての連結が無く、吹き曝しというのはどうにも理解できなかい。
もっと言えば、人か活動可能な領域全てに、いわゆる“床”と“天井”にあたるものが存在しない場所があるというのも、少し前の彼には想像出来ないことだった…。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 20:10:55.25 ID:OgP+KdeM
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76Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:11:57.89 ID:v+1h2SdT
 
「ブルドンネ街に入ったわ」
のろのろ走行するうちに、ついに集落に進入した霧亥だが、学院以上に悲惨な有様だった。
狭い道端に食物が置かれ、自制の効かない動物の排泄物が放り出される。
住民たちの衛生・健康状態もとても良いとはいえない。
霧亥が最初に驚愕した、そこら中に微生物が存在するという事実は、この世界の人々にとっては致命的な事態を引き起こしかねないらしい。
それを自ら引き起こそうとしているかのように、体表の老廃物もそのままに、着の身着のままでいるものばかりだ。
栄養状態の悪さは、食糧生産が貧弱で、供給が間に合っていないということだろう。
なるほど、貴族というのはこの世界の上澄みであるというのは真実らしい。
「で、ここからは歩きね」
馬車を降り、有機物で汚れきった路地裏に入る。
ここで霧亥は、奇妙な視線に気がついた。
「早くついてきなさいよ、こっちだってば」
滞りなく、何の変哲も無い買い物が進行しているのであれば、何もこの言葉を霧亥は無視するつもりなど無かったが、どうやらそうもいかない。
「そこにいろ」
「え………」
ルイズが追おうとして振り返ると、もう霧亥の姿は無い。
あの目立つ姿で一瞬のうちに人ごみに溶けてしまうとは、とても信じられなかった。
ちなみに、このとき霧亥は特別な歩行法はとっていない。
先ほど問題になった自重を生かして、人ごみをかき分ける形で歩いただけだ。
かき分けるたびに、様々な状態の人間が目に映る。
人ごみの分析を、遺伝情報レベルまで進めていくが、あくまで目指すのは一つ。

「おい」

理由はともかく、目の前の男が先ほどから自分たちに注意を向けていたことは分かっていた。
男がいつでも戦闘行動を取れるようにしていたことも、霧亥が近づき始めたので位置を動かしたことも、監視対象を見失って狼狽したことも分かっていた。
何者であれ、敵対行動一歩手前であるし、先制され、イニシアティブを奪われぬためにも、接触はこちらからするべきだ―――そうして声を掛けたのだが、どうやら必要以上に驚かせたらしい。
男は魔法の発動体を取り出し、元素変成で何かを右腕に構築し始める。
何らかの後ろめたさがあるからこその行動であるなら、間違いなく彼は霧亥の敵であり、霧亥はそういったものに一切容赦はしない。
何かを始めようとして、そこまでで男の行動は終わった。
霧亥はゆっくりと銃をホルスターに戻す。
男の上半身は地面に落下し、下半身は激しく痙攣しながら跪く。
ギーシュのときとは違い、出力を下げ、照射時間を延ばした射撃は、一瞬で胴体の中心を横薙ぎに蒸発させる。
男は息絶えることも反撃することもかなわず、声を殺して数秒呻いて事切れた。
裏通りで阿多ことが幸いし、廃棄物にまぎれた死体に人は気づいていない。
男が全力で距離をとろうとしていたというのに、ゆっくりと歩いてやってきた霧亥と遭遇するのに300秒も無かった。
一体彼らが何者であるのか、学院で可能な限りの広範囲の情報を集めていた際には、こういった事態の兆候は伺えなかったので見当も付かない。
77Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:14:22.46 ID:v+1h2SdT
排除するか尋問するか…霧亥は前者を採った。
後はもう幾つか気になる影があったが、まずはルイズのほうを監視していたもう一つ。
魔法が作用した建築物などによって視覚が遮られる可能性はあるが、十分に経験を積んだ霧亥は、もう自分の銃の位置を見失うことも、敵性体を見逃すことも無い。
位置さえ分かれば、すでに自身は追跡者たちの知覚領域から完全に外れているので、気づかれずに接近するのは楽なものだ。
次はルイズと同程度の成長度合いの女性体である。
身体能力的には何の障害もあるまい。
ルイズに接触し、何やら会話をした後、一旦離れて近くの廃屋の一室に侵入しようとしている。
接触時には言語野の活性化が見られた以外、好戦的とも危険とも取れる兆候は無かったので、壁越しの射撃は取りやめる。
霧亥は、少女の向かう廃屋の窓際に立ってタイミングを計ると、中に手を突っ込んでその少女を引きずり出した。
「―――っ!?」
何かを言う前に、霧亥は銃口を突きつける。
「まって、話なら………」
対象が有機体である、といった様なあまり意味の無い情報に混じって、先ほどの男との関係をうかがわせる情報の数々が入り込んでくる。
話を聞くのも悪くないが、聞き出せそうなことはほとんど“視る”ことが出来たので、もうどうでもよかった。
隠し持った武器を取り出される前に、霧亥はその頭部を蒸発させ、直後につかんだままの手を大きく振って、家屋の間に詰め込む。
騒ぎを起こされてはたまったものではない。
ただすでに関係者はこちらの動きに感づいたようだが…二つの影が合流している。
何れも武器を帯びていることは疑いようがなかった。
呼応するように、霧亥はまたゆっくりと歩き出す。
壁越しに見える敵性体二つを走査しながら、再び手ごろな路地裏に踏み込む。
進路を塞いだ四足歩行動物を手で掴んで抛り棄てたところで、その二人が現れる。
両脇の建物の影から一人ずつ。
「ジャネットとジャックを殺したな? この元素の兄弟を二人か、見事なものだ」
それが自分の殺した二人の名であることは、霧亥にも理解できる。
お互い、先ほどからの流れは把握できているらしい。
言葉こそ交わしていないが、今回はある意味双方同意の上でこの場に居合わせたことになる。
少しは話が出来そうだ。
外観年齢は幼いが、抗老化処置を施したのか、あるいは遺伝的特徴か、少なくとも脳の大脳皮質を見るに、十年そこらではない情報が蓄積されている。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 20:15:13.12 ID:OgP+KdeM
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79Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:15:19.44 ID:v+1h2SdT
「ダミアン兄さん、殺そう………」
それに比べると、もう一人はまともな交渉が出来ないほどの興奮具合だ。
「黙っていろ、ドゥドゥー………お前が東方から召喚されたことは確信できた。俺たちと来るんだ、こっちなら、お前の帰還にも協力できるはずだ」
見返りは貰うが、とでも言いたげである。
実際、彼の脳内のニューロンの発火は、間違いなくそうだと語っている。
とても信用できたものではない。
そして、彼らが今まさに自分の存在を確認し、密偵の類である彼ら以外の誰にもいまだに知らせられていないということも、また語っている。
なら問題ない。
とくに向こうが優位であるわけでもないなら、こんな急場の交渉などせずとも、ここを凌いでゆっくり後日対処すればいい。
こうも自信に満ち、高圧的な要求が出来る理由は知りたかったが、霧亥を“東方”とやらから拉致された人間であるという認識と同じように、誤った見かたから来るものだろう。
「………交渉は決裂かな? だとすれば、兄弟の敵くらいは討たせてもらうよ。死体であっても、向こうのと一緒なら価値は十分だ―――」
四人の指揮官であるダミアンは、ルイズのほうを向いて自身ありげに鼻を鳴らすも、明らかに焦っていた。
こうなってしまっては、身柄確保などではなく、この男を殺したとしても召喚者だけでも手に入れねばならない。
正しく事態を理解できていない彼や、彼の多くの上司にとっては、哀れにもハルケギニアに引きずり込まれた“被召喚者”よりも、“召喚者”の持つ素質のほうが重要なのだから、別に問題は無い。
だが、被召喚者の男一人に、自分たちのほうがまるで狩り出されているようではないか。
それにこの男は、東方から召喚された、というようなあらかじめ聞かされていた代物とは明らかに次元が違う。
ダミアンは、密偵としてこの町に送られる前のことを思い出す。
当初の想定では、それらしいものを見つけては、ゆっくりと遠巻きに観察して集めた情報を上司に送り、精査した上で正当な手段とは言えずとも穏便に身柄を確保。
不測の事態が発生しても、たかが異国から召喚されたというだけの一人の人間であり、自分たちの実力を思えば問題ないはずだったのだ。
これが極めて甘い目論見である可能性など、考慮されるはずもなかった。
「―――あの二人のように行くと思っているのか?」
霧亥から見ても、一頻り悩んだ目の前の敵が戦闘において無駄となる思考を捨てたのが分かった。
攻撃が始まる。
ダミアンは、刺突剣を抜き取るのに併せて巻き起こされる強風を背に強烈な踏み込みを行うと、剣を杖代わりに、あらかじめ準備しておいた魔力の塊を霧亥に叩き付ける。
彼らの基準でいえば、即死級の一撃。
霧亥は顔色一つ変えずにそれを胸と腹で受け止め、銃に手を伸ばす。
「ドゥドゥー!!」
呼びかけに応じ、すでに詠唱を終えて機会をうかがっていたドゥドゥーが、ぎりぎりでダミアンが巻き込まれない角度から電流を放つ。
閃光とともに接近する電子の群れを、霧亥はその左腕で防ぐ。
電気的な攻撃で霧亥に打撃を与えるのは、不可能に近い。
もし仮に、魔法と呼ばれるシステムを最大限に利用して大電力を生成し、正確に霧亥へ空中放電することが出来たとしても、吸収し、都市であれば然るべき施設へ転送可能だ。
もちろん、そのエネルギーを重たい粒子の加速などに利用すれば、キリイの身体を破壊することも可能だが、そのような技術は持ち合わせていない。
霧亥が全身鎧姿とはいえ、ドゥドゥーが自分や味方を巻き込む覚悟で放ったライトニングは、腕の給電板から体内に難なく吸収された。
「化け物め!!」
いずれにせよ、受け止めた霧亥の隙は重要だ。
それを霧亥が、大したものではない、として慌てていなかったことなどは知らず、ダミアンは刺突剣を大きく振り上げる。
80Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:16:08.65 ID:v+1h2SdT
「ブレイド―――!!」
魔法で奇妙な力場を纏わせた細長い鋼の塊は、霧亥の予想を反して、突き刺すのではなく叩き付けるのに使われた。
狙いは首筋。
合板鎧であっても、隙間も狙わず切り裂ける一撃は、もう防ぎようが無いはずである。
あと少し、というところで、信じられないことに刃は止まった。
それはダミアンに命運尽き果てたと思わせるに足る光景だった。
霧亥は銃から離した左手を使って剣を握り締め、へし折る。
間合いを取らずに、すかさず次の一撃を出したのは、霧亥ではなくダミアン。
杖を魔法で剣のようにして、至近で突き刺す、相手の予期せぬ位置からの必殺の一撃であるはずの、いわば奥の手。
一見成功したかに見えるほど、この光の剣は霧亥の腹部にきれいに命中した。
だが、突き刺さってはいない。
霧亥は自分に差し出されたダミアンの左腕を、千切れんばかりに捻り上げると、そのまま壁に叩きつける。
「………ッ!!?」
壁が陥没し、ダミアンは脊椎を損傷。
痛みも感じず、声帯を振るわせることも出来ない。
この地面に崩れ落ちる前の一瞬、空中で横たわっている間に、すかさず霧亥の拳が驚異的速度で突き出され、その顔面を粉砕する。
霧亥に視線を向けることも適わなかった。
「イル・ウィンデ!」
音声入力。
大気の流動が、逃走の補助のためのものであることが容易に想像できる。
ここで殺さなければ、いずれこの様な状況が再び訪れるのだが、明らかに非合法な活動を行っていたあの四人組は、公的機関で然るべき手続きを踏み、公の場で霧亥と接触できない者たちではなさそうだ。
おまけに、霧亥のとった予想外の行動で、所属する組織本体との連携は取れていないようなので、口封じが出来なかったとしても、大きな危険が降りかかるとは思えなかった。
また、そのこととは別に、人目が集まり始めたことは、別の問題も呼び起こす。
霧亥はこの世界の情勢についての知識はろくに無いので確証はもてないが、この騒ぎの関係者として認知され、トリステイン内での立場を悪くすることのほうが問題ではないだろうか。
とりあえず、逃げた一人を殺すのは後回しにして、霧亥はその場を去ることにした。
ルイズを放置していることも、あまり良いことではない。
突風で巻き起こる砂埃を利用して、素早く建築物の合間を縫って広めの通りに出ると、人々の目線は霧亥より、ついさっきまで戦闘が行われていた場所に向いている。
「貴族の喧嘩か」といったような憶測が飛び交う中を、霧亥はルイズの姿を膨大な人影の情報から探しだし、余裕たっぷりに歩いていく。
先ほどの襲撃者の最後の一人の位置は把握しているし、詳細は掴めずとも、誰かと接触すればすぐに分かる。
もし仮に、致命的に状況が悪化するなら、この集落ごと“撃ち抜いて”もいいと思わせる余裕も、今ならあった・・・

LOG6@END
81Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 20:24:51.69 ID:v+1h2SdT
短いものが続いたような気がするが、また後でLOG.7だけは投下する予定でいる


今回は妙に無駄な手間をかけた殺し方をする霧亥
王都の中で重力子放射線射出装置を撃たせて、崩壊する王城の中を颯爽と歩く霧亥でも良かったのだが、さすがに…

「なんてここには天井が無いんだ?」 はLOG.2あたりで言わせる予定だった台詞
ルイズとの関係が険悪なので、なかなか出す機会に恵まれず、ここに半ば無理やりねじ込んでしまった
82名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 20:33:47.34 ID:CLX2L5hP
元素の兄弟の過半数が死亡とか流石wwww
83名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 20:34:25.68 ID:OgP+KdeM
84名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 20:45:35.21 ID:/emgD+9k
投下乙でした。 元素達は死亡して退場するのが幸せです
85名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 21:02:36.63 ID:AoRkZzJg
兄さんはスチフ並みにいい死に方できたじゃないか、霧亥に殴られることなんてそうそうないぞwww

…いつものレベルならこの時点で「なんでこっち側には建物がないんだ」な被害がでてたんだよな
86Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 21:18:44.75 ID:v+1h2SdT
粗製なもので、さっそく誤字ですらない妙な文章が

>>80
公の場で霧亥と接触できない ×

公の場で霧亥と接触できる  ○
87名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 21:19:37.09 ID:Nuyr7G5L
霧亥と北斗の拳の面々戦わせたらどうなるんだろ?
ケンシロウでも突き指して終わりか?
88ゼロのペルソナ:2011/05/06(金) 21:20:10.10 ID:7YnMw5Z9
追撃のチャーンス!
Adventure-seeker Killy in the magian world questの作者!
GOサインをくれクマ!
89ゼロのペルソナ:2011/05/06(金) 21:27:13.81 ID:7YnMw5Z9
もう我慢でけん!1,2分後から投下します
90ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:29:19.71 ID:7YnMw5Z9
タバサが起きたのは昼過ぎであった。エルザを夜通し見守っていたためである。
夜中にぐっすりと眠り朝には起きていた陽介はタバサに連れられ村の様子を見回った。
「タバサ、これからどうするんだ?」
陽介をすっと指差し「囮」と短くタバサは答えた。
「いやあ、酒飲むのはもう勘弁したいんですけど……」
陽介は二日酔いで痛む頭を押さえた。
タバサは二言三言囁いて、陽介に次の策を話した。
その内容に驚いた陽介はタバサに思わず聞き返す。
「いいのか?」
タバサは頷いた。
「じゃ、しょーがねーか」
こほんと息を整えてから陽介はタバサを怒鳴りつける。
「バッカ!お前は本当に役に立たない従者だな!」
その声に村人たちが集まってきた。十分人が集まってきたことを確認して陽介は再び大声を上げた。
「さっき、俺の杖を蹴飛ばしたよな!不注意で足が当たっただなんて言うなよ?お前は……あれだ……そう!魔法使いと貴族への敬意が足りていない!」
タバサは従順に頭を下げた。
「すいません」
「わかったら今日俺が寝たあとしっかりと杖を朝まで磨けよ!」
「はい」
何度も何度もタバサは陽介に頭をさげた。
村人たちはその光景をしかと見ている。このやりとりはすぐに村中に広まるだろう。

日が傾き……、再び恐怖の夜が始まった。
村長たちは集められた女性たちの声で孤児院のような騒ぎであった。
タバサ、陽介は同じ屋敷の自分たちにわりふられた部屋にいた。エルザも一緒だった。
タバサたちのもとに夜食が届けられた。
「うんめえ、あったまる」
と陽介はベッドの上で嬉しそうに言う。気分よさそうに付け加えのサラダも口に入れる。
次の瞬間、陽介は勢い良く口に入れたサラダを噴き出した。
「あんじゃこりゃあ!苦っげえ!」
おほおほっと激しくせきをする。給仕の娘が慌てて説明する。
「し、失礼しました。村の名物でムラサキヨモギっていうんです。物凄く苦いんですけど、身体にはよくって……」
「身体にはよくてもムリだろ、これは……ん、なんだ?」
タバサが陽介に近寄り、サラダ皿のムラサキヨモギを平らげた。キョトンとする陽介を尻目に皿の底を覗き込んだ。
「あ、あの……おかわりならありますけど……」
こくりとタバサは頷いた。運ばれてきた山盛りのムラサキヨモギのサラダを再びあっという間に食べきってしまう。
陽介はあきれたような、驚いたような表情をしている。
「よくこんな苦いの食えるな……」
タバサは口いっぱいに三杯目のサラダを頬張っている。
「ねえおねえちゃん、野菜も生きているんだよね?」
サラダを咀嚼しているタバサにそう問うたのはエルザだった。
「スープの中に入ってたお肉も、焼いた鳥も、全部生きてたんだよね?」
「うん」
「全部殺して食べるんだよね。どうしてそんなことをするの?」
「生きるため」
すると、きょとんとした声でエルザは言う。
「吸血鬼も同じじゃないの?生きるために人間の血を吸うんじゃないの?」
タバサはいつもの声で答える。
「そう」
「だったらなんで邪悪なんていうの?やってることは同じなのに……」
「なんでわたしに聞くの」
「おねえちゃんなら答えてくれそうな気がするんだよ」
「どうして」
91名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 21:29:58.93 ID:5rRD5YRD
ペルソナか、防空壕で迷いまくったな
92ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:31:47.18 ID:7YnMw5Z9
「よくわかんない。きっと……、目が冷たいからかな。まるで冷たい風がふいているみたい。冷たい風。
冬のね、雪が降ってる日に吹いてる風みたいな……。そんな冷たい風を感じるの。その風は冷たいけど……、本当のことしか言わない気がするの」
タバサはじっとエルザを見つめた。沈黙が流れる。
その時、陽介が大きな声で言った。おそらく沈黙に耐えかねたのであろう。
「さーて、腹もいっぱいだし、眠るとしますか。タバサ、しっかり磨いておくんだぜ」
それから陽介は打ち合わせどおりタバサに杖を渡してきた。
タバサはこれから一階に行くつもりであった。魔法使いと杖が離れているとなれば、
無防備な魔法使いか、使い手から放された武器である杖のどちらかを襲うとタバサは踏んだのだった。
「おねえちゃん、どこ行くの?」
「一階」
「わたしも行っていい?」
少し考えてからタバサは頷いた。
そしてエルザを伴って廊下へ出ようとした瞬間……。
バリーンッ!と窓の割れる音がした。
隣の部屋だ。
タバサは駆け出した。陽介も付いて来る。
隣の部屋に駆けつけるとそこにはいるはずのないアレキサンドルがいた。
それも尋常ならぬ様子である。長い牙が生え、獣のように口からは、ふしゅるふしゅると獣のような息遣いが聞こえる。はたしてアレキサンドルは屍人鬼だったのだ。
タバサに気付いたアレキサンドルは手近くの娘の髪を掴み逃走を図ろうとする。
タバサにもう魔法使いであることを隠す余裕はなかった。小さく呪文を唱え、杖を振る。
「イル・ウィンデ」
風の刃が腕を切り裂き、アレキサンドルは娘の髪を手放す。
屍人鬼は手ぶらで入ってきた窓から逃げ出す。タバサは部屋を横断し、アレキサンドルと同じく窓から飛び出す。
屍人鬼の足は獣並みだ。人間の足では追いかけられないが、タバサは“フライ”の呪文で飛んで追いかけた。
アレキサンドルの前に回りこむ。彼は傍らの杭を引き抜いた。熊のような力だ。
一度、“屍人鬼”になってしまっては、もう元には戻れない。先住の“水”の力で動く死体と同様、死して操られているに過ぎない。
それでもタバサは目を瞑ると小さく祈りの言葉を口にした。
「始祖よ。不幸な彼の魂を癒したまえ」
ついで、呪文を詠唱。跳び掛ってきた屍人鬼に杖を振る。
「ラグース・イス・イーサ……」
“ウインディ・アイシクル”
タバサお得意の氷の矢の呪文である。
矢が四方八方から屍人鬼を串刺しにする。
「くっそ、道に迷ってエラい時間が……うおっ、なんじゃこりゃ!?」
早くも追いついてきた陽介は氷で串刺しになったアレキサンドルに驚く。
自分の使い魔はずいぶんと足が速いようだ。とタバサは思った。
タバサは倒れた男の身体に土をつかんでかける。
「イル・アース・デル……」
“錬金”で土を油に変える。
「ウル・カーノ」
ついで“発火”
“屍人鬼”は荼毘に付された。犠牲者の身体は灰へと変わっていく。
陽介は驚きながらもその光景を見ていた。その顔にいくらかの苦々しさを乗せて。
タバサが視線を来た道へ返すと驚くべきものが目に入った。
「本当にアレキサンドルが屍人鬼だったのかよ……っておい!?」
タバサは陽介を無視して飛んだ。陽介もすぐに気付いたようだ。
「燃えてる……!」
村の一角から火の手が上がっている。そこにあるのはおそらくアレキサンドルとマゼンダの家。
93ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:34:21.23 ID:7YnMw5Z9
陽介とタバサがたどり着いた時、すでにマゼンダの家はもうもうと燃えていた。
「くそっ、なんてことしやがんだ……!」
家の周りを村人たちが熱狂的とすら言える様子で取り囲んでいる。
アレキサンドルが屍人鬼であったことが火種となり、村人の怒りが爆発して火を放ったのであろう。
「燃えちまえ!吸血鬼!」
「俺たちを騙しやがって!」
タバサは唇を噛むと杖を振り、呪文を唱えた。
杖を中心に渦が起こり、風の渦は天へと駆け上がり、やがて氷の粒を含む嵐となる。
“アイス・ストーム”と呼ばれる氷の嵐のトライアングル・スペル。
氷の竜巻は燃え盛る家を包み、竜巻が消えるころ、炎は完全に消えていた。
しばしタバサの魔法に見入っていた村人たちだったが、我に返り不満の声を上げた。
「何をするんだ!」
「証拠がない」
厳しい顔つきでタバサは言った。
「証拠?息子が屍人鬼だったのがなによりの証拠じゃねえか!」
「んなもん証拠になってねえだろうが!」
陽介も負けじと声を張り上げる。タバサと陽介は同意見であった。
マゼンダ以外が吸血鬼でも、アレキサンドルを屍人鬼にすることは十分可能なはずだ。
陽介とタバサにとって、確かな証拠もなく人を焼き殺すことなど容認できることではない。
タバサたちと村人たちの間に一触即発の空気が流れる。
その時あばら家を調べ始めた村人たちから歓声が上がる。
「見ろよ!吸血鬼は消し炭だ!ざまあみやがれ!」
タバサが消し止める前に家の中はすっかり燃え尽きていたようた。
「こないだ、あんたたちが止めたなかったらもっと早くに解決していたんだ!」
村人たちが指を突きつけて騒ぐ。
タバサは繰り返した。
「証拠がない」
そこへ以前、マゼンダを調べた村人レオンが仲間を引き連れやって来た。
「証拠ならあったぜ」
タバサたちの前に布きれを投げ捨てる。
タバサはそれを拾い、陽介も見る。赤い布キレであった。
その染めに二人とも覚えがある。間違いなくマゼンダが着ていた寝巻きの一部だ。
「それが、犠牲者の部屋の煙突の中に引っかかってた。マゼンダ婆さんの着物の切れ端だ。
そんな派手な染めはこのあたりじゃあ誰も着ない。あの枯れ枝のような身体なら煙突だってくぐれただろうな」
村人たちは安心した顔で家に帰り始めた。
使えねえ騎士さまだよ、とか、あの小さいほうがメイジさまだったんだね、とか、俺たちまで騙しやがってどういうつもりだ?とかそんな声が聞こえてくる。
エルザを連れた村長がやって来てタバサたちにぺこりと頭を下げた。
「ご苦労さまでした、騎士さま。村人たちの非礼をお詫びします。でも……、彼らは家族を亡くして気が立っているんです。許してくださいじゃ」
村長の陰からエルザがタバサをじっと見つめていた。
手に握った杖を睨み、
「嘘つき!」と悲しそうな声で怒鳴った。
タバサも陽介も村人たちが去っていくなかたたずんでいるだけだった。
94ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:36:25.13 ID:7YnMw5Z9
自分たちの寝床に戻ってから誰も言葉を発していない。タバサはもちろんのこと、普段は饒舌な陽介も考え込んでいたようであった。
整理がついたのか陽介は確認するようにタバサに言った。
「なあ、煙突ってちゃんとスミズミまで調べたよな?」
こくりとタバサは頷く。
「……そっか、じゃあこの事件はまだ……」
「しっ」
タバサが指を口に当てる。
廊下からだれかがどうやら誰かが歩いてくるようだ。そして部屋の前で立ち止まり扉を開けた。そこには泣きそうな顔のエルザが立っていた。
「さ……、さっきはごめんなさい。おねえちゃん、みんなのために頑張ってくれてたのに……失礼なこと言っちゃった」
タバサは首を振った。
「もう行っちゃうの?」
「夜明けに出発する」
と短くタバサは答えた。
陽介が何か言いたげに口を挟もうとしたがタバサは視線を投げかけ黙らせる。
「そう……」
エルザはさびしそうに呟いてから、顔を上げた。
「あ、あの!おねえちゃんに見せたいものがあるの!ちょっとならいいでしょ?ちょっとだけだから!」
「見せたいもの?」
「うん。おねえちゃんの大好物。おみやげに持って帰って」
タバサはちょっと考え込んだようだったが頷いた。
じゃあ、とエルザはタバサを促す。それから握った大きな杖を見て、怯えた表情を浮かべる。
その顔に気付いたタバサは「持ってて」と話の除け者にされ憮然と座っていた陽介に杖を渡す。
「ありがとう」
エルザは安心した顔になった。
95ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:38:42.10 ID:7YnMw5Z9
エルザはタバサを村外れまで案内した。村を出て森に入るとそこにはムラサキヨモギの群生地なのだ。
「すごいでしょ、こんなにたくさんはえてるの!ほら!」
月明かりの中でエルザは楽しそうに駆け回る。
「おねえちゃん、この苦い草、おいしいってたべてのよね!だからいっぱい摘んで!」
タバサはしゃがみこむとムラサキヨモギを摘み始めた。エルザはもくもくと摘むタバサの周りを跳ね回る。
しばらくするとタバサの両腕はムラサキヨモギでいっぱいになった。エルザは近寄って囁いた。
「ねえ、おねえちゃん」
タバサは振り向いた。
エルザを見る目は冷たい冬の風のようだ。
努めて、というわけではない、自然と無邪気な声が出る。
「ムラサキヨモギの悲鳴が聞こえるよ?いたい、いたいってね」
タバサはムラサイヨモギを放り捨て駆け出した。
「枝よ。伸びし森の枝よ。彼女の腕を掴みたまえ」
エルザは“先住”の魔法を使った。
走るタバサを、伸びる木の枝が掴む。タバサは動けなくなってしまった。
「おねえちゃん、恐怖に歪む顔をわたしに見せて。それが最大のわたしのご馳走なの。恐怖に歪む顔が、すてきなスパイスなの」
エルザは白く光る牙を見せ付けるように口を開く。
「吸血鬼」
独り言のようにタバサはその単語を口にした。
エルザはにっこりと微笑んだ。吸血鬼とわかっても、その笑顔はやはり子供のようで愛らしかった。
「そうだよ、吸血鬼はわたし。煙突をくぐって血を吸ってたの」
マゼンダは煙突を通って密室の部屋に侵入して血を吸ったと村人たちは考えた。くしくもそれは真実の一片をついていた。
ただし、侵入したのは枯れ枝のような老婆ではなく小さな子供だった。
タバサは枝から離れようともがいた。しかし枝はゆるむことすらない。どれほど力を有したメイジでも杖がなければただの人である。
無駄な抵抗をするタバサにエルザは静かに語りかける。
「色んな村を回って生きてきたわ。村で怪しまれないためにはね、コツがあるの。
住んですぐには獲物をとらないの。少なくとも半年以上たってから。
新しい人が引っ越してきた時なんかは仕事を始めるチャンスね。それが占い師の親子なら最適、“屍人鬼”にしちゃえば完璧ね」
引っ越してきた親子を吸血鬼に仕立て上げるというエルザの目論見は完全に成功した。
人間とはバカな生き物だと思わずにいられない。
村人たちは、エルザのことを欠片も疑わず占い師の親子を吸血鬼だと思い、そして退治してしまったのだ。
だいたい怪しいと思うなら太陽の下に引きずり出せばいいのだ。そうすれば吸血鬼はあっという間に死んでしまうのだから。
真実かどうかなどどうでもいい、彼らは自分が真実だと思えればそれでいいのだ。
そんな彼らを、エルザは煙突にマゼンダ婆さんの服の布キレを仕込んで後押しをした。
人間は見たいものだけを見たいように見て生きる。
彼らは自分の知りたい答えを示す証拠を見つけ、その証拠が本物かどうか考えもせずに安易に答えに飛びついたのだ。
マゼンダも這ってでも太陽の下に出て、身の潔白を証明すれば老い先短い人生をもう少し堪能できただろうに。
もっともそんなことをしようとすれば屍人鬼となったアレキサンドルを操って止めたが。
エルザはふふふと笑うが、タバサはただ黙している。
エルザは視線でタバサの顔を撫でた。
「ねえ、おねえちゃん。もう一度聞くわ。
おねえちゃんがムラサキヨモギを摘むのと、わたしがおねえちゃんの血を吸うのとどう違うの?」
タバサは無言で、エルザを睨みつける。
「ねえ教えて?」
構わずにエルザは質問を重ねた。
「どこも違わない」
エルザの心はうきうきとした。ああ、おねえちゃんはなんてすばらしいんだろう!
「そうだよね。ああ、わたしおねえちゃんがすき。だから血を吸ってあげる」
エルザの声には邪気はないが、それは死刑宣告であった。
96ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:40:45.98 ID:7YnMw5Z9
だがそれでもタバサの表情に変化は現れない。
ふうん、とエルザはタバサの目を覗き込む。
「怖いって顔しないね……あの茂みにいるおにいちゃんがいるから?」
無表情だったタバサの顔に見て取れるほどの衝撃が走る。
「枝よ、伸びし枝よ。彼の腕を掴みたまえ」
木々の枝が森の中に隠れていた男を捕らえる。
「くそ、放せ!」
陽介の悲鳴がエルザの立つ野まで届いた。
「これであの偽者のメイジのお兄ちゃんは動けないわ。おねえちゃんが魔法使いってことはあっちが従者さんよね?」
エルザは首を傾けてタバサに尋ねる。
返答はないが、タバサの顔に浮かんでいるものを見てエルザは満足した。
タバサは彼に杖を渡してもらい一発逆転を図るつもりだったのだろう。
しかし、彼女の目論見は崩れた。
まだ道があると思っている人間を、最後の最後でその道を奪ってやる快感はたまらない。
その快感を補強するのは彼女の顔に浮かぶ驚愕と焦燥、なにより恐怖。
それらが混ざり合い、顔を今までで一番人間らしいものにしている。
たまらなかった。それがエルザのご馳走で、食事を彩りスパイスなのだ。
もう少しその様子を見たいとも思うが、エルザはそのご馳走を前に我慢することができなかった。
エルザがタバサのあごをつかみ、ついと持ち上げる。タバサは顔を振って、その手を振りほどいた。
その非力な抵抗が、無意味な抵抗がエルザにはたまらない。
タバサの体は小刻みに震え、はあはあと息遣いをしている。
吸血鬼の体に快感がめぐる。一秒でも早く彼女の血を吸いたい。
エルザは先ほどより強引にタバサの体を捉える。小さな顔を左手でつかみ、右手で締め付けるように首を捉える。
手の中で、もがく顔をベロリとなめ上げた。味覚がタバサの味を伝える。恐怖によるものだろう、汗の味がかすかにした。
「これからわたしの中でおねえちゃんは生き続けるんだよ。それって素敵……」
森の中で陽介が叫んでいるが、構わずに少女はその小さな牙をタバサの首筋に運ぶ。
エルザの牙がもがくタバサの肌に触れようとした瞬間――。
彼女の身体は無数の刃で切られた。エルザは尻餅をついて倒れた。
「いたっ!な、なに?」
エルザの体が無数の刃で切りつけられると同時に、タバサの身体を縛っていた植物も切り裂かれていた。
タバサもエルザ同様に事情が飲み込めないのか呆然としていたが、それは刹那、すぐにエルザから離れるように駆け出した。
タバサが魔法を使ったのではないのはその様子から明らかだ。エルザはきっと森の中の男を見やる。
するといつの間にか彼を縛る木々が断ち切られているではないか。
彼はタバサの使った杖を握っている。メイジだったのか?タバサがメイジであることは魔法を使ったのは明らかだ。
ということはどちらもメイジ?いや、彼がメイジでも一つの杖を共有などはできないはず。
だがすぐに思考を断ち切り、エルザはタバサを追った。
今、必要なのは考えることではない。魔法が自分を襲ったのは事実だ。
ならば必要なことは目の前の少女を人質に取ること。それが生き残るための手段だ。
エルザの手がタバサに届くというかときに再び陽介の声が二人の少女に届く。
「吠えろ!スサノオ!」
それからの一瞬は彼女の体感時間で実際の何十倍にも長く感じられた。
エルザの前にそれは現れた。それは人間と同じような肢体を持っているようだ。変わった青い服でしなやかに見える身体を覆っている。
炎のようなたてがみ――いやたてがみのような炎だろうか――を持ち、輪状の大きい刃と小さい刃がその身体の周囲を回っていた。
それは拳を振りかぶっている。
音速の拳――ソニックパンチが刹那を破り彼女の頭を捉えた。
エルザは顔から地面に叩きつけられた。
97ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:42:48.46 ID:7YnMw5Z9
「タバサ、大丈夫かって……うっお、やっべえ!」
タバサは枝で服を切り裂かれほとんど裸体に近かった。
陽介も同じ魔法で捕まったはずだがタバサほど服はボロボロになっていない。
とりあえず、応急処置にマントがかけようとした時に、タバサの体が震えていることに気付いた。
戸惑う陽介からタバサはマントと彼女の杖を奪うように取った。
「後は任せて」
そう言った時、タバサはいつもの無表情で、震えてなどいなかった。
陽介は先ほどの様子を心配しつつもタバサに後は任せることにする。
タバサはエルザに近寄った。吸血鬼は地面に伏したままだ。クリティカルで入ったソニックパンチのダメージで立ち上がれないのだろう。
だが意識はあるようで、息を切らしながら哀願を始めた。
「……ハア、お願い…殺さないで……。わたし、わるくない…ハアハア。人間の血を吸わなきゃ、……生きていけないだけ。
人間だって……獣や…家畜を殺して、肉を食べる……ハア、ハア。どこも違わないでしょ……おねえちゃん、そういったよね……?」
タバサは頷いた。
「ハア、だったらこのまま放って行って……。別の村に…行く。迷惑、かけないから……」
しかしタバサはそれをよしとしなかった。
屍人鬼となったアレキサンドルにしたように土をエルザにかけ、燃やした。
エルザは炎上し始める。
「どうして……悪く、ないのに……」
エルザの弱々しい声は、炎の中に消えた。
白み始めた空の下、淡々とタバサは言った。
「わたしは人間なの。だから人間の敵は倒す。……それだけ」
陽介はその様子を黙って見ていた。
98ゼロのペルソナ 第4章 女教皇 後編:2011/05/06(金) 21:45:46.98 ID:7YnMw5Z9
タバサと陽介は村を去り、再び馬上の人となっていた。
「ホント、無茶するよな……。一歩間違えれば確実に死んでたな、あれ」
陽介はいやはやと回想する。身につけているものは学ランである。
もう魔法使いのふりをする必要がないということもあるが、着ていた服をタバサに渡したからだ。
彼女の服はもはや服とは呼べない布キレになってしまったのですぐに代わりの服が必要だったのだ。
というわけで今タバサは男性服を着ており、しかも小柄な少女であるタバサには大きすぎてダボダボだった。
ちなみに服と共に傷つけられたタバサの体に傷はない。陽介のペルソナで治したのだ。
擦り傷のようなものばかりで初級回復呪文ディアで十分なほどであった。
陽介は回復魔法が得意なわけではないのでずいぶん使っていなかったが、やはり回復魔法は便利なものだと再認識した。
「見つかられなければあそこまで危険じゃなかった」
厳しい返答に陽介はう、とつまってしまう。
「あ、いや、そうなんだけど……。ま、まあ、助かったし結果オーライってことで」
タバサは返事をしない。
陽介は目の前……といよりは目線を下げた先にいる少女のつむじをみながら考えていた。
彼女の人間らしさ、そして優しさについてだ。
タバサは村を去る際にエルザは親類のところへ行ったという手紙を残したのだ。
陽介は実を言うとエルザが吸血鬼であったことを村人たちに教えてやりたかった。
間違った人物を殺してしまったこと……。彼らの選択の結果がどのようなものであるかを知らなければならないと思った。
しかしタバサは波風を立てない方法を選んだ。面倒を避けたのではないはずだ。それならマゼンダの家を燃やしている村人たちを対立してまで止めたりしない。
彼女はおそらくエルザという少女を愛した人たちに悲しんで欲しくなかったのであろう。
そしてエルザの最期を見てから言った言葉……。
タバサは常に無表情のようだが、感情がないわけではない。
陽介は一瞬だけだが怯えた表情を見た。小さな体を恐怖で震わしていた。
だがそれだけではない。
感情はしっかりとどこかに表れる。そしてその感情は非常に人らしく優しいものだと陽介は考える。
ダボダボの服のポケットはムラサキヨモギで膨らんでいた。
99名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 22:10:58.07 ID:c7hDEDck
ん?終わり?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 22:25:26.76 ID:dFYDS7o+
乙です

しかしタバサ、まるで見つかった陽介のほうが悪いとでも言いたげだな
どうせその作戦はお前が考えたものだろ?
ちょっと見使ったら即アウトみたいな穴のある危険極まりない作戦しか思いつかないお前に問題があるだろーが
ちょっとイラっとくるな
101Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 23:52:56.42 ID:38P7sjdb
すかさず投下
102名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 23:54:40.00 ID:OgP+KdeM
今日寝る前の最後の支援と行くか
103Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 23:57:08.67 ID:38P7sjdb
LOG-7 呼び声

「どこ行ってたのよ!?」
少女を殺害した廃屋のすぐ近くで、右に行っては左に行ってを繰り返していたルイズは、すぐに霧亥を発見して声を上げる。
「変な騒ぎは起こるし、どうしようかと思ったわよ!」
まったく何が起こったのか知らない様子なので、わざわざ説明する必要も無いだろう。
「さっき会った女の子も、結局どっか行っちゃうし、散々だわ……」
どういう目的で、あの少女がルイズへの接触を試みたのかは気になるが、会話の内容に意味があるわけでもなさそうなので、何も知らない関心もないとばかりに霧亥は沈黙していた。
「とにかく行きましょう」と続けると、すぐ30mほどの距離で転がっている死体のことなど忘れて、当初の目的地に向かう。
ここに至るまでの時間が、四人の監視者、あるいは襲撃者が一緒くたに行動していたこともあって短かったため、ルイズの機嫌はそう悪くない。
霧亥にはある種の物々しさがあるが、普段まったく感情を見せないだけでなく、臨戦態勢であっても指して変わるところのない男なので、ルイズは気づかない。
「看板が見えたわ」
塗料を乗せた植物由来の板をさして言う。
薄汚く異臭漂う裏道に居ることは、ルイズにとっても不快であるらしく、早く終わらせて帰ろうという感情が滲んでいる。
それにしても、ここに何の用があるというのか。
霧亥にしてみれば、武具が調達できるようにも、この集落の住人たちが着るような衣類が手に入るとも思えない。
もしや、先ほどの男が自分につきたてたような、文字通り“剣”でも買うというのだろうか?
疑問に思いつつも、いかにもそれらしい単純な金属の棒がごろごろとしている店内に入る。
「貴族の旦那が何のようです? うちはまっとうな商売をしてるんで、変な言いがかりは―――」
「客よ。剣を買いに来たの」
「―――左様で」
愛想笑いに隠れた思考を、霧亥が素早く読み取る。
基本的にこういった方面への十分な知識を持たない貴族の、しかも未成年の少女がやってきた。
となれば、これは本来なら割に合わないような値段を提示しても、疑問を抱かず購入するはず。
ようは騙そうとしているのだ。
とても古い記録によれば、原始的な経済活動においては、こういったことは頻繁に行われていたらしい。
ネットを通じて十分な情報を双方が得られないことによる認識の相違によって、取引や契約で様々な問題が頻発する世界が、かつて存在したらしい。
欺瞞と混乱。
ネットにカオスが生まれてすらいないにも関わらず、まさに“カオス”と呼ぶにふさわしい。
先ほど通りかかった場所も、同じようにカオスに満ちた市場なのだろう。
恐らくは、この世界の経済そのものが、一切の統制はおろか、不正を行うものの排除すら出来ない市場により成り立っている。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/06(金) 23:58:53.37 ID:OgP+KdeM
支援
105Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/06(金) 23:59:30.90 ID:38P7sjdb
「これくらいお金はあるけれど」
そういった悲劇的な市場で、相手が情報を秘匿しているにも拘らず、何の事前合意もなしに自分のもつ情報を公開するのは、まともな取引は不可能だ。
ルイズは、この世界に来て一週間も経たない霧亥以上にそういうことには無知らしい。
商店の管理人は満面の笑みを浮かべている。
貨幣価値について十分な知識を持つとはいえない霧亥だが、どれだけ眼球のフィルターを替えてみても、この程度の商品の価格としては明らかに暴利だ。
どれもこれも、無駄な凹凸を表面に刻んでいる以外、ただの棍棒同然の代物ばかり…興味を失いかけていた霧亥は、代わりにぼんやりと、この世界の貨幣のことについて考えていた。
金属の塊が貨幣として用いられる世界など、有史以前に駆逐されている。
有史とは、人類が歴史を刻むすべを身に着けて以降のことを指すが、霧亥に言わせればこの世界の人々は、歴史など持っていない。
電子の煌きすら知らず、自身の脳に勝る記憶媒体すら持たないことは、過去を捨てて生きるのと変わらない。
もっと厳しく言えば、超構造体に記憶を刻めない人間の生など、彼にとっては無為なものだ。
もっとも、数千億に上るその無為な生が、膨大な時をかけてノイズとなりながらも蓄積され続けていることが、ネットのカオスを拡大させる要因の一つとなってもいるので、あまり大きなことは言えないが…。
「キリイ、これはどうかしら?」
霧亥の思索中も品定めしていたらしく、ルイズは何を基準に選んだのか、銀で鍍金された柄の付いた銅の塊を持っている。
彼女は、これで敵を切りつけろというのだろうか?
黙って視線を外す霧亥を見て、ルイズは「これはだめ」と机の上に剣を戻す。
店主はいかにも不機嫌そうになってきている。
「この値段でこんな良品、めったに手に入りませんぜ……冷やかしなら―――」
「よく言うぜ、ぼったくれないと分かったら冷やかし扱いかよ」
「―――デル公!!」
音声の発信源からは、人の脳とは違った電子の流れが見える。
視たところ、ただのFe-C系炭素鋼―――安定な面心立方格子状の鉄と炭素の固溶体から急冷したもののようだが…果たして、そんなものがいまだにこの場所に現存しているのだろうか疑問だ。
表面硬化措置すら施されていない鋼や鉄の塊、青銅を一般的に使用する技術水準だというのに…。
「インテリジェンス・ソード?」
「そうです。一体どこの酔狂だか、こんな意思を剣に植え付けちまった奴がいたようでして……」
「おい、こっちだよ、こっち。あんたわりとまともそうだ」
霧亥は、声の主にゆっくり近づく。
「妙な風貌なんで、どんなやつかと思ったら、アホ貴族と同じじゃなさそうだ」
霧亥は、擬似人格が内蔵された記憶素子を組み込まれたその大剣を手に取る。
確かに、ここのどの金属製品よりも高度な代物だ。
古い上にいい加減な構成だが、擬似人格を仮想電子計算機で構築するだけの記憶素子を組み込む技術といい、もらい錆だらけの外見といい、まだある程度の文明が残されていた時代のものだということだろう。
106Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:02:05.89 ID:38P7sjdb
 
「………こいつは、何だってんだお前は!?」

という言葉を、いかにも人間らしい感情がある風に剣が叫んだのは、霧亥が興味を失ってかごの中に放り込もうとしていたときのことである。
「デルフリンガーっ! お客の失礼になるようなことはするなと言ったろう!!」
「―――ありえねぇ、お前は“使い手”なのか? 始祖だってここまでじゃねぇ…!!」
デルフリンガーの言語基体が極めて単純明快であり、どうやらここの一般的な人間と大差ないレベルの能力の持ち主が未熟な技術で構築したものであることが分かる。
要するに、彼の言葉の意味は大気の振動として伝えられるものだけでなく、接続端子を繋いで電子の流れを量子レベルで直接読み取れば、言語基体をフォーマットするまでも無い。
「お前は、人間じゃ―――」
震える小さな声は、霧亥が接続端子を錆の中に捻り込むことで途切れた。

〈なぜ、俺を呼んだ?〉

流れ込む意識に、デルフリンガーの柄のあたりが壊れた歯車のように不気味に震える。
驚いたのは店の主人で、ルイズは変なインテリジェンス・ソードだなという程度に思って、また剣を物色していた。
体が焼けるような感覚に、目の前の剣が苦しんでいることなど知る由もない。
霧亥といえば、まったく気にも留めていない。

〈あんた、俺と直接、話せるのか?〉
驚愕と苦痛で、デルフリンガーの思考は震えていた。
さらに、霧亥の中身のほんの一端に触れて、戦きと恐怖で竦み上がる。
〈………あんたを“使い手”かもしれないと、でなくても、少しは剣の扱いに長けてそうだと思ったんだよ〉
この回答の意味は、直接剣の中から情報を引き出し続けている霧亥にはすぐさま理解できた。
使い魔を作る際の、あの“契約”により発現する幾つかのシステムの中には、通称“ガンダールヴ”と呼ばれるものが存在すること、そして霧亥にそれが発現しかかったこと、
デルフリンガーに内蔵された感覚器官が、霧亥にその兆候を見出したことなど、聞くまでも無く閲覧することが出来た。
推定される製造時期は、約53000000時間前。
内部の記録は、ここの人間の脳の記憶と似て、経年劣化による酷い抜け落ちや変化が見られ、詳細な確認は出来ないが、おおむね間違いないだろう。
〈ずっと、あんたみたいのを待ってたんだ、きっと、また俺は使い手の手に戻るって……〉
記録に興味はあったが、破損部位の修復を成功させられる見込みは無かったので、霧亥の興味は失せた。
かごの中にゆっくり戻すと、端子も引き抜いてしまう。
唖然とした喋る剣は、振り絞るような声を出す。
「おい! 置いて行かないでくれ!!」
その数秒後、奇跡的に霧亥の足は止まった。
言うまでもなく、剣の都合を考慮したわけではなかったが…。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:03:15.31 ID:NGBlonHx
支援
108Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:09:22.37 ID:Vytb9H9H
 
ルイズの強い要望で、剣を購入することになったわけだが、剣がどのようなものであるかを知った霧亥がまっとうな人間であれば、不快感は計り知れないものとなったはずだ。
なぜ鈍器での殴りあいに興じねばならないのだろうか。
ましてや、その鈍器の性能は、自分の拳よりも劣る。
最終的には、もっとも使い道のありそうな材質で出来た喋る剣、デルフリンガーを購入する運びとなった。
店主の計らいで、厄介払いに手を貸してくれた例にと、相場の半分ほどで入手。
といっても、明らかにその言動からは、剣の材質がここの技術では生成不可能な合金で出来ているなどと知らないことが分かる。
彼はいいカモに「高値でゴミを売ってやった」と思っているし、事実この剣が一般的な材質であったならやはり暴利なのだろう。
こちらも情報を開示しなかったとはいえ、もうあのような場所を二度と利用することは無いはずだ。
そもそも、相場というのも貴族用の装飾品としてのもので、あの店は貴族御用達の無意味な外観的特長によって商品価値を吊り上げる類の商店であるらしい。
よくよく考えれば、ルイズのような人間が知っている商店など、そのようなものばかりのはずだ。
こういったルイズの勧め自体に、今後は一切乗るべきではないのかもしれない。
デルフリンガーのカチカチなる?の部分をどうにかして固定しようとする店主の好意を時間的な理由で無視すると、邪魔にならないように背負う。
大剣を肩から掛けている黒ずくめの鎧男が、無表情に貴族の後について歩くさまは人目を引いた。
「服はそれね?」
このようにして予算が想定外に余った上に、霧亥にろくでもない剣しか買ってやれなかったことを悔やんでいたルイズは、霧亥の普段着の購入をそれなりに高価な店で調達することにした。
常日頃から決闘やら闇討ちやらにおびえる貴族あたりが着る、それなりの防御性能と日常生活では十分すぎる耐久力を持った、肌触りの良い厚手の布・高級な革を駆使したコートやスラックス。
ここで扱われる商品は、霧亥にとってはどれも実用性には乏しいが、それでも人目につく服装でなくなるのは意義のあることだ。
それに、ネットスフィア関係者にしか着用不可能な純正スーツが手に入らなかった場合は、旧式のスーツを重ね着することもあった。
霧亥は例によって、スキンスーツの上からはおるだけのつもりであったので、どうでもよかったのだが、どれもぶかぶかだと店主は言って別品を薦める。
続くように、ルイズは「元が細い上に長身だからなかなか良い」「黒革の光沢がその髪とよく合う」「スラックスにしわがよってみっともない」という具合に、何の意味もない外観から感じる曖昧な印象を口にしている。
答えるのは霧亥ではなく店主で、商店の管理人と出資者揃って何をしているのだと霧亥は厭きれそうになった。
だが霧亥にとっては、無駄な時間を費やすということ以前に、ここに二人で長時間拘束されることは、一つ大きな問題がある。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:10:48.63 ID:NGBlonHx
支援
110Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:15:40.19 ID:Vytb9H9H
 
「おい、キリイ。さっきから妙なのが張り付いてるが、何なんだ一体?」
張り付いているだけではなく、明らかにこちらへの攻撃の機会を計っている。
どちらにせよ霧亥は後で殺しに行くつもりとはいえ、大人しく退くというのなら分からなくもない。
だが、なぜこの様な状況で再び攻撃を掛けるのだろう?
先ほどの戦闘にしても、当初の予定が破綻した時点で、どれだけ素早く後退し、体制を立て直すかが重要になるはずだ。
考えられる理由として、“兄弟”という言葉を使っていたが、そのような部隊・集団への帰属意識を履き違えた結果かもしれない。
かつて霧亥がその根絶の為に心血を注いだネット上の犯罪者たちが、カオスの増大に伴い種族化した際に、同じようにあまりに非論理的で非効率な行動をとることがあった。
霧亥と違い、生まれたときから一切の感情や個性を持たないネット秩序の守護者達に、高度なパーソナリティーと人間性を付加するようになったのも、そういった無意味な行動に追従するためだ。
「やる気だぞ、あれは」
「………………」
霧亥が自身の考えに対応する形で店の裏口から出てきた事に、四人組最後の一人、ドゥドゥーは顔を青くした。
まるで隠れても無駄であると言わんばかりに、興味無さそうな視線が突き刺さる。
兄弟の仇討ちを考え突っ走ったはいいが、奇襲によって有利な形勢へ持っていくことは出来ないかもしれないと思いつつも、ドゥドゥーは引かない。
まったく理解に苦しむ行動だと、霧亥はじっと相手の出方を伺う。
数秒後、自棄になった彼の攻撃を、頭上で水蒸気が静電気を帯びた塊に姿を変えていることで察知。
その雷雲から電流が霧亥に打ち下ろされるまでの時間を考えて、霧亥は銃を引き抜こうとする。

「キリイ、何してるの?」

その声でようやく後ろにも注意を向けた霧亥は、いつの間にか近くまで来ていたルイズを店の奥にでも投げ込もうと、その胸倉を掴み上げる。
マントの止め具が崩れ、シャツのボタンは外れるところまではいったが、もう投げる余裕がないところに来た。
今まさに電流が、二人を貫こうとしている。
伝導性の高い左腕を盾にすれば、防ぎきれる確立は上がるが…。
〈抜け、キリイ!〉
デルフリンガーが、口頭では伝えられない速度でキリイと意思を疎通する。
〈この体は、魔法の力を吸収して利用できるような変換素子が組み込んである。その嬢ちゃんも確実に守れる!〉
霧亥にとって何の意味もない攻撃であっても、この世界でそれが攻撃手段として普及していることから分かるように、ルイズが食らえばひとたまりもない。
神経系に障害を来たす以前に、電熱でやわな蛋白質は凝固し、水分は沸騰するだろう。
この剣が言うことが本当であれば、魔法の力で制御されている電流を効率的に無力化できるので、この様な結果を防げる確率は上がる。
とはいえ、不確定要素の伴う行動で、自身の危険を冒してまでルイズを守る必要があるかというと、悩ましいところだ。
〈キリイ!!〉
少々考え込むが、この世界の技術水準を考慮すれば、この剣が手を触れただけで自身を破滅的な状況に放り込めるとも思えないので、霧亥は剣の柄を握ることにした。
流れ込む情報は、確かに剣が言ったような機能が存在し、それが起動し始めたことを意味している。
それと同時に、契約時にインストールされかけたので、途中で機能を強制停止していたアプリケーションが、剣の使用方法を通達しようと、霧亥の拘束下でもがいた。
霧亥に言わせれば、鉄の棒をどのように振るえば人体を効率的に叩き潰せるかというようなもので、何をそんなことをいちいち言ってくるのかと煩わしく思うようなものだ。
111Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:18:06.93 ID:Vytb9H9H
〈やっぱり使い手だッ!!〉
では、このアプリは全ての使い魔という名の奴隷に導入されるものではないのだな、と考えるほどの間をおいて、ドゥドゥーの電流がやってくる。
ルイズが霧亥の胸元に引き寄せられたという事実を認識した瞬間、デルフリンガーがその直撃を受けた。
「なんなの!?」
悲鳴は霧亥に対するものになる予定が、着弾の閃光と破裂音に対するものになった。
今度こそ霧亥はルイズを放り投げると、剣を構えなおす。
電流か魔力の負荷で、剣を激しく震えている。
「―――死ね!!」
再びブレイドと呼ばれた魔法を使用するドゥドゥー。
戦闘レベルでの冷静な判断能力すら失った敵の攻撃を、霧亥は無造作に剣で受ける。
そこまでは良かったが、ついに震えからその刀身には大きなひびが入ってしまう。
〈だめだ、こいつは―――〉
これが鉄剣なら、ひしゃげるだけで済んだかもしれないが、内側に何かを溜め込みすぎた炭素を含んだ鉄の剣は、とうとう破裂してしまった。
霧亥は手に持っていた得物が突如として使用不能になってしまったことで一瞬隙が出来る。
相手はそこに付け入り、更にもう一撃を食らわせに前進してきた。
体表にある種の力場形成が見られるのは、どうやら防御のためのものであるらしく、表層の擬似的な硬化と推定される。
硬い殻をつけたところで、強く打てば叩き割れ、重たいものでぶてば衝撃で中は潰れるのだから、霧亥にとっては指して意味はない。
相手の斬撃に合わせて、折れた剣を相手の脳天に向けて突き出す。
当たれば確実にその頭部を貫いたはずの一撃を、ドゥドゥーは寸でのところで回避することに成功した。
軟骨を滑らせて関節を外し、筋組織や腱の配置を無視した可動を発揮するのは、またしてもある種の魔法によるものだ。
あらぬ方向に曲がる相手の可動部位に、霧亥はとっさの対応をし損ねた。
魔法と思われる力の質も明らかに異なり、自身の体組織の持つ機能を利用している、今までの強引で非効率な今まで目にしたものとは別のものだ。
このような形態でなければ、力の発動準備で察知できただろうが、この行動を予測できなかった霧亥の首には腕が巻きつき、引き倒される。
霧亥の腕を巻き込んで交差させた両手の親指が頚動脈の圧迫を試みるも、組み伏せられた側は動じない。
途端にドゥドゥーは、自身の魔法をもってしても起こりえない関節の動きと、骨が皮膚を破る音に気づく。
唇の両端がつりあがった勝利の表情は、すぐに驚愕へ変わり、恐怖と苦痛で歪み、そのまま硬直して変化しなくなった。
体技で組み伏せるという力比べに持ち込んだことが最大の間違いで、霧亥はただ力任せに覆いかぶさる男の腕をへし折り、折れたデルフリンガーを思い切り胸に突き刺すだけで難なく拘束を逃れた。
剣を抜き取るついでに、力尽きた襲撃者の死体を投げ捨てると、破れた心臓から大量の血潮がこぼれる。
呆けたような表情で、無造作に一連の動作を終えた霧亥を見て、ルイズは口をパクパクさせていた。
112Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:19:32.11 ID:Vytb9H9H
「き、キリイ………」
ずいぶんと擦れた声が、手元の血まみれになった?から響いた。
その呼びかけに、霧亥はそっと折れた剣を地面に置くと、そばに跪いて傾聴する。
「お、思い出した……ブリミルの野郎のときと同じだ、お前は、使い手なんてもんじゃ……虚無が揃うのってのか」
何を言っているのか霧亥には理解しかねた。
ブリミルと同じ、始祖と同じということは、文明が失われる以前のものと、自分に共通点を見出したとでも言うのだろうか?
「サーシャは泣き虫だったな、あいつが背負うには重すぎたが、お前なら、問題なさそうだ………きっと、みんなうまくやれる」
霧亥は剣の中身を保存しようと、腰から細長い接続端子を引き出す。
その行動に、デルフリンガーは笑おうと?を震わせるが、音は出なかった。
「そうだよ、お前が来るのを何百年も待ってた……いや、何千年も…経っちまったのか…………―――」
「おい」
剣は呼びかけに応じて震えることもなくなった。
完全に機能を停止したのを確認すると、霧亥は早速その場から離れ、何の感慨も無さそうに端子を収納し、銃をホルスターに戻す。
「こ、壊れちゃったの?」
購入した衣服を抱えたまま、ルイズが間抜けな質問をしている。
そんな彼女も、霧亥の脇に真新しい屍が転がっているのを見て、ようやく事態の深刻さに気づいたように、店員にチップを渡す。
その認識は「小金を持っていそうな貴族を狙った強盗を霧亥が返り討ちにした」程度のもので、霧亥のそれとは違った。
店員も、貴族の客に配慮したようで、裏口に鍵をかけ、われ関せずの姿勢を見せている。
「お金は多めに渡したわ……今のうちに学院へ急ぎましょう」
通りの裏のことであり、放たれた魔法はピンポイント攻撃用のものであったため、多くの人目につくことは無かった。
この世界では、食いつなぐ為に人を殺して金品を奪うことなど、日常茶飯事だろうと霧亥は考えている。
死体の方も、この世界でのごく一般的な殺し方をしてあるので、この人気の少ない通りでごく一般的な殺人ととられるだろう。
以上から、ひとまずは穏便に“処理”出来たことを霧亥は確信し、またゆっくり歩き出す。
急ぐというのには程遠い速度で歩く霧亥に、結局は歩調を合わせることになったルイズは、なぜ自分が荷物持ちになっているのだと激怒した・・・

LOG.7@END
113名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:20:32.87 ID:NGBlonHx
114名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:25:37.75 ID:I5LDMbwa

死亡って珍しいですね。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:26:19.49 ID:R5gFBhGa

置いてけぼりは見てもこの時点でデルフ死亡ってのは初めて見た気がする
116Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:27:20.26 ID:Vytb9H9H
とりあえず新キャラは死亡するBLAME!

もちろん、レギュラーでも容赦なく退場させられる
いずれ元ネタ通りに、ルイズも二度と歩けないような体になるのではないだろうか

しかし、EX-LOGの挿入タイミングが分からない

>>87
突ける突けない以前に、霧亥に押せるつぼがあるのだろうか
117名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:37:13.20 ID:PcsZmaqN


哀れ喋る剣
次はいったい誰が霧亥の立てた死亡フラグに巻き込まれるんだ

exはblame!化したゼロ魔世界とかでひとつ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 00:50:43.74 ID:w/FbRswM
乙。何もかも過ぎ去っていくんですね
ドゥドゥー。灰色熊に組み付いてどうする
119Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/05/07(土) 00:59:09.40 ID:Vytb9H9H
BLAME!化したゼロ魔世界というと「また、虚無の遺伝情報を手に入れたのか? いや、前回のは標本だったか(ry
聖地や東方で未だに生き続けている佐々木ポジションや、LAWの代わりに何か危険なものを持った統治局員が延々彷徨うだけのもので、保管話のようなものをするつもりだったが…


今更だが、文中の「?」は“ハバキ”の漢字が書き込めなかったらしい
120名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 01:15:25.99 ID:LiZjqicO
題名どういう意味?in the magian world questの意味がわからん
121名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 01:36:01.64 ID:Vytb9H9H
>>120
「マギ的な世界の探索における冒険・探求者“霧亥”」というような意味

原作では「Cyber Dungeon quest」という語を単行本表紙などで使っていたので、それを捩ったもの
122名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 01:56:48.67 ID:jAMw0asw
デルフ死亡か・・・
これでまたセリフが少なくなる・・・
123名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 02:13:55.34 ID:0j+sAwpd
原作読んだ事ないけど
ルイズ再起不能エンドとかは嫌だなぁ
124名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 02:26:07.21 ID:PcsZmaqN
都市正常化、というか帰還のために、レベル9を不正作出された誰かさん状態にされて、球体だけ残るとか普通になりそうだ

しかもやったことがやったことだから、だれもハルケ側を守らないオプション付き
125名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 02:32:36.08 ID:LiZjqicO
英文法めちゃくちゃでわけわからん
126名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 02:37:03.11 ID:AjVLlc4L
            /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /


全盛期のイチローの本塁へのレーザービームの直線上に鏡が出て
レーザービームを召還しちゃってハルゲギニアが滅ぶ妄想
127名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 02:45:04.61 ID:PcsZmaqN
文法もなにも、原作で使われてた文の改変だし、教科書に載るようなタイプ文章でもないし別に、間違ってるわけでもないだろ
128名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 03:23:19.32 ID:fry0L/Dj
洋楽の歌詞にダメ出しする奴らと一緒
129名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 03:41:06.19 ID:TI/7eiFz
英語だから評価は1です。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 03:44:48.63 ID:BxI1sPxb
>>129
Amazonの洋楽のレビューかよww
131名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 04:03:25.01 ID:TI/7eiFz
>>130
いや元ネタはApp Storeのレビュー。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 09:47:43.33 ID:rlIsvG2e
>>123 ご立派様召喚もある意味ルイズ再起不能だよな
133名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 10:10:27.74 ID:ZWl14EfI
メガテンTRPGよろしくシエスタが覚醒したりしてな。
あれは確か日本人限定なら「先祖帰り」を側面として持つはずだから、
魔界魔法とか使えるようになったりして。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 10:44:26.88 ID:PNF57+nh
もしルイズの使い魔がドラッカーの『マネジメント』を読んだら

いや、流行モノにはのっとこうかと
135名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 10:47:33.59 ID:Fk/qvRJo
サイト「よく分かんないな」 ポイ
136名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 11:06:04.51 ID:RDQ9y16Q
そういえば、パラベラムの人どうしてるかな?
137名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 11:47:53.87 ID:3UaQMdFh
コロッケ!からコロッケを召喚したら間違ってもラブコメ的な方面には行かないだろうな
そもそもコロッケの必殺技のハンバーグーとかは素手で使う技だからガンダールヴ関係無いしなぁ

138名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 11:54:36.64 ID:azqX4VUp
>>137
まさかここでコロッケの名前を見ることになるとは…
コロッケはハンマー使いだからガンダールブ役に立つんじゃね?
139名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 12:14:28.82 ID:jEdsBpUH
ハンマー後半使ってた?
140名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 12:19:01.50 ID:rrrZP8BT
物真似芸人のコロッケしか頭に浮かばんw
141ゼロのペルソナ:2011/05/07(土) 12:24:11.46 ID:PSqcbW8T
昨日は投下終了宣言できずすいません。
全て投下し終わって終了宣言をしようとしたら、さるさんにひっかかってしまいました
142ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前半:2011/05/07(土) 12:26:45.44 ID:PSqcbW8T
それでは今から投下します。

ところでP4アニメ化って2クールでも内容やりきるには足りないですよね
剛毅 意味…力量の大きさ・権勢を振るう

トリステイン魔法学院には三人の異世界からの来訪者がいる。彼らの日の出ている時間帯の過ごし方はさまざまである。
クマは学院内を歩き回り、女の子に声をかけたり他の使い魔と遊んでいることがもっぱらである。
完二は使用人、つまり魔法学院に住まう平民たちと仲良くなり、力仕事や裁縫を手伝っている。
陽介だけが一人、受ける義務もありもしない授業に参加していた。
陽介はここ数日タバサと旅をした。それも命がけのものだった。その道中でこの世界の常識に通じていないとどれほど困るかを肌身に理解した。
それだけでなく、自分たちが元の世界に戻るためには知識は多いに超したことはない。
本来なら陽介だけでなくクマも完二もこの世界の知識を知ろうと努めるべきであろうに、二人にはそんなそぶりは一切見られない。
しょーがねえ。あいつらアホだし。と陽介は自分を慰めていた。
今、陽介はタバサの席の隣に座り授業を聞いているところであった。
生徒たちの視線を一身に受ける教師は名をギトーといった。
若い教師なのだが、長い黒髪に真っ黒なマントを羽織った姿は陰険で、性格も見た目同様であるため、人気がない。
二つ名は疾風だという。
陽介はそれを聞いたときいい気がしなかった。自分のあだ名がそうであったというわけでないが
、疾風属性のペルソナ使いである自分としては、目の前の不気味な教師と共通点が見つけられて嬉しいとは思えない。
今もギトーは自身の属性である風が最強であると教卓で講釈を垂れていた。
身内びいきにしか思えず同じ風の使い手である陽介はなんだか恥ずかしくなってくる。
陽介たちの戦いでは相性というものが重要で、最強の属性などというものは存在しなかった。
「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』は全てを薙ぎ払う。
『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つことすらできない。残念ながら試したことはないが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが風だ」
ひいき目が隠せてねえんだけど。心の中で陽介は呟いた。
「『風』が最強たる所以の一つをお見せしよう……」
ギトーは杖を立てた。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
低く、呪文を詠唱する。
その時、教室の扉が開き、禿頭の教師が現れた。名はコルベール。
144ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:30:58.17 ID:PSqcbW8T
彼は緊張した顔つきをしており、さらに言うなら妙ななりをしていた。
頭にいやに大きい、ロールした金髪のカツラが乗せられていた。
さらにローブの胸にはレースの飾りやら、刺繍などが躍っており、めかしこんでいることがわかる。
「ミスタ?」
ギトーが眉をひそめた。
「あややや、ミスタ・ギトー失礼しますぞ!」
「授業中です」
コルベールを睨んでギトーが短く言った。
「今日の授業は全て中止となります」
コルベールの宣言を聞き、教室は生徒たちの歓声で包まれる。
コルベールはその歓声を抑えるように両手をふりながら言葉を続ける。
「えー、みなさんにお知らせです」
コルベールがのけぞった拍子にカツラが地面へとずり落ちた。その光景で教室中にくすくす笑いが満ちる。
一番前に座ったタバサが無防備にさらされたコルベールの禿頭を指差し呟いた。
「滑りやすい」
くすくす笑いは爆笑に変わった。
タバサの隣に座っていた陽介は腹を抱えながらタバサに言う。
「お前、たまにすっげえこと言うな」
コルベールは顔を真っ赤にしながら生徒たちを静かにさせようとしていた。
笑いたいだけ笑った陽介は前でコルベールが喋っているのをはばかりながら、一つ気になってたことをタバサに尋ねた。
「なあ、タバサ。ギトーって教師が風が最強って言ってたけど、本当にそんなことあるのか?」
コルベールというハゲた教師が姫さまが来られるなどと言っているが、そんなことにあまり興味はなかった。
タバサは頭を振る。
「ま、そりゃそーだよな……」
陽介は恥ずかしいことを聞いてしまったと思った。
タバサは呟くように言った。
「そう言われるときもある」
「へっ、そーなの?なんでよ?」
陽介は不思議に思い、タバサに尋ねる。
彼女は囁くような声で続ける。
その調子は陽介と違って、教師をはばかってのものではなく、いつもどおりのことであった。
「風の魔法には……」
145ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:33:05.68 ID:PSqcbW8T
トリステイン学院に姫が来訪した日の夜のルイズの寝室では、完二は裁縫をし、ルイズはベッドにぼんやりと腰かけている。
完二は裁縫をしながら、ルイズが不気味なほど静かなことを気にしていた。
いつもは何か理由をつけて命令したり、文句をつけたりするピンク色の髪の少女はおとなしい。
昼間から、そう、この国の姫であるアンリエッタの来訪を見てからこうなったような気がする。
完二もその場にいたが、その感想といえば、まるでRPGだな、という程度のことであった。
魔法が当たり前の世界にいるのだから、その考えは今さらであったかも知れないが。
もしかすると、木の下で本を読んでいた主に代わり、姫を遠目に見ていた陽介も同じようなことを考えていたかもしれない。
ちなみにクマは妙齢の美少女である姫の姿を見てバカ騒ぎしていた。あの珍獣の好みだったのかもしれない。
「おい、ルイズお前どうしちまったんだ?」
完二は意を決し、ルイズに尋ねた。
しかしルイズは無言である。
「おい、無視してんじゃねえぞ!」
さきほどより大きい声を出す。
それでもルイズは無言。
完二はルイズは無視したというより、気付いていないということに気付いた。
「おーい?」
今度は目の前で手を振ってみる。
それでもやはりというべきか反応は見られない。
「はあ……ダメだこりゃ……」
こういう状態になった人間に話しかけてもしょうがない。なので完二は手元の作業に戻った。
シエスタに頼まれたレースの編み物である。ギーシュからシエスタをかばったことで二人の関係はますます親密になった。
事件が変えた人間関係はシエスタだけのものではなかった。ペルソナ能力という魔法のような力を使えることで、
マルトーなどは嫌悪を感じたようだが、シエスタをかばったこと、そしてあの力は魔法ではなくて、
自分は魔法使いでなく染物屋の息子であることを完二が不器用ながら説明したことでマルトーは納得し、
結果としては関係は深まったのであった。完二の朴訥さを気に入ったのかもしれない。
完二が大人しく裁縫を再開し始めて数分経った時、ドアがノックされた。
「誰だ、こんな時間に?」
ノックは規則正しく続いた。初めに長く二回、それから短く三回。
ルイズははっとした顔になった。急いでブラウスを身につけ、立ち上がる。
完二が昼間から考えて、初めてのルイズの行動らしい行動に気をとられているうちに彼女はドアを開いた。
そこには真っ黒な頭巾をかぶって顔を隠した人物がいた。
辺りを窺うように首を回し、そそくさと部屋に入って後ろ手に扉を閉めた。怪しいといえば怪しすぎる様相だ。
「んだテメエ…!」
その怪しい人物に完二は立ち上がり、低く声を出す。
その人物は完二の威嚇に臆したようであった。
「わたくしは怪しいものではありません」
驚きで少し上ずった声だったが、どうやら若い女性らしい。
ルイズはその声に驚いたようだったが、完二はそれに気付かずに怒鳴りつける。
「テメーのどこが怪しくねえんだ!」
「や、やめなさい、このバカ!」
ルイズがなにやら必死な形相で完二に言った。その声は慌てていた。
「ああん?オマエ、こいつが誰か知ってんのか?」
「ちょっと、こいつって誰に向かって……あんたはもう黙ってなさい!」
完二がルイズに抗議しようと口を開こうとした時、その怪しげな人物は頭巾をとった。
完二は頭巾の下の顔を見て言葉を失った。
「んな……」
「やっぱり……」
その顔は一度見ただけの完二も間違えようもない。トリステイン王国王女アンリエッタその人であった。
146ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:35:37.56 ID:PSqcbW8T
ルイズは膝をついた。完二はどうすればいいのかわからずボケッと突っ立っている。
アンリエッタは感極まった表情を浮かべてルイズに抱きついた。
「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」
「姫殿下、いけません。こんな下賤な場所へお越しになられるなんて……」
ルイズはかしこまった声で言った。
「ああ!ルイズ!ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたとわたくしはお友達じゃないの!」
「もったいないお言葉でございます。姫殿下」
それでもルイズから緊張の色は取れない。
アンリエッタは体をルイズから完二のほうへと向けた。
「これで怪しいものではないと納得していただけましたか?」
「えっ?いや、そうっスね……」
声をかけられるまで茫然自失のようだった完二は情けない返答しかできなかった。
「まったくあんたってバカはどこまで姫様に無礼な口聞いたかわかってるの?」
ルイズがなじるように言う。
アンリエッタが手をすっと出し、ルイズを制す。
「いえ、あんな格好をしていたわたくしにも責任がありますわ。ルイズの身の危険を考えればなおのこと……」
アンリエッタは完二をじっと見ながら喋っていた。完二はどうしていいかわからずオドオドするばかりである。
そんな様子の完二にアンリエッタは尋ねた。
「あなたはルイズの恋人なのですか?」
「んなワケねーだろ……」
オドオドしていたのが嘘のように、なにを馬鹿なことを……。という風に完二は答える。
「ちょっとあんたなんて失礼な口の利き方してるのよ!」
ルイズは完二を叱り付ける。
それからアンリエッタに向き直る。
「姫さま、こいつはわたしの使い魔です」
「使い魔?」
キョトンとしてアンリエッタは聞き返した。
「人間にしか見えませんが……」
「人です。たぶん」
「たぶんじゃねえよ!」
完二が背を向けているルイズに噛み付くように言う。
そして完二が会話に参加できたのはここまでで後は二人だけで昔話で盛り上がり始めた。
会話が出来なくなったことで完二はアンリエッタというこの国の姫君を強く意識してしまう。
すらりとした気品ある顔立ちに、高い鼻、そしてなにやら言葉にしがたい高貴な雰囲気が漂っている。
なるほど昼間のクマがバカみたいにテンションを上げていたのもわかるほどの美人である。
完二はもともと女性に耐性がないので、緊張しながらもどうしたらいいのかわからずデクのように立っていた。
ちなみにルイズもどれほど判定を厳しくしようと美少女の枠に収まるほどの少女であるが、
その美少女と、うぶな完二が同室で寝たりできるほど平常心が保てるかには理由がある。
一つは彼女の第一印象が極端に悪かったこと。理由もわからず文句をつけられまくり、果ては服や下着まで洗えというのだ。
この時点で完二にとってルイズの評価は今まであってきた女性の中の最低ランクに位置づけられた。
次に、そしてこれが最も重要かも知れない。
単純に好みじゃないのである。完二の女性の好みは狭いわけではない。ただ完二のその好みには妙な間隙があるのだ。
彼が元いた世界でもルイズと似たような声、というか同じような声をしたアイドルの同級生がそれであった。
完二はセンパイたちに鼻血を流し、男装の女探偵にたじたじであったが、
押しも押されぬ人気アイドルであったのに完二はその少女に全く興味が持てなかった。
別に嫌いだったわけではない。ただ、そういう風な意識をするという考え自体持てなかったのだ。
147ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:37:43.06 ID:PSqcbW8T
というわけで完二はアンリエッタの存在に戸惑っていたのだが、次第に彼の顔つきは厳しいものに変わり始めた。
それはアンリエッタがルイズに自分の恋文を戦争のさなかの外国であるというアルビオンに取りに行かせようとしたくだりであった。
「おい、お姫さまよお……」
突然話題に入ってこられたアンリエッタはビクっと肩を震わせた。
ルイズは慌てたように完二を注意する。
「だからあんたそういう喋り方……」
「テメーはちょっと黙ってろ!」
完二が今までにないほど強い調子でルイズに言った。
ルイズもその剣幕に思わずすくんでしまう。
「あんたはルイズのことをダチだって言っておきながら、死ぬようなところにそいつを遣ろうっつーのか?
テメーのケツを他人に拭かせといてよくダチとか言えるもんだな、ああ!」
「それは……」
アンリエッタは言葉につまった。完二の剣幕にではなく、その言葉が心にひっかかったようだ。
「いい加減に……しなさい!」
ルイズがなにやら呪文を唱える。爆発が起きて、それを完二はモロに受けた。
突然の爆発で倒れふした完二の頭を踏み、ルイズは言った。
「この平民の言ったことはどうぞお気になさらないで下さい」
ルイズはぐりぐりと完二の頭を踏みにじってくる。
「テ、テメエ……」
ルイズの足元から完二は恨めしそうな声を出すが、彼女は構わずに喋り続け、ぐりぐりと踏みつけてくる。
「わたしの忠誠は王家にあります。もとよりこの身は姫さまに捧げる為のものです」
「ありがとう、ルイズ・フランソワーズ……」
アンリエッタは感謝の後にさらに言葉を続けた。
「忠誠には報いるものがなければありません」
そういうとアンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜き、ルイズに手渡した。
「これは母君から受け継いだ『水のルビー』です。旅の資金に不安があるなら売り払ってください」
ルイズは恭しく受け取った。
「ルイズ、使い魔さんとお話したいのですが、いいですか」
「えっ、この使い魔は礼儀を知らない蛮族でして、姫さまと言葉を交わすなんて……」
「話がしたいのです」
アンリエッタが強い口調で言うと、渋々といった様子でルイズは足をどけた。
完二はぐりぐりと踏まれていた頭を押さえながら頭を上げた。
アンリエッタは目線を合わせるように両膝をついて喋り始めた。
「あなたの言うとおりわたくしは友人にひどいことをしてるのかもしれません」
「姫さまそんなことは……」
ルイズの弁護を気にせずにアンリエッタは言葉を続ける。
「でもわたくしにはそうする他ないのです。どうかわかってくださいまし……」
完二は頭をさすっているままアンリエッタから顔を逸らした。
アンリエッタの言い分で納得したわけではないが、完二はもう先ほどまでのように怒る気もなくなったようだ。
アンリエッタは完二をじっと見つめていたが、決して納得したわけではないとわかったのか溜息をつきながら立ち上がった。
「信頼できる手だれを一人あなたたちの旅につけます。出発は明日……」
「ふっふっふ、面白そうな話をしていますね……」
突如聞こえてくる謎の声。
「誰!?」
ルイズが反射的に厳しい声で言った。
148ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:39:49.59 ID:PSqcbW8T
謎の声はドアの向こうから聞こえてきた。三人は視線をその方向へ向ける。
ドアは開けられた。ピョコピョコと音を立てながら、青い毛皮と赤の服を着たその丸い獣は入ってきた。
「みなさん、話は聞かせてもらいましたよ」
「何してんだ、オマエ……」
完二が呆れてしまう。
なんだと言うのだその喋り方は。
思わぬ珍客に呆然としてたルイズははっとする。
「聞いてたじゃないわ!機密事項よ!なに部外者が勝手に聞いてるのよ!」
「まずかったクマか?」
「当然よ!どれほど重要なことかわかってるの!?」
「んーわからんけどークマも一緒に行けば問題解決?」
「はあ?」
ルイズはクマの言うことが理解できないようだった。
「だーかーらークマも行くっちゅうの!」
「ちょっと、なんでそうなるのよ!」
「ブガイシャじゃないから知ってるのがマズイなら一緒に行けばいいクマ。ねっ、お姫さま?」
クマは突然矛先をアンリエッタに変える。
奇妙な闖入者に呆然としていたアンリエッタははっと気を取り戻した。
「え、ええ。確かにそうですが……あなたはいったい……?」
「クマはクマクマ」
全く答えになってなかった。
「そいつは信頼できるぜ。俺の仲間だ」
完二が助け舟を出す。
「ルイズの使い魔さんがそうおっしゃるなら……」
「大船に乗ったつもりで任せるクマー」
クマは能天気に言った。そしてじっとアンリエッタを見た。
「どうしたのですか?」
「なんていうかー、クマもー、ムクイルものが欲しいクマー」
なぜかクマは奇妙にもじもじしている
「ええと、なにか?」
目の前のよくわからない動物(?)の意図がわからずアンリエッタは素直に聞き返した。
「ナデて欲しいクマ」
「はあ……」
アンリエッタは言われるがままクマの頭を撫でた。
完二は頼んでも触らせてもらえないクマ毛をアンリエッタは撫でていた。
その表情から察するになかなかいい手触りらしい。
クマは姫に撫でられ気持ちよさそうに目を細めている。
「あーたまらんクマ。姫さまってけっこうテクニシャン?」
「ぶっ殺すわよ」
ルイズはクマに物騒な言葉を投げつけるが、クマは構わずに身をよじりながら喋り続ける。
「クマーン。お姫さまの残り香を嗅いでやって来たかいがあったクマ」
その発言にみな引いた。
149ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 前編:2011/05/07(土) 12:42:55.08 ID:PSqcbW8T
投下終了です。
前編をまた、前半ってやりかけた。あぶねー

ところで前に一番好きなキャラはイルククゥだと言いましたが、
正確にはイルククゥは一番好きな女性キャラで、本当に一番好きなのはコルベールです。
今回イマイチキャラが固まっていない時代のコルベールが出てきましたが、さてさて再登場はあるのかないのか。
あったらステキですよね……
150名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 13:28:43.64 ID:lmyclOy2
乙!
えっ、再登場無いの・・・!?w
151名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:27:00.06 ID:sMThlS+I
則巻千兵衛を召喚、オスマンやギーシュと仲良くなり、闇ルートで非生命体透視メガネを売り出して大儲け
152名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:51:15.26 ID:060XV/3x
fateXbleach fateXダイの大冒険

禁書Xbleach 禁書Xダイの大冒険

ssが見たい
153名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:53:52.02 ID:jEdsBpUH
ルイズがきのこの山とたけのこの里を大量に召喚
戦争勃発
154名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:57:16.07 ID:gAuEC2pr
>>153
たけのこ圧勝で決着ついただろ
155名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 22:58:01.02 ID:jEdsBpUH
>>154
は?たけのこ(笑)
156名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:00:43.54 ID:nW44G5lO
クマって原作でもこんな感じなの?
ただの変態にしか見えないんだが…
157名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:01:21.31 ID:6VCJpKHO
畑の子?

カールおじさん……大往生したはずの“ノーブルファーマー”ラドフォード伯爵か。
158 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/05/07(土) 23:03:30.70 ID:wQfGNs+1
>>156
変態っていうか本能に忠実っていうか
思ったこと隠さずに言うキャラかな
159名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:12:59.00 ID:AjVLlc4L
>>152
ワルド「コアラのマーチ派なのさ!」
と言って裏切るワルド
160名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:20:43.13 ID:1kznRJXx
>>153
なんかもう一種類なかったっけ?
161名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:25:20.41 ID:2Oo4xdNq
>>153
シエスタの出身がすぎのこ村
162名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:42:18.24 ID:NbFEMLPS
きこりのきり株とはなんだったのか
163名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/07(土) 23:44:51.70 ID:8TmsJc1S
>>162
ブルボンは他のお菓子が強すぎるからな…
164名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 00:03:19.25 ID:1L18vqlx
>>161
それだ! もう一種類。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 00:15:19.04 ID:7ndMYHlO
最近ABCビスケットを見ないと思ったら、ルイズが召喚してたのか。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 00:32:51.02 ID:E+D9owC+
姉妹スレの奇妙な使い魔にはルイズがチョコレートを召喚したSSがあったな
167名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 02:25:49.17 ID:t/ez96eq
168名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 08:58:56.02 ID:DTB+x9c6
ふと思った……つかよんっでパルプンテやろうとしてたけど
流星が降り注ぐ可能性や砕け散る可能性もあるんだよな……
山彦が響いてなんも無しの可能性もあるけど

あ、あと、まじんは確か【魔神】だったはず
169ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 10:37:41.43 ID:1bl/ZSw/
皆さんこんにちは、GWもあっというまでしたね。では、なごりおしみつつウルトラ5番目の使い魔の43話の投下を始めようと思います。
今日はいつもどおりにさるさん回避と、念のため忍法帳を考慮していつもより早く10:45より開始いたしますのでよろしくお願いします。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 10:44:08.62 ID:9s2Wepe+
>>125がやたらつかかってたからどんな変な文章が作中にあるのかと思って読んでみたら題名かよ
ぐぐったりエキサイト翻訳でもほぼ正しく訳されるレベルの英文が読めないとか馬鹿か

>>166
その前に、ハルケギニアってどの程度のお菓子があったっけ?
171名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 10:45:35.19 ID:OS+5Ohmc
単語が難しかったんだよ


支援
 第四十三話
 ハルケギニアの果てへ
 
 宇宙有翼怪獣 アリゲラ 登場!
 
 
 アーハンブラ城は、人間の住む世界ハルケギニアと、エルフの住む砂漠の地サハラの境界に位置する古城である。
 はじめは砂漠の小高い丘にエルフが作った城砦のひとつだったここを、一躍歴史の表舞台に立たせることになったのは、
千年近く前に人間の聖地回復連合軍がここを奪取したことに始まる。以後、人間がサハラに侵攻するための拠点となる
アーハンブラはエルフの攻撃を受けて奪い返され、人間がまた奪還し、またそれを奪還しようとするエルフとのあいだで、
幾度となく争いが繰り返された。
 最後となったのは数百年前、聖地回復連合軍が所有者となったときである。しかし、長引く戦いで疲弊しつくした人間側には
サハラに攻め込む余裕はもはやなく、エルフの持つ力を思い知らされていた聖地回復連合軍はこれを持って終了することとなった。
 現代はすでに戦略上の拠点からは外され、城砦は役目を失って放棄された。ただ、そのおかげで平和が訪れ、ふもとの町だけは
オアシスがあることで交易地として繁栄してきた。
 しかし現在、アーハンブラはほぼ無人と化している。ある日突然やってきたガリア軍によって民衆は追い出され、そのガリア軍も
廃城であったアーハンブラ城を改築した後に撤収したからだ。それは、ジョゼフがこのアーハンブラをビダーシャルのための、
誰の目にも止まらない技術提供の場とすることと、捕らえてきた虚無の担い手が逃げ出せない天然の牢獄として使用するためであった。
 城内は美しく清掃され、エルフが建造した当時の見事な彫刻を浮き出させている。もしここが博物館であれば、連日数え切れない
ほどの人々でにぎわうであろう。だけれども、この城にたった一人で幽閉され、心を奪われる日を待つのみの身となったティファニアには、
芸術はなんの慰めにもならない無機質なものでしかない。また、彼女の事実上の死刑執行人とされたビダーシャルも、先祖の残した
造形美を観察する余裕はなく、尖塔の最上階の部屋に設けられた作業室に閉じこもっていた。
 陽光による薬品の変質を防ぐために、窓にはカーテンがかけられて、薄暗い室内には様々な薬品を入れたガラスの器具が
所狭しとならべられている。このビダーシャル専用の作業室は、彼が魔法薬の精製をおこなうために必要な道具がすべて
揃えられており、城の中で唯一異色を放っている。そこで彼はティファニアに使うための心身喪失薬を作っていたが、同時に一人で
すべてを手がけることの限界も感じ始めていた。
 
173ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 10:50:15.05 ID:1bl/ZSw/
 ジョゼフに用意させた魔法の製薬器具から離れたところに、ビダーシャルがサハラから持って来たいくつかの魔道具が並べられている。
今、ビダーシャルはその中の一つである、遠方の仲間と交信できる魔鏡を使っていた。交信しようとしてる相手は、自分について
ハルケギニアへやってきたもう一人のエルフである。ジョゼフの部下になった自分とは別行動をとり、独自にこの世界の異変を
調査していたその者を、ビダーシャルは呼び戻そうとしていた。
「聞こえているか? お前の協力が必要になった。すぐにこちらに来てもらいたい」
「あら叔父様、なにかおもしろそうなことが起きたんですの? ふふっ、こちらに来てから毎日が刺激の連続ね」
 魔鏡から返って来た若い女性の声に、ビダーシャルはため息まじりで応えた。相手の声は明瞭で快活であり、子供を思わせるような
無邪気さも感じられる。つい先程まで暗く沈んだティファニアの相手をして、これからまた気乗りのしない仕事を始めなければならない
彼には、相手の元気さが少々憎らしくもあった。
「君は蛮人の世界に来ても何も変わらないな。前々から、蛮人の道具を買い集めたりと奇行が目立っていたが、蛮人の世界の実物を
見て、少しは幻滅したのではないか?」
「まさか? 幻滅どころか、楽しい日々を送っていますわ。蛮人たちは彼らなりに独自の魔法理論を構築してますし、なによりも
ここにはサハラにはないものが山ほどあります。見るもの聞くもの触れるもの、すべて私にとっては宝物ですわよ」
 人間よりもはるかに高度な文明を有するエルフは、人間を蛮人と呼んで見下しているものが多い。ビダーシャルもその例外ではなく、
人間世界で暮らしていることには少なからぬ疲れを感じている。ところが、相手のエルフの女性はビダーシャルとはまったく
対照的に、人間を蛮人と呼んでも、そこに悪意はなく、人間社会を楽しんでいる様子だった。
「それにしても、しばらくぶりですわね叔父さま。ここのところ連絡がありませんでしたけど、お元気でしたか?」
「最悪と呼んで差し支えない気分だ。お前は相変わらずどころか、以前よりも元気になったように思えるな」
「それはもう、こちらに来てからは未知の発見と興奮の毎日ですもの。こちらの一日が、あちらの一年にも匹敵する密度ですから、
退屈などしてられないです」
「研究者である君にとっては、蛮人の世界も夢の国になるか。うらやましい限りだが、正体がばれるようなことはなっていまいな?」
「それはもちろん。精霊の力での『変化』を、蛮人の魔法では見抜くことはできないことは叔父さまもご承知のはず。ちゃんと耳、隠れているでしょう?」
174ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 10:51:58.24 ID:1bl/ZSw/
 そう言って、相手の女性は首をかしげるようなしぐさをして見せた。しかし、あいにくビダーシャルはその問いに答えることができなかった。
「あいにく、映像が乱れていて細かいことはわからん。この道具、もう少し感度はよくならないのか?」
 鏡面には、薄ぼんやりとした様子で相手の姿が映っているが、ときおり映像が乱れて途切れそうになる不安定なものだった。
この道具は、ガリアに交渉に行くことになった際に、相手の女性がどこかしらか持って来たものである。けれども、その通信感度は
日によって大きくばらついて、つながらないことも多々あるという頼りなげな道具だった。エルフの技術を持ってしても、遠方との
通信はたやすいものではないのだった。
「あら、それは残念ですわね。古代の秘術を研究して作った魔鏡だったのですが、まだまだ改良の余地があるようですね」
「それはいずれ、サハラに帰ってからゆっくりとやってくれ。しかしこんなもの、ここで使うよりも、君の婚約者に渡したほうがよかったのではないのか?」
「あら、それは絶対だめですわよ。こんなものを渡したら、アリィーのことだからそれこそ四五日中話しかけてくるに決まってますわ。
私が静かに研究に集中する時間を削られるなんてまっぴらごめんです」
 一切躊躇なく答えた彼女に、ビダーシャルは苦笑するしかなかった。
「君も罪な女だな」
「はい?」
「いや、なんでもない。ところで、君のほうは異変や悪魔の力に関して調査は進んでいるのか?」
 話を変えて尋ねると、相手の女性はその質問を待っていたとばかりに話し出した。
「それはもちろん。収穫がありすぎて、どこから話していいかわからないくらいですわよ。ええと、私がここに来てからすぐのことなんですけれど」
「いや、説明はいい。君に話させると、サハラの日が沈んで昇るまで聞かされることになるからな。それに関しては、こちらで直接
聞かせてもらうことにするよ」
「こちら? ああそういえば、最初にそんなことをおっしゃってましたわね」
「ああ、少々やっかいごとが起きてな。君の助力が必要になった。私の言うところまで来てもらいたい」
「いいですけど、おもしろいことですわよね?」
 そこでビダーシャルはすべてを明かした。ジョゼフからの命令のこと、アーハンブラ城にいること、そして虚無の担い手……彼らにとっては
悪魔の力を受け継ぐものがここにいることを、無感情に話しきった。
「そういうわけだ。我らがここに来た第一の目的である悪魔の力を受け継ぐものが見つかったために、その脅威に抑制を持たせ
なければならない。しかし、本来薬学などは私の専門外だからな。君の知識と技術が必要なのだ」
175ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 10:53:56.04 ID:1bl/ZSw/
 ビダーシャルは自分の能力の限界を理解していた。心身喪失薬はその気になれば独力でも充分に作れる。しかし、単に心を
消し去ればよいのならまだしも、心を操るレベルに調整するとなったら絶対に失敗の許されない緻密さが要求される。それに、薬が
完成するまでのあいだ、女性の相手をするにはやはり女性のほうがよいだろう。そういう気遣いをこめていたのだが、相手は彼とは
別個の考えがあるようだった。
「ちょっと待ってください叔父さま。そのやり方は少し性急すぎはしませんか? 聞くところ、その担い手の子はハーフエルフであるとか! 
私個人としても学術的に大いに興味があります……と、それはおいておいても悪魔の力の正体もあばかないうちに、下手に手を出すのは
危険ではありませんか?」
「本音と建前がずれているぞ。君の職務は理解しているつもりだし、私としてもあまり気は進まない。しかし、我々の使命は一刻も
早く悪魔の力の脅威から一族を解放すること。ジョゼフが悪魔の力を得たとて、せいぜい蛮人同士のくだらぬ争いに用いる程度だ。
一族の安全こそが急務であり、それが第一であることを忘れてはいけない。違うかね?」
 強行に反対されても、ビダーシャルはにべもなく首をふった。相手の女性は、まだなにか言いたげにうめいていたけれど、
反論しても正論を楯に断固拒否されることがわかっていたので、仕方なげに了解した。
「わかりましたわ。では、そちらのほうへ向かわせていただきます。アーハンブラ城でよろしかったですね」
「うむ。できる限り早く頼む。五日以内に来てくれればありがたいが、やってもらいたいのは心身喪失薬の最終調整だから多少
遅れてもかまわない。ただし、十日以内にやってこなかった場合は到着を待たずに薬を与える。待っているぞ」
 事務的にそう告げると、ビダーシャルは魔鏡の操作を終了した。鏡面が元通りの、何の変哲もない鏡に戻って、ビダーシャル
自身の姿がそこに映し出される。鏡に映った自分の顔を見て、ビダーシャルは我ながらいやな顔をしているなと少し思い、やがて
何事もなかったように薬の精製作業に戻っていった。
 
 一方、ビダーシャルと話していた相手側のエルフも、薄暗い部屋で、効果が切れてただの鏡になった魔鏡に映った自分の顔を見ていた。
「叔父さまのバカ! 世にも貴重なハーフエルフを、あまつさえシャイターンの力を持つなんて、二度と手に入らないような貴重な
研究資料を使い物にならなくしようなんて! 絶対に許せないわ」
 ビダーシャルに言ったこととは裏腹に、やはり納得できていなかった彼女はおおいに荒れていた。
176ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:00:31.58 ID:1bl/ZSw/
 彼女のなめらかな金髪が、怒りのあまり頭をかきむしったことで大きく乱れて、食いしばった歯からぎりぎりといやな音が漏れる。
足元で怒りのとばっちりを受けた椅子が壁に叩きつけられて、テーブルの上に積んであった本が崩れても彼女は意にも介さない。
人ならば妖精にたとえるであろう美しい顔立ちも、このときばかりは鏡が映すのを嫌がりそうなくらいになっていた。
「そりゃあ、私だって使命が第一だってことはわかるわよ。でもそれにしたってやりようがあるじゃない。ほんとに、叔父さまは
真面目すぎるんだから、もう」
 部屋が半壊したところでやっと落ち着いた彼女は、ため息をついて魔鏡に映った自分の顔を眺めてみた。不愉快そうで、
おせじにも美しいとはいいがたい顔に、自分のものながらおかしさがわいてくる。古今の東西を問わずに、鏡には不思議な力が
宿るという伝承が数え切れないほど伝わっているのは、自分の姿という普通では絶対に見れないものを見せてくれる神秘性から
生まれたものかもしれない。
 鏡に醜い顔を映すのをやめた彼女は、冷静に考え直してみた。
 やはり、何度考えても悪魔の末裔に強行に手を加えるのは無謀にすぎる。個人的感情が混ざっているのは否定しないし、
やはりとてつもなくもったいないと思うけれど、なんの裏づけもなく短慮で行動していいものか。第一、ジョゼフが悪魔の力を
蛮人同士の争いに使うのならばエルフに被害は来ない、などと虫のいい計算ではないか。
 彼女は、手持ちの魔道具の中から通信用とは別の魔鏡を取り出した。それは、以前ビダーシャルがサハラの情景をジョゼフに
見せたものと同じ、映像を記録するタイプのマジックアイテムである。自分と、ビダーシャルにも届いているに違いないそれに
記録されていた映像を見つめて、彼女はつぶやいた。
「サハラがこんなになっていたら、叔父さまが焦りたくなる気持ちもわかるけどね……それでも、この異変とシャイターンの復活とが
関連性があるという確固たる証拠はまだないのよ、やっぱり軽率な行動だわ。けれど、叔父さまは蛮人の王の要求をこばめないし、
私の説得なんか耳を貸してくれないし、どうしようかしら……」
 彼女はしばらく考え込んだ後、よしと指を鳴らすと顔をあげた。
「私がだめなんだったら、別の誰かに叔父さまを止めてもらいましょう。となると、悪魔の力に対抗するにはこちらも悪魔の力を
持っていくしかないでしょうね」
 考えを決めた彼女は、さっそく身の回りのものをまとめると部屋を出た。
177ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:02:03.44 ID:1bl/ZSw/
「お出かけですか? ちょうどよかった。遺跡から発掘された碑文の解読が終了したので、写し書きを魔法学院のエレオノール女史に
届けていただきたいそうです」
「そう。それはこちらとしても都合がよかったわ。じゃ、これは確かに私から先輩に届けておくから。それと、しばらく留守にするからって、
ヴァレリー教授に伝えておいて。ああ、戻ってきたときにはまた使うから、私の部屋ちゃんととっておいてよ」
 資料を受け取った彼女は、そのまま魔法学院へと旅立った。
 
 ティファニアの心が奪われるまで、あと十日。それを過ぎてしまえば、人間の力では彼女を助けることはできなくなる。
 才人たちは学院に戻ってからも、ティファニアを救出しようと八方手を尽くしていた。しかし、ティファニアの置かれている状況はおろか、
居場所の手ががりすらつかめていない。ルイズの部屋に顔を揃えた才人とルイズ、キュルケとタバサにエレオノールは、希望が
まったくなくて困り果てていた。
「ここまで探して手がかりゼロってことは、ティファニアがさらわれたのはトリステイン以外のどこかの国ってことになるわね」
 キュルケがつぶやいた結論に、才人たちはお手上げだといわんばかりにため息をついた。
「やっぱりそういうことになるか。でも、それだといくらなんでも探しようがないぜ」
 トリステインの中であるならば、アンリエッタや銃士隊などの協力をあおぐことはできる。しかし、国外ともなればまったくもって
後ろ盾はないので、なにを調べるにしても時間も手間もかかりすぎる。そんな悠長なことをやっている暇はない。
 山を張るにしてもガリア、ゲルマニア、ロマリアと国は多く、国土は広い。このハルケギニアでたった一人の人間を探し出すことが、
いかに不可能に近いか嫌というほど思い知らされた。
 エレオノールも、なんとかなるかもといった甘い見通しは完全に捨てていた。
「あなたたち、最初の威勢はどうしたの?」
「そういわれても……」
 生返事しか返ってこず、初日に見せていた元気は見る影もない。
 彼女自身も、この先どう捜索すればいいのかわからない。正直に言えば、人探しなどは専門外なのだからできなくても当然である。
だが、虚無に関することにこれ以上知っている人間を増やすわけにもいかない。かといって時間をかければ、ティファニアは敵と
なって自分たちの前に現れるだろう。
178ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:03:53.06 ID:1bl/ZSw/
 現在できるもう一つのことは、虚無の魔法の秘密自体を暴いていくことだが、こちらも進んでいない。エレオノールは、遺跡の
碑文の解読はまだ終わらないのかといらだっていた。ヴァレリーほど優秀な学者が、こなせない仕事だとは思えない。
 虚無に対抗するにはこちらも虚無を使いこなすことが望ましい。『エクスプロージョン』は強烈だけども、それだけでは心もとない。
ルイズが新しい虚無の呪文を覚えるか、もしくは虚無の魔法を自在に使えるようになることができればいいのだけれど……
”ヴァレリー、まだなの?”
 溺れる者になった気で、エレオノールは解読文が届くことをひたすらに待った。
 そのときである。部屋の扉がノックされ、開けてみるとアカデミーの研究員の身なりをした少女が立っていた。
「先輩、こちらにいらっしゃいましたか」
「ルクシャナ、あなたが来たの」
 やってきたのがアカデミーの後輩であったことで、エレオノールは待ち望んでいたものが来たことを知った。
「お姉さま、その方は?」
「ああ、あなたたちと会うのは初めてだったわね。先日、アカデミーに入った優秀な新人よ」
「ルクシャナというの、よろしくね。あなたが先輩の妹さん? ふーん、あなたがねえ」
「は、はい?」
 あいさつをしたルクシャナに、まじまじと見つめられてルイズは困惑した。エレオノールの後輩だからか、遠慮のない態度はまあ
わかるとして、その好奇心にあふれた眼差しはなんであろうか。
「ルクシャナ、ルイズなんか見ても別におもしろくもないわよ。それより、用があって来たんじゃないの?」
「ええまあ。こちら、ヴァレリー先輩からの届け物です」
 ヴァレリーから預かってきたという書簡を受け取ると、間違いなく彼女のサインがされているのを確認する。厚い封筒に入った
それは厳重に蝋で封印され、言ってあったとおりに人の目に触れないようにしてくれていたようだ。
「ご苦労様、じゃあもう帰っていいわよ」
「ええーっ、せっかくここまで来たのにそれはないですよ。その碑文の解読、なぜかヴァレリー先輩だけがまかされてほかの
研究員は締め出されるし。読めるのを楽しみにしてたのに」
 入室から二分も経たずに追い出されかけて、当然のようにルクシャナは不満の声をあげた。
「あのねえ、ほかの研究員を締め出すってことは、秘密にしておきたいからに決まってるじゃないの」
「虚無に関わるからですか?」
「そう、虚無に……えっ!」
 ルクシャナの口から飛び出した、あってはならない単語にエレオノールの顔がこわばる。
179ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:05:17.15 ID:1bl/ZSw/
 今、彼女はなんといった。聞き間違いでなければ、確かに『虚無』といった。この文書が、なぜ秘密扱いでヴァレリーに解読を
頼まれたのかはヴァレリー本人ですら知らない。彼女は借りが大きくなることを承知で、訳を聞かずに引き受けてくれと懇願する
エレオノールの頼みを聞いただけだ。
「ルクシャナ、どうしてあなたがそのことを……?」
 胸の動揺を抑えながら、つとめて冷静を装ってエレオノールは問いかけた。同時に、才人はルクシャナの背後に立ち、キュルケは
部屋の扉にロックの魔法をかける。それなのに、ルクシャナは別に悪びれるでもなく、エレオノールの胸についているアカデミーの
バッジを指差した。
「すみませんが、先輩が最近なにか隠しごとをしてるようなので、バッジに少し細工をね。受信機はほらこっち」
 ルクシャナが自分のバッジを外して見せると、そこからは確かに今エレオノールに言ったとおりの言葉が聞こえてきた。
「盗聴器!?」
「正解! といっても受信感度はいいとこ一リーグくらいなんですけど、先輩独り言が多いからバッチリ。でも、先輩の妹さんが
虚無の担い手だって知ったのは、つい最近なんですが」
「嘘! だって盗聴の危険は常にディテクトマジックで排除してきた。今日だって、魔法の反応なんてどこにもなかったのに!」
 外したバッジを握り締めて詰め寄るエレオノールにも、ルクシャナは涼しい顔だった。すでにルイズやタバサも攻撃態勢に
加わっている。虚無の秘密を知られた上に、盗聴までされていたとなれば当たり前だ。話によってはただで帰すわけにはいかない。
だが、殺気立ったメイジ四人に取り囲まれているというのにルクシャナは相変わらず少しも動じずに、笑いながら答えた。
「そりゃそうですよ。私たちの魔法は蛮人の魔法では察知できません」
「え……今、あなたなんて……?」
「だから、蛮人の魔法と精霊の力を行使した私たちの魔法は根本から違うから、そちらのディテクトマジックでは探知できないんですよ。
落ち着いてくださいって、先輩ならこのくらいのこと説明しなくてもおわかりになるでしょう?」
 違う、驚いているのはそういうことではない。人間の魔法では探知できない魔法。精霊の力を行使した、その答えは一つしかない。
さらに、我々のことを蛮人と侮蔑を込めた物言いで呼ぶ、そんな相手はやはり一つ。エレオノールだけでなく、ルイズもキュルケも、
才人を除いた全員がルクシャナの正体に察しがついて戦慄した。
「あなた、まさか……」
「お気づきになられたみたいですね。じゃあま、もったいぶっても仕方がないし、単刀直入に話すとしましょうか」
180ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:06:56.90 ID:1bl/ZSw/
 勝ち誇ったような笑いを浮かべると、ルクシャナは短く「我を纏う風よ。我の姿を変えよ」と、呪文を唱えた。淡い光がルクシャナを
包んだかと思うと、すぐに光は消えてルクシャナの姿が現れる。そのルクシャナの容姿は、元と顔つきも体つきもほとんど変わっては
いなかったが、一箇所だけ大きく変化している。耳が、長く鋭く伸びていたのだ。
「エルフ!?」
「ご名答。って、見ればわかるわよね」
 正体を現したルクシャナは、うーんと背伸びをすると元に戻った耳をなでた。その仕草だけを見るならば、年頃の女の子の
別に珍しくもない行動ととれるだろう。しかし、彼女がエルフであるということが、ルイズたちの……ハルケギニアの人間の無意識に
刷り込まれた恐怖心を呼び覚ましていた。
「エ、エルフ!」
「な、なんで!」
「くっ……」
 めったなことではうろたえないルイズやキュルケ、大抵のことでは無表情を貫いているタバサまでもがぐっと息を呑んで後づさる。
平然としているのは才人だけだ。
「お、おいおいお前らなんだよビビッちまって。エルフって、相手はたった一人だろ」
 才人にとって、知っているエルフはティファニア以外にはいない。いや、ルイズたちにとってもそうなのだけど、ハルケギニアの
人間にとってエルフとは、地球で言う鬼や悪魔のように恐ろしいものの代名詞として、幼い頃から教えられるものだ。頭では
大丈夫だと思っても、深く植えつけられた恐怖心まではそうはいかない。
 だけれど、もっともショックが大きかったのはエレオノールであるのはいうまでもない。
「ルクシャナ……あなた、あなたがエルフだったなんて。これまでずっと、私たちをだましてきたっていうの!?」
「結果からいえば、そういうことになるわね。でも、エルフの姿のままじゃアカデミーに入れっこないし、そのへんは目をつぶってくださいね」
「そういう意味じゃないわよ。エルフが人間に化けてまで、なんでこんなところにいるのかってことよ!」
「うーん、それにはけっこうややこしい理由があるんで長くなるけど、一言で言えば蛮人の世界を探るためかな?」
 ルクシャナは、人間の姿のときに使っていた敬語を省いてエレオノールに答えた。といっても、エルフの寿命は人間よりもずっと
長いために、一見ではやや瞳が鋭いくらいの少女にしか見えないルクシャナも、さしてエレオノールと歳の差はない。それでも、
これまでずっと後輩と見てきたルクシャナの正体を知ったことで、エレオノールの心には深い屈辱感が生まれていた。
「これで、あなたが歳の割には異常なほど優秀だった理由もわかったわ。エルフは優秀な頭脳の持ち主だっていうから、さぞかし
私たち人間のことがバカに見えたでしょうね」
181ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:08:19.86 ID:1bl/ZSw/
「落ち着きなさいよ。いや、落ち着いてくださいよ。どうも偏見があるみたいなんで修正しておくけど、私たちはあなたたちと比べて
寿命が長い分成人も遅いの。だから教育を受ける期間も長くて、それがあなたたちから見れば英知を持ってるように見えるんで
しょうね。基本的な記憶力なんかは、実際ほとんど変わらないわ」
「本当でしょうね」
「少なからぬ時間、いっしょに過ごして体験したことだからね。私も学者よ、自分の検証は偽らないわ。それと、エレオノール先輩や
ヴァレリー先輩を尊敬してるのも事実です。正直、あなた方ほどの学者はエルフにもそうはいないわ。おかげで、いろいろと勉強させて
もらったわ。ありがとう」
 中途半端に敬語が混じった言い方だが、どうやら嘘だけはついていないようだ。エレオノールは、同じ学者としてそれを信じる
ことにすると、一回深呼吸をして気を落ち着かせた。
「わかったわ。じゃあ、あなたの言うとおり単刀直入に話を進めましょう。あなたの目的はなに? どうしてエルフだってことを
ばらして、虚無に興味を持つわけ?」
「簡単よ。あなたたち、さらわれたハーフエルフの虚無の担い手を探してるんでしょう? 居場所を教えてあげに来たのよ」
「なっ!?」
 想像もしていなかった答えに、全員が例外なく絶句した。しかし一瞬の間を置き、我に返ったとたんに才人は反射的に叫んでいた。
「ティファニアの居場所を知ってるっていうのか!?」
「だからそう言ってるじゃない。物分りが悪い子たちねえ」
 叫んだ才人に、ルクシャナはめんどうくさそうに答えた。が、才人の驚いているのはそういうことではない。
「すっとぼけるなよ! なんでお前にティファニアの居所がわかるかっていってんだよ。まさかお前もシェフィールドの一味なのか?」
「はあ? あんたこそなにを訳のわからないこと言ってるの。私は別に誰にも従ってるわけじゃないわ……いえ、もしかしたら
叔父さまと契約したっていうあの男なら」
「おい、どうしたんだよ?」
 突然考え込んでしまったルクシャナに、才人は問いかけるけれど彼女は答えない。
「なーるほど、そういうふうにつながってたんだ。ふむふむ、これはまた興味深い考察課題ができたわね」
「おいこら! 聞いてんのか!」
「うるっさいわねえ。これだから男ってのは野蛮で嫌いよ、しぱらく黙らせてあげましょうか」
 いら立った気配を見せたルクシャナに、ルイズたちはいっせいに身構えた。エルフの使う先住魔法、この中でその威力を直接
見たものはいないが、伝承ではスクウェアクラスの魔法をもしのぐ威力を持っているという。
「なんだよ、やるっていうのか?」
「サイトやめなさい! エルフを怒らせちゃだめ」
182ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:09:59.56 ID:1bl/ZSw/
 ルイズがエルフの脅威を知らない才人を引きずり倒した。才人は「なにすんだ」と抗議するが、背中からあばらがきしむほど
踏みつけられた。その一撃で肺の空気を全部吐き出さされて、酸素欠乏症に陥らされた才人は金魚のように口をパクパクさせる。
久々に見せるルイズのおしおきの前に、才人はテンカウントを待つことすらなく黙らされた。
「あなた、ずいぶんとまあ生物の常識を無視した沈静方法を使うわね……私が言うのもなんだけど、彼大丈夫なの?」
「こいつはこんなものじゃ死にはしないわよ。まったく、少しは会話の流れってものを読みなさいよね」
 多分聞こえてないだろうが、ルイズは足の下でもだえている才人に言った。しかし、さしものエルフでもルイズの折檻は
引くものがあったらしい。才人への敵意はすっかり消えて、一転して同情のまなざしになっている。それほどまで才人の惨状は、
見慣れているはずのキュルケなどからしてみても、これなら一思いに息の根を止められたほうが、まだ幸せかもしれないというふうに見えた。
 とはいえ、ティファニアの身が気になって冷静さを失っている才人では話にならなかったのも事実だ。呼吸困難で悶絶している
才人を置いておいて、代わりにルイズがルクシャナに向かい合った。
「うるさいのは黙らせたわよ。だから話を続けてちょうだい」
「はぁ、すっかり話がそれちゃったけど、まあいいわ。えーっと、どこまで話したかしら?」
「いえ、本気でわたしたちに協力する気があるなら最初から全部話してちょうだい。ティファニアの命がかかってる以上、不確かな
情報で動くわけにはいかないわ」
 鋭い目で睨み付けるルイズに、すでに毒気を抜かれていたルクシャナは含み笑いをしてうなづいた。
「あなた賢いわね。それにおもしろい。いいわ、観察対象として合格。話してあげるわ」
 ルクシャナは、ルイズのベッドに腰をおろすと、ことのあらましを語り始めた。
 自分は、エルフの世界で起きている異変を抑えるためにハルケギニアに派遣されてきた叔父にくっついてきたこと。そのために
ガリア王ジョゼフと交渉し、叔父が彼の配下にならざるを得なくなったこと。自分は下働きなどおもしろくもないので、話に聞いた
トリステインの魔法アカデミーに行ってみることにして今日まで来たことを、あっさりと全部話した。
「おおまかなことは言ったとおり、それで今あなたたちのお探しの虚無の担い手は、私の叔父さまといっしょにガリアのアーハンブラ城にいるわ」
「ガリアの王……まさか、それほどの相手だったなんて」
 シェフィールドがあれだけ自信を持つわけだとルイズは思った。組織どころか、国が背後についているのだから当然である。
「でも、なんでまたガリアの王様が虚無を狙うわけよ?」
183ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:11:14.67 ID:1bl/ZSw/
「さあ。ジョゼフとの交渉は主に伯父さまがしてて、私はしばらく会ってもいないからね。けど、蛮人の考えることなんてだいたい同じじゃない?」
 人間を見下す様子を隠すでもないルクシャナに、ルイズは不快感を抱いたが否定もできなかった。ガリア王ジョゼフが『無能王』と
内外で言われているのは、トリステイン人である自分も知っている。その汚名を晴らすために虚無を使って、ハルケギニアを統一しよう
などという、ゆがんだ野心でも抱いているのだろうか?
 また、キュルケはガリアの名を聞き、タバサの境遇を思い出して、彼女に視線を向けていた。しかし、キュルケの無言のうったえに
タバサはなにも答えずに、無表情と沈黙を貫いている。
「ガリア王ジョゼフね……エルフを部下にするなんて、とんでもない男のようね。でも、誇り高いエルフが交換条件とはいえ人間に
ひざを折るなんて、サハラで起きている異変ってどういうものなの?」
 ルイズに質問されたルクシャナは、ふたつの答えを示した。ひとつはあなたたち虚無の担い手に関係するシャイターンの門の
活動に関すること、もう一つは直接見たほうが早いと、ルイズに鏡のマジックアイテムを手渡した。覗き込んだルイズたちの瞳に、
記録されていたサハラの情景が映し出される。
 まず見えてきたのは、一面の砂の世界の中に、宝石のように輝くエメラルドグリーンのオアシスだった。湖畔には緑があふれ、
砂漠の中だというのにみずみずしい生命の息吹にあふれている。その周辺には取り巻くように美しい街並みが作られていた。
「きれいな街……」
 エルフのものだということを忘れて、ルイズたちはその街の美しさに見入った。建物はハルケギニアのどの国のものよりも規模が
大きいだけでなく、精巧で機能的なデザインで組まれていて、どちらかといえば地球のビル街に近い。しかしコンクリート製の地球の
ビルや、ハルケギニアの石材やレンガ造りのものと違って、白磁に輝く見たこともない美しい石でできていた。
 ルクシャナはそれが、サハラの中で南海という場所に近いところにある地方都市だと語った。地方都市でこれとは、首都は
どれほど雄大なのだろうとルイズたちはエルフとの技術差に心が寒くなる。
 だが、都市に見とれていられたのもわずかなあいだだった。空のかなたから突如現れた無数の影、それが翼を翻して都市の
上空に接近してきたとき、都市の数十箇所で火の手があがったのである。
「あれは、竜!?」
「いえ、竜なんかよりはるかに大きい。怪獣の群れよ」
 現れたのは、赤い翼と鎧のような体を持つワイバーンのような怪獣の群れだった。才人はまだ痛む体の中で鏡を見上げてつぶやいた。
「アリゲラ……」
184ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:12:46.07 ID:1bl/ZSw/
 それは、かつてウルトラマンメビウスが戦ったこともある宇宙有翼怪獣アリゲラの群れであった。数は画面から算定できるだけで
最低七匹、それらが肩口や尻尾から放つ破壊光弾で街を攻撃している。
「ひどい……」
 エルフたちは逃げ惑い、美しかった街並みはみるみる破壊されていく。突然これだけの数の怪獣に襲われたのでは、いかにエルフの
街とてひとたまりもなかった。
 これが、エルフの世界を襲っている異変……怪獣の出現はハルケギニアだけではなかったことに、ルイズたちはあらためて
世界の危機を実感して息を呑んだ。
「ヤプールの影響が、エルフの世界にも波及してたのね」
 ルイズの言葉に、ルクシャナは「そう」とうなづいた。才人も同感で、アリゲラの大群の出現はヤプールが原因とみて間違いない。
この世界でも、アリゲラは三十年前にオスマンを襲ってウルトラマンダイナに倒されているので、存在は確認されている。群れで
現れたのは、かつて現れた個体はおそらくはぐれで、本来の生態は宇宙渡り鳥バルやディノゾールのように群れで渡りをする
性質を持っているからなのだろう。
 そして、その性質ゆえに、渡り鳥が電磁波で目的地を見失ってしまうように、ヤプールの時空波に敏感に影響を受けてしまったのだ。
 画像は暴れるアリゲラの群れにエルフの空中艦隊が迎撃に向かったところで終わり、ルクシャナは再び口を開いた。
「今のところは私たちの軍隊が抑えているけど、それもいつまで持つか。だから叔父さまも焦ってるのね。だけれど、叔父さまは
シャイターンの力が制御可能な形に落ち着けばそれでいいみたいだけど、私に言わせれば貴重な研究資料を台無しにするなんて
冗談じゃないわ! で、私が直接叔父さまを説得するのは無理だから、同じシャイターンの末裔であるあなたたちに救出してほしいわけ」
「それがあなたがわたしたちに協力する理由ね。でも、ティファニアを助け出したとたんに手のひらを返してってことはないでしょうね? 
もし、あの子に痛みを与えるようなことをすれば、あなたたちが悪魔と呼ぶとおりにわたしはなってあげるわよ」
 脅しと呼ぶには壮烈すぎる殺気をぶつけるルイズに、ルクシャナはやれやれと首を振った。
「あなた、わたしのことを血も涙もない狂学者みたいに思ってない? 心配しなくても、体も心も手を加えるつもりはないわよ。私が
したいのはあくまで観察、自然な姿こそが重要なの」
 ルクシャナは断言し、ルイズは「ならいいわ。あなたを信用しましょう」と答えた。そんなルイズに、そのころようやく回復してきた
才人が噛み付いた。
185ウルトラ5番目の使い魔 43話  ◆213pT8BiCc :2011/05/08(日) 11:14:25.56 ID:1bl/ZSw/
「ルイズいいのか? こんなやつを信用して」
「信用するわよ。この人は私たちに悪意を持ってるわけじゃないわ」
「ご理解ありがとう。やっぱりあなたは賢いわね」
 少しも遠慮せずに、ルクシャナはルイズを好成績を出した生徒のようにほめた。
「ふんっ。善意で協力しようとしてるわけでもないんでしょ。ようはあなたはあなたの研究欲を満たしたいだけ。でもそれでいいわ、
今日はじめて会った相手をいきなり信頼できるわけもない……ただ、それがティファニアを助け出す唯一の道ならわたしは迷わない」
 ルイズの決意を聞き、才人も確かに今は誰の力を借りてもティファニアを救出することが先決だと思い直した。するとルクシャナは、
「協定成立ね」と手を差し出してきた。しかしルイズは自分も手を出そうとはせず、ルクシャナに問いかけた。
「協定の前に一つだけ聞かせて。あなた、短い期間でもハルケギニアで暮らして、ここの人たちをどう思ったの? ただ蛮人の世界は
おもしろいと思っただけ? エルフの人に比べて、人間は蛮人というとおりに本当に劣る存在だった?」
「それはないわ。確かに技術の差は格段だけど、エルフもここも、住んでる人にたいして違いはなかったわね。私があっさりここの
生活に溶け込めたのがその証拠。実際、あんまり変化がないもので拍子抜けしちゃったわ」
「じゃあなんで、私たち人間のことを蛮人なんて見下した呼び方をするの?」
「あら、そんなこと気にしてたんだ。そうね……特に理由はないわ、物心ついたときからそう呼んでたし。それをいうなら、あなたたち
だってエルフのことを化け物よばわりしてるでしょ」
 指摘されて、ルイズたちははっとした。相手のことばかり考えていたけど、今自分たちは彼女に対して明らかな敵意を向けている。
彼女は最初から話し合いに来たといっているのに、場を複雑にしているのは自分たちだ。先入観から初対面の相手を蔑視し、
差別するのはおろかなことだとわかりきっているのに無意識にやってしまった。
「悪かったわね。エルフだからって殺気立っちゃって」
「気にしてないわよ。あなたたちはだいたいそんなものでしょ、気にしてたらきりがないわ」
 なんでもないように言うルクシャナは、人間の蔑視など歯牙にもかけていないようだった。ただ、そうして人間を見下してはいなくても、
なめた様子のルクシャナにルイズの対抗意識がかきたてられてきた。
「そうね……じゃ、ほんとうのエルフがどういうものなのか、私もあなたを観察させてもらうわ。失望させないでよね!」
 力強く言い放つと、ルイズはがっちりとルクシャナの手を握った。ルクシャナはしばし呆然としていたけれど、すぐに不敵な笑みを浮かべる。
「私を観察しようっていうの? やっぱりあなたおもしろいわね」
186ウルトラ5番目の使い魔 43話(代理):2011/05/08(日) 11:21:10.20 ID:b0NZ6Ddd
「よろしくね。わたしの名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。百や二百の論文で、わたしを語りつくせると思わないでよね」
「望むところよ、一生かけてもあなたと虚無の秘密、暴きつくしてあげるわ!」
 二人は互いに力を込めて手を握り返す。ここに、両者の協定は完全に成立した。
 むろん、まだ才人たちは納得しきれていない様子だった。だがルイズはそんな才人に楽観的に語り掛ける。
「まあなんとかなるでしょ。考えてみたら、人間じゃない相手なんてこれまで腐るほど相手してきたんだし。それに、忘れたのサイト? 
始祖ブリミルはエルフを使い魔にしてたのよ」
「あっ!」
 そうだったと、才人はアボラス・バニラとの戦いのときに祈祷書に見せられた六千年前のビジョンを思い出した。あのときの
ガンダールヴの女性は間違いなくエルフだった。主人と使い魔という関係だったとはいえ、彼らはともに助け合って生きていた。
ならば、現代に生きる自分たちがエルフとわかりあえないはずはないではないか。
「なになに? なんの話、もっとよく聞かせてよ!」
 その一言を聞きつけたルクシャナが、好奇心で顔をいっぱいに輝かせて詰め寄ってくる。ルイズは才人に目配せで、「ねっ」と
言ってやって才人も理解した。なるほど、つまりこの人はコルベール先生と同じタイプの人間で、先生にとってのゼロ戦が彼女の
場合はティファニアだというわけか。しかし、いくらエルフとはいえこういう人ばかりというのは少し考えがたい。
「もしかしてあんた、けっこう変わってるって言われない?」
「あら、よくわかったわね。私ね、ずっと前から蛮人の文化を研究してきたの。あなたたちの商人からいろんなものを買ったりしてね。
だっておもしろいじゃないの、こうゴテゴテしてて。なのにみんな私の家をガラクタ屋敷よばわりよ。失礼しちゃうわ」
 憤然とするルクシャナを見て、全員が『コルベール先生の女性エルフ版がいる』と本気で思ってげっそりした。
 なにか、警戒していたのがアホらしくなってくる。
「ねえ、それよりもさ。今の話よく聞かせてよ」
「長くなるんであとにしてくれ! ようし、テファの居場所さえわかれば善は急げだ。すぐに出発しようぜ」
 
 勇躍して、才人たちは魔法学院を旅立った。
 エルフのルクシャナを仲間に加え、目指す地はガリア王国の辺境アーハンブラ。
 ティファニアが心を奪われる日まで、あと十日。
 
 続く

187名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 11:24:23.45 ID:PgfXHQXn
支援
188ウルトラ5番目の使い魔 あとがき 代理:2011/05/08(日) 11:37:22.96 ID:21hlB8lN
以上、来週はいよいよ旅立ちです。事前支援してくださった方、ありがとうございました。
さて、原作ではタバサ奪還作戦なのをティファニア奪還作戦に変えて、メンバーも大幅に更新してのスタートとなりました。
そのため怪獣やウルトラマンの出番が少ない回が続いてしまいましたが、いずれ出番は回ってきますのでお待ちください。
それと、これまで裏方だったルクシャナがメインでメンバー入りできるようになりました。人の迷惑顧みずってタイプの困った性格の
子ですけれど、ルイズと同じくこういうトラブルメーカーの子って、どこか見てると憎めないので、書いてて楽しいキャラです。
それと、学者タイプのキャラはストーリーにもりこみやすいんですよね。「こんなこともあろうかと」の人とか。
では、また来週まで。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 12:20:16.80 ID:/EcdxZ4+
ウルトラ乙
190名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 13:53:17.64 ID:Sp2zs+yA
ルクシャナ=女コルベールの発想には噴いた。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 14:24:28.30 ID:cy3S954y
そういえば昔ウルトラ忍法帖っていうギャグ漫画があったな
192名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 15:42:31.93 ID:LhvZEB/k
>>191
それダイナでアスカが読んでた
ミジー星人の回を参照
193名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 17:27:56.12 ID:wQH0oTE/
ボンボンでみどうかずひこが書いてたやつか。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 18:18:40.88 ID:AZijSsHa
>>170 とりあえず、クックベリーパイやケーキが作れるレベル。 原作一巻ではケーキ用のハサミ使っていたが、アニメの方ではチーズケーキのようなタルトのような感じだった。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 18:24:22.58 ID:LhvZEB/k
設定・考察wikiの食材・料理一覧を参照
ttp://wiki.livedoor.jp/saitohiraga/
196名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 20:06:31.31 ID:21hlB8lN
>>191
マン=バカ
セブン=焼鳥屋
ジャック=いない
エース=貧乏人
タロウ=医者の卵
レオ=盗っ人
80=先生
ティガ=準主人公
ダイナ=真面目
ガイア=一話限り
コスモス=最強の平和主義者

ボンボンはこれ読みたくて買ってるようなもんだった
197名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 20:24:52.06 ID:GvkAL95G
メイジ殺しということでドロヘドロのカイマン召喚とか思いついたが
呼び出す→自分はメイジだという→丸呑み→「中の男になんていわれた?」→首チョンパ
の黄金コンボしか思いつかんな…
ほかの魔法使いだとホールへの扉だして自分で帰っちゃいそうだし
198名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 20:42:16.22 ID:wQH0oTE/
>>196
ガイアはそれなりの長編用意されて、その後もちょくちょく出てなかったっけ?
あと ゾフィー=横領犯 もお忘れなく
199名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 21:27:21.98 ID:mLCwPlKO
父=バカ殿、母=スパルタ
ダイナがまじめというのがすごい、メビウスやヒカリはどうなってたか興味深い
200名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 21:27:39.35 ID:1L18vqlx
>>197
ワニで丸飲みっていうとジュエルペットサンシャインしか思い出せない
と言うわけで、原作の使い魔に替えて魔法学院の面々にジュエルペットのキャラを召喚させよう
201名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 21:52:16.15 ID:GZ3PurCu
ヤギ沼とかイルカ先生とか蚊とか召喚しちゃったヤツは最悪だなw
一期のルビーはルイズと相性良いのか悪いのか
202名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 22:56:13.34 ID:UCHL6KPg
 ボンボンは他にもウルトラマン超闘士激伝なるウルトラ漫画が連載してた。
OVA化もしてた作品で、この作品におけるエースはもっぱらギャグ要員。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 23:02:33.77 ID:Uy74bc0t
>>202
エースキラーの事も忘れないでやって下さい
204名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/08(日) 23:13:14.24 ID:21hlB8lN
エースは兄弟1の熱血漢だから
あと1番弟に甘い、テンペラー星人戦で兄弟の性格の違いがよくわかる
205名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 02:15:07.72 ID:zeqiMVOf
ゼロはセブンの息子でウルトラ兄弟というわけの分からないことに
206名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 09:06:01.73 ID:vMZCIJIt
ウルトラ兄弟は義兄弟ですからね。
セブンの息子であるに加えて、他のウルトラ兄弟と義兄弟であるということなのでしょう。確かに複雑ですが。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 11:36:06.33 ID:GxMri4yp
ウルトラ兄弟は吉本方式だと何度言ったら
208名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 12:31:53.72 ID:FJAjuRmh
>>200
片方の月がジュエルランドで、もう片方が滅んだハルケギニアなわけか
209名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 12:40:44.53 ID:NRpCbyek
>>195のwikiを見たがハルケギニアの食材で和食を再現ってのは厳しそうだよな。
醤油や味噌が無いのもキツいがダシとかも調達が難しそうだし…
210名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 12:57:01.50 ID:wcmv/rYs
いやどうにでもなるだろ、元になる動植物はいるだろうし、一から作れば


そんなことよりシャキサク補充する方法を考えなけりゃ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 13:05:22.88 ID:GxMri4yp
ダシとか別の物で代用できるからな
実際ヨーロッパでやってるぐらいだ
212名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 13:38:00.74 ID:tOTS1r0V
大豆があれば醤油や味噌は作れるし
魚がいればダシもOK。

米はあったっけ?
213名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 13:44:48.16 ID:b3JtWEV6
麹とかいらんのか
ってか大豆があるから味噌も醤油も作れて異世界で日本の味が大受けするSSは飽きた
214名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 13:47:04.74 ID:Kxlnk2Kw
沢木惣衛門直保とオリゼーがアップを始めました。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 13:59:30.12 ID:nQVzdsVN
小ネタ
SIREN2から本編開始直後、覚醒前の市子をルイズが召還。
徐々に出てくる模倣体の意識に苦しむ市子とルイズの物語。

…アリ?
216名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 14:13:06.54 ID:pPebpchN
書き手しだい
217名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 17:31:09.78 ID:5dUuAPgB
ウルトラ兄弟は一時期ジョーニアスも加わったことになったけど、その後なかったことにされた
218名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 18:16:25.27 ID:9lgEHNi8
東方から流れて緑茶があったんだ、大豆でも稲でもあるかもしれない可能性がある。
大豆さえあれば、味噌だろうが豆腐だろうが納豆だって作れるはずだ(そのほかの材料は必要だろうが)
219名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 18:32:19.85 ID:R1cn7WAx
味噌や豆腐や納豆の具体的な作り方を知っている人って珍しいよな
曖昧な知識はあるかも知れんが、普通の人はそれで実際に作ることはできんだろう
220名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 19:07:47.76 ID:pb6OB6ac
煮た大豆に藁入れて置いておけば納豆なんてすぐできる。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 19:11:53.62 ID:L7sMyUaX
藁も少し湯がいて納豆菌を覚醒させておくと効率的だったはず
222名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 19:15:39.78 ID:LWhtTrHb
味噌と納豆なら大学生・主婦は案外作れる人多いだろ
暇な大学生は湯葉作ったり切り干し大根作ったり果実酒作ったりリキュール作ったりウイスキー作ったりするもんだし。

米国からの留学生は醤油臭いとか白米くせぇとかトーフにはオタフクソース一択だろjkとか言ってたな
食文化は衝突してみないと分かんない事多い。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 19:21:13.11 ID:CsC9S+gw
>>208
なんかレナス思い出した。原作やったことないけど
224名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 19:48:49.94 ID:S+PV1xgT
冷厳なる氷剣の儀式さんがどうしたって!?
225名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 20:05:25.41 ID:b3JtWEV6
このスレの人間に納豆なんか作らせたら、雑菌入りまくりの腐敗大豆になりそうで怖い
せめて藁を煮沸消毒するくらいのことはしろと
226名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 20:08:33.83 ID:9lgEHNi8
>224 せめて名前で呼んでやれよ。 たしか・・・さまようヨロイさんだっけ?
227名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:09:43.03 ID:rlbDhd9G
そっちじゃないだろ。
ズゼロゴーンやモミソゴーンの方だろ?ぐぼぼぼぼ
228名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:10:46.98 ID:RAavux10
ここらでマイベストオブあのキャラSSをあげてみようか

一言レビューは二行までな
229名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:28:27.79 ID:TZBZV4Tx
>>228
あのキャラっつーか、あの街かな
ルイズがサイレントヒルに逆召喚
寒くなれる、文字ネタが秀逸だ

あとはまとめに載ってないみたいだが
最終回後から召喚されたルルーシュがジョゼフとチェス打った小ネタ

完結済みなら・・・言うまでも無くご立派様
今でも仕事の合間に携帯から見てます
230名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:35:34.31 ID:UfkjX/QH
『鉄鋼巨兵SOME-LINE』より地上げ獣ナトナトを召喚すると聞いて。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:45:58.71 ID:5sMA866e
大気圏に突入させて退治できたようなモノ地上に召喚したら
ハルケギニア終了のお知らせじゃねーか
232名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 22:57:00.38 ID:hqD1sc+e
>>229
サイレントヒル2の小ネタで、死者を蘇らせる邪法を行ったアンアンの話も怖かった
姉妹スレのJOJOの方には怖い話が結構多いぞ
233名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 23:04:34.18 ID:09T0B7EX
料理人キャラか…
味っ子、中華一番、孤独のグルメ、ザ・シェフ、将太、ジャパンと探せばいろいろいるな
味っ子にはロボまでいるし、料理マンガも意外とタレント豊富だな
234名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 23:12:02.60 ID:wUtvJxky
>>218-219
陣内菜々美(神秘の世界エルハザード)の出番だな
あいつ、エルハザードにたった一人、無一文の状態で召喚されてからわずかな期間で大商会を設立、しかもその合間に現地の材料で味噌・醤油を作り上げたんだぜ
235名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 23:29:40.52 ID:EGR25GE7
ウル忍のマンを召喚したら腐ったもの食べても平気だから使い魔飯でもなんら不自由せんな
236名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/09(月) 23:46:33.21 ID:kAiDtElX
>>233
鉄鍋のジャンも忘れないでやってくれ。
237同人:2011/05/09(月) 23:51:13.01 ID:9a/c4PX0
SS職人募集中スレ

エーベルージュを語るスレ 3年目
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gal/1248267409/
センチメンタルグラフティ総合35代目
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gal/1299264100/
Canvasシリーズ総合 Part21
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1302172024/
◆◇◆TGL総合スレPart 1◆◇◆
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/game/1172644654/
◆◆◆★★マイナーなギャルゲーのスレ★★★◆◆
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gal/1190795664/
非18禁PCギャルゲー総合スレ(一応3)
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/gal/1143920343/
MinDeaD BlooD 4
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1206403697/
Dies irae Part117
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1304511307/
【銀色】銀糸総合スレ Part5【朱】
http://kilauea.bbspink.com/test/read.cgi/hgame2/1190283503/
【城平京】ヴァンパイア十字界 【木村有里】 10夜目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1177334874/
【上条明峰】CODE:BREAKERコード:ブレイカーcode:14
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/wcomic/1300421162/
矢吹健太朗のBLACK CAT★黒猫No.368
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1304295746/
地獄少女総合 人を呪わばスレ 百十六鼎
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1290001593/
238名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 01:02:12.01 ID:zk7kA6fI
ウル忍から朧党召喚は考えたんだが、コミックスが手に入らなくて断念した
239名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 03:15:30.03 ID:hNE9Syfd
料理人と言えば元特殊部隊所属のコックだろ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 03:34:12.74 ID:MEKKaWAx
コックといえば沈黙のあの方ですよね
241名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 04:15:26.68 ID:vYBRsqfq
鉄鍋のジャンとか使い魔飯だされたら厨房行ってゴミ箱に飯捨てたあげく「これ、もしかして料理?」とか言いかねないwww
242名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 04:35:42.70 ID:LnbsLRHM
ジャンは歩く騒動だろwww
243名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 09:42:47.46 ID:GfO2dP4c
>>238
朧党最強忍獣はぶっちぎりで琥陀羅亜だよなこいつの回は「寿」だと荒神龍に次ぐシリアス回だった
原作者お気に入りだと犯゜鈍、人気だと笹比羅かな?
244名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 09:43:42.32 ID:GfO2dP4c
↑間違えた荒神流編だった
245名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 10:16:47.35 ID:i8fMkuGd
秋山とジョゼフって似た者同士で意気投合しそうな気がしてならん。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 10:34:31.95 ID:mVa2i17e
「決闘」でワルドに腕を折られるジャン。
そのお返しにニューカッスル城で「秋山式参鶏湯」をワルドに食わせるジャン。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 11:53:23.42 ID:ZRATvSXx
副料理長のスタージュン、グリンパーチ、トミーロッドの誰かを召喚
まあグリンパーチの場合ルイズがおいしくいただかれてしまう危険もあるし、トミーの場合七万が最悪に凄惨になりそうだ
248名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 12:42:15.31 ID:ghUWhWPV
沈黙のハルケギニア
249名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:23:58.81 ID:Oszl7GMu
作品を構想中だけど、どこまでゼロ魔本編をなぞったらいいのか分からない。
なにかオススメはあるかな。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:26:36.56 ID:lQUPMsaI
>どこまで本編なぞるか
召喚されるキャラの個性に照らし合わせて不自然にならない範囲でだ
251名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:28:22.69 ID:ob+uRo0h
そんなとこまで人に決めてもらってちゃあ駄目よ
252名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:30:02.45 ID:Oszl7GMu
ちょっと目を話した隙にもうレスが来たでござる。
ありがとう、もう少し自信が付いたらおじゃまします。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:53:46.00 ID:FluvGNBh
>>246
腕っ節もかなりのもんで、包丁で投げつけられたゴミを全て叩き落すという離れ業もやってのけたから
決闘で普通に勝っちゃうんじゃね?
254名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 13:58:41.79 ID:mlRueV/6
○○を召喚したらってネタなら、避難所の構想は練れるけどスレにもいっぱいあるぞ
ちょっとした小ネタもあるし、少しわかりにくい位置にあるけど
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1227584310/l50
255名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 14:49:53.59 ID:p0ydN313
中華一番は特級厨士クラスなら腕っぷしも相当という
256名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:06:52.08 ID:qNn7ZlFI
>>253
何気にあいつら人外レベルの動きで料理作ってたな
257名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:12:08.46 ID:FluvGNBh
問題はどうやって信頼関係築くかだな
一度心開くとかなり面倒見が良い奴だけど、それこそジャン相手だと
かなりお人よしなキャラでないと無理だろう

放っといたら、中毒起こすような料理を学院の貴族全員に食わすくらいは平気でやりかねんがw
258名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:13:47.94 ID:R8Ut8Zru
拳を叩きつけた衝撃で餃子の皮が宙に舞い、それらが落下するまでに全て握って餃子の具を皮で包むという技を持っている。
どう考えても、人間の身体能力を超えている。
あと数mクラスの鮫がうようよ泳いでる水槽の中に飛び込んで、鮫を水槽の外に吹っ飛ばす芸当もやってた。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:16:26.49 ID:R8Ut8Zru
>>257
ジャンならまだいいが、同作の他の料理人は勝手に使い魔を食材にしかねんやつもいるしな。
「お前が美味い美味いと食ってたのは、お前の使い魔だよ」
260名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:21:16.12 ID:6eOJVy08
料理人を呼ぶならこっちにすべき。そして始まるセクハラ料理試食会の数々。
http://www.hachigamenet.ne.jp/~mryanagi/ajinosuke/ajinosuke.html
261名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:22:48.09 ID:FluvGNBh
>>259
ジャンも人の所有してた貴重な品を勝手に料理に使ってたりするから
頭にきたらやりかねんw

……ギーシュとの決闘理由が、ヴェルダンデを材料に使おうとしたのを見つかったからというのも良さそうだ
262名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:41:51.47 ID:YBCM8zgY
刹那零を召喚して
厨房でとりあえずマルトーさんに『辛子明太子のキムチ和えワサビラーメン(+ラー油)』を注文してみる風景
無理だよなぁ
ワサビくらいならあの世界にもあんのかなぁ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 17:44:28.87 ID:LnbsLRHM
>>259 考えてみれば蛆でも食材にしたジャンの事だから、幻獣がわんさかいるハルケギニアは未知の食材の宝庫扱いで平気で食材にしかねないw
264名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 18:02:45.96 ID:FP8ITrEV
ワポルを召喚……って、あれは食うほうか
265名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 18:30:59.03 ID:yKcayxux
料理系なら喰いタンから高野聖也を召喚するのはどうか
266名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 18:52:15.39 ID:b34rc2ZO
食い物系…
クッキングパパか…

食い物系でネタを出すとしたら山岡だろうな
267名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:21:32.96 ID:zycL6T2x
孤独のグルメ
268名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:30:00.80 ID:mK8Le96w
>>243
ペギアボグドロンマシュボーグケロダダタッコペステール忘れんなよ
269名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:30:53.00 ID:b34rc2ZO
井之頭「スイマセン、もつ煮込みをお願いします」
ルイズ「なに言ってるのよ、訳が分からないわ」

がーんだな……出鼻をくじかれた

羽蛾「じゃ……コロッケの方を」
ルイズ「だから、訳が分からないって言ってるでしょ!早く契約済ませるわよ!」

そうか……どうしよう。結局俺の注文は受けてもらえないってわけか
その上妙な契約にサインさせられそうなのか

              ∧_∧
             (  ゚∀゚,)
              ノ   (__       
       __     ,r''´      `ヽ
    ( ̄ `i  ,''| .|  と⌒i ゝ 〉    
     .`ヽ  ヽ_/ 〈___⌒ ̄ミ ミ__ノ ̄ノ
         \   ,i  | ̄` |  |,| / /  
        `ー''ノ ノ   |  | \ /
        _ ___/ ,/  ,r|  |  ヽ 
      n/´___ _/  ,ノ  ノ,ゝ  ,,
     'ーt'´   _/    ) ヽ__ ノ がああああ!!
       し'' ̄   ∨ ̄

270名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:31:13.33 ID:b34rc2ZO
一部変え忘れた\(^0^)/
271名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:35:52.80 ID:rEB5QrfX
クトゥルーを食材扱いした
内原富手夫を召喚
272名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:38:47.54 ID:Chr2TbZG
>>271
前どっかで召喚されてなかったっけ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:47:57.42 ID:dXNbQsKK
シャルロットがシャルロットを召喚とか……ない?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:53:16.74 ID:66L3lKa4
サムスピのシャル様か?
275名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 19:54:11.31 ID:WSFWTnSb
魔女の方のだと思う
276名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:02:28.27 ID:DdHzmypR
いや某エロゲのだろう
277名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:17:58.44 ID:6XJQW7F4
キャゼルヌ中将の娘さん
278名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:35:10.73 ID:b34rc2ZO
シャルロットって一杯居るなw
279名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:36:13.68 ID:LnbsLRHM
聖剣伝説3のシャルロットをディスるのは許さんぞ
280名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:41:23.53 ID:R8Ut8Zru
>>263
オーク鬼なんかは、普通に自力で狩ってきて料理してそうな気がする。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 20:41:24.04 ID:YBCM8zgY
でち子は異世界どころか自分の世界の本すら読めんのよな
他にもシャルロット居た気が駿河・・・思い打線

若本皇帝でも召喚したらどうなることか
282名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:05:53.98 ID:FSa4kJH1
あの作品のキャラがルイズに召喚されましたWikiをブックマークにしてるんだが、さっき開いたら画面中がバグってたが何が起きたんだ?サイバーテロか!?
283名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:12:55.21 ID:ob+uRo0h
サイバーテロ(笑)
284名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:14:05.91 ID:Chr2TbZG
携帯版だけだな
285名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:19:14.81 ID:mlRueV/6
サイバーテロだと!?
ぶりぶりざえもんのしわざか!
286名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:23:55.27 ID:JGZH35PZ
料理もできて普通に戦える人でトリコがいないのに泣いたw

小松の方が扱いやすいだろうけど。


……そういや昔に魔法陣グルグルの主人公、炎の料理人ニケが召喚されてた話がエタってたな。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:51:01.10 ID:ZCD8yvAr
料理人で戦士っていったら、サモンナイト4の主人公だな。
素であらゆる武器を扱えるし、妖精とのハーフだから大当り。
個人的には竜の子召喚を期待したいけどな。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 21:57:52.35 ID:sXpAJhzK
> 竜の子召喚
月刊マガジンのアレかと思った
いつまで続くんだろうな
289名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 22:09:47.82 ID:mVa2i17e
♪坊や〜よい子だねんねしな〜

のあれじゃなくて?
290名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 22:17:54.09 ID:mlRueV/6
竜の子……
ブレスオブファイアはいつ6が出るんだろうなあ
そういえば歴代のリュウたちも釣りやら狩りやらキャンプやら、普通に料理はできるんだろうな
291名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 22:20:30.11 ID:R8Ut8Zru
>>288
最近は漢皇帝の方が主人公ぽくて困る。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/10(火) 23:44:44.53 ID:qdgFQ5eK
竜の子……? なるたる……?
293名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 00:08:34.96 ID:SqDxvCAu
タツノコファイト、レディー・ゴー!
294名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 00:50:30.27 ID:gvlj9H4R
>>243
コダラーは覚えてないな
荒神流は、話も良かったし技もかっこ良かったしでよく覚えてる

やっぱりコミック揃えて書いてみるかな、全然関係ない勇者カタストロフでも書きたいんだがどうしようw
295名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 00:52:43.43 ID:CdrJkXNn
>>294
カタストロフは読んでみたいな。
是非、書いてもらいたい。
296名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 01:13:25.73 ID:5aINJXvZ
天才料理人味の助
アレが連載されてたのは色々狂ってるとは思った。

ミスター味っ子の次の寿司の将太はなんか色々逆境背負わせて重い話だったな。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 02:32:24.60 ID:DwWjn2+C
みんな慶太の味を読もうぜ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 02:55:35.94 ID:zo6K4jCa
ゼロ魔のキャラでは料理の腕前はそれぞれどうなんだろうね?
貴族はリュリュみたいな例外を除いて料理はしないからその他の面々
おマチさんみたいに一人暮らしする人は自炊できるだろうし、ティファニアは村の炊事を一手に請け負ってた
シエスタはいうに及ばず、ジェシカもある程度はできるだろう
シェフィールドは使い魔になる前にやってたかも、シルフィードは論外
アニエスやミシェルは残飯あさりしたこともあるだろうなあ……
299名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 03:33:21.52 ID:CdrJkXNn
>>298
お菓子作りが趣味の貴族くらいはいると思うぞ。
ほら、ケティだったかがクッキー作ってなかったか?
300名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 03:39:13.38 ID:Ea+0vKS3
自炊するには、必要な設備…自宅を持っているか、それを仕事場にしているかによる。
野外でするという手もあるけど、それを可能にする携帯道具が貧弱な気がする。
せいぜい、干し肉とかシチューとかのレベルかと思う。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 04:13:35.99 ID:qd7RqDr0
秘薬とか作れる奴は料理もお茶の子さいさいなんじゃないか?
料理も魔法も似たようなもんだし


料理で思い出したけど
GS美神から魔法料理屋のマリン?(名前忘れた)なんて良いかもしれないな
302名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 04:18:58.82 ID:MMDwhVs+
リアルでも実験好きで料理できない奴なんてゴマンといるが
303名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 04:32:32.12 ID:qd7RqDr0
リアルと空想は一緒にしちゃいけない


って秋田のばっちゃが言ってた!
304名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 05:46:56.35 ID:S7rmCRGV
>>297
メンヌヴィル「本物はあったけェ・・・」
305名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 05:55:36.38 ID:b14Jkq8t
そういえば、貴族ってある程度金を持っているんだよな・・・
金の亡者である、グリパケのカシオを呼んだらどうなるんだ?

・・・あ、だめだノキアの魔法で魔法学院がやばい
306名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 07:11:08.53 ID:JeKj4dc5
ユッケ…
307名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 07:13:19.28 ID:UOAKHEJn
竜の子→タツノコ→タツノコプロ→たちゅまる
ニャシャーンを召喚してしまうルイズか……
308名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 07:23:49.00 ID:mx9YMoV3
フェリタニア合衆国のピアニィ陛下を召喚して、学園にTRPGを流行らせようぜ
309名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 07:38:26.88 ID:a/98MqIs
ブリタニアに見えたw
…ユーフェミアに会う前か失った後のスザクなら…あいつ素でも強かったような気が?
310名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 09:05:53.49 ID:P167NOWQ
>>309
壁走って天井に吊るされたマシンガンを蹴り壊すような身体能力の設定が
尺の都合で無かった事にされたんだったな・・・w
本編終了後によばれたのは外にあったな
311名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 09:24:07.69 ID:WZu9lks2
Wikiがぶっこわれてる?
312名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 09:27:30.78 ID:E5jts9cB
>>297
脱ぐのか
やっぱり毎回脱ぐんだな
……誰得
313名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 10:32:49.12 ID:fhTxqHor
マルトーと股間を握りあったりギーシュと裸で押しくらまんじゅう
胸が熱くなるな
314名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 10:39:48.97 ID:SqDxvCAu
>308
なるほど、だいたいわかった。

陛下が召喚されたせいで「IF」が始まるのか。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 11:50:09.08 ID:gu8ZcoKx
トゥームレイダーのララ・クラフトがハルケに。コボルドやオーク、時にはドラゴンを撃破しながらお宝を探す。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 12:09:14.34 ID:2jawkGlV
宝探しイベントに異常に食いつきがいい。
サハラ辺りまで探しに行きそうだ。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 12:26:36.77 ID:gu8ZcoKx
まあララは普通にモンスターやらゾンビやら魔法使いやら宇宙人やらとバトってるし
2の龍の短剣とかジョゼフが求めそうだ
318名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 12:53:38.97 ID:/bqHltu9
召喚されるというか、変な秘宝を発掘したララが勝手にハルケに来る感じだな
319名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 13:10:26.81 ID:5aWRsFoA
始祖の秘宝が虚無の鍵じゃなく別の秘宝の鍵になりそうだ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 16:04:11.87 ID:4vVMuRdE
それにララはもともと英国貴族だし、気品や礼節も心得てる
321名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 16:10:47.63 ID:Tq7Oa7BX
女神まどかを召喚、
異世界とはいえ神様を召喚した事で気を良くしたルイズと
ほんわかした日々を送っていたが…

ブリミル教原理気違い共から
「始祖ブリミル以外の神など不許可ニダ!」と
兵を送られ・・・・

322名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 16:42:34.86 ID:hS5xw4LD
貴族というか公家だけど、映画の陰陽師から安倍晴明を召喚とか。位階も従四位だから(律令的には)れっきとした貴族だし。
323名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 16:53:43.05 ID:/bqHltu9
>>321
やっぱりチートキャラでもほのぼのであるべきだよな

たまにはデルフが登場直後に死んで、ルイズが魔法使えるようになったと思ったら元ネタみたいに歩けなくなったりするようなのでも読みたくなるけど
324名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 17:01:15.96 ID:xmcUKjHz
途中でチートになることで元ネタのハンデを背負いつつも挫けないが消えたからな

でもかの作品だと、ミンチよりひどかったり死ぬより苦しかったりするぞ、被害に遭うとしたら
325名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 17:13:11.25 ID:4vVMuRdE
まさかの死亡時のためのテファの指輪、開始時なら十回や二十回生き返らせても大丈夫だろ
326名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 19:00:24.02 ID:6/XPCqdv
>>294
シリアスのやりすぎでみどーが燃え尽きたやつか
タロウを召喚したらキメラドラゴン以上のごちゃまぜ合体怪獣を作りそうだ
327名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 19:29:22.10 ID:lIIr7J3z
>>325
個性がほぼ消失した上にユニットデータ付きで復活したり
臨時セーフガードが悲壮感全開の会話しながら命を賭して襲い掛かってきたのを瞬殺したり
霧亥が顔色一つ変えずに全力で殺しにかかってきたり
ハルケギニア一面を光輪で焼き尽くしたり
電力が供給されないので体を維持できずに骨と皮だけの死体みたいになったり
回収しに着てくれた統治局がぶち殺されて拉致されたり
拉致された先で解体されたり
助けに来てくれた統治局がハルケギニアごとみんな吹っ飛ばしたと思ったらやっぱり倒されたり
霧亥が助けに来てくれたと思ったら敵ごと灰になったりするルイズ

復活はこういうのを覚悟しなければなら無い希ガス
328名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 19:59:46.65 ID:wmGSKCUH
誰だって一度は考えると思うんだ
生意気なお嬢様キャラがルイズに召喚されて、
理不尽な目に合う話を…

命令にあらがう姿に感動すると思うんだけど、
書いてて胃が痛くなりそう
329名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 20:03:10.15 ID:GANppVX3
>>328
つまり

イザベラをルイズの使い魔に・・・か

・・・灯台下暗し、意外とアリっぽい
330名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 20:22:13.19 ID:xmcUKjHz
逆に従えさせられて胃が痛くなるルイーズ
331名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 20:37:27.97 ID:NKUtyJoi
>>330
それはもう結構あるからな
332名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 20:49:33.36 ID:p+IQMhTR
よし、小公女セーラを呼び出そう
333名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 20:53:03.95 ID:6/XPCqdv
セーラを万一アルビオンに連れて行ったらルイズ極悪人どころじゃねーぞ
334名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 21:08:30.61 ID:tyIh0zBw
>>333
何がまずいの?使い魔契約していても民間人連れて行くのは問題に見えないこともないが。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 21:27:13.24 ID:zFTrNqwb
貴族の少女を召喚……アスタロッテ殿下を召喚しようぜ!

あれ? 女の人でも殿下という呼称はあってたっけ?
336名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 21:37:07.03 ID:V0M+vjQi
三千院ナギお嬢様を召喚…したところで2人で引き籠るだけか
337名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 21:49:11.47 ID:+YyqxNgs
TVゲームのないハルケギニアじゃナギは三日で禁断症状

「ハヤテェ〜!!!ゲームゥゥゥゥ!!」
338名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 21:54:49.77 ID:zo6K4jCa
そういえばハヤテの表紙漫画でナギが虚無魔法使ってたっけ
339名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:03:37.64 ID:P6dJur7F
お嬢様で釘宮だと、性格正反対なアリーゼとか読みたいな。
ツンデレと引っ込み思案のステレオでキュルケもいじりがいがありそうだ。
340名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:30:08.01 ID:1XItqB+C
上で料理の話を見て思い出したが、中世〜近世のヨーロッパ貴族の男子は戦場では自分で
何でも出来なきゃならんとかで、炊事洗濯から裁縫まで一通り仕込まれるが、女はそんなことは
なかったみたいで、趣味でお菓子作りや刺繍をする程度だったらしいぞ
もしかしたらギーシュやマリコルヌなんかは実家に帰ったときに仕込まれてたかもな
341名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:46:10.57 ID:hlbQRU74
魔法で済みそうだな
342 忍法帖【Lv=8,xxxP】 :2011/05/11(水) 22:47:58.52 ID:5Pv8MViI
にんにん
343名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:51:45.07 ID:v8Fuoe4f
メイジは何でもかんでも魔法を使おうとしますが、例えば間諜として平民の中に目立たないように紛れ込まなければならない場合、魔法は使えないじゃないですか。
そういったときのために、魔法を使わずに生活する、そういった訓練くらいはしているんですかね。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 22:57:41.76 ID:zo6K4jCa
タバサが従者になりすませたときみたいなもんか
状況しだいでいろんな職種になれるキャラ……キューティハニーか
345名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 23:09:53.26 ID:b14Jkq8t
>>356 姫殿下ならよかったんじゃないの?
346名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/11(水) 23:22:17.35 ID:1WHjFbYW
>>344
魔法ならミンキーモモだろう
347名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 00:16:20.90 ID:iju/0nrO
空を呼ぶか海を呼ぶか
348名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 00:32:08.37 ID:giFZEmfh
悪を倒せと俺を呼ぶ
349名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 00:51:28.49 ID:H/6XQ5MG
 ちょっと前ウル忍で盛り上がってたけど、そういえばライダーやガンダムは
リアル・SD系とも召喚されてるのに、ウルトラはリアルしかないな。

 かっとびランドから召喚してみるかな。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 01:15:19.61 ID:OGcsPtvu
>>310
スザク召喚ってあるの?
どこにあるのか是非とも教えてほしい。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 02:34:12.58 ID:FaNl7Fx3
>>349
かっとびランドは小児向けでかなり下品だからどうかと思うけどなあ

最近のウルトラ系だったら、やっぱりストーリー0だろうな
なにせ描いてる人がスーパードクターKの人だから絵の質感がすごい
352名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 02:47:01.82 ID:7S5rlykG
投下されてるわけでもないのに、ここ最近あぼーんが多いのは何でだ?
353ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:35:33.09 ID:VCkGwlx0
今から投下します。
フーケは犠牲になったのだ。話のシェイプアップ……その犠牲にな
354ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:37:36.98 ID:VCkGwlx0
ルイズ、その使い魔完二、そしてなぜかクマまでトリステインの王女アンリエッタから依頼を受けた次の日の早朝。
トリステイン学院は人の肌を冷やす空気に覆われている。
そしてその肌寒い空気に晒されているのはルイズたちだけではなかった。
「クマはいいとして何であんたらもいるのよ!」
ルイズは頬をヒクヒクさせながら彼女の同行者のリストにはなかったものたちを怒鳴りつける。
ルイズの怒声を浴びているのはキュルケ、陽介、タバサたちだ。
朝早くから出かけようとしてみればいつの間に彼女らも合流していたのだった。
キュルケはしれっとして答えた。
「あら、クマはわたしの使い魔なのよ。クマが行くならわたしもというのは当然じゃなくて?」
「いやよ、あんたなんか連れて行くなんて!大切な任務なんだから!というかそれじゃあタバサたちは理由がないじゃない!」
ルイズはぎゃいぎゃいと吠えるように言うがキュルケはそれを流している。
一方で完二はクマと陽介に尋ねた。
「わかってんのかよ。内ゲバでドンパチしてて、マジでヤベえトコなんだぞ……?」
心配そうに尋ねられるが、クマは毅然として答える。
「完二は仲間だから。仲間を助けるのに理由なんていらないクマ。
それに完二は責任感が強いから絶対ルイズちゃんをほっておかないクマ」
「クマ……」
昨夜のふざけた様子とは天と地の差である。なにもお姫さまに撫でられたいから言ったわけではなかったのだ。
「ま、そう言うことだ。水臭いことは言いっこなしだぜ」
「センパイ……」
クマに続いて当然だというふうに答える陽介。完二は二人の友情に感謝した。
「おっ、なんだ?もしかしてお前感動して泣いてんのか?」
「バッ、そんなんじゃねえよ!」
陽介とクマは照れ隠しで怒る完二を笑った。
その様子をキュルケも見ていた。
「ま、つまりわたしも同じ理由ってことね」
「同じってなによ?」
キュルケがルイズを指差して言う。
「友達を助けるのに理由なんていらないってことよ」
ルイズは意味が分からないという顔からその言葉を理解するにつれ赤い顔にしていった。
「な、な、誰が友達だっていうのよ!?そんなのありえないんだから!」
ルイズを尻目にキュルケはタバサを振り返った。
「というわけで完全にわたしの個人的な理由だからあなたは付いて来なくていいわよ」
そう言われたタバサもキュルケを指差し「友達」と短く言った。
キュルケはその言葉に感激したようで、大きな胸で小さな友人を抱きしめた。
「それじゃあ、みんな覚悟は決まってるようだな?」
陽介は全員の顔を巡り見た。渋い顔を浮かべているのはルイズだけであった。
「それじゃあ、みんな行こうぜ!」
三つの声と一つの頷きが答えだった。
ルイズが「なんであんたが仕切るのよ」と文句を言ったが、彼女ももうこれ以上追及するのはやめたようだった。
355ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:39:47.25 ID:VCkGwlx0
しかし、それから数分後。
「イヤだクマー、脱がせないで−!セーラー服を脱がさないでー!」
「ワガママ言わないの!ていうかセーラー服って何よ?」
ゴネているのはクマで、そのクマをキュルケがたしなめていた。
何を争っているのかといえば、クマがその着ぐるみを脱ぐかどうかであった。
今回の移動手段はこの世界で最も一般的な移動手段である馬である。
使い魔たちは一人では馬に乗れないのでそれぞれ主に同乗することにしたのだった。しかしクマの丸い体と短い足ではそもそも馬にまたがれない。
キュルケはクマの中に人がいることを知っているので、脱げといっているのである。
しかしクマは意外と強情であった。
ちなみにクマの中に人がいることなど知らないルイズとタバサは、脱ぐ……?と不思議に思っているようだった。
「そんなに短い手足でどうやって馬にまたがるの?落馬し放題よ」
「んーでもでもこれはクマの一部クマ。それに危ないところに行くっていうならやっぱりこの毛皮を着てないと……」
クマが言うのは戦いの時は常にキグルミを来て戦っていたという。
クマの話を聞いた限り、これからの旅路は一筋縄でいかないほど危険なものとなるだろう。ならば戦い慣れた格好をやめさせるべきではないだろう。
キグルミを着て戦うなどバカげているかもしれないが、バカげているほど体の感じが変わるということであり、
本人が拒否する以上、戦いにおいて決して看過できる問題ではないのかもしれない。
もしや、もっと実用的な問題で鎧代わりになっているのかもしれないが……
「そうは言っても馬じゃ無理よ。何か大きな幻獣でもないと……」
その時、どこからかやってきた影が6人の前の地に降り立つ。
その影はグリフォン、鷲の頭と前足、ライオンの胴体と後ろ足を持つ幻獣であった。
その背にいる青年がまたがっている長い髪をして、ヒゲを蓄えているが若く、その顔はハンサムと言っていい。
その男はグリフォンの背から喋りかけてきた。外見を裏切らない耳どおりのいい男の声だ。
「久しぶりだねルイズ!さあ、ラ・ロシェールまで僕のグリフォンに乗って行こう!」
魔法学院の生徒と使い魔たちはその男とまたがっているグリフォンを見る。
「あら」
「クマ」
「すっげ」
「さすが魔法の世界」
「ワルドさま」
ルイズ以外はちょうどいいところに……という顔を浮かべた。
ワルドは妙な視線が集まるのを感じて首をかしげる。
タバサが呟く。
「大きな幻獣」
356ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:42:15.85 ID:VCkGwlx0
「むっほほーい!すっごいクマー!風のようだクマー!」
「はは…喜んでもらえてなによりだよ……」
はしゃいでるクマと乾いた笑いをしている魔法使いが乗っているのはグリフォンだ。
その足は馬より速く、風のように駆けるというのに、グリフォンの手綱を取る騎士――ワルド子爵はどんよりと気が重そうであった。
彼らの乗るグリフォンの後ろには三頭の馬が続いている。
一頭はキュルケが一人乗っている。別の一頭にはルイズが手綱を取って抱きつくようにして完二が乗り、
最後の一頭にはタバサと陽介が乗っている。無論、馬を操っているのはタバサである。
学生とその使い魔たち加わったワルド子爵はアンリエッタが推した信頼でき腕の立つ魔法使いだという。
ワルドはトリステイン王家直属の魔法衛士隊の隊長であり、ルイズの許婚であるのだ。
実力と信頼において、死地に行くルイズと共に行かせるならこれ以上の者はないというものであろう。
そしてワルドが面白くなさそうにしているのもこれに起因するのであろう。
彼は最初、許婚であるルイズをグリフォンの背に乗せようとしていた。
それがなぜか現在、彼と共にグリフォンの背にあるのはクマという謎の生物――少なくとも熊ではない――なのだ。
ワルドの機嫌がよくないのも当然と言っていいだろう。
ところでアルビオンに向かうはずの彼らは現在トリステインの首都に向かっている。
アルビオンに向かうならラ・ロシェールを訪ねるのが通常の旅路である。
ルイズたちもそれから大きく外れるつもりはない。ただ少し寄り道をするだけである。
王都へと立ち寄る理由は武器を買い求めるためである。当然、魔法使いであるルイズたちの武器ではなく、彼女たちの使い魔の武器だ。
ペルソナ能力があっても危険なところに行くならば武器は必須であるというのが完二たちの主張であった。
ルイズたちもこれから向かうところがどれほど危険かわかっているのでそれを了承した。
学院を出ておおよそ3時間して都に着いた。
武器を買い求めにルイズたちは武器屋へと向かったが、ワルドは一人自分達の乗ってきた
グリフォンや馬を見張るため残された。ワルドは溜息を吐きながら彼らを見送った。
357ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:44:16.97 ID:VCkGwlx0
ワルドに馬たちの世話を頼んで6人はトリステインの城下町を歩いた。ただし、完二は腰を抑えながら。
「あーヤッベ。マジいってえ……」
完二は歩きながら腰をさする。今まで一度も馬に乗ったことのない完二にとって馬で三時間というのは過酷過ぎたのだ。
最初はみっともないやら遠慮やらで馬の上でルイズに抱きつくのも遠慮がちだったが途中からそんな余裕はなくなったほどだ。
「数時間くらいならマシだろ。俺なんて数日間も馬に……イッテ!」
陽介は奇声を上げた。背中をタバサにつねられたからだ。
そういえばこのことは話してはいけないんだったっけ?と思い出し、つねられた背をもみつつもそのまま腰ももむ。
数日間の乗馬で慣れたとはいえ痛いものは痛いのだ。
「あ?ナンか言ったスか?」
「いいや、何でもねえ……。つかやっぱ腰痛てえし……」
「んもう、二人ったら本当に軟弱なんだからクマを見習うクマ」
自身で言うとおりクマの動きは完二や陽介に比べはるかに軽快であり、乗馬の疲れは見られない。
「テメーはキグルミなうえ、グリフォンなんてデカい背中にのってっからだろうが!」
陽介の反論にクマはやれやれとクビを振る。
「やーれやーれ、実際にのってみてもないのに……。ヨースケったメメしいクマ」
「じゃあ、お前乗ってみろよ!俺がお前のキグルミ着てやっから!」
「ちょっと静かにしなさい!」
ルイズは口論する陽介たちを一喝した。
「ここは城下町なのよ、変に目立たないで」
ルイズに言われたために使い魔たちは静かにすることにする。
そして口論をやめたのでそれまで気にしなかった周りを見渡す。人がいっぱいいて騒がしい。これだけ騒がしいなら多少騒いでも目立つこともないように思える。
「にしてもせめえ道だな。もうちょっとなんとかなんねえのか?」
それは使い魔たち全員が思っていたことだ。この世界に来る前に住んでいたのも田舎町だったのでそれほど大きな通りはなかったが、それよりもここは狭い。
「狭いですって?ここはトリステインで最大の通りよ」
聞き捨てならないというふうに言い返す。
完二はこの世界の町はこんなもんかと思い、陽介は以前見たガリアの首都はもっと大きかったと考えた。
この間の任務に関係のあることを言えばまたつねられるかもしれないので考えただけで、口には出さない。
6人で道を歩いて行き、完二たちが狭いと感じる表通りよりもさらに狭い路地裏に入ったところに武器屋はあった。
店内はいかにも武器屋という感じの手入れの入っていない店だった。ゲームに出てきてもおかしくないだろう。そこで彼らは何を買うか話しあう。
「あなたどんな武器を使うの?」
「んーとねー、こう、手に付けて、殴ったり斬ったりするやつ?カッコよく言うならベアークロー!みたいな?」
「お金あんまりない」
「心配すんな。ナイフ二本あればいいからさ」
「あんたは何使うのよ?」
「盾だ」
数分後にキュルケはクマがいうような鉤爪がなかったので手甲を、タバサは陽介に二本のナイフを買い与えた。
キュルケは潤沢な資金があったがクマの要望に応えられる物が少なくその中で最も高いものを買った。本来は防御用らしいが、代用できるだろうという判断だ。
それに対してタバサは給金を本で使い果たしているため資金が少なかったが、それで買える中で最も実用的なものを使い魔に見繕った。
その二組は支払いまで済ませたが、最後の一組はどのような武器を買うかすら決めていなかった。というより、そのことで言い争っていた。
「だからオレの得物は盾だっつってんだろ!」
「盾が武器って何よ!却下よ、そんなの!みっともない!」
キュルケが呆れたというように肩をすくめた。二人とも言い争い始めて数分以上。よくもそんなに大音声を続けられるものだ。
面倒なので割り込みたくないと陽介は思っていたが、自身の武器をすでに買ってしまったために二人を仲裁しなければいけなくなってしまった。
タバサは我関せずだし、クマは頼りにならない。そしてキュルケはどうぞ、というふうに手のひらをこちらに向けている。
358ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:46:19.05 ID:VCkGwlx0
「おい、お前ら……」
「おい、そこのデカブツと桃色髪!騒ぎてえってんなら外へ行きな!うるさくて辛抱ならねーや!」
陽介が二人に声をかけようとすると、それより早く別の声が二人を怒鳴りつけた。
「んだとコラア!」
「いったい誰よ!」
二人、いや6人の視線は声がしたほうへと向けられた。そこには安いつくりの剣が雑多に摘まれているだけで声の主は見えない。
「テメエ、姿見せろや!」
「見せてるじゃねーか」
その声は驚くべきことに剣の山から聞こえてきた。
完二は気付いた。その声が一つの剣から発せられていることに。
「んな、まさか……」
信じられないとばかりにサビの浮いたボロボロの剣を手に取る。
「何がまさかなんでい?」
完二の考えは正しいことが証明された。
みな驚いたように完二の手に握られた剣を見つめた。
「この世界の剣ってしゃべんの!?」
「インテリジェンスソード……」
タバサはポツリと呟く。
店主が説明を始めた。
「はいインテリジェンスソードでございまさあ。ただ口が悪いもので……もし買うなら安くしときますが」
「誰が買うかってーんだ、こんなモン」
「お前俺を買え」
完二が購買意欲を否定したというのにその喋る剣は自分を突然売りつけた。
「はあ?何でオレがオメーみてーなボロいのを買わねーといけねーんだよ」
「そりゃお前が使い手だからだ。まったくおでれーた。お前さんみたいなのが使い手とはな……」
「なーにワケわかんねーこと言ってんだオレは剣なんか……」
「買うわ」
完二の言葉を途中で潰したのはルイズであった。
「っておいルイズ!」
「うるさいわね、いいじゃないその剣買って欲しいらしい、安いらしいし」
「だーかーらー俺の武器は盾だって……」
「誰のお金だと思ってるの?」
うっ、と完二は言葉に詰まる。完二はこの世界においては当然のごとく無一文である。
なので完二の出費は全て主であるルイズから出るのだ。強く言えるはずがなかった。
ただルイズ自身、お金に困っているわけでもないので、安くてボロい剣を買い与えようとするのは
よく口答えする完二へのしつけの意味もあったのかもしれない。
「どうしても盾が欲しいって言うのなら自分で稼ぐことね」
言い捨てるとルイズは完二に背を向けて店の主人に支払いを済ませた。
勘定を済ませる主の背に何も言えない完二にその手にある剣は景気のいい声で語りかけてくる。
「よろしくな、相棒」
「うっせ」
完二の返事はたった今彼の持ち物になりつつある剣よりも景気が悪い。
「それにしてもまさか、こいつが……いや、こいつらが4種目の使い魔とはな……あいつらに対抗できんのか……?」
デルフリンガーがポツリがなにやら呟いた。
「あ、なんか言ったか?」
「いいや、独り言だ。気にすんな」

ペルソナ使いたちの胸には力の証明であるルーンが刻まれている。
359ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編:2011/05/12(木) 05:55:21.25 ID:VCkGwlx0
投下終了。


以前、クマの喋り方を気にした方もいましたが、どうも自分の作品はギャグ成分が足りないので
クマには獅子奮迅、孤軍奮闘のごとく出来る限り愉快にしてもらってます。
もちろん、原作でもやりそうな言動を考えてますが、それでも「クマはこんなこと言わねえ!」と思う人もいるかもしれません。
まあ、そこは作者と意識の差があったということでご勘弁を。

ところでクマの喋り方と言えば「〜クマ」ですけど、この語尾、原作だとけっこう外すんですよね。3回に一回くらい(キグルミ脱ぐともっと多くなる)。
で、問題は外すと原作でさえ喋り方に違和感を覚えることなんですよね。EDのセリフを思い出してもらえればわかるでしょうけど、ギャグならいいけどシリアスだとホント。
原作でさえ違和感覚えるってどんな二次作家キラーだよ……。
というわけで自分の書くクマは基本「〜クマ」です
360名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 06:46:09.72 ID:84Kujov9
投下乙
361名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 12:34:21.18 ID:/4+cFkw2
>>341
そんな便利じゃねぇだろ
362名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 19:12:00.39 ID:VCkGwlx0
>>358
「ポツリとなにやら呟いた」が「ポツリがなにやら呟いた」になっとる。投下しだすと誤字の厄介さに気付く気付く。
もう仲間だもんげ!をネタにしたりしないよ……
363名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 20:33:40.77 ID:7ib7idpj
アンドバリの指輪で操られたウェールズが『ゾンビウェールズ』って呼ばれてるのを見たら、
ふと『これはゾンビですか?』のユーをウェールズが召喚し、ワルドに殺された後にユーが生き返らせる…なんてのを連想してしまった
太陽の下で干からびて、「あ、僕ゾンビっす。あと、魔装少女です」とか言うウェールズを想像してしまったよw
364名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 21:10:18.69 ID:bxM2HA4j
リメイクでなかった事にされたグリリバぼっちゃんとか
365名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 21:49:46.25 ID:xiLbEQ6D
遊戯(CV緒方)を呼んでみたら
カードになる前の初期の怪奇路線がいい
366名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 21:50:52.73 ID:h2FnLzOM
ククク…言っておくがこの決闘は「闇のゲーム」だぜ…!
367名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/12(木) 21:51:51.73 ID:C42qpf1J
<デデーン ルイズーアウトー
368名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 00:58:43.47 ID:W3i2NZMX
ギーシュへの罰ゲームは、「女の子の姿が見えなくなる」とかになるかな
369名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 01:44:01.38 ID:lXr+C/GH
マルトーさんがタイキックを受けるところを見てみたい…
370名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 06:57:04.79 ID:DxbluP2g
コルベールは間違いなく仕掛け人。
勿論、あのヅラでな。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 10:29:37.68 ID:+SSQyd0M
>>337
ハヤテなら、なんらかの方法で時空を飛び越えてやってきそうだ
「お嬢さまーっ!」
372名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 12:45:46.83 ID:NVWVxHqs
そんな使い魔で大丈夫か?
373名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 14:02:32.88 ID:728Va6ez
大丈夫じゃない。問題だ。

御立派様とか厄災的なの喚ばれたらねぇ……
374名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 14:16:18.97 ID:RblNmlNk
>>367
おみんちゅ声で再生されたけど、元ネタなんだっけ
375名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 15:36:05.02 ID:4+kuUHn8
笑ってはいけない
376名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 15:37:24.72 ID:cFcl0lO6
あえてここは、美樹さやかを召喚するべきだと思うんだ。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 17:01:34.62 ID:I9X1gHE1
潮吹き怪獣ガマクジラや黄金怪獣ゴルドン、ベンゼン星人を呼んだ日にはヴァリエール家でも破産するな
378名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 18:07:57.41 ID:jUvFc7I9
>>374
ガキの使いの笑ってはいけないシリーズ

スイッチ召還して、押したらギーシュがタイキックされる
7万の軍勢に対してはNSCの見習いが頑張って皆にケツバットをする

行けそうだな、小ネタとして
379名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 18:21:04.54 ID:aRxSJbcZ
「ゼロのルイズ」ってバカにすることができなくなるな…
380名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 18:36:21.02 ID:jUvFc7I9
ギーシュのワルキューレをケツバットで破壊するNSC

フーケのゴーレムを一撃で沈めるタイキック
破壊の杖はチ○コマシーン、ギーシュが何故か餌食になる
381 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2011/05/13(金) 19:10:52.91 ID:ttDSzZ7u
引き出しを開けるとコルベールフィギュアが
382名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:15:51.25 ID:NVWVxHqs
俺のコルベールに常識は通用しねぇ
383名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:23:16.69 ID:7RfSJCW0
凄く個人的な意見を言わせて頂くと、
こういうクロスものを見るときは他作品のキャラという異物が加わることで
原作がどう変わるのか、みたいなのを楽しみにしてるから、
原作なぞりというか大して原作から変わらない内容のSSがあまり好きじゃない
全く別のキャラを喚んでるんだから、原作と同じ流れにする必要はないし、
寧ろ大きく原作から外れて当然だと思う

あと、強いキャラとかを制約とかでわざわざゼロ魔レベルまで下げて調節させたりしてるのは何か嫌
そこまでしてパワーバランス保たせたいならそのキャラを呼ぶ必要無いし
喚ぶなら余計な手心加えずに、原作まんまの強さ、設定で喚んでほしい

チラ裏な内容でスマソ
384名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:27:10.71 ID:jUvFc7I9
            /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /


わざわざスレで書くような話じゃないし
そういうのが嫌ならば、観なければ良いだけの話だろうが

スイッチ押すぞ?お?
385名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:28:40.72 ID:6OaF77NH
どんな相手でも適度に苦戦するという便利スキルを持った御神苗の出番だな
朧に勝ってからただの化け物になってしまったのが難点だが
386名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:34:53.73 ID:Ddpsx+yC
>>383
キュイイイイイイイイイイイイ ガキュン
387名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:40:39.14 ID:4pLlEipi
ジョースター郷を召喚。


生徒「見ろよ、ゼロのルイズが紳士を召喚しやがったぜ!」
ルイズ「あんた、感謝しなさいよね。こんなこと普通一生ないんだから」

ジョージ「いったい何事だッ!」
ルイズ「ジョージッ!」

ジョージ「魔法使いたるもの使い魔との契約の一つもするだろう!
      しかしルイズ!
      今のは抵抗もできない私をむりやり使い魔にしようとしているように見えた!
      淑女のすることではないッ!」

ルイズ「え?ち…ちがう!」
ジョージ「いいわけ無用!部屋へ入っとれッ
      周りで見ている生徒たちもだ!あとで全員に罰を与える」
388名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:48:24.53 ID:TeK3Tb3g
>385
そういやボーと暁は来たけど御神苗は、まだ呼ばれてないんだよな。
あいつああ見えて、完璧超人なのでAMS無しでもガンダールブ持ったら手に負えなくなる。
しかも、わりと大人だからルイズや周囲と諍い起こすことも少ない気がする。
そういう意味じゃ、ちょっと面白みに欠けるかもな。

逆にジャンの方が、話はもりあがるかもな。
ティア? なんのじょうだんだ?
389名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:51:30.50 ID:EnZxEEAT
御神苗は殺人機械化を克服後かそうでないかで大分強さが変わるからな

ティアは・・・ルイズが死んだほうがマシな目にあわされて終わりだろうな
悪人じゃないが多分登場人物の中で一番おっかない人だから
390名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:55:54.39 ID:P0cFK/qD
AMSから、光が逆流する…!
391名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:56:00.99 ID:6OaF77NH
ティア召喚したら、優とジャンに使い魔押し付けて本人は帰るだろw
で、たまに遊びに来て適当に敵を倒して帰っていく
392名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 19:59:20.44 ID:jUvFc7I9
>>390
コジマ汚染で、徐々にルイズの視野が暗くなっていくのか…

鬱SSだな!
393名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:13:13.80 ID:1XgRjp12
>>387
姉妹スレというか親スレに既にそのネタは
394名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:16:10.14 ID:jx1+i2X+
朧は自然と一体になろうとしている点でエルフや翼人と相性がいいかも
395名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:20:25.62 ID:jUvFc7I9
そういや、ハリーポッターとか召還されてそうでされてないのな
まとめwikiを見る限りでは


やっぱ魔法の世界に魔法使い呼び出してどうすんだって事なのかな
396名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:26:26.34 ID:3+iI+N4s
>>395
じゃあ、ダーティな針井歩太でも呼ぶかね?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:33:18.98 ID:Q2RDQYnz
>>395
んー、大魔導師ポップとか暗黒魔導師エクスデスとかこうていとかは呼ばれてるんだよな
大導師マスターテリオンも呼ばれた、九郎ちゃんもその嫁も息子も娘も呼ばれた

・・・ブライでも呼んでみますか
百鬼の帝王でも鉄の悪魔でも新造人間の長でもワルダスターの総統でも無い
その歳でレベル1ってあんたの人生なんだったの?って爺さんを
きっと壁を蹴破る姫のほうがまだマシだと思うことでしょう
398名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:38:44.50 ID:3+iI+N4s
>>397
若い時はイオナズンとかも使えたらしいぞ、あの爺さん。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:48:41.88 ID:6OaF77NH
>>398
ボケて忘れたのか
400名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:51:57.08 ID:Q2RDQYnz
>>398
マジでっ
やっぱ歳をとると衰えるのね・・・
>>399
賢者テラ召喚かな
兄さん戦で力尽きたと思ったら召喚されてパターン
生命と引き換えに放った究極黒魔法をはじめ
色々忘れてしまった初期参入状態
いやぁ、あの爺ちゃんの「おもいだす」は博打要素あって楽しかった
401名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:53:09.36 ID:VsKh0Cj7
死線をくぐることにより脳が活性化されるのか
402名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:54:22.09 ID:jUvFc7I9
>>398
ジジイになったらバイキルト要因か、泣けるね
403名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 20:59:23.88 ID:K6SIPry1
>>396
ハリィ=ポタァさんだとルイズが10秒で殺される
二つの月を見て 泣けるぜ(CV山田)とかそれはそれで楽しいが
404名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:03:03.90 ID:E5/3QRx+
>>308,314
同じピンクブロンドの髪で、優れた魔法の素養と、犬っぽいけどドラゴンを使い魔に持ち
(話を聞く限りでは)親兄弟に愛情を注がれ大事に育てられた姫
こんなのが使い魔だとルイズの劣等感を激しく刺激しそう。胸以外は。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:06:55.32 ID:rj999dya
>>395
WIKIじゃないが某所にダンブルドアが召喚されたSSがあったな
無双できるくらい強い魔法使いじゃなきゃ話作りづらそうではある
406名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:13:01.27 ID:SCXWVcqB
魔法使いといえばブラックマジシャンガールの召喚はまだか
407名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:16:56.70 ID:t9PFj4ds
>>404
盆地胸VSえぐれ胸 ?
408名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:18:43.49 ID:jUvFc7I9
>>405
よく考えると、ハリポタの世界の魔法は色々種類はあれど
そこまで詳しく説明はされて無いから描くのは難しいかなぁやっぱ

アバダケダブラでケリがつく世界だからな…
409名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:23:55.42 ID:DxbluP2g
ノベル系のキャラはいまいち少ないけど、RODの読子さんとかどうだろう。
強いし、性格はいいし、胸が大きいし。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:38:02.51 ID:nLz2sItf
 久々クロスボーンガンダム読んだら、オラウータンやチンパンジーがモビルスーツ操縦してる
シーンがあって笑った。ロボット系とのクロスで、フレイムやヴェルダンデ辺りが四苦八苦しながら
ロボット操縦とかありだろうか。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 21:44:40.21 ID:KiyE/qsj
GガンのMFなら、馬でも操縦?できるよ。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:03:26.54 ID:W+Ppq17Z
>>409
読子さんは羊皮紙も操れるのだろうか?
413名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:05:58.16 ID:8wC80SmY
ワルド「私以外にも、トリィスティにはまだいるぞ。
    お前達の存在を許さない者が。」
ワルド「自分に嘘をつけない愚鈍な少女に火をつけたのはあんたじゃないのか!?」
414名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:19:15.23 ID:DxbluP2g
>>412 単純に読子は紙であるなら、あまり括りがないらしい。 開発部が作った特別製の紙だろうが、トイレットペーパーだろうが、ドル札だって万札だって操れるわけだし。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:28:19.78 ID:vL3WjrXG
殺意様召喚は雑談ではよく出るけど、実際に書いた人はいないな。

まぁ、ステラ殿下やベルフト殿下に何されるか分かったものじゃないからな。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:38:06.38 ID:TeK3Tb3g
呼ぶなら、守銭奴姉ちゃんや隊長、策士殿の方が絡め安いからな。

ただ、魔術師系は導くタイプじゃないと、虚無の見せ場を奪うし
サジ加減がむずかしい。せいぜいトランがいいとこかもな。

できれば戦士系のほうが、TPOにはあっている。
ノエル、ゼパ、連也、アルそのあたりかねえ。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 22:48:33.43 ID:f38QtUzm
>>409
ルイズを裏切ったワルドに切れるんだろうな読子は。
紙使いは風使いと相性が悪いってドラマCDでやってたけれど、
ひっくり返す運と技量を見てみたいな。

とりあえず召喚されるであろう時期はセカンドキス以降がいいなー
418名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:08:57.22 ID:44XivMPF
魔法使いだと、召喚したはいいけど使い魔にするところでカウンター食らってルイズが使い魔になる可能性もあるよなぁ。
具体的には魔法使いじゃないけど、性魔術の達人である神殺しセリカとか。
粘液接触による精神戦で、魔神や天使すら使い魔にするからな。彼は。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:24:38.55 ID:xCOzQO9q
魔術師を召喚するなら大賢者ウォートとかスレイン召喚で
特にスレインとコルベール先生は相性が良いと思う。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:28:47.14 ID:qGB1nllb
ニコニコから巡音お姉さん召喚とか夢想した。
二次創作だから無理だけど、姉がもう一人増えた感じになりそうな予感。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:37:58.99 ID:wre57oxm
ピッコロさんも地味に魔法使いだよ
422名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:43:07.97 ID:9oURbe0r
ファンタジーの魔法使いといえばガンダルフだろ。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:43:28.08 ID:lDb5EFM/
ジャンプ一つで地震起こすからな
424名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/13(金) 23:51:02.14 ID:3+iI+N4s
>>422
あの爺さん、バルログと肉弾戦やったからなあ。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 00:25:54.87 ID:5q48LYcG
殺意の波動に目覚めたルイズ
426名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 00:33:53.00 ID:9sI4vez4
じゃあ、津田沼格闘街からドラ江さんか満君召喚で。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 01:01:56.20 ID:paBFMYL2
賢者といえばウルベイン老
台詞数個しかないけど

>>418
逆侵されて脳を焼かれるルイズ
428名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 01:01:59.15 ID:zQtTWvyC
磯野家から一人召喚されるなら誰が適任だろうか
429名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 01:19:24.83 ID:JL95RJ7e
>>428
よく考えてみろ
それどうやって面白くするんだ?
430名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 01:30:52.90 ID:bzLSP2Bn
それこそ提案するなら

釘宮ボイスキャラ限定
召喚オチ一発ネタ
カブリ上等

でネタコンペでもやってみようとか

俺は書けんが言うだけ言ってみる

釘宮を川澄にするとか能登にするとかである程度のバリエーションはできる
本編キャラと二役状態にすることでそこから発展するネタ限定で
あくまで1レスショートの一発ネタを持ち寄ると言うものだ
431名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 02:06:00.35 ID:pm61l5lW
魔法じゃ無いがハガレンのエルリック兄弟とか喚ばれたことはないんかな
432名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 02:09:48.06 ID:ismv4lhn
むしろ専用スレとまとめがこのスレ以前から存在した気がする
433名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 02:20:46.65 ID:9QfjHUe5
ドラえもんの秘密道具の魔法大辞典とか出したらハルケじゃカタストロフものだな
434名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 02:48:33.37 ID:aPy8utVg
勇者カタストロフ召喚と聞いて
435名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 03:06:47.80 ID:MsCl+6wO
忍空の人…まだかな〜
436名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 05:26:48.50 ID:lKkFFeW5
>>431
ハガレンは別スレがあったような
437名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 06:15:31.45 ID:dW8aH3hs
>>436
もう落ちてなかったか?
438ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:12:20.15 ID:SLeeZ8Wy
昨日アキネイター初めてやってみたんだけどジョースター郷がいないね。
今から投下します
439ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:14:29.17 ID:SLeeZ8Wy
戦車 意味…勝利・失敗

ルイズたち一行は王都トリスタニアで武器を買ってからさらに馬に乗って内陸地にあるラ・ロシェールに着いた。
馬に乗りなれていない者たちは、一日中馬に揺られる苦行に体中を痛めつけられていた。
「ケツや腰がすんげー痛てえ……」
「奇遇だな完二、俺もだ……」
完二と陽介は仲良く腰を抑えながら石造りの町を歩いている。
「チミたち根性が足らんよー。クマは元気イッパイじるしクマ」
「はいはいそーだな」
町の入り口から入って一行は宿を探し、町で最も高級な『女神の杵』亭という宿に泊まることにした。
その一階の酒場で一行は疲れを癒す。
ただし、ワルドとルイズはこれからアルビオンに向かうために必要らしいことの交渉に出かけているためいない。
完二はこの世界では未成年の飲酒を禁じるという類の法律がないことをいいことに、嬉しそうに酒を飲んでいた。
クマも飲みたいと言い張ったが陽介がそれを強硬に反対したため飲めていない。
クマはジュースで場酔いしたこともある。実際に酒を飲ませたらどれほどタチの悪いことになるか分かったものじゃないというのが陽介の言い分だ。
陽介は、自分も酒を飲まないからとクマを説得したが、酒を飲まないのはクマのためというよりもこの間、酒をたくさん飲んで二日酔いになったらからであった。
他愛ないことを話しながら一行は時間を潰した。
しばらくしてワルドとルイズとルイズが帰ってきた。雨で少し濡れちゃったとルイズが文句を言っている。
話が盛り上がって気付かなかったが、確かに雨が建物を打つ音が聞こえる。
ちらりと部屋の一面にある石作りの窓を見ると幾つもの水の線が上から下へと引かれ、今まで気が使ったのが不思議なほどだ。
ワルドとルイズはウェイターにドリンク――陽介たちには分からない名前だったがおそらくアルコールだろう――を頼んでから言った。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」
「えっ、船?」
思わず耳を疑う。ラ・ロシェールに到着するまでの道のりでは海なんて見ていない。それどころかラ・ロシェールの周辺では湖や川さえ見ていない。
陽介の疑問を増やすような会話はさらに続く。
「あたしはアルビオンに行ったことないからわかんないけど、どうして明日は船が出ないの?」
「明日の夜は月が重なるだろう?『スヴァル』の月夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づく」
440ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:16:49.25 ID:SLeeZ8Wy
陽介は頭に浮かべる疑問符の数を増やし、たまらずに尋ねた。
「な、なあ、ちょっと待てくれよ。アルビオンって国だろ?近づくってどういうことだ?
それにここってどーみても内陸地で港町には見えないんだけど……」
今度はワルドが驚いた顔をした。何を言っているんだという顔だ。
質問に答えたのはキュルケであった。
「アルビオンは空飛ぶ大陸なのよ。で、空飛ぶ船でそこに向かうの」
その言葉に、ボケっとしていた完二とクマも、流石に驚いた。
「と、飛んでる?船が?国が!?」
「ホントクマ!?」
「マジかよ……」
そんな三人の態度にワルドは困惑したようだ。
「君たちそんなことも知らないのかい?」
「この子たちちょっと世間知らずだから」
さも不思議そうに尋ねてくるワルドに笑いながらキュルケが答えた。
そうなのかい。とワルドは返事をした。
これからのことについて少し話しあった後にワルドが話を切り上げることを提案して、鍵束を机の上に置いた。
「タバサとキュルケが相部屋。カンジ、ヨースケとクマはすまないが一部屋で構わないかい?空き部屋がなくてね……」
「構わないですよ」
「でもベッドどうスんスか?」
「しょうがないクマね。クマは今夜、陽介に暖めてもらうクマ。きゃっ!」
「キモいわ!お前は床で寝ろ!」
「しどい!冗談なのに!」
おいおいとクマは泣き真似を始める。
「ま、どうしてもっつーなら完二と一緒に寝るんだな」
「何勝手に決めてんだ!」
「それはいやクマ。冗談じゃなくテーソーが危ないクマ」
「テメーらシメっぞ……!」
使い魔三人がギャーギャーと騒ぎ始めるが、構わずにワルドは最後の一部屋の組み合わせを言った。
「僕とルイズは同室だ」
ルイズは目を丸くした。
「そんな、ダメよ!まだ、わたしたち結婚してるわけじゃないじゃない!」
「大切な話があるんだ。二人で話がしたい」
ルイズは狼狽しながらチラリと彼女の使い魔を見遣った。
「あら、ベッドが足りないならわたしのベッドに来る?わたしは大歓迎よ」
「まま、ま、マジっスか……?」
「ちょ、キュルケさん、大胆すぎるんですけど!」
鼻血を流していた完二は突然の爆発に襲われ、陽介は机の下から小さな主の蹴りをもらい、むこうずねを抑え呻いた。
441ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:18:53.39 ID:SLeeZ8Wy
次の日の朝、完二は扉がノックされる音で目が覚めた。
「ダレだよ、いったい……」
もう一つのベッドには着ぐるみを脱いだクマがベッドのド真ん中で寝ていた。陽介はベッドの脇の床で寒そうにしている。
昨夜、クマが陽介の寝ていたベッドに無理矢理入っていったので、寝ているうちにはじき落としたのであろう。
ノックの音は続いていた。
「わーってるよ……」
完二は自分の毛布をかわいそうな先輩に掛けてドアへ向かった。
開けるとそこにはワルドが立っていた。
「なんかようか?こんな朝っぱらから……」
せっかくの睡眠の時間を奪われ、ヒゲ面を見るのはいい気分ではなかった。
たとえそれが美男子であっても、完二にはその気はないので(かつて疑惑はあったが)同じことだ。
「きみは変わった力を持っているらしいね」
完二の顔に警戒の色が浮かぶ。
「なんで知ってんだ?」
「昨夜、ルイズが話してくれた。なんでもきみは別の世界から来たというじゃないか」
あのおしゃべりめ、と完二はつぶやく。
「これから任務を共にするものとして、その実力を知っておきたい。
さらに言えば、使い魔として、僕の許婚を守れるだけの実力を持っているかということもね」
回りくどい言い方だが、完二には彼の言わんとすることはわかる。あちらの世界でも散々やったことだ。
「そりゃあ、つまりケンカ売ってるってことか……?」
「そのとおり」
完二の剣呑な声にワルドはにやりと笑った。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 07:20:23.75 ID:niVQTgVY
魔法使いなら魔法探偵やってるハリードレスデンなんかどうだ
傷天みたいなどん底生活から祝脱出になるか、まめに契約結ぶか…まあ三枚目だから策略キャラのようなうまい立ち回りはできんか
監視のおっさんは気付けば爆乳エルフんとこだな
飯でメイドに釣られ、酒と魔術論議でコルベールかオスマンに釣られ、パワーバランスも適当かな二巻まで見ると
443ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:21:17.30 ID:SLeeZ8Wy
二人は女神の杵の中庭に出た。地面が昨日の雨で濡れている。
ワルドが言うことには、女神の杵は昔、アルビオンからの侵攻に備えるための砦であったらしい。そのためか中庭は練兵場となっていた。
かつて兵たちが国王の閲兵を受けたという場所で、完二とワルドは向かい合う。
「昔……、と言ってもきみにはわからんだろうが、かのフィリップ三世の治下には、ここでよく貴族が決闘したものさ」
「それが今ナンか関係あんのかよ」
完二はつまらない歴史の抗議に興味はない。しかしワルドは喋り続ける。
「古き良き時代、王がまだ力を持ち、貴族たちがそれに従った時代……、貴族が貴族らしかった時代……、名誉と、誇りを掛けて僕たち貴族は魔法を唱えあった。
でも、実際は下らないことで杖を抜きあったものさ。そう、例えば女を取り合ったりね……」
「カンジ、頑張るクマー」
「恥かくなよ、完二!」
クマと陽介の野次が飛ぶ。二人が決闘することを聞き面白そうだと見にきたのだ。
「うっせえ!静かにしてろ!……あ、長話は終わったか?」
完二のあまりに礼を失する態度に流石に気分を害したのか、ワルドの頬の筋肉が引きつっている。
「んじゃあ、さっさとやろうぜ……」
「待ちたまえ、立会いにはそれなりの作法というものがある。介添え人がいなくてはね」
「介添え人だぁ?」
「もう来たようだ」
ワルドがある方向を見遣る。完二も視線の先を追うと、ルイズが立っていた。
「ワルド、カンジ!なにやってるのよ」
「彼の実力をちょっと試したくなってね」
「そんなバカなことはやめて。カンジ、やめなさい。これは命令よ」
「黙ってろ。ケンカ売られといて、はいそうですかって引きさがれっか!」
ルイズの命令を跳ね除ける。
もう!と不機嫌になったルイズとは逆にご機嫌になったのは完二の背中にかけられた剣だった。
「戦うのか、相棒!なら俺の本気ちょっくら見せてやるよ!」
完二の背にあるデルフリンガーが叫んだ。
「さあ、俺を抜いてくれ!きっと驚くぜ」
完二は背中にぶら下げていたデルフリンガーを片手で持った。ただし、鞘をつけたまま。
「おいおい、相棒。抜いてくれよ!」
完二の扱い方に不満があるのかデルフリンガーは抗議の声を上げた。
「うっせえな、斬っちまうわけにもいかねえだろ」
「そりゃ、そーかもしれんけどさ……」
その様子を見たワルドは面白くなさそうな顔をする。
「きみが剣を抜かないとしても僕は手を抜くと考えいてるのかい?」
「はあ?んなセコイこと考えてるわけねーだろ」
完二が当たり前のことのように言う。
ワルドの顔はさらに不機嫌なものとなる。
ナメられている。そう思ったのかもしれない。
ワルドは杖を引き抜きそれを前方に突き出す。フェンシングのようだ。
「行くぞ」
ワルドのその言葉が合図となり、決闘は始まった。
ワルドは先制攻撃を仕掛けるべく杖をつくモーションに入った。完二もそれを知りつつも攻撃に移ろうとする。
ワルドが先手を取るかもしれないが構わない。
杖で突かれても致命傷にはならない。攻撃を受けながら一撃で倒してやる。
ワルドは完二の肉を切らせて骨を立つ攻撃を察知し攻撃をやめ、一旦引く。
「逃げんな!」
完二は距離をつめ鞘に納まったままの剣を横振りに振るった。ワルドはさらに引かざる得なくなり防戦一方になる。
444ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:27:30.44 ID:SLeeZ8Wy
「おー、カンジ、やるクマ」
完二とワルドの決闘騒ぎを観戦しているクマはのん気に言う。
「おーい、ルイズもこっち来てみようぜ」
ルイズは予想外に陽介の言ったとおりに彼らの座る階段に近寄って来た。ただしその顔には呆れたという表情が浮かんでいる。
「アンタらずいぶん気楽ね」
「まあまあ、いいじゃん、ケンカくらいさ」
ルイズは溜息を吐いた。
「あー、またカンジ外した!さっきから攻撃外し過ぎクマ!」
クマはじれったそうだ。
「あいつ俺らんなかじゃ一番遅かったもんなあ……」
陽介は仲間たちの姿を思い出す。みな様々なペルソナに目覚め能力を開花させた。完二はその中で一番の鈍足で、魔力も低かった。
その代わりに完二はパワーと体力においては随一で、同じ物理特化パワー型のペルソナ使い里中千枝より力においては上であったのだ。
そういう意味でワルドは正しい戦術を採っている。ワルドは先ほどから避けることに専念し、彼の武器である杖で受けようともしない。
完二の攻撃をまともに受ければ一撃でノックアウトされるであろうし、あのレイピアのような杖では重い一撃でへし折られてしまうだろう。
完二が一撃でも当たればいいのに対し、ワルドのあの杖の突きでは急所でもつかない限りは何度も攻撃しなければ頑丈な完二を倒すことはできないだろう。
しかし劣勢にありながらワルドには余裕こそないものの勝利を諦めているようには見えない。そう陽介には思えた。
445ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:32:54.31 ID:SLeeZ8Wy
ワルドは驚嘆しきっていた。
ルイズの言う彼女の使い魔の特別な力を出させるため、追い詰めてやるつもりが、なかなか思うようにことが運ばない。
それどころか戦いが始まってから完二に圧倒され続けている。
完二の武器の振りは大振りでスキだらけと言ってよかったが、そのスキがつけないのだ。理由は二つだ。
一つは完二の攻撃があまりにも強すぎること。彼の杖は剣を受けることさえできるが、完二の鞘ごと振り回す荒っぽい攻撃を受ければへし折れてしまうだろう。
もう一つは体さばき。
完二の戦い方は正規の訓練を受けたものではないのは素人目にも明らかなほどだが、戦いなれているのだ。
まるで素人が何度も生死をかけた戦いをしてきたかのような奇妙さだ。
ワルドもプロの戦士であるつもりだが、先ほどから完二が攻撃した後にカウンターするチャンスを窺っているがなかなか隙を見せない。
だが攻撃の隙が見つからないといってもそれは杖による突きに限定した場合だ。
彼の武器はそれだけではない。杖の使い方は突くことだけではない。むしろそれは補助にすぎないのだ。
防戦一方のさなか、詠唱を唱える。完二の攻撃を避けながら彼を打ち倒す魔法をちゃくちゃくと完成させていく。
ワルドは完二と武器を交えながら(実際はあわせていないが)呪文の詠唱を完成させた。
見えない空気のハンマーが横殴りに完二を襲った。
ワルドが使った魔法はエア・ハンマーだ。
風系統の攻撃の中で基本的なものだが、空気と侮るなかれ凝縮された空気の圧力は本物の槌で叩かれたかと錯覚するほどの衝撃を与える。しかもそれは不可視で避けることは難しい。
完二は不意を突かれ、その厚い空気の塊により、十メイル以上吹き飛ばされ積まれた樽に激突した。
ワルドは隙を見逃さずに詰め寄って勝負を決めようとする。しかし崩れていく樽の中からすぐに完二はすぐに立ち上がった。
立ち上がった完二にダメージを受けた様子も隙も見つけられずワルドは距離を詰めるのを断念する。
逆に今度は完二が詰め寄ってくる。
ワルドは許婚の使い魔の頑丈さに驚嘆しながらも呪文をさらに紡いだ。
頑強さなど関係なく確実に動きを止める魔法だ。ワルドが唱えようとしている魔法はどれほど頑丈であろうと、人間ならば耐えられない。
完二の手にあるインテリジェンスソードが叫んだ。
「俺でガードしろ!」
しかしワルドの魔法は完二がデルフリンガーにリアクションを起こすよりも早かった。
杖先の空気がゆがんで、そこから電撃が生まれる。そして超局地的な雷は完二捕らえた。
だが完二の足は止まらなかった。
「なにっ!?」
後に引かないようにやけどなどは出来ないほど威力は落とした。しかし人間ならしびれて動けなくなるはずだ。
予想外の出来事にワルドは反応が遅れる。
完二はワルドを射程距離に納めた。
完二は剣を振りかぶる。ワルドは避けられない。
そして――スリップして尻餅を突いた。
沈黙が流れる。
はっ、と我を取り戻したワルドが杖を完二に突きつけた。
「……降参するかい?」

446ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:35:39.75 ID:SLeeZ8Wy
「か、完二、ダッセー!!超ダッセー!!」
「あんなタイミングで転ぶなんてカンジは笑いのセンスがあるクマね、プククク」
完二は陽介とクマに指を指されて笑っていた。
「チッ、くそ……!」
完二は敗北者として潔くしている。言い訳はしない。
弁明めいたものをしたのは転がり込んできた勝利を手にしたワルドだった。
「地面は昨日の雨で濡れていた。もし雨がなければ勝っていたのはきみだろう」
しかしそれを完二は潔しとしない。
「言い訳なんてしねえよ、負けは負けだ」
完二はぶすっとして言う。
しかしワルドは彼をかばおうとして言ったわけではない。思ったことを言っただけである。
確かに戦場ならば、もしなんて意味はなく結果が全てで、生き残ったのはワルドであっただろうが、結局はラッキーに過ぎない。
そんなものを手放しに喜べるほどワルドは単純ではなかった。
ワルドの許婚であるルイズも彼女の使い魔の強さに驚いていた。
魔法衛士隊の隊長であるワルドと互角以上に武器を交え、エア・ハンマーを喰らっても即立ち上がり、ライトニングクラウドを喰らっても構わず攻撃を行った。
こんな平民他にいるはずがない。
二人の魔法使いが物思いにふけるなか、もともと彼の強さを知っていた陽介とクマはバカ笑いを続けていた。
物笑いの種にされていた完二も我慢の限界を迎えた。
「テメーら、いい加減にしやがれ!!」
完二が怒鳴り声を上げる。陽介とクマはやばいと言って逃げ出した。完二はそれを追う。
「ちょっ、言い訳しないんじゃなかったのかよ!?」
「やめれー!」
「うるせえ!シメてやる!」
練兵場で陽介とクマを追い、グルグルと回り続ける様子は、ワルドとルイズが思うような強い使い魔には不似合いな姿であった。
447ゼロのペルソナ 第6章 戦車:2011/05/14(土) 07:41:50.08 ID:SLeeZ8Wy
投下終了。
投下してから気付いたけど
>>445の「そして――スリップして尻餅を突いた。」は全文にワルドの様子が挿入されてるから
完二のことなのかワルドのことなのかわかりづらいね。
「そして完二は――スリップして尻餅を突いた。」の方がよかったと反省。

P4の面々の戦闘能力ですが、自分の作品の中では身体能力は高いけど独学のめちゃくちゃな戦い方だから
訓練を受けた戦士なら接近戦に限定すれば対抗できるということにしてます。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 08:07:17.25 ID:pwIBlm0L
三馬鹿乙ん。

蛇足かもだけど、デルフって納刀してる状態だと
喋れないんじゃなかったっけか?
449名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 08:43:32.97 ID:uLlHfEqv
まあまあ、アニメ版ってことで
450名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 09:17:50.49 ID:dW8aH3hs
>>448
アニメ版はその状態でも喋ってた。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 10:31:33.05 ID:Q29mvJpS
余計な心配かもしれんが、ハイペースな投稿で息は大丈夫?
452名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 11:48:20.38 ID:2nyGwCpF
書き溜めてるんじゃ?
453ゼロのペルソナ:2011/05/14(土) 12:05:51.46 ID:SLeeZ8Wy
>>448-450
あーそう言えばそんな設定もありましたっけ……?
書いてるイメージの中ではちょっと鞘を持ち上げながらカチャカチャ言ってる姿を想像してました。
ちなみにアニメ版は2、3話しか見てないんですよね……もちろん原作は全部読んでますよ

>>451-452
一応最終章まで書けてます。つっても投稿前に3,4割書き直すんですけどね。
モチベーションが消滅したら最悪、推敲してないのを投下するしかない……!
エタるよりマシだからきっとみんな許してくれるよ!
454名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 12:15:26.98 ID:e/VIpCuH
軽いネタを書いてみた。
Dise irae 黄金の獣ラインハルト・ハイドリヒとカールクラフトを召喚
(7万の軍勢を相手に)



ラインハルト「7万の軍勢か・・・存外少ないな。私を止めたければ総軍を持ってこなければ話にならんぞ」

カールクラフト「ですが獣殿。今のあなたは本気で戦う事は不可能・・・それに、相手は魔道を使ってくる者もいるゆえ、ただの戦闘と思っていては痛い目を見るやもしれませんぞ?」

ラインハルト「ああ、そういばそうであったな・・・だがカールよ。私はとても今の状況が楽しくてたまらん。なにせこのハルケギニアに来てからというもの、今まであった既知感がまるでない。これで本気で戦う事ができたならば最高の舞台になったであろうな」

カールクラフト「なるほど・・・確かにこの世界には未知ばかりだ。しかし獣殿、今目の前にいる7万の軍勢をどのようにして倒すおつもりですかな?言っておきますが、ここでは3騎士の手助けは借りられませぬぞ?」

ラインハルト「3騎士の力は必要ない。たとえ魔道であろうがよほどの物で無いかぎり私に傷を付けられん。ならば私は倒していくだけの事だ」

カールクラフト「なるほど、実に簡単な事でしたな」

ルイズ「・・・こいつらもう嫌」
455名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 12:35:52.44 ID:Q29mvJpS
>>453
要らぬ心配だったみたいだな
思う存分やってくれ
456名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 12:37:15.12 ID:nFiS9qYx
>>454
そこは司狼じゃなイカ?

ヒャッハーして突撃するぞ
457名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 12:56:47.95 ID:M7+c2uoO
>>419
江戸川乱歩の『魔術師』から奥村源造を…
458名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 12:58:55.87 ID:e/VIpCuH
>>456
司狼も考えたけどやっぱりこっちかなと思った。
あとシュライバーも考えたけど・・・7万相手にする前にルイズが生きてないなと思ってやめました
459名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 16:33:15.49 ID:diUmeC85
>>428
たま

>>442
魔法探偵ならスラクサスもいるぞ
酔っ払い中年デブで三流魔法使いだけど
460名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 16:36:15.94 ID:nIfVHLLb
「マジカルランド」シリーズから、スキーヴを召喚。
ヴァリエールの財力で支払いは充分。
オゥズも駆けつけるだろうし。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 16:55:05.70 ID:9sI4vez4
陰陽師から、清明と博雅を召喚。

博雅「聞いたか清明よ、最近王都に土くれのフーケという盗賊が現れるそうだ。
    巨大な土くれの人形で貴族を襲い、金品を強奪していくそうだ」

清明「博雅よ。それは呪だ」

博雅「呪なのか清明」

清明「呪だ、その盗賊見たくはないか博雅」

博雅「ううむ、見たく無いといえば嘘になるが」

清明「みたいのだろ?」

博雅「むむ、見たい」

清明「では、行こう」

博雅「行こう」

そういうことになった。

ルイズ「……な、なにが?」
462名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 16:56:13.74 ID:9sI4vez4
ガビ〜ン。
清明じゃねえ晴明だった
463名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 16:58:13.93 ID:uLlHfEqv
陰陽師ってすごく読みやすいよな
なんかラノベ読んでる感覚
464名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 17:06:26.00 ID:dW8aH3hs
>>463
サクサク読めるな。
まあ文字数自体が少ないってのもあるが、独特の雰囲気がある。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 17:06:33.07 ID:EgtgmDGL
あの作者や菊池秀行とかそこら辺の作者はラノベの源流の一つみたいなもんだ
もう一方の源流がジュブナイル物で
466名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 17:23:10.28 ID:nFiS9qYx
女嫌いの魔界医師を
ルイズの使い魔に・・・・・
467名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 17:39:38.52 ID:8pzNg1QO
>>466
どうやって契約するかだけで物語が終わるw
468名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:04:46.38 ID:TzV73Clr
魔界都市ハンター版のあの人なら契約できそうだな
わりとヌケてるしw
469名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:11:31.08 ID:X/Lu3d3W
ラインハルト・ハイドリヒの名を見てどっかのカイザーや赤ん坊みたいな政府高官(あっちはハイドリッヒだな)が思い浮かんだ

ラングはともかく、ラインハルトは召喚できんこともないな
ルイズとの契約は猛烈に反対を示してくれる分、そこ出発点にストーリー作れるし
同窓にいびられまくっても、契約を諦めないルイズの根気と健気さは見てみたいな
前提として、ルイズがラインハルトを自分より上位の人間と認めなきゃならんが

ストーリーを膨らませるに貴族社会という土台は便利ってのもあるな
470名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:12:27.80 ID:2nyGwCpF
多分あの先生なら自分で変えるし、契約のために女がベェゼなんてしようものなら
おそらく死ぬよりも恐ろしい目にあいそうだな。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:18:28.03 ID:9sI4vez4
まとめにあるゼロの魔王伝は菊池キャラ呼びまくった話だったな。
素直にDを呼んだでよかったきもするが。

作者は理想郷いったんだっけ?
472名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:43:14.32 ID:s0WMkHxC
サマーインベーダーのヒロイン召喚も面白そう。
魔法学院の男たちがゆっくりだんだんと…
473名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 18:52:50.08 ID:HehNovON
>>472
細かいこというとインベーダーサマーだな。
しかしそれだと昔荒れてたモンモンを愛の力で更正させたギーシュが、最終的に刺されて死にそうだw
474名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 19:54:43.56 ID:FW2fwQhT
>>473
なんとなく、ギーシュとモンモンとケティが 『Nice boat』する話を思い浮かべてしまった。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 19:54:47.82 ID:+xEFY0FA
デモンズソウルの主人公を召喚面白そう、生まれやラストの選択によって色々と設定が変わりそうだけど

ガル・ヴィンランドとかもいいな…
476名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:11:31.82 ID:Q29mvJpS
>>475
いきなりソウル体にされて、事件を一件解決するたびに復活するのか
477名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:19:39.30 ID:paBFMYL2
その前に台詞がない
召喚後霧亥並に原作と打って変わって饒舌になることになる


あと純粋にあの世界の連中って基本スペックからして人外
おまけによほどの馬鹿でなければ、口頭で教えられて体系化された魔術使えるレベルだし
478名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:42:20.92 ID:M87W71uV
>>469
ラインハルトはなあ…
一悶着どころじゃないだろうな
門閥貴族を薙倒して王権を取りますたとか言ったら目も当てられない惨事に
479名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:51:58.59 ID:AEUef3Pr
初めて会話する非公式超構造体編メインキャラが二人いても8巻のセリフ
「待て」
「カプセルを取り戻す」だけだかんね
後は心臓ぶっさされたり首もげたり肉体言語


同じようにデモンズは相づちばかりだし
拳が心臓を貫通させたり、貫通しても余裕だったりと確かにどうでもいいところが似ている
480名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:53:30.04 ID:nFiS9qYx
>>473
刺されるのはモンモンの方だろ?
481名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:54:22.72 ID:pbssCIDU
ラインハルトはなんだかんだいって「環境の恩恵」を最大限利用しているから、
なんの後ろ盾もない状態でどれだけやれるかははなはだ疑問。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:54:54.95 ID:paBFMYL2
バックスタブパンチとパリィパンチか

>>478
召喚によって限界まで心象悪くしてるんだから根こそぎ支配階級ジェノサイドするレベル
483名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:56:14.47 ID:SLeeZ8Wy
書くにしたら門閥貴族とかの情報量すくな過ぎるけどな。
それだけに限らず20巻もあるのにわかんないことが多いし。まあ、ラブコメだからトーゼンのことだけど
ゲルマニアとかまじ未知の国。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 20:59:00.66 ID:AEUef3Pr
ラインハルトは寵姫の親族の騎士で、皇帝は感づきつつもわざと出世を手助けして放置してたからな

しっかり書かれている分、内容や設定が軽いゼロ魔とは相性悪いな
485名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:00:17.19 ID:U0IGwfeV
デッデッデッデッ…
召還の儀式

ルイズから爆発の魔法の攻撃
シレンは13ポイントのダメージを受けた
シレンはその場しのぎの杖を使った
ルイズは飛ばされていった

キュルケからファイアボールでの攻撃
8ポイントのダメージを受けた
シレンは死んでしまった!



問 題 外



こんなん妄想してたら、夜になっていた
恐ろしい
486名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:09:08.13 ID:avEdmitN
ダイターン3の破嵐万丈を召喚すれば
最終回で屋敷に帰って来なかったのはハルケに行ってた事にも出来るし
ロボ無しでも超人だからな
487名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:16:46.31 ID:4PMm099k
イゼルローンの風紀と道徳の敵二人ならどこでもやること変わらんだろうね
実力もあるし、アニエスとかけあいやらせてみたい
488名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:17:55.98 ID:UtWfUYoG
シレン懐かしいな
学院が謎の法則に侵食されて
他の使い魔がある日を境に違う色になったり
行方不明になったと思ったら食堂のメニューになってたり
とある陶芸家がオスマンの友人だったり
デルフとシュペー卿の剣が合成されたりするのかな
489名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:19:50.10 ID:FW2fwQhT
ダイターンなら 異世界だろうがなんだろうが、
「ダイターン カムヒヤ〜!」
と呼べば 飛んできそうだけど。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:20:01.71 ID:lH7+x8oC
>>486
ダイターンは、例え異世界でも呼んだら来そうで恐いな。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:30:57.12 ID:TzV73Clr
問題はあの人、割と冷酷なトコあるからな…
492名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:40:20.58 ID:dW8aH3hs
>>491
メガノイドとかそっち方面でなきゃ、そこまでではないだろう。
まあそっち関係は本当に憎みきってたけどな。
父親が兄と母を実験台にして殺しちまったから、当然といえば当然なんだが。
窮地に追い込まれて、死んだ父親の励ましの言葉が聞こえてきたら、お前の力なんかいらないって拒絶しまくってたし。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:40:38.96 ID:lKkFFeW5
万丈は今となってはスパロボの「大財閥の総帥で、正義のスーパーロボットのスポンサー。サンドマンの友人」
設定のほうが通りが良くなっちゃったからなー。
ロボゲ板とかでも原作見てないんだろーなー、って人がよくいる。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:47:35.96 ID:eFYm6vbn
スパロボだと本当に善人で超人なんだよね
一回鯖にあたって出撃不能になったけど
495名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:52:30.90 ID:8pzNg1QO
スパロボでも古めのは>>492みたいな話ちゃんとあったぞ
最近のはそこまでダイターンの話出てこないだけだろう
496名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:54:09.49 ID:DcxcVrZh
αシリーズで財閥設定は解体されてZじゃ本来の「ただの金持ち」になったけどね
あとメガノイド相手でも手心加えることはある、幼馴染ライバルとか

>>486
一応ラストで屋敷の一部屋に明かりがついてはいるんだけどもね
あれが帰ってきた瞬間、でもいいのか
余談だがZ2でトライダーがマジに合体仲間入りしてるようで噴いたw
まだ実物見てないんだけど
497名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:55:07.88 ID:SLeeZ8Wy
なぜスパロボの話に……
ところでスパロボから呼び出すならミストさんとシオニーどっちがいい?
498名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:57:25.12 ID:diUmeC85
ミオとザムジードでいいよ

版権でもめたのが残念で仕方ないわ
499名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:58:00.57 ID:lH7+x8oC
>>496
認めた相手には墓すら作ったりする。
「メガノイドとしては不出来だ」は最大の褒め言葉。

万丈召喚だと、レイカやビューティの位地にフーケやアニエスがつくんだろうか?
美人アシスタントは欲しいよね。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 21:59:03.77 ID:LIP/UV/t
敵は滅ぼしたが少しも嬉しそうじゃなかったからな…
最終回後は軽く鬱入ってるかも知れん>万丈
501名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:01:39.92 ID:TzV73Clr
万丈がコルベールの過去を知ったらどうなるんだろ?
容赦しないのか、それとも許すのか
502名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:10:08.72 ID:FW2fwQhT
ダイターンって 全高百メートルオーバーの巨体だったはず。

VS七万のところで ダイターンが突然戦場に飛来したら・・・
それだけで レコンキスタ兵が壊走しそうな気が。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:11:29.83 ID:QrVLIMF0
スパロボだったらラミアさんとか?
ルイズはもちろんキュルケにも勝てる巨乳の持ち主。
台詞回しも言語機能の不具合で色々とネタになる。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:16:33.24 ID:rmXY5TUC
近衛スバルにするか、宇佐美マサムネにするか、それが問題だ。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:22:22.22 ID:t3V254DC
レイズナーからエイジアスカ召喚
「ハルケギニアは狙われている!」
506名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:23:29.29 ID:Qw7Ftn9U
スパロボで呼んで楽しそうなのといえば、アホセルも欠かせない
場合によってはアルフィミィとかファイター・ロアとかもセットでついてくる可能性もあるけどw
507名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:25:40.78 ID:ABDXv/sC
何故空手アルバイターの名前が出ないのか
彼なら雑用から戦闘までそつ無くこなしてルイズも満足するはず
508名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:27:38.21 ID:LIP/UV/t
クロウ・ブルーストなら異世界なら
借金を気にせずにいられてむしろ嬉しがりそうだけどね
509名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:29:29.43 ID:vcj6mcYk
いっそ次元振動弾の影響で云々
510名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:30:24.40 ID:DcxcVrZh
>>508
結果として踏み倒しになる場合は
彼の矜持として意地でもあの世界に戻らねば、になるだろうけどね

しかし戻ったら利息が増してそうで胃がキリキリと痛むのであった・・・

むしろシオニーでも呼んでルイズの癇癪に怯えまくる姿のほうが見たい
そう思うだろ!?アンタも!!
511名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:35:59.33 ID:z33AsrFV
ヒッ!
512名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 22:45:28.73 ID:avEdmitN
アラド・バランガだと取り合えず飯を与えれば
付いて行きそうだが後からゼオラと合流したら修羅場は免れまい
513名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 23:14:31.53 ID:8pzNg1QO
>>512
食堂から出たあたりでメシが足らずに倒れそうだw
514名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 23:17:01.96 ID:VUHyfmV0
>>510
あのシオニーレジスがあんな小娘におびえる訳ないでしょう!
無礼ですよ!土下座なさい!
515名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 23:49:30.72 ID:HUZzPfUV
バンッ!!
516名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/14(土) 23:57:35.06 ID:xlBBj+xg
>507
空手だけ見てダブクロの辰巳狛江と思った。
デルフに出番が無い以外はうまく行きそうだ。

何よりも彼女はバロールなので、今なら《ディメンジョンゲート》を習得し利用してさくっとウェールズを回収したり出来る!
で、ルイズの“虚無”を見てウロボロスシンドロームを知り、“インフィニティコード”につながる。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:06:03.93 ID:B2zCkaYf
ルイズがアムロ(逆シャアver)を召喚しました

コルベールとのシンクロ率400%超えそうだ
518名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:11:49.61 ID:Ie1yHggc
あの世界の人間や技術を相手にするとコルベールの実力不足がすごいことになる
519機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:15:01.25 ID:NfGTzZl0
こんばんは、機械仕掛けの使い魔です
フーケ編完結となる15話が仕上がりましたので、予約等なければ、
0時25分から投下開始したいと思います
 
規制に引っかかる条件とかあまり良く解ってないので、もし引っかかったら、
避難所の方に投下させていただきます
私の主観で意外と長くなってしまったので、少々不安です…
520機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:25:36.99 ID:NfGTzZl0
機械仕掛けの使い魔 第15話


 フーケのアジトから戻った一行は、バイスの亡骸をひとまず厩に隠し、学院長室に向かった。クロ曰く、その方が都合がいい、らしい。
 
「よくぞ戻った。して、フーケと破壊のゴーレム、不可思議の箱はどうなったのじゃ?」
 学院長室には、オールド・オスマンとコルベールの2人。部屋に入って来た面々を安堵の表情で迎え入れたが、すぐに顔を引き締め、事の顛末について説明を求めた。
「結論から言えば、破壊のゴーレム、不可思議の箱の奪還は成功。内、破壊のゴーレムは現在、一般生徒や教職員に見つからぬよう、厩に隠してあります。
ですが、フーケは取り逃しましたわ。」
エレオノールが一歩前に出、淡々と述べる。
「ふむ、フーケは逃げおおせたか…。姿は、見たかの?」
「いえ、我々が到着した頃には、アジトはすでに無人でした。
しかし、あれだけの手段で盗み出した破壊のゴーレム、不可思議の箱を放棄していたという事は、恐らくギリギリで我々の接近に気付き、焦燥のうちに逃亡したのでしょう」
「惜しい事じゃのぅ。ま、気に病んでも仕方ないわい。君たちと破壊のゴーレム、不可思議の箱が無事戻っただけで、良しとしようかの。
破壊のゴーレムは、折を見て宝物庫に運ばせよう」
 髭を撫でつけながら、オールド・オスマンが顔を綻ばせる。
 
「ところで…ミス・ロングビルのお姿が見えませんが、彼女は一体、どうしたのですか?」
 一同の顔を見回したコルベールが、自分が憧れている相手、ロングビルの姿がない事に気付き、その疑問を口にした。
「あぁ、彼女でしたら――」
エレオノールが窓の外を指差した。つられるように窓に寄って、塔の遥か下、広場を見下ろすコルベール。その視線の先には、
「――全く手付かずだった学院の修理を、始めてくれています。本当に、オールド・オスマンにはもったいないほど、気の利く方ですわね」
 ただ一人で、ボロボロの学院を修理するロングビルの姿があった。周囲には、人間とほぼ同じサイズの、土のゴーレムが5体。
薙ぎ倒された木を建て直し、程よく耕された地面を平らげ、ロングビルが残骸から錬金したレンガを壁に積み直し、学院の復旧作業に取り掛かっていた。
「お、おぉ…さすがはミス・ロングビル! 私もこうしてはおれませんな、失礼しますぞ!」
その姿を認めたコルベールは、袖をまくって窓を開け、眼下の広場へ飛び降りた。
「ちょ、ミスタ・コルベール!?」
慌てて窓に駆け寄り、頭を突き出して下を覗くルイズだったが、見えたのは、『レビテーション』で華麗に着地し、ロングビルの元へ猛ダッシュするコルベールだった。
 
「な、何よあの、無駄にかっこいい無駄な着地姿勢は…」
 『レビテーション』の詠唱条件に、ポーズは一切ない。言ってしまえば、直立不動の姿勢でも、逆立ちの姿勢でも、胡坐をかいた姿勢でも、軟着陸は可能だ。
 しかしコルベールの着地は、不自然極まりない、妙に格好のいい姿勢であった。それこそ、我々の世界で、ヒーローが高所から飛び降りる時のような。
 こんな時の為に、密かに練習していたのだろうか。確かに練習は無駄にはならなかったが、動作そのものは無駄である。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:27:01.68 ID:lOzxhpIo
支援
522機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:28:02.39 ID:NfGTzZl0
 
「コルベール君も、青春真っ只中、と言ったところじゃのぉ。まぁ、それは良かろうて」
 クロとギーシュの決闘を見ていた時のように、物見の魔法でコルベールの様子を見ていたオールド・オスマンだが、
杖を振って映像を消すと、改めて一同に身体を向けた。
「諸君、今回の一件、ご苦労じゃった。この度の活躍は、ワシから王宮に報告しておこう。何か恩賞が賜れるじゃろうて」
「一介の学生に…恩賞?」
オールド・オスマンの言葉に、キュルケが目を丸くした。
「その一介の学生が、世を騒がす盗賊に盗み出された、アカデミーの宝物を取り戻したのじゃ。何かしらの恩賞を頂くには、十分すぎる活躍じゃよ」
 
「さて諸君、今宵はフリッグの舞踏会じゃ。主役が遅れては格好が付かぬ、早く準備に取り掛かりなさい」
「主役ですか…?」
「うむ、君たちは学院の英雄と言っても差し支えないからの」
 元々はクロとミーの大暴れを隠蔽する為に志願したのが、予想外に評価されてしまったようだ。
顔を引きつらせるルイズだが、断るわけにもいかず、乾いた笑いで答えた。
 一方、キュルケは顔を輝かせ、タバサの手を引っ掴む。驚き、ほんの少しだけ目を見開いたタバサ。
しかし、キュルケは気付かない。なかなかに珍しい。
「そうと解れば、部屋に急ぐわよタバサ! 私が可愛くコーディネイトしてあげる!」
勢いのまま引き摺られていくタバサの顔には、これまた珍しく、戸惑いの色が見えた。
 
「私はそろそろ、アカデミーに戻らせて頂きますわ。今回の件を報告しなければなりませんので」
「ふむ、お主も出ればよいじゃろうに」
「祭り上げられるなど、私の趣味ではありません。それに、仕事を残している上に、予定外に休暇が延びましたから」
 振り返り、ドアへ歩を進めるエレオノール。その途中、クロを一瞥すると、誰にも聞こえないほど小さい溜息を漏らした。
「では、失礼しますわ」
 
 部屋に残ったのは、オールド・オスマン、ルイズ、クロ、そしてミーの2人と2匹。
「全く、お主の姉上は、昔と全く変わらんのぅ、ミス・ヴァリエールや」
「あ、あはは、そうですね…」
 魔法学院入学前、エレオノールからオールド・オスマンの愚痴を色々聞かされたルイズとしては、今のやり取りに少々冷や汗をかいていた。
舌戦の開幕を恐れていたが、杞憂に終わったようだ。
「ミス・ヴァリエール、お主も舞踏会の主役の一人じゃぞ。部屋に戻って、用意をしなくて良いのか?」
「そうだぞルイズ、オメーはミーくんと一緒に戻ってな。後はオイラとおっさんで話すからよ」
「く、クロ! オールド・オスマンに向かって何て失礼な事言うのよ!?」
 学院の最高責任者たるオールド・オスマンをおっさん呼ばわりしたクロに食いかかるルイズだが、当の本人は、
「ほっほっほ、良い良い」
と、まるで気にしていなかった。
523機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:31:19.65 ID:NfGTzZl0
 
 自室に戻るのを薦められたルイズだったが、使い魔たるクロを放っておけない、放っておいたら、今度はどんな失礼な物言いをするか非常に心配だった為、このまま残る事とした。
「それで猫君や。話とは何じゃ?」
「ん、まずは渡すモンを渡しとくわ」
言いながら、クロが腹部ハッチから取り出した物は、ツインキャノン。それをまずは腕に装着して見せた。
「驚くほど、猫君の腕にぴったりじゃの。猫君の持ち物じゃったのか?」
「不可思議の箱なんて大層な名前が付いてっけど、弾切れした今じゃ、単なるガラクタだ。欲しけりゃくれてやらぁ」
腕を捻って一通りツインキャノンを眺めたクロは、腕から取り外し、オールド・オスマンに放って寄越した。
「弾切れと言うからには、銃の一種なのじゃろうなぁ。まぁ、名前はそのままで保管しておくとしようかの。
猫に教えられて正体が解った、などと話したら、ボケ老人扱いされるわい」
 苦笑しながら、受け取ったツインキャノンを執務机に置いた。
「しかし、わしの権限でどうにかできる代物ではないじゃろうが、このまま受け取ってしまってよいのか? 君の武器じゃろう?」
「弾切れしてる上に、ソイツを作ったヤツが、肝心の弾の作り方を忘れやがった。持ってても仕方ねーよ」
「なるほどのぅ、それならば仕方あるまいて」
 
 話が一段落付いた。流れでは、次はバイスについて、となるところだが、クロはまずその場に胡坐をかき、無言で腹部ハッチを開いた。
そこに手を突っ込み、中でなにやらゴソゴソとやっている。
「クロ、どうしたの? オールド・オスマンへの説明は…」「ちょっと黙ってろ」
ルイズの発言を簡潔な一言で遮った。その直後クロの腹から、バキバキと、重苦しくも、どこか軽い音が聞こえてきた。
「お、おい相棒! 何してんだよ、血迷ったか!?」
その音に混ざり、腹部に収められているデルフの叫びが響いた。しかし、これにもクロは耳を貸さない。
「その音…クロ、お前まさか!」
ボディの構造がほぼ同じであるミーが、音の正体に気付いて近寄るが、クロに、もう一方の手で制された。
 
 一同が静まり返る中、ようやくクロの腹から聞こえていた音が、止まった。
ゆっくりと引き抜かれる手の先には、放電する金属質の『何か』が握られていた。
「おっさん…いや、オスマンだっけか。話す事は2つだ。何、大した話じゃねぇよ」
『何か』を、絨毯の敷かれた床に置くクロ。放電は、徐々に弱まっている。
「1つ。破壊のゴーレム、なんてふざけた名前で呼ぶのは、やめてやってくれ。アイツにゃあ、バイスって名前があんだ」
「バイス…ふむ」
「オメーだって、おっさん呼ばわりよりも、本当の名前で呼ばれた方がいいだろ? そういうこった」
 クロは、その場から動かない。
 
「と言うかクロ、アンタ、オールド・オスマンの前で座り込むなんて、失礼でしょ! ちゃんと立ちなさい!」
 座ったままのクロに、ルイズからの叱責が飛ぶ。しかし、やはり動かない。
「ルイズちゃん、クロは立たないんじゃないんだ…」
そんなルイズを、ミーが宥める。取り出した『何か』の正体を知るミーは、なぜクロが立たないか、知っているのだ。
524機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:33:42.39 ID:NfGTzZl0
 
「2つ。『バイスは自爆した。バラバラになって、コイツだけ回収出来た』、って事にしてくれ」
 言いながら、絨毯に置いた『何か』を、手でオールド・オスマンに差し出すクロ。
「あれは、クロの腰のアクチュエーター。人間で言うなら、腰の筋肉みたいな物なんだよ…」
「腰の、筋肉…ですって?」
クロは腹のハッチから、腰の部分に組み込んであるアクチュエーターを無理やり外し、取り出していたのだ。
 人間で言えば、腰の辺りの筋肉とでも言うべきか。この部位がなければ、腰は上半身の重量を支えきれず、立っている事など不可能となる。
 クロは立たないのではない、立てないのだ。
 
「オイラは、アイツにデカい借りがある。それを、後で修理できるようなパーツで返せるなんて、思ってねぇ。だけどな…」
 バイスとの、最後の記憶。上昇するタブーへ一直線に伸びるバイスの腕。それに掴まり、登り始めた瞬間、偽りの大地は崩れた。
大量の砂と瓦礫に飲み込まれたバイスの身体。残されたのは、タブーと繋がる、腕一本のみだった。
「…アイツは自分の腕を切り離してまで、オイラを助けた。だったら、こんぐらいしねぇと釣り合わねぇ」
「猫君の矜持ゆえ、というやつかの…」
「違ぇよ――オス猫の誇りってヤツだ」
 受けた借りは必ず返す。借りっ放しなど、自分自身が許せない。クロが己を縛る、ほぼ1つと言っても過言ではないルールであった。
 
「あの、オールド・オスマン…」
 おずおずと、右手を上げるルイズ。
「姉さまも、この案には賛同してくれています。私からもお願いします、どうかクロの案に、乗っていただけませんか…?」
「ほぅ、あのエレオノール君が、のぅ」
 引き出しから水ギセルを取り出し、一服するオールド・オスマン。その視線は、窓の外、トリスタニアの方角に向けられていた。
 
「あい解った、その件、わしも一枚噛ませてもらおう。アカデミーにはちょっとした意趣返しになるじゃろうて」
 意地の悪そうな笑みを浮かべながら、オールド・オスマンはクロの案を承諾した。
クロはニヤリと笑みを作り、ルイズは顔をパッと明るくし、ミーはホッとしたかのように額の汗を拭った。…突っ込んではいけない。
「それにしても、あのエレオノール君がそんな案を呑むとはのう」
「ん…あんまり派手に暴れんなって、釘刺されただけだ」
 そっぽを向いて、気だるげに答えるクロ。オールド・オスマンはそんなクロを見て、いよいよ楽しそうに笑った。
「そうかそうか。まぁ、そういう事にしておくわい」
525機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:36:07.50 ID:NfGTzZl0
 
「それで、本物のバイスは、どうすればよいのじゃ?」
「あぁ、それなんだけどよ――」
 バイスの亡骸の処遇について、クロはオールド・オスマンに、いくつかの条件を伝えた。
聞き終え、しばらくは難しそうな顔をしていたオールド・オスマンだったが、手を打ち鳴らし、条件全てを呑めると胸を張った。
「オーケー。それじゃ、オスマンジーさんも手伝ってくれや」
「えっ。わし、場所案内だけじゃないの?」
「つれねー事言うなよ、共犯共犯」
「…わし、明日起きられるかのぅ…」
 
 肩を落とすオールド・オスマンを見てケタケタと笑うクロの前に、ルイズが立った。そしておもむろに背中を向け、その場にしゃがみ込む。
「んあ、どうしたよ、ルイズ?」
「あ、アンタ今、歩けないんでしょ?」「おう、そーだな」
 楽しそうに会話していたクロだが、ただ痛みがないというだけで、相変わらず腰から下は動かない。
「…身体、直さなきゃいけないんでしょ。…私の部屋に、帰るわよ…」
こういう形で手を貸すのがどうにも気恥ずかしく、ぶっきらぼうな言い方になってしまった。
こんな言い方はないだろう、と自分自身を責めそうになるルイズだったが、
「…おう、ありがとよ」
背中越しに聞こえたクロの声と、肩にかかる、確かな重み。これに全てが吹っ飛んだ。
 お互い、どうにも不器用で、素直になれない所があるのも、非常に似た主従なのかも知れない。
 
      +     +     +     +     +     +
 
 その頃、学院からトリスタニアに向かう馬車の中で、エレオノールは窓の外をボーっと眺めていた。
「あの黒猫…クロは、一体何なのかしらね…」
「エレオノール様、いかがしましたか?」
エレオノールの呟きが耳に入った御者が聞くが、手を軽く振って「何でもない」と意思表示し、また窓の外に目をやる。
 
 自分でも、なぜクロの案に乗ろうと思ったのか、解らない。アカデミーの事を考えれば、バイスを秘密裏にクロへ譲渡するなど、真っ先に選択肢から除外されるはずなのだ。
 だと言うのに、除外出来なかった。最後まで残ってしまった。
「…考えるまでもないわね、そう言えば」
 
 思考を巡らそうとしたが、自嘲気味に笑った。
 愛する妹と自分の命。もう動かないガラクタ。この両者を天秤にかければ、どちらに傾くかなど、考えるまでもない。
「オス猫の誇り、貴族の誇り、か…。まぁ、安い物よね――」
クロがルイズと自分を守ってくれた、その借りを返すには、エレオノールの中では少々安く思えた。
「――今度、生魚か何かでも送ってあげようかしら」
 トリステインで一番新鮮な魚を扱っている鮮魚店はどこか、誰に生魚の凍結を頼もうか。不思議と、自分の研究の事を考えるよりも、心躍るエレオノールだった。
526機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:39:31.44 ID:NfGTzZl0
 
    +     +     +     +     +     +
 
 寮塔へ向け、とことこと歩いている、クロを背負ったルイズとミー。とそんなクロたちを見つけた誰かが、こちらに向かって走って来た。
その相手は、コルベールを含む数名の教師と共に、復旧作業に勤しむロングビル。どうやらその場の教師に後を頼んだようだ。
 
「話が違うじゃないの…。何が、『ちょっと壊した』よ、戦争もかくやって有様じゃないさ!」
 クロに食って掛かるロングビルの顔は、世間を賑わすフーケのそれに変わっていた。
「ご、ごめんなさい…」
「このくらい、オイラからすりゃ『ちょっと』だっての」
 素直に謝るミーと、何でもなさそうに答えるクロ。同じ当事者で、これほど意識の差があるのも珍しい。
 ただ、クロの発言もあながち間違いではない。クロが本気で暴れれば、街など簡単に壊滅してしまうのだ。
その暴れ振りは、周囲の目撃者から『悪魔が通った』とさえ言われるほどである。
 単独ではなく、ほぼ同スペックのミーと激戦を繰り広げた結果としては、原型を何とか留めているトリステイン魔法学院は、まだまだ『ちょっと壊れた』程度の認識でも通じてしまうのだ。
 …何の弁護にもならないが。
 
「でもよ、オメーの目で見て『戦争もかくや』ってくらいぶっ壊れたここを修理すりゃ、まとまった額がもらえるんじゃねーか?」
「ぐ…そ、そうかも知れないけどさ…」
 小屋跡で出されたクロの提案、その1である。ボロボロになった学院を率先して修理すれば、何かしらの特別報酬が出るんじゃないか、という事だ。
 学院からすれば、わざわざ外部の土メイジを雇う必要がなくなり、さらにシュヴルーズなどの教員土メイジを駆り出さなくて済む為、円滑な講義が可能となる。
 ロングビルからすると、他の土メイジよりもゴーレムを操る術に長けている為、復旧作業の主導権を握りやすくなる。
さらには率先して作業に入った事で、一際目立つ。この2点により、ボーナスを得られる可能性が高まるのだ。
 ある種の利害一致、ギブアンドテイクと言った形である。
 
「…まぁ、このくらいのケジメはつけるさ。それより、本当にいいのかい?」
 半ば諦めたように嘆息したロングビルが、今度はルイズに目を向けた。
「あたしの仕事に、クロちゃんを借りるって話だけどさ…主のあんたは、納得してるのかい?」
クロからの第2の提案、それはフーケとしての仕事に、クロを同行させる、という事である。
 ロングビルにとっては、単純に戦力の大幅向上が見込める。ゴーレムを容易く手玉に取る戦闘能力と、人間よりも遥かに小さい体躯。
盗賊の仕事にはこれ以上ないほどに適正がある。…いつもの調子で暴れなければ、の話であるが。 
「本当なら、絶対に許される事じゃないんだけどね…」
 
 クロの提案にルイズは、それはもう盛大に反対した。元々フーケとしての仕事に関しては、これ以降一切口出し、手出ししないスタンスを取ると決めていた。
だが、そこにクロが絡むとなると、話は別だ。
 使い魔が貴族に手を出す事は、即ちその主が手を出したも同然。トリステインの貴族として、許される事ではない。
ルイズも自身の家名を少々恨めしく思えたが、かと言って貴族ではないいかなる立場であってもタブー、つまり八方塞がりなのである。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:41:18.94 ID:tgFlz0o+
支援
528機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:42:31.54 ID:NfGTzZl0
  
 しかしがんじがらめに縛られ、胸を痛めるルイズを助けたのは、クロだった。
 
『猫には、人間のルールなんて関係ねぇよ。人間には、守らなきゃならねぇルールがあるけどよ、それならオイラに任せな。道なんていくらでもこじ開ける、っつったろ?』
 
 まだまだそれほど日が経っていないというのに、クロはルイズの前で、道を切り開いて見せた。
ギーシュを打ち負かし、フーケのゴーレムから命を救われ、そのフーケ討伐も、結果としては丸く収まった。
 そして今また、クロは新たな道を開こうとしている。ロングビルと、彼女の守る人たち、貴族の横暴に苦しむ平民を守る為の道を。
 人ではない、かと言ってただの猫でもない、”クロ”だからこそ開く事の出来る道。
ルールに縛られないこの黒猫と、フィナーレへ歩くと決めたのだ。今更悩み、迷う必要など、ありはしない。
 
「でも、私はあなたと、クロを信じるわ。」
 腹は決まった。ルイズは、力強く頷いた。
「任せときなって、悪いようにはしねぇからよ」
 クロの中にも、暴れたいという気持ちはある。魔法相手に暴れたいが為に使い魔の契約を交わしたのだ、チャンスがあるならば見逃す手はない。
幸いにも、相手は人々を苦しめる悪者である。ジーサンバーサンの家で見た時代劇で言えば、悪代官や越後屋のようなものだ。気に病む事など何もない。
 だが、それと同じくらいクロの心を占めているのは、ルイズ同様、ロングビルたちを助けたいという思いだった。
どことなく、その境遇が北海道で出会ったブッチーと、ブッチーの守るチビ猫たちに似ているように思えたのだ。
 表には出さないが、クロもロングビルの身を案じていた。それ故の、2つの提案なのだった。
 
「ハァ…解ったよ。納得してるんなら、あたしからは何もいえないさ。せめて、クロちゃんの正体がバレないように、フォローは入れるけどね」
「いや、その心配はねーよ」
 呆れつつも楽しそうに息を吐いたロングビルに、クロが待ったをかける。
「オイラも、自分が目立つって自覚はあるからよ、それなりの対策は持ってんだよ」
「対策って言うと…もしかして、アレか?」
腹を指差すクロに、何か思い当たったのか、ポン、とミーが手を打つ。
「ま、あんまし使いたくはねーんだけどよ…」
 半ば蚊帳の外となっているルイズとロングビルだったが、その疑問は後日、爆笑と共に解決する事となった。
 
    +     +     +     +     +     +
 
 ルイズの部屋に戻ったクロは、発電機のモーターをベースにして、電子レンジのパーツおよそ2/3を使い、アクチュエーターを組み上げた。
残るは、結局昨日使われなかったテレビと、精密機器類をほぼパーツ取りされた電子レンジのみ。次のスヴェルの月までを考えると、少々心許ない。
「うっし、とりあえず修理完了っと。それじゃ、行って来るぜ」
 軽く屈伸運動して調子を確かめたクロが外へ出ようとすると、ルイズもイスから立ち、その後ろに付いた。
「んあ? どうしたルイズ」
「私も行くわ。…直ったばかりなんでしょ、手伝ってあげるわよ」
顔を赤くしながら、上半身を軽く伸ばすルイズ。そんなルイズに、苦笑しながらクロが聞く。
「土仕事だぞ、汚れちまうぞ?」
「さっきまで相手してたのは、『土くれ』のフーケよ、何を今更」
 違ぇねーや、とカラカラと笑い飛ばしたクロだった。
529機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:46:37.86 ID:NfGTzZl0
  
「んー、それじゃボクは、厨房にでも行ってみるよ」
「あらミー、来ないの?」「血が騒いだんだろ。厨房から、すげーいい匂いしてたからな」
 フリッグの舞踏会に向けてだろう、厨房からは慌しい声と共に、非常に美味そうな匂いが漂っていたのだ。
料理人としての顔も持つミーとしては、いても立ってもいられなくなったようだ。
 
 今度こそ、と扉を開けるクロ。その後に続こうとしたルイズのスカートの裾を、ミーが引っ張った。
「ルイズちゃんルイズちゃん」
「きゃっ! な、何するのよミー!?」
慌ててスカートの裾を押さえるルイズだったが、猫相手にスカートの中を気にしたところで意味がない事に気付いた。
反射的に怒鳴りはしたが、すぐに、何か言いたい事があるのだろうと閃き、その場に屈んだ。
 
「クロの事、よろしくね。アイツはたぶん、バイスの件にボクが混じるのは、嫌うだろうから」
「あぁ、だからアンタ、厨房に行くって…」
「ホラ、猫って、そういう性格だからさ…」
「何くっちゃべってんだよ、さっさと行くぞー」
 猫の縄張り意識は、物理的な物ばかりではない。飼い猫は死の間際、それを悟られまいと、飼い主の元を去るという。何者の介入も許されない、心の縄張りもあるのだ。
 ミーがクロに踏み入らせたくない過去があるように、クロにも、誰にも侵されたくない自分の領域がある。
「私は、少しは認められたって事かな…うん、任されたわ」
 クロの催促にルイズは、ミーへ1つウィンクを送り、扉の外へ駆け出した。
 
    +     +     +     +     +     +
 
 厩の外では、すでにオールド・オスマンが待機していた。傍には、布を掛けられた巨大な何かが積んである、荷車が一台。積まれているのは言わずもがな、バイスである。
「おぉ、来たか猫君。積み込みは終わっとるぞい」
「おー、やるじゃんオスマンジーさん。ヨボヨボなのにコイツを持ち上げるなんてよ」
「違うわよ…。『レビテーション』で浮かばせてあげれば、誰でも運べるの」
「何だ、つまんねーの」「種明かしが早過ぎぬか、ミス・ヴァリエールや…」
クロに褒められて浮かれものの、即座にルイズからネタバレされ、どんよりとした気分に陥ったオールド・オスマンだった。
 
 バイスとルイズ、オールド・オスマンを乗せた荷車が、クロに引っ張られて大地を爆走する。
学院の門を守る門番も、あまりにもあまりなクロの速度を目で追えず、さらに巻き上がる砂煙によって、一体何が通過したのかすらわからない状況だった。
 
 
「う、上から見るのと体感するのとでは、全く違うのぅ…。寿命が縮まったわい…」
「後何年生きる気だよ、オスマンジーさん」
 振り落とされまいと荷車にしがみ付きつつ、クロへ目的地までのナビをしていたオールド・オスマンは、すでに満身創痍だった。
 オールド・オスマン、齢300(推定)。寿命とは何なのだろうか。
530機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 00:48:40.84 ID:NfGTzZl0
 
 バイスと一緒に積み込まれていたシャベルで、ちょうどよさそうな場所の土を掘り返すクロとルイズ。
オールド・オスマンも最初は参加していたものの、すぐに足腰に力が入らなくなり、木陰に座って休憩していた。
「あんま無理しなくていいぞ、オスマンジーさん。きちーなら、先に帰ってな」
「うむ、お言葉に甘えるのは吝かではないが…その前に、先程言い忘れた事があるんじゃよ」
「は、はい? な、何でしょうか?」
 慣れない力仕事で、疲労の溜まっているルイズだが、何とか聞き返した。
「猫君の左手に浮かんだというルーンの件じゃ。わしの所にコルベール君から報告があったのじゃよ」
「クロの、ルーン…?」
手は休めず、チラリとクロの左手を見る。今ではミーの左手にも刻まれているが、使い魔召喚の儀式の時は、コルベールも見慣れないルーンだと言っていた。
そして昨晩、タバサと話し合った時にも、結局ルーンの正体を始め、有力な情報は得られなかった。
「うむ。…ミス・ヴァリエールは、始祖ブリミルの使い魔を知っておるかね?」
「え、えぇ、一応は。聖地に降り立った始祖ブリミルは、4人の使い魔を従え、人々に系統魔法を伝えた、と…」
教本通りじゃの、と呟いたオールド・オスマン。腰を叩きながら立ち上がると、ルイズを見据えた。
 
「では、その猫君のルーンが、始祖ブリミルの使い魔と同一だとしたら?」
 
「え…?」
 ルイズの手が止まった。意味が解らない、といった様子でオールド・オスマンを見返している。
「神の左手、ガンダールヴを示すルーンと、猫君のルーン。寸分違わず、同じなのじゃよ」
「い、いやでも、クロはどこにでもいるような普通…とはかけ離れていますけど、猫ですよ? 始祖ブリミルの従えた使い魔が、猫だなんて…」
「伝承など、何の当てにもならぬよ。6000年も経てば、なおさらのぅ」
「だからってそんな…冗談でしょう?」
「冗談なら、わしも気が楽なんじゃがの」
苦笑したオールド・オスマンが、尻に付いた土をパンパンと払う。
 
「まぁ、その辺りの詳細は、引き続きコルベール君に調査を頼んでおる。文献が少なくて苦労しておるようじゃが、何か解れば、また連絡を寄越そう」
「は、はぁ…」
返事はしたが、動揺を隠せないルイズ。そんなルイズの肩をぽんぽんと叩き、オールド・オスマンは杖を取り出した。
「この件は、まだまだ不明な点が多い。猫君のルーンについては、他言無用で頼むぞい」
忘れられれば、それが最善じゃがの、と最後に笑い飛ばし、『フライ』の呪文を唱える。
「では、わしは猫君の好意に甘えて、先に帰らせてもらうわい。この辺りは学院の土地じゃから危険もなかろうが、日が暮れる前には学院に戻るんじゃぞ」
「安心しな。オイラがいりゃ、問題ねーって」
「ほっほっほ、頼もしい限りじゃ」
手をひらひらと振るクロに微笑みかけ、オールド・オスマンは学院へと飛翔した。
見た目は皺だらけだが、さすがは魔法学院の学院長を務めるだけの事はある、すぐに姿が見えなくなってしまった。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:50:16.29 ID:Fn2BGzad
支援
532名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 00:57:50.21 ID:KArYwcf8
支援
533機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 01:11:52.04 ID:NfGTzZl0
さるさんに止められてしまいました…
続きは避難所の代理スレに投稿完了してあります
お騒がせして申し訳ありませんでした
534機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 01:13:43.82 ID:NfGTzZl0
あ、書き込めたのでそのまま投下します!
 
 ガンダールヴの話を聞いて以来、全く動かなくなったルイズを尻目に、クロは黙々と穴を掘った。
そして適当な大きさまで掘り終えると、シャベルを放り投げ、そこにバイスの亡骸を安置した。
「なぁ、ルイズ」
「…え?」
 唐突に名を呼ばれ、ギクリとするルイズ。振り返ると、クロは背を向けて、拾い上げたシャベルで穴を埋めにかかっていた。
「ガン○ム部だかガン○ル部だか知らねぇけど、オイラはオイラ、ミーくんはミーくんだ。それだけは変わらねぇからな」
「…ぷっ」
ぶっきらぼうな宣言に、ルイスは思わず噴出してしまった。
「なっ…笑うこたぁねーだろ!?」
「ガン○ム部とかガン○ル部とか…ガンダールヴよ、ガンダールヴ! だけど…そうよね、アンタはアンタ、ミーはミーなのよね」
「ちょっと横文字に強ぇからって、いい気になりやがって…だけどまぁ、そういうこった」
「うん、アンタたちのルーンがどうでも、気にする事なんてないのよね!」
 固まった顔が、ようやく笑顔を取り戻した。背中越しにその笑顔を見届けたクロも、つられたように笑った。
「うし、それじゃ土埋めるの手伝ってくれや。オイラだけじゃ、日が暮れちまう」
「うんっ」
 いつの間にか取り落としていたシャベルを拾い、ルイズも土を埋め始めた。
 
 
 夕日も半分ほど顔を隠し、辺りは薄暗くなっていた。ようやく作業を完了したルイズとクロは、その場にシャベルを突き刺し、後ろを振り返った。
 そこには、素晴らしい展望が広がっていた。空は澄み渡り、大地は青々とし、魔法学院はその荘厳な姿を夕日に晒し、川は夕日色に染まっている。
まだ明るければ、遥か遠方に、トリスタニアも認められただろう。
 ここは、学院の敷地内にある山である。山と言っても、標高はそれほどではない。歩いてもほんの30分程度で下山出来る程度の、小さな山だ。その頂上付近に、ルイズたちはいた。
「いい眺めね…すごく綺麗…」
 ルイズもクロも、土ですっかりと汚れてしまっている。額の汗を拭うが、余計に汚れが広がってしまった。
 しかし、ルイズの心に不快感はない。土まみれになるなど今までは考えられなかったが、今はそれが充足感の適度なスパイスとなり、より彼女の心を晴れ晴れとさせる。
 
「それじゃ、最後の仕上げだな」
ゆっくりと沈む夕日から目を背け、クロは腹部ハッチからなんでも斬れる剣を抜いた。
「なぁ相棒、ホントにいいのかよ? 言いたかねぇけど、俺よりずっと斬れ味いいじゃねぇか」
「いいんだよ、オイラがこうしてぇんだからな」
腹のデルフの抗議とも説得とも聞こえる声に答えつつ、クロは手にした剣を、地面に突き立てた。
「墓標にしちゃ、ちょいと物騒だけどよ。オイラが、バイスと戦った証だ」
 
 一歩下がり、突き立てられた剣を見つめるクロ。
「あの新世界じゃねぇけど、いい眺めだろ? ようやく使命から開放されたんだ、ゆっくり休みな」
ふと横を見ると、ルイズも片膝を付き、胸の前で手を組んで黙祷を捧げていた。
「…ありがとよ」
壮大な景色に包まれ、静かな時が、流れた。
535機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 01:15:00.00 ID:NfGTzZl0
 
    +     +     +     +     +     +
 
 気が付くと、日はすっかりと暮れていた。夜の闇が辺りを支配している。今頃学院は、フリッグの舞踏会で賑わっている事だろう。
「悪ぃな、ルイズ。せっかくのパーティだってのに、付き合わせちまった」
「いいのよ、私がこうしたかったんだから。さ、帰りましょうか」
クロの謝罪に、優しい笑みを返すルイズ。それに気恥ずかしくなったクロは、言葉を返さぬまま、下山路に歩を進めた。
 しかし、10歩も歩かぬうちに、木の根に足を取られ、見事に転ぶクロ。
「ちょ、ちょっと何してるのよ?」
「な、何でもねーよ!」
すぐに立ち上がって強気に振舞うクロだったが、今度は5歩も歩かないまま、別の木の根に躓いてしまう。
「…く、暗くて足元が見えねぇ…」
これだけ暗くなってしまうと、夜目が利かないクロは大幅に視界が狭くなる。足元も見えない状態では、木の根に躓くのも当然と言えるだろう。
「…ぷっ、あはははは! アンタ、猫なのに夜目が利かなかったの!?」
「わ、悪いかよ! 夜目が利かない猫がいたって、いいじゃねーか!」
ポロっと漏らしたクロの思わぬ弱点に、ルイズは大声を出して笑った。それに、顔を赤くして怒鳴り返すクロ。しかし、いつものような力強さは、ない。
 
「あははは…もう、仕方ないわね、ほら」
「ほら、って…」
 一しきり笑ったルイズが、クロに手を差し出した。その手に、首を傾げるクロ。
「手をつないで歩けば、転んでもすぐに助けられるでしょ?」
「う、そりゃそーだけどよ…」
「グダグダ言わない、さっさと帰るわよ!」
渋々、クロはルイズの手を握った。
 
「ねぇ、さっきオールド・オスマンが、ガンダールヴって言ってたけど」
「あン? まだ気にしてんのか?」
「そうじゃないの。ガンダールヴとか関係なしに、私は、アンタたちが使い魔になってくれて、よかったって思ってるわ」
 下山中にふと立ち止まり、空を見上げる。夜空には数え切れないほどの星が瞬いていた。
「きっと、あの星と同じくらいの数の使い魔が、ハルケギニアのメイジたちに喚び出されたんだろうけど…アンタたちが、その中でも一番の使い魔だって、信じてるわよ」
「…へっ、当たりめーだっての。この世界じゃどうか知らねーけど、オイラたちの世界じゃ――」
直球を投げられ、照れ隠しにそっぽを向いたが、思い直してルイズを見上げるクロ。ルイズも、クロを見つめていた。
「――魔法使いのお供は、黒猫って相場が決まってんだよ」
示し合わせたように、夜の山に、ルイズとクロの笑い声が重なった。
536機械仕掛けの使い魔:2011/05/15(日) 01:17:45.55 ID:NfGTzZl0
以上第15話をもって、フーケ編完結とさせていただきます
 
今後は幕間と称して、本編ではあまり出番のないキャラクターにスポットを当て、
本編とは関係なさそうで関係する、といった感じの短編を2話ほど挟んだ後に、
アルビオン編へ行こうと思います
 
それでは、本日はこれにて失礼致します。フーケ編完結にずいぶん時間がかかってしまいましたが、
今後も引き続きお付き合いいただけると、とてもうれしく思います

最後に、以前さるさん対策として、日付を跨ぐという方法を教えていただきましたが、
それを活かせずにこの体たらく…重ね重ね、お騒がせして申し訳ありませんでした
537名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 01:35:47.74 ID:Vo7szsPM
>>536
日付じゃなくて正時でリセット>さるさん
538名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 01:41:21.74 ID:rcrr1yMR
539名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 07:28:24.64 ID:ut9jhg+P
ガンガル部、乙
540名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 07:44:46.79 ID:Qni4d1LZ
>>466
いやここはやはり、もう一人の魔界医師をオヌヌメするぜ!
兄弟子の方!
541名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 07:59:02.77 ID:aXXFx9te
ゼロ魔を持ち上げる為にクロス先の作品のキャラが不当に能力下げられたり、
無理矢理デルフリンガー持たされたりするのが嫌だ
クロス先の作品のイメージや設定ってのをもっと大事にして欲しい
542名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 08:04:39.98 ID:TD2mrzh+
>>541
「俺の好きな○○が、こんなに××なハズがない!」ってのは、その人個人の感想なので
堂々巡りの不毛な論議にしか なりませんよ
543名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 08:20:53.17 ID:gPBWhoN3
でも、武器持つ必要がない奴にまでデルフ持たせるのが気に入らない、っていうのには同意する。
そういうキャラは大抵ギーシュ戦に武器無しで勝つから、ルイズが「剣を買ってあげる」と言うのにも違和感がある。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 08:57:04.10 ID:egrgen/4
デルフの攻撃力ってダイス何個分だろう?
545名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 08:58:30.96 ID:OA6vEvxm
どういうシステムかによるな…
D&D? T&T? MMとか?
<ダイス
546名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 09:01:32.39 ID:go1k0wGH
>>540
モヒカン、乙
547名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 09:11:33.47 ID:rcrr1yMR
>>545
桃鉄
548ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2011/05/15(日) 11:43:54.07 ID:lembDCnm
一週間ぶりです皆さん。五月もあっというまに半分で、GWがはるか昔のように感じます。
では、ウルトラ5番目の使い魔、44話投稿開始します。今度こそ忍法帖も大丈夫だと思うので、10分後によろしくお願いいたします。
 第四十四話
 大切なもののために
 
 深海怪獣 ピーター 登場
 
 
 エルフの少女ルクシャナの協力を得て、才人たちはティファニアの捕らえられているガリアに向かって旅立った。
 目的地はガリアの、そしてハルケギニアの最辺境の地アーハンブラ。
 そこにガリア王ジョゼフの命を受けたビダーシャルとともにティファニアはいる。
 再び人間に『変化』したルクシャナに案内されて、才人たちは急ぐ。
 ビダーシャルが精製している心身喪失薬によってティファニアの心が奪われるまで、あと十日。
 
「アーハンブラ城ってのは、そんなに遠いのか?」
 学院から旅立って、最初の馬車駅で才人は聞いた。アルビオンにまで旅をしたことはあるけれど、ガリアに行ったことは
まだ一度もない。それはルイズも同じだったので、ガリア出身のタバサが答えた。
「遠い。わたしも行ったことはないけど、ラグドリアン湖とは正反対の位置にあるから簡単にはつけない。馬でいくなら、ざっと
見込んで最低一週間……悪くすれば、九日はかかる」
「それはまずいな。下手をしたら間に合わなくなるぞ」
 思った以上に時間がかかることに、才人はいらだたしげに固いパンを食いちぎった。ガリア国内はトリステインと違い、ルイズや
才人の持っている特権は通用しないので、あまり無理に急ぐことはできそうもない。ルクシャナ一人だけならば、ジョゼフから
発行された通行証ですぐにどこでも行けるけど、ご丁寧に一人分しか有効性がなかった。
 なお、シルフィードで飛んでいこうという考えはキュルケがはじめに言って、タバサに即座に却下された。
「シルフィードはまだ幼体、この人数を乗せたら一時間も飛べない。それに、これから行くのは敵地だということを忘れないで」
 その警告は、ルクシャナを除く全員の胸に深く突き刺さった。
 そう、ガリア王ジョゼフがこの一件の黒幕であるならば、ガリア王国全土が敵地であるということになる。いつどこで、敵襲を
受けるか想像もできない上に、ガリアの官憲も実質敵であると言える。そんなところで、飛び疲れて動けなくなったシルフィードを
抱えて立ち往生するのは自殺行為でしかない。シルフィードの翼は、万一の際に備えて温存しておくべきだった。
「結局、馬を乗り継いで行くしかないってことか」
 楽はできないらしいということに、才人はため息をついた。馬で旅をするのはこれで何度目かになるけれど、地球育ちの才人に
とって馬はいまだに尻が痛くなるので、どうも好きになれないのである。
 しかし、ぜいたくは言ってはいられない。こうしているうちにも、ティファニアは刻一刻と最後のときへと近づいている。それに、
ただ一人で見知らぬ土地で囚われの身となっている彼女のことを思えば、尻の痛みなどは些細な問題だった。
「さて、じゃあそろそろ出発しようぜ。ルイズ、準備はいいのか?」
「問題ないわ。ここの馬を見てきたけど、どれも十分に旅に耐えられそうよ。今から行けば、明日には国境を越えられると思うわ」
「ようし、ならみんな行こうぜ!」
 一行は借り入れた馬に分乗して出発した。ここからは馬車駅を経由しつつ、馬を乗り換えながらアーハンブラを目指すことになる。
 街道をガリアに向かって走り、山を越えて、途中の宿場町で一泊して夜を明かした。
 
 翌日、宿場町を出発した一行はガリアとの国境を目指して街道を南下した。
 馬を疲れさせない程度に走らせ、道草を食ませて休み、途中で会った農家の親父からりんごを買って腹を満たしながら進む。
 そうして国境の関所にまでやってきたときだった。関所の門の前で、一行を思いもかけない人が待っていた。
「ようやく来たね。あんまり遅いもんだから、もう置いていこうかと思ってたところだったよ」
「ミ、ミス・ロングビル! どうしてここに」
 なんと、一行の前に立ちはだかるように、今はオスマン学院長の秘書としてトリスタニアでアンリエッタ姫の結婚式典に参加
しているはずのロングビルがいたのだ。彼女は驚くルイズたちを馬から下ろすと、すぐさま激しい剣幕で怒鳴りつけてきた。
「この大馬鹿トンマのガキども! ティファニアが得体のしれない連中にさらわれたっていうのに、なんで私に教えないんだい!」
「す、すみませんミス・ロングビル! あなたに心配をかけてはいけないと思ったんです!」
 ロングビルはルイズの胸倉をつかんで、足が宙に浮くほど強く引き上げていた。才人が慌てて止めようとしても、「邪魔だよ!」と、
一喝されて相手にもならない。いつもオスマンのそばで地道に事務をしているときの、温厚で知的な雰囲気は微塵も残ってはいなかった。
しかし、なぜロングビルがティファニアがさらわれたことを知っているのだろうか? そのことを恐る恐るたずねると、彼女はルイズを
放り出して吐き捨てるように答えた。
「お前たちがトリステインに連れてきた、ウェストウッドの子供たちが伝えにきてくれたのさ。衛士隊に捕まりそうになりながら、
私がトリスタニアに来てるってことだけを手がかりにして、右も左もわからない土地で泣きながら私の居場所をつきとめて、
「おねえちゃんがさらわれた」って言ってきたときの、あの子たちの顔があんたたちにわかるかい!」
「あ、あの子たちが……」
 ルイズたちは、修道院に預けてきた子供たちがそんなことをしていたのかと愕然とした。まさか、子供たちだけでそこまで無茶を
するなどと考えてもしなかった。いや、子供たちは子供たちなりにティファニアを助けようと必死だったに違いない。
 ロングビルは子供たちから知らせを受けて、大急ぎで学院に向かった。しかしそのときにはすでに一行は出発してしまった後で、
まずは学院の馬の世話係からトリスタニアに向かったことを聞き出した。ついでトリスタニアの馬車駅で、それらしい一行がガリアに
向かったということを聞いて先回りしてきたのだと語った。
「簡単に足取りがつかめた上、先回りしたとはいえ何時間も待たされたあんたらの間抜けさには感謝さえするよ。けどね、あなたらの
うかつのせいでテファに万一のことがあったら、あたしはあんたたちを許さないからね。あまつさえ、自分たちだけで敵地に乗り込もう
なんて身の程知らずにもほどがある。まとめて一網打尽にしてくださいって言ってるようなもんじゃない。どこまでも、自分たちだけで
片付けようなんて、うぬぼれるんじゃないよ!」
 雷鳴すら子守唄に聞こえるようなロングビルの怒声に、才人、ルイズはおろかキュルケすら縮み上がった。
 返す言葉は一つたりとてない。ティファニアがさらわれてしまった原因は、すべて自分たちのうかつさにある。ウェストウッド村に
向かっていたときにもっと警戒していたら、少なくともマグニアに襲われたときに真っ先に事態の異常さを疑っていたら、ティファニアが
さらわれるのを防げた可能性はあったのである。
「ともかく、過ぎてしまったことはもういいわ。ここから先は、私も同行します。問題はないわね」
「そ、それはもう……あなたに協力していただけるのでしたら助かります」
 少し落ち着きを取り戻したロングビルに、ルイズはほっとしながら了承の意を伝えた。実際、ロングビルが協力してくれるとなったら
非常に心強い。元盗賊、土くれのフーケとして裏社会で生きてきた経験は、これからの旅で未知の土地を渡っていく大きな助けになるだろう。
ほかの面々も異存はなく、一行はロングビルを仲間に加えて国境を越えた。
 
 これより先はガリア王国。ルイズの虚無を狙うジョゼフ国王のお膝元。
 
 いよいよ旅はこれからが本番だと、身構える才人たち。一人ずつ別の馬に乗り、どこから襲われてもいいように間隔をとって進む。
特に誰かが言い出したわけではないが、敵地侵入という緊張感が自然とそうさせていた。とはいえ、まだ旅は長いというのに、
これでは気が持たないだろうから、しばらくすればやめるだろう。
 才人はその中で、なにげなく一行の最後尾を歩いていた。そこへ、さきほどの騒ぎをじっと見ていたルクシャナが声をかけてきた。
「あなたたちって、見てておもしろいわね。あなたたちの世界でもハーフエルフは嫌われてるはずなのに、あんなにまで必死になって
助け出そうとする人が、まだいたとは思わなかったわ」
「あんたたちエルフは、肉親や友人がさらわれても平気なのかよ?」
 ロングビルや自分たちの必死さを、まるでどうでもいいことのように言うルクシャナに、才人はやや口調を荒げた。
「そんなことはないと思うわよ。あなたたちは、エルフのことを特殊な生き物と思っているようだけど、実際にはほとんど差はないって
ことが体験してみてわかったわ。生物的にもハーフエルフなんてものができるとおりに、両者はかなり近い。精神文化にしたって、
形は違っても理解しあえないってことはない。こっちではほとんど知られてないようだけど、サハラでは人間とエルフの商人での
取引が普通におこなわれてるのよ」
 あくまで論理的にルクシャナは答えた。しかし才人は、そんな理屈がほしいわけではない。
「そんな建前はどうでもいいんだよ。あんたはたとえば、母親や恋人が敵に連れ去られて平気な顔してられるのか?」
「怒るかもね。私だって、国に母もいるし恋人も待たせてる。恋人のほうはアリィーっていうの、ちょっと怒りっぽくて私の研究に
理解を示してくれない頭の固い男だけど、愛してるわ……ああ、あなたそれで不機嫌そうなのね。でもね、私はどうも情より先に
理屈や研究欲が出てくるタイプなのよね……」
 よくないことだと友人にはよく忠告される。それはわかってるんだけどねと、ルクシャナは苦笑してみせた。
 才人はそんな態度をとるルクシャナがますます不愉快に思えて、目じりにしわをよせて横目で彼女をにらんだ。
「もう一回言っとくけど、ティファニアやルイズに手を出したらただじゃおかねえからな」
「そんな怖い目をしなくたって大丈夫よ。私にだって、良識ってものはあるから。でも、どうしても私を信用できないっていうなら、
あなたも私を観察してみたらどう?」
「おれが、あんたを観察する?」
 思いもかけないことを言われた才人は、うっかり面食らった間抜けな顔をさらしてしまった。
「ふふ、さっきより今の顔のほうがおもしろいわよ。話を戻すけど、あなたと私の間には大きな価値観の差があるのは疑いようも
ないわね。けれど、私は学者だから自分で見て確認してものしか信用しない。あなたも私が敵か味方か、そのことは言葉よりも
あなたの目で確かめて結論を出してみるのがなによりじゃないかしら?」
「いいのかよ? おれがあんたをどう見てるかは、あんたももうわかってるだろ」
「エルフも蛮人も、ひとつ絶対に共通してると断言できることがあるわ。それは、どんな人間であろうと物事を見るときには、必ず
その人なりの善悪の色をつけた色眼鏡を通して判断してる。黄色い眼鏡をかけたら黄色いものは見えなくて、赤い眼鏡をかけたら
赤いものは見えない。あなたの眼鏡の色では私の色は見えないようだけど、眼鏡の色が塗り変わることはよくあるわ」
 それだけ言うと、ルクシャナは自分の乗った馬の横腹を蹴って才人の馬から離れていった。
 残った才人は馬の背で揺られながら、じっとルクシャナが言ったことを考えていた。
 自分が色眼鏡でものを見ているなど、いままで考えたこともなかった。自分の見ている世界に、ルクシャナは映っていない。
その理由はわかる。ルイズやティファニアを人ではなく、研究対象というモノとしか興味をしめしていないあの女が許せないのだ。
 今でも正直にいえばルクシャナは嫌いだ。しかし、自分の見る正義が本当にルクシャナの本質を示しているものなのだろうか?
 あの女は、そう思うのであれば自分を観察してみろと言った。ならば見てやろうじゃないか。最初に思ったとおり、自分の研究欲の
ためであれば人を人とも思わない文字通りの人でなしか、それとも別のなにかであるのか。
 才人はルクシャナの挑戦を受けてたつことを心に決めた。
 
 ガリアに無事に入国を果たした一行は、それぞれの思いを胸に旅を続ける。
「ここがガリア王国か。ようしシェフィールドめ、矢でも鉄砲でも持ってきやがれってんだ!」
 今でもどこかでこちらを見張っているかもしれないシェフィールドに向かって、才人は思いっきり叫んでやった。ガリアに自分たちが
入ったことを知れば、ティファニアを救出しにきたということは子供でもわかるだろう。でなくとも、ルイズの虚無の力を狙っているのだ。
有形無形、どんな方法で妨害してくるか知れない。
 しかし、ここまで来たら、もう引き返すことはできない。一行は勇躍してガリアの領内奥深くへと足を踏み入れていった。
 ところが、懸念していたジョゼフからの攻撃もなく、拍子抜けするほど平穏に旅は続いた。わずかにひやっとしたことといえば、
パトロール中のガリアの官憲に呼び止められることくらいである。それも、ロングビルやキュルケの機転で切り抜けて、怪しまれる
こともなく一行は町や村を通り過ぎることができた。
「何も起きないな。もしかして、奴らティファニアをさらったことで満足して、おれたちがガリアに入ったことに気づいてないんじゃないか?」
「それは十中八九ないと思うわよ。わたしたちに一切感づかれずに見張ってて、ここぞというときに先んじてティファニアをさらったほど
抜け目ないやつらが、私たちをノーマークなんて間抜けすぎる」
 なんの妨害もない旅路に、思わず口からでた楽観を、才人はルイズにぴしゃりと否定されてしまった。相手は虚無の担い手を
探すために、怪獣を使って街ひとつつぶそうとした相手、せっかく見つけたルイズという担い手をそうそうあきらめるはずはない。
「ジョゼフとかいう野郎、いったいなにを企んでるんだろう。それにしても、いったいどうやって人間が怪獣を操ってるんだろうな?」
 実際、それこそが現在才人たちを悩ませている最大の謎だった。ラ・ロシュールを襲ったやつに、ウェストウッド村に現れたやつ。
ジョゼフは間違いなく怪獣を使役する術を持っていて、しかも一匹や二匹の単位ではない。普通の人間にはそんなことは絶対に
不可能、現代の地球の科学力をもってしても無理だ。
 ルイズも首をかしげて、「さあ、見当もつかないわ……」と言うしかない。相手が人間であるというのに、謎だらけであるということが、
ヤプールとは違った形での不気味さを彼らに覚えさせていた。
 だが、今はなによりもティファニアの救出こそが第一である。ジョゼフがなにを企んでいるにしろ、襲ってくるなら迎え撃つのみ。
謎もそのたびにしだいに解けていくだろう。
 
 いつ襲われてもよいように、最低限の警戒だけは忘れずに一行は進む。
 
 途中のいくつかの関所や検問を通る際も、やはり手配などはされていないらしく容易に通り抜けることができた。中にははしこく、
旅人に難癖をつけて金をせびり取ろうとする小役人のいる場所もあったけれど、適当な賄賂を渡すとあっさりと通してくれた。
どうやら、ガリアもそんなに国政がしっかりしているわけではないようである。
 また、先を急ぐ上で、思ったとおりにロングビルの昔の経験が一行の助けとなった。
 一日目から二日目は街道の宿場町で宿をとり、三日目からはロングビルの誘いで街道を外れて山道に入った。
「このさびしい道が、近道だっていうんですか?」
「ええ、地元の人間くらいしか知らない裏道だけど、表街道を行くより半日は早くなるはずよ」
 地図にない道を知っているロングビルのおかげで、当初予定していたよりもかなりショートカットすることができた。むろん、
これは彼女が昔ガリアで『お勤め』をしていたころに身に着けた知識である。貴族に恨みを持っていたとはいえ、ティファニアと
子供たちを養うために誇りを捨てて得た経験が、こうしてティファニアを救うためにまた役立つとは、ロングビルは運命の皮肉を
感じずにはいられなかった。
 しかし、ガリアに入ってから五日が過ぎたころには、裏道を通ったことで距離と時間がかなり稼げていた。
 懸念していたジョゼフからの攻撃も相変わらずなく、ロングビルによると明日にはアーハンブラの地方にたどり着けるという。
 ただ、砂漠に近づくにつれて宿場町なども少なくなり、人間の気配も目に見えてなくなっていった。
 これより先は人間の侵入をこばむエルフの世界。そこに近づいているという実感が、一行の心臓の鼓動を高鳴らせる。
 
 そして、五日目の夜。もうアーハンブラ城まではひとつも町や村はないという山中で日暮れを迎えた一行は、森の中に
テントを張って夜営を行っていた。
「おい、焚き木を拾ってきたぞ。こんなもんでいいか?」
「ごくろうさま。そのへんに積んでおいて、もうすぐ夕食ができるってさ」
 高さ三十メートルはあろうかという、杉によく似た木が天を突く森の中に、小枝を燃やす焚き火の灯りが揺れていた。
火の番をしているキュルケの隣に集めてきた木の束を置くと、才人は椅子の代わりの丸太に腰を下ろした。長旅の疲れからか、
キュルケは特に話しかけてこずに、ひざを抱いて座ったままぼんやりと焚き火の炎を眺めている。
”きれいだな”
 焚き火の灯りに照らされたキュルケの横顔を見て、才人はふとそう感じた。彼女の燃えるような赤い髪と合わさって、
一枚の絵画のようによく映える。ルイズの魅力をかわいいと表現すれば、彼女の場合は美しいという言葉こそがふさわしい。
 少しの間だけ見とれると、才人はざっと周りを見渡した。少し離れたところでは、ロングビルがナイフを使って簡単な夜食を
作ってくれている。もともとティファニアに料理を教えたのは彼女だけはあるので、手際は見事なものだ。
 目を遠くにやれば、タバサが見張りをしてくれている。ルイズは二件建っているテントの隣で、三つ目のテントと悪戦苦闘している。
おれが建てるから休んでろと言ったら、それくらいわたしにだってできるんだからと取り上げられてしまった。才人はそういう
負けず嫌いなところがかわいいんだがなと思ったが、このままだと寝床がゴミにされてしまいかねない。
「あいつは少しは自分の不器用さを自覚したほうがいいんだがな」
 頭のよさと手先の器用さは比例しない。つい最近、ルイズが編み物が趣味であることを部屋の中で毛糸をいじっているのを
見かけて知った。とはいえ、意外と女の子らしいところもあるなと感心したのもつかの間、編み物針の中でこんがらがっている
つぶれたクラゲのような物体が目に入ると、声をかけないのが優しさだなと思ってそのまま立ち去った。
 ルクシャナの姿は見えない。代わりにテントのひとつからランプの明かりが漏れてくるところから、旅のあいだに見聞きしたものを
日記にまとめているのかもしれない。
 夕食ができるまでには、もう少し間がありそうだ。才人は焚き火の番はキュルケにまかせて、ルイズを手伝おうかと立ち上がった。
ところが、ルイズに声をかけようとしたとき、急にきつく呼び止められた。
「ちょっと平民、待ちなさい」
「う……ルイズの、お姉さん」
 思春期の少年なら、女性に声をかけられるのは歓迎ものであるが例外もある。いやな感じを半分顔に出して振り向くと、そこには
眼鏡を鈍く輝かせて、やや乱れた金髪を顔にかけた女性が、口元を鋭く結んで立っていた。
「ずいぶん迷惑そうな顔をしてくれるわね。私に声をかけられたことが、そんなに不愉快だったのかしら?」
「あっいえ! そんなことはないです。これはちょっと、立ちくらみしちゃっただけで」
 エレオノールの、ねずみを前にした猫のような視線に、才人は慌てて弁解をいれた。
 今回の旅で、一番意外であったのはエレオノールが同行を申し出てきたことだろう。ガリアに向かうことが決まったとき、
アルビオンのときと同じくエレオノールはトリステインに残るものとみな思った。なにせ、見知らぬ土地で身分を隠してのつらい旅と
なることは明白である。ところが、彼女はいやがるどころか当たり前のように旅に同行してきたのである。
 ただ、ルイズたちと違い『貴族は平民の上に立つもの』という意識が強固なエレオノールを才人は敬遠し、旅の途中もほとんど
話すことはなかった。むろん、エレオノールのほうも才人を意識的に無視してきたところがある。なのに今になって何の用かと
怪訝な表情をする才人に、エレオノールは人差し指を立てて、自分のほうへ招くしぐさをしてみせた。
「ちょっと顔を貸しなさい」
「拒否権は……ないですよね」
 なにせ、あのルイズのお姉さんなのだ。逆らうだけいらない生傷が増えるだけだと黙って従った。
 招かれるまま行くと、エレオノールはキャンプからやや離れた森の中で、『サイレント』の魔法を使って周辺の音を消した。
「これでいいわね。さて、平民、少し話があるからよく聞きなさい」
 やはり面倒なことだなと、才人はいやな予感が当たったことに内心でげっそりした。大方、ルイズと付き合うことに関して
あれこれと言ってくるのだろう。そう考えた才人は、これまでの不満もあって声を荒げた。
「その前に、平民ってぽんと呼ぶのはやめてもらえますか?」
「あら、生意気なことを言うわね。平民を平民と呼んで、なにか悪いの?」
「腹が立つんだよ。おれにだって、親父がつけてくれた名前があるんだ。あんたは自分の名前が人に勝手に変えられても平気なのかよ?」
 まっこうから睨み付けてくる才人に、エレオノールは一瞬杖を取り出すしぐさをした。しかし、才人が動じないのを確認すると、
手の甲で眼鏡を押し上げて苦笑した。
「なよなよした見てくれの割には、度胸があるようね」
「ルイズと付き合ってれば、いやでもそうなっていきますって」
「なるほど、言われてみればそのとおりかもね。サイト・ヒラガだっけ? その度胸に免じて、無礼は見なかったことにするわ」
 相変わらず居丈高だが、とりあえず自分の名前を覚えていてくれたことには感謝して、才人も肩の力を抜いた。
「それで、わざわざみんなから離れて、なんのお話ですか?」
「その前に、前提として尋ねておくけど、今現在ヴァリエールの家系以外で、ルイズともっとも親しい人間はあなたと思っていいのね?」
「は?」
 突然の斜め上からの質問に、意表を突かれた才人は目をしばたたかせた。しかし、エレオノールはまじめな顔で問い詰めてくる。
よくわからないけれど、一応自分とルイズは恋人宣言もしてしまっている。そのことで文句をつけてくるにしても、いいえといえば
それを口実に攻めてくるだろう。才人は「はい」と答えた。
「そう……ただの平民のくせして……いえ、そのことはまた別の機会で話しましょう。もう一つ聞くけど、旅に出る前にルクシャナが
私にアカデミーの研究資料を持ってきたのを覚えてる?」
「はい、それがなに……あっ!」
「思い出したようね。そう、あのとき彼女が持ってきたものは虚無に関連するもの。ルクシャナがエルフだったどさくさで、すっかり
みんな忘れてるようだけど、この資料にはアカデミーが虚無に関して調べた情報の詳細が記されてるわ」
 エレオノールは懐から、羊皮紙五枚ほどのレポート用紙を取り出した。才人から見える裏側には、王立アカデミー発行であることを
証明する印がついている。彼女はそれを手の中で扇のようにあおぐと、才人に差し出した。しかし、才人がトリステインの文字を
読めないために断ると、ため息をついて仕方無げに説明した。
「本当はアカデミーの機密事項なんだけどね。トリスタニアの近郊で、先日古代の遺跡が発掘されたの」
「はい」
 古代遺跡と聞いて、才人は先日のアボラス・バニラの事件のことを思い出した。心の中で、なるほどミイラ人間やドドンゴが
眠っていたあそこなら、その可能性はあると思っていた。ただし、コルベールから存在自体は聞いていたものの、さすがに
アカデミーに口を出すのは怖かったのでそのままにしていた。
 エレオノールは遺跡の発見にいたる経緯や、発掘された遺物について簡単に説明し、その遺跡が始祖ブリミルの生きた
六千年前に建造されたもので間違いないと告げた。なぜなら、遺跡に残されていた碑文を解読した結果、そこにはまぎれもなく
始祖ブリミルの名が刻まれており、彼がそこで戦った記録、すなわち虚無のことも残されていたのだ。
 だが、エレオノールはそこでいったん説明を切った。そして、ごくりとつばを飲み、神妙な顔になった才人に、レポートを片手に
問いかけた。
「このことはまだルイズには言ってないわ。どういう意味だか、わかる?」
「なにか、危険なことが記されていたとか……?」
 才人の心音が少しずつ高くなっていく。エレオノールは才人の答えにはっきりとうなづくと、自分自身にも言い聞かせるように
レポートの一枚目をめくった。
「実を言うと、あまりにも非常識な内容なんで、私自身も信じきっているわけじゃないわ。けれど、虚無の担い手になってしまった
ルイズにはいつか伝えなければいけないし、知ることになるかもしれない。そのときに大きく傷ついて、とまどうかもしれない
あの子を支えてあげられるのは、ルイズとつねにいっしょにいるあなたしかいないのよ」
 だから、ルイズよりも先にあなたに虚無の秘密を伝える。心の準備を整えていてもらうためにね。
 エレオノールは才人の決意をうながすと、ヴァレリーが解読した遺跡の碑文を読み上げ始めた。
 それは、六千年前の戦争のこと。ハルケギニアからサハラにいたるまで、世界のすべてとそこに住む生き物を巻き込んだ戦いの記録。
 かつて始祖の祈祷書から見せられたビジョンのとおりの歴史が、エレオノールの口から語られた。
 
 そして、悪魔の光の出現によって混迷と化していく世界。あのビジョンや、ミイラに見せられた記憶では語られなかった部分に
話が及んできた。
「ここから先が本題よ。覚悟して聞きなさい」
「はいっ」
 やはり、見せられなかった空白の場所にこそ重要な何かが起きたのだ。才人は無意識に左胸に手のひらをあて、鼓動の
高鳴りを抑えようと試みた。ミイラ人間に見せられた記憶によれば、追い詰められたブリミルはそこで禁じ手とされていた、
ある方法をとることを選んだはずだ。エレオノールの読むレポートも、すでに最後の一枚になっている。彼女は、そこに記された
未知の歴史、すなわち始祖ブリミルと虚無の秘密に迫る記録を、自らも一度呼吸を整えてから一気に読み上げた。
 刹那……最大まで高鳴っていた才人の鼓動は、心停止の一歩手前まで下降させられた。
「そんな……バカな!」
 吐き気を抑え、ようやく搾り出した言葉は、今聞いたことを全否定する悲鳴であった。エレオノールもあえてそれを止めようとはしない。
それほどまでに、エレオノールが語った空白の時間の記録は、才人にとってもエレオノールにとっても衝撃的かつ、信じがたいものであった。
ブリミルが選んだ禁断の虚無の最終魔法と、それが招いた破局の運命。
「こんなのでたらめだ! ありっこない。きっと解読が間違ってるんだ」
「それは絶対にないわよ。これを解読したヴァレリーは、アカデミーでも三本の指に入る才女。彼女の優秀さは、私が誇りにかけて
保障する。これは、間違いなく碑文の真実そのものよ」
 才人の否定をエレオノールは否定した。アカデミーには選りすぐりの優秀な学者が揃っているが、ヴァレリーほど才覚のあるものは
自分も含めてほとんどいない。本業はポーション開発であっても、古代の書物を読み解く必要から語学の知識にも精通している。
 ただ、そんな説明をされなくても才人にも碑文の正しさはわかっていた。空白の期間にいたるまでの内容は、自分たちが見た
ビジョンのものと完全に一致する。空白の期間だけが間違っているなど、そんな都合のいいことはありえない。しかし、そうして
一種の現実逃避に向かっても仕方がないだけの衝撃さが、碑文の内容にはあった。
「記録はここまでで、あとは遺跡の崩落で完全に破壊されて再生は不可能だったそうよ。もし、世界に再び危機が迫っているなら
この歴史が再現される可能性もあるわ。いえ、むしろ再現させるために虚無が目覚め始めたと考えるほうが理にかなっているわ」
「ありえねえよ。ブリミルが、そんなとんでもねえことをしようとしたなんて……それで、ガンダールヴと……」
 才人は最後の部分を言葉にしようとしたが、それが音に変わることはなかった。
 始祖ブリミル……ビジョンで見たのは、小柄などこにでもいそうな青年だった。ガンダールヴ……名前は知らないけれど、
エルフの美しい女性であったことを覚えている。凶暴な怪獣軍団を相手に力を合わせて戦っていた。それこそ、現代の自分と
ルイズのように。なのに、碑文はビジョンからはまったく想像もできないような記録を残していた。
「まさか、その禁じ手の魔法が、そこまで恐ろしいものだったなんて……いや、まてよ!」
 才人はそこで、碑文の内容と自分たちの見たビジョンの内容の矛盾に気がついた。
「どうしたの?」
「あっ、いえなんでも」
 祈祷書やミイラのビジョンのことはエレオノールには伝えていないので、才人はごまかした。
 だが、心中では気づいてしまった大きすぎる矛盾のことが離れない。碑文の内容が正しいとすれば、この時点で始祖ブリミルたちの
歴史は終わってしまっているはずだ。なのに、ミイラ人間はブリミルとガンダールヴが、”その後”も仲間として戦っている場所に
居合わせている。これはいったいどういうことだ?
 決定的に矛盾する二つの出来事が、ともに真実だとすれば、両者をつなぐ間にはさらに何があったのだ? 空白の歴史の、
さらに空白の期間に、すべてを解き明かす答えがあるような気がする。才人は考えてみたものの、それこそカラスを孔雀に変える
ような突拍子もない話である。とても想像の及ぶ領域ではなかった。
「あなた、なにか心当たりがあるなら言いなさいよ」
「違いますよ。あんまりのことでパニくってて、頭の中が整理つかないだけです。でも、ひとつだけ確信を持てることはあります」
「聞くわ」
「お姉さんは、歴史が再現されるかもって言ったけど、それは違うと思う。わざわざいろんな形で未来に記録を残したってことは、
自分たちと同じ道を子孫に歩んでほしくなかったからじゃないですか」
 歴史が再現されるかもと聞かされたときから、才人は絶対にそうはさせるかと決意していた。世界の危機が訪れたとき、
ルイズが担い手になったのが虚無に選ばれた運命だったとしても、そんなものに黙って従ってやる義理はない。それに、
ブリミルだって、子孫に悲しい思いをさせたくないから、始祖の祈祷書にあれだけ念入りな封印をしていたのだろう。
「直接会ったことはないけど、ブリミルって人はいい人だったと思いますよ。ルイズが読んだ祈祷書の前文じゃ、子孫に使命を
たくさなきゃならないすまなさがにじみ出てきてました。それに、過去がどうあれ、おれはなにがあってもルイズを傷つけるような
ことはしない。それだけは間違いねえ」
 エレオノールは、才人の決意を聞き届けると、自分も不安を吐き出すようにため息をついた。そして、レポートを懐にしまうと、
才人に告げたのだ。
「わかったわ。あなた、ほんとにルイズのことが好きなのね」
「はい」
「即答したわね。由緒あるヴァリエールの娘にたかが平民の男が……ルイズにしたって、こんなのの……まあいいわ。私が
どうこう言おうと考えを変える気はないんでしょう。その頑固さだけは認めてあげるわ。死ぬ気でルイズを守りなさいよ」
「はいっ!」
 再び即答した才人に、エレオノールは苦笑した。口の中で、才人に聞こえないように「どうしてこの程度の男が社交界には
いないのよ」とつぶやく。と、そのとき木の陰ごしに、ルイズがまわりになにやら叫びながら歩いてくるのが見えた。どうやら、
長話がすぎて探しに来たらしい。エレオノールは今日はここまでねと、才人の額を指先で鋭く指すと宣告した。
「ただ、勘違いするんじゃないわよ。ものには優先順位というものがあって、今回はルイズの安全が最優先されただけ。私は
そこらの平民がラ・ヴァリエールの娘をたぶらかしたなんて、天地がひっくり返っても許すつもりはありませんからね」
 サイレントが解除され、ルイズの自分たちの呼ぶ声が耳に入ってくる。エレオノールはきびすを返し、才人はごくりとつばを飲み、
エレオノールの剣幕の恐ろしさに戦慄しながら後を追った。
 
 キャンプに戻り、夕食が過ぎ、夜はふけていく。
「明日はいよいよアーハンブラよ。交代で見張りを立てて、今日は早く寝ましょう」
 ロングビルの提言で、腹を満たした一行は睡魔に従って床に入った。キュルケとルクシャナのテントから灯りが消え、
ロングビルにタバサが眠るテントも暗くなる。そして、ルイズと才人の崩れかけのテントから灯が消えると、あたりは獣避けの
焚き火の音を残して静寂に包まれた。
 
 見張りは二時間交代で、まずはエレオノールが預かって、次に才人が代わった。
 何事もなく時間は過ぎて、森の中は時間が停止したかのように変わらない。
 才人はやがて、焚き火に薪をくべるだけの単純作業にも飽きてまどろんでくる。肩を叩かれて、交代の時間を告げられたときには
半分眠ってしまっていた。
「交代」
「わっ! タバサか……いけねえ居眠りしてたぜ」
「疲れてる……もう寝たほうがいい」
「そうするか……じゃあ悪いが頼む……ふわぁぁ……」
 大きなあくびをすると、才人はテントの中へと帰っていった。
 残ったタバサは、焚き火にまきをくべると、さっきまで才人が座っていた丸太の上に腰を下ろした。
 それからしばらく、タバサは人形のようにじっと動かず、揺れる炎を見つめていた。
 だが、一時間ほど過ぎたころ、タバサは突然立ち上がるとキャンプを後にした。
 森の奥へと足を踏み入れ、油断なく周りを警戒する。
 すると……森の闇の中から、枯れ葉を踏みつける乾いた音が少しずつ近づいてきた。
「こんばんわ、お嬢さん。こんな夜更けに女の子が一人で出歩くなんて、無用心じゃない」
 現れた人影は、言葉の内容とは裏腹に、せせら笑うような口調でタバサに言った。
 夜の森の中で、口元だけが浮かんでいるような黒いローブをまとった女は、いまや見慣れた姿になってしまった。
 シェフィールドは、タバサの敵意に満ちた視線をなんでもないことのように近づいてくると、フードをずらしてタバサに目元までを見せた。
「さすが、北花壇騎士髄一の使い手と呼ばれるだけのことはあるね。私の気配に気づくなんて」
「……最初から、ずっと見張ってたくせに」
「あら、やっぱり気がついていたの。それは失礼したわね。ふふふ……」
 シェフィールドは、タバサの指摘にもまるで動じた様子を見せない。
「いつでも襲撃してこれたのに、どうして放置しておいたの?」
「ふふ、あのお方はお優しいお方だからね。すぐに希望を絶ってはかわいそうだと思われたのよ。あなたのことも、ちゃんと褒めて
おいでだったわよ。見張っているのには気づいているはずなのに、それを誰にも言わずに黙ってたんだから」
 優しげな声で、まるで珍しい虫を見つけてきた幼児を褒めるように言うシェフィールドを、タバサは眼鏡の奥の瞳を怒りで燃え
上がらせて睨み上げる。しかし、シェフィールドはタバサから決して手を出されないと確信しているように、薄ら笑いをやめない。
「でもね。そろそろ近づけるのも限界、あきらめてもらわなきゃいけないのよ。けど、下手に武力を使って虚無を損なっては大変だわ。
そこで、あなたにもうひと働きしてもらうことにしたってわけ」
 シェフィールドは、タバサに赤と青の液体の入った二つの小瓶を手渡した。
「明日の朝食に、虚無の娘とエルフの食べるぶんに赤い薬を混ぜなさい。ほかの連中には青い薬よ。あなたの腕前なら、
気づかれずにそれくらいできるでしょう?」
「なんの薬?」
「赤い薬は、単なる睡眠薬よ。ぐっすりと眠らせて、あとは簡単に主のもとにご招待できるってわけ」
「青い薬は……?」
 尋ねられたシェフィールドの瞳が、死に掛けた小動物を見つけた肉食獣のような光を宿した。
「虚無と先住の力以外を、あのお方は所望しておられないわ。不要な駒など、ゲームを楽しむうえで邪魔にしかならないでしょう」
 タバサの喉から、声にならない悲鳴が漏れた。体中の血液が沸騰し、歯が自らをも砕くのではないかと思うくらいに強く噛み締められる。
 あらかじめ聞く覚悟をしていなかったら、間違いなく激発して魔法を放っていただろう。シェフィールドは、そんなタバサの反応を
楽しむように、彼女の耳元でゆっくりと最後の宣告をした。
「まさか、天下の北花壇騎士さまが、知り合いだからって私情をはさんだりしないわよね? わかってるわよね。この任務に
成功すれば、母親の心を取り戻せるのよ……でも、もし飼い犬が主人に逆らうようなことがあれば……オルレアン公邸で
ふせってる母君の身に、なにが起こっても知らないわよ?」
 シェフィールドの姿は闇に溶け込むように消えていき、あとには身動き一つできずに立ち尽くしているタバサ一人が残された。
 まるで、すべてが夢であったかのような現実感のない時間だった……しかし、手のひらの中に残っている二つの小瓶の冷たさが、
確かに現実のものであると主張してくる。タバサは、それを思い切り地面に叩きつけたい欲求に駆られたが、どうしても腕を
振り下ろすことができずに、一人でうずくまって泣いた。
 
 時間は平等に流れ、星空はハルケギニアのすべてを見下ろしている。住民が消え、沈黙の街と化したアーハンブラも
それは例外ではない。
 かつて、人間とエルフの血みどろの死闘の場となった古城には、砂漠の物悲しい風が吹きつける。エルフの寿命すら遠く
及ばないほど、この地の歴史を見守ってきた城は、生き物たちの果てしない愚行をあざ笑うかのように、千年この地にあり続けてきた。
 しかし、この夜だけはアーハンブラは愚かしい歴史を忘れた、安らいだ眠りに身を任せていた。
 
”神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾”
 
”神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛”
 
”神の頭脳はミョズニトニルン。知恵の塊、神の本”
 
”そして、最後にもうひとり……記すことさえはばかれる……”
 
”四人のしもべを従えて、我はこの地にやってきた……”
 
 優しげなハープの音色とともに、人間とエルフの両方の血を引く娘の歌声が星空に吸い込まれていく。
 城の中庭にある池のほとりに腰を下ろしたティファニアは、うっすらと涙を流しながらハープを奏でていた。
 母の故郷、エルフの地は目の前だというのに、その距離はアルビオンよりも遠い。
 幼い日、忘却の魔法とともに知ったこの歌は、意味はわからなくても、ティファニアを懐かしい感じのする世界へといざなってくれた。
 しかし今は、懐かしさよりも同族に心を奪われようとしている悲しさが心を満たしてくる。
 ビダーシャルは、明日には私の連れが来る。薬の完成が早まるかもしれんが、悪く思わないでくれと言っていた。
 あと何回、この星空を見上げることができるのだろうか……
 
 悲しくも美しい音色を聞きながら、今の彼女の唯一の友達は池の中から顔だけを覗かせて見守っていた。
 
 
 続く
561ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc :2011/05/15(日) 12:09:05.15 ID:lembDCnm
ティファニア奪還編スタートしました。
それで、やっぱりこの人を欠いてはいけないと思いましたのでロングビルさんを登場させました。
今作ではホタルンガとの戦い以来裏方でしたけど、久しぶりにメインで活躍させられそうです。
そういえばこの物語もけっこう続きましたね。並行して集めているウルトラマン・オフィシャル・データファイルももう十冊を超えました。
ゼロ魔も、読み始めたころは12巻までだったのですが、今では本棚のスペースひとつを埋め尽くすくらい。あらためて、二つの
作品の広大な世界観には恐れ入ります。これからも、三つ目の世界を楽しみながら書いていこうと思います。
では、また来週(ウルトラQ風に)
562名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 12:27:40.54 ID:FVUXjCaU
牙狼が新テレビシリーズ放送決定か
563名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 13:33:43.17 ID:GhVNLHzu
>>459
あれの続編は出ないのかねー
564名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 13:34:27.35 ID:rcrr1yMR
ウルトラ乙
565名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 14:38:53.37 ID:7ZalprhZ
どなたか擬似人格R-35を使用した刹那・F・セイエイを…
566名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 14:47:17.93 ID:U7v8Q5gr
俺とお前の大二郎クル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!??
567名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 14:47:45.90 ID:U7v8Q5gr
おk、誤爆した
568名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 14:55:08.27 ID:RHgXYL81
ど、何処と?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 15:00:23.05 ID:U7v8Q5gr
>>568
野球ch

小ネタでローマ教皇のベネディクト16世を召還
顔が怖くてマリコリヌは失禁しそうだな
570ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:09:04.38 ID:EOJUbr0p
みなさん、お久しぶりです。
第4話が完成したので
誰も投稿しないようなら5分後に投稿したいと思います
571ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:14:14.85 ID:EOJUbr0p
ゼロと魔王 第4話 決闘! 前編



ラハールが目を覚ますと、すでに朝であった。
ベットにはルイズが昨日の格好のまま寝ているあたり、ルイズもずっと寝ていたらしい。

「少しだけのつもりが・・・まあいい」

そう言うと、窓を開けそこからマフラーを使って飛んでみた。

「一応飛ぶことはできるのか、まあそこまでスピードは出ないみたいだが・・・飛べるだけマシか、マフラーからの力の供給もほとんどないしな」

ラハールは人間と悪魔のハーフであるため自分の羽を持っていない、そのためマフラーをいつも身に着けている。
ちなみにこのマフラー、防御としても使える上に身に着けている者に一定の力を供給してくれるすぐれものである。
もっとも、すぐに主であるラハールに戻ろうとするため、他人が装着することは基本無理であるが・・・ちなみに元は普通のマフラーだった。
適当に魔法学院の上空を少し旋回していると、青い物体が地上に見えたため降りてみる。

「ん?よく見るとドラゴンではないか、なぜこんな所にいるのだ?」

魔界に住んでいるラハールにとっては、ドラゴンなんてものは珍しくもなんともないが、人間が住んでいる所に普通に寝ているので少し疑問に思った。
そんな風に思っていると、ドラゴンが起きてきた。

「フワァ〜、よく寝たのね。しかし、あのちびすけときたら、韻竜であるこの私にその辺で寝ろなんて・・・今思い出しただけでも腹が立ってきたのね」
(しゃべるドラゴンということは、かなり高位のドラゴンということか?・・・だが、あまり強そうではないな)

魔界でもしゃべるドラゴンというのは高位のドラゴンだけなので、とても珍しい。
あまり強くないというのは確かだが・・・

「でも、昨日のあの人怖かったのね。私の直感があれには逆らうなと言っていたのね」
「誰の事だ?」
「きゅい!?昨日の人なのね!?やめてなのね、私は食べてもおいしくないのね!」
「何を言っておるのだ?」

ラハールの事を本気で怖がっているみたいだが、昨日上空にこの韻竜がいたことを知らないため、ラハールはなぜ怖がられているのか分からない。

「え?食べないのね?」
「なんだ?食べてほしいのか?」
「絶対に遠慮するのね!」

ラハールはここまで話して、少し失敗したと思った。
相手が怖がっていたのなら、脅してやればよかったかと思ったからだ。
まあ、今となっては無駄と判断し少し会話してみる事にした。

「なぜお前はこんな所にいるのだ?」
「私は、とあるちびすけに召喚されて使い魔にされたからなのね」

召喚されて使い魔にされたという点で少し親近感を得たラハールであったが、そんな事は口がさけても言えないので、適当に思った事を聞いてみた。

「この世界のドラゴンはお前のようにしゃべるのか?」
「そんな事は無いのね!しゃべれるのは韻竜だけなのね!きゅい!その辺の竜種と一緒にされたら迷惑なのね!」
572ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:17:00.41 ID:EOJUbr0p
どうやら、この世界でもしゃべる竜というのは珍しいらしい。

「あ!私はしゃべったらいけないって言われてたのね!」
「いや、もう遅いだろ。しかし、なぜしゃべってはいけないのだ?」
「韻竜というのは、すでに絶滅していると人間が思っているかららしいのね。それがバレたら面倒な事になるからしゃべるなって言われているのね」
「オレ様の前ではすでにしゃべっておるが?まあ、オレ様は人間ではないがな」
「だから、この事は黙っておいてほしいのね。なんだかんだで、あのちびすけ相当怖いのね」
「それは構わんが・・・そのちびすけというのは誰だ?」
「私も召喚されて使い魔にされたばかりだからよく知らないきゅい、でもものすごく悲しい瞳をしていたのね」
「ほ〜・・・まあ、どうでもいい事だな」
「私からしたら、これから使い魔として一生を付いて行かないといけないからどうでもいい事じゃないのね」

まあ、ラハールとしては使い魔になったからといって、ルイズに一生付いていくなんて事をするつもりはない。
ラハールは絶対にそう思っていないが、同等に扱うことはしても、下につくのはそれこそ死んでもないだろう。

「そういえば、お前の名前はなんなのだ?」
「イルククゥなのね」
「そうか、オレ様は魔王ラハール様だ」
「ま、魔王!そんなものが本当にいたの!?きゅい!」
「ん?お前達の中で一番偉いのは魔王ではないのか?」
「魔王なんて、お話の中でしかいないのね!」

どうやらこの世界では、悪魔=ドラゴンではないようだ。
つまり、この世界の奴らを屈服させればオレ様が・・・と考えたが面倒そうなのと今の自分の力を考えてやめた。
そう考えた所で、人間が何か言いながらこっちに来ている。

「そ、そこのぼく、それは竜といってとっても危ないの、だからこっちにきなさい」

それは、やや長めのボブカットにした黒い髪と瞳を持ち、少し低い鼻とそばかすがチャームポイントのメイドであった。
だが、ラハールにとって竜は怖くもなんともない。
それどころか、メイドの方がラハールにとっては怖いのである。

「ま、待て、それ以上近づくな」
「いいから!早くこっちに来なさい」
「ええい!近づくなと言っておろうが!」
「だから、竜は危険だと言っているでしょう!」
「だから!近づくなと言っておる!」

ラハールには最大の弱点が2つ存在する。
1つは、愛や前向きな言葉(最近ではプリニーが言った程度ではどうにもならない)
もう1つは、体がムチムチした奴だ。(昔のトラウマが原因)
メイドは一見するとあまりなさそうに見えるが、胸に関しては敏感なラハールはメイドが結構な胸を持っていると即座に判断した。
だが、そんな事をこのメイドが知るはずも無いため竜から引き離そうと近づいてくる。

「いいこだからこっちに来なさい!」
「いいから!オレ様に近づくな!」

そうこうしている内に、逃げるラハールをメイドが追いかける始末である。
その様子を見ていて、イルククゥは呆れていた。
メイドにその辺の竜扱いされてムカついたが、ラハールとメイドとのやり取りを聞いていてアホらしくなったのである。
最終的にイルククゥが空気を読んでどこかへ飛んで行くほどであった。
573ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:17:46.37 ID:EOJUbr0p
「こっちに・・・ってあら?竜が・・・」

竜が飛んで行ったことに気が付いたメイドは、ラハールを追いかけるのをやめた。
メイドが追いかけるのをやめたのを見て、ラハールも逃げるのをやめた。

「ハァ〜、まったくひどい目に遭ったぞ・・・」

脅威が去ったと思ったラハールだったが、メイドは近づいてきてこう言ってきた。

「大丈夫だった?怪我はない?」
「だから近づくなと言っておるだろうが!」
「なぜ?」
「オレ様はお前のようなムチムチした奴が大嫌いなのだ!」

メイドは少し驚いた、スタイルのいい子が好きな男の子は多くいるが、それに拒否反応を出す男の子も珍しいと思ったからだ。
まあ、嫌がっているのならあまり近づかないであげようと思い2メートルぐらい離れて話しかけてみた。

「なんであなたのような子供がここに?」
「子供だと?オレ様はお前達より100倍ぐらいは長く生きておるぞ」
「へ?100倍?」

そんな事は普通ありえないので、子供の戯言だと片付け、ここにいるのかを聞き直した。

「それでなぜここにいるの?」
「昨日召喚されて使い魔とやらにされたからだ・・・今思い出しても腹が立つ」

どうやら、これが噂のヴァリエール嬢が召喚した東のメイジらしい。
(こんな子供を召喚して使い魔にするなんて、貴族ってなんて残酷なのかしら)と思ったが言葉には出さない。
どこで誰が聞いているのか分からない、それがヴァリエール嬢の耳に入りでもしたら、メイドの首ぐらい簡単にとぶからだ。
そんな風に考えていると、グゥ〜と言う音が聞こえた。

「・・・そういえば、召喚されてから何も食ってなかったな」

どうやら、その音はこの少年のお腹から出た物らしい。

「ご飯もきちんともらえなかったのですか?それなら、私について来たらご飯を差し上げますよ」

本当は眠くなって寝てしまったのが原因なのだが、メイドは知っているはずもない。
ラハールは少し考えたが、自分の空腹には抗えず付いて行くことにした。



厨房に着くと、メイドは奥の方に行き料理を適当に持ってきた。
適当に持ってきたが量は半端ではない、メイドも冗談半分で持ってきたのだろう。

「どうぞ、召し上がれ」
「それではいただこう」

大量の料理を前にして、ラハールはすごい勢いで平らげていった。
冗談半分で持ってきたが、完食した時にはメイドは驚きを隠せなかった。

574ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:18:55.44 ID:EOJUbr0p
「全部食べちゃった・・・」
「何かまずかったか?」
「いやそういう事じゃなくて、まさか完食するとは思わなかったから・・・」

貴族に出す料理のため、大量に作られているのでラハールが食べた量ぐらいではどうということはない。

「これぐらいなら楽勝だが?しかし、うまかったぞ。これはお前が作ったのか?」
「シエスタでいいわ。あと、これはマルトーさんという人が作ったのよ」
「そうか、うまかったと伝えておいてくれ」
「わかったわ、それじゃあ私は給仕の仕事があるから行くね」

そう言うと、どこかへ消えて行った。

「オレ様はもう少しこの辺を見て回るとするか」

腹を満たしやる事もないので、無駄に敷地は広い魔法学院を見て回るつもりらしい。
厨房から出てどこから見て回るかと考えていた。



その頃ルイズはと言うと、まだ寝ていた。
長時間寝ていてまだ起きないあたりよほど疲れたのだろう。
だが、ラハールが窓を開けて行ったため冷たい風が室内入り目が覚めた。

「う〜寒い・・・ってあれ?私いつの間に寝てたの?・・・ん?なんで私の部屋の中に棺桶があるのよ」

恐る恐る棺桶の蓋を開けてみると、中には毛布が入っていた。
そして、室内に自分が召喚したラハールがいない事に気が付きこの中で寝たのかと若干呆れた。
窓が空いているという事は、そこから出て行ったのだろう。
逃げ出したのかと思ったが、多分それは無いだろうと思い支度をすませ朝食を食べに行った。

「あれ?そういえばラハールの食事ってどうすればいいのかしら?・・・無いなんて言ったら暴れないかしら」

その事を考えて、どうするか本気で考えた。
何せ力を制限できたと言っても、戦えないほどではないだろう。
少なくとも、ルイズでは止める事すら不可能だろう。

「でも、あいつがどこにいるか知らないし・・・まあ、なんとかなるでしょ」

何とも適当な事である。



食堂の目の前に着くと、生徒の使い魔がたくさんいた。
使い魔は食堂には入れないので当然と言えば当然ではあるが、その使い魔達を見ていると自分も普通の使い魔を召喚したかったとつくづく思った。
いくら召喚した使い魔の中で最強だとしても、いう事を聞かなければ意味がない。
そう思っても始まらないため、食堂に入り自分の席についた。
すると、とある生徒に話しかけられた。

「あらルイズ、昨日の使い魔召喚の儀式できちんと召喚できたみたいね」
「・・・ツェルプストー」

ツェルプストーと呼ばれた女性は、ルイズの宿敵・・・というより家同士の宿敵である。

「朝から機嫌が悪いですこと。あと、怒りたいのはこっちよ?昨日のあんたの爆発のせいでこっちは酷い目に遭ったんだから」

575ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:19:24.95 ID:EOJUbr0p
その事に関しては、ルイズに明らかに非があるためなんとも言えなくなるが、ツェルプストー相手に非があったと認めるのは癪に障るので、開き直る事にした。

「そんなの知らないわよ、爆発に巻き込まれたあんたが悪いわ」
「人に危害を加えておいて開き直るとは何様よ・・・まあいいわ、それよりあんたが召喚したっていう東の方のメイジっていうのに興味があるのよ」
「東の方のメイジ?」

ルイズは早くに寝てしまったため、学院の生徒に流れた偽の噂を知らない。

「違うの?」

だが、そう聞かれて本当の事を言っても信じてもらえないだろうし、何より悪魔を、それも魔王を召喚したなどバレた日には自分の命が危ない事を思い出し、その噂に乗っかる事にした。

「違わないけど、相手は子供よ?あんたが興味を持っても仕方ないんじゃない?」

ルイズは嘘が下手なため、ツェルプストーが興味を無くすことを話して適当に流してしまおうと考えた。

「あなた私をなんだと思っているのよ?そういう事じゃなくて、単純に興味があるだけよ」
「あんたが男関係以外で他人に興味を示すなんてめずらしいわね」
「本当にどう思ってるのよ・・・?まあいいわ、それでどんなやつ?」
「どうって・・・結構強いわよ」
「へ〜あんたが召喚したのに?」
「うっさいわね!別にいいでしょ!」

言い合いをしていた2人だが、周りの生徒が騒ぎ出したかと思うと、ぞろぞろと食堂から出て行っている者がいた。
何事かと思っていると・・・

「決闘が今から始まるらしいぜ!」
「まじかよ!一体誰と誰が決闘しようとしているんだ?」
「どうやら、噂の東の方のメイジとギーシュが「ヴェストリの広場」でやるらしいぜ!」
「そりゃ楽しみだ」

そんな会話が聞こえたのでルイズは焦った。
別にラハールを心配したのではない、というよりいくら力が弱くなったとはいえ、ドットのギーシュが勝てると思っていない。
万が一決闘を切っ掛けにラハールの正体がバレたらと考えて焦ったのである。

「楽しそうじゃない。東の方のメイジとやらの実力を見るいい機会だわ」

ツェルプストーがそんな事を言っているが、今はそんな事を気にしている場合ではない、とりあえず止めに行かなければいけないと思い、急いでヴェストリの広場に行くことにした。
576ゼロと魔王:2011/05/15(日) 15:22:36.75 ID:EOJUbr0p
以上で今回の投下は終了です。
なんというか、ギーシュとの決闘って通過儀礼ですよね
まあ、とりあえず何か問題があった場合は言ってください直しますので
それではさようなら
577名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 15:24:11.34 ID:U7v8Q5gr
578名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 16:37:30.80 ID:Pc5wy2kr
ディス乙
早くアデルとロザリン仲間にしてーよー

>>566
ラインバレル番外編のネズミかと
579名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 16:49:04.12 ID:9zH82JyU
>>489
「シャイニング・ガンダーム!」
580名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 17:36:10.75 ID:cqzT0gyq
ディスからだとぽこんとかドリルとかも相性よさそうだな。主に胸的な意味で
581名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 18:59:34.06 ID:IIta86Wl
だがああいう汎用キャラはどうしてもオリキャラになってしまう。
582名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 20:11:15.61 ID:5ay6eWlO
呼んだら来てくれる使い魔か
「ゴジラー! 助けてーっ!」
583名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 20:14:04.38 ID:NcTDXsHw
ルイズ「タクシー!」
アイヨー
ルイズ「ギャー」
584名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 20:22:58.23 ID:CPMO6wl/
助けてスカイハーイ!
585名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 20:25:12.89 ID:QRTDhELr
コウモリさんコウモリさん



は小ネタにもうあったな。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 20:32:27.24 ID:zvrOly0E
つまりはキャッスルドラン召喚か
587名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 21:31:21.55 ID:VM5WicDP
中の人的に借金執事だな
588名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 21:35:15.94 ID:EOJUbr0p
イワシ閣下を召喚してもルイズが大変なことには

変わらないだろうな〜
589名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 22:32:45.19 ID:GhVNLHzu
ゲヒを召喚
武器屋薦められたシュペー公作の剣を見て、渋顔になって心の中で毒づいたり
590名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:26:31.35 ID:weiesLM/
>>587
借金執事ひとりだったら才人とあまりかわらなそう
ナギとセットで呼んで、ナギを守って異世界で大冒険
591名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:28:17.13 ID:RvJfeOcr
ナギと出会う直前のハヤテを召喚しても、執事にはならんよなあ。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:35:26.80 ID:JLE2RiKG
ハヤテが告白してきたとルイズが勘違いして惚れちゃって
使い魔兼執事になりなさいと勢いで言っちゃって
的な展開なら
593名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:49:11.06 ID:5Nsz2Am/
ラハール乙
というか小説版だとマフラーが本当にマフラーな設定なんだな。まあ小説版はキャラ設定やら色々ゲームとは大きく違うらしいからそれくらいは有るか
594名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/15(日) 23:50:51.71 ID:B2zCkaYf
>>592
奴隷根性染み着いてるから導入部はサイトよりスムーズ。各種スキルたけぇし。
青銅ゴーレム位素手で倒せるが、ギーシュに楯突くとは思えんのだよな。

ただし中盤以降は変わらねーな 何処までギャグに出きるかが味噌っぽい。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:00:49.11 ID:qaYph5iu
モンモンとフラグ立ててギーシュからつっかからせるぐらいしないと決闘は無理か
596名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:04:51.58 ID:Vo7szsPM
そこまでしてギーシュボコらせなくていいだろw
597名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:08:12.06 ID:1QPAE52G
中の人的にモンモンがハヤテに惚れても一向に構わん
598名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:09:27.25 ID:N32hqn1x
>>594
あの両親に比べたらルイズのほうが何倍もましだな
ギーシュ戦ではハヤテよりヒナギクのほうが見栄えすると思うが
599名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:15:37.04 ID:sZWssPUO
ギーシュ戦が無い作品ってあんまないな
使い魔の実力見せる場面だから省きづらいんだろか
600名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:22:03.87 ID:YjMP36Bx
ぶっちゃけギーシュは大抵のSSでカマセ扱いだし、あっても実力発揮してないのがほとんどじゃないか?
601名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:26:05.75 ID:N32hqn1x
ギーシュ戦はなくてもいいと思うけどなあ
決闘しない→ガンダに気づかない→デルフ購入なし→爆発で宝物庫壊れないから破壊の杖盗まれない
アンリエッタがルイズのことを思い出さない→アルビオンなし
前半のイベント一気にスキップしてラグドリアンあたりから始められるぞ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:28:32.19 ID:yEr423cd
斬新だなw
603名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:29:48.72 ID:oN9Kd7ln
シエスタが香水に気が付かなければ
そのルートは普通に有るよなw
604名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:39:04.39 ID:M5HRK6Uq
>>601
そしてタルブで破滅するんだね
605名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:45:40.11 ID:qaYph5iu
ウェールズから水のルビー貰えないし、始祖の祈祷書を貰うこともないと虚無に目覚めないのか

>>597
中の人的にアンアンがハヤテに(ry
606名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:48:05.19 ID:sqNnow0I
ギーシュの代わりにたまにはマリ豚やギムリに頑張ってもらえばいいさ
607名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:49:35.11 ID:M5HRK6Uq
>>605
中の人的に言えばむしろハヤテがアンアンに…
608名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:50:11.15 ID:zrv/Scic
マゾコリヌくんが変な性癖に目覚めたらどうするんだ!
609名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 00:53:36.88 ID:N32hqn1x
>>605
アニメじゃルビーも祈祷書もなしで虚無発動してるし、そのへんは問題ない
むしろ日食を通っていろんな連中もハルケにやってきて
610名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 01:14:11.91 ID:qaYph5iu
そういやアニメではそこら辺色々違うんだったな
ワルド裏切りもウェールズ戦死のタイミングも変わって、タルブ戦自体が起こるかどうかも分からんけど
611名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 01:47:12.48 ID:1QPAE52G
アニメは三期で色々と原作とかけ離れすぎたと思う
原作とアニメは別物だとは言うけども、話のスケールが違いすぎてなんとも
612名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 02:06:55.56 ID:6KYFtN79
>>611
そりゃ二期のラストで、7万に突っ込んでテファニアに治療された後、サイトが自分で学園に戻ってきちゃったからな。
613名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 02:12:08.14 ID:sZWssPUO
原作知らなかったから休み使ってアニメみてSS読みまくったが話の違いに頭がおかしくなって死にそう
明日原作買ってくる
614名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 02:21:35.98 ID:N32hqn1x
アニメが原作と大幅に違うなんてこと昔から当たり前
タイガーマスクだって原作では最終回事故死だけどアニメでは正体がバレて敵のボスを反則技でギタギタにしてる
最近ではそらのおとしものもそうだった

問題は原作から離れて、それでもおもしろいか否か。そらおとは神だったけどゼロ魔は賛否あるなあ
615名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 02:24:39.58 ID:kNxBWBNt
>>581
ディス4だと性格設定である程度キャラ付けはできそうだけどなw
616NEVER〜新たなる戦い:2011/05/16(月) 03:13:48.05 ID:OKi3KiqY
以前、大道克己で書きたいと言っていた者ですが、
雑誌などでエターナルの情報とかも結構出揃って来たので
とりあえず書いてみました

問題が無ければ3:15くらいに投下します
タイトルは「NEVER〜新たなる戦い」です
617NEVER〜新たなる戦い ◆rXUHEibmO2 :2011/05/16(月) 03:16:44.69 ID:OKi3KiqY
死んだ人間……それも本当の意味で死んだ人間が味わうことの無いもの。
大道克己は今、それを体中で感じていた。

(……俺は奴らにやられ、死んだ筈だ)

仮面ライダーWの蹴りが自らを貫き、肉体が消滅していったことを今も覚えている。
そう、自分はあの時、本当の意味で死んだのだ。
それが何故、今こうして生きているのだろうか?

大道克己は手始めに指を動かして見た。

(……動く)

指は自分が意図した通りに動いている。
徐々に動かす指を増やし、ぎこちないながらも肉体の動作には特に問題が無いことを確認する。
次に大道克己は目をカッと開いた。
最初はぼんやりとしていた視界も段々とハッキリとしていく。
すると、目の前に髪をピンク色に染めた少女が立っているのが見えた。
唖然とした表情でこちらを見つめている。

「……アンタ、ダレ?」

ノイズのような声が耳に入って来る。
どうやら目の前の少女が何か言葉を発したらしい。
どうもまだ意識が完全に覚醒していない。
それに現在の状況も掴めていない。
目だけを動かして周囲の状況を探る限り、自分は多数の人間に囲まれているようである。
それもおかしな格好をした少年や少女たち。

(……チッ、逃げ場は無しか)

大道克己はすぐに警戒する。
自分の身に何が起きたのかは分からない。
だが、それよりも周りを囲まれていることの方が大道克己にとって大事であった。
彼らを見た時、大道克己は直感的にかつて戦った超能力兵士のことを思い浮かべた。

(こいつら……奴らと同じ『匂い』がしやがる。何故だかは分からないが。それに……)

大道克己は視線を別の方向へ向けた。
そこには彼らとは別にもう一人、中年の男がこちらを見ている。
男からは彼らとは違った『匂い』を感じていた。

それは戦場の『匂い』。
大道克己にとって馴染み深く、最早そこから去ることも出来ない『匂い』。
618NEVER〜新たなる戦い 01:2011/05/16(月) 03:18:22.48 ID:OKi3KiqY
間違いなく、この中年の男は兵士で、それもかなり強い部類であろう。
大道克己は服の中に手を入れ、そこに隠しナイフがあることを確認し、何時でも抜けるように構える。
しかし、本調子では無い今の大道克己にはナイフ一本でこの囲まれた中を突破することは容易では無いだろう。
中年の男も背中に何やら隠し持ち、こちらが不審な動きをしたらすぐにそれを抜くぞ。
とでも言いたげにこちらを睨み付けている。
どうやらこの男も自分が同じタイプの人間であることを見抜いたらしい。
どうしたものかと大道克己が思案していると、先程の少女が男に走り寄って言った。

「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しをお願いします!へ、平民を使い魔にするなんて、前例がありません!」

何やら空気の読めない台詞である。
コルベールと呼ばれた男は、こちらを警戒したまま少女を諌めている。
やがて少女はしょんぼりとながら大道克己の元へとやって来た。
そしてすぐに無い胸を張ると、尊大な態度で言った。

「ちょっとアンタ!いい?今から私の使い魔に……」

大道克己は少女に皆まで言わせずに引き寄せ、その細い首に腕を巻きつけた後、喉元にナイフを突きつけた。
コルベールと呼ばれた男は「しまった!」という顔で何やら取り出して、大道克己へそれを向ける。
そして、険しい表情で言った。

「ミス・ヴァリエールを離したまえ!!」

「ほう……こいつがそんなに大事か?」

大道克己はニヤリと笑いながら、じりじりと下がって行く。
周りの者たちも大道克己の突然の行動に面食らっていたが、やがて状況を飲み込むと騒然となる。
何人かが大道克己へ何かを向けるが、コルベールと呼ばれた男がそれを制する。

「止めなさい!ミス・ヴァリエールに何かあったらどうする!?」

その怒号のような言葉に、彼らは思わずそれを下げた。
大道克己は尚も下がって行く。
やがて、彼を避けるように周りの者たちが道を空けたことを確認すると、大道克己は少女を投げ捨ててそこから逃げ出す。
まだ何処か動かしにくい体ではあるが、この連中を撒くには問題無い。
しかし、そんな彼の体に異変が起きた。

「レビテーション!」

誰が言ったかは分からないが、その言葉と共に大道克己の体は地面から浮き上がった。

「……!?何だこれは!?」

浮き上がった足は地面を踏むことは無く、大道克己は宙へ貼り付けにされた形となった。
この状況に大道克己は見覚えがある。
かつて超能力兵士と戦った時に、相手の超能力で仲間が似たようなことになったのだ。

(……なるほどな、道理でこんなガキ共と連中が同じ『匂い』なわけだ)

そのことに納得はするが、現状には納得していない。
619NEVER〜新たなる戦い 01:2011/05/16(月) 03:23:50.16 ID:OKi3KiqY
このままならば、連中に捕まり何をされるのか分からない。

「……全く、たかが平民如きが貴族に手を上げるなんてね」

自分に妙な真似を仕掛けた者が自ら出てきて大道克己の元へ歩み寄る。
やたら気障っぽい少年で、薔薇のようなものをこちらへ向けていた。

「感謝したまえよ、ミス・ヴァリエール。君の使い魔はこの僕がちゃんと捕まえて……」

「克己ちゃん!!」

その時、少年に向けて鞭が放たれた。
少年は突然のことにそれを交わすことが出来ずに食らい、手にした薔薇を地面へ落とす。

「い、痛い!!!!」

少年は手を押さえて情けなく喚き出す。
それと同時に大道克己の体がストンと地面へ落下した。
大道克己は器用に着地すると、声の主へと視線を移した。
すると、そこにはやたら女性的な喋りでくねくねと動く男が大道克己を手招きしていた。

「お前は……」

「克己ちゃん!話は後、こっちこっち!!」

「ああ……」

大道克己は男の指示に従い、後を追っ掛けていった。
男の闖入により、連中は呆気に取られたようで、すぐに追っ手が来る気配は無い。
建物の外へ出て、近くの森に入り、奥深くまで来た所でようやく一息つく。
そして、自分をここまで導いた男の肩を軽く叩いた。

「……まさかお前があそこにいたとはな」

「あたしもまさか克己ちゃんがいるなんて思わなかったわ!」

そう言って笑う男の名は泉京水。
大道克己率いる傭兵部隊NEVERのメンバーにして、彼の片腕的存在である。
泉京水はとても嬉しそうな顔で大道克己に抱きついた。

「ああ、克己ちゃん!克己ちゃんがいるのね!」

「……そう言えば、お前はあの時」

「……浮気はやっぱりダメね。目移りしちゃったあたしが悪かったのよ」

そう言いながら泉京水は舌を出した。
大道克己はそんな彼を見て、少しだけ気を緩ました。

(……ここは何処だ。俺たちは何故ここにいる?それよりも何故、俺たちは『生きて』いる?)

その問いに答えてくれる者はおらず、森の生き物の声だけが辺りに響いた。
二人はお互いに頷くと、再び森の奥へと入って行った。
620NEVER〜新たなる戦い:2011/05/16(月) 03:27:49.21 ID:OKi3KiqY
あ、一部抜けてた。
正確には

大道克己はそんな彼を見て、少しだけ気を緩ました。

の後に、

そして、改めて自分たちの状況を見つめ直す。

ってのが入ります。

話数を#01って感じにしたらトリップになっちゃいましたw
なので、今後は01という感じにします。

忍法帳とかよく分からないので、あまり長くして途中で止まるのもどうかと思ったので、
短めにしておきました。
もう少し長い方がいいですかね。
いきなりゼロ魔の本筋からは離れましたが、たまにはこんなのもと思いまして。
それでは次回また。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 05:21:54.14 ID:JZ2/J/oo
投下乙
622名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 07:27:48.86 ID:2zNNkQd0
>>603
ヒント:原作で香水拾うのはサイト
623名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 08:30:51.62 ID:yEr423cd
ルイズが【ナナとカオル】のカオルを召喚しました
624名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 09:01:19.76 ID:7M1vEgsd
今更乙しきれるか!!
625名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 10:10:13.61 ID:9qjoTPQ2
伊藤誠
626名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 12:49:33.69 ID:ar2RlGN6
>>612
しかもテファがなぜかガンダールヴのことを知っている
四期があるとしたら新キャラはイザベラやジョゼットか、話はともかくアニメになった彼女たちは見てみたい
627名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 14:28:36.48 ID:Jqr3gR73
原作が終了したら一から再アニメ化のほうがいいかもしれん
2クールでキツキツの構成に
628名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 15:12:38.30 ID:GiSoFOSU
2回アニメ化、最初のアニメの内容の半分はなかった事にして
一部だが中の人も変えた魔法陣グルグルみたいだなw

でなきゃ第一部のクライマックス部分がアニメ化せずに第二部がアニメ化した
南国少年パプワくんとか
629名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 15:19:14.52 ID:YTO8r+8L
アイアンマンやエックスメンみたく適当なエピソードふくらませて一クールやればいいよ。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 16:55:42.66 ID:XckpIJwF
>>543
 元々は才人の方がルイズに頼んでるんだよね。
 キュルケからの誘惑後に、嫉妬に駆られた奴らからの自衛のために。
631名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 17:17:18.30 ID:XqgYZ3eI
サイトが剣くれっていってルイズが必要なものは用意するって買いに行く流れだからな
元はデルフ必要ないキャラに持たせるための改変だろうけど
これも香水イベントみたいに二次でテンプレ化したもんだな
632名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 17:30:12.78 ID:SXOyjrcc
同じライダーWからならシュラウド召喚
時期によってはルイズかタバサがアクセルになれるかも
エンジンブレード持てたらだけど
633名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 17:41:03.73 ID:rTGW/jmc
上の方にボンボントークがあってクロちゃんの話があってなんかすごい懐かしい気分だ
そんなわけで「おきらく忍伝ハンゾー」のハンゾーが召喚されたらっていうの思い付いた
思い付いただけだけど
ちなみに自分はボンボンだとウル忍とクロちゃんとハンゾーとだんく!読んでたと思う
634名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 17:55:05.12 ID:sqNnow0I
ハンゾーくんはツンデレ姫がかわいかった
635名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 17:56:28.48 ID:XckpIJwF
>>397
 ブライと聞くと、ドラゴンレンジャー思い出す。死体の残る死に方だったし、
召喚はできないかなあ。

>>633
 ハンゾーとはまた懐かしい。ハンゾーだとおしおきされそうになったら、
怒るルイズを手玉に取るか、アヤメとルイズが重なって逆らえないかのどっちかだろうな。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 18:01:00.35 ID:LoN1gNXz
>>628
平成ウルトラセブンのように完全なパラレルワールド化するのもある
ヤマトだってさらばで完全に終わったはずなのを、2でパラレルワールド化したからな
637名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 18:47:20.71 ID:9HbKMBXy
意外にもイカ娘が無いな
638名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:12:03.06 ID:XckpIJwF
 今更ですが、ウルトラ5番目の使い魔作者さん、乙でした。

>>555
>>あんたは自分の名前が人に勝手に変えられても平気なのかよ?

 才人よ、ウルトラセブンは本名レッドマンだぞ(一応)。本人や仲間らも
すっかりセブンで定着させてるけど。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:13:16.02 ID:8U4hIqs4
パラレルワールド・・・
ドラえもん、スパロボ、ラインバレル、ディスガイア、ペルソナ、DDS

色々と考えたが、真正面の本棚に
『4人いるっ!?』ならび『5人いるっ!?』があったので
藤十郎召喚
思い付いただけでもオスマン大活躍は揺ぎ無い予感
640名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:27:41.58 ID:6KYFtN79
>>636
じゃあ、誤診だったことにして。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:29:03.83 ID:oTJ2zLUO
>>639
ディスガイアの場合パラレルワールドってより
平行世界って感じだと思うぞ
日本一ソフトのゲームはゲーム同志つながってるし
642名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:30:43.48 ID:BtXZOyGX
パラソルワールド…
パラソルヘンべえ召喚。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:43:02.25 ID:oN9Kd7ln
洋ゲーから呼び出すとしたら
Valve信者の俺からしたら
ハーフライフからゴードン・フリーマンとか
Portalの主人公とか良いかな…

ただ、問題なのはろくに喋らないからキャラが立たないんだよな…
Portalに限っては主人公の名前すら出てこないし

グラビティガンとかポータルガンで、どうするかとかは面白そうなんだが…
644名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:51:31.10 ID:IvCaQ/e2
DTBから黒召喚が読みたいなぁ

マルトーさんもあまりの食いっぷりにたまげるだろうな
645名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:56:40.73 ID:rEqSKUk3
話の展開がテンプレ化してると聞いて思ったけど、
原作読んでいない人の割合ってどのくらいなんだろう。

1巻だけ読んだって人も多そう
646名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 19:58:52.78 ID:iEYOfKyq
バスタードから、ルーシェを呼び出すのも面白そうだ
契約のキスで、ちっこい少年が全裸の青年に大変身で
あの場にいる皆さん大混乱だろうけどww
647名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:09:02.67 ID:yEr423cd
この俺のへそまで反り返ったピー
648名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:10:24.17 ID:y7DipNrN
洋ゲーならFallout3からVault101のアイツを忘れちゃいけないと思うんだ
649名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:13:43.51 ID:bQV78B68
武器のいらないキャラや既に専用の武器を持っているキャラに無理矢理デルフ使わせる展開はやっぱり嫌だな
大抵のSSは強引に武器屋へ行かされて、そこでデルフ見つけて、使わないのに面白そうだからという理由で買って…
って、そんな展開ばかり

デルフを使わない、出さないっていう展開のSSは意外と無いんだよね
650名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:17:54.71 ID:iEYOfKyq
>>649
禁書の上条が呼ばれたやつは
デルフが上条の『幻想殺し』でうっかり触られて
チリになって消えたりしてたのを思い出した
651名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:18:08.37 ID:uq505wUH
デルフ便利な上いいキャラだからわざわざ出さないことを選ぶ人が少ないのは当然だと思うけど
652名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:18:26.56 ID:fRR4YhZJ
デルフがいないと解説キャラが不足しちゃうから仕方ない
653名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:19:31.06 ID:ft1T4gcg
逆転の発想でデルフ召還
654名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:19:46.47 ID:oN9Kd7ln
>>649
柔らか戦車かな…
買ったけど使わずにスルーし続けたのは

よく考えると、動物の類にデルフ買うのってのも変な話だよな
655名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:19:57.72 ID:8U4hIqs4
>>641
ああ、フロン的な意味で言ったのだ
パラレルも平行も同じようなもんだと思ったけどね

彼女的には浪費天使長が正史のようだけども
一連の流れはナンバリング順でいいのかな、あのシリーズ
3→4だからいいのか

ええい、もうエリンギバールでも呼んでしまえ
656名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:33:10.01 ID:94uxEXUU
>>643
洋ゲーならストーカーを忘れちゃいけない
ゾーンそのものを呼んでトリステインが素敵なアミューズメントパークに!
もしくはFearのアルマたんやフェッテル呼んで学院がお化け屋敷に!
ポロリもあるよ!(骨が
657名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:44:44.09 ID:FDZOCvhr
姫様のラブレター回収してくれって依頼に対する召喚キャラの反応って
大別するとどんな感じなんだろ。

無茶言うな
ノリノリ
気付いたら簀巻きで馬に乗ってた

原作のサイトはどんな反応だったっけ?
658名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:46:53.64 ID:yDaoJdDJ
たぶん最高のデルフ使用法

「カービィ、吸い込みよ!」
「ぎゃぁぁぁーっ!」
659名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:49:47.72 ID:94uxEXUU
>>657
流されてついてった
660名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:49:57.35 ID:oN9Kd7ln
>>656
スローモでワルキューレを掻い潜って蹴りを入れたらギーシュが死ぬパターンですね分かります
661名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 20:57:46.77 ID:vp8KYf/j
>>653
理想郷のほうの、某クロスでは
ルイズがガンダールブでデルフつかってたな
タルブではデルフが、虚無詠唱してるルイズの体を操って護衛っつー
発想に目から鱗
662名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:06:06.45 ID:VYyqNwjx
>>643
Witcherのゲラルトさんとか。まあ間違いなくルイズに従わないだろうけど。自給自足できそうだし。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:10:50.94 ID:7ygW9ziY
せっかくデルフには他武器に憑依するって機能があるんだからそれ使えばいいのでは?>被召喚者の専用武器
俺としては下がる男みたいにの後からそれっぽいのが出てきてケンカになるのは面白かったな
664名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:41:42.05 ID:VgDPy+HM
デルフを購入するシーンって 召喚されたキャラの特徴を描写しやすいから どの作者も使うんじゃないかな。
「提督」も「ラスボス」も「アプトム」も、ろくにデルフは使わないけど、購入理由とその後の扱いは 
皆 そのキャラらしさが出てて面白いと思った。
むしろ 無理矢理なのって、ドレ?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:42:37.22 ID:hGOKBfMK
洋ゲーならCoDブラックオプスのレゾノフさんやゾンビモードの4人組を……
666名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:45:33.91 ID:mRQ1VrDN
そういえば避難所組の投下無いのって規制されてるから?
もしそうだとしたら規制解除まで投下はないって事になんのか?・・・
667名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:56:33.40 ID:bQV78B68
>>664
そこに挙がってる作品もデルフ購入までの流れはかなり強引な印象を受けたがなあ
どれも剣持つ必然性無かったし
668名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 21:57:17.32 ID:Py0eyKhd
デルフは呪文吸収能力が地味に便利だからな
669名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 22:34:49.66 ID:ar4XVbcI
>>667
萌えゼロのふがくの場合はルイズから持たせようとしてたけどね。
機関短銃が威力ありすぎって理由で。
本来のゲームだったら重戦闘機くらい軽々墜とす威力だし。
デルフ選んだのはふがく本人だったけどね。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 22:41:01.55 ID:h5Si13wU
デルフ便利なキャラなはずなんだけど油断すると忘れまうんだよ……
山口ノボルもたびたび存在忘れるのも無理ねえと思う
671名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 22:48:27.10 ID:VgDPy+HM
デルフを持たせることに 一番違和感があったのは「戦闘妖精」かな。
その割りに 唯の目印とか 無線機代わりとか 先触れ役とか 武器以外としては使ってるみたいだけど。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 22:52:24.69 ID:b7N3vaIJ
デルフ、無理に召喚キャラに使わせないでアニエスあたりに払い下げたらどうだ?
クロスじゃないけどIFスレの虚無の銃士なんかはそうしてる。
多少やかましくても魔法を吸う剣なんてリッシュモンへの復讐のためなら是が非でもほしがると思う。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 22:59:19.65 ID:VgDPy+HM
>>672
「ゼロのガンパレード」じゃ、タバサがデルフと地下水の二刀流してなかったっけ?
674名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:10:54.26 ID:FDZOCvhr
さやかとかの普段大量の剣使い捨てにしてるスタイルの人だと
誤ってデルフ投げ捨てそうだな。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:35:54.33 ID:4atKmF6P
FF4からエッジを召喚

 コア なげる
  コア デルフリンガー
676名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:37:06.20 ID:8bBCLXSI
つかう>デルフリンガー>セルフ
677 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 :2011/05/16(月) 23:55:17.05 ID:XTz852+E
ブスリ♂
678名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:59:15.75 ID:oN9Kd7ln
ネタでメガヅモの人が掘られるとか言ってたら
本当に蛇に掘られたでござるの巻
679名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:59:32.31 ID:3K8Z8iPL
>>663
エクスカリパーに憑依するデルフ
680名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/16(月) 23:59:32.61 ID:oN9Kd7ln
誤爆した、掘られてくる
681名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 02:06:47.36 ID:IQ5nT5VF
俺に掘れろ!
682名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 02:15:00.74 ID:w2Ir8yrH
拙者に惚れるでござる。

アニメを見たけど、戦闘シーン描写が予告だけとか詐欺すぎる。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 02:48:11.80 ID:HzdLReIf
デッドプールを召喚したら、やっぱメタ発言しまくりで、作中から俺らに話し掛けてくるんだろうな。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 03:50:45.88 ID:e+/LiATm
まあ決闘にしろデルフ購入にしろ召喚キャラによっては完全に蛇足な場合もあるよな
ギーシュやデルフが必要なんだってんならともかく、他のキャラで代用利かせる手もあるだろう
ほぼ唯一ギーシュがいないとまずいアルビオンからの穴掘っての脱出も、ルイズがそこでテレポートに覚醒したとか書きようはある
685名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 03:55:36.86 ID:DKlsxBOi
始祖のオルゴールを宝物庫から盗まなきゃいかんな
686ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:36:33.91 ID:3KSIaj7F
ギーシュの決闘イベントは自分の作品だと完二が恫喝するみたいになっちゃいましたね。
とはいえ、けっこう描写しまくったから妙に長くなったけど

というわけで今から投下します。
687ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:38:34.76 ID:3KSIaj7F
刑死者 意味……殉教・無意味な犠牲

完二とワルドの決闘騒ぎがあった夜、女神の杵亭は襲撃された。襲われたのは酒場だ。
不意を打った攻撃に、酒盛りしていたキュルケ、ワルド、ルイズはその場で応戦する。地面と一体化した石の机の足を折り盾とし、魔法を飛ばす。
タバサと完二、陽介、クマたちはそれぞれの部屋にいたが、騒ぎを聞きつけ一階に下りてきた。タバサはすでに寝ていたのかパジャマのままである。
「おいおいおいおい、いったい何がどーなってんだ?」
慌てた様子の陽介にキュルケは簡潔に説明する。
「2、30人の傭兵たちが突然、襲ってきたのよ。店の外にはもっと数がいるでしょうし、魔法使いまでいるわ」
「僕たちの任務を邪魔しようとするものがいるようだね」
「いったい誰よ!」
忌々しそうに唸るルイズをキュルケはなだめた。
「その詮索はあとよ、今は目の前のこいつらをなんとかしないと……」
喋っている間も矢は間断なく飛んでくる。たまに返事代わりに魔法を飛ばす。
「こういう任務の場合は半分でも目的地に着けば任務は達成されたものとされる」
「囮」
そう必要最小限の言葉で答えたのはタバサだ。ワルドは頷いて作戦を話し始める。
「半分が傭兵たちを拘束し、残り半分が船へと向かう」
クマは駄々をこねるようにその作戦に異議を申し立てた。
「誰かを置き去りにするってことクマか?いやクマよ!そんなの絶対ダメだクマ!」
キュルケが諭すように言う。
「クマ、言ってる場合じゃないわ、これは任務なのよ」
しかし完二もクマを援護した。
「いや、クマの言うとおりだ。そんなみっともねえマネできねえ」
「だからそんなこと言ってる場合じゃ……」
「あっ、そうだ!」
ルイズの発言を途中で切るように陽介が大声をだした。
さえぎられたルイズがジロリと陽介を睨んだ。陽介は少しビビりながら思いついたことを話始めた。
「なあ、あいつら追って来れなくすればいいんだろ?もしかしたら何とかできるかも」
ワルドは否定するように言う。
「かもじゃダメだ」
「一分、いや30秒あればいいから!」
ワルドは困惑した。少年が何をしようとするのか見当が付かなかったからだ。
しかし陽介の隣にいたパジャマ姿の彼の主人が「やって」と許可を出した。
688ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:40:35.57 ID:3KSIaj7F
「よし、わかった。ペルソナ!」
陽介の顔の前に黄金色のカードが現れ、それを陽介は握り潰すように砕いた。
彼の背後に彼の化身だというペルソナが現れた。
クマと完二は何度も目にしたことがある姿だった。しかしルイズ、キュルケ、ワルドは全くの初見であり、タバサも以前の任務で見たきりであった。
ペルソナ、スサノオはハルケギニアでは見ない青い生地で手足、胴体を包んでおり、その体の回りにはギザギザの歯の円形の刃が浮いていた。頭は燃え盛る炎のようだ。
スサノオは傭兵たちを見た。傭兵たちに動揺が走る。この世界でペルソナを見たことがある人物などいるはずもないから当然の反応である。
スサノオは力を貯めるように身を縮める。それから彼の周りを自転していた刃が天へと飛んでいくと同時に力が解き放たれる。
その力は傭兵たちを襲い、スサノオは役目を果たしたとばかりに姿を消した。
「どうだ、クマ?」
「ムムッ!半分は混乱してるみたいクマ」
クマはその大きな頭をひょこっとバリケードにした机から出しながら言った。
「よっしゃ!」
ルイズたちは陽介が何をしたのか、分からず、当惑していた。
「何したのよ?」
ルイズが代表するように尋ねる。
「テンタラフーっつう魔法でなあいつらを混乱させたんだ。半分くらいはかかってくれたらしい」
陽介の説明はあまりに要点を捉えすぎていて、その説明はルイズたちの混乱を解くには足るものではなかった。
だが実際に自分たちを襲ってきた者たちの姿がその説明を補強する。
気をつけながらテーブルから顔を出して見ると奇妙なことが起こっていた。
傭兵たちの中に攻撃の手を無駄に休めたり、味方を襲ったり、お金をバラめいている者が現れている。確かに混乱していると言う他ない。
「すごい」
「ペルソナってこんなこともできるの?」
キュルケが驚嘆して言う。
「クマはできんクマ」
「オレも出来ねえな」
「言ってる場合じゃねえぞ!混乱解ける前にさっさと行こうぜ!」
陽介に答えるようにみな頷き、女神の杵の裏口から飛び出した。
何人か襲ってくる者がいるが、軽く撃退していく。正気を保っている者も混乱した味方のせいで身動き取れなくなっているようだ。
襲撃者を置き去りにし、アルビオンへ向かう一行は船着場に向かう。
689ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:42:45.68 ID:3KSIaj7F
ワルドを先頭として駆けて行くうちに丘の上に着いた。その丘の上で、陽介たち異世界からの来訪者たちは息を飲んだ。
その丘からは非常に大きな木が見えた。山ほどもありそうで、その頂上は闇に隠れみることが出来なかった。
「でけえ……」
「見るクマ!船が木になってるクマ!」
見上げると確かに巨大な木の枝々に船があって、たしかに船がなっていると表現してもよい光景であった。
「別にあれはなってるわけじゃないわ。停めてるだけよ」
「それにしてもすげえ光景だけどな……」
ワルドは木の幹へと向かい、他もそれに従う。
木の根元には入り口が開けられており、中に入ると陽介たちは再び驚いた。中はくりぬかれたような空洞となっていたのだった。
そこが中心となり、船のある各枝へと入り口が通じているわけである。
それぞれの入り口にはプレートが付けられ、どの停泊所かわかるようになっていた。
ワルドは目当てのプレートを見つけたのか迷いない足取りで駆けていく。
それに続くと木の枝でできた階段の上へと出た。陽介、完二、クマは呻いた。
木の枝の階段は手すりが着いているとはいえその脇には何もなく、落ちれば真っ逆さまである。
さらに階段もさすが素材が素材だけあって歩むたびにしなり恐怖感が刺激された。
しばらく走って恐怖感が薄れたころ、単調に階段を上る作業に変化が訪れる。
何度目かの踊り場で最後尾にいたキュルケと完二は後ろから何者かが追ってきたことに気付いた。
振り向くと仮面をつけた妙ななりをした人物がいる。その姿とこの状況下で敵と判断するほかない。
しかし時既に遅く、それは呪文を完成させ、一番後方にいたキュルケに魔法を放とうとした。
「危ねえ!」
完二がそれをかばおうとキュルケと襲撃者の間に割って入る。
すると仮面の男は魔法を放つのをやめて、突き飛ばすようにキュルケ、完二の脇を抜けた。そしてルイズをつかんで階段から闇夜へと飛び降りる。
二人は魔法を撃つものと思っていたために完全に不意を突かれ、反応出来なかった。
しかし、反応出来た者もいた。タバサは氷の矢をすばやく作り、それを落ちていく襲撃者へと放った。
そしてワルドは飛び降りて、氷の矢を喰らい襲撃者が手放してしまったルイズを抱きフライで飛んだ。襲撃者は落ちていく。
「な、なあ、もしかしてアイツ落ちて死んじまったのか?」
陽介がためらいがちに尋ねる。
「いや、フライでも使って生き延びるだろう」
陽介は安心したようにほっと息を吐くと、ワルドは眉をひそめた。
「きみは我々を襲った者の命まで考えるのかね?」
「いや、そーいうわけじゃ……いや、やっぱそーですね。人に死んで欲しくないです。できればさっき混乱させてきた連中も……」
キュルケも呆れたように言う。
「でもあいつらはわたしたちを殺そうとしてるのよ」
「わかってるけど、それでも殺したくないし、死んで欲しくもねーんだよ」
少し強い口調で陽介は言った。
「よくぞ言ったヨースケ!」
「オレたちゃ別に人殺しのためにこの世界に来たわけじゃねーしな」
クマと完二も同調する。
この世界の魔法使いたちは彼らを甘いと思ったかもしれない。
しかし陽介たちの不殺はただの彼らの世界の一般論ではない。
誰も殺さないというのは彼らがかつての五里霧中の謎の中でたどり着いた答えの一つなのだ。
立ち止まって話をするのはそこまでにして再び一行は階段を駆け上がり始めた。
「そういえばカンジ、さっきはありがとうね。かばってもらっちゃって」
キュルケが礼を言うが、完二は憮然として答える。
「ああ?別にいいって。つか、結局あいつナンもしてこなかったし……」
ルイズも守れなかったしな。と完二は口の中で言った。
「なにか言った?」
「なんでもねえよ」
690ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:45:03.87 ID:3KSIaj7F
階段を登りきるとそこから一本の枝へ通じていた。
その枝に沿って一つの船がロープで吊るされていた。そのロープは上の枝から伸びているようだった。
「これが飛ぶのか……」
陽介たちがポカンとしている間に、ワルドは船員を見つけて声をかける。
「船長はいるか?」
「寝てるぜ。アルビオンまで行きたきゃ明日まで待つんだな」
小ばかにした顔をした船員に、ワルドは杖を見せびらかすように杖を抜く。
「き、貴族!」
「僕は船長を呼べと言ったんだ」
船員は船長を呼びに走っていった。
少し経って初老の男性が現れた。どうやらこの船の船長らしい。
「なんのようですかな?」
「女王陛下の魔法衛士隊の隊長、ワルド子爵だ」
船長は高位の人物だとわかり物腰を柔らかにした。
「これはこれは。して、いったいどういったご用向きで?」
「今すぐ出発してもらいたい」
船長が驚いた顔をする。
「無理です。風石が足りません」
「なんだ?その、風石って?」
尋ねた完二に、そんなことも知らんのかという顔を浮かべながら船長が答える。
「風の魔法力を貯めた石さ。それで船は浮くんだ」
それから船長はワルドに向き直った。
「明日、最もアルビオンは近づきまさ。その最短距離の分しか風石はありません。今から出たんじゃ途中で落っこちまいまさ」
「風石が足りない分は僕が補おう。僕は風のスクウェアだ」
船員たちは顔を見合わせ、それからワルドに向かって頷いた。
「料金は弾んでもらいますよ」
「積荷はなんだ?」
「硫黄です。新しい秩序を作ろうとしている貴族たちには黄金よりも欲しいものでさ」
「その運賃と同額出そう」
商談は成立した。
突然の出向となり、船の上はあわただしくなった。寝ていた船員たちも叩き起こされたようだった。
あわただしくなった船を俯瞰しながら完二は言った。
「これが飛ぶのか……」
「驚いた?」
ルイズが得意そうに言う。
「まあな。へへっ、でもちょっと楽しみだな」
「あんたってガキね」
「うっせ」
それから二人の間に沈黙が流れる。
「さっきは守ってやれなくて悪かったな」
完二の言葉を聞き、ルイズは驚いて完二を見つめた。いきなり顔を見つめられて居心地が悪くなる。
「な、なんだよ」
「いや、やけに殊勝じゃない。完二にしては」
完二はバツが悪くなり、ちっと舌打ちして顔をそらした。
「今度はちゃんと守ってよね」
ルイズは顔を背けたままの完二に言った。
「おう、任せろ」
顔を逸らしたまま完二は力強く答えた。
準備が整ってからルイズたちは乗船した。いつのまにか追いかけていたワルドのグリフォンもいた。
船が大海原ではなく天空へと漕ぎ出して行く。目的地は空に浮かぶ大陸アルビオン。
691ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編:2011/05/17(火) 06:49:15.93 ID:3KSIaj7F
投下終了です。

陽介のテンタラフーって残しといたら終盤役に立って驚きだよね。
最終ダンジョンのシャドウでも半分くらいはかかってくれる。
一発クリアが信条の俺にはSPが足んなくて序盤は使えないから陽介のテンタラフーは終盤で役に立つものと思ってる。
話は変わるけどスサノオの頭って炎のような髪なのか、モノホンの炎なのかどっちなのかしら?
692名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 07:51:59.46 ID:pRI2hHNZ
ペルソナ乙です

いくつか前の話を読んで疑問に思ったんだけど
完二達は習得したスキルは全て使えるって設定なの?
693ゼロのペルソナ:2011/05/17(火) 08:02:02.67 ID:3KSIaj7F
>>692
イエース。
出来る限り原作(ゲーム)に近い描写の戦闘をやるように心がけてるんですけど
(例:ペルソナは技出す時出るだけで、スタンドのように取っ組み合いとかしない。漫画版じゃやってるけど)
技数を原作のようにすると、いくらなんでも少なすぎるし、全員が常に最上級呪文を唱えるとオーバーキルにもほどがあるので
694名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 08:28:24.08 ID:P2nUSafS
アニメのペルソナはスタンドバトルのように取っ組み合いをしてた気がしないでもない
695名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 09:24:05.17 ID:PCbqh7Lz
コンセントレイトしてすぐテンタラフーする某会長を思い出した
696名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 18:37:30.32 ID:Q5ZxBntn
>>694
P4の方がどうなるか次第だな
まあナナチャンが出ればそれでいいが
697名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 19:16:33.69 ID:vTxRJyun
時系列はP3→P4→アニメ版ペルソナだっけか
698名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 19:29:57.11 ID:yqKsxohp
アスタロッテ召喚
699名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 20:26:06.33 ID:GiCIglz4
霧亥もやってるデルフ死亡は「こんなの要らねえ」に対する解決策の一つとしては地味に上策だな
放置より印象に残る

死んでるけど
700名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 20:41:33.19 ID:5vUjz4x/
死して名を残すか
701ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 20:48:15.48 ID:rq7xdup+
初投稿です。21:00から投下します
702名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 20:58:10.79 ID:VLxDQu9Q
>>784
ラリカがそこに連載されてたらケイオスあたりの順位だろうな
703ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 21:03:11.05 ID:rq7xdup+
第1話 軽薄な使い魔


 草原を駆ける一陣の風。一陣どころか、十陣百陣もの風が爆発によって巻き起こされていた。
そこはハルケギニアのトリステインで随一を誇るトリステイン魔法学園。その日は進級するためにかかせない春の使い魔召喚の儀が催されていた。
桃色のブロンドの髪をたなびかせて立ち尽くすのは公爵家が三女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。所々焦げつかせた髪や服もさながら、辺り一帯の草原も酷い有り様であった。
そんな彼女を遠くから取り囲む者達は皆、退屈そうにしていたり非難を浴びせる者達がほとんど。頭髪の寂しい教師と赤髪のグラマラスな少女以外、皆そうであった。
桃色で小さな少女は震える。怒り悲しみ泣き叫びたい泣きわめきたい衝動を必死で堪える。私は、ゼロなんかじゃない。

704ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 21:06:50.12 ID:rq7xdup+
 子供の頃、最愛の姉がこう言ってくれた。ルイズは無限の可能性を秘めているんだと。
私は可能性を失っているかもしれないけれど、それでもゼロじゃない。なら、可能性を秘めているあなたがゼロのはずないじゃない、と。
私は出かかっていた涙を汗を拭くふりをして拭い去ると。目をしっかりと開いて眼前の空間を見つめた。
信じるんだ、私の力を、信じてくれた姉のことを。そして、私のかけがえのないパートナーになるであろう、使い魔のことを。

705ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 21:09:34.29 ID:rq7xdup+
 ルイズは遠く離れた周りの者達が思わず耳を塞ぐほどの大音量で叫んだ。サモン・サーヴァント。使い魔を呼び出す呪文を。
「宇宙の果てのどこかにいる私の僕(しもべ)よ! 神聖で美しく、強力な使い魔よ! 私は心より求め訴えるわ! 我が導きに、答えなさい!!」
今日何度目になるかどうかわからない爆発が起こり、周囲は土煙に包まれた。
流石に我慢の限界にきた生徒たちは校舎に戻ろうとするがその内の一人が気づいた。
「おい……土煙の中に何かがいるぞ!」
一斉に皆が振り返り、その一点を見つめた。土煙が徐々に晴れていくとそこには。
「いってぇ……何だぁ? ここどこだべ? おお!? 目の前に可愛い女の子がいるべ!!」
とても中学生とは思えない、顔と体に爪跡を残すアロハシャツの男がそこにいた。

706名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:10:03.50 ID:8wkggHUg
とりあえず>>1に目を通してからにしてくんないかな?
707ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 21:12:17.40 ID:rq7xdup+
 「ルイズが変な服装の平民を召喚したぞ!」
「あの体と傷からすると傭兵を召喚したんじゃないか!?」
「ゼロのルイズにしては上出来か? 平民だけどな!」
周囲の男子生徒から私へと当然のように野次と嘲笑が降りかかる。震えて声の出ない体を無理矢理奮い立たせて声を出した。
「コルベール先生、サモン・サーヴァントのやりなおしをさせて下さい!」
私は懇願する。これで私はゼロではないことが証明された。でも、限りなくゼロに近い。なぜなら召喚された生き物は猫でも梟でも竜でも亜人でもないーーただの平民なのだから。
「駄目だ。この召喚の儀は神聖なものだ。召喚された生き物と契約を行わなければミス・ルイズは進級できないことになるが……それでもよいのかね?」
この場を取り仕切る教師のコルベールは、そのあまりにも気の毒な選択肢に苦い顔をしつつもルイズに申告した。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:14:49.95 ID:8wkggHUg
見えてるかな?
sage進行のスレにageで連続投稿とか普通に荒らしなんだけど?
709ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/17(火) 21:17:02.56 ID:rq7xdup+
>>706 元ネタとsageですか? 元ネタはうえきの法則です
710名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:25:58.84 ID:18b8JaeX
>709
……ルールミスったこと把握したんなら謝罪と反省ぐらいしようよ……
711名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:26:30.08 ID:8wkggHUg
>>709
いやそんなわかってますよみたいな言い方してるぐらいなら
最初っからちゃんとやってくれないかな?
712名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:36:33.82 ID:KQwBifeo
>>709
取り合えず6000年ROMれ
つか投下のルールも守れない奴に
ゼロ魔はもちろん、うえきの法則を触ってほしくない
713名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:42:32.81 ID:AzAmSFOV
一回のミスでそこまで突っ込むのも狭量じゃないかって気もするけど
まあ荒れるだろうからしばらく時期みた方がいいかもね
714名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:49:10.01 ID:tHxGbvHW
提督やuウルトラより面白そうだ
ガンバレ
715名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:53:04.60 ID:EfB4omtQ
>>712
何様だとか言いたいことは色々あるが
まず一番言いたいことはもう少し度量がでかく持てよ
まあ投下した奴も謝罪はこの際なくてもいいから反省はした方がいいぜ
716名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 21:55:27.74 ID:Ecu01gb0
まぁ、次に来たとききっちりしてればよかろ

>>709
次は気を付けるようにね
717名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:03:51.49 ID:TlT0rWW0
一話だけで二度と来ないパターンだな
718名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:20:36.17 ID:8wkggHUg
つか投下してくるってことはこのスレが投下したりするスレだって認識してる訳で
そうなると>>1をはじめとしてスレの雰囲気がつかめるぐらいまで読んでるはずでしょ
まとめにもテンプレがあったりするわけだし

別にくるなとかもう投下するなとかいうわけじゃないけど
やるんならちゃんとやってほしいしできないなら投下しないで欲しいっつのは正直なところ

さてじゃあ復活希望作品でもあげていこうか

俺はゼロのガンパレードと宵闇の使い魔
719名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:22:49.56 ID:RTLe+1qY
何か変な流れになってんな

TeamFortress2からPyroさん召還



…ガスマスクの上からキスしても契約できるんだろうか
720名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:29:20.00 ID:Qwnz2OuJ
>>718
ゼロ・HiME 希望
721名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:33:29.95 ID:TlT0rWW0
毒の爪の使い魔
ゼロのミーディアム
722名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:45:19.41 ID:HGmr26/V
ラスボス
723名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:47:18.64 ID:Z/Qti2yN
エデンの林檎
724名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:48:08.08 ID:M5UZ/4XW
牙狼
そういや新しいTVシリーズ出るみたいだな
725名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:59:17.41 ID:blZ6seLJ
ゴーオンジャー クロスオーBANG

ガチで復活してほしい
726名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 22:59:27.26 ID:tzCZwInn
Mr0の使い魔
727名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 23:00:04.12 ID:w+5VV8ro
ウフコックのヤツ 黒蟻
728名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 23:08:42.41 ID:RwhJ/lZl
侍の使い魔
729名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 23:31:16.45 ID:ejSwf/YE
五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔
730名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/17(火) 23:50:50.17 ID:AzAmSFOV
スプリガンの3人の人とアームズの魔王の人、それにDQ5一家の人だな
731名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:05:20.06 ID:fT3uSfuh
とりあえず全部
732名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:09:21.97 ID:mZnts9Y7
 サイヤの使い魔とゼロの騎士団、そしてGIFT。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:19:51.10 ID:W9jDeKc3
SeeDの続き、待ってます。
734名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:20:39.51 ID:7dN7TyA9
挙げたいのは大体挙がってるが…鋼の使い魔とか帰ってこないかなー
735名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:37:03.88 ID:bjhtgPKt
ありすぎて絞れないけど、とりあえずオブリビオンのやつと
マジック・ザ・ギャザリングのやつ
736名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:44:39.80 ID:mlUMgs2n
ラスボスさんこないかなあ。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:55:13.45 ID:mZnts9Y7
カービィを忘れてた
738名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:57:06.99 ID:LiXco//M
マテパの人、いつまでも続き待ってるぜ。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 00:59:36.16 ID:y8BXLScU
完結してない作品は全部待ち望んでる
740名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:06:40.20 ID:fT3uSfuh
警部殿
741名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:08:32.68 ID:H/lrNYPO
避難所の方のだけどアサクリの続きがそろそろ読みたい
742名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:11:59.78 ID:Y4/fxL36
ここ数か月音沙汰ない作品は生存報告があると安心なんだが
743名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:16:47.38 ID:7fX5NExl
生存報告だけってのもアレじゃね? っつー不安がある
744名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:26:17.58 ID:I7ohCsR0
>>739
だよなぁ、まとめwikiみてるとこれから面白くなりそう、ってところで止まってるのが多くて残念だ
745名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:36:01.30 ID:VEAq/7YX
赤目の復活を希望
746名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 01:48:16.62 ID:uEViJMRo
魔砲使いとアクマがこんにちはの作者さん
更新停止してるわけじゃないよね?続き楽しみに待ってます
747名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 02:38:13.02 ID:0fVeGlcU
それはどっちもたまに出てくるやん
748名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 03:01:57.32 ID:rgIT7FqP
ゼロの大魔道士
一年半以上停止していて期待薄だが
749名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 06:35:48.25 ID:saEycfF9
ムスタディオのやつ
750名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 08:01:58.80 ID:Bo3xnFbn
ゼロの魔王伝・・・・・
751名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 08:48:59.21 ID:YSQ+Y7fT
TAPはもう無理か・・・・・・・
752名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 10:41:45.61 ID:iUuiQDLi
問題なければ10分後から、小ネタを代理投下します。
「正義の妖精 ジャスティス☆マリー」から「猫天使タマエル」召喚です。
753名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 10:42:18.31 ID:wCr3litE
ザボーガー、は映画公開までに復活して欲しいけど、なんか袋小路っぽいよな
754正義の雪風 ジャスティス☆シャルロット@:2011/05/18(水) 10:51:13.30 ID:iUuiQDLi
「正義の雪風 ジャスティス☆シャルロット」

「きゃあああっ! 痴漢よ〜っ!!」
 乗合馬車の車内に女性の悲鳴が響いた。
「事件ニャ! タバサちゃん、変身ニャ!」
「……わかった……タマエル……」
 その声を聞きつけ現場に急行する、魔法学院2年生・タバサと彼女が召喚した使い魔・猫天使タマエル。
 そしてタバサは懐から取り出した杖――星の紋章や翼が付いた多分に装飾的な、普段学院で使用している杖とは明らかに異なるそれ――を天に掲げ、呪文を詠唱する。
「……チェンジ……ジャスティス……!」
 呪文と共にタバサの体は閃光に包まれ、その中で彼女の体は急成長していく。
 そして光が消えた時、そこには……、
755正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットA:2011/05/18(水) 10:54:48.37 ID:iUuiQDLi
「ジャアアアスティイイス!!」
 身長2メイルを超える筋骨粒々といった体格のメイジ・ジャスティスシャルロットが、雄叫びを上げつつ目をぎらつかせて全力疾走していたのだった。
「ジャスティスキーック!!」
 飛び蹴りの一撃で乗合馬車を横転させると、シャルロットは周囲を見回し、
「痴漢はどこじゃー!!」
「あっちです!」
 と女性が指差す先には、いち早く乗合馬車から脱出しそのまま逃走しようとする中年男性の姿があった。
「むっ! ジャスティスステッキ!」
 気合一閃、シャルロットは中年男性めがけ飾り付きの杖・ジャスティスステッキを投擲した。
「ぎゃおっ!」
 狙い過たずジャスティスステッキは中年男性の尻に直撃、男性はステッキが尻の穴に刺さったまま悶絶しつつ重々しい足音を立てて接近するシャルロットを待つ以外不可能だった。
「あひっ、あひい〜っ」
「お前は2つの罪を犯した。1つは被害者の女性に、もう1つは善良な乗客に! 痴漢冤罪事件!! 万が一痴漢に間違われたら人生が終わる。善良な乗客は遣わなくていい気を遣い、悲しい努力を続けている。それも全て貴様のような痴漢野郎がいるせいだ!! 
一部の糞野郎のせいで多くの善良な人々が迷惑する、そんな事はあってはならぬうっ!!」
 そして腰を振りつつ呪文詠唱していくシャルロットがかざすジャスティスステッキに、魔力の光が収束していく。
「よって魔法でお仕置きじゃい! 赤ジャスティス青ジャスティス黄ジャスティス……自分の尻が大好きになーれ!!」
「んぎゃー!?」
 ジャスティスステッキからほとばしる光線が、中年男性を直撃!
 ややあって、中年男性は自分の尻を激しく揉みしだき始める。
「あっ、ああ〜ん。あっ、あふっ、らめえ〜。やめられない止まらない〜。ああ……、わ、わしはこれからどうなってしまうの〜?」
「知らん! ジャースティース!!」
 涙・鼻水・唾液にまみれた顔で尋ねた中年男性に背を向け、高々とジャスティスステッキをかかげるシャルロット。
 するとそこに、
「あの……、痴漢から助けてくれてありがとうございました」
 胸元が大きく開けられた上着に、膝上と言うより股下と言った方が適切な丈のスカートを穿いた女性――冒頭で上がった悲鳴の主だ――がシャルロットに感謝の言葉を述べたが、
「お前も無防備すぎだー!!」
「ひでぶっ!」
 シャルロットによる平手の一撃であえなく撃沈。
「ありがとう、ジャスティスシャルロット!!」
「なんかありがとー!!」
「ジャースティース!」
 そしてシャルロットはその場に居合わせた男性達からの声援に見送られ、どこへともなく走っていったのだった。
756正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットB:2011/05/18(水) 10:57:18.15 ID:iUuiQDLi
「ニャにーっ、ジャスティスシャルロットをやめるー!?」
 川沿いの道を歩きながらタバサが放った言葉に、タマエルは思わず驚愕の声を上げた。
「……私……もう2度と変身しない……」
「どどど、どーしてニャ!? シャルロットに任命した時にはあんニャに喜んでたのに……」
 確かにタマエルを召喚した日の夜、自分が魔法少女に選ばれたと知ったタバサは、
『……私が魔法少女……嬉しい……やるやる……』
 と大変な喜びようだった。
 しかしそれは、
「……だってそれは……大人の女性に変身すると思ったから……」
 そう、タバサが考えていた変身後の姿は美しさと可憐さを合わせ持つ長身の女性であり、その姿に憧れていたからこそタマエルからの以来を快諾したのだった。
「……それが何でああなの……」
「え? だってあれはタバサちゃんが――」
 ここで時間は再度タマエルを召喚した日の夜に遡る。
『……ねえ……変身すると大人の姿になるの……』
『なるニャ』
『……あの……だったら1つ頼みがある……』
 タバサはそこまで言うと少々の間恥ずかしがるように口ごもっていたが、やがて意を決したように言葉を続ける。
『……お……大きくしてほしい……』
「――だから……」
「……そうじゃない……」
 タマエルの言葉に思わず声を上げたタバサ。創造と現実の差を考えれば無理からぬ事だろう。
「……それに何で変身すると……人格まで変わるの……」
「あれはもう1人の君の姿だニャ。君の中の正義の心、それを増幅させた正義の塊、それがジャスティスシャルロットなんだニャ」
「……もう1人の私……あれが……」
 タバサは思わず顔を引きつらせた。シャルロットの人格が元々自分の中に存在したものだという事に、少なからず衝撃を受けたようだ。
757正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットC:2011/05/18(水) 10:58:16.30 ID:iUuiQDLi
「……で……でもやりすぎ……この間は騎馬暴走族を壊滅させてしまうし……その前は悪い子爵を魔法でブタに……その前は感覚共有で覗きをしたオールド・オスマンを巨大化させて晒し者にしてしまうし……」
「否! このタマエルはハルケギニアを正義の光で照らすため、天上界より使わされた猫天使ニャ! だからジャスティスシャルロットの行動にも間違いは無いニャ!」
「……そ……そうなのかな……」
「それともタバサちゃんは、ハルケギニアが悪で満ち溢れてもいいって言うのかニャ!?」
「……そ……それは困るけど……」
 そしてタマエルは首から提げている厚紙の裏に視線を向け、
「悪を成敗する度に貰えるジャスティススタンプもまだ7つ……。戦いはまだこれからニャ」
「……気になってたんだけど……それ全部埋まるとどうなるの……」
「ボクの肩書きが、『天使』から『天使長』にランクアップするんニャ〜」
「……自分の出世のため……」
 タマエルのあまりの発言にどん引きしたタバサ。一方タマエルは慌てて、
「いやいや、そういうのも含めて頑張ろうっていう意味ニャ」
「……どういう意味……もうタマエルを信じられない……」
「タバサちゃん!」
 何とかしてタバサに自分の言葉を聞いてもらおうと、タマエルは強い口調で語る。
「違うんだ、タバサちゃん。ボクの目を見て!」
 その言葉にわずかに心打たれ、タマエルの瞳を見つめるタバサ。すると、
「……催眠術……」
 タマエルの瞳から放たれた怪しい光輪から、タバサは慌てて目を逸らす。
「いやいや、今のは冗談で……」
「……冗談で催眠術かけるなんて信じられない……」
 そう言うとタバサは、手にしていたジャスティスステッキを川に放り込んだ。
「あーっ、ジャスティスステッキがー!! ボク泳げないのに〜」
 慌てふためくタマエルには目もくれず、その場から立ち去るタバサ。
「あっ、タバサちゃん」
758正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットD:2011/05/18(水) 10:59:58.45 ID:iUuiQDLi
 1人道を歩くタバサ。
 その視界の隅に、『変な人についていっちゃ駄目だよ!』の文字と衛兵の鎧を着込んだ犬の絵が描かれた立て看板が入った。
(……これでもうシャルロットにならなくていい……悪人は衛兵に任せればいい……)
 そんなタバサの後方から1台の馬車がゆっくり接近し……、
「………!」
 追い越し様に馬車の中から身を乗り出した男が、タバサの口を押さえて車内に引きずり込んだ。
(……え……何……た……助けて……助けてタマエル……)
759正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットE:2011/05/18(水) 11:01:37.26 ID:iUuiQDLi
 トリスタニアのはずれに位置する倉庫街。そこにある倉庫の1つでは……、
「いかがですか、御前。今宵の生け贄は?」
 2人の男――片方は先程タバサを馬車に引きずり込んだ男だ――を左右に従えた「御前」ことジョゼフ1世の視線の先には、天井から逆さ吊りにされたタバサの姿があった。
「マーベラス。では早速始めようか」
 そう言って満足げに歪んだ笑みを浮かべたジョゼフ1世は、下着だけ残して纏っていた衣服を全部脱ぎ捨てる。
「……嫌……何をする気なの……」
 すると男の1人が逆さ吊りにしたタバサを抱え、無造作に積み上げられた木箱によじ登る。
「………」
「いきますよ、御前」
「OKー」
 首を傾げるタバサをよそに、男は簡素な造りのベッドに横たわったジョゼフ1世に声をかけ、タバサを抱えていた手を離す。
「……きゃああ……」
 当然の事ながらタバサの体は振り子の要領で勢いよく移動し、
「うほほー♪ 私の醜い肉体を可憐なめがねっ娘の汚れ無きショートヘアがあ〜♪」
 素肌に直接当たったタバサの髪の感触に悶絶するジョゼフ1世。タバサの体が通過すると大きく息を吐いていたが、戻ってくると再度、
「……きゃー……」
「おっ、おふうーっ♪」
 タバサの髪がジョゼフ1世の素肌に触れ、ジョゼフ1世は悶絶しつつ声を上げた。
「いかがですか、御前?」
「……エクセレンッ」
 にやけた笑顔でそう答えたジョゼフ1世に呆れた視線を向けるタバサ。そんな彼女を再度抱えた男が語りかける。
「金と権力を手に入れた御前の望みは、ご自分の特殊な性欲を満たす事のみなのだ」
「……最低な大人……」
 激しい衝撃を受けたタバサに向かってジョゼフ1世はおもむろに上半身を起こし、
「あ、『ショートヘアさわさわ』以上のエロ行為はしないから。私その辺紳士だから」
「……その格好で紳士言う……」
「もちろんお礼はさせてもらうよ」
 とジョゼフ1世が掌で指し示した先には、金貨がいっぱいに詰まった袋を両手で持ち、さらに背中にも背負っている男が立っていた。
 しかしそこでタバサを抱えていた男が彼女の頭に杖を突きつけ、
「ただし、そのお金には口止め料も含まれている。わかるよね? ……わかったらおとなしく我々に従いなさい。返事は? イエスorノー?」
「……イ……」
 そこまで言ったところで、タバサは強い決意を込めた瞳で男を睨みつけ、
「……嫌……あなた達は悪人……悪人の命令には絶対従わない……」
「このガキ……」
760名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 11:02:48.85 ID:OLhY1KkW
なぐもん「では、私は『メガネでさわさわ』の方を」
761名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 11:03:24.04 ID:RV9Lu7dc
イザベラ泣くな
762正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットE:2011/05/18(水) 11:03:38.26 ID:iUuiQDLi
「うん、その瞳なんだニャ」
 突然聞こえてきたその声に、タバサもジョゼフ1世も男達も声がした方向に視線を向ける。
「その熱く激しい正義の瞳。やっぱりシャルロットはタバサちゃんじゃなきゃ駄目なんだニャー」
 一同が見上げた先には、全身ずぶ濡れになったタマエルがジャスティスステッキ片手に明かり取りの小窓の枠に立っていた。
「……タマエル……」
「タバサちゃん!」
 タマエルが投げ渡したジャスティスステッキを器用に体を振って後ろ手に受け止め、タバサは呪文を詠唱する。
「……チェンジ……ジャスティス……!」
 呪文と共にタバサの体は閃光に包まれ、その中で急成長していく彼女の体が拘束していた縄をひきちぎっていく。
「法で裁けぬ悪党を、魔法で裁く夢乙女!」
 人が着地した音とは思えない轟音を立てて、人影が床に降り立つ。
「正義の雪風っ! ジャスティイスシャルロットオオオオ!!」
 本当に光を放たんばかりに目をぎらつかせて、高々と吼えるシャルロット。
「ひっ、ひいいっ!」
 狂乱状態に陥った男の1人がエアニードルを放ち、それがシャルロットの二の腕に命中する。
 しかしその傷口からは多数の目と蠢く触手を持った何かが顔を覗かせ、甲高い声を上げつつ傷を塞ごうとしていた。
「うわあああ!?」
「何だそれはー!?」
「これは……、『魔法』だ」
「違うよ! 『魔』だよ! あんたの体に巣食ってる『魔』だよー!!」
763正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットG:2011/05/18(水) 11:06:46.54 ID:iUuiQDLi
「こいつ人間じゃねえー!」
「勘弁してくれ」
「おとなしく衛兵に捕まるから〜」
 すっかり怯えきった状態で、拝まんばかりにシャルロットに懇願する3人。
「衛兵?」
 ジョゼフ1世のその言葉に、シャルロットはぴくりと眉を動かした。
「お前らを衛兵になぞ渡しはしない。なぜならっ! 貴様らのようなド変態が捕まりニュースになったら、その変態の原因は漫画やアニメだと根拠の無い事を言い出す馬鹿が現れて、さらにはアホな法律を作ろうとする未熟な正義感で動く糞虫どもが湧いて出る事になるのだ!! 
変態は変態である事を自覚して、他人に迷惑をかけずにひっそりと変態ライフを営む! それが真の変態道である!!」
「は、はい、すみません」
 平身低頭でかしこまるジョゼフ1世達の姿にシャルロットは何かの気配を感じたのか、
「はっ、……といってる間にもこのわしをいやらしい目で見ているな、この変態め!」
「見てねえー!!」
 慌てて胸元を隠しスカートの前部を手で押さえるシャルロットに、ジョゼフ1世は精一杯の否定の言葉を返した。
「いいや、騙されんぞ。今まさに貴様の脳内では、このわしの可憐でチルドレンな肉体が醜い欲望のなすがままに……」
「してないし! あんた可憐でもチルドレンでもないし!」
「ええい黙れ! そもそも魔女っ娘は少女達の憧れの存在であって、大きいお友達のものではないのだぞ!! だから魔女っ娘作品同士のクロスSSなんか鼻の下伸ばして読んでんじゃねーぞ!!」
「何の話!?」
 後半になってシャルロットが突然自分ではない誰かに対し激しく言い放った事に、困惑を隠せないジョゼフ1世。
764正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットH:2011/05/18(水) 11:08:25.93 ID:iUuiQDLi
「とにかくわしを肉欲の目で見るのはやめろ!」
「見るわけないだろー!」
「何? じゃあ何か? このわしに女の魅力が無いとでも言うのか!?」
「あるわけないだろー!」
 ジョゼフ1世の返答は実に自然なものだった。
 しかし次の瞬間、シャルロットに顔面を乱暴にわしづかみにされて持ち上げられた。
「何だとー!!」
「いだだだ、嘘です嘘です! とっても魅力的です〜」
「やっぱりエロい目で見てたなー!!」
「どないせいっちゅーんじゃー!!」
「うるさいっ! 魔法エクスプロージョーン!!」
 大きく開かれたシャルロットの口の奥に魔力の光が点り、そこから放たれる光の奔流が倉庫を木端微塵に爆散させる。
765正義の雪風 ジャスティス☆シャルロットI:2011/05/18(水) 11:10:14.56 ID:iUuiQDLi
 塔の頂上に立ち、炎上している倉庫を眺めるシャルロット・タマエル。
「タマエルよ、そのジャスティススタンプは残りあと幾つだ?」
「残りあと34ニャ」
「楽勝じゃな!!」
 そう言いつつにっと豪快な笑みを浮かべたシャルロットに、タマエルも思わず笑顔になるのだった。
 ──かくして、ジャスティスシャルロットの戦いは続く! ハルケギニアを力ずくで平和にするために!! ジャースティース!!

『ジャスティスシャルロットが、魔法でシーワーウルフの人達をクジラにしてしまいました。「そんなにクジラが好きならクジラになればいい!」とシャルロットは高らかに笑い……、これは国際問題に発展し……』
 ……というニュースを映す「遠見の鏡」に、目の幅程の涙を流すタバサと満足そうに微笑むタマエルだった。
 ──たまにやりすぎちゃうけどね……。
766名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 11:11:38.05 ID:iUuiQDLi
代理以上です。
いやあ、いろいろと深いお言葉をいただきました。
シーワーウルフざまぁ
767名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 11:22:47.54 ID:R3uePjue
投下及び代理乙

元ネタは知らないが色々とひでぇ。
シェパード居ないからワーウルフなのか。
768名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 12:37:26.78 ID:d2ulNNdm
>>699
たぶん、ギーシュもフーケもワルドもエルフも、一発食らって二度と姿を現さないんだろうな

肉体と精神が完全にかい離している上に、人体の合成ぐらいかるいなら再登場もあり得るけれど
あれ、でもこれだと、デルフ再登場の可能性もゼロじゃない?
769名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 12:39:27.51 ID:d2ulNNdm
>>765
そういえば、有機物の合成ってゼロ魔だと豆から肉モドキくらいだったな

無機物も真鍮や青銅が関の山みたいだけれど
770名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 13:00:20.72 ID:tYk7kfTJ
銀河に旅立ったドクターマンハッタンがルイズに召喚されて・・・
さすがに青白く光る全裸の男をそこら辺から連れてきた平民だとは言われないよな?
771名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 13:27:17.07 ID:ofo/WSI2

Yesロリータ.Noタッチということですね
あの悪名高き児○法が改悪されたら、いずれルイズやタバサも規制の対象になるかもしれんな
772名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 16:38:05.34 ID:Ywo2kf3M
ゼロ魔なんて、全年齢に無理矢理しようとして失敗したような出来だから確実だな


そう言えばロリコンの気があるキャラはあいつ等をみてどう思うんだろう
どっかのエルフに目移りしなかったり、今までろくにかかれなかったのに牙をむいたり
霧亥だってロリ(ババア)には優しいはずだし
773名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 17:05:34.98 ID:Uoeb7KPJ
そろそろエクスデスの人の続きが見たいなぁ(チラッ
12からガブラスとか面白そうだけど得物的にデルフェ・・・
774名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 18:35:59.41 ID:RV9Lu7dc
ロリコンと言えばどこぞのアメリカの千葉出身のCIAスパイだな
あいつはルイズに召喚されたら幸せだろうなあ
ルイズの方は身の危険を感じて着替えをさせれんだろうが
775名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 19:20:47.55 ID:pgEk/l4r
北ダコタの人か
あの人真性だったっけ?
776名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:06:21.98 ID:1mDFr6wy
真性だよ。少女が育つことが耐えられない人。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:25:29.70 ID:uz5ybZPV
あの作品の主人公 つぶれあんまんな『殿下』は、チートすぎるから呼ばれないのか?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:43:18.48 ID:V4S9mjg1
百合っ娘を呼んでドキッ女の子だらけの希望。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:49:13.66 ID:M2+KJaNA
遠山キンジ召喚
780名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:54:14.05 ID:ex1b71xv
小ネタで呼ばれたことはあったが
本格的な召喚モノは行動が読めないキャラだけに難度が高そうだな
781名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 20:59:30.27 ID:ToZoYy9y
>>777
なにしろ18世紀の時代にレーザー砲作っちまう奴だからw
ただがめつくて、やりすぎて失敗もするんだよな……今気づいたがまるで両さんみたいだな
782名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:09:40.20 ID:1HaVFs+A
>>779
いまなら「この泥棒猫!」と叫ぶ巫女がついてきます
783名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:18:12.76 ID:ex1b71xv
つぶれあんまんは…

手帳と万年筆から通信機を作るほどの科学力
核兵器は勿論、電送機(瞬間移動装置)や亜高速で飛ぶ魔法のジュータンも作れる
対幽霊用の銃などというオカルトじみたものまで作ったことがあった
時間を停止(どこぞのスタンド使いみたいに5秒とかケチなことを言わず何ヶ月でも止めていられる)する能力や、
時間を過去や未来に旅することができる能力もある

うむチートだな
本気で殺すつもりで戦えば眼力ホモなど敵ではないはずだがw
784名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:33:25.27 ID:6mzFV9U1
>>779
一瞬、遠山の金さんかと思ったよ。

もし召喚されたらどうなんだろうな。
お白州でフーケに対して遠山裁きをするのだろうか。

ワルド「おのれ!遠山!まさか、ルイズが召喚した遊び人だったとは!」とか
フーケ「証拠はありませんが、証人ならいます!金さんを呼んでください!」
金さん「トリスティン所払いを命じる。」
   「フーケ、いやマチルダ、故郷のアルビオンで妹さんと
    仲良く暮らすんだよ!」
とかいう展開になるんだろうか。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:36:34.77 ID:oPqYJflF
確か時間停止中に体感時間数ヶ月かけて数十機の核ミサイルをオール人力で全部分解したことがあったよな。
786名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:39:22.75 ID:BOCln2qg
コードギアスでC.C.とかV.V.を召喚とかないだろうか
呼ぶ時期によるだろうけどこいつらだとすぐに使い魔のルーンが取れそうな気がするな
787ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 21:41:17.04 ID:Rwe5jNqY
21:50から投下します。お騒がせして申し訳ありませんでした
さるさんが来るまで投下します
788名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:42:11.90 ID:oFWYy3Hd
>>787
期待してます
789名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 21:43:38.00 ID:ToZoYy9y
>>785
うん、そのせいで時間停止と時間移動は緊急の時以外はしなくなったw
790ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 21:51:03.61 ID:Rwe5jNqY
 自分が召喚した使い魔を見た。金髪のオールバック。顔には三本の爪痕。目はギョロりとした悪人面。服は半袖半ズボン。
前の開いた服からは鍛えられた体と二つの爪痕が覗いている。ジロジロと私を見てくる。そのいやらしい視線が気持ち悪くて怖かった。
せめて、普通の軟弱そうな平民が良かったなどと有り得ない事を思ってしまう程だった。
「……わかりました。ミスタ・コルベール。この平民と契約します」
私はいまだに尻餅をついている軽薄な平民の近くによると、腰を少しかがめて呪文を紡ぐ。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
詠唱を終えると杖先を男の額に触れさせ、いまだにニヤニヤと生理的嫌悪感を感じさせる男にキスをした。
もしかしたら勘違いをして襲われるんじゃないかと身構えたが、特に何もしてこなかった。
不信に思って顔を離して見ると、にやけ顔からは一転、何が何だかわからないといった表情をしていた。
「……何でだべ? オレは女子に嫌われんのにキスされるなんて……はっ!? まさかおめえ男なのかぁ!?」
「はっ……はぁあああああああああ!? ななな何て失礼な事を言うのかしらこの平民は! こんなのキスの内に入るわけないじゃない! いいこと、これはコントラクト・サーヴァントといってーー」
「ッ!? ぐあああああああああああああ!!!!!」
「ん? ああ安心しなさい。使い魔の印が刻まれているだけよ。少しだけ我慢しなさい」
地面で左手を押さえてのたうち回る平民の男にそう告げる。次の瞬間、私に悪寒が走った。
「‘影’をーー」
791ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 21:54:28.48 ID:Rwe5jNqY
男は立ち上がり何かを言おうとしたが、さっきまでの憎悪が嘘のように消し飛んだ。私は男を見据える。
またへらへらとにやついているが、何故か先程まで感じていた嫌悪感は跡形もなく消え去っていた。
「あんた、名前は?」
「カール・P・アッチョだ。気軽にカルパッチョって呼んでくれればいいべ」
「わかったわカルパッチョ。私は」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」
「一度聞いただけで良く覚えていたわね」
「可愛い女の子の名前は忘れない主義なんだべ」
「……チャラチャラしてて恐い顔なわりには意外にしっかりしてるじゃない。いいわ。その心掛けに免じて特別に名前で呼ぶことを許可してあげるわ」
「おお、ありがとなぁルイズ!」
「よろしくね、カルパッチョ」
神聖でも美しくもないけれど、竜でも亜人でもないけれど。自然と近くにいると力強さ、頼もしさを感じさせる私の使い魔だった。
まぁ、といっても何の力も持たない平民が到底メイジに勝てるとは思わないんだけどね。変な私。

 無事にコントラクト・サーヴァントを終えた事を教師のコルベール先生に伝えると、コルベール先生は物珍しそうにカルパッチョの左手に刻まれたルーンを紙にスケッチし、皆に春の使い魔召喚の儀の終了を伝えた。
「ルイズは歩いて来いよ!」
「あいつはフライもレビテーションも出来ないからな!」
「歩くことしか出来ないそこの平民の使い魔とお似合いだな!」
生徒達は空を飛ぶ魔法フライを使って学院へと戻ってゆく。限りなくゼロに近い私の魔法では空を飛ぶ事が出来ない。どの魔法を使っても必ず爆発してしまうからだ。
置いてけぼりの私と使い魔。カルパッチョが私に話しかけてきた。
792ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 21:57:52.83 ID:Rwe5jNqY
「あれはあいつらの能力なのか?」
「能力? 魔法よ。空を飛んだり物を浮かせたり、メイジにとっては朝飯前なのよ」
「便利な能力もあったもんだなぁ。ならオレは後から歩いて来るからルイズは先に帰っててもいいべ?」
「いいのよ。使い魔を置いてけぼりにする主は主失格なの。だから一緒に歩いて帰るわよ」
「……まぁ、一部なら能力見せてもいいか」
そう言うとカルパッチョは右手に嵌めた指輪をかざしてみせた。そして宣言する。
「‘指輪’を‘ロケット’に変える能力(ちから)!!」
指輪が腕輪へと変わり、腕の周りをツタが巻くように伝って背中に到達すると背中から二対の小型の筒のようなものが出現した。
下の穴から火花が飛び出すと、カルパッチョはあっという間に天高くへと飛び立って行ってしまった。
「ロケット? なにそれ……ってええええええええええええええええええええええ!?」
突然杖もなしに空へと飛んでった使い魔を見て私は驚愕した。杖を持ってないってことは、せせせ先住魔法!? すっ凄いじゃない私の使い魔!!
メイジの実力を見るなら使い魔を見よというわ。これで私はゼロどころかセンのルイズ、いえ無限のルイズよ!
……ううん、違う。いくら私の使い魔が凄いとしても結局私の実力は変わらない。そう、変わらないのよ。

 落ち込む私を見かねたのか、私の使い魔は火が勢いよく燃焼する時の音を響かせ、私の隣に降り立った。
「どうしたルイズ?」
「別に。それよりカルパッチョ、あんた凄いじゃない。平民なのに先住魔法が使えるだなんて」
「先住魔法? これはオレの能力の一部だべ」
「一部って、まだ何かあるの?」
「ああ。例えばーー」
カルパッチョは私のマントに触れると唱えた。
793ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 22:02:20.82 ID:Rwe5jNqY
「‘マント’を‘翼(つばさ)’に変える能力(ちから)!!」
ばさり、と何かが広がる音。視界の両端に見えるのは白い翼。私のとまどいと共に翼もぴくりと動く。まさかと思い、力を込め鳥のように羽ばたかせてみると。
「うそっーー飛べるの? すごいすごい夢みたいっ! わたし飛んでるわっ!」
カルパッチョのように遥か空高く、とはいかないまでも学院を見下ろす程に遥かな空を自由に飛び回る。
これは私の力ではなく使い魔の力だ、とか今はそんなことはどうでもいい。
竜籠に乗って見る下の景色とは違う、初めて私の意思で飛んで見た下の景色。風が私をなでてゆく。こんなに気持ちがいいなんて知らなかった。鳥のように翼で大空を舞えるなんて夢にも思わなかった。
私は使い魔に感謝するために、大きな声で叫んだ。
「ありがとうカルパッチョ! 風がすっごく気持ちがいいし、とってもいい眺めだわ!」
「ルイズに喜んで貰えてなによりだべ! オレもいい眺めだしなぁ!」
え? どうしてカルパッチョがいい眺めなのかしら? あ、そういえば主と使い魔は視覚の共有が出来たわね。
そう思って私は目を閉じてうむむむ〜と念じてみるのだけど一向にカルパッチョの視界が見えてこない。
どういうことかしらとカルパッチョの方を見ると額に手をかざしてニヤニヤしている。んん? まさか。
「カルパッチョ。あなたには一体何が見えるのかしら?」
「ルイズの真っ白なパンツだべ!」
私は滑空しながらくるりと反転し、カルパッチョの顔面にドロップキックをぶち込んだ。

794ルイズとカルパッチョ 第1話:2011/05/18(水) 22:06:19.24 ID:Rwe5jNqY
これにて第1話の投下を終了します。さるさんをくらわずに済みました
795名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 22:20:49.69 ID:M2+KJaNA
アリアも追加ww     
796名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 22:30:22.30 ID:7fX5NExl
>>787
もうつっこむ気も失せるんだけど謝罪や反省するなら
「お騒がせして申し訳ありませんでした」
ではないんじゃないの?

ルールを把握してるのにルール破りをしてしれっと投下とかおかしくないか?
俺がおかしいのかな?
797名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 22:49:49.83 ID:IqrNs7xg
>>796
お前がおかしいんだよ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 22:50:51.17 ID:DbsLbER1
>>796
作品が面白ければわりとどうでもいい
俺は文句言える立場じゃないしな
799名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 22:55:42.17 ID:bXxLB480
まーたこの流れか…
800名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 23:07:40.25 ID:puudJynR
自治もほどほどにって感じ
801名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 23:31:00.76 ID:bU0avBb2
第一、毒は毒吐きに。それを守れないやつは荒らしと同罪。
ルール飲み込めたみたいだし、がんばってください。
802名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/18(水) 23:59:10.28 ID:bXxLB480
ネトゲのキャラクターを召還させんのは難しいだろうか

勿論オリキャラとかの類でなくNPCの類
803名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 00:14:46.89 ID:mm+sCWS+
ストーリーが殆ど無いキャラを呼んで楽しいなら自分で呼べば宜しかろう
804名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 00:47:34.49 ID:B5KqqYWg
NPCでも人格とか設定のないキャラ読んでも三次創作に限りなく近くなる
小ネタで短編書く分には面白いと思うけど、長編はモチベーション持たないと思うよ
805名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 01:00:29.95 ID:SVGoPdQa
今日もアイアイアイアイアアアアアアイスパーキン!!
806名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 01:05:36.63 ID:dOeYIyDk
プレイヤーキャラで人格の描写がない無個性なキャラだったら平賀才人にしてしまえばいいな。
ある意味才人魔改造モノになるか
807名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 01:10:06.81 ID:e5XpueyC
>>803-804
考え無しに言ったけど
言われてみればそうだな…

808名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 02:45:24.45 ID:32juUXde
シャントットとかプリッシュとかなら……。
でもFF11って無駄に濃いノムリッシュ設定持ってくると基本洒落にならん事態にしかならんからな。その分キャラ付けも濃いんだが……。
809名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 02:49:19.91 ID:B5KqqYWg
そういえば謙虚な使い魔はもう更新しないのかな・・・三次創作だが凄く好きだ
810名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 03:35:06.00 ID:3Z2JRp/8
FF11クロスのはあったんだがどっちも作者不在だな
811NEVER〜新たなる戦い 02:2011/05/19(木) 03:37:54.65 ID:lcXUrkaK
2話目が出来ました。
特に投下予定が無ければ、3:40くらいに投下します。
812NEVER〜新たなる戦い 02:2011/05/19(木) 03:38:49.46 ID:lcXUrkaK
「ハァァァァ!!」

「ぐわぁ!……こ、これが!?……そうか、これがぁ!!」

「そう、これが……『死』だ。大道克己」

「……久し振りだな、死ぬのは。ハハハハ!ハハハハ……うわぁあああ!!」


大道克己は仮面ライダーWの手により、二度目の死を迎えた。
それは完全なる死。
大道克己という存在をこの世から消すもの……その筈であった。

だが……。

「……何故俺は生きている?」

大道克己はぽつりと呟いた。

当然の疑問。
あの時、風都の仮面ライダーより与えられた『死』は完全なるもの。
それはこの身に受けた彼だからこそ。
一度死んだことがある彼だからこそ分かるのだ。


大道克己が最初に死んだのは、子供の頃である。
心臓が弱く病弱ではあったが、その頃の彼は母親思いの心優しい少年であった。
ある日、彼の心臓移植が決まった。
手術が成功すれば、もう病院へ通わなくても済む。
大好きな母親へ迷惑を掛けなくて済む。
手術が決まった日、彼は珍しく外出していた。
母親へオルゴールを買おうと思ったからである。
ところが、その道中に彼は轢き逃げに遭い、そのまま事故死してしまう。

これが大道克己の最初の『死』である。

その後、彼の母親である大道美樹は当時研究していた科学技術により生ける屍として蘇生したのであった。

そして、泉京水もまた大道克己と同じ生ける屍である。
彼らの組織名である『NEVER』。
それは『NECRO OVER』という言葉の略称であり、『死を超えてきた者』という意味でもあるのだ。


「……そうね。あたしも不思議よ克己ちゃん」

大道克己の呟きを聞いて、泉京水は答えた。
いつになく真剣な表情である。

「あの仮面ライダーを連れて行った後、その場に別の仮面ライダーが現れてね。ちなみにその子凄くイケメンであたし好みで……おっと、これは失言だったわね。それでその子と戦って、あたし真っ二つに切られて死んじゃったの」

「そうか……。でも、お前は今ここにいる」

「そう、あたしは確かにここにいる……本当に不思議ね克己ちゃん」

「……ところで、お前はいつからあそこにいたんだ?」

「多分、あの場所へ来たのは克己ちゃんと一緒だと思うわ。あたしは克己ちゃんとはちょっと離れた場所にいてね、それで陰でこっそりと見ていたの!」
813NEVER〜新たなる戦い 02:2011/05/19(木) 03:40:42.11 ID:lcXUrkaK
泉京水は近くの木の後ろへ回ると、そこから顔を少しだけ出してその時の再現をした。

「そしたら、あの生意気そうな小娘が克己ちゃんのところへ行って。で、克己ちゃんがその小娘を人質に取って……後は克己ちゃんもご存知の通りよ」

「そうか……結局、お前もよく分からないということか」

「ごめんなさい、克己ちゃん。役に立たないあたしで……」

大道克己の言葉に泉京水は明らかにがっかりした様子でしょぼくれる。
それを意に介すことも無く、大道克己はこれからのことを考えることにした。
何故今生きているか、それは後でも考えることが出来る。
今すべきことはこの先どうするか、である。

過去が消えていくのならば、せめて明日が欲しい。

それが大道克己の偽らざる思いであるからこそ、過去に囚われることは避けたかった。

「……分からないものは仕方が無い。それならば、重要なのはこれからどうするかだ」

「そ、そうね。でも、ここ一体何処かしら?どう見ても風都じゃないのは確かだし……。あの連中の顔や建物を見る限りヨーロッパ方面っぽいけれど……」

「取り敢えず、近くの街へ行く。そうすれば大体何処にいるかは見当が付く筈だ」

「流石克己ちゃん!こういう時でも冷静なのね!」

抱きつこうとする泉京水を交わし、大道克己はどんどんと先へ進み出した。
泉京水はまるで少女のように頬を膨らますと、ルンルン気分で大道克己の後をついて行った。




ところ変わって、ここはトリステイン魔法学院。
使い魔に逃げられ、周囲の生徒たちから嘲笑の的となった少女……ルイズはコルベールへ懇願した。

「お願いです!もう一度召喚のやり直しをさせて下さい!!」

しかし、コルベールの返答は非情であった。

「先程も言ったが、召喚の儀式は神聖な物だ。やり直しは私の一存では許可出来ない」

「そ、そんなあ……」

ルイズは愕然とその場に膝をついた。

王家とも関わりの深いヴァリエール公爵家の三女として生まれた彼女。
誰もが羨むような出生ではあるが、そんな彼女には唯一にして最大の悩みがある。
それは系統魔法が全く使えないということであった。

ここハルケギニアにおいて、魔法が使えるということは何よりも重要なステータスであった。
一部の例外を除き、貴族はメイジであり、メイジは貴族である。
魔法こそが貴族の証なのである。

しかし、ルイズにはそれが無かった。
ヴァリエール公爵家の三女という肩書き。
それさえもこの現実の前には風前の灯と化してしまう。
事実、彼女はこのトリステイン魔法学院において、他の生徒たちから明らかに見下されていた。

そんな苦渋を舐め続けた彼女が今日、『サモン・サーヴァント』を成功させたのだ。
814NEVER〜新たなる戦い 02:2011/05/19(木) 03:41:52.46 ID:lcXUrkaK
それがどれ程の喜びだったかは想像するに容易い。

しかし、その喜びは束の間であった。
彼女に呼び出されたのは人間。
それも明らかに平民であった。

ルイズは一瞬何が起きたのか理解出来ず、頭の中が真っ白になっていた。
そして状況を飲み込むと同時に、彼女へ嘲笑と野次が飛んで来た。

ルイズはすぐに『サモン・サーヴァント』のやり直しをこの場の監督であるコルベールへと直訴した。
しかし、それは許されることは無く、仕方無しにその平民と使い魔の契約……『コントラクト・サーヴァント』を行うことを渋々了承した。
そしていざ実行しようとした矢先に、いきなりナイフを突きつけられ、挙句の果てには謎の男(?)まで現れて逃走。
契約どころか、使い魔までいなくなってしまった。

これはルイズが今まで生きて来た人生の中で最悪の出来事であった。

その夜、ルイズは部屋の中で布団に包まりながら、ボロボロと涙を流していた。

「どうしよう。このままじゃきっと留年。下手すると退学まで有り得るわ。そんなことになったら……」

ルイズは厳しい母親の顔を思い浮かべると、恐怖のあまり失神してしまいそうになった。

「もう嫌……私が何をしたって言うの?何でこんなことになっちゃったの?もう嫌……もう嫌よ……」

ルイズは一頻り泣くと、杖を取り出してふらふらとベッドから抜け出た。
そして、呪文を唱え始める。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」

(……どうせ留年するんだもん。もう一度『サモン・サーヴァント』やったっていいんだもん!)

「……五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし強く美しく気高い我が使い魔を召喚せよ!!」

ルイズはやけくそ気味に杖を力いっぱい振った。
すると、目の前に大きな爆発が起きた。
あまりの轟音に何事かと隣の部屋から褐色の少女……キュルケが飛び起きてルイズの部屋へ入って来る。

「ちょ、一体何の音よ!?」

「うるさいツェルプストー!どうせ私は爆発しか起こせないわよ!!今だって『サモン・サーヴァント』をやったけど、また爆発よ!笑いなさいよ!!笑え!!アハハハハ!!!!」

「……ちょっとルイズ?」

「何よ!?」

「それ……」

ルイズがキュルケの指差した方を見ると、そこには人が倒れていた。
昼間に彼女が呼び出した男とは違った、黒い髪にパーカーを着た少年。
ルイズは驚きのあまり声が出なかった。
暫くすると、少年は「んん……」と声を上げ、ゆっくりと体を起こし始める。
そして、そのぼんやりと焦点の合わない目で周りを見渡した。
やがて、その視線がルイズの視線とぶつかる。

「……ここは?」

「あ、あんた、誰?」

ルイズがようやく出せた言葉はそれであった。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 03:41:53.27 ID:uSUEAvde
支援
816NEVER〜新たなる戦い 02:2011/05/19(木) 03:47:42.86 ID:lcXUrkaK
本日はここまでです。
例の彼をルイズの元へ呼びました。
そうしないとNEVER側の話だけになっちゃうのでw

今後は某特撮雑誌に載っていたNEVERの小説とかからも色々設定やら何やらを取って来る予定です。
早くエターナルのVシネ見たいなあ。

もう少し長くてもいけそうなので、次はもう少し長めにいきたいと思います。
817名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 04:39:05.28 ID:b631KgQP
投下乙
818名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 08:34:00.25 ID:2s5Ky9jE
召喚しちゃ駄目って言われてたのに、こんなことやったんだから、ルイズには
かなりのペナルティはあるはずだよな。
なんてったって神聖な儀式に泥を塗ったんだから。
819名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 10:07:53.14 ID:aJ2n7wLS
(学院に)バレなければイカサマではないのだよ
820名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 10:33:05.58 ID:099GGDTr
NEVERの人乙です
予め言うけど、モチベーションが下がったらDVDが出るまで休んでいいのよ…w
821名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 12:13:03.21 ID:+SE0Joni
>>818
禁止されてる決闘を堂々と(ギーシュ)
校則を気にせずアンロック(キュルケ)
欠席の常習犯(タバサ)
法律破りの惚れ薬(モンモランシー)
教員にセクハラ(オスマン)

周り中こんな連中ばっかだ。バレなきゃいいし、バレてもまずたいしたことにゃならん。
822名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 12:24:37.15 ID:p0Q2L9DU
キュルケが夜な夜な自室に男を連れ込むのも校則違反だと思うがなw
823名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 12:46:37.39 ID:tO2hBl/U
>>821
一人、シャレにならん重犯罪人がおるwww
824名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 12:52:30.96 ID:iVSbMbuZ
あの学院は名門のくせして、なぜか馬鹿ばかりだからな
というか、あの世界が馬鹿ばっかりなのかも知れん。貴族であれなんだから平民なんかきっと人生満喫してるはず

>>804
人格描写がない作品や、絵ばっかり(マンガとか)なのに台詞がなかったりする作品は鬼門だな
エロゲの主人公みたいな没個性とは違うし
825名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 14:53:00.14 ID:l+hCjSOQ
>>808
そもそもFF11にノムリッシュ設定持って来なくてもええやん、あれノムリッシュ関わってないし
ディシディアのFFキャラは出来の良いイミテーションなんだっけ?
826名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 16:37:12.37 ID:nzI9efIZ
ゼロ魔の世界は基本的に「魔法」のせいで色々と制約があるから、宗教的なものがあるとしても技術や倫理がちぐはぐ……なのに力技で日常が回っているイメージがありますし。
個^土儀明日だと「撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ」という台詞もありますが、ゼロ魔には無いんですよね……
827名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 17:25:08.62 ID:sMItBwFE
俺は新・海底軍艦の「人を撃つのに抵抗があって当然だ。平気で撃つやつはろくなもんにならん」
というのが好きですがね。撃たれる覚悟なんてもんより、人を撃つ罪悪感を持ってほしい。
828名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 17:35:30.33 ID:B5KqqYWg
覚悟云々は知らんが、ノブレスオブリージュはゼロ魔の世界に根付いてるんじゃない
まぁ決してポジティブな意味って訳でもないんだけどね
後、コッパゲが人を殺すのに慣れるな的なこと言ってたな
829名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 17:49:35.96 ID:y1eLMKm6
>>824
 知性的名門と家系的名門は意味が違うってことでしょう。貴族も下級の家柄だと
学校にいけないみたいだし。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:06:36.96 ID:am0AQkNe
明子「フィリップ君が何か変な穴に吸い込まれちゃった…あたし聞いてない!」
翔太郎「何ィー!」
831名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:20:15.58 ID:P/VLwXXN
>>821
ギーシュには一応逃げ道あるけどな。
「平民との決闘は禁止されてない」って奴。
832名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:33:08.26 ID:oVfvf5TS
>>824
名門出身=明晰じゃない罠
833名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:36:56.46 ID:KIUqUkSj
というか他の学校ってあるん?
834名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:46:42.01 ID:iCArCRWm
つぶれあんまんは最凶だよ。
835名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:50:44.95 ID:b631KgQP
>>824
>>なぜか馬鹿ばかりだからな

おっとノボルの悪口はそこまでた
836名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 18:50:58.56 ID:oVfvf5TS
最低でも一国一校はあるかと
少なくとも、ガリアにも一校はある
837名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 19:00:28.30 ID:+z8CFJHg
そろそろ誰かSDKを召還してくれると信じてる
ふと思ったけど幻視ってフーケの宝物庫襲撃の時ロックしておいたら凄まじく早く片付くな・・・
838名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 19:10:37.49 ID:+OEol+r/
俺も、そろそろ誰かがIS、まどマギから誰か来ると信じてる…
839名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 19:23:53.28 ID:dumW7h2s
ハルケは避妊とかどうなってるんだろ
840名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 19:47:14.70 ID:+z8CFJHg
まどマギアレ存在してるだけでも魔力消費してるらしいし大惨事なルートしか見えねぇ・・
841名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 20:18:30.14 ID:2Pgwy0ct
…そういえばルイズにもあるんだよな、女の子の日が。
一緒の部屋で寝泊まりしてて、ある朝、計算ミスって、あわわわわわーなことになってたら悲惨だぞ。
いや、それ以前に洗わされるんだよな下着とか、…ごくり。

逆に召喚された男は男の子の日とかどうするんだろう。

性欲の処理とか大変そうだ。
842名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 20:21:13.32 ID:B5KqqYWg
ルイズはまだだったりするんじゃないかな
それと男の子は毎日男の子の日です
843名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 20:42:43.77 ID:+8nTOJ9u
>>838                                   アリアも追加ww  
844名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 20:46:52.15 ID:XgPNNk4v
ノブレス・オブリージュが何なのかわかってないのがいるな
845名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:02:11.82 ID:GdYM9BWO
破壊天使?
846名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:08:58.10 ID:dqc5kCux
天使?なら、そらのおとしものから……ああもう面倒だからシナプスごとハルケの空に持ってこい!

カオス「愛ってなに?」
キュルケ「それはね……」
847名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:11:59.77 ID:HMGtoO7e
オーガスの桂木桂を召喚して
ハルケでも清々しいまでのナンパ男振りを発揮して欲しい
848名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:13:36.09 ID:Ur2xNZf8
>>846
>>カオス「愛ってなに?」

躊躇わないことさ。
849名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:14:13.29 ID:LdsJBFhP
>>847
それ絶対召喚じゃなくて世界がぶっ壊れた影響で来ただけだろw
850名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:25:03.44 ID:UMKHhmog
>>845
ジェラルド・ジェンドリンとかルイズ並みに鬱屈してそうでいいねぇ‥‥
レオハルト先生に似ているギーシュ(中の人同じ)がメイドに絡んでいるのを見て許せなくなって決闘ふっ掛けたりとか

ミョズ役はメアリー・シェリー&プロメシュースかな
(王大人の代わりにジョゼフに依存で)
851名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 21:29:30.12 ID:pyJS9UrP
>>847>>849
じゃあ、聖地には時空振動弾があるんだなw
852ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:20:47.45 ID:qVsgLood
今から投下します
853ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:22:48.23 ID:qVsgLood
出航してから太陽が地平から顔を見せようかという時間、
ルイズたちの乗船した船は空賊に襲われ、乗船していた者たちは全員つかまってしまった。
「何が、任せろよ!あんた何の役にも立ってないじゃない!このバカンジ!」
ルイズは大声を上げて自分の使い魔をののしった。そこは魔法使いたちとその使い魔たち、
つまりワルド、ルイズ、キュルケ、タバサ、陽介、完二が押し込まれている部屋である。
もともとは荷物置き場の用向きで使う部屋のようだ。ちなみにクマは珍獣だと思われ眠らされ、どこかに隔離されているらしい。
「バ、バカンジはやめろよな!」
完二は呼び方には文句を言ったが何の役にも立っていないことは否定しなかった。
実際、空賊に襲われたとき、完二は陽介、クマと仲良く寝息を立てており、目が覚めたら捕まっていたのだ。
守ってやるなどとルイズに言ったのだ。なのに結果がこれでは完二としては立つ瀬がない。
ワルドが首を振った。
「いや、彼らがいてもあちらの船は大砲をこちらに向けていたのだ。どうしようもなかったさ」
タバサやキュルケがいても空賊を防げなかったのはそれが理由だった。
たとえ空賊の船を撃退できても船がやられてしまえば共倒れになってしまう。
「んじゃあここをぶっ壊して脱出してやるか」
「それからどうするつもりだ?ここは空だぞ」
勢い良く立ち上がった完二に、冷水を浴びせるようにワルドは言った。
無言で完二は上げた尻を再びドスンと音を立てながら落とした。
しばらく誰も話さなかった。
廊下側から扉が開かれた。開けたのは一人の太った男だった。
「俺たちの仕事は王党派に味方する連中を捕まえることなのさ。あんたら貴族派かい?もしそうだとしたら港まで送ってやるよ」
陽介、キュルケはほっとしたようだった。貴族派だと答えれば助かる。そう思ったのだろう。
しかし、誰よりも早く答えたのはルイズだ。
「誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですか。バカ言っちゃいけないわ。わたしは王党派への使いよ!」
それは陽介やキュルケが予想したものとは違ったのであろう。陽介は慌てふためいた。
「おいおいおいおい!」
「なによ?」
「なによ?じゃねーよ!お前なに言ってんだよ!そこは貴族派です、って答えるところだろ!」
「こんなやつらに嘘吐いて頭を下げるなんてごめんよ!」
キュルケが溜め息をついた。
「本当にトリステインの貴族は頭でっかちなんだから……」
「頭に報告してくる。その間じっくり考えるんだな」
空賊は去っていった。
それから陽介は呆れたようにルイズに言った。
「お前ホントどうするつもりだよ……?」
「言っておくけど死ぬつもりなんかないわよ、最後の最後まであきらめるものですか」
ルイズの態度は堂々たるものであった。
その傲岸不遜さにか完二は笑った。
「へへっ、ルイズも言うじゃねえか。ホレ直したぜ!」
それからワルドがルイズに近寄り、肩を叩いた。
「いいぞルイズ。さすがは僕の花嫁だ」
その様子を見て陽介とキュルケは、はあと溜め息を吐いた。タバサは黙りこくっており、何を考えいているかわからない。
一つの部屋の中で温度差が出来始めてしばらく後に再び扉が開いた。さきほどの男だ。
「頭がお呼びだ」
854ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:24:49.18 ID:qVsgLood
それからルイズたち一行は空賊のリーダーがいる部屋に連れて行かれた。
ごてごてしい格好をし、ヒゲで顔が覆われている。その手には大きな水晶の付いた杖があることからメイジであるとわかる。
完二は周りを見る。頭と呼ばれる男の脇に二人、自分たちの後ろに二人、他に4人いた。合計9人だ。
センパイとオレなら倒せんだろーが……。
自分たちだけなら問題ないだろうが、この場にはルイズ、キュルケ、タバサ、ワルドがいる。
彼女らを守りながらとなると相手の数が多すぎる。無理をするには早過ぎるというわけでしばらくおとなしくしておくことにする。
「大使としての扱いを要求するわ」
ルイズは毅然とした態度をくずさずに頭とよばれる男に言い放った。
「貴族派につかないか。あいつらメイジを欲しがってるから、礼金もたんまりだろうよ」
かしらが言った。その声は予想していたより若々しい。ひげがなければずいぶんと若く見える顔をしてるのかもしれない。
「死んでもいやよ」
完二はルイズの体が震えていることに気付いた。怖くてたまらないのだろう。それでも空賊の申し出を拒絶しているのだ。
たいした肝っ玉だ。と完二は思った。
「もう一度言う。貴族派に付かないか」
「つかねえっつってるだろ!」
完二がルイズより早く答えた。ルイズは驚いたように隣に立つ完二を見てくる。
空賊のかしらはじろりと横槍を入れてきた大男を見る。
「お前は?」
「コイツの使い魔だ」
「使い魔?」
疑問符を浮かべるかしらにルイズはさらに言った。
「そうよ。誇り高いトリステイン貴族の使い魔はぜったいに!敵に尻尾を振ったりしないんだから!」
ルイズは完二にちらりと笑みを向ける。完二もにやりとする。
どうやら震えは止まったようだ。
かしらは大声で笑った。ルイズの気丈さを笑ったのかと思ったら、なにやら様子がおかしい。
「トリステインの貴族は気ばかり強くって、どうしようもないな。まあ、どこぞの国の恥知らずより何百倍もマシだがね」
そう言うと彼はなんと黒髪をはいだ。どうやらそれはカツラだったようだ。
驚く完二たちを前に、さらに眼帯を外し、ヒゲもはいだ。ヒゲも作り物だ。
カツラを取りつけヒゲも取るとかしらと呼ばれた男は凛々しい金髪の若者となっていた。
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……そしてアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。さて用件を窺おうか大使殿?」
ルイズ、完二、キュルケ、陽介はポカンとして、ワルドは興味深げに、
タバサはこの状況でもいつもどおりのポーカーフェイスで皇太子を名乗る若者を見つめている。
半ば呆然としたまま、ルイズは尋ねた。
「し、失礼ですが本当に……?」
ウェールズは快活に笑う。先ほどまでのガラの悪い空賊とはまるで別人としかいい用がない。
「無理もないことだ。証拠をお見せしよう」
そう言うと彼は自分の指につけた指輪を外して、ルイズの手をとり、水のルビーに近づけた。
すると二つの宝石は反応しあい、虹色の光を振りまいた。
「この指輪はアルビオン王家に伝わる風のルビーだ。
そして水と風は虹を作る。きみがはめているアンリエッタの水のルビーとね」
「大変、失礼をばしました。アンリエッタ姫より密書を言付かってまいりました」
ルイズは非礼を詫びてから胸ポケットから手紙を取り出し、ウェールズに手渡した。
ウェールズは大切にそれを扱い、読み終わってから言った。
「了解した。大切な姫からの願いだ。しかし今手元に手紙はない。ニューカッスル城まで足労願いたい」
855名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 22:25:09.10 ID:L54hxgh8
>>850
リンクス単体ならともかく、ネクスト付きだったらコジマ汚染が心配だな。
召喚された時にPA展開していたらルイズ達は確実に即死だ。

てか、ネクストはコジマ粒子に対する防御手段が無いと、汚染を気にしないなら無双出来る存在だから扱いが難しいよね。
防御手段を持たない生身の人間(メイジ含む)では、例え何万、何十万いても垂れ流すコジマ粒子によって一方的に蹂躙可能だから。
856ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:28:35.63 ID:qVsgLood
アルビオン王国本国艦隊に存在する唯一の船であるという『イーグル』号は、『マリー・ガラント』号を引きつれ、
アルビオン大陸の下を雲の中でほとんど視界の利かない中を飛んでいた。
空中に浮かぶ大陸アルビオン。その姿を見た陽介と完二、そして合流したクマは言葉を失った。
話には聞いていたが、聞くと見るとでは大きく違うということを改めて認識させられた。
やがて頭上、つまりアルビオンの大地に直系三百メイルほどの穴が現れた。
ウェールズはきびきびした指示を出し、それに熟練の船乗りたちがきびきびした動作で応える。
穴の中をイーグル号が浮かんでいくとニューカッスル城の秘密の港に到着した。
港の中は巨大な鍾乳洞で出来ていて、光でみちていた。真っ白い発光性のコケがあるかららしい。
イーグル号が岸に近づくと一斉にもやいの縄が飛んできた。その縄をイーグル号に結び付ける。
艦が岸壁に引き寄せられ車輪のついた木のタラップが船に付けられた
船を下りると背の高い老メイジが近寄ってきて、ウェールズの労をねぎらった。
老メイジはイーグル号に続いて現れたマリー・ガラント号を見て、顔をほころばせた。
「ほほ、これはまた、たいした戦果ですな、殿下」
「ああそうだ。喜べ、バリー。硫黄だ、硫黄!」
集まった兵たちが歓声を上げる。
「おお!硫黄ですと!これで我々の名誉も守られるというものですな!」
おいおいと老メイジは泣き始めた。感極まったという様子である。
「先の陛下よりお仕えして六十年……。こんな嬉しい日はありませんぞ。
反乱が起こってからは苦渋をなめっぱなしでありましたが、これだけの硫黄があれば……」
にっこりとウェールズは笑った。
「王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ敗北できるだろう」
陽介、完二、クマはウェールズの発言に面喰らった。
「か、勝てんじゃねーの?」
陽介が思わず口を挟んでしまう。
ウェールズが首を振る。そして表情をにこやかなにしたまま、絶望的な現実を告げる。
「反乱軍は5万。一方こちらは300。万が一にも勝利はないよ」
陽介たちは呆然とした。
いくら陽介たちが戦争にかんして何も知らないとはいえ、敗北が必死であることは理解できた。
理解できないのは目の前の人達であった。彼らは死ぬと分かっているのに朗らかに笑っている。
「栄光ある王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ敗北することが出来るだろう」
「栄光ある敗北ですな!武者震いがいたしますぞ。
叛徒どもは明日の正午に攻城を開始すると伝えて参りました。まったく、殿下が間に合って、よかったですわい」
「してみると間一髪とはまさにこのこと!戦に間に合わぬは、これ武人の恥だからな!」
ウェールズたちは心底楽しそうに笑いあっているが、陽介、完二、クマたちはその笑いに共感することができなかった。
857ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:30:44.42 ID:qVsgLood
完二たちが到着した夜、祝宴が開かれることとなっていたらしい。
完二、キュルケ、クマ、タバサ、陽介たちはそれへの参加を城にいる貴族たちに熱望されて参加することとなった。
祝宴が開かれる直前になったが、ルイズとワルドはウェールズの手紙を受け取りに行ってから未だに戻ってきていない。
広間には人が多く集まっていて騒がしかった。城中の人間が集まったのかもしれなかった。
パーティーの始まりとしてアルビオン国王ジェームズ一世が玉座から立ち上がり、始まりの、そして最後の演説を始めた。
「諸君。忠勇なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃が行われる。
明日の戦いはおそらく、一方的な虐殺となるであろう。朕は忠勇なる諸君らが、傷つき、斃れるのを見るに忍びない」
王はかなりの老体であった。ごほごほと咳をしてから言葉を続けた。
「したがって、朕は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの無能な王に付き従ってくれた。厚く礼を述べる。
明朝、巡洋艦『イーグル』号が女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大地を離れるがよい」
一人の貴族が大声を上げた。
「陛下!我らはただ一つの命令をお待ちしております!『全軍前へ!全軍前へ!全軍前へ!』
今宵、うまい酒の所為で、いささか耳が遠くなっております!はて、それ以外の命令が、耳に届きませぬ!」
その勇ましい言葉にその場の全員が同調した。
「おやおや!今の陛下の言葉は、なにやら異国の呟きに聞こえたぞ!」
「耄碌するには早いですぞ!陛下!」
老王は目頭を拭い、ばかものどもめ……、と短く呟くと、杖を掲げた。
「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今日は良き日である!
重なりし月は、始祖からの祝福の調べである!よく飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」
祝宴に参加していた貴族は腹から出した大声で応えた。
それからこの時期に訪れた者たちがめずらしいらしく変わる変わる完二たちを訪れた。
その様子に悲観なところは一切なく、楽しげに冗談を言い、酒を、料理を勧めてきた。
一息ついたところで陽介はクマを半ば無理矢理連れて出て行った。
陽介は話しかけられれば愛想笑いを浮かべていたが、それ以外のときは物憂げな表情を浮かべていた。
死ぬとわかっているのに明るく振舞う人たちを見て憂鬱な気分になったようだった。
完二はその体格に似つかわしい大食漢なので、しばらくは、体格に似つかわしくなく良く食べるタベサと共に祝宴に出た料理を食べていたが、
腹が膨れると陽介同様その場の雰囲気が居づらく感じられ、パーティーが広げられている大広間から廊下へと出た。
858ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:32:47.70 ID:qVsgLood
完二がしばらく暗い廊下をブラブラ歩いていると、ルイズの背が見えた。
厚い壁が四角く切り取られ窓ガラスを入れるようになっている所に膝を抱え横に座っている。
ルイズは近づいてくる完二に気がつきチラリと目線を向けたが、すぐにそっぽを向いた。
「手紙もらったか?」
完二は当たり障りの無いことを聞いた。ルイズはコクリと頷いた。
何を話せばいいかわからず、互いに何も喋らない。ルイズの背中は月光に照らされている。
コイツってこんなにちっちゃかったのか。
ルイズの後ろ姿を見ながら完二はそう思った。
ルイズが自身よりも二回り以上小さいことは知っている。
だがいつも彼女は肩肘張って自分を大きくしようと見せているのに必死だったように思える。
今の彼女の背中に強がりはない、ただただ彼女の背中が小さく見える。
少し経ってルイズが口火を切った。
「わたし結婚するわ、明日」
「えっ、っと、そりゃおめっとさん……って明日?」
完二は突然のルイズが結婚するという言葉に驚き、それからその予定が急なことに驚いた。
「ワルドがウェールズ皇太子に婚姻の媒酌を頼みたいんだって」
完二は呆れた顔をした。
「なに考えてんだ、あのオッサン……」
「わたしの婚約者にそんなこと言わないで」
いつものルイズに比して鋭い語調とは言いがたかったが、完二は慌てた。
「っとワリい……。にしてもルイズ、いいのか?トシのこたあ言わねえが、相当長いことあってなかったんだろ?」
「わかんない……」
ルイズは気の抜けたような返事をした。
「わかんないっておまえ……」
「ワルドには結婚するっていっちゃったけど、まだ結婚なんてできないわよ。
立派なメイジになれてないし……あんたの帰る方法だって見つけてないし……」
「お前、ちゃんと考えてくれてたのか……」
完二は目を開いて彼の主を見る。
最初に話したっきりその話題になっていないのでてっきり忘れているものかと思っていた。
「何よ、ご主人さまをそんな無責任だと思ってたわけ?」
ルイズは完二に背を向けたままだ。その声にはトゲがあった。
「いや。むしろオマエは責任感あるやつだと思うぜ、オレは」
ウェールズたちが自分たちを欺いたことを思い出す。ルイズは王党派と言えば命が危ないような状況で胸を張って王党派だと答えた。
恐怖で震えているにも関わらず彼女はウソをつくことをよしとしなかったのだ。
融通が利かないというべきなのかもしれないが、あの状況下で真実を口にすることにそれ以上の強さを完二は認めた。
完二の言葉に気をよくしたのかルイズはふふんと薄い胸をそらす。
「当然じゃない」
その無闇に自信満々の態度に呆れながらも完二は悪い気分にはならない。
「ま、オレも帰るまではお前のこと守ってやっからよ」
「昨日もそう言ったけど今日だって何の役にも立たなかったじゃない」
「こ、今回のはノーカンだ!ノーカン!次はちゃんとだ!」
ルイズは完二の必死な弁明に笑い声で答えた。
最近、どうもバツの悪いことばかりだと完二は心の中でごちる。
859ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:35:07.32 ID:qVsgLood
笑い声を抑え、ルイズは語りかけてきた。声の調子が変わっている。
「ウェールズ皇太子に亡命を勧めたけど、断られたわ」
「そっか……」
「姫さまも望んでいるのに……。どうしてなのかしら……。祝宴も見たわ。どうして、あの人たち、死を選ぶの?わけわかんない」
完二は何も言わずにルイズの隣に座る。完二は窓に背を向けており、その肩にルイズの背中が向けられている。
黙りこくる完二にルイズはさらに胸中のものを吐き出す。
「愛する人より、大事なものがこの世にあるっていうの?生きてこそ、じゃない。死んだら何にもなんないわ。生きてやりたいことをやればいいじゃない……」
「そうだな……」
ルイズは完二の肩を背もたれのようにした。完二は文句を言わない。
彼らがなぜ死のうとするのか完二にも理解できない。たとえ理解できたとしても死ぬことが正しいとは思わない。
いいやつも、悪いやつも、やりたいことをするのも、誰かのためになるのも、罪を償うのも、まずは生きてこそだ。
しかし自分に何ができるというのだ。彼らは彼らにとって最も大切な人であろう年老いた王に言われても城を去ろうとは知らなかった。
自分が言ったところでなんの意味もないだろう。
実際、彼ら全員が逃げる手段もない。明日、非戦闘員を避難させるための船がでるらしいがこの城にいる全員を乗せることはとても出来ないらしい。
どうしようもない問題にぶつかり完二は仲間たちのことを思い出した。この世界に共に来た者たちだけでない。
大人ぶっていながら危なっかしい少女の白鐘直斗、わがままばかり言って騒がしかった久慈川りせ、
活発だけどちょっと打たれ弱かった里中千枝、美人なのにどこかズレた天城雪子、
そしてつまらない面子にこだわって自分を見失っていた彼を変えてくれた大切な先輩。
数ヶ月前、いやほんの一ヶ月前までは事件の渦中にいたというのに全て懐かしいことのように思い出される。
「ねえ、カンジ」
仲間たちに思いをはせようとしていた完二はビクリと肩を震わした。
「な、なんだよ?」
完二にもたれかかっていたルイズは姿勢を変えた。使い魔と横並びになるように座る。
「ねえ、あんたの話して」
「はあ?んな、どーしてだよ?」
「わたしが聞きたいからよ」
ルイズは分かりきったことを聞くなという風だ。その高慢ちきぷりに呆れるが、完二は拒絶せずに話すことにする。ちょうどそのことを思い出していたところだ。
「ま、いいぜ。まずはオレにはすっげえセンパイがいてな……」
完二はルイズに語った。
彼にとって大切な仲間の話をした。自分を変えてくれた大切な先輩や、思い出してみれば少しルイズに似ているような気のする少女や仲間たちのこと、
彼自身も巻き込まれた誘拐事件の話もしたし、取るに足らないバカをやった話もした。
ルイズは時には笑い、驚き、共感もしてくれた。完二はルイズの反応も嬉しかったが、彼のもうすぐ17年になる人生の中で最も濃密だった1年のことを思い出すのも楽しかった。
思えば、話しても誰も信じてくれないような荒唐無稽な話であったため誰にも話したことがないのであった。
その夜、完二は彼の世界の話をし、ルイズは使い魔の話に耳を傾け続けた。
860ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編:2011/05/19(木) 22:42:45.26 ID:qVsgLood
投下終了。

あと、新スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1305812400/

スレ立てって初めてだからドキドキしたわ
861名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 22:52:44.92 ID:Z5TnFaVt
ニア 乙つけ
   そっとしておこう
862名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/19(木) 22:53:55.62 ID:B5KqqYWg
スレ立て宣言くらいはしような
863名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 00:35:41.34 ID:SK5kbIwp
>>846
ルイズを攻撃するワルドを見て、
カオス「痛いのが愛なんだ」
ワルド「ちょっwww」
864名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 01:31:24.66 ID:HRp8kQbo
ワルドってよく考えたらロリコ…


誰か着たみたいだ
865名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 02:26:16.04 ID:1xMSXoLg
エアマスターの坂本ジュリエッタがルイズに一目ぼれして蹴り一つでゴーレムをまとめて吹き飛ばしたり、ライトニング・クラウドくらってもルイズの声一つでゾンビのごとく立ち上がる。
そんな妄想を受信した。
866名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 03:01:31.74 ID:YgzrmZD7
>>864
ワルドっていまいち凄さがわからないキャラだよねw
867名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 03:55:05.51 ID:j8JfHB2r
おマチさんも「この人は私がついてないとダメだ」みたいな情けない理由でついてってるようなもんだしなあ

ところでエンジェロイドが使い魔になるとしたら
ガンダールヴ・アストレア、ヴィンダールヴ・イカロス、ミョズニトニルン・ニンフ、が適当だろうね
868名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 04:29:15.14 ID:YgzrmZD7
>>867
おマチさんマジ嫁にしたい
なんで人気無いのかよくわからん!
869名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 04:56:50.28 ID:L7MFU+qh
あんなにいい女はそういないだろ。
おマチさんがヒロインしてる作品が増えればいいのになー。
870ゼロのペルソナ:2011/05/20(金) 05:45:34.54 ID:JDV5qbJn
>>862
ヤバイ、普通に忘れてたよ……
た、頼む命だけは……!
871名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 06:51:56.96 ID:boCALU3z
ふとワルドがマヨナカテレビに放り込まれたらどんな感じになるんだろうな。
マザコン暴露になるんじゃないかと思うけど、どんな番組になるのか思い浮かばない。

まぁ「ハッテン! 僕の町のお時間どぇす」に比べたら傷は浅いだろうがw
872名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 07:12:21.17 ID:NZNniS4N
ワルドおにいさんが進行役の
『お母様といっしょ』だな
873名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 11:44:42.77 ID:chWYCHwp
ムシウタから"かっこう"を召喚・・・あ、同化型は守相手を選ぶから駄目か

それに自動拳銃の弾も調達できないだろうし・・・まあ、かっこう君は素手でも十分強いけど
874名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 12:39:46.25 ID:yPyfV64c
>>844
高貴な者の義務で合ってるっけ
875名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 12:45:27.11 ID:6s1DyM9l
ゼロ魔の世界ではノブレス・オブリジェはありえないってことじゃないのか?
いまだに貴族の権限が絶対的な世界だし、まあ戦争でしか食えない無能はそういう時代でもいたけど

>>850
あれはメアリーが象徴化した操り人形ってだけで依存とかそういうのは全くなかっただろ
876名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 12:51:01.76 ID:6dIDaq2t
メアリー召喚して折檻するつもりが逆にやられてルイズがMに目覚める小ネタなら考えたことがあった
877名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 12:58:06.41 ID:6s1DyM9l
「野良犬」「屑」「雑種」「役に立たない女」

ルイズでしょうか? いいえ、BFFの女王です
878名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 13:11:31.72 ID:gx4TcsP9
>>844
よくわからんが
小さいコップでもらおう
879名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 13:20:27.63 ID:viYDd+Xt
あれだろ?
豪華な食材で作ったラーメンを100円で売ったり
親友と狭い風呂に一緒に入ったりあらゆることに一番であったり
家が借金だらけの神の代わりに剣を振るう男のことだろ
>ノブレスなんちゃら
880名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 13:27:47.99 ID:TlL+zgd3
それはラーメンじゃない、ラ・メーンだ
881名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:11:58.70 ID:U6ff75JT
>>871
JOJOスレの方でアヌビス神に性癖暴露されたワルドなら知ってるぞw

>>878
お酒の名前じゃありませんよ、殿下
882名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:25:23.64 ID:yPyfV64c
>>880
坊ちゃま、家宝の剣折らないでいただけますか;;
883名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:29:28.83 ID:jnC6BV2g
>>868
日本人の大半はロリコンだから
884名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:30:05.10 ID:wk7nbbQ/
ノブレスなんちゃらは
本能寺の変の直後あたりのことを言うのだろう
885名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:37:08.89 ID:PFVpcKHE
>>881
しかしあのワルドは数あるワルドの中でも最強の部類で奇妙にカッコイイ
886名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 14:45:33.55 ID:wk7nbbQ/
>>885
ご立派様の『ワルド』もなかなかイイ青年になってると思うが
887名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 15:37:13.86 ID:mTgFGGtL
Fateの鯖みたいに複数の作品世界からキャラ引っ張ってくるとか出来ないかな。
セイバーとアーチャー枠で序盤から組ませることが向こうは出来るけど。
こっちは他2組の登場が物語り開始からだいぶたってからだし敵だし。
888名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 16:13:59.06 ID:jnC6BV2g
多重クロスはおもしろくするためには相当の腕前がいると思うぞ
だいたいクロスはただでさえ最低どちらか片方を知ってなきゃ楽しめないんだし、読める人もさらに減る
889名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 16:27:05.01 ID:W4jY/8QZ
多重クロス作品って商業作品なんかだと大抵は世界レベルでクロスさせてるものが多いもんなあ
例えばガンダムライダーウルトラが出てくるRPGなんかは敵も国際テロ組織だし
890名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 16:38:01.97 ID:yPyfV64c
大抵の失敗してる多重クロスってメインを押し出しすぎて他の作品がかませ・踏み台になっちゃうんだよなー
891名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 16:46:34.86 ID:jnC6BV2g
>>889
そんなこというとラスボスの人に来てもらいたくなるじゃないか
892名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 16:54:27.48 ID:UsLmfhH0
>>889
???「ヒーロー戦記もよろしく!」

・・・そういえば、ラスボスの因子が足りない気がする
893名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 17:02:21.87 ID:krt1Nn7R
スパロボとか、公式でクロスやってる作品群からいくつかチョイスするのはいいと思うけど
シリーズも制作会社もなんの関連もない多重クロスとなると、あまりいい顔はできない
894名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 17:10:26.25 ID:PFVpcKHE
>>891
多重と言っても種類が違うだろ
大本辿れば多重なだけで、引用元としては一つ限定
895名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 17:34:25.11 ID:l5941ckc
>>885
あれはデルフもかっこいいしな
続きこないのが悲しい
896名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 18:03:45.29 ID:PFVpcKHE
>>895
何よりギーシュが神過ぎる
いやギーシュさんか
爆熱含めて早く再開して欲しいね
897名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:03:48.69 ID:vl4lZZjI
>>893
それぞれの作品に相当な愛を持っていないとKMN状態になっちゃうだろうな
898名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:12:10.21 ID:o/jxZHBH
商業作品だと死がふたりを別つまでが最近クロスやってるな
一応書き手やってる身としては原作者の発言が結構参考になった
899名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:20:35.73 ID:z1aIlN7H
>>898
あーゆーのはクロスっていうの?
同一世界で別の人物を主人公にしただけでしょ?
900名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:38:06.09 ID:o/jxZHBH
>>899
いやあれクロスだろ、そもそもJESUSとは原作者違うし
901名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:43:47.01 ID:PFVpcKHE
ジーザスの方がそれを良くやってるから勘違いしたんだろうな
902名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:54:59.70 ID:bFLNJG0x
死がふたと言えば、それで書きたいと言ってた人は結局書かないのか?

書かないなら期待させるようなこと言うなよ!
903名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:55:17.38 ID:GkkAM3xT
>>876
ピンク繋がりで現役時代の霞スミカとか(ルイズが死んじゃう?

>>877
ハァハァ‥‥メアリー様の御美脚を舐めたい‥‥

さて、ジョゼフに喚ばれてミョズになるなら誰が良いかね?
1.メアリー・シェリー(本命)
2.鴉殺しのアンジェ(機体名的にむしろタバサ?)
3.P・ダム(電波な娘)
大穴.サーダナ先生(頭脳的な意味で、でもジョゼフの純ケツが危ない?)
904名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 20:57:16.62 ID:YjIiUazy
松本零士の世界はみんなつながってるがな
905名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 21:58:34.90 ID:KIGdrMYb
 スマブラやコナミワイワイワールドみたいなオールスター系ゲームから
召喚すると、そのまま多重クロスになりそうだけど。
906名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 22:07:56.65 ID:rclQumpk
メリー召喚に見えて、なかなか来ないメリーさんにイラついたルイズが迎えに行くところまで思いついた
907名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 22:39:02.75 ID:z1aIlN7H
>>900
クロスっていうより、ジーザス→イージス→死が二人を……っていう続編のつもりで読んでたよ
908名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 22:41:38.44 ID:Ap7JOcGI
同一作者のキャラが別の作品にゲスト出演することあるよな
公式クロスといえばこないだのワンピースとトリコのSPかな
909名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 22:49:19.68 ID:+AQkfe8l
>>906
坂上錬司を召喚したら付属してきそうだな

そして気が付けば召喚してもいないのに動く人体模型と淫霊と花子さんと生徒会長とメガネ×2と
動く人体模型(女)と花子さん(ロリ巨乳)と淫霊と河童が現れて豊葦原学園化する魔法学院・・・
宝物庫にはよっちゃん
910名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 23:19:27.95 ID:k833h7ww
>>908
ワンピースはドラゴンボールともやったな。

他に公式でやったのだと、オーフェンとスレイヤーズ、京極とこち亀・・・・・・こち亀は企画であちこちとコラボしたからもっとたくさんあるか。
911名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/20(金) 23:39:59.15 ID:D1HQpxuO
>>910
マガジンではRAVEとKYOとゲトバ、RAVEと哲、輝とトッキューがあったな。
912名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 00:30:10.86 ID:k0LooW6z
アクゼリュスキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
913名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 00:31:17.48 ID:k0LooW6z
おっと失礼
クロスといえばアメコミで結構やってるな
914名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 00:48:06.54 ID:05u9Ggvr
クロスってかシェアワールドつったほうがいいのかな、ありゃ
ああいう世界観の使い方ができるのはアメコミの魅力だな
915名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 01:21:23.31 ID:GV3yyjq+
機動戦艦ナデシコから木連の連中を召喚したらひたすらにやかましいだろうな

で、宝物庫にあるのは破壊の箱
内容はゲキガンガーの入ったテレビデオ(バッテリー入り)
916名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 01:42:48.25 ID:QwwuQwl4
それでどうやってワイバーンを・・・
917名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 01:48:39.81 ID:5OgDFJfG
>>914
ラブクラフト「呼んだ?」
918名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 02:15:09.24 ID:XxXxVjFP
ゼロ魔SSである以上「このキャラがゼロ魔世界に関わったら」って思考で書くべき、
他版権同士の絡みがメインだとゼロ魔が単なる舞台装置に(それこそFateやサモンナイトでも代替可能)
使われてお仕舞って事にもなりかねんし。
919名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 02:24:44.94 ID:/n22nIxD
公式でクロスしてる作品は、世界観的にもかなりインフレというか壮大なものになってるから
ゼロ魔の世界観が生かしにくかったり、一方的なクロスになりやすいって危惧もあるよね
同じシリーズの初代、2、3とかなら読者も嬉しかったりする
それ以外は作者の趣味の露呈というか、寒いから自分のHPか他のサイトで・・・って感じか
920名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 02:29:29.97 ID:4UJ06qdK
コナンとキッドとヤイバはどこまでがクロスでどこまでが同舞台か混乱する
921名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 02:37:01.50 ID:5lb48Rlf
名探偵コナンVSルパン三世は面白かったなあ
922名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 08:48:21.38 ID:JdNPB02o
そういえばキッド対ヤイバってやってたね。

個人的に興奮したクロス(?)はメガテン3にDMCのダンテが出てきたことかな。
貫通つけられないから対閣下戦ではベンチだったけどw
923名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 09:09:49.79 ID:yqcPiSpQ
数年前にサンデーとマガジンが当時連載していた高校野球漫画をクロスさせた野球ゲームを出していたな
924名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 10:42:07.38 ID:WZ4av9rM
豪翔伝とか電撃学園というゲームがあってな・・・・・

SSだとゼロの魔王伝かね
925名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 11:07:54.02 ID:Vwgh05RJ
ドカベンvs野球狂の詩とか。さりげなくあぶさんの事も口にしていた。
926名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 14:01:47.78 ID:ya1Qj7xh
心剣士召喚で誰か書いてくれ。
927名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 15:27:15.25 ID:ZbLb1/+X
とりあえず爆発するタイプの剣なのは確かだな
あとはゼロ繋がりで不可視に・・・チートだなコレ・・・
928名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 15:45:38.42 ID:Ky9OV5sS
心剣士ってシャイニングウィンドのか
たしかあのシリーズも過去作とのリンクっぽい描写が多いらしいな
929名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 20:29:26.87 ID:lvg52J9C
ドナルド召喚ww
930名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 21:15:45.39 ID:8/UhApxj
>>878
今更だがそれはロイヤルデューティだ。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/21(土) 21:30:01.95 ID:f/c+B8YV
ドナルド召喚は小ネタにあったな
932名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
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      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
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