あの作品のキャラがルイズに召喚されました part292
もしゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part291
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1301812105/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
スレ立て乙
おーつーでーすーよー♪
前スレで容量ギリギリで投下しようとしてサルさん食らってしまい、
原稿もクラッシュしてしまいましたが今度こそリベンジしたいと思います。
21:49くらいから再度チャレンジします。
今一度、詳細を。
元ネタ作品:キャスルヴァニア −真実の嘆き−(海外版のタイトル)
召喚されるキャラ:ヴァルター・ベルンハルト
タイトル:黒夜のトッカータ
元ネタ期待支援
※何故だか、本文が長すぎます!! と出てくる。おかしいな。
とうの昔に終わってもよいはずの夜は続いていた。
ハルケギニア一の大国、ガリア王国。その王都リュティスではひと月も前より、三日に一度、明ける事の無い夜に包まれていた。
夜――漆黒の闇が覆いつくすその時は、人々の心に自然と恐怖を植えつける。
人々は朝の温かい光を求め、早く明日が来る事を願い、床に就く。
しかし、それを好まず、むしろその闇を望む者達もいる。
「ふむ……」
顎をさする男は目の前の鏡に映し出される光景に感嘆と呟いた。
鏡の中に映し出されるのは、青い髪の少女が自分よりも大きな節くれの杖を手にし、
大振りの長剣を握る黒髪の少年に氷の槍を放つ姿だった。
少年はその攻撃を剣を振るって弾き、少女に突貫していく。突き倒した少女に剣を振り下ろしたが、
何故かその刃は少女を貫かずに地面に突き立てられていた。
「わざと外したか? ……しかし、変わった少年だ」
ここ、ガリア王国首都リュティス郊外のヴェルサルテイル宮殿、グラン・トロワの一室。
明かりも点けずに闇に包まれる中、二人の男は鏡に映し出される光景を食い入るように見続けていた。
ガリア王族の証である、青い髪の男は椅子に腰を下ろしつつ机の上に置かれたチェス盤の駒を弄りながら不敵な笑みを微かに浮かべる。
鏡には彼の右腕たる使い魔が従える無数のガーゴイル達が突如爆炎に包まれて次々と砕かれていくのが映っていた。
元ネタ知らないけど支援
未だに明けぬ、永遠の夜。
ガリアとトリステインの国境沿いに位置するラグドリアン湖、
その近くに建つのはタバサの母がひっそりと暮らしている家――旧オルレアン公の屋敷だった。
自らの使い魔、風韻竜シルフィードから降りたタバサは昨晩に破り捨てた手紙の内容を反芻する。
手紙には自分のシュヴァリエの称号の剥奪と、母の身柄を拘束したので一週間以内に出頭せよという事が書かれていた。
その場所が、この屋敷だった。
つまる所、母を人質にしたからおとなしく投降しろとそういう事だ。
その後は自分に対して何らかの刑罰が下されるのだろう。
「お姉さま、本当にこのまま投降する気なのね?」
タバサは屋敷へと一歩踏み出そうとすると、シルフィードが声を発する。
韻竜は人語を解す程の知能を持った存在。普段、人前では喋らないようにさせている。
「平気。待ってて、すぐに済むから」
そのままタバサは玄関の大扉をくぐり、中へと入る。
いつもは執事のペルスランが出迎えてくれるのが、今回は誰もいない。
それどころか、人の気配すらない。
タバサは屋敷奥の母がいるはずの居室へと向かっていく。
こうして母を人質に自分を誘き出した以上、兵が潜んでいるなり、
何かしらの罠を仕掛けているはずなのであるが、その殺気すら感じられない。
※しくじった。順番を逆にしてしまった。
>>8の次はこちらです。申し訳ないです。
「ミューズよ……しくじったか」
しかし、男――ガリア王国国王、ジョゼフは不敵な笑みを崩さない。むしろ面白そうに喉を鳴らす。
「だが、そなたの望みもこれで少しは叶うかもしれぬな?」
ジョゼフは背後の闇で腕を組む男を肩越しにちらりと見やる。
「それは助かる。私もこちらに来てからは、実に退屈でね。座学をするくらいしかする事がなかったからな」
彼とは対極的な真紅の髪の男はにやりと笑みを浮かべた。
「君の姪とやらも中々なものだが、あの少年も実に興味深いな。ぜひ、彼とも遊んでみたいものだ」
「何、機会はあるだろう。我が姪は余に歯向かった。相応の罰は用意せねばならぬからな」
「それは楽しみだ。……しかし、君も面白い男だ。血の繋がった身内に対し、これまで散々酷い事をしてきたとは」
「そなたと同じ……退屈なだけだ。」
男はその言葉にくっくっ、と笑いを噛み殺していた。
「では、私はあの娘の母親とやらを連れ行くとしよう。連れて行く場所はどこが良い?」
テラスへと移動する男の背に、ジョゼフは答えを吐く。
「まずは、余の前へ連れてきて欲しい」
「うむ。――では、また会うとしよう。我が友よ」
男は一瞬にして己を一匹のコウモリへと姿を変え、ヴェルサルテイルを飛び去った。
机に向かったまま、ジョゼフは顎杖を突きながらチェスの駒を弄り続ける。
「永遠の闇を好む者……実に面白いものだ」
>>10の次はこちらです。申し訳ないです。
だが、何が自分に向かってこようが、敵は薙ぎ倒すのみ。
今のタバサは、湧き立つ怒りによりその魔力は数段膨れ上がっているのだ。
やがて母の居室の前に立ち、扉を開ける。
小机と個人用のソファーが見えるが、そのソファーの上に母の姿はない。
ソファーの傍には、人形が転がっていた。
かつて、母が自分にくれた人形。その人形を母は今、娘だと思い込んでしまっている。
母が飲まされた、心を壊す薬のせいで。
だから今まで自分はタバサという人形として、母を助けるために、
そして母をあのようにした者達に復讐するために力を蓄えてきたのだ。
タバサはその人形を拾い、微かに顔を顰める。
(――何?)
突如、背後でカチャリと金属音が響くのを耳にし、振り向く。
ソファーの上、そこに一人の男が座っていた。
「君が、シャルロット君か」
まるで玉座に座するかのように膝を組み、顎杖をついているのはタバサとは対極の真紅の髪をした男だった。
漆黒の衣服の上にはその髪よりも深く濃い色合いの鎧、篭手や具足まで身に着けている。
歳は40過ぎに見えなくもないし、それより若くも見える。だが、その荘厳とした美貌と面差しはどことなく伯父王と似ていた。
振り向くタバサは杖を構え、男に対して言う。
「母は、どこ?」
男はその問いに答えず、困ったような笑みを浮かべて首を横に振る。
「……母親の事になると、そこまで性急になるか」
「どこへ、やったの?」
今にでも魔法を放ちかねない殺気を発しつつ、タバサは再度尋ねる。
男はソファーから腰を上げ、一歩前へと歩み出る。
「慌てるな。――君の母君なら、ここだ」
男はマントを横に一度広げて離す。
ソファーの上にいたのは、母の姿。
眠っているのだろうか、その目は閉じられうな垂れていた。
「母に、何をしたの?」
「母君は少々疲れているようだよ。……ふむ、君もそのようだな」
男は一度、母をみやってから再びタバサの方を向く。
その瞳が薄らと、赤く妖しい光を放ちだす。
「少し休むと良い……」
「う……」
突然、体に力が入らなくなる。
杖を落とし膝と両手をつくタバサは顔を上げ、男を睨んだ。その瞳は未だ、妖しい光を放っている。
落ちた杖を拾う事すらできない。体が、言う事を聞かない。
これは系統魔法などではない。ならば、先住魔法だろうか。
だとしたら、この男は一体。
必死にタバサは体に鞭を打ち、杖で体を支えながらよろめきつつ立ち上がった。
「ほう……」
男は感嘆に声を漏らしながら近づいてくる。
「――エア・ハンマー……!」
杖を振り、突風の槌を放つ。しかし、避ける素振りも見せない男はその風を受けてもまるで微動だにしていなかった。
そんな馬鹿な。
タバサは後ろへ飛び退き、慎重に杖を構える。
「君の性急さははっきりと分かった。しかし、ここに母君がいるのを忘れてもらっては困る」
男は両手を横に広げて皮肉めいた笑みを浮かべた。
タバサは唇を噛み締める。この男、母を直接盾にする気か。
「……いや、さすがにそんな事をする気はない。ただ、君に注意をしてやっただけだ」
まるでタバサの心を読んでいたかのように男は答えていた。
「……申し遅れたな。我が名は、ヴァルター・ベルンハルト。お見知りおきを」
優雅に礼をしてみせるその男がにやりと笑みを浮かべた時、彼の口元に覗いていた牙を見てタバサは息を呑む。
「吸血鬼……」
かつて、タバサが戦った事もある存在。先住魔法を操る夜の狩人、ハルケギニア最悪の妖魔。
「さて、シャルロット君。無駄だとは思うが、私は君に一つ要求をしておこう」
「要求?」
「君の伯父上殿からの頼みでね。私は君を彼の元へ連れて行く事になっている」
伯父王の名を聞き、タバサの血は逆流する。
怯えてどうする。自分は母を取り返すと決めたのだ。
たとえ目の前に立ち塞がるのが吸血鬼だろうが、エルフだろうが引くわけにはいかない。
恐怖でしぼみつつあった心が再び猛り狂う嵐で満ちていく。
「まあ、君の事だ。素直に来てくれるはずはないだろうな。もっとも、私としてはそちらを望むのだが」
ヴァルターは再びマントを横に広げ、また離すとソファーの上にいたはずの母の姿は瞬時にして掻き消えていた。
「アイス・ストーム……!」
タバサは一瞬にして呪文を唱えると、荒れ狂う氷嵐がヴァルターに襲い掛かる。
ヴァルターはパチン、と指を鳴らした。
突如、目の前に巨大な蒼炎の壁が噴き上がり、アイス・ストームを全て掻き消してしまう。
タバサは目を見開く。先住魔法を操る吸血鬼とはいえ、ここまで強大な力を持つなど聞いた事がない。
「どうしたね? 君の友と戦った時のようにきたまえよ」
この男、あの夜の事を知っているのか。
「ウィンディ・アイシクル……!」
氷の矢を作り出し、ヴァルター目掛けて放つ。
まるで身構えないヴァルターであったが、氷の矢は突如として力を失い、床に落ちていく。
ヴァルターの首飾りにはまっている漆黒の黒曜石が、妖しい光を微かに放っている……。
再びタバサはウィンディ・アイシクルを放つが、やはりヴァルターには届かない。
ヴァルターは面白げに笑うと、右手を大きく振り上げた。
彼の足元の床から、次々と無数の鋭く巨大な針の山が突き出し、こちらに向かってくる。
タバサはそれを横へ避けようとするが、針はタバサの動きに合わせて追ってくる。
「フライ……!」
呪文を唱え、宙へと舞い上がる。
しかし、ヴァルターはそれを狙っていたかのように不敵な笑みを浮かべていた。
身構える彼の右手に青白い小さな光が集まる。
支援
ヴァルターの手から三つの蒼炎の弾が投げ放たれ、螺旋を描くようにタバサに飛んでくる。
――避けられない。
炎弾が直撃し、床の上に落ちたタバサにヴァルターは歩み寄る。
倒れたまま顔を上げるタバサはヴァルターを睨みつける。その腕にはいつの間にか、母の体が抱えられていた。
「君の伯父上から君の事は色々と聞いていたというのに。
……何でも、ずいぶん前にはキメラドラゴンという奴を仕留めたそうじゃないか。
まだ年端もいかない少女だというのに、その功績は見事と言っておこう」
素直にタバサを賞賛しているようであったが、すぐに大きな溜め息を吐く。
「期待外れだったな」
「お姉さまから離れるのねーーー!!」
突然、窓を突き破ってきたのは己の使い魔シルフィードだった。
ヴァルターに体当たりをしようとするが、当の本人は赤いオーラを纏った右拳をなぎ払い、シルフィードの巨体を殴り飛ばす。
机やソファーを薙ぎ倒し、部屋の壁に激突したシルフィードは一撃で伸びてしまう。
「きゅい……」
「人語を解す竜、か。この世界には面白いものがいるのだな」
(この世界……?)
ヴァルターの言葉の意味が分からず、タバサは眉を顰める。
「そう無理をしなくても良い。君は疲れているんだ。……お休み」
再び、ヴァルターの瞳が妖しく光る。
意識が朦朧としていき、呆気なくタバサは気を失った。
そういえばウルトラ5番目も大量書き込みができずに代理に切り替えてたな
2ちゃんに特定のサーバーからの書き込み量を制限するとか、新しい規制方針ができたのかな
※場面切り替わり
「ほう。大したものだな。我が姪をこうもあっさりと捕らえるとは」
ガリア王国、ヴェルサルテイル宮殿、グラン・トロワの一室でジョゼフは豪快な笑い声を上げる。
足元には両手を後ろ手に縛られ気を失っているタバサ――シャルロットの姿がある。
客人用のソファーに腰を下ろし、背もたれに頬杖をつくヴァルターはそんなジョゼフとは対照的に不満そうであった。
「異国の吸血鬼とやらの力は、大したものだ。エルフにも匹敵するかもな」
「……私は不満だな。君の姪子とやらがどれだけ足掻いてくれるか楽しみにしていたというのに……」
低いテーブルの上に置かれたグラスを手にし、ワインを一口啜る。
彼の隣には、未だ意識を失ったままのオルレアン公夫人が横たえられている。
「そう言うな。そなたの力があまりにも強すぎただけの事だろう」
「強いというのも、退屈なものだ。私と張り合える相手がいないのだから、いつも力を持て余している。
……さて、この二人はどうする?」
ヴァルターが尋ねると、ジョゼフはタバサの体を優しく抱き起こし、その頬を撫でる。
「そうだな。東に、アーハンブラ城という場所がある。そこでこの二人の面倒をしばらく見ていて欲しい。
二人の生き血を楽しむなり、好きにしてくれ」
「……まあ、いいだろう。しばし退屈は持て余しておくとするか」
オルレアン公夫人の体を抱き起こしたヴァルターは、にやりと笑みを浮かべて牙を微かに覗かせる。
血に飢えた獣のような、それでいて気品に満ちた金の瞳が爛々と光っていた。
「あの少年は……いずれ現れるだろうしな」
まだ楽しみが、全て失われた訳ではない。
そのために、あの竜を生かしておいたのだから。
※以上になります。
しかし、20〜30行程度で長すぎます! とは何だかおかしいな。
新作乙
やはり作品が投下されるのは良いことだ
とりあえず感想を述べる前に落ち着くことをお勧めする、とだけw
それと場面切り替わりとか別に書かなくても2〜3行空ければ大体分かるよ?
ついでにレスの上限は板毎に違うのだから、ウィキを見て確認しておくと良いかもね
これは長編ということなんだよね?
今までにない第一話の展開だから楽しみに続き待ってる
乙でした。こういう始まり方は新鮮ですから次も楽しみにしてます。
投下乙。
ほの暗さが漂う作品みたいですね。 続きを楽しみにしてます
マルトーって物怖じしない豪快な人物みたいな書かれ方をされることが多いけど
実際はサイトみたいな自分と同等かそれ以下の者には大きく出るくせに
いざ貴族を目の前にするとビビって何も出来ない
そのくせ、陰口だけは一人前という情けない人間だよな
そんな細かい説明描写が存在してるキャラじゃない
そうだとしても、ハルケギニアでうまくやってるだけさ
しかも貧乏貴族より料理の腕で稼いでる成功者でもある
食の千年帝国を作るのさ
>>27 その設定が公式だったか定かじゃないんだが、
そのくせ自分もか弱き平民であるみたいな態度もマルトーってキャラの株を下げてるよな
マルトーは人間として小さい
サイトがシュヴァリエになった途端、手の平返したりもしてたしな
まあすぐに態度改めたけど
それは‥‥
太古の昔より‥‥
はるかなる未来まで!
平和なる時も‥‥
混乱の世にも!
あらゆる場所!
あらゆる時代に!!
戦いの火ダネとなるものッ!!
それは人間が存在する限り
永遠に続く『感情』なのだ‥‥
その感情の名を‥‥
『憎しみ』あるいは‥‥
『オディオ』というッ!!
>>29 一応、1巻で下級の貴族より羽振りがいいみたいなこと書いてありましたぞ。
こうして並べてみるとマルトーって案外クズ野郎なんだなw
必要以上に儲けてるところからも平民だから仕方ないと同情出来ないし
表立って貴族に逆らわなきゃ引く手あまたで高給の職場を選べる立場だからなマルトー
どのssでも「我らの剣」発言以降はほぼ出番がなくなる
どうなんだろ。他にやりたいことがあって技術を磨いても貴族の魔法には決してかなわないだろうしなあ
平民が技術を磨いて勝負できるのは平民の仕事扱いになってる料理人くらいなのかもしれない
細工師とかは錬金でも無理な仕事してるってSSあるけど原作だとどうだっけ
セガール拳使いマルトー
船爆破してワルド抹殺するからR指定が必要だな
???「ここから先はR指定だ」
でもよくよく考えるとシュヴァリエになったくらいでサイトを拒否するくらい貴族嫌いなマルトーが
特殊能力を披露して戦ったキャラに対して「我らの○○」みたいに言うのはおかしいな
寧ろ、「魔法を使うなんて、俺を騙してやがったのか?」ってなりそうな気がする
あれが特殊能力だなんて判るの限られた知識人だけじゃん
傍目にはただ剣で倒したようにしか見えんわ
なぜマルトーで盛り上がってるんだ?
まるっと分かりません
特殊能力を見て驚くのはだいたいタバサの役だな
ところでしばしば決闘のあとにタバサが「強くなりたい」って弟子入りする展開あるけど
タバサは他人に教えを乞うようなことしたことあったっけ?
>>46 ないが、
・タバサを話に絡ませたい
・少年漫画的展開が好き
・好きなssでやってた
あたりだろうな
おそらくみっつめが大半だと思うが
歪みねぇな
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 14:27:28.25 ID:rb48B1dN
>>47 原作でそういう場面がないのは、タバサが教えを請うに値する人物がいないこともあると思う。
あえていうなら、最初の師匠であるジルくらいかな。
基本的に読書家だし、どんな文献にも載ってないだろう別作品の特殊能力に興味は持つだろうから、
弟子入りはともかくその能力を深く知ろうとはすると思う。
・タバサが興味を持つことで外伝に繋げられる
・早めにタバサの母親の話に繋げられる
・早めにガリア組の話に繋げられる
こんなのもか
タバサも今やハルケギニアでかなり上位のメイジだしな
・タバサが好き
関係ないようでこれは関係してると思う
ガンダと互角以上のはずの元素兄弟を圧倒できてるしな
完全に裏方にまわされたイザベラさまが不憫でならん
それは相性の問題も
あまりにキワモノな能力者ならタバサも師事しようとは思わんだろう。
手足を伸ばして火を噴く某ヨガの人とか…
でもヨガテレポートは魅力的だろ
>>56 じゃあ誰ならイイかって考えたんだけど、
『師匠系』って、なんかトンデモ超人キャラばっかり思い浮かんで・・・
『Gガン』とか 『るろうに』とか 『スプリガン』とか。
>>58 「Gガン」と「るろうに」は分かるけどスプリガンで師匠になれる人って誰かいるっけ?医者のじっちゃん?それともティア?
何を言っているんだ!
師匠って言ったらサイボーグで黒猫なあいつしかいないだろJK
サイトはアニエスに師事したことあったな
女剣士つながりでそらのおとしものからアストレアを……どーしよーもないな
そういえばアニエスは女が好きというSSないね
二次のタバサは何故あんなに好戦的なのか
ちょっと強いキャラ召喚するとすぐそいつに「私と戦ってほしい」とか言っていないか?
輩じゃねえか
T A B A S A
B A S A R A
B A K A R A
Y A K A R A
申し訳ございません
>>63 アニメじゃルイズとチューしただけでパーになっとったし、女好きはデマでは?
エロパロ的にはおいしいネタではあるが
性格の改変といえば、原作のキャラに沿おうと頑張りながらも書いてて諦めて改変したことがあるな。
なにって一部の女キャラの「(男への)強い依存」な。再現できん
こんばんは、機械仕掛けの使い魔です
前回から結構な時間が開いてしまいましたが、14話が前後編共に、ようやく仕上がりましたので、
前編を投下させていただきます
予約等がなければ、21時20分頃から投下開始させていただきます
シュッ
機械仕掛けの使い魔 第14話〜前編〜
学院の敷地を完全に更地にしてしまうかという程に激しい喧嘩だったが、意外な結末を迎えた。
クロもミーも、ほぼ同じタイミングでガス欠を起こし、その場に倒れてしまったのだ。
辺りを見渡せば、綺麗に手入れされた広場の芝は至る所がめくれ上がって土が露出し、各塔の瓦礫や、なぎ倒された樹木が大量に転がっている。
学院周囲の塔はその瓦礫が物語るように、その全てが各所に大穴を空けられ、見るも痛ましい姿を晒している。中央の本塔は、ルイズの失敗魔法で空けられた穴と同レベルの穴がいくつも穿たれ、もはやカムフラージュの域に達していた。
各塔と本塔を結ぶ石橋も軒並み破壊され、移動も不便になってしまっている。
しかし、奇跡的と言うか、はたまたクロの矜持ゆえか、使用人宿舎は無傷で済んでいた。
貴族が使う部位が徹底的に破壊され、平民である使用人の住まいが傷1つない光景というのも、ハルケギニアではなかなかに異様である。
そして現在。風通しのよくなった本塔内の食堂では、深夜の大破壊劇についてのひそひそ話がそこかしこで展開されている。
その裏手の厨房では、シエスタとアイナの手で救助されたクロとミーが、大量の賄い料理に齧り付いているのであった。
「随分と派手に暴れたみたいだなぁ、クロちゃんに…ミーくん、だっけか?」
クロとミーの食べっぷりに惚れ惚れとしていたマルトーが、口を開く。
「もう、ダメかと思った…。もちっと大事に扱ってくんねぇかな、相棒よォ…」
クロの腹からは、疲れきって蚊の鳴くような声のデルフがぼやく。
「だって、クロが無茶するから…」
「最初に武器を出したのはオメーだろがよ」
口でいくら言っても無駄だと解りきっているがゆえに、ミーも武器を取り出して実力行使に出た。
だが、同様に火を見るより明らかな結果にまで考えが至らなかった辺り、相当頭に来ていたのだろう。冷静になった今では、縮こまって料理用油をちびちびとやっている。
「そう言えば、ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストー、それにミス・タバサの姿を見かけませんでしたけど、どうしたんでしょう?」
デザートの給仕を終えて戻ってきたシエスタが、クロに尋ねた。
「ルイズたちか? そう言やぁルイズのヤツ、タバサの部屋に行くとか言ってたな、昨日の晩は」
「あの後ボクたち、朝まで暴れてたからね…」
「教員の皆さんもテラスにいらっしゃいませんでしたし…」
学院生は食堂1階の広間で、教師陣はその上階のテラスで食事を摂る、と決まっている。だと言うのに、今日のテラスはもぬけの殻だと、シエスタが言う。
「会議か何かやってるんじゃねーの? 人間の事情は、オイラにゃ解んねーよ」
知った事ではない、と料理用油を一気にあおるクロ。と、ここで厨房のドアが、開け放たれた。
「んぁ? 何だルイズ、どうしたんだ?」
そこに立っていたのは、ルイズだった。後ろにはキュルケとタバサ、そしてロングビルにエレオノールまでいる。
「クロ、ミー、支度しなさい。すぐに出発するわよ!」
「出発って…」「どこに?」
つかつかと歩み寄り、人差し指を突きつけるルイズに、意味がわからないといった顔で返すクロとミー。
「土くれのフーケを捕まえに行くの、文句は言わせないわよ!」
ピクン、と耳が跳ねるクロ。
「あのデク人形か?」
「そうよ、あいつを懲らしめて、はか――」「こら、ちびルイズ!」
例え平民であれ、他言無用のワードを口にしようとしたルイズの口を、エレオノールが慌てて塞いだ。
「はか…お墓ですか?」
あの場にいたにもかかわらず、状況を把握していないシエスタの疑問に、ルイズはひたすらに首を縦に振った。
「そ、そうお墓! あいつを懲らしめて、墓に埋めてやろうって事よ!」
何とかごまかせたようだ。だが、極めて物騒なイメージが、ルイズに付いたのは言うまでもない。
椅子から飛び降り、口元に付いていたパンくずを舐め取るクロ。そして、ニヤリと笑った。
「きっちり礼はしとかねぇとな。行くぞミーくん!」
「え、ボクも!?」
「当たりめーだろ、ご主人様の命令なんだからよ」
そう言って、ルイズを顎で示す。ルーンの意味をまだ知らないミーは、理解が追いつかないようだ。
「ご主人様って…、ボクは承諾した覚えはないんだけどなぁ…」
首を捻りながらも、ルイズを見つめるミー。しかし、その瞳を見て、一つ頷いた。
「でも、ルイズちゃんは悪い人じゃないし、今は元の世界にも帰れないからね。ボクも手伝うよ」
手を差し出す。その手を、ルイズは握り締めた。
+ + + + + +
綺麗に晴れ渡った空の下、馬車が進んでいる。馬車といっても、極めて簡素な物で、座席などはなく、乗っている者はみな、荷台に直接腰掛けていた。
御者席には、手綱を握るロングビルと、その隣に座るエレオノール。そして荷台には、ルイズ、キュルケ、タバサと、クロ、ミーの姿がある。
目的地は、学院から馬車で4時間程度の位置にある、森林の中の小屋。フーケ襲撃後、その場に居合わせたロングビルが即座に追跡し、フーケの居場所を探索・特定していたのだ。
「にしても、やるじゃねーかルイズ。教師連中がビビってる中で、志願するなんてよ」
フーケ捕縛をオールド・オスマンから命じられるに至った経緯を聞いたクロは、ルイズの勇気に舌を巻いた。
「ま、まぁね! 私は貴族だもの、当然よ!」
やや声が上ずっているルイズ。そんな彼女に、キュルケとタバサは、哀れみとも同情とも取れる視線を投げかけた。
クロとミーにはかなり美化して伝えはしたが、実際のいきさつは、こうなっている。
宝物庫に空いた大穴だけなら、確かに勇気ある志願だっただろう。しかし、その後がまずかった。
クロとミーの手によって、学院が見るも無残に破壊されてしまったのだ。しかも、フーケ逃亡後すぐに、エレオノールがオールド・オスマンに事の顛末を報告していた為、報告内容と実際の被害の度合いが大きく異なってしまっている。
教師一同、エレオノールによる報告の内容と、実際の被害の食い違いに関して、あれこれ議論を交わしている。様々な意見が出たが、結局は1つの推論に収束して行きつつあった。
ここで慌てたのが、ルイズである。襲撃事件に出くわした当事者として、キュルケ、タバサと共に呼び出しを受けたが、事態は、自分とタバサが、ミーに刻まれたルーンについて議論を重ねていた間に、劇的に悪化していたのだ。
ルイズ自身は、朝になって部屋に戻ると、自室のドアが破壊されていた事、そしてタバサとの議論中に外がやたらと騒がしくなった事の2点で、全てを理解した。
手馴れたタバサが『サイレント』で騒音を消したが、それで議論を続行したとあっては、使い魔の管理不行き届きと言われても仕方ないだろう。
あの時間、あれだけの騒ぎを起こせるのは、他ならぬルイズの使い魔しかいないのだから。
非常にまずい。冷や汗が止まらない。
しかし幸いな事に、ルイズにも1つだけ、有利な点があった。それは、クロとミーによって引き起こされた被害が、魔法による物だと結論付けられつつあった事だ。
木々の倒壊、塔や橋の破損、地面を抉る傷跡、そのいずれもが、事実、魔法でも再現可能なのだ。よってその犯人は、フーケではないにしても、誰か別の、共犯者となるメイジの仕業ではないか、との意見が強まってきている。
ルイズは、賭けに出た。このまま議論が続けば、あるいはせっかく、どこかの誰か――存在すらしない架空の人物の手によると決められつつあるる学院大破壊が、まかり間違ってクロとミーの仕業と結論付けられるかもしれない。
そうなれば、その主犯たるクロとミーに、何かしらの厳罰が下るだろう。ならばここで取れる手は、1つしかない。それは――
「私が行きますっ! 私が、フーケを捕まえます!!」
杖を掲げ、ルイズは強く、宣言した。力技で、この逆境を強引に乗り越える道を選んだのである。
ルイズの志願は、ひいてはクロとミーを助ける為でもあったのだ。
「で、私は、ヴァリエールにだけいい格好はさせられないから、こうして着いて行ってるってワケよ」
実際は、ルイズの内心を見抜き、彼女の身を案じるからこそ、自分も志願したキュルケである。
彼女も昨晩、部屋の窓ガラスを割られている為、状況を即座に看破していたのだ。
「タバサは、私たちを心配して来てくれたの…ホント、いい子よ」
キュルケはそう言いながら、本に目を落とすタバサを慈しむように、頭を撫でた。そのタバサの目が、ほんの少し、揺らいだ。
その揺らぎが何に起因するのかは、誰にも解らない。
御者席隣に座るエレオノールも、その口であった。
建前では、目の前で強奪された破壊のゴーレムと不可思議の箱を取り返す為、と言ってはいるが、実際は志願したルイズが、たまらなく心配なのだ。
苛立ちを隠さず、ロングビルから話しかけづらい空気を纏っているので、御者席側は沈黙が支配している。しかし、エレオノールの心は、ルイズの身の安全、その1点に集約していた。
ちびルイズと呼び、何かと言えばぐにぐにと頬をつねって彼女を泣かせているエレオノールだが、やはり妹は大切なのである。
「あの、ミス・ヴァリエール…」
「ん…何かしら?」
唐突に、ロングビルが口を開いた。エレオノールの雰囲気に当てられたのか、少々怯えた様子だ。
「その、破壊のゴーレムと、不可思議の箱なんですが…」
「何も話せないわ、あれは王宮直轄の宝物。あなたが知っていい情報なんて、何もないの」
つっけんどんに答えるエレオノール。事実、破壊のゴーレムと不可思議の箱は、アカデミーでも機密レベル最高位の代物だ。
たまたま居合わせたルイズたちには話したが、当事者でもないロングビルには、話す事など何もない。
「いえ、そうではなく…あの、どう言えばいいか…」
「…何よ、歯切れが悪いわね」
やたらと奥歯に物が詰まったような言い方をするロングビルに、エレオノールも苛立ちをさらに募らせた。
「以前、オールド・オスマンから依頼され、宝物庫の目録を作る際に、一度破壊のゴーレムを見たのですが…」
「危機管理がなってないわね、全く…」
アカデミーの一員であるエレオノールからすれば、宝物庫内の物品について何も知らない者を立ち入らせるなど、無用心の極みとしか思えない。
しかし過ぎた事は仕方ないと、軽く愚痴るだけで次を促す。
「あれって、『土くれ』のフーケが盗み出すほど、貴重な代物なのですか?」
「それは、ズタボロで動く気配がないからって事?」
目で見える範囲についてなら、多少は話を合わせても大丈夫だろう。
「フーケは巨大なゴーレムを好んで使う、と聞いています。破壊のゴーレム、という名に惹かれて盗み出したのでしょうけれど、私には、多大なリスクを払う価値があるのか、解りません…」
「そうね、何も知らない者には価値なんて見出せないでしょう。だけど、アカデミーからすれば、アレは国を1つ傾かせるのも容易な何か、なのよ」
剣1振にしても、メイジと傭兵では価値が全く異なるように、と付け加える。
「つまり、あのゴーレムには、アカデミーも計りかねている、特別なポテンシャルがあるんですね?」
ほんの少し、語調が強まったロングビルを一睨みし、エレオノールは眼鏡の位置を直して、告げた。
「それ以上の詮索は、消されるわよ。私も少し、話し過ぎたわ」
「は、はい、わかりました…」
学院を出発してから、まだ30分と経過していない。
オールド・オスマンに報告し、その後の対策や宝物庫の警備状況等について、2人で夜明かし話し合っていた為、エレオノールは昨晩、完全に徹夜していた。
ロングビルに見えないよう、顔を背けてあくびを噛み殺し、エレオノールはまぶたを閉じた。
「少し仮眠を取らせてもらうわ。森に近づいたら、起こしてちょうだい」
「はい、解りました」
すぐに眠ると思われたエレオノールだったが、ふと思い出したように、呟いた。
「まさか、ちびルイズの使い魔が鍵とはね…」
「え…」
漏らさず聞き取ったロングビルが、思わず聞き返そうとする。しかしそのまま、エレオノールはまどろんだ。
肩越しに、視線を荷台に寄越すロングビル。荷台では、ルイズたちが騒いでいる。
パッと見ではただ騒いでいるようだが、これからの目的を知り、十分な観察眼があれば、その騒ぎも、自分たちを鼓舞する為のものだと窺い知れる。
そしてその中、クロは荷台の中央辺りで、頬杖を付いて横になっていた。かなり余裕のある態度に見える。
「あの猫ちゃんが、ね…」
視線を戻し、ロングビルは1人、唇を歪めた。
+ + + + + +
馬車が止まり、一同は荷台から降りた。目の前に広がるは、鬱蒼とした森林。日も高いというのに、生い茂る木々に覆われ、中はずいぶんと暗そうに見える。
「ミーくん、ケツの方頼むわ。オイラが前に出る」「ガッテン」
ガトリング砲を装着し、森の中に歩を進めるクロ。その後ろにルイズ、キュルケ、エレオノール、タバサ、ロングビルと続き、最後尾には、同じくガトリング砲を構えるミーが付いた。
前進に邪魔な枝葉をデルフで薙ぎ払いながら、定期的にロングビルに方向を聞き、進む方向を修正する。途中で道がずれたなら、すぐにロングビルが指示し、正しい方角を指し示した。
「なぁ、相棒…。今更だけど、もっと剣らしく扱ってくんねぇかな…」
「オイラの剣じゃ、鋭すぎてうまく切り開けねーんだよ。適当に切れ味の悪いオメーの方がやりやすいんだ」
切れ味が悪い…剣に対する評価としては、お世辞にもよいとは言えない。涙を流す事も出来ず、声だけでメソメソするデルフをよそに、5人と2匹は進んでいく。
そして、クロとロングビルの連携の甲斐あって、森に入ってさほど時間も経過せぬ間に、一同はフーケのアジトと思われる、小屋を発見した。
「ミーくん、中の様子、解るか?」
「ちょっと待ってな、見てみるから」
適度な高さに茂った草に全員で身を潜め、小屋の様子を伺う。外見上は特に変わった所はない。むしろ場所からするに、実に自然な佇まいだ。
中から熊のような体格の木こりが現れても、驚かないだろう。
ミーが草むらから顔だけを出し、小屋を凝視した。複眼状になっている目の機能を熱源走査モードに切り替え、小屋の中に誰かがいないか調べる。
「うーん、誰もいないみたいだよ。もぬけの殻ってヤツだね」
続いて、小屋の周囲にも目をやり、見える範囲全てを走査する。
「周りにも、いるって言えば、ウサギとかの小動物くらいだ。人はいないみたい」
「な、何でそんな事が解るのよ、ミー?」
他人からすれば、ただ小屋と森を見渡しただけに見えるミーの行動に、ルイズが質問を投げる。
「人間の身体って、温かいでしょ? その温かさを、ボクは目で見る事が出来るんだ。どう説明すればいいのか解らないけど…」
「要は、あの小屋や森の中に、人間の温かさが見えない、って事?」
「うんうん、そう考えてもらえばいいかな」
一度全員、草むらの奥に隠れ、車座になった。
「確認するわ、ミス・ロングビル。フーケは確かに、ここに隠れたのね?」
「は、はい、確かにこの小屋に、破壊のゴーレムらしき物を運び込む姿を目撃しました」
すぐに学院へ報告に戻ったので、その後のフーケの動きは解らない、と、エレオノールの矢のような視線に萎縮したロングビルは、か細い声で続けた。
「あなたが報告に戻る姿を見て、一度身を隠した、とも考えられるわね」
割と歯に衣着せぬ物言いをするエレオノールに、ロングビルはすっかり小さくなってしまった。
「ボロボロで、動くかどうかも怪しいゴーレムなんでしょう? だったら、使い道がないと判断して、ここに捨てて逃げた、とも考えられません?」
「今は破壊のゴーレムと、不可思議の箱を取り戻すのが、先決」
今はフーケよりも、この場にあるのがほぼ確実な、破壊のゴーレムと不可思議の箱を取り戻したい、と提案したのはキュルケとタバサ。
「そうね、私もあの2つの無事を確かめたいもの」
この意見には、エレオノールも異論はないようだ。ルイズも頷き、直ちにメンバーの振り分けが始まった。
小屋の偵察及び破壊のゴーレム、不可思議の箱の捜索は、キュルケ、タバサ、そしてクロの担当。
隠れていた草むらからの周囲の見張りには、ルイズ、エレオノールのヴァリエール姉妹とミーが就いた。
そして、小屋裏側の警戒には、ロングビルが名乗り出た。
「それじゃあ、手筈通りに。何か異常を感じたら、手遅れになる前にこの草むらに戻って来る事。いいかしら?」
エレオノールの仕切りに全員が頷いて、行動開始となった。
小屋の前に立つキュルケ、タバサ、クロ。外観は、本当に、何の変哲もない。
「やっぱり静かねぇ…、ちょっと調べてみようかしら。タバサ、右側をお願いね」
キュルケの要請に、軽く頷いて了承を表し、杖を掲げるタバサ。キュルケも同様に杖をかざし、呪文を唱えながら振る。
その場にかけられた魔法や、魔法の痕跡を探るコモン・マジック『ディテクト・マジック』だ。
小屋だけを探るのであれば1人でも十分だが、小屋周辺まで含めるとそれなりの広さになる為、2人で分担して探査を行った方が効率がいい。そして、
「罠はないみたい」「こっちもよ」
探査は、ほんの少しも待つ事なく、完了した。この一帯には、魔法による罠等は仕掛けられていないようだ。
「んじゃ、次はオイラの出番だな。下がってろ」
ガシャッ、という金属音にキュルケとタバサが振り向くと、そこにはガトリング砲を構えたクロがいた。
「ちょっくらこの辺、耕すぜ」
「ちょ、ちょっとクロちゃん、それじゃ中の物まで…」
「心配すんな、アイツはガトリング程度で吹き飛ぶような、柔なボディじゃねぇ」
少し真面目な成分を含んだクロの物言いに、キュルケとタバサは息を呑んで、クロの後ろに下がった。
ガルルルルルルルルルルルルルルルルッッッッ
ガトリング砲が文字通り火を噴き、一瞬の間に大量に吐き出された弾丸が、小屋を、周辺の地面を、蹂躙する。
辺り一面を砂煙が覆い、その内側がどうなっているかなど、もはや判別が付かない。
「オマケにもう一発」
そしてダメ押しにと、しっぽミサイルを発射。放物線を描いて飛翔したミサイルは、ちょうど小屋のあった位置に着弾、爆発した。
突風にも似た爆風に煽られ、霧散する砂煙の奥の風景は、先程までとは一変していた。
小屋は原形を留めないまでに崩壊し、辺りの地面もグチャグチャに荒れてしまっている。これでは、仮に中に誰かいたとしたら、目を覆いたくなるような惨劇になっていただろう。
「物理的な罠も、ねーみたいだな」
あったとしても、これで完全に破壊されただろう。
これにはさすがに、見張りを担当していたルイズたちも、役割を忘れて飛び出して来た。
「こ、こここのバカ猫ぉっ!! こんなにグチャグチャにして、破壊のゴーレムとかが壊れちゃったらどうするのよぉ!?」
激昂したルイズが怒鳴りつけるが、クロは無言で、小屋の残骸に近づいた。
「聞いてるの、クロ!? これじゃせっかく――」
すんでのところで、言葉を呑んだ。これ以降を口にしてしまえば、使い魔の主としては最悪だ。メイジとしてでも、貴族としてでもなく、それはルイズとしての矜持と言えた。
ふと横を見ると、キュルケと目が合った。優しい目で頷かれたルイズは急に恥ずかしくなって、あさっての方を向いた。
そんな不器用なルイズを見て、キュルケもまた、一層優しい気持ちになった。クロを召喚した事がきっかけで、少しずつ変わってきているライバルの姿が、嬉しいのだろう。
残骸を足で蹴飛ばしながら、小屋だった辺りを軽く見回すクロ。
そして、見つけた。
久しい友を。
「また会ったな、『バイス』」
ホコリまみれになったかつての好敵手であり、友でもあるロボットの亡骸を見て、クロは感慨深げに、再会の挨拶を投げかけた。
その瞬間、クロたちの頭上を、大きな影が覆った。
以上で14話前編、終了です
色々と長くなりそうだったので、フーケとの決着は、明日投下予定の後編で、となっています
ルイズが志願した理由については…やはり強引すぎる感が、自分でも否めません。文才の無さを痛感すると共に、
うまく話を繋げておられる諸作者様方の実力に感服するばかりです。精進精進…
お久しぶり! 投下乙でした!
やっぱクロちゃんはいいなあ……
結局前スレのウル魔アンチは消えたのか
単に騒ぎたかっただけかw
>>79 荒らしは汚物のようなモノ。手を出すんじゃない。
ジープで追いかけ回すぞ。
機械じかけの職人さん乙でした
師匠と言ったらヒメガミの師匠思い出した
丁度ルイズはツルペタだし虚無四人でヒメガミ変化すればいい
駄目ならルイズ、キュルケ、タバサ、モンモン、あと爆乳エルフか?秘書は入れるかどうか悩み所だな
とりあえずシエスタはヒメカポジションで
サイトは警部ポジションで百合ハーレムならいいじゃないか
汚物は消毒だ〜!!
…モヒカン召喚も面白そうだなw
『ラスト・オブ・モヒカン』か。
『ラスト・サムライ』
『ラスト・アクション・ヒーロー』
『ラストマン・スタンディング』
『ラストブロンクス』
『ラストエグザイル』
『ラストリゾート』
『ラストエンペラー』に『ラストバタリオン』として『ラストハルマゲドン』を挑み、
『ラスト・オデッセイ』に旅立つ。
そんな『ラストの使い魔』か。
一匹紛れ込んだラストモンスターが「オマエハチガウ!」っていじめられる
ペルソナって主人公がよばれてたりするけど
3のエリザベスよんだらおもしろそうじゃね?
外出依頼みたいに王都ではしゃぐベス様みたい
86 :
黒夜のトッカータ:2011/04/21(木) 23:22:58.94 ID:5Uc2tsbC
特にご予約がなければ、23:28頃に投下させていただきます。
目を覚ましたタバサは、天蓋のついたベッドに横たわっていた。
体を起こし、見回すと小物からベッドまで豪華な調度で整えられた寝室に、自分はいる。
おまけに自分が着ている寝具も、これまた公女時代にさえ一度も袖を通した事がないような豪華なものであった。
外はまだ夜が明けていないようである。
部屋の明かりは天井に設置されたシャンデリアからもたらされているが、その明かりはとても微かなものだ。
べッドの隣の小机の上に置かれていた自分の眼鏡をかけると、自分の体を改める。
どこも、異常はないようだ。
「お目覚めのようだな。シャルロット君。」
不意に響いてきた声のする方に顔を向けるが、誰もいない。
だが、この声は聞き覚えがある。確か――。
突如、ベッドの前に無数のコウモリ達が集まり、一人の人間を形作ってゆく。
「……ヴァルター」
「ほう。私の名を覚えていてくれたか。光栄だな」
咄嗟に杖を探してみると、これはベッドのすぐ傍、手が届く所に立て掛けてあった。
タバサは杖を手に、ベッドから素早く下りて身構える。
対するヴァルターはそんなタバサを見て、くっくっと楽しげに笑いだす。
「ここは、どこ?」
杖を突きつけながら問うタバサ。
「ああ。何でも、砂漠(サハラ)という土地に接したアーハンブラ城とかいう所らしい」
「……母は、どこへやったの?」
「彼女なら隣の部屋にいる」
ヴァルターは肩を竦めながら答える。
駆け出そうとするタバサだが、ヴァルターの瞳が妖しく光だし、途端に体に力が入らなくなる。
杖を落として床に両手をつく。必死に体を動かそうと抗ってみるが、どうにもならない。
「そう慌てるな。せっかく、私から君にプレゼントを用意しておいたというのに」
きっ、とヴァルターを睨むタバサ。
「彼女は何でも、エルフの毒とやらのおかげで心が失われているそうじゃないか。
そのせいで、君の事を伯父上の回し者としか認識できないでいるという」
「……何をしたの」
「言ってみるといい」
その一言で、タバサの体は動くようになる。
母の身を案ずるばかりに、杖も持たずに扉へと駆けていき、扉を開けてみた。
そこもまた、タバサがいた寝室と同じ豪華な造りの小部屋だった。
どうやらここは貴人を泊めるために設計されたものであるらしい。
椅子の上に、一人の女性が紺色のドレスに身を包んで座っていた。
気品に満ちているその姿に、タバサの目が見開かれ、手が、呼吸が震える。
女性がタバサの方を振り向き、生気に満ちた優しい微笑みを浮かべる。
「シャルロット」
「母様――」
この数年、心を失っていた母の口から出る言葉は自分を拒絶するものばかりだった。
それが今、はっきりと自分の名を口にした。
思わず涙が溢れ、母の元へと駆け寄るとその膝に顔を埋めて嗚咽を漏らす。
母の手が、タバサの頭をそっと撫でてくる。
妙に冷たい感触だった。
「もう大丈夫よ。シャルロット。……あなたはもう、何の心配もしなくて良い。
苦しまなくても良いのです」
母の口から出たその言葉に、歓喜に満ち溢れていたタバサの心が途端にいつもの、一人の戦士としての冷静さが蘇る。
「これからずっと……親子二人で、ここで暮らしましょう。
夜の一族として――」
なら、ドクターモヒカンを召喚。
メフィストと双璧をなす魔界医師だけど、メフィストより、地に足が着いている。
っていうか理解できる。
エクトプラズム治療でウエールズもカトレアも一発完治。
しかし、魔界医術を持ってしても、ルイズとエレ姉の胸だけは……。
我に返ったタバサはがばりと顔を起こし、母から離れる。
母は変わらずに気品に満ちた微笑を浮かべていた。
しかし、その瞳は心を失っていた時やその前とも異なり、血のように赤く染まっていた。
さらに笑みを深めると、口元から鋭いとても小さな牙が覗いている。
「どうしたのです? シャルロット。あなたも、私達と共に永遠の夜を生きましょう」
青ざめた顔でタバサは後ずさる。
こんな、こんな事があって良いのか。
目の前にいる母は、紛れもなく生気に満ちた心を宿している。
だが、その心は人としての心ではない。
タバサの表情が絶望と哀しみで満ち溢れ、両手で口を覆った。
「私からのプレゼントは、喜んでいただけたようだ?」
背後からヴァルターの嘲笑う声が響く。
「……母に、何をしたの」
振り返り、怒りに満ち溢れた瞳で扉の淵にもたれかかるヴァルターを睨みつける。
「見ての通りだ。エルフの毒とやらを取り除いてやったまでだ。
……まあ、おまけもあるがな」
この男は、吸血鬼だ。
ならば、その牙で母の生き血を啜ったのか。
しかし、吸血鬼に血を吸われてもそれで死にさえしなければ屍人鬼になりはしないはず。
「私はこの土地とは違う場所から来たからね。仕組みも色々と違うのさ。
……彼女は既に、我が眷属の一員だよ。
既に貞操は失っているとはいえ、美味な血だったな」
ヴァルターの言葉を無視し、タバサは寝室の床に転がる杖へと駆け寄るとそれを手にする。
「――エア・ハンマー」
タバサが呪文を唱えようとするよりも前に響いた、うがいをするような濁った声。
突如横から突風の塊がぶつかってきて、部屋の壁へと叩きつけられてしまう。
体を起こすと、ヴァルターの傍らにいつの間にか大きな杖を手にする真っ黒な禍々しいオーラを放つ小さな少女の影がそこにあった。
その姿に、タバサは驚愕する。
少女の姿は紛れもない、トリステインの制服姿の自分自身だったからだ。
だが、その眼差しは虚ろで生気が宿ってはいない。
「このドッペルゲンガーは、君達の世界にもある魔法人形スキルニルと同じ力を持った妖魔でね。
写し取った相手の能力を複写できる」
説明しながらヴァルターが手を振ると、タバサの姿をしたドッペルゲンガーが無機質な動作で別の扉を明けて外へと出て行った。
よろめきながら体を起こすタバサは杖を拾い、ヴァルターを睨みつける。
「……わたしたちを、どうするつもり?」
「その答えは二つある。まず、母君は見ての通りだ。君の伯父上から面倒を見るように頼まれてな。
そして、君なのだがね……」
ヴァルターは堂々とタバサの前まで歩み寄ってくる。
血に飢えた獣のような瞳で、タバサを射抜いてきた。
「私は退屈なんだ。だから、その遊び相手にでもなってもらおうかと思う。
だからこうして杖を渡している訳だ」
「遊び相手?」
「ああ。私は君の伯父上からこれから何か達しがくるまでここにいる。
だから私に隙を見つけたらかかってくると良い。いつでも相手になろう。
私を滅ぼす事ができれば、母君は元に戻るからな」
にやりと不敵な笑みを浮かべる。
やれるものならやってみろ、そういう事か。
「……もっとも、それが嫌なら自分で好きにすれば良い。
望むのなら、母君と同じ我が眷属に迎えてやっても良いぞ?」
ヴァルターの手が、タバサの頬に伸ばされる。
篭手とその上を覆うグローブを通してでも、冷やりとした感触が伝わってくる。
ちらりと、隣の部屋へ続く扉の間に立つ母を見る。
相変わらず気品と凛々しさに満ちた表情で、こちらを見続けていた。
母と、一緒になれる……。
あの時からずっと望んでいた、母の温もり。
しかし、今の母にはそれがない。
タバサが望むのは、人としての母の愛情だからだ。
夜の一族には、なりたくない。
「そうか。……では、退屈ならこれでも読むと良い」
すると、ヴァルターは一冊の本を差し出してくる。
それは憶えのある、かつての旧オルレアン邸で読み耽っていたタイトルだった。
幼い頃、母が自分を寝かしつけてくれる時に枕元で読んでくれた物語……。
「イーヴァルディの、勇者……」
おとなしくそれを受け取ったタバサはベッドに腰を下ろし、杖を立てかけてゆっくりとぺージをめくろうとする。
すると、母が自分の隣に座ってきて本をそっと取り上げてきた。
「親子水入らず、楽しむがいい。――ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ……」
ヴァルターが高い笑い声を響かせ、黒い霧となって部屋から姿を消していた。
タバサの隣に座る母は、昔のように優しく『イーヴァルディの勇者』を読み聞かせてくれた。
こうしていると、母は本当の人間のように感じてしまう。……だが、それは違う。
母の魂は、あの吸血鬼によって穢されてしまっている。
本来ならば母がこうして隣にいてくれる事に喜ぶはずが、そうは感じられなかった。
「……私は、できれば今すぐにでもあなたを眷属に迎えてあげたい」
不意に、そんな事を言い出す母にタバサはびくりとする。
「でも、今のあなたはそれを望んでいない。だから、あなたを迎え入れる事はできません。
……しかし、決心がついたならばいつでも私に言いなさい。私が直接、眷属へと迎えてあげます。
そして、この城でずっと静かに暮らしましょう」
たとえ魂が穢れてしまっていても、母は優しいままだった。
まだ完全に、穢れてはいないのだろうか。
(母さま……きっと助けてみせます)
母が静かに読み聞かせてくれる中、新たな決意を心に刻んでいた。
あのヴァルターという男。許しはしない。
母の魂を穢し、弄んだのだ。
(シルフィードは、どうしたのだろう)
もしも生きていれば、恐らくは学院に助けを求めに行ったのだろう。
だが、相手はかつて自分が戦ったのより遥かに強大な、エルフに匹敵する力を秘めた吸血鬼。
ガンダールヴの力を宿したサイトや、その主人――虚無の担い手であるルイズならば勝てるだろうか。
朝が訪れる事は決してない。
恐らくは、ヴァルターが先住の魔法か何かで永遠の夜を作り出しているのだろう。
おかげで時間の感覚というものが無くなってきたように感じられていた。
何日……いや、一日という時間さえ経ったのかどうかさえ分からない。
「――っ……ああ」
恍惚とした母の吐息が聞こえる。
寝室の隣の部屋の扉は、開け放たれたままだった。
タバサはベッドの上で辛そうに俯き、両耳を塞いでいる。
母はヴァルターに抱きすくめられ、その喉に口付けをされ続けていた。
首筋から血が溢れだし、床の絨毯に滴っていく。
ヴァルターは本当に暇になると、母を呼び出してはあのように自分の喉を潤そうとしていた。
吸血鬼とはいえ、以前は本物の貴族だったのか気品のある口付けに母は喜悦した表情を浮かべてうっとりとしている。
見たくない。母のあんな姿など。
これ以上、母の魂があの男に穢されていく所なんて、見るに耐えない。
しかし、ヴァルターはこれ見よがしにと母の血を啜る様を見せ付けてくる。
やがてヴァルターが母の喉から口を離し、母の体を椅子に座らせる。
口付けの痕が生々しく残り、その痕を押さえながら母は快楽に余韻を感じているようだ。
「どうした? 退屈なら、いつでも相手になると言っただろう?」
扉を閉め、ベッドに近づいてきたヴァルターをタバサはきっと睨みつける。
「エア・カッター……!」
傍に置いていた自分の杖を手にすると同時に素早く詠唱し、至近距離からヴァルターに魔法を叩き込む。
だが、この間と同じように自分の攻撃は全てヴァルターには届かず、弾けてしまう。
「その調子だ。シャルロット君」
ベッドから飛び降り、距離を取るとヴァルターは愉快そうに笑った。
「ウィンディ・アイシクル……!」
呪文を詠唱し、無数の氷の矢を放つ。
不敵に笑ったヴァルターは床を滑るような動きで横へと移動し、かわした。
それを追撃してさらにウィンディ・アイシクルを、そしてエア・カッターを矢継ぎ早に放つ。
「……!」
タバサは目を見開く。マントで体を覆うヴァルターの姿が一瞬にして無数のコウモリの大群となって部屋中に分散し、攻撃をかわしたのだ。
さらにそのコウモリ達が一斉にタバサへと襲い掛かる。
「エア・ハンマー……!」
突風の塊を放ち、コウモリ達を退けるとコウモリ達が集まっていく場所へ杖を向け、狙いを定めた。
「ジャベリン……!」
再びヴァルターの姿が現れる寸前に氷の槍を放つ。
しかし、この攻撃もヴァルターの胸の前で勢いを失い、砕かれてしまった。
何故だ。何故、攻撃が通用しない。
まるで見えない壁か何かが攻撃を阻んでいるようだ。
タバサの視線が、ヴァルターの首飾りに填められた漆黒の黒曜石へと向かう。
先日は気付かなかったが微かに妖しい光を放つその黒曜石からは、甚大な程の魔力を感じる事ができていた。
「ああ、これか?」
その視線に気付いたヴァルターが自らの首飾りに手を触れる。
「……そうだな。種明かしをしよう。
これは我ら夜の一族の至宝。漆黒の石≠セ」
タバサは漆黒の石と呼ばれたそれを食い入るように見つめる。
「君は賢者の石というものを知っているかな?」
「知らない」
「私のいた土地には錬金術という学問があり、賢者の石は究極の目標だ。それは不老不死の源とも言われている。
未だそれが完成した試しはないが、過程で様々なものが生み出されるものだ。
……私の持つこの漆黒の石は、その実験過程で生み出されたものの一つなのだよ。
この石は、我ら夜の一族の力の源――永遠に終わらぬ漆黒の夜を作り出す力を持つ」
そうか。未だに朝が訪れないのはそれが理由か。しかし、たったこの石一つでこれ程までの事ができるとは。
「そして、この石に選ばれし夜の一族に絶対の恩恵をもたらす。……故に、私は夜に愛されている」
にやりとヴァルターは笑う。
つまり、その石が吸血鬼であるヴァルターの力をさらに増幅させているという訳か。
「これを手に入れるのは苦労したよ。母の命を捧げてまで夜の一族となったのだ。
夜の王を目指す者に、これ以上の宝はない」
「母の、命……?」
「いつだったかな。……ある所にビアンカという心優しい女がいた。
その女は異教徒共の侵略で国を追われていたようでね。自分の夫ともはぐれてしまった。
従者を一人、供につけさせながら各地を転々としていた。ところが、そいつの裏切りで彼女は死に瀕してしまったんだ。
そんな時、彼女の目の前に悪魔が姿を現した。その悪魔は誰かの命と引き換えに命を助けてくれると言ってきてな。
彼女は身篭っていた腹の子の命を捧げて、生き延びようとした」
ヴァルターはさらに笑みを深め、牙を覗かせていた。
「……だが、その前に腹の子は母の命を悪魔に売り渡し、生き延びる事ができた。
それが、この私だ――」
「何故、そんな事をわたしに……」
「ん? ただの退屈凌ぎに決まっているだろう。
さて……どうする? まだ続けるか?」
にやりと嘲笑うヴァルターに、タバサはこれ以上の抵抗はできなかった。
※以上になります。
>>79,80
住人の言い分も理解したし、自己解決策も見つけたから自重してるだけだよ。
本当に都合のいい脳味噌してるよな、お前らはさ。
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
一本投下します
101 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:22:21.45 ID:GMAcQilR
あまりにも大きく、あまりにも無残な黒い鳥
それが、ゼロと呼ばれた少女が呼び出した使い魔だった
いや、そうではない
その鳥の中にはたった一人、異世界の軍人が残っていた
その異様な姿のせいか、これを軍船だと信じるものは、主人となるはずの少女を含め誰もいなかった
そして異例の処置として、少女は召喚のやり直しが許された
そこで呼び出された平民の少年を連れ、少女は部屋に戻って行った(相変わらず不満そうだったが)
実は、このやり直しは一人の男
ジャン・コルベールの独断により許されたものだった
実直かつ高潔な彼にも、一つの趣味がある
それは”技術”を作ること
魔法全盛の世においてそれを学ぶ場や交流の場は乏しく、ほぼ独学になってしまう
そんな時、あまりにも異質、かつ進みすぎた技術の結晶が降って湧いたのだ
それを自らの物にしたい
そう思ってしまった彼を責めることはできまい
手に入れた少女が嫌がっていた物を貰い受ける
彼がしたことと言えばそれだけなのだから
この船の名は“グレイプニル”
そして彼はこの船の“キャプテン”
それを聞いたコルベールは、ずっとキャプテンを質問攻めにしていた
あれは何なのか
これはどう使うのか
それはどうやって動いているのか
40も過ぎた中年が、少年のように瞳を輝かせて質問をしてくる
状況を説明されたとはいえ困惑を隠せないキャプテンも、その気持ちを無下にはできず分かる範囲で説明をしていた
まさにコルベールにとっては至福の時間だったといっても差し支えない
この技術を得られるのなら、今回の咎で学園から追い出されてもかまわない
そんなことを半ば本気で考えてしまうのほどの興奮だったのだ
なぜこの船がボロボロなのか
その質問をしたとき、キャプテンの顔は曇りやがてぽつりぽつりと語り出した
それは、ここまで話を聞いてきたコルベールにとっても信じられないような話だった
102 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:22:50.97 ID:GMAcQilR
姿を消し、息をもつかせぬ連発銃と破壊の筒
空を統べる力とも言える衝撃波爆弾
そして都市を一発で焦土に変えてしまう破滅の光
それを操るグレイプニルが、一つの凶星に敗北したと言うのだ
それを苦しそうに語るキャプテンに何と声をかけるべきか
そうコルベールが悩んでいた時、急にキャプテンは僅かに目に涙をため、言った
こいつはまだ飛べる
グレイプニルの翼は、まだ折れてはいない
計器はまだ動く
衝撃波爆弾は失ったものの、銃や破滅の光はまだ生きている
だが、こいつの食い物が尽きてしまったのだと
ほんのわずか残った食べ物―――ガソリンを取り出したキャプテンは、コルベールの手を握り叫んだ
これを作ってくれ
そうすれば、ここに残ったものはみんなあんたにくれてやる
戦いたいわけじゃない。敵なんてここにはいない
ただ、俺はもう一度だけでもこいつを飛ばせてやりたい
それを俺以外の消えてしまったクルー、仲間達への餞にしたいのだと
未知の液体を、タルに数百個生成する
それがどれだけ難しいことなのか、コルベールだって分かっている
まずは錬金が成功するかどうかも分からない
それでも、コルベールはキャプテンに向かって大きく頷いた
外の技術が欲しかったから
未知の液体の生産をしたかったから
それも確かに大きな理由だ
しかし、もっとも大きな理由は、キャプテンの目だった
自分も軍人だった過去があるから分かる
死んでしまった者達に対しどうやって償えば、どのような餞をすればいいか
後悔を残す者はいつも考える
そんな気持ちを、コルベールは目の前の男から感じていた
わかりました。やってみましょう
キャプテンは、涙をこぼしながら厚く礼を述べていた
それから、学長であるオールド・オスマンにコルベールは呼び出されたが
召喚された本人であるキャプテンの必死の嘆願により、コルベールのお咎めは謹慎一週間ですんだ
もっとも外に出れなくても一向に構わないのだ
自室でキャプテンと共に様々な者を調べ、作り上げる
ガソリンの精製法を研究する
お互いの世界についての情報を共有する
やることなど、山のようにあったのだから
103 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:23:12.11 ID:GMAcQilR
そんなある日、少し外に出ていたキャプテンが泣きながら帰ってきた
なんでも、同じく外から召喚された少年、ヒラガサイトに自国の話を聞いたのだという
平たく言えば、彼の国、[レサス民主共和国]は[オーレリア連邦共和国]に敗北したのだ
以前キャプテンが言っていた凶星、オーレリアはその男を中心にして戦い、軍部司令官ディエゴ・ナバロは死亡
レサスは生まれ変わり、貧民から金を吸い上げるヒルのような独裁体制から、少しづつ復興しているとの事だ
ならば、良かったのではないですか
そうコルベールは言うが、彼の心中は分かっていた
国のためと信じて戦ってきた自分の全てを否定されたような気持ち
あいにくとコルベールは昔反吐が出るほどに汚いところを見せられた
だから彼ほどの愛国心は無い。それでもわかる。だからこそ言葉を続ける
あなたや、かつての私のように戦いに生きた者に生み出せるものなどありはしません
だから私は炎を捨てました。そして、あなたもこの鳥を戦いのためではなく、仲間への餞として飛ばしたいと言います
あなたはもう、殺すことしかできない軍人ではありません
ここで、私に明日のハルケギニアの発展のために力を貸してくれる同志なのです
ゆっくりと、微笑んで言葉をつむぐ
その笑顔と言葉は、確かに戦う者のそれではなく、穏やかな教育者のものであった
そして、キャプテンは初めて会った日のようにコルベールの手を握り、小さく呟いた
ありがとう、友よ
それから、二人の研究は進んでいった
作られるガソリンの量はほんの少しだが増えていく
グレイプニルの中にある様々な小物、コーヒーメーカー、懐中電灯、部下の私物であろう携帯ゲーム
そんな外の世界の技術を少しづつ、だけど確実にキャプテンは伝え、コルベールは吸収していった
生徒を導くことにも大きなやりがいを感じている
しかし、今このときほど充実した日々はそうありはしないとコルベールは思う
キャプテンも同じ
自分の拙い知識でもこんなに感動し、それを役立てようとしてくれる人がいる
そこに感じたやりがいは、めったに感じられるものではない
SWBMやショックカノンでオーレリア軍を駆逐していた時に感じたものとはわけが違う
あれは殺戮の愉悦。今ここで感じることのできる喜びとはまったく違うものなのだ
たとえ軍人であっても、彼の性根は善人なのだから
104 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:23:33.69 ID:GMAcQilR
しかし、現実とは時に非常なものである
あと数日で目標とするガソリンの量ができるとなった頃、ある情報がトリスティンにもたらされた
アルビオン王国、陥落目前
初め、キャプテンにはそれが何を意味するのか分からなかった
しかし、コルベールは静かに、しかし僅かに困惑と怒りを滲ませながら伝えた
詳細は分かりませんが、数万の軍勢がアルビオン王国を取り囲み、陥落後はトリスティンを狙うことでしょう
それを聞いたキャプテンは自分の部屋に閉じこもり、その日一日出てくることは無かった
そして、翌日の早朝、トリスティン魔法学園は轟音に包まれた
戦争が始まったのか。皆はそう考えていたのだが、その割には一切の攻撃も被害も無い
ただ違っていたのは、広場に横たわっていた黒い怪鳥が、空に飛び立とうとしていたこと
それを見たコルベールが彼の部屋に飛び込むと案の定もぬけの殻
唯一残されていたのは、机の上に残されていた手紙だけだった
文字も急ごしらえの勉強のためか汚く、拙い
それでも、コルベールはキャプテンの思いを知ることができた
友よ。このような別れになることを許してほしい
グレイプニルが飛び立つ時、お前を乗せると言った約束は、どうも叶えられないようだ
しかし、お前のおかげでグレイプニルは再び大空へ、戦場へ飛び立つことができる
この世界の空軍がどれだけ強いのか俺にはわからない
だが、どうか俺とグレイプニルを信じてくれ
この美しく、優しい場所を守るため、俺はお前の嫌っていた軍人に戻る
できることならば、全てをお前に打ち明けて、祝杯を受けて出撃したかった
しかし、戦いを嫌った優しいお前がおれを送り出そうとするとはとても思えないのでな
だから俺は黙って最後の出撃をしようと思う
さらば友よ。そして、感謝している
追伸:拙いながら、グレイプニルから運び出した物の使い方や構造
俺の知る限りのことはこのノートにまとめた
最後に運び出した”発電機”さえあれば、多くの物を動かすことが可能と思う
頑張ってくれ。未来の大発明家よ
馬鹿。馬鹿者
手紙を握りながら、コルベールは泣いた
馬鹿者 馬鹿者と呟き、泣き続けた
105 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:23:52.67 ID:GMAcQilR
機銃は残りわずか
ミサイルとSWBMは空っぽ
あとは一発きりのショックカノンだけ
光学迷彩は使用不能、装甲板もほとんど残っておらず、航行速度も本来の半分以下
そして、アルビオン王国までの距離を考えれば、恐らく片道分しかないであろう燃料
まさに出撃した時点で満身創痍。全性能の10%が関の山
それでもキャプテンは勝利を確信している
なぜなら、この世界の空には凶星(ネメシス)――いや、南十字星(サザンクロス)はいない
ならばグレイプニルが負けるはずが無い
オーレリアの英雄、奴以外がこの空中要塞グレイプニルが落とすなど、あってはならないのだ
敵の位置は数キロ圏内に入った時点で分かった
数万の軍勢を一転に集めている、まさに中世の様な戦い方だ
そこに向けて機銃を放つと、瞬く間に数機の船が落ちる
敵が大砲や火球を放つが、そんなものではグレイプニルに傷をつけることすらできない
……と、いうのは平時の話だ。確かに万全の体勢であれば、この世界におけるグレイプニルは無敵の不沈空中要塞だろう
しかし今の満身創痍の有様ではそんなちっぽけなダメージも有効打となり、今にも壊れそうな機体に蓄積していく
そしてついに機銃も切れ、右尾翼が欠落する。残る武器はショックカノンのみ。最後の時は迫っていた
大勢の兵士が行うべき操縦を一人で行い、怪我や疲労を蓄積させたキャプテンは、ノイズの走る外部マイクを取り出し、大声で叫んだ
こちらはトリスティン軍ではない。しかし、故あってアルビオン王国に手を貸す者である
アルビオンの者は今から5分以内に撤退せよ。繰り返す、5分以内に撤退せよ
それを伝え、キャプテンはいつぞやのようにグレイプニルをピッチアップさせ、腹を敵に向ける
急に縦になった操縦室でキャプテンは下に落ちて背を強打する。咳に多量の血が混じった。それでも握った赤いボタンは手放さない
敵からすれば的が大きくなったと大喜びだろう。衝撃がどんどん大きくなる。空中分解も時間の問題だ
しかし、チャージは順調に進んでいる。ああ、今ちらりとアルビオン側から飛び立った蒼い龍、あいつは学園で数度見た
背に乗せていた者も、誰なのかは分からない。しかし願わくばあいつに伝えてくれ。俺の最期を
充電率が100%を表示する。五分も過ぎた。これが最後。レサス空軍の象徴、グレイプニルの最後だ
サンタエルバで放っていれば残っていなかった一撃。今この瞬間だけは、あの怨敵に感謝を
「グレイプニルを任された者として、せめて最後の一撃を………」
そして、さよならだ
「それを、この異世界で叶えてみせる!!」
―――友よ
106 :
炎蛇と黒鳥:2011/04/22(金) 02:24:13.38 ID:GMAcQilR
黒い援軍。詳細不明。記録抹消
それがトリスティンの公式記録である
真相を知るのはあの日あの時グレイプニルの発進を見た、その中でもさらに少数の者
そして、かつてその黒い援軍を召喚した少女と、その仲間達のみである
あの日、グレイプニルはレコンキスタ軍を道連れにして空中分解した
ただでさえピッチアップした状態のショックカノンなど負担が強いのに、あの状態である
キャプテンとて、分からずに使ったわけではない。覚悟の上での決断だったのだろう
自分とグレイプニルを犠牲にしてまでも、トリスティンと友を守ろうとした
それによりレコンキスタはほぼ壊滅状態に陥り、消滅したと伝えられている
その物語は、後に英雄談として多少の脚色を加えながらも絵本になった
しかもその絵本は豊かではない平民の子供でも買えるような値で売られている
魔法学院の教諭でありながら、魔法の必要ない技術の発展に多くの功績を残した大発明家
ジャン・コルベール氏の“活版印刷機”による低コスト・大量生産によって
サイトいわく、[エジソンみたいだ]と言われた男は、その後何度も貴重な勲章を得るチャンスに恵まれた
しかし、彼はその全てを辞退している
何故なのか、と聞くと、彼は決まってこう悲しそうに答えるのだ
共にその栄誉を受けるべき友人がここにいないのに、私一人が受けるわけにはいきません
と
投下終了です
元ネタ:ACE COMBAT X Skies of Deception
ミッション7B後のグレイプニルです
乙
エスコンは一時期、ピクシーが多かったな。
しかし、現代兵器の召喚ネタは、文明段階をふんでないから悲劇につながるんだよな。
そういう意味で、ゼロ戦にしたのは正解だな。
超兵器だとハッピーエンドでも、たいがい、海に沈めるとか爆破するといった「ブルーサンダー」
エンドあんだよな。
昔、夏子の酒の人が、サンデーで連載してたリュウの伝説を思い出した。
>>85 小ネタにはあるなベス様召喚。
ギーシュが「メギドラオンでございます」でイゴってたが。
>>108 エスコン以外で、『現代兵器』 『超兵器』だと
「虚無と最後の希望」 HALOシリーズ(マスターチーフ )
「絶望の街の魔王、降臨」 BIOHAZARD3 LAST ESCAPE (ジル・ヴァレンタイン)
「萌え萌えゼロ大戦(略)」 萌え萌え2次大戦(略)ウルトラデラックスPC版 (ふがく)
「SnakeTales Z 蛇の使い魔」 METAL GEAR SOLID (ソリッド・スネーク)
「ゼロの戦闘妖精」 戦闘妖精 雪風 (メイヴ雪風)
「STEALTH & Aegis」 ステルス( 無人戦闘機のエディ)
「疾走する魔術師のパラベラム」 疾走する思春期のパラベラム (錠剤)
スパロボ系を除くと 思いついたのは、この辺かな(あんまり 『悲劇』って感じじゃないけど)
好きな作品が多いけど 早く帰ってきてくれないかなぁ
いつまでも待ってます!
白い巨塔を召喚したのもあったよな
トッカータの人乙
応援してるよ
仮面ライダーWから大道率いるNEVER軍団を召喚
ルイズと契約せずハルケギニアを地獄に変える
それを阻止すべくルイズたちが立ち向かう
って内容で考えたんだがどうかな?
一方的な蹂躙にはしないつもりだが
個人的にはあまりそそられないなぁ。
そもそも召喚したメイジの敵に回るような使い魔に相応しくない存在が喚び出されるという
召喚事故系自体が好みじゃないってのもあるけど
とりあえず書けばいいじゃない
>>114 いやあ、大道は人に従うようなキャラじゃないし
ルイズたちとワイワイやるシーンも浮かばないから
いっそ敵に回った方が面白いかなあと思って
その方がらしいですし
>>116 言うことを聞かないけど結果的にルイズの身を守り成長させてくれる存在が喚び出されるなら理解できる。才人がそんな感じだし。
でも明確にルイズに害をなす存在が喚び出されるのはワケがワカラン。
まあ結局のところ
>>115の言う通りなんだけど、他人に意見を伺わなきゃ判断できないなら止めとけとも思う
アクマの人の人修羅が言っていた、「迷っているなら止めるんだ。戸惑うならまだその時じゃない」って
髪が逆立ってる人が言っていた、「まだあわてるような時間じゃない」
>>113 まぁやるとしても今度のスピンオフ出てからの方がいいと思うよ
過去の掘り下げとかもやるわけだし
>>117 あんま排他的になりすぎると書き手が減るぜ?
明らかなアンチ・ヘイト展開でもないなら文句言うこともないだろ
兼好法師も言ってた、「迷うならやるな」
>>110 どこからが現代兵器のくくりなのかわかんねェ
BLAME!なんかは進化しすぎた科学は魔法と区別つかないレベルの世界だけれど、HALOはまだその範疇なのかな?
あれもパワードスーツが戦車を腕力でひっくり返し、星間航行しまくる世界だけれど…
まあ前者に比べたら明らかに見劣りするし、何だかんだいって歩兵が小銃持って軌道降下する程度の世界だからいいか
>>90 >私はこの土地とは違う場所から来たからね。仕組みも色々と違うのさ。
というか、吸血鬼の設定って作品で色々異なるよなw
オーソドックスにニンニクや十字架、流水に弱いのでも理由がかなり違ってたり
血を集める方法にもいろんな種類がある
強引に人間に噛み付いたり、人間の体内に潜り込んだり、特殊な腕時計をばらまいたり
吸血鬼の大元はブラム・ストーカーのドラキュラ。
このドラキュラも、各地の伝承の寄せ集めやオリ設定入ってるし。
そもそもヴァンパイアって呼称も近代に入ってから出来た言葉だしな。
確か公式では経済関係だがの新聞で使われたのが初だと聞いたが。
で、ドラキュラのヒットで吸血鬼モノが増えて各作品のオリ設定も広まって現在に至ると。
ドラキュラ日光平気だしな。
>>124 >>特殊な腕時計
吸血鬼って言ってるのにそれは宇宙人の集め方だろw
コブラに出てくるドラキュラIII世なんか日焼けが趣味でクリスチャンだしな
>>125 吸血鬼ならストーカーよりポリドリのほうが先だぞ。
>>125 都筑道夫に人間の血を吸って生きている吸血腕時計が登場する短編がある。
>>129 マジ? スペル星人だとばっかり思ってた……
一レス短編投降します
131 :
さすがな使い魔:2011/04/22(金) 15:30:28.43 ID:GMAcQilR
私が召喚したのは、一人のさえない男と大きなゴーレム
嫌だったけれど、その男はゴーレムを操れるという話なので泣く泣く契約した
うう、私のファーストキス……いや、これはノーカウントよね
まあそれはともかくとしても、この男が何にも役に立たなかったことはどうにも承認しがたい
感覚の共有も駄目。秘薬の材料も探せない。ゴーレムもただ頑丈が取り得のでくの坊
初めは何でこんなの呼んだのか。やっぱり私はゼロなんだと自己批判に陥る日々が続いた
けれどもそれは間違い、とまでは言えなくても、だんだんと私の評価は変わっていった
頑丈なゴーレムは、爪と破壊の光を使い戦うことができる
けれども私が本当に感心したところは、そいつは本当に、異常に、ただひたすらに頑丈だった
ギーシュのワルキューレにいくら切りつけられても、フーケのゴーレムにいくら殴られようとも傷つかず
鈍重な動きで戦い抜き、最後には勝利を手にしてしまうのだ
そしてゴーレムの中から出てきた私の使い魔は、ほんの少しだけ微笑み、一言だけゴーレムの頑強さを褒めるのだ
けれども、今私は不安を隠すことができない
いつか彼は言っていた。あのゴーレムの真価が発揮されるのは水中なのだと
けれども今彼が相対しているのは5万の空中戦艦
空を飛んでしまえば届くのは射程が僅かに長い破壊の光だけ。爪も頭突きも届かない
それなのに彼は、私たちとアルビオンの人々を逃がすために殿を申し出た
そして、安全圏まで逃走した時、私は最低の主人だったと思い知った
彼は、死んで私たちを逃がした。私はそれを知らないふりをして逃げ出した
私一人であったなら、今すぐにもあの戦場に舞い戻りたい。でも、それは他の皆を危険に晒す行為
私にできることは、ただ自身の無力を噛み締めることだけだった
それから一週間が過ぎた
私の使い魔とゴーレムは既に敗北して、土に返ろうとしている頃だろう
そんな私を心配して、キュルケたちが来てくれる。でも、私はそんな彼女達に言葉を返すことができない
ちゃんと話すことができない自分の不甲斐なさと、あの使い間に対しての申し訳なさで、胸がいっぱいになっていた
ああ、またキュルケが来てくれた。嬉しい。でもごめんなさい。いまは一人にして―――
「何言ってるのよ。あなたの使い魔が帰ってきたの。ちゃんと迎えてあげなさい」
えっ? 何の冗談よ。あいつが帰ってこられるはずが
そう反論しようとしたけれど、聞きなれた音が聞こえてくる。ああ、あれはあいつのゴーレムの足音だ
窓から身を乗り出すと、茶色のボディをあちこち凹ませ、爪を一本失った、最硬のゴーレムがいた
その中から出てきたのは自称外の世界の軍人である私の使い魔。そいつは、いつもよりも口角を上げて嬉しそうに微笑んでいた
そして、部屋に帰るなり眠ってしまった使い魔の変わりに、いつもの彼のセリフを、今日だけは私が言ってあげる
すっかり見慣れたゴーレムを見上げ、これからも頼りにしてるわよ、という激を込めた声で
「さすがゴッグだわ、なんともないわね!」
さすが投下だなんともないぜ
無事に最終回も迎えた事だし、まどかマギカのSS増えるかな
前スレ埋めようぜ
「うめよう」
「うめよう」
そういうことになった。
銀英伝のビッテンフェルトはルイズと相性が良いと思う
アンリエッタの平民登用を利用して政界入りしてのしあがっていくトリューニヒト
吸血鬼…クリストファーの人まだかな……
書き直して子爵召喚でもいいけれどー(ふざけんな
>>131さすがゴッグだ、なんともないぜ!
何が来たのかと思ったらそうくるかw
とにかく乙
こんばんは、機械仕掛けの使い魔です
トッカータの方、エスコンの方、ゴッグの方、乙です
予約等なければ、22時35分頃、14話後編を投下させていただきます
機械仕掛けの使い魔 第14話〜後編〜
「出やがったなぁ、デク人形ッ!!」
振り返り様にガトリング砲を上空に向けるクロ。その銃口の先には、昨夕に失態を演じさせられた相手、フーケのゴーレムが悠然と立っていた。
「ちっ、今日は乗ってねぇか…」
ズームせずとも解った。今日のゴーレムは、フーケを肩に乗せていない。いれば狙い撃っていただろうが、ゴーレム単体ではいくらガトリング砲を叩き込んでも、焼け石に水だ。
「クロ、どうする? 一応言っとくけど、ここじゃ”アレ”は使えないぜ」
いつの間にか隣に並んでいたミーが聞く。同様にガトリング砲を構えてはいるが、昨日の顛末を見た以上、下手に撃っても無駄だと理解しているようだ。
「わーってるよ。コイツをいくら攻撃しても、ほとんど意味がねぇ。アレを動かしてるヤツを叩く」
「ガッテン。だけど、その動かしてるヤツってのは、どこにいるのさ?」
辺りを見回しても、フーケらしい人物の姿は見えない。クロはなんでも斬れる剣を抜刀し、ゴーレムに向かって走り出した。
「オメーらで探して来なッ!」
クロのダッシュを合図に、全員が散らばった。固まっていてはいい的だが、30メイルのゴーレムからすると、散開した人間サイズの目標は、追うだけでも困難だろう。
加えて、ここは森林地帯のど真ん中。ゴーレムの視界から姿を隠す場所はいくらでもある。フーケ捜索に集中したとしても、そうそうゴーレムに見つかる事はないはずだ。
そして今、ゴーレムに立ち向かったのはクロである。型にはまった戦い方など通用しないこの黒猫が相手になった時点で、フーケの命運は、決まった。
ゴーレムに向けて走っていたクロは、そのまま股下をくぐり、駆け抜けざまに両足首を切断した。両足首の先を失い、轟音と共に前のめりに倒れるゴーレム。
これが普通の生物であれば、この時点でまともに動けなくなっていただろう。しかし、ゴーレムは違う。術者の精神力と素材が続く限り、いくらでも身体を再生出来るのだ。
昨日のように、ゴーレム周囲の地面がモコモコと蠢き、切断された両足首辺りに集中していく。そして、
「デビル化したミーくんみてぇだなぁ…」
その再生の様子に、過去に戦ったデビルミーを思い出していたクロだったが、そうこうしている間に、ゴーレムの自己修復が完了した。
新しい足を得、両手を付いて、いざ立ち上がらんとするゴーレム。
「ま、どーでもいっか。ホレ」
そんなゴーレムの両足首を、クロは再び、切断した。再び失われる足、再び前のめりに倒れるゴーレム、再び響く轟音。
まるで先程の光景を、巻き戻してもう一度見ているかのようだ。
足首を失った為、ゴーレムはまた周囲の地面から土を補給し、新たな足首を作り出す。
「ホレ」
そして立ち上がろうとしたところで、三度クロは、足首を切断した。
「おいおいフーケさんよぉ! ゴーレムちゃんが痛い痛いって泣いてるぜぇ!?」
なんでも斬れる剣を肩に担ぎ、鼻をほじりながらフーケを挑発するクロ。その顔は、邪悪そのものと言えた。
これが、クロ流の対ゴーレム時間稼ぎ、である。
人間に限らず、足のある生物の足止めに最も手っ取り早いのは、足自体を破壊する事だ。30メイルのゴーレムが相手では、常識で考えれば足の破壊など簡単には行かないが、クロは話が違う。
過去に何度も、ゴーレムの足首より太く、分厚く、硬い物体を一刀の元に切り捨てて来たのだ。土を切り裂くなど、造作もない。
ゴーレムが立ち上がろうとしたら、足首を切断して転ばせる。修復して立ち上がろうとしたら、また切断して転ばせる。
オマケにゴーレムからは、クロへの反撃が一切出来ない。手は届かないし、修復中の足は動かせない。
さらに言えば、緩慢なゴーレムの足など、すばしっこいクロには脅威足りえない。修復後のゴーレムの足はクロには当たらず、立ち上がろうとすればまた切断される。
目を覆いたくなるようなハメ技が、開始された。
散開したフーケ捜索メンバーたるルイズたちは、それぞれが別の場所にいるのだが、それでも全員が、1点に目が釘付けになった。
ゴーレムが立ち上がったかと思うとすぐに倒れ、轟音が辺りを揺らし、また立ち上がったら倒れる、といった、意味の解らない行動を繰り返しているからだ。
そんなメンバーの中、ただミーだけが、その意味を理解していた。
「また派手にやってるなぁ、クロ…」
クロの手口を知っているミーだけが、おおよそではあるが、ゴーレムの足元で一体何が起こっているのかを把握していた。
元の世界でも、相手が哀れにすら思える戦い方をしているクロだ。あの、ひたすらに立つ、倒れるを繰り返しているゴーレムも、クロの被害に遭っているのだろうと、僅かに胸を痛めるミーであった。
ゴーレムと周囲へ、交互に視線を移しながらフーケを探していたルイズは、異変を感じ取った。
なぜかは解らないが、オーラを感じる。それも目で見えそうなくらいの、激しい物を。
「何かしら…、この、近寄りたくはないけど、妙に同情を誘われる感じは…」
気配の立ち上る大元と思われる場所に、忍び足で近づくルイズ。
と、横の茂みからガサッ、と音がした。
「――――ッッ!?」
先程の気配はフーケの罠か、と呼吸が詰まったルイズだが、そこにいたのはキュルケとミーだった。
キュルケは人差し指を口の前で立て、ミーはルイズが検討を付けていた辺りを指している。
「あなたも感づいたのね、ヴァリエール」
「って事は、ツェルプストーとミーも?」
小声のやり取りに頷くキュルケ。その横でミーが、少し目を丸くして、ルイズの後方に視線をやった。
「タバサちゃん…それに、ルイズちゃんのお姉さん?」
「え?」
後ろを振り返ると、そこにはタバサとエレオノールの姿が。どうやらこの二人も、この辺りから発せられるオーラに感づいたようだ。
だがここで、1つ疑問が浮上する。
「あら、ミス・ロングビルはいないの?」
ゴーレムが現れたというのに、小屋裏側で警戒していたはずのロングビルが、一切姿を見せていないのだ。小屋裏手なら、ゴーレムが現れれば嫌でも目に付く。
「そう言えば、それなりに森の中を探したけど、一度も姿を見ていないわね…」
キュルケの質問に、ルイズが答える。
「私も見ていないわ」「ボクもー」
エレオノールにミーも同様らしい。タバサは黙ったままだが、同じく見ていない、と受け取っていいだろう。見かけたなら、その情報を提示するはずだ。
「ヴァリエールが気付いたんですもの、ミス・ロングビルもここに来ててよさそうなものだけれど…」
「それ、どういう意味よ?」
キュルケを睨むルイズ。こんな時でも憎まれ口は忘れないようだ。
「ともかく、気配の正体を確かめましょう。もしかしたら、フーケかもしれないわ」
リーダーシップを発揮するエレオノールを先頭に、ルイズたちが付き従った。ミーはエレオノールの隣を、進行方向にガトリング砲を構えながら歩く。
足音を立てないよう、こっそりと進む。果たしてその先には――
「あのクソ猫ッ! デタラメも大概にしときなってのよ!」
空気を赤々しく歪める、ロングビルがいた。普段からは考えられない乱暴な口調で、恐らくクロと思われる相手に、ひたすらに悪態をついている。
「み、ミス・ロングビル…?」
そーっと、ルイズが声をかけた。しかし、届かない。相変わらず怒りにまみれた言葉を発し続けている。
「足は当たらないし、簡単に切り落とされるし…! 何だってのさ、もう!」
気付く気配のないロングビルに、今度は近寄り、肩をぽんぽんと叩く。
「うひゃいっ!?」
叩かれた瞬間、変な叫びと共に飛び上がったロングビルは、機敏な動作でルイズから距離を取り、引きつった笑みを浮かべた。
「な、なな何だ、ミス・ヴァリエールじゃないですか…。お、脅かさないでくださいよ…」
脂汗を浮かべ、声も上ずっているロングビル。
その後方で、今まさに立ち上がらんとしていたゴーレムが、粉々に砕け散った。
「その女から離れなさい、ルイズ!」
杖を引き抜き、ルイズに怒鳴り付けるエレオノール。突然の事に、対応が遅れたルイズ。
そんなルイズを、ロングビルは羽交い絞めにし、手にした杖をエレオノールに突きつけた。
「動くんじゃないよ! 動いたら、このお嬢ちゃんの首をへし折るからねぇ!」
一喝し、直後に小声で何かを呟いて、杖先をエレオノールの手元に向ける。すると、エレオノールが引き抜いた杖が、土くれになってボロボロと崩れ落ちてしまった。
「同じトライアングルって話だけど、妹に気を取られ過ぎてちゃ、ドット以下ってものさね」
手元からこぼれる土の感触に舌を打つ。確かにロングビルの言う通り、魔法の影響がルイズに及ぶのを危惧し、隙を生んでしまったのだ。
しえん
「他の連中も杖をこっちに寄越しな。そこの猫は、武器全部よ」
全員が、言われた通りに手元の杖や武器を、ロングビルに向かって投げる。地に落ちたそれらを、ロングビルは足で蹴り、離れた位置にやった。
「ま、まさかミス・ロングビル…。あなたが…」
苦しそうな表情で、ルイズがロングビルに問う。
「そうさ、あたしがあんたたちの探してた『土くれ』のフーケだよ」
その答えを、ロングビル改め、『土くれ』のフーケは楽しげに口にし、ルイズの身体を検めた。そして、彼女の杖を探し当て、取り出す。
「あんたの魔法は特に危険だからねぇ。悪いけど…」
悪い、と言いながら、ルイズの杖を二つにへし折った。その口調には悪びれた様子が感じられない。
「さて、それじゃ改めて、お嬢ちゃんにお願いしようかしらね」
「お、お願いって、何よ…」
抵抗も出来ぬまま杖を折られた悔しさと、羽交い絞めにされている苦しさに顔を歪めながらも、それでも強気な姿勢を崩さないルイズ。
そしてミーたちは、ルイズを助けたくとも、フーケの脅しのせいで動けない状況に歯噛みしていた。
「なに、簡単な事さ。お嬢ちゃんの使い魔…あの猫ちゃんに、破壊のゴーレムを動かしてほしい、それだけよ」
「な、何をバカな事を! アレが動いたら、国が1つ潰される危険だってあるのよ!」
破壊のゴーレムを知る、この場で数少ない人物であるエレオノールが、悲鳴にも似た声で批難する。しかし、フーケはそれを鼻で笑った。
「破壊のゴーレムの鍵を握るのは、あの猫ちゃんなんだろう? だったら、制御する術を知ってるんじゃないのかい?」
フーケの推理に、エレオノールがハッとする。フーケに、クロが破壊のゴーレムの鍵だと言ったのは、間違いなく自分だ。
だが、ゴーレムの危険性ばかりに目が行き、制御という方向に考えが及んでいなかった。
クロに制御させる事で、破壊のゴーレム研究を前進させる――どうして、今までこんな、簡単な事に気付かなかったのだろう。己の愚かさに、きつく歯を食いしばるエレオノールだった。
「しかし、妙だねぇ」
振り返り、小屋のあった場所へ向かおうとしたフーケが、首を傾げた。
「そこの研究員様は、何であたしがフーケだって、解ったんだい?」
視線は、エレオノールへ。そのエレオノールは、フーケの後方を指差した。
「…あなた、ルイズに驚いた瞬間、ゴーレムの制御を手放したでしょ? ゴーレムが崩れたからよ」
「あぁ、なるほど――」
その指の指し示す方向に、フーケが首を巡らせた。するとそこには、
「――ねェェぇェぇェぇッっッ!?」
真っ白な、そして中心にやわらかそうな肉球の付いた足が、目の前一杯に広がっていた。
足は、崩れたゴーレムを捨て置き、騒ぎを聞いて駆けつけたクロの物だった。そして、相変わらず原因不明に伸び、巨大化した足をモロに顔面で受けたフーケは、意識を手放した。
「あ、そっか。ゴーレムがいなくなったら、クロがフリーで動けるんだっけ」
「状況はよく解んねぇけど、コイツが例のフーケでいいのか?」
「そ、そうよクロ、よくやってくれたわ…」
ようやくフーケから解放されたルイズが、咳き込みながらも労う。そのルイズの背中を、軽くさするミー。キュルケとタバサは、蹴飛ばされた自分たちの杖と、ミーの武器類を回収していた。
「それにしても、こんな森の中で、よくここだって解ったわねぇ」
感心したように呟くキュルケに、なんでも斬れる剣を収めながら、クロが答えた。
「しっかりとオメーらの騒ぎが聞こえたってのもあるけど、それ以上に…何つーのかな、勘?」
「お前にしちゃ、ハッキリしないなぁ」
答えながらも、何度も頭を捻るクロに、ミーが首を竦めた。
「いや、オイラにも解んねーんだよ。何となく、こっちで…」
ここまで言うと、クロが顔を背けた。
「こっちの方で…何だよ?」
「な、何でもねーよ。とにかく勘だ、カ・ン!」
珍しく慌てたように取り繕うクロ。その顔がほんのりと赤かったのは、誰にも見られる事はなかった。
+ + + + + +
気絶したフーケを後ろ手に縛り上げた一同は、小屋のあった場所、即ち破壊のゴーレム――バイスの元へ向かった。
改めて見てみると、小屋は完全に破壊し尽くされているというのに、バイス自体には元々付いていたもの以外、一切傷跡が見られない。
クロやエレオノールの言った通り、恐ろしく頑丈なのだ。
「破壊のゴーレムは、ひとまず無事みたいね。後は、不可思議の箱がどこにあるか、だけど…」
軽くバイスのボディを検め、一息ついたエレオノールが立ち上がったところで、タバサが前に進み出た。手には、何か箱のような物を持っている。
チャコールグレー一色のその箱は、直方体の形状を取っている。1面だけ穴が2つ空いており、その対面となる面には、それよりも小さな穴が、中心に1つだけ空いている。
「…不可思議の箱」
言いながら、自分の後方を指差すタバサ。そこにあったのは、原形をとどめないほどに破壊された、元はそれなりに頑丈そうだった箱がある。
恐らくクロのガトリング掃射及びミサイル攻撃で破壊されたのだろうが、中に入っていた不可思議の箱も、バイス同様無傷で済んでいた。
「ってそれ、『ツインキャノン』じゃねーか」
タバサの手元の不可思議の箱を見たクロが、目を丸くした。
「『ついんきゃのん』? あなた、破壊のゴーレムだけじゃなくて、これも正体を知っているの?」
発見から今に至るまで、呼称を不可思議の箱として扱っていたエレオノールが、何でもなさそうに全く違う名前を口にしたクロを見る。
「知ってるも何も、コイツはオイラの武器だぜ」
言いながらタバサの元に近寄り、箱を受け取ると、小さな穴に自身の腕を挿しいれた。すると驚くほどに、全体のシルエットとしてしっくりと来る。
「そう言えば、ゴーが昨日、口走ってたわね。構造がどうの、って」
「あぁ、そう言やそうだっけか。まぁ、弾もねーし、こっちは本物のガラクタだ」
装着したツインキャノンを眺めたクロだったが、有用性がないと判断し、すぐに腕から外した。
「色々話もあるでしょうけれど、フーケが起きそうよ」
少し離れた位置で、フーケの見張りを勤めていたキュルケの声がした。その足元で、フーケの体がもぞもぞと動く。
「フーケの杖は、ミス・ツェルプストーが持っているのね?」
「縛り上げた時に、しっかりと」
キュルケが胸の谷間を指差した。どうやら自分の杖同様、その谷間に隠してあるらしい。
「いいわ、そのまま持っていなさい。だけど色々と自重しなさい」
「何を自重すればいいのか、私には解りかねますわ」
恨みがましい目のエレオノールと、涼しげな顔のキュルケ。どうやら胸部に関する事柄は、エレオノールもルイズ同様、NGのようだ。
呻き声と共に、フーケの目がうっすらと開かれた。何度か頭を振り、手放した意識を手元に手繰り寄せようとしている。
そして、意識してか無意識のうちか、視界に入ったバイスに手を伸ばそうとし、肩と手首に走った痛みに眉を顰め、そこで完全に目が覚めた。
フーケの周囲は、完全にルイズたちに囲まれており、杖も取り上げられている。この状況で逃げ出す術など、ない。
「あたしとした事が、お子ちゃまやら猫やらにやられるとは、ヤキが回ったもんだね…」
圧倒的に不利な状況にありながらも、悪態を吐くフーケ。しかし声には力がない。杖を持たないメイジがいかに無力か。
ハルケギニアにおいて杖を奪われたメイジは、羽をもがれた鳥も同然である。メイジとして当然の知識である為、自分が今、どれだけ絶望的な状況に立たされているか、彼女は理解していた。
「…どうせあたしは、王宮衛士隊に引き渡された後に縛り首だ。だけど、処刑される前に教えてほしい」
溜息と共に、フーケが言う。その相手は、クロだった。だがそこへ、ルイズが割って入る。
「私も、あなたに聞きたい事があるの。クロがあなたの問いに答えたのなら、あなたも、私の質問に答えてほしい。いいかしら?」
真摯な目だった。フーケは驚く。人質に取り、杖まで折った相手に、どうしてこの少女は、こんな目を向けられるのか、と。
「…解ったよ。その条件、従ったげるよ」
両手が使えないにもかかわらず、器用に、寝転がった体勢から横座りの体勢に移ったフーケは、首をクロに向け、問うた。
「あんたは、破壊のゴーレムが一体何なのか、知ってるのかい?」
その問いに、クロは空を見上げた。
遠い異世界。今でも昨日の事のように思い出せる。その思い出を、この世界の空と新世界の空、そして偽りの空を重ねて見ながら、記憶から手繰り寄せる。
初めは、助けられた。
次は、笑った。
そして、手助けした。
最後は、殺し合った。
「…オイラがぶっ壊した、オイラの友達だ」
振り返ってみれば、友達だった。
「友達…だって?」
驚きに目を見張るフーケ。クロは、自分の左腕の肘辺りを、ゆっくりさすっている。
クロは、サイボーグだ。きちんと修理が行われれば、その箇所に不具合が生じる事などありえない。しかしその仕草は、まるで生き物の、古傷が疼いているかのようなものだった。
「オイラがとどめを刺した。だからはっきりと言ってやる。バイスは、もう二度と動かねぇよ」
断言するクロに、フーケは項垂れるしかなかった。
「大層な名前の癖に、動かないのかい…。それじゃ、盗んだ意味なんて、ないじゃないか…」
「それよ、私が聞きたいのは」
フーケの独白を、ルイズが拾う。
「あなたは平民の間で、義賊と言われているわ。悪い貴族にしか、盗みを働かない、って。
なのにあなたは今回、学院の宝物庫から、アカデミーの重要研究物を盗み出した。悪徳貴族なんて、一枚も噛んでいない物を。それは、一体どうしてなの?」
詰問ではなかった。ルイズにとって、あくまでも純粋な、疑問。
人一倍、貴族としての誇りを重んじるルイズである。正義感の強さもあり、平民を苦しめる悪徳貴族など、庇うつもりは一切ない
だからこそ、武器屋で聞いた噂とは違う、今回の一件をフーケ自身の口から聞きたかったのだ。
ルイズの質問に、一瞬は呆気に取られたフーケだが、すぐに鼻で笑った。
「簡単な話さね。金よ、金」
「金…? お金の為に…あなたは、平民の信頼を、裏切ったの?」
「平民の信頼? 知った事じゃないねぇ。勝手に祭り上げられてたらしいけど、ターゲットが悪徳貴族だったのは、そいつらの方が、金になりそうなお宝をしこたま溜め込んでたからさ」
「…それは、本気で言っているの?」
ルイズの顔が俯き、肩が震える。そんな様子を見てなお、フーケは酷薄そうな笑みを絶やさなかった。
「お嬢ちゃん、盗賊に夢見すぎなんじゃないのかい? 今回の破壊のゴーレムにしたって、アカデミー秘蔵のお宝なら、さぞかしいい金になると思って、やっただけさ」
「――ッ!!」
キッと顔を上げ、右手を振り上げるルイズ。しかし、その手が振り下ろされる事はなかった。
「待って、ルイズちゃん」
「み、ミー!? て、手を離しなさい!」
ルイズの手は、ミーによって止められていたからだ。
「この人は、ボクたちに嘘をついてる」
「え…?」
その一言に、ふっと力が抜けるルイズ。それを確認したミーは、ルイズの右手を離した。その目は、フーケの瞳を、じっと見据えている。
「この人の目、剛くんと同じなんだ」
「ゴーと、同じ目…?」
コクリと頷いて、フーケに歩み寄る。
「守りたい誰かがいる。自分はどうなってもいいから、その誰かが幸せであって欲しい。そんな目をしてるんだ」
「…ハッ、な、何バカな事言ってんだい、あたしは…」
言い返そうとするフーケだったが、それは虚勢だった。目は泳ぎ、言葉も震えている。
「本当に、お金は必要だったんだと思う」
記憶がフラッシュバックする。ミーがまだ、生身の身体だった頃。剛に助けられ、共に暮らした日々。
「でもそれも全部、ボクたちの知らない、この人の大切な誰かの為」
サイボーグとなって間もない頃。怪我や病気の子猫たちを拾って、面倒を見ていた日々。
「確かにこの人は、悪党かもしれない。でも、悪人じゃないよ」
自分を投げ打って、大切な誰かの為に尽くそうとする。そんな剛の目を、ミーはフーケに見たのだ。
ぽんぽん、とフーケの頭を撫でるミー。
「あ…」
「そんな目をされたら、放っとけないよ。ボクも何か、力になれるかも知れないから、話してくれないかな?」
硬い、そして冷たい手だった。だが、なぜかフーケにはその手が、暖かく、そして柔らかく感じられた。
こうして、頭を優しく撫でられるなど、何年ぶりだろうか。もう戻れない、郷愁の念にも似た悲しさと嬉しさに、フーケの目尻に、涙が溢れた。
嗚咽交じりに、フーケは語る。自分が、アルビオン出身の元貴族である事。ある一件により、家名取り潰しとなった事。その一件の最中に出会った少女を匿い、養っている事。
女手1つでその少女と、匿い先である村の孤児たちを食べさせるには、名前を捨てて盗賊となり、高価な品々を盗み渡るしか方法がなかった事。
「――アルビオンが今どうなっているか、知ってるだろう?」
「王党派と貴族派の内紛が続いているわね。アルビオン大陸ほぼ全土を巻き込んでいるとか」
「…そんな状況じゃ、市場も崩壊するってモンさ。交易船は規制だらけで、ろくに食料や日用品が届かない。
数少ない物資の相場は跳ね上がって、今じゃエキュー金貨100枚あっても、3日食い繋げられるか怪しい」
「アルビオンの人々は、そんなに逼迫していたのね…」
食料や物資が優先的に届けられるのは、ハルケギニアでは当然の如く、王族や貴族である。平民にはまともな量が行き渡らない。届いた物資の量如何では、平民はパン1個すら手にする事は出来ないのだ。
その結果発生するのは、平民間の市場相場の、猛烈なインフレである。交易船のスタッフは、関税と、貴族派に接収され、数が少なくなり価値の高騰した風石のコスト確保の為に物資の値段を上げざるを得ず、
物資を仕入れた商人は食い扶持を稼ぐ為、高額な仕入額の元を取る為に値段吊り上げを余儀なくされ、平民は身の回りの物品などを売り払うなり、物々交換するなりして、身を切り詰めながらその日の糧を得る。
しかもこれらは、停滞する事はない。内紛が終結するまで、あるいは終結後しばらくの間、悪化の一途を辿るのだ。それまでの間に、平民の生活がどれだけ崩壊するか――予想出来る者など、いない。
みな、その日1日の糧を得、明日の無事を祈るだけで精一杯なのだから。
「普通の宝物じゃ、もう、追いつかないんだよ…。だから、破壊のゴーレムを盗んだのさ。
アカデミー秘蔵の研究品となれば、好事家がそれこそ、今までの宝物が玩具に思えるくらい、高値で買ってくれるんじゃないか、ってね…」
だけど縛り首なら、どんな額になっても意味がない、と最後に呟いたフーケ。その涙の雫が、眼下の土を湿らせた。
義賊の仮面の裏に隠された、フーケの苦しみ。その場にいた誰もが、言葉を発せなかった。
最後まで聞き、フーケの頭をもう一撫でしたミーが、ルイズに向き直った。
「フーケのやった事は、絶対に許されない事だと思う。だけど、この人がいなかったら、苦しむ人も大勢いると思うんだ」
「うん、それは私も解るの。でも…」
法律に照らし合わせれば、フーケの行いは重罪である。極簡易な裁判の後、即日処刑されたとしても、文句は言えない。しかしフーケの処刑後、残された者たちはどうなるのだろうか。
フーケに匿われているという少女と、孤児たち。悪徳貴族の圧政に苦しめられる平民たち。
ルイズの中では、すでに答えは出ている。しかし、貴族としてトリステインに殉ずる以上、それを口にする事は、決して許されない。
国家と平民。その板挟みに遭い、キリキリと、心を締め付けられているかのような錯覚に陥るルイズ。
ルイズに共感するように、一様に押し黙る一行。
だがここで、誰もが思いもしなかった者から、意見が飛び出した。
「待ちな。オイラにいい考えがあんだよ」
「クロ…?」
声の主は、クロだった。全員が、頭上に疑問符を浮かべる。
そしてその後、クロの口から飛び出た”案”が、全てを丸く収める事となるのだった。
以上で、第14話後編、終了となります
原作では、クロちゃんに関わった登場人物は、よほどの悪人を除いて幸せな道を歩んでいます。
ゴローの父親でさえ、最後はゴローとの親子関係修復を匂わせる描写がなされていました
何とか、ゼロの使い魔世界でも、クロちゃんの『みんなを幸せにする力』を発揮させてあげたいんですが、
ゼロの使い魔原作で、各キャラが不幸かと言われればそれも違う気がするので、私なりの視点で、
別方向の幸せ、というのを書けたらいいなぁ、と思っています
次回15話で、フーケ編は完結します
乙!
乙
>>122 火薬で鉛を飛ばす世界は現代兵器の延長戦ということにしよう
ガウスキャノンとかもあるが、重力子で時空や場の属性を変える銃なんかはさすがにないし
乙です。
本作を読んで実に懐かしい気持ちになりました。
ほんと異世界編は名作ですよね。
映画化してもいいぐらい。
>>94 遅レスになってしまうけど。
女性が吸血されるシーンって妙な色気が感じられる気がする。
しかし、タバサも悲惨だ……。そして、ヴァルターは原作通りの鬼畜だ。
オーマイキー召喚みたい
吸血鬼ならヴァンパイア十字界からの召喚とか見てみたいなぁ
ストラウスのルイズ教育物語か
吸血鬼という事ならイワシ閣下を召喚を見たい
まあ吸血行為はしないんだろうけどね
VtM:Rからクリストフを…
マイナーだが好きなゲームでね
ハーフだけど、アルカードは呼ばれてないな
そりゃそうだ、誰かに書いてもらうスレじゃなくて自分で書くスレなんだからな
基本は雑談スレだ
その中で面白いネタが生まれればSS作者も降臨するだけ
>>158 カトレアにブラックスワン憑依で
ディスペルで解除できるならいいが…
>161
それは、ヘルシングスレの領域だから。
HELLSINGのはアーカード、アルカードは吸血鬼ドラキュラとかKONAMIのゲームとか色々
まあどっちもドラキュラの逆読みではあるが。
HELLSINGのアーカードはドラキュラご当人で、悪魔城のアルカードはドラキュラと人間のハーフ。
>>161は後者の方だな
カーミラ惑星からやってきたドラキュラスを召喚
月下のアルカードはイケメンでダンピールで魔術も剣術もお手のものでさらに日本では公務員というチートスペック
>>164 何故かブラックスワンの正体知って以後憑依されたのが子供産めば呪い解けるんじゃないかと思うようになった
ただカトレアさんだと身体が持つかどうか
吸血鬼か・・・俳句ダンディーのスレイヤーさんとか
ゴスロリウサギことレイチェルさんとか
マイナーな作品だけど吸血鬼モノとウェスタンを混ぜた「キリエ」
2巻で終わったのは残念なんだけど、あれでよかった気もしてる
>>170 >日本では公務員
市役所で受付やってるとこ想像しちまったじゃねーか
吸血鬼で一番怖くておぞましいのは、やっぱりバサラだと思う
屍鬼だな
ハルケギニアバイオハザード
>>174 好きだったなあれ
なぜ二巻で打ち切りなのか
ウォーカーマンとは目合わせたくないな
『怪奇!吸血人間スネーク』よりデヴィッドを。
何、知らない?
そうか、あの伝説のカルト・ムービーを……sssss............
死ぬわけ無いだろ、アニメでさッ!
>>179 「あの方」をラスボスにしたからじゃね(棒
みなアーカードの旦那よりやばいDさんいるぞ
人間型の吸血鬼は飽和状態だ!
非人間型からゲルハルト・フォン・バルシュタイン子爵を呼ぼう!
非人間型の吸血鬼なら
デモス、オコリンボール、マリキュラなんかがおるぞ
ルイズが契約で使役できるのはデモスあたりかな
トリステインに害する勢力をデモスQで次々に暗殺していく
高橋留美子の笑う標的に出てきた餓鬼を何故か思い出した
劇中では、餓鬼と呼ばれてたけど、外見が真っ黒なケサランパサランで
契約した人間が自由自在にどこからともなく呼び出せるという
餓鬼というよりは悪魔みたいなのだった
んで契約者が死んだら塵になるし
非人間型か・・・・・・そういえば、実際の伝承で収穫されずに放置された西瓜だがメロンだかは吸血鬼になるとかいうのがあったな。
ああ!
『アタック・ザ・キラートマト』から、スケボーに乗った使い魔を呼び出すのか!
なんかさー、昔あった吸血鬼もの総合クロススレでも、もう1回始めたほうがいいんじゃないか、俺ら。
あれが終わってからでもいろいろキャラ増えてるし。
あずまひでおの「吸血鬼くん」から主人公召喚。
メイドインゼロ魔のエルザはなんでこんなに人気あるんだろう
タバサの冒険を話にからめるときほとんどはこれだ
食うか食われるかの話を人間が好きなのは本能なんだよ。後人間より上位の存在とか
みんなろりこんだからにきまっておる
>>192 吸血大殲のことかな
久しぶりに原作読み返してくるか
>>196 じゃあもしもエルザがティファニアなみのレボリューションだったら人気なかったのか?
>>194 ルイズ達がプチゲーム集を作るSSでもあるのかと思ってしまったじゃないか。
3話の途中で切り止め、その後は忘れてしまって、新スレが立っていることにも気づかなかった…
というわけで、10分ほどしたら4話もまとめて投下
事前支援だ
・・・食事などという、数千年かあるいはそれ以上も忘れていたことを、都市の恩恵を受けられないようになって経験せざるを得なくなった霧亥は、
もし気まぐれで錆びたグリスを収集していなければどうなっていたのかと、普通の人間―――彼の世界の基準でいう―――ならば身震いするような想像をしながら、学院の中を散策していた。
行く先々で人と遭遇したが、遠巻きに何かをつぶやくことはあっても、幸い直接会話をしようとすることはなかった。
ルイズが探していることを知りつつ、1000秒もの間、学院中を回り、情報を集めた霧亥は、狭苦しく原始的な施設の構造材にいくつか奇妙な点を見つけるに至る。
何らかの技術によって、分子間力等が変質している物質が多量に見られたことや、操作可能な力場が照明などに組み込まれていることなどだ。
特に後者などは、人間の手作業でも機械的に構築可能な構造であるにもかかわらず、その全てが“何らかの技術”、つまりは魔法と呼ばれるものに依存している。
悲惨なほど偏った技術は、ありとあらゆる物が失われ行く過程で、唯一生き残ったものにかろうじてすがりついた結果だろうか?
途中で聞こえてきた会話によれば、魔法に関する知識と理解は極端に低いものらしい。
「ブリミル」と呼ばれる開拓者集団か企業体によって「魔法」の恩恵を受けているらしいことは判明した。
まるで意味のない情報だ。
システムに俗称が与えられることは当然であるし、それを作り出した集団がいることなど言うまでもない。
固有名詞も、恐らく「6000年の歴史」という様な、いい加減な記録の中でかなり変質しており、当時の人物にその名を出しても通用しないだろう。
「キリイ―――ッ!!」
ルイズが走りよりながら大声で自分の名を叫んだので、霧亥は歩みを止める。
「よかった、出ていっちゃったのかと思った……」
ほっと一息ついたのをみて、霧亥は「本当に出て行くことになったときに追われては面倒だ」と、薄れ始めた機能回復前の経験を参考にしながら考えた。
「食事はどうしたの?」
食事は無用であることは示したつもりだったが、なぜこうも食事にこだわるのだろうか。
ここの人間たちが、それ無しには数日と生きられず、12時間もすれば機能不調を来たす事は容易に分かるが…。
「聞いてみたら、厨房のほうで食事をとってもいいらしいわよ」
「………」
無言で否定を続ける霧亥に、ようやくルイズは折れたが、なにやら不安げな表情のままだった。
その不安の元であるらしい「これからどうするのか」ということについての質問にも無言を貫いた。
なぜ高だが数時間の動向についてここまで干渉しようとするのか、使い魔とはそういうものなのかと、霧亥は少し悩む。
「それで、授業を見学させてあげてもいいかな、って…何かわかるかもしれないわ。こっちの字は読めないみたいだし……」
霧亥は行動を続ければ続けるほど判明する、失われてこそいないが本調子ではない身体機能と、その維持のための補給や整備が困難であること。
この世界の、ありとあらゆる意味での不明な領域の広さ。
以上のような理由から、手近なところから情報をできるだけ集めようとしていた。
できることなら、記号の意味を学習し、記録情報を参照するのが一番時間を節約できるのだが、ここではそういったソフトウェアをインストールすることができないのは間違いない。
「一緒に行ってみる?」
振り向いた霧亥は同意しかけると、ルイズの顔色がまた変化したので、もう一度顔を正面に向け、その視線の先にあるものに注目してみる。
「そんな誘い方じゃだめに決まってるじゃない。といっても、あなたが男の扱いを心得ているはずないけれどね」
「キュルケ……」
メラニンが皮膚組織に沈着しているほか、ある劣性遺伝による多量のフェオメラニンと少量のユーメラニンを含んだ頭髪をした女性体がいた。
この相反する遺伝的特徴を持つ個体はここの人種の中でも特別であるらしく、彼女以外に霧亥は発見できなかったので、今までの観察の中でも少しは印象に残っている。
「これがあなたの使い魔?」
「そうよ」
キュルケと呼ばれた人物の笑い声よりも、霧亥はその後ろに控える生物に注目していた。
古い生物種の分類によれば、あれは脊椎動物の爬虫類ということになるだろうが、体内で有機物を急速に酸化させ、小さな炎を出す妙な生き物だった。
大気組成を変化させるある種の生物を模した都市の一部が変異し、歩き回っては自然に繁殖している地域で、高い可燃性を持つガスを放出しているものを見たが、それを思い出させるものだ。
「本当に平民だなんてね。確かにいろいろ凄いけれど、あなたは悪い意味で凄いわ」
「うるさいわね」
「使い魔ってね、こういうのをいうのよ。ねぇ、フレイム」
「……サラマンダーね」
その生物の名称は、霧亥に俗っぽいという印象を与えたが、その理由をネットで検索することはできなかった。
学術名ではないことがそうさせたのだろか?
キュルケという人物は、長々とフレイムの由来を推測していたが、遺伝情報や形質から、細かな種別はおろか、生息地を確定することも満足にできないらしい。
「炎が綺麗」という曖昧な判断基準で、価値が高いことを主張した。
「それにしても、結構いい男じゃない。線は細めで、顔色は悪いけれどね……病み上がりなんだから、連れまわさないで養生させたら? 食事も取らせなかったでしょ?」
「自分で勝手に歩き回ってるのよ。朝食も自分でとらなかったの」
「あらそぉ…」
キュルケがにんまりとしながら、霧亥のほうを向く。
「いじっぱりね、自分を連れ去った貴族の施しなんか受けないってこと? でもそのタフネスさも、なかなか素敵じゃない」
霧亥は何のことを言っているのかさっぱり理解できなかった。
とにかく、この人物が自分の行動について、誤った解釈をしていることは確からしいが、それを訂正することに意味はないはずだ。
「寡黙なところも素敵ね。真っ黒な瞳も鋭くて、ぞくぞくするわ」
正確には理解はできなかったが、どうやら挑発か何かのようであるらしい言動。
まっとうな感情など捨てるか、失われてしまった霧亥には余り意味がないが、そういう手段をとらせる目的がなんなのかという興味を持たせることには成功した。
「人の使い間に色目使ってんじゃないわよ!」
「あら、あなたの使い魔でも、あなたの男じゃないでしょう―――?」
その後は、霧亥をそっちのけでなにやら口論を始めた。
霧亥は黙って聞くうちに、キュルケが自分に対してとった行動の意味と目的を理解し始めた。
彼女ら自身、深く考えることなどありはしないのだろうが、要するに遺伝子の匂いが彼女をそうさせたのだ。
霧亥にとって、これは驚くべきことである。
生殖と自己複製自体に異常性があるとは言わないが、これはとても人間のとる行動ではなかった。
だが、考えてみれば当然だろう。
なぜなら、霧亥の知る人間も、都市文明もここには存在しない。
ここの人類は、文明を構築する知性としてよりも、さらに社会の構成員としてよりも、まずひとつの生物種の中の一固体として存在している。
剥き出しの個体維持本能である食欲があるように、種を維持するための本能として、生殖はきわめて優先すべきものに据えられているはずだ。
遺伝子プールを保つために、自身と異なる遺伝情報、優れた形質を持つ異性を見分けるための品定めだったのか、と霧亥はキュルケを眺める。
文明が人類という生物種そのものにメスを入れる前、人類が生態系の中で歯車のひとつとして生きていた時代。
遺伝子の乗り物と揶揄される存在であった時代。
あるいはこういった光景を見ることができたのかもしれない。
「いくわよ、キリイ!」
霧亥は自身が遺伝情報を求めて都市を探索していたことを思い出す。
もちろん、それは生殖のためでもなければ、それ自体が目的だったわけでもない。
全ては都市を救うためのひとつの手段として、ネットの正常化を目指した結果、必要になったことだ。
「じゃあね、ミスタ・キリイ」
この世界の人々は、高度な社会も文明も持たない。
霧亥にとっては人間とは思えない存在であり、とても見れたものではないと、これまで観察してきた全てを総合して思う。
逃げ惑いながら黄昏の時代を生きる、都市住民の生き残りたちですら、霧亥の基準でいう、短くもより人間らしい美しい生を、這いずり、のたうちながら全うしていた。
では、この世界の人々を、霧亥の世界で言う人間の基準に当てはめなければ?
「早く来なさいよ」
ルイズに引かれた手を払いつつ考える。
人類が生物種としての意味を失いつつある時代、あるいは人類が生命の定義すら超越した存在になりつつある時代。
霧亥には、その過程を遡れば見えてくる気がした。
ゆっくりと廊下を歩き、窓際により、外の景色を眺める。
有機物の堆積層の上に広がる、代謝と生殖を続ける巨大で混沌とした生物群。
人間らしくではなく、彼らは一種の生物らしい美しさを持つ生を全うするのである。
そのように理解できる何かが、都市に刻まれた記憶の中に、あるいは眠っているのかもしれない・・・
LOG.3@END
LOG-4 魔法 マギ
霧亥がぼうっと立ち尽くしているのを見て、どうしようもなくなったルイズが教室に入り、まさに授業が始まろうというところで、霧亥は現れた。
誰かが笑うのではと、ルイズは気が気でなかったのだが、どちらかというと、その風体と表情に気圧されてしまったものが多いらしい。
そのことに加えて、先ほどのことで気分を悪くしていたのではなかったらしいと、ルイズは胸をなでおろした。
「おはようございます、みなさん」
霧亥は、おはようの意味を尋ねようかと思うほど、周囲の状況に疎い。
その分だけ、これから始まるであろう講義に、すでに集中していた。
なので、この後続く、シュヴルーズと名乗った教師の意味のない挨拶の類に意味はあるのかと、意味のないことを一人考えていた。
「―――おや、ちょうどそちらに、珍しい使い魔の方もいらっしゃいますね。異国の方だとか」
ここにきてようやく、くすくすと笑い声が聞こえてきたが、霧亥は何が起こっているのか分からなかった。
ルイズがひどく精神状態を悪化させていくのだけは知覚できたが、これも何を意味するのか、正確に判別できない。
「笑うものではありませんよ。これは素晴らしいことなのですからね……オールド・オスマンも気に掛けていましたが、前例のないことをやってのけるのは、ある意味才能です」
笑い声を制するものであったが、この発言はむしろ笑い声を大きくした。
「ゼロのルイズの才能ねぇ」
なぜかボロボロの声帯と、シュヴルーズ以上に病的な肥大を遂げた脂肪細胞の持ち主が、ひときわ大きな声で笑った。
「そこらから連れてきた平民に、うそを言わせたのかもしれないじゃないか」
霧亥は自分のことについての論争だと気づいたが、その後も続く不毛な言い合いに首を突っ込むことはしなかった。
ルイズはいくつかの発言に必死に反論したが、自分の名誉とやらのために声を張り上げているだけであり、霧亥にとってはどうでもいいことだ。
最終的に教師に助けを求めた結果、教室はようやく静けさを取り戻す。
「では、授業に入りますよ」
始まった講義の内容は、基礎的な知識の復習から始まったので、霧亥にとってきわめて好都合だった。
使用される魔法による、行使者の系統と段階分け。
ここで重要な発言のひとつが、「かつて存在した虚無の系統は失われた」ことである。
予想通り、その発祥ゆえに、最盛期においても未発達であっただろう文明は、その後数十世紀にわたって発展するどころか維持にも失敗し、衰退の一途をたどった。
唯一の頼みの綱である、魔法と呼ばれる技術も、満足に原理を解明することも体系化することもできていないところまで錆びた。
挙句の果てに使用方法すら忘れてしまったものもあるのだという。
彼らが知っているのは、ある種の作用と力場を任意で制御する、音声・動作入力式のメソッドをもった汎惑星規模のシステムであると。
何より彼ら自身が最も重要視している、“貴族”と呼ばれる特定の権限を、恐らく遺伝的に付加された個体の子体系しかその利用が不可能であること、その程度だ。
あとは便宜的に分類するほどのことしかできておらず、情報の認識や処理は個人の脳に依存している。
この認識も処理も、性能的な限界から極めて杜撰で、その上に使用言語の機能的な問題も含めて出力系は輪を掛けて悲惨なものだ。
このために、発動のための手順を羅列し、繰り返し実行させて覚えこませるのが、基本的な魔法についての訓練であるらしい。
魔法の何たるかを再発見するまでに、いったいどれほどの時間が要るだろう?
一方の霧亥は、驚くほど短時間に、個人の持つ実力だけで、その多くを観測し、分析・理解しようとしていた。
支援するぜ
支援
教師による実演が始まる。
“錬金”と呼ばれる、魔法のひとつの形。
陽子と中性子、そして電子に干渉する力が、雑多な原子を変成する。
「金、ですか?」
「いいえ、私はスクウェアではありませんから、これはただの貧金です」
貧者の金、真鍮、あるいは黄銅。
原子番号29銅Cuと原子番号30亜鉛Znを、7対3の割合で混合したものだった。
特に驚くべきではない。
むしろ、最高位の権限を持つ者ですら、かろうじて金などの重金属の合成が可能な程度であるという事実には、落胆せざるを得ない。
仮にこの技術を完全に解明し、使いこなせる文明が生きていたとしても、霧亥を拉致した転送技術は間違いなくオーバーテクノロジーだ。
元素変成程度の技術は、物理定数のほんの幾つかを制御するか、ちょっとした大電力があれば事足りる。
階層都市の基準でいえば、“災厄”後であっても、個人レベルで搭載された機構により、都市の機能を利用せずともそういったことを可能にしてしまえるものだった。
帰還の見込みはますます減っていく。
「さっそく生徒にやってもらおうともらいますが、そうですね―――」
ミス・ヴァリエール。
かつてこの名に、人々がこうまで反応した瞬間を、霧亥は見たことがなかった。
何かを危惧しているらしいが、ゼロがどうだといったような、いまいち意味のつかめない中傷などが抗議の主で、霧亥も教師も理解できなかった。
「やります」
ルイズが教卓に近づき、教師の指示を受けて、魔法を始めようとする。
ここで霧亥は、この学院でルイズを見てきたどの人間よりも、ルイズの持つ力について詳細な知識と正しい認識を持つに至った。
今までとはまったく異なる力。
それがルイズの意思を受けて、陽子や中性子を校正するさらに細かな素粒子に干渉する。
ルイズにはそれを可能とする素質ともいうべきものがあった。
「………!」
霧亥は興味を持ったが、それよりも優先すべきは、今起ころうとしていることを阻止することだ。
ルイズの処理能力を上回る作業量を要求される、細かな作用の固まりは、暴走しているといっていい。
変成することは適わず、原子の一部は崩壊し、素粒子を放出し始めていた。
霧亥が銃を引き抜く。
ルイズの指示を受けて、この世界に横たわる人工的な法則がその姿を変えていく速度に追い付かんばかりの、驚異的な早撃ち。
ルイズの持つ魔法発動媒体、彼らの言うところの“杖”は、手元を残して、錬金された土くれが辿る筈だったのと同じ運命を背負わされた。
閃光に尻餅をつく者や、霧亥の姿を注視する者。
人々の行動や、視線はさまざまだが、状況を正確に把握していたのは霧亥だけだった・・・
・・・ルイズが悲嘆にくれている理由は、単純に杖が貴重な物であったかららしいが、効率が低いとはいえ、化学反応に核融合と核分裂を混合させたような爆発に巻き込まれるよりはよい結果のはずだ。
なぜここまで複雑性のない目の前の事実の損得を、この人物は正しく理解できないのかと、霧亥は不思議に感じた。
「こんな失敗は始めて………」
それはそうだろう、誰が魔法の失敗の瞬間を狙って、杖を破壊してしまうものか。
「いつも爆発が起こって、みんな私を馬鹿にした…けれど、これは極めつけよ、杖を壊すなんて―――」
霧亥は、自分が発砲したことを口に出すことはなかった。
面倒ごとは避けるつもりだったというだけの事で、特に他意はない。
「―――あってはならないことよ。使い魔の召喚も、こんな形になって、契約もできなくて、挙句に杖まで壊れたっていうのよ……」
メイジ失格だ、貴族失格だと呟くと、そのまま動かなくなった。
落ち込んだ精神状態を回復させるには、どのように話しかければいいのかは簡単だ。
真実を話してやればいい。
不当な扱いを受けているだけで、お前は正しいと煽れば、彼女の精神構造的に見て、効果があるのは間違いない。
実行する必要性は感じなかったが、もっとも近しく、もっとも危険な相手の観察をかねて、霧亥はそんなことを考えながらルイズを見ていた。
「召喚主に失望した? ヴァリエール家の人間であっても、みんなして躊躇わず馬鹿にできるほど、私は無能なのよ……」
自室のベッドにうずめた顔を、霧亥に向ける。
涙腺はもう閉まったらしかった。
「……私は結構、慣れたけれど、あなたには迷惑かけると思う」
霧亥のスキンスーツを眺めながら言うルイズの手には、折れた杖が握られている。
「………」
霧亥の国は、何万年も前から歴史が途切れることなく続いているのだろうか?
教師たちが驚いていたように、彼の所持品や服装に用いられている技術は、ハルケギニアで6000年間蓄積された知識をもってして、その概要すらつかめない。
彼自身からして、超人といって差し支えない人物だ。
彼のような人種が造り上げた国だから、そんな技術が生まれ、長い歴史を持つに至ったのだろうか?
だとすれば、教育の過程で、自分のような惨めな落ちこぼれが生まれることも無いだろう。
「笑わないのね」
いまだに警戒を解いていないのか、人を笑うような性格ではないのか、笑えないのか。
「……もう、昼食の時間になっちゃったわ」
理由は何でもよかったが、いつも一人で落ち込んでいたルイズは、人が黙って近くにいるだけでこうも立ち直りが早いのかと思っていた。
これまで通りなら、昼になっても食欲など沸き起こらなかったというのに・・・
・・・昼食も同じ食堂で、食事を取る人間も同じだったが、霧亥は観察のために同行することにした。
主に観察の対象は食事の内容である。
「使い魔召喚のあとだからかしら、いつもよりちょっと多目ね」
大量に作って大量に破棄することを良しとする精神構造はまったく理解できなかったが、サンプルが多いことには感謝した。
無数の有機物の塊。
どれも霧亥が経口摂取することが不可能なわけではないが、エネルギー補給をこれで行う気には、やはりなれない。
「…少しは食べないと毒よ」
生物にとってもっとも大事なのは、動的平衡を維持すること=代謝だが、霧亥は古い体を壊して、作り変える必要の無い存在である。
よほどの重傷を負わぬ限りは、体内に物質を取り込む必要は無く、重傷であればあるほど生物的な再生ではなく機械的な再生が行われる。
結局、霧亥はあても無く食堂内をうろつき始めた。
メイドと呼ばれる従業員がせわしなく動き回り、消費されきってもいないのに、次から次へと食料を運ぶ。
運ばれるものが、糖質主体のものになるにしたがって、徐々に席を立つ生徒たちも出始めた。
食糧の配給も、勢いが落ちる。
霧亥もこれ以上ここで観察する必要を感じなくなり、人が本格的に動き出す前に、人気の無いところへでも移動しようとしていた。
「………」
ふと霧亥は足にぶつかった物体を拾い上げる。
よく見かける食料のカスや、生物由来の繊維で汚れをふき取って棄てたものではない。
不純物の多いガラスの容器に、何やら複雑な化学物質の水溶液が入っている。
大まかな組成を見るに、人体…特に嗅覚に強く作用する以外、これといって特徴の無いもの、古い言葉で言えば臭気化合物の類であるらしい。
古い型の人類の体内で分泌され、生態活動の制御に関係する、ある種のフェロモン物質にも似ている気がする。
普通に考えれば生体内での合成はありえず、何らかの化学合成によって生み出されたものであるはず。
霧亥は、ここの人々の技術への興味から、液体を降り注ぐ電磁波、もとい日光に透かしながら見つめた。
「何をしているんです」
不意に声をかけられ、霧亥はその主である女子生徒を見つめる。
「それは、ミス・モンモラシーの作る……なぜそれを?」
睨みつけられたように感じて、一瞬たじろぎながらも、臆せず口を開く少女に、霧亥は思案しながらひとつの人物を指し示す。
「彼が……持っていたのね?」
由来は知らないが、痕跡を見るに、その指の先の人物がこれをつい先ほどまで所持していたことは間違いない。
「ケティ、そんな平民に話しかけるのはよくないぞ」
「うるさい!」
血相を変えて霧亥の示した人物へ駆け寄ると、何やら口論が始まる。
会話の内容は正確に聞き取れたが、なぜ口論に成っているのか理解するには時間を要した。
最初は、ある契約をしていたにも拘らず、その内容に反してとある人物から、今霧亥の手の中にある物を贈与されたとして憤慨しているのではと思った。
だが、聞いてみるに、いわゆる“番い”を別な個体に奪われそうになったと踏んだ結果らしい。
番いである異性が、自分以外に労力を割かれることで、生存の可能性や優秀な子孫を残す可能性が低下することを恐れる、生理的欲求。
それ以外にも、多少複雑な自我欲求や、社会的な関係性も見えたが、後者は霧亥には理解しかねるものだ。
人間的な感情は霧亥に沸き起こらなかったが、愚かなことには思えた。
「彼に聞いたわ!!」
最後の一言はこれだった。
ケティと呼ばれた生徒に、その人物は頬を平手打ちされ、遠巻きに見ていたまた別の生徒にも平手を食らわされた。
迷惑な発言だ。
せっかく獲得した二体のパートナーをつまらぬミスで失った怒りを、何の罪も無い関係者にぶつけることで、自我を正常に保とうとしているのは、なんとなく見当が付いた。
「君だね!?」
つかつかと歩いてきた男の脳には、攻撃的な思考の色が見える。
「まったくどうしてくれる? その不注意な行動で、二人の淑女の名誉が傷ついてしまった!」
この社会の中では、そういうルールが存在しているのかもしれないが、周囲の反応を見るに、そうではないのだろう。
逆上して、理不尽な事を口にしているだけらしい。
「少しは機転を利かせたらどうだ? その小瓶を拾い上げて、僕に渡すか、ケティが血相を変えて現れたところで、僕のことを伏せておくか!」
渡したところで、あの位置関係では確実に周囲に目撃され、同じ結果が待っていたのは間違いない。
そうすれば、また理不尽に怒鳴り散らすのだろうと、他人事のように霧亥は考えた。
「…うん?」
ルイズの視線に気づいて、目の前の一際愚かそうな男はにやついた。
「ふん。そうか、あのゼロのルイズの使い魔だったか! 道理で礼儀を知らない平民がいるわけだ!!」
髪をかき上げる動作は、何かを示そうとわざと行っていたが、霧亥は相変わらず理解も反応も示さない。
「僕は、ギーシュ・ド・グラモン。かのグラモン伯爵家の第四子だ……意味はわかるな平民!!」
意味が分からなかった。
両手を開いて、威嚇するように名乗ったはいいが、その名前に関する知識は霧亥に無い。
グラモン家が資金繰りに苦労しているとはいえ、大貴族であると知ったところで、意味が分かるわけでもないが…
「もう一度聞くぞ、いったいどうしてくれ―――!?」
霧亥は小瓶を元落ちていた床に放り出した。
「―――なッ!!」
霧亥は興味なさげに、無感動なまま、ギーシュの脇を通り抜ける。
「ふざけているのか!!?」
ギーシュは、これを侮辱としかとらなかった。
周りの人間も「平民風情にコケにされた、間抜けな二股男」であると笑い声を上げた。
ギーシュは肩を震わせながら必死に言葉を探す。
「決闘だ!!」
霧亥に対するさまざまな感情は、彼の語彙を圧倒してしまい、結局出したせりふは、最悪のものだった。
「いいか、決闘だ平民…!! そこまで僕と、グラモン家と、トリステイン貴族を侮辱するというのなら、この手で叩きのめす!!」
「………」
おお、という歓声が上がった。
ギーシュが馬鹿をやったなという者もいれば、霧亥の貴族への態度に腹を立て、叩きのめしてしまえと内心思う者もいる。
とにかく、食堂は一気に沸き立った。
「待ちなさい、ギーシュ!」
声を上げるのがルイズであると気づいても、霧亥は歩みを止めない。
「どう考えても、今のはあなたが悪いわ! キリイの行動に非は無い。むしろ、あなたの行動こそ侮辱だわ!!」
これをギーシュは鼻で笑い、ほかの生徒もこれに続く。
「平民に侮辱されて困るものがあるのかい? それにね、“ゼロ”のルイズ。魔法も使えない君には分からないかもしれないが、これは貴族への侮辱だぞ!?」
引っ込みが付かなくなったギーシュの行動を間抜けとは思っていても、ルイズがそれに異を唱えるとなると、人々はルイズを嘲笑した。
結果、ルイズは押し黙り、ギーシュは満足そうに宣言した。
ヴェストリ広場に来い。
そこで叩きのめすと言い、ギーシュは去っていった。
ほかの生徒たちも何やら楽しげにその後に続く。
「逃げようなんて、思うなよ?」
何人か残った生徒は、にやにやと下品な顔をしながら霧亥を監視していた。
もちろん、霧亥には逃げ出す気などもうとうない。
口で言っても分からぬであろう者達。
閉鎖的で、原始的な社会体制を持つ集団への対処方法を、霧亥は知っている。
力を見せ付け、制裁する。
ルイズたちに言わせれば、犬の躾にも似ている、なんとも単純な考えだ。
「キリイ! やめなさい、あなた殺されるわよ!?」
その言葉は霧亥に聞き入れられることは無く、黒尽くめの男は無気力そうに決闘の場所まで歩き始めた・・・
霧亥の認識は相変わらず面白い
支援〜
クソ! 焦らしやがって何て奴だ!w 支援!
さるさんかな?
文章だけでもブラム!の雰囲気出るもんだな支援
さるさんは、他のスレに書き込むと緩和出来るんだっけ?
なら、前スレにでもその旨を。
むう…音沙汰がないな
それとも、これで終わりなのか…?
さるさんしたので、どうせならと風呂に入っていた次第
・・・本塔から出ると、頂点に塔のある五角形の壁に囲まれた敷地に出る。
その一角にはヴェストリ広場があるが、このいかにも人気のなさそうな薄暗い空間に、膨大な数の生徒が結集していた。
ちょうど主役の一人、メイジ達の生贄が登場したところで、ざわめきは最高潮に達している。
「よく来たな、怖気づかなかったことは褒めてやる」
ギーシュ・ド・グラモンの声とともに、様々な言葉が叫ばれる。
広場に影を落とす塔をぼうっと眺めていた霧亥は、その歓声を一つ一つ聞き分けては、無意味なこととして脳内から排除していた。
「さあ、諸君! 決闘だ!!」
声高らかに宣言するギーシュを見てルイズは顔色を見る見る悪くしていった。
メイジと平民の戦力差は、個人の実力では埋め難い。
戦いの中では、平民に討ち取られることや、大量の弓や銃弾で、その他大勢に混じって倒れることはメイジにも多々ある。
とはいっても、これは正面切っての決闘であり、霧亥は丸腰同然なのだ。
多くの生徒が、ギーシュに一方的に料理される、生意気な平民の姿を想像して、興奮していた。
「ねぇ、タバサ。彼、どうなると思う?」
「どういう意味?」
「あの使い魔が、ギーシュに勝てるかってことよ―――」
ルイズの悪友でもあるキュルケは、霧亥とお揃いの青白い顔をひとしきり笑った後で、親友のタバサに質問していた。
「―――って、聞くまでも無いけどね」
「あの使い魔が勝つ」
タバサは霧亥よりははるかに人間味のある無表情で、キュルケの問いに答える
「それって、ありえるの?」
「今日の授業での彼の動き、見ていなかったの?」
「えーっと……」
霧亥がルイズの杖を蒸発させたとき、その姿に目を向け驚愕していたのは唯一、彼女だけであった。
彼女が無口であったせいもあって、ほかの誰もそのことに気づいてはいない。
「…彼、なにかしてたかしら?」
キュルケが思い出そうとする間、ギーシュは「杖を落とせば負けでいい」といった勝敗の条件を、自信たっぷりに霧亥に告げていた。
「先制攻撃できれば、最初の一撃でギーシュ・ド・グラモンは即死するかもしれない」
霧亥の正確な一撃は振り下ろされている最中の小さな杖を撃ち抜いた。
その威力は、灰も残さず杖を焼いた。
さらに、霧亥の使った武器は、その杖よりもはるかに小さかった。
「ほんとうに?」
「確証は無い。でもありえる」
タバサは、この意味をしっかりと理解していたし、ギーシュがどの程度の実力者なのかも知っていた。
いつに無く険しい顔で、自分の考えを告げるのも、それゆえだ。
キュルケも、普段感情を表に出さないタバサが、少しばかり緊張しているように見えて、もしや、という気がした。
「始まった!」
どこかの生徒が声を上げる。
ちょうど、ギーシュがバラの造花である杖をかざしたところだ。
「改めて名乗らせてもらう。ギーシュ、“青銅”のギーシュ・ド・グラモンだ! 君も名乗れ!!」
霧亥はなぜ記録に残すわけでもないのに自己紹介の応酬をするのだろうと、無感情に考察を始めようとしていた。
ギーシュは、だんまりを更なる侮辱ととり、痺れを切らして杖をふった。
「この期に及んでか……言っておくが、お相手は僕じゃない! 淑女の名誉を傷つけた下郎に制裁を加えるに相応しい相手がいるのさ!」
元素変成が開始され、金属元素が地中から続々と姿を現す。
霧亥は目を見張ったが、すぐにまったく脅威度の無いものであることが分かってきた。
「この青銅のゴーレム“ワルキューレ”が君の相手だ!」
青銅―――人類が最初に発見したといわれるほど、合成の容易い合金である。
土中の比較的重たい元素を原子番号29の金属元素Cu銅と、同じく原子番号50スズSnに変成し、関節を持った人型に成形。
幾つかの部位に、魔法の基本的な遠隔作用で力を加え、命あるかのように動かす。
なんとも言いがたい無様な人形が目の前にのろのろと現れたのを見て、出すつもりも無かったとはいえ、霧亥は言葉を失った。
これで戦うつもりだったとは…
「ワルキューレ、叩きのめせ!!」
果敢にも走り寄ってくるゴーレムに、霧亥は何の対応もしなかった。
そのうち、青銅の拳が勢いよく、ギーシュがぶたれたのと同じ頬を殴りつける。
動物らしい闘争本能の関係で、興奮状態にある生徒たちが叫び声をあげ、すぐに納まるのを霧亥はじっと観察した。
「もっとだ! 殴りつけろ!!」
力いっぱい二撃目が、反対の頬に叩き込まれ、今度は今までと違うどよめきが巻き起こる。
「そんな!?」
霧亥は瞬きひとつせずに、ゴーレムに視線を移した。
次の瞬間、霧亥は一人だけでギーシュの前に立っていることに、生徒たちが目を見開く。
空気が破裂するような音と、金属がひしゃげる音に、女子生徒などは肩をすくめた。
「わ、ワルキューレ!?」
霧亥の見えないほど素早い拳が、そのワルキューレの胴体を叩き割り、そのまま余力で学院の塔に叩きつけた。
青銅の人形は、到底霧亥の攻撃に耐えられないが、相手を人間の平民と見くびる貴族の生徒たちは、その光景を理解できない。
「何かの間違いだ……!」
もう一体生成されたゴーレムが、助走をつけながら殴りかかる。
直後に同じように潰され、霧亥の拳に助走の勢いを相殺されて、その場で回転して地面のめり込む。
さるったのなら代理投下を依頼するなりして何らかのアクションを取るべき
「くそぉ!!」
ギーシュは三度杖を振った。
造花状の杖から偽物の花びらが舞い落ちると、さらに五体のゴーレムが出現する。
違いがひとつあるとすれば、その手には同じ青銅の塊が握られていることだ。
「殺せ!!」
これで、勝ち負けのある決闘ではなくなってしまった。
握られている青銅の塊は、剣や槌、それに槍で、この世界の普通の人間に振り下ろせば問題なく殺害できる。
その一言を受けて霧亥の動きも変わった。
周囲を取り囲んだ青銅の人形を、霧亥は簡単な構えをとってから、一歩踏み込んで先制する。
先ほどと同じく、見えないような攻撃が四回。
殆どひとつの音に聞こえるような打撃が繰り出され、鎧に剣を振り下ろしたようなその金属音が人の耳に届くころには、ゴーレムは拉げた青銅の置物になって地を転がった。
背後の一体も、返す裏拳で振り下ろす槌ごと頭部をもぎ取られて、高速で回転しながら観客の中に突っ込む。
ギーシュは悲鳴を上げ、ほかの生徒たちも同じような反応を取った。
「うわぁぁ!!」
霧亥はギーシュがいまだに杖を手から離さず、幾らでもワルキューレと呼ばれる構成体を作出できることを警戒していた。
その矢先に、ギーシュは杖を振り上げたのだ。
霧亥の行動はすばやかった。
ギーシュがもし、杖を棄てようとして振り上げたのでは?…というようなことは、霧亥は一切考慮しない。
先刻、ルイズの杖を破壊したときとは違い、大量に生み出される高温のプラズマで二次的破壊が発生するほどの威力で一条の光が打ち出される。
「……あれっ!? 腕が無いな」
あまりの事態に、ギーシュは悲鳴を上げるところまで考えが回らなかった。
珪素基系の肉体を容易に引き裂くビーム兵器に、人体が堪えられるはずも無い。
一瞬で肘を中心としたギーシュの利き手は蒸発し、余熱で肩近くまでが炭化。
誰もが驚きの声を上げる。
「ひぃ……!!」
消し炭になった掌が足元に落下したところで、ギーシュは吸うような悲鳴を上げてのたうちだす。
霧亥は、決闘のルールに則り、杖をギーシュの手から、無傷で叩き落した。
「勝ったちゃった……」
キュルケが口をぽかんと開けながら呟く。
ほぼ全員がそう思ったが、何人かは目の前の惨状から目をそらし、そう思う余裕すら持たなかった。
「ギーシュ―――!!」
霧亥は相手が完全に沈黙するまでは、その体制を崩す気はなかった。
それを止めを刺そうとしているのだと勘違いしたギーシュの番いこと、二人の女子生徒が走り寄る。
「やめなさい! 殺されるわよ!?」
何人かが静止したが、止まる様子は無い。
それどころか、駆け寄ってギーシュの盾になると、あろうことか霧亥に杖を向けた。
「相手はこちらだ」という意思表示は、霧亥に正しく認識されてしまう。
銃口を二人より少し左側に向けて、そのまま横薙ぎに照射しようとする霧亥。
>>222 あまり良い行いとは思わなかったが、SSの代理投下スレの所在が分からなかった上に、時間が時間だったのでつい
「そこまで!!」
後一歩で引き金を引こうというところで、運良く二人は命拾いした。
突然飛来した教師に霧亥が注意を向けたところで、突風が吹き荒れ、二人の女子生徒が吹き飛び、霧亥が銃口を下げて軽く踏ん張る。
「馬鹿者めッ! ミス・モンモラシー、応急処置を施して彼を医務室へ運べ!!」
これが風の魔法であることは、霧亥にも理解できた。
極々一部の大気分子の運動方向が、一方向へと揃えられることによる突風。
音速を超えていたわけでもないので、大したことは無いのは当たり前だが、巻き起こした本人は当惑していた。
「ミスタ・キリイ……やれやれ、恐ろしいものですな。土のドット風情とはいえ、こうも軽くあしらい、おまけにあの風で膝も付かぬとは」
降りてきたのは二つ。
一つは実体のある本体だが、もう一つは大気と電磁波に干渉して、簡単な視覚を惑わせる偽者の“影”だ。
本体は、ギーシュの傍らで、生徒の安否よりもこちらの動向に注目している
「おまけに、一瞬で本体を見破る…オールド・オスマンも、耄碌したわけではなかったようだ。私の名はギトー、“疾風”のギトーです」
マントを翻して、軽く一礼する教師ギトーは、内心冷や汗をかいた。
銃口は目の前の遍在ではなく、自分に向けられており、魔法を使うより引き金を引くほうが速いからだ。
「我が学院の生徒は、無駄に血気が多いものがおりましてな―――おっと、ここからは、今やってくる二人に任せましょうか。では失礼」
ギトーの姿が一つ消え、残りも空に消えると、変わってもう二人の教師がやってきた。
「ミスタ・キリイ! お怪我は!?」
「いやいや、まったく申し訳ない! 世間知らずの貴族の馬鹿息子がとんだ粗相をしてしもうた!」
オスマンとコルベールが息を切らしながら霧亥のそばにやってくる。
どうも姿勢が低い。
周囲でぽかん、としていた生徒たちは、その様子を見てさらに唖然とした。
「にしても見事じゃ、ああも容易く決闘に勝利するとは、はははは!」
それにあわせて「ほんとよ」といったことをぼそぼそ口の中で繰り返しながら、ルイズはへたり込む。
「お顔を殴られたように見えましたが、必要ならまたあの時の病室に行って治療を受けてもらっても構いませんぞ!?」
二人の姿と行動を見て、ひとまず霧亥は目的を達成できたのだと理解した。
わざわざ決闘などという馬鹿げた行いに付き合ったかいもあるというものだ。
「キリイ君。どこへいくのかね?」
ゆっくりと、霧亥は歩き出した。
自然に人々が左右に割れ、霧亥はその中央をなんの感慨もなさそうに歩いていく。
日の光は頭上から地平線の向こうを落ち込み始めている。
ちょうど、大地が明るく照らされ、熱を帯びている頃。
一歩一歩、確かめるようにして歩く真っ黒な人は、昔見たハードコピーの内容を脳内で検索しながら、丘の上へと向かった・・・
LOG.4@END
以上、3話の残りと「ガッガギッ バギッ ドガガガガガガ」回
今回の霧亥には理解できないは食事に続いて、自我欲求とそれに結びついた性欲
ようやく喋らない主人公ぶりが書けたような気がしてきたが、これだとまるで意思疎通が…
いつか物語の中の人たちに無理が出るか、誰も喋らなくなるかになりそうな気がする
重力子放射線射出装置を持たせていたらと思うとこの時点で学院崩壊の危機か
乙
SS投下は間を空けたほうがいいですかね?
関係ない
行け
>>229 は……はいいィィィィィ〜〜〜!!
[秩序]の守護者 3投下します
この世界の建物は、我々にとっては狭すぎる
もっとも、AC用に作られているわけではないので当然なのだが、不便でしょうがない
屈んで移動できる場所もあるにはあるが、大概は中庭から移動したり干渉したりするのが基本となってしまう
しかも、足元をうろうろする女中を踏まないようにすることもまた我々の足を遅らせた原因でもある
天井を破壊してしまえば簡単に出られるのだが、その後に非難に晒されることは確実なのでやめておく
この世界の情報がまだ圧倒的に足りない以上、あまり目立つことをしてしまうのは得策ではない
そのため、裏口のような場所を抜けていってしまったルイズを見失うことになってしまった
『君は帰れ。これからルイズはメイジの決闘をしにいく。君がきても足手まといにしかならない』
「……それでも私は、私のために決闘を受けてくださったミス・ヴァリエールの元に行くんです」
『話を聞かなかったのか? 君が来ても足手まといにしかならないと』
「わかっています! あなたみたいに強そうなゴーレムさんには分からないかもしれませんけれども
平民が貴族の元に行きたいなんて差し出がましいかもしれませんけど、それでも私は行かなくちゃいけないんです!!」
『…………』
強い怒りの感情を感じる
そうだ。確か我々を倒したAC、アナイアレイターのレイヴンもこんな感情を我々にぶつけてきた
気が付くと、我々はその場から一歩足を退いていた
バカな。秩序に則らない、無意味な怒りの感情に、あのレイヴンを思い出した我々は一歩退いたのか?
機械である我々が、まるで人間のように恐怖を感じたと言うのか?
これまで無意味な敗走を企てる多くのACやMTを破壊してきたが、彼らはこんな感情を持っていたのか?
『君は、あくまでも行くのか』
「はい」
『…………理解不能』
そう呟いて、我々は彼女を持ち上げ、肩に置く
「な、なんですか!?」
『喋るな。舌を噛む』
我々は、あのレイヴンよりも勝っていたはずだ
ナインボールは、アナイアレイターに負けるような機体ではないはずだ
しかし、我々は敗れた。怒れるレイヴンによって、切り札のセラフすらも敗れた
もっと、人間の[感情]を見てみたい
[秩序]を守ることこそが最重要事項。そのための情報収集を怠ることは絶対に許されない
しかし、第三事項にその目的を加えることが地下の統括機構に受理されたことを受け
我々は女中を連れて決闘場に向かうことにした
「は、はやいですゥゥゥゥゥゥゥゥ!!! ふぎゃっ!」
『舌を噛むから喋るなと言っただろう』
この学院の地図は既にデータとして取得しているため、どこに行ったかは分かっている
しかし、我々がもたもたしていたためもう決闘は始まってしまっているだろう。どれだけ時間がかかる物かは分からないが
余裕を持つのは危険と判断した我々は、この世界に来て始めてブースターを展開する
やはりちんたらと歩いていては移動効率が悪すぎるのだ
しかも、ルイズがあまりにもうるさく言うため足を下ろすたびに軽くブーストに逆噴射をかけて足音を抑えている
広場の場所をマップとして認識し、その方角を確認
生体センサーに大きく反応あり。間違いないようだ
しかしその広場は少し高い壁に覆われている。我々にはさしたる影響は無いが、下手をすればこの女中が落ちてしまう
まったく、人間とは弱い生物だ
『女中、ここに入っていろ』
「えっ? えええっ!?」
肩から女中を掴み挙げて我々のコクピットにおしこむ。答えを聞く必要は無い
本来我々にはコクピットは必要ないが、アリーナに参戦する手前正規のアーマードコアという体裁が必要になる
そのため、一応申し訳程度には作られているのだ
普通のレイヴンにとっては狭くて入っていられないだろうが、小柄な女中にはあつらえたようにぴったりだった
よし、これで少しは無茶な動きをしても大丈夫か
そう判断した我々はブーストに火を入れ、一気に客席を飛び越えた
ルイズ、確かギーシュと言われていた貴族、共に生体反応問題なし
それを確認して、我々は二人の間に降りる
多少の障害物があるが、着陸に支障は無いものと判断
着陸
コクピットに多少の衝撃が走るが、問題はないレベルに押さえられている
観客席の声がかなりうるさい
我々を指差して一喜一憂しているのは分かった
「おい、あれはゼロの使い魔だぞ!」
「あいつ、ルイズにまったく懐いてないって話じゃなかったのか?」
「おいおい、もう賭けは始まってんだ。今更ルイズに賭け直しは認められないよ!」
なるほど。この決闘が組まれた時点では我々は来ないものとして計算されていたようだ
まあ、元々来る気が無かったのは確かだが
「タバサ、どう思う?」
「勝利確定」
「よねぇ。相手もギーシュだし」
「……むしろ負け方を知りたいレベル」
なるほど。顔見知りの二人の会話からして、この相手はたいしたことのないメイジらしい
頭部のカメラをギーシュに向けると、なぜか顔面蒼白になって我々の足元を指差している
?
……なるほど。足の下には粉々に崩れた青銅のようなものがあった
その中に腕や顔のような残骸が見えることから、これはきっと彼のゴーレムだったのだろう
まあいい。こんなところで決闘など[秩序]に反する行為だ。これくらいならばいい薬だろう
それに我々は過ぎたる力を粛清するためのもの。過ぎてもいない力を粛清する必要など露ほども無い
そうして、我々が一歩近づいたことで恐慌状態に陥ったか、石つぶてを飛ばしてくる
その全弾が我々に命中したことで、ギャラリーからはまた声が上がっている
無論、そんなものでAPを減らすことなどできない
さて、あとは当てない程度に間合いを計り、ブレードで深く地面をえぐってやれば戦意を喪失するだろう
平民を導き[秩序]を守る貴族には、もっとしっかりしてもらわねばならないのでな
「ゴーレムさん、だめですっ! 人を殺してはいけません!」
我々のコクピットでガチャガチャと女中がレバーを動かしてくる
飾りとはいえ、一応ここからでも操縦を受け付ける構造になってしまっているのだ
もっとも、誰かを乗せること自体が今までは無かったし、これからも無いはずだったからなのだが
もちろん動かし方など分かっていない、ただの滅茶苦茶だ
しかし、はずみと言う物はどうにも怖いものであるらしい
ブレードのレーザーは消失したのだが、足を大きく振り、一歩前に足を進めてしまう
そして、我々とギーシュの間はかなり詰められていた
そのため………
ドグシャアッ
「べぶっ」
『あ』←ハスラー・ワン
「あ」←ルイズ
「あ」←シエスタ
「あ」←モンモランシー
「あ」←キュルケ
「……」←タバサ
「「「「「あ」」」」」←その他ギャラリー
女中の代わりに言い訳するつもりではないが、これは事故だ
足が偶然にもぶつかっただけであって、我々も女中も悪くは無い
それにギーシュも全身骨折で今落ちてきたが、ピクピク動いてるところを見ると死んではいないようだ
ならば水のメイジが傷を癒してくれるだろう。よし、問題は無いと判断する
『決闘は終わった。ルイズ、帰還しよう』
「あ、あんた今……」
『問題ない。死んではいないようだ』
「そういう問題じゃないでしょ」
『問題ない、見ろ。彼の恋人が傷を癒している。死にはしない』
我々の言葉を挑発と受け取ったのか、観客席からブーイングが飛んでくる
元々アリーナではこんな声日常茶飯事だったし、それを差し引いても機械の我々が怒りを覚えるはずもない
しかし、ルイズはどうもそういうわけにはいかないようだ
“ゼロのルイズが”“ゼロの使い魔が”
そんな声が聞こえるたびに顔を伏せて震えている。これはいけない
このままでは爆発し、我々に理不尽な怒りをぶつけてくる。いわゆる八つ当たりだ
もっとも相手にする気はないのだが、あれは駄目だ。あれほど無駄な時間はない
我々は[秩序]のために一分一秒でもこの世界について学ばねばならない。小娘のヒステリーには一切の価値はないのだ
それに、そうは見えないがルイズは名門出だと言う話を耳にした
その使い間という立場を利用すれば、より多くの情報を手にできる
だから、ご機嫌を取っておくに越したことはないのだ
そして今すべきことはこのコクピット内の女中をルイズに会わせる事。しかしそれも今は困難と判断する
どうして彼女が震えているのか、我々にはデータが足りず理解することは不可能
では、今できることだけでもやっておくとしようか
『動くな』
ゼロ。客席から響くそれがルイズを震わせている言葉と当たりをつけ、肩武器を使用可能状態に持っていく
そして、一斉に客席に向かってショルダーキャノンを連続発射
狙いは的確、すべて狙った箇所に打ち込むことに成功していた
「殺しちゃダメだって言ったじゃないですか!」
『問題ない。見ろ』
騒ぐ女中のために、コクピットのカメラをズームさせる
席自体の被害は甚大
しかし死者は一人もなく、ケガ人も水のメイジで十分治せるレベルにとどまっている
脅しとして誰もいないところに撃ったが、成功したようだ
もう誰もこっちにヤジを飛ばすこともなく、ゼロという言葉も止んでいる
よし、これで女中もルイズも満足することだろう
「ゴーレムさん、何をやっているんですかっ!」
「何やってるのよ、このバカハスラー!!」
……ふむ。我々はまた何かを間違えてしまったのだろうか
そして、相変わらず我々のコクピットから出ようとしない女中
いったい、なにをしに来たのだろう
投降終了です
元々「排除排除排除排除排除」なイメージのハスラー・ワンのイメージを崩しまくっている気がします
そういうのが嫌いな方にはすみません
おつ
タイトルで思い出したけどスクラップドプリンセスからって召喚あった?
ピースメイカーとかゼフィリスとか設定的に広がりそうだが
二人とも乙
そして通過儀礼で毎度ズタボロになるギーシュも乙
お二方とも乙
>>236 多少はルーンの効果って事にしようぜ!
排除排除ですぐ敵が居なくなりましたでは短編小ネタになってしまう
こまけぇ事はいいんだよ!
契約魔法に浸食されて、AIが破壊されたか書き換えられたんだな
ネストも真っ青の電子戦技術
霧亥はブラム学園でもそんなにしゃべらなかったからなぁ・・・
無言具合を確認するために、9巻での機能完全回復以降の霧亥の台詞を列挙してみる
9巻(計7話)
「どうして俺をよんだ?」
「おい」
「モリ」
「ネット端末遺伝子を探している」「ここに人間はいるか?」
「あれは珪素生物だ」
10巻(計8話)
「黙ってろ」
「まて」「どうしておまえ」
「感染!?」
「まて その球体は何だ?」「サナカン!」
サナカンに焦点を当てたLOGもあったが、探索のパートナーがいても、この台詞の少なさ
そして各種外伝では無言
元ネタと比べるとあの作品は、状況が状況とはいえ、霧亥に1話で1巻分近くはしゃべらせている
表情や感情を見せたかといえば睨みと殺意
しかし霧亥は長身イケメンで頭脳明晰スポーツ万能、職業は公務員なので問題無い
殺意と都市救済以外の主体性の無さも無口さも、ハーレムものに相応しい属性ではなかろうか
デルフより少ないんじゃねえか
さすがに水魔法で腕がにょにょきと生えることはないよなあ
他のSSじゃ死ぬことすらあるんだから腕だけで済んだんだからラッキーか
小ネタ投下
ウェールズ「敵は五万の軍勢だ」
オールドキング「1/2000か……殺し足りねえが、まあ仕方ない」
ルイズ「あんた、何をする気なのよ」
オールドキング「さぁねぇ………」
ルイズ「答えなさい!」
オールドキング「アイムシンカートゥートゥートゥートゥトゥー」
ウェールズ「答えてくれ。君は、何をしようとしているのか」
オールドキング「王子さん……戦争など、結局は殺すしかないのさ。だろう?」
ルイズ「!!」
ウェールズ「敵は五万の兵士達。メイジも少なくはないだろう。ゴーレム一つで立ち向かうのかい?」
オールドキング「五万つったって今は軍船に押し込まれてんだ。まとめて殺るには最適だ」
この後、たったひとつのゴーレムにより、レコンキスタは深刻な出血を強いられる
メイジの天敵とすら呼ばれた彼は、史上最も多くの人命を奪った個人でもある
小ネタですらないだろw
むしろ逆流王子を召喚して、毎晩毎晩ルイズの夢の中で
「AMSから光が逆流する!!」
ルイズ&穴「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
キュルケ「(がちゃ)うるさぁぁぁい!!」
250 :
ゼロの戦闘妖精:2011/04/24(日) 10:48:40.64 ID:+CWr5XzB
ご無沙汰してます。『ゼロの戦闘妖精』です。
前回の予告で心配したとおり、タルブ村までたどり着けませんでした。
今回は ゲルマニアがメインの話。
進路クリアならば、五分後より投下開始します。
Misson 14「プロジェクトY 〜挑戦者たち〜」
『フェニックスの神罰』 レコンキスタのニューカッスル城攻略艦隊壊滅の知らせは、瞬く間にハルケギニア全土に広がった。
或る国は 詳細な情報を求めて大量の間者を送り、或る国は 密かに入国していたレコンキスタの使者を追い返した。
これは 歴史の流れが変化する瞬間だ。自分は今 それに立ち会っている。凡そ 国家運営に携る者ならば 誰もがそう思った。
だが ゲルマニア皇帝たるアルブレヒト三世が気に懸けているのは、それとほぼ同時に飛び込んできた もう一つの知らせの方であった。
即ち、トリステイン王家からの 正式な『婚約破棄』の通知である。
浮遊大陸アルビオンに点った レコンキスタという名の炎は、不平貴族という大量の薪を得て 瞬く間に紅蓮の劫火と化した。
現・王家の滅亡は目前、更に『ハルケギニア統一』の旗印を掲げる 狂信的ブリミル教集団の次なる侵略目標は 恐らくトリステイン。
歴史と伝統はあれども 国力は衰退傾向にあったトリステイン政府は、長きに渡る国境紛争すら封印して 隣国ゲルマニアに泣き付いた。
その代償として提示されたのが、『アンリエッタ妃殿下の御輿入れ』だった。
帝政ゲルマニアは 巨大な新興国家である。
この地に乱立していた小規模国家群を武力統一した 初代皇帝 アルブレヒト一世。
叛乱の火種も多く残る帝国に 非情非道 卑劣な手段まで用いて強固な中央集権体制を構築した アルブレヒト二世。
英雄の性か、色を好んだ二代皇帝が派手にバラ撒きまくった『世継ぎ』達との 血塗れのサバイバル戦を生き残った現皇帝 アルブレヒト三世。
祖父から孫へと続く『波乱万丈の物語』も、ハルケギニア六千年の歴史にあっては 『たかだか三代の新参帝国』でしかない。
アルブレヒト家自体 元々 征服した他国と同様の小国の王家。その家系図には 多くの虫食いやインクの染みに隠された 怪しげな部分が存在する。
表立って語られることこそないが 巷では皇帝陛下の血統は こう噂されている。 『平民混じり』と。
幸いにして ゲルマニア皇帝は、某国の王族や公爵家令嬢の様に 魔法が使えないという訳ではなかった。
だが、それだけでは『噂』を否定することは出来ない。なにより 皇帝陛下自身も 己の血統に確証を持てずにいた。
それ故に。
金も 力も、領土も地位も得たアルブレヒト三世が 今現在 最も欲するもの、それは『聖なる血統』だった。
今更何をしようとも 自分の二束三文の血は変えられない。血とは即ち 己自身なのだから。
だからこそ 帝国を継ぐ子孫には、『始祖直系』とされる『聖なる血統』を 流し込んでやりたかった。
直系の血が アルブレヒト帝の胡散臭い血筋を 真に高貴な血統にしてくれる、そう思っていた。
そして その為の第一段階は 間も無く成就する…筈だった。一匹の幻獣が 邪魔しなければ!
突然アルビオンの上空に現れた『聖獣』は、一撃をもって戦列艦を次々と沈め 地上部隊にも壊滅的な損害を与えたという。
竜と見紛うばかりの巨体に 炎を纏ったその姿、「間違いなく 伝説通りの『フェニックス』だった」とは、戦場から逃げ帰ったゲルマニア人傭兵からの聴取内容である。
その翌日 トリステインはアルビオン王家への救援軍の派遣を発表、反乱軍レコンキスタに対して宣戦を布告し、ゲルマニアには ほぼ決定していた『婚約』の破棄を通告した。
皇帝陛下のササヤカな野望は、『始祖の御使い』によって粉砕されたのだった。
怒り心頭のアルブレヒト三世陛下。
「えぇーい 『聖獣』とて構わん!我の邪魔をするケダモノの討伐隊を編成せよ!!燃える素っ首を我が前に持って参れ!!!」
さすがにコレは 家臣団総出で制止したが、トリステインからもたらされた新たな連絡によって 状況は大きく変化した。
『フェニックス(仮称)に対する トリステイン・ゲルマニア両国による共同調査』
驚いた事に トリステインは、あの『聖獣』の正体を把握しており、あまつさえ その身柄を押さえていると言うのだ!
そして その秘密を明かす代わりに、婚約破棄をチャラにしろと。
「トリステインは、アレ程の力を隠し持っていたのか!」
「いや、そんなハズは無い。ならは、我が国に同盟など持ち掛ける必要は無いではないか!」
「それに 自軍の戦力であるなら、何故『調査』などする必要がある?」
「だいたい、幻獣の調査だというのに 担当者として魔法生物の専門家ではなく 我が国の工業産業省長官を指名するとは。」
「まさか、幻獣ではなく ガーゴイルの様なマジックアイテムなのか!?」
「それこそ悪夢だ。トリステインは、あんな怪物を量産する気だとでも!」
喧々囂々の論争を制したのは、皇帝陛下の一言。
「正体不明? フフン、面白いではないか。
トリステインは、婚約破棄の詫びとして 秘密を明かすと言うておる。引け目は向こうにあるのだ。
かの国が 過ぎた力を持っておるなら、我々が奪うまでの事!
ワット長官、すぐさまトリスタニアへ向かい、フェニックスとやらの正体 委細漏らさず調べて参れ!」
急遽結成された『第一次フェニックス調査団』が トリステインに派遣されてから数日、ゲルマニア皇帝陛下は 本日帰国予定のソレの到着を、玉座の間にて今か今かと待っていた。そこへ、
「陛下〜ぁ、陛下は何処〜ぉ〜。何処に居られますや〜、陛下〜ぁ!」
ドタドタという足音と、老人のダミ声が響き渡る。
騒音の源は、ゲルマニア帝国アカデミー筆頭にして 同国工業産業省長官、今回の派遣調査団団長 サー・ジェイムズ・ワットその人であった。
還暦に近い高齢にも拘らず それを感じさせない老マッチョな肉体に ロングの白髪を振り乱しながらせわしなく動き回る姿は、彼の発明品『蒸気機関』を思わせる。
また、国内学術会のトップでありながら あらゆる分野に首を突っ込み引っ掻き回す行動から『ワット』ならぬ『マッド』と呼ぶ者も。
(ただし、当人は そう呼ばれても怒る素振りも無い。むしろ 喜んでいる節も?)
息せき切って駆け込んできたワット長官に 陛下が労いの言葉をかけようとするも、それすら制して、
「へっ、陛下ぁ〜。今すぐ、すぐにコレに御署名を!」
差し出されたのは、フェニックス調査計画の正式合意調印書。(今回は、あくまで『予備調査』であった。)
「落ち着けワット、何があった。まずは報告せい!
詳しい話も聞かずに契約書に署名するなど、ゲルマニア人たる者がすると思うか?ましてや 皇帝たる我が!」
流石は商業国家、トップの皇帝陛下に至るまで その辺りは本能レベルで刻み込まれている。
「これは私としたことが。年甲斐も無く我を忘れてしまいましたな。」
(「いや、毎度の事だと思うが?」)と 心の中でツっ込む皇帝陛下。
「で 何であった、『フェニックス』の正体とは?」
「はぁ、なんと申しましょうか…」老長官は思いを馳せる。ほんの数日前、『アレ』と初めて対面した際の事を。明かされた事実と語られた内容を。
「…アレは、一言では語れませぬ。」
数日前、トリスタニアに到着したゲルマニアの調査団一行を 御自ら出迎えたアンリエッタ妃殿下は、
「私共の申し出をお受けいただいた事を 感謝致します。
さて、通例通りならば これより暫く 歓迎の意を込めた社交儀礼が続く訳で御座いますが、皆様は その様なものよりも実務を好む研究者の方々。
旅の疲れも無いという事でしたら 早速 御目当ての『フェニックス』の所へ参りたいと思いますが、如何でしょう?」
と 申し出た。
他国からの客人を寓するには 些か不調法であったが、今回の調査メンバーは 姫の言葉通りの研究者、それも『マッド』な長官が選んだ実践派学者揃い、却って好感を持って受け取られた。
一堂が移動した先は、トリステイン魔法学院敷地内にある 森の中の広場。元々召喚場であった場所。そこは 以前とは様変わりしていた。
見るからに頑丈そうな ドーム状の建造物。
交差する二本の道。しっかりと舗装され 表面も丁寧に整えられているが、何処へも繋がっていない 奇妙な道路。
そこに居たのは魔法学院講師の上着を着用した 禿頭の男。傍らに置かれた何かの装置を操作し、
「アンリエッタ様、どうぞ。」と 装置から伸びた紐状の物の先に付いた部分を手渡す。
「ありがとうございます、ミスタ・コルベール。」
受け取った姫君は、トークボタンを押して
「『プリンセス』より『ゼロ』、ゲストは到着した。繰り返す。ゲストは到着した。」
『ゼロ、了解。上空待機を終了、RTB。』
応答を返す装置に驚く ゲルマニアの一行。
「妃殿下、それは一体、どのようなマジックアイテムですかな?」
調査団の中で 好奇心の最も強いワット長官が 先陣を切って問いかける。
「『無線機』と申します、ワット卿。ただ、訂正させていただくなら、これは『マジック』アイテムでは御座いません。」
普通とは異なる部分にアクセントを付けた言い方。その意味合いに
「ほう ソレは興味深い。」
ワット長官の 常人よりも長い眉毛がピクピクと動く。未知の事象・新たな謎に強く心を引かれた際の 彼の癖である。
「説明は、して いただけるのでしょうな?」
「もちろんですわ。ですが…」
アンリエッタは空を見上げた。つられて 皆も空を見た。
誰かが気付く。遥か遠くの小さな影に。耳慣れない音に。
影は見る間に大きくなる。黒い点から 鳥の如き姿に。
あっという間に近付いてくる。雀程の大きさに見えたものが 鴉程になり 鷹になり 大鷲に、やがては飛竜へ。
轟音と共に ソレは舞い降りる。足を伸ばす。勢いが有り過ぎ 接地した足から白煙が上がる。
行き場の無い道(滑走路)が 何の為の物か、調査団員は理解した。
速度を落とすと 灰色の怪物は彼等の前で停止した。頭部?がやや後方へ移動し ぱっくりと開く。そこに人影が見えた。
その人物に向け 両腕を開いてアンリエッタが宣言する。
「皆様 お待たせいたしました。
これが 巷で噂の『フェニックス』、
レコンキスタ艦隊を壊滅させた『聖獣』、
私の大切な『トモダチ』 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが召喚せし使い魔、『雪風』です!」
雪風から降り 居並ぶゲルマニアの学者達を前にして、ルイズは思う。
(普通に格納庫から出てくるだけでもイイと思うんだけど…
姫様ッてば ハッタリの効いた演出が好きなのよね。)
…実はルイズも、ギーシュを相手に殆ど同じ事をやっているのである。(Misson 03 参照)
アンリエッタをどうこう言えたモノではない。
そんなことはさておき、雪風である。
雪風を初めて見た者は 驚く。それはそうだろう。だが、驚きにも程度がある。
幼な子ならば 素直に驚く。確固たる 己の世界を未だ持たぬが故に。
そして 怖がって泣き出すか、喜んで笑うかのどちらかだろう。
魔法学院の生徒程の年齢ともなれば 知識と経験から それなりの世界を構築している。
それでも まだまだ学生の身、未知なる事が存在するは 当たり前。柔軟性は失っていない。
これが いい歳をした大人では、そうもいかない。ましてやアカデミーの研究員ともなると。
今日迄の人生を 学問に奉げてきたという思い。知識において他人に劣る事は無いという自負。
真理は 我が行く道の先に在る。怪しき噂 無知なるが故の幻想を、正しい常識で打ち砕く。
それが学者であり研究者である。解らぬ謎など あるものか!
…あった。 今 目の前に。
自分の世界に収まらない 理解を超えた存在から受けたショックは相当のものだった。唖然・呆然とする調査団員達。
それが 所謂『秀才』の限界。しかし、『天才』は その範疇に入らない!
(なんなんだコレは! ワカラン。ならば考えろ、持てる知識の全てをアライナオセ。あれか?チガウ。これか?違う。ちがう。チガウ!)
『ゲルマニアの頭脳』と称えられた老人の脳中枢が、フル回転していた。
(そもそもアレが本当に『フェニックス』と呼ばれていたものなのか?燃えとりゃせんが。
じゃがフェニックスの伝承は「炎の中から甦る」と言うのが原典で 普段から燃えているというのは後付けじゃ。
それよりもナニカがひっかかる 何じゃナンジャなんじゃ?そうじゃ!脚じゃ。
アレの脚は三本。怪我やカ○ワでも無い限り奇数本の脚の生物はおらん。幻獣を含めてじゃ。では生物ではないのか?
だがトリステインの姫君は言った「使い魔」と。使い魔は生物が基本。それでもマレにゴーレム等の自立型マジックアイテムが召喚される場合もある。
アレもそうなのか? いや東方の遥か遠き国には『ヤタガラなんとか』という球蹴りの上手い三本脚の神鳥が居るとも聞く。
エ〜イ、アレはどっちじゃ?何か無いか決定的な判断材料は。さがせサガセ探せ。
ウム あった!アレが地に降り立った時の事を思い出せ、その脚には車輪があったではないか!
生物の身体駆動は筋肉の伸縮によるもの。これは如何なる種であっても例外無い。また伸縮を動きに変えるためには筋肉の両端が固定されていなければならない。
これは「支えていながら固定しない」という車輪の軸受けの構造とは相容れないもの。生物は身体に車輪の様な「際限なく回転する」器官を持つ事はできん。よってアレは無生物であると推測される。)
【注:生体軸受け構造 ミドリムシの『べん毛モーター』なんてモノは、当然ハルケギニアでは発見されていません。】
(ならばマジックアイテムか?ソレもおかしい。ディデクト・マジックなど使わんでも解る。アレが飛来した時 魔力を感じたか? 否!
あれほどの巨体 宙に浮いているだけで どれ程の魔力をタレ流す事になるか、数百メイル離れておってもビンビンに感じるハズじゃ。なのにソレがない。
加えて アレが現れる直前、奇妙な『喋る機械』を姫君はナンと言った?『マジックアイテム』では無い…少し違うな そう、『マジック』アイテムでは無いと言ったのじゃ!
マジックでなければ ただのアイテム。道具…魔法を使わぬカラクリ。
フェニックス 魔力を感じさせずに飛んできた、生き物で無い『何か』
つまり 『魔法によらず動く機械』 それが、答えか!
じゃが何故もっと早く思いつかんかった?何故最初に思い至らん!ワシの最高の発明品は何じゃ、魔力によらぬ動力源たる『蒸気機関』じゃろうが?)
(… 判った。判ってしまった。
えぇい 情けないぞジェームズ・ワット、貴様 あえてアレを非魔法機関だと考えないようにしたな!認めるのを拒んだな!
それでも己は研究者か!学問の徒か!
「ゲルマニアの工業技術は 世界一〜ぃ」などと 浮かれ騒ぐバカ共に煽てられ、自分自身もすっかりその気になっていたとは!
つまらぬプライドを捨て目の前のモノをしかと見よ。貴様のガラクタよりも遥かに進んだ機械 その実物が在るではないか!
解らぬ事は恥ではない 解らぬ事を認めぬ事こそ恥なのだ。
おそらく トリステインでも アレ、『ユキカゼ』とか言う使い魔の全貌は未だ掴めておらんのだろう。其れゆえの『合同調査』の申し出か。
ならば、アレを最もよく理解している人物は…召喚した主人 唯一人!)
一瞬にしてその結論に達したワットは、ルイズに向かって駆け出していた。
思いもよらぬ早駆けで迫る老人にルイズは身構えるも、息を切らして目の前に立ち止まったワット長官が いきなり深々と頭を下げたのに驚いた。
「あの使い魔、『ユキカゼ』の主人である貴女に御願い申し上げます。
何卒 ユキカゼに触れる事をお許しください。ユキカゼの内側を覗く事をお許しください。ユキカゼの全てを調べる事をお許しください。
あれこそ ワシの求めるモノ ハルケギニアを変え得る力 『動力機械』の未来で御座いましょう。
全く あのような機械が何処で作られましたのやら 皆目見当が付きませぬ。『主』である貴女様ならば、その辺りもお判りなのでしょうや?」
(凄いわ この人! まだ何も説明してないのに そこまで推測して、こんなポイントを突いた質問まで!!)
「サー・ジェイムズ・ワット様でいらっしゃいますね。御顔をお上げください。
私は、ヴァリエール公爵家 三女のルイズと申します。
一目で『雪風』の何たるかを見抜かれました慧眼、感服いたしました。仰る通り 雪風は、魔法の力を用いない機械 『飛行機』です。
そして 何所で作られたか判らないのも道理。我が使い魔は 異界、魔法無き世界より飛来いたしました。」
(何と! それならば幾分スジは通るが…にわかには信じられん!)
「確かにあの『ユキカゼ』が飛んでおりました際 魔力は感じませんでしたが…
魔法を使わずに飛ぶ事なぞ 真に可能だとは!?」
「宜しいですか、ワット長官。フネが飛ぶには風石の魔力を、幻獣が飛ぶには風の魔法を使います。
ですが、雀や鳩は魔法を使いますか?蜂や蝶は 飛ぶのに魔力を必要とするのでしょうか?
そうではありませんね。」
「じゃが アレらは、」
「体の大小については、ひとまず置きましょう。
魔法によらず飛ぶ生き物は存在する。これは事実です。魔法の存在しない雪風の世界にも 鳥や虫がいて 空を飛んでいます。
ならば なぜ飛べるのか。それは彼等が、空を飛ぶ為の『理』(ことわり)を体現しているからです。」
ルイズは雪風を召喚した日から毎晩 データLinkによる『睡眠学習』を受けていた。雪風の事が、雪風の全てが知りたかったから。
だが FAF最強の戦術偵察機である『雪風』を理解する為には、まず『航空機』の何たるかを知らねばならない。
航空力学 機体構造 使用素材 アビオニクス 情報工学 マン=マシン・インターフェイス、必要な知識は 数えれば限が無い。
それ以前に 基本的な物理学や数学から学ばねばならなかった。
幸いにして、脳内直結の特異な学習方法と 自身の資質の高さから、一月余りの短期間で ルイズの知識と思考は驚くほどの変化を見せた。
「万物は 其々に固有の理があり それに従って存在し、この理を『物理』と言います。
私達ハルケギニアの住人は、その事について あまり深く考えませんでした。
なぜなら 私達は『物理』を覆す術 始祖ブリミルより賜りし奇跡の力 『魔法』を手にしていたからです。
それが無かったとしたら どうでしょう。」
ルイズは 雪風を知ろうとする過程で 『科学』を知った。雪風を通じて その力と可能性を理解した。
ハルケギニアにおける絶対の基準 『魔法』。それに比肩し得るモノを知った事で 魔法及び魔法の存在する世界そのものを、相対的 客観的に見る事が出来るようになっていた。
「魔法無き『異界』にも、ヒトが住み 日々の生活を営んでいます。
空があり 海があり 大地が在る。そこで麦を撒き 魚を漁り 牛を飼う。国があり 兵士がいて 戦をする。
魔法が存在しない事以外 私達となんら変わりはありません。
それゆえ 彼等は魔法に代わるものとして 『物理』に目を向けたのです。その為の手法が『科学』です。」
「なんと…」
「異界の学問とは!」
「その辺を もっと詳しく!!」
驚きから立ち直った研究員一同も ルイズの元へと集まってきた。その中の一人が曰く
「待て待て。
その『科学』とやらは、万物の理を解き明かさんとするものか?それは世界の『真理』に迫ろうとするに他ならない。
神ならぬ身が真理に至るなど、始祖への不敬 冒涜に当たりますぞ!」
どうやら 熱心なブリミル教信者のようだった。それを一喝するワット長官。
「えーい、黙らんか この馬〜鹿弟子がぁ!
学者たる者が真理を目指さんで どうする!!
しかし 貴様の様な『教会の首輪付き』を 調査団に選んでしまうとは… ワシも耄碌したかのぅ?」
最後の部分に 残りの研究者達(先程の発言者も含む)は、ブンブンと首を横に振る。誰が見ても ボケとは無縁のワットだった。
ルイズに向き直るワット。
「ヴァリエール殿、一つ 宜しいか。
貴女は仰った。『魔法』は『物理』を覆す『奇跡』だと。ならば 物理は魔法に劣るのですかな。」
「それは 一面的な考え方ですね。
確かに 科学技術は魔法に劣る部分があります。
例えば 何かに火をつけるとして、魔法ならばメイジ一人と自分の杖があればすぐ出来ますが、科学技術では予め着火の為の道具を作っておかねばなりません。これには それなりの資金と手間がかかるもの。」
「フム。」
「では、魔法はどうでしょう。始祖ブリミルが私達に伝えてくださったのは、『魔法の使い方』のみ。
魔法の『根本原理』は 各国アカデミーにて研究されておりますが、いまだ解明されておりません。
よって 魔法の応用は 限定的発展しか遂げていないのが現状。
それに対し、科学は 原理を解き明かすことから始まります。よって 技術的な応用は自在。
カネと手間さえ惜しまなければ、得られる成果は天井知らず。それこそ あの双月に到達する事すら可能です。
さて これに優劣を付けられますか?」
「なるほど。方向性が違う と。
それにしても、月に至る事が『可能』…『可能やも知れず』でなく はっきり断言されましたな。」
「はい。雪風の世界では、随分と前に成し遂げられました。
ただし それに掛かった費用は、ゲルマニアの国家予算数十年分を注ぎ込んでも まだ足りぬかと。」
「ははっ なんとも豪気な! それが『科学』ですか!!
面白い、実に面白い!!!
じゃが 不可思議なるはヴァリエール殿、貴女の その知識の量と深さ。
ハルケギニアにも 古来より『科学』があったとすれば、流石に一欠片なりとも我等の耳目に入らんという事はありますまい。
さすれば、貴女が科学を御知りになったのも ユキカゼを召喚されて以降の事で御座いましょう。
しかし召喚の儀は たかだか一月前の筈。如何様にして それほどまでに?」
「それも皆 雪風のお陰。雪風が 全て教えてくれました。」
ルイズは語った。コンピューター AI 電子知性体 データリンク ネットワーク、異世界の科学が 永き時を経て成し遂げた、脅威の技術について。
唯一度の説明で ゲルマニアの研究者達にどれだけ理解できたか、それは判らなかった。しかし モット長官は
「その『電子知性体』は、我々の知る『インテリジェンス・アイテム』と、どう違うのですかな?」
と問うた。
「でしたら、『当事者』に聞いてみましょう。デルフ〜!」
「何でぇ嬢ちゃん、今日は偉ぇ学者センセーの集まりだから オレみてぇな無学な剣にゃ、出番は無えハズだぜ?」
喋らない筈の雪風 その下から聞こえてきた声に ビクッっとする研究者達。だが 驚き疲れたのか、反応は薄い。
「ほう。『インテリジェンス・ソード』ですか。」
「ええ。私の剣で、自称 雪風の『相棒』、デルフリンガーです。
ねぇデルフ、別に難しい事を聞こうっていうんじゃないの。
アナタから見た雪風って、どんな感じ?それを教えて欲しいの。」
「そうだな。オレっちみてぇなのは、確かに『インテリジェンス』なんてのがくっ付いちゃいるが、所詮はヒトの上っツラを真似ただけ。
良くも悪くも『ヒト並み』ってこった。お蔭サンで、モノの考え方はアンタ達と一緒。なんも変わらねぇ。
相棒は違う。
あ〜 上手く言えねぇんだけどよ、なんてぇか 一番の根元んところから違うんだな。
例えばよ、エルフとヒトは敵同士って事になってるよな。昔はそうじゃなかった気もするんだけど。
それだって 色恋も出来るし ガキだってこさえられる。知ってる限りじゃ、すぐに 殺されちまうみてぇだがな。
まぁ 国と国じゃ無理でも、一人と一人なら 判り合える事もあるってこった。
相棒は 敵になったりしねぇし、お嬢ちゃんを裏切ったりもしねぇだろうけど、判り合うってのは出来ねぇ。
判り合うってのは、自分と相手の根っこが 同じだって事に気付く、みてぇなこったろ?
相棒は 違うんだ。
ヒトじゃ無ぇ、ヒトモドキでも無ぇ、生き物ですらねぇ『知性』(インテリジェンス)てぇのは たぶん そういうモンじゃねぇかな。」
色々とタブーに触れる発言もあり、先程の教会寄りの研究者が暴れそうになったが、周りが押さえ込んだ。
「う〜む、『ヒトを模したる知性』と 『ヒトにあらざる知性』か。
いや、デルフリンガー殿、無学などと謙遜なさるな。貴殿の仰ることは、既に『哲学』の領域。
されど、我々が目指し求めるは 『実学』たる科学。
ヴァリエール殿、雪風から異界の知識を引き出す事ができるは 貴女のみ。
さしずめ、神託を下知する巫女でございますが どうでしょう 科学を修めれば我等も『電子知性体』を創り出す事が出来ますかな?」
「私が巫女…ですか?じゃぁ、『御布施』でも取ろうかしら。
いえっ ウソです、ほんの冗談ですって!
皆様から問われれば、私と雪風に可能な限りは 全てお答えします。もちろんタダで。
物理は ヒトの行いに係らず 変わらず在り続けるもの。研究の足取りさえ止めなければ いつか必ず辿り着くでしょう。
どれほど遠く 長く 険しい道であっても。」
「ならば、たった今より始めましょう!一分一秒とて 時間が惜しい!!
我 老い先短い身なれども、目の前に数多の未知をブラ下げられては、おちおち始祖の御許へ旅立つ事もできませぬわ!!!」
(…ワット卿。貴方、私よりも きっと長生きすると思うわ。)ルイズにも 大体この老人が判ってきた。
「と まぁ、そういった具合でしてな。
アレから連日連夜 向こうを発ちます寸前まで ルイズ殿の講義を受けておったのですが、それでも得られたのは『物理と科学』の ホンの入り口。
『汲めども尽きぬ 知識の泉』とは 正にあの雪風の事。
あれほどのものをトリステインが独占いたしましたなら、我がゲルマニアの工業界は 百年 いや千年の遅れを取りましょうぞ!」
そう言って、正式合意調印書への署名を迫るワット。ふと視線を下げると、皇帝陛下の膝が 小刻みに震えているのに気付く。
「判った。調査には合意しよう。だが その前に一つ問う。
ワット、貴様はその『雪風』とやらには もう乗ったのか?」
「はい! あの速さ あの動き、実に素晴らしい。此の世のものとは思えませんでした。
万の言葉を重ねるよりも、唯の一度 機乗いたしますれば、あれが『異界の機械』である事 何よりもスッキリと判りますな!」
それを聞いて 玉座から立ち上がる皇帝陛下。
「えぇい、もう我慢できん!
そのような面白き事、貴様等だけで楽しみよって!
我も行くぞ トリスタニアへ。我 自らが『雪風』に乗る迄、署名なぞせんぞ!
ワットよ、研究調査がしたくば 直ちにフネを用意せよ!」
結局のところ アルブレヒト三世のトリステイン訪問は ならなかった。
流石に 皇帝陛下が他国を訪れるとなれば、警護その他 準備だけでも大層な手間が掛かる。
「それならば」と、訪問の事前連絡を受けたアンリエッタはルイズを呼び出し 二人して雪風でゲルマニアへ飛んだのだった。
もちろん アンリエッタとて、そうヒョイヒョイ他国へ出掛けられるモノではないのだが、一旦飛び立った雪風を 誰が止める事が出来るだろうか?
ルイズは今 ゲルマニア ウィンドボナの地で、上空を舞う雪風を見上げていた。
機上には、縁談が潰えたばかりの トリステインの姫君とゲルマニア皇帝陛下。
といっても 別に重苦しい雰囲気など無く、傍受するインカムからは はしゃぎまくる陛下の嬌声が聞いて取れる。
(『男は 幾つになっても子供』っていうけど、ホントねぇ。)
然り。自ら欲せず流されるまま跡を継ぐボンクラ皇太子ならいざ知らず、戦い抜いて王に成ろうとなどする者は、ぶっちゃけた話 『ガキ大将』の延長線上にあるともいえる。
まぁ それを十六歳の少女に言われたくはないだろうが… ルイズ、自重しろ。
雪風コクピット内の後部シート、そこで アルブレヒト三世は考えていた。
(我は欲していた、『聖なる血統』を。だが今は、何よりこの『雪風』が欲しい!)
無理なのは判っている。この使い魔が持つ価値は ワット長官から散々聞かされている。トリステインが手放す筈も無い。
そうではないのだ。強力な兵器としてでも 先進技術の宝庫としてでもなく、只 空を飛ぶ、自由に宙を舞う為だけに 雪風が欲しかった。
「いかがですか 皇帝陛下。雪風は 御気に召しましたか?」前席の姫君が言う。
「フッ この雪風を気に入らぬ者など、何処に居ろうか。これが我が物と成らぬ事、悔しゅうてならん程に!」
「では、陛下も 私と同じ思いで御座いますわね。」
「何を言う。これは、そなた達トリステインのモノであろうが!」
「いいえ。トリステインに『属する』モノではあっても、使い魔はあくまで召喚者のモノ。『私』のモノでは御座いません。
陛下も 同じ意味で『欲しい』と仰ったのでは?」
「だが その先は詮無き事。仮に主人を殺したとて、使い魔は他の者には従わぬ。」
「まぁ恐ろしい。この雪風の主は 私の大切な友人。ゆめゆめ その様な事は。」
「判っておるわ。ましてや、国境争いにおいて 我が軍を幾度と無く阻み続けた あの『ヴァリエール』の者とあってはな。」
幾許かの沈黙の後 再びアンリエッタが口を開く。
「確かに 雪風は私達のモノにはなりませぬ。ですが…
陛下は そこで諦めてしまわれるのですか?」
「ムッ?」
「雪風は 異界の『科学』にて造られしもの。そして 私達は、これから科学を学ぶのです。
異界の民は 皆 平民であると聞きます。かの者達に出来て 私達に出来ぬ道理がありましょうか?」
「グッ!」
「貴国ゲルマニアは工業国家、加えて私達には 異界には無い『魔法』があるのです。
初めから 雪風のような高度なものは無理でも、やがては私達自身の手で 私達の雪風を作り 飛ぶ。
素晴らしいとは思いませんか?」
アルブレヒト三世は 改めて前席の姫に目をやった。いや 初めて『アンリエッタ・ド・トリステイン』という女を見た。
婚約まで交わしていながら、皇帝陛下にとって意味があったのは、『聖なる血統』という付加価値のみ。親子程も歳の離れた小娘本人になど 妾の一人程度の興味しかなかった
だが その小娘の提示したビジョンはどうだ。諦めるしかなかった自分を超え その先の未来をも示しているではないか!
「クックックッ… いや、失敬。
アンリエッタ妃殿下、貴殿とは 男女の縁は無かったが、
…『友』としてなら 実に旨い酒が飲めそうだな!」
「はい。
それでは、私達の造る 新しき『飛行機』が、無事飛び立ちました折には、王家秘蔵のワインをお持ちしますわ。」
ここに、『メカフェチ皇女』と『ガキ大将皇帝』の計画は始まった。
それは ハルケギニアの政治・経済・社会に多大なる変化をもたらす事となる 『プロジェクトY』、『雪風製造計画』であった。
《 続く 》
261 :
ゼロの戦闘妖精:2011/04/24(日) 11:14:35.78 ID:+CWr5XzB
以上です。相変わらず 雪風が活躍してません。話の中心には居るんですけど。
いつもの方 どうもすいませんね。
Wikiで調べたら ジェームズ・ワットって、正確には『蒸気機関』の発明者じゃないんですね。
それに アルビオン(イギリス)の人だし。
まぁ 『自由な研究環境を求めて ゲルマニアに移った』事にしておいてください。
なんか ルイズが『賢者モード』になってます。このSSの基本構造は、魔改造ルイズだって事に今更気付きました。
作中でデルフも言ってましたが、ルイズでさえ 雪風と本当の意味で『判りあう』のは無理だと思ってます。
深井中尉は例外中の例外、あれほどの異種間恋愛上級者は ハルケギニアには存在しません。
(亜人は 自分の中では『ヒト』の範疇です)
今回まで 各Missonの章題は 雪風原作のものから取っていたのですが、今回はダメでした。
(インターミッションは除く)
今後の展開として トリステイン・ゲルマニア連合は、機械化航空騎士団?を主力にレコンキスタと戦う事になりますが、
他所でいうところの『SENBAN』な話にならない様 気を付けたいと思います。
雪風の人乙
こういう形でゲルマニアが絡む展開は珍しい気がするな
そういえばもうすぐウルトラが投下されんだよなあ
今日は何処までゼロ魔から離れるのやら
>261
乙。ではボール盤かフライス盤で。
>>241-243 どこかで「俺は包茎じゃない」って喚きながら重力子線射出装置を乱射してた気がするが……
ちなみに、サナカンがナースだったはず
ゲルマニアやキュルケにスポットがあたる作品って珍しいよな。
個人的にギャグ以外で大きく絡んでくれると嬉しいな。
召喚されるものが強力であればあるほど、クロス先に取り込まれる
特に被召喚者が、ではなく、被召喚者の世界が強力であったりすると、クロス先の連中同士で話を進めてしまう
かといって、そうしないと
>>239のような(ry
ハルケギニアの星星はついに都市構造に取り込まれた…
ところで、ゼロ魔世界のものと召喚元の世界のものを融合させて新たなもの(ゼロ魔にも召喚元にも無かったもの)を誕生させた場合、
そうやって生み出したものは三次創作になるのだろうか
皆さんこんにちは、四月もあっというまに最後の日曜ですね。四月は第二期および第三期ウルトラシリーズのほとんどが放送開始した
記念すべき月なので、カレンダーも豪華でうれしい月でした。で、相変わらずゼロ魔とウルトラシリーズ(たまにゴジラ)をローテーションで
見ながら書いてます。現実は疲れることやつらいことも多いですが、怪獣の燃えとルイズたちの萌えはともに心をいやしてくれます。
ほかの方と予約がかぶっていませんでしたら、いつもどおりにさるさん回避で10分おいて15:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
来た来たスレ違いSS
ここじゃなくてにじファン行けよ
事前支援
ここはルイズが○○を召喚した場合のifを書くところで
ウルトラマンがゼロ魔の世界へやって来たssを書く場所じゃないんですよ
分かってますか?
支援。
毎週、毎週ご苦労様です。
すみません、どうもまだ長文投下ができないようなので避難所に投稿いたします。どなたか代理投下をよろしくお願いいたします。
第四十一話
奪われた虚無
寄生怪獣 マグニア 登場!
「ウルトラ・ターッチ!」
才人とルイズのリングが輝き、二人の手のひらが合わさるとき、二つの光が一つに輝く。
心と体が一つに交わり、開放された太陽エネルギーに包まれて、光の戦士に姿を変える。
合体変身! ウルトラ五番目の弟、ウルトラマンA参上!
〔いくぞ怪獣!〕
二人の心の中から姿を現したエースが、恐るべき巨大怪獣を前に構えをとる。
対する敵は、白い霧から本性を現した異形の怪獣。全身は大小のボール状の表皮で覆われていて、頭には顔がなく、
口と思われる部分からは細い触手が無数に生えている。地球のような惑星の生物では、まずありえない進化をとげた
姿の宇宙怪獣。
寄生怪獣マグニア。こいつは才人の来た地球でも、このハルケギニアにもいるはずのない異世界の怪獣であった。
生態は、自らを霧に変えて正体を隠す擬態能力。さらに自分自身である霧の中に踏み込んだ生物に、分身体である
寄生体を差し向けて取り付かせる。そして取り付かれたものは、意識を消されてマグニアの思うがままに操られるように
なってしまうのだ。
すでにマグニアはウェストウッド村の子供たちを襲い、尋ねてきたルイズたちを襲わせた。
しかし、寄生体を全滅させられた奴は、とうとう自ら実力行使に出てきた。
子供たちの遊び場の森を踏み荒らし、実りかけていた果実をつぶしてマグニアはエースに迫る。
その暴虐を空の上のシルフィードが見下ろして、アイは叫んだ。平穏な生活を崩され、友達を奪われた少女の怒りの
叫びが森にこだまする。
「エース! そんな怪獣、やっつけてーっ!」
「シュワッ!」
彼女の怒りを力に変えて、エースは強くこぶしを握り締める。
ウェストウッド村の子供たちは、皆家族を戦争などで奪われた孤児たちだ。普段は明るく振舞っていても、その心には
消すことのできない深い傷が刻まれている。もう誰の心にも、そんな傷を新たにつけてはいけないのだ。
村の平和は必ず取り戻してみせると、エースの中で才人とルイズも決意を固める。
しかし、熱く燃える闘志とは裏腹に、才人は心の中で見たこともない怪獣を興味深げに見ていた。
”怪獣には時々プリズ魔みたいに変なやつがいるけど、こいつはシュガロンを百倍気色悪くしたような感じだな。しかし……
まるで地球で見たこともないような、こんな怪獣もいるのか。おもしろいな”
こんな状況にも関わらず、怪獣の観察に余念がないのはなかば本能のようなものであろうか。とはいえ、才人の根っからの
ウルトラマンと怪獣好きの知識が、これまでに何度もピンチを救ってきたのも事実だ。才人はたまに、もしもウルトラマンも怪獣も
いない世界に生まれたときの自分を想像するけど、今の自分を悪いとは思わない。数多くの異世界があることがわかったのだ。
その中には、まったく違う地球で、まったく違う人生を送っている平賀才人もいるかもしれない。でも、この平賀才人は自分だけ
なのである。第一、この知識があるからCREW GUYSの特別隊員と認められたのだ。地球とハルケギニアを自由に往復できる
かもしれない資格に近づける知識、あって悪いわけはない。
そして、じっと怪獣を観察した才人は、自分の知識と照らし合わせて、こいつが非常に危険な怪獣であると結論づけた。
〔強いて言えば、見た目とか分身を飛ばして人間を襲うところが、こぶ怪獣オコリンボールに似てるな。血を吸うんじゃなくて、
人間に寄生して操るところは違うが、どっちにしろこいつをほっておくと大変なことになるぜ〕
才人とルイズは、この怪獣が人里に下りたときの惨事を想像して背筋を寒くした。単に暴れるだけの怪獣なら逃げればいい。
本当に恐ろしいのは、人間を直接のターゲットにしてくる怪獣たちだ。
今言ったオコリンボールは大群で人間を襲って吸血し、多数の犠牲者を出した。また、サドラがボガールに誘い出されて
群れで山から下りてきたときには、市街地で何人もが捕食されてしまっている。吸血怪獣や、人間を食料と考えている
怪獣は絶対に人里に下ろしてはいけないのだ。
〔子供たちをひどいめにあわせた落とし前は、つけさせてもらうぜ!〕
少々かっこうをつけた言い回しで、才人は叫んだ。辺境で、ただ平和に暮らしていただけのティファニアと子供たちを、
こんな醜悪な怪物のエサになどされてたまるものか。
「シャッ!」
突進してくるマグニアの頭上へと、エースは跳んだ。エースの跳躍能力は一足九百メートル、太陽を背にして急降下しながら
スピンキックを放った。
「ヘヤッ!」
マグニアの頭部を削り、ダイヤモンドよりも固いエースのかかとが体にめり込む。エース先制の十八番攻撃の炸裂に、
巨体が揺らいで前のめりにふらつく。が、奴の体を形成している球体は、サッカーボールのような頑強さと柔軟さを併せ持ち、
スピンキックの威力を吸収してしまった。
〔やっぱ、この程度の攻撃で怪獣を倒せはしないよな〕
すぐに姿勢を立て直し、反転してくるマグニアにエースは対峙する。エースキックが腹を打って突進を押しとどめ、水平チョップで
首筋を打ちのめす。
「ヘッ!」「テヤァ!」
怒涛の連続技の炸裂。キックやチョップにとどまらず、攻撃の激しさならば兄弟の中でもエースはトップクラスだ。
しかし、マグニアは強固な体格でエースの攻撃を耐え切ると、思いも寄らぬ反撃に出た。エースのキックを両腕で受け止めると、
すくい上げるようにして投げ飛ばし、姿勢が崩れたところにパンチや体当たりを素早く浴びせてくる。
〔この怪獣、速いわ。エース、気をつけて!〕
ルイズは、思いも寄らない怪獣の素早さに、まるでトロル鬼がコボルドの素早さを身につけたようだと思った。前傾姿勢と
長い尾を持つ恐竜・ドラゴン型の体格をしているくせに、動きはまるで武道家のようだ。ルイズの表現はいささか過大に過ぎても、
標準からすれば充分に速い。
「デヤッ!?」
攻撃を受け損なったエースの肩にマグニアの腕が激しく当たった。エースに匹敵するほどでないにしても、見た目からの先入観で
実際の速さを錯覚してしまったのである。たとえるなら相撲取りが空手家のように攻めてきたようなものだ。ウルトラマンといえども、
心の中の常識という敵にはしばしばやられてしまうのだ。
〔手ごわいな、あなどれない怪獣だ〕
〔宇宙怪獣は奇怪な能力持ったやつが多いですからね。こいつは肉弾戦が得意ってわけか〕
才人は頭の中で、格闘戦に秀でた怪獣のことを思い出していた。何百という怪獣の中には、人間のような俊敏な動作のできるものもいる。
ウルトラマンレオの戦った蠍怪獣アンタレスは宇宙拳法を会得していたし、ウルトラマン80と戦ったマグマ怪獣ゴラは宇宙戦士の異名を持ち、
兄弟随一の身軽さを持つ80と互角の格闘戦を演じている。
人は見かけによらないというが、怪獣にも見かけによらないやつがいる。
だが、このくらいの敵ならば過去の戦いにいくらでもあった。また、光の国で兄弟たちと何百回と繰り返した組み手の激しさは、
下手な実戦を軽く超えるほどである。なかでも、セブンとの訓練は特に容赦がなく、何度ウルトラ念力で投げ飛ばされ、アイスラッガーで
切られかけたか知れない。
「我々宇宙警備隊員は広大な宇宙の平和を守るため、ほとんどの場合を一人で戦い続けなければならん。だが、その孤独に耐えるのは
大変なことだ。ならば、いかなる敵にも屈せぬように自らを鍛えて鍛えて鍛えぬくのだ!」
自他共に厳しいセブンの叱咤は、今でも耳の奥に深く根付いている。それを思い出せば、警戒しても恐れる理由にはならない。
「デヤッ!」
さあこい、勝負はこれからだ。エースはマグニアと、さらに激しい攻防を繰り広げる。
一方、戦いを空の上からずっと見守っていたキュルケとタバサも、動き始めようとしていた。
「怪獣はエースにまかせておいて大丈夫そうね。じゃあわたしたちは、あいつが現れたっていう空から落ちてきた石を調べましょう」
「……アイ、案内お願い」
「うん、あっちだよ!」
シルフィードは翼を翻し、エースの戦いを後ろに飛び去っていく。
目的の隕石は、ウェストウッド村からわずか一リーグほどしか離れていない森の中に落ちていた。
「あれね」
「うん、間違いない」
森の木々をなぎ倒してできた、直径三十メイルほどのクレーターに隕石は半分埋まっていた。大きさは、目測で二十メイル強。
しかし表面は岩ではなく、マグニアと同じ白色の球体が寄せ集まってできた気味の悪い外見をしている。キュルケとタバサは、
これが怪獣の卵あるいは乗り物であろうと判断した。
高度を落としてみると、隕石の周りにはあの寄生体がうじゃうじゃ飛び回っている。霧がなくなったことではっきりわかるが、
数は百を下るまい。あまり高くまでは飛べないようでシルフィードを襲ってはこないけれど、これではうかつに近寄れない。
「あの気色悪いのをほっとくと後々面倒ね。タバサ、今度はわたしもやるから、一気にふっとばしましょう」
無言でうなずいたタバサとともに、キュルケは呪文を唱え始めた。タバサが唱えているのは先程と同じ『アイス・ストーム』、
これに彼女に匹敵するトライアングルメイジであるキュルケの魔法が加われば、その威力は先の比ではなく増大するだろう。
だが、魔法を放とうとした瞬間、固唾を呑んで見守っていたアイが地上を指差して叫んだ。
「おねえちゃんたち待って! あそこ、エマやサマンサたち、みんながいる!」
「えっ!?」
驚いた二人は、振り下ろしかけていた杖をぎりぎりのところで引き戻した。よく見ると、クレーターのふちにウェストウッド村の
子供たちが集められているではないか。
「なんてこと! これじゃ攻撃できないじゃないのよ」
もしさっき魔法を放っていたら、間違いなく彼らも巻き添えにしてしまっていた。そうなっていたときのことを思うとぞっとするのを抑え、
様子を見ると、全員さっき見たとおりに操られたままで立ち尽くしている。しかし、うかつに近寄ったら返り討ちにされてしまう危険が
大きいために、簡単に助けにはいけなかった。
「おねえちゃん、みんなを助けて!」
「うーん、そうは言ってもね。タバサ、なんかいい手はない?」
「人質にとられてるも同然だから、下手に手を出さないほうがいい。もう少し、様子を……」
「おねえちゃん、みんなが!」
「どうしたの……なにあれ!?」
タバサとキュルケは子供たちを見て愕然とした。寄生体に取り付かれた子供たちから、白いもやのようなものが抜け出して
隕石に吸い込まれていくではないか。しかも、その奇怪なもやが抜け出された子供たちは、糸の切れたマリオネットのように
次々と倒れていく。
「もしかして……命を吸い取ってるの?」
先日、ゾンバイユによって仮死状態にされた人々を見てきたキュルケは、この寄生体もあの怪獣と似た特質を持っているのではないかと
推測して、それは見事に的中していた。寄生体は取り付いた子供たちから生命エネルギーを吸収し、それを隕石へと次々と供給していたのだ。
さらに、隕石から吸収した生命エネルギーがどこかへ向けて放出されはじめたのを見て、タバサはシルフィードの高度を上げさせた。
見通しのよくなったところで、その行く先を確認すると、生命エネルギーは案の定怪獣に向かっていくではないか。
そのころ、ウルトラマンAはマグニアを相手に優勢に戦いを進めていた。だが、隕石から放出された生命エネルギーがマグニアの体に
吸い込まれると、追い込まれていたマグニアは一転して反撃に出てきた。
「ヌワアッ!」
エースは、マグニアの放ったパンチの一発を受けてのけぞった。
(なんだこいつ、急にパワーアップしやがったぞ!?)
才人は、いきなり攻撃力を上げたマグニアの一撃に驚愕の叫びをあげた。さっきまで、この怪獣はエースの攻撃を受けてフラフラに
なっていたというのに、まるでそんなふうを感じさせない反撃をしてきた。おかしい、手ごたえはあったから確実にダメージは与えられて
いたはずだ。にもかかわらず、まるでそれをリセットしたかのようにやつは反撃してきた。死に際の一撃とかいうのではない証拠に、
やつはさらに腕を振り上げて襲ってくる。
(ぬっ! どうなっているんだ)
振り下ろされてきた腕を受け止め、蹴り上げてきた足をさばきながらエースは思った。やはり、攻撃の威力がまったく違う。
エースも、突然元気になった怪獣に違和感を覚えていた。もう少しでとどめを刺しきれる状態だったのに、この不自然な回復ぶり
はなんだ? 一瞬、アボラスやバニラのように無限の体力を持っているのではと思ったけれど、途中まで弱らせられていたのだから
その線は薄い。いや、こんな状況の戦いを、前にもしたことがあるような気がする。
激しく攻めてくる怪獣の攻撃をさばきつつ、エースは既視感の正体をさぐった。そして、怪獣の体にどこからか飛んできたエネルギーが
流れ込んでいくのを見ると、かつてのヤプールとの戦いのひとつを思い出した。
(あれは……そうか、そういうことだったのか!)
(えっ? 北斗さん、いったいどういうことですか)
(やつは外部からエネルギー補給を受けているんだ。君も聞いたことがないか? 超獣ブラックサタンと同じだ)
(あっ! そ、そうか)
才人も、その超獣の名前を聞くことで、マグニアの突然の回復の理由に思い当たった。
暗黒超獣ブラックサタン……かつて異次元人ヤプールが、配下である宇宙仮面を通じて送り込んできた超獣である。
その実力は高く、両手からのミサイル弾に単眼からの破壊光線、尻尾の先からの大型ミサイルなどの多彩な武器によってエースを苦しめた。
しかし、本当に脅威だったのはブラックサタン本体ではなく操っている宇宙仮面であった。
一度エースに倒されたブラックサタンにエネルギーを与えて回復させ、消耗したエースを再度襲わせたのだ。
今の状況はそのときとよく似ている。もし、やつが外部からエネルギーを与えられ続けているとしたら、いくら攻めても倒せないということになってしまう。
(なんてことよ! それじゃ時間制限があるこっちが圧倒的に不利じゃない。サイト、どうしたらいいのよ)
(やつにエネルギーを与えてる、なにかを破壊できればいいんだけど)
苦渋を噛みながら才人が言った解決方法は、実際には怪獣の猛攻を食い止めながらではかなり難しそうである。
そのとき、空の上からキュルケの声が響いてきた。
「エース! そいつは空から落ちてきた岩から、子供たちの命を吸い取ってるのよ!」
(なんだって、やはりそうだったか!)
予想は当たっていた。このままではやつには勝てない。しかし、怪獣と戦うので手一杯のエースはテレパシーを使ってキュルケと
タバサに要請した。
(なんとかして、その岩を破壊してくれ。そうしなければ、こいつは倒せない)
「えっ、今の声って……」
「ウルトラマンが、わたしたちの心に呼びかけてきた」
「す、すごいわね。そんなこともできるんだ……と、ともかくわかったわ。まかせて!」
キュルケとタバサは、心に直接呼びかけてきたエースの声に困惑しつつも、再び隕石へと向かった。
隕石では、マグニアに供給するために、とめどなくエネルギーが放出されている。子供たちも、それに合わせて生命エネルギーを
吸われ続けており、未熟な子供の生命力の限度などはたかが知れている。さっき見たときよりはるかに衰弱している様子に、
さしものタバサも焦った声をだした。
「いけない! このまま命を吸われ続けたら、みんなすぐに死んでしまう」
「なんですって! ええもう、なりふりをかまってる場合じゃないみたいね!」
事態が最悪になりかけていることを悟った二人は、寄生体の群れに飛び込むことを覚悟で子供たちを助けに向かった。
高度を下げると、当たり前に寄生体はいっせいに襲い掛かってくる。こいつらに食いつかれたら、意識を消されて怪獣のエサへと
直行させられる。二人は魔法で弾幕をはって、全力で振り払う。
「このこの! もてるのはけっこうだけど、こういうのは勘弁してもらいたいものね」
「邪魔……するな」
妨害を蹴散らして、二人は子供たちの元に降り立った。シルフィードは取り付かれないように、頭を翼で覆ってうずくまる。
しかし、彼らを助け出そうとしたとたん、子供たちはまたキュルケとタバサに襲い掛かってきた。
「しまった。まだ動けるだけの力があったの」
子供たちは、すでに身動きする力は残っていないだろうと思っていたキュルケとタバサは完全にふいをつかれた。
いくら子供とはいえ、数人がかりで飛び掛れば大人を押さえつけることもできる。魔法を使えなくてはタバサもキュルケも
普通の女の子に過ぎない。力ずくで振りほどくことはできず、かといって弱っている子供たちに魔法をぶっつけては、それだけで
殺してしまうかもしれない。
「やめて、離しなさい! タバサ、魔法でこの子たちの動きを止められない?」
「だめ! この子たちは人質として価値があるから生かされてるようなもの。使えなくなったら、即座に残った生命力も吸い尽くされる」
「なんですって!? 卑怯な……でもだったら、どうすればいいの!?」
子供たちを助けるどころか、このままでは逆に子供たちにやられてしまう。そして身動きを封じられたが最後、頭の上でチャンスが
来るのをいまかいまかと待っている寄生体に取り付かれて、枯れはてるまで命を吸われてしまうだろう。
だめだ、やっぱり子供たちを傷つけることはできない。絶体絶命のピンチに、タバサは危険を承知で『蜘蛛の糸』で子供たちを
縛り上げようとした、そのときだった。シルフィードの影に隠れていたアイが飛び出して、キュルケを襲っていたエマたちに飛び掛ったのだ。
「みんなやめてよ! 目を覚まして」
「アイちゃん!? だめよ逃げなさい! みんなは操られてるの、あなたもやられるわ」
「や! エマもサマンサも、みんなみんなアイの家族だもの! 今度は絶対わたしが助けるんだもの」
「アイちゃん……」
キュルケは、必死な様相のアイに、以前にミラクル星人を助けてくれと裸足で駆け込んできたときの彼女を思い出した。あのときも、
今も彼女は目の前で大切な人を失おうとしている。失う悲しみを知っているからこそ、自分を受け入れて愛してくれたこの村の皆を
同じように愛しているからこそ、無茶と知りつつ黙ってはいられないのだ。
アイはキュルケの右腕に取り付いていたサマンサを押し倒すと、必死に呼びかける。
「ねえサマンサ! わたしがわかんないの! ねえ」
血を吐くような叫びも、首筋から脳を完全に支配している寄生体のコントロールを解くことはできなかった。サマンサは、胸の上に
のしかかって叫び続けているアイの首に手を伸ばして、加減なく締め上げた。
「か、や、やめ、て」
「アイちゃん!」
子供の握力というものは実はかなり強い。やせっぽちの子供でも、鉄棒で自分の体重を支えるくらいのことは大抵ができる。
ましてや自然児のウェストウッドの子供たちとなればなおさらで、首の骨をへし折るくらいのことはできてしまう。
キュルケとタバサはアイを助けたくても、自分たちが寄生体に取り付かれないようにするだけでやっとだ。窒息させられるのが
早いか、首の骨を折られるのが早いか、だがどうすることもできない。
しかし、苦しみと悲しみの中でアイが流した一滴の涙が寄生体にこぼれ落ちた瞬間だった。ブクブクと不気味にうごめいていた
寄生体が涙の触れた部分から急速にしぼみ、サマンサの首筋から剥がれ落ちると、針を刺された風船のように小さくつぶれてしまった。
「あ、あれ。あたし?」
「サマンサ! 気がついたのね!」
寄生体がはがれたサマンサは正気を取り戻した。慌ててアイの首から手を離し、訳がわからないまま抱きついてきたアイに
目を白黒させる。そして、今の光景を見逃していなかったキュルケとタバサは、寄生体の弱点を見抜いた。
「タバサ、水よ! こいつらは水に弱いんだわ!」
すでに呪文を唱え始めていたタバサの頭上に、大きな水の塊ができていく。空気中の水分を水に戻すのは水系統の基本中の
基本である。タバサの一番の得意は風の系統だけれど、氷の矢を加工するのに比べれば、水を集めるだけなど簡単なものだ。
作り出した水球を頭上で破裂させたタバサとキュルケ、それと彼女たちに張り付いていた子供たちにどっと水が振りそそぐ。
すると思ったとおり、子供たちに取り付いていた寄生体はすべて塩をかけられたナメクジ同然に溶けてつぶれ、全員が正気に戻った。
「あれ? おれたち」
「はっくしょん! へぅ……タバサおねえちゃん?」
子供たちはずぶ濡れで、なにが起こったのかさっぱりわからないという様子だが、幸いにして命に別状ある者はいないようだ。
タバサはシルフィードを呼んで子供たちを守らせる。キュルケはこの最大の功労者の頭を、少々乱暴になであげた。
「アイちゃんやったわね! 大手柄じゃないの」
「あわわ! いたた、痛いよおねえちゃん」
力を入れすぎて髪がぐしゃぐしゃになっているけど、アイはそんなことはかまわずに泣きながら笑っていた。偶然とはいえ、
アイの行動がなければ寄生体の弱点を知ることはできなかった。いや、絶対に家族を失いたくないというアイの強い思いが、
奇跡を呼び起こしたのに違いない。その奇跡を、無駄にしてはならなかった。
「よっし、あとは周りの雑魚とでかいのだけね。タバサ、そろそろ精神力全部使い切るつもりで派手にいきましょうか!」
タバサがこくりとうなづくと、二人は背をつき合わせて呪文を唱え始めた。同時に子供たちに、シルフィードの翼の下に隠れて
動かないようにとも言い含める。
残る寄生体はざっと五十体、それらがいっせいに襲い掛かってくるのは身の毛もよだつ光景だ。
しかし、すでに勝利を確信している二人には恐れはない。戦乙女の歌声のように呪文のデュエットをかなで、掲げた杖を
指揮棒のように振って、無粋な観客のアンコールに応える。
タバサが生み出した水の球は、今度は直径十メートルほどもある巨大なものだ。それを空中高く打ち上げると、次にキュルケが
水球に向かって小さな火の玉を投げつけた。
「まさかわたしがルイズの真似をすることになるとは夢にも思わなかったわ。でも、どうせやるならきらびやかなほうがいいものね。
さっ、はじけなさい。ボンッ!」
キュルケが優美に手を上げて、指を鳴らした瞬間、水球が爆発した。一トン以上はある水量がぶちまけられ、寄生体は一匹残らず
水を浴びせられてつぶれて落ちる。醜い風船の群れが全滅した後に残ったのは、優雅にポーズを決める二人の女神だけだった。
「さっすがタバサ、言わなくてもちょうどいい大きさの水球を作ってくれたわね」
「キュルケこそ、炎を操る腕前が上がってる。火球を水球の中心に打ち込んで、水蒸気爆発で吹き飛ばせる加減ができるのは
あなたくらいのもの。下手な使い手では、水球を蒸発させて台無しにしてしまう」
「あらあら、タバサにほめられるとその気になっちゃうわね。じゃ、時間もないことだし最後の仕上げをしちゃおうか」
二人はうなづきあうと、杖をクレーターに埋まっている隕石に向けた。だが、相手はマグニアと同じ外見をした巨大な隕石である。
もろい寄生体と違って簡単にはいかないはずだ。さっきキュルケが言ったように、精神力全部を使い切る覚悟が必要だろう。
数万トンはある巨岩を、二人の力だけで破壊するにはどうすればよいか。
「危ないものは、燃やしてしまうのが一番ってことよね」
タバサは風の魔法で周辺の木を切り倒してくると、それを隕石の上に乗せた。さらに、その木に『錬金』の魔法をかけて油に
変えてしまう。土系統のメイジではない二人は、『錬金』はさほど強力ではないけれど、樹木には元々油が大量に含まれているため
変質させることは比較的簡単だ。
やがて、『錬金』を使うための精神力もなくなり、クレーターの中の隕石がひたるほどに油がたまった。
そして、子供たちを安全な場所まで避難させたのを確認すると、キュルケは軽く杖を振って『発火』の呪文を唱えた。
「ひゅう……」
軽く口笛を吹いたキュルケと、手で顔を覆ったタバサの前で恐るべき光景が広がった。巨大なクレーターは一瞬にして
活火山の噴火口と化し、天まで届く業火を巻き上げる。炎系統の使い手であるキュルケでさえ、ここまでの炎は生まれてから
一度も見たことはなかった。
恐らく内部は数千度の超高温に達していることだろう。炎は燃えることによって自らの熱量をさらに高め、許される限りの
限界をめざして急上昇していく。隕石は、頑強な表皮でその高温に耐えようとしていたが、最後には耐性の限界を超えて、内部に
詰まっていたエネルギーごと自爆した。
「やった! 木っ端微塵よ」
「これで、もう怪獣は力を回復することはできない」
キュルケとタバサは、降りかかってくる火の粉を払いながら手を組んだ。
そう、もはや無限のエネルギーを誇っていたマグニアの補給は完全に絶たれた。
いくら攻撃を受けてもこたえなかったマグニアが急にぐったりとなり、攻撃に耐え続けてきたウルトラマンAは反撃に打って出る。
(やってくれたか二人とも。ようし、今がチャンスだ!)
このときのためにエネルギーを節約して戦っていたエースには、まだ余力が充分にあった。懐に飛び込んでのストレートパンチが
マグニアの腹にめり込み、思わず身を縮めたマグニアの頭にひざ打ちを当てる。いずれも手ごたえ充分、頑強だったマグニアの
体表も打って変わってやわらかく感じられるようになり、面白いように攻撃が効きだした。
「ヘヤッ!」
水平チョップがきれいにきまり、続いて腹の下からかちあげるように放ったアッパーがマグニアの首を打つ。
むろん、マグニアも危機を感じて防戦につとめてくる。しかし、その動きは油の切れた歯車のように鈍く、エースの動体視力と
反射神経をもってすればかわすのは容易だった。そうなると、これまでずっと受身で痛みに耐え続けてきた分、ルイズや才人も
調子に乗ってきた。
(いけるわよ! よーっし、さっきまでのお礼は存分にしてあげるわよ。覚悟なさいダンゴ虫のお化け!)
(おーこわ、ルイズを怒らせると怪獣でも容赦ないな)
昔から怖いもの知らずではあるけれど、ルイズの無鉄砲さは悪いことばかりではない。ちょっとやそっとのことでは心が折れないので、
はるかに強力な敵が相手でも戦意を保ち、周りを鼓舞できる。仲間がうまくサポートすれば、ムードメーカーとして中核になれる素質を
持っている。そこはさすが『烈風』に育てられたというべきか。
ルイズの有り余る戦意に後押しされて、エースもさらに攻勢を強める。マグニアの肩を掴むと、後ろに倒れこみながら、その勢いで
巴投げに似た大技を打ち込んだ。
「テェーイ!」
宙を舞い、引力に引き戻されて地面に叩きつけられたマグニアが高々と土煙をあげる。
本来、奴は霧で姿を隠して周辺の生き物を寄生体で操り、必要な生命力を集めて隕石に蓄積する。そしていざ外敵がやってきたときは、
溜め込んだ生命力を使って敵を倒すのが戦術だったのだろう。だが、生命力の補給を絶たれると、それに頼り切っている分もろかった。
フラフラになりながらも起き上がり、金切り声を上げて、口から白煙とともに雷状の光線を撃ってくる。それも、今となっては見切るのは
たやすい。エースは体の前で両腕をクロスさせて光線を迎え撃った。
『エースバリヤー!』
マグニアの光線は、すべてエースのバリヤーにはじき返されてエースにダメージはない。反面、マグニアは今の光線で残っていた
エネルギーをほとんど使い切ってしまったらしく、続いて攻撃をしてくる気配はない。
決めるならば今だ! 才人とルイズが、舞い戻ってきたキュルケとタバサが、駆けつけてきた子供たちがいっせいに叫ぶ。
「いっけぇぇーっ!」
願いはひとつ、勝利のみ。期待に応え、エースは「ムゥン!」と気合を溜めると両腕を胸の前で交差させ、続いて突き出した両手の
あいだから星型のエネルギー手裏剣を連続発射した。
『スター光線!』
星型手裏剣に命中されたマグニアの体がフラッシュのようにきらめき、感電したように震えて動きが止まる。この光線は威力は小さい
けれども、敵の体にショックを与えて動きを封じる、いわばつなぎ技だ。そして今度こそ、完全に動きの止まったマグニアにエースの
大技が炸裂する。
両腕をクロスさせてエネルギーを溜め、一気に上下に開いたエースの両手のあいだから、巨大な三日月のカッターが放たれた!
『バーチカルギロチン!』
宇宙のあらゆる刃より鋭い白刃がマグニアをすり抜けたとき、次の瞬間巨体は左右に切り分けられて崩れ落ちた。
いくら生命エネルギーを吸収する限り、無敵に近い力を発揮できる怪獣といえども、こうなってしまってはどうにもならない。
切り裂かれた半身は、わずかに抵抗しようとするように腕を上げようとして力尽きた。
「エースが勝った! ばんざーい、ばんざーい!」
子供たちから、勝利を祝福するシンプルだが温かいエールが送られる。
人間の生命エネルギーを狙ってやってきた宇宙怪獣は、その目的を果たすことなくあえない最期をとげたのであった。
マグニアが完全に絶命したことを確認したエースは、ゆっくりとうなづくと空を見上げる。マグニアの張った霧が消滅し、本来の
気候に戻ったウェストウッド村の空は美しく、エースは子供たちの声援を背に受けて飛び立った。
「ショワッチ!」
あっというまに雲のかなたにエースは見えなくなっていく。子供たちはその後姿に向けて、ずっと手を振っていた。
平和が戻ったウェストウッド村、幸い建物の損壊はなく、子供たちの健康状態も心配したほどではなかった。
だが、戦闘の興奮と勝利の美酒に酔いしれて、彼らは重大なことを忘れていた。それを思い出させたのは、少年の一人のジムが
ふと尋ねた一言。疲労がひどかった子供たちを休ませて、ようやくひとごこちつこうとしたときになってからだった。
「ねえ、テファおねえちゃんはどこにいるの?」
はっとして、一同はティファニアがどこにもいないことにようやく気がついた。そういえば、戦っている最中も一切見かけていない。
まさか、すでにあの怪獣の餌食になってしまったのではと、才人が不吉なことを口にしてルイズに殴られた。
「バカ! 縁起でもないこと言うんじゃないわよ。あの子がそう簡単にやられるわけないじゃないの」
「あいてて、悪い口がすべった」
「ともかく探しましょう。日が暮れたらやっかいよ、タバサ、あなたたちは空からお願い!」
ティファニアも、おそらくはあの寄生体にやられたであろうから、霧の張っていた範囲のどこかにいるはずだ。怪獣は倒れ、
きっと寄生体からは解放されているだろうけど、衰弱していて動けないなら助けにいかなくては。ところが、ルイズが人一倍
よく通る声で言ったというのに、タバサはじっとうつむいたままで答えようとしなかった。
「……」
「タバサ? どうかしたの」
「……なんでもない、シルフィードで探してくる」
なぜか妙に元気のない様子のタバサに、ルイズは怪訝な顔をした。疲れているのか? まあ元々表情からあまり心中を
うかがえない子だし、あんな大魔法を使った後だから仕方ないかもしれない。
タバサはキュルケとともに、シルフィードに乗って森の空に飛び立っていった。残ったものたちは、空からは見えない場所を
手分けして探し始める。才人とルイズはもちろん、子供たちも動ける気力があるものはほうぼうに散っていった。
「ティファニアー!」
「テファねえちゃーん」
もしかしたら、どこかに倒れているのではないか? 近場は畑のみぞから、クレーターのはしまであらゆる場所を探しつくした。
しかし、日が暮れるまで探し回ってもティファニアの姿はどこにもなかった。結局、すべて無駄骨に終わった一行がティファニアの家に
戻ってきたとき、怪獣と戦った後よりも憔悴していた。
「これだけ探しても見つからないなんて……」
疲れ果てた様子で才人が壁に背を預けてつぶやいた。ほかの面々も多かれ少なかれそんな顔をしている。だが、ティファニアが
いなくなったことで一番ショックを受けているのは子供たちだ。実の母親にも等しい彼女がいなくなった彼らのことを考えれば、
無責任なことを言うわけにはいかなかった。
「ねえおにいちゃん、テファおねえちゃんは?」
「心配するな、おれたちが必ず見つけてきてやる。ちょっと休んだら、また探しに行ってくるからお前たちは休んでろ」
ウルトラマンの小説書きたいなら特撮板かにじファン行けよ
ゼロ魔馬鹿にすんな
支援
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
才人も小さいころ、両親の帰りがたまたま遅かったときに、一人で家にいて不安な思いをしたことがあるから子供たちの気持ちは
よくわかる。才人もまだ大人の庇護が必要な年齢だけど、より年長のものは年下に対して責任を負わなければいけないことに変わりはない。
しかし、村の近隣は草の根わけて探しつくしたのに、手がかり一つつかめなかったことに、ルイズはすでに楽観できなくなっていた。
「ここまで探したのに見つからないなんて、もうテファは村の外にいると考えるしかないんじゃない?」
「外って……でも、あの気色悪い風船に取り付かれてるあいだは霧から離れられないし、テファはこのへんの地理には精通してる
から外に出ることはないだろう」
才人たちは、ティファニアが世間から身を隠さなければならない立場だということを知っている。ティファニア自身も、おっとりと
しているように見えて聡明な子であるから、間違っても一人で村の外に出て行ったりはしないはずだ。しかし、ルイズの頭の中には
最悪としか言いようのない答えが、もはや確立しつつあった。
「ええ、テファは村から出たりはしないでしょう。でも、誰かに連れ出されたりしたら別よ」
「誰かって、このへんは元々人通りが少ないし、近頃は野盗もほとんど出なくなったってスカボローで聞いたろ……って、おいまさか!」
才人の顔から血の気が引き、ルイズはそれを肯定するかのようにうなづく。
「そのまさかよ。考えてみたら、わたしたちが来るのに合わせたような怪獣の出現。しかも霧でまわりを隠したり、子供たちを
操ったりと、まるで時間を稼いでいたみたいじゃない。こんな真似ができるのは……」
「ってことは、まさかあの怪獣は最初から囮だったっていうのか!」
愕然とする才人。キュルケも口元を押さえて、まさかとつぶやく。
だが、彼らがその答えにたどり着くのを見計らっていたように、森の闇の奥から愉快そうな女の声が響いてきたのだ。
「あっはっはっはっ! 今ごろ気がついてももう遅いよ」
「シェフィールド!」
抜刀し、杖を抜いた先に黒いローブの人影が現れた。全身を覆い、顔は見えなくても声には確かな聞き覚えがある。間違いなく、
あのときの蝶のガーゴイルから聞こえてきた、シェフィールドの声だ。
「シェフィールド、てめえがテファをさらったのか!?」
「ふふふ、お馬鹿なぼうやだねえ。ほかに誰がいるというのさ。そうよ、あなたたちの大事なお友達は、わたしが預かってるわ。
二人目の虚無の担い手……随分とかわいいお嬢ちゃんだったのね」
その瞬間、才人たちの血液が煮えたぎったように熱くなった。
「てめえ! テファを返しやがれ!」
「やれやれ、本当にお馬鹿な子ねえ。せっかくさらったものを、わかりましたと返すやつがどこにいるの? 少しは考えてものを言いなさい」
怒りを軽くあしらわれ、才人の顔がさらに赤くなる。
けれど、純粋に怒る才人と違って、ルイズはよりいっそうの危険をシェフィールドの言葉から察していた。
”こいつ、わたしたちがテファに会いに来るってことも、テファが虚無の担い手だってことも知っている。でもいったいどうやって?”
完全に先を越され、こうしておそらくは分身で勝利宣言までしてくるということは、こっちの情報が漏れていたということになる。しかし、
虚無に関することは盗み聞きされないよう注意していたし、ティファニアがウェストウッド村に住んでいるということを知らなくては
先回りはできないはずなのに。
「サイト待って、わざわざさらったってことはテファを殺す気はないってことよ。あんた、いったいどうやってテファのことを知ったのよ?」
「ふふ、我が主はすべてを見通しているだけのことよ」
「しゃべる気はないってことね。なら、テファをさらってどうする気?」
「それは前にも言ったとおり、我が主に虚無の力を献上するの。記憶を操れる魔法、使い道はいくらでもあるわ。ただ、素直に言うことを
聞いてくれなかったら、お友達になってもらうために、ちょっと素直になれるお薬を飲んでもらったりするかもね」
その瞬間、才人の怒りは限界を超えた。
「こんのクソ野郎!」
渾身の力で、才人はデルフリンガーを投げた。
しかし、回転しながら飛んだデルフリンガーはシェフィールドをそのまま突きぬけ、後ろの木に虚しくめり込んだ。
「幻影か……」
「おっほっほっほ、怖い怖い。それじゃあそろそろお別れさせてもらうことにしましょうか。次に会うときには、かわいいかわいい
お人形さんをお土産にしてあげるわ。ハーフエルフのお人形なんて、珍しいからきっと気に入ってくれるわよねえ」
「てめえ!」
シェフィールドの笑い声はだんだん細くなり、黒いローブの幻影も消えていく。
才人たちは歯噛みをし、見送ることしかできない。
闇に閉ざされた森に、子供たちの「おねえちゃんを返せ」という泣き声が、悲しく響き続けていた。
続く
NGで見えないがウル魔来てるのか
信者はスレ違いのウルトラマン話は避難所でやれよ
291 :
代理の代理:2011/04/24(日) 16:16:58.85 ID:U322kycg
190 ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc [sage] 2011/04/24(日) 16:11:36 ID:1yrBA7dQ Be:
今週はここまでです。事前支援してくださった方々、ありがとうございました。
シェフィールドによるティファニア誘拐。アニメでは未遂に終わったこれを、この作中では成功したということにしました。
あちらでは漠然と「もう一人の虚無の担い手を出せ」と言ってましたけど、どこから情報得たんでしょうね?
虚無編に入ってからはシェフィールドが主な悪役を務めていますが、この人は悪役としては理想に近いので動かしやすいです。
特にクロムウェルを笑いながら処刑したシーンは忘れられず、私がシェフィールドを書く基本イメージになってます。
では、四月もありがとうございました。また来週。
-------
ID:JAtDgq/mの人がさる食らってたので代理の代理しました。
ウルトラ乙
まあ、作者に反省の色無く「心を癒してくれます」とか抜かしてる時点で
ただの荒らしと変わらん罠
少しくらいは申し訳ないと思わんのかね?
ウルトラさんと代理さんと代理さん乙
291
荒らしの相手するのも荒らしだよ。
相手しない。
アンチに対して反論書こうかと思ったけどどうせ言うだけ無駄だと思い至ったからやめた。
大体第一話ちゃんと読めばエースは自力でハルケギニアに来たわけじゃなくてちゃんと
才人と一緒にルイズに召喚されてるってわかるはずなんだけど。
だからといってゼロ魔と関係無い話をやっていいことにはならない
ウルトラの人、乙。
最近、悪口みたいな文字の羅列を吐き出すスクリプトの残骸がのたうち回っていますがお気になさらず。
だから原作逸脱しまくってる作品はウルトラだけじゃないだろうが・・・。
そんなに原作逸脱作品が気に喰わないならそれら全部に噛み付かなきゃフェアじゃないだろ?
どうせ気に入らない作品を追い出したがってるだけだから
言うだけ無駄なのはわかってるがこれだけは言わざるをえない。
当たり前だカス
提督追いだした糞共が何を偉そうに
そういえば、一時期
ウルトラの人の作品をひたすらコピペして貼るという荒しがいたな…
嫌いな作品にいちいちレスする物好きがいると聞いて
ウルトラはともかく、提督を支持してるやつってまだいたのね。
あれこそ作品だけじゃなく作者も腐った最低の見本だというのにさ。
外伝問題がなければ神扱いされて終わったものを・・・
ウル魔が嫌ならスルーすればいい
俺はそうした
・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
ウルトラはクロス物としては最高に好きなんだがな。
原作のキャラも立ってるし、ゼロ魔版ウルトラマンとして好きだ。
原作の話が好きな奴の気持ちも分かるが、俺は原作キャラが欠けることなく、追加されたキャラによってオリジナルの展開がされる方が好きだな。
原作の話を見たきゃ原作見ればいいだけだし。
そんなコトよりユーゼスの続きが見たいです…
ウルトラ乙!
いろいろ言いたいことはあるだろうけれど、2chのssスレの投稿作品についてで何でそこまで馬鹿がやれるんだよ
最初は比較的原作に沿った展開をし、
召喚されたキャラの影響によって徐々にルイズその他のキャラに変化が出始め、
状況も変わってゆき、
やがてはオリジナルの展開に発展していく……
みたいなのが個人的には好きだな
最初から逸脱しまくるのもあれだし、ずーっと原作なぞるだけってのもなんだし
遅レスだがBLAMEの人
さるさんくらったあとに何のリアクションもないと
その間に他の人が投下できないから
00分をまたぐように投下してさるさんを食らわないようにするか
代理スレをちゃんと利用するようにした方がいいよ
ウルトラの人、乙です。
代理の人、代理の代理の人も乙でした。
読んでやってるって奴らが多すぎ
ラスボスだった使い魔・・・か
開始当初は創世の芸術家(失笑)が出たばかりだったが
今じゃその続編まで出おった
そんな新たなラスボス連中が召喚されると・・・
ル=コボル
大統領
ガイオウ
オマケでドクター・シキ
ガイオウは未知の部分が多過ぎるので
めんどくさい女でも召喚したら・・・・・・めんどくささ同士がぶつかり合って対消滅起こしそうだ
というか、まともなコミュニケーションが出来そうなのがもう大統領とインペリウムの人(カルロスとシオニー)しかいねぇ
大統領? ラセツに謀殺されるの?
>>313 シキはギアスであぼーんだから召喚されるとしたらウィンターとしてかね
>>314 そっちかーいw
違いますよマクロス地球の統合政府大統領ですよぅ
CV速水のヒゲでも無いですよ
>>315 ウィンターのサーキットも消去したみたいなこと言ってたな
っていうか、考えてみれば召喚された瞬間に反応消失=破壊確認でシステムACEが崩壊して惑星エリアが滅ぶかもしれんね
ラスボスだった使い魔〜版権篇〜
シャア=アズナブル:ガンダールヴ
パプテマス=シロッコ:ミョズニトニルン
シャピロ=キーツ:ヴィンダールヴ
ドン・ザウサー:リーヴスラシル
ゴステロ:ガンダールヴ(補欠)
渚カヲル:ヴィンダールヴ(補欠)
宇宙怪獣(イレギュラー)
こいつらはわりとすんなり想像出来た
だが話がどう動くかは想像もできねぇ!!
というか、ゴステロなんかは呼んだ時点でもう終わりって気がしなくもねぇ
…げる
大統領?
……。
ガンダールブ:マイケル・ウイルソンjr
ヴィンダールヴ:ジャック・ライアン
ミュズニルトン:ジェームス・マーシャル
リーヴスラシル:ジョージ・W・ブッシュ
リッチャアアアアアアアアアド!!
大統領と聞いて、フォールアウト3のエデン大統領が浮かんだ
「ハロー、偉大なるハルケギニア。こちらエデン大統領。少し話を(ry」
大統領とか呼び出すならムダヅモからだろう。
呼び出された麻雀打ちと切磋琢磨し成長するルイズ
アンリエッタ「10万アーデルハイド……。ブリミルと同格の雀士になったというの……」
大統領ピアニィ陛下を呼び出すとか恐ろしいな!
ステラ陛下が全軍をもって攻めてくるぞ!
大統領と聞いたら、大人のみりきたっぷりなエスタ大統領でしょうがよー
シエスタ大統領かとおもったがな
シエスタ「前々からあんな豪華なお屋敷・・・
壊したらどんなに綺麗かと気になっていたんですよね。
お屋敷の貴族様には悪いですけど派手に壊してしまいましょう」
「Let's party!!」「何故なら私は、アメリカ合衆国大統領だからだ!」
大統領といえばドン・ガバチョでしょ
>>313 ガイオウを召喚したらハルケギニアの人間全て次元獣にされそうで怖いw
>>330 一応次元獣にするのは選んでるから実力者しかやられんだろw
自由と民主主義の守護者、合衆国大統領が王政を崩壊させた後
レコンキスタにも絶望して貴族から特権を実力をもって取り上げるのか
またメタメタにされるな
まさかこんな場所でスパロボのネタバレを見るとは思わなかった
マイケル・ウイルソンjrを呼び出そうものなら異世界に召喚されてまで副大統領とドンパチ内戦やって
その光景をわけのわからん理屈でハルケにやってきたピーターが例のヘリで中継しそうだ
「合衆国から逃亡した凶悪犯メタルウルフが今度は異世界を蹂躙しようとしています」
「我々はどこまでもメタルウルフを追い続けます」
「なぜなら、そう!ペンは剣よりも強し!です」
>>332 そりゃあ「Indian Removal Act」の国の長ですから。
大統領となると、
お待ち致しておりましたぞ、プレジデンテ!
とか言いだす秘書を召喚して、領地を運営することになるんだな。
なんだろう・・・・あのノリノリの秘書がなぜかおマチさんの代わりに
じじぃの秘書やっていそうなイメージがw
何だオールド・オスマンが島流しにされるのか?w
女好き特性がつくのは確実だなw
サガフロンティア1のメタルブラックて需要あります?
地の文も少なくて漫画みたいですが…
>>340 そんなに書きたきゃ、なんでも書けよ!
だが、フロ信者の自分としては…読みたい
サガフロは濃い面ばかりだから誰が呼ばれてもおもしろそうだ
個人的にはヒューズのクレイジー捜査日誌みたいなのが読みたい
>>340 大事なのは需要じゃなくて書きたいかどうかだ。
サガシリーズくらい有名ならマイナーキャラでも知ってる人はいっぱいいるから気にしないことだ。ロマサガ2の各年代キャラ全部とかはさすがに解らんけど
決戦で敗北してメタルアルカイザーの外装ぶっ壊れたメタルブラックなら理想郷にあったな
メタルブラックと聞くと、タイトーのシューティングが真っ先に脳裏にw
1面曲が大好きだ
一応このスレ的には重要な事な気がしたので転載
578 名前:(*゚Д゚)さん[sage] 投稿日:2011/04/23(土) 05:34:29.14 ID:LkRhzAAC
忍法帖の仕様が変わったようです。
忍法帖巻物 - いきいき Wiki
http://info.2ch.net/wiki/index.php?%C7%A6%CB%A1%C4%A1%B4%AC%CA%AA#v4c2a863 ・複数レスのメッセージ容量制限 其の壱
5分以内に20480バイト超の投稿→Lvが10低くなる
・複数レスのメッセージ容量制限 其の弐
5分以内に合計6144バイトを超えて投稿し、さらに384バイト以上の同一容量のレスを3回投稿→Lv1に戻る
レベルが低いと、1レスで書き込める容量が制限されます。
Lv=1 BBS_MESSAGE_COUNTで設定される値の0.2倍まで → 顔板の場合は819バイトまで
Lv=2〜3 BBS_MESSAGE_COUNTで設定される値の0.4倍まで → 顔板の場合は1639バイトまで
Lv=4〜5 BBS_MESSAGE_COUNTで設定される値の0.6倍まで → 顔板の場合は2458バイトまで
Lv=6〜7 BBS_MESSAGE_COUNTで設定される値の0.8倍まで → 顔板の場合は3278バイトまで
Lv=8以上 BBS_MESSAGE_COUNTで設定される値まで → 顔板の場合は4098バイトまで
★特に即死回避目的でAAを連投するときにはご注意ください。
★忍法帖はIPではなくCookieによって認識されていますので、繋ぎ変え等でIPを変えても回避は不可。
★連投した容量についてもCookieに記録されますので、投稿先の板やサーバーが違っても合算されます。
つまり5分過ぎるのを待っている間に他の板にAAを投稿したりしても引っ掛かかる可能性があります。
■■■連投によるレベル低下を回避するには■■■
・5分以内の投稿容量が合計で20480バイト(20キロバイト)までになるようにする。
(1レスの容量制限が4098バイトまでであるため、1分に1レス以内であれば「複数レスの容量制限其の壱」はほぼ回避できます)
・投稿前にエディタなどでAAの容量を確認しておき、同一容量の投稿が3回連続しないようにする。
転載元は
顔文字板雑談スレッド30
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/kao/1294153799/578 時々4096Byteイカなのに書けないってレスがあったけどこれが原因かな
向こうは4098Byte、ここは確か4096Byteだから数については若干違うだけのはず
デストロイアを召喚
350 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 17:42:21.90 ID:iIlmi751
>>345 それ自分です。理想郷で投稿してたんですが、助言をもらおうと2ちゃんのSS作家が集うスレという所で意見聞いたんですが文が下手と言われて…
351 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/25(月) 18:00:01.94 ID:vgXPPJxL
狼牙 war of genesis3
禁書XZERO 始まりの章 クロスオーバー
SSが見たい
>>350 その場にいたけど、あんたメンタル弱すぎ。
あげくに、こんなところで責任逃れですかい。
SSに限らず創作物なんてもんは、10人中6人の好評を得られたら良しとしないと。
それと、批判は対案を出しているもので、かつ自分のストーリーの展開とすり合わせ
可能なものを見る。
あるいは、共通して見られる批判は修正対象にする。
それ以外の罵詈雑言は、ノイズとして切り捨てるくらいでちょうどいい。
全部を気にしていたら、かけなくなるで。
つーか時々居るよね
10人中8〜9人の好評を得られたり
10人中とかそんな尺度のつもりで居たら100とか1000桁違いの支持を得られる人が居たりしてる
そんな普通じゃ無い人と自分が近い評価が得られると思って勝手に凹む人とかが
貶す言葉は割と書き込まれるが、好意的な意見は割と書き込みがなかったりもする
ジャンプのアンケじゃないけど、見えるものが全てな訳ではないよ
信者の過剰な擁護や批判意見の淘汰ほど見苦しいものは無いからな
どの作品かは言わないが
スレを荒らすやつが最悪なのは間違いない
そうだな、そういうことはどのスレでもあるさ。
でもそんなことはどうでもいいんだ
重要じゃない
落ち着け…こんな安っぽい挑発にうおおおおお!
うおおおお、俺はお前が好きだああああああああああああ
久美沙織も「野球のバッターだって10本に3本当たればいいバッターなんだから、
小説も10本に3本当たればいい」とか言ってたしな
手塚治虫もヒット作品は全体のごく一部だし
>>348 つまり2ちゃんを使い慣れてないと投稿量に制限がかかるということか
ドリフターズだってビートルズの前座からのし上がっていったんだ
と言うわけで落ち着きたまえ^^
>>364 いや、ビートルズの前座って時点で凄過ぎるぜ
「8時だヨ!全員集合」の彼らと「ビートルズの前座」の彼らは未だに結びつかないけど
ビートルズの前座って……確かあれ、どんどん時間削られ続けて、最終的に二分とか一分にされたとか加藤茶が昔どこかで語ってた気がするw
最近は漫画が長期化しているから、十年書いて漫画の作品数は長編二本だけとかいう人もいて、それ二つとも当ててるなんて人もいるだろう。
ここらの勝率はわりとあてになんない。
SSのまとめとかもそうだけど、ここのは自分的に六割以上が読めるので、ドカベン並みに凄いと思う。
(作中の山田の打率は高校時代で六割強)
ヒャッハー!PCの復活だー!
こんな時間ですが、10分頃から投下したいと思います。
教室に入り、マキシマとルイズを待っていたのは、好奇の視線だった。
平民を召喚したルイズ、平民で見た事もないような大男。
どちらかというと、後者に向けての視線が多いのだろう。
生徒たちの視線は若干高い。
二人を見て、クスクスと笑う者やひそひそ話をし始める者もいる。
そんな連中を一瞥すると、ルイズは視線を避けるように一番後ろの席に座り、マキシマはその後ろで
腕を組み壁に背を預けた。
「なぁ。俺は教室の外で待ってた方がいいんじゃないか?」
「ダメよ。さっきも言ったでしょ?使い魔は主人に付き添うものなの。それに、今日の授業には使い魔をつれて来
いって言われてるのよ」
聞けば、使い魔同士の顔合わせも兼ねているらしい。
「生徒の人数と外の人外の数が合わないんだが……」
教室を見回して生徒たちの使い魔を観察しながら思った事を口にする。
「大きくて教室に入れない使い魔もいるけど…ほら、外を見て」
言われるままに窓の外を見ると、なるほど。教室に入る事の出来ないような大きな使い魔達は
外で一箇所に固まっていた。
紫煙
「…俺も結構大柄な方だろ?外でもいいと思うぞ?」
「いくらなんでも無理があるでしょ…。と言うより何でそんなに外がいいの?」
渋りまくるマキシマに、ルイズは怪訝な目を向ける。
「……いや…何だか場違いな気がしてならないんだが…」
その言葉に「あぁ〜…」っと呟くルイズ。
確かに平民の巨漢が、学院の教室に居るというのは違和感が凄い。
様々な動物や幻獣がいるが、マキシマは特に目立つ。
周りの生徒たちも「何食ったらあんなにデカくなるんだよ…」「2メイルはあるぞ…?」等
マキシマについて話しをしている。
「とにかく!あんたはここに居なさい!それに、あんたの居た所って魔法が無いんでしょう?ならここで少し
勉強しておいたらどうかしら」
ふむ。と考えるマキシマ。
なんだよこの規制の酷さ・・・
Byte数規制にかかってるのかな?支援
確かに居心地は良くないが、魔法がどのような物かを知っておいて損は無いだろう。
「りょーかい。それじゃあ俺もお勉強させてもらうかな」
諦めたらしいマキシマを見て、ルイズは満足そうに椅子に深く腰掛けた。
「そういえば、あんたのいた所にも魔法みたいなものがあるって言ってたじゃない?どういうも
のなの?」
思い出したようにルイズは聞いた。
「厳密には違うんだろうが…。まあその話はまたの機会にな」
教室に入ってきた教員と思われる中年の女性を見て、話を中断する。
温厚そうな見た目の女性は、近くにいた生徒達に笑顔で挨拶をしている。
「むぅ…」っと残念そうな顔をするルイズであったが、授業ならば仕方があるまいと諦める。
それまでおしゃべりに夢中になっていた生徒たちも席に座り始め、全員が席に着いたのを確認すると、女性は
生徒達に激励の言葉をかけた。
「さて皆さん。春の使い魔召喚は全員成功したみたいですね。私も、この教室で再びあなた
達に会えたことを、とてもうれしく思います」
マキシマがどういう事かルイズに聞くと、どうやら使い魔を召喚する事が出来なかった場合、進級
する事が出来ないそうだ。
「まあ、実際に召喚が出来なかった事があったなんて話し、聞いた事がないけどね」
そう続けるルイズに、マキシマは「そういうもんなのか」と納得する。
教員の女性はマキシマに目を留めると、興味半分、驚き半分というような顔で、ルイズに声を掛ける。
「こ、これはまたずいぶんと珍しい?使い魔を召喚したものですねぇ。ミス・ヴァリエール」
「は、はい。私自身かなり驚いています…。アハハハ…」
落ち込んだような笑い方をするルイズの耳に、聞き覚えのある声が飛んできた。
「おい!ゼロのルイズ!召喚に失敗したからって、その辺にいた平民を連れてくるなよ!」
昨日ルイズと言い争いをしていた小僧だ。確か名前はマリコルヌだったか。
そんなマリコルヌの言葉を、ルイズは屁とも思ってないようだ。
「先生!グランドプレ君は気分が優れないみたいです!誰かが医務室に連れて行かないと
倒れてしまいます!その証拠に、昨日あった事も覚えてないみたいで…」
ルイズが心底心配そうな顔を作って言う。
その言葉に「まぁ!大変!」と慌てる女性。
当の本人は何が起きているのかが理解出来ていないようで、首をかしげている。
「昨日から心配してたんです。声が枯れてて、風邪じゃないかって言ったんですけど…」
ようやく自分が馬鹿にされている事に気づくマリコルヌ。
「おい!ゼロ!僕は風邪なんか引いてないぞ!?いい加減な事いうな!」
「聞きましたか先生!今のガラガラ声!昨日より酷くなってますよ?」
ルイズの演技に、女性は完全にルイズの言う事を信じてしまった。
「ミスタ・グランドプレ!貴方がどれだけ勉強熱心でも、風邪を引いていてはいけません。今は
十分休養を取って、風邪を治してから授業に出ましょう。それまでは医務室から出てはいけませんよ?」
「そ、そんな!?僕は風邪なんか!」
そんなマリコルヌの悲痛な叫び声にも、教師は首を振る。
「その言葉は、まず喉が治ってから聞かせてください。医務室からここまではそんなに離れていませんから、そこのあなた。彼を
医務室まで連れて行ってあげてください」
そう言って本を読んでいた青い髪の小柄な少女を指名する。
支援
少女はコクリと頷いて、片手で本を読みながらマリコルヌの襟首を掴んでズルズルと引きずって行ってしまった。
引きずられてゆく最中、マリコルヌは何かを叫んでいたが、何を言っていたかは誰も聞き取れなかったようだ。
「さて。ミス・ヴァリエールの使い魔さん…じゃ呼びづらいですね。私はこの学院で教師をしているシュヴルーズといいます。あなた、
お名前は?」
「マキシマだ。魔法の事について詳しくご教授していただくと助かる」
「まぁ!私の授業に興味が?そうですね。それでは皆さん。今日の授業は、昨日の召喚の儀式をひとまずの区切りにして、これまでの授業の
おさらいにしましょう。では彼の主人であるミス・ヴァリエール。魔法の四大系統をお答えください」
シュヴルーズがルイズを指名して、問題を出す。
「火、水、風、土、です。メイジはそれぞれ自分の得意な系統を持ち、使い魔はメイジの得意系統にあったものが召喚される事が
多いです」
自信たっぷりに答えるルイズに、シュヴルーズはパチパチと小さな拍手を送った。
「その通り。そしてメイジにはドット、ライン、トライアングル、スクウェアというようなクラスがあり、クラスが上がるごとに
使える系統が一つ増え、魔法に必要な魔力の消費量が減っていきます」
ルイズの説明にそう付け足すと、シュヴルーズは懐から小石を取り出して教卓の上に置く。
「私の系統は土。土系統は汎用性に優れていて、とても便利です。代表的なものが、錬金ですね。『イル・アース・デル』」
唱えながら杖を振るうシュヴルーズ。
すると教卓の上にある小石が黄金色に輝いた。
ヒャッハー!支援だ〜!!
終わりなのか?
PCがまたおかしくなったのか、規制入ったのか・・・・
続きがあるなら避難所に書いてくれれば代理投稿しときますので作者様はご一考を。
申し訳ございません。
避難所にも書き込めない状態が続きました。
続きを投下させていただきます
「ゴ、ゴールドですか!?ミス・シュヴルーズ!」
キュルケが思わず身を乗り出すが、シュヴルーズは首を横に振った。
「残念ですがこれは真鍮です。ゴールドを錬金するとなると、それこそスクウェアクラスの技量と魔力が必要になりますからね」
シュヴルーズの回答に、キュルケは本当に残念そうな顔をする。
(結構現金な性格してるんだな…)
(そうね…)
マキシマが小声で話し掛け、ルイズが同意。
キュルケが振り向いてルイズとマキシマを見たが、二人はあらぬ方向を見て目を逸らす。
「それでは誰かにこの『錬金』をやって貰いましょうか」
そういうと教室を見渡すシュヴルーズ。
「ではミス・ヴァリエール。お願いできますか?」
「ま、また私ですか!?」
まさか二度も指されるとは思っていなかったルイズは驚いたように聞き返す。
「ええ。自分の使い魔にいい所を見せるチャンスですよ。さあ、こちらに来てください」
言われるがままに教卓に向って歩き出すルイズ。
しかし、生徒の一人が声を上げた。
「先生!危険です!そいつに魔法を使わせちゃダメです!」
他の生徒達も必死にシュヴルーズに抗議したが、ルイズの魔法を見たことがないシュヴルーズには、何故生徒達がこんなに
騒ぐのか理解できなかった。
「心配ありませんよ。錬金は土系統でも初歩の魔法ですから」
「先生は知らないだけなんです!ゼロのルイズが魔法を使うと…」
教卓に向うルイズの背中を見送りながら、マキシマは何故自分の主人が『ゼロ』と呼ばれているのかを考えていた。
(良い意味ではないんだろうが…なぜ『ゼロ』なんだ?)
マキシマの疑問は、その後すぐに解消した。
「それではミス・ヴァリエール。この石を何でも良いので何か別の金属へ錬金してください」
「は、はい…」
ルイズの返答に、教室の生徒達が青ざめ、ざわつきだす。
そしてルイズが杖を取り出すと、生徒達が皆教卓から離れたり机の下に隠れたりしている。
「さあ、落ち着いて。大丈夫。あなたはとても勤勉な生徒です。きっとうまくいきます」
一度だけ深く深呼吸をして、ルイズが杖を振り上げた。
そのタイミングで、教室の扉が開いた。
「先生!僕が風邪じゃない事は、医務室の先生に証明してもらいました!」
「「あ」」
意気揚々と教室に戻ってきたマリコルヌが、光に包まれる。
石が、爆発した。
「こんな筈はぁぁーーッ!!」
シュヴルーズは黒板に叩きつけられ、マリコルヌは廊下へと消えていった。
飛んでくる破片を手で払いながら、マキシマは考える。
(何故失敗したんだ?確かにあの教師と同じようにスペルを唱えていたはずだ…)
「このゼロ!またやりやがった!」
「いつになったらまともに魔法を使えるようになるんだ!」
「一生無理だろ?」
「言えてる」
生徒達は、机の下から出てくると、ルイズに向って野次を飛ばし始めた。
悲しそうに俯き、こぶしを握り締めるルイズ。
(なるほどな…。成功率『ゼロ』パーセントってことか…)
爆発音を聞きつけた数人の教師達がやってきて、爆心地のすぐ近くにいたルイズを見てため息を漏らす。
授業を中止させて、ルイズに教室の後始末を命じると、生徒達と一緒に教室を出て行った。
教室に残ったのは、ルイズとマキシマだけだった。
二人は黙々と破片を拾い集め、煤だらけになった床や机を拭いていく。
「…分かった?私がなんで『ゼロ』なんて呼ばれてるのか」
「…ああ」
不意にマキシマに声を掛けるルイズ。
「私ね、一度も魔法が成功したことがないの…。一度もよ?ドットにもなれない、一にも満たないゼロ…。笑っちゃうでしょ?」
自嘲気味に語るルイズには、普段の覇気がまったくない。
聞いてる方が悲しくなるような声で、ルイズは続ける。
「失望したでしょ?笑いたければ笑っていいのよ?」
ポロポロと涙を零しながら喋るルイズの頭に、マキシマが手を乗せる。
「…ゼロじゃないだろ?」
「え?」
鼻をすすりながら、聞き返す。
「ゼロではないだろう。現に、俺を召喚したのは嬢ちゃんだ。違うか?」
マキシマの言葉に、呆気に取られるルイズ。
「まさか、励ましてくれてるの?」
「いや、事実だろう?だから、俺は今ここにいる」
それに と続けるマキシマ。
「見返してやるんだろ?嬢ちゃんを笑った連中を」
その言葉に、ルイズは頷いた。
「そうよ。確かに今は魔法が使えないかもしれない…。でも、諦めないわ!絶対に偉大な貴族になってみせる!」
胸を張り、そう宣言したルイズは、服に付いた汚れを払う。
「さっさと終わらせるわよ!昼食に間に合わなくなっちゃう」
そういって作業に戻ろうとするルイズ。
「その前に、やる事があるだろ?」
「…何よ?」
「顔。洗ってきたらどうだ?」
ガラスの破片を見せると、ルイズは「うっ…」と唸った。
ルイズの顔は、煤と涙の跡で酷い事になっていた。
「ち、違うのよ!別に泣いてなんかないんだから!」
そういうと、教室の外へと走ってゆくルイズ。
その姿を、マキシマは微笑ましそうに見送った。
これで今回の投下は終わりです。
途中、書き込めない状態が続き
ご迷惑をおかけしました
>>350 >>352みたいなどこにも湧く新人つぶしは気にすんな
とりあえず出すか出さないかの意志だけ頼む
>>386 投下乙
次は長編物の方向性を決めると噂のギーシュイベントですな!
ぶっちゃけ2chに投下されるSSなんて
名詞「台詞」
名詞2「台詞」
効果音
地の分
名詞「台詞」…
↑この台本形式でも文句を言われる筋合いはないはずだからなあ。みんなで楽しもうというスタンスが大切だと思うよ
オリジナルキャラが嫌われるのはその辺りからして独りよがりな部分が多いから嫌われるのだと思うんだ
みんなが楽しむことが一番だよね
台本といえば、霧亥召喚ネタは地の文が多いもんだから、妙に読みつかれたw
霧亥ってセリフが少ないどころか、心理描写が原作で一切ないから、一人称視点にすらできないんだよな
記憶を取り戻した後にキレて銃乱射とかはあったけど
>>389 オリキャラはメアリ・スー具合が凄いのがあるからな…
一番最初の霧亥なら、死に際の男に気休め言うくらいはしてたような
あと乾人の少女を助けたのを無駄にしてみれば生電社の倉庫を粉砕したり、警備に返り討ちされたり
なんかまだどうにかできそうなレベルだった
>>388 半数がそこでエタるいわくつきの登竜門でもありますな
>>388 >長編物の方向性を決めると噂のギーシュイベント
知らんかった
で、どんな分かれ方のパターンがあるの?
参考までに ヨロシク
ぶっ殺す→バイオレンスな方向に
降伏を認める→原作の再構成的な感じに
そもそも戦わない→オリジナルな感じに
ってことじゃね?
そういえば負けると言うパターンはあんまみたことないな
まれに決闘相手がモンモンやマリコルヌになることもあるな
>「こんな筈はぁぁーーッ!!」
クリザリッド・グランドプレ吹いた。
それにしてもベイパーキャノンとか使うと空薬莢出してたハズだから
ハルケで戦うにはカートリッジ残弾気にする必要があるって事よね。
確かバンカーバスターもベイパーキャノン使って飛び上がる設定だったハズ。
使いどころが難しいかも?
まぁビームやレーザーなら気にせず使えるんだろうけど。
パンピーな才人でも剣があれば余裕って相手じゃ、負ける方がむずいからネ
負けそうなキャラは大体口八丁で戦わない方向に行くし
直江兼続「最強なのにやられたーー」
それでもボスなら死んでくれる!
と思ったけど、そっちはJOJOスレか
爆弾岩と決闘するギーシュを見てみたいな
殺すのも最近はとんと見なくなった
>>362 おおざっぱに言うとそうだな
うろ覚えだが忍者帖について簡単に説明してみると、これは書きこむ時にレベルが上がっていくもの(●持ちでないのなら最高で1日に1Lv)
で、現在はレベルによって主に書き込み間隔、スレ立て権、容量(これは新たに追加されたっぽい)の3つの規制がかかる
まあSSを投下する前に名前欄に!ninjaでレベルを確認した方がいいかも
例えば書き手本人が投下するのなら投下予告の時とかに確認して1レスあたりの容量を調節、みたいな感じで
あとは5分以内の投稿容量が合計で20480バイト以下になるようなペースと、同じ容量のレスが3回連続しないようにも気を付けないといけないな
めだかの善吉ちゃんを召喚してもサイトとさして変わらないか
普通の高校生だし
お前のような普通がいるか!
普通の高校生なら
「あんた誰?」
「一応中学出身、一堂零です」
サコミズ隊長…°・(ノД`)・°・
ウルトラの人、追悼の意味も込めてサコミズ隊長出してくれないかな?
スパロボZ2のおさらいしてて気付いた
最終回後のシュナイゼルを召喚したら
”ゼロ”に従うのだろうか・・・
じゃあ江迎さんを・・キスしようとした時点で下手するとルイズが腐乱死体と化すな
サイトと一緒に呼ばれてサイトに一目ぼれ・・・とかなったら面白いかも
そういえばマイナスは強力なスキル持ってるけどギーシュとの決闘には負けるな。
あいつら試合とか形式ばったものになると絶対にプラスには勝てない連中だから。闇討ちとかなら別だろうけど
ギーシュに負けるには
1 素の力がサイトより弱い
2 ルーン補正サイトよりは弱いキャラに別ルーンがくる
くらいだから難しいな
召喚されるキャラは大抵補正サイトより強いし
無感情に近く能力がそこそこの運動選手くらいまでならおkじゃん
あんま強くないロボットとかな
つまり、R・田中一郎か。
そして君たちはこういう!
「ロボットじゃないよ、アンドロイドだよ」
3.武器を貰わないでルーン補正使えず
4. 油断しすぎて「こんなはずでは〜!」
>>408 シュナイゼルがゼロと認識しているものが何なのかによるかもね
名前なのかあの仮面と格好含めたゼロなのか
そういえば一子ちゃんが自爆して負けてたな
初期ギーシュの勝率は低いけど
サイトが勝てたのも意地と粘りがあったからで、それが無ければ普通なら負ける状況なんだけどな
なんだかんだでゴーレム複数同時に操るのはレベル高いんだよな
>>410 >そういえばマイナスは強力なスキル持ってるけどギーシュとの決闘には負けるな。
『大嘘憑き(オールフィクション)』の球磨川なら決闘に負けて死亡→後でケロッと蘇生とかやりそうね。
でも他のマイナス十三組はギーシュとの直接戦闘くらいは普通に勝てそうな感じ?
江迎なら錬金もかくやの腐食能力&植物操作でワルキューレといい勝負。
蝶ヶ崎はダメージ押し付けスキルだから負傷しないけど…攻め手ってあったっけ?
志布志はギーシュどころか見物人全員の古傷開いて大惨事。
あれ? やっぱり駄目な方が多くね?
ギーシュに負けるのなー
ゴーレム全部壊して圧倒するけど「参りましたぁ」って馬鹿にしていえば負けたことにならね?
「貴族に勝っちゃいけないから本当は勝てるけどわざと負けました」って見せ付けるような負け方をすれば
勝者のギーシュもギャラリーの貴族もムカムカするって寸法よ
かなり性格悪いの呼ばないとそんなんならないか
のび太なら劇場版補正さえなきゃギーシュに負けるのも容易い
のび太か……原作通りに進めるなら、ロマリアに行って『場違いな工芸品』を入手するまでが苦行な気がする。
射撃の才能に関しては、天才って言葉が生ぬるいぐらいに有り得ないものを持ってるからなw
>>407 きっとムラマツキャップやキリヤマ隊長が迎えてくれてるさ
ハルケギニアにはダン隊長に来てほしいね
5.華麗にスルー。すっぽかすとも言う
凪副隊長にこそ来て欲しいね
イラストレ−ターだとタルブ村を囮にビーストを誘いそうだ
>423
『セブンの使い魔』の構想はあるけどね。
アザゼル、レベルEのバカ王子、トリコが召喚される話はまだ出てない?
今更だけど戦闘妖精読んで血が滾ってしまった
アンアンと皇帝がかっこよすぎる
旋盤上の友情
ありだと思います!
>>419 プラスのギーシュと決闘したら勝てないって言いつつ食堂でボッコボコにしそうw
周りはどうしてこうなってるのかわからないし、怖いから手を出せず
二股が原因と察しているオスマンに呼びだされて後は流れで
今の球磨川の能力はブックメーカーだす
>>430 あやまれっ!単行本組みにあやまれっ!
いや、ジャンプ派だけど
>>419 ルイズの使い魔がワルキューレに殴られたと思ったらギーシュが吹っ飛んだでござるの巻
でも致死武器って錬金したてのワルキューレには効かないかもね
>ワルキューレに殴られたと思ったらギーシュが吹っ飛んだ
それなんてクロノスチェンジ?w
球磨川の「残酷な選別」……駄目だ、アレに耐えられる学園の生徒が思いつかない。
決闘騒ぎになった途端、もしくは決闘直前のギーシュとの会話が大変な惨事になってしまう。
昔、人生ゲームというゲームの大半に尻とUFOを足したようなツーケー星人というキャラがいた。
あれが出てくると問答無用でマイナスポイントだった
当然召喚や決闘の相手にしちまった日には…
そういえば死が2人を分かつまでで書きたいって言ってた人はどうなったんだ?
俺、楽しみに待ってて早2ヶ月なんだが
>>435 懐かしいなw
で、ルイズはどこにキスするのかね
明日に向かって。
我々は脱出する。未来に向かって脱出する
光の速さで明日へダッシュさ。
では、マシンマン召喚とか。
テンタクルの嫌がらせで、ルイズの心の力がマッハ。
……カタルシスウエーブが強すぎるか。
442 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/27(水) 11:09:51.67 ID:dEduwkLI
銀魂からフルパワーの結野清明を召喚して陰陽術で魔法使い相手に無双するような話思い付いた
肉弾戦は外道丸が担当…まあ思い付いただけだけど
ルイズが女神まどか様&ほむほむ召喚…
済まん…言ってみただけ…
女神まどっちがいる今ならQB召喚しても大丈夫。
ルイズが魔獣と戦わなきゃならなくなるが。
ルイズ「私も、私も魔法が使えるようになるの!?」
やべえ、あっさり飛びつきそうだな
虚無と魔女化のこと知ったら絶望して魔女になりそうだが
謎の白い液体を召喚
トリステインはテキーラで有名に
>>446 ハルケ世界に龍舌蘭はあるのか
そもそも白い液体を蒸留しるという発想が出てこないんじゃ、とマジレス
>>425 セブン”の”使い魔ってことはカプセル怪獣のどれかがルイズに呼ばれるのか?
>>445 そうか!ワルプルギスの夜召喚すればあんしn
450 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/27(水) 13:42:45.85 ID:TACYdIe3
陰陽師や仏教なんかの東洋魔術キャラ呼べばと思ったけど
そんなにいなかった
ブリミルは過去(少女に標的が絞られる前)にQBが干渉した魔法少女のテストケースで
その願いで魔法の力が広まったせいで契約で釣りにくくなり放棄された星がハルケギニア
しかしブリミルの直系には何かしらの因果でQBを呼び寄せて
優れた魔法少女(=虚無の担い手=魔女)になる素質のある者が生まれることがあって…みたいな設定を今思いついた
>>447 リュウゼツランの方はともかく作り方は番組に出た人のうちの誰かもいっしょに召喚すればおk
今さらだけど注意事項の
・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
という一文を見ると上手いこと書いたなと思う。
スレタイトルこそ「ルイズに召喚され」たことになっているけど、
タバサに召喚されても、ルイズにサイトと一緒に召喚されても、
召喚以外の方法でハルケギニアに来ても、注意事項的にはOKなんだから。
だってこのスレが出来る前の段階でそう言う要素が存在してましたから
ルイズ以外ではタバサがよく召喚して、敵対勢力をジョゼフが召喚というパターンが多いな
何だ。それじゃあこないだの荒らしの主張(ここはルイズが○○を召喚した場合のifを書くところで 以下略)
は最初から的外れだったんじゃないか。
わざわざ召喚呪文唱えないよーに
…げる
何?今なんて言ったの!?全然聞こえないよ!!そんなんじゃ気持ち伝わらないよ!!もっと大きな声で!!
…げる
二次で召喚されたキャラが元いた世界で他のキャラ(特に親、恋人)がそのキャラを心配するシーンとか出て来ると
改めてあの魔法学院の連中はとんでもないことやらかしてんだなあと感じる
しかも、いきなり契約しろとかマジ外道
QBがマシに見えるレベル
原作の母親からのメールもよっぽどだとは思う
そうだね、そのことを意識すると楽しい話じゃない
464 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/28(木) 00:03:31.33 ID:Yg/6oKGC
ルイズたちのやってることは北朝鮮と同じだからな
相手が今まで人間じゃなかっただけで
そう考えると彼らがおぞましく感じる
動物園はおぞましいなー(棒
それ何の擁護にもなってないよ
寧ろルイズたちに悪印象を植え付けてるね
だからー、承知の上でゲートくぐるんだってば
無理やり拉致るわけじゃねぇ
原作見てないから解らんだけだろ
スルーするが良し
まあ、相手にどうやって承諾させてるのかはよく解らないけどね。
「貴方はこれからとある人間の所へ連れていかれます。貴方か、その人間が死ぬまで離れる事は出来ません。また、元の場所へ送る事も出来ません。それで良ければ召喚に応じてください。」
こういう意味合いの説明も無いし、そもそも有っても普通の普通の動物の知能じゃ解らんだろうし。
外伝のシルフィ召喚の時の話を見るに、
あの世界のある程度の知能を持った生物は一般教養として知ってる、程度みたい。
シルフィ、最初はタバサみたいなちびっ子に召喚されて、不満たらたらだったしな。
強制連行、承諾無しのくだりは
二次というかここの作品での話じゃないの?
レスの流れ的に。
被召喚者世界の住人が被召喚者を奪還しに来て
ハルケギニア世界と対立という展開の作品ってなさそうで、……やっぱなさそうだね。
>>472 強制連行はルイズに召喚されたキャラ(サイト含む)のことじゃないかな
奪還しに来れるほどの技術のある世界相手じゃ一方的な蹂躙になりそうだからなぁ
姉妹wikiのベイダー召喚とか、戦争にならなかったけどこのスレに投下されたヤン召喚とか
>>467 いや畜生が人権でももってるみたいに聞こえたってだけなんだけどね…
ミストさん「やっぱりハルケギニアはダメじゃないか……!
こんななんじゃ俺……召喚されたくなくなっちまうよ……」
夜霧の使い魔ですか^^;
うるせぇカブでも作ってろ
>>478 詳しくはHPをチェック!チェック!チェック!
>>461 QBは一応承諾をもらっているからな・・・いろいろ隠してはいるけど
>>472 それ面白そうだなあ
片一方の蹂躙になったとしても一度は見てみたい展開だ
まあ、その場合どうしてもゼロ魔側が悪になっちゃうけどね
マスターチーフも、と言うか彼の所属するUNSCも来る能力はあるんだよね。
ただ、チーフがそこにいると知らないから来ないだけで。
しかし、もし来たのがチーフじゃなくてフラッドだったらどうなったのやら。
ルイズは間違いなく寄生されてフラッド化するだろうが、それで終われば運がいいな。
アレが本格的に感染拡大し始めたらハルケギニアの技術では抑えるのは不可能に近いし、
そうなって魔法が使えるフラッドが大量に生まれるとか悪夢でしかない。
>>481 対立するかどうかはともかく、魔砲さんの管理局は取り返しに来る気満々ですな。
なんだかんだ言って
未知の技術に驚くハルケギニア住人っていう構図が好きです。
魔砲で言えば、なのはさん救出しにきた時空管理局の艦を見て驚くハルケギニア住人
っていうのを密かに期待してるのは俺だけじゃないはず。
タイムスリップ系の架空戦記とかは結構人気なジャンルなんで分からんこともないというか分かる
なのはさんじゃなくてヴィヴィオが召喚されましたになると、ぶちキレた二人のママでハルケギニアがヤバい。
ぴあにぃ三歳とか呼んでご覧なさい。
ベルフトやレイウォール軍は全力でティナ様を押しとどめ、余力でハルケギニアを滅ぼすね。
>>454 そうなんだ、てっきりルイズが召喚という縛りが先にあったけど、それ以外の
方法で物語を書く人が増えたから拡大されたと思ってた。
・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
で枠を広げて、
・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
が防波堤になってるわけね。
これだったら、宇宙空間にいたガンダムが何かのワープ?で来訪しても、
Tウィルスがばらまかれてもせふせふなわけだけど、人の場合、召喚以外の
方法で来たら言語の問題が発生するから物語的に難しいね。
・・・作者の力量が試される。
奪還しにくるといえば、いまは霧亥がそれじゃないかな
重力子放射線射出装置を持った統治局代理構成体が10110100してきたりして
可能性としてはセーフガードに通達されて
回収を諦めるか契約の後遺症の修復に失敗→上位駆除系が破壊のためにダウンロードされる
方が高いけど
>>488 姉妹スレとか表現されることが有るけど
大抵その辺は実際は親スレだからな
「キ―――――――ン
キ――――――――――キキ――――――ン
キ――――ンッ
―――――――――ッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「お前たちは造換塔に発見されてしまった」
「私/我々セーフガードは許さない、お前たちネット端末遺伝子を持たない不法召喚者を」
「・・・・・・・・・・・・」
「霧亥、取り戻せたのは記憶だけなのか?」
「今回の件はセーフガードに通達された。計画は変更になったんだ、君はもう行かなくていいよ」
で、
ttp://www.youtube.com/watch?v=d-q1RyNw5lA&feature=fvwrel になるのか
誰得
>>482 コヴナントがアップを始めました
超科学兵器を魔法が圧倒する逆の展開はないのかね
進化した科学は魔法と変わらないから無問題
進化した人類でも呼び出してみるか。
オナ禁の使い魔とか
もしもカトレアの病気がマンダリン草に刺されたせいだったら
>>482 アレは取りついたのがフォアランナーやコヴナントだからやばかったんであって
ハルケ程度の文明だったら銀河の危機までにはならんと思う。
まぁハルケは滅ぶでしょうが。
召喚からの物体X
ピカチュウを召喚とかありそうでないよな
人語話せないし、唯の珍しい電気ネズミだから話の幅が狭まっちゃう
特殊な奴呼ばなきゃならないところに実際にいそうなやつだからね
召喚したはいいが、捕獲できずに黒焦げにされたでござる
>>492 >>491なんか見れば、ハルケだろうが現代地球だろうがUNSCだろうが「なにこの超魔法」するだろ
つまりそういうことなんじゃないか
ハルケに超科学兵器なんてありゃしないが
>>492 ルイズのディスペルで管理局あたりの魔法力使った機械は止まるかも知れん
再起動してみたらどうなる? スクラップに成ってるのか、何事も無く動き出すのか
>>501 そのへんを付き詰めると面白いかも?
例えば、レイジングハートは待機状態になるだけなのか、それとも全機能消去になるのか?
魔導プログラム体のヴォルケンズは 消滅するのか?
まぁ SSのネタにするなら、書き手のサジ加減しだいだろうけど
>>494 進化した人類というと新人類帝国の奴らとかか
五郎呼んで、剛力招来した後の周りの反応は並の変身ヒーローの比じゃないな
逆に…逆に考えよう!
戦国時代の地球人を呼んで「ハルケの文化ってスゲーな」とかやらしてみようぜ。
お豊とのぶのぶね
妖怪「首置いてけ」がアップを始めたようです。
ドリフターズ2巻まだですか?
では鬼武蔵さん召喚で。
それはそれは、すばらしいショーがはじまるよ。
鬼武者の誰かを呼んでも凄いな
デルフリンガーを媒介に武器を変えたり、デルフから魔法を吸収すれば青魂無くても戦術輪やら鬼戦術を撃ち放題
数万の軍勢との戦いでも連鎖一閃でズババババッサリw
ラインバレルからマキナを召喚したルイズが押しつぶされてファクター化・・・とか何故か思いついたが
さて何を召喚しよう
普通に考えたらラインバレルで調子に乗ったルイズが絵美に「貴女、最低です」な流れだけど
原作漫画版なら天児や久嵩に殺される前の過去世界から召喚すれば何でもアリなんだよなぁ
・・・とか考えてたら、ハルケギニアに召喚されたマキナが聖地周辺に沈んでたり埋まってたりする光景を想像して
ちょっと怖くなったw
ジョゼフがディスィーブWを手に入れてたり
511 :
タバ:2011/04/28(木) 22:56:22.55 ID:+KWW/8j7
タカ!バッタ!サソリ!
タ・バ・サ!タバサタ・バ・サ!
>511さんの名前欄を見たら無性にむらむらと。
議論なら別スレいけよ
>505
移転したぜろろが当てはまるかな。
ハルケギニアの文化にちょっと戸惑っている感じだった。
セスタスならハルケすげーと思うんじゃないかな
ルシウス「なんだこの風呂は……。装飾も過剰で、湯に香水なども入っているではないか!」
517 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/29(金) 08:49:41.15 ID:0A42zj1j
ここよりもまとめを見たほうが面白いものが読めそう
良いものはまとめられるしつまらんものはまとめられず自然淘汰されてく
このスレでもいくつかの小ネタが投下されてるけど、元ネタと召喚キャラを
明記してくれてないと更新できないんだけど
>>516 ヤツは召喚されても、自動的に帰っちまいそうだw
>>516-519 逆に、ルイズが風呂で考え事して溺れる→気がついたら平賀家の風呂場という展開とかどうだろうw
んで何度も平賀家に来て現代の事を学んでいくとか
>>521 平賀家の風呂場に度々現れる虚無の担い手か。
才人が産まれる前から青髪のイケメンがしょっちゅうやって来てたり
>>510 いっそ鬼こと宗美のお爺ちゃんが発見された当時のタリスマン喚んで鬼から赤ちゃんが・・・展開
そしてルイズによる子育て奮闘モノに
>>523 ジョゼフだと、ちょくちょく来てはいつの間にか日本に順応してそうだなw
そして世界扉を習得して家族で遊びに来ると
イザベラだったらそこらの不良をシメてスケバンになりかねないな
「ふかづめりょうこ!」
「魚の目お銀!」
「ふきでものマリー!」
「でこっぱちイザベラ!」
「四人あわせて埼玉紅さそり隊!」
イザベラの出番多めのss書いてんだけどイザベラの喋り方が特定しづらい。
一回読んだはずなんだけどもう一回読むと案外上品(?)な喋り方してるような
>>521 それはなんていうテルマ・ロマエですか?
まどマギ最終話から
女神まどか・ほむら・さやか・マミマミ・杏子召喚
(ハルケに召喚された際の効果でマミさん達の記憶はまどかを認識出来るようになり、
更に『何でかソウルジェムの濁りの不具合が消滅した?!」な御都合設定w…)
まどかの奇跡、魔法少女達の奇跡で物語は進むが、
現地ブリミル教と軋轢が出来てしまい…
ゲルマンで、もしハルケギニアにガルマン帝国がやってきたらどうなるかと想像してみた
隷属国にされるのは確実だろうけど、奴隷化されるボラー連邦よりかは百倍ましか
>>532 TV版ヤマト3以後の比較的物分り良くなった総統でも、
トリステインとロマリアの偉いさんの殆どは粛清されるなw
>>533 いや、総統はいちいち殖民星の統治には関わらないだろうから、実際統治にあたるのは侵攻艦隊の司令官じゃね
でもダゴン将軍ならけっこう乱暴にやりそうだな
流れぶったぎって悪いけど、ss書くときに原作キャラの名前ってどう書いたらいいのかね?
最初からもうキャラの名前をそのまま出すのがいいのか、
それとも最初は外見の特徴だけ書いて
セリフか何かで名前を出してからその後それで統一するのがいいのか
分かりづらいかも知れないけど皆様の意見が聞きたいです
>>535 小ネタならどちらでも、腰を据えてやるなら後者かな?
さっさと名前を出したいなら「ピンクブロンドの髪の小柄な少女、ルイズ」みたいに「特徴、名前」でいいと思う
>>535 視点の問題だな。一人称の文章は元より、三人称の文章でも『誰を中心にした視点で書くか』で表現方法は変わる。
相手の名前も知らない人間の視点で書くなら当然容姿から先に書くのが自然だし、
相手を知ってる人間の視点なら名前から書く方が自然。
ちなみに三人称の場合、『誰を中心にした視点で書くか』が統一されてないと、読む方が混乱する場合もある。
なのでその辺気を付けて書いてみるといい。
>>535 独白で出すなり、自分で紹介するなり、誰かに名前を呼ばれるなり、神視点によって紹介するなり色々ある。
要はどういった視点で語るかを前提として、ちゃんと読み手にわかるよう強調して名前を出せればOK。
あるいは、最初から〜〜視点ってのもあり。
ルイズ視点
とか
Side.ルイズ
などね。
>>533 「ガルマンに神は2人もいらん」だもんね
で、世界扉で総統を暗殺しにガルマン帝国本星へ向かったら銀河交差に巻き込まれてあぼん
辺境巡視から帰ってきた総統は、少女の死体に手向けられている白い花を見つけるわけですね
まどマギss絶対あると思ったけどまだ無いのは意外だった。
後今期はまどかの他にこれゾンやドラクラISと素材が豊富だから楽しみだ。
うーん、なんというかマドマギは外に出ていくクロスに向かない気がする
QBだけなら序盤は思いつくけど、せっかくの要素を膨らませるプロットが思いつかない
魔法少女召喚の場合、濁ったソウルジェムをどうするかが問題
ゼロ魔世界で幻獣や魔物扱いされているものの中には
かつて召喚された魔法う少女の慣れの果てが混ざっているとかすれば絡められるかな
もしルイズがドラッガーの「マネジメント」を読んだら
ってかんじのネタはもうあったっけ?
「まどか」は短編向きかな。
ゼロ魔側の大人キャラ、特に男性が絡めにくそう。
だから、学院内だけで スパッと終わるぐらいの話なら イイかも。
ゲルマニアファミリー
サイボーグクロちゃんネタ見てたらこれ思いついた
小ネタにすらなってない掌編だが
隊長「おいおい!なんだここは!?どこだ!?報告しろ!?」
部下「わかりません!GPSも反応しません!」
隊長「そうか……しかたない……」
部下「何をしてるんですか?」
隊長「……核を使おう」
ルイズ「召喚されて早々なにしてんのよ!」
部下「貴族にケンカ売られてしまいましたね。きっとあいつ魔法使ってきますよ」
隊長「やむをえん、核だ!」
ルイズ「努力しなさいよもう少し!あんたが乗ってる[せんしゃ]もあるでしょ!」
部下「あー、あれってフーケとかいう盗賊のゴーレムじゃないすか? 宝物庫襲ってるし」
隊長「よし! 核発射!」
ルイズ・キュルケ・タバサ・部下・フーケ「よしなさい」
隊長「気のせいか!? 今小娘三人と盗賊と部下にフルボッコにされた気がするぞ!」
部下(やっぱ個人で核所有してんのはマズイよな)
アンリエッタ「(かくかくしかじか)というわけで、手紙を取り戻してほしいのです」
ルイズ「わかりました!」
隊長「よし、ヘリを用意しろ。ひとっとびだ!」
部下「ありません。ここにあるのは召喚された時の戦車だけです」
隊長「なら核だ!」
アンリエッタ「なんでですか」
隊長「気のせいか!?今一国の王女に飛び蹴りを食らった気がするぞ!」
アンリエッタ「気のせいですわ」
ウェールズ「外には5万の軍勢、打つ手はなし。だから明日、私たちは貴族らしく討ち死にしようと思っている」
ルイズ「そんな!」
部下「戦車一つじゃどうしようもないですよねえ」
隊長「よし!核の出番だ!!」
ウェールズ・ルイズ・部下「…………」
隊長「………止めないのか?」
ウェールズ「逆転勝利も、ありかと思うんだ」
ルイズ「ほ、ほら、あんたどうしても使いたいみたいだし、許してあげるのもご主人様の勤めと思うのよ」
部下「さっ、遠慮なくドカーンと」
隊長「…………(どうすんだよ!止めてくれると思って言ってたのに、なんか使わなくちゃいけない雰囲気になってるぞ!)」
こいつら名もない自衛隊員だけど、よく出てたよなぁ
なんかワロタwww
まぁそうだよな。
いっそハルケギニアの大気に魔力が溢れてて自動回復にしてしまうとか
ギーシュのゴーレム相手にスタイリッシュに戦うマミさんは見たい
クロちゃんはグレイがかっこよくて好きだったな
後年のウッディケーンはハードすぎて当時小学生だったおれにはキツかったけど
でもシビアな代償の無いまどマギ式魔法少女なんて味気ないというか台無しなような…
鮮やかな大活躍だけがクロスじゃないし、避けようのない限界の時に向けて精神磨り減らしながら
原作イベント消化しつつ最期の瞬間までルイズ達と心を通わす鬱い話だっていいじゃない
流れぶった切るようなこと言うと、個人的には漫画とかよりも3次元(映画とか)のクロスが見てみたい
ダイハードのジョン・マクレーンとか
リベリオンのジョン・プレストンとか
300のレオニダス王とか
最後のはポロリもあるよ!(首とか)だからちとまずいとは思うが
コマンドーVSワルド
ターミネーターはもういたな、確か
ハルケギニアでヒートは難しいか
三次元か
ジュラシック・パークからティラノサウルス・レックスを召喚
ワルド「やっぱり来たか、ムエタイX!…いやガンダールヴ!」
3次元なら既に仮面ライダーやウルトラ系が(ry
クロちゃんは俺の永遠の師匠!
異論は認めない
死霊のはらわたの主人公アッシュ・ウィリアムズとか…
右京さんがあったな
>560
アッシュ、猪木と小猪木と春一番、高橋名人、山田邦子で“顎のでかい使い魔”か。
サイババ、とか?
>>562 そいつらには劣るが
バラシンだったり二階堂だったりの要潤でも
カミナ召喚
二階堂紅丸
キリイの続きはまだかなあ
>563
つい最近に訃報を聞いた気がする。
ガンダじゃなさそうだ。
>565
兄貴か!凄い当たりっぽいな。
ぶつかり合いながらもルイズの成長を確実に促してくれる。
死んでからも。
カミナ「もしとか、たらとか、ればに惑わされんな」
原作ですぐに疑心暗鬼に陥るから言って欲しいな
カミナ自身には高いカリスマ性と良くも悪くも真っ直ぐに進む性格があるだけで何の特殊能力もないけどな
だからこそ自分の言葉を実現できる螺旋力を持ったシモンに恥じない兄貴でいようと漫画で言ってた
あと、平和になったらグレン団関係者は大半がただのDQNだぞ?
まあ平時で役立たずなDQNって点じゃゼロ魔サイドも負けては無いが
>>568 そのもしたらればは疑心暗鬼とはまた別のもんだろ
パイレーツ・オブ・カリビアンからジャック・スパロウはまだいないよね
もっとも即ルイズのとこからはとんずらしてごろつき集めて空賊でも作るだろうけど
メンヌヴィルを口八丁と度胸で丸め込んで船員にするスパロウとか見てみたい
ミスタービーンを召喚したらセリフがなくなるな
原作において重要な役割を持ったキャラクターは
その本来の役割を終えてから召喚されるか
居なくなったことそれ自体もストーリーに絡むか
居なくなってしまったことで原作の世界が救われたりとかあるが
ふと思った
マイクローン装置って機械に一時的に人格や記憶や遺伝子データを保存して
縮小拡大したりするけれども
あれって工程を少し変えたら同一人物二人作れるんじゃないかなー、とか思ってた
そんなんで呼んでみよう
コンダ・ロリー・ワレラを
でっかいままで
全裸で
ルイズ絶叫
>>574 本編でもマイクローン装置の技術を使って動植物やら種やらを大量に複製してる。
さすがに人間の複製はしなかったみたいだけど。
マイクロンというと鋼鉄の勇気だな
>>574 そういえばあの連中、生身でバトロイドやデストロイドと殴り合いできて
真空でも数分間活動できる戦闘生物だったな
というか10m以上の巨人なんて召喚したら
食い物と排泄物の処理が大変なことにw
>>578 既に風竜他大量の使い魔がいるし、学園的には特に問題ではないかと
>>569 カミナがシモンを信じる云々に螺旋力は関係無いよ
じゃあ、「カニング・キラー」という映画も作られた、伝説の人食い鰐「ギュスターブ」を召喚で。
年齢は100歳以上、食い殺した人間は300人を超え、全長8m。
鱗は分厚く猟銃はおろか、機関銃喰らっても生きてるリアルモンスター。
アフリカはブルンジ共和国のルシジ河在住。
って、もろテンプレ違反だった。
ちゃうねん
ここは『あの三人呼ぶくらいならクランのでっかいほうを全裸召喚するでしょ普通!!』って突っ込みが欲しかったんや
あかんわトモちゃん
小ネタのSガンダムのように間の悪い召喚ってー小ネタやってもいいかもなぁ
無限のフロンティアのエンディングで明かりを消した後のハーケンとカグヤとか
サイレントヒル2で奥さんを車に乗せたジェイムスとか、奥さんを助手席に乗せて走り出したジェイムスとか
銀魂からテロリストに縛られた暴発寸前の神楽と沖田を召喚とか
ARMSから絶賛メルトダウン真っ最中のシルバー兄さんを召喚とか
ドラゴンボールから「わりぃ、ここしか無かったんだ」とか
ロマサガ3からトーマス召喚
会社を設立し、本編そっちのけでトレードに精を出しハルゲニア一の大会社をとか
神王教団も金で買うからな>トレード
某改造版は東の没物件なども入っててラインナップがカオスだった…
>>581 >サイレントヒル2で奥さんを車に乗せたジェイムスとか、
静岡3の、アグラオフォティスによって体内から吐き出された『神』はどうだろう?
死にかけの『神』と契約したら体内に入り込まれて、『聖母』と化して
世界を破壊するルイズ…
ドラッグオンドラグーンの母を思い出した。
ドラクエ3からエジンベアの兵士召喚して、田舎者呼ばわりさせようぜ
>>542は
>>549がベストな解かと…
或いは、ちょっと上の方にあったが、ご都合的な解釈(転移して何故か(魔法使っても)濁らなくなった…
ただし、「心が折れた…」の濁りは不可…)で行くしかないかと…
>>549 それは俺もぜひ見たいw、しかし七体はマミさんならすぐに殲滅でね?
>>551 おまいはムロプチ信者か?w、クロスSS先くらい鬱なの止めてくれ…って感じだよホント…
>>587 クロス元が鬱なら多少は同じような空気にしないと
>お互いを尊重
テンプレのここに引っ掛かるのでは
1発限りの小ネタならおkだろうけど
漫画版ライドウ面白いよね。
というわけだけどライドウ以外で呼び出せそうなのいるかな?
>>580 トリコのガララワニのほうがすごそうだけど
術が使えなくても、あなたは人間なの。人間なのよ、ギュスターヴ
>>587、588
鬱展開・鬱エンドに対する救済ってのも、二次SS執筆の動機になるからねぇ。
・・・ホント 匙加減って難しい
593 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/30(土) 18:15:59.39 ID:66A/9KYa
>>547 あれって確か民間自衛隊だったよな
隊長には中松っていう名前があって兄貴が空軍でアニメ版に出てきた弟が海軍だった気がする
「殿といっしょ」の戦国武将とか召喚されたら面白そうだけど間違ってもシリアス展開にならないよな
政宗→眼帯の布教
信長→焼き討ちスポット探し
兼続→ひたすら駄目だし
みたいなことになりそう
名前あったんだ……すまん、なにぶん昔読んだ記憶から引っ張り出してきたもんですっかり忘れてたみたいだ
>>593 ジョセフとノリノリで裏切りビンゴやっている信長が浮かんだw
意外とデュラララ!!からは来ないね
なんかでっかい鉄でできた蜂召喚
まあ蛙なんかもいるし、大きくて強そうなら蜂でもいいかなと契約しようと近づく
その時蜂から声が響く
ご苦労だった・・・と言いたいところだが君等には消えてもらう。
貴様等は知らんだろうが我が1000年の闘争はここで勝利と言う終焉を迎える
これから貴様等はなんの手助けも受けず、ただひたすら、死ぬだけだ
どこまで もがき苦しむか見せてもらおう
死 ぬ が よ い
ハルケギニア大往生
ボムのルイズになるのか
>>597 最新作でのコイツの名前は発音が出来ないから
ルイズが名付けることになるな
ああ、なるほど。
ひたすら爆発(ボム)の連打で弾を消すルイズにボスが涙目、と
ん? CAVEシューのボスってボム無効があったような(もしくは使うと凶悪さがアップ)…
甘いな、最終形態にはボムは通用せんのだ
ボムって弾消すためのものじゃないの?
加速と爆発の両方が使用できるジョゼフ陛下と愉快な仲間たちならきっと何とかしてくれる
最終形態も一応弾はボムで消せるが
ボム発動中ボスはバリアを纏って無敵になる
ボムも通常ショットも通じない
つまりその間全くダメージを与えられないので殆ど意味がないのだよ
ボムは弾を消して無敵時間中にダメージを稼げるのが強いんだ
まあ緊急避難にはなるから完全に無意味とは言えんが
>>592 契約の効果で、ソウルジェムの濁りを虚無魔法の燃料として使えるようになり、
魔女化は防げるようになった。
但し、キュゥべぇがいないのでグリーフシードを処理できず、魔女を倒しても
時間がたつと何度でも蘇る。もちろん新たに魔法少女も生まれないので戦力の増強は望めない。
とかそんな感じで、本人は救済できたけど世界がどうあがいても絶望状態になるとかどうかな!
>>604 加速ってあれ使えるならガンダールヴいらねえよな?
前にあった小ネタみたく、状況次第では自爆するからかもしれない
(浮遊物に凄まじい勢いでぶつかりかねんとかw)
大復活ボス勢ならなんとか共存できそうだけど(ゴールデン・ディザスターは抜きで)その他はねぇ
敵も味方も話を聞かなそうで困る
>>606 SGは虚無で消滅させられるって展開でもいいかも
>>607 ガンダールヴは『生命』を使ってるときの護衛役だから
なろうにも良作はあるもんだな…
雪風と風の旅人とやらは面白い
こっちにもフッキ召喚モノはあるが随分昔に止まったままだし…
613 :
ゼロのペルソナ:2011/04/30(土) 22:25:47.95 ID:jP70MmWJ
今日やっとこさ書き上がったので30分から第一話を投下。
ネタバレするとペルソナ4から完二、陽介、クマを召喚。
>>606 むしろそこはマミさん(三周目死亡直後)召喚で
自決したがってたところをルイズの愚直な態度のおかげで精神的に持ち直したり、
虚無魔法を使う度にSG浄化出来ることを発見してこれで元の世界の仲間達も救えるかもと希望を見出すけど
救えるはずだったのに自らの手で撃ち殺した杏子の存在がいつまでも胸を苛み…
みたいな個人レベルでの後味の悪さが残るルートはどうだろう
運命 意味…定められた運命・アクシデントの到来
青々とした草が一面に生えている草原。そこにはマントを身につけた少年少女たちが立ち並んでいた。
かれらがそんな魔法使いのような奇妙な格好をしているのは、彼らが奇矯な趣味をもっている人の集まりだから、
ではなく事実彼らが魔法使いであるからである。
召喚の儀式。魔法使いが生涯のパートーナーをよびだす神聖な儀式。今、それが行われている最中である。
立ち並ぶ少年少女たちの視線は一人の少女に向けられている。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
それが視線を一身に受けている少女の名だ。彼女は現在、連続で召喚に失敗している。
ルイズは周りの視線を感じながら焦っていた。召喚の儀式は神聖な儀式であると同時に進級試験もかねている。
もし召喚できなければ留年。そうなればもともと魔法が使えず自分を馬鹿にしていた連中は増長し
一つ下の学年の生徒に白い目を向けられながら学校生活を送ることになる。
そんなことはとうていプライドが許せることではない。
もう何回目になるかわからない召喚魔法を使う。他の魔法と同様に魔法は爆発を生み砂埃を上げる。
ルイズの魔法の爆発で地面に生えていた草は根こそぎなくなり、茶色い砂だけが姿を見せている。
「おい、いいかげんにしたらどうだ!」
「そこらじゅう穴だらけになっちまうぜ!」
周囲から飛んでくる罵声を無視してルイズは煙の中に目を凝らした。
使い魔が召喚されていないかと儚い願いをもって。
ルイズの目の錯覚かはたまた願いが通じたのか煙の中に黒いものが見えた。
召喚に成功したかもしれないという喜びに興奮しルイズはもう一度目を凝らし確認する。
確かにいる。錯覚ではなくちゃんと存在する。
ルイズは召喚の成功、ひいては自分の生涯のなかでのはじめての魔法の成功に小躍りしたくなった。
なんだろうか。少なくとも人以上の大きさに見えた、ユニコーンだろうか。
いや黒いから違う。ドラゴンだったらどうしよう。と、ルイズの妄想は止まることを知らない。
さっきまで失敗をしていたのに強力な使い魔を想像するなど苦笑ものだが
確かにルイズが呼び出した使い魔は規格外だった。
ルイズの予想を越え、期待を裏切るほどに。
全身は黒く、大きな体、腹部にはドクロのマークがあり、額に切り傷、眉はなく、白髪の……
「に、人間……」
ルイズの口が無意識にあんぐりと開いたままになった。
稲羽市にある大型スーパージュネスの稲羽チェーン店の電気店売り場に二人の男とキグルミがいた。
一人は身長が180センチを越える長身で髪は脱色し、眉はなく、学ランは袖を通さず肩にかけ、
学校規定のカッターシャツではなく黒地のドクロのマークがプリントされたTシャツを着ている。
まさに絵に描いたような不良高校生である。名前は巽完二。
もう一人は髪を茶髪に染め首から大きなヘッドホンをぶら下げている。こちらも高校生だ。名前は花村陽介。
そしてその二人に並んでたっているキグルミはデフォルメ化された青いくまが宇宙服を着たようなデザインをしている。
また男二人といったがこのキグルミの中にいるのも紛れもない男である。名前はクマ。本名である。
もっとも戸籍はないので本人が名乗りそう呼ばれているということなのだが。
三人は電気売り場に人がいないかとキョロキョロと周りを見ていた。
「あいかわらずだれもいないクマねー」
「相変わらずはよけいだっつーの」
クマにすかさず陽介は突っ込みをいれる。彼はこのスーパーの店長の息子なのだ。
電気売り場だけだとはいえ店に活気がないといわれるのは気のいいものではない。
「いーじゃねえスか。ダレもいねえおかげで変にコソコソしねえですむんだからよ」
完二もクマに同調した。
「お前もひどいな」
陽介は後輩にしかめっ面をする。
「いや、ひさしぶりにテレビの中に行くと思うとテンションあがっちまって」
昨年のこと彼らはテレビの中に入る力を手に入れた。その力で彼らは、一般的に八十稲羽連続誘拐殺人事件と
呼ばれる事件を解決した。また、真実を見つけ出し八十稲羽市を包んだ霧を晴らしたのだ。
「クマはしょっちゅういくクマー」
「俺もときどき行くな」
「あぁッ!?、クマだけじゃなくて花村センパイも行くんスかッ!?」
「そりゃ、毎日ここに来てるからな。テレビの中にも行きたくなるじゃん?」
「せっけー」
完二は不満そうに陽介を見る。
「ま、そう言うなよ。久しぶりにあの世界見たら感慨も深いだろ?」
「まあ、そうかもしんねえっスっけど」
「カンジはこまかいクマー。もうクマ先に行くクマよ」
「待て!お前らいつも行ってんだからおれが先だ」
完二はテレビの中へ入っていった。
テレビのなかにはいる順序がどうであろうと変化はない。
完二が先に行くといったのはクマに先を越されるのがいやというだけで深い意味はなかった。
だが本来なら完二の意味のない子供っぽい行動が、三人にとって重要な選択となっていたことなど
このときはだれも、たとえ別世界の魔法使いすらも知らなかった。
「じゃあ、クマお先ー」
陽介も完二に続いてテレビの中に入る。
「あー!ヨースケずるいクマー!」
最後にクマもその身をテレビへと入れる。
この時から三人はこの町、八十稲羽で半年以上ぶりの行方不明者となり、別世界への旅人となった。
巽完二は驚いていた。テレビの中に入ったと思ったら、煙の中にいた。
霧が再び発生したのかとも思ったが煙はすぐには四散した。
煙に包まれていたときはわからなかったが、自分の周りには多くのマントをつけたみょうな格好の集団がいた。
「さすがはゼロのルイズだぜ、平民を召喚しやがった」「ゼロは何してもダメだな」などといっている。
なんだ、なんでここに人間が?また放り込まれたのか?いや、犯人は捕まえたよな?
と、完二が尻餅をついた態勢のまま考えて込んでいるとピンク色の髪の少女が近づいてきた。
ふと視線を上げて見てみるとその少女のおかしさに気付く。髪の色も異様だが、その格好も奇妙であった。
フレアスカートに真っ白なカッターを着ているのはいい。だがその背中にかけている布きれは何であろうか。
まるで魔法使いのマントだ。
少女は完二の前で膝をつくとなにやら棒状のものを構えてブツブツといい始めた。
その棒が魔法使いの杖のようで完二は鼻白んでしまう。
ブツブツと唱えるのをやめた少女はその少女は突然完二の顔をその両手で固定し、
完二が反応する間もなく唇を重ね合わせてきた。
少女は軽く唇を合わせるとすぐに唇を放したが、何をされたか理解できずに完二はぼけっとしていた。
だが何をされたか理解すると完二は顔を真っ赤にして大声を出す。
「なっ、テッテメェ何しやがんだ……て、いってえ!!」
だが文句を言い終わる前に完二は体に痛みが走るのを感じ、身を折る。
「うるさいわね。ルーンが焼かれてるだけよ。すぐに終わるわ」
少女の言葉のとおり痛みはすぐにひいた。
「ん、おお、ほんとだ。って、ナニしやがんだテメエ!」
「ほんっとイッチイチうるさいわね。ルーンが焼かれたって言ったでしょ。見てみなさいよ」
言われたとおりに感じは痛みが走ったところを見てみる。服をまくってみるとそこには
みたこともないような紋様があった。完二にはミミズがのたくったような文字に見えた。
「んだ、コリャア!」
「だーかーらーさっきから言ってるじゃない!バカなのあんた!?」
「ああッ!ダレがだテメエ!」
完二と少女はぎゃいぎゃいと言い争いを始めた。
>>606 最終話を見た後だと、ループ後のまどかあたりが召喚されて、物理法則すら捻じ曲げて無双とかが最初に思いついてしまう
「それでは次」
禿頭の教師コルベールはルイズがコントラクトサーヴァントをどうやら成功させたらしいと判断し、
次の生徒を呼んだ。
その声に応じ、青い髪の小さな少女ともう一人燃えるような赤髪の少女がルイズを囲んでいた輪から出てきた。
青い髪の少女は背が小さく年齢の割には起伏がない体型をしているのに対し、
赤い髪の少女は年齢以上に起伏のある体をしている。
赤髪の少女はそれに自信をもっているのかカッターのボタンを多めに外しその肌を惜しげもなく晒している。
「あんたのせいでわたしたちの召喚まで明日まで延びるんじゃないかと思ったわ」
「だからちゃんと召喚したじゃない」
「平民呼び出すなんてわたしも初めて聞いたけどね」
嘲弄の言葉に対し、ルイズの口はパクパクと開くだけであった。
事実平民を呼び出してしまったこととバカにされた悔しさが合わさり言葉を口にできない。
「そうだ、てめぇさっきはよくもいきなりキ、キ、キ……」
座り込んだままだったルイズの召喚した男が立ち上がりルイズに詰め寄る。
「うるさい。黙ってなさい」
「ハァ!?んだとテメエ!!いきなりキスしやがって!」
「う、うるさい!わ、わたしだって好きでしたんじゃないわよ」
「じゃあ、すんじゃねえよ」
「へ、平民のくせに……!平民が貴族にあんなことしてもらえるなんて普通ないのよ!!」
「うっせえっ!!平民とかワケわかんねえこと言いやがって。ダレがんなこと頼んだ!」
「うるさいうるさい。ファ、ファーストキスなのよ」
「ッせぇ!んなのこっちもだっつの!」
二人はうるさく言い争いを始めてしまった。
「あーら。まあいいわ。タバサなら一発よね、こんなの」
赤髪の少女、キュルケはその言い争いを面白半分に見ていたがまず召喚を終わらせてしまうことにした。
タバサと呼ばれた青髪の少女は小さくうなずき召喚魔法を唱えた。
キュルケはタバサは体こそ年齢より幼く見えても、魔法の実力は並の魔法使いなどとは
比較にならないほど優れていることを知っていた。
だから落ちこぼれのルイズと違い一回であっさりと召喚魔法を成功させたことには驚かなかった。
しかし……
「……え?」
「……人間」
ルイズと同じく平民の少年を召喚したことには驚いた。
結局タバサは平民を召喚した後すぐに契約のキスをした。
「えっ、なにこれドッキリ……いってえええ!!!!」
と、タバサの使い魔はルイズの使い魔と同様にルーンが焼かれる痛みに大声を上げた。
しばらくうずくまっていたが、痛みが引いたのか身を起こして周りをキョロキョロと見回て、
「え、どこだ?ここ?テレビの中じゃねーのか?」
などと言っており非常に混乱しているようだった。
それを尻目にコルベールはキュルケに召喚をするように告げた。キュルケは嫌な予感がしたが、
それを理由に召喚を後日にのばすというわけにもいかないのでしぶしぶ、というわけでもないが召喚を行う。
キュルケの嫌な予感はうれしいことに当たらず、呼びだされたのは人間ではなかった。
大きな頭と太い胴の間にくびれはなく赤と白で作られた模様の胴体から短い手足を生やしている青い毛をもった…
「なにこれ?」
よくわからない生き物だった。
「い、いったいいいいいいいい」
クマは土の上で丸い体をゴロゴロと転がす。クマの体感時間では相当な時間が経ってからやっと痛みは引いた。
痛みは引いても仰向けになって安泰にしていようとするクマに陽介と完二が駆け寄ってきた。
彼らは現状に気付いたのだ。
「おい、クマッ!」
「ヨースケクマ……。クマはもうだめだあ……。死ぬ前にかわいい子とデートしたかった……ガク」
「そーいうのいいから!そんなことより、クマ!ここがどこかわかるか」
「へっ?ここは……どこ?」
クマはやっと現状に気付いたのか目をパチクリとさせてキョロキョロと見回す。
「それを聞いてんじゃねーかっ!」
「カンジ、おちつくクマ。むむ、クマたちテレビのなかに飛び込んだクマよね」
「ああ、それは確かだな」
「ここ、テレビのなかじゃないよ」
「ああッ!?なんでだよッ!?」
「そんなのクマもわからんクマー。ただ、テレビのなかじゃないことは絶対クマ」
「ちょっとあなたたち、なんの話してるのよ」
三人が驚愕の真実に気付いたときに褐色の肌をした少女が話に割って入った。クマにキスをした少女だ。
また同様に陽介と完二に突然接吻をした少女たちもやってきたようだ。
何気に倒れたままだったクマは陽介に起こしてもらう。クマは一人では立ち上がれないのだ。
そうして話に割って入ったきた少女を見てクマの顔は目ははっと開かれた。
「はっ、そーいえばクマこの人にいきなりキスをしてもらって……
なんちゅーことか、痛みでキスの感触を忘れるなんて……
チッス!ワンモアプリーズ!」
陽介たちが見たことがないほど色香を放つ褐色の少女はクマの様子に引いたように見えた。
引いた彼女に代わりピンク色の少女がやってきて捲し上げるように喋り始める。
「ちょっとあんた!キュルケの使い魔が出てくるなりご主人様置いて何しに行ってんのよ!?」
「だーれがご主人だっつのッ!」
「わたしが!あんたの!ご主人さま!」
完二と桃色の髪の少女は顔を突き合わせるなり口げんかが始めた。その二人の間に青い髪の少女が割って入る。
「話が進まない」
「タバサのいうとおりよ。ルイズ少し落ち着きなさい。それであなたたち知り合いなの?」
「えーと、いや、そーなんだけどさ……。とりあえず聞きますけど、ここどこですか?」
陽介は恐る恐ると言った様子で尋ねた
「トリステイン魔法学院よ」
「「「ま、魔法学院(クマ)?」」」
「まさかあなたたち魔法を知らないっていうんじゃないでしょうね?」
「いいや、知ってます。知ってっけど……」
陽介は言いよどんだ。
魔法は知っているが、魔法学院とはどういうことであろうか。果たして自分の思っている魔法と同じものなのかと。
完二とクマも陽介と似たようなものであった。つまり顔に当惑を貼り付けている。
赤い髪の少女がまた何か言おうとした時、青い髪の少女がすっと腕を上げて指でどこかを指しながら言った。
「帰ってる」
指の指す方向に広がっていたのは陽介たちの常識を打ち壊すものだった。
何人もの少年少女たちが空を飛んでいるのだ。
「って、なんじゃこりゃッ!?ワイヤーアクションですかッ!?」
「どーなってんだ……?」
「飛んでるクマー」
陽介たちは呆然として空に人が浮かぶという信じがたい光景を見ていた。
こんなものテレビの中でも見た記憶はない。
だが隣に立つ少女たちは人体浮遊を見て驚いた様子はなく、
むしろ完二たちを見て呆れたという表情を浮かていた。
「あんたたち何そんなに驚いているのよ……」
「驚くだろ、そりゃ……てゆーか聞きたいことが山のように出てきたんだけど……」
陽介はさらに言葉を続けようとする。しかし青い髪の少女がゴツゴツとした棒を
突き出してきたので出てきかけだった言葉を飲む。
「あとで」
そういうと彼女は短く小さく何かを唱えた。次の瞬間、少女と陽介は宙に浮いていた。
「うおぉぉ、飛んでる、飛んでるよぉ」
「わたしも戻るわ」
クマも赤い髪の少女も同じように飛んだ。
「おっおおーー!今のクマはまさに浮いた存在クマー」
フワフワと彼らは飛んでいった。草原に残るは完二とピンク色の髪の少女だけになってしまった。
「お、お前は飛ばねえのか?」
完二が少しばかり期待をこめて言った。
正直飛んでみたい。完二はそう考えていた。
「うるさい」
そう突き放すように言って、少女は完二をおいて歩き出した。
「な、おい!ちょっと待てよ。飛ぶんじゃねえのか?」
「だからうるさいって言ってるでしょ!」
あーだこーだと口論しながら二人は学園へと歩いていった。
タバサの部屋には今、三人の魔法使いと二人と一匹(?)の使い魔がいた。
タバサとキュルケとルイズの呼び出した使い魔たちがなにやら訳ありのようで、
その話を聞くために一部屋に会したのである。
ところで人付き合いが薄く、キュルケ以外に友達といえるもののいないタバサの部屋に
これほどの人を招いたのは初めてであった。
タバサとしても無闇に部屋に人を招きたくはなかったが、ルイズがキュルケを部屋に招くことも、
キュルケの部屋に招かれることも拒んだので彼女の部屋になってしまったのであった。
「で、あなたたちは魔法がない別世界から来たっていうの。とても信じられないわね」
茶色の髪をしたタバサの使い魔――花村陽介というらしい――が説明を終えるとキュルケはそう言った。
「ウォークマンやケータイ見せただろ」
「見たことがないものだった」
確かに彼女の使い魔が持っていたものは見たこともないものばかりだった。
小さく精巧に作られた金属やそれなりの強度を持ち軽量な素材でできているもの。
全く見たことのない物質のようであった。
スクエアクラスの土のメイジででも作れるとは思えない。
また、タバサは今まで様々な任務をこなしてきたので嘘をついているかどうかについてある程度嗅覚が利くのだが
別の世界から来たなどという、嘘としてはあからさま過ぎる話をしながらも
陽介は決して嘘をついているようなそぶりを見せなかった。ただ、何かを隠しているようには感じたが。
「それよりもこっちが信じられねーよ。なんだこの世界……」
「それよりも問題なのは帰れねえっつーことだろ……」
「クマったクマね……」
使い魔三人ははあと溜息をついた。
タバサのベッドをイス代わりにしていたキュルケは腰を上げた。
「もう顔をつき合わせてたってしょうがないわ。もう部屋に戻りましょ。クマ、おいで」
「な、クマはキュルチャンの部屋で寝るクマか。むほほー」
キュルケの使い魔クマから落胆の表情が消え、キュルケに続いてクマは踊るように出て行った。
ルイズも部屋に戻ることにしたようだった。そしてその使い魔、巽完二も連れていく。
「カンジ、なにしてんの、来なさい」
「お、おう」
出来たばかりの二組の主従が去り、部屋には本来の部屋の主とその使い魔だけが残った。
「なあ、えーっと、タバサちゃん」
タバサの使い魔である少年はおずおずと言った様子で尋ねてくる。
「タバサでいい」
「じゃあタバサ。俺どこで寝りゃあいいんだ」
「ここ」
タバサは簡潔に答えた。
「あーいや、この部屋で寝るのは話の流れでわかったんだけどさ。何を使って寝ればいいんだ?」
タバサは言われて初めてその問題に気付いた。部屋には寝床はベッドが一つしかない。
とは言っても小柄なタバサのベッドにしては大きなベッドである。
無理をせずとも二人くらいは寝れなくもないだろう。
ベッドをじっと見ながら言った。
「いっしょ……?」
「床で寝させていただきます」
彼女の新しい使い魔は素早く言った。
毛布はいくらか分けてあげよう。そうタバサは思った。
部屋に戻ったキュルケ。そしてクマ。
「ここがキュルケチャンのお部屋クマかー。うーん、女の子のにおいがするクマー」
「オジサンじみたことを言わないでちょうだい」
先ほどから率直に感情のままにものを言うこの珍獣にキュルケは辟易していた。
あの二人の人間の使い魔と同じ世界から呼び出したが、タバサやルイズよりは体裁がいいはずだ。
二人は呼びだしたのは平民のたいしてこちらは珍獣。
人間を呼び出すことに比べれば珍獣の召喚など常識の範囲内だが
「疲れる……」
ただこのハイテンションのクマに疲れた。
現在も制服からネグリジェに着替えているが背後で
「キュルケチャン、ダイタン!クマはまだチェリーボーイークマー。むしろさくらんボーイ?」
とわけのわからないことを言っている。
着替えが済み、キュルケはベッドに倒れこんだ。
「キュルケチャン」
「なに」
「クマもいっしょにベッドで寝ていいクマか」
「いや、あなた大きすぎるでしょ」
キュルケのベッドは貴族の使う大きめのサイズであったが縦はともかく厚みがありすぎる。
クマが寝ては自分のいるスペースがない。
「あなた毛皮があるんだから、床で……」
「じゃあ、脱げばオーケークマね」
そういうとクマは自分の頭を抱え込み、頭を引き抜いた。
自殺!?使い魔がベッドを使えないことを苦に力技で自殺!?
だがクマのクビからは血が流れ出てきたりはせずに、金髪碧眼の小柄な美少年が現れた。
キュルケは呆然とした。
「やあ、キュルケ、おとなり失礼させてもらうよ」
クマがベッドに入り込んで来て、やっとキュルケは我を取り戻した。
「あなた、クマの中に入ってたの……?」
「あれはボクの一部だよ」
突然の展開についていけずキュルケは呆然とクマの中から出てきた少年を見つめる。
そしてその視線をどう勘違いしたのか。
「初めてだから、や・さ・し・ク・マ」
と言った。間違いなくクマだとげんなりした気分に近くキュルケは思った。
キュルケはクマを無視して寝ようとして明かりを消そうとして、気付いた。
「スピースピー」
「寝てる……」
キュルケの使い魔は自由なようであった。
ルイズは完二を連れて自分の部屋に戻った。
今日の出来事で色々と疲れたルイズはさっさと寝ようと決めた。そして服を脱いで着替えようとする。
その時、完二が悲鳴のような大きな声を上げた。
「テメッ、なに男の前で服ぬいでんだ!」
完二は両手で目を隠しながら怒鳴っている。
「男がどこにいるっていうの?貴族は従者の目なんか気にしたりしないものよ」
「ジューシャ……?」
従者という言葉がわからなかったのか、少し考えふけったようだったが、
考えることをやめたのか再び抗議し始めた。
「とにかくバカにしてんだろが!ナメんじゃねえぞ!」
両手で目を隠したまま、すごまれても全く迫力がなかった。
ルイズは構わないことにした。
「なんでもいいけど、そこのタンスからネグリジェとって」
「なんでオレが」
「使い魔として役に立たないんだから、せめて身の回りの世話はやってもらうわ」
そうさきほどキュルケたちと話し合ったときにわかったのだが彼らとは
本来使い魔たちと出来るはずの視界などの感覚共有が全くできなかったのだ。
その上、完二たちは平民なのである。完二の体格はかなりいいように見える。
しかしいくら図体が大きくても魔法使いを襲うようなものから平民が守れるとは思えない。
また信じがたいが異世界とやらから来たというので、調合のために必要な薬草なども集めることも出来やしない。
ならばとルイズはせいぜい普通の下僕が出来る程度のことはすべてやってもらおうと決めたのであった。
「ふざけんな!」
「あら、あんたを部屋に置いてやってるのも食事も与えるのもわたしなのよ。あんた受けた恩も返せないの」
「んだとぉ?」
ルイズの小バカにした言葉にドスをきかせた返事を返す。
「世話してもらってなにもせずに義理も通せないの?」
「誰が世話してもらってんだよ!」
「あんた以外にいないでしょ。言うこと聞けないならご飯あげないわよ」
「な!?きったねえぞテメエ!クソ……」
完二の言葉は尻下がりに弱くなった。
完全に服従したわけではないが完二の言葉から敗北の色を受け取ったルイズはとりあえず満足し、
完二に命令する。
「じゃあ、タンスからネグリジェとって」
「どこだ」
「一番下」
「ほらよ」
完二は後を見ないようにそれを投げてきた。
「着せて」
「ああ……いや、待てッ!」
「なによ」
「オマエ俺に下着姿を見ろっつうのか」
「わたしは気にしないわ」
「オレが気にすんだよ!」
「なんだ、あんた結局恩も返せないようなやつなのね。
もういいわ、あんたみたいな情けないやつにやってもらわなくても」
「んだと、なめんじゃねえ!」
完二はタンスと向き合った状態から首を回しルイズを見、顔を真っ赤にして、首を回してもとに戻した。
「もういいわよ」
ルイズはこれは無理そうだと判断した。
「くっそぉ」
完二はルイズに背を向けていたが耳まで赤くしているのがルイズにはよく見えた。
運命に導かれ突然現れた少年たち。
この時から少女たちの先の見えない旅は始まった。
626 :
ゼロのペルソナ:2011/04/30(土) 23:05:10.21 ID:jP70MmWJ
投下終了です
とちゅうでさるさんにひっかかりました。
その上、避難所で依頼までしておいて結局自分で書き込んでしまいました。お許し下さい。
あと
>>616と
>>617はタイトル入れ忘れましたが「ゼロのペルソナ 第1章 運命」です。
おお、使い魔はじめましたの続きが…!
だんじょん商店会万歳
とりあえずどっちも乙。
ペルソナの方乙です〜
続きに期待しております
ペル乙
今日本屋行ったらプラスティックベイビィズの5巻が早くも出てて驚いた
・・・のでこいつらがミカベル絵で脳内に
完二も誰もルイズの声には突っ込まずか
さすがにそれどころじゃないか
乙です。
>>612 情報サンクス。
今読み終わったけど普通に面白いな。
どの作品にも言えることだけど
クロス元の理論で魔法原理の解明ってのがいい。
クロスものの醍醐味。
基本的にルイズがサイト召喚する設定のクロスは
タバサ主人公ものでも、せっかくのクロスなのにと
げんなりするんだけどこれはよかった。
太公望らしさにこだわってるっぽいのが好印象
ひとまず、LOG.5前半部分のみを20分後ごろにでも投下予定
後半部分は昼食時にでも暇があればその際に
LOG-5 第一種臨界不測兵器
・・・霧亥は壁の上に乗って歩いたり、塔に登るなどして学院外周の探索を終えると、病室の崩れた壁から出て、本塔の外壁に腰掛けながらその夜を過ごした。
決闘を終えた後、強制的に生徒が解散させられたことと、何かに気づいたように霧亥を気遣っていた教師二人も消えたため、朝日が昇るまで誰も彼の所在を知らなかったので、
今まさに霧亥捜索を再開しようと準備していたルイズは、メイドに案内されて彼を見つけた瞬間泣き崩れかけた。
この反応を受けて、円滑な協力体制を維持するためには、いちいちルイズを同伴して外を見に行かねばならぬのかと考えながら、霧亥はまた学院の観察を行っていた。
出来ることなら、もう学院の外に出たいところだが、授業に聞き耳を立てることも、まあ悪くは無い。
一般常識や風習についても、人々の行動の統計をとることで情報を集められた。
いずれにせよ、この閉鎖的で限定的な環境での観察では、情報の広さや正確さに欠けるが、解決策が見えたのはその意味の無い観察によるものだった。
「どちらへ行かれるのですか?」
いつに無く怒りの形相を浮かべ、拳を握り締めている姿に、オスマンの秘書は二歩三歩下がって冷や汗を流す。
霧亥の視覚情報履歴を正確に1399秒遡ると、ちょうど学院のある部屋の前で「使い魔は入れない」と押し戻されようとしているところに行き着く。
そこに奇妙なものが大量に収納されていることに前々から感づいていたので、内部に入り手にとって観察しようとしていたのだ。
植物由来の繊維や動物の皮膚組織の固まりに、炭化した有機物などの混合物を塗りつけた何かの山は、全体の形だけで言えば古い時代のハードコピーの一形態に似ている。
制止しようとしたということは、中のものには重要性があるのだろうと霧亥は判断し、半ば押し入ろうとする。
そこで教師が到着し、オスマンからの許可をもってして霧亥に入室を認めさせた。
ここで問題が発覚し、文字を読めない霧亥を助けるために、「学院長が仕事をしていないので」暇を持て余している女性が一人随伴する運びとなった。
一時間も経たずに、いざ語学の講義が始まろうということになったのだが、霧亥は急ぎ足でどこかへと去っていった・・・
・・・霧亥の決闘以降、異常なほどそわそわしていたオスマンとコルベールは、いつもならすぐに飛んでいくところを、言伝をほかの教師に託しただけで、どこかへと走っていった。
向かった場所は、変わり者のコルベールが、学院内に一般的に置かれている設備では扱えない類の学問や実験を行う掘っ立て小屋である。
そこで何かを準備した二人は、また急いで、今度は学院の外へと向かった。
そして外では、興味深そうにする番兵や時折通りかかる教師の目を気にしながら、二人は何やらごそごそと作業をした。
しばらくして、息を切らせながら小屋に戻った二人は、大事そうに小脇に抱えた皮袋を机において一息つく。
「壊れとるのか?」
第一声はオスマンの愚痴である。
「いえ、きっと何か、安全装置か、使用者を限定する鍵のようなものが」
コルベールは皮袋に手を突っ込みながら答える。
「散々調べたが、系統魔法の痕跡は無し……わしが苦労して、異端とされる精霊魔法などなどについての蔵書を王都から仕入れても、それらしい痕跡を見つけられなんだ」
「では、極めて複雑かつ高度に機械的なものであるか、いずれでもない未知の魔法ですな」
取り出したものを、二人は銃であると見当をつけていた。
この二人以外が見ても、大まかなシルエットは短銃の類と判断するだろう。
「銃ではないのかも知れんな、杖の類であれば、その未知の魔法とやらの使い手にしか反応すまい」
「振動し始めたときは、もしやと思ったのですが……」
黒光りする、両手のひらにすっぽり収まるサイズの黒光りする角張った短銃のようなものは、かすかに震えていた。
コルベールは、楽器などがよくするような共鳴振動に似ているように感じたが、何がそうさせるのかは見当も付かない。
「程よく冷えた紅茶がありますが」
「一杯もらおうかの」
ぬるい紅茶にミルクを注いで更にぬるくしたものを、オスマンは勢い良く流し込もうとするも、のどを下らせる前に口が止まった。
金属が砕ける音がして、立て付けの悪い扉の金具と鍵が引き千切れ、ぬっと黒い影が視界に入る
「ぼわっは!」
ミルク入りの濃い紅茶を盛大に吐き出したオスマンの顔は青ざめ、コルベールはひっくり返りかけた。
「ちょっと待ちなさい!!」
止めに入った自分の秘書が、首根っこを掴まれて外に放り出されたのを見て、オスマンの顔色は更に悪くなった。
銃の振動はひときわ強くなる。
「ミスタ・キリイ…!」
コルベールは、「そうか!」と思う余裕も無いといった様子で、壁に背中を打つまで後退。
オスマンは咳き込み、椅子を倒しながら机から離れる。
真っ黒い奇妙な鎧を着た男は、同じく真っ黒い奇妙な銃を手に持った。
オスマンは必死に考える。
この状況を如何にして切り抜けるか、ということを、である。
「待つんじゃ!!」
「な、なにをッ!?」
「わしは何もしとらん! 全てコルベール君が好奇心からしたことじゃ!!」
答えは、コルベールの後ろに回りこみ、責任転嫁をすることだった。
二人とも、銃を顔の前に持ってきて状態を確かめている男の姿を見て、彼が殺しにかかってきた場合、切り抜けることができる確率が極端に低いことがすぐに分かった。
オスマンなど土のスクウェアであるし、コルベールも火のトライアングルという実力者であり、大抵の敵は数に入らない。
では目の前の男はどうか?
霧亥の拳を視認することすらできなかったことを思えば、人一人を殺害できる魔法を一瞬で唱える必要がある
間合いさえ取れれば不可能なことではなく、こちらは二人がかりである
霧亥は、ゴーレムの打撃をもろに受けてかすり傷一つ負わない頑丈さと、普通の人間であれば即死する状態から復活する体力がある
これだけを彼の最大の防御力と見れば、それを上回る魔法の発動は可能である
しかし
時間を稼ぐには距離は極めて近く
霧亥の体を十分に破壊できる保証は実際には無いも同然で
なんと彼は装備を取り戻した
撃ち殺される前に、殴り殺されてしまうのではないかというほど、状況は酷い。
オスマンは救いを請うために、この人生最後の瞬間に、始祖に祈るべきか、霧亥に祈るべきかということで悩んだ。
それにしても一瞬が長い。
「おお……」
目を開けると、霧亥は銃をホルスターに接着していた。
助かった。
無様にもそう思った自分に、嫌気が差しかけたところで、コルベールが図々しくも霧亥に声をかけた。
「待ってください! それは、いったいなんなのですか!?」
霧亥は、価値の無いものを見るような目を二人に向けて、すでに外へ歩き出していた。
「一切の分析が意味をなさず、どのような知識も通じなかったのです。何より、あなた自身! いったい、なんなのですか!?」
自分が何者であるか、そんなことも忘れていた時期がとても長い間続いていたような気がする。
―――銃のことは知らない
こんなことを言ったのは、一体どれだけの昔だろう。
もはや都市において、時間と空間が意味を失って久しい時代。
何度となく危機的状況におかれるうちに失った記憶と機能。
それを回復し、まともな頭で自身の行為の記録を参照して業を煮やし、腕が脱落するまでこの銃の引き金を引いたのも、大昔のことだ。
探索の折り返し地点に至るまでの過程を、まだ半ばまで進んでいない時期だった。
そんな回想が、彼にこんな気まぐれな行動をとらせたのだろう。
霧亥は、ゆっくり口を開いた。
「第一種臨界不測兵器―――重力子放射線射出装置」
所謂OSにあたる基本システム、脳の言語基体が遥かに低級な者たちに、この意味を大気の振動だけで理解させることは不可能だったが、とにかくそう呟いた。
彼の世界においても、個人携行火器において“最強”に区分される銃。
世界の理を捻じ曲げることによって、階層都市の人類が生み出した兵器。
素粒子と相互作用と場、その急激な変化の流れの放射装置。
それら宇宙の構造を越えて伝播・作用する力を用い、都市の主要構造体と、次元的に折り畳まれた超構造体をすら、唯一この兵器は穿つ。
重力により空間、副次的に時間を制御することで完璧な世界を実現した階層都市の“場の臨界”を崩壊させ、“不測”な状況を生み出す。
霧亥の本体を最強の盾とすれば、この霧亥の一部、ないし器官である銃は最強の矛だ。
彼は装備を取り戻した・・・
支援
・・・オスマンの秘書こと、ロングビルが介抱の末、意識を取り戻した頃には、霧亥の姿はどこかへ消えていた。
騒ぎにならないように細心の注意を払い、医務室へも運ばなかったオスマンは、一頻り釈明した後、またあせりながらどこかへと消えた。
唖然とするロングビルは、近くで壊れた扉を誤魔化そうとしているコルベールを捕まえ、「宝物庫に確保した空きはどうする」などと抗議。
これに対して「もう不要です」と告げて、コルベールはオスマンを追って走り去った。
残されたロングビルは、何やら想像以上に大きなことが運んでいるような気がして、同じく走り去った。
このうち、早々に姿を消した霧亥の事を探して授業の合間にうろうろしていたルイズは、どうにか合流。
なぜここの文字を教われる機会なのに、どこかへ言ってしまったのかと問い詰めかけて、霧亥が奇妙なものを持っていることに気づく。
「それも、あなたの武器なの?」
壁にもたれて座りながら、足に引っ掛けた手でぶら下げていた銃を、脇のホルスターにきっちり収めるのが回答だった。
今までどこにあったのかと聞こうとも思ったが、どうせ教師が取り上げたのだろうと、ここしばらくの記憶から判断する。
「なるほど、貴族にあるまじき行為ね」
貴族の行いも、存在も、到底評価できるものではないが、他者の所有物を強奪することが褒められたことでないのは確かだ。
せいぜい最低限の社会を構築する為の規則など、貴族などと限定された集団が守るべきものでもあるまい、ということは思ったが、いまさら驚くまでも無かった。
「でも、そんな目立つのじゃぁ、これから面倒もあるわよ。もっと役に立つものがいるでしょう?…あ、日常的にってことよ」
ルイズは、先日の決闘で見せた霧亥の銃の脅威の威力を目の当たりにした。
銃というよりは、変わった杖で聞いたことも無い系統の魔法を使った、という方が納得できる光景だ。
光が人の腕を丸々消し飛ばした。
切り落とすのでも、引き千切るのでもない。
酷い火傷を負っていたことから考えて、それは熱によるものだ。
火の系統だとすると、半秒も無い間に骨はおろか灰も残さず人を燃し、周囲には余熱をほとんど残さないほどの強力で精巧な一撃は、スクウェアでもそうそう出せまい。
あの小ささでこれだ。
今霧亥が手にしている本命らしい大きな銃、あるいは魔法触媒をしようして攻撃すればどうなるか。
人一人を蒸発させる攻撃を、顔色一つ変えずに連発できるだろう。
実際の威力は、最低のものであってもこれを幾何学的に倍加させたものであるが、ルイズはそこまで想像できない。
「銃……そうだ、それって、弾丸や火薬はどうするの?」
もし、弾薬が必要なのであれば、それを手に入れられなければ、一発撃てば終わりだ。
といっても、決闘の際、一発撃った後もずっと構え続けていたので、普通に考えれば装弾は一発ではないことになる。
となると、魔法の一種ということになるのだろうか?
「必要無い」
「え?」
ルイズは、では魔法なのか、と思ったが、そういう意味で言ったのなら、まず銃であることを否定したはずだとすぐに気づく。
それにしても、火薬が要らないというのなら分かるが、撃ち出す弾丸が無いというのは、どういうことだろうか?
「そ、そうなの……」
どうにも会話が続かず、何か言いたげに、霧亥の表情を伺ってはそばでうろうろし始めるルイズ。
霧亥は顔にかかった前髪を風に揺らしながら、何もせずに俯いている。
視線は学院の外だ。
「どっちにしても、もっと目立たなくて手加減できる武器にしないと…あなたの服もね」
ルイズは正門近くを指差す。
「う、馬も用意しておいたの! これから買い物にでも、どうかなって…」
「………………」
指の先にいる生物。
あれで一体、どうしろというのかと霧亥は思った。
移動手段として不安定なハードウェアを使用する危険性以前に、ルイズの要求するであろう行為は構造的に不可能だ。
「すみません、馬に乗れる重さではないと思うのですが」
霧亥の考えを代弁することになったのは、先ほどから霧亥の近くに座り、衣服を水中でかき回していたシエスタだった。
「あ、ミスタ・キリイの看護を手伝わせていただきました。シエスタです」
唐突に話題に入り込んできたメイドの発言に、ルイズが目を丸くする。
「えっと……キリイが重たいってこと?」
鎧のせいだとしたら、脱げばいいのだが…それをする気はないらしい。
それにしても、大の男二人を乗せるくらいのことは出来る馬が根を上げるほどの重量となると、霧亥の鎧の重量はどれほどだろう。
よくよく見てみれば、隙間無く埋め尽くされた合板鎧と革鎧の類で、体にぴったりと合ったオーダーメイドらしい作りであるのに、驚くほど分厚い。
単純に厚さが倍なら重量も倍。
決闘ではゴーレムの突進を拳一つで押しとどめていたので、よほど拳が速いということもあるが、普通に考えれば等身大青銅像よりも重くなければならない。
「まあ、そういうことなら、車を牽かせれば良いんだし……い、行ってみない?」
理想を言えば、個人で出歩きたいところだが、悪い提案ということでもない。
霧亥は立ち上がると、馬のほうへと歩き出す。
「じゃあ、馬車を用意するわ」
なぜこうも下手に出ているのだろうと自分で思いながらも、少し嬉しそうにルイズは駆けていった。
シエスタの話すところによると、なぜか今日は一部の授業が休みになっていたため、ルイズたちは午前放課らしい・・・
まだ幾らかあるが、ここで一区切り
存外に長くなってしまったものだから、結局後半を投下しても、前編扱いで後編まで一旦切ってしまうかもしれない
しかし、重力子放射線射出装置の名前が出てから、最初の発砲シーンに到達するまでここまで長くなるとは…
そして相変わらず口数が多くなりそうな霧亥
次回は元素の兄弟が早々に(ry
乙!
乙乙
ドゥオホッホッホッ
投下乙
>第一種臨界不測兵器―――重力子放射線射出装置
「化学物質瞬間燃焼発生気体圧力式鉛弾発射装置」を思い出したw
あ、BLAMEはキュルケのあちちイベントがまだない
どうするか期待
皆さんこんにちは、GWいかがおすごしでしょうか。
2011年もあっという間に5月ですね。では、5つながりというわけではありませんがウルトラ5番目の使い魔の42話の投下を始めようと思います。
ほかの方が事前に予約をしていなければ、いつもどおりにさるさん回避で10分おいて11:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
おk 今から昼食なので事前支援で…
第四十二話
囚われのティファニア
深海怪獣 ピーター 登場
「虚無の担い手が、さらわれたですってえ!」
ウェストウッド村での事件から三日後、魔法学院に帰ってきたルイズたちを待っていたのは、ルイズの部屋にけたたましく
響き渡るエレオノールの怒声であった。
虚無の担い手であるかもしれないティファニアにもう一度会うために、アルビオンへと向かったルイズたちを待っていたのは
思いもよらなかった罠であった。怪獣マグニアの出現と、怪獣に操られたウェストウッド村の子供たち、それらすべてが
ティファニアをさらったシェフィールドがルイズたちの目を逸らし、時間稼ぎをするための陽動でしかなかったのだ。
そのため、気がついたときにはティファニアははるか遠くに運び去られた後で、すでに手の出しようがなくなっていた。
しかも、勝ち誇ってあざ笑うシェフィールドの幻影からは、ティファニアの心を操って、虚無の魔法を使う人形にするという
恐るべき企みが伝えられた。
ルイズたちはそのことを、ティファニアが虚無の担い手だったことも含めてエレオノールには秘密にするべきか悩んだが、
結局は正直に伝えることにした。なぜなら、すでにティファニアも虚無に関わる争いに巻き込まれてしまったからで、今更
存在を隠したところでいずれ知れる。それに、正直自分たちの手に余る事態になってしまい、エレオノールの知恵がどうしても
必要になったからだ。
ただし、そのためにはまず怒れる女神の鉄槌を、甘んじて受ける必要があった。
「それであなたたちは、なにも果たせないままおめおめと帰ってきたというの?」
「も、もうしわけありません、おねえさま」
エレオノールの鬼でも睨み殺せそうな弾劾に、ルイズたちはただ縮こまることしかできなかった。むざむざ敵の策略に
はまったのは事実であるし、なによりティファニアをさらわれてしまったというのは、言い訳のしようがない。ルイズと才人だけでなく、
今回ばかりはキュルケやタバサも、エレオノールの怒りの雷鳴を間近で聞き続けた。
「まったくあなたは、目的を忘れて敵の罠を見抜けないなんて洞察力が足りない証拠よ、恥を知りなさい! それにツェルプストーの
あなた。ヴァリエールの宿敵のくせにまんまとルイズと同じ罠に落ちるなんて、ご先祖さまが泣くわよ。もう、どいつもこいつも
最近の若いのはふがいないんだから。いい、まずは先代のヴァリエール侯爵と……」
話がどうやらそれてきているようだけど、注意する勇気はキュルケにもなかった。それにしても、思い切り地が出ている今の姿、
花婿募集中とはとても思えない。学院の生徒たちは式典でもうしばらく戻ってこれないけど、戻ってきたときに淑女を演じる
ことができなくなっていたらどうなることか。
お説教はそれから三十分ほども続き、エレオノールが喉をかれさせてようやく終わった。
「はぁ、まあ過ぎてしまったことはもういいわ。それで、その子は虚無の担い手で間違いないのね」
「一度だけ見ましたけど、あの記憶を奪う魔法の力のありえなさを考えたら……それに、シェフィールドの勝ち誇った様子からして、
まず間違いないかと思います」
「そう……ともかく、これで虚無の担い手は二人まで判明したことになるわね。あとの二人が誰かはまだ不明だけど、記憶を
操れるなんて能力、ルイズの『爆発』よりも敵にまわすと怖いわね。なんとか奪回したいものだけど」
無理よね、とエレオノールはため息をついた。そんな簡単に後を追わせてくれるほど、シェフィールドは馬鹿ではあるまい。
それに、エレオノールの言うとおりにティファニアの魔法が悪用されたときの脅威は『爆発』よりも恐ろしい。人間の人格は
過去の記憶の積み重ねでできている以上、それを動かせばどんな変化が起きるか想像もできない。さらに、使い方によっては
恐るべき洗脳手段としても使える。たとえば火を熱いという記憶を消せば、火中の栗を拾わせることもできるし、悪いことを
してはいけないという記憶を消せば、罪悪感のない人間を生み出すというおぞましいことも可能だ。
むろん、ティファニアは優しい子だからそんなことは間違ってもしないだろう。しかし、系統魔法にも高等なものになれば洗脳を
可能とできるものがある。シェフィールドが言い捨てていったように、ティファニアを単なる魔法道具としてやつらは使うだろう。
「ルイズ、あなたのほうはなにか進展はないの? なにかしら、役に立つ魔法が使えるようになるとか」
「いいえ……できることが増えてないかと、確認は怠ってないのですが、始祖の祈祷書にはいまだにエクスプロージョン以外の
魔法は現れていません」
「残念ね。こんなときにこそ、伝説の力にすがりたいものだけど」
エレオノールはまたため息をついたけれど、こればかりはどうにもならない。虚無の魔法は強力すぎるため、その教本である
始祖の祈祷書には幾重もの制限がついている。デルフリンガーによれば、必要なときになれば自然と見れるようになるというが、
今のところそれはひとつもない。ルイズは、せっかくアンリエッタから水のルビーまでも貸してもらったのに、いまだになんの進展も
ないことに焦りを感じ始めていた。
ただ、才人は場合によっては命をも削るという虚無の力に、ルイズが目覚めてほしくはないと思っていた。前にアンリエッタに
言われたことでもあるけれど、人間は慣れやすい生き物である。強大な力を持てばそれに頼る。そして力におぼれたものには
相応の報いが待っている。歴代のウルトラマンたちが人類から正体を隠し、人間が全力を尽くしたときにだけ現れるように
していたのにも、そのあたりに大きな理由がある。
才人は、力というものの危うさを思って、虚しげにつぶやいた。
「始祖ブリミルって人は、いつか来るかもしれない厄災に備えるために祈祷書を残したって書いてた。つまり、虚無の力は本来は
みんなのため、正義のために使うべきものなんだ。でも、いつの世でも馬鹿野郎はいるってことか」
ブリミルの善意を、その子孫たちが踏みにじる。天国のブリミルには本当にすまないことだ。
でも、ルイズなら虚無の魔法を正しい方向に使ってくれるだろうと才人は思う。いろいろと今でも問題は多いけれど、奪う・騙す・
殺すという三つだけは絶対にやらない。それはルイズの貴族としての誇りでもあり、人間として正しく生きれているという誇りでもある。
だからルイズを、虚無を悪用しようとするものたちから絶対に守ろうと才人は決意している。
もちろんティファニアも、彼女だけでなく、彼女の姉代わりとして育ててきたロングビルや、彼女をしたう子供たちのためにも
絶対に助け出さねばならない。
ウェストウッド村の子供たちは、あのまま村に置いておくことはできないので、やむを得ずトリステインまで連れてきた。
アルビオンはだいぶ平和で安全になってきているとはいえ、まだ野盗や人攫いがいなくなったわけではなく、子供たちだけでは
万一のときにどうしようもない。
トリスタニアにある、修道院を改修した孤児院に彼らを預けたとき、才人たちは院長の神父さまに念を押して頼んだ。
「子供たちを、くれぐれもよろしくお願いします」
「神に誓って、お引き受けいたしましょう。ここにいる子供たちは、みな不幸な災いで親を失い、絆の尊さを知っている子ばかり、
きっとあの子たちも温かく受け入れてくれるでしょう。あなた方がお迎えにきてくれる日まで、彼らを飢えさせることはしません」
落ち着いた様子の壮齢の神父の答えに、才人たちはほっとした。この孤児院はトリステインが、ベロクロン戦で大量に出た
孤児たちを受け入れるために拡張したもので、今では国中から身寄りをなくした子供を引き受けて、引き取り手を探したり
する活動をおこなっている。
しかし、ずっと辺境の村で閉鎖された暮らしをしていた子供たちが、まったく環境の異なる場所で暮らしていけるかは心配だった。
それでも、彼らは気丈に胸を張って、一番年長のジムが皆を代表して才人たちに言ったのだ。
「ぼくたちなら心配いらないよ。テファおねえちゃんは、ぼくたちよりもっと大変なんだ。だから、おねえちゃんが帰ってくるときまで、
ぼくたちもがんばるから、おねえちゃんをお願いします」
才人たちの半分、やっと生きてきただけの年齢しかない彼らの言葉は深く心に染み入った。必ずティファニアは探し出してくる。
それまで待っていてくれと、涙ながらに彼らと別れた。
「みんな、大丈夫かな」
「心配要らないわよ。あの子たちは、みな強い芯を持っている。このくらいのことで負けはしないわ。それに、あそこは国の
直轄の孤児育英施設、人攫いとか悪党のつけいる隙はないわよ」
不安そうな才人を、キュルケが肩を叩いてはげました。以前は人身売買組織などが根を張っていたトリスタニアも、現在では
その手の組織は大元締めだったリッシュモン興の死亡以来、ほぼ壊滅状態になっている。子供が安心して育つことのできない
国に未来などないというアンリエッタと、人身売買を心から憎むミシェル以下銃士隊の徹底した掃討の成果だった。
「子供たちのことは心配しないで、今はティファニアを助け出すことだけ考えましょう」
「ああ、でもまったく手がかりがないんだ。どうしたもんかな……」
居場所さえわかれば、すぐにでも飛び出していけるのにと才人はデルフリンガーで壁を叩いた。「いてえよ、やつあたりすんなよ」
とデルフリンガーが文句をつけてくるけど、相手をする気にはならない。なにせハルケギニアは広いのだ。トリステイン、ゲルマニア、
ガリア、ロマリア、国の数は少なくても領土は広大であり、日本中を探すのにも匹敵する。
「まさか、怪しそうなところを片っ端から調べるわけにもいかないしねえ」
キュルケがつぶやいた方法は、もちろん論外。そんなことをするには何千人も必要になり、まったく現実的ではない。
考えに詰まった彼らは、エレオノールの提案で別のことから考えてみることにした。ティファニアがさらわれたことはもちろん
重大だけれど、シェフィールドはどうやってルイズたちの先を越したのか。
「聞いた話では、そのティファニアって子が虚無かもしれないってことは、そのときはあなたたちしか知らないってことになるのよね。
じゃあ、シェフィールドはなぜその子の存在を知れたのかしら?」
「それは、わたしも尋ねてみました、けど、しらばっくれられてしまって」
「ふん、肝心なところはきっちり隠しておくとはかわいげがないことね。しかし、タイミングから考えて、やつらが自力で見つけ出したとは
考えにくいわ。こちらの情報が漏れた、としか考えられないわね」
「でも、虚無に関することは他人に聞かれないように注意していたのに、そこまで詳しいことがわかるなんて」
虚無に関して重要なことを話すとき、誰かに『サイレント』の魔法を使ってもらって声が漏れないようにした。また、『ディテクト・マジック』で
盗聴される危険も排除してきた。仮にどこかからガーゴイルないしを使って監視していたとしても、遠巻きからでは得られる情報は
たかが知れているはずだ。
ところが、答えに窮しているルイズに対して、エレオノールは想像もしていなかったことを言った。
「内通者でもいるんじゃないの?」
「え……」
一瞬、言葉の意味がわからなかったルイズは絶句した。しかし、エレオノールは容赦なく続ける。
「秘密の漏れ方からして、私たちの近くに敵と通じてる人間でもいなきゃ説明がつかないわ。だいたいツェルプストーの人間なんて、
最初から信用がおけないし、そっちの陰気な小娘だってなに考えてるんだか」
「いいかげんにしてください! それ以上はいくらお姉さまでも許しませんわよ!」
ルイズは激昂して叫んだ。それでもエレオノールは、ルイズの反応くらいは予測していたように冷断に言う。
「へえ、許さないってどういうふうに? まさかこのわたしに魔法を使うとでも」
「そ、それは……」
口ごもったルイズをエレオノールは尊大に見下ろす。怒りも、長年かけてつちかわれた姉への恐怖に押しつぶされそうになった。
だがそこで、才人がルイズの肩を叩いて指の関節を鳴らしたのである。
「ルイズ、かまわないから吹っ飛ばしてやれよ。その後でおれもぶん殴るから」
「サイト……」
「へぇ、平民がずいぶん生意気なことを言うじゃないの。この私に対してその無礼、相応の覚悟があってのことでしょうね?」
エレオノールは杖を取り出して才人に向ける。高位の土のメイジにとって、たかが平民の剣士ひとり、生き埋めにするもゴーレムで
踏み潰させるもたやすい。しかし、才人はまったく臆することなくエレオノールを正面から睨み付けた。
「黙れよ」
「なんですって?」
平民が貴族、メイジに対して侘びを入れるどころか命令してきたことにエレオノールは驚いた。
「いくらルイズの姉さんでも、言っていいことと悪いことがある。おれの友達を侮辱されて、生意気もクソもあるか! 覚悟すんのは
あんたのほうだ」
「くっ!」
このときエレオノールははじめて平民に気おされた。カトレアに勝ったことがあっても、まだ才人をただの平民だとあなどっていたのが、
甘かったと思い知る。確かに、昔の才人ならエレオノールの威圧感にはなにを言われても対抗できなかっただろう。しかし、数々の
冒険や戦いを経て才人の心は強く鍛えられていた。
いや、それは才人だけではない。本来誰の心にでもある強さなのである。親が子を守り、兄が弟を守り、そして友を守る強さは
特別なものではなく、誰にでも宿ることができる。そして、強さはひとりだけのものよりも、束ねていけば無限に大きくなる。才人の
怒りが引火して、ルイズの心にも再び炎がついた。
「おねえさま、ルイズはずっとおねえさまの言うことには従ってまいりましたが、わたしにも譲れないものはあります。たとえ旧怨ある
ツェルプストーのものとはいえ、学友の名誉を踏みにじられてはわたしの誇りが許しません」
「ルイズ、あなた」
「謝ってください。キュルケとタバサに、でなければいくらおねえさまとて、虚無の威力をご披露することになりますわ」
まっすぐに杖を向けてくるルイズに、エレオノールも虚無の威力を想像してあとづさる。
だがそこで、姉妹の争いを静観していたキュルケが割って入ってきた。
「待ちなさいよルイズ、実の姉妹同士で争ってどうなるっていうの。そのへんでやめときなさい」
「ちょっとキュルケ! わたしたちは誰のために怒ってると思ってるの」
「だからこそよ。わたしたちのために姉妹で血が流れたら、それこそ後味が悪いわ。まあ、任せときなさいって」
キュルケは、いきりたつルイズを平然とした様子でなだめると、エレオノールにわずかな微笑を浮かべて向かい合った。
「さて、ミス・エレオノール。内通者がいるかもというあなたの説、現状を客観的に見れば間違ってはおりませんわ。ですけれど、
確たる証拠もなしに疑いの眼を向けられるのははなはだ不本意というもの。もしも、いわれなき侮辱を一時の気の迷いと
なさらぬのでしたら、ヴァリエールからツェルプストーへの挑戦状とみなして、傷つけられた誇りを回復するために全力を行使させて
いただきますが、そのお覚悟はありますか?」
「ぐっ……」
誇りを守るために全力を行使する。それはツェルプストーとヴァリエール、二大貴族による戦争を意味する。エレオノールは
キュルケの目に、顔は笑っていても激しい怒りが内蔵されているのを感じて、本気だと悟った。たかが口げんかから戦争とは
おおげさに思えるかもしれないが、この二つの家は何百年も前から争い続けてきた宿敵同士であるから、きっかけはわずかでも
本気の激突になりかねない。そこまではいかなくても、たとえばキュルケがエレオノールに決闘を申し込んだりすれば、貴族同士の
決闘は固く禁じられていることもあって、きっかけを作ったエレオノールは断罪され、母カリーヌの激怒を招くだろう。
この小娘がと、エレオノールはキュルケを睨んだ。だが、いわれなき疑いを向けて侮辱した事実は変わらないので、分は圧倒的に
エレオノールのほうが悪い。なによりも、ほんの軽口のつもりだったエレオノールには、キュルケの本気に対抗する覚悟がなかった。
「わ、わかったわよ。私が軽率だったわ。あなたたちの名誉を傷つけるような発言をしたことは謝罪するわ」
「ならけっこう。先の発言はこれ限りで水に流すことを誓約しますわ。それでいいわね、ルイズ、サイト、タバサ」
「ええ、いいわよ」
「おれもだ。さすがキュルケ」
最後にタバサが無言でうなづき、キュルケはいつもと変わらない笑顔を見せた。
支援
ルイズも才人も、見事にしてやってくれたキュルケに、おおいに溜飲がさがったようだ。賞賛のこもった視線を受けて、生来の
目立ちたがりであるキュルケも、充分な達成感を得れたようだった。
「ま、わたしたちがシェフィールドの一味と通じてるなんて、馬鹿馬鹿しいこと言うからよね。ねえ、タバ……あれ?」
見ると、ついさっきまでキュルケのそばにいたはずのタバサが消えていた。
はて? と思って見回してみると、いつの間にかタバサはシルフィードに乗って窓の外に飛んでいくところだった。
「どうしたのかしら? 突然出てくなんて」
「シルフィードのメシの時間かなんかだろ。タバサは真面目だからな」
才人がなにげなく言ったことで、キュルケもうーんと考えてうなずいた。
反面、エレオノールは少々気が抜けた様子で、気持ちを切り替えようとしているかのように眼鏡を拭いていた。
”まさか、この私がこんな小娘にやりこめられるなんてね。さすが、ツェルプストーの眷属というべきか……そういえば、
コルベールも何かにつけて生徒の自慢をするけど……ふぅ”
汚れを拭いた眼鏡を灯りに透かしてみて、エレオノールは落ち着いた心で自分のやったことを考え直してみた。
虚無を奪われたということで、機嫌が悪くなっていたとはいえ、確かに言いすぎたかもしれない。かりそめとはいえ、教師として
受け持った生徒を疑うとは醜い限りだ。怒ると物事が見えなくなる、ルイズにも共通する悪い癖だ。ただし、自己嫌悪する中で
エレオノールは自分に歯向かってきたルイズや、平民のくせに噛み付いてきた才人に、ある種の敬意を覚え始めていた。
”私に、なんの躊躇もなく歯向かってくるとは、無謀なのか勇敢なのか。しかし、この無茶さ加減でこれまで数々の戦いを
生き延びてきたのね……以前の地下書庫でも、彼らのクラスメイトたちは年齢に見合わぬほどの活躍を見せていた。普段は
ろくに授業を聞いていないくせに、私の目が曇っているのだろうか……?”
答えを見出せないままで、彼女は眼鏡をかけなおした。レンズが陽光を反射し、彼女の知的な感じを強調する。
そうして、一回咳払いをして場を仕切りなおしたエレオノールは、一同を見渡して話を再開した。
「あなたたち、シェフィールドの一味がどんな魔法なり薬なりを使って、虚無の担い手を洗脳しようとしているかはわからないけど、
一週間くらいの猶予はまだあるはず、そのあいだに奪還するわよ」
「どうしてそんなことがいえるんですか?」
「洗脳といってもピンからキリまであるのよ。一時的に思い通りに動かすくらいなら、高等なメイジであればできるし、ご禁制の惚れ薬
とかを使えば人格まで大幅に変えることができるわ。でもね、心を操るっていうのはそんな簡単なことではないのよ。ほんの数時間
操れればいいとかいうならともかく、効果が薄れたり切れたりするときは必ずやってくる。そして、同じ魔法をかけ続ければ本人への
負担も増していくのよ」
簡単なところでは、酒を飲み続けてストレスをごまかし続ければ、次第に心にダメージが蓄積されておかしくなっていくようなものだ。
魔法は使い手の精神状態に大きく威力を左右されるから、完全に心を壊してしまっては意味がない。ましてティファニアは換えの
利かない虚無の担い手なのだ。
「なるほど、奴らにとってはティファニアはいわばジョーカーってわけか」
才人がそう例えたように、失ったら二度と手に入らない切り札を、そう危険な手に使うとは思えない。ティファニアの心をある程度
維持して、なおかつ自分たちの意のままに動かせるようにするためには、時間と手間が大量に必要になるだろう。魔法を使うなら
スクウェアクラスの上級メイジ、薬にしても希少な材料を精密に配合して熟成させなくてはならない。
だが、それは裏を返すと、奴らはそれだけの準備をすることができるということに他ならない。そこに思い至ったルイズは、
背筋にぞっとするものを感じた。
「シェフィールドの一味は、それほどの組織力と資金力を持っているっていうの?」
「もしかしたら、敵はわたしたちが思ってるよりはるかに大きな勢力なのかもしれないわね。また、レコン・キスタみたいなのが
生まれようとしているのかも」
キュルケの一言で、ルイズはアルビオンを二分した戦いを思い出した。そういえば、アルビオンでウェールズとアンリエッタの前に
ヤプールが姿を現したとき、奴はレコン・キスタを操っていたものは別にいて、それをさらに利用したに過ぎないと言っていたそうだ。
世界の影に隠れて暗躍する謎の組織、目的はやはりハルケギニアの征服か? 国を動かすような相手に狙われているかもしれないと、
息を呑むルイズ。しかし才人は、それがなんだといわんばかりに軽く言ってのけた。
「んなことはどうでもいいんだよ。どこのバカだか知らねえけど、テファをさらうなんて真似したやつらを許しておけるか。シェフィールドめ、
テファになにかしたらただじゃすまさねえぞ」
「サイト、あんな不安はないの? 相手はレコン・キスタよりも強大な組織なのかもしれないのよ」
「だからなんだよ。テファをあきらめろってのか? 第一どんなご大層な目的があったとしても、女の子さらって言うこと聞かせようなんて
考えるようなやつにビビれるか。どこの誰がボスでも、いつか必ずしばきたおしに行ってやる!」
はぁ、とルイズは呆れた。まるで恐れてないどころか、敵をただの少女誘拐犯と言い切ってしまった。才人らしい無鉄砲な、青臭い
正義感。それに考えてみたら、近いうちにヤプールとの決戦に臨まなければならないというのに、悪の秘密組織ごときにやられては
いられない。すると、ルイズもなんだか腰が引けていたことが馬鹿らしく思えてきた。
「そうね。わたしたちはもっと大きな目的のために働かなきゃいけない。エレオノールおねえさま、そういうわけなので、ティファニアを
取り戻すためにお知恵をお貸しください」
「言わずもがなよ。さて、どこから調べたものかしらね」
意気があがるルイズたちとは裏腹に、エレオノールは頼られても仕方がないのにと考え込んだ。元気がよいだけで勝てれば
苦労はしない。だが、虚無の力が世界を揺るがすほど強大である限り、ルイズは今後も虚無にまつわる戦いに、否応なく巻き込まれて
いくということになる。そうなったとき、彼らのその無謀すぎるくらいの元気が困難を吹き飛ばす原動力になるかもしれない。
エレオノールは意気あがるルイズたちに、なんとか力になってやりたいと思った。わらにもすがるような思いだけれど、望みはかすかに
存在する。あの古代遺跡から発掘された碑文の残り、始祖ブリミルの時代の戦いの歴史を記録していたあの遺跡ならば、虚無に関する
なんらかの手がかりが存在しているかもしれない。ちょうど、今ごろは壊れた碑文の復元と解読も終わっているころだろう。終わり次第、
すぐに伝えに来てくれることになっていることになっているそれに、なんらかの希望があればよいのだが……
一方、ウェストウッド村から連れ去られたティファニアが、そのころどこにいたのか。
シェフィールドによって拉致されて、睡眠の魔法薬で深く眠らされたティファニアはそのままアルビオンから連れ出された。そしてそのまま
飛行ガーゴイルによって輸送された彼女は、ガリアに運ばれてジョゼフに眠ったまま引き合わされた。
「これが次なる虚無の担い手か……ハーフエルフとは、始祖の血もなかなかおもしろい演出をしてくれるものよ。よい仕事であったぞ、
余のミューズよ。これで余にはすばらしい手駒ができた」
グラン・トロワの最奥の一室で、ジョゼフは床に転がされたティファニアを見下ろして高らかに笑った。シェフィールドは、賞賛の言葉を
受けて極上の達成感を味わい、満面の笑みを浮かべた。
「お褒めいただき、感激にたえません。それでこの娘、いかがいたしましょう? 目を覚まさせて、お話になりますか」
「いや、無益であろう。無垢な乙女の顔を絶望に染めるのも一興かもしれんが、さすがに下品にすぎる。そうだな……おお! よいことを
思いついたぞ。やはりエルフの処理はエルフにまかせるとしようではないか」
「はっ、ではビダーシャル興にお預けすると……しかし、彼奴らが蛮人と忌み嫌う人間との混血児が、彼奴らがもっとも恐れる虚無の
担い手であったと知ったら、この娘を始末しようとするのではありませぬか?」
「ふふふ、できるならばそうしたいに違いない。しかしな、奴らにはそうしたくてもできぬ理由があるのだ。まして、奴は余との契約を
反故にすることはできぬ。どうしても心配なら、見張りをつけても構わぬぞ。そんなことより、ビダーシャルがこの娘を見て、憎悪するか
同情するかは知らぬが、どちらにせよ見ものであろう」
蟻の巣を掘り返して楽しむ子供のように、無邪気だが残酷な笑顔がジョゼフの顔に現れる。シェフィールドはうやうやしく頭を垂れ、
主人の楽しみに無条件で賛同するかのように微笑んでいた。
「では、さっそくビダーシャル興を呼んでご命令なさいますか?」
「まあ待て、ここでは人が多くてやつも仕事がしにくかろう。僻地で落ち着いて仕事ができるようにしてやれ。そうだな、この娘も自分の
母親の故郷を一度は望んでから心を失いたいだろう。同胞としての、余のせめてもの慈悲だ」
最後に、ジョゼフはティファニアの髪を優しくなで、「美しいものよ」と、つぶやくとシェフィールドに運び出させた。そうして、シェフィールドも
扉の外に去ると、ジョゼフは先程とは違う、喉を鳴らすような含み笑いを浮かべた。
「さて、これで虚無の担い手は我が手に入ったも同然……と、誰でも思うであろうな。しかし、伝説の虚無ともあろうものが、そう簡単に
一角を崩されるものかな? ふふふ……チェックメイトを目前に、どう運命のシナリオを描く。余を楽しませてみよ。始祖ブリミル?」
まるで、自分を含めた世界のすべてがゲーム盤の上の出来事だとでもいわんばかりの笑い。ジョゼフはテーブルの上のチェス盤から、
駒をひとつ掴み取ると、部屋にすえつけてある国宝の始祖の像に向かって投げつけた。
グラン・トロワから連れ出されたティファニアは、再び空路をガリアの奥深くへと運ばれていった。
そうして、さらわれた日から三日経ったとき、ティファニアは幼い日に戻ったような光景の中で目を覚ました。
「ここは……どこ?」
はじめに目に入ってきた天蓋つきのベッドから身を起こし、部屋を見渡したティファニアの目に飛び込んできたのは、まるで夢の国だった。
ベッドを中心に置いた広い部屋は白く清潔な壁紙と豪奢な調度品で彩られ、毎日寝起きしていた村の家とはまるで違う。自分の身なりを
確認すると、やはり豪華な寝巻きを着せられていて、ティファニアははるか昔に母親といっしょに過ごしていた日々のことを思い出した。
「おかあさま、どこ……?」
ウェストウッド村に住む前、アルビオンの大公だった父のもとで、なに不自由なく暮らしていた子供のころにティファニアは帰っていた。
これは夢の中だと思い、床に素足をつき、夢うつつな眼で室内を歩き回り、母親を探し回る。
しかし、窓際に立って外の風景を眺めた瞬間にティファニアは我に返った。
「これって……砂漠!?」
そこに広がっていたのは、地平線の先まで広がり渡る黄色い世界であった。文献で聞きかじり、母の昔語りにのみ登場してきたものが、
今目の前に現実として現れている。自分は、その砂漠の中にある丘に立てられた城の中にいるとわかったとき、ティファニアははっとして
自分の身になにが起こったのかを思い出した。
「そうだ! わたし、森に落ちた燃える岩を見に行って、そうして霧に包まれて……ここはどこなの? みんなは? わたしどうしちゃったの!?」
自分が理解不能な状況に立たされていると知ると、ティファニアはパニックに陥った。
そのとき、部屋の扉が開く音がして振り向くと、そこには幅広の帽子を被った長身の男性が立っていた。
「目が覚めたようだな」
「あなた、誰ですか?」
突然現れた見知らぬ男に、ティファニアは当然ながら警戒心を向けた。すると男は一瞬困ったような表情を見せ、部屋の中まで歩いてくると、
おもむろに帽子を脱いだ。
「私は”ネフテス”のビダーシャルだ。出会いに感謝を、と普段なら言うところだが、今回に限っては難しいな」
「エルフ……!」
あいさつをしたビダーシャルの耳が、自分と同じエルフの尖った形のものであってティファニアは驚いた。しかし、ビダーシャルは表面は
平静とした様子で、慌てているティファニアに言った。
「驚くことはあるまい。君もエルフなのだろう……もっとも、君の場合は半分だけのようだが」
「えっ! 私のことを知ってるんですか?」
「ああ、おおまかなことはな。少なくとも、今君をどうこうしようというつもりはない」
敵意はないと、ビダーシャルは部屋の隅のクローゼットに歩み寄った。その中から、ティファニアがさらわれたときにかぶっていた帽子を
取り出してきて渡すと、受け取った彼女は帽子をぎゅっと抱きしめた。
「あなたが、わたしをここに連れてきたんですか……?」
初めて見る母以外のエルフに、ティファニアはおびえながら問いかけた。
「その質問に対する答えなら、否だ。ここは、ガリア王国の東端の国境上にあるアーハンブラ城というところだ。我はただ、ここに来て
お前の相手をしろと命じられたにすぎん」
「アーハンブラ……確か、何度もエルフと人間が争った場所ですね」
「そうだ。よく知っているな」
「母から、聞かされたことがありますから……教えてください。ウェストウッド村は、村の子供たちはどうなったんです? いったい誰が、
こんなことをさせてるんですか?」
「質問には順に答えよう。最初のほうは、我は聞いていない。次のほうは、依頼人の名はガリア王ジョゼフという。その男が部下に命じて、
お前をここに連れてきた」
「ガリアの……王様!?」
想像もしていなかった答えに、ティファニアの目が丸くなった。それと同時に、ジョゼフのことを言うビダーシャルの口調に、露骨な嫌悪の
色が浮かんでいたことに気がついて、彼女の困惑はより深くなる。
「どうしてガリアの王様が、私をさらうんですか。それに、どうしてエルフが人間に従ってるんですか?」
「質問は一つずつにしたまえ。我らの名誉のため、あえて後の質問から答えるが、我らにも事情というものがある。ハルケギニアで
起きていることと同様のことが、サハラでも起きている。我はネフテスの代表として、異変の根源を突き止めなければならない。
蛮人の王と契約をかわすのも、その一端だ。そしてもう一つ、この地で目覚めようとしている悪魔の力の復活を阻止しなければならない」
「悪魔の力?」
「人間たちは虚無の系統と呼んでいる魔法のことだ……世界を滅ぼすほどの力を誇り、かつてエルフの半分を死滅させたといわれている。
その力は蛮人たちの聖者の血筋から現れ、いずれまた大厄災を引き起こすと我々は恐れてきた……しかし、まさか我らの同胞の
血筋から、その担い手が現れようとは想像もしていなかった」
ティファニアは、突然ビダーシャルの自分を見る目が鋭くなったのにびくりと怯えた。そして、彼の言った言葉の意味を吟味すると、
その意味の持つ恐ろしさに身を震わせた。
「まさか……その悪魔の力の担い手って」
「そう、君のことだよ」
ビダーシャルはそこで、ティファニアにすべてを明かした。記憶を奪う魔法が虚無であること、そのためにジョゼフが自分を欲していること、
思い通りに操れるように心を奪わせようとしていることなど、一切を包み隠さず教えた。
「心を奪うって、そんなっ!」
「それが、我がジョゼフの協力を得るために必要なことなのだ。それに、悪魔の力が見つかったのなら制御する必要がある。本来なら、
殺害するべきなのであろうが、そうすれば別の誰かが悪魔の力に目覚める。そういうふうにできているのだ。我としても、この条件は
呑まざるを得なかった」
淡々と告げるビダーシャルに、ティファニアはしだいに怒りが胸に湧いてくるのを抑えられなかった。
「わたし、ずっと思ってた。エルフは母のように優しい人たちばかりだって! なのになんで、そんなひどいことをしようとするんですか。
わたしが、わたしが混じり物だからですか?」
「優しさ、というがそれにはいろいろな種類がある。我は、サハラの同胞たちの安全を第一に考える義務がある。ただし、個人的には
君に対して深く同情している。生まれをどうするかを、選んで生まれてこれるものはいないからな」
ビダーシャルの言葉はやはり淡々としていて、本心を告げているのかどうかティファニアにはわからなかった。
ただ、どうしようもないということだけは嫌というほどわかった。ここは見も知らぬ異郷の地、逃げ出すところはない。また、当然ながら
杖も取り上げられていて、唯一の頼りである『忘却』の魔法を使うこともできなかった。
絶望して、カーペットの床にへたりこんでしまったティファニアに、ビダーシャルは少しのあいだ目を閉じてじっとすると、やがて踵を返した。
「水の精霊の力で、心を操る薬が完成するまで十日ほどかかる。それまでは城の中に限るが、自由にふるまうといい。望みがあれば
使用人に告げれば、たいていはかなうようにしてある」
それが、ビダーシャルのティファニアに対するせめてもの侘びだったのであろうか。ティファニアにはわからないし、意味のあることでもなかった。
だがせめて、せめてエルフと会えたのなら言っておきたいこともあった。
「待ってください」
扉を閉めていこうとするビダーシャルをティファニアは呼び止め、彼は扉を半開きのまま振り返った。
「なにかな?」
「ここは、人間とエルフの国境線だとおっしゃいましたよね。ということは、この砂漠の先に、エルフの住む場所……わたしの母の故郷が
あるのでしょうか?」
「そうだ。その砂漠を超えて、さらにその先に我らの故郷サハラがある。それがどうしたのだ?」
「お願いがあるんです。わたしの母は、最後までわたしに人間の世界に危険を冒してまでやってきた理由を教えてはくれませんでした。
母がなぜアルビオンにやってこなければいけなかったのか、母はどういう人だったのかを知りたいんです!」
必死に訴えるティファニアの言葉を、ビダーシャルは黙って聞いていた。だがやがて、わずかに憂えげな表情を覗かせると、扉を
閉めなおしてティファニアに向かい合った。
「母君の名前は、なんというのだ?」
「普段は、世を忍ぶためにティリーという偽名を使っていましたが、父だけは母のことを”シャジャル”と呼んでいました」
するとビダーシャルは、ふむと考え込む仕草を見せた。
「我らの言葉で、”真珠”を意味する名前だな。よろしい、調べてみよう。人の世界に出て行ったエルフはまずおらぬから、何かしらの
記録が本国に残っておるかもしれぬ」
「本当ですか?」
ティファニアの顔がわずかに明るくなると、ビダーシャルは視線をそらして背を向けた。
「保障はできかねるが誠意は尽くそう。しかし、結果がどうであれ、我はそのことを変化なく君に伝えることになる。その覚悟だけは
しておきたまえ。そして、結果がどうであれ、十日後には我は君の心を奪うことになる」
あとは何も言わずに、ビダーシャルは立ち去っていった。
残されたティファニアは、ただ一人残された孤独感からしばらくの間すすり泣いた。
それから何時間か経ったのだろうか、泣くことにも疲れたティファニアはなにげなく城の中を歩き回った。
城内はきれいに整えられていて、砂漠の小城だというのに宮廷のような趣があった。しかし、人影はほとんど見えなく、生活観の
なさが冷たくも感じられる。たかが少女ひとりを幽閉するのに兵士は必要ないということであろうか、城門までまったく邪魔されずに
着いたティファニアは、分厚い鉄の壁にさえぎられた。
「やっぱり、逃げられっこないわよね」
自分が籠の鳥だと思い知らされたティファニアは、なにをすることもなく城の中を散策した。途中、黒いローブをまとった男と会い、
生活の世話は任されていると告げられた。ローブで深く顔を隠しているので容姿はわからないものの、きっと彼がビダーシャルが
言っていた使用人なのだろう。
その後は、ビダーシャルが薬の精製をしているらしい塔にだけは立ち入れなかったものの、ほかの場所にはすべて立ち入ることができた。
「ほんとうに、ここは夢の国ね」
自嘲を込めて、ティファニアは城の中庭にある池のほとりに腰掛けてつぶやいた。ここでは、自分はお姫様だ。普通の女の子が
望むような豪華な生活はすべてかなう。だが、自分がほしいものは何一つここにはない。夢の国の形をした悪夢の牢獄でしかないのだ。
「ジム、エマ、アイ、みんな大丈夫かな……」
できることは、子供たちの無事を祈ることだけだった。
そのとき、池の中から小さなトカゲのような生き物が浮いてきて、ティファニアがすくいあげると瞬時に子馬ほどの大きさに変わった。
「あなた、わたしを慰めてくれるの?」
長い間、森の中で動物たちと過ごしてきたティファニアは、恐れることもなく、その大きなトカゲのような生き物をなでた。すると、
その生き物は嫌がらずに気持ちよさげに鳴いて、ティファニアの手に顔を擦り付けた。
「あなた、不思議なにおいがするわね……そうか、この池は地面の中で外の世界とつながっているのね。うらやましいわ、わたしに
水の中で息ができる力があったら、ここから逃げ出せるのに」
自分が自分でいられるのは、あと十日。けれど、それが今すぐであったとしても別に変わりはないだろう。自分の人生は、こんな
ところで終わってしまうのか。ティファニアは運命の残酷を呪い、まぶしく照りつける砂漠の太陽を仰いで思った。
塔の頂上の部屋から、ビダーシャルはたそがれるティファニアを見下ろしていた。
「すまないな」
口をついて出た言葉は、ビダーシャルの本心であった。先に、ティファニアに言ったことのすべてにも嘘はない。
人間とエルフの混血であるハーフエルフ。それは誇り高いエルフにとって忌むべき象徴であるが、ビダーシャルは無抵抗な
ものをいたぶる趣味は持ち合わせていない。
しかし、感情と使命とは別個である。同情はしても、それで使命感までは曲がらない。
ビダーシャルは部屋の隅に立てかけてある鏡に向かって、なにやら呪文を唱えた。すると、鏡がぼんやりと光って、部屋の
光景ではない別のものを映し出しはじめた。
「聞こえているか? お前の協力が必要になった。すぐにこちらに来てもらいたい」
「あら叔父様、なにかおもしろそうなことが起きたんですの? ふふっ、こちらに来てから毎日が刺激の連続ね」
鏡の向こうから、まるでトラブルを楽しんでいるような若い女性の声が部屋に響いた。
続く
来週に続きます。
>>648 >>653の方、支援どうもありがとうございました。
原作でもティファニアはさらわれてますが、今作では違うタイミングで拉致されたということにしました。
しかし原作でもルイズをさらおうとしているし、アニメでもシェフィールドはウェストウッドに乗り込んできたので、実際にこうなる可能性はあったと思います。
でも、20巻のテファは大胆ですよね。やっぱアニメをまた作ってほしいです。地上波でダメでもDVD買うぜ。
と、話が逸れましたが、ティファニアがメインの新編のスタートです。5月からも情熱と愛を注いで書いていきますので、これからもよろしくお願いします。
最後に、サコミズ隊長を演じられました田中実さんにご冥福を心よりお祈りいたします。
BLAME、ウルトラ5番目 お二人とも乙です。
二人とも乙
ウルトラQが総天然色でリメイクされたそうだけど、ピーターはどんな色になったのかな
>>627にもあるけど、使い魔はじめましたが代理に来てるよ
ウルトラ5番目の使い魔作者さん、乙でした。
ガリアでテファ囚われ……最後の出番ではガリアにいたジャスティスがどう動くやら。
っつーか、才人たち、今回は内通者であってるけど、ディテクト・マジックじゃ宇宙人の
技術とか超能力は見破れないことにそろそろ気づけ。相手は怪獣とか操ってる点で
ハルケギニア外の技術持ってんの明白なんだから。
使い魔はじめました、乙。
伯爵さまじゃなかったか
伯爵さまはキュティと新婚旅行中でお忙しいに違いない。
よろしければ、55分ごろから投下を開始します。
おk
〜第8話 ゼロと雪風の邂逅〜
教室の窓から首を差し込んだシルフィードは、主の背中を眺めていた。未だ自身の魔法で
ボロボロなままのルイズは、無言のまま机を拭いている。
あの爆発の後、ルイズは意識を取り戻したシュヴルーズに、教室の後片付けを命じられたのだ。
災害の再発防止なのか、魔法の使用禁止という措置付きで。既にあの妖しい仮面の妙な力によって
教室のほとんどは修復されていたが、それでもまだ破壊の跡は点々と残っている。
ちなみに、授業自体は別の教室で続けられることになっていた。
それにしても、あの仮面はやはり怪しい。あの力は、明らかに人間の魔法とも、そして精霊の
力とも違う。あんな奇怪な力を使うとは、ますますもって危険な仮面だ。
――大体、見た目からして趣味悪すぎだもの。例えシルフィが許しても大いなる意思があの
不気味っぷりを許さないのね。あのヘンテコな色だってどういうはしゃぎかたなのよ、
ジャイアントモールにでも食べられればいいのだわ、きゅい!
そこまで考えると、何故か思考があの気味悪仮面への非難に変わっていたことに気が付き、
軌道修正する。
とにかく、教室の傷跡を、自身の魔法の成果を処理している間、ルイズはずっと無言だった。
何も言わず、ただ手を動かし続けている。
ずっと、肩を落とし、俯いたままで。
そんなルイズの姿に、シルフィードの胸はかき乱される。
正直にいって、ルイズの失敗には失望していた。物質を別の何かに変換させる魔法、しかし、
その結果は本来のそれとは全く関係のない、爆発というもの。しかも、他の生徒の反応を見るに、
それは今回に限った事ではないようだった。偉大な古代の眷族である自分を呼び出した以上、
彼女はすごい才能を持っているものとばかり思っていたが、実際はその反対だったのだ。それを
まざまざと見せつけられた時、シルフィードは心底がっかりしてしまった。
しかし、ルイズの今の姿を見ていると、呆れの感情はなりをひそめてしまう。もの一つ言わず、
顔を上げようともせず、ただ爆発で煤けた机を拭く動作を続けるルイズ。彼女の落胆がシルフィードの
比ではないことは、その姿から明らかだった。今は、ルイズはシルフィードに背を向けているため
表情は判らないが、きっとその顔は苦渋に歪んでいることだろう。それを思うと、シルフィードの
胸がいやに痛んだ。
――ルイズ様、落ち込んでるのね……
その考えが、心を苛む。
確かに、ルイズは当初思っていたような、立派な魔法使いではなかった。自分が召喚される
時に期待していた、一族への土産話になるような知識の吸収は、きっと望めないだろう。
しかし、シルフィードはそのことでルイズを貶す気にはなれなかった。ルイズは、自分が
召喚に応えたことを、とても喜んでくれたから。召喚された自分に、とても優しくしてくれた
から。
だから、ルイズの辛そうな後ろ姿を眺めていることは、ひどく胸を苛ませた。
――慰めてあげたいのね、でも、どうすればいいのか判んないのね……
何をしてあげるべきか、なんと声を掛けるべきか、見当がつかず、やきもきする。歯がゆさ
ばかりが募る中、小さな呟きが聞こえてきた。
「笑っちゃうわよね……」
自嘲じみた響きの声に、シルフィードはルイズの姿を見直す。
「貴方は、伝説の幻獣、風韻竜……」
言いながら、ルイズが首だけを振り向かせた。俯き気味のその顔は、前髪に隠れてよく見えない。
「けど、私は魔法一つ満足に使えない、ゼロ……」
“ゼロ”の単語を口にする声が震えている。
「笑っちゃうわよね……、使い魔に全然釣り合ってない主人だなんて……」
言葉づかいは軽く、けれど、その声音はとても重たい。
「莫迦みたいね、私……、貴方を呼んだからって、それで私が失敗しなくなる保証なんか
なかったのに」
言われ、シルフィードは昨日のルイズの言葉を思い出した。
“よかった……ちゃんと、来てくれた……成功、できた……”
今になって、理解する。何故ルイズが自分を、風竜を召喚したことであんなに喜んでいたのかを。
“そうね、そうよね! とうとう努力が実ったんだわ! 私だってヴァリエール公爵家の娘
なんですもの、いつか大成するって信じてたわ!”
“見てなさいよ、あいつら! なんたって風韻竜を使い魔にしたんだから! これでもうゼロ
だなんて呼ばせないわ!”
今になって、思い知る。何故自分が風韻竜だと知った時、あれほど笑顔を輝かせていたのかを。
それは、単に高等な存在を使い魔に出来たからではなかった。それまで失敗ばかりだった
自分と、決別することができたと思えたからだったのだ。
しかし、現実は残酷だった。高位の幻獣種である自分を召喚したにもかかわらず、それは
ルイズの成長を意味してはいなかったのだから。
それが判ったその時、ルイズがどれほど愕然としたことか。彼女の心が、どれほど打ちのめ
されていることか。想像しただけで、胸が張り裂けそうになる。
「本当……莫迦だわ、私……」
口許に哀しい笑みを浮かべながら、ルイズの自嘲が続く。刹那、その横顔に一筋の光が流れた。
前髪に隠された、瞳の辺りから。
それを見た瞬間、シルフィードの中で何かが弾けた。
「ルイズ様!」
自分でも、驚くほど大きな声。その呼び掛けに、ルイズはびくりと、涙にぬれた顔を向けて
きた。
「な、なによ、喋ったらいけないって約束だったでしょ!」
顔を服の袖で拭いつつ、ルイズが叱りの言葉を投げてくる。それに怯まず、シルフィードは
再び口を開いた。
「ルイズ様は、ゼロなんかじゃないのね!」
毅然と、その言葉を言い放つ。瞳を真っ直ぐに見つめての訴えに、ルイズは驚いた様な表情を
浮かべた。
「ど、どうしてよ……?」
使い魔の言葉に戸惑っているのか、ルイズが視線を泳がせ気味に聞き返してくる。
「どうして、そんなこと言うのよ?」
ただでさえ力無げなその声は、語尾の方では消え入りそうだ。それを口にする表情も、まるで
萎れた花の様に弱々しい。
それを見てとり、シルフィードはまた力いっぱい想いを言葉に変える。
「ルイズ様が本当にゼロなら、私は今ここにいないわ! 今頃、巣の中で長老様たちのお説教
聞いているか、家族と一緒にお祈りしているかなのね! きゅい!」
顔を引き締めて力説するが、ルイズはそれに寂し気な苦笑で返してくる。
「でも、それだってほんのまぐれかもしれないじゃない」
弱気なことを言う主に、シルフィードはぶんぶんと頭を振る。
「まぐれでもなんでも、ルイズ様はシルフィを召喚しました! これは間違いないわ! そして、
シルフィは偉大な韻竜なのね! そんな私を召喚したのだから、きっとルイズ様も偉大な魔法使いに
なるはずだわ!」
言いながら、シルフィードは思考がごちゃごちゃとしていくのを感じた。言葉を続ける度に、
頭の奥が熱くなってくる。
「それに、ルイズ様は私に優しくしてくれたもの。私が困ったことにならないようにって、色々と
考えてくれたもの」
言葉が止まらない。なのに、言いたいことがまとまらず、余計に心が乱れていく。
「それに、シルフィードって新しい名前もくだすったわ。素敵な名前で、すごく嬉しかったのね」
「シルフィード?」
声が何故かくぐもっていた。感情が昂り、わけが判らなくなる。それでも、慰めの言葉を
掛けるのをやめようとはしない。
「それに、それに……」
しかし、上手く言葉が出てこなかった。頭が熱くて、何を言ったらいいのか判らない。どうにも
ならずに声を詰まらせていると、柔らかな感触が頬に触れた。見れば、いつの間に傍まで来て
いたのか、ルイズがシルフィードを撫でてくれている。
「もう、なんであんたが泣いているのよ?」
言われてみて、気付く。いつの間にか、自分の方が涙を流していたことを。軽く頬を舐めて
みれば、塩の味が舌を刺した。
そんなシルフィードの頭を撫でながら、ルイズはふっと笑ってみせる。
「判った」
「きゅい?」
「判ったっていったの」
言うなり、ルイズはそっぽを向いた。その横顔には、微かな赤みが差している。
「まったく、使い魔のくせにご主人様を慰めようだなんて、ホントに不敬なんだから……」
次いで、ルイズの口から出てきたのは、そんな言葉だった。額面通りに捉えればきついものが
あるが、もちろん賢明な韻竜であるシルフィードは主の真意をちゃんと判っている。何故なら、
そういうルイズの口許には、柔らかな笑みが浮かんでいたのだから。
「でも、ご主人様を助けようっていう忠誠心には、報いないといけないわよね」
言うなり、ルイズはシルフィードに目を合わせてきた。
「だから、ありがとう、シルフィード」
そう言ったルイズの表情は、とても華やかな笑顔だった。先程までの、自嘲と自虐に満ちた
顔とはまるで違う。明るく、優しい光を灯した、綺麗な笑み。ボロボロの姿にあってさえ、その
姿は輝いて見えた。その微笑に、シルフィードは一瞬見惚れてしまう。
さっきの萎れた花じゃない、艶やかに咲き誇る、大輪の花。その眩い様な微笑みが、美しいと
素直に感じさせた。
そんな笑顔を見せてくれたことに、そして自分に礼を言ってくれたことに、シルフィードの
心は感極まる。
「きゅい! よかった、ルイズ様、元気になってくれたわ! きゅいきゅい!」
「わっ、ちょっと、シルフィード!?」
感動のまま、シルフィードはルイズの顔をぺろぺろと舐め始めた。流石にルイズは困惑した
顔を浮かべるが、喜びに沸くシルフィードは止まらない。
ルイズが元気を取り戻してくれたことが嬉しかった。もう泣いていないことが嬉しかった。
そして、自分に笑顔を見せてくれたことが嬉しかった。そんな歓喜の想いを舌に乗せ、何度も
何度も舐め続ける。
「でも」
やがて、気持ちが落ち着いて舌を止めると、ルイズがシルフィードを見据えて口を開いた。
よだれでべとべとになった顔や髪を、ハンカチで拭いながら。
「人目がないからって、こんなところで言葉を話したのは事実だからね。次に喋ったら、
ご飯抜き」
「きゅい!?」
思いもよらない発言に、シルフィードは目を見開く。
「ひどいのね! 横暴なのね! 断固然るべき抗議を訴えるのね!」
「駄目よ。それが嫌なら、ちゃんと約束守りなさい」
「きゅいー……」
自分の抗議をまるで取り合わず、厳しい眼をむけるルイズに、シルフィードは情けない声を
漏らした。どうやらこの小さなご主人様は、意外とおっかない性格だったらしい。
でも、とシルフィードは思う。少なくとも、さっきの哀しい表情、あんな顔をされるくらい
なら、今のちょっと怒った様な顔の方がよっぽどましだ。
恐らく、魔法の得意でないらしいルイズは、これからも失敗することは多いだろう。そして、
きっとその度に劣等感に苦しむだろう。
なら、その時は自分が彼女の支えになろう。彼女が挫けそうな時は、自分が彼女の背を押そう。
彼女の使い魔として。
シルフィードが新たな決意を誓っている一方で、ルイズは何かに気付いた表情を見せる。
「そういえば、あの子にもお礼言わなきゃね」
あれから、ルイズは急いで片付けを終わらせた。シルフィードの励ましで沈んだ気持ちが
浮き上がり、効率が上昇したのが大きい。とはいっても、結局終わった頃には2時限目の授業も
終わる時間になってしまったが。
そして、一仕事を終えたルイズは、ボロボロになった服の着替えもそこそこに、今はある
人物を探している。といっても、相手の居場所は簡単に見当がつくのだが。
自分のクラスの、次の授業があるはずの教室へ向かうと途中で目当ての人物を発見する。人一倍
小柄な背丈に、青い髪、身長より長い杖に、付き従う奇妙な3体の使い魔たち。恐らく次の
教室へ向かっているのだろう、静かに歩くタバサの背中を見つけることができた。それを見て
取ると、ルイズは彼女に近づきながら声を掛ける。
「ええと、ミス・タバサ?」
背中へ向けて呼び掛けると、彼女は足を止めて振り返った。続いて、彼女の使い魔たちも
こちらを向いてくる。ルイズは行儀の悪くならない程度に早足で追いつくと、彼女に礼を述べた。
「さっきのこと、お礼を言うわ。ありがとう」
「?」
一方、述べられた方は意味が判らないとばかりに首を傾げる。
「ほら、教室のことよ。私の、その、ほら、し、失敗の片づけをしてくれたじゃない」
説明とはいえ、自分の失敗を口にするのはあまりいい気がしない。恐らく自分の頬は引きつって
いたことだろう。そして、それを聞いたタバサは無表情ながら、合点がいったとばかりに頷いた。
教室の片づけをしている間、ルイズはそのことが気になっていたのだ。失敗による落胆は
シルフィードの拙いながら一生懸命な言葉で払拭されたが、代わりに自分の失敗の後始末を
してくれた相手への感謝が心を占めていた。もし彼女が教室の修復を大部分終わらせておいて
くれなければ、ルイズが片付けはさらに時間がかかっていたことだろう。
「私じゃない」
「え?」
しかし、返ってきたのは意外な言葉だった。次いで、彼女は杖の先で傍らの少年と宙に浮く
仮面――サイズは教室で見たより縮んでいた――を指し示す。
「使い魔たちがやったこと。お礼は彼らに言うべき」
そう言われ、ルイズは戸惑った。基本的にトリステインの貴族は気位が高く、ルイズもその
例に漏れていないことは自覚している。そのため、ルイズは他人に頭を下げるのが苦手なのだ。
先程はシルフィード、今はタバサに礼を言ったものの、前者は自分のために涙を流す彼女を
あやす様な意味もあったし、後者は同じ貴族だ。
しかし、他人の使い魔、それも平民とマジック・アイテムに礼を言うとなると、どうしても
二の足を踏んでしまう。
とはいえ、ルイズは貴族だ。受けた恩義を無視するということは、彼女の理想とする貴族の
道に反する気がする。なので、意を決して礼を口にしようとすれば、黒髪の少年がそれを遮った。
「いや、お礼はムジュラ、このお面だけでいいよ。俺はこいつに言われなきゃ、特に何かする
つもりはなかったんだ」
「だから、仮面といえ」
憮然という仮面を前に、ルイズはますます迷う。平民の少年も一緒というなら、まだ謝礼に
踏み切ることができた。大抵は単なる労いだろうが、平民に礼を言う貴族はいないではない
からだ。しかし、この気味の悪いマジック・アイテム単体に頭を下げるというのは、流石に
どうだろうか。その上、この仮面は自分の使い魔がひどく警戒している。そして、実際に間近で
対面してみれば、その懸念が正しく思えてきた。なんだか判らないが、妙な妖しさを感じさせる。
そんな相手に頭を下げるのは、どうにもためらわれた。
どうしたものかと悩んでいると、今度は仮面の方が声を発する。
「オレとて、礼といわれてもな。単に親近感で気まぐれを起こしただけだからな」
面倒くさそうなその言葉に、ルイズは助かったと思うよりもむっとする。
――か、仮面のくせに、この私の感謝が必要ないっていうの!? 仮面のくせに! 不気味なくせに!
色遣いもヘンテコなくせに! ジャイアントモールにでも食べられればいい様な見た目のくせに!
怒りのままにそこまで思うと、何故か“似た者主従”という単語が頭をよぎった。それに首を
傾げる間もなく、黒髪の少年が怪訝とした声を上げる。
「親近感って、お前がこの娘(こ)にどんな親近感わくんだ? 似ても似つかないじゃん」
先程から自分を貴族と思ってもいない様な無礼な物言いに眉根が上がるが、彼の言う通りだ。
親近感とこの仮面はいうが、こんな悪趣味な仮面と自分に共通するものがあるなどとは思えない。
むしろ、あって欲しくない。
しかし、謎の仮面が次に発した言葉は、想像すらできないことだった。
「自分でいうのもなんだが、オレも強大な力を弱めている身だからな。本来強い力を持って
いるはずなのに上手く扱えんでいるこの娘が、他人事に思えなかったんだよ」
初めは、何を言われたのか判らなかった。次第にその言葉の意味を理解していくと、胸の
鼓動がはやりだす。
――私が、強い力を持っている……?
そのことを問い質そうと口を開こうとすれば、既に仮面の主であるタバサが問い掛けていた。
「どういう意味? ルイズの力とは?」
「言葉通りだ。結果は失敗とはいえ、たかだか物質変化程度に使う魔力で教室を半壊させる
威力を産むんだ。今はつぼみにもなっていないような才能らしいが、開花すれば相当な大輪に
なるだろうな」
その言葉に、ルイズの胸が激しく揺れる。その動揺は、我知れず言葉として飛び出した。
「で、でも! 私はずっと失敗ばっかりだったのよ!? どんな魔法使っても、どんなに練習しても、
いっつも失敗して、爆発してばっかりで……」
言いながら、切なくなってきてそこで言葉を切るが、何故か少年が変な顔をする。
「爆発ばっかりって、失敗っていう割にはやけに結果が安定してるな?」
訝しげに言う少年に、ルイズは眉をひそめた。
「どういう意味、それ?」
険のある声で聞き返せば、少年はたじろいだ風に言葉を重ねる。
「いや、ほら、魔法のことは俺はよく判らないけど、失敗ってさ、もっといろんなもんになるんじゃ
ないの? 普通さ、失敗ってどうなるか予期できないもんじゃないか」
言われて、ルイズははっとする。思えば、ルイズの失敗は爆発だけだった。火、水、土、風、
そしてコモンマジック、それぞれ性質の異なる魔法にも関わらず、爆発以外の失敗しかしなかった。
考えてみれば、おかしな話だ。普通、魔法を失敗しても爆発はしない。通常の魔法の失敗は、
何も起こらないこと。呪文の効果が表れないことを指す。だから、爆発という異常な失敗に
屈辱を感じてきたのだが、何故“爆発以外の失敗をしないのか”ということなど考えたことも
なかった。確かに、性質が違う魔法でも失敗の結果、現れる効果が常に同一というのは、奇妙に
思える。
その考えに取り付かれ、沈黙していると、それまで黙っていた羽の生えた光が声を掛けてくる。
「失礼、よろしいですか?」
「え、ええ。何?」
「結果が同じということは、個々の失敗における原因が同じだからじゃないかと思うんですが、
失敗の原因はなんなんです?」
言われ、ルイズは困ってしまう。
「知らないわよ、家族も、先生たちも、誰も爆発の理由を言えなかったんだもの」
口調が、少し拗ねたものになってしまった。周囲の誰もが、自分の爆発を笑うだけで、その
意味を深く考えようとはしなかった。だから、ルイズはがむしゃらな努力を続けるしかなかったのだ。
それを聞き、仮面と少年がまた言葉を発する。
「やれやれ。ということは、あの連中、相手の失敗の原因を言い当てることさえできんくせに、
相手を侮辱してたわけか。程度の低いことだな」
「でもよ、誰も原因が判らないなら、もしかして原因がないんじゃねーの?」
「原因のない失敗を、失敗とは呼ばない」
「それもそうか」
そんな会話をする両者に、ルイズは戸惑う。既に、相手の無礼に対する怒りはない。むしろ、
こんな風に自分の魔法のことを考えてくれることへの、困惑の方が大きかった。
それを使っている、当のルイズでさえ、冷静に自分の爆発する魔法を考察することが、できて
いなかったのだから。
そこで、また羽付きの光の声が耳に届く。
「ルイズ様でしたよね? ワタシの相棒のことを、聞いていただけますか?」
「あんたの相棒? 別にいいけど」
では、と前置きして、光は話しはじめた。
「ワタシの相棒は、コキリ族という種族でした。コキリ族は、皆私のような存在を自分だけの
相棒として持っているんです」
「メイジと使い魔みたいね」
光は、頷くように一度身体を傾ける。
「でも、ワタシの相棒は、ワタシが彼の許へ行くまで、相棒がいなかったんです。そのことで、
彼はずっと半人前と呼ばれ、莫迦にされていました」
ルイズは息を飲んだ。周囲が持っているはずのものを、1人だけ持っていない。自分の境遇と
酷似している。
「でも、後になって彼に相棒がいなかった理由が判ったんです」
「なんだったの?」
思ったより大きな声で聞いていた。会ったこともないその相棒とやらに、感情移入してしまった
からだろうか。
「その、改めて考えるとお粗末な話なんですけど……」
何故か言い難そうにしながら、羽のある光は答えた。
「彼はコキリ族でなく、人間だったんです」
一瞬、沈黙が訪れる。
「つまり、コキリって種族じゃなかったから、相棒がいない方が普通だったってこと……?」
「はい」
その話に、ルイズは呆れてしまった。聞き終えてみれば、確かにお粗末な話だ。しかし、次に
聞いた言葉こそ問題だった。
「それで、ルイズ様も同じじゃないかと思うんです」
刹那、ルイズは光を睨みつけるが、光は慌てて続けた。
「いえ、ルイズ様がメイジじゃないといっているんじゃないんです」
だけど、と光は続ける。
「あの失敗、誰もが原因が判らない様な特異な代物なら、失敗の一言で済ませていいものでは
ないと思うんです。もっと大きな視野で見ないと、正しい答えに辿り着けないんじゃないかって
思うんです」
ワタシの相棒みたいに、と締めくくり、光は一礼した。
「そうかもしれない」
そこで、タバサが声を発すると、ルイズのすぐ前までやってくる。無表情な彼女に間近で
見上げられ、少したじろいだ。
「な、なに?」
「私も、貴方の爆発を、ただの失敗としか見ていなかった」
怒りが胸の内で熱を持つ。判っていたことではあるが、面と向かって言われてはやはり悔しい。
「悔しい」
「……は?」
しかし、次の一言に、間の抜けた声が出た。
「貴方の爆発の特異性に、何も気付けなかったことが悔しい」
「そ、そう……」
続いた言葉に納得いくが、どうにも調子の狂う少女だ。無表情で、何を考えているのか掴めない。
「これだけはいえる」
「?」
「不本意かもしれないけど、貴方は爆発という特異な性質を操れる。少なくとも、ゼロじゃない」
顔が熱くなるのを感じた。真顔でそんなことを言われるとは、思ってもみなかったのだ。
――ゼロじゃない……
先程シルフィードに言われた以上に説得力があるその言葉に、ルイズの鼓動は激しく踊る。
「あ、ありがとう、タバサ……」
「思ったことを言っただけ」
礼はいらないと言いたいのだろうか。口数の少ない級友に、くすりと笑いが漏れる。
「なら、私もいいたいことを言っただけよ」
次いで、ルイズはタバサの使い魔たちの方へ振り返った。
「貴方たちにも、一応言っておくわ」
もう躊躇いはない。自分の魔法のことを考えてくれ、自分の魔法とどう向き合うべきか、道を
示してくれた者たちだ。これで恩を感じなければ、ヴァリエールの名が廃る。
「貴方たちの言葉、参考になったわ。ありがとう」
言いながら、スカートの端をつまんで、一礼する。すると、使い魔3体は呆けたように沈黙した。
どういうわけか、動きもせずにこちらを見返してくる。
それがなんだか恥ずかしくなってきて、ルイズは慌てて言い放つ。
「つ、使い魔に対して貴族が礼を言うなんて、普通はありえないんだからね! 感謝しなさい!」
「感謝に対して感謝というのは変」
それに対し、涼しい声でタバサがつっこみ、ルイズは顔を真っ赤にした。
「も、もうすぐ次の授業が始まるわね! 急ぎましょう!」
誤魔化すように叫ぶと、ルイズは逃げる様にその場を後にする。正に、脱兎の勢いで。
そして、次の教室へと急ぐ中、ルイズはタバサのことを考えていた。
タバサ。青い髪をした、小柄な自分よりさらに小柄なクラスメイト。奇妙な名前で、家名すら
知らない同級生。いつも無表情で、無口で、大抵本を読んでばかりいる、不思議な少女。
そして、自分と関わろうとはしなかったが、莫迦にすることもなかった、ほとんど唯一の
生徒。自分を、ゼロじゃないと言ってくれた、初めての級友。
「タバサ、か……今度、また話してみようかな……」
ルイズとタバサが、互いを意識した瞬間だった。
〜続く〜
以上、今回はここまでです。
と、いうわけで、ルイズとタバサの実質的なファーストコンタクトのお話でした。
才人も別作品キャラも全部タバサの方に行っちゃっているので、ルイズとタバサが
仲良くならなきゃルイズが話にかかわらなそうなので。
ナビィには、ルイズの失敗が単なる失敗でないと考えてもらいました。時オカリンクと
ルイズって、本来なら的外れな迫害を受けているって点じゃ境遇がよく似てますので、
こうアドバイスするんじゃないかと。
才人は原作では莫迦にするだけでしたが、この作品では普通に考察してます。原作だと
虐待に対する仕返しでしたが、特に接点がなければ女の子いじめる奴でもないかと思った
ので。元々ルイズの容姿は好みみたいですから。
ムジュラは相変わらずシルフィードに嫌われてます。時オカ、風タク、トワプリをプレイした
方にとっては、なんでシルフィードがゼル伝モンスターなムジュラ嫌うかを理解していただけ
るんじゃないかと思います。早く先住魔法と戦わせてみたい。
次回はようやく決闘イベントです。始まって早々デクナッツ化の呪いかけて終わりとかには
なりませんので、ご安心を。
次回は才人視点からスタートです。
投下乙です
……また読むほうに気をとられて支援するの忘れちまった orz
ルイズが良いツンデレでしたw
まどかマギカの魔法少女を召喚した場合のソウルジェムの扱いだけど、
実は別の人がインキュベーターを召喚していたという設定にするのはどうだろう。
どこか遠くの町で営業活動を行い魔女を増やしてゆくQB。
謎の集団自殺が多発という噂を聞いて町に向かうルイズと魔法少女。
増殖した魔女を倒して大量に補充されるグリーフシード。
やはりQBは営業活動かwww
なんか魔法が使えるならわざわざ魔法少女じゃなくても
魔女を倒せる気がしてきた
三重の人、投下お疲れさまです。
64のゼルダシリーズは、自分にとって小学生時代の良き思い出でした。
それと皆さん今晩は。後一時間半ほどで四月が終わりますね。
何もなければ37分から投下を始めます。
三重の人おつです
莫大な精神力を抱える虚無のメイジ。
ジョゼットのように未覚醒の状態でも存在している以上、他にいない道理がない。
メイジ至上、魔法至上の考え方が蔓延しているので、メイジでありながら魔法を使えない人間の精神はかなり鬱屈しているはず。
……QBからすればエネルギー回収が極めてしやすい相手なのではないだろうか。
トリステイン魔法学院。
朝の始まりとも言える一限目の授業が始まってまだ数十分しか経っていない程度の時間帯…
教室から少し離れた階段の踊り場に、痛い目にあっている白黒の魔法使いと不機嫌な桃色ブロンドのメイジがやってきた。
「全く、どうしてこう…アンタってヤツはすぐ目立とうとするのよ」
「そ…その前にまず私の耳を引っ張ってる手を離してくれよ。変な病気にでもなったらどうする」
耳を引っ張られて教室の外に連れ出された魔理沙に、ルイズは開口一番にそう言った。
しかしそんな事を言われた魔理沙はというと、ルイズの言葉を聞くよりも先に耳の痛みに気が向いていた。
ルイズはその言葉に従い、耳を掴んでいた手を放す。
ようやく耳を解放された魔理沙はヒリヒリと痛む耳をさすりながら苦々しい表情を浮かべた。
「イタタ…何だよたくっ、一体私が何をしたっていうんだ?」
「何をしたですって…?アンタがあの装置を゛魔法゛で動かそうとしたから止めただけよ」
苦言を漏らす魔理沙に、ツンとした表情でルイズはハッキリと言った。
その言葉の意味が良くわからないのか、魔理沙の顔には怪訝な表情が浮かんだ。
「だってあの装置は、コルベールが言うところには魔法でしか動かないんだろう…?だったら魔法を使うしかないぜ」
「―――じゃあ一つ聞くけど。貴方は魔法を使うときに゛杖゛を使うのかしら」
「杖だって?残念ながら幻想郷じゃあ杖を媒介にして魔法を使う魔法使いの知り合いはいないな」
ルイズにとってはある程度予想していた魔理沙の言葉に、「やっぱり」と呟いて溜め息をついた。
「マリサ。この前オールド・オスマンと話したときに彼がなんて言っていたのか忘れてない?」
「オスマン?…あぁそういや異様に長い白髯の爺さんと話したっけなー……で、それが何なんだ?」
「オールド・オスマンはこう言ってたわ―――」
―――良いか皆の者よ?今日の話は他言無用で頼むぞ。
迂闊にも誰かに話せばたちどころに広がるからのぅ。そこらへんには気をつけるのじゃ――
「――…無論。ミス・ヴァリエールの後ろにいる二人もな」…って言ってたでしょう?その言葉の意味、わかるかしら?」
「おぉ!中々そっくりじゃないか。声真似大会に出たらベスト10間違い無しだぜ」
「そ、そう…私ってそんなに似てるかしら?……ってそういう事じゃない!!」
老人独特の、しわがれた声を瑞々しい少女の声で真似ながらもルイズは言った。
しかし魔理沙は、オスマンの言っていた言葉を思い出したことよりも、ルイズの声真似に感心していた。
そんなルイズに怒鳴られつつも、魔理沙は悪戯がばれた子供が浮かべるような笑顔を浮かべる。
「悪い悪い…つまりアレだろ?つまり「自分の事を話すな」って事だろう?それなら私の魔法を見せても…―――」
「わかってない…わかってないわマリサ…」
目の前に出された答案用紙の答えを全て知っているかのような感じで、魔理沙は自信を持って答えた。
だが、その回答は桃色ブロンドの小さな教師が想定していた回答ではない。
「良い?レイムはともかく、貴方はここでは゛幻想郷出身゛のマリサじゃなく、゛ハルケギニア出身゛のマリサなのよ…つまり――」
「…つまり?」
そこで一息入れると、ズイッと自身の顔を魔理沙の顔に近づけると、口を開いた。
「ここで゛ハルケギニア出身゛である筈の貴方が、ここで゛ハルケギニアにある魔法゛ではなく…
゛ハルケギニアにない魔法゛を見せたら、否が応でも目立ってしまうということよ」
目の前にいる白黒にハッキリと認識させるために、ルイズは強い口調でそう言った。
まだ魔理沙の魔法を見てはいないルイズであったが先程の「杖を使わない」という言葉を聞き、連れ出して良かったと内心思った。
ハルケギニアにおいて魔法というのは、一般的に゛杖゛を用いて発動させるものである。
それ以外の魔法と言えば先住魔法があるのだが、これは自分たち人間の敵であるエルフや亜人達の力だ。
もしもあのような広い教室で、魔理沙が゛杖を使わず魔法を発動゛すれば…たちどころにその話は学院中に伝わる。
下手すれば吸血鬼か何かだと勘違いされ、魔理沙どころかルイズや霊夢にも危害が及ぶかも知れないのだ。
そうなればルイズの家にも迷惑が掛かるし最悪お家潰しにもなりかねない。
ルイズは同学年の子達と比べれば頭の良い部類に入る。
だからこそそこまでの事を見越して、魔理沙の゛魔法゛を皆に見せまいと教室から出てきたのだ。
「――なら、そこは言いようだな」
「…へ?言いよう?」
しかし、そんな彼女の傍にいる白黒の魔法使いは、頭の回転が速かった。
そして他人の言葉を、自分に都合良く解釈してしまうほどの機転の早さも持ち合わせている。
最も、それは霊夢を含めた幻想郷の住人達の大半がそうなのであるが。
「あぁ、もしも私の魔法を見て、アイツ等が何か言ってきたら…こう言ってやるさ」
魔理沙はそう言うと頭に被っていた帽子を外し、クルリと裏返すと帽子の内側に入っていた゛八角形の置物゛を取り出した。
表面にはルイズの見たことがない文字が幾つも刻まれており、真ん中には小さな穴が開いていた。
それは霧雨魔理沙という人物を語るには必要不可欠な道具であり、また彼女を象徴する物である。
「…これは貴方達がかつて見たことのない。新しい魔法です―――ってね?」
魔理沙はそう言って、手に持った「ミニ八卦路」を両手に持ち、ルイズの方へ向けた。
そして全く予想していなかった言葉に唖然とした表情を浮かべている彼女に対して、「バン!」と大きな声で叫んだ。
数秒後、ルイズの拳が「ドガッ!」という大きな音を立てて魔理沙の額に直撃した。
それから数分後…
コルベールが再開し始めていたとき、ルイズだけが教室に戻ってきた。ハンカチで右手を拭きながら。
「み、ミス・ヴァリエール…」
「授業中の退室、申し訳ございませんでしたミスタ・コルベール」
落ち着いた様子で授業の最中に退室してしまった事を謝ると、そさくさと自分の席に座った。
彼女の顔には何処か憑きものが落ちたかのような、嬉しそうでスッキリとした表情を浮かんでいる。
近くにいた生徒達は、彼女の様子を見て何かを感じ取ったのか冷や汗を流していた。
もう気づいているのだろう、今のルイズに漂うひとつの゛疑問゛…
゛本当なら、ルイズと一緒に教室に戻ってきている人間がいない゛という疑問に。
だが、人としてはまだまだ幼い生徒達はその疑問に触れることを避けた。
何でか知らないが、今のルイズにはその事を聞かないでおこう―――
生徒達は言葉を交えずとも、それぞれの意見は驚くほど一致した。
しかし悲しきかな、世の中にはその場の雰囲気的にやってはいけない事をついついやってしまう人がいる。
誰が望まずとも、所謂゛空気の読めない人゛というのはいるものだ。
ルイズが落ち着いた様子で席に座ったところで、ふとコルベールが口を開いた。
「あの、ミス・ヴァリエール。…ミス・マリサは…?」
空気が読めなかったコルベールの言葉に、ルイズは笑顔で応えた。
「彼女は居候の身分で失礼な事を口にしたので鉄拳制裁の後、今は私の部屋で頭を冷やしていますわ」
◆
平日は授業がある為か、生徒達の暮らす寮塔は恐ろしいくらいの静寂に包まれる。
時折モップとバケツを持った給士達が床の掃除をしにくるだけで、後は授業が終わるまで誰も来ない。
窓から日差しが入るお陰で廊下はそれなりに明るいのだが、逆にその明るさは不気味さを醸し出していた。
まるで住む者達がいなくなった廃墟のような、朧気な切なさと儚さが立ちこめていた。
支援
もうすぐ4月が終わるって、日本にいないの?
そんな場所とかしていた女子寮塔の廊下に、景気よい靴音を響かせて歩いている霊夢がいた。
彼女は何処か暇そうな表情を浮かべながらこの世界の住処であるルイズの部屋へと向かっている。
ついさっきまでは最近手元に戻ってきたデルフリンガーという喧しい剣がいるので部屋に戻ろうという考えは浮かばなかった。
しかしいざ外へ出てみると今日に限って自分の暇をつぶせるものがなく、それならばあの剣とお喋りしていた方がマシだと思ったのである。
「ホント、廊下っていうのは誰もいない時に限って酷く殺風景よね」
ひとり呟きつつも、霊夢は窓から入ってくる陽の光に目を細めた。
どの塔もそうであるが、廊下には控えめであるものの装飾はされているが、何処か殺風景な雰囲気を漂わせていた。
その原因が薄暗いせいか、はたまた大理石の床が冷たい所為なのか、そこら辺の所は良くわかっていない。
だが廊下というのはどこもそうなのではないか?霊夢はそんな事を考えつつルイズの部屋の前にまで来ていた。
恐らくもう百回近くは回したであろうドアノブを捻り、霊夢はドアを開けた。
ドアはキィー…という音も立てずすんなりと開き、なんとか三人くらいは暮らせそうな部屋へと続いていた。
服を入れる大きなクローゼットや箪笥に鏡台、来客用の大きなソファーと丸テーブルと椅子もある。
暖炉には火が灯っていないものの、開けっ放しにされた窓から入ってくる日差しが暖かいのでどうということはない。
その窓の近くにはこの部屋の主には大きすぎるベッドが置かれており、寄り添うように大きめの旅行鞄が二つ放置されていた。
更にその鞄の傍には多数の本が小さな塔を三つほど築いている。
そこは正に、霊夢にとって見慣れた部屋であった。たった一つを覗いて―――
「ただいま〜……ってアレ?」
ドアを開けて部屋の中に入って霊夢は、この部屋よりもずっと見慣れている人物がベッドの上で寝ている事に気が付く。
よく神社に足を運んでは頼んでもいないのにやたらと話し掛けてきてお茶をタダのみする自称普通の魔法使い。
時折スペルカード対決を挑まれては返り討ちにしたり、逆に自分を倒してしまうほどの白黒魔法使い。
たまに鬱陶しいと感じてしまうが、それでもまぁ一緒にいるのも悪くないと思ってしまう魔法使いの霧雨魔理沙。
そんな彼女は、ベッドの柔らかいシーツに体を沈み込ませるかのようにうつ伏せになって倒れていた。
どんな表情を浮かべているのかわからないが、少なくとも息はしているのか体が上下に動いている。
いつも頭に被っている黒いトンガリ帽子は箪笥の上に置かれており、窓越しの直射日光を浴びていた。
「なんで魔理沙がここで寝てるのかしら?」
予想だににしていなかった人物の思わぬ予想外の登場に、さしもの霊夢も目を丸くしていた。
しかし霊夢の言葉はもっともであった。何せ今の時間帯なら魔理沙はこの部屋にいない。
この世界に来てからはルイズについていって授業を見ているし、今日も同じ筈だ。
だから霊夢は二つある喧しい要因の内一つがいないこの部屋に戻ったのだが…これはどういうことか?
これを考察するために、霊夢が考え始めようとしたとき、あの゛剣゛が声を掛けてきた。
『おぉっ!戻ったかレイム!今まで何処にいたんだよ?オレっち寂しかったぜ!』
ベッドで倒れている魔理沙の腹の方から、あのだみ声がくぐもって聞こえてきた。
早速気づいたか…溜め息をつきつつ内心呟いた霊夢は魔理沙の方へと近寄る。
そしてフカフカのベッドで寝ている彼女の体を遠慮せず、思いっきり両手でひっくり返した。
うつ伏せから仰向けになった魔理沙はその顔に若干の苦痛を浮かべている。
恐らくルイズ辺りに思いっきり殴られたかして気絶したのであろう。額に大きなタンコブが出来ていた。
しかし今の霊夢にはそんな魔理沙より、その魔理沙の体の下にあった剣に話があった。
「ねぇデルフ、早速アンタに聞きたいことがあるんだけど」
帰ってきた霊夢の第一声に、デルフは詳しく聞くまでも無く、こう言った。
『マリサの事だろ?お前さんが帰ってくるずいぶん前に二人のメイドさんが運んできたんだよ』
「ふぅん…で、この白黒がなんでこうなったのかそのメイドは言ってなかったの?」
霊夢の問いに、デルフは鞘に収まった刀身をカチャカチャと音を立てて左右に揺らした。
『いんや別に…けど二人いた内の金髪メイド、首に聖具をぶら下げてたな…ったく』
そのデルフの言葉の最後には、何処か忌々しい雰囲気があるのを霊夢は僅かに感じ取った。
まるで親の仇を目にしたかのような、一見すれば他人には良くわからない小さな憎しみ…
「あんた、宗教ってのが嫌いなのかしら?人間じゃない癖して」
直球過ぎる霊夢の言葉に、デルフはその刀身を激しく揺らしながら応えた。
『あたぼぅよ!何せ連中ときたら、録にブリミルの事も知らないでアイツを崇拝してるのさ!それがもぉイラっとくるんでぃ!』
何処か江戸っ子ぽい口調のデルフに、霊夢はすかさず言葉を入れる。
「そのブリミルってのは数千年前の人間でしょうに?そんなに固執しなくてもいいんじゃないの?」
『お前さんは知らないんだよレイム!ブリミル教の連中はアイツの名を看板にして今までヒデェ事を沢山してきたんだよ!』
熱を多量に吹くんだデルフの言葉に、霊夢は軽い溜め息をつきつつも口を開いた。
「そんなにお喋り好きなら、物忘れが激しいのも納得だよ」
『あぁん!?なんでだよっ!』
「我を忘れて喋りまくれば…文字通り自分のことすら忘れちゃうんだよ」
アンタが紫に持って行かれた後の事を忘れちゃった風にね。
最後にそう言って、霊夢は大きな溜め息をついた。
◆
一方、トリステイン王宮にあるアンリエッタの居室。
そこでは今、女官や召使い達が、式で花嫁が纏うドレスの仮縫いを行っていた。
アンリエッタ勿論、そこには彼女の母である太后マリアンヌの姿もある。
彼女は人生に一度あるかないかの大事な儀式にしか着られないドレスに身を包んでいる娘を見て、目を細める。
その瞳の奥では、麗しかった頃の自分を思い出しているのであろうか。
色んな物に興味を持ち、小さくも勇敢で頼りがいのあった若騎士を連れて、街へと出かけていた頃の自分を――
だが、それと対を成すかのようにアンリエッタの表情には陰りが見えていた。
まるで医師に余命を宣告されたかのような、何処か諦めているかのような、それでいて告げられた事実に抗うかのような表情。
縫い子達が、袖の具合や腰の位置などを尋ねても意識が混濁している人間のように、曖昧に頷くだけ。
そんな彼女の様子に気づいたかの、何人かの侍女や女官達がその顔に不安の色を浮かべている。
マリアンヌが、そんな娘の様子を見かねたのか、一時縫い子達を下がらせることにした。
「どうやら私の娘は長い仮縫いで緊張してしまったようです。少し休むことに致しましょう」
太后直々の言葉に縫い子達は素直に従うとそさくさと退室していった。
次に彼女は後ろに控えている女官達に向き直り、彼女らにも退室を促す。
「貴方達も立ちっぱなしで疲れたでしょうに。すこし下に行ってお茶でも飲んできなさい」
縫い子達と同じく太后直々の言葉に彼女らは素直に従い、部屋を出て行った。
こうしてマリアンヌとアンリエッタ、母と娘だけになったところでマリアンヌは自身の娘に話し掛けた。
「愛しい娘や。元気がないようね」
「母さま…」
沈んだ表情を浮かべたアンリエッタは、母の膝に頬をうずめた。
子供の頃のように、まだ夢と希望を小さな体に抱いて生きていた頃の事を思い出すかのように。
「望まぬ結婚だというのは、わかっていますよ」
その言葉に、アンリエッタ顔をうずめたまま首を横にある。
「そのような事はありません。私は幸せ者ですわ。生きて、結婚することが出来ます…それに」
アンリエッタそこまで言うと一息入れるとすっと立ち上がり、後ろへと振りむいた。
大きな観音開きの窓から空から降り注ぐ太陽の光が入り、二人の体を優しく包んでいる。
アンリエッタはその光に目を細めながら、再び喋り始めた。
「結婚は、女の幸せだと…母様は教えてくれたではありませんか」
もう一度振りむいて再び自らの母親と向き合ったアンリエッタは、泣いていた。
明るい調子であった言葉とは裏腹にその顔は曇っており、目にはうっすらと涙が溜まっていた。
そんな娘を見たマリアンヌは、泣き笑いのような表情を浮かべてアンリエッタの頭を撫でた。
「恋人が、いるのですね」
母の言葉に娘は首を横に振ることはなく、かといって頷くこともせず、静かに喋り始めた。
「『いた』と申すべきですわ。今の私は速い、速い川に流されているようなものです…。
全てが私の手に納まることなく、通り過ぎていく…愛も、優しい言葉も、何も残らない」
今までずっと我慢してきていたモノを今ここで解放しているのか、アンリエッタの声は涙ぐんだものへと変わっていた。
マリアンヌはそんな娘の頭を撫でつつも、口を開く。
「恋ははしかのようなもの。熱が冷めれば、すぐに忘れますよ」
「忘れることなど…できましょうか?」
不安を隠すことすらしないアンリエッタの言葉に、マリアンヌの表情が若干厳しいものへと変わった。
「おなたは王女なのです。忘れねばならぬことは忘れなければいけないのです。
あなたがそんな顔をしていては、貴女の後ろにいる家臣達が離れていくことになります。」
母の口から出たその言葉に、アンリエッタはハッとした表情を浮かべた。
「先々日の…内通者の事ですね」
「えぇ、枢機卿と幾人かの者達はこの事をなるべく穏便に済ませたいと考えてはるいようですが…
此度の内通者は、間違いなくアルビオンの手先。奴等とは不可侵条約を結びましたが…それは偽りの契りだったのです」
マリアンヌの言葉を聞き、アンリエッタは何処かやるせない気持ちになった。
※
時間はルイズと霊夢がアルビオンから帰ってきた翌日の事――
ゲルマニア皇帝とアンリエッタの婚姻が正式に発表と、それに先立ち軍事同盟が締結された。
それから程なくしてアルビオンの新政府樹立の公布が為され、トリステインとゲルマニア両国に緊張が走った。
しかし王国から帝国に変わったアルビオンの新皇帝クロムウェルは、すぐさま両国に不可侵条約の締結を打診してきた。
両国は長い協議の結果、この締結を受け入れる事にした。
ゲルマニア、トリステイン両国の空軍ではアルビオンの誇る空軍に太刀打ちすることは出来ないからだ。
のど元に短剣を突きつけられている状態で、納得のいかない不可侵条約であったが…。
それでも未だ軍備が整えきれていない両国にとって、この申し出は願ったり適ったりであった。
トリステインで、アルビオンの内通者が見つかるまでは…。
※
「ひとまず今回のことは被害が出る前に食い止められましたが、これっきりという事はないでしょう」
「…つまり、不可侵条約はアルビオンが私たちの前に差し出した釣り餌だと…いうのですね」
アンリエッタの苦々しい言葉に、マリアンヌは頷いた。
広い部屋にアンリエッタの思い溜め息が聞こえ、その表情も暗くなっていく。
冷たい沈黙が部屋に漂い始めた時、アンリエッタが喋り始める。
「母様、私は時々疑問に思うのです。…何故人はこうも、他人を騙す事が出来るのでしょうか?
言葉を巧みに操って人を騙し、騙された人の事をなんとも思わぬ奴等は…どんな事を考えているのか…
私には全く理解できません。何で助け合うという事ができないのでしょうか?」
アンリエッタの言葉に、マリアンヌはすぐさま答える事が出来なかった。
ただその瞳には、いいようのない哀しみと共に渇望の色も垣間見えていた。
若い頃の自分もこんな風に純粋であった――マリアンヌは心の中でそう呟く。
好きなモノには好きと言い、嫌いなモノには嫌いと言っていたあの頃の自分を、思い出していた。
以上で、投下はおしまいです。
東方の新作やらエルシャダイ発売やらでうかれて執筆するのに苦労しました。
まぁ今回の話で書きたい事は全て書けたので満足はしています。
これからも月に一話、という間隔で書いていきますので、今後とも見守ってください。
それでは、またノシ
>>687 あ、あれ?もう…五月なの?
最近は色々とした事情でてんてこ舞いだったからすっかり忘れてた…orz
乙でした
今日は祭だな、いやめでたい
小ネタ投下
全体的にぶっちゃけありえない&マイナーすぎ(原作は超メジャーだけど)な話なので
[ああ、これを書いた奴は頭が悪いんだな]と思って見てくれると幸いです
694 :
銃器はいかが?:2011/05/01(日) 23:38:08.44 ID:Z7c2Ev4m
武器屋「いいこと思いついた。お前コンクラトサーヴァントしろ」
デル公「ええーっ、使い魔ですかぁー!?」
武器屋「お前も魔法がかかった武器ならできるさ。きっと良いのよべるぜ」
デル公「それじゃあ……いきます……」
武器屋「うん、いいぞ、使い魔なのに魔方陣に変な人間が出てきたのが分かるよ」
デル公「あんまり難しくて……こういうの、はじめてだから……」
武器屋「っておい!ただでさえ儲けがねぇのにさらに食い扶持増やしてどうすんだよ!」
デル公「うるっせぇー!急に素にもどんな!ノリでやらせやがったくせに!!」
?「あの……」
武器屋・デル公「ちょっと黙ってろ!!」
(二時間後)
デル公「オイ親父、ちょっと休戦しねえか……? そんでその塩水のバケツはしまおうぜ……」
武器屋「おう……賛成だ……テメエが騒ぐから客が一人もこねぇんだよ……っておい、なにやってんだ!?」
?「ふん、マスケット銃なんて今時はトンと見ないからな。暇つぶしとして連発・カートリッジ式に改造しといたよ」
武器屋「なにィ!? ………すげえ。お、おいあんた、ここにある10丁みんな改造したのか!?」
?「3時間でカスタムロングライフルにロングマグナム弾まで作らせるおかしなお得意様までいたんだ。朝飯前さ」
デル公「銃は好かねえ」
武器屋「だぁってろデル公! ま、またマスケット銃持って来たら改造してくれるか!? 売っていいか!?」
?「ここから先は仕事になるぞ。まあ容易なことなんで、状況説明に住居。あとは当面の金でいいさ」
武器屋「かまわねえ! で、あんたの名前は何だ? その名をブランドにして銃器に革命を起こしてやるんだ! 俺もウハウハよ!」
?「マスケットで革命? わけが分からんなぁ。まあいいか。わしの名前はデイブ。デイブ・マッカートニーだ」
武器屋「傭兵がこぞってあんたの銃を買ってきやがるぜ! これは試作品か……うわ!こんなちっせぇ銃があんのかよ!?」
デイブ「パイソンの模倣品さ。しかし鋳造技術が酷いねここは」
武器屋「まあまあ。アンタの工房も、支店そのうち作るぜ![デイブ・マッカートニーブランド]さまさまだ!」
デル公「オイ爺い!剣や刃物の店だぞここは!さっさと出て行きやがれ!」
デイブ「剣だろうが槍だろうが魔法だろうが、銃にアウトレンジから撃たれればお陀仏さ。銃の8000メイルに届く魔法があるかい?」
デル公「8000!? 嘘つくんじゃねぇ!そんな距離から当てられる奴がいるか!」
デイブ「わしだって信じられんさ。でもいるんだよ。わしのお得意様だった人にさ」
695 :
銃器はいかが?:2011/05/01(日) 23:38:46.36 ID:Z7c2Ev4m
ルイズ「ねぇ、あんたがここのこと聞いてから来たがってたけど、ホントにここなの? 魔法や剣じゃなくて新しい銃の店よ」
?「……ああ」
デイブ「いらっしゃ……げえっ!!あんたは!?」
?「………」
ルイズ「え?え?知り合いなの?」
武器屋「おでれーた。この爺いに知り合いなんていねえと思ってたのに」
武器屋「そ、それで貴族様、何をお買いに? ここの銃器は信頼の置けるデイブ・マッカートニーブランドですよ」
?「……38口径スミス&ウェッソンリボルバー。そのデイブカスタムが欲しい」
武器屋「……はい?」
ルイズ「はぁ? なによそれ?」
デイブ「で、できるわけがない! あんたも知ってるだろう!ここの鋳造技術は未熟だし、一から作れと言うのか!?」
?「そうだ。だが、あんたならばここの技術でも作れるはずだ」
デイブ「できるもんか!だいたいわしは銃のカスタマ−だぞ!一から作るなんて聞いたこともない!」
?「わめくなデイブ。こんな世界に来ても、俺はあんたの腕を信頼しているんだ……4時間後に取りに来る。玉も六発用意しておいてくれ」
デイブ「4時間で弾もかっ!?」
?「銃に金一万枚、時間に一万枚払う」
ルイズ「!?」
武器屋・デル公「お、おい……あれがあんたの言ってたお得意様か?」
デイブ「ああ。まったく、もうあんな無茶な客は来ないと思ってたのに……パイソンの模倣品を土台にして作るしかないな」
武器屋「しかし、4時間じゃ……」
デイブ「うるさいね、気が散るよ!ヒマがあったら街でも王都でも行って弾用の最高級で上質な鉄を探して来い!」
武器屋「は、はい!!」
?「………」
デイブ「………」
?「………玉は引き続き作れ。でき次第送る手はずを整えろ。おそらくまた仕事を持ち込むことになるが」
デイブ「はいはい……相変わらず人使いが荒いねあんたは……」
?「デイブ。ありがとう………」
ルイズ「えっ!あんたが人にお礼を言ったの初めて聞いたわ!」
デイブ「だろうね。たぶん世界でわしだけかもしれないと思ってるよ」
武器屋「そんで貴族様、お会計は金2万枚になります」
ルイズ「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
ゴルゴ13よりデイブ・マッカートニー
ゴルゴに礼を言われた&ゴルゴに何度も仕事を頼まれるなんてたぶんこいつくらいじゃなかろうか
銃のカスタムメーカーで毎度ゴルゴの無茶苦茶な要求で右往左往してるけど仕事は完遂する男
M16ライフルを宇宙で使えるようにしろとか火砕岩の破片で弾作れとかもうね
煽てられたり報酬と上乗せされたりするだけで仕事をやり遂げるゴルゴ13のガン・スミスたち
しかし、銃弾なら普通は鉄ではなくて鉛ではなかろうか
ゴルゴっていろんな分野のプロフェッショナルに教えを請うことしばしばあるんだよな
おかげでゴルゴも完璧超人じゃなくて、できることとできないことがある人間なんだって実感がわく
>>697 徹甲弾には鉄製の弾もあるよー。普通はもっと固いタングステンとか使うけど。
でもリボルバーだから鉛だったよなぁ。ゴメン、うっかりしてたわ
まあこの後、戦争始まるから銃器ブランドとして不動の地位を築いたデイブカスタムはもっと大忙し
でもそんなの気にしないゴルゴはドグラノフクラスの狙撃用ライフル徹甲弾セットで作れだの
カラシニコフ級のアサルトライフル作れだのグレネード作れだの相変わらず無茶苦茶要求いっぱい
武器屋「デイブ、追加注文だ!ロングレンジマスケット34丁に連発マスケット41丁!」
デイブ「何で追加を受けるんだ! わしを殺す気か!この人殺し!」
デル公「……おーい、親父〜。昔みたいにおしゃべりしようぜぇ〜……」
武器屋「あとだあとあと!いそがしいんだよ!」
デル公「誰かかまってくれよぉ……銃器のせいで出番がねぇよぉ〜……」
ファンタジーならどう考えても無理な部分も努力をすれば大体一人で(ry
>>698 作者が「9割は運で生き残ってきた」と言っていたようないなかったような
銃使いキャラといえば、やはり銃本体より弾薬が問題になるかな
個人的には、直立不動の戦列歩兵に隠れて、現地の火縄銃にライフリングを刻んだ即席の狙撃銃で、当たり前の銃弾を使って指揮官を狙い撃つほうが燃えるが
銃使いなのに接近戦ばかりするカード使いの某ライダーなら・・
それでも霧亥なら・・・霧亥ならやってくれる・・・!
実際どれくらい撃てるんだろう
劇中では電力補給シーンや禁圧解除の為に駆除系と繋ぐはシーンはあっても、弾切れはなかったし
>>701 そんな貴方にミニエー銃はいかが?
ご存知かも知れませんが戦列歩兵に隠れたりして狙い打つのは伝統的な散兵戦術だったり。
ドライゼ銃はともかくミニエー銃はハルケギニアでも運用できる程度の代物だと思うので、
もし少数が存在していたら銃士隊の運用が散兵のそれになってたかもと妄想が止まりません。
705 :
ゼロのペルソナ:2011/05/02(月) 07:13:49.49 ID:1mxdneuT
今このスレは441KBで今日投下するのは37KB……いけるか?
今から投下します
皇帝 意味…意思・傲岸不遜
太陽が地平線から姿を現して間もない時間に完二は起きた。
「下着……。ああ俺、別世界に来ちまったんだったけか……」
完二は自分の近くにあった女物の下着を手に取りブツブツとつぶやいた。
そう彼はテレビの中の世界に行こうと大型テレビをくぐったら全く未知の世界にたどり着いたのであった。
そしてどういうわけか、ありえない髪の色をした少女にパシリ扱いを受けているのが現状だった。
完二に対して親分ヅラをしている少女の名はルイズというらしい。実際はもっと長ったらしい名前だったような気もするが完二には思い出せないし思い出す気もなかった。
そのルイズという少女は無闇に偉そうで完二としては気に入らないタイプの女子であったが
食事を人質に取られてしまっているために彼女のいうことを聞かなければならないのだった。
完二は自分の悲運とのん気そうに寝ているご主人様とやらを呪いながら洗濯物を脇に抱えて洗濯場を探しに出た。
「ドコにあんだよ、いったい……」
完二はあてもなしに廊下を歩く。昨日はタバサという小柄な少女の部屋とルイズの部屋に行っただけで洗濯場の場所など教えられていない。
もっとも昨日は突然の出来事に混乱していたためその通った道のりすら覚えていないのだが。
今完二は階数はわからないがけっこうな高さの塔にいた。生徒の私室がここらに固まっているしい。ちょうど寮の役割を果たしているのだろう。
とりあえず下りてみるか。
と、完二は考えて階段を見つけては下へ下へと下りていった。3階ほど階を下りてから、現在の階と洗濯広場がどこからか見えないかと外の光景が見える場所を探すことに決めた。
なぜならこういう世界では青々とした草原のようなところで視界いっぱいの白い布を干すものだからだ。
と、本気で考えたわけではないが完二は似たようなことを考えていた。
窓を探して廊下を曲がろうとすると完二は歩いてきた何かとぶつかった。
「きゃっ!」
廊下に響いたのは少女の声だった。大きな声ではなかったが朝方の静かな廊下にはよくその声は通った。
完二は廊下を曲がったときに洗濯籠を持った少女とぶつかってしまったのだった。
「わりい、だいじょうぶか」
尻餅をついた少女に謝っておく。ちなみに体格のいい完二は転ぶことはなかった。
少女は急いで立ち上がり慌てたように言った。
「いえ、こちらの不注意でした。どうかお許しを……あら、あなた貴族じゃないんですか」
完二の姿を見て少女の顔から慌てた様子は消えた。めずらしいのだろうか、完二の格好を興味深そうに見ていた。
「貴族だぁ…?一応、ルイズってヤローの使い魔だ」
「ああ、あの……。二人平民を召喚なさった人がいたって昨日から噂になってますよ」
「はー、もう噂になってんのかよ……。っといけねえ、なあアンタ」
「シエスタです」
「んじゃあ、シエスタ。洗濯場ってどこにある」
「わたしもいまから行きますからいっしょに行きましょうか」
「悪りいな、たのむぜ」
「ついてきてください」
「ちょっと貸せ」
歩いていこうとするシエスタから完二は籠を奪うようにして取る。
「持ってやるよ」
「ありがとうございます」
シエスタは感謝の笑顔を浮かべた。純朴でかわいらしい笑みに完二は戸惑ってしまう。
「べ、べつにいいんだよ、こんくらい」
「ふふ、ルイズさんの洗濯物もわたしがやっておきましょうか」
「いいのか!?」
完二の顔がぱっと明るくなる。彼は出会ったばかりの女に命令されることも、女の下着を洗うことも苦々しく思っていた。
シエスタという少女の提案はまさに渡りに船であった。
「洗濯物がちょっとくらい増えても変わりませんし」
「悪りいな」
「いえいえ」
「巽完二」
「へ?」
「巽完二。名前までいってなかっただろ」
「タツミカンジですか。変わった名前ですね」
「ルイズやキュルケも言ってったけどみんな言うんだな。こっちからすればおまえらのほうがヘンだっつの」
完二は名前が変だ変だといわれて不機嫌になる。
「カンジさんって呼んでいいですか」
「ベツにいいぜ」
起きろ起きろ。そう言われているような気がしてルイズは睡眠から目覚める。
ううんと漏らしながら目を開けると目の前にあったのは脱色した髪をオールバックにし、眉は剃られたいかめしい顔だった。
「んん、きゃあ!だれあんた!」
起きて初めて目にするものが完二のコワモテ顔でルイズは驚いた。
「テメエが召喚したんだろうが」
「ああ……。そうだったわね」
ルイズは寝起きで目つきの悪く、完二を見る。
なんでわたしが呼び出すのが平民なのよ。と心の中で文句を言った。
それを口に出さなかったのは完二のことを思いやってではなく起きてすぐで声を出すのも面倒だったからだ。
完二が呼び出されたことで平民を呼び出すことより屈辱な留年という事態が避けられたはずだがそんなことは彼女の思慮の外だった。
ルイズは着替えをすませ朝食をとりに食堂に向かった。
食堂には幾つかの長いテーブルが置かれている。ルイズは自分の学年のテーブルへといつもどおり足を向ける。
「すっげえ、映画みてえだ」
完二は食堂の豪奢な装飾に感嘆しているようだった。きゅろきょろと視線をあっちこっちへやっている。
完二がそこらじゅうに意識をやっているときにルイズは一人の給仕を捕まえてあることをオーダーした。
それが終わってからルイズは席に着くことにした。
「イスを引きなさい」
「お、おお」
完二は素直に言うことを聞いた。抵抗する無意味を悟ったのか、他のことに意識がいっているためなのかどちらかはわからない。
ルイズがイスに腰かけると完二も当然といように隣の席にどっかりと腰かけた。
「すっげえ朝メシだな。あ、んだよ?」
はしゃいでいる完二をルイズは指でつっつき、そのまま指を下に向けた。
指の先には薄い一枚のパンと具のないスープが一皿置かれていた。ルイズが先ほどメイドに命じさせたものだ。
「あんたは床」
「ハア?」
「平民はふつうここに入れすらしないのよ。床ででも食べられるだけありがたいと思うのね」
「ふざけんじゃねえぞ!」
完二の怒声に反射的にルイズはビクリとしてしまう。完二はイスを蹴り飛ばすように立ち上がり、入り口へと戻っていく。
「ちょっとどこいくのよ!あんた!?」
驚いていたルイズだったが使い魔が去ろうとしていることに気付いて呼び止めようとする。さきほどの驚きで心臓はうるさいくらいの鼓動をしていたが。
「んなの食えっかよッ!」
完二は吐き捨てるように言って、食堂からでて行った。
完二と入れ替わりになるようにキュルケとクマ、タバサと陽介がやってきた。
「ちょっと、あなたの使い魔怖い雰囲気で出ていったけどどうしたの?」
キュルケはそういいながら席に着いた。その隣にクマが座る。
「知らないわよ、あんなやつ。というか、ツェルプストー、あんたこそなにふつうに使い魔を座らせてんのよ?」
「この子が人間の食べ物が食べたいっていうから」
「ゴチソークマー。ゴチになるクマー」
「あんた、人間以外をいれていいと思ってんの」
「んー、思ってるかもしれないけどそうじゃなくても問題ないんじゃないかしら」
キュルケはチラッとクマを見た。
「どういう意味よ?」
「そのうちわかるんじゃない」
「お、キュルケチャン、クマに熱い視線を送ったクマか。んもう、クマは大きな男だからもっとじっくりみてくれてもかまわないクマよ」
「あーハイハイ。とりあえずクマ、お祈りがあるまで食べちゃだめだからね」
キュルケがクマにいいつけをしている横でタバサも陽介を貴族と同じように席に座らせていた。
「あんたたち使い魔を貴族と同じテーブルにつけていいと思ってるの」
「もう朝からうるさいわねー。もしかして床においてあるこのパンとかって、えっとカンジだっけ?彼に食べさせようとしたの」
「え、マジ?」
完二と同様に食事に目を奪われていたらしい陽介の視線がルイズの方を向く。
「そうよ、当たり前じゃない」
「俺、タバサに召喚されてよかったー」
「なに?」
ルイズは陽介に射殺さんばかりの気迫の視線を送る。
「すいません。なんでもありません」
フンッとルイズはそっぽを向いた。
「あんたのプライドもわかるけど、使い魔に逃げられちゃしょうがないわよ。食事くらいいっしょに食べさせてあげたら?」
「なんであんな雑用もろくにできない使い魔に」
「いいじゃない。というか、あなた雑用させてたの?ワタシはなにもさせてないけど」
「あんたのは人間じゃないし」
「タバサもさせてないわよね」
タバサは首肯する。
「ホラ」
「うるさいわねー」
なによ。あんたたちの自覚がなさすぎるだけじゃない。平民を同じ席につかせるなんてありえないわ。というか、なんでわたしが使い魔のご機嫌取りをしなきゃいけないのよ。しかもあの使い魔、ご主人様に怒鳴るなんてどういうつもりよ。
ルイズは悶々としていた。
「ハラへったな。クソ」
あまりにひどい仕打ちに衝動的に食堂を飛び出したが、完二は空腹に苦しんでいた。昨日からなにも食べていなかったからだ。完二はもともと大食漢である。
昨日は異世界にきただの、魔法だので腹が減るのさえ忘れていたが、夕食、朝食と二食も抜けばひどい空腹にもなる。
「カンジさん。どうしたんですか」
することもなく、そもそもこの世界どころか学院のことすら殆どしらない完二は食堂の前で所在なさげにたっていると突然話かけられた。
「シエスタじゃねえか。どうした?」
「いえ、それはこちらが聞きたいんですけど。朝食の時間に何をなされているんですか」
「ああ、きいてくれよ。ルイズのやつが床で食えっつうんだぜ。しかもあいつは朝からゴウセイなモンくってるくせにおれはスープとパンだけだぜ」
「まあ。だけどしかたないですよ。平民は貴族さまと同じ部屋で食べることすらふつうないことですから」
シエスタは同情の色を含みつつも、擁護したのはルイズのほうだった。
「チッ、なんなんだよ、貴族だの平民だの」
ルイズのことを肯定するようなシエスタの言葉に完二は苛立った。
「あのよろしければ何か食べますか」
「え、マジか!?」
不機嫌さは表情から消え、喜びと期待が完二の顔に浮かぶ。
「ええ、貴族のみなさまが食べてるのとは違う平民の使用人が食べるまかない食ですけど」
「マジで恩にきるぜ!」
完二は意気揚々とシエスタに続いて厨房に入っていった。
朝食の時間は終わり生徒たちは授業を受ける時間である。
教壇が最も低い位置にある段上になっている教室。段上にある机には生徒たちが座り教壇には豊かな雰囲気の女性シュヴルーズが立っていた。
「召喚の儀式はみな上手くいったようですね。私は毎年皆さんがどのような使い魔を召喚するかを楽しみにしています。ただ今年は少し変わった使い魔もいたようですね」
シュヴルーズの言葉に生徒たちは反応し視線は珍獣を召喚したキュルケ、平民を召喚したタバサ、同じく平民を召喚しなぜか今その使い魔がいないルイズに三等分された。
一応動物っぽいんだけど、やっぱヘンなのかなーとキュルケも横目で自分の使い魔を見る。
「ふふん、注目がクマに集まっているクマね。やっぱりクマはスター性が違うクマ」
やっぱりヘンだ。キュルケは事実を認める。
「授業中だから静かになさい」
あんまりさわいで注目されたくないので釘をさしておく。
「授業クマか、クマ授業を受けるのは初めてクマ。センセー、クマエロマンガ島がどこにあるかわかるクマー」
口が開かないようにほんとうに釘をさしてやろうかしらとキュルケは思った。
「ヨースケに教えてもらったクマー」
「おま、なに言ってんだ!?」
「うふふん、このあいだ優しく教えてくれたじゃないクマ」
「言いかたがキモイわ!」
そんな使い魔の様子を見かねてシュヴルーズは杖を振りクマと陽介の口に土をいれ喋れないようにした。
「ミスツェルプストー、ミスタバサ。使い魔の管理はちゃんとしなければいけませんよ」
「すみません……」
キュルケは謝ったがタバサは自分の使い魔になにが起こってもわれ関せずというふうに無表情のままだった。
「ふががふががふが(なんでおれまで)!?」
陽介の抗議は当然のように無視された。誰も何を言ってるかわからないから当然だが。
殆どの生徒がクマたちを見て笑っているなか、そんな漫才よりもルイズの使い魔がいないことが気になっている生徒たちは
「ゼロの使い魔はどこいったんだ」「朝、どっか怒ってでていくの見たぜ」「ゼロは平民だって従わせることもできないのか」
とひそひそ話にしては大きな声で言った。声量を落とさないのはルイズに聞こえるようにであろう。
だがルイズはそんな会話も耳に入っていない様子だった。朝に出て行った使い魔カンジのことを考えていたのだった。
「はい、静かに授業はじめますよ」
シュヴルーズは授業をはじめ、笑い声も陰声も音を潜めた。
たがルイズはまだ朝食時の出来事を考えていた。
やっぱりいっしょにご飯食べさせたほうがいいのかしら。いや、そんなふうに甘くしてツケあがっちゃうわ。でも使い魔が逃げ出したなんてなったらなんていわれるか……。というかアイツどこいってんのよ。まさか、あれくらいでも逃げちゃったとか……?
「……エール、ミスヴァリエール」
「あ、はい」
思案にふけっていたルイズはシュヴルーズに当てられたことに遅まきに気付いた。
「いけませんよ。授業中にぼーっとしては」
「すいません」
「それではミスヴァリエール、錬金はあなたにやってもらいましょう」
教室が一気に騒がしくなる。
キュルケは立ち上がり「危険です、先生。やめてください」と抗議する。
「なにが危険なのですか。ミスヴァリエールは努力家だと聞いていますよ。できますよね」
「お願い、ルイズやめて」
キュルケの懇願を聞いてやめるどころかルイズは決心を強める。
「やります。先生」
ルイズは教壇へと歩いていく、ルイズが段を歩くごとに生徒たちは机の下に隠れていく。
「ふががふが?ふがほががふがが(みんなどうしちゃったクマ?タバサちゃんも教室でてったクマよ?)」
「ほが、ふががふがほがが(や、なにいってんかわかんねーから)」
事情を何もしらない陽介とクマは眉をひそめる。
ルイズはシュヴルーズの言うとおりにルーンを唱え石に錬金をかけようとした。
突如おきる爆発。ルイズが錬金をかけた石は変化せずに石を中心に爆風が巻き起きた。
生徒たちは机の下に避難していたが彼らの使い魔は突然の衝撃と爆音で混乱し暴れまわる。
シュヴルーズが爆発でのびたせいかそれとも今の爆発で直接破壊されたのか陽介とクマの口を塞いでいた土の塊はなくなった。
しかし陽介は頭を後の机にぶつけて頭を抱えて悶絶し、クマは突然の衝撃にノビていてなにも喋る余裕はなかった。
その後ルイズは気をとり戻したシュヴルーズに部屋の片付けを魔法なしで片付けるように言われる。
もっともルイズは魔法を使っても爆発しか起こらないのでなんの制限にもなっていないが。
魔法で掃除しようとすれば教室自体を粉みじんにすることになるだろう。それもある意味掃除になるかもしれないが。
ルイズの教室掃除は昼食の時間まで続いた。
ルイズが教室の掃除をしている間、彼女の使い魔である巽完二は朝食をキッチンで料理人などの学院の使用人たちと食事を共にした。
完二は恩を受けっぱなしでは悪いということで裁縫の腕を振るい、破れてしまったメイド服、コック服、テーブルクロスなど次々と直していき厨房の平民たちの注目を集めてきた。
「そんなゴツい体でこんな繊細な縫い物ができるなんて変わった奴だ!」
口は悪いがむしろ気に入ったというような口ぶりでコック長マルトーは笑う。
「私よりうまいですね。カンジさんすごい……」
シエスタは感心している。
周りから褒められ完二も悪くない気分だった。
「おっとそろそろ貴族の昼飯の時間だ」
「あっ!?もうそんな時間かよ」
「カンジ、その前に食ってくか?」
「いいのか!?あざーっす!!」
またも食事をもらえることに完二は喜色満面にし、マルトーはまたもその変わった使い魔が気に入った。
完二は早めの昼食を食べ終え、やっと昼食の席に着き始めた貴族たちのテーブルの間を歩いて回る。
今朝のことからルイズに会いたくなどなかったが、今後のことを話し合うため陽介たちと会う必要があった。
「にしてもどこにいんだよ?」
昼食に来るとしてもその食堂は広大でどこらへんに座っているかわからないため、探し回るのにも時間がかかる。
人も多すぎた。見渡す限り人、人、人でそれはメイド服を着ているか、マントを羽織っているかの二通りに分けられたがマントの方だけでも途方もない人数のように完二には思えた。
あてもなくうろうろしているとき、完二は人だかりを見つけた。
何かあったのかと思って人々の視線の先を見てみると、金髪の男の魔法使いの前に一人のメイドが座り込んで謝っているようであった。
そしてその少女は黒い長めのボブカットをしており、完二の世話を焼いてくれたシエスタその人であった。
「おい!シエスタ何やってんだ?」
平然と完二はシエスタと魔法使いの間に割って入った。
「カンジさん!」
「なんだね君は……」
わずらわしそうに声をかけてきた金髪の魔法使いを完二はその双眸で睨みつけた。
「テメーこそ何してんだ!ああ!?」
ドスの聞いた、それでいて音量のある声に対象者はもちろん、周りにいた見物人たちも思わずたじろぐ。
「やめてください!カンジさん!私が悪いんです!」
平民の気迫に驚いた金髪の魔法使いは、メイドの言葉を援軍にして態度を平静にする。
「彼女の言うとおりだよ、全ては彼女が気が利かなかったばかりに……」
よく言うぜ!二股してたお前が悪いんだろ!バレた腹いせかよ!と野次が飛ぶ。
完二は野次から状況を理解してタメ息をつきたくなる。要するに目の前の優男は二股をしていて、それがバレたのはシエスタのせいだと腹いせをしていたようだ。
「んだ、そりゃあ……んなのてめえの責任だろ……」
あまりの事態のくだらなさに思わず完二は脱力してしまう。
「おい、こんなバカ相手にしてもしょうがねえ、行くぞ」
完二は目の前の魔法使いに興味をなくしシエスタに言った。
興味をなくされた対象である金髪の少年は顔を赤くし、顔に明らかな怒気を浮かべている。
715 :
ペルソナ代理:2011/05/02(月) 11:18:16.60 ID:oQ3+EbHR
「これだから平民は……そういえば君はルイズの使い魔じゃないか?」
「ああ!んだよ、何か文句あんのか?」
「やっぱりゼロのルイズはダメだということさ!何をやってもダメで全く才能がない!君みたいな品のない者を呼びだして……」
べらべらとまくし立て続ける。頭に血が上っていてかすれ気味の早口だったがその言葉言葉には加虐的な愉悦があった。
完二は興味をなくしていた少年に敵意をもって睨みつける。
「テメエ、黙りやがれ……!」
声は先ほどより小さいが先ほどより低くドスが利いていた。
彼は目の前の少年の向けている悪意に気がついたからだ。それは完二ではなく直接的にはルイズに向かっているものだ。
だが完二には我慢ならなかった。ルイズが大切なご主人さまだからでは当然ない。目の前の男の悪意はかつて完二を襲ったものと同じものだからだ。
自分と違うものを攻撃し愉悦する最低の行為。言葉の意味がわからなくても、耳に触れるだけで不安になりおなかの底が冷たくなる非道。
金髪の魔法使い完二の平静を奪えたことに少し満足感を感じたのか口をゆがめるように笑った。そして喋り続ける。
「無能な者を無能と言って何が悪いんだい?黙らせたければ僕を倒してみるといい。僕の名前はギーシュ。君に決闘を申し込む!時間とばッ……!」
言葉は完二がギーシュの服の襟首を掴んで持ち上げたことで不本意な途切れ方をした。
「ゴチャゴチャ言ってるんじゃねえぞコラァッ!」
片手でギーシュを持ち上げながら完二は吠える。彼にはギーシュの回りくどいやり方に付き合う余裕など持ち合わせていない。
「う、くっ…」
ギーシュの顔からも余裕は消え、顔に恐怖の顔が浮かんでいる。実際にこの事態に陥って初めて彼は完二の危険性に気付いたようだった。
ギーシュはバラを取り出し宙につられたまま叫んだ。
「ワルキューレ!」
バラの一つの花弁が落ちるとそれを中心に金属の塊ができあがる。
それはなにかの像であるようであった。ただの像ではないことは動き出したことから明らかとなる。それは明らかな敵意を持って金属の拳を完二に振り下す。
716 :
ペルソナ代理:2011/05/02(月) 11:19:42.27 ID:oQ3+EbHR
本日の投下終了です
※※※※※※※※※※※※※
代理終了
ペルソナの人、代理投下の人、乙。
花村がぶつけるのは頭じゃなくて、尻か股間ってイメージがある。
使い魔はじめましたの代理したいけど、容量的に難しそうだな。
新スレ立てるには中途半端だし。
容量足りない分はスレ立ててそっちに投下すればいいじゃん
お初です
ここって
「IS インフィニット・ストラトス」
「魔法少女まどか☆マギカ」からのSSってありましたか?
まだ無いと思いますけど
乙
ペルソナの系列だったら、うちはデビチルを思い出す、
フェンリルのオカマっぷりが好きだったな
50分頃に代理投下行ってみます。
使い魔はじめました――第二十四話――
「ここまでは順調だったのに!」
アカデミーの一室で、エレオノールが悔しげにるつぼの中の液体を見つめていた。
ゲルマニアに蔓延する『カエルの呪い』の特効薬――になる予定のものである。
「まさか、『水の精霊の涙』の在庫が切れてるなんて……」
ヴァレリーもまた、困り切った様子で液体を見つめている。
この世界には『水の秘薬』という水の魔法の効能を高める薬が存在する。
『水の精霊の涙』の涙はその秘薬の中でもとてつもなく希少なもの。
水の精霊との交渉役を務める家から、極々稀に市場に出回るだけであった。
「あんまり出回ってないとは聞いたけど、ここまでとはね」
「あなたの荷物の中に代用が出来そうなものはないの?」
エレオノールに問われ、サララは考える。
考えたが、それに該当するものは今は手元にはなかった。
もし向こうの世界に戻れたら早急に『賢者の石』を入手しておこう、と決める。
「参ったわね……ゲルマニアは既に話を通してあるらしいし、あんまり先延ばしに出来ないわ」
ゲルマニアは非公式ながら、『カエルの呪い』が悪魔の手によるものであったと認めている。
風の噂では、実は皇帝自らも悪魔(エンペル)の姿を見かけていたらしい。
それを公に口にしなかったのは、悪魔を見たなどと言えば頭の病気を疑われ、
即刻帝位を奪われて幽閉されかねなかったからだ、とかなんとか。
その皇帝からは、国民の支持を取り戻すためにも早急に解呪薬を、という意見書が来ており
一刻も早く薬を完成させねばならないのであった。
「『別の』市場も覗いてみたんだけど、あっちにも全然無いみたい」
ヴァレリーが声をひそめる。別の、とはサララの世界で言うところの盗賊ギルドであろう。
――目的を達するために必要な品がない。その状況でサララのとる行動は至って単純だ。
「え? 水の精霊が何処にいるか、ですって? あなたそれを聞いてどうするの?」
疑問符を浮かべるエレオノールに向かって、サララは微笑んだ。
ちょっと、取りに行ってきます、と。
欲しいものがあるなら危険を冒してでも手に入れろ。
それがだんじょんの町で生きてきたサララの信条だった。
面倒だからって夜中だけ開いてる店で買って済ますようなことは、性に合わない。
「それで、一度こっちに戻ってきたわけ?」
問いかけるルイズの膝には、一冊の古びた本が載せられている。
始祖の祈祷書、と呼ばれるその本は王族の婚姻で祝詞を読み上げる巫女が
大事に持っていなければならないとされるものだ。
ゲルマニアの件が片付けばウェールズと結婚する予定のアンリエッタが、
その巫女役をルイズに頼んだため、今はその場にある。
「ラグドリアン湖かぁ、何度か行ったけど綺麗な所なのよねぇ」
袋にせっせと荷物を詰め込むサララの背中に向かって呟く。
「いいところなのよねぇ、ラグドリアン湖」
それは楽しみですね、早く行きましょう、とサララが笑って答える。
「へ? え、ええ、勿論よ! ついていくに決まってるじゃない!」
本を小脇に抱えて立ちあがると、クローゼットへ歩みを進める。
「サララは私のパートナーなんだからねっ、私が一緒に居て当たり前じゃない!」
ぷりぷりと口を尖らせながらも、その表情には喜びが隠し切れていない。
正直少しルイズは寂しかったのだ。何しろ二週間もの間サララはアカデミーに籠り切りで、
自分のパートナーであるサララが自分の傍に居ないことが、不満だった。
だから、危急の事態とはいえサララと一緒に居られるのが嬉しいのだった。
こういう時にワクワクしてしまう辺り、ルイズも少々サララに感化されているようである。
「でもさぁ、どうやってその水の精霊に涙を分けてもらうわけ?」
ウキウキしていた主従の動きが、チョコの一言で止まった。
「……考えてなかったの?」
サララの視線が明後日の方を向いている。前髪で見えないが。
「はぁ……。ま、ちょっとボクにツテがあるから聞いてみるよ」
「ツテ、ってどこにあんのよ?」
ルイズが首を傾げる。チョコは得意そうに告げた。
「ふふん。ボクだって何も昼寝ばっかりしてたわけじゃないんだよ」
自慢の尻尾を揺らし、胸を張るチョコを二人は不思議そうに眺めて顔を見合わせた。
チョコに言われるままやってきたのは学園の一角にある広場だ。
ここでは使い魔達が好き勝手にくつろいでいる。
元は野生の動物とはいえ、メイジと契約を結んだからには人を襲うことはないし、
種族間での闘争もほとんど行っていない。なんとも暢気な光景がそこには広がっている。
あちらでカラスがオウムと共に歌っているかと思えば、
こちらの足元を狼とウサギが駆け比べをしている。
かと思えば、少し離れた噴水ではスキュラがまどろんでいる、といった様子だ。
チョコはその噴水へとてとて歩み寄ると、縁に手をかけて何やらにゃごにゃご言っている。
動物同士で話す際には人間相手に使うのとは異なった言語を使用するらしい。
そのにゃごにゃごが止まったかと思うと、噴水からぴょん、と一匹のカエルが跳び上がった。
ぬめぬめとした黄色い肌に黒い点が幾つも散った、いかにも毒がありそうなカエルだ。
「きゃっ、かっ、カエルっ」
ルイズが可愛らしい悲鳴を上げてサララの後ろに隠れる。
子供の頃、一番上の姉にカエル関係でからかわれて以来のカエル嫌いは未だ治らない。
「この子はロビン。この子のご主人さまが水の精霊との交渉役の家系なんだってさ」
チョコが彼女(ロビンはメスである)に聞いた話によると、
水の精霊との交渉は指定された一族の血を継ぐ者にしか行えないらしい。
幸い、ロビンの主がその一族の末席に名を連ねているため頼んではどうか、とのことだった。
「ボクたちも知ってる人だしね」
「あ、そっか」
その言葉を聞いて何やら思い出したのか、ルイズがぱん、と手を叩く。
「確か、水の精霊との交渉役って、モンモランシ家の仕事だったわね」
「ええ、その通りよ」
タイミングを計ったかのごとく、声がかけられる。
「厳密には元、だけど」
金の巻髪を揺らしながら現れたのは、モンモランシーであった。
「それで、どうして水の精霊と交渉しなきゃいけないのよ」
「それは、アン……むぐっ」
アンリエッタの命によるものだ、と答えかけたルイズの口をサララが慌てて塞ぐ。
どうして命を受けたのか、という話になればアンリエッタの密命をバラさねばならなくなる。
いくらなんでもそれはまずいだろう。
「……まぁ、あなたにはお世話になってるし、ちょっと分けてもらえるんなら私も問題はないわ」
と言っても、とモンモランシーはため息をこぼした。
「何年か前にお父様が水の精霊の機嫌を損ねたせいで、一度お役御免になってるのよね。
だから、何か交渉材料があればいいんだけど……」
「水の精霊が欲しがってるものがあればいいってこと?」
「そうね……そんなものがあればだけど」
あ! とサララが一声上げて袋の中から一つの指輪を取り出した。
先日エンペルの手から奪ってきた『アンドバリの指輪』だ。
確か本来ならば、水の精霊の持ち物であったはずである。
「……綺麗な指輪ね。でも指輪なんかで喜ぶかしら」
強い水の力はあるみたいだけど、と不思議そうに見つめながらも、モンモランシーは納得したらしい。
「それじゃあ、行きましょうか。ラグドリアン湖へ」
モンモランシーの言葉を受け、二人は馬小屋へと進んだ。
なおその馬小屋で後輩の少女と遠乗りをしようとしていたギーシュと遭遇し、
しばらくもめることになったのだが特に詳しくは書かない。
置いて行くと浮気しそうだから、というモンモランシーの一言でギーシュも連れ、
一行がラグドリアン湖に到着したのは昼を少し回った辺りだった。
湖畔近くの木陰に座ると、一行は昼食をとった。
「いやしかしこのスキヤキという料理は実に美味いね」
一人に一個宛がわれた鍋を空にして、ギーシュは満足げに呟いた。
「この甘辛いタレがおいしいのよね、今度レシピ教えてちょうだい」
モンモランシーの問いに、サララは笑みを返すばかりだ。
これの出所が知られたら、多分彼女は商売が出来なくなる。
ルイズは、サララのこの笑みが何かをごまかす時のものだと気付いているが、
それを突っ込んでこの美味しい料理が食べられなくなるのは嫌なので黙っていた。
「そういえばモンモランシー、交渉というのはどうやるんだい?」
「一族のものの血を使い魔に水の精霊まで届けてもらって、話をさせてもらうのよ」
モンモランシーは立ちあがると、腰の袋からロビンを取り出す。
ポケットからは針を取り出し、それで指先を突いて傷を付けた。
そこからこぼれた血を一滴、ロビンの背に垂らす。
「あなたの旧いお友達に、旧き偉大な水の精霊に伝えてちょうだい。
盟約の持ち主の一人が話をしたいって言ってる、って」
任せておけ、とばかりにゲコ、とロビンは鳴いて湖に潜っていった。
「そういえば、水の精霊ってどんな姿をしているの?」
ルイズが問いかける。
「どんな、と言われても困るわね。その時々で姿を変化させるから」
「とてつもなく美しい、と前に話してくれたっけ」
「ええ。陽光にキラキラと輝いて、とても美しいのよ」
ダンジョンでよく見かけるウンディーネと似た姿だろうか、とサララは一人考えている。
意思を持つ水が魔物と化したものだが、見た目と中身は愛らしい少女のそれだ。
しかし、見た目は美しくとも魔物は魔物。
その生きた水の中に冒険者の死体を貯め込んでいる恐ろしい一面もある。
冒険者の命を呼び戻すためサララは幾度となく彼女達に立ち向かい、
その死体を取り戻すために尽力した。その回数は数えきれない。
そう、彼女達に立ち向かったのは命を救うためである。
断じて、断じて、その冒険者が持っている金品の半分を、彼らを蘇生させる教会と
山分けにするためではない。彼らを救うためだ。救うためなのだ。
などと誰へとでもなく言い訳をしているサララは、ふと気配を感じて湖面を見つめた。
湖面は光り輝き、そこに水の精霊が現れたのである。
まるでそれ自体が意思を持つかのようにうねうねとうごめく。
盛り上がった水面は見えない手でこねられるかのようにして様々に形を変える。
戻ってきたロビンを迎えいれ、頭を撫でてやった後、モンモランシーは水の精霊に向き直る。
「私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。
旧い盟約の一員よ。カエルにつけた血に覚えがおありなら、私達にわかる
やり方と言葉で返事をちょうだい」
水面がぐねぐねと形を変えていく。サララは驚いた。
その姿が、モンモランシーのそっくりのものになって微笑んだからだ。
ただし、実際の彼女よりは一回り大きく、服も身につけていない。
透明な裸のモンモランシーだった。氷の彫像を思ってもらえばいいかもしれない。
ギーシュがくるりと後ろを向いた。ポケットからハンカチを出して鼻を拭っているようだ。
存外、彼はウブである。
「覚えている、単なるものよ。貴様に最後にあってから月が五十二回交差した」
「よかったわ。お願いがあるの。あつかましいと思うけど、あなたの体の一部を
私達に分けてもらえないかしら」
そこまで言うと、モンモランシーがちらり、とサララを見やる。
アイコンタクトを受け、サララが水の精霊の方へ近づいた。
これをお返ししますから、どうかわけてください、と指輪を差し出す。
「おぉ……、これは悪魔によって奪われた、アンドバリの指輪……」
精霊は水の一部を触手のように伸ばすと、サララの手から受け取ろうとして触れる。
触れた途端、水の精霊の姿が大きく揺れ動いた。
「おぉ! おぉ!」
「え、ちょっと、ど、どうしたのよ」
こんな水の精霊を見るのは初めてらしいモンモランシーがうろたえる。
「単なるもの。貴様は『全ての始まり』の血族。我が遠き同胞を知るもの」
水の精霊は感極まった、とでも言うようにゆらゆらと揺れる。
「貴様が交渉をし、我は物品を受け取った。ならば、支払いをせねばなるまい」
アンドバリの指輪を受け取ったのとは、別の触手がサララの掌に伸びる。
その先端がぶつり、と切れたかと思うとそこに一掬いの水が残った。
「こっ、こんなに!」
モンモランシーが慌てて瓶を差し出し、サララは一滴もこぼさぬようにその中に収めた。
「指輪を取り戻したことを、感謝しよう。全ての始まりの血族よ」
再びただの湖面へと戻っていく水の精霊。
だが、そこへ向かってルイズが叫んだ。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! 『全ての始まりの血族』ってなんなの!?」
また小さく湖面が揺らぐ。水滴の王冠を被った透明の少女、とでも
表せるような姿で水の精霊が姿を見せた。
「この世界はね、人の想いから生まれたの。魔女さんの一族が、その想いを集めた。
世界が出来て、私達が生まれた。だから、魔女さんは『全ての始まりの血族』」
先程まで感情がなかったのが嘘のように、水の精霊は笑った。
「嬉しいなぁ。はじめて、魔女さんからお買いものしちゃった。ずっと、憧れてたんだ」
その笑みを残して、ぱしゃん、と今度こそ水の精霊は消えた。
世界の成り立ちについて、ルイズ達は、否、ハルケギニアに住む人々の大半は
詳しいことを知らない。そもそもブリミル教徒はブリミル降臨以前のことを
深く考えることを異端と考えているのだ。
であるからして、この小さな魔女の血族が世界を作るのに関わっていた、などと
言われても理解が及ぶものではない。
「と、とにかくこれだけあれば十分なんじゃないかしら」
モンモランシーの言葉に、誰ともなく頷く。
「そうね。早く帰りましょう、サララ」
ルイズが声をかける。サララは押し黙っている。
「……サララ? ねぇ、どうしたのよ、サララ!」
肩をつかんでゆすぶられて、ようやく呼ばれているのに気付いたらしい。
なんでもありません、と笑う顔は、やはり何かをごまかしている顔だ。
ルイズの胸が不安で軋んだ。
サララが何処か遠くへ行ってしまいそうで寂しい、と心中をよぎり
そもそも彼女は遠くからこちらへ来ているだけで、いつか帰ってしまうのだ、と
今まで忘れていたその事実がルイズの胸をさらに軋ませた。
顔を曇らせた彼女に、サララは気付かない。未だに考え事をしていたから。
彼女が思い出していたのは、おとぎ話だった。
一人の魔女が鍋いっぱいに集めたアイテム。
それにこめられた人々の想いの力で、世界が出来たのだという魔女に伝わるおとぎ話。
今まで考えて見たこともなかったが、この世界もサララの故郷と同じように
『魔女』が作り上げた近くて遠い世界なのかもしれない。
だったら、帰るための手段はきっと見つかるはずだ。
頑張って探してみよう、サララは決意を新たにした。
こちらでの生活も楽しいけれど、自分はだんじょんの町の商人なのだ。
あんまり長く、店を空けておくわけにはいかない。
そう決意したサララは、ルイズの顔が不安げなのに気付かなかった。
所変わって、アルビオンのとある場所。
数百年は経たであろう廃墟の片隅に奇妙な紋様があった。
円陣の中に六角星が描かれたその紋様が突如として光る。
光が消えると同時に、そこに人影が現れた。人影、と言ったがその姿は人間とは程遠かった。
青白い肌、銀の髪。ハルケギニアでは月目と呼ばれる左右で色の違う瞳。
だが何よりもその人影を異形たらしめているものは、背に生えた闇色の翼だ。
「なるほど……エンペルが言っていた『ハルケギニア』とやらはここか」
空を見上げる。二つの月が照らす世界は人影には少々眩しいようだった。
「だが、これくらい明るい方がアイツを見つけやすいな」
人影は独りごちて地面を蹴る。片方しか翼がないにも関わらず、
並み大抵の鳥よりも早く人影が夜空を翔けていく。
「魔力こそ多いが、アイツの魔力は独特だ。すぐに見つかるだろう」
空を翔けながら、人影はここへ来るまでのことを考える。
魔族である自分を、他の人間と分け隔てなく接する変わった魔女。
その魔女が行方不明になってから三十回以上月が巡った。
ダンジョンの中で倒れたとは聞かないが、黙って居なくなるような魔女ではない。
あちらこちらで魔女の安否を問う声がささやかれ始め、
彼自身も物足りなさを感じていた時に、部下の一人から彼女の匂いがして問い詰めた。
問い詰められた部下の言葉で、この世界に魔女が居ることが判明した。
それを知って、何故だか居ても立ってもいられずに迎えに来たのである。
魔族の少年は名をアイオンといい、時期魔王候補であり、サララの店の常連客であった。
以上で今回の投下終了です。オチは考えてあるんだオチは。
ただ進まないだけなんだ。カリンちゃんペロペロ。
※※※※※※※※※※※※※
代理終了
>>717 股間をぶつけると聞いて、某日本一の人が思い浮かんだじゃないか
732 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/02(月) 17:40:12.86 ID:gK/OFI3A
るろ剣VSベルVSロードスVSスレイVSCLAY2
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1302869335/ 神 竜魔人ダイ 鬼眼王 フィブリゾ>ガーヴ
SSS級 真バーン ゼロス>シェーラ
SS級 双竜ダイ 竜魔人バラン 老バーン
S+級 最終ハドラー 真竜ダイ 通常バラン
S級 超魔ハドラー 単竜ダイ
A+級 奇跡ヒュンケル
A級 仮面ミストバーン ラーハルト 昇格ヒム 魔槍ヒュンケル キルバーン プリシラ ガニシュカ
A-級 ロン・ベルク 紋章なし真竜ダイ 深淵の者
B+級 アルビナス 超魔ゾンビ 復活アバン 魔軍司令ハドラー 魔剣ヒュンケル
B級 B級 ポップ シグマ フェンブレン 兵士ヒム 魔甲マァム ブロック 超魔ザムザ ダフ=リガルド>不死のゾッド
B-級 クロコダイン デルムリンハドラー ピエタの覚醒者>ゴナールの覚醒者=パブロ覚醒者 比古 ガッツ
C級 勇者アバン 家庭教師アバン 魔王ハドラー
D+級 フレイザード 武闘家マァム ノヴァ マキシマム 鎧武装フレイザード ブロキーナ マトリフ
D-魔神王>五色の魔竜>魔神将>ベルド 明 タキ ガウリイ
D級 ボラホーン キラーマシーン ガルダンディ ザボエラ ホルキンス ラキ、ガーク、シド
くだらなすぎてワロエナイ
るろ剣世界の人間とかファンタジー世界ならただの強いファイターじゃん
てか誤爆か?
ツッコミどころ満載だな
一行目に大大が無いのに表はほとんど大大キャラとか
屁理屈が上手い人が気に入ってるキャラが最強っていう
評価が何級だろうが俺は最後まで人間だったポップが好きだしワニのおっさんも好きだぞ?
それでいいじゃん
他の超設定作品と比較して超設定の少ない作品をディスりたいだけなのは頂けないわ
誤爆でもこっちに持ち込んで欲しくないね
お前らが勝手に論議してるだけだろうに
相変わらずスルースキル皆無な連中だ
ただの強いファクターと見間違った
スパロボでのドヤ顔カットインが光ってるファクターじゃないただの超強いカリスマ高校生(自称)の
道明寺誠とか呼んだら・・・面白いかもしれない
インプラント無しのマニュアル操縦で現役自衛官の操縦技術をしのぐスペシャルだし
タルブに何があっても大丈夫だ、たとえガンダールヴじゃなくても
742 :
ゼロのペルソナ:2011/05/02(月) 19:14:15.84 ID:1mxdneuT
ネギま!?
>740
どんな誤爆やスパムもネタとして消化し昇華させられる卓ゲ民ですから。
噛み砕いた上で、ダイ大クロススレに行って盛り上げてやろうぜと提言したい。
さてGWもまだ半分以上あるしほかにどんな人来るかな
ゴールデンウイーク
次スレは?
容量480kだね。
レベルが足りてたら挑戦してみる。
足りないので誰かお願いします。
いってきます
>>746 GW
「ネズミが紛れ込んだか………困ったものだ」って言うガチタンが待機している大きな列車の事さ
なんだっていい!スレを埋めるチャンスだ!うおおおおおおおおお!!!!!!!!
今から投下します
応援せざるを得ない
「やっと終わった……」
ルイズは自分の失敗魔法による爆発でめちゃくちゃにしてしまった教室の掃除がやっと終わり食堂に来ていた。
魔法も使わず一人で机の片付けをしたのだからくたくただ。
ふらふらと座る場所を探していると声をかけられた。
「あらもう片付け終わったの?」
すでに食事の席に着いているキュルケだ。その対面の席にはタバサが座っていた。
からかうような口調であったが疲れているのでルイズはムキになる気力もない
「もう、じゃないわ。やっとよ……」
憮然と答えながらルイズはキュルケの隣の席に座る。他に席がないからだ。そうでなければキュルケの隣になど座るものか。
と、ルイズは心の中で誰にいうわけでもない言い訳をする。
「ねえねえキュルケチャン?」
朝と同じく使い魔でありながら魔法使いの食事の席に着いていたクマが言った。そのことにルイズは不機嫌そうな顔を見せるが
キュルケはそんなルイズに構う様子もない。それは陽介を自分の隣に座らせているタバサも同じだ。
「なによ、クマ?」
「なんだか、あっちのほうが騒がしくないクマ?」
とクマはルイズが来た方向とは反対側、つまり食堂の奥の方を指差す。いや、親指とそれ以外の指の二つに分かれている手なのだから手差すとか腕差すというべきか。
キュルケ、それと陽介もクマの示す方向を見る。
「ああ、なんか騒いでるな」
「面白そうね、見に行きましょ。行くわよ」
その声に応じてクマはイスからピョンと飛び降り、食事を十分とったであろうタバサ、陽介もキュルケの野次馬に付き合うことにする。
ルイズは構わず食事を始めようとしていたのだが
「ほら、ルイズも行くわよ」
キュルケはぐいと腕を引っ張りルイズを立たせて来る。
「ちょっとあんたらだけで行きなさいよ!私はまだ食事も……」
「ご飯なんて後で食べられるじゃない!さ、クマも手伝って!」
クマに反対の腕を取られ、ルイズは騒ぎの方向へと連れて行かれる。
ルイズは清掃で疲れていたので、抵抗をやめぐったりとしながらキュルケたちになされるがまま歩いていく。とにかく早く終わって食事をとりたい。
5人の中で一番早く歩いていた陽介が人だかりを見つけた。どうやらその人だかりの中に騒ぎの原因があるようだ。陽介は近づいて、中を見て声を上げた。
「げっ!完二が誰かつるし上げてっぞ!」
「何ですって!?」
ルイズは覇気なく両脇から抱えられていた様子から一変して、キュルケとクマの腕を払い人だかりへ駆け寄る。朝から彼女の頭を悩ませていた使い魔の名をこんなところで聞こうとは。
キュルケ、クマ、タバサも続く。
ルイズも陽介と同じ光景を見て驚きの声を上げる。完二が魔法使いの首根っこをつかみ持ち上げているように見える。よく見るとつかんでいたのは首ではシャツであったが。
「何やってるのよ、あのバカは!」
「ぶら下がってるのはギーシュみたいね」
金髪、それに手に持ったバラの杖を持った杖からもそれは明らかだった。キザったらしくうっとおしいヤツだが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった
。バラの造花なんて妙な杖を使っているのはギーシュ以外に見たことがないが、彼のセンスも問題ではなく彼がすでに杖を取り出していることが問題だ。
「とにかく止めないとカンジが危ないわ!」
陽介が不思議そうな顔をする。
「完二が?あの金髪のほうじゃなくて?」
「あんたたちは本当に貴族の……魔法使いの怖さがわかってないのね!ギーシュが本気を出す前に……」
ルイズの言葉が言い切られる前にワルキューレが現れた。窮地に追いやられたギーシュが、目の前の無礼で危険な平民を排除するために呼び出した彼の兵である。
土のメイジが得意とする錬金で作り出した青銅のゴーレムだ。それは大人ほどの背丈もあり、決してその攻撃は平民に耐えられるものではない。たとえ人並み以上に体の大きな完二でも。
ワルキューレは青銅の拳を完二へと振りかぶった。
「危ない!!カンジ!!!!」
ルイズは叫んだ。
完二は向かい来る敵意を横目にしながら危険を感じなかった。いや、彼はその自分に向けられた暴力を敵意とすら見なさなかった。
金色のカードが彼の目の前に現れる。それを、ギーシュを掴み上げている左手とは逆の、自由な右手で叩き割る。
「砕け!!ロクテンマオウ!!」
彼の背後に巨体が現れた。
それは真っ赤な体にオレンジがカラーリングされた金属のような体を持つ。上半身が異様に大きく、燃え盛る炎の色をしたボディとあいまって力強さを見せる。
そしてその手にある得物を青銅のゴーレムに叩き付けた。
キルラッシュ――その破壊の打撃がワルキューレに一度、二度と叩き込まれる。
攻撃を終えたロクテンマオウが姿が消すと残ったものはワルキューレの姿の名残すらない金属の塊であった。
ギーシュは目の前に現れた巨大な力も、自分のワルキューレが破壊されたことも信じられないのか、呆然としている。
周りを取り囲んだいた魔法使いの生徒たちも、自分の使い魔が叩きのめされるのを想像した彼の主も、そして彼と同種の力を有する陽介とクマも呆然としていた。
しかし回りのことなど構わず完二はギーシュを怒鳴りつける
「おい、俺は人のことを影であーだこーだ言うやつが嫌いなんだよ!ルイズの陰口をもう二度というんじゃねえぞ!」
呆然としていたギーシュは現状を思い出しコクコクと頷いた。
「つーか、あとでシエスタにもわび入れとけ!わかったな?」
ギーシュは更に早く首を上下に動かした。
ちっ、と言いながら完二はギーシュを話す。ギーシュは無様にケツから落ち、首元を押さえゴホゴホと咳き込んでいた。
「カンジさん……」
その衝撃が流れていた状況下で最初に声をかけたのはシエスタだった。
「よう、大丈夫か……」
「ちょっとカンジ!なんなのアレは!?」
完二が言い切るか、言い切らないかというところにルイズが割り込んできた。
今朝に喧嘩別れした自称完二のご主人さまに、完二はいきなりどう対応したいいかわからず頭をかいた。
「あー……なんだルイズじゃねえか、どうした?」
「どうした?はこっちのセリフよ!?あれは何?魔法使いなの?ゴーレムなの?今まで隠してたの?」
何を言ったらいいかわからない完二に対し、ルイズは言いたいことが多くあるようだ。バケツの水をひっくり返すように質問が飛んでくる。
「んなまくし立てられてもワケわかんねえよ!」
質問の乱発に完二の情報処理能力はすぐに容量がいっぱいになってしまう。
ルイズが更に言葉を並べようとするところへ陽介が割って入る。
「ちょい待ち。ここは人が多すぎる。移動しようぜ」
タバサ、キュルケ、クマが賛成の色を示し、しぶしぶながらルイズも従う。完二も当然彼らと一緒に行く。
支援せざるを得ない
再びタバサの部屋に6人が揃った。
「それにしてもまさかペルソナ能力が使えるとはなあ……。よく気付いたな、完二」
「いや、気付いたっつうか、ムカついてて実を言うとペルソナ出したことに気付いたのもついさっきなんスよ」
完二はなんとも間の抜けた答えをす。
「なんだよ、そりゃ……ってぶっちゃけそんな気はしてたけどな」
「完二は考えるより行動派だからクマね」
「おいクマ、テメエ、バカにしてんじゃねえだろうなあ……」
少なくとも行動力の高さを褒めているのではないことを感じ取り、完二はドスの利いた声を出した。
だが完二の迫力ある低い声も、もっと大きな声で消されてしまった。
「ちょっとあんたたち私たち無視してんじゃないわよ!」
どうやらルイズに使い魔たちが主たち抜きで盛り上がっている様子は、沸点を上回るには十分すぎたようだ。
完二はルイズという少女の沸点は高くはないだろうと思っていたので驚く事実でもないが、クマと陽介はひどく驚いたようだ。
「ごめんクマー」
クマはルイズの噴火に脅えキュルケの陰に隠れる。
「ちょ、違うんだよ、情報整理だよ。俺たちも混乱してて……」
「ならささっと説明しなさい!」
ルイズの噛み付くような態度に陽介もおののいて(クマのように主の影に隠れたりはしなかったが)、大人しく説明を始めた。
完二、陽介、クマの三人は世界にはテレビという映像を見る機械があること。
彼らがテレビに入る力を得たこと。
彼らテレビの中でペルソナという力を使えるということ。
ペルソナは外敵に対するための心の仮面だということ。
完二のペルソナは名をロクテンマオウ。赤い金属のような体を持ち、雷属性の力を使いその物理的な力は随一であること。
陽介のペルソナはスサノオ。疾風属性の力を持つこと。
クマのペルソナはカムイ。氷雪属性と回復の力を持つこと。
などを説明した。
説明で一番困ったのはテレビの説明であった。この魔法の世界で、科学技術の結晶の説明をすることは一苦労なうえ、
それを理解されるとテレビの中に入るとは映像の中に入ることとは違うということを説明しないとならなかったからだ。
それらの最難関をなんとかこの世界の少女たちに説明し終え、質問はこの世界にも存在する魔法のことに及ぶ。
「雷属性と疾風属性?雷は風の系統の中にあるんじゃないの?」
キュルケが質問してくる。どうやらあちらとこの世界では魔法のことさえ勝手が異なるようだ。
「いや、雷は雷だろ。俺たちの世界のテレビの中じゃ……ってややこしいな。とりあえず別の属性だった。
ペルソナの力は雷、疾風、氷、炎の4つが基本だな。つっても物理攻撃と闇・光、あとどれにも属さないメギドみたいなものもあったけど」
「分類の仕方が違うのね……」
今まで黙っていたタバサが質問する。
「あなたたちはどれくらい強い?」
ルイズとキュルケもじっと三人を見た。実のところ、それはキュルケとルイズも強く知りたがっていたことかもしれない。
「けっこう強いと思うけどここだと何処まで通用するかな……」
陽介は答えを濁した。あの世界でも相性によっては敵の強さが何倍にもなることはままあった。ならばこの世界ではどうなったものかわからない。
「カンジ、あのゴーレムはどうだったクマか?強かったクマか?弱かったクマか?」
完二はさきほど叩き潰したワルキューレを思い出した。先ほどは武器もなく、また頭に来ていたのでロクテンマオウで破壊した。しかし……
「ザコだよ、あんなもん。キルラッシュ使ったけどよ、武器さえありゃ殴っても簡単にぶっ壊せたぜ」
完二の言葉に少なからずルイズ、キュルケ、タバサの三人は少なからず衝撃を受けたようだった。
支援
話を切り上げることを提案したのはルイズだった。
キュルケはまだまだ聞きたいことはあるし、午後の授業までは時間はあると反対したが、
ルイズはまだ食事を済ませていないと言ってこれ以上は食事の時間もなくなると言った。こうして6人の話は終わりおのおの部屋から出て行った。
「カンジ、ついてきなさい」
完二はしぶしぶと気乗りしない様子でついて行く。
先ほどのケンカ騒ぎで忘れかけていたが二人は朝食時の時にケンカ別れしたのであった。
二人になったとたんそのことが二人にとって強く思い出され、喋りづらい雰囲気になる。
その雰囲気を先に壊したのはルイズだった。
「カンジ、あんたも一緒に食事にしなさい」
「ああ?」
ルイズの顔は真っ赤であった。朝の仕打ちを思いその前言を撤回すること、
そして手ひどく扱ってきた使い魔を認めるのはルイズのとって大きな勇気のいることであった。
「あんた私のためにギーシュに怒ってたんでしょ?」
彼女は完二がギーシュのワルキューレを倒したあと、ギーシュに言い放った言葉を思い出した。
ルイズの陰口をもう二度というんじゃねえぞ!と、彼は確かに言った。
彼女は魔法学院に入ってから一人で戦い、耐え忍んできたと思っている。
誰も彼女をかばってなどしてはくれなかった。だが完二は衆人環視の中で言い放ったのだ。
それがルイズにとっては――絶対に認めたくないが――嬉しかったのだ。
「今からは食事を一緒の席でとることを特別に許可してあげるわ。寛大なご主人様に感謝しなさい。
もちろん怒ってくれたのが嬉しいってわけじゃないからね!
ただあんたがそこそこ力を持ってるならそれに見合うだけのご褒美を与えるのは主人の役目っていうか……」
ルイズは顔の赤みを増やしながら途中からろれつも怪しくなる。
「いや、昼飯ならもう食ったぜ、厨房で」
完二はあっさりと気の利かない一言を言った。
ルイズの顔から一気に朱が引く。
「つか、朝飯もそこでもらったんだけどな。マルトーのおっさんは気のいい奴だしよ……。ってどうしたんだその顔」
完二はやっとルイズの顔に不機嫌の表情が貼り付けられていたことに気付いたようだった。
「なんでもないわよ!」
「なんでもないなら怒鳴んなよ……」
「あんたはこれからずっと使用人たちと一緒にご飯食ってなさい!」
ルイズはご主人さまの気遣いも理解できない使い魔に一瞬でも貴族の食事を許そうとした自分に腹を立てると同時に、
食事を共にするなどこれからも許さないと胸に固く誓う。
完二はもとよりそのつもりであったのかそう言われて特にどうも思ってないように見える。しかしやはりルイズの不機嫌の理由がよくわからないようだ。
「ナニ怒ってんだよ?」
「怒ってない!」
気の利かない使い魔からルイズはぷいっと顔を背ける。
「怒ってるじゃねえか、ったく、これだから女ってのは……」
はあ、と完二はタメ息をこぼした。
ルイズはご機嫌ななめで、完二は文句をこぼす。
それでも二人は並んで歩く。
投下終了!支援あざーす!!
本当は一発で投下するつもりだったんですけどね……前にさるさんにひっかかって二分割になっちゃいました。
第3章は短いから一発投下可能と思うけど、4章以降は長めになるのであらかじめ二分、あるいは三分割で投下します
乙でした
乙乙お
ゴールデンウィークの方が忙しいので投稿できないで御座るの巻き
結局私は前半を投下しただけで今週は終わるのか
今はメガストラクチャー内を歩き回っているわけか
>>742 スーパーどや顔大戦Lディスりよるんか!
いやあ、ギーシュはヘタレでしたね
投下乙
変顔でマリクに勝てるやつはおるまい
ゼロソナ乙乙
ナミさん倒した後だと向かうところに敵が無いですね
回復持ちとブレーンが居ないのがこのメンバー唯一の欠点ですか
三人のルーンはどうなってんでしょうか
デルフがその辺の椅子や机や風呂敷に乗り移ることになったらどうしよう・・・
続きが待ち遠しいっす
>>742 ミストさんは・・・呼んだら展開が見え見えっすねぇ
ハルケじゃ無理からぬとこもあるでしょうが
まぁきっとアトリームも説明不足やすれ違いで語られなかっただけで
インサラウムと同じくらいは防衛隊が外敵を退けてたり、暴動の影にはイディクスの暗躍があったとか
そーいうことになってるんでしょう
・・・ということにして、浄化を試みるSSがあってもいいかもしれない
問題児だけど悪人じゃないっすからねぇ、彼も
>>771 森次さん(中学)もドヤ顔してましたな
>>774 それでもイスペイル様なら・・・イスペイル様ならなんとかしてくれる・・・!
顔がからむ使い魔ねぇ
バックベアードを召喚って、目しかねえ
原作でも召喚されてなかったか?
名前違ったけど。
ドラクエシリーズからマドハンド
鋼の錬金術師からも目だけみたいなのを
じゃあ埋めついでに
ドラクエVの「ひきかえせー」の顔を召喚
・・・・・・デビルマンのジンメンを。
千と千尋の神隠しから頭
今が旬のアスタロッテのおもちゃから、直哉を
じゃあグラディウスからモアイを
>>784 ルイズが爆発で真っ二つにしたせいで遊星沙羅曼蛇がハルケギニアを襲うんですねわかります
>>783 あれ原作はロッテのおもちゃだから気をつけるんだぞ
小ネタとして
SIREN2から発狂した永井
得体の知れない生徒をやみんちゅと勘違いしてぱらら
もしくは、転がっる堕慧児の目の前に鏡が出て
召還された後そのまま転がって、生徒の集団と衝突
ボウリングの起源になる
小ネタだから、SDKがハルゲニア世界を殲滅するのも有りかもな
異界ジェノサイダーって やっぱそこの住民が人間っぽくても
皆殺しなのかなぁ
ハワードならともかく、須田の方は美耶子が死んだ事を認識してねーからな
ある意味、狂人の域だろうな
コネタになりそうな話…
まぶらほの夕菜をルイズに呼び出させてギーシュイベント戦で、
うわき男に対する対処法をケティとモンモンに実地講義する。
夕菜「愛とは、社会性とは相容れません。もっと純粋で暴力的なものなんですよ」
ルイズ「ひ、ひどい!」
とルイズ(サイト非召喚)に夕菜のおしおきを徹底批判させる、
という視聴者にお前が言うな状態をつくるお話を……難しそうだから没った。
銃夢 Last Orderの羅姦さんを
ガンダールヴが主人を守るためにあるなら
ディフェンスに定評のある池上を召喚するのがベストだな
いい質問ですねー
終端の王と異世界のガンダールヴ
聖地へ至るゼロヘ至るガンダールヴ
聖剣伝説3ならシャルロットを召還したら
意外とルイズのいう事きてくれそう
797 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/05/04(水) 13:27:25.00 ID:SpmXJlQM
幽遊白書から蔵馬を召喚
ギーシュは薔薇でキャラ被りとか気にして因縁つけてきそう
100%返り討ちにされるだろうけど
ギーシュとは年季の違うマジモンのキザ男さんだからな>蔵馬
もう並んで立っただけでイケメン的な意味で負けてる
そして薔薇栽培仲間コースか