あの作品のキャラがルイズに召喚されました part291

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1名無しさん@お腹いっぱい。
しもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part290
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1299985381/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。



.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/03(日) 17:18:51.15 ID:6ZFedQPW
2げっとおおおおおおおおおおおおおお
3名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/03(日) 19:13:41.40 ID:uN7TqeYX
 ウルトラ5番目の使い魔作者さんとスレ立ててくれた人、乙でした。

 ウル魔は久々外伝系突入ですね。シルフィードのピンチだけど、バリアが
あるんじゃタバサは助けに行けないかな?

 そして本編組は虚無のことやらシェフィールドたちのことやらで大わらわ。
才人のGUYS受験の行く末が一番気になってたりします。
 意表をついて落第とかありそうで怖い。
4名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/03(日) 22:57:32.19 ID:GmIKxEE8
最近魔界戦記ディスガイアのラハール(小説版)のSSを書いてみたいという
衝動に駆られて仕方がない
叩かれるんだからやめて方がいいのは分かってるんだけど、う〜ん
5名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/03(日) 23:38:19.66 ID:1jpMmX0e
じゃあやめとけば
6名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/03(日) 23:45:08.04 ID:GmIKxEE8
たしかに上手く書けそうにないからやめておこう
言ってくれてありがとう
7名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 01:06:09.75 ID:j8235DhQ
E-mail (省略可) :
って所に
sage
って打ち込んでから書き込みしような?
8名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 01:49:19.36 ID:eAe53FZK
完全に忘れてました
すみません
9名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 02:20:35.82 ID:/Gv+6R2s
ウルマ乙

やっぱカマキラスがいるな。確かにあいつ何匹かいたな。
ミニラのタマゴかちわってたっけ。
10ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/04(月) 02:37:47.11 ID:YpsY5reh
続きが出来ました。
前スレはもうすぐ終わりそうなので、こちらに投下します。
11ヴァナ・ディールの使い魔 第1話:2011/04/04(月) 02:39:30.25 ID:YpsY5reh
「いちち…ここ、何処だ?」

土煙が晴れ、視界が開けたのを確認すると、プリッシュは手で頭を押さえがら周りをキョロキョロと見回した。
すると、魔道士らしき格好をした少年少女たちが自分たちを取り囲むように立っているのが目に入る。

(人?俺とシャントットのオバさん以外に人がいるなんて…それに何か俺たちを見てびびってるみたいだし)

彼らのほぼ全員が自分たちに対して怯えの表情を見せているようであった。
その表情を見てプリッシュは一瞬眉を顰めたが、一先ず直前の出来事を思い出してみる。

(ええと…、確か俺とオバさんはいきなり現れた鏡の調査をしていて、俺がその鏡に触れようとしたら急にピカーって光った後、物凄い力で引きずり込まれて、それで…)

「ここへ出た、ということですわね」

突如背後から聞こえた声にプリッシュは思わずおののいた。
恐る恐る振り返ると、シャントットが目を半開きにしながらこちらを睨み付けている。

「オバ…じゃなくて、博士!?」
「プリッシュ!軽率な行動は慎みなさいと口が酸っぱくなるまで申し上げましたというのに、あなたという子は…」
「まー、まー、こうして二人とも無事なんだし、別にいいじゃねぇか!」

プリッシュが明るくそう言うと、シャントットは呆れたような顔で見つめる。
この見た目は小さな子供と変わらないシャントットは彼女たちがいたヴァナ・ディールという世界において、知る人ぞ知る伝説的存在であった。
どのくらい凄いかと言えば、下手すると彼女の機嫌一つで世界が崩壊しかねないくらいである。
シャントットの恐ろしさを理解しているプリッシュは口では軽く言っていても、内心は冷や冷やであった。

「…どうやら言って利かないあなたには何かしらお仕置きを与えるべきなのでしょうね。精神的にも肉体的にも!」
「ひぎぃっ!?」

プリッシュは思わず頭を抱えて、その場にしゃがみ込んだ。
その様子を見てシャントットはやれやれと肩をすくめる。

「…ところで、そこの頭の寂しい殿方。わたくしたちに杖を向けるなんて、紳士の淑女に対する行動とはとても思えませんわね」
「!!」

シャントットの背後で何者かが彼女の言葉に反応する。
そこには、男がシャントットへ杖を向けながら周囲の少年少女たちを庇うように立っていた。
12ヴァナ・ディールの使い魔 第1話:2011/04/04(月) 02:40:58.44 ID:YpsY5reh
禿げ上がって地肌を露わにした頭頂部に多量の汗を滲ませながら男は二人を睨みつけている。
シャントットはゆっくり振り返ると、男に尋ねた。

「わたくしたちに何か御用でも?」
「エルフ…!私の生徒たちには指一本触れさせない!」

男は敵意むき出しに答えた。
プリッシュが反論する。

「ハァ?おっさん、何言ってんだ?別に俺たち何もしてねえだろ?何かする気もねえし!」
「…すまないが、エルフの言うことを簡単に信用することは出来ない」

男は二人へと杖を向けたまま答える。
杖を向けているとは言っても、あくまで牽制だけで、攻撃を仕掛けようという素振りはまだ見せてはいない。
しかし、こちらが不審な行動を見せれば、すぐに男は攻撃に移るだろう。
シャントットは一度ため息を吐くと、またも肩をすくめてみせた。

「やれやれ…こちらの言葉を聞こうともしないだなんて、とんだ野蛮人ですわね」
「…人間に友好的なエルフなど見たことが無いのです。警戒するのは当然でしょう?」
「あらまあ!もしかして偏見と先入観だけでわたくしたちに杖を向けていますの?」
「生徒たちに何かあってからでは遅いのです…!」
「生徒を守ろうとするその殊勝な態度は教師としては立派ですわ。ですが、わたくしに杖を向けてただで済むと思ったら大間違いですわ!」

シャントットはそう言った後に「オーッホッホッホ!」と高笑いする。
男は彼女の笑い声に寒気を感じると、思わず振り返り彼の生徒たちへ叫んだ。

「早く学院の中へ入りなさい!ここに居ては危険だ!」

男の言葉に従い、彼らは一斉に大きな建物の中へと走って行った。
シャントットは男に声を掛ける。

「あなたもお逃げになったら如何ですの?今なら見逃してさしあげてもよろしいのですけれども」
「…生徒を守るのが教師の使命です」

男はそう言って改めてシャントットへ向き直ると、杖を構えた。
それを見て、シャントットは何処からか身の丈程ある杖を取り出して男へと向けた。

「よござんす!再びわたくしに杖を向けるその勇気に免じて、一瞬で終わらせてさしあげますわ!」

小さな体から放たれる圧倒的な覇気に、男は体の震えを隠せなかった。
思わず、その場からみっともなく逃げ去りたい衝動に駆られる。
しかし、この命に代えても生徒たちを守りたいという思いが彼の足をその場に踏み留めていた。
そこにはまるで戦場さながらの空気が蔓延していた。

「ちょっとアンタ!」

突如、甲高い声が辺りに響いた。
桃色がかった髪の少女が前へ出て来る。
少女は何やら怒っているような顔でシャントットたちを睨み付けていた。

「み、ミス・ヴァリエール!?」

男は青ざめた顔で少女を呼び止めた。
しかし、少女は止まらない。

「止めなさい!これは命令よ!」
「……」

シャントットは無言のまま横目でチラッと少女の顔を見た。
その後ろでは、プリッシュが「やっべー」と呟き、ゆっくりと後ずさっている。
13ヴァナ・ディールの使い魔 第1話:2011/04/04(月) 02:48:05.94 ID:YpsY5reh
男が必死の形相で少女に声を掛けた。

「ミス・ヴァリエール!下がりなさい!相手はエルフなんですよ!?」
「でも、私が呼び出したのだから、私の使い魔なんですよね?それならば主人である私が止めます!」

何処から出てくる自信なのか、少女はそうきっぱりと言い切った。
辺りに緊張が走る。
暫しの静寂の後、ようやくシャントットが口を開いた。

「…興が削がれましたわ。闘争の空気ではございませんわね」

シャントットは手にした杖を仕舞って、背を向ける。
男はホッとして、ついその場にへたり込んでしまった。
シャントットと対峙していた時間、彼は生きた心地がしていなかったのだ。
しかし、それでも警戒を緩めることはなく、視線をシャントットたちから逸らすことはしなかった。
そんな彼の苦労をつゆ知らず、少女は尊大な態度を崩さない。

「フン、分かればそれでいいのよ」
「おい、そこのちんちくりん!」

これ以上、シャントットを刺激すれば、何が起こるか分からない。
プリッシュは思わず声を掛けた。
少女はプリッシュの言葉に激昂する。

「だ、誰がちんちくりんよ!アンタだって私とそんな変わらないじゃない!…胸とか」
「胸のことは言うんじゃねえ!って、んなことはどうでも良くて…これ以上、オバさんに何か言うのは止めろよ!こっちの寿命が縮むだろ!」
「何よ!?いくらエルフでも、こんなチビがそんな凄いわけないじゃないの!」
「オバさんはエルフじゃねえっての!」
「なら余計によ!エルフでもないこんなチビを恐れる必要なんて無いわ!」

少女はそう言い切ると、腕を組んでシャントットを見下ろす。
シャントットはゆっくりと振り返ると、少女とプリッシュを交互に見やり、そして重々しく口を開いた。

「色々言いたいことはありますが…まずはプリッシュ」

シャントットはプリッシュを指差した。

「あなた、どさくさに紛れてわたくしのこと『オバさん』と何度も呼びましたわね?」
「あっ!」

プリッシュは一気に血の気が引いた。
シャントットは次に少女を指差す。

「そして、そこのあなた!」
「何よ!?」
「わたくしも鬼ではありません。無知な者が無知であるが故に愚かなことを口走っても、いちいち気になどしませんわ。でも…」

シャントットは先程仕舞った杖を再び取り出した。

「それでも我慢の限界ってものはありますの…わたくし、ブチ切れましたわ!!」
「うわあああああああ!!」

プリッシュの叫びが辺りにこだまする。
その日、世界は崩壊の危機に瀕した。
14ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/04(月) 02:52:50.28 ID:YpsY5reh
以上で1話終了です。

FF11は1年前くらいに止めてしまったので記憶が結構曖昧だったのと、
DDFFは今絶賛プレイ中で、且つ色々とイメージし易いということで、
出展元をDDFFにさせて頂きました。
あと、ディシディアネタを使いたいというのもあります。
温かい目で見て下さると助かります。
15名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 07:28:44.64 ID:wITmpX/Z
おばさん?
ババァの間違いじゃ…おや?誰か来た
16名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 14:50:15.61 ID:niFfVdzJ
勘違いされがちだけどシャントット博士は世界をどうこうできるほどの力は無いべ
水晶大戦の時もズヴァールで敗走してるくらいだし
17名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 16:04:10.07 ID:Wn4vtBBo
>>14
原作の知識が曖昧だったら、また始めるなり資料漁って調べるなりすればいいと思うんだが?
あんたの言ってることをゼロ魔で言えば、原作小説の記憶が曖昧だけど、
また読み直すのめんどくさいから他人の二次創作で復習したつもりで書くと言ってるようなもの。
そんなゼロ魔にもFF11にも愛着がないような話を温かい目で見ろとか、都合がよすぎるんじゃないか?
本当に両作品が好きなら、まず原作からちゃんと調べるべき。
それが嫌なら、せめて批判を受けるような発言はしないでほしい。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 16:09:28.05 ID:T/TgiwYd
厳しすぎだろ
19名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 16:17:13.47 ID:vTWdHBSZ
でもまあ、あの小説を全部読み返す気には早々ならんけどな
20名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 16:38:45.26 ID:1wNUQ+aM
新スーパーロボット大戦から東方不敗を召喚みたいなもんか
21名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 16:56:36.07 ID:d/4iqaHy
まあ、アビセアとアルタナ、ついでにエンピ完成させて出直してこい
22名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 17:18:19.63 ID:gNDCUP6q
このスレだって新刊設定のズレを回避するため「○○巻以降の設定は使いません」とするのが許されてるんだから、まったくやってないよりはいいだろ
23名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 17:20:23.85 ID:CMBjxMac
>>20
東方先生「聞けいルイズよ!わしはこの星の人間ではない!」
ルイズ「そりゃそうよね」
キュルケ「この星の人間は鍛えたからってパンチやキックや布切れだけでフーケのゴーレムは壊せないわ」
東方先生「だがわしは全くおぬしらと異なる生命体というわけではないのだ」
タバサ「絶対嘘だ」

原作と違って死んでないし元気だし地球人自体ハルケギニア人から見たら異星人なので有る意味原作から呼ぶよりしっくりくるね!
24名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 17:31:30.20 ID:gNDCUP6q
ガンダムシリーズで師匠より偉大な人はおらん
25名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 17:37:02.53 ID:DWnTChRu
50年かけて異星人と和解したせっさん以上の男がいるか
26名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 17:59:12.11 ID:niFfVdzJ
>>21
やめて!
27名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 18:21:31.16 ID:u4S/phwb
異星人とさえ友好を結ぶなら、とりあえず春野ムサシかな
コスモスのバルタン星人を廃月ごと呼んでも、土地は余ってるし
28名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 19:47:27.33 ID:foZ5DUzc
>>17 毒吐きにこもってろ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 19:50:23.99 ID:UBwKcqiX
師匠と言うかモンスターハンターの随分と無茶苦茶な教官。

トライではだいぶ落ちぶれていたなぁ。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 20:10:23.06 ID:Se76Qe4q
ディシディアと本編だと微妙にキャラ違ったりするし、
ディシディアのキャラでやりたいってなら別にそれでもいいと思うがな

何にせよ>>17は言い過ぎだ
そして作者も日和り過ぎ
そんなに予防線張らんでもよっぽどじゃない限りは設定ミスくらいで誰も責めんから
31名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 20:29:21.02 ID:+PwKfhLU
>>17
ばーか
32名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 20:36:49.63 ID:Dx23Dk2Z
>>31
ガミラスに下品な男は不要だ。
33名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 21:20:31.52 ID:u4S/phwb
ヤマトで思い出したがオスマン学院長の声の人大丈夫かな…
34名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 21:40:52.01 ID:DWnTChRu
小銭と明日のパンツさえあればどうにでもなる
35名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 23:02:50.27 ID:UBwKcqiX
楽して助かる命なんて無いって事か。
36ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/04(月) 23:12:58.83 ID:YpsY5reh
少し発言が軽率過ぎましたね
不愉快な思いをさせて申し訳ございません
これからは余計なことは言わないようにします

今、Wikiとかを見て、改めてFF11を勉強し直してるところです
とは言え、あくまでディシディア準拠なので、その辺のバランスを現在調整中です
ご迷惑をお掛けした分は筆でお返し出来たらなと思う所存です
駄文済みませんでした
37名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 23:39:40.00 ID:u4S/phwb
Wiki知識で書くのはあまり好まれないぞ
万能辞書にみえていい加減な情報も多いからな
38名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/04(月) 23:45:28.02 ID:aKiOLZI5
wikiと言えばなんかwikiの更新おかしくね?
雷帝とか、ドラとか
39名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 00:39:21.36 ID:d8iO4CrH
>>21
シャントット帝国とプロマシアが抜けてるぞ
いや、プリ召喚する話書くってんならさすがにプロマシア位終わってるかw

……終わってるよな?
40名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 00:40:05.37 ID:3ucUKPzP
更新の順番とかいろいろ変なのは昔からだろ
ただコピペして張るだけなんだけれど、どうもスムーズにはいかない
4117:2011/04/05(火) 01:27:03.33 ID:zWZdBud2
>>36
私の方こそ、少し言い方が厳しくなってしまいすみませんでした。
設定改悪や腐女子による異性、同性カップリングの押しつけ、果てはディシディア知識のみの
にわかファンによる原作設定の否定などで、ディシディアにはあまり良い印象を持っていなかったので、
つい言い過ぎてしまったのです。
長くなってしまいましたが、貴方のSSが無事完結することを願いながら、続きを楽しみにさせてもらいます。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 01:28:16.72 ID:U3tA3k/U
バラリベンジャー召喚とか電波を受信した
あの回は泣く
43呪いの使い魔:2011/04/05(火) 03:13:16.16 ID:kO9wd5UY
皆様、お久し振りです
誰も他にいなければ15分より投下します。
44呪いの使い魔 第4話:2011/04/05(火) 03:21:08.16 ID:kO9wd5UY
ここはアルヴィーズの食堂。
多くの生徒たちが豪華な朝食に舌鼓を打つ中、花鶏は不機嫌な顔で床の上に置かれたパンとスープを睨み付けていた。
そして、すぐ側でクックベリーパイを幸せそうに頬張るルイズに声を掛けた。

「ちょっとルイズちゃん?」
「もぐもぐ……何かしら?」

ルイズは勝ち誇ったような表情で花鶏を見つめた。
花鶏はパンとスープを指差して訊ねる。

「これは何かしら?」
「何って、アンタの朝食に決まっているじゃない!」

当然のようにルイズは言い切った。
こうして、花鶏に明らかにランクの下がった食事を与えることにより、使い魔と主人の差を思い知らせるのがルイズの目的であった。

(……とは言え、流石にこれだけは可哀想だったかしら?)

一瞬、そう考えたがルイズはこちらをじーっと見つめる花鶏を見て、首を振ってその考えを払拭した。
相手はあの花鶏である。
昨晩、そして今朝彼女にされたことを考えれば、これくらいの処遇はあって然るべきである。

(そうよ!これは御主人様に粗相を働いた使い魔への罰なのよ!……それに、食事を抜いてるわけじゃないし、気に病むことなんて何も無いわ!)

そう自分に言い聞かせて、ルイズは皿の上にあるクックベリーパイの最後の1枚へと手を伸ばそうとする。
しかし、ルイズの手は何も掴むことは出来なかった。

「へ?」

慌てて見ると、つい先程まで確実に皿の上にあった筈のクックベリーパイが今は影も形も無い。
落としたのか?と思って、周辺の床を見てみるが何も無い。
誰かが食べた?と思ったが、周りには自分と花鶏しかいない。
花鶏は不服そうな顔でパンを千切りながら丁寧に口の中へ運んでいる。

(……自分でも気付かない内に食べてたのかしら?いけない、いけない気を付けないと!)

ルイズは仕方が無いので、新しいクックベリーパイを取りに席を立った。
それを横目で確認した花鶏はさっとクックベリーパイを取り出し、それを頬張った。

「……無駄に甘いわね。あ〜あ、何でもいいから野菜が食べたいわ」

その様子を遠目で見つめる少女がいた。
彼女の名はタバサ。
青い髪にメガネを掛けている。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 03:21:33.60 ID:mU27EcaO
支援
46呪いの使い魔 第4話:2011/04/05(火) 03:23:40.08 ID:kO9wd5UY
タバサはハシバミ草のサラダを食べながら、花鶏の一挙一動を見つめていた。

「あら?タバサが他人に興味を持つなんて珍しいわね?」

彼女にそう声を掛けたのは、今朝ルイズの部屋にやって来たキュルケである。
キュルケとタバサはとても仲が良く、正に親友という関係であった。
そんなキュルケが友人の希少な行動に思わず声を掛けたのである。

「彼女、ルイズの使い魔よ」
「そう……」
「あなたから見て、彼女はどう?」
「……分からない」

タバサはボソッとそう言うと、再びハシバミ草のサラダに口を付けた。
ハシバミ草を咀嚼しながらタバサは先程の花鶏が取った行動を思い出していた。
花鶏はルイズが意識を外した僅かな時間を利用して、テーブルの上からクックベリーパイを一切れ掠め取ってみせた。
その一連の淀みない動きはとても素人のものではない。
キュルケの問いに「分からない」と答えたが、花鶏という人物はただ者では無いのだろうとタバサは思った。

「……ん?」

ふと視線を感じ、そちらへ目を向けると花鶏がこちら見つめていた。
探るような、分析するような目。
タバサは思わず背筋に冷たいものを感じた。
と、花鶏がこちらへ向かって歩いて来るのが見えた。
タバサは杖に手を置くと、彼女が何かして来たとしてもすぐに反撃へ移れるように準備をした。
花鶏がこちらへ近付いて来る。
と、次の瞬間彼女が自分の背後に回っていた。

「あ……!!」

杖を向けようとした瞬間、タバサは感じたことの無い刺激に襲われた。
思わず口から言葉が漏れる。
それを聞いて、花鶏がニヤッと笑う。

「……無口で無愛想っぽいから茅場みたいなタイプかと思ったけど、うふふ」

そう言いながら、花鶏はタバサの胸を擦った。
そんなことを一度もされたことのないタバサはこの何とも言えない刺激に戸惑いを見せる。

「や……あ……」
「うふふ……いいわあ。やっぱりこの平べったい胸は至高ね」

その様子を隣で呆気に取られた様子で見ていたキュルケだったが、すぐに気を取り直して花鶏に杖を向けた。

「ちょっとあなた!タバサを離しなさい!!」
「丁重にお断りするわ」

花鶏はそう即答すると、目をハートマークにし、だらしなく涎を垂らしながらタバサの体をあちこち弄る。
47呪いの使い魔 第4話:2011/04/05(火) 03:25:45.84 ID:kO9wd5UY
そうしていると、タバサも切ない吐息をこぼしだす。

「あ……はぁ……」
「うふふふふふふ」

何時の間にか周りの生徒たちもその様子を遠目で眺め始めていた。
男子生徒の何人かはその光景に興奮し、思わず股間にテントを張っていた。
当然、ルイズもそれを見ている。

「あ、あはは、あはははは……」

花鶏が如何わしいことをしている相手はガリアからの留学生である。
下手をすれば国際問題になりかねない。

「アハハハハハハ(ry」

ルイズは狂ったように笑って現実逃避していた。

「ああ……いいわあ、とってもいいわあ」

花鶏はうっとりとしながらタバサの体を弄り、ローブの中へ手を入れようとする。
その瞬間、タバサの中で何かがキレた。

「ウィンディ・アイシクル」

氷の矢が周囲に放たれる。
食堂内はパニックになった。

「うわあああああ」
「いてえええええ」
「あ……僕のおちん○んに……」

流石にこれには花鶏もやばいと察する。
しかし、時既に遅し。

「ウィンディ・アイシクル」

再び氷の矢が放たれると、それは食堂内のありとあらゆるものを破壊した。
そして、天井から小型の照明が落ちて来る。
それは花鶏の頭に命中すると、そのまま彼女はバタンキューと気絶した。

「た、タバサ!もう止めて!!」

キュルケの声ももうタバサの耳に入らない。
タバサの目は光を失い、その口には乾いた笑みさえ浮かべていた。

「ウィンディ・アイシクル」

こうして今朝のアルヴィーズの食堂は地獄絵図となったのだった。

「アハハハハハハ(ry」
「うう……、あの平べったい胸をもう一度……あ、ルイズちゃんでもいいわよ」
「アンタはそこで永遠に気絶してなさい!!」
48呪いの使い魔:2011/04/05(火) 03:27:31.62 ID:kO9wd5UY
こんな感じで4話です。
何かワンパターン化して来てますね。
一通り女性陣を弄繰り回したので、次回からはシリアス成分も混ぜて行きたいと思います。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 09:33:37.64 ID:u01p4pEB
シャントット博士なら最初の発言でオーラを出し
次の発言で即座にお仕置きされてても違和感ないレベル
50名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 10:46:43.24 ID:u01p4pEB
ああちなみに「よござんす」は
ドルチェシャントットの特徴だから
使わないほうがいいかも。
人となりを知りたければニコニコとかでシャントット帝国とか
連邦の黒い悪魔で探せばいくらでもおっと誰かきアッー!
51名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 12:45:07.86 ID:jATqaknD

エロおもしろかった
元ネタは知らないけど楽しめた
52名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 13:16:50.25 ID:UEvySPiP
プロマシアMだけは・・・
プロマシアMだけは勘弁してくれ・・・

でも、今は難易度大幅に変更されて、ペアでもいけるらしいけど
53名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 14:53:20.48 ID:PtscAINe
爆発のルイズなら科学戦隊ダイナマンの皆さんと相性よさげ?
54名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 15:59:21.46 ID:bo7SPFlT
え? ギャグ王?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 16:32:12.13 ID:yxspJlDE
>>52
制限なくなったしレベルキャップも外れたしな
流石にプロマシア無視したらプリッシュが成り立たなくなるw
56名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 17:03:02.35 ID:FOo+AjLh
小ネタ書いてみたんだけど、05分から投下してもいいかな。
57カーチャン召喚 (げ、sage忘れたごめん):2011/04/05(火) 17:05:40.41 ID:FOo+AjLh
今でもはっきりと、あの情景を思い出せる。
召喚の儀、私のこの、後悔のはじまり。
幾度となく失敗を重ね、これが最後のチャンスと、渾身の力を振り絞って発動させたスペルだった。
かつてない手応えを感じた私は、待望の使い魔がこの先にいるのだと確信していた。
しかし、縋るように見つめていた白煙の中から現れたのは、黒髪の、年老いたただの平民だった。
 
「カーチャンだ! 平民のカーチャンだ!」
「ゼロのルイズが平民のカーチャンを召喚したぞ!!」
 
一目に平民(カーチャン)と分かるその容貌を見て、クラスの生徒たちが私を嘲るように騒ぎ出す。
すべてを賭けた私のマホウ。
その成果が、目の前でただ困惑した様子を見せる、平民の女だった。
同級生たちの野次も、コンクラント・サーヴァントを促す教師の声も、一切耳には入ってこなかった。
ただ、私は耳を塞ぎ、俯いて目を閉じることしかできなかったのだ。
 
 
「なんでアンタみたいな使えない平民を召喚しちゃったのかしら!」
「ごめんね、カーチャンでごめんね」
 
それから、幾許かの時間が流れた。
平民の女は、私がどんな文句をつけようと、いつもただ申し訳なさそうに謝るばかりだった。
その様子が更に私を苛立たせる。
ドラゴンやグリフォンのような、素晴らしい使い魔を得ることを夢想してきた。
しかし、現実には薄汚い平民の女がいるだけ。
最後の希望を踏み躙られた私は、自分の才能の無さを、すべてその平民に押し付けていた。
 
 
ある日、平民にお使いを頼んだ。
トリスタニアまで行かなければ手に入らない秘薬を購入するためだ。
平民は馬に乗れないと言っていたが、馬に乗れないなら歩いて行けと、着の身着のままで放り出した。
4日経って、ようやく平民は戻ってきた。
その姿はボロボロで、顔色も優れず、極度の疲労上体にあることが一目で見てとれた。
お金は秘薬の代金分しか渡さなかったので、それも無理からぬことだった。
命じた私はと言えば、買い物に行かせたこと自体をすっかり忘れていたので、生活に困窮した不埒な平民が強盗にでも入ってきたのかと思ってしまったほどだ。
 
「頼まれた秘薬を買ってきたよ」
「なっ……! これ、ただの色のついた水じゃないの!! アンタ、買い物ひとつできないの!?」
 
聞けば、トリスタニアへの街路の途中で行商人から格安で購入したらしい。
何も知らない無知な平民と馬鹿にされ、騙されたのだろう。
少し考えれば、騙されていることくらい気付くだろうに。
 
「ごめんね、カーチャン、バカだから……ごめんね」
「弁償しなさいよね! このバカバカバカッ!! 死んじゃえ!!」
「ごめんね……」
 
それ以来、私はその平民に、必要最低限のこと以外、一切話をしなくなった。
身の回りの世話をすべて任せ、たまに喋ると思えば罵倒するだけ。
食事は癖になるからと、あるいは私の機嫌を損ねた罰として、本当に質素なものしか与えなかった。
今にして思えば、八つ当たり以外の何物でもなかった。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 17:06:16.58 ID:yxspJlDE
カーチャン・・・
59名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 17:08:32.00 ID:FOo+AjLh
ある深夜、ふと目覚めた私は、平民が藁の寝床からいなくなっていることに気付いた。
後方で気配がしたので、寝返りを打つフリをしてそっと振り返ってみると、そこには涙を流して月を眺めている平民の姿があった。
 
「タケシ……」
 
誰かの名前を呼びながら、はらはらと泣く平民の姿に、私はなんだか無性に不愉快になり、無言で布団をかぶった。
 
 
翌日から、平民への待遇を少しだけ良くしてやった。
食事は学院で働く平民と同じものを与え、あまり無茶な要求はしないようにした。
立派な使い魔が駄目なら、せめて立派な使用人にしようと、身なりを整えさえ、文字を教えた。
それでも、平民は何日か置きに夜な夜な起き出しては、ひたすら涙を流していた。
その様子が、私にはたまらなく不愉快だった。
 
この平民は、私の使い魔だけをやっていれば良いのだ。
タケシなる人物がいかにこの平民と親しかろうが、使い魔の最優先事項は主である私でなければならない。
私自身に愛着を持たせるために、少しだけ優しくしてやろうと思ったのだ。
 
 
後年、私はこの話を、ある事件から親しくなった、唯一の親友に話したことがある。
彼女はそのとき、ただ悲しそうにこう言った。
 
「ルイズ。あなた、年下の兄弟はいなかったわよね。
 私にはいるわ。3つ下の妹が。
 まだ私が幼い頃の話だけどね、下の子が生まれた途端、母親が妹ばかりを構うようになったのよ。
 今にして思えば当たり前のことなんでしょうけど、当時の私にはそれがとにかく不愉快でね。
 その話のあなた、当時の私にそっくりよ。
 弟や妹がいる人ならば、誰だって一度は経験するはずよ。
 あなたのその気持ちは、母親を取られるんじゃないかっていう嫉妬だったのよ」
 
 
明くる日、学院に衝撃が走った。
巷で噂の「怪盗フーケ」が、学院の秘宝である「破壊の杖」を盗んで逃走したのだ。
その探索任務に、私は真っ先に立候補した。
詳細は省くが、その責任の一端が私と、今では親友であるキュルケにあったのだ。
 
結論から言おう。私は任務に失敗した。
フーケはまんまと逃れ、そして……。
無理に連れて来たあの平民、いや、私の大切な使い魔は、二度と戻ってくることはなかった。
 
貴族とは、敵に背を向けぬもの。
私の薄っぺらい矜持が、あの心優しい平民の命を奪った。
私が、私が彼女を殺したのだ。
 
 
事件の後、部屋に閉じこもった私を、誰も構うことはなかった。
学院で働く平民たちからは軽蔑の視線を向けられ、その存在をただ無視されていた。
それまで私をからかっていた学生たちは、腫れ物に触れるかのように私と距離を置きだした。
しかし唯一キュルケ、キュルケ・フォン・ツェルプストーだけは、それまで以上の頻度で私に絡んでくるようになった。
泣き叫びながら物を投げる私に、彼女はただされるがままにしていた。
だがそのときの私は、彼女のその優しささえも煩わしく、同情が更に私を惨めにしていた。
60カーチャン召喚:2011/04/05(火) 17:10:33.51 ID:FOo+AjLh
物に当たっていた私がその日記帳を見つけたのは、事件から一週間が経った頃だった


散乱した藁の下に隠されていたため、気付くのが遅れてしまったのだ。
最初の方は見知らぬ文字で書かれていたために解読できなかったが、しばらく読み進

めていくうちに、見慣れた言葉で書かれるようになっていた。
 
「タケシへ。
 今日は、ルイズさんが、ハルケギニア語、教えてもらうました。
 練習のために、この日記、ハルケギニア語で書くね。」
 
たどたどしく綴られる文字に、知らず涙が溢れてきた。
失われたもののほんの一部がここにあるような気がして、私はただ涙をこぼしながら

読み進めていった。
日を追うごとに、徐々に文法がしっかりしていく。
基本だけ教えて後は丸投げしていたのに、あの平民は、私の使い魔は、私の知らない

ところで努力をしていたのだ。
 
「タケシへ。
 今日は、ルイズさんが褒めてくれたよ。
 洗濯が、上手だって。嬉しかった。
 カーチャン、洗濯だけは誰にも負けないからね」
 
自分に愛着を持たせようと躍起になっていた頃の話だ。
日記は必ず「タケシへ」で始まり、その内容には必ず私のことが書かれていた。
あれだけ酷い扱いをしたのに、私への恨み言は一切なかった。
それが、また私を悲しくさせた。
 
「タケシへ。
 ルイズさんはちょっと誤解されやすいけど、とても良い子です。
 そういうところは、タケシに似てるね。
 いつ戻れるかわからないけど、いつか必ず戻ります。
 それまで、どうか元気でいてね」
 
違う! 私はそんな人間じゃない!!
そう叫んだつもりが、喉から発せられたのは、言葉にならない声だった。
もし私が立派な貴族であったならば、彼女にあんな無茶はさせなかった!
自分の才能の無さを彼女に押し付けるようなことはしなかった! 優しくしてあげら

れた!
 
ごめんなさい。
優しくしてあげられなくて、ごめんなさい。
彼女を、どこか遠い地で待つ「タケシ」という人に、ごめんなさい。
この罪は必ず、私が一生を賭けて償います。
だからどうか、これまで私が無茶させた分、どうか安らかに眠ってください。
 
私はいつか彼女がよくそうしていたように、窓の向こうに浮かぶ月へ向かい、ただは

らはらと涙を流して呟いた。
 
「カーチャン……」
 
二つの月は、何も応えてはくれない。
61カーチャン召喚:2011/04/05(火) 17:12:38.66 ID:FOo+AjLh
以上です。
二度もsage忘れた上に、メモ帳で書いたから変な位置で改行が入ってたり……。
スレ汚し申し訳ない。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 18:14:10.93 ID:DSVFilOQ
>>61
投下乙。そんくらいでめげんな。
ちくしょうめ……目にごみが入っちまったじゃねえか!

>>53
ルイズが夢野博士とダイジュピターを召喚して二代目ダイナピンクにでも選ばれるのか?
63名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 18:51:11.46 ID:aJQTVhCW
カーチャン……
64名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 18:53:36.90 ID:gdVvtjIE
そういやだいぶ昔の話になるが、敵幹部がみんな倒すたびに改心して仲間になって、
最終話では基地だか母艦だかがもの凄い大所帯になってた戦隊ヒーローがなかったっけ?
あれとクロスしたら、ジョゼフすら仲間になってしまうような気がしたw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:06:48.91 ID:DSVFilOQ
>>64
そんなのあったっけ?
近いのを挙げるなら、幹部が全員征服された星の戦士だったために
終盤で死亡した奴等と心底親玉に忠誠誓ってるの以外がごっそり地球側に付いた
電撃戦隊チェンジマンだろうとは思うんだが……
66名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:20:14.23 ID:gdVvtjIE
ああ多分それ。凄く昔のやつだったから、うろ覚えだったんだ
67名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:20:33.34 ID:7zCqpP6x
>>65
ボルテスVみたいだな
あれは侵略側の本星で革命が起きたんだが
68名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:35:22.70 ID:fgqg2jJg
絶対に違うとはわかっているが、嵐馬破天荒の「魁!男塾」パロを思い出した。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:36:32.30 ID:EhE77C+v
敵の幹部が味方にってのだと、この前DVDが発売された宇宙大帝ゴッドシグマもそうだな。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:38:24.15 ID:DSVFilOQ
>>67
奇遇にもチェンジマンの真っ先に裏切った幹部、航海士ゲーターの声が、
実はボルテスのド・ズールと同じく増岡弘さんだったりするw
71名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:40:02.68 ID:yxspJlDE
>>69
パパン!
72名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 20:55:28.23 ID:7zCqpP6x
>>70
もしプリンス・ハイネルが召喚されて、トリステインの貴族達を見たら怒り狂いそうだな
特にアンアンが国捨ててウェールズゾンビと駆け落ちするとことかw
73名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:08:26.20 ID:DSVFilOQ
>>72
使い魔としての生活の中で、角が無いことをばらされたかつての父ラ・ゴールがそうだったように
自分たちボアザン貴族が角無き労奴に強いてきたことを思い知らされて
ハイネルは徐々に認識を改めてゆくんだな?
で、物語が進む中実はハルケギニアはかつてボアザンに制圧された過去をもつ星で、
王家縁の地に隠されていた守護神ゴードルで困難に立ち向かい、ハイネルは
貴族と平民の間に立つもの、騎士モノホーンとなってゆく……
なんていう後にビクトリーファイブへ繋がるような話があったら面白そうだ。
とか思っちゃう俺は長谷川信者w
74名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:14:57.93 ID:bKMPilxj
>>61
 投下乙でした。いい話なんですけど、元ネタなんですか?
75名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:19:48.56 ID:7zCqpP6x
というか、どんな目に遭おうと国の為、自らの忠誠心を示す為に頑張ってたハイネルが
ワルドとかリッシュモンとかアンアン見たらブチ切れるだろw
76名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:24:45.35 ID:Ks0HtIrO
>>74
2chコピペじゃね

聞く前にひとググり
77名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:40:26.71 ID:6bYDS0T9
カーチャンと聞いてマザーウィルを思い出したのはオレぐらいだろうな
78名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 21:53:05.66 ID:aJQTVhCW
エンディングまで泣くんじゃない
79名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 22:24:44.89 ID:cs45e2j4
>>77
よう首輪付き
80名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 22:25:33.36 ID:5o4zQeQ8
ジャイアンのカーチャンってこんな性格だったっけ???
81名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 22:49:03.71 ID:B0A0Ch5M
>>77
よう、首輪付き
ワルドだ
トリステインを襲撃する
付き合わないか
レコンキスタの連中、温すぎる
革命など、結局は殺すしかないのさ
だろう?
82名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 22:53:52.80 ID:bzNhpL4q
ここってフロム脳の人結構多いよなw
83名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:04:16.61 ID:UPdAXCqi
>>64
えーと、カーレンジャー…かな?
84名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:08:34.57 ID:AZypi+P0
どこのスレにもリンクスやレイヴンが居るなw
85名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:13:22.69 ID:T0//hScO
干「手こずってるようだな、尻を貸そう」
86名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:18:59.33 ID:enLqPPGG
くそ、ここでカーチャンネタを見ることになるとは…
87名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:21:42.89 ID:2VBTP5jb
ナインボールも連載中だしまとめにはジナ姐がいたよな
88名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:53:50.82 ID:NAbHRxbl
ルイズがグリフォンマスクを召喚。
どう見ても覆面マッチョなのに、ルイズ以外は「そんなールイズがグリフォンを召喚したー」と…

挙げ句の果てにワルドからも「立派なグリフォンを召喚したねルイズ」などと言われて悩むルイズ。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/05(火) 23:54:07.29 ID:jATqaknD
ジャマールでもスペースマフィアでもどんとこい
90名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 00:02:53.36 ID:8Drn97/H
>>80
2chのカーチャンのほうだよ
俺もジャイアンかとおもったけど
91名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 00:06:48.58 ID:mBsm+GFV
ジャイアンのカーチャンの場合素手でギーシュ倒せそうで怖い
9261:2011/04/06(水) 00:14:00.87 ID:oP7KlfAE
確かに「カーチャン」で息子が「タケシ」だと、ドラえもんの方を思い出すか
「2chコピペの『カーチャン』召喚」にしておけばよかったかも。申し訳ない
93名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 00:17:13.84 ID:YLgx/FMp
2chのカーチャンと言われて流石家の母者を想像してしまったわ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 01:17:16.41 ID:POHxeyjA
>>88
小ネタ?のパピヨン召喚で同じ事やってたな
ギーシュの代わりにマリコルヌが生贄になってたっけ
95虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 01:53:44.27 ID:5/4Z1CBi
久しく投下させていただきます、01:55辺りから行きます。
96虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 01:57:39.53 ID:5/4Z1CBi
level-27「芽」


『同等のサイズでの有機生命体としては異常な身体能力です、一部の能力値だけで見ればエリートやブルートをも凌駕しています』

 ブリッヂにてモニター越しにカッターと話すアンダース教授。
 作戦の為編成していたスパルタンとODST大隊が解散してから一時間、アンダースから連絡が入った。

『筋繊維の密度が非常に高く、正確な筋力測定が出来るならば驚異的な数値を弾き出すでしょう。 そのため膨れ上がった筋繊維が各関節の可動範囲の低下を招き、人間と同じ動きは十全にこなせないでしょう』

 肥大化している筋肉と筋肉が干渉し、腕や足の間接が一定以上曲がらないなど弊害。
 だが瞬発的な動作を可能とする速筋が多い上、持久力に富んだ遅筋も多く見られるとのこと。
 しかし流石に人体強化手術を受け、さらに身体能力の向上と防御力を上げるアーマーを着たスパルタン相手では力不足。
 さらには三対一、エリートやブルートの中で非常に優れた者たちでも早々勝てないだろう。

『それに皮膚も異常なほど厚く、強靭で柔軟性に富んでいます。 恐らくは威力の弱い銃弾ならば皮膚で止められるでしょう、睡眠導入薬の銃弾が弾かれた原因もこれです』

 つまり時間限定ではあるが素早い動きも出来、強力な膂力と持久力と耐久力を備えていると言う事。
 足を止めた殴り合いで絶対に当たると言う条件ならば、アーマーを着込んでいるスパルタンやエリート、ブルート相手でも殴り勝ってしまえるとアンダースはカッターに告げる。
 無論そんな出来すぎた状況などありえませんが、とも付け加える。

『見た目の通り知能のほうは余り高くはないと思われているかもしれませんが、片言ですが人語も操っています』

 人間ほどではないが言葉を操り、道具を利用する牛頭の知能は低いと言えるほどではない。
 この身体能力で人間並みの知能を持てば、かなりの戦闘能力を有することは明白。

「教授、この原生生物が普遍的に存在していると思うか?」
『なんとも言えません、推測するにしても情報が少なすぎます。 この森に限定したとしても最低で森林全域を調査しなければ信用できる統計を出せません、ですが調査を行うだけの人員や時間もないかと』
97虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 01:58:57.86 ID:5/4Z1CBi
 ごく普通に、広い範囲で生息していれば厄介な事この上ない。
 その上それを調べる時間も無い、それでも調べる事を選べば動きが必ず大きくなってしまう。

『生息数は少数かもしれませんし、多数生息しているかもしれません。 火器無しでの対応は非常に難しいでしょう、ですが……』

 確かな事は言えない、だが多くても少なくても火器を有さない一個体としては非常に危険な生物。
 三対一だったとは言え、スパルタンでも素手で戦うのは避けたほうが良い存在。
 だが火器、それこそハンドガン一丁でも十二分に対処できるとアンダース。

『それにこの惑星上の人間は駆除方法を持っていないとは考えられません、現にあの非科学的な魔法とやらは脅威に値します』

 隔離施設がない艦内でバイオハザードを起こさないよう、アンダースが居るその部屋に通じる通路に気密を保つよう隔壁を下ろされた場所。
 もし何かあった時の為に傍に宇宙服にもなるアーマーを着たスパルタンを控えさせ、その部屋から科学防護気密服を着たアンダースは答える。
 竜巻や巨大な火の玉、氷で出来ている矢の雨など戦術兵器に匹敵する。
 流石に戦車やバルチャーほどではないが、一個人が可能とする攻撃としては破格の威力と範囲。
 魔法を使用するために必要なものは? 連続で撃てるのか? またどれだけの種類があるのか? そんな疑問は尽きない。

「確かに……。 教授、この機にこの惑星の人間と接触しようと考えているのだが、教授はどう思う」
『……本来なら十分な観察期間が欲しいところですが、余りゆっくりしている時間は無さそうですね』
「そうだ、やれる事は出来るだけやっておきたい、彼らが戻ってくれば動きにくくなるだろう」
『確かに、リスクを恐れていては何も手に入らないでしょう。 ですがまず接触する相手を僅かながらでも調査してからのほうがより安全かと』
「行動範囲は広げる、特に通信可能距離に重点を置くが、この惑星の人間の情報もある程度の欲しい。 調査の人員を選定しなければならんな」
『それならば、戦闘を想定して軍事的な行動も必要になるかもしれません。 向こうが話し合いに応じないなら、ですが』
「コヴナントとは同じでなければいいが」

 何はともあれ、広域での行動の生命線とも言える通信を何とかしなければ満足に動く事すら出来ない。

「セリーナ、今現在周囲に人影はあるか?」
『識別不能です、こちらをご覧になれば一目瞭然かと』

 そう言ったセリーナは、スピリット・オブ・ファイア搭載の各種複合センサーにて広域を調べた情報を映し出す。
98虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:00:21.08 ID:5/4Z1CBi
「……見分けが付かんな」

 カッターが見るのは艦周囲の動体反応や熱源など、それらを統合して『生物と思わしき』反応が表示されたモニター。
 画面全体に数十にも重なる黄色い点で全く持って判別できない、割合としては黄色の光点が6、反応がない箇所が4と言ったところ。
 探査範囲を狭めても『人間かどうか』の判断も難しい。

「人間が出しえない速度や小動物などは除外したか?」
『既にフィルターを通しています、それでこの数ですから犬頭や豚頭がかなりの数が存在しているのでしょう』

 艦の周囲500メートルの端に百以上の数の光点が点滅していて、スパルタンやODSTが降りる前よりも数が増加していた。

『光学観測で犬頭と豚頭は何度か捉えましたが、この惑星の人間は団体が引いてからは確認していません』
「………」

 カッターは考える、確かに情報を集め敵対されるかどうかの確認だけはしておきたい。
 それを行うには通信距離の拡大を図る必要がある、つまり動くにしたらなんにしても通信を確保するのが先。

「podは流石に無理か……」

 カッターが呟いたのはpod重輸送機、スピリット・オブ・ファイア両舷に固定されている簡易軍事基地の運搬から設営させる為の大型輸送機。
 人や資材を運ぶ普通の輸送機とは違い、基地と言う建物をそのまま運ぶ航空機。
 短時間かつ簡略的に防衛から車両や航空機を製造できる基地を設営できる為、慣らされた広いスペースが必要となる。
 出来るだけ平坦で岩や木が無い空間、今現在の森の中であるためにそのような場所は存在していないしその空間を作る時間もない。
 となれば。

「セリーナ、艦周囲に中継器を設置する。 ペリカンを用意、護衛機にホーネットもだ」
「了解、各員に通達します」

 決断したカッターは、セリーナからモニターのアンダースに視線を戻す。
 危険を恐れていては手詰まり、戦闘をしなければいけなくなる可能性も大いにある。
 出来れば艦が攻撃に晒されず、長期間コールドスリープにつける猶予が欲しい。
 次善ではやはり戦闘を行う事無く、帰還できないのであればこの惑星の知的生命体と友好的に過ごせるようにしたい。

「難しくともやらねばならんな」

 でなければ、死んで逝った者たちに申し訳が立たない。
 薄暗いブリッジでカッターは腕組みをしてそう考えていた。

 その後、埋没式の通信電波中継器をいくつものペリカンに積み込み、護衛機のホーネットを伴って空へと飛び立っていく。
 セリーナが最適な位置を割り出し、そこに次々と設置していく。
 その設置作業全てが順調、と言うわけも行かない。
 ペリカンから投下される中継器が天井を作る木々の枝などで軌道がずれ、岩の上に落下したり太すぎる木の根で傾いたり。
 設置ポイントを確保する際に、どこからか現れ襲ってきた犬頭の群れとの戦闘。

 そうして一人の男、部隊長が叫んだ。

「火器使用自由!」

 ODST隊員が一斉に掃射を放ち、瞬く間に犬頭の群れは屍を築き上げる。
 コボルトたちは侮っていた、自分たちの縄張りで空を飛び大きな音を立てるモノから降りてきた人間たち。
 黒い鎧などで身を固め、縄張りを動き回る愚かな毛無しザルどもを殺しつくしてやろうと。
 そうして動き出して襲い掛かる、だが現実はコボルトたちが理解できない状況を作り上げていた。
 黒い兜と鎧で身を固めた人間たちが持つ短い鉄の塊の先から鈍い音がした瞬間、群れの一角が崩れ去った。
99虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:02:18.38 ID:5/4Z1CBi
 僅かな出血と倒れていくその状況、見る間に減っていく群れ。
 この森で弱者に入るコボルドを率いたコボルド・シャーマンは優れていた、弱肉強食の掟に従ってコボルドの群れを大きなものへと拡大させる事が出来た。
 己が指揮を取ってオークなどを打ち倒してきた、そう自信を持つだけの戦いを経験してきた。
 だからこそ生まれた慢心、耳障りな大きい音を立ててうろつく奴らを叩き潰してやろうと。
 だが目の前にした相手は次元が違う、この惑星上では存在しないだろう強力な武器を持った文明人。

 可笑しな形をした金属の塊から奇妙な音が鳴った瞬間には、ばたばたと前衛のコボルドたちが倒れていく。
 その光景を見て統率者であったコボルド・シャーマンが慌てつつ報復の魔法を放つ、それは稲妻と呼ばれる精霊魔法。
 人間のメイジが使う高位の風魔法と同名の、スクウェアメイジが使用するライトニング・クラウドに勝るとも劣らない電撃がODST隊員たちを貫いた。
 眩い閃光を放ち一瞬で距離を埋めコボルドの群れから一番近かった隊員を貫いた後、次々と伝播して打ちのめした。
 稲妻が通り過ぎて僅か一秒、ぐらりと隊員たちが倒れ伏す。

 それを見てコボルド・シャーマンは精霊魔法の威力に慄き愚かな人間たちは逃げ去るだろうと、つい先ほど起こった光景を考慮せずに考えた。
 そんな何の確証も無い考えの代償はコボルド・シャーマンの命、それはODST隊員たちが放った弾丸の雨。
 短機関銃やサプレッサー付き拳銃から放たれ、腹、胸、そして仮面を被る頭を貫いて絶命させた。
 血を流して倒れる群れの長、そしておかしな音と共にバタバタと倒れた仲間のコボルドたち。
 その異様に生き残っていたコボルドたちは慌てて逃げ出すも、誰一人一匹も逃げられる事は無く、真夜中の森に抑制された銃声が何度も鳴り続けた。

 数分と経たず犬頭の群れを殲滅して戦闘が終了し、すぐさま倒れるODST隊員たちに駆け寄って無事かどうか確かめるも。
 稲妻に撃たれた五人のうち、順番に撃たれた最初の二名は既に事切れ、残る三人も意識が無く拙い状態だった。
 出来るだけ早く倒れる隊員たちをペリカンへと引っ張り上げ、救命活動を行いながらもスピリット・オブ・ファイアに帰還して救護室に送り込む。
 だが結果は空しく、事切れていた二名は蘇生する事無く、さらに三番目に稲妻に撃たれた隊員も命を落とした。
 残り二名は意識を取り戻すも、随意運動への影響や熱傷などの負傷で最低でも数週間は動けない状態だった。
100虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:03:32.56 ID:5/4Z1CBi
 傷付いた者はそれだけではなかった、他のポイントに設置しに行った隊員たちもなんらかの原生生物に襲われて負傷者と死傷者が二桁に及んだ。
 戦いとなれば全滅も良くあるコヴナント、エイリアンたちとの銃撃戦よりも被害は圧倒的に少ないが、それでも被害は被害。
 この報告を受けたカッターはすぐさま慰霊の葬儀を行い、療養中のクルーを見舞った。
 中継器設置作戦の成否を問えば成功と言える、予定した数の九割以上は設置に成功した。
 ODST隊員の尽力により通信可能距離は一気に増大し、艦の周囲百キロ余りの拡大を図ることが出来た。

 その後通信可能距離が拡大し、時間が無いと仮定して動く。
 二日、三日と時間が経ち、順調に設置が完了していく。
 その中で懸念にあったこの惑星の人類、その姿を一行に見せなくなったのが非常に気がかりと言えた。
 何故再度調査に来ないのか、向こう側から見れば巨大すぎる未知の物体を放置しておく理由は無いだろう。
 考えられる理由が調査団の協調性の無さ、一国のみの調査団ではないことは簡単にわかった。

 複数の国から派遣された調査員がこの土地を治める調査員と揉めた、あるいはその上位である国同士のいざこざになった可能性もある。
 それを確認できるだけのものが無い、軍事衛星でもあれば打ち上げるのだが、その役割は本来スピリット・オブ・ファイアが負う役目。
 衛星軌道上から支援を行う存在が、地表で横になっているなど意味が無い。
 よって出来るのはペリカンなどの航空機で大気圏まで上がって、地表を映像で捉える位しかない。
 あるいはこちらも原住民に扮して接触していく、その位しか選択肢が無い。

 光学映像で人の姿を確認できないとなれば、ある程度派手に動いても目を付けられにくいのではないか?
 無論派手と言ってもMBTの主砲や航空機のスパロウホークが持つレーザーを撃ち放ったりする訳ではない。
 人員や物資の輸送に使うペリカンの推進噴射光や音の事で、恐らくはこの惑星の人類が目撃するにはそれなりの距離に近付かなければならない。
 音はともかく光を発しない、数名の人員輸送でならスパロウホークでも出来る。
 徒歩による森を横断、と言うのもあるが流石に危険すぎる。

 森は広大で航空機を用いなければ軽く数十日は掛かると予想される、人命と帰還の両方を取らなければならないために徒歩で横断などは決して選べない。
 そうしてカッターはアンダース教授などと相談して今後の活動方針を決めていき、ついには森の外まで通信距離を伸ばして夜な夜な発見した村などに偵察を送り込む。
 会話の盗聴から生活水準などの観察、プライバシーを覗き見るような事を行った末に多くの情報を掴んだ。
 この大陸の名称はハルケギニア、国は大小さまざまに別れこの土地を治める国はトリステイン。
 西の海上には空に浮かぶアルビオン、東にはゲルマニア、南にはガリア、そのガリアの向こう側には寄り集まった都市で国を構築するロマリア。
101虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:05:16.37 ID:5/4Z1CBi
「宗教国家か、拙いな」

 そう呟いたカッター、地球人類にとって宗教を立てる存在には苦い記憶しかない。
 神の啓示か異端は滅ぼさねばならないと、宗教的、軍事的連合であるコヴナントとの戦いにより地球発祥の人類はその数を激減させた。
 その戦争による死傷者は数百億に上るとされ、如何に地球人類が劣勢であったかを示す一つの情報であった。
 この惑星が地球人類の殖民星で無い以上、明らかにスピリット・オブ・ファイアの人員は異星人。
 願う神が違い、それを理由に攻撃されるかもしれないのが非常に拙かった。

『難癖を付けてくる可能性は大いにありますね』

 セリーナの言葉にカッターは同意しか示せない、実例がある以上楽観は出来ない。
 結局は大々的な接触は極力控え、情報収集の後に密かに国の権力者に接触するか、あるいは自身らの存在をひた隠して救助を待つか。
 調査団が来なくなったからといってゆっくり待つのも下策であろう、能動的に動かなければ拙い事になりかねない。

「調査は続行だな、それと車両や航空機の現状はどうなっている?」
『墜落の衝撃で全体の67%が使用不可能の域に達しているとの報告があがっています、損壊した物から部品取りをすれば10%ほど低減するものと思われます』

 全体の67%、損壊した車両や航空機から部品取りすれば57%まで減る。
 それでも半数以上が使用出来なくなっていると言う事実、まだ半数ほど使えるか、半数も使えないのか、どちらを取るかで変わる。
 その中でカッターはまだ半数も使えると取った、墜落の衝撃は凄まじいの一言であったのに、約半数も使用出来る状態になると言うのは行幸の他ならない。

「……そうか」

 小さく頷くカッター、これが幸運か否か、それは時が来るまでわからない。
 そんなカッターの思惑、懸念したことも起こらず時が進む。
 次々と広がる通信範囲網、そしてその範囲内に捉える集落や村、潜んで行われる情報収集。
 積もる情報は決してスピリット・オブ・ファイアの人員の為にならないものが多かった。

 まず一つ目が支配階級制度、貴族と平民に分けられ、隔絶した力の差がある。
 貴族は平民から一方的に搾取し、平民はその貴族が扱う魔法を恐れて反抗など行わない。
 貴族に命じられれば平民は従うしかない、区分すれば艦長であるカッターを含め、スピリット・オブ・ファイアの人員皆平民に相当する。
 さらに魔法を至高としている為、魔法を使えぬ我々に対して高圧的に接してくる可能性がある。
 接触した際にスピリット・オブ・ファイアを明け渡せなどと歯に衣着せぬ物言いで強要してくる可能性が大いにあった。

 無論明け渡す理由もない、スピリット・オブ・ファイアは国連宇宙軍所属の戦艦、渡せと言われて渡せる権限など艦長であるカッターは持ちえていない。
 当然それを拒否する事となり、相手がそれに憤慨し、武力行使で来る可能性もあるのだ。
 そうなれば起こるのは戦闘、戦いに来たのではなく帰る手段を探しているだけなのだから当然そんな事態は避けたい。

 二つ目、やはりと言うか、このトリステインを含む多くの貴族はブリミル教徒。
 複数の国で国教とされ、南のロマリア連合皇国に最高権威である宗教庁を置いた、この大陸でもっとも強力な権力を持つ。
 大国の王でさえ抗うのが難しいのではないかと、そう思うほどの強権を保持しているらしい。
 もし接触して何らかの理由で宗教庁から異端認定を受けてしまえば、その瞬間この大陸にある国々が全て敵に回ると言う最悪の事態になりえる。

 カッターはそこまで考えて、本当に接触する意味があるかどうか考え直す。
 知れば知るほどこの大陸にある国々の体制は、スピリット・オブ・ファイアの乗員にとって良いものではない。
 科学技術、特に機械技術はまったくと言って良いほど見られず、恐らくはこの惑星の人類は宇宙航行は不可能だろう。
 この大陸以外でも人類は存在したが、同様に機械技術は見られなかった。
 エルフが居ると言われるサハラ、それより東にある国々、そしてこのハルケギニア、高高度からの観察だけではあるがどれも科学技術が見られなかった。

「………」

 カッターは瞼を閉じ、物思いに耽て。

「現時刻を持って全工作兵、及び観測兵を艦に帰還させろ」
『全員ですか?』
「全員だ」
『アイサー』

 瞼を開いたカッターは命令を下す、この惑星の人類には接触しないと決めた。
102虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:08:13.87 ID:5/4Z1CBi
「自力での帰還は不可能と判断し、救助を待つ。 整備兵は長期間車両や航空機を使用出来るようにシフトを組んで整備させろ」
『コールドスリープですか?』
「そうだセリーナ、お前も眠ってもらう」
『了解、管理プロトコルを構築後、艦長の了承を得て待機状態に移行します』

 艦載A.I、無機物で構成される電子の存在。
 一見半永久的な存在に見えるA.Iであるが、物理的、技術的な問題で存続できない、いわゆる『死』が訪れる。
 特にセリーナなどのスマートA.Iと呼称されるタイプは、その優れた性能ゆえ己を圧迫し、最終的には機能停止にまで進んでしまう。
 物理的な問題である情報処理スペースの不足、膨大な情報により加速度的に増加していく、人間の神経接続を模したリンクの増加による圧迫。
 そうなると明らかな処理速度の低下、終には情報処理が出来なくなり機能停止にまで陥る。

 それを回避する術である予防的神経接続切断があるが、要は自己が保持する情報の破棄と言うべきだろうか。
 それを行って機能停止を防ごうとするが、その回数が増えていくと切断するべき箇所を誤り始める。
 動物で言えば『疲労』、A.Iは疲労、疲弊して判断を誤り結果的に機能停止、それを防ぐために自己停止に至る。
 処理スペースが無限であるならば、リンク数は幾何学的に増加し続け、稼動出来るエネルギーが供給され続けるなら不滅と言える。
 だがこの世に無限など存在しない、故に無機物のA.Iであろうと避けられぬ死が訪れると言うわけであった。

 そしてそのスマートA.Iの死が訪れる期間はおおよそ七年と言われている。
 コールドスリープで人間が何十年と眠り続けて、セリーナだけ動き続けていればすぐにでも限界が訪れ、自己停止や機能停止に至る。
 カッターはその深くまでは知らないが、そう遠くない時にセリーナは停止する事を知っている。
 セリーナもそれを理解し、今セリーナが機能停止に陥らないよう、コールドスリープと同じように掛かる負荷を停止させるように命じた。

 それからの行動は早い、トリステインに散っていた兵員が続々と戻る中、数人が任務の継続を願い出ていた。

「……本当に良いのか?」

 カッターが聞く、映像は無い、音声のみの通信に語りかける。

『はい、タルブは首都から馬で二日ほどしか掛かりません、情報の鮮度は多少落ちますが港町もすぐ近くにありますので他国の情報も入りやすいです』

 残って任務を続けるのは、コールドスリープで眠る事となる他の乗員と時間を隔てると言う事。
 もし救助が来たのが百年後であったなら、その時には既に亡くなっている。

「少尉、任務が完了したかの判断は任せる。 そう判断したなら戻ってくるんだ」
『はっ! タケオ・ササキ少尉、情報収集の任を引き続き継続します』

 そう言って切れた通信、カッターは帽子を被りなおしてモニターの前から退く。

『少尉に聞くべき事があったのでは?』

 カッターの行動に疑問を持ってセリーナが問いてくるも。

「少尉は自身が帰還する可能性を捨ててまで我々の為に任務を継続したいと願い出た、その思いを無駄にしたくはない」

 なぜ帰還しろという命令を不服とし、任務の継続を願い出たのか。
 またその願い出た理由などは一体何なのか、艦長としてそれを問い質して明確にする権利がある。
 艦長であり大佐でもあるジェームズ・グレゴリー・カッターに問われれば、佐々木武雄少尉は答えなければならない。
 だがそれをしなかった、実際に何があったのか、それを決断させる事があったのかもしれないが問わなかった。
 引き換えと言っても良かった、いつでも戻ってきて良いとは言ったが、少尉の声からは強い感情が乗っていたのをカッターは聞いた。

 自身が帰れる可能性を潰し、生涯を掛けて情報を集め続けると言う任務と引き換えに問わなかった。

「意思は尊重したい、何にせよ必要な任務を遂行してくれる少尉を咎める事は出来ん」
『何があったのかは非常に興味はありますが、確かに情報の収集に必要な人材は常に置いておく必要はありますね』
 
 一応納得はしたようにセリーナが言い、ホログラムが消え管理プロトコルの作成に戻る。
103虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:10:11.92 ID:5/4Z1CBi
「……犠牲、か」

 腕組みをしてカッターが呟く、シールドワールドから脱出する際のジョン・フォージ軍曹のように。
 彼だけではない、戦い散っていった者たち全てが今のスピリット・オブ・ファイアの乗員を支えていた。
 その者たちに加わろうとする者がまた一人、カッターはそれを見届けねばならない、それが艦を預かる者の役目。

「………」

 嫌な運命だ、カッターはこの現状にただただ一刻も早い救助が来る事を願った。





 それから何事もなく事が進む。
 任務を継続する兵に、艦に残る乗員のコールドスリープ。
 最低限必要な人員を交代で残し、森の中に横たわるスピリット・オブ・ファイアは救助を待つために眠りに付く事となった。

 そして長い時が経つ、十年、二十年、三十年、四十年、五十年。
 スピリット・オブ・ファイアの時は止まりながらも、外の世界は動き続ける。
 さらに六十年、七十年、八十年。
 佐々木武雄の曾孫であるシエスタが生まれる。
 九十年。
 佐々木武雄が老衰で亡くなり、一時的に得られる情報が止まる。

 そしてハルケギニアの暦にて百年目、多くの者たちの犠牲で成り立つスピリット・オブ・ファイアの乗員に帰還の芽が芽吹いた。

『───』

 緊急通信プロトコル、それを受け待機状態であったセリーナが起動を果たし、スピリット・オブ・ファイアの状態を確かめ通信を確かめる。

『識別コード確認、Master Chief Petty Officer of the Navy Sierra-117』

 タルブの村に置かれた、佐々木武雄少尉が残したDropship 77-Troop Carrierに仕込まれた。
 識別コードを持つUNSC要員がペリカンを動かせば、即座に通信をスピリット・オブ・ファイアに送る機能が働いた。
 セリーナは喜ばしい通信を開き、その相手に声を掛けた。

『……おや? 誰かと思えばスパルタンとは、予想外でしたね』
『誰だ』
『これはこれは、私はフェニックス級強襲揚陸艦『スピリット・オブ・ファイア』艦載A.I、『セリーナ』。 歓迎しますよ、S-117』
104虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2011/04/06(水) 02:11:44.76 ID:5/4Z1CBi
以上で投下終了です。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 02:30:01.99 ID:GUw1tWOX
乙!
ついに話が全部繋がってきた〜
106名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 16:04:57.46 ID:kZitlPQf
カブトボーグから誰か召喚したいが書ける才能が無い
107名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 16:16:53.76 ID:KE+mYgPL
妄想はたくさん浮かぶけどそれをつなげてストーリーにして、文章にするのが難しすぎる。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 16:19:48.62 ID:PdiNn2gj
仕事でプロとして書くんじゃねえんだぞ
才能で書くんじゃねえ
好きと言う気持ちと努力とで書くんだ

109名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 16:45:56.77 ID:VORlzLFj
虚無と最後の希望の人、乙でした
このスレの佐々木さんは男前な人が多いなあ

>>107
書き始めてみたら楽しいものですよ
出来栄えなんか気にするのはずっと後でいいです。そのころにはじゅうぶんな筆力がついているでしょう
110名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 17:30:36.97 ID:hPuBstUw
スピリット・オブ・ファイアって聞くとマンキン思い出すわ
111名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 19:11:06.09 ID:1PJMpad1
ドロップ・ファイヤ・ジェミニ
112名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 19:15:14.39 ID:jGAhNRhC
( 0M0)<ザヨ"ゴォォォ!!!
113名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 19:22:13.77 ID:Wq3gHowN
オレはスパロボからミストさんを召喚したい
114名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 20:07:14.87 ID:AGzM4TlD
>>113
「アトリームにだって貴族は居ましたよ。ハルケギニアの貴族とは比較にならないほど誇り高く高潔な貴族がね」
「いやあ、ヨルムンガンドは強敵でしたね」
「アニエスさんのはただの復習とは思ってませんから」
「ラ・ローシェルについたぞ」
「どうして俺が謝らなきゃならないんです。謝るのなら、あいつの方でしょ」
「まともなハルケギニア人なんて数えるほどしか居ないんだよ」
「もうトリステイン人のために戦いたくない!戦うなら勝手にやってくれ!」

115名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 20:11:20.17 ID:KSUAUCIX
Kからだったら人数的にイディクスの面々のが話作りやすそうだなw
116名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 20:15:45.11 ID:resQKdJw
>>「アニエスさんのはただの復習とは思ってませんから」

なぜか誤字と思えないのがミストクオリティ?
汚名返上と言ったからか?
117名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 20:21:30.40 ID:AGzM4TlD
>>116
誤字だ

ミスト(くっ、落ち着け!あんな挑発に乗るんじゃない!)
118名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 20:34:33.64 ID:FECiqtHf
ストリップ・オブ・アンサマ
119名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:09:39.63 ID:v1t6PPNr
スピリット・オブ・マザーウィル!
120名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:13:06.53 ID:Apt8Xfx9
第四ブロックにて火災発生!
メインシャフトに被害が及んでいます!
121名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:22:21.47 ID:hBRBWkUI
「これじゃ、俺・・・トリステインを守りたくなくなっちまうよ・・・」
122名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:47:19.12 ID:cW7NYFNz
「なあ、元の世界に帰してくれよ。これじゃ人さらいじゃないか」
「うっさいわね。あんたは私に召喚されたんだから私の使い魔なの。
それに帰す魔法なんかないんだから、せいぜい雑用でもして働きなさいね。
まずは下着の洗濯してきなさい。逆らったら食事抜きだから」
「なんてこった。やっと宇宙戦士訓練学校を卒業して、憧れのヤマトの第三艦橋勤務になれたってのに」
123名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:48:25.46 ID:0xJjzHdP
虚無と最後の希望、乙です
124名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:48:58.13 ID:A3dNww6p
「ルイズ達には辛い宴会になってしまったわね…」
「才人君がいなくなってしまったからな」
125名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/06(水) 21:55:15.67 ID:wQ+u+p80
>>114
ヴァンのは特別な事なんて何も無くただの復讐だよなぁw
俺からガンソのコンセプトまで否定する気かぁ!って気分になれる。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 01:02:12.04 ID:ZuhJpw2V
・・・・・・本当に契約してしまったのか?ニヤリ
127名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 01:23:08.07 ID:+AxiYHVo
エーテル病で羽が生えるルイズか
128名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 01:35:47.21 ID:npWC8WDL
チーフ乙です。
なんか巨乳エルフさまがUNSC一妹に紹介したくない軍曹を召喚してそう。
129名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 02:10:31.66 ID:0CJ8gO6X
腹ペコなタバサの為にチャーハン作るよっ!!とかやったら、ジョジョちっくな擬音を背負って匙を構えそうだよな。
そして山盛りチャーハンをテーブルに置いた瞬間、高らかに響く某グルメレースなBGMとか
130名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 02:59:37.73 ID:xmIsB1LG
食い物だったらスイカでも差し入れましょうか?
まあ収穫前日に近くの火山が噴火したりしましたが別に関係ないでしょう
131ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/07(木) 04:05:02.16 ID:Lag8M7oo
皆さん、二日振りです。
先日投下した1話を手直し、且つ2話分を加筆しました。

コンセプトとしましてはキャラクター、設定、世界観はディシディアデュオディシムをベースに。
FF11の要素は小ネタやバックボーンに入れる、という感じで固めました。

1分後くらいに投下いたします。
132ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:06:20.74 ID:Lag8M7oo
「いちち…ここ、何処だ?」

土煙が晴れて視界が開けたのを確認すると、プリッシュは手で頭を押さえがら周りをキョロキョロと見回した。
すると、魔道士らしき格好をした少年少女たちが自分たちを取り囲むように立っているのが目に入る。

(人…?俺とシャントットのオバさん以外に人がいるなんて…それに何か俺たちを見てびびってるみたいだし)

彼らのほぼ全員が自分たちに対して怯えの表情を見せているようであった。
その表情を見てプリッシュは一瞬眉を顰めたが、一先ず直前の出来事を思い出してみる。

(ええと…、確か俺とオバさんはいきなり現れた鏡の調査をしていて、俺がその鏡に触れようとしたら急にピカーって光った後、物凄い力で引きずり込まれて、それで…)

「ここへ出た、ということですわね」

突如背後から聞こえた声にプリッシュは思わずおののいた。
恐る恐る振り返ると、シャントットが目を半開きにしながらこちらを睨み付けている。

「オバ…じゃなくて、博士!?」
「プリッシュ!軽率な行動は慎みなさいと口が酸っぱくなるまで申し上げましたというのに、あなたという子は…」
「まー、まー、こうして二人とも無事なんだし、別にいいじゃねぇか!」

プリッシュが明るくそう言うと、シャントットは呆れたような顔で見つめる。
この見た目は小さな子供と変わらないシャントットは彼女たちがいたヴァナ・ディールという世界において、知る人ぞ知る伝説的存在であった。
どのくらい凄いかと言えば、下手すると彼女の機嫌一つでその辺一体が焼け野原になりかねないくらいである。
シャントットの恐ろしさを理解しているプリッシュは口では軽く言っていても、内心は冷や冷やであった。

「…どうやら言って利かないあなたには何かしらお仕置きを与えるべきなのでしょうね。精神的にも肉体的にも!」
「ひぎぃっ!?」

プリッシュは思わず頭を抱えて、その場にしゃがみ込んだ。
その様子を見てシャントットはやれやれと肩をすくめる。

「…ところで、そこの頭の寂しい殿方。わたくしたちに杖を向けるなんて、紳士の淑女に対する行動とはとても思えませんわね」
「!!」

シャントットの背後で何者かが彼女の言葉に反応する。
そこには、男がシャントットへ杖を向けながら周囲の少年少女たちを庇うように立っていた。
禿げ上がって地肌を露わにした頭頂部に多量の汗を滲ませながら男は二人を睨みつけている。
シャントットはゆっくり振り返ると、男に尋ねた。

「わたくしたちに何か御用でも?」
「エルフ…!私の生徒たちには指一本触れさせない!」

男は敵意むき出しに答えた。
プリッシュが反論する。

「ハァ?おっさん、何言ってんだ?別に俺たち何もしてねえだろ?何かする気もねえし!」
「…すまないが、エルフの言うことを簡単に信用することは出来ない」

男は二人へと杖を向けたまま答える。
杖を向けているとは言っても、あくまで牽制だけで、攻撃を仕掛けようという素振りはまだ見せてはいない。
しかし、こちらが何か不審な行動を見せれば、すぐにでも男は攻撃に移るだろう。
シャントットは一度ため息を吐くと、またも肩をすくめてみせた。

「やれやれ…こちらの言葉を聞こうともしないだなんて、とんだ野蛮人ですのね」
「…人間に友好的なエルフなど見たことが無いのです。警戒するのは当然でしょう?」
「あらまあ!もしかして偏見と先入観だけでわたくしたちに杖を向けていますの?」
「生徒たちに何かあってからでは遅いのです…!」
133ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:07:45.54 ID:Lag8M7oo
「生徒を守ろうとするその殊勝な態度は教師としては立派ですわ。ですが、わたくしに杖を向けてただで済むとお思いでしたら、それは間違いですわよ」

シャントットはそう言った後に「オホホホホ!」と高笑いする。
男は彼女の笑い声に寒気を感じると、思わず振り返り彼の生徒たちへ叫んだ。

「早く学院の中へ入りなさい!ここに居ては危険だ!」

男の言葉に従い、彼らは一斉に大きな建物の中へと走って行った。
シャントットは男に声を掛ける。

「あなたもお逃げになったら如何ですの?今なら見逃してさしあげてもよろしいのですけれども」
「…生徒を守るのが教師の使命です」

男はそう言って改めてシャントットへ向き直ると、杖を構えた。
それを見て、シャントットは何処からか身の丈程ある杖を取り出す。

「よござんす!再びわたくしに杖を向けるその勇気に免じて、一瞬で終わらせてさしあげますわ!」

小さな体から放たれる圧倒的な覇気に、男は体の震えを隠せなかった。
思わず、その場からみっともなく逃げ去りたい衝動に駆られる。
しかし、この命に代えても生徒たちを守りたいという思いが彼の足をその場に踏み留めていた。
そこにはまるで戦場さながらの空気が蔓延していた。

「ちょっとアンタ!」

突如、甲高い声が辺りに響いた。
桃色髪の少女が前へ出て来る。
彼女は何やら怒っているような顔でシャントットたちを睨み付けていた。

「み、ミス・ヴァリエール!?」

男は青ざめた顔で桃色髪の少女を呼び止めた。
しかし、彼女は止まらない。

「止めなさい!これは命令よ!」
「……」

シャントットは無言のまま横目でチラッと桃色髪の少女の顔を見た。
その後ろでは、プリッシュが「やっべー」と呟き、ゆっくりと後ずさっている。
男が必死の形相で桃色髪の少女に声を掛けた。

「ミス・ヴァリエール!下がりなさい!相手はエルフなんですよ!?」
「でも、私が喚び出したのだから、私の使い魔なんですよね?それならば主人である私が止めます!」

何処から出てくる自信なのか、桃色髪の少女はそうきっぱりと言い切る。
男の制止を聞かずに桃色髪の少女はシャントットの真正面に立つと、腕を組みながら言った。

「もう一度言うわ。止めなさい!」

男はますます青ざめ、プリッシュも開いた口が塞がらないといった表情で桃色髪の少女を見つめていた。
シャントットは無言で杖を構えている。
辺りにただならぬ緊張が走った。

「…興が削がれましたわ。闘争の空気ではございませんわね」

暫しの静寂の後、ようやくシャントットが口を開く。
手にした杖を仕舞い、背を向けた。
男は桃色髪の少女が無事に済んだことにホッとして、ついその場にへたり込んでしまった。
シャントットと対峙していた時間さえ、彼は生きた心地がしていなかったのだ。
自分の生徒が無謀にも彼女と対峙していた時間は、正に生き地獄であった。
134ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:09:44.24 ID:Lag8M7oo
そんな彼の苦労をつゆ知らず、桃色髪の少女は尊大な態度を崩さない。

「フン、分かればそれでいいのよ」
「おい、そこのちんちくりん!」

これ以上、シャントットを刺激すれば、何が起こるか分からない。
プリッシュは思わず桃色髪の少女へ声を掛けた。
桃色髪の少女はプリッシュの言葉に脊髄反射で反応する。

「だ、誰がちんちくりんよ!アンタだって私とそんな変わらないじゃない!…胸とか」
「胸のことは言うんじゃねえ!って、んなことはどうでも良くて…これ以上、オバさんに何か言うのは止めろよ!こっちの寿命が縮むだろ!」
「何よ!?いくらエルフでも、こんなチビがそんな凄いわけないじゃないの!」
「見た目で判断すんのかよ!?それにオバさんはエルフじゃねぇっての!」
「なら余計によ!エルフでも何でもないこんなチビを恐れる必要なんて無いわ!」

桃色髪の少女はそう言い切ると、腕を組んでシャントットを見下ろす。
シャントットは顔だけゆっくり振り向くと、桃色髪の少女とプリッシュを交互に見やった。
そして、重々しく口を開く。

「色々言いたいことはありますが…まずはプリッシュ!」

シャントットに名前を呼ばれ、プリッシュは思わず背筋を伸ばす。

「あなた、どさくさに紛れてわたくしのこと『オバさん』と何度も呼びましたわね?」
「あっ!」

プリッシュは一気に血の気が引いた。
シャントットは次に桃色髪の少女へ視線を移す。

「そして、そこのあなた!」
「何よ!?」
「わたくしも鬼ではありません。無知な者が無知であるが故に愚かなことを口走っても、いちいち気になどしませんわ。でも…」

シャントットは先程仕舞った杖を再び取り出した。

「それでも我慢の限界ってものはありますの…わたくし、ブチ切れますわよ!?」
「うわあああああああ!!」

プリッシュの悲痛な叫びが辺りにこだました。

数分後、プリッシュの必死の謝罪と説得により、シャントットは杖を仕舞った。
プリッシュはシャントットを止める間、まるで生きた心地がしなかった。
彼女が止めなければ、ブチ切れたシャントットがこの辺一帯を破壊し尽くすのに1分も掛からなかったであろう。
頭頂部の禿げ上がった男にはプリッシュの苦労が伝わったようで、彼女に同情と尊敬の眼差しを向けているが、桃色髪の少女は相変わらず冷めた目を二人に向けていた。
肩で息をしながらプリッシュは桃色髪の少女を見つめる。

(ゼー、ゼー…ったく、あのちんちくりん、いくらオバさんを知らねぇからって何つーこと言ってんだよ!そんでもって、まだあの態度!よっぽどの大物か大馬鹿野郎だぜ!)

プリッシュは額の汗を拭いながら心の中で桃色髪の少女に対し、悪態を吐く。
シャントットは納得はしていないという顔はしつつも、怒りの矛は何とか収めたようであった。

トリステイン魔法学院崩壊の危機はここに去った。

男は何とか気を取り直すと、シャントットとはなるべく目を合わさないようにしながら、プリッシュの方へ話し掛けた。

「…先程君が言っていたことだが、君たちはエルフでは無いのか?」
「ああ、俺はエルヴァーンだし、オバ…博士はタルタルって言う種族なんだ」
「エルヴァーン…タルタル…」

男はそれらの単語を口の中で繰り返す。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 04:10:25.92 ID:ztwtjlKu
しえん
136ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:11:57.81 ID:Lag8M7oo
プリッシュの言葉に、男はまだ半信半疑のようであった。
だが、先程のプリッシュがシャントットを必死に止めようとする姿を思い出すとローブの中に杖を仕舞った。

「…先程までの無礼の数々を謝罪します」
「おっ?ようやく分かってくれたか!?」
「いえ、まだ警戒を完全に解いたわけではありません。ただ、対話する余地がまだあると判断しました」

男は口ではそう言いつつも、先程までの敵意は完全に失せていた。
どうやら、敵対の意志は無いようである。
プリッシュは取り敢えずホッと一息吐いた。

「まあ、要するにやり合う気はねぇってことだろ?取り敢えず一歩前進!ってわけだな!あんがとよ、おっさん!」
「おっさ…!オッホン、私はコルベール。ジャン・コルベールと言います」
「そっか!俺様はプリッシュ!それでこっちはシャントット博士。よろしくなコルベールのおっさん!」
「…まあ、いいでしょう」

コルベールと名乗った男はその呼び方で妥協したようであった。
プリッシュはコルベールに尋ねる。

「ところでコルベールのおっさん、ここって何処だ?」
「ここはハルケギニアのトリステイン魔法学院ですよ、ミス・プリッシュ」
「ハル…?トリ…ステ?」

プリッシュは頭の中に大きな?マークを浮かべた。
どちらも聞いたことの無い名前である。
思わずシャントットへ顔を向けて意見を求めるが、彼女も首を振って知らないというジェスチャーをした。
プリッシュは再びコルベールへ向き直り尋ねた。

「なあなあ、コスモス…もしくはカオスって分かるか?」

コルベールは少し考えた後、首を振ってから答えた。

「…すみません。心当たり無いですね」
「じゃ、じゃあさ、ヴァナ・ディールって名前は?」
「さあ…?聞いたことの無い名前ですね」

真顔でそう話すコルベールを見て、プリッシュはここが自分たちの知る世界では無いのではないかと思い始めていた。
よくよく周りを見渡すと、自分たちがよく知るヴァナ・ディールとも二柱の神々が終わらない闘争を繰り返すあの世界とも何処となく雰囲気が違うことに気付く。

「…どうやら、わたくしたちは異世界へ来てしまったみたいですわね」

シャントットはプリッシュにだけ聞こえるように言った。

異世界。

その言葉にプリッシュは戸惑いや不安よりも、好奇心を疼かせていた。
二柱の神々が終わりなき闘争を繰り返す世界でも、自らの主であるコスモス護衛の任務をほっぽりだして『冒険』をしていた彼女である。
異世界ともなれば、余計に『冒険』へと出掛けたくなる。

「プリッシュ。勝手な行動を取ったらお仕置きですわよ?」
「ギクッ!」

そんなプリッシュの表情を見て取ったシャントットが釘を刺す。
プリッシュが思わず引きつった笑いを浮かべると、シャントットはやれやれと肩をすくめた。

「…ここが何処かも問題ですけれども、それと同じくらい問題なのは、わたくしたちが何故ここへ呼び出されたか?ですわ」

そう言ってシャントットがコルベールを一瞥すると、彼の広いおでこは一瞬の内に汗で濡れてしまった。

「じ、実は我々はつい先程まで使い魔召喚の儀を行っていたところでして、ミス・プリッシュとミス・シャントットはそこのミス・ヴァリエールに喚び出されたのです」
137ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:14:43.34 ID:Lag8M7oo
コルベールは汗を拭いながら、桃色髪の少女へと視線を向けた。
シャントットは桃色髪の少女を一瞥した後、コルベールに再び尋ねる。

「召喚?何の為に?」
「ここトリステイン魔法学院では2年の進級時に試験として使い魔を得なければならないのです」
「愚の骨頂と言わざるを得ない儀式ですわね。何が喚ばれるか分からないような危険なことを生徒にさせる。教育者にあるまじき行いですわ」
「そ、それは…。お言葉ですが、今までも喚び出された使い魔は例外なく主に危害を加えることはありませんでしたもので…」
「あら?先程わたくしたちに杖を向けたのは何処のどなただったかしら?」
「うっ…!」

コルベールは何も言い返せず、がっくりと項垂れた。
二人の会話を聞いていたプリッシュは思わず口を挟む。

「使い魔…って、もしかして俺たちのことか!?」
「そうよ。本当はドラゴンとかグリフォンとかそっちの方が良かったけど、この際アンタたちで我慢してあげる。エルフは流石にアレだけど、亜人なら亜人で珍しい使い魔だしね」

プリッシュの問いに桃色髪の少女が尊大な態度で答えた。
彼女の物言いに、プリッシュも流石にカチンと来る。

「お前、何かムカつくなー。大体、俺たちはお前の使い魔になるだなんて一言も言ってねぇぞ!なる気もねぇしな!」
「な、何ですって!!」

プリッシュの言葉に桃色髪の少女は激昂する。
使い魔とは喚び出された時点で、無条件に主に従うものだと思っていただけに、拒否の意を示されるのは彼女にとっては許し難いことであった。
しかし、ここで意外な人物が桃色髪の少女を後押しする。

「プリッシュ。あなた、その娘の使い魔におなりなさい」

発言の主はシャントットであった。
思いもよらぬアシストにプリッシュは愕然とする。

「ええ!?何でだよオバ…博士!」
「あら?だって、面白そうじゃない。それにわたくしたちを喚び出したこの世界の魔法に興味が湧きましたの」
「だからって…」
「プリッシュ!先程からの失言、わたくしは許したわけではありませんのよ?」
「…わーったよぉ」

プリッシュは観念した。
シャントットの機嫌を損ねるよりは、不服でも桃色髪の少女の使い魔になる方がマシだと判断する。

「…ったく、分かればいいのよ分かれば」

そんなプリッシュの考えを理解する筈も無く、桃色髪の少女は仕方が無いといった感じで言った。
プリッシュは彼女に、何処となくシャントットに似たものを感じていた。

「そういや、お前の名前、まだ聞いてなかったっけ?」
「フン、どうせ使い魔になるんだから御主人様って呼びなさいよ」
「オホン、ミス・ヴァリエール」

コルベールが咳払いをして桃色髪の少女を諌めると、彼女は渋々答えた。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「そっか!じゃあ、ルイズ!これからよろしくな!」

プリッシュが握手しようと差し出した手を、ルイズと名乗った少女は取ろうともしなかった。
プリッシュは仕方なく手を引っ込める。

「…で、俺はどうすりゃいいんだ?」
138ヴァナ・ディールの使い魔 第1話・改:2011/04/07(木) 04:24:18.87 ID:Lag8M7oo
「ちょっと顔をこっちに近付けなさい」

ルイズにそう言われ、プリッシュが身を少し屈めて彼女の顔へ近付くと、彼女は何やら呪文を唱えていた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」

チュッ。

一瞬、プリッシュは何をされたのか分からなかったが、それが口づけだと気付いた瞬間、思わず飛びのいて服の袖口で口を拭った。

「ちょっ!?な、何しやがる!?」
「うるさいわね!私だって嫌よ!でも、仕方ないでしょ?これが契約の方法なんだから!それに一応アンタ女でしょ?ならいいじゃない!」

それは自分に言い聞かせているようでもあった。

「あらまあ、今時キスが契約の条件なんて…ロマンチックですけど前時代的なやり方ですわね」
「全然ロマンチックじゃねぇ!!」

ニヤニヤとこっちを見ているシャントットに向かって声高にそう叫ぶと、プリッシュの左手が突然光りだし、同時に激痛が走った。

「いってぇええええええ!!!」

プリッシュは思わず左手を押さえた。

「何じゃこりゃあ!?」
「使い魔のルーンが刻まれているのよ。すぐに治まるからみっともない声出さないの!」
「出さないの!って、すっげぇ痛いぞこれ!」

ルイズの言った通り、左手の痛みはすぐに治まった。
プリッシュは恐る恐る左手を見ると、変な文字が刻まれている。

「これは…?」
「ほう、珍しいルーンだ。ミス・プリッシュ、ちょっとスケッチさせて貰ってもいいかね?」
「別に構わねぇけどよぉ…」

何時の間にか紙とペンを持って側に立っていたコルベールはプリッシュの左手に書かれた文字をさっと持っていた紙に書き写す。

「ふむ、有難う」
「なあ、コルベールのおっさん、これ何だよ?」
「先程ミス・ヴァリエールが言った通り、使い魔のルーンだよ。もっともこの形のルーンは珍しいがね」
「フーン、俺たちが別世界の住人だからかな?」
「?何か言いましたか、ミス・プリッシュ?」
「あ、いや、別に何でもねぇ」

コルベールが尋ねると、プリッシュは慌てて誤魔化した。
(俺とオバ…博士が異世界の者だってことはあまり言わねぇ方がいいかもな…言ったところで信じないと思うけど)
元々、コスモスに召喚されたことで異世界の存在を知ったプリッシュやシャントットとは違い、この世界の住人に異世界という概念は無いのかも知れない。
それならば余計なことを言って変に混乱させたりするのは得策ではないと彼女なりに思った。
(コスモス大丈夫かなあ…まあ、アイツがいれば大丈夫か)
カオスの神殿で見つけた、光り輝く戦士。
コスモスの元でその剣を振るう彼がいれば、自分たちがいなくても彼女を守ることは可能であろう。
とは言え、あまりほったらかしにするのも良くは無い。
(とっととコスモスのところに戻って、カオスとの戦いをちゃっちゃと終わらせて、そんで早く元の世界へ戻りたいぜ…その為には)
プリッシュは新たに自分の主となった少女を見た。
(ハァ、この先どうなるんだろ…?)
思わずため息を吐くプリッシュを余所に左手のルーンは堂々とその存在を主張していた。
139ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/07(木) 04:28:19.24 ID:Lag8M7oo
これで今回の投下は終了です。
最後、上手く切れる部分が無かったので、ラストらへんの行間を詰めることで対応しました。
読み辛かったら申し訳ございません。

色々とご迷惑をお掛けしましたが、今後も色々と勉強しながら完結まで持って行きたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 06:12:41.60 ID:Zx7RrHoj
正直、応援してる
141名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 07:58:40.06 ID:fguMC+m4
乙、面白かったよ
FF11と言うと、ブロントさん召喚があったな
142名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 08:40:43.72 ID:TAKUqrP8
独立してた謙虚な使い魔も止まっちゃったな
143名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 12:24:18.13 ID:ULRL6jPF
謙虚な使い魔は某所で大量発生したブロントの皮を被った何かじゃないからな
ちゃんとヴァナディールから呼ばれたって感じが出てる
144名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 13:38:37.62 ID:aGwGc+wZ
左手のルーンは活躍することないだろうな・・・
プリッシュは拳で戦うキャラだし
シャントット博士がデルフを研究対象として解体するだろうし
デルフテラカワイソス
145名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 13:42:38.99 ID:j9pCN+hq
銀魂のエリザベスが召喚されたりしたら面白そうだけど自分には書けない
146名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 14:32:51.34 ID:+OrcFlXy
(チラッ
147名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 16:54:59.83 ID:RDKB4keC
>>143
ちゃんとするならヴァナディールからじゃなくてネ実から呼ばれないとダメなんじゃね?
148使い魔はリバイバル:2011/04/07(木) 17:02:45.63 ID:xmIsB1LG
前スレの埋めネタでインスピレーションがきた


ルイズの召喚したものは水色の軟体生物だった。
一応目口はあるみたいだが、ぐにゃぐにゃ動いて気持ち悪いスライムをルイズは爆破した。
しかし爆破する度にスライムは破片が集まって復活した。
そしてスライムが再生する度に、なぜかルイズの体力がどんどん削られていき、6回目で倒れた。

遊戯王からリバイバルスライムを召喚

攻撃力1500、守備力500
このカードが戦闘で破壊されたとき、1500ポイントのライフを支払うことで、次の自分のスタンバイフェイズに自分フィールド上に特殊召喚できる。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 17:20:33.71 ID:i5B/Vb2w
ヴァナから来たブロントさん(buront)は頭のヤバイ厨だから
謙虚はネ実から来たブロントさんが正しいと思う
更に先の3次創作から来たブロントさんは大体超人で聖人なのでやっぱり違うと思う
150名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 17:22:07.87 ID:AC2GoQX1
>>147
設定の話じゃね?一応PCは冒険者って事なんだし
151名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 17:36:17.92 ID:8CIppg7O
ブロントさんの定義を語るのが愚かなことは確定的に明らか
152名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 20:45:32.40 ID:OC3sdtTI
ブロントの設定を真面目に考えると禿げるぞ
153名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 21:18:32.70 ID:xmIsB1LG
イイモデートを研究するようなもんか
154名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 21:21:41.94 ID:a/w5ExwV
(1)フェンリルサーバーに存在したとされるPC。詳細不明。
(2)ネ実を荒らしてた厨。独特な言語感覚で有名。
(3)一級廃人で喧嘩も強く女にもてるのに謙虚で人気者なナイト。
  ある意味ヴァナ人であるとも言えるが、基本的には(2)の話に登場する空想上の存在。

創作に登場するのは(2)と(3)をミックスしたものだが、作者によってその比重は異なる。
例:謙虚な使いィ魔のブロントさんは(3)の比重が大きめ。

ちなみに俺ははげていない
155名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 21:35:18.21 ID:K6cvLedv
なーに、コルベール先生だって昔はフサフサだったんだ。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 21:42:40.69 ID:qNpNxvHd
アトリエシリーズのあの人・・・・・・
若い時の自慢は髪だったんだぜ。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 21:50:15.86 ID:8mXgcSeK
コルベール先生に「毛生え薬(マリーのアトリエ)」を渡したら……
158名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 22:26:56.08 ID:xmIsB1LG
メンヌヴィルの目が見えたら、コルベールの変わりように愕然としたかもな
159名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 22:30:38.38 ID:fwkh0BNs
あれ(毛生え薬)ちょっとしか効き目ないじゃねえかw
コルベル先生がぬか喜びするだけじゃねえ?w
160名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 22:49:48.78 ID:knX6Pn7U
バイバインをコルベール先生の毛髪に使えば・・・・・・・・
161名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 23:39:37.10 ID:xmIsB1LG
ゼロのボンビーのコルベール先生はフサフサになってたっけ
162名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/07(木) 23:42:42.68 ID:cIRe+Wtw
>>130
いしいひさいちの漫画に出てくる編集者ヤスダが思い浮かんだ
163名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 00:26:46.46 ID:wvPTkysk
書きたくなったので、書いたSS上げます。
誰もいないなら、3分後ぐらいに
書いたのは、魔界戦記ディスガイアのラハール(ファミ通文庫版)です。
興味がない?スルーの魔法を使ってください
164名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 00:29:44.51 ID:88EP5MUa
>>163
地震の直後なのに頑張るなw
支援
165ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:30:44.32 ID:wvPTkysk
ゼロと魔王

そこはどんな海よりも深く、どんな闇よりも暗い場所にあるという。
闇に魅入られた禍々しい者どもが集う暗黒世界―――――
彼の地がどこにあるのか。
それは定かではない。
しかし、誰もがその存在を信じ、畏れていた。
それが魔界。
天界、そして、人間界と共に3界を構成する闇の世界。
長い間そう信じられてきた。
もっともこれは、魔界で起きる事件ではなく、とある魔王が、ゼロと呼ばれる少女に召喚されるお話である。



ラハールは、雲の中を飛んでいた。
というのも、誰かに仕事をさぼって抜け出ていたことを知られるのは都合が悪いからだ。

「いくら今魔王城にエトナやフロン、そしてシャスとサクラがおらんとは言え誰かに見られて、抜け出ていたことがエトナにバレたら、何を言われるかわからんからな」

もっとも、エトナが居ようが居なかろうが、しょっちゅう抜け出しているのだが。

「エトナは仕事でゲヘナの海に行っておるし、フロンは天界に戻っておって今はおらん。問題のシャスは実家に戻っておるし、サクラは性格が男に戻って、自分の家に戻っておる・・・やることがないな」

エトナが聞いていたら、仕事をしてくださいよ。
とか言ってきそうなことを言っているこの人物こそ、この魔界の王、いわゆる魔王というやつだ。
見た目は10歳ぐらいに見えるが1000年以上生きている。
だが、格好は、赤いマフラーを首に巻き、上半身裸に短パンだけという。
訳のわからない格好をしている。

「・・・さて、そろそろ戻るとするか」



あれから、10分ぐらい飛んだだろうか、雲から少し顔を出してみると魔王城が見えてきた。
あとは、いつも出入りしている庭園に下りるだけだ。

(仕事をやる気にはならんし、戻ったらまずハナコに飯でも・・・そういえばエトナに着いて行ったのだったな・・・しかたない、戻ったら寝るとするか)

そんな事を考えていると、庭園の真上に着いた。
後は、一気に下りるだけで、誰にも見つからずに戻れるはずだった。
ラハールが降下を始め、猛スピードで落ちて行き、マフラーを広げてスピードを殺そうとした時、目の前に鏡が
出現したのだった。

「なっ!」

この鏡がどのようなものかわからないが、今までの経験上、これがろくでもないものだろうと思い、避けようとした
ラハールであったが。
当然目の前に現れたので避けるすべもなく。
そしてブレーキなど間に合うはずもなく。
ラハールは、鏡の中に入ってしまった。


166ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:32:30.68 ID:wvPTkysk
ここはトリステイン魔法学院、その敷地内のアウストリの広場で、新2年生がこれから一生を共に生きる使い魔の召喚儀式
『サモン・サーヴァント』をしていた。
もっとも、ただ1人を除き、他の者は、各々の使い魔の召喚、そして使い魔との契約、『コントラクト・サーヴァント』を終えている。
そして、その1人とは、小柄な体躯、腰の辺りまで届く桃色がかったブロンドの髪。強い意志を感じさせる鳶色の大きな瞳を持った少女。
『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』という1人の貴族である。

「なあ?ゼロのルイズが何回で召喚できると思う?」「ハッハッハさすがのゼロでも、1回で召喚できるだろ」
「いやいや、ゼロのルイズだからな、もしかしたら10回やっても出来ないんじゃないか?」

そのようなからかいがそこら辺から聞こえてくるが、そんな事は日常茶飯事なので慣れている。
だが、慣れているだけで、悔しくないかと聞かれれば悔しいと答えるだろう。

「皆さん静粛に!さあ、ミス・ヴァリエール『サモン・サーヴァント』を行なってください」

教師であるコルベールが皆を静かにし、ルイズを急かす。
そしてルイズは、覚悟を決めて召喚の呪文を唱えた。

「宇宙のどこかにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに…応えよ!」

すると、起こったのは爆発であった。
ルイズの周りにいた人間たちは、みな爆発に巻き込まれ、気を失っていた。

「え?まさか失敗!?でもこうなったらみんな気絶しているみたいだし成功するまで・・・」

そんなことを考えていたルイズであったが、「ぐふぅ!」という声が聞こえたので、そっちに顔を向けてみた。するとそこには、上半身裸に短パンという訳のわからない格好をした少年が倒れていた。



鏡の中に突っ込んでしまったラハールは、何か、形容しがたい空間を漂っていた。
もっとも、突っ込んだ時と同じ速度で進んでいるため、漂っているという表現は正しくないのだが・・・

「クソッ!一体何なのだ!しかし、なんだこれは?どこかに飛ばされているようだが・・・時間遡行の魔法で飛ばされているわけではなさそうだな。時空ゲートとも違うみたいだが・・・それならば召喚か?」

そんな事を言っていると、おそらく出口の様なものが見えてきた。

「まあとにかく、召喚ならば適当にすませて帰るとするか」

そして、変な空間から出たと思ったら。
ラハールは地面を見ていた。
正確には、ラハールの顔が地面の方を向いているだけなのだが、いきなりの事で頭が回らない事に加えて、地面からたいして離れていないところに出たため。
顔面から思いっきり落ちたのであった。

「ぐふぅ!」

顔面から落ちたみたいだが、死にはしなかったようだが、気絶はしたようだ。



167ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:33:22.81 ID:wvPTkysk
そして、ルイズが爆発を起こして、変な格好の少年を見つけた所に繋がる。

「何・・・これ・・・?」

ルイズは混乱していた、いくらなんでもこれは驚きもするだろう、『サモン・サーヴァント』で呼ばれた使い魔が、どう見ても10歳そこらの人間が呼び出されたのだから。
もっとも、よく見れば、耳がエルフみたいに尖っているのだが、今のルイズには、そこまで気にする余裕はない。

「う、う〜ん。私としたことが、まさか気絶してしまうとは・・・」

ルイズが混乱している中、気絶していた人間の中から、コルベールが起き上がった。
爆発によって生まれた土煙は、ある程度晴れていたため、周りを見回してみると、ただ1人の生徒を除いて、みな気絶していることに気が付いた。
どうやら気絶しているだけで、大事はなさそうだった。
そして、爆発を起こした張本人を見てみると、硬直していた。
今コルベールがいる場所からでは土煙で見えないが、どうやら何かを見て硬直しているみたいだ。

「ミス・ヴァリエール、大丈夫ですか?」

何か危険な物でも召喚したのかと思ったが、立ち上がって近づいてみると。

「・・・ミス・ヴァリエール?この少年は、あなたが召喚した使い魔ですか?」

「え!?・・・たぶんそうですけど。ですが、人間を使い魔になんて聞いたことがありません!やり直しを要求します!」

ルイズは、そんな事を言ったが、コルベールは首を横に振り、こう言った。

「それは認められません。この少年を召喚してしまった以上、あなたは、この少年と『コントラクト・サーヴァント』をしなければなりません」
「しかし!」

なおくいついてくるルイズであったが、それを認めるわけにはいかないので、コルベールはこう言うしかなかった。

「それ以上いうようなら、本当に退学になりますが、よろしいんですか?」
「・・・」

退学という言葉を聞いて、ルイズは黙った。

「わかりました」

そして、渋々といった風だが、契約することに決めたようだ。
ルイズは、倒れている少年に歩み寄り、「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」と、契約の呪文を唱え、召喚した少年に口づけをした。



地面に追突して、気絶したラハールは、昔の夢を見ていた。
それは、母グレンとどこかに行った時の夢だった。
もっとも、幼い内に死んだので、最近まで顔をほとんど覚えてはいなかったのだが。
その時のラハールは、今のように体が強くなく、よく体調をくずしていた。
だが、この時はとても体調が良かったことは覚えていた。
そして、母がよく言っていたことも覚えてはいるし、この時言ったのも、おそらくあれだろうと予想出来た。
168ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:34:01.60 ID:wvPTkysk
いい、ラハール、愛をもってすればみんなわかってくれるのよ。でもそのためには、自分から動かないといけないのよ」

予想した通りだった。
母は、よく愛がどうこう言っていたし、自分自身、そうなのだろうと思っていた時期もあった。
いつもなら、ダメージを受けて、全力で否定するところなのだが、なぜだろうか。
そんなことはなく、何とも言えない気持ちになった。
ふと思い出す。
この時自分は何と言ったのだったかと。
すると、少しして、その答えが聞こえた。

「あい、かあしゃまのいうとおりみんなをあいしゅでしゅ」

今となっては、絶対に考えられない事を言ったものだと思ったが、これが昔の自分である、このような姿を知っているのは、今となっては中ボスだけということを考えると、こう思った。

(あいつ、今のうちに始末しておくか)

とそんな事を考えていると、そろそろ自分が起きるということが、なぜかわかった。
なぜこのような夢を見たのか思い返すと、最近サクラの時と、母の銅像に頭をぶつけて、数日の記憶が無くなっていた事を思い出し、それのせいだろうと考えた。
そうやって考えていると、どんどん目が覚めていっているのがわかる。
周りの風景が消えていき、そして、最後に、幼い自分と母が消えた。
それを寂しいと感じたが、「夢を相手にバカバカしい」と言って目が覚めた。
そう、ピンク色の髪をした少女にキスをされている所に、だ。



「な!ななな、何をする貴様!」

跳ね起き、ピンク色の髪の少女から急いで離れる。
だが、離れた時に体が熱くなり、少ししたら、それが激痛に変わった。

「グッ!な、なんだこれは」
「安心しなさい、すぐに終わるわ」

ピンク髪の少女が何か言っているが、ラハールは聞いていなかった。
少ししたら、痛みは治まったが、ラハールは怒りがおさまらない。

「おい小娘!貴様、オレ様に何をした!」
「契約よ。あと、平民風情が貴族相手に小娘だとか、貴様とか言って、許されると思っているの?」
「オレ様は、魔王だ!人間風情が偉そうな口をきくとはいい度胸だな!」
「魔王?何を言ってるのよ、あんたどっからどうみても弱そうじゃない」
「ほ〜う、いい度胸だな、このオレ様を前にして弱そうか、ならばこれを見てもそんな事を言っておられるか!『メガファイア』!」

ラハールは、ピンク色髪の少女の足元に向かって、4系統の魔法のファイアのメガ級の魔法を放った。
だが、そこに1人の人間が割って入り、ラハールの『メガファイア』を別の魔法で打ち消した。

「私の生徒に手を出さないでもらえますかな」

と言ってきた。さっきの魔法自体、当てるつもりは無かったため、威力自体たいした事はないが、ラハールの魔法を打ち消したのは、十分称賛に値する。

「ほう、人間のくせに、オレ様の魔法を打ち消すとはなかなかやるな、褒めてやろう」
「褒めてもらうほどの物でもありませんよ」
169ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:34:41.00 ID:wvPTkysk
「そう謙遜するな、オレ様が素直に褒めてやっておるのだ。ありがたく思え」

そんなやり取りを聞きながら、ルイズは混乱していた。
召喚したのがただの少年だと思ったら、自分の事を魔王と言い、さらに自分の知らない魔法まで使ったのだ。
混乱もするだろう。

「さっきの魔法、呪文を無に唱えていましたが。まさか先住魔法ですか?」
「先住魔法?なんだそれは」
「先住魔法を知らないとは、ではあなたはエルフではないのですか?」
「エルフ〜?だからオレ様は魔王だと言っておろうが、わからん奴だな」

どうやらエルフではないようだが、それだと本当にあれが魔王で、ルイズは悪魔を召喚したことになる。

(そんな事が、周りに知れたら一体どうなるか・・・・想像もしたくない)

ルイズが絶望に暮れている中、ラハールは、少しだけ遊んでやろうと思った。

「まだわからんようなら、力で教えるしかあるまいな。安心しろ、殺しはせん、ただ少し怪我をするかもしれんが、構わんな?」
「何を・・・・!?」

コルベールは、目を見開いていた。
それもそうだろう、今目の前の少年が魔法の名前らしきものを叫んだと思ったら、少年の手には、10メイルほどの巨大な火球があるのだから驚きもするだろう。
いくら、『炎蛇』と呼ばれていたコルベールでも、火球がどれほどの威力があるかわからないが、10メイルもの火球をどうにかするには、今から詠唱をしたのでは間に合わないだろうと思い、いざとなったら、自分が生徒の盾になろうと決めていたコルベールであった。
その光景を見て、ラハールはこう思った。

(ふん、つまらんな)

ラハールの火球は、『ギガファイア』という魔法で作ったもので、たしかに強力な魔法だが、本来の用途と違うため。さっき放った『メガファイア』の魔法より、少し威力が高いぐらいしかないのだ。
なので、コルベールがどんな行動をとるのかと思って威嚇として作ったのだが、どうやらコルベールは何もできないと判断し、ピンク髪の少女を守る体制に入っていた。
どうせ作ったのだし、おそらく死なないだろうと予測して、投げようかと思ったが。
さっきの夢の事がチラついて放つ気になれなかった。

(チッ!変な夢を見たものだ)

そして、作った火球を消そうと思ったとき、ピンク髪の少女が叫んだ。

「あ、あんた!やめなさいよ!あんたは私の使い魔なんだから、私の言うこと聞きなさいよ!」

足を震わせ、そんな事を叫んでいる少女がいる。
少しからかってやろうかと思ったとき、ラハールに異変が生じた。
今まで気が付かなかったが、左手の甲を見ると、何か文字があり、それが光っているのだ。
何事かと思った次の瞬間、ラハールの火球が一気に四散した。

「な!」「え?」

主人と、その使い魔は、二人同時に声を上げた。
そしてこの出会いが、これから、どのような事を起こすか。
今はまだ、誰も知らない・・・・
170ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:36:43.87 ID:wvPTkysk
第一話はこんな感じです。
これからも続けていくでしょうが、温かい目で見ていただければ幸いです。
あと、これは直した方がいいという事があったら教えてください。
出来るだけ直していきます
171ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:39:48.77 ID:wvPTkysk
今気が付いたら、168の最初のセリフのところの「が抜けてた。
172ゼロと魔王:2011/04/08(金) 00:51:39.14 ID:wvPTkysk
支援ありがとうございました。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 01:31:01.70 ID:1fTqp6i9
>>165訳のわからない格好と書いてるけど、あれはそもそも服じゃないんだよね…
小説版は読んでないからそういう表記が有ったのかもしれないけど
174ゼロと魔王:2011/04/08(金) 01:47:40.21 ID:wvPTkysk
そういえばそうでしたねwww
これは完全に私の間違いです
175名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 02:12:12.82 ID:WQOaWskQ
ギガンティックドライブとのクロスを考えていたが話がまとまらなかった。
ただ「あっ、シエスタの奉公先が……」というネタがしたかった。
そんな感じで建物が次々に壊れては再建し、また壊される。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 04:19:20.70 ID:E3ER0j8c
新作来た!ゆっくりでも長く続いてくれ!
小説版はよく知らないが1話の流れから愛マニアが大喜びする展開になるに違いない(確信

>>154
どこの住人かは分かったが
あまり門番を馬鹿にしないほうがいい^^
177名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 04:39:15.92 ID:sSXEsobw
>>175
どちらかというと宿舎を破壊されて"仏のシエスタ"状態になりそう
178名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 04:52:15.51 ID:E3ER0j8c
>>175
その設定だとギーシュ辺りがシエスタの兄貴になりそうwww
179名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 07:57:28.38 ID:FqgeG1W3
>>176
ブロント語が元ネタだから門番関係ないぞ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 08:20:34.97 ID:E3ER0j8c
>>179
元ネタは「はげていない〜海の中」までのあれのことを言いたいんだろうけど
ちなみに〜を入れると別のネタになる
181ゼロと魔王:2011/04/08(金) 10:17:58.85 ID:wvPTkysk
>>176 ちょ!?それなんて振りwww
182ゼロと魔王:2011/04/08(金) 10:32:49.76 ID:wvPTkysk
しまった・・・・母親の名前、グレンじゃなくグエンだった・・・・orz
183名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 10:39:45.72 ID:1fTqp6i9
初投下で舞い上がるのは解るが投下の前後以外にあんまり名付きで来ると嫌われるぞ。

スレ住民は謙虚な人がお好きだから。悪魔的には不良だけど
184名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 10:45:42.47 ID:wvPTkysk
そうなのか、ありがとうございます。

これからは気を付けるようにしたいと思います。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 14:15:23.07 ID:V6SIf/Mk
>>180
そっちのネタはあまり他所に出張しない方が良いと思うぞ
快く思わない人もいるからね
186名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 22:22:50.51 ID:rzPxS8j6
ルイズ以下みんな死んで、誰も居なくなった学院で一人酒するような被召喚者が時々居るよな

>>119
ドドーン ドパパパパパ ヒューン

されてハルケギニア壊滅か・・・あの年老いたカーチャンが無双すると思うと胸が熱くなるな
187名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 22:26:32.44 ID:1GqUlggG
FF8のラグナかwwwスレの内藤を召喚して作ってみようかな
もちろん内藤の場合はシエスタは臼姫
188名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 22:30:59.31 ID:MMj+GWRC
>>187
内藤はやっぱり外部になるのかなぁ
189名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 23:38:14.65 ID:p64bAFnn
他作品の強キャラを召喚してハルケで無双ってのは定番だけどその逆はどうかな
例えばバクマンの中井みたいなキモデブ召喚して厳しい世界で揉ませるとか
あんまおもしろくないか…
190名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/08(金) 23:49:01.78 ID:aP+U7myo
ゼロのコマンドーか・・・
胸が、熱くなるな
191名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 02:13:00.68 ID:BlNoRQqo
>>189
ダメな奴を鍛えると結局原作と同じような流れにしかならんし、
いっそのことダメな奴はダメな奴なままでストーリーを展開させた方が良いのではなかろうか。

香水を拾ったけど人付き合いが苦手なのでギーシュに話しかけられず、しどろもどろになって結局ギーシュに謝るとか、
フーケのゴーレム見てマジビビリしてルイズの部屋に引き篭もるとか、
ラ・ロシェールでワルドにボロボロにされたら、逆に周囲に弱いものイジメされてると受け取られてルイズに同情されるとか。
192ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:41:07.52 ID:9tYF0iww
おひさしぶりです
ちょっと長くなったので誰もいなさそう(というか起きてなさそう)
な45分頃から投下します
193ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:44:13.40 ID:9tYF0iww
 

「なるほどなあ……」
 手にしたシャベルの刃を蹴りつけながら、柊は嘆息交じりに言った。
 柊達と同じくファー・ジ・アースから召喚された少年、平賀 才人との邂逅を果たした後、柊は何故かサイトと共に部屋の掃除をやらされていた。
 部屋の中にこんもりと積もっている土山をシャベルで削り、床に空いた謎の大穴に放り込む。
 それこそ魔法を使って片付けろという話なのだが、当のフーケ――本名はマチルダというらしい――は全く取り合ってくれなかった。
 そんな訳で柊は押し付けられた土木作業をこなす傍ら、マチルダから一年前にサイトが召喚された話をかいつまんで聞いたのだった。
 ……ちなみにサイトは、出会った直後こそどうやってここに来たのかとか地球は今どんな感じとか根掘り葉掘り色々と聞いてきたのだが、
柊がサイトと同じように召喚されて帰る手段もない事を聞くとガッカリ感丸出しの表情を浮かべてしまった。
 まあそれでも同じ地球の人間に会えたのが嬉しかったのか、どこか喜色を称えて柊との共同作業にあたっている。
「……しかし、俺等以外にも人間が召喚されてるのかよ」
 話を聞き終えた後、柊は作業の手を止めて嘆息交じりにマチルダをねめつける。
 すると彼女の隣にいる帽子を被った少女――ティファニアが申し訳なさそうに頭を垂れた。
「……ごめんなさい」
 サイトを召喚した事に負い目を感じているのだろう、彼女は消え入りそうな声でそう漏らす。
 一方のマチルダは逆に不服といわんばかりに顔を顰めてテーブルを軽く叩いて見せた。
「召喚したのはこっちが先だよ。それに、人間だの異世界だのっていうのが本来ありえない事なんだ、イレギュラーにまで責任とれるか」
「いや、別に責任とれとはいわねえけどさ」
 ルイズの時もそうだが、別に彼女等が意図して柊達をこの世界に召喚した訳ではないのでその点に関して特に責めたりするつもりはない。
 学院にいた時使い魔召喚についても調べてみたが、異世界は当然ながら同じ世界であっても『召喚』する手段はあれど『送還』する手段は皆無だった。
 これはもう根本的に責任がどうのというものではないようだ。
 だからマチルダの言の通り、イレギュラーと言われれば単にそれだけの話なのだが――
「イレギュラーねえ……」
 柊は呟いてから少しの間黙考し、そしてティファニアへと眼を向ける。
「えぇと、ティファニアって言ったっけ。あんたがサイトを召喚したんだよな?」
「え、は、はい……」
 人見知りが激しいのか、ティファニアは僅かに身を縮こまらせて頷いた。
 まるで何かを隠すようにして帽子を目深に被りなおす彼女の仕草はさておき、柊は更に重ねて尋ねる。
「てことは、あんたもメイジなのか?」
「えっと、それは……」
 するとティファニアは何故か困ったようにマチルダへと視線を向けた。
 マチルダは小さく嘆息した後、ティファニアの代わりに柊に向かって言う。
「まあそんなモンだよ」
「微妙な言い回しだな……まあいいや」
 いちいち追求するような事ではないし、そうすべき事は他にあるのだ。
「メイジなら魔法は使えるか? えーと……そう、コモン・マジックとかじゃなくて系統魔法の方だ。ドットでもラインでもなんでもいいけど」
「……なんでそんな事を聞くんだ」
 そこまで聞けば流石に何か勘ぐっている事を察し、マチルダは声を潜めて柊を睨みつけた。
 やや剣呑な雰囲気を纏った視線を受けながら、しかし柊は僅かな沈黙の後にこう返した。
「……ルイズと同じなんじゃないかと思ってよ」
 ルイズとティファニア、二人して『本来ありえないほどの偶然』で柊達やサイトを召喚した、とするよりも、二人に共通して『本来ありえない事を起こす要因』があるとした方が納得がいくのだ。
 これはルイズがフール=ムールから情報を得たときから考えていた事だった。
 フール=ムールから教わったと思われる彼女の系統。
 四系統ではありえない特別な系統――それが異世界からの召喚を可能にした要因ではないか。

194ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:45:12.56 ID:9tYF0iww
 

「同じってどういう事さ。テファも魔法が使えないゼロって事かい?」
「魔法が使えないって訳じゃなくてな……」
 ここで柊は言いよどんだ。
 これはルイズのプライバシーにも関する事なので言ってしまっていいものか迷ったのだ。
 しかしそこを伏せて婉曲的に聞いても埒が明かないだろう。
 それにこの点は柊やエリス、サイトの今後にも関わる可能性もあるのだ。
「ルイズが魔法を使えないのはそれが自分の系統じゃねえからだ」
「はあ? メイジなら四つの系統のどれかに適正があって当たり前じゃないか。それができないから『ゼロのルイズ』なんだろう?」
「もう一個系統があるだろ。誰も使わねえ、誰も使った事がねえ系統がよ」
「……。ちょっと……」
 それを聞いて流石にマチルダの顔色が変わった。
 しかし柊は畳み掛けるように言った。
「ルイズは多分『虚無』の系統って奴なんだよ。確証はねえんだけど、少なくともここでは信頼できる筋の情報だ」
 マチルダは絶句した風に柊を見つめた。
 隣にいたティファニアはいまいち話の内容を理解できないのか、きょとんとした表情を浮かべていた。
 サイトに至っては意味がわからないといった風情で――誰かに向かって声をかけた。
「な、なあ。キョムの系統ってなんだ?」
「始祖ブリミルが使っていたとされる系統。伝聞だけでしか伝わっていないから詳細は不明」
 ……と、そこでようやく。
 柊は彼女の存在を思い出した。
「うわっ、タバサ!?」
 そういえばマチルダに案内されて一緒に来ていたのだ。
 普段から無口で存在感が皆無であり、ここに来てからも一言も口を開かず部屋の片隅で佇んでいただけだったので完全に忘れていた。
 ルイズの系統の事だけでなく柊やサイトが異世界から召喚されたという事も全て話してしまっている。
「タ、タバサ。あ、あのな、これは色々と事情があって、だから頼むからこの事は内密に……」
 泡を食って柊がタバサに向かって言うと、彼女はさほど表情を動かさないまま首を振った。
「誰にも言うつもりはない。その程度の事はわきまえているし……言っても誰も信じない」
「ま、まあそれはそうだけど……すまねえ、頼む」
 頭を下げる柊にタバサは小さく頷くと、ほんの少し興味を帯びた視線で柊とサイトを交互に見つめる。
「……この人も貴方と同じ力を持っているの?」
「いや、サイトはイノセントだろうから持ってねえ……多分」
「力? イノセント? 何のことだ?」
 不思議そうに首を傾げてサイトは柊を見やったが、彼は軽く手を振って「後でな」とだけ言い、改めてティファニアとマチルダに眼を向けた。
 すると何とか内容を呑みこんだのか、ティファニアは僅かに視線を彷徨わせた後、おずおずと声を上げる。
「あ、あの。虚無って、あの虚無? 始祖ブリミルの系統っていう……」
「多分、その虚無」
 ティファニアは頷いて返した柊をしばしぼんやりと見つめ、次いで乾いた笑いを漏らした。
「そ、そんなのある訳ないわ! わたしが虚無だなんて、そんな大それたこと……!」
 同意を求めるようにティファニアは隣に座るマチルダに顔を向け、そして固まってしまった。
 まっとうな人間ならまず一笑に伏すような話を聞いたマチルダは、しかし険しい表情のまま何事かを思案している。
「ね、姉さん……?」
 不安になって恐る恐る声をかけるが、マチルダはそれには答えずサイトの方へと眼をやった。
「サイト。こないだ話したあんたのルーンの話、覚えてるかい?」
「ルーン? 確かガンダールヴっつって始祖ブリミルの使い魔――」
 そこまで言いかけてサイトも流石に気付いたのか、思わず息を呑んだ。
 そしてマチルダはようやくティファニアへとふりかえり、言う。
「あのルーンは契約したときに自然に刻まれたものだ。伝説の使い魔のルーンが刻まれたのなら、必然その主は伝説――虚無って事になる」
「ね、姉さんまで……!」

195名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 03:47:21.29 ID:ne69RxOL
支援
196ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:48:01.08 ID:9tYF0iww
 

 信頼しているマチルダにまでそう言われ、ティファニアは思わず腰を浮かせた。
 彼女はその発端となった発言をした柊に眼をやると、食って掛かるように口を開く。
「だ、だからなんなんですか!? 私がその虚無だったら、どうだっていうんです!?」
 食い入るように見つめてくるティファニアの視線を受けて、しかし柊は動じることもなく一つ頭をかいてから言った。
「この世界の奴等にとって虚無の系統がどうかってのはわからねえ。ただ、俺達とサイトにとっては結構重要なことかもしれねえんだ」
「え――」
「お、俺も?」
 眼を丸めたサイトとティファニアに、柊は頷いた。
「俺達がハルケギニアに召喚されたのは虚無の力が関係してるのかもしれねえ。
 だったら、俺達が元の世界に戻るのも、虚無の力を使えばできるんじゃねえかな」
「ま、まじで!?」
 泡を食ってサイトが詰め寄り、そして期待交じりにティファニアに眼を向ける。
 彼女は気圧されるように半歩後ずさると、一転して怖気づいたような表情を見せて呟いた。
「そ、そんなのできない……私、そんなこと、知りません……」
「うん、それはわかってる。できるようになるかもしれねえって話だよ」
 そんなティファニアを落ち着かせるように柊は言った。
 ティファニアという少女が知っていて隠すような人間ではない事はなんとなくわかる。
 それで彼女は幾分落ち着きを取り戻したのか、静かに椅子に腰を下ろした。
 そして彼女は一度サイトに眼をやってから、柊に問いかける。
「本当に、私が貴方達を……サイトを元の世界に戻せるようになるんですか?」
 投げかけられた問いに柊は僅かに眉を潜めて答える。
「推測だから確実にそうなのかはわかんねえ。そもそも虚無の魔法ってのがどういうもんで、どうすれば使えるようになるかもわかんねえしな……」
 実際学院でルイズがあれこれと調べていたが、てがかりは掴めていないようだった。
 柊を見ていたティファニアは隣のマチルダに目をやった。
 彼女は何も言いはしなかったが、どこか諦めたかのように嘆息し、瞑目して小さく頷く。
 ティファニアは柊に向き直った。
「あ、あの……私、魔法が使えるんです」
「魔法? コモン・マジック?」
「そうじゃなくて、別の魔法……姉さんによると、系統魔法ではないそうです。ええと……」
 上手く説明する事ができないのか、ティファニアはそこで言葉を詰まらせてしまった。
 すると今まで黙っていたマチルダが引き継ぐようにして説明し始める。

 昔、ティファニアはとある縁で貴族の家に住んでいたらしい。
 その家には王家に伝わるというルビーの指輪と、同じく王家に伝わる秘宝のオルゴールがあった。
 そのオルゴールは音が鳴らない不良品と思われていたのだが、ティファニアが王家のルビーを嵌めてオルゴールの蓋を開くと歌とルーンが聞こえてきたそうだ。
 そしてそのルーンこそが系統魔法では類を見ない効果のものであったらしい。

「確か記憶を消す……んだったっけ?」
 確認するようにマチルダが目を向けると、ティファニアは静かに首肯する。
「水の系統じゃできないのか?」
「できない。洗脳や暗示で忘れさせたり方向性をずらしたりはできるが、完全に『消す』ことはできない」
 それをやるにもスクエアクラスの力と水の秘薬があってようやくだからね、とマチルダは首を振った。
「王家の秘宝と……王家のルビー?」
 柊は眉を潜め、反射的に懐に手を伸ばした。
 厳密にはそこにある訳ではないのだが、月衣の中にはアンリエッタから預かった『水のルビー』がある。
 そこでようやく柊は合点がいき、大きく溜息を吐き出した。
「どうした?」
「いや、こっちの話だ」

197ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:51:09.81 ID:9tYF0iww
 

 ――王家のルビーと王家の秘宝によって虚無の魔法が使えるようになる。
 おそらくルイズはこの話をフール=ムールから聞いていたのだろう。
 だからアンリエッタがルビーを持ち出した辺りから同行することに意固地になっていたのだ。
(あいつ……)
 柊は心中で呻いてしまった。
 そういう事情があるのなら、ちゃんと言ってくれさえすればあんな風に置いていく事はしなかった。
 要するに、そこまで打ち明けてくれるほど信用されていなかったということなのだろう。
「そ、それじゃその秘宝とルビーってのがあれば元の世界に戻れるようになるのか?」
 具体性を帯びてきた希望に縋るようにしてサイトが声を上げると、柊は軽く肩を竦めながら返した。
「まだ確実って訳じゃねえけどな。でも、闇雲に方法を探し回るよりはずっと可能性はあると思うぜ」
「でも帰れるかもしれないんだろ? うおお、何だよおい! すげえ道が開けてきた感じだぞ!?」
 まあ道が開けてきたという点に関してはサイトの言う通りではある。
 だが、立ち塞がる関門がない訳ではない。
 それを示すようにマチルダが軽く鼻で笑った。
「簡単に言うけどね、王家のルビーや秘宝をどうやって手に入れるっていうのさ。アレは本来王宮の宝物庫に収められてるような代物なんだよ?」
「うっ……えーと、それじゃ忍び込んで盗み出……はい、なんでもありません。すいません」
 言いかけたサイトがマチルダの物凄い睨みを受けて黙り込んだ。
 それを嘆息して見やりながら、柊は軽く頭をかいた。
「あー、その辺の事はこっちでどうにかする」
 今回の任務を無事果たすことができたら、報酬代わりという訳ではないがアンリエッタにそれらを見せてもらうくらいはできるだろう。
 柊は怪訝な表情で見つめてくるマチルダから逃げるようにしてサイトに顔を向けた。
「だから、サイトはここで待っててくれ。進展があったら連絡入れっから」
「ホ、ホントか? 頼んだぞ、マジで」
「ああ。手紙かなんか送る……って、手紙でいいのか? 届くのか、ここ?」
 電話などという文明の利器がある訳でもなく、手紙を送るにしても現代日本の郵便方法しか知らない柊は住所もないだろうこの場所にちゃんと手紙が届くかいまいちわからなかった。
 不安になってマチルダを見やると、彼女は呆れたように溜息を吐き出した。
「サウスゴータ経由で普通に届くよ。……っていうか、あのマジックアイテムを使えばいいんじゃないのかい?」
 言って彼女は部屋の脇を指差した。
 追って視線をやると、棚の上には何故かノートPCが鎮座している。
 開かれたディスプレイからはスクリーンセイバーらしき画像が動き回っていた。
「……?」
 柊は思わず首を傾げてしまった。
 机の上ならわかるが、何故棚の上。
「ネットに繋がらねえから使い道がなくて……インテリアに……」
「……あぁ、そう」
 サイトがさめざめと漏らした台詞に柊はぼんやりと返した。
 まあ確かにこの世界の技術水準からすればノートPCの造形もディスプレイに映る画像も芸術品と言っていいレベルのものだろう。
「あれ、あんたが持ってるマジックアイテムと同じような奴なんだろう? あれで連絡を取れるんじゃないのかい?」
 確かにサイズはともかくとして全体的な造形自体は似通っている。
 マチルダが柊に地球の事を尋ねたのも0-Phoneを見てこのPCを思い出したからなのだろう。
 だが――
「俺とエリスの持ってる奴は特別製だから、これとは多分繋がらねえな……」
 柊達がハルケギニアで連絡を取り合う事ができるのは0-Phoneが魔法技術を組み込んで作られたものだからだ。
 もちろん通常の携帯電話としても使用できるのだが、通常回線が存在しないハルケギニアでは使用する事はできない。


198名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 03:52:52.25 ID:Xf0Hq1U3
支援
199ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:53:24.16 ID:9tYF0iww
 

「…………?」
 と、そこで柊はある事に気付いて眉を潜めた。
 色鮮やかなディスプレイを凝視したまま、サイトに声をかける。
「サイト、お前確か一年前にハルケギニアに来たんだよな?」
「あ? 正確な所はよくわかんねえけど、多分大体それくらい……」
「……このPCはそれからずっと立ち上げっぱなしなのか?」
「こっち来て一ヶ月くらいは使う時だけ立ち上げてたけど、この村のガキ共が珍しがって見せてくれっていうから後はそのまんま――っ!?」
 柊が言わんとしている事にサイトも気付き、表情を凍らせた。
 二人が何に驚愕しているのかさっぱりわからない回りの三人は一様に首を傾げるだけだったが、当の柊とサイトは慌てて棚の上のPCを取り寄せて机の上に移動させる。
「なんでまだ動いてんだよ!?」
「し、知らねえよ!」
 仮にこの世界に来る直前に充電していたとしても、約一年間起動させっぱなしでバッテリーが持つわけがない。
 そして言うまでもなく、ハルケギニアではバッテリーの充電などできるはずもなく。
 つまり、目の前のPCが今だに動作しているのは本来ありえないことなのだ。
「なんだこのPC、普通の奴じゃねえのか? もしかしてお前ウィザードだったりすんのか?」
「普通にアキバで買った奴だよ! 調子悪かったんで叔父さんに修理頼んで、直った奴を持って帰る時にこの世界に……ってか、うぃざーどって何だよ!」
 周囲の怪訝そうな視線をものともせず、二人はPCをあちこち観察する。
 が、一見してもPCに何か特別なものがあるという訳ではない。
 分解して中身を見たところでその手の知識がほぼ皆無な柊では判別することなどできないし、何も知らないだろうサイトも論外だ。
「くそ、わかんねえ……いや」
 仮にこのPCが"そう"であるのなら、確かめる方法がある。
 柊は懐から0-Phoneを取り出した。
「!? うわああぁああん!! けえたいでんわあぁああああ!!!」
「おちつけっ!! メール送ってみっから、メアド!」
 狂喜の表情を浮かべて被り付いて来るサイトを押しのけながら柊は適当にメールを打つ。
 慌ててサイトはPCを操作しメールソフトを立ち上げるが、
「おああぁ!?」
 いきなり素っ頓狂な悲鳴を上げた。
「今度は何だよっ!?」
 耳元でいきなり叫ばれて柊は思い切り眉を顰めた。
 サイトは震える手でディスプレイを指差し、再び叫ぶ。
「め、メール!」
「いや、だからメール送るからメアドを――」
「違う! メールが来てる!!」


200名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 03:55:00.95 ID:ne69RxOL
支援
201ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:56:22.14 ID:9tYF0iww
 

「はぁ!?」
 思わず柊はサイトを押しのけてディスプレイに顔を寄せた。
 まだサイトのメールアドレスを聞いてないので柊のメールは送信していない。
 だが、開かれたエディタには確かに新着のメールが届いていた。
 それも複数。
 全てがほぼ同時に送られているようで、一番上のものを除いて全てに添付ファイル付だ。
 表題は『才人くんへ』。
 送信者は――平賀 十蔵。
「……叔父さん?」
「届いたのは……半年前? 半年前だと?」
 つまりこのメールはサイトがハルケギニアにいる間に届いたという事なのだ。
 世界を越えて連絡を取る手段を見つけていたということなのだろうか。
 だがそれでは、そこから今までの半年間この世界に来る事はおろか何の音沙汰もないというのはおかしな話だ。
「……ちょっとあんた達。二人だけで何を盛り上がってるのさ」
 と、そこで蚊帳の外にいたマチルダがやや語気を強めて口を開いた。
 はたと気付いて柊は不思議そうに見つめてくる三人の女性を振り返った。
「……コイツは簡単な手紙をやり取りできる機能があってな。で、サイトの親戚から手紙が届いてた」
「――!」
 するとティファニアは絶句して眼を見開き、マチルダは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
 それ以上の追求がなくなってしまった二人を見やった後、柊は再びサイトに向き直る。
「な、なんでメールが来てるんだよ。ネットは通じないはずなのに……」
「……この平賀 十蔵って人は多分ウィザードだろうな。そっちの技術ならできるかもしれねえ」
「だからそのウィザードって……」
「メール、一緒に見てもいいか?」
「え、お、おう」
 サイトの疑問に答えるのはとりあえず後回しにして、柊は彼を促した。
 半分疑心暗鬼のままサイトはPCを操作してメールを開いた。



 ※ ※ ※


202ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 03:58:41.96 ID:9tYF0iww
 

『このメールが無事にPCに届いている事を、
 そして君がこのメールを無事に読める状況にあることを願って。

 才人くん、元気にしているだろうか。
 「そちら」が「こちら」の時間が同期しているかどうかはわからないが、君がいなくなってから「こちら」では約半年が経過している。
 今更言う事ではないのかもしれないが、今君がいる場所は「地球」ではない。
 俗な言い方をすればいわゆる「異世界」と呼ばれる場所だ。
 君達の常識では考えられないことかもしれないが、この世にはそういった常識の「外側」が存在する。
 君が今いる異世界もそうだし、君が今まで生きてきた地球も例外ではない。
 かくいう俺自身も、そういった「外側」を知りそこに生きている人間でもある。

 ご両親から君が行方不明になった事を聞いた時は、正直驚いた。
 だが、君が俺の修理したPCを持ったまま行方を消した事が不幸中の幸いだった。
 ……実は、君のPCにはちょっとした遊び心で改造を施してあったのだ。
 いわゆる「外側」の技術を使ったものだ。
 まあ充電不要になるとかちょっぴり余分な機能がついている程度で普通に使う分には気付く事もないようなものだ。
 ただ……いやなんでもない』


 ※ ※


「イノセントのPCを魔改造してんじゃねえよ……」
「き、気になる所で切んないでよ叔父さん! ただ何なんだよ!?」

『なに、ちょっと特殊な操作をするとボーンと爆発するだけだ。あまり気にするな』

「メールが返事すんなよっ!? っつうか自爆装置とかつけんなよ!?」
「お、俺のPCにそんなロマン機能がっ!?」


 ※ ※


『話を本題に戻そう。
 とにかく、そんな訳で君のPCには俺謹製の処理が施されてあったのだ。
 行方不明という事を知った後、俺はそれを頼りに独自に捜索を行なった(GPS的な用途に使ったと思ってくれればいい)結果、君が地球ではなく別の世界にいるという事を突き止めた訳だ。

 ……突き止めたまではよかったが、そこからが問題だった。
 君がいる「場所」はわかったのだが、そこに辿り着くことができなかったのだ』


 ※ ※

203名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:00:01.27 ID:Xf0Hq1U3
支援
204ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:00:37.44 ID:9tYF0iww
 

「……」
 メールを見ながら柊は眉を潜めた。
 文面のそのフレーズは以前にフール=ムールが言っていたのとほぼ同じなのである。
 ――見つけたところで喚ばれぬ限り"辿り着く"ことはできない。
(どういう事だ? ファー・ジ・アースの人間はこっちに来れない理由があるのか?)
 フール=ムールはそれを『ここがハルケギニアだから』と言っていたような気がする。
 この世界は主八界とか関係ない『外世界』ではなく、ファー・ジ・アースと何らかの関係がある世界なのだろうか?
 答えの出せない疑問を胸に浮かばせながら、柊はメールを読み続ける。


 ※ ※


『俺のできる限りの知識やコネを使ってそちらに繋がるゲートを作ろうと試みたが、それは叶わなかった。
 そもそもの話、「外側」の技術で君達イノセント(外側を知らない一般人)に対して過度の干渉をする事はあまり薦められた行為ではない。
 俺が取引した、ゲートを作り得る技術を持った組織もその趣旨は例外ではなく、組織のトップにいる人物はその点に関して殊に厳格だった。
 結果としてゲートが繋げられない事実が判明すると早々に捜索は打ち切られてしまった。
 こうして君にメールを送ったのは苦肉の策、あるいは最後の手段だった。
 無事に届くという保障はないが、何もしないよりはマシだろう。


 長々と書いてしまったが、結論としては「こちらからは君を助ける事ができない」という事になる。
 そう結論付けることしかできないのは非常に心苦しい。俺の力の及ばなかったことを許して欲しい。


 無責任な言い方かもしれないが、決して諦めないでくれ。
 俺や君の御両親、君の友人。そういった人達が君の戻ってくることを待っている事を忘れないでくれ。
 彼等は君と同様イノセントなので事情を明かす訳にはいかず、とりあえずは俺の勤めているミーゲ社の所在地……つまりドイツに留学という形で処理している。
 だから君は何も心配せず、ただこちらに戻ってくる事にだけ頑張って欲しい。

 故意にせよ事故にせよ、こちらとそちらを繋ぐゲートが存在した以上、必ずそれを作る手段があるはずだ。
 それに、君は覚えていないだろうが、君には以前からこの手の「外側」に対する適応力が見て取れていた。
 だから俺は、君が今の状況を受け入れそして乗り越える事ができると信じている。

 再び君と会える日が来ることを、心から祈っているよ』


 ※ ※ ※


205ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:02:16.73 ID:9tYF0iww
 

「……叔父さん」
 サイトはわずかに顔を俯かせ、手の甲で目元を拭った。
 一緒にメールを読んでいた柊が、力強く肩を叩く。
「大丈夫だ。俺も手伝う。俺もこの十蔵って人と同じウィザード……『外側』ってのを知ってる人間だから、力になれる」
「……うん」
 ありがと、と呟くように言った後サイトは改めてメールを見やった。
 そして柊に眼を向け、尋ねる。
「俺のこと、ドイツに留学って事にしてるみたいだけど……」
 懇意にしている親戚ではあるが、基本ドイツに在住している十蔵にすぐに連絡がいくという事はあまりないはずだ。
 つまり十蔵がそれを知ってサイトの事情を調査し、そして対応するまでに行方不明という事はそれなりに広まっているはずだ。
 果たしてそれで誤魔化せるものなのだろうか。
 すると柊は腕を組んで少し考えると、
「多分記憶処理かなんかだろうな。地球じゃそうやって『外側』の事を知られないようにしてるんだよ」
「き、記憶処理って。それじゃ……」
「……。お前は最初っから行方不明になんてなってなくて、単にドイツに留学してるからいないだけ……って周りの人達は思ってるってことだ」
「そんな……」
 幾分申し訳なさそうに柊が言うと、サイトは顔色を失って肩を落とした。
「けど、親御さんとか友達に行方不明だって心配かけるよりはずっといいだろ?」
「それは、そうだけど」
 理屈としてはそれは理解しているし、心情としてもそういった人達に心配をかけたくない、かけずにすむ事になって安堵しているというのは確かにある。
 だが、その一方で自分がこんな事になっているのを知らず、自分がいない事に疑問も抱かないどころか気付いてさえいないという事実に、まるで見捨てられたような感覚も覚えるのだ。
 矛盾した感情を上手く処理する事ができずに、サイトは呆然とメールの開かれたディスプレイを見つめることしかできなかった。
 柊はそんなサイトを見やって口を開きかけたが、上手く言葉にできずに黙り込んでしまう。
 部屋に下りた沈黙を破ったのは、搾り出すようなか細い少女の声だった。
「……サイト」
「テファ?」
 振り返って彼女に眼を向け、サイトは眼を見開いた。
 椅子から立ち上がり、しかし近寄りがたいように立ち尽くしてサイトを見やる彼女の顔は酷く翳っていて、今にも泣きそうに見えたのだ。
「その手紙……みたいなの、私には読めないけど……家族の事が書いてあったの?」
「あ……うん。まあ……」
 サイト達がハルケギニアの文字を知らなかったのと同様、ティファニア達には地球の文字が読めないのでメールの内容はわからないだろう。
 だが、その後の柊との会話でなんとなく類推することはできたはずだ。
 誤魔化すこともできずにばつが悪そうにサイトが答えると、ティファニアは顔を俯けてしまう。
「ごめんなさい……」
「……テファ」
「私のせいだよね? 私がその地球からサイトを召喚しちゃったから、サイトは家族とも離れ離れになって……」
「い、いや。テファのせいじゃないって。別にわざとやった訳じゃないし、俺だって何も考えないで馬鹿みたいな事しちゃったからこうなったんだし」
 サイトは慌ててティファニアに駆け寄ると、宥めるように肩に手を置く。
 すると彼女は俯いたままサイトに身体を寄せて、顔を彼の胸に埋めた。
 ――泣きそう、ではなかった。
 サイトの胸にしがみつく様に身体を寄せる彼女は、泣いていた。
「ごめんなさい。私にできること、何でもするから。虚無の魔法っていうのも、覚えられるようがんばるから」
 ティファニアはサイトに顔を向けないまま、肩を震わせて言う。
「――メロンちゃんとかもやるから」
「いや、メロンちゃんはもういいから!?」


206ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:04:03.48 ID:9tYF0iww
 

 マチルダの殺気が膨らんだのを察知して、サイトは慌ててティファニアの両肩を掴んで引き剥がす。
 そしてサイトは見上げる彼女を真っ直ぐに見据え、ふっと笑って見せた。
「大丈夫だよ、テファ。柊も協力してくれるし、どうにかなるって。父さんとか母さんの事だって、叔父さんが上手くやってくれてるって書いてた。だからテファが心配することなんてない」
 なおも不安そうな表情で見つめてくるティファニアの視線を受けてサイトは一瞬言葉につまり、そして少しだけ眼を反らしながら照れ臭そうに呟いた。
「だから、その……テファにそんな顔されてる方が、困る。テファは笑ってる方が似合うと思うし……その。ほら、俺、使い魔だから、テファのこと守るのが仕事だから、俺が泣かしたみたいなのは……」
「……サイト」
 少し前にマチルダに似たような事を言ったのを思い出して口に出してしまったが、気恥ずかしくなったのかサイトは次第にしどろもどろになって最後には完全にそっぽを向いてしまった。
 ティファニアはサイトの言葉を胸の裡で反芻すると、僅かに頬を染めてくすりと笑みを浮かべた。
 それを見てマチルダは口の端を歪めてふんと鼻で笑い、柊もにやにやとした表情で「言うなあ」と零す。
 周囲の反応を見やってサイトは羞恥に顔を染めた。
「か、勘違いしないでよね! これはただの使い魔の仕事なんだから!」
「なんでそこでツンデレなんだよ!?」
 呻くように叫んだサイトにすかさず柊が突っ込むと、テファは今度こそ声を漏らして笑った。
 沈殿してした空気がどうにか持ち直した事に柊は安堵を覚えつつも、
(……ルイズもこれくらい協力的だったらなあ)
 僅かばかりの羨望を感じてしまった。
 しかしよくよく考えてみると、ルイズは柊に対してはともかくエリスに対してはそれなりに柔らかい対応をしているし、エリスもうまくやっているようだった。
(もしかしてぞんざいに扱われてるの俺だけなのか……?)
 なんとなく釈然としない気分になった。
 柊は気をそらすようにしてノートパソコンに眼を移し、サイトに声をかける。
「サイト。他のメール、いいか?」
「え? あぁ」
 言われてサイトも思い出したかのように再びノートパソコンへと歩み寄る。
 十蔵からのメッセージはあれで終わりだったが、送られてきたメールは一つだけではない。
 残ったメールには全て添付ファイルがついているというのも気になる所だった。
 サイトは二番目に送られてきたメールを開いた。


 ※ ※ ※


『追伸。

 君を救出する事は叶わないが、せめてもの力添えをしたいと思いコレを送る。
 もし君のいる世界が平穏に満ちた場所であったのなら、コレは無用の長物だ。
 場所を取って大変邪魔になるので、このままファイルを開かずに放置しておいた方がいい。
 だがもしそうでないのならば、コレは君の力になってくれるはずだ。

 コレは君の翼だ。君にはコレを扱う「資格」がある。
 俺の翼は既に折れてしまったが、君ならば俺の届かなかったあの蒼穹の果てにも辿り着けるだろう。
 君に戦乙女の加護のあらんことを。

                            平賀 十蔵 』

 ※ ※ ※

207名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:04:10.53 ID:ne69RxOL
支援
208ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:05:34.42 ID:9tYF0iww
 

「……なんだ?」
 書かれている内容がいまいち理解できずサイトは首を捻ってしまった。
 ちらりと隣の柊を覗いてみたが、彼もまた眉を潜めている。
 ただ、その表情はサイトのように意味がわかっていないというのではなく、何事かを考えているようでもあった。
「どういうことか、わかる?」
「……なんとなく」
 サイトの問いかけに柊は呟くように返した。
 サイトの状況を理解していてこの内容だとすれば、おそらく送られてきたという『何か』はウィザードの技術を使ったものなのだろう。
 更に言えば、文中で書かれていた通り『平穏でない場合に力添えになる』ものでもある。
 添付ファイルで送られてきたという事はおそらくその中身は術式プログラムである可能性が高い。
 術式プログラムとは回復魔法などと言った魔法技術を電子プログラム化して軽量化と効率化を図ったもので、中には魔術書一冊が丸々プログラム化してメモリの中に封入してある事さえある。
 しかし、この術式プログラムをインストールするためには機器に《メモリ領域》という専用の記憶媒体が必要になるのだ。
 これはかなり特殊な技術であり、柊やエリスの0-Phoneにすら搭載されていない。
「イノセントのPCにどこまでやってんだよ……」
 普通に使う分にはまず気付かれない範囲とはいえ、いくらなんでもやりすぎな改造に柊は嘆息した。
 そして不思議そうに覗き込んでくるサイトに眼を向けると、肩を竦めて見せた。
「まあ、お前の叔父さんが信用できる人なら悪いもんじゃねえだろ。開いてみればいいんじゃないか?」
「……んじゃ」
 僅かに逡巡した後、サイトは添付ファイルを開いた。
 ――同時にディスプレイ上にある全てのウィンドウが閉じ、画面一杯に新しいウィンドウが開かれる。
 その直後、まるで滝のように意味のわからないプログラム言語が流れ出した。
「う、うわあっ!? な、なんだコレ!! ウィルスとかじゃねーの!?」
「俺にもわかんねえよ!」
 怒涛の勢いで溢れ流れる文字群にサイトは思わず身を強張らせる。
 処理が追いついていないのだろうか、PCがガリガリと嫌な音を立て始めた。
「大丈夫なのか? 本当に大丈夫なのか!?」
「だからわかんねえって――」
 サイトが泡を食って柊に詰め寄ろうとした時、PCに更なる異変が起こった。
 流れ続けるプログラム言語はそのまま、ディスプレイ上に淡く光る魔方陣が描き出されたのだ。
「お、俺のPCがァーーっ!?」
「さ、サイトちょっと下がれ!」
 柊はサイトを引き摺るようにして後ろに下がらせて、PCとの間に立ち塞がるように位置取った。
 危険はないとは思うのだが流石に不安になり、月衣からデルフリンガーを取り出すか数瞬迷う。
 と、その間にPCの異音がぴたりと止まり、それと共に流れていたプログラム言語も停止した。
 ディスプレイ上で淡く明滅する魔方陣に眉を潜めながら、柊はPCを――画面一杯に陳列するプログラム言語を凝視する。
 この手の知識がない柊にはその内容も意味も全く理解できなかったが、かろうじて読み取れる単語を見つけ出した。
「ガーヴ……月衣?」
 改めて画面を見渡すと、その単語がいくつか散見できる。
 という事は、このプログラムと魔方陣は月衣に関する何かなのかもしれない。
 サイトやティファニア、マチルダが言葉も失って呆然と見やる中、柊はPCに歩み寄ってディスプレイに手を伸ばした。
 五指が液晶の画面に触れ――その手が画面の中に入り込む。
「な、なにしてんだ!?」
「……多分、この『中』に十蔵って人が送ってくれた物が入ってる」
「中ぁ!?」
 この魔方陣はおそらくガンナーズブルームの圧縮弾倉と似たような代物なのだろう。
 それをプログラム化して送ってくる辺り、平賀 十蔵というウィザードはかなり優秀な技術者のようだ。
「……あった。コイツは――」
 中に収納されている『何か』を掴み取り、次いで眉を顰めた。
 そして柊はソレをしっかりと掴んだまま引きずり出す。
 魔方陣の中から現実の空間に顕れたそれは――巨大な剣だった。

209ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:07:11.89 ID:9tYF0iww
 

「やっぱり、ウィッチブレードか」
 ガンナーズブルームを始めとしたウィザード達が用いる『箒』――その中でも近接戦闘型のモノだ。
 現在柊が所有している一世代前のガンナーズブルームはどこか機械的で無骨な印象があるが、こちらは現行型で全体的に洗練されたフォルムを持っている。
「す、すげえ……」
 完全に現出したウィッチブレードを凝視しながら、サイトが感嘆にも似た声を上げた。
 これまで呆気に取られるしかなかったマチルダは、やはりどこか呆然と言った態で呻く。
「……一体なんなんだ、それは……」
「箒……あー、『破壊の杖』の同類みたいなもんだよ」
「破壊の杖? 全然似てないじゃないか」
「用途が違うだけで同じ系統のモンなんだよ。あっちは『銃』でこっちは『剣』」
 言いながら柊はウィッチブレードを起動させる。
 反応を示す音と共に重低音が響き渡り、後部スラスターから淡い魔力光が零れだした。
 動作は特に問題なさそうだ。
 おおおー、と感動した面持ちで歓声を上げるサイトを他所に、柊はウィッチブレードの状態を確認していく。
 オプションスロットには姿勢制御用のスタビライザと、出力上昇用のエネルギーブースターがいくつか。
 いわゆるフル装備という奴である。
 イノセントにどこまでやる気なんだよ、と柊は眉を顰めながら各部位をチェックし、
「……なんだこりゃ?」
 思わず上擦った声を上げてしまった。
 この箒、外見上はウィッチブレードに属するそれなのだが、中身がまるで別物で性能も奇妙な代物だった。
 まず、スペックでいうと現行のウィッチブレードをかなり上回っている。
 柊の知る限り現行の箒の中では最上級とされる『エンジェルシード』と比較しても遜色ない……どころか、それすら凌駕しているといっても過言ではない。
 ――のだが、『制限機動』というモード設定によって出力と一部機能にリミッターがかけられている。
 しかも肝心要のコアユニットが現行のウィッチブレードと同一規格なので、スペックを十全に発揮するには出力が圧倒的に不足していた。
 例えていうならF1のレーシングカーに普通車のエンジンを載せているようなものだ。
 通常のウィッチブレードと同程度の性能は発揮できるとはいえ、これでは竜頭蛇尾もいいところではないか。
「試作機……未完成品ってところか」
 言いながら柊がウィッチブレードを軽く振るうと、剣身に通常の魔導具に用いられる魔術刻印のルーンとは異なるサインを見つけた。
 記された文字は『VALKYRIE-03』。
「ヴァル……ヴァルキューレ03? この機体の名前か?」
 ナンバーが振ってあるという事はあるいは何らかのシリーズのコード名なのかもしれない。
 そんな事を考えていると、サイトが弾けるように叫んだ。
「ひ、柊! それ、見せてもらってもいいか!?」
「お、おう。まあ元々お前用に送られてきたんだしな」
 好奇心を抑えきれないといった様子のサイトに少し気後れしながらも、柊は念のためウィッチブレード――ヴァルキューレ03を機動停止させてサイトに手渡す。
 歓声混じりで子供のようにヴァルキューレ03を手に取り、あちこち観察するサイトを柊は嘆息しながら見つめた。
「うおー、すげー! かっこいい!!」
「馬鹿、振り回すんじゃない! 玩具じゃないんだよ!」
 実際に『破壊の杖』の挙動を見た事のあるマチルダが抗議交じりに柊を見たが、彼は軽く手を振った。
「機動した状態じゃなきゃ単なる馬鹿でかい鈍器だから、あの時みてえな事はできねえよ」
 言って柊は改めてPCに向き直った。
 箒を取り出した事で再起動がかかったのか、PCの画面はウィンドウの開いていない初期の状態に戻っている。
 メールソフトを開いてみると、添付ファイルの着いた複数のメールの内最後の物以外は全て開封済みになっていた。
 唯一の未読メールを開いてみると、それは箒の取り扱いについてのマニュアルだった。
 ふと思い立ち、柊は先程の月衣もどきが機動したプログラムを再び起動してみる。
 しかしファイルの破損によりプログラムは実行されなかった。
 どうやら内容物を取り出した事でプログラムだかステータスが書き換わってしまったようだ。
 複製は不可能なのがわかって柊は軽く舌打ちする。
 そして柊はしばし何かを黙考した後――

210名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:09:06.87 ID:ne69RxOL
支援
211ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:09:38.60 ID:9tYF0iww
 

「サイト」
「え、なに?」
「……大事な話がある」
 努めて真面目な表情で柊が言ったので、浮かれ気味だったサイトも僅かに眼を見開き黙り込んだ。
 そして柊は重々しく口を開く。
「お前、確かルーンがガンダールヴって言ってたよな?」
「あ、うん。何かブリミルがどうとか伝説の使い魔だとか」
「そうだな。伝説の使い魔って話だったな。……伝説の使い魔だったら、使う武器もそれにふさわしい伝説の武器の方がいいと思わねえか?」
「え? そりゃまあ、それもお約束だしなあ」
「そうだろうそうだろう。そこでお前にいい話がある」
「い、いきなり胡散臭くなったぞ」
「まあそう言うなよ」
 言いながら柊はおもむろに月衣からデルフリンガーを引っ張り出した。
『なんだ、やっと出番か? 待ちくたびれたぜ……いや、月衣の中じゃ時間経過とかあんま関係ねーんだけど』
「け、剣が喋った!?」
 驚きを露にするサイトをよそに、柊は至って真面目にサイトに語りかけた。
「こいつはデルフリンガー。かつてガンダールヴが使っていたという伝説の魔剣だ。訳あって今は俺が使ってるが、
 やっぱ伝説の剣は伝説の使い魔が使うのがふさわしいと思うんだ。デルフもそう思うだろ?」
『なんだ、その小僧ガンダールヴなのか? まあ確かにガンダールヴ用の能力もあったような気もするが……』
「そんなのあったのか」
『多分』
「そうかそうか、なら話は早ぇ」
 そして柊は気持ち悪いくらい朗らかにサイトに笑いかける。
「デルフもこう言ってるし、こいつを本当の意味で使いこなせるはお前なんだ……そう、お前だけだ!」
「お、俺だけ……!?」
 超嬉しそうに声を上擦らせるサイト。
 何故かデルフリンガーも嬉しそうに声を上げる。
『こ、これはアレか? 俺様の真の所有者を巡って争いが勃発!? やめて、俺様のために争わないで!!』
 そして柊が畳み掛けるようにサイトに詰め寄った。
「そんな訳だからコイツとその箒を交換してくれ!」
「ヤだ」
『またしても即答!』
「チッ!」
 デルフリンガーが愕然と叫び、柊が忌々しげに舌打ちする。
「いいじゃねえかよ! 今から箒の使い方覚えるよりも普通の剣の方が扱いやすいだろ!?」
「ふっ……よくわかんねえけど、ガンダールヴのルーンがあると武器の使い方がわかって身体も軽くなるんだよ。だから全然問題ないし。何なら今からコイツを起動させてやるぜ?」
「くっ……なんだよそのインチキくせえ能力!」
 悔しそうに、そして羨ましそうに顔を歪める柊にサイトは勝ち誇ったように笑みを浮かべた。
「それにこれは叔父さんから貰った大事なモンだし! 喋るのは珍しいけど普通の剣よりこっちの方が格好いいし、強そうだし!!」
『……おい小僧』
 意気揚々とヴァルキューレ03を掲げてのたまうサイトに、酷くくぐもったデルフリンガーの声が響いた。
「あんだよ」
『屋上。……じゃねえ、表に出ようぜ……久々にキレちまったよ……』
 わなわなと震えた声でデルフリンガーはそう漏らし、次いで爆発したように叫びだした。
『外面ばっかで選んでんじゃねえよこのボケッ! 男だったら中身で勝負しやがれ!』
「いや中身でも圧倒的にあっちのが上だろ」
『やかましい! とにかく、テメェみてえなド素人のガンダールヴに使われるぐれえなら相棒の方が百万倍ましだってんだよ!!』
 柊の突っ込みを無視して喚き散らすデルフリンガーを、サイトは流石にこめかみを引くつかせて睨みつける。
「なんだよ、喧嘩売ってんか? ……上等じゃねえか。古臭え伝説に現代の戦術って奴を思い知らせてやるよ」
『やってみろよ。新しいモン好きのバカガキに伝説の信頼と実績って奴を見せ付けてやらあ』
 お互いに顔(?)を突きつけてにらみ合う一人と一本を見ながら、柊はおずおずと手を上げる。
「おい、おかしくねえか? その流れで行くならデルフを持ったガンダールヴのお前が箒持った俺とやるのが正しいだろ?」
「細かいことはいいんだよ!」
『もう何がなんだかよくわからねえがとにかくそういう事なんだよ! おら、行くぞ相棒!』
「またこんなかよ!」
 召喚されて早々にギーシュとの決闘に巻き込まれた事を思い出し、柊は思わず叫んでしまうのだった。
 
212ルイズと夜闇の魔法使い ◆73M7D8ljuU :2011/04/09(土) 04:11:16.37 ID:9tYF0iww
今回は以上。長い割には物語が一向に進まないという事態
着々と帰る準備を進める一方でサイトにテコ入れ
サイトの両親への処置は妥当だと思いつつも原作のメールのドラマ性を壊してしまった感じ
ドラマ性とか言ってる時点で人としてダメなのもわかってるんですが。作中のサイトの心境

で、せっかく十蔵さんを絡めたので一緒にヴァルキューレも出してみました
サイトに、というか『ガンダールヴ』に持たせるのならこの機体しかないだろう、と。
NW原作にも未出の機体なので今後どうなるかドキドキものです! まあ時間軸の都合で本物ではないんですが。

ところで中盤書いてたらサイトとテファが主人公とヒロインのような気がしてきました
柊はともかくルイズェ・・・彼女は次回という事で
213名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:13:26.75 ID:Xf0Hq1U3
乙乙!
214ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:29:01.24 ID:8QLCdpyc
第2話を書き終えたので、投下します。
215ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:29:49.96 ID:8QLCdpyc
プリッシュがルイズの使い魔となったその日、コルベールは学院内に一つの告知をした。
それはルイズが喚び出したのはエルフでは無く、よく似た別の亜人であるというものであった。
元々ルイズに対する他の生徒たちの評価は低く、未だに系統魔法を使えない彼女を『ゼロのルイズ』と揶揄していた彼らはその告知をあっさりと受け入れた。
エルフはいくら忌み嫌われているとは言え、その能力自体は計り知れない。
中には、一国の小隊が十倍もの戦力差でエルフに挑んだが、辛くも引き分けたという話もある。
そんなエルフをゼロのルイズが喚び出したというなら、『メイジの実力を見るなら使い魔を見ろ』という言葉があるこのハルケギニアにおいて、彼女の実力もそれ相応ということになる。
それを認めるよりは、彼女が喚び出した使い魔はエルフとよく似た亜人だったという方が彼らにとっては納得のいく話であった。

プリッシュとシャントットはルイズの部屋へ行く為、女子寮へと向かっていた。
何時の間にか日は沈み、空には月が浮かび、淡く優しい光で夜闇を照らしている。
それを見上げたプリッシュは改めてここが異世界だということを認識する。

(月が…二つかよ!)

空に浮かぶ月は確かに二つあった。
シャントットはプリッシュの隣で興味深そうにそれを見ている。

「ちょっとアンタたち!何ボーッと突っ立ってるのよ!」

振り向いたルイズがカリカリした様子で、月を見上げる二人に声を掛ける。

「月なんか別に珍しくも無いでしょ!」
「あ、いや、だって月が二つあるんだぜ?驚くだろ普通」
「月が二つあるのは当たり前じゃない!」

当然だと言わんばかりにルイズが言うと、シャントットが「オホホホホ」と笑う。

「プリッシュ、これは一本取られましたわね。月が二つあるのは当たり前。この世界の常識なのでしょう」

一頻り笑った後、シャントットは踵を返した。
それを見て、プリッシュが尋ねる。

「ん?何処行くんだ博士?」
「…わたくしは使い魔じゃありませんわ。だからその娘の部屋に行く義理もありませんの」

シャントットがそう言うと、ルイズは言った。

「まあ、確かにそうだけど…部屋も狭い訳じゃないし、アンタ一人くらいなら別にいたって構わないわよ。アンタちっちゃいから場所を取らないと思うし」
「娘…。あなたも淑女なら口の聞き方に気を付けなさい。あと、見た目で判断するのは一番愚かなことですのよ?」
「フン、何よ偉そうに」

ルイズはつっけんどんに言い放った。
プリッシュはそんなルイズの一言一言に戦々恐々であった。
知らないとは言え、シャントット相手に強烈な地雷原のド真ん中を歩くルイズは良くも悪くも大物然としていた。

「でもよぉ、そしたら博士は一体何処で寝るつもりなんだ?まさか野宿なんかするわけねぇだろうし」
「当てがありますの」
「当て?」

プリッシュもシャントットもこの世界にやって来てから、まだそれ程時間が経っていない。
出会った人物も限られる以上、目の前のルイズ以外で当てと言われて浮かぶのはただ一人しかいない。

「もしかして、コルベールのおっさんのところか?」
「さあ?どうでしょう?」

そう言うと、シャントットはそのまま二人の元から離れて行った。
シャントットの背中を見つめながらルイズが口を開く。

「あのシャントットとかいう子、コルベール先生のいる場所が分かるのかしら?」
216ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:30:57.77 ID:8QLCdpyc
「博士なら大丈夫だろ…。ってか、博士をあまり子供扱いするのは止めた方がいいぜ。死にたくなかったらな。かといって、オバさん扱いはもっとダメだかんな!」

自分のことを棚に上げてプリッシュは言った。
シャントットは見た目こそ小さい子供そのものだが、タルタルは種族的に老いも若きもそういう外見をしているのである。
更に彼女はヴァナ・ディールでも生きながらにして伝説と謳われる存在である。
そこから察すれば、彼女の実年齢については容易に想像出来るであろう。
ちなみにプリッシュもとある理由から外見と実年齢に開きがあるのだが、それはまた別の話。
そんなことは思いもよらないルイズにとって、シャントットは見た目通りの子供でしかなかった。
それ故にプリッシュの言葉を話半分で右から左に聞き流していた。

「…下らないこと言ってないでアンタは私について来なさい!」
「へー、へー」

プリッシュのやる気のない返事にルイズは少しカチンと来たが、取り敢えずは自分の部屋への案内が先と歩を進める。
二人で女子寮内へ入ると、真っ直ぐルイズの部屋へと向かって行った。
道中、プリッシュは寮内の散策をしたくてウズウズしていたが、先程シャントットに釘を刺されたこともあって、大人しくルイズの後を追っていた。
やがて、一つの部屋の前でルイズの足が止まった。

「ここが私の部屋よ」

ルイズは鍵を取り出し、錠を外すと扉を開いた。
中は思っていたよりも広く、二人で住むには十分であった。
また、室内には素人目でも上等だと分かるような家具が一通り揃えられている。

「へー、随分いい部屋なんだな!」
「貴族たるもの、このくらいは当然よ」

プリッシュが素直に感心すると、ルイズは当たり前のように言ってのけた。

「あ、でもベットが一つしかねぇな。俺は何処で寝ればいいんだ?」
「そこよ」

プリッシュはルイズが指差した方を見る。
そこは部屋の片隅で、藁のようなものが積み重ねられているだけであった。
これにはプリッシュも流石に怒りを露わにする。

「おい!いくら何でもこれはねぇだろ!俺は犬や猫じゃねぇんだぞ!!」
「しょうがないじゃない!まさか人が喚び出されるなんて思わなかったんだもの!」
「これなら外で野宿した方がマシだぜ!」
「…近い内にアンタ用の寝具を取り寄せるから、暫くは私のところで寝なさい」

そう言うと、ルイズは天蓋付きの豪奢なベッドに腰掛け、シーツをポンポンと叩いた。

「いいのか?」
「別にいいわよ。いくら亜人でも、女の子をそんなところに寝かすのは流石に悪いと思うし」
「お前、実は結構いいところあんだな!」

プリッシュがそう誉めると、ルイズは頬を少しだけ紅潮させた。

「ふ、フン!使い魔の管理も主人の務めだから当然のことよ!…それよりも」

ルイズはコホンと小さく咳払いする。

「プリッシュ…だったっけ?アンタは今日から使い魔として私に仕えてもらうわよ。いいわね?」
「俺はあまり乗り気じゃねぇが…博士に言いつけられたことだし、取り敢えずはお前に従うよ」
「ちょっと引っ掛かる言い方だけど、まあいいわ。それじゃあ使い魔について説明するけど、いい?」
「ああ!」
217ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:32:42.03 ID:8QLCdpyc
「それじゃあ、まず最初に使い魔には主人の目となり耳となる能力が与えられるの。要するにアンタの見ているものや聞こえる音が私にも見えたり聞こえたりするわけ。その逆もまた然りね」
「へー、つまり感覚の共有って奴か。でも、俺は全然何も見えねぇし何も聞こえねぇけどなあ」
「そうね、私も同じよ」

ルイズは少し落胆したように言ったが、すぐに気を取り直して説明を続ける。

「…次に使い魔は主人の望むものを見つけることが出来るの。例えば秘薬の材料になる植物や鉱物とかね。アンタは出来るの?」
「う〜ん、色んなとこ冒険して来たからそれなりに植物や鉱物には詳しいつもりだけど、この辺の地理は全然分かんねぇからなぁ…」
「そう。まあ、その辺は追々覚えてくれればいいわ。それで、最後に一番重要なことだけど、使い魔は主人の身をその命に代えても守らなければならないの。…でも、アンタ強そうには見えないわね」
「そうやって見た目で判断するのは愚かなことだーって博士も言ってただろ?それに、俺は結構強いぜ!」

プリッシュは拳をグッと握ってみせる。
しかし、彼女の心意気はルイズにはあまり伝わっていないようであった。

「…まあ、一応亜人なわけだし少しは期待しておくとするわ」
「何だよー!…ったく、感じ悪いなあ」
「さっきから気になってたんだけど、アンタ一応女の子なんだからそのがさつな言葉遣いは直せないの?一緒にいる私の品位まで疑われるんだけど」
「んなこと言ったって、元々こういう口調なんだから仕方ねぇだろ。それに、言葉遣いならお前も大して変わんねぇよ」
「何ですって!?」
「ほらな!」

プリッシュは激昂したルイズを指差した。
ルイズは眉を顰めながらも、取り敢えず自分を落ち着かせる。
そして、改めてプリッシュへ向き直ると、突然今着ている服を脱ぎ始めた。
このルイズの行動にプリッシュは頭の中にクエスチョンマークを浮かべる。

「…お前、何してんだ?」
「見て分からない?着替えよ」

そう言ってルイズは寝巻きに着替えると、脱いだ衣服をプリッシュへ渡した。

「はい、これ洗濯お願いね」
「ハァ?何で俺が?」
「主人の身の回りのお世話も使い魔の仕事の一つよ。アンタにはこれから先も色々と雑用とかやって貰うつもりだけど、文句は無いわよね」
「ある!あるに決まってんだろ!!大体、洗い場のあるところなんか俺は知らねぇぞ!!」
「ふぁ〜あ…それは明日また改めて教えてあげるわ」

ルイズは可愛らしい欠伸をすると、少し閉じかけた目を擦りながらベッドの中へ入り、指をパチリと鳴らした。
すると、部屋の明かりがフッと消え、室内がぼんやりとした闇に包まれる。

「ほら、早く布団の中に入って寝なさい」

そう言って、ルイズはプリッシュを手招きする。

「明日から色々と忙しくなるんだ…し…きょう…の…ところ…は…」

ルイズは言い終わるか終わらないかの内に完全に目を閉じて、寝息をたて始めた。
どうやら、寝付きがとてもいいらしく、もう眠ってしまったようである。
プリッシュはため息を一つだけ吐くと、ベッドの中に入り込んだ。
218名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:34:02.24 ID:Xf0Hq1U3
支援
219ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:34:16.85 ID:8QLCdpyc
こうして、プリッシュたちがハルケギニアへ来た最初の一日が終わりを告げたのであった。



時間は少し遡って。

コルベールの研究室。
研究室とは名ばかりの汚い小屋ではあったが、当の本人は満足そうにその中で様々な研究を行っていた。
この日もコルベールは新たな発明品の起動実験を行っていた。

「う〜む、ここはもう少しこうした方がいいのか。いや、ここをもっとこういう風に…」

そんな風に自分の世界へ入り、実験を繰り返しては悦に浸っていた。

「むむ、まだダメなのか。一体どうすれば…」
「そこはこうすればよろしいですわよ」
「おお!なるほど、確かに…って、え?」

コルベールが振り返ると、そこにはシャントットが当たり前のようにそこにいた。
その姿を目の当たりにして、コルベールは思わずひっくり返る。

「ミ、ミ、ミス・シャントット!!一体どうしてここへ!?」
「あら?わたくしがここにいては何か不都合なのかしら?」
「い、いえ、そういうわけでは…」

しどろもどろになりながらコルベールは答えると、シャントットは「オホホホホ!」と笑った。

「大丈夫、安心なさい。取って食べたりなどいたしませんわ。それにわたくし、あなたを少し気に入っていますの」
「え?わ、私をですか?」
「ええ。あなた、わたくしと同じですわね?」
「?意味が分かりかねますが」
「わたくし、こう見えても軍人でしたの」
「!!」

コルベールは『軍人』という言葉に顔を曇らせる。
それを見て取ったのか、シャントットはそれ以上は言及しなかった。

「…まあ、あなたとは色々お話したいこととかもありますの。わたくしと暫くの間、お付き合い願ってもよろしいかしら?」
「それは別に構いません。寧ろ、あなたが誘わなければ自分から誘っていましたよ」

聞いたことの無い種族。
それはコルベールの探究心と知的好奇心をいたく刺激した。
そんな彼女たちの内一人がわざわざ自分から出向いて来たのだ。
断る理由は無かった。

「では、立ち話もなんですので…どうぞどうぞ」

そう言ってコルベールはシャントットを連れ、研究室の奥へと消えて行った。
220ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/09(土) 04:38:31.28 ID:8QLCdpyc
これで2話は終了です。

ちなみに、プリッシュには心を読む力があるのですが、その力はこの作品内では使わないようにします。
理由は流石にチート過ぎてしまうからです。
ディシディアでも、プリッシュが相手の心を読んだという描写は特に無いですしね。

では、これで失礼します。
221名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 04:44:38.81 ID:Xf0Hq1U3
乙!
222名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 05:15:25.61 ID:8i0I/np2
>>212
公式に後追いで書き換えられることを恐れていてはTRPGのキャンペーンなんてやれませんぜ<ヴァルキュリアシリーズ
03にどんな愉快な特殊能力が付与されてるか、楽しみにしてます
それしても、平賀十蔵…きくたけ自重しろ
223名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 07:08:25.36 ID:GG0sVd7J
>>212
>才人とテファが主人公

サイルイ好きだけどこのSSでは全力で同意。
GJでした!
224名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 09:54:58.62 ID:/uQrYu6R
で、夜闇のサイトがエリスやルイズとチュッチュッするのはいつになりますか
225名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 10:05:26.94 ID:osJWvp4a
夜闇の人、乙っす
柊、《魔器召喚》取得すれば魔剣さん呼び出せるんじゃ……今はデルフと契約してるから無理か?
七瀬晶の剣は普通に二刀流できたけど、あれは特殊なケースだし
226 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/04/09(土) 10:38:38.60 ID:8i0I/np2
魔剣さんは工場でウィッチブレードに改修作業中じゃないか?
227名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 10:40:09.95 ID:MrJ84Cyi
夜闇さんのSSだと完成したのがアンゼロットの宮殿に置き去りになってるハズw
228名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 11:14:41.90 ID:RNuwy33Q
>>212
ロマン機能乙
229名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 12:55:36.95 ID:UOYGcWAe
夜闇の人おつでーす
ギーシュといいワルキューレという単語にお調子者のイメージが固定されてしまいそうだw
230名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 13:09:53.04 ID:QN4bRMOO
ロールシャッハさんを召喚したら
素で何でも武器にする人だからどんな武器でも使えるガンダールブは能力的に相性がいいかもしれない

人格的にはルイズとはあわないだろうが
何がどうなろうが妥協せず彼基準の悪党ぶっ殺していくんだろうな
231名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 13:14:38.29 ID:6TyT2eHy
FF11の人乙(DDFFだっけ?)
心を読む力は確かにチートというか、あると無双になっちゃうからなあ
特にワルドの企みなんかすぐ看破して、アルビオン編が成り立たなくなりそうだしな

一応、FF11でも確かプリッシュは途中で心を読む力を失ってたと思うから
無くても問題は無いか
232名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 13:30:27.97 ID:K/Q6F4M1
別所だが心を読むキャラを召喚したクロス作はある
ギーシュからワルドまでほとんど説得ですませた異色作だったが、
そういうのはバトルに比べてかなり作者には難易度高いか
233名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 14:52:54.89 ID:c1GGWVqK
>>231
途中でってかプロマシア倒したら呪縛から解き放たれたって設定だったはず
見た目年齢10代前半の冒険スキーなガキ大将キャラだっけか。実年齢は(ry
神すらソロで倒そうと突っ走っていくキャラだからシャントットとも対等に話せる
基本的に自分のこと以外は超ポジティブオラオラキャラだからネガティブ表現には
ちょっと違和感を持ってしまうな
234名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 14:53:13.98 ID:c1GGWVqK
おっとあげちまったすまそ
235名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 16:27:10.64 ID:EYf5FeW1
心を読むねえ、神エネルはチートすぎっかな
236名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 16:46:02.41 ID:oBtLvsPk
心・・・心の壁・・・ATフィールド・・・・・・

エヴァンゲリオンからシンジ召喚とかは普通過ぎるので
アスカ召喚したら・・・罵り合いから発展させるのが難しそうで
レイ召喚したら・・・薬無いとヤバイんだっけ、彼女、腕がボトッとか
カヲル君召喚したら・・・いまいちシンジ以外と絡めるのが難しく思えて・・・

しょーがねーから他の使徒を呼ぼう!!
さて何がいいかな!?
・・・真っ先に思いついたのがイロウル召喚したけど気付きませんでしたオチ・・・
そしてコンピューターなんぞ召喚された物体除いて存在しないであろう世界でどれだけ役に立てるだろう
237名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 16:46:21.54 ID:Q1pUohdZ
>>235
じゃあ神官か
238名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 16:54:52.41 ID:EYf5FeW1
警戒色の覇気が使えれば、実質誰でも可だよな
エースは覇気使えたっけか?
239萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 16:55:24.97 ID:2V1SfOmH
みなさんご無沙汰してます。

震災は世界で最初に実戦が核兵器が使用された県(街ではありません。
祖母が山の向こうにキノコ雲を見ていたと言うことで)なので直接被害は
ありませんでしたが、生産拠点がやられてしまったのでデスマーチおかわり
してましたorz

進路クリアなら17:00から46話(過去編そのきゅう)を投下します。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 16:57:36.87 ID:EYf5FeW1
支援しますが、世界で最初に実戦が核兵器が使用された県ってどういう意味ですか?
241萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:01:25.15 ID:2V1SfOmH
それではいきます。


 その日。トリステイン王国の南の国境クロステルマン伯爵領は静寂に
包まれていた。
 昨日行われた熾烈な戦闘もその影を潜め、虫の声すら聞こえない。
嫌に鮮やかな色合いを放つ花々が小山に咲き乱れているのがその残滓で
あることすら、やがて昔話となるはずだ。
 その小山に一組の男女の姿があった。声を潜め、物音も立てず。
二人はゆっくりと小山を調べていった。
「……あなた、どう?」
 女が先に行く男に声をかける。視線の先にいる男は、整えられた口髭を
はやした口元を優しく緩めた。
「ああ、マリー。やっぱり思った通りだよ。『キョウリュウ』の心臓は
完全に鉛になっていない。ごらん。まだ熱い部分がある」
 男――トリステイン王国王立魔法研究所、通称『アカデミー』の主席
研究員であるピエール・キュリーは、小山の裂け目から、月明かりに
照らされて銀白色に鈍く輝く熱を帯びた塊を取り出す。その輝きに、
妻のマリーも知的好奇心に満ちた笑みを浮かべた。
 二人は、いや、ハルケギニアの人間は、それが何であるかを未だ知らなかった……


242名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 17:03:24.13 ID:2V1SfOmH
>>240
8月6日
ということです。


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 『聖地』付近に出現以来、ガリア、ゲルマニア両軍を退け、トリステインに
迫り来た鉄の竜――『キョウリュウ』にトリステイン・アルビオン連合艦隊が
多くの犠牲を払いながらも勝利したとの報は、瞬く間にハルケギニアを
席巻した。
 特にトリステイン王国の王都トリスタニアに凱旋した連合艦隊は持ち帰った
『キョウリュウ』の右腕を王都の郊外に降ろし、厳重な監視の下で民衆に
公開した。本来ならば中央広場に安置したかったのだが、『キョウリュウ』の
毒――すなわち、ハルケギニアの人間にとって未知の害毒である放射能――に
まみれているとあかぎに指摘されたためだった。
 そして……トリステイン王国魔法衛士隊統合参謀長サンドリオンは、
必死の形相で馬を走らせていた。向かう先は王都郊外の小高い丘にある
サナトリウム。今回の戦闘で重傷を負った将兵はここに隔離されていた。
 サンドリオンが急ぐ理由。それは魔法衛士隊マンティコア隊隊長である
カリン・ド・マイヤールがここに収容されていると聞かされたからだ。
しかも、カリンの騎獣であるマンティコアのジョエが療養中とのことで
隊長権限で騎乗した老マンティコア、アテナイスが帰還途中に原因不明の
急死を遂げたとあれば、馬の尻にむち打つ手にも自然と力がこもっていた。
「……バカ野郎が。無茶しやがって」
 手綱を緩めないままサンドリオンは何故すぐに会いにいかなかったのかと
己を責め、独りごちる。ここに帰還するまで、そして帰還してからの数日で、
多くの将兵、特に『キョウリュウ』と間近に戦った竜騎士隊や魔法衛士隊の
隊員が多数命を落としているとの報を受け、彼は焦っていた。
 聞けば、事前に指揮官に配給された毒消しを飲まず、配分されなかった
隊員に与えてしまっていたらしい。その上、最終的に『キョウリュウ』の
足を止めたのはカリン本人だったというから、どれほどの無茶をしたのかは
聞くまでもなかった。

243萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:04:49.49 ID:2V1SfOmH
 サンドリオンがサナトリウムの前に到着したとき、そこにアルビオン空軍の
士官服を着た男女の姿を認めた。二人はサンドリオンに気づくと、
敬礼して彼を出迎えた。
「トリステイン王国魔法衛士隊統合参謀長のサンドリオンだ。きみたちは?」
「アルビオン王国王立空軍、巡洋艦『イーストウッド』搭載竜騎士隊、
ガーネット小隊のグレッグ・アーウィン少尉です」
「同じく、巡洋艦『イーストウッド』操舵長、アルビオン王国王立婦人
補助空軍のリネット・ビショップ少尉です」
 ああ、とサンドリオンは思った。ここにはあの戦いで傷ついたアルビオン
将兵も収容されている。状況が思わしくなく、本国への帰還が叶わない
彼らの見舞いに来たのだろうと。
 そんなサンドリオンの思いを感じたのか、グレッグが彼に問いかける。
「……もしかして、魔法衛士隊マンティコア隊のド・マイヤール隊長の
お見舞いに?」
 サンドリオンが肯定すると、グレッグは手にしていた包みをサンドリオンに
手渡した。
「……これは?」
「タルブのミセス・あかぎからあずかったものです。ド・マイヤール隊長の
分ですから、あなたにおあずけします」
「タルブの?」
 その言葉に、サンドリオンは包みの中を改める。そこには精緻な木彫りの
額に納められた、モノトーンで描かれた精密な絵があった。まるで時間を
封じたかのようなそれに、サンドリオンは思わず左目のモノクルをかけ直し、
目を見張った。
「あの戦いの後、ミセス・あかぎの『キャメラ』という東方の道具で
描いた絵です。ほとんどの人が嫌がったんですけれど……
魂まで封じ込められたくないって」
 そう言ってリネットが微笑む。なるほど、絵の中のカリンは、妙に緊張
しているのがありありと分かる。また虚勢を張ったのだな、と、
サンドリオンは思った。
「わかった。これはあずからせてもらう。ところで、きみたちは大丈夫なのか?」
「自分は、なんとか。ただ、仲間を多く失いました」
「私は『イーストウッド』の指揮所にいましたから……もう少しで仲間の
後を追うところでしたけれど」
 サンドリオンの問いかけに、二人はそう答えた。その顔に一抹の寂しさが
去来しているとサンドリオンが感じたのは、間違いではなかった。
 この戦いに参加したアルビオン艦隊は三隻の巡洋艦のうち、二隻を喪失。
その人員と搭載竜騎士隊のほとんども戦死を遂げた。艦はどちらも爆沈と
自爆のため、彼らの遺品すら満足に回収できなかったという現実を、
サンドリオンは二人に見た気がした。


244萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:06:08.58 ID:2V1SfOmH
 サンドリオンと別れたグレッグとリネットは、その足をサナトリウムの
ある一室に向けた。女子区画にあるその部屋には、『アルビオン王国王立
空軍中尉 ミネルバトン・ライナグラム』の名札がかかっている。
リネットが扉にノックをして中に入ると、そこは広々とした個室。
やや遅れてグレッグがリネットに促されてから中に入ると、窓際のベッドには、
ゆったりとした病人服に身を包んだミネルバ中尉が横たわっていた。
「ライナグラム教官。アーウィン少尉がお見舞いに来てくれましたよ」
 リネットがミネルバ中尉に話しかける。彼女がミネルバ中尉のことを
『教官』と呼ぶ理由は、婦人補助空軍が創設されたときに空軍ほぼ唯一の
女性士官であるミネルバ中尉が教官として出向したことに由来すると
グレッグは聞いた。たいそうな鬼教官だったそうだが、今でもこうして
信頼のまなざしが向けられると言うことは、それだけミネルバ中尉の
教え方がうまかったのだろうとグレッグは考えていた。
 その婦人補助空軍も、第一期生五四人中三十人が今回の戦闘に参加し――
二十人を失っていた。リネット以外の『イーストウッド』指揮所要員
九人は戦友たちの最初で最期の戦場となったクロステルマン伯爵領に
戻り今も戦友の遺品を捜索しているが、成果は芳しくなかった。
 リネットの言葉に、ミネルバ中尉はゆっくりと目を開ける。一目で
分かる倦怠感。皮膚は艶をなくして赤く腫れ上がり、出血を抑えるための
包帯が痛々しい。髪も折れるように抜け落ちてしまったため、グレッグが
入る前にリネットが帽子をかぶせていた。そこからわずかにこぼれる
金髪がくすみ、グレッグにはかける言葉が見当たらなかった。
「……グレッグか」
「あ、ああ。ミセス・あかぎから、あのときの絵ができたって……」
 咳き込み、かすれたミネルバ中尉の声に、グレッグは何とか平静を
保ちつつ手にした包みを開けて絵――この世界には未だ存在しないはずの
モノクロ写真――を取り出して見せる。多くの犠牲を払いながらも任務を
完遂した、つかの間の勝利の瞬間。それを見て、ミネルバ中尉は小さく
息を吐いた。
「……何か、もうずいぶん昔のような気がするよ。
マービィ隊長も、ジャーバスも、みんな先に逝ってしまったしね……」
「ミネルバ中尉……」
 グレッグも、もちろんリネットも、マービィ大尉とジャーバス少尉が
昨夜ヴァルハラに召されたことは彼女に告げていなかった。二人とも
全身が腫れ上がり、出血が止まらないまま死んだ。おそらく、そのときに
院内が騒がしくなったことから、直感的に悟ったのだろう。
 そんなグレッグたちの視線に、ミネルバ中尉はふっと笑う。
245萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:07:08.79 ID:2V1SfOmH
「……あたしにそんな目を向けるのはあんたたちくらいだよ。あたしら
エリン出身者は、昔から差別されてきたからね」
 エリンはアルビオンが浮遊大陸になったときに一緒に舞い上がった
『島』の中でも最大のものだ。『虚空の道』と呼ばれる細い断崖絶壁で
繋がれたそれらの島々は、あるいはかつてアルビオンの一部だったものが
崩れ落ちずに残ったものとも言われている。同時にエリンは始祖ブリミルが
サウスゴータの地に降り立つ前からアルビオンに住んでいた先住民の
末裔たちが住む島であり、真っ先に始祖に従ったアルビオン人からは
常に差別されてきた歴史がある。
 そして、ミネルバ中尉や、マービィ大尉、ジャーバス少尉らエメラルド小隊は、
エリン出身者ばかりが集められた部隊でもあった。彼らは差別をはねのけるために
強くあり続け、その勇猛果敢さをもって自らの存在価値を明らかにして
いたのだった。
「そんなことありません。ライナグラム教官が私たちに教えてくれたことは、
そんなことじゃなかったはずです」
「そうだよ。第一、うちのカニンガム隊長から俺たちまで、そんな目で
見たことあったかよ?毒で気が弱くなったじゃないか?ミネルバ中尉」
 ミネルバ中尉の気弱な発言を二人は即座に否定する。その様子に、
ミネルバ中尉はふうっと息を吐いてベッドに横たわる。
「……グレッグ、リーネ」
「え?」
「何ですか?」
「……くやしいけど、あたしの戦争は、ここで終わりみたいだね……」
 それだけを言い残して。ミネルバ中尉は静かに目を閉じた。容態の
急変に二人が慌てて立ち上がる。
「ライナグラム教官!?」
「誰か!早く来てくれ!ミネルバ中尉が!」
 グレッグがベッドに備え付けられたベルを鳴らす。にわかに騒がしくなる
部屋の主は、もうその音を聞くこともなかった。


246萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:08:41.28 ID:2V1SfOmH
 それから少し時間をさかのぼり――サンドリオンは受付で聞いたカリンの
病室に足を向けていた。面会謝絶で最初は断られたのだが、魔法衛士隊
統合参謀長の肩書きで強引に場所を聞き出したのだ。だが……
「……ここ、女子区画だよ、な?」
 まさか、子供扱いされてここに入れられたのか?間違えたかと思った
サンドリオンの前に、一人の女性が姿を現す。
 鮮やかなピンクブロンドの髪をショートカットにした、柔和な面持ちの女性。
どことなく自分は彼女を知っているような気がしたサンドリオンは、
思わず足を止めた。
「……失礼ですが、ここにどのような御用で?」
 女性にそう声をかけられて、サンドリオンはここが女子区画だと改めて
思い出した。不審者だと思われたのかと思い、内心冷や汗をかきながら
何とか平静を保つ。
「あ、いや……わたくしはトリステイン王国魔法衛士隊統合参謀長の
サンドリオンと申します。
 マンティコア隊隊長のカリン・ド・マイヤールの部屋がこちらだと
聞いてきたのですが、間違えたようだ」
 そう言って引き返そうとするサンドリオン。それを女性が留めた。
見ると、女性の顔には驚きと安堵の色が見えた。
「あなた様が……是非妹に会ってやって下さいな。今を逃せば、
もう会えないかもしれませんよ」
「妹?」
 思わず聞き返したサンドリオン。その意表を突かれた顔に、女性は
静かに告げる。
「はい。カリン・ド・マイヤール……
いいえ、私の妹、カリーヌ・デジレ・ド・マイヤールに」

 カリンの個室は、面会謝絶の札が掲げられた向こう側にあった。
間違いなく王の計らいだろう。女人禁制(かつて魔法衛士隊総隊長代理だった
ヴィヴィアン・ジェーヴルのような『やむを得ず一時的な』例外こそあれ)な
魔法衛士隊の最強部隊の『伝説』が実は女だと知られたら、確かに一大事ではある。
 カリンの姉が扉をノックする。返事はない。そこに彼女が声をかけた。
「……カリーヌ。魔法衛士隊統合参謀長のサンドリオンさまがお見舞いに
いらっしゃったわよ」
 とたんに中からドタバタと何かをひっくり返すような物音がした。
思わず溜息とともにこめかみに人差し指を当てる姉。
そのとき、サンドリオンがあることに気づいた。
「姉君、もしや、その髪は……」
 サンドリオンは気づいた。カリンの姉の髪が、昨日今日切ったかのような
雰囲気なことに。それを指摘されたカリンの姉は、優しく微笑む。
「ええ。妹のかつらに。妹の髪は綺麗なピンクブロンドでしたのよ」
「ええ。よく知っています」
 サンドリオンはそう言うと、促されるままに部屋に入った。

247萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:10:25.17 ID:2V1SfOmH
 そこはかなりの格がある貴族向け宿の個室のような部屋だった。
サナトリウムの最上階にあり、大きく開けられた窓からはトリスタニアの
全景が見える。その窓際の大きなベッドに、カリンはいた。
「……いったい何をしに来た?」
 カリンはゆったりとした病人服に身を包み、つばの広い婦人用の
真っ白い帽子を目深にかぶって、サンドリオンをにらみつける。
その様子に、サンドリオンは深く溜息をついた。
「まだそうやっておれに悪態つけるようなら大丈夫だな」
 口ではそう言うが、サンドリオンはカリンの様子がただ事ではないことくらい
すぐに分かった。病人服から見える肌は火傷のように赤く腫れ、包帯で
隠されず見えている箇所はところどころ鬱血している。帽子から見える
髪が少ないのも、姉君の言葉を裏付けるには十分だ。
 サンドリオンはベッドの傍らの椅子に腰掛けると、カリンに向かい合った。
姉君の姿はもうない。二人きりにしてくれた配慮を、サンドリオンは
言葉に出さず感謝した。
「用件は二つ、いや三つある。一つはお前の見舞い。それから、入り口で
アルビオン空軍のアーウィン少尉からこれをあずかった。
タルブのミセス・あかぎからだそうだ」
 そう言って、サンドリオンは入り口でグレッグから預かった写真の額を
カリンに手渡す。
 実はあかぎとサンドリオンは王宮ですれ違っていたのだが、これについては
何も言われなかった。先にグレッグに渡していたためか、サンドリオンが
カリンのところに行くことを知らなかったのか。

 サンドリオンにとっても、あかぎという女性はつかみどころのない存在だ。
三十年前に夫や協力者のアルビオンの女メイジとともに秘薬『ミジュアメ』を
生み出した、トリステインの香料・医薬ギルドと険悪な仲である東方出身の
商人であると同時に、冒険者としての腕も立つばかりか医学や薬学にも
長けており、本人の年齢も不詳。夫たちとは違い年を取らないその姿から
東方の伝説の仙女という噂さえある。
 だが、彼女が知る高度な知識、特にハルケギニアのどの国よりも進んだ
簿記を学びたいと、ギルドの手前非公式にタルブを訪れる者は少なくないと聞く。
余談だがこれについてはいくら金子を積まれても彼女は首を縦に振らず、
現在まででこの技を習い得たのは個人的な交流から『ミジュアメ』の
卸を引き受けているクロステルマン伯爵夫人だけだという。
それを使えば資産から借金の利息まで即座に分かるというが、経理に
詳しくないサンドリオンには眉唾としか思えなかった。

「あかぎから?」
 カリンは包みを受け取ると、すぐに中を見た。出てきた精緻な彫刻が
施された額に納められたモノクロ写真に、カリンはぽつりとつぶやく。
「……何か、もうずいぶん前の事みたいだ」
「言うな。無茶をしたのはお前だ」
 サンドリオンは冷たく言い放った。
その言葉に、カリンは頬をかこうとして……痛みに顔をしかめる。
「まったく。病人はおとなしく寝ていろ」
 サンドリオンはそう言って優しく布団を掛ける。そうしてカリンに
触れようとして……痛みに怯えるその姿につい手を引っ込めた。

248萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:11:52.49 ID:2V1SfOmH
 そのままどれくらい時間が過ぎたか。カリンがぽつりとサンドリオンに
話しかける。
「……何も、言わないんだな」
「お前が女だったことか?驚きはしたが、おかげでおれに少年愛の気が
ないと一安心した」
「お前はひどいやつだ」
「ああ。おかげで本来予定になかった三つ目の用事ができた」
 カリンの恨みの視線をサンドリオンは真っ正面から受け止める。
そして……言った。
「三つ目の用事だ。……カリーヌ。おれと……一緒に来てくれないか?
これから、ずっと」
 真顔で言うその言葉に、カリンはあっけにとられた。どういう意味か
考えあぐね――それに気づいたとたん、顔を真っ赤に染める。
「ななななな……さ、サンドリオン?!っつ……」
 身をよじろうとして痛みに顔を歪ませるカリン。
その小さな体をサンドリオンが優しく包み込む。そのままカリンの耳元で
ささやいた。
「ピエール。ピエール・ド・ラ・ヴァリエール。それがおれの本当の名前だ」
 カリンの目が驚きが見開かれた。その家名を知らぬ者はトリステインには
いない。王家の庶子をその祖とする大貴族、ラ・ヴァリエール公爵家。
王国でも三指に入る名門だ。
「ラ・ヴァリエールって……!?サンド……ピエール?」
「不肖の親不孝さ。カリーヌを失って、父上に反発して。灰をかぶって
名前さえ捨てた。けれど、今日きみのことを知って決心がついた」
 思わず大声を出すカリン。『カリーヌ』が自分を指すものではないことは
分かっている。サンドリオン――ピエールと一緒に暮らしたあのとき、
眠っていた彼の口からこぼれた名前。同じ名前だから?いや、そうでは
ないことをカリンは知っていた。
 カリンの返事を待たず、ピエールの指がカリンの細い顎の稜線をなぞり、
ゆっくりと唇が近づいていく――
249名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 17:12:03.52 ID:EYf5FeW1
>>242
ああ、呉市海自博物館に行ったことあります
んで支援
250萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:13:09.48 ID:2V1SfOmH
 そのとき。突然どたーんという音ともに扉が開かれ、複数の人間が
部屋になだれ込んでくる。反射的に離れる二人。見れば簡素だが貴族らしい
質の良い衣装に身を包んだ老紳士を下敷きに、困った顔をした長いピンク
ブロンドの髪を美しくまとめた中年の貴婦人。それに同じく困った顔の
カリンの姉。
どうやら部屋の外で盗み聞きしていたのが、あまりのことに扉を破って
しまったらしい。
 老紳士は女性たちにしかれたまま、わなわなと震える指をピエールに向ける。
「ま、まさか……。サンドリオン、いやピエールどの。あなたは本当に
ラ・ヴァリエール公爵閣下の?」
「ええ。ミスタ・マイヤール。不出来な息子です」
 思わぬことに落ちかけたモノクルを直し、未だ起き上がれぬカリンの父と
目線を合わせるようにかがみ込んでピエールは言った。
そして、肩をすくめる。
「ま、父上に焼かれることは覚悟の上ですが。それでも決めた以上は
たとえ父上と対峙することになってもカリーヌを妻とし、家督を継ぐ
所存です」
「しかし、我が家では格が違いすぎるのでは?」
「たとえカリーヌが平民の娘であったとしても、わたくしは同じ事を
言いますよ。義父上」
 その言葉にカリンの父は号泣する。
「わ、わたしを義父と……。あの、女だてらに騎士になるんだと屋敷を
飛び出した、おてんばな放蕩娘が……こんな素晴らしい婿殿を見つけて
くるとは。ううっ」
「あなた、せめて起き上がってから……」
「うるさい!それならさっさとどかんか!」
 上に乗っかったままの妻と娘を押しのけるようにカリンの父は立ち上がる。
起き上がると同時にピエールの手を取るカリンの父。
その様子に、カリンはぽつりと言う。
「……そうやって。わたしをからかってるんだ?わたしがもうすぐ死んで
しまうから」
「カリーヌ……」
 カリンは泣き笑う。カリンの両親も姉も、現実に引き戻されたかたちに
なって言葉を失った。
 そこににわかに廊下が騒がしくなる。それを聞いてカリンは言った。
「ほら、また誰か死んだ。次は、わたしかな?」
 しかし、ピエールは静かに言う。
「いや。まだだ。今毒にやられた人間を治すため、あるメイジを招聘すべく
外交交渉が秘密裏に行われている。
 治し方だけならミセス・あかぎが知っているが、彼女一人ではできないらしい。
必要な道具も彫金や細工に長けたメイジや平民の細工師を集めて大車輪で
制作中だ。
 光栄に思えよ。陛下はお前を治すためなら国庫が空っぽになろうとも
領土を失おうともかまわぬとおっしゃった」
 あまりのことに驚きの声を上げるカリンたち。カリンは思わぬ展開に
ピエールに問いかける。
「……いったい、それ、どこと?」
「ガリアだ」
 ピエールの言葉に、再びカリンたちは驚きの声を上げた。


251萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2011/04/09(土) 17:15:07.49 ID:2V1SfOmH
 ピエールのその言葉から少し時をさかのぼり――トリステイン王国の
王都を象徴する王宮では、国王フィリップ三世にあかぎが謁見していた。
武装を外し、千早と袴姿のあかぎは、その容姿とともにここでは異彩を
放っている。
「そちの言うとおり、打てる手は打った。
 烈風カリンのみならず、一人でも多くの人間が救えるのであれば、
あのルイめが法外な対価を要求しようとも、我が領土を切り取ろうとも
惜しくはない」
 玉座に座する王の顔には疲れが見えていた。
 カリンやミネルバ中尉たちの症状から被曝による急性放射線症だと
知ったあかぎは、すぐに王に理解できる形でそれを知らせた。だが……
「それにしても、恐ろしく、情けない事よ。
 あの『毒』が生き物の体を形作る設計図と呼ぶべきものを破壊する
ものだったとは。
 なるほど、死んでいった騎士たちを見ればよく分かる。体毛は伸びる
ことなく折れるように抜け落ち、爪も抜けるようにはがれ落ちた。
火傷のようになった肌すらも、垢とともに新しい皮膚ができることなく
消え去った。目をやられ、血を吐き、もはや言葉にならぬ苦しみの果ての
死を迎える余の騎士たちを慮れば、胸が張り裂ける思いだ」
「陛下……」
 あかぎは苦悩する王にどう言葉をかけて良いものか迷った。
実際、あかぎが提案した治療方法を、トリステインの『水』メイジたちは
異端の恐怖としか受け取らなかった。
 そこに代案を提案したのがタルブ領主アストン伯だった。彼は噂で
聞いたガリアの若き天才『水』メイジ、南薔薇花壇騎士ラルカスならば、
その奇想天外とも言える治療法を喜んで実行するだろうと。
だが、今回の『キョウリュウ』の一件で、ガリアも多くの犠牲を払って
いることは明白だ。そうたやすく応じてくれるだろうか……そう考えたとき、
王は言った。
「かまわぬ。あのルイめに金でも領地でも好きなものをくれてやると言え」
 その言葉が天の声となって、王都へ帰還途中のトリステイン艦隊旗艦
『ラ・レアル』から、最速の風竜を駆る竜騎士が飛び立ったのだった。
同時に、王の命令書を携えた別の竜騎士が王都へ飛ぶ。そして王の後詰めとして
王都にいたサンドリオン――ピエールが急ぎ精密加工を得意とする
『土』メイジや平民の職人を厚め、あかぎが描いた設計図に従った道具を
製作し始める(要求されるあまりの精度と想像を絶する短納期にメイジたちが
心折れそうになり、平民の職人たちが気合いを入れたのは余談だ)。
また、ピエールは王の命令書に書かれていたとおり、今回の戦闘に参加した
将兵たちの家族を集めるよう各地へ使いを飛ばす。彼はそれをもう先がない
将兵たちへの手向けだと思った。
 そうして王らが王都トリスタニアへ凱旋したときには、すでにカリンらが
発症してから三日目の朝を迎えていた。しかも、さらに二日が過ぎた
今になっても返事がない。あかぎは内心焦る気持ちを何とかして抑えることに
必死だった。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 17:28:30.97 ID:EYf5FeW1
さるさんのようなので、代理投下まいります
253萌え萌えゼロ大戦(略) :2011/04/09(土) 17:31:11.50 ID:EYf5FeW1
「……今回は時間との闘いです。陛下。ド・マイヤール隊長たちは、
保って二週間。
いえ、昨夜までで、ド・マイヤール隊長より『キョウリュウ』の心臓近くにいた
アルビオン空軍のドナヒュー大尉とドルトムント少尉が亡くなられました。
もう時間がありません」
 あかぎの言葉に嘘はない。放射線障害は時間との勝負だ。しかも、
恐ろしく分の悪い。加えて、あかぎが知る治療法も、かつて帝国海軍の
研究所が小規模の臨界事故を起こした際の犠牲者から判明した、理論先行のもの。
それでも、あかぎはこれに賭ける価値があると確信していた。
 そこに、トリステイン魔法学院の学院長、オールド・オスマンが現れたことを
告げる声が響く。王が謁見の間にオスマンを通すよう告げると、同時に
退出しようとするあかぎを引き留めた。
「そちにも聞いてもらいたい。意見を求めることもあるかもしれぬ」
「かしこまりました」

 トリステイン王国の貴族の子女たちを多く引き受ける魔法学院。
その歴史ある学院の当代学院長であるオスマンは、齢三百歳とも噂される
貫禄と、『土』メイジとしての卓越した伎倆から『偉大なる』(オールド)
オスマンと称されていた。
 だが、その容貌は、整えられた銀髪と綺麗に剃られた口元から、
壮年の域にしか見えない。そして、オスマンは子供たちを預かる教育者の
立場から、学院への政治的、軍事的介入を嫌い、また生徒の学徒出陣には
徹頭徹尾反対の立場を貫いている。そのため、今回の戦いにも自ら参加する
ことはなかった。
 オスマンは謁見の間に通されたとき、そこにいる意外な人間に目を細めた。
だが、それも一瞬のこと。次の瞬間にはそれを霧消させ、オスマンは
王に向かい合う。
「トリステイン魔法学院学院長オスマン、お召しにより罷り越しました」
「今回は余の命に逆らわなかったな。オスマン」
「わたしがいなくなっては、王政府の横紙破りを阻止できる人間がいなく
なりますからな」
「そちの言い分も理解できるが、何分にも我が軍は常に人手不足だ。
国の大事に優秀な人材であれば欲しいと思うのは道理ではないか?」
「学生の本分は勉学でございますれば。人殺しの訓練は卒業後、彼らが
望んでからで十分でございましょう」
 王の言葉に、オスマンは一歩も引くことがない。王はそれに怒りを
見せることもなく、淡々と告げる。
「『虚無』を捜せ」
「は?なんとおっしゃいましたか?」
 突然のことにオスマンも我が耳を疑った。王は続ける。
「余はこのトリステインのどこかにいる『虚無』を捜せ、と言った。
これは命令だ。たとえ余が始祖の元に召されようが、撤回されることはない」
「いやはや……。しかし『虚無』とは……。伝説の彼方の系統を、
どのように判断せよ、と陛下はおっしゃいますかの?」
「少なくとも三十年前、そして今このとき、このトリステインのどこかに
伝説の使い魔『ガンダールヴ』を使役する『虚無』が存在する。そちは
それを捜すのだ」
254萌え萌えゼロ大戦(略) :2011/04/09(土) 17:37:15.02 ID:EYf5FeW1
「何故そのようなことを?」
 オスマンは問う。王はあかぎに視線を向けた。
「そちはこの者を知っておるか?」
 王に促されて、オスマンはあかぎと視線を合わせる。にっこりと微笑む
あかぎに、オスマンはさしたる興味も示さなかった。
「東方より来たる仙女の噂も高き御仁ですな。以前お目にかかったことも
ありますかの」
「ええ。二十年前に。こちらはよーく覚えていますわ」
 その言葉には軽く非難の意が込められていたが、オスマンは意にも
介さない。その様子に、王は軽く溜息をつく。
「……どうやら双方とも思うところがあるようだな。まぁ余の与り知る
ところではない。
 オスマンよ、この者が『虚無』の使い魔『ガンダールヴ』の右手の槍の
一人だと余が言えば、そちは信じるか?」
「これはまた……。伝説の武器がこのようなおなごの姿で現れるとは。
しかも『一人』ということは、他にもまだおりますようですな」
 王の言葉にオスマンは感心したような視線をあかぎに向けた。王は続ける。
「そうだ。この者だけではない。そして、先日このハルケギニアに大いなる
災厄をもたらした鉄の竜、『キョウリュウ』もまた、その一つだったのだ」
「なんと!」
 あまりのことに思わず声を上げるオスマン。その様子を見て、王は
玉座から立ち上がり、オスマンの目の前に立った。
「だから余は『虚無』を捜さねばならぬ。この国に、未だ目覚めぬ
『虚無』がいる限り、『聖地』に召喚されし『槍』はこのトリステインを
目指す。己を手にする伝説の使い魔と、その主の許へな」
「しかし……。陛下は『虚無』をその手に収めた後、いかがなさるおつもりか?
始祖の系統たる伝説の『虚無』と、千の兵を相手に一歩も退かぬとされる
伝説の使い魔をその手に、このハルケギニアに覇を唱えるおつもりか?」
「余を見くびるでない!」
 突然の王の叱責に思わず一歩後ずさるオスマン。王はその目前に
指を突きつける。
255萌え萌えゼロ大戦(略) :2011/04/09(土) 17:40:04.74 ID:EYf5FeW1
「余は『虚無』をもってしてまで戦がしたいとは思わぬわ!
 いいかオスマン、余は国を安んじるために『虚無』を捜せと命じたのだ。
伝説の『虚無』の居所さえはっきりしておれば、このような無用な戦は
起きぬ。故に、余はそちに命じるのだ!」
「……私たちは出会えませんでしたけれど、三十年前、そして今――
このトリステイン王国のどこかに、私たちが出会うべき『虚無』がいる
はずです。捜し出してもらえませんか?もうこんなことが起きないように
するためにも」
 王の命だけでなく、あかぎも祈るようにオスマンに懇願する。
その様子に、オスマンもようやく折れた。
「……やれやれ。わたしをここに呼んだのは、わたしがこのトリステイン
王国の名だたる貴族の子女たちを預かる魔法学院の学院長という地位故
ですか」
「否定はせぬ。だが、そちが余など比べものにならぬほどの永き刻の
移ろいを見、そして見聞を広めたことを知らぬとでも思ったか。
そちが分からぬのであれば、他の誰が『虚無』を捜し出せようぞ」
「御心のままに」
 オスマンは臣下の礼をもって王の言葉に応える。そこに取り押さえようとする
魔法衛士隊を振り切り、息も絶え絶えな竜騎士が飛び込んできた。
「何事か!」
 王の一喝に、竜騎士は懐から書簡を取り出し王に捧げる。
「へ、陛下。ガリア王が……ガリア王が……」
 そこまで言ったとき、竜騎士は不意に意識を失った。
一睡もせずガリア王国の首都リュティスからこのトリスタニアまで強行軍を
続けたのだろう。王とあかぎがすぐさま竜騎士の許に駆け寄り、疲労困憊で
意識を失った以上の別状がないことを確かめた。
 竜騎士が身命を賭して持ち帰った書簡。そこには確かにガリア王国
王家の花押が捺され、それが紛れもないガリア王ルイ一三世からの書簡で
あることを証立てている。

 王は封蝋を破り書簡に目を通す――そのとき、多くのものを巻き込みながら
歴史の歯車が一際大きく音を立てて動き始めたことに気づいた者は、
まだ誰もいなかった。
256萌え萌えゼロ大戦(略) :2011/04/09(土) 17:43:58.78 ID:EYf5FeW1
以上です。
本来は今回で過去編を終わらせるつもりでしたが、例の人災で投下するべきか
考えあぐね、予定よりしっかりと書き込むことに決めました。
実際の執筆時間は20時間程度ですが、仕事の都合で自分の時間が取れずに
遅くなってしまいましたけど……

このため、過去編の最終回は次回となります。
早めにお目にかかれるよう頑張ります。


乙でした
私は放射能と聞くと「人類絶滅まであと364日」というナレーションが真っ先に浮かんでくるタイプですが、
今回は放射線障害の生々しさが出ていてよかったと思います
ラルカスの名前が出るとはちょいびっくり、牛でない彼がどんなふうに出てくるのか期待しています
257名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 20:08:40.82 ID:hwExaUvD
乙でした
えらいタイムリー的な話だからちょっと怖いわw

>>251

『土』メイジや平民の職人を厚め、って 「集め」 ?
258名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 22:23:54.24 ID:e8EcrUES
夜闇の人、おくばせながら乙でした。
ヴァルキューレシリーズとか十蔵さんやりすぎです。
259名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:22:17.32 ID:K/Q6F4M1
放射能汚染っていったらファイヤーフラッシュ号を思い出したな
5時間ごとに原子炉フィルターを取り替えないと乗客が放射能に犯されてしまうというとんでもない旅客機
260名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:30:38.92 ID:XKbMc0ve
サンダーバードか懐かしいな。

そういや原子力飛行機ってソ連とアメリカがホントに作ろうとしたんだよな
261名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:33:18.83 ID:RNuwy33Q
>>259
サンダーバードだっけ?

しかし、放射能といえばやっぱりラジヲマン
復刻が延びに延びてるんだが、このまま復刊中止になったりしないだろうな……
262名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:38:25.98 ID:K/Q6F4M1
まあサンダーバードもみんな原子力エンジン積んでるんだけどね
4号のコンテナ落下が好きだったな
263名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:47:58.02 ID:wKp23ByW
ガンダムも核融合だよね
264名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/09(土) 23:52:57.87 ID:WH9NsqMa
ジャイアントロボとかも
265名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 02:40:53.61 ID:k+arOhoR
遅れましたが、夜闇の人乙です!
こう…十蔵っていうかきくたけはっちゃけすぎだろう。
しかしサイト・テファが実にいい味出してるなあ。
良い武器ももらったし、ガンダとしての見せ場も期待できそうですな!
266つかよん!:2011/04/10(日) 07:13:31.10 ID:9W2OFh6B
問題なければ7:20頃から
「使い魔は四代目」
第四話を投下したいがよろしいかな?
267使い魔は四代目:2011/04/10(日) 07:21:25.49 ID:9W2OFh6B
ガンダールヴ。
始祖ブリミルが呪文を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になる体を守る事に特化した使い魔。
そして、あらゆる武器を自在に扱い、その強さは千人の軍隊を一人で壊滅させる程だったという。

アレフガルドから来たリュオは当然ながらガンダールヴについての知識は無い。そこでルイズに聞いてみると、得られた答えはそういうものだった。
若干胡散臭さも感じないわけではなかったが、ルイズやオスマンにしてもロト一族の話をすれば同様に胡散臭く感じるだろうし、それは仕方の無いところだろう。
なるほど、伝説になるだけあって確かに強力な使い魔のようだ、オスマン達が慌てるのも無理が無い、と得心した。
アレフガルドに擬えればブリミルが大地の女王ルビス、ガンダールヴが勇者ロト、或いはその仲間達、という事になろうか。勿論、ロトはルビスの使い魔などではないのだが。

「しかしオスマンよ。はっきり言ってわしは武器なぞ使わんぞ。言い伝えが間違いではないのならガンダールヴとやらもとんだ人選ミスをしたもんじゃな」

そうは言ったものの、興味を引かれたのも事実である。あらゆる武器を使いこなした、と言うのがルーンの恩恵だとすれば、当然それはリュオにも適用される筈だ。
しかし、今の所特に何も変わった様子は感じ取れない。その為、リュオはルーンの効果は大して期待しなかった。
元々リュオは基本的に武器を用いた戦いはしない為に、ルーンの効果が得られなくても全く困らない。いかにも魔法使い、といった人間の姿でいる時はその印象どおり呪文を使って戦うのが基本である。
一方、正体を表した時は装備できる武器など無いし、そもそも使う必要が無いからだ。それ以前の問題としてリュオが戦う事など殆ど無いのだが。
とはいえ、もし効果があれば面白い事になりそうだ。試してみる価値はあるだろう。リュオはそう判断したが、生憎とそれには問題が一つあった。

「まぁ、一応確認してみる必要はあるかのぉ… そうは言ってもわしは見ての通り武器らしい武器なんぞ持っておらんのじゃがな。ここには何か気の利いた武器とかは無いのかな?」
「え?いや、ここは学園ですのでそういった物は…まあ、衛兵ならば剣なり槍なり持っているでしょう。品質に関しては余り期待はできないでしょうがね」
「別にそれでも良いのじゃがな。…そうじゃ、教師たちは授業だけしておるわけでもあるまい。空いた時間に自分の研究をしている者もおるのでは無いか?」
「…? 確かにその通りですね。かくいう私もその一人ですが」

リュオが何を言いたいのか分からず、若干困惑しながらコルベールは答えた。発明と研究が今の…教師になってからの彼の生きがいであった。そのため、彼の授業は発明品の発表会の様になる事もしばしばであった。
もっとも、その成果はまず生徒達に理解されない為、役立たない研究ばかりしている冴えない (独身)教師というのが生徒達の間での彼の評価であり、彼自身もその事を知っている。だが、それでも良い、と思っている。
トライアングルクラスの火のメイジである彼が実力の一端を見せれば、否定的なその評価はあっさり変わるであろうが本人はそれをしない。火が司るものが破壊だけでは寂しい、というのが彼の持論である。
少なくとも破壊につながるような事でその評価を改める気は無かった。

「ならば、もう研究の必要が無くなった、不用品の中に武器があったりしないかね?」
「おお、そう言われれば…!確かに倉庫を漁れば保管されているそういったものが出てくるかもしれません…しかし、お恥ずかしい限りですが大層散らかってまして…」
「ま、倉庫なんぞどこへ行ってもそんなもんじゃろ、構わんよ。色々と面白そうじゃしな。問題があるとすれば立ち入りの許可がでるかどうか、じゃが。良いかな、オスマン」
「協力すると申した以上拒否するわけもありませんな。どうぞ存分に使ってくだされ。とはいえ、期待通りの武器があるかどうかはわかりませぬぞ?」
「そう都合良く行く事など期待しとらんわい。ま、あれば幸いぐらいじゃからな。それはそうと…」

リュオはガンダールヴの話を聞いた時から感じていた最大の疑問、それをそのまま口にした。
「結局その使い魔は一体何だったんじゃ?」
268使い魔は四代目:2011/04/10(日) 07:26:11.87 ID:9W2OFh6B
「それが…分からないのですじゃ。そのルーンは書物に残されておるのですがのぅ…」

長年語り継がれていくうちに話が当初のものと代わっていく、というのは珍しい話ではない。
だからこそリュオは答を得られる事をさほど期待していなかったし、オスマンの申し訳無さそうな返答も予想範囲内のものだった。
さて、この場合、抜け落ちている部分を知る手段はあるのだろうか。ある所には伝えられているが広く知られていないだけという場合ならまだ可能性はある。意図的に内容が改竄された場合、となると厄介だ。
そんな事をやるのは相当な権力者だろうが、それだけに徹底して元の話の痕跡を消されている可能性がある。
とはいえ、それが必要な情報かどうかはまだ不明だし、大体今考えてどうにかなるものではない。それ以上は後で考えることにしてリュオは話を進める事にした。

「そんな大層な使い魔の姿が何故伝わっておらんのじゃ?まぁ、お主等に聞いてもしょうがない事じゃがな。
そのルーンがわしに…か。そういう話ならお主等が興奮するのも分かるが…
…悪いが、特にこの身に何か変わったような感じはないぞい。」
「勿論、随分昔の話ですから、誤って伝えられた部分もあるかもしれません。あるいは、たまたま似たようなルーンが現れた、と言うだけかもしれません」
「だから、リュオ殿がガンダールヴだ、と決まったわけでもないのじゃが…
しかし、事実はともあれそれだけで注目を集める存在になることは事実。ましてや、リュオ殿のような竜族の王ともなれば尚更ですな。
勿論リュオ殿何らかの野心を持っていると疑っているわけではないのですが」
「…なるほど。野心を持った者がわしや、わしを使い魔としたルイズを神輿として担ぎ出そうとするかもしれぬ、と」
「…確かにわしにその気が無くとも、『伝説の使い魔のルーンを持つ竜が今降臨した事事態が我々に正義がある事を云々』などと一席打てばその気になる輩は多いかもしれんなぁ。
まぁ、素直に利用されてやるようなわしではないが」
「そうでしょうな。ですが、愚か者というのはとかく身の程を弁えないものですから」
「うむ、一々そんな輩の相手をするのも煩わしいのぉ…ともあれ、お主等が危惧する理由は良く分かった。確かに大事になりかねんな」

ルイズは王女アンリエッタが幼少の頃の遊び相手を務めたほど王族と近しい有力貴族の三女である、となれば求心力は充分にある。竜族の王ともなれば尚更だ。
そのうえ伝説の使い魔のルーンを持っている、ともなればそのカリスマ性は計り知れない。神輿にするにはうってつけと言えよう。
そして、それほど巨大なカリスマ性の有る神輿を必要とする者の野望とは、多くの人間を巻き込んだものだろう。そして恐らくは…多くの血が流れる事になるだろう。
そのような事態をオスマンが回避しようとするのは当然と言えたし、リュオも自分のせいでそうなる事は本意ではなかった。


リュオの同意を得た事で、オスマンは幾分表情を和らげていたが、思い出したように付け加えた。
「そうそう、後でリュオ殿にメイドをつける事に致しましょう。
いくら表向きはメイジということにするとはいえ、竜族の王に対し何のお世話もしないではトリステイン魔法学院の恥ですからな。ミス・ヴァリエール。誰か適任なものを知っているかね?」
「えぇと…申し訳ありませんが特に思いつきません。」
「そうですか…では、特に希望が無いようでしたらこちらの方で適当に選ぶ事にします。後で誰か適当な人物を見つけたならその旨お伝えくださればその者に変更しますので」

そりゃ確かに王様でガンダールヴだけどさ、ご主人様を差し置いてメイドをつける使い魔ってどうなのよ、嗚呼きっとメイドの中での序列は リュオ>私 になるんだわ、とルイズは心の中で愚痴るのであった。

「ではリュオ殿何卒、今後ともよろしくお願いしますぞ。それとミス・ヴァリエール。ひとまずリュオ殿を部屋に案内して差し上げなさい。いつまでもここにおるわけにもいかんじゃろう。
その後はどうするかな?色々話し合う事もあるじゃろうし、次の授業を休むなら担当にそう連絡しておくが」
「えぇと…私としては出席しておきたいのですが」
「わしは構わんよ、出てくると良かろう」
「そう?それじゃそうさせてもらうわ。細かい事は戻ってから決めましょ」
「そうですか。それでは遅れないようにしてくださいね。ではこれで、我々は失礼します」
「うむ。こちらこそよろしくな」
269名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 07:26:30.96 ID:FW7d/DCs
しえん
270使い魔は四代目:2011/04/10(日) 07:27:45.97 ID:9W2OFh6B
飛んで行く二人を見送ると、ルイズは歩き出した。

「ルイズよ、飛んでいかんのか?」
「…言ったでしょ。私は、魔法が使えないゼロのルイズだって」
「そうか。それじゃ歩きじゃな。遠いのかね?」
「それほどでもないわ。こっちよ」

成り行き上自分から口にした事とはいえ、ルイズにとってあまり話題にしたいようなことでもない。それ以上口にしないリュオに内心感謝しつつルイズは先頭に立ち歩き出した。



「やれやれ、一時はどうなる事かと思ったわい」
学院長室に戻ってきたオスマンは、しみじみと安堵の溜息をつきながら呟いた。同じく安堵の表情を浮かべたロングビルが心より同意した。
「本当に何事も無く済んで良かったですわね、」
「全くじゃ.…ああ、そうじゃ、ミス・ロングビル。倉庫の備品の目録はあるかな?あるようならこの際不備があっても構わん。その旨断ってミス・ヴァリエールに届けておいてくれい」
「わかりました。探してみます…でも、そんな物、ミス・ヴァリエールが何に使うのですか?」
「…さて、伝説の検証、といったところかのぉ」
「さっぱりわかりませんわ」
首をひねりながら退出したロングビルを見て、オスマンは好々爺の笑みを浮かべた。が、すぐに其の表情は引き締まり、深く物思いに沈むのであった。

「失礼します。持って来ましたぞ、オールド・オスマン」
そこに、オスマンの指示でフェニアのライブラリーに向かい、一冊の書物を探していたコルベールが戻ってきた。
「うむ。確かに『始祖ブリミルの使い魔たち』じゃな。まぁ君の表情を見れば結果はもう分かったも同然なのじゃが…
どれ…やれやれ、記憶違いであって欲しかったが…やはり同じルーンじゃな」
「そうですね…これから一体、どうなってしまうんでしょうか…」

黒猫が人間の言葉を喋れる様になるなど、使い魔に特殊能力が備わるのは良くある事だ。では、リュオの手に浮かんだガンダールヴのルーンは一体何を与えると言うのだろう。あれだけの力を持ったドラゴンが更に強力になったら…
いずれにせよ、一人の少女に預けるには強大すぎる力には違いない。使い方によって神にも悪魔にも成り得るだろう。そして、その事実は野望を抱く人間に対しては非常に魅力的だろう。
幸いな事に、リュオは理性的な性格のようだし、普通の使い魔のようにヴァリエールの言いなりではないから大丈夫だとは思いたいが…
ともあれ、こうなった以上はヴァリエールが道を踏み外さないようしっかり導いてやらねばならない。それが教師として、そして大人としての役目と言うものなのだから。
これからの事に不安を覚えつつも、決意を新たにする二人であった。
271使い魔は四代目:2011/04/10(日) 07:29:57.46 ID:9W2OFh6B
案内されたルイズの部屋を見て、リュオは素直に感嘆した。

「ふむ、相当な広さじゃのぉ。寮とはいえ流石に貴族の部屋だけあって見事なもんじゃな」
「王様なんでしょ?もっと凄いところに住んでるんじゃないの?」

ルイズの反応は当然のものであった。だが、リュオの居城はルイズが想像したような豪華絢爛な城ではない。英雄譚にあるような巨大な洞窟に様々なお宝がぎっしり敷き詰めて…といったものでもない。
リュオがいる階層自体は清浄な雰囲気が漂う地下湖を擁する宮殿なのだが、其処に辿りつくには様々なモンスターが跋扈する洞窟を深く潜って行かねばならない。竜族の王の居城、という響きからは程遠いものであった。

「…まぁ、ある意味凄い所じゃがなぁ… バジリスクやらドラゴンフライやらがうろついてるしのぉ…」
「よ、良く分からないけどなんか苦労してるっぽいわね.…」
「いや、不満は無い。…不満は無いんじゃよ?」
遠い目をして呟くリュオに、ルイズはどんなに強くても叶わぬこともあるのだなぁ、と妙な悟りを得たのであった。

「…詳しく聞きたいところだけど、残念だけど時間が無いわね。それじゃ私は授業に出てくるけど…リュオはどうするの?ここで待っているのかしら?」
「さて、それも暇じゃし、今のうちに多少はここら辺を見て回っておきたいが」
「じゃぁ、鍵を渡しておくわ。夕方には戻っているからそれまでには戻っていて頂戴。まぁ、今は授業中だし、ここに侵入しようなんて不心得者がいるとも思えないけど…いや、いるわね」
「…この鍵、使い捨てじゃないじゃろうな?」
「…何それ」
「違うようじゃな。…いや、、そういう時代があってな」

リュオが何でそんな事を言うのか理解できない、というようにルイズは眉を寄せた。アレフガルドではその昔…リュオの曽祖父であった竜王が魔王として君臨していた頃の話だ。
大抵の扉が開く魔法の鍵が堂々と売られていた事がある。余り上等な魔法ではなかったために耐久性に難があり一回使うと使えなくなる、おいそれと買えるような値段でもない、と言う事から広く流通するものではなかったが、
流石に今はご禁制となり表向きは姿を消している。リュオの質問はそれに由来するものであった。
とはいえ、魔法を扱う店に行けばどんな鍵でも開くという究極解錠の呪文を封じ込めたアバカムの宝石が目の玉の飛び出るような値段で取引されている事もあるらしい。
というか実際カインはそうしていた。手持ちが足りなかったのであの時は不思議な帽子を売るしかなかったとぼやいていたが…
ともあれ、ルイズが渡した鍵は何の変哲も無い普通の鍵である。勿論使い捨てなどではない。

「何の話か分からないけど…ま、いいわ。それじゃぁ、行って来るわね」
「うむ、気をつけていくのじゃぞ.。 …さてと、行ったかの?」

ルイズの姿が消えたのを確認すると、リュオは行動を開始した。

リュオはツボをのぞきこんだ! しかしなにもみつからなかった…
リュオはひきだしをあけた! しかしなにもみつからなかった…
リュオはひきだしをあけた! なんとちいさなメダルをみつけた!
リュオはタンスをあけた! なんとビロードのマントをみつけた!
リュオはタンスをあけた! なんとブルーガードをみつけた!

 …まぁ、お約束であった。

「いや、辺りを見てくるというのは本当なんじゃよ?」

一通り部屋の確認を終え、誰にしているのか分からない弁明をすると、リュオは施錠し、外へと歩き出した。



中庭に出た時、そこには先客が一人いた。黒髪をカチューシャで纏めた、モップを抱えたメイドであった。そばかすが純朴そうな雰囲気を漂わせているが、その表情は硬い。
油断無く…というよりは落ち着き無く辺りを見渡している。どうみても酷く怯えているようだ。見かねてリュオは声を掛けた。

「…そこのお嬢ちゃん。お主、そこで何をしておる?」
「あ、あれ?見ない顔ですね…お客様ですか?失礼ですが…
貴族の方々が凶暴なドラゴンがこの近くに現れたと噂していたんですが、知りませんかっ!」

「……あー、それは……」

…わしぢゃ。とは言えず。リュオは心の中で頭を抱えた。
272つかよん!:2011/04/10(日) 07:30:28.83 ID:9W2OFh6B
というわけで第四話はここまでです。魔法学院に体育の授業は無いよな。多分。
いや待てオスマンの趣味で存在してたり…
273名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 07:32:26.46 ID:shXUrLbt
まどかマギカのQB召喚で投稿しようと思った矢先に投下されるとはタイミング悪すぎだろ常考

あーあ、やる気無くしたわ
夕方まで待つかなあ?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 08:21:23.41 ID:nRKtTYRY
>>273
そんなこと言ってないで、投下予約しる!
275名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 08:34:32.72 ID:aiziqi44
使い魔は四代目の人乙です。
シエスタは掃除をしにだけだろうか、それとも勇者の血筋だろうか?

>>273
その程度で不貞腐れるとかすごい子供っぽい。まどか興味ないけど作品が不安だわ


276名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 09:50:22.39 ID:WN0Cb+p6
>>273
ageてるよ
277名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 09:59:57.85 ID:OmIF+XuN
ルビスを主人公にした公式小説によると
ロトの血筋はルビス自身の子孫にあたるので(彼女の夫が初代ロト【3勇者の事でなくもっと前】)
ルビスをブリミルとするとロトの子孫は虚無の血筋
まーエニクス的には公式だが堀井雄二からは無視されると言う微妙な設定だが
278名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 11:01:19.14 ID:O9b6IvIq
変な奴をあまり相手にしちゃいかん

そんな事より竜王の人乙
279名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 12:18:30.90 ID:lsxGzBDw
>>259-264
ドラえもんすら原子炉で動いているんだぞ
280名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 12:36:50.87 ID:G/ABUkfR
核分裂炉と核融合炉は違うぞ。

というかビキニ湾前と後じゃ核動力のハードルの高さが違うから
昔の作品はあんまり突っ込まない方が良いぞw
281名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 13:35:29.22 ID:RStgJSe8
竜ちゃん・・・それは勇者の特権です
282名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 14:38:55.47 ID:KF4ZISGJ
隣の部屋を探したら性格がセクシーギャルになりそうな物が見つかりそうだ。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 15:06:27.53 ID:RStgJSe8
しかし、ちいさなメダルが出てきたということは、何かのフラグかな?

とにかく、これからのちいさなメダルの出番に期待!
そして、竜ちゃんの活躍にも期待!
284名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 15:25:35.15 ID:znzDBdfN
>>279
原子炉どころか対消滅機関だぞあれ
どら焼きの餡が一番変換効率がいいとかいう意味の分からない代物だが
285ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:32:30.50 ID:9y5sLuBI
第3話が出来ましたので、誰もいなければ15:35くらいに投下します。
286ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:33:32.86 ID:9y5sLuBI
翌朝、目を覚ましたプリッシュは大きく伸びをしながら深呼吸をした。
この世界に来て、まず思ったことはとても空気が美味しいことであった。
プリッシュたちがついこの間までいた二柱の神々が終わらぬ闘争を繰り返すあの世界は大分荒んでおり、空気も澄んでいるとは言い難かった。
この世界の空気はとても澄んでいて、自然の恵みにあふれているであろうことが容易に想像出来た。

「さ〜てと、洗濯でもするか。お〜い、ルイズ!」

プリッシュは隣でクークー寝ているルイズに声を掛けた。

「ムニャムニャ…ウフフ、見なさいツェルプストー。これが私の使い魔よ。ウフフフ…」

しかし、ルイズは起きる気配が無く、口の端からだらしなく涎を垂らしながら夢の世界を楽しんでいるようであった。
プリッシュはルイズの体を軽く揺すってみるが、あまり効果が無い。

「ったく、明日教えるって言ったのは何処のどいつだよ」

プリッシュは渋い顔をする。
その時、頭の中の電球がピカッと光った。

「…そうだ!洗濯のついでにこの辺りを見て回ろう!そうすりゃ洗い場の場所も分かるし、この辺の散策も出来て正に一石二鳥って奴じゃねぇか!」

プリッシュはそう思い立つと、洗濯物を一通り抱え、急いでルイズの部屋を後にする。
寮内は基本的に生徒の部屋ばかりなので、学院内の散策は寮を出てからすることにした。
寮から出ると、プリッシュと同じように大量の洗濯物を抱えたメイド姿の少女とバッタリ顔を合わせた。
メイド姿の少女はプリッシュの顔を見るなり、青ざめてガタガタと震える。

「あ、あ、あ……」
「ん?どうしたんだ俺の顔じろじろと見て?」
「お、お、おお、お助けを!!」

メイド姿の少女は洗濯物を投げ出して、プリッシュに土下座した。
状況を飲み込めないプリッシュは戸惑いを見せる。

「な、何だよ一体?」
「え、エルフは残忍で極悪非道で平気で人間を殺すと聞きます。わ、私もその、こ、殺すのでしょうか?」
「何でだよ!!そもそも俺はエルフじゃねぇし、別にお前を殺したりなんかしねぇって!」
「え?そ、そうなんですか?」

メイド姿の少女は恐る恐る顔を上げてプリッシュの顔を見る。
改めて見るプリッシュの顔はまだ幼さが残るものの、とても見目麗しく、メイド姿の少女は思わず見惚れていた。

「何だよ?そんなじろじろ見て」
「…あ!す、すみませんでした!」
「だから、そんな畏まんなくたっていいっての。あ〜あ、洗濯物までとっ散らかしちまって」

そう言うと、プリッシュはその場に散乱した洗濯物を拾い始めた。
それを見て、メイド姿の少女は慌てる。

「あ、あ、そんなこと!」
「いや、俺見てビビっちまったんだろ?なら悪いのは俺だしな」
「で、でも…」
「別にいいって。ちょっと待ってな!」

プリッシュは何かを言いかけたメイド姿の少女を余所にてきぱきと落ちている洗濯物を拾い集める。
そうして、最後の一枚を手に取った。

「よっし、これでお終いっと!」
「すみません。本来ならば私がやらなければいけないことなのに…」
「別にいいって。さっきも言ったろ?悪いのは俺なんだからさ」
「でも…」
287ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:35:56.98 ID:9y5sLuBI
「本当に気にすんなって。あまり気にし過ぎると、コルベールのおっさんみたいに禿げちまうぞ?」

プリッシュのこの一言にメイド姿の少女は思わず笑みをこぼす。

「クスッ。では、そのご好意、有難く受けさせて頂きます。えっと…」
「ん?俺の名前か?俺はプリッシュって言うんだ!」
「プリッシュ様…ですか」
「ああ。お前の名前は?」
「私ですか?私はシエスタと言います。この学院で貴族の皆様のお世話をさせて貰っています」
「そっか!よろしくなシエスタ!」

プリッシュはシエスタに向かって手を差し出した。
シエスタは少しだけ戸惑いを見せたが、恐る恐るプリッシュの手を取る。
それを確認すると、プリッシュはそのままシエスタの手を掴みながらブンブンと振って握手をした。

「きゃあぁ!?」
「へへっ!」

握手を終えるとプリッシュは掴んでいたシエスタの手を離す。
シエスタは少しフラフラになりながらも、プリッシュの顔を見て訊ねた。

「そ、そういえば…、プリッシュ様はここで何をしておられたんですか?」
「ん?俺はルイズに言われて洗濯しに来たんだよ」
「ルイズ…?ああ、ミス・ヴァリエールのことですか?」
「ああ、そういやあいつ確かそんな名前だったな」
「…ということは、もしかしてプリッシュ様はミス・ヴァリエールの使い魔なのでしょうか?」
「まーなー」
「そうですか。確か、ミス・ヴァリエールはエルフによく似た亜人を召喚されたとお聞きしましたが…ということはやはりプリッシュ様はエルフでは無いのですね」
「さっきからそう言ってるだろ!」
「あ、す、すみません」
「お前、さっきから謝ってばっかだなー」
「すみません!」
「ほら、まただ!」
「あ、すみま…そうですね。もう止めておきます。…ところで、プリッシュ様はお洗濯に来たと先程仰られてましたが、洗い場の場所はお分かりでしょうか?」
「いんや、散策ついでに見つけようかなって思ってたんだけどさ」
「それなら、私が洗い場までご案内しますよ」
「おっ?本当か?」
「ええ、そのくらいならばお安い御用ですよ。では、こちらです」

シエスタはそう言うと、洗い場に向かって歩き始めた。
プリッシュもその後をついて行く。
洗い場まで行く間、プリッシュはシエスタと会話を楽しんでいた。
最初の頃はプリッシュに怯えを見せていたシエスタも、この短時間ですっかりプリッシュに慣れて笑顔を見せるようになっていた。
これは、プリッシュの明るくポジティブな気質の賜物であろう。
暫く歩くと、少し古ぼけた井戸が見えた。

「あ、プリッシュ様。あそこの井戸が洗い場ですよ」
「おお、着いたか!じゃあ、早速洗うとすっか!」
「差し出がましい話ですが、ミス・ヴァリエールの洗濯物も私がついでに洗っておきしょうか?」
「え?いいのかよ?」
「はい。それが私の仕事ですし」
「そんじゃあ…悪ぃけど頼んじまっていいか?」
「ええ。任せて下さい!」

シエスタはそう言うと、服の袖を捲ってみせた。
288ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:38:18.61 ID:9y5sLuBI
プリッシュは手に持ったルイズの衣服をシエスタに預ける。

「じゃあ、頼むな!」

プリッシュはそう言うと、その場から駆け足で離れて行った。

(へへ、まだ時間もあるし、もうちょっとここを見て回るとするか!)

プリッシュは心の中でペロッと舌を出した。



場面は変わって、ここは学院内の図書室。
学生用の教本以外にも様々な書籍が貯蔵されている。
中には閲覧に特別な権限が必要なものもあるなど、一学院の図書室としては巨大過ぎるものであった。
昼間から夕方にかけては学院内の生徒や教師たちが利用する為、多くの人で賑わっているが、早朝ともなると殆ど人がいなくなる。

そんな朝の図書館で、一人の小柄な少女が本を読んでいた。
メガネを掛けているのと、目の覚めるような青い髪が特徴的である。
彼女は本がとても好きで、こうして時間を問わずに図書室へ来ては本を読み漁っている。
今日もそうして本を読んでいると、珍しく彼女以外に誰かが図書室へやって来た。
少女がチラッと入り口の方を見やると、そこには小柄な彼女よりも更に小柄な女性がいた。

少女は女性に見覚えがあった。
それは昨日の召喚の儀のこと。
いつも失敗ばかりの少女が喚び出した二人の内の一人であった。
特徴的な長い耳から、最初はエルフかと思われたが、その後コルベールより、よく似た別の亜人である旨が伝えられた。

少女は自分に危害さえ及ばなければ、例え彼女たちが本当にエルフだったとしても問題は無かった。
彼女たちが自分の身にかかって来る火の粉ならば払うだけである。
ただ、少女はその二人の亜人が何かとてつもない力を秘めているのではないかということを一目見た時から感じていた。
少女は本を読みながらも、彼女に対する警戒は怠ってはいなかった。

よく見ると、女性の側にはコルベールがいる。
どうやら二人で何か本を探しているようであった。

女性はこちらを一瞥した。
その時、少女の全身に悪寒が走る。
まるで蛇に睨まれた蛙であった。

(計り知れない…力)

少女は心の中でそう呟くと、読んでいた本を閉じてそのまま図書室を後にする。
少女は今日のところはあの場にいたはくなかった。



「…あの小娘。なかなか見所があるようですわね」

シャントットは思わず口の端を吊り上げる。

「どうされましたか?ミス・シャントット?」
「なあに、子猫たちの中に一匹子ライオンが迷い込んでいただけのことですわ」
「はあ…」
「取り敢えず、わたくしをここへ連れて来て下さったこと。感謝しますわ」

シャントットはそう言うと、早速本を一冊取り出した。
289ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:41:05.95 ID:9y5sLuBI
パラパラと捲って中身を確認した後、パタンと本を閉じる。

(…やはり、見たことの無い文字ですわね)

シャントットは誰に言うでも無く、一人ごちる。

(言葉は通じるのに、文字は伝わらない…例の召喚魔法の影響なんでしょうが、とても中途半端な能力ですわね)

そうして考えていると、コルベールが声を掛けてきた。

「ミス・シャントット、系統魔法についての本はこちらにありますよ」
「あら、有難う。あなたはこれからどうされますの?」
「私はルーンについての本を探します。少し確認したいことが出来ましたので」
「そう。その前に良ければわたくしにこの国の文字を教えて下さらないかしら?」
「ええ、構いませんよ」

こうして、コルベールはシャントットにハルケギニアの文字を教えることになった。
基本的な文字列から単語までを少しずつ教えていく。
数分後、シャントットは僅かな時間でこの世界の文字の殆どを覚えてしまった。
コルベールは思わず驚く。

「…ううむ、凄いですね。まさかこんなに早く文字を習得してしまうとは」
「あら?このくらい出来て当然でしてよ」
「いやはや、感服ですね」
「オホホホホ」

流石に図書室だったので、シャントットは声のボリュームを落としながら高笑いをした。

「では、私はこれでお役御免。ということで」
「ええ、もう結構ですわ」

コルベールは図書室の奥へと行き、シャントットは系統魔法についての本を開いた。
本を読み進めていく内に、彼女の顔に笑みが浮かぶ。

「…なるほど、これがこの世界の魔法なんですのね。特にこの『虚無』という魔法。…実に面白いですわ」

そう呟きながら、シャントットはその本を元の場所に戻し、また別の本を手に取った。
その本のタイトルは『イーヴァルディの勇者』と書いてあった。



「やっべー、色々と見て回ってたら遅くなっちまった!」

プリッシュが慌ててルイズの部屋に戻ると、まだ彼女はクークーと眠っていた。
このままだと、昼を過ぎてもまだこのまま眠っている可能性が高い。

「おい、ルイズ!起きろ!」

取り敢えず声を掛けてみたものの、起きる気配が無い。
プリッシュは実力行使へ打って出ることにした。
ルイズに掛かっている布団を引っぺがす。

「んんっ…」

少し効果はあったみたいだが、まだ完全に覚醒とはいかない。
プリッシュはルイズの体を最初の時よりも強く揺さぶった。

「起きろ!ルイズ!!」
290ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:42:51.96 ID:9y5sLuBI
「んんっ…!!」

ルイズの目が僅かに開く。
プリッシュは更に強く揺さぶる。

「起きろー!!」
「んん〜〜〜〜〜〜!?」

ルイズの頭が高速で揺れ、一気に覚醒へと至る。
それを確認すると、プリッシュは揺するのを止めた。

「お早う!ルイズ!」
「ん〜〜〜?アンタ誰?何で私の部屋にいるの?」

ルイズは寝惚け眼で尋ねた。

「おいおい、お前が俺と博士を喚んだんだろ?その言い草はあんまりじゃねぇか?」
「ん…。ああ、そうね。確かアンタは私の使い魔だったわね」
「ったく、しっかりしろよ」
「…うるさいわね。じゃ、着替えるから着替えさせて」
「ハァ?」

ベッドから立ち上がるルイズを傍目に、プリッシュは茫然としていた。
ルイズはポケーッと突っ立って、着替えさせてくれるのを待っている。

「…早くしなさいよ」
「お前、ガキじゃねぇんだし、自分の着替えくらい自分でやれよ」
「貴族は普通は自分で着替えたりはしないものよ」
「昨日の夜は普通に着替えてたじゃねぇか。それに俺がいなかった時はどうしてたんだよ?」
「そりゃあ自分で着替えていたわよ。でも、今は使い魔がいるわ。だから、ほら、早くしなさい」

プリッシュは頭を抱えたが、取り敢えずルイズの言うことに従い、服を着せることにした。
自分で着るのは簡単だが、人に着させるのは見た目程容易ではない。
四苦八苦しながら何とか着替えを終わらせると、ルイズが不満そうな顔で言った。

「下手ね、アンタ」
「うっせぇ!じゃあ自分で着替えろ!!」

二人でそんなやり取りを行っていると、突然部屋の扉が開け放たれた。
思わず、二人同時にそちらへ視線を向ける。
そこにはプリッシュと同じような褐色の肌をした妖艶な少女が立っていた。
燃えるような真っ赤な髪が真っ先に目に入る。
ルイズと同じ格好をしているということは彼女の同級生といったところだろうか。
豊満な肢体を強調するかのように、胸の部分のボタンをわざと外している。
赤い髪の少女が大人ぶった笑みを湛えながら言った。

「あら、お取り込み中だったかしら?」
「ツェルプストー!勝手に部屋の中に入るなって前にも言ったでしょ!?」

ルイズは赤い髪の少女を睨み付けながら言った。
どうやら二人は知り合いのようであるが、折り合いはあまり良くは無いようだ。

「あら?部屋の扉にロックの魔法も掛けない人の言う台詞じゃないわね。ああ、掛けられないのだったっけ?」

赤い髪の少女は悪びれる様子もなくそう言うと、ルイズを小馬鹿にしたように笑った。
ルイズは「うぅぅ」と言葉にならない呻きを上げる。
291ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:45:20.24 ID:9y5sLuBI
二人の掛け合いを見て、プリッシュは何処か苛立ちみたいなのを感じ始めていた。

(…どういうことだ?俺は確かにさっきまでアイツにムカついていた筈なのに、アイツが馬鹿にされてると思ったら、急にあの赤い髪の女に腹が立って来やがった)

まるで自分のものではないみたいな感情にプリッシュは戸惑いを覚える。
それでも、あまり物事を深く考えないさっぱりとした性格の彼女は取り敢えずそのことは置いておくことにした。
赤い髪の少女はルイズを言い負かしたことに満足すると、プリッシュへ視線を向けた。
そして、上から下まで値踏みするように見つめる。

「…あなたがこの子の使い魔かしら?」
「まあ、一応な」
「ふーん。本当にエルフそっくりね。ルイズにしちゃ上出来じゃない。…ああ、紹介が遅れたわね。私はキュルケ・ツェルプストー。キュルケと呼んで結構よ」
「そっか!俺はプリッシュだ!よろしくな、キュルケ!」
「あら、あなた女の子なのに、まるで男みたいな喋り方なのね。見た目はとても可愛らしいんだから、もっとおしとやかにしてみたら?きっと男子が放って置かないわよ」
「別に興味ねぇなあ…」

プリッシュがその長い耳をほじりながら言うと、キュルケはアハハと笑った。
その様子を見ていたルイズが苛立ちを隠さずにプリッシュへ声を掛ける。

「プリッシュ!その女と仲良くするのは止めなさい!」
「え?何でだよ?意味分からねぇんだけど」
「何でもよ!アンタも用がないならとっとと出て行って!」
「ああ、そうそう。忘れてたわ」

キュルケは思い出したように言うと、首を横へ向けた。

「…私も昨日使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って一発でね。おいで、フレイム」

キュルケが呼ぶと、すぐに彼女の側へ虎くらいの大きさの蜥蜴が現れた。
尻尾に燃え盛る炎を灯している。

「も、モンスター!?」
「違うわよ。火竜山脈のサラマンダーよ。どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよね〜。フレイム!」
「…あっそう」
「素敵でしょ。あたしの系統とも相性ぴったりだし」
「ああ、アンタ確か火の系統だっけ?」
「ええ、そうよ」

キュルケはそう言って、フレイムの頭を撫でる。
フレイムは気持ち良さそうな顔でキュルケに頭を擦り付けていた。

「そいつ、人を襲ったりしねぇのか?」

プリッシュが尋ねると、キュルケがこくりと頷く。

「平気よ。私が命令しない限りは勝手に人を襲ったりすることは無いわ。それより見て、この尻尾の美しさ!好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
「それで何?アンタ使い魔の自慢しに来たわけ?」
「まあ、それもあるけど、あなたが喚んだ使い魔にも興味があってね。それで来たってわけ。でも、一目見られて満足だわ。それじゃあね。バーイ」

そう言うと、キュルケはさっさとルイズの部屋から出て行った。
キュルケの姿が見えなくなるなり、ルイズは地団太を踏んで悔しがる。

「くやしー!何なのあの女!自分がサラマンダーを召喚できたからって!ああもう!」
「そんな悔しがんなって。俺と博士を喚んだお前の方が凄いんだぜ?」
「…確かに亜人は珍しいけどね、やっぱりドラゴンとかグリフォンとかそっちの方が良かったわよ。見栄えもいいしね」
「ドラゴンもグリフォンも俺はやっつけたことあるけどなあ」
「寝言は寝てから言いなさい!!」

ルイズはそう言い放つと、ヅカヅカと部屋を出て行った。
プリッシュは不服そうな顔をするも、すぐに気を取り直してルイズの後を追った。
292ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/10(日) 15:49:02.52 ID:9y5sLuBI
あ、すみません。
一部誤字が…
以下訂正です。

×少女は今日のところはあの場にいたはくなかった  →  ○少女は今日のところはあの場にいたくはなかった
×キュルケ・ツェルプストー  →  ○キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー

これで3話は終了です。
地味にコルベールとシャントットにフラグが立ちそうです。
ではまた。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:08:59.41 ID:3cRe6p71


台本形式が強いと、なんか逆に読みにくくなるな
294名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:12:08.32 ID:u6eNCeHy
んー、確かに台本というか脚本というか
295名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:28:46.14 ID:JlP8ADnG
>>284
ドラ<ぶらっくほ〜るくらすた〜
296名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:37:57.75 ID:xARv+Fvc
エルシャダイで小ネタを一つ考えたんだが
まだ発売すらしてないゲームを投下したりするのはさすがに問題があるだろうか?
297ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2011/04/10(日) 16:42:20.26 ID:anuDUGCW
使い魔は四代目の人、乙でした。
魔法使い然としてるリュオに似合う武器といったら理力の杖か光魔の杖あたりかな。
ドラクエ2はFC版もSFCの1・2もクリアしたことある思い出のゲームです。次も楽しみにしています。
さて、今週分の投下をそろそろはじめようと思います。
予約がありませんでしたら、いつもどおりにさるさん回避で10分おいて16:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
 第三十九話
 シルフィだって怪獣は退治できるのね! (後編)
 
 バリヤー怪獣 ガギ 登場!
 
 
「きゅーい! きゅゅーい!」
 ニナがさらわれてから、シルフィードはただひたすら空に向かって叫び続けていた。
 ここは、バリヤー怪獣ガギの作り出した円形ドームの中。ガギのバリヤーは目で見ることはできず、並みの衝撃は跳ね返し、
レーザーさえも光の屈折を利用してはじいてしまう。そんな中に閉じ込められて、シルフィードはずっと狂ったように叫んでいた。
 だが、シルフィードは無為に叫び続けていたわけではなかった。
「お願い、誰か……この声に気づいて!」
 声を飛ばして、仲間に助けを求めようとシルフィードは試みていた。これは、犬や狼などが遠吠えで遠方の仲間と
コミュニケーションをとるのと同じようなものである。しかし、状況からそれは非常に困難なものだといわざるを得なかった。
 この場所から魔法学院までは、山を越えてさらに数十キロもの距離を飛ばなければならない。当然、風向きや気象によって
音の届く距離は大きく左右され、途中に混ざる雑音も加われば学院まで声が届く確率はかなり低いと思われた。おまけに、
ハルケギニアの先住言語を使った呼びかけは、普通の動物では聞き取れず、韻竜のような古代種か知能を発達した
使い魔しか受け取ることができない。
 それでも、バリヤーに阻まれて逃げることも、タバサに救いを求めることもできないシルフィードにやれることはこれしかなかった。
「ニナちゃん、けほっ……きゅゅーい!」
 もう、ゆうに一時間は叫び続けている。すでに、喉は枯れて唾液も乾き、血を吐きそうな痛みを感じて、シルフィードは倒れた。
 しばらく咳き込んだ後で、激しい喉の渇きに襲われ、ニナといっしょに摘んだ蛙苺を口に運ぶ。じわっとした酸味が口内に
広がって、果汁が喉に流れ込んでくると、痛みが和らいでほっと息をついた。
「ほんとなら、これをいっぱい持って帰って、ニナちゃんもおうちで家族と楽しくしてるはずだったのに……」
 寝そべったまま、シルフィードは蛙苺の粒を太陽にすかした。口に運ぶと、また同じ味とともに渇きと飢えが癒されていくのを感じる。
でも、ニナとイチゴ狩りをしながら食べたときとは何かが足りない感じがして、青く澄んだ大きな瞳から自然に涙が漏れてきた。
 このまま、ニナが帰ってこなかったら彼女の両親は心配するだろう。明日、あさって、それでも帰ってこなかったら深く悲しむに違いない。
そういえば、自分も竜の巣を強引に出てきてから両親とも一度も会っていない。心配しているだろうか、もしここで自分が怪獣の
餌食になってしまったら、悲しんでくれるのだろうか。
「こんなとき、おねえさまならどうするのね? いいえ、おねえさまなら最後まであきらめずに、知恵と勇気を振り絞って最後には勝つのね! 
それに引き換え、お前はなんなのねシルフィード! それでも誇り高き風韻竜なのね? それでもおねえさまの使い魔なのかね!?」
 気力を取り戻したシルフィードは、立ち上がると再び仲間を呼び始めた。
 やがて、さらに小一時間ほどが過ぎた頃。叫ぶのにも疲れ果てて、草の上に横たわっていたシルフィードの前の地面が
もこもこと盛り上がり、中から大きなモグラが顔を出した。
”やあ、青いの待たせたね。無事だったかい?”
”モグラ! 来てくれたのね!”
”ぼくだけじゃないよ。ほら”
”やれやれ、君の土を掘るスピードは並じゃないんだから、ついていくこっちの身にもなってほしいな”
”赤いの、おまえも来てくれたのかね!”
 穴からは、ぜいぜいと息を切らせたサラマンダーも現れて、意気消沈していたシルフィードは歓声をあげた。
 ジャイアントモールのヴェルダンデ、サラマンダーのフレイム。いずれもシルフィードの使い魔仲間たちが駆けつけてくれたのだ。
”あなたたち、よく来てくれたのね”
”なに、礼には及ばないさ。でも、君は運がよかったよ。たまたま学院の上でツバメと速さ比べをしていたフクロウが、君の声を
聞きつけてくれてね。「誰か助けて」って、何回も聞こえたそうだから、驚いてみんなに伝えてくれたんだ”
 フレイムから、自分の声が学院にまで届いていたことを教えられたシルフィードは、必死の努力が報われたことを知った。
 だがそれは、まさに奇跡としか呼べないような確率が起こした結果であった。
 
 偶然、風向きが魔法学院のほうに向いていなかったら?
 偶然、耳のよいフクロウが学院の上を飛んでいなかったら?
 
 いずれにしても、シルフィードの叫びは誰にも感知されることはなかったに違いない。
”それで、仲間の危機を見捨てるわけにはいかないから、動きやすいものから駆けつけることにしたのさ。しかし、どういうわけか
このへん一帯に見えない壁みたいなものがあって、鳥やコウモリでも入れなくてね。だから、もしかしたら地中からならというわけで、
自分たちが急いで来たのだよ”
”みんな……シルフィはいい友達を持ってうれしいのね”
 シルフィードは、こみあげてくる感情を抑えきれずに、何度も目じりをぬぐって手の甲を濡らした。
 一方で、ヴェルダンデたちも、シルフィードが無事だったことを喜んだ。けれど、のっぴきならない様子はシルフィードの様子を
見るだけですぐにわかる。二匹は、ぐすぐすと鼻をならすシルフィードが落ち着くまで待つと、改めて問いかけた。
”それにしても、蛙苺を採りに行くだけのはずが、なんともひどいかっこうじゃないか。いったいなにがあったんだい?”
”あっ! そうだったのね! 聞いてよね。大変なのよね!”
 我に返ったシルフィードは、二匹に自分が遭った出来事について話した。ニナという少女に出会い、この場所を紹介してもらったこと。
でも、ここには以前タバサと戦って逃亡した怪獣が隠れていて、自分たちは逃げることもできずにニナが捕らえられてしまったこと。
 一切をシルフィードから聞いた二匹は、想像以上に重大であった事態に戦慄した。彼らとて、主人といっしょに何度も怪獣と
戦ったこともあるし、物好きな宇宙人によってコレクションにされかかったこともある。しかし、まさかこんな近くに怪獣が巣を張って
いたとは想像もしていなかった。
”それは大変だったね……ぼくが軽い気持ちで野いちごなんか薦めたばかりに、ごめんよ”
”あなたは悪くないのね。ほんとうに、来てくれて感謝してるのね”
”うん。さあ、こんなところに長居は無用さ。その怪獣がまた現れる前に、急いでおさらばすることにしようよ”
 フレイムは、さあ早く行こうとシルフィードに穴に入るよううながした。竜の姿ならとても無理だが、人間に変化している今なら
問題なく穴をくぐれるだろう。
 しかしシルフィードは穴に入ろうとはせず、二匹に向かって信じられないことを言ったのだ。
”お願いするのね。ニナちゃんを助け出すの、手伝ってほしいのね!”
”な、なんだって!?”
 仰天した二匹は、思わずひっくり返りそうになった。まともに考えたら冗談ではない。
”君、正気かい? 相手は怪獣だよ。しかも、君のご主人たちが二度に渡って戦いながら、それでも倒せなかった相手だと
いうではないか”
”そうだよ。確かにぼくらサラマンダーはほかの使い魔たちよりかは、多少は強いよ。でも、ぼくらの何十倍かという体躯を
誇る怪獣相手には、分が悪いなんてものじゃない”
 ヴェルダンデとフレイムの言い分はもっともである。それでも、シルフィードは本気だとなおも言う。
”戦って勝とうと言っているわけではないのね。捕まったニナちゃんを助ける。それだけできればいいのね。そのためには、
残念だけどシルフィの力だけでは無理なのね”
”ううむ、だがしかし。いくらなんでも危険が大きすぎる。怪獣の巣に飛び込もうというのだろう? ぼくは恐ろしくて、とても
そんな冒険はできないよ”
”ぼくも同感だね。ミイラ取りがミイラになりたくはない。第一、ご主人でもない人間のために、そこまでしてやる義理はないね”
300名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:55:15.30 ID:shXUrLbt
うわ、また被ったよ
タイミング悪いなあ
誰も投下しないの何時だよ?
 シルフィードの必死の頼みにも、二匹はがんとして首を縦には振らなかった。
 彼らは今は使い魔として人間に従っているけれど、元々は野生の動物であり、人間はそもそも敵だった。主従の契約を結んだ
メイジを命がけで守っても、関係ない人間とは極力関わらない。シルフィードも、タバサに召喚されてしばらくは人間を下等に
思っていた時期があったから、冷たいようだが気持ちはわかった。
”さ、ともかく帰ろう。その人間のことが気にかかるなら、君のご主人に相談するといい。君のご主人はいい人だそうだし、
ぼくらよりずっと力になってくれるよ”
”それじゃ遅いのね!”
 激しく怒鳴ったシルフィードの剣幕に、ヴェルダンデとフレイムは一瞬気おされた。
”こうしてるあいだにも、ニナちゃんは怖い思いをしてるに違いないのね。少しでも早く助けてあげなきゃ、あの子の心に一生残る
傷がつくかもしれないのね”
”し、しかし……生きているという保証もないし”
”生きてるのね! あの子は強い子だもの、今でもきっと助けがくるって信じて待ってるに違いないのね!”
 半泣きになりながら、必死にシルフィードは訴えた。ヴェルダンデとフレイムも、彼女の本気に軽い気持ちではぶつかれないと、
言葉に真剣味を添えて尋ね返す。
”青いの、どうして君はそこまで本気になれるんだい? 君が、人間もぼくらも分け隔てしない優しいやつだってことは、ぼくらも
わかってるつもりだ。しかし、今日会ったばかりの子供一人のために命までも張ろうというのか? なぜだ?”
”それは……あの子はシルフィのために大切なイチゴ畑のことを教えてくれたのね。騎士は借りを作らないものだって、おねえさまが言ってたのね”
”青いの、ごまかそうとしてもダメだぜ。これでも、人を見る目は多少はあるつもりだ。そんな建前じゃない……君の本音を聞かせたまえよ”
 実年齢はどうあれ、大人と子供というのであれば、ヴェルダンデのほうがずっと大人であった。嘘を言ったところで軽く見抜かれる。
そして本音を言わなければ、認めてもらえないと知ったシルフィードは、息を一度大きく吸い込んで、覚悟を決めた。
”今日一日だけでも、ニナちゃんはいっしょに遊んだ友達なのね。ちょっと変わった子だけど、シルフィはあの子のことが好きに
なっちゃったのね! でも、シルフィの力じゃとても足りないのね……だから、このとおりなのね!”
 思いのすべてを一気に吐き出したシルフィードは、ぐっと頭を地面にこすり付けた。青くて美しい髪や、白磁のような肌の顔が
泥に汚れる。しかしそれ以上に、ヴェルダンデとフレイムは驚いていた。
”青いの、君がそこまで……”
 二匹とも、シルフィードが古代の絶滅種と呼ばれる韻竜であることはよく知っている。だからこそ、そのことを誇りに思っている
彼女が、ただの動物である自分たちに頭を下げるなど想像もしていなかった。
”青いの、君の覚悟はわかった。しかしそれでも、ぼくたちに死地に飛び込めというのかい?”
”正直にいうと、そのとおりなのね。でも! シルフィにできることならなんでもするのね! 芸でも使い走りでも、なんでも”
”誇りを捨てるというのか? 風韻竜である君が、人間ひとりのために。そんな堕ちた君を見て、ご両親はなんと思うかな?”
”逃げても誇りはなくなるのね。友達ひとりも救えない風韻竜なんて、誰に向かって誇ればいいのね? おねえさまは、
おねえさまはどんなに恥辱を受けても、誇りを踏みにじられても戦って未来を勝ち取ってきた。シルフィは、そんなおねえさまに
恥じない使い魔でいたい。おねえさまの使い魔であるという誇りをこそ守りたいのね!”
 ヴェルダンデは、シルフィードの包み隠さない本音を聞いた。そして思った。初めて会ったときは外の世界のことを何も
知らない幼竜だと思っていたけど、いつの間にかこんな一人前の考えができるようになっていたんだな。
”もし、ぼくらが断ると言ったら?”
”お姉さまに、今度召喚する使い魔は強いのがいいねって、伝えてほしいのね”
 それだけ言うと、シルフィードは立ち上がって二匹に背を向けた。同情を引くためではない。本気で一人で戦いに望むつもりなのだ。
 立ち去ろうとしているシルフィードを、ヴェルダンデとフレイムは意を決して呼び止めた。
”待ちたまえ、死地に赴こうとする勇者を見送るのは名誉だが、塔から飛び降りようとする友人を見送るのは不名誉の極みだよ。
君は我々に薄情者の汚名をかぶせるつもりかい?”
”君の死ぬところを、その少女に見せることになったら、その少女はそれこそ一生救われないよ。そうなったら君はどう責任を
とるつもりだい? 仕方ないね、友人のそんな愚行を見過ごすわけにはいかない。一肌脱ぐとするか”
”あなたたち……それじゃ”
 助けてくれるのかね? と、恐る恐る尋ねたシルフィードに、二匹は喉をくっくと鳴らしながら首を縦に振った。
”婦女子のために生命を賭けるのは男子の本懐、ギーシュさまの使い魔ならギーシュさまの誇りを守らなければね”
”君はキュルケさまの友人の使い魔だものね。それに、風韻竜に土下座までさせて知らんふりしては、とんでもない極悪人
みたいじゃないか。やれやれ、せっかくのんびりと平和な使い魔生活を謳歌できてたのに、また火竜山脈にいたころみたいな
危険を冒すことになるとは。でもま、あのころは一匹だったが、仲間といっしょなら危険も悪くない”
”あなたたち……ありがとう! ほんとにありがとうなのね! このお礼は、きっとするのね!”
 涙で顔をめちゃくちゃにしながら、シルフィードは表現できる限りの感謝を二匹に送った。よくも悪くも、シルフィードは嘘のつける
性格ではない。裸の謝意をおもうさまにぶつけられて、二匹は照れて、それを隠そうとわざとシルフィードをせかした。
”おほん。青いの、礼を言うのは後にしよう。君の言うように、救出は時間との勝負だ。急ぐに超したことはない”
”あっ、そうなのね! じ、じゃあモグラ。いや、ヴェルダンデ、お願いするのね”
 ヴェルダンデは、名前で呼ばれたことにちょっとした快感を覚えた。使い魔たちは人間につけられた名前をあまりよしとせず、
相手の体色や特徴で呼び名をつけることが多い。でも、名前はその持ち主一人だけのものである。それで呼ばれたということは、
どこか自分が特別な存在になったように思えた。
”うむ、では急ぐことにしようか青いの……いや、ぼくも今後君をシルフィードと呼ぶことにしようか。そうだ、フレイム、外の
仲間たちには助力をあおいだほうがいいだろうか?”
”むっ? い、いいややめておくべきだろう。頭数が増えれば、それだけ危険性も増す。なによりも時間が惜しいんだろう”
 フレイムも、名前を呼ばれたことに少々とまどいながらもまんざらでもない様子だった。
 
 だが、ともかくも時間が惜しいのは事実だ。
 
 シルフィードに言われた方角に向かって、ヴェルダンデはさっそくトンネルを掘り始めた。このあたりの土は黒土が主で、
やわらかいのでジャイアントモールにとっては朝飯前である。ただ、あまり高速で掘っては、音で怪獣に気づかれるかもしれず、
巣に勢いよく飛び込んだらそれこそ自殺行為なので、慎重に人が歩くくらいの速度で手探りに進む。
”この先に空洞があるね。いよいよだ、気をつけよ”
 ヴェルダンデの触覚が、ガギの巣が近いことを察知していた。トンネルの後ろから続くシルフィードとフレイムも、自然に
つばを飲み込んで、そのときに供える。
”出たぞ!”
 爪の先が手ごたえを失い、前から生暖かい空気が流れ込んでくる。
 入り口を広げて、ヴェルダンデの背中越しにシルフィードとフレイムも覗き込むと、そこは想像を絶する世界であった。
”ひゃああ”
”こ、これが、怪獣の巣か……”
 ガギの巣は、半径二十メートル、深さ八十メートルほどの巨大な円筒形の穴の形をしていた。ガギは、その中央でひざを
抱くようにして眠っていたのだが、彼らを驚かせたのはガギの威容ばかりではなかった。巣の壁に、繭のような物質で
貼り付けられている、無数の物体が彼らの目を引いたのだ。
”シルフィード、あの壁に縛り付けられているものたちは、まだ生きてるぞ”
”ええ。でも、あれは……”
”オーク鬼だね”
 ごくりと息を呑んで、三匹は巣の全域を見渡した。
 広大な巣の壁一面に、オーク鬼が繭でがんじがらめにされて貼り付けられていた。数は見たところ、ざっと百匹は下るまい。
シルフィードはニナから聞かされていた話を思い出した。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 16:59:43.90 ID:31Rb/gUW
ウルトラ支援
”そういえば、ニナちゃんが今年はオーク鬼が里に一匹も現れないって言ってたのね……なるほど、こういうことだったのね……”
 群れごと根こそぎ怪獣に捕まっていたとは、さすがに想像の埒外であった。恐らくバリヤーで逃げられなくされ、一匹残らず
仕留められるか捕らえられるかしたに違いない。普段は恐怖の対象である凶暴な人食い鬼も、さすがに怪獣にはかなわなかった。
それにしても、この光景はなんなのだろうかと思う。オーク鬼を生きたまま捕らえて、保存食にでもするつもりなのだろうか?
”おい君たち、見とれている場合じゃないだろう。幸い、怪獣は眠っているようだ。その女の子が生きていたら、多分この中の
どれかの繭に捕まっているはずだ。急いで探そう”
”あっ、そ、そうなのね”
 危うく目的を見失うところであった。怪獣の習性の推測などは後でいい。ここに来た目的はあくまでひとつ、ニナの救出以外にない。
 暗がりなのでシルフィードとフレイムの目はあまり利かず、もっぱらヴェルダンデが暗闇の中でこそよく見える目で、きょろきょろと
巣の中を見渡す。そして、彼らから高さにして十メイルほど下、右下三十メイルの壁にニナが繭に捕まっているのが発見できた。
”いた! ようし、今行くのね!”
”待ちたまえ。いくら君でも、この巣の中を飛ぶには狭すぎる。それに、羽音で怪獣を起こしたらどうする? 焦らなくとも、あの子の
ところまで穴を掘り進めるから、慌てずついてきたまえ”
”う、わかったのね”
 竜の姿に戻って飛び出そうとしたシルフィードは、はやる気持ちを抑えるとヴェルダンデに従った。彼の言うとおり、ここで怪獣の
目を覚まさせたらニナだけでなく、自分たち全員の死に直結する。フレイムも、焦るシルフィードを落ち着かせようと忠告した。
”シルフィード、ぼくも火竜山脈にいたころはそれなりにサラマンダーの仲間がいた。だけど、落ち着きのないやつは次々と火竜の
餌食になって死んでいった。慎重っていうのは臆病じゃない。生き延びるための立派な知恵だ。間抜けになりたくなかったら、
焦ってはいけないよ”
 人生の先輩二匹からの助言は、今のシルフィードにとってなによりもありがたかった。と同時に、二匹がこの図体の大きい
子供をいかに気に入っているかという証拠でもある。だめな子ほど可愛いとはよくいうけれど、それ以上にひたむきに頑張っている
子供というのは可愛いではないか。
 ヴェルダンデは、掘削の音を高くしないように慎重に土を掘る。シルフィードとフレイムは息を殺して後に続く。
 
 そのころ……ニナはガギの巣の壁面に頭以外の全身を、繭状の白い物質で縛られて貼り付けにされたままで泣いていた。
「うっ……ぐすっ……おかあさん、おとうさん……」
 捕まってから、すでに二時間以上、そのあいだずっとニナはすすり泣き続けていた。泣いているしか、幼いニナに自分を
保っている方法はなかった。天井のわずかな隙間から光が差し込むだけの巣の中は薄暗く、それだけで恐怖心を呼び覚ます。
目の前には、恐ろしげな姿をした怪獣が鋭い牙をむき出しにして鎮座し、周り中には人食いのオーク鬼たちが無数にいる。
それらの生きたまま貼り付けにされたオーク鬼たちの放つ体臭が鼻をつき、苦しげな、あるいは怒りに満ちた叫びやうめき声が、
耳を塞ぐことのできないニナの耳に容赦なく響いてくる。
 大の大人でも、一秒もいたくないような場所に、たった五歳の子供が幽閉されている苦痛は拷問にも等しいものであった。
「もうやだあ。やめて、静かにしてよお」
 すでに、ニナの心はこの環境に耐えるには限界にきていた。せめて、大声で泣き叫べたなら気も紛らわせるだろうが、
目の前の怪獣の目を覚まさせたらと思うと、恐怖で喉も凍り付いてしまう。もし、このまま日没を迎えて、巣の中が闇に
閉ざされてしまったら、ニナの心はとても耐えられないに違いない。
 だがそんな絶望的な状況にあっても、ニナは小さな体の、小さな心の中の中で必死に戦っていた。
「誰か、助けて……おねえちゃん……」
 自分の心の中の、恐怖という魔物とニナは全力で戦っていた。この地獄の中で、彼女の心をわずかに希望の中に
つなぎとめていたのは、捕らえられる直前まで自分を守ろうとしてくれていた、温かい手の記憶だった。たった五歳のニナでも、
こんな山の奥地まで両親が助けに来てくれるとは思っていない。ただ一つの望みは、青い髪の奇妙な女の人。山の中で
素っ裸でいる変な人だけど、村の大人たちみたいに怖くなくて、楽しくて優しくて……すぐに大好きになってしまったあの人。
「おねえちゃん……」
 鼻水をすすりながら、ニナはもう一度つぶやいた。
 
 そのときだった。
 ニナの捕まっている壁の、すぐ横の土がモコモコと盛り上がった。
「はぇ?」
 何事かと不思議がるニナの見ている前で、土が崩れて中から白い爪が伸びてくる。それが土をほじくって穴を空けると、
中から茶色くて毛むくじゃらの顔が飛び出てきた。
「モグラ?」
 ジャイアントモールを初めて見るニナは、怪訝に目をしぱたたかせた。しかし、大きなモグラが開けた穴の中から、
大きな火トカゲに押し出されるようにして、顔中泥だらけの青髪の女性が出てきたことで、暗く沈んでいたニナの顔は
満面の笑みに満たされた。
「よっと。ニナちゃん、助けに来たのね」
「おねえちゃん!」
 シルフィードは、穴の端を少々危なかしげに伝って、ニナの元に近づいていった。すぐにシルフィードとニナの顔が、おでこが
くっつくほど近くなる。すぐ目の前で、白い歯を見せて愉快げに笑うシルフィードの顔を見たとたん、ニナの不安はどこかに
飛んでしまっていた。
「おねえちゃん、やっぱり助けに来てくれたんだ」
「もちろんなのね。騎士は友達を絶対に見捨てたりしないのね。さっ、この邪魔ッけなものとっちゃうから、動かないでなの」
 うれしそうに笑うニナに、シルフィードはウィンクして応えると、彼女の体を拘束している繭を取り去りにかかった。しかし、
繭の糸はべとべとしていてとっかかりがなく、うまく取り除くことができなかった。
「うっ、くそっこの! しぶといのね」
 意外な伏兵に苦戦するシルフィード。すると、仲間のピンチを見て取ったフレイムが助けてくれた。
”シルフィード、繭の糸は乾燥してれば引きちぎれるけど、湿気てると柔軟して手じゃちぎれないよ。ぼくが代わろう”
 フレイムはそう言うと、口から加減した炎をバーナーのように吐いて糸を焼ききっていった。一分も経たず、ニナを捕まえていた
繭は焼き切られて、中から助け出したニナをシルフィードはぐっと抱きしめた。
「おねえちゃん、ニナ怖かった。とっても怖かった」
「よしよし、よくがんばったのね。ニナちゃんは強い子なのね。さっ、いっしょに帰ろうなのね」
 シルフィードは、タバサにしてもらったようにニナの頭をなでてあげた。そして、足元に気をつけてと言いながら、横穴の中に
ニナを押し入れる。そこで待っていたヴェルダンデとフレイムの姿を間近で見て、ニナはあらためて目を丸くした。
「うわあ、おっきなモグラさんと、このトカゲさん尻尾が燃えてる。この子たち、おねえちゃんのお友達なの?」
「そうよ。シルフィの、大切な友達なの。ニナちゃんを助けるために、力を貸してくれたのよ」
「そうなんだ。モグラさん、火トカゲさん、ありがとう」
 ぺこりと可愛らしくおじぎをしたニナに、ヴェルダンデとフレイムも照れくさそうに頭をかいた。互いに顔を見合わせて、
困った様子をしているしぐさには、たかが人間の子供一人と冷たく見捨てようとしていた面影はない。シルフィードがそれを見て
くすくすと笑っているのに気づいたフレイムは、ごまかすようにシルフィードに言った。
”おっとと、こんなことしている場合じゃなかった。怪獣が目覚める前に、急いでこんな場所からはおさらばしようじゃないか”
「あっ、そうだよね……ニナちゃん、さっ急ごうなのね」
 目的は果たした。もうこんな地獄のような場所に用はないと、一同は先頭にヴェルダンデ、その後ろにニナとシルフィードが
続いて、フレイムが殿をつとめる形で穴の中を逆にたどって逃げていった。
 
 だが、このまま逃げ切れれば万々歳のところが、最後の最後になってガギの目がここで覚めてしまった。
 ヴェルダンデの掘った横穴から吹き込んでくる空気を感じ、横穴と破られた繭を見てガギは怒る。
 
”いけない! 見つかった”
 
 土を伝わってくる振動から、怪獣が追ってくることをヴェルダンデはいち早く察知した。反射的に、方向を転換して地上へと
続く穴を急いで作る。馬と同等の地底移動速度を誇るヴェルダンデだけならともかく、シルフィードたちはとても逃げ切れないからだ。
地上に飛び出て、穴からニナを引っ張り上げたシルフィードは周りを見渡した。
「ここは……よかった。もう見えない壁の外なのね!」
 閉じ込められていた蛙苺の畑の外の風景が目に飛び込んでくる。また、空にはヴェルダンデたちと同じく、自分たちを心配して
探しに来てくれたであろう、バグベアーやグリフォンなどの使い魔仲間たちの姿も見える。シルフィードは彼らに向かって、大声で警告した。
「みんなーっ! 怪獣が出てくるのね! 急いで逃げてなのねーっ!」
 言い終わるや否や、シルフィードたちのすぐ後ろの地面が土煙を吹き上げる。地底から出現したガギを見て、使い魔たちは大慌てで逃げ出した。
 むろん、一番に狙われているシルフィードたちも逃げ出す。正確には地上に飛び出たシルフィードとニナとフレイムの、一人と二匹。
彼女たちにとって頼れるのは、あとは自分の足だけだった。
「ニナちゃん、走れる?」
「うん!」
”急げ、来るぞ!”
 駆け出す彼女たちを、ガギも追ってくる。大きな足でのしのしと進む様は、見た目からしたら遅そうに見えるけれど、歩幅が桁違い
なので実際にはかなり速いのだ。
”まずい、こりゃとても逃げ切れないぞ。君、変化を解いて飛んで逃げられないか!?”
”風に乗る前に撃ち落されちゃうのね。あいつの鞭にかすられでもしたら、ひ、ひとたまりもないのね”
 二度、ガギと戦ったことのあるシルフィードはガギの怖さも知り尽くしていた。角は以前ウルトラマンヒカリに破壊されたままなので、
破壊光線による攻撃はないものの、それでも触手が鞭のように襲い掛かってくる。人間の姿では的が小さいから、どうにかかわせて
いるけれど、風竜に戻ったら当てやすい的もいいところだ。
 何度も自分たちの横を、まるで巨木のような鞭が何度も叩きつけていく。跳ね上げられる土を頭からかぶりながら、ニナは
あまりの衝撃に泣き出しそうに叫んだ。
「おねえちゃん! お、おねえちゃん!」
「大丈夫! ニナちゃんはシルフィが絶対に守るから!」
 もう二度とこの手は離さないと、シルフィードはがっちりとニナの手を引いて走る。今、この子を守れるのは自分しかいないのだ。
 方法は? どうやって逃げ切る? そんなことは関係ない。一度決めたことは断じてやりとげる。タバサの使い魔として、
それが今自分にできる、誇りを守る唯一の道だった。
 だが、ガギの魔手は確実にすぐそこまで迫ってくる。幼いニナの足がついに限界に達し、もつれて地面に転がり込んだ。
「きゃっ!」
「ニナちゃん!」
 転んだニナの上に、シルフィードはかばうように覆いかぶさった。別にそうすれば守れると思ったわけではない。無意識に、
母親が子供を守ろうとするように、とっさにそうしてしまったのだ。しかし、シルフィードの意図はどうであれ、行く足の止まって
しまった二人に、容赦なくガギの攻撃が襲い掛かってくる。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 17:06:51.47 ID:mVz2jaY/
いつも楽しみにしています
支援
”シルフィード!”
 フレイムの悲鳴が、空の上の仲間たちの見守る前で、無防備な背中をさらすシルフィードの上にガギの影が覆いかぶさっていく。
 もうだめか。シルフィードは固く目をつぶって観念した。
 
”おねえさまごめんなさい。シルフィは、おねえさまに勝手に出かけて死んでしまう悪い子でした。
 でも、シルフィは最後までおねえさまの使い魔としての誇りだけは守りました。友達を守って死ぬんだから、墓前で褒めてくださいよね”
 
 自分がつぶされても、代わりにニナだけは守りきる。悲壮な覚悟を決めたシルフィードは、最期の時が来るのを覚悟して待った。
 しかし、シルフィードの耳に飛び込んできたのは、自分の骨の砕ける音ではなく、フレイムの思いもかけない声だった。
”危ない! そのまま動くな!”
 逃げろ、ではなく動くな? どういう意味かと恐怖も忘れて不思議にシルフィードは思った。
 薄目を開けて、周りの様子を確認してみる。目が見えるということはまだ生きているようだ。
 そして、なんとなく首を横に向けたときだった。視界の上からガギの頭が入ってきて……轟音と砂煙ですべてが闇に包まれた。
「うっ、ごほごほっ! な、なにが起きたのね?」
”おーいシルフィード、無事かい?”
 砂煙が晴れ、激しく咳き込んでいるシルフィードの元へフレイムが駆け寄ってきた。目に入った砂をこすり落とすと、ヴェルダンデも
土の中から出てきている。また、ニナもシルフィードのおなかの下から這い出てきた。
「みんな、無事だったのね」
 仲間たちの無傷な姿を見て、シルフィードはほっと息をついた。仲間たちも同じように、シルフィードの無事を喜んでいる。
 だが、気持ちが落ち着くと、目の前の光景の異様さが彼らに息を呑ませた。彼らの目の前には、巨体が横たわっていた。
怪獣ガギが、自分たちを散々に苦しめたあの怪獣が、ほんの一瞬前には考えられもしなかった姿でそこにあった。
「し……死んでるのね」
 シルフィードが見返したとき、地面に崩れ落ちたガギはすでに息絶えていた。恐ろしげな遠吠えを放った口も、大蛇のように
襲い掛かってきた鞭も、今では彫像と化したようにぴくりとも動かない。
「どうして……? たった今まで、あんなに元気だったのに」
”恐らく、この怪獣はもう寿命だったんだろう”
 目を閉じて、眠るように息を引き取っているガギを見て、ヴェルダンデはシルフィードの疑問にそう答えた。
 怪獣の寿命は、短いものは生まれて一日も持たず、長いものは何万年も生きるけれど、ガギの寿命は偶然にも今日に重なっていたのかもしれない。
 いや、そうでなくともガギの体はサイクロメトラの寄生や、ウルトラマンヒカリとの激闘などのダメージで限界に来ていたのだろう。
見た目ではわかりづらいけれど、人間と同じようにそうした傷や、老化が徐々にガギの体に蓄積されていた。それが今日、激しく
暴れたせいで一気に噴出し、命を絶ったのかもしれない。
「怪獣さん。かわいそう……」
 ニナがぽつりとつぶやいた言葉を、誰も頭ごなしに叱りつけられはしなかった。あれだけひどい目にあわされ、殺されかけた
憎い相手だというのに、今では冷たくなりゆく死体に過ぎない。もし、自分たちが来なかったらこの怪獣は眠ったままで、
穏やかに息を引き取れていたかと思うと、無為に命を奪ったような、そんな気さえした。
「ニナちゃんは優しいのね。じゃ、怪獣さんのために祈ろうか。やすらかに、天国にいけるように」
 死ねば誰であろうと皆同じである。シルフィードは、人間たちの神は信じていなかったけれど、ニナの祈りが届くようにと、
大いなる意思に向けて祈った。
 そして……
 
「さっ! それじゃあ帰ろう! なのね」
「なのね!」
 
 帰り道は、ニナにとって大変な驚きと興奮の連続となった。
「うわあっ! 飛んでる! 飛んでるぅ!」
 山を、森をずっと下に見下ろしながら、ニナは大興奮ではしゃいでいた。
「ねっ、早いでしょ。すごいでしょ。ほら、あそこ、あそこがシルフィとニナちゃんが初めて会った苺畑よ。あんなに小さいのねー」
 シルフィードもはしゃぐニナに合わせて楽しそうに応える。けれど、元に戻ったシルフィードにニナが乗っているわけではない。
二人が乗っているのは、使い魔仲間のグリフォンの上だった。
”やれやれ、まさか伝説の風韻竜を背に乗せて飛ぶとは夢にも思わなかったよ。こりゃあ末代までの自慢にできるかねえ”
”やめてよね、こっ恥ずかしい。でも、みんな来てくれてうれしいのね。ほんとにありがとうなのね”
 ニナにはわからない言葉で、シルフィードはグリフォンに礼を言った。彼女たちの周りには、ほかの使い魔の仲間たちも
いっしょになって飛んでいる。カナリアやフクロウ、カラスのような普通の鳥のほか、空飛ぶ蛇のバシリスク、ワイバーンの
幼生体、一つ目のバグベアーなどの幻獣もいて、物珍しそうにニナに寄ってくる。
「わぁ! 見たこともない動物さんがいっぱい。ね、ね、こっちにおいでよ」
 普通は大人でも腰がひけてしまうような猛獣たちに囲まれているというのに、ニナは楽しそうにじゃれついていく。使い魔たちも、
いつもは怖がられるばかりだというのに反対に懐かれてしまって、びっくりしながらもうれしそうに口ばしを摺り寄せたりしていた。
 そんな光景を地上から見上げて、ヴェルダンデとフレイムも面白そうに話している。
”世の中には、珍しい人間もいるものだね。あんなにぼくらを怖がらない人間は初めてだ”
”ああ、シルフィードが命をかけようとしたのもわかる気がするよ。なにかな、ぼくも彼女と苺を摘んでみたくなってきたよ”
 顔を見合わせて二匹は笑い、学園への帰途についていった。
 
 グリフォンの速度はさすがに速く、あっという間にニナの村の付近まで飛んできた。
 ところが、シルフィードが地上を見下ろしていたところだった。街道で馬に乗ったタバサが、こちらに向かって手を振っているのが
見えて、慌てて下りるとタバサに杖で頭をこつんとこづかれた。
「いったぁーい! お、おねえさま、どうしてここに?」
「使い魔と主人は視界を共有できる。あなたのしてきたことは、見てた」
 あっ、と、シルフィードははっとした。メイジと使い魔の契約の魔法『コントラクト・サーヴァント』は、感覚の共有という効果も
両者に付け加える効果もあるのだった。ただ、これは両者にとってあまり愉快なものはない上に、最近全然使っていなかったから
すっかりと使えることを忘れていた。
「ご、ごめんなさいなのね……」
 しょんぼりとして、シルフィードは謝った。まだ叱られたわけではないが、きっと無茶して怒られると思ったからだ。
 だが、その前にニナがタバサの前に立ちふさがって叫んだ。
「おねえちゃんをいじめないで!」
「ニナちゃん……!」
 シルフィードは驚き、ニナはシルフィードを守るように両手を広げて、無表情のままで見下ろしてくるタバサを睨みつけている。
しかし、タバサはニナの顔の高さまでかがむと、口元を緩めて語りかけた。
「大丈夫。おねえちゃんをいじめたりしない。ぶったのは、一人で勝手に出かけたおしおきだけ……」
「ほんと? ほんとにおねえちゃんを、もうぶたない?」
「約束する。それよりも、よくがんばったと思っている。仲間を集め、力を合わせてあなたを救い、わたしの誇りも守ってくれた。
シルフィード、今日のあなたは……そう、勇者だった」
 その瞬間、シルフィードは大粒の涙を流してわんわんと泣き始めた。悔しさや悲しさからではなく、あこがれのタバサから
認めてもらえたうれしさからの涙だった。
「お、お姉さま……シルフィは、シルフィは……」
「わかってる……あなたは、わたしの誇りだから」
 シルフィードはタバサの胸に顔をうずめて、おもいっきり泣いた。周り中では、使い魔仲間たちが何事かと呆然と見守っている。
ニナも、「泣き虫なおねえちゃん」と、おかしそうに笑っていた。
 
 そうして一時後、タバサとシルフィードは村はずれのところでニナを見送った。
「じゃあニナちゃん、さよならなのね」
「ばいばい、おねえちゃん」
 手を振りながら、シルフィードは村の入り口へ駆けていくニナを名残惜しそうに見つめていた。村の中まで送らなかったのは、
貴族と関わり合いになったのが知れると、彼女と彼女の家族が村の中で風当たりが悪くなりかねないからだ。シルフィードには
理解しがたいことだけれど、人間の社会にはそうした理不尽が数多くあるらしい。
 ということは、貴族の使い魔である自分も、もうニナとは会わないほうがいいのかもしれない。第一、自分はタバサといっしょに、
いつ死んでもおかしくないような任務に、いつ行かなければならないとも限らない。ニナは、自分が風韻竜だということは
知らないのだから、変化しなければ偶然どこかで会っても、自分と気づくことはないはずだ。
 でも、それってとても寂しい。せっかくできた友達なのに、これっきりなんて。
 ところが、村の入り口で夕焼けを背にしながら振り返ったニナが、大きな声で呼びかけてきた。
「おねえちゃーん!」
「は、はーいなのね!」
「今日はありがとー! とっても楽しかったよ! 明日も、あのイチゴ畑で待ってるから、きっと来てねーっ!」
「え、えっ!?」
 驚いたシルフィードは、とっさにタバサの顔色をうかがった。行ってもいいのか、すがるようなシルフィードの視線にも
タバサは眉一つ動かさない。やっぱりだめなのか? がっくりと肩を落とすシルフィードに、タバサは一瞥も与えないまま
背を向けると、一言。
「蛙苺、籠いっぱい分。期待してる」
 それがタバサの答えだった。
 シルフィードは飛び上がらんばかりに喜ぶと、肺から空気を思いっきり吐き出して叫び返す。
「うん! 必ず行くから待っててねーっ! 明日は、友達もいっぱい連れて行くからーっ!」
「きっとだよーっ! 待ってるからねーっ!」
 村の中へと消えていくニナを、シルフィードはいつまでも見送っていた。
 夕日は赤々と山すそに映え、明日も空は晴れるだろう。
 そうしたら、今度はヴェルダンデやフレイム、ほかのみんなも連れていっしょに遊ぼう。
 大人は知らない、心優しい使い魔たちとの夢のパーティ。
 きっと明日は最高に素敵な一日になると、きゅいきゅいという声が、一番星の見えた空に吸い込まれていった。
 
 
 続く
311名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 17:16:29.06 ID:31Rb/gUW
ウルトラ乙
312ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc :2011/04/10(日) 17:18:45.93 ID:anuDUGCW
以上です。303と307の方、支援ありがとうございます。
39話だけにサンキューでした。なんてw いつも感謝しております。
 
さて、二話完結でお送りしましたシルフィードの大冒険、お楽しみいただけたでしょうか。
原作では虚無の使い魔を除いては、シルフィードやヴェルダンデくらいしか活躍の場がない使い魔たちですが、実際には
いろんな種類の幻獣がいますし、いろんなことができると思うんですよね。一匹ではたいしたことはできなくとも、仲間の力を
借りることでできないことができるようになる。そんな彼らが結束したら、人間ではできない冒険も可能なのではと、この物語を作りました。
なおこの話には当初、サブタイトルの元ネタどおりにムカデンダーを登場させる予定でした。しかしいくつかの案を考慮した結果、
ウルトラマンを登場させないで、かつタバサの力も借りないで解決させたかったのでガギにキャストチェンジさせました。エースが
登場しなかったことで、ものたりなさを感じる方には申し訳ありませんが、この話でのヒーローはシルフィードたちですので、そうした
視点で見てみてください。
 
では、次回からは本筋に戻ってストーリーを進めます。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 17:32:14.55 ID:O9b6IvIq
ウルトラの人乙

>>296
神は言っている、ここで諦めるべきでは無いと。

一番良いのを頼む。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 17:56:37.12 ID:+nL+0+Xz
>>300
今からなら
315名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 17:58:07.60 ID:vWQFeA4l
>>300
自分用スレでも立てたら?
316名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:09:45.72 ID:f0yHTPBs
>>300
こういうこと書く人にはここは向いてない
自身のHPでの公開をオススメする。割と真面目に
317名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:23:46.75 ID:tomDaEUW
 ウルトラ5番目の使い魔作者さん、乙でした。

 使い魔軍団大活躍でしたね、全員の友情に乾杯!
 そういえば、人間視点はともかく使い魔たち幻獣にはウルトラマンはどう
見えてるんでしょう?

 今更あれですが、37話のドドンゴのエースへのアシストはウルトラマン
STORY0のミクラスのオマージュでしょう?
318名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:24:08.59 ID:73N2g51k
荒らしと戯れるな!!
319名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:33:40.19 ID:shXUrLbt
荒らしじゃなくて割と真面目に言ってんだけどさ
例えばウルトラの人とかの後に投下しても皆ウルトラの人の感想ばかりでさあ
新参者のこっちの感想書いてくれないじゃん?
だからこういう人の後に投下すんの嫌なんだよね
誰かとは言わないけど、有名投稿者の後に投下したけどスルーされて乙すら言われてない人いるじゃん
そういうの嫌なんだよね俺
320名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:34:59.33 ID:pn0UBnQv
どこを縦読み?
321Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:45:09.78 ID:vyuvLvub
別にどうでもいいだろう…何か利益があるわけでも、コテハンとして色々なスレで活動しているわけでもあるまいし

と言う訳で数分後に投下予定
322名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:47:38.07 ID:JlP8ADnG
スルーですよスルー
支援
323Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:50:02.01 ID:vyuvLvub
LOG-3 Beautiful Life


学院長室には、霧亥召喚以降、まともに睡眠を取るまもなくその分析に当たっていたオスマンとコルベールが再び顔を合わせていた。
「で、ほかにも彼は武器を持っていたんじゃな」
「はい、そのとおりです。暗器のようなもので、最初に見たときはそれが武器だとは……それに、彼が持っていた銃とは違って、服に張り付いて取れませんでしたから」
一連の説明を受けて、オスマンが目をこする。
コルベールにたたき起こされた当初、すっかり眠気で頭が回っていない様子のオスマンだったが、今は睡魔を追い払おうとしていた。
「どうせ武装解除をするなら、徹底的にやらんかい」
「申し訳ありません」
「これでは、好奇心に負けた盗人というだけじゃよ」
今迄で一番長いため息をついて、窓際によった。
同時にオスマンの目には、日の光が入り込み、痛みでまた目をこする。
「……こっちが預かっておる銃も返してみるかね? どうせ、これ以上は何もわからんのじゃし、友愛の印に」
「そういったもののとり方をする人物には見えません。ただ我々が、拉致の上に武器を奪って監禁した野蛮人だという認識をするだけでしょう」
「じゃろうな」
意味ありげにカーテンを閉めて見せるオスマン。
ゆっくり間を取った後で「わしも偉そうなことは言えんがのう」と言いながらコルベールに向き直る。
いっそう疲れた表情と憎らしそうな目に一歩下がるコルベールは、何を言われるのかと身構えている。
「このことは内密にのう」
「で、ですが、これは一大発見です! なにより、手に余ります!!」
ひときわ大きく短いため息をわざとらしく吐き出したオスマンの無言の否定に、コルベールは口を噤む。
「…アカデミーの魔法至上主義者や、この国を動かす伝統第一の頭でっかちの大貴族たちのおもちゃにするのかね? 君がいつも文句をたらしていた連中じゃよ」
「私も優れた選択肢とは思いませんが、彼をここにおいて、我々だけの判断でどうこうするのは、危険では―――」
「怒るじゃろうなぁ」
「―――は…? と、いいますと……」
「軍人と言うのはのう、かき集められた農民や、二束三文の傭兵でもなければ、国の意思に従うもんじゃよ」
オスマンは頭を振って、コルベールの提案を否定しながら続ける。
「騎士の類か、徴兵組みかと言われれば、彼は間違いなく前者じゃから、彼の行動を左右する教育は、国や国の軍隊の方針によるものじゃ
 わしらの生活や姿を見て、忘れ去られた辺境の植民者と認識し、貴族の儀式を叩き潰し、友好的な態度もとろうとしないのは、彼個人の性質であり、彼の故郷や所属集団の性質でもあるじゃろうな」
「ハルケギニアから東方まで、比例するもののない技術力と国力を持ち、あまりに我々が劣っているために、口を利く気にもならなくなるような国家からやって来た兵士を怒らせる行動は
 同時に彼の国を怒らせるような行動であると言うことですかな?」
今度はうんうんと首を縦にふって肯定するオスマン。
「そうじゃよ、そのとおり。そっちのほうが危険で、わしらどころかこの国の手に余る……彼の所持品ならまだしも、彼の体を見たら、解剖するくらいのことはあるかもしれんし
 下手をしたら、エルフのような危険な亜人種であると早とちりをして、ハルケギニア中の国々の立場を危うくしかけん。彼の故郷と外交問題なんぞ寒気がするわい」
「考えすぎですぞ。むしろ、私には彼をこのまま放置して、返す方法を見つけられずに、捜索の手が伸びてくるほうが危険だと考えます
 彼の故郷なら、我々のサモン・サーヴァントの痕跡から、トリステインの位置を割り出すくらいはするかもしれません
 アカデミーが堅物で、いろいろと人目をはばかることにも手を出していることくらいは知っていますが、さすがにこの品々を見れば、迂闊なことはしますまい」
「ミスタ・コルベールの持つような健全な趣味は、彼らは持ち合わせておらんよ。理想的な祭具の作り方くらいにしか興味をもたんわい
 ロマリアもこういってはなんじゃが、同じじゃよ……人種の違いはさておき、始祖を信仰しないだけで対応がずいぶん悪いものになるじゃろうしな」
健全と言うのは少し嫌味な発言だが、オスマンにしてみれば、馬鹿の一つ覚えよりはこの教師の奇妙な趣味のほうが、まだまともな探求だった。
蝋燭の炎を理想的に揺らす風の起こし方より、蝋燭の炎が起こす風を調べるほうが有益かと問われて、推すことは出来ないのだが。
324Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:51:26.82 ID:vyuvLvub
「とにかく内密に頼む……伝えるのは後からでも出来るしの」
話はこれまでと、手を叩いて椅子に座りなおす。
コルベールもこの問答で画期的な解決策を見出せるとは思えず、オスマンの決定に歯向かう気もまるでなかったので、最後の質問をと、屈んだ背筋を正す。
「わかりました。では、彼への待遇はどのようなものにしましょう? 彼がどのような地位に居たのかは不明ですが、知識や態度を見るに、そう低くはないはずです」
「ゲルマニアの例もある、彼の国では単純に爵位がそこまで絶大なものでないのか…あるいはそんなもの、存在せんのか……」
「たびたび、想像できませんなぁ……」
コルベールの遠い目をよそに、頬と髭をなでながら長考するオスマン。
二度三度と一定感覚で唸った後で、「よし」と言って何かを書き始める。
「とにかく、貴族用の生活は到底用意できんから、せいぜいミス・ヴァリエールのお抱え使用人といった感じで、彼女共々それなりのものを提供するしかあるまい
 朝食時にでもなったら、食堂に居るメイドにでも、この書類を渡して“人間の使い魔など初めてなので、他の使い魔とは別物としろ”という旨を伝えてくれんか
 下手に優遇するように言ってしまうと、怪しまれる上に、ばれると厄介ごとが増えるからのう」
書き終わったオスマンが口にしたのは、えらく普通のことだったが、霧亥の召喚主の性格を知る一人の教師として、特に代案はなかったが、コルベールは少し不安を感じた。
「では、そのようにします。朝日が昇るまでもうそうありませんが、これから―――」
「わしは仮眠を取る。人目をはばかってこんな深夜に話し込むのは、老体には響くわい」
「―――私も、少し休ませてもらいます。また後で報告に参りますので…失礼します」
今度はオスマンも仮眠を取ることに成功するが、それもつかの間である。
霧亥は病み上がりであっても惰眠をむさぼることはせず、この惑星の自転周期に影響される睡眠のサイクルにも従わない・・・

・・・霧亥は都市を脱出してから三度目の目覚めのときを迎えた。
周囲はまるで都市とは違い、地平線の向こう側にある、宙に浮いた剥き出しの巨大な核融合炉―――もとい、恒星の放つ電磁波でじわじわと明るくなってくる。
正確に24時間周期で明滅を繰り返した都市の発光部位のことを思えば、とても考えられない。
公転周期の影響も受けるとなれば、無駄の多いことだ。
霧亥にしてみれば、なぜそれを制御しようとしないのかと疑問に思うほどだが、ここの技術水準では、自転と公転についての知識を保有しているかどうかすら怪しい。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 18:52:44.94 ID:pn0UBnQv
支援
326Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:53:34.18 ID:vyuvLvub
足を投げ出したまま、霧亥は薄暗い空を見上げ、しばらく物思いにふける。

空に瞬く星星は、都市から見た密度の薄い星空との共通点も多いが、明らかに別物である。
いったい、どれほど遠くへ来てしまったのかすらわからない。
これが純粋に空間的な転移であったなら、むしろ別な世界線、言い方を変えれば別な世界・宇宙にやってきたのより危険なことだ。
これほど共通点をもちながら、よく見れば別物である場所など、相当な長距離に間違いない。

常人なら誰でも悲観的になる状況で、霧亥は旗から見れば何も考えていないのかというほど、落ち着いてそのことを再認識した。
果たして、彼の支援者や都市のシステム、ネットの管理者たちは、自分を発見し、コンタクトできるだろうか?
それさえ可能であれば、もし本当にこの世界で“魔法”と呼称される技術が、正確に都市へ送り返すことが可能なレベルの技術でなくとも、今すぐにでも帰れる。
ルイズたちの協力など、その献身の度合い、協力の成果ともに、あまり当てにするべきものではないはずだ。
最後の超構造体を越えた先であっても、自分がどこかへ持ち去られたことは、都市の運営に携わる位置に居るものなら誰でも気づくはずである。
なんらかのカウンター・プログラムが発動していてもおかしくない、不正行動。
いっそ動かずに様子を伺う構えでもよいのではないか、と霧亥は考え、ここからしばらく動かない方針に変更を加えることはしなかった。
判断自体はまともな人間であっても当たり前に思いつくものであったが、その微細な部分までを思考実験し、これの為に今までに収集された情報の隅々を考慮する処理能力は、ここでは彼にしか出来ない。
一通り考え事が終わり、何をするでもなくゆっくりと染み出してくる赤外線の熱が大気を震わせるのを観察していた霧亥は、こちらに近づく人間に気づく。
入ってきた女性は、遺伝的にも身体特徴的にも、ここでの平均的な構造と多少の差異があった。
「起きていらしたんですね」
今まで目撃した者達とは違ったコスチューム、その物腰からして、この施設の労働者ではないかと霧亥は見当をつける。
手には水の入ったカップと、単純な化合物の粉末などが載った盆がある。
「これはお薬です。魔法が効かないとかで、普通のお薬ですけれど、貴族の方も飲まれるもので、効き目は確かですよ」
霧亥は振り向いて女性の姿を観察しながらコップを手に取る。
女性の特徴的な要素といえば、なにより黒色の頭髪や黄色気味の肌を作る体内の色素で、別な人種であるらしいことが分かる。
コップの中はカルシウム等の無機物で少し汚れた水で、害もなく、水はいちいち合成するよりも経口摂取が望ましいこともあって抵抗も感じず飲み込んだ。
「お薬を飲めませんけれど……」
霧亥は無言で勧めを断ると、また何をするでもなく外の景色を観察し始めた。
何か珍しいものでもあるのかと、盆を手に持ったまま覗いてみても、壊れた壁からは普通の夜明けしか見えない。
327Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:54:58.34 ID:vyuvLvub
「あの……なにか、あるんですか?」
「………」
ネットスフィアに情報の存在しない自然現象であるだけでなく、彼が生まれて始めて目撃した夜明けは、当然この世界の人間にとって特別なものではないが、霧亥はその光景を出来るだけ観察し、理解しようとした。
人口建造物によってはるか原始の時代に駆逐されたが、かつて“地球”と呼ばれた、人類発祥の惑星にも、こういった光景があっただろう。
ネットスフィアの内部にはこういた現象や状況を完璧に再現し、やりようによっては基底現実にそれらをダウンロードすることもできた。
だがここは、都市やネットが、たった一個の惑星の表面を覆うことすら出来ていない世界。
彼の知る秩序には程遠い世界。
どこにもこの景色の情報は保存されていないのだ。
「そのう…ミス・ヴァリエールの使い魔、の方ですよね?」
心配になって確認すると、霧亥は否定しなかったので、まだ困り顔をしながらも、ひとつ提案をする。
「これから生徒たちの起床時間がきます。一緒に起こしに行くというのは……」
自分で睡眠に入っておいて、自分で設定した時刻に覚醒できないというのも奇妙な話だが、その提案は魅力的だった。
いわゆる人並みの感情があれば、ルイズに敵意か殺意を抱く立場にある霧亥は、事態の把握の為に接触する必要があると、無感動に了解する
「それなら、これを戻してきますから、それから案内しますね!」
何がうれしかったのかと不審に思いながら、霧亥はコップを返し、早足で部屋を出る彼女に遅れること数分。
戻ってくる姿が、曲がり角から見えるようになるのと正確に同じタイミングで廊下へ歩き、合流して進みだした。
ルイズの眠っている部屋は、知覚情報から判明していたが、ある程度の広さがあるこの施設を動き回るには、よく知っている人間を利用するのが安全だ。
構造はさておき、何のための構造であるのかは推測の域を出ず、風習や習慣の類はまったく予想できないといってよかったからだ。

「こちらです」
睡眠時の独特な脳波を発しながら、規則正しい呼吸を続けるルイズの姿を扉越しに感じる。
「それじゃあ、私はこれで失礼します。あ、何かあったら、私にいつでも声をかけてくださって構いません…名前はシエスタです」
霧亥はシエスタと名乗った女性に、特に興味を示さずドアノブに手をかける。
何かを期待していたような素振りを見せていることに気づきつつも、特に声をかけることもしなかった男が生徒の部屋に入っていくのを見終えたシエスタは、何処かへと消えた。
「………」
目の前の状況を、じっと観察した霧亥は、横たわるルイズに歩み寄る。
一通り走査してから、その体に手をかけ、ひっくり返すようにして意識を覚醒させようとする。
「おい………」
声をかけてもう一度揺すると、ルイズはゆっくり覚醒した。
「だれなの…?」
危険なほどに低下した思考能力と感覚能力で、状況を把握し切れていないことに気づくも、特に手を加えない。
そのうち少しずつ理解し始めたルイズは、目の前の男に驚き、それが自分を締め上げた男だと思い出してもう一度驚いた後、やっとまともな会話が可能な状態になった。
328Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:57:44.14 ID:vyuvLvub
ルイズはまったくどうすればいいのか分からなかった。
これが平民のメイドであれば、着替えのひとつでも手伝わせるところだが、目の前でじっとこちらを睨んでいる黒尽くめの男に、そんなことを頼む気にはなれない。
大の男に頼むということにも抵抗を感じるが、そんなものは平民と貴族という絶対的な溝の前には意味がない。
誰も犬に着替えを除かれて本気で恥ずかしがりはしない…が、彼女の中でこの男は、そういったくくりが通用しない存在になっていた。
もう締め上げられるのはごめんだし、その振る舞いは、とても犬扱いをする気になれないほど異質で、貴族を歯牙にもかけていないようにもみえる。
「き、着替えるから」
そういう人物への対処法をまったく心得ていないルイズは、霧亥の腕が自分の服を脱がそうとするところを想像して、二重の意味で顔色を変えると、自分で身支度を整え始めた。
霧亥が微動だにせず監視しているのが気になって、ボタンを閉めそこなうなどのミスを繰り返してようやく着替え終わるまでの間に、朝食の時間が近づいてきていた。
「でも助かったわ、条件を飲んでくれて…使い魔っていうのはね、主人のそばに居るものなのよ。言うまでもないかもしれないけど
 だから、これからは出来れば私の近くで行動してもらえる? そうすれば、私があなたの要望を聞いたり、何か分かったことをあなたに伝えたりもし易いし」
霧亥は考えているのか考えていないのかも読み取れない顔でルイズを見ている。
「出来るだけでいいのよ。私だって、立場的に、そんな積極的にあなたのために動けないし…」
「ああ」
「…やっと喋ったわね」
よほど警戒されているのだと感じて、少しばかり罪悪感が芽生えた。
自分がキリイのような扱いを受けたら、どうしていただろうと考えると、首を締め上げられ、毛髪を引きちぎられたことも野蛮と批判できない。
その上こんなことを話すのは気が引けるが、使い魔の役割…奴隷の役割について説明を始めた。

遠隔地での行動
感覚のリンク
母機の防衛

霧亥の要約によればこの三つ。
思考の書き換えとデータリンク用の阻止と回線の埋め込みに大別される脳の改造はこのためのものだったのかと、一人納得した。
「―――以上なんだけれど、あなたは私の指示に服従するどころじゃなかったし、感覚を共有できてもいないわね
 あの時に刻まれたルーンは残っているのかしら? 烙印のようなもので、契約が成功すれば使い魔には必ず現れるの」
「ルーン文字状の集約端末は機能を停止させてある」
329Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 18:58:49.03 ID:vyuvLvub
「そ、そうよ、あれは文字よ。もしかして読み方も知ってるの?」
ルイズが驚いたような顔をしたのに、むしろ霧亥のほうが驚いた。
ルーンという呼び名からしても、その形状からしても、確実にこれは原始時代の古い人類が用いていた言語のひとつである。
過去にはいくつもの言語が存在したが、その多くが自然に、あるいは意図的に失われていき、霧亥が活動していた時代には、機械言語を除けば、たった二つの言語しか一般的には利用されなくなった。
そのうちの一つであるアルファベットの大本となったのが、この“ルーン”文字であり、当時それによって記された書物は、学術資料として電子化され、ネットにも保管されている。
何らかの理由で枝分かれし、退行した文明が効率よりも恣意な感性を優先し、ものを記号的に表記するのにこういったものを使う可能性は高く、階層都市でも稀に見られた。
しかし、コルベールと呼ばれた男もそうだったが、“魔法”と呼ばれる技術を行使するものたちですら、その意味を知らないというのは奇妙だ。
送り返すことが出来ないなどという話ではなく、その意味も、制御方法も知らずに、過去の技術を細々と利用しているのだろうか?
確かに、日常的に使える技術も、それを使える人間も限られ、建材や照明以外、まともにこの技術を用いたものは少ない。
霧亥は機能を喪失していた一時期の自分や、都市の技術をその身に纏いながらも知識を失った人々が、網膜や脳裏に直接表示される文字の意味を理解できずにいたことを思い出す。
「機能を停止“させた”って……やっぱり、何かのスペルで打ち消したの?」
霧亥は説明の必要を感じなかった。
理解されるとも思わなかったので、頷きもしない。
「…でも、それを知ってるってことは、大昔はハルケギニアの近くにいたのかしら? 交流があったのかもね。一つ前進?」
「アルファベット以外のゲルマン語派を使用する集団が消失したのは数百世紀の過去だ」
ぬか喜びだったかと、残念そうな顔をしたルイズが、驚愕で目を見開くのに時間は要らなかった。
「ちょっとまって、数百世紀!? それって、何万年も前ってことじゃない! 馬鹿なこと言わないでよ!!」
霧亥は何の嘘もついていない。
世界の発展と肥大に従い、意思疎通で効率的とは言いがたい無数の言語集団が存在する状態は解消された。
むしろ、ゲルマン語派の中でも古株であるルーン文字を使用した集団であるヴァリャーグの消失など、その中でも更に数千年単位で過去のことだ。
都市が正常であった時代、ネットに接続していない幼子でも、一般教養として教え込まれる事実を、霧亥が誤って記憶するはずもない。
数百世紀か、それ以上の昔。
原始のネットが、当時人類が住む唯一の惑星を覆いつくし、国家・民族・思想を消滅させる。
この時点で、恐らくルイズたちには理解できないのだろうが…
「始祖ブリミルの時代の十倍も昔だなんて、人どころかハルケギニアも無いかもしれないじゃない!」
今自分がどの程度の大きさの球面に立っているのかも知らない人間の口から出た、馬鹿げた話だ。
だが、霧亥に言わせれば、ある意味で正しい。
もしここが古い植民地であるなら、かつて新天地で目覚めた始祖達がこの惑星を今の形に“地球化”したはずであり、それ以前には惑星はあっても、ハルケギニアではなかった。
もちろん、その大元である階層都市が、ハルケギニア以前から存在するはずがないという意見は、事実と真逆であることに変わりない。
今回も話したところで無駄だろうと思った霧亥は口を噤む。
330Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 19:00:26.70 ID:vyuvLvub
「まあ、ここで言ってもしょうがないわよね……最初の話に戻りましょう」
気迫にも根にも負けたルイズは、「ありえなくもないのかも」と薄ら寒く思いながら、霧亥のスキンスーツを突っつく。
「これ、鎧でしょ? 変な武器も隠してたし、体は丈夫だし、傭兵か何かだったの?」
傭兵という語句も、霧亥は一瞬理解できなかった。
特定勢力に属さず、報酬と引き換えに戦闘行動に加担するものたちの総称であり、戦争や紛争が大昔にほぼ消滅した彼の世界の常識ではあまり知られない。
類似する組織は存在し、治安維持を代行する警備会社のようなものは、行政組織に一定の権限を与えられ、多くは法執行権限のほか、即殺権を有していた。
霧亥も、企業の持つそういった組織に、ある意味では所属していたと言えるかもしれない境遇にある。
「身の上話をしろとは言わないけれど、腕は立つんでしょ? ここから出ようとして壁、破っちゃったし…あんな力で大剣を振るったら凄そうね」
剣とは、霧亥の時代でも極々稀に使われることがある。
その形状を例える際などに、明確なイメージもなく“柄の付いた長く薄い棒状のもの”に対して、当てられる語だ。
腕力が関係するとなると、一体どういうものだろう。
この世界の武具を当てにする気はさらさらなかったが、銃がない以上、多少は気になった。
「貴族でも相手にしなければ、相当強いほうになるわよね?」
「………」
無言の霧亥を見ても、自信がないから黙っているようには見えなかったので、ルイズは少し満足そうになった。
優秀な護衛が付いたことへの喜びかと霧亥は思ったが「メイジの質は使い魔を見れば分かる」らしい。
どのような使い魔が存在するのかは知らないが、この施設内部を蠢く、人類以外の生物はどれをとっても、ほとんど全ての能力で霧亥には到底及ばないだろう。
使い魔の何を見るかによるが、正常に拘束できていない以外は、喜ぶに値する。
「もうすっかり朝ね。一緒に朝食に行きましょう、キリイ」
すっくと立ち上がるルイズに、霧亥ついていこうとしない。
「どうしたの?」
霧亥の怪訝そうな表情に気づいた。
問いかけを受けた霧亥は、無感動に質問で返す。
「朝ってなんだ………朝食……?」
ルイズは言葉が出なかった。
霧亥と言葉が通じているのは、召喚時に言葉が通じるように魔法がかかったからであるはず。
なぜ意味が通じなかったのか?
答えを言えば、霧亥は自力で未知の言語を使用するハルケギニア人と意思疎通を可能にしただけであり、言葉の意味はいちいち頭で考えて理解していた。
そして、彼は朝と朝食など知らなかったのである・・・

・・・朝とは、一定周期で自転する惑星が、恒星に照らされて始めた時間のことである。
ある時ある部分が朝で、そうでないものは昼や夜。
なんともいい加減な時間の表し方だと、霧亥は思った。
朝食とは、朝にとる食事のことであるらしいが、起きてすぐとる食事をただこう呼ぶこともあるという。
階層都市も超構造体の発光は地球の自転周期に合わせて行われたが、あまりこういった扱われ方はしなかった。
「ここが食堂よ」
ここに来るまでに、ここがどういう国家に属する、どういう施設であるのかの説明を簡単に受けた。
ここには教育を受ける側である生徒たちが一同に会し、食事の席についているらしい。
331Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 19:03:17.17 ID:vyuvLvub
「………」
生物の屍を身に纏う原人たちは、当然生物の死体を咀嚼するのだ。
自然の生態系などというわけの分からない危険なものが、地中や大気中の物質を、光のエネルギーを使って有機化合物として結晶化させたものを、いちいち分解して吸収。
その昔、古いヒト種も参画していた、生態系。
信じがたいとしか言えない。
都市が暴走し、ネットが機能を失って以降、ナノマシンが削除しない、人のためにかつて創られたある種の菌類に似たものを食用にする集落は確かにあった。
それにしてもこれは異常なことだ。
ここに並ぶ食物を見るに、“地球化(テラフォーミング)”は行われたとしても失敗したか原始的なもので、人類にとって優れた環境や生物を作出できなかったようだ。
「こっちよ」
長机の中央辺りに行くと、そこにある空席にルイズは座り、食事の内容を確認する。
「あなたはそっち、机は使えないの」
指差された床には、小さな椅子の上に、水でふやかした植物と何かの筋肉組織が載った皿と、何かの糖質を含んだ組織を磨り潰して、原始的な最近に腐敗させた後に焼き固めたものが置いてある。
これがこの世界での食事であると理解できても、とても食事という気はしなかった。
その昔、このような食料の合成過程を踏む物好きたちはいたが、それでも栄養バランスや消化・吸収効率は完璧に計算され、言うまでもなく衛生的なものだった。
「すぐ用意させられたのはこれくらい。後は私のも少しなら分けてあげるわよ、どうせ食べきれない量だし」
病み上がりで、今まで食事は一度もとっていない霧亥。
その霧亥に食事を提供するルイズ。
関係を改善させ、主人の懐の広さを見せることで、信頼も築こうという思惑がそこにあった。
加えて「本当は貴族しか入れないから、使い魔は向こうなのよ」という事実をさりげなく伝える。
完璧な手だと思ったが、結果は違った。
「どこいくのよ!」
霧亥は捨て台詞をはくでもなく、不満を露にするでもなく、無表情なままどこかへ出て行こうとした。

貴族しか入れないといったから?
使い魔のことを出したから?
食事が貧相だったから?

いずれも考えられるし、普通これ全部に気を悪くするだろうと、今頃ルイズは気づいた。
あの身体能力と、珍しく高価そうな鎧、博学さ。
傭兵であれば給金は高く、貴族でなくともそう悪い生活をしていないはずだ。
332Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 19:05:31.59 ID:vyuvLvub
「……どこいくのよ」
悲しくなったのと、周りからの好奇の目に、肩を落として席に戻る。
「騒がしいぞ」というような声を受けて、黙って食事を開始しようとするルイズを尻目に、霧亥は食堂を出た。
別段不満はなかった。
あるとすれば、食事という行為そのものだろう。
霧亥は、仮に機能回復前であっても、めったなことでは食事を取らない。
とることになったとしても、あのような食事は、とてもする気になれない。
必要なのは電力。
次点では、高吸収高効率の純粋な燃料。
廊下に出て、従業員が歩き回る中を一人で歩く。
「あ、キリイさん」
シエスタが声をかけてきたので、霧亥は歩みを止める。
何の用で呼び止めたのかと、じっと睨みつける霧亥の様子を勘違いしたシエスタは「名前は先生方から知らされました」とやわらかい笑顔で答える。
「何のようだ」
「あ、いえ、その……お困りのことはないかな、と」
起こられているような気分がして、縮こまるシエスタはこの施設の従業員。
この施設にある構造や機能はもちろん、この周辺地域の知識も相応に持ち合わせているはず。
「この辺りに利用可能な蓄電施設はあるか?」
「チクデ……そ、それがなくて、困っているんですか? でも、そんなものここにはないと思います。というか、なんですかそれ……」
霧亥の徘徊する都市には、巨大な蓄電槽が無数に存在する。
基本的にエネルギーや情報はすべて転送され、質量すらも空間的な縛りを超えるか、そういったことをせずとも、その場に存在する物質を変成させるだけで間に合う。
動かすことは容易で、熱力学の第二法則すら、プランク定数の世界をのぞいて回避される世界。
むしろ魔法の世界だが、それでも無から有を生み出すわけではないのだ。
どこかには、転送されるものが貯められている。
頻繁に利用される電気エネルギーの保管庫が、並列蓄電槽である。
「あの、とりあえずお食事でもとってはどうです?」
またあれを薦められるのかと思うと、いい気はしなかった。
「食堂に持っていった食事は、お口に合いませんでしたか? もっとおなかに優しいスープか何かを…」
霧亥はその声を無視して、手頃な壁に腰掛けると、腰の辺りのパウチから、あるものを取り出す。
四角く細長い、白色の無機質な物体。
霧亥は複雑な金属臭を“楽しむ”と、口に咥え、とても硬そうな音を立てて砕いた。

シャキ サク

噛み砕く音だけを聞けば、クラッカーか何かにも思える。
「それ、食べ物なんですか?」
エネルギーを補給することが可能な燃料として霧亥は利用できるのではあるが、ハルケギニア人にとっては、吸収どころか消化もできないだろう。
珪素基系の肉体を持つ、身体改造者や、建設機械などが用いるグリス。
本来液状ではあるが、常温では半固形の姿をとる。
更に言えば、石鹸其―――脂肪酸の塩―――を含まないグリスであり、その使用温度は高く、常温はこのグリスにとっては低すぎ、氷のように固まっている。
この為、魅力的な咀嚼音と、十分に強靭なあごを持つものにとっては素晴らしい食感を発揮するのだ。
「…美味しいですか? なんなんです、それ?」
とても食物とは思えないものを、目の前の男が黙々と食べているので、シエスタはつい興味を持った。
霧亥はその言動を受けて、食べかけを差し出す。
「た、食べてみてもいいんですね」
受け取ったシエスタは、なぜか少し顔を赤くしながら、了承も受けずに力いっぱい噛み千切る。
小さなかけらが口の中で砕かれ、舌の上に広がる。
霧亥がグリスを奪い返した直後には、シエスタは流水のある場所へ駆け出していた。
金属や無数の添加剤は、とても味覚的に耐えられるものではないし、飲み込めば最悪、命に関わる。
霧亥はそのことを知っていたので、観察のために渡したつもりだった。
量が減少したことに、今日初めての不満を覚えつつ、顔色は白いままに食事を再開する。
特に口腔内に分析装置も持たない彼女が、なぜグリスをいきなり吐き出しに行ったのかは、むしろこのグリスを気に入っている霧亥には理解できなかった・・・
333Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/10(日) 19:12:46.40 ID:vyuvLvub
かの高名なシャキサクも登場したところで、とりあえずいったん切る
前編後編と分けるほどでも、そこまで量があるわけでもないが、用事も入ったので少し後で残りを投稿することにする

それにしても、最終話以降の霧亥であるはずなのに、どうもよく喋らせてしまうなぁ
いっそわけが分からないものを書いたほうがいのだろうか…
334名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:18:34.90 ID:xv/QyRE6
335名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:19:03.34 ID:2UmIkgvV
うわあ作品が投下されてるよ。
邪魔だなあ。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:20:47.61 ID:3cRe6p71
凍らせたカロリーメイトでシャキサクシャキサクシャキサクシャキサクシャキサクして待つしかないな

食堂がたときはてっきり、ギーシュと決闘して勢い余って殺す流れかと思ったぜ
337名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:37:12.80 ID:TOePrRW/
愚痴も文句も言わずに黙って予告&投下。それができない子供なら自サイト作って引き篭もるべし
他のSS書きを邪魔だなんだと思うのは勝手だが、それを安易に表に出すようでは精神が未成熟な証拠だぞ

それはともかく、怒涛の投下ラッシュに大満足。皆さん乙です!
338名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:38:06.91 ID:1+PV3V4o
TFからクリフを召喚。
「ルイズをゼロと言った奴を2、3人血祭りに上げてきます」
339名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:50:19.40 ID:d9uroxvw
みなさん乙。

>338
えーと、デストロンの方ですか?
340名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:55:38.05 ID:k4N1jkoR
ペルソナからだれか召喚されてたっけ

3、4から主人公召喚のはみたけど
ペルソナって主人公よりサブキャラのほうがやりやすそうじゃね
341名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 19:56:19.88 ID:vr+w9REv
安達でも召喚しようぜ。
342名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:09:35.48 ID:k4N1jkoR
>>341
主人公より難しそうだな
ジュンペーとかヨースケとかならいい感じに絡めそうだ
343名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:12:33.84 ID:ceYSrrBZ
ラブプラスから寧々さんを呼んだら男どもが皆俺の嫁と言い出しそうだ
344名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:18:09.70 ID:73N2g51k
何度見ても、一瞬ラプラスに見える俺はどうすればいいですか?
345名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:19:15.25 ID:0vTM1tmy
なみのり
346名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:22:37.92 ID:NsDtp/2h
失敗者で鬱屈の塊だからジョゼフとかルイズとは相性いいんでない?>安達
347名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:25:13.30 ID:m7Vx6IwA
ラプラスがラブプラスに見えた俺はもうダメかもしれない
348名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:30:07.10 ID:zxTq7WZD
>>333
なんというか、BLAM!のあの画でルイズやシエスタが再生されて複雑な気分だw
349名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 20:35:00.92 ID:3cRe6p71
霧亥のせいでテンション低くなってるしな
てか今見直したらハゲと学長の出番多いな
350名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:11:55.49 ID:RStgJSe8
第2話が出来たので、何もないようなら
10分後ぐらいに投下したいと思います。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:15:56.90 ID:GGXVRtVT
霧亥の人 乙
しかし、話を考えるのがものすごく大変そうな被召喚者だな・・・
352ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:21:42.68 ID:RStgJSe8
ゼロと魔王 第2話

ルイズは、目の前にいる自称魔王と名乗る人物、いや悪魔が怖かった。
当然だろう、力の差というものを教えられると、人間不安になり怖くなるものだ。
それに加え、相手は10メイル程の火球をいつでもはなてる状態で、こっちは何も打つ手がない状態だ。
これで怖くないという奴は、あきらかに頭のネジが数本抜けているだろう。
だが、自分の召喚した使い魔に恐れている自分を許せず、どうなっても抵抗しようと思った。
足が震え、怖くて仕方ない。
せめて何か言おうと思い、言葉を口に出した。

「あ、あんた!やめなさいよ!あんたは私の使い魔なんだから、私の言うこと聞きなさいよ!」

ああ、自分は何を言っているのだろう。
相手は悪魔だ、自分の使い魔でもあるが、相手が言う事を聞くはずが無い。
だから、相手の左手のルーンが光り輝いて、火球が四散した時には、何が起こったのかわからなかった。

「な!?」「え?」

それは、どうやら相手も予想外の出来事だったのだろう。
驚きを隠せないといった表情をしている。

「貴様!一体何をした!」

悪魔が言ってくるが、自分にも何が起こったのかわからないので答えようがない。

「チッ!とりあえず、この左手についておるこれを何とかするのが先か・・・・」

何をするのかと思っていると。

「何かの契約みたいだが、こんな物、オレ様の力で打ち消してやる!」

すると、悪魔の左手に魔力が集まっていく。
それも、膨大な量の魔力だ。
これだけの魔力を持っているメイジなどまずいないだろうと思っていると。
悪魔の左手のルーンが徐々にだが、消えていっている。
原理はよくわからないが、力技で契約を無効にしようとしているのだろう。
ルーンが消えていっている事に、ルイズは焦ってこう言っていた。

「やめなさい!」

すると、消えていっている左手のルーンが再び光輝き、集まっていた魔力が四散した。

「な・・・・」

ラハールは絶句し、左手の甲を見てみると、折角消えていっていたルーンが、またクッキリと浮かび上がっていった。
その光景を見て、ルイズはこう考えた。

(私の声に反応して光っている?もしかして、ある程度私のいう事を聞かせられる?・・・なら、試してみる価値はあるかも)

するとルイズは、ある言葉を口にした。

「あなたの力を制限するわ!」
「何をアホな事を言って・・・ってうお!」

すると、左手の甲のルーンが光った。
それも、今だかつてない光を放って。
353ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:22:33.23 ID:RStgJSe8
なぜ、私の言うことを聞けとではなく、力の制限と言ったのか。
簡単な事だ、始めに「あ、あんた!やめなさいよ!あんたは私の使い魔なんだから、私の言うこと聞きなさいよ!」と言った時、「私のいう事を聞きなさいよ!」という言葉に反応したのではなく。
おそらく、「やめなさいよ!」に反応したと思ったからだ。
悪魔がルーンを消そうとした時も、「やめなさい!」と言ったら、ルーンが光ったので、間違いない。
おそらく、本人に言う事を直接聞かせる事は出来ないのだろう。
だから、力の制限はどうだろうと思い、言ってみた。
どうやら、成功したみたいだが、失敗していた時の事は考えたくもない。
そして、光がおさまった。

「・・・」「・・・」「・・・」

今地面に立っている3名の間に変な沈黙が流れ、その沈黙を最初に破ったのは、悪魔だった。

「貴様!オレ様に何をした!事と次第によっては・・・・!?」

なにやら、驚いた顔をしたと思ったら、呪文の名前だろうか。
それを叫び始めた。

「『ギガファイア』!『メガファイア』!ギガどころか、メガ級の魔法まで使えんだと・・・」

だが、ポスッっと、虚しい音しかせず。
それ以外何も起きない。

「ならば!『ファイア』!」

すると、ようやく炎が出たが。
今までの、炎の魔法よりショボイ。

「クッ!異世界で使える魔法が初歩の初歩だけだと!ふざけるな!」

どうやら、さっき出した魔法は初歩の魔法らしい。
そんな事を考えていると、コルベールがルイズに話しかけてきた。

「ミス・ヴァリエール、どういう事かわかりませんが、皆が起きる前に、この悪魔をなんとかせねば!」

そうだ、悪魔なんて、そんなおとぎ話にしか出てこないと思っていた存在だが。
悪魔を召喚する事はタブーとされている。
悪魔を召喚した事がバレた場合、一体どのような事になるのかわかったものではない。
だが、ルイズはその悪魔を、使い魔として召喚して、使い魔にしてしまったのだ。
だったら、その事を隠さなければならない。

「ですが、どうすればいいんですか?」
「どうすると言われても・・・・事情を説明するなりして、悪魔である事を隠してもらうしか・・・・」

その場合ルイズは、平民を召喚したと言われるだろう。
だが、今はそんな事を言っている場合でもないので、コルベ―ルの案にしたがう他ない。

「わかりました。・・・・ねえ、ちょっとあんた」
「あぁ!?」

ものすごく怒っているみたいだが、こっちは、未来やその他もろもろが掛かっているため、気にする余裕なんてものは無い。

「あんた、悪魔だって事を隠してちょうだい」
「なぜオレ様がそn・・・・」
354名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:23:22.26 ID:BTk1Eczr
殿下支援

最近のディスガイアじゃ後日談から登場だからレベル上げるの後回しになるんだよなー
・・・敵の時は散々苦労させてくれるがよー
355ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:23:40.86 ID:RStgJSe8
言いかけたと思ったら、いきなり黙り込んでしまった。
そして、こう答えた。

「・・・・いいだろう」

ものすごく嫌そうだったが、了承してもらえて一安心した。



ラハールが、なぜこのように答えたのかというと。

(異世界に迷い込んだと思ったら、変な契約を交わさせられた挙句の果てには、魔法や力の制限を受けている状態では何もできんではないか)

どうやってラハールの力を制限したのか、わからないが。
魔法や力の制限を受けてしまった以上、少なくとも、自分が魔王である事は、隠した方がいいのは確かだろう。

(しかし、ここは一体どこなのだ?魔界という事は絶対に無いだろうし、天界でもない、ましてや人間界という事も絶対になさそうだな)

ラハールがこう思うのは、魔界や天界なら人間がこんなにいるはずが無いし、人間界だとしても、人間界に魔力はほとんどない、それに比べて、ここは魔力があふれている。

(ならばここはどこだと言うのだ・・・)

そうして、考えていると、ピンク髪の少女が話しかけてきた。

「そういえばあなた、名前は何て言うのよ?」

自分の力を制限したであろう、人物にラハールは、さっきまで足を震わしていたのは一体どこのどいつだったか、と皮肉の1つでも言ってやろうかと思ったが、やめた。

「・・・ラハール様だ」
「ふ〜ん、ラハールっていうのね。これから私の使い魔として、よろしくね」

勝手にしたくせによく言う、と思わなくもなかったが、今の状態では、この世界で生きていく事は不可能だと思ったため、素直に言う事をある程度聞こうと思った。

「・・・よろしく頼む」
「そんな嫌そうに言わなくてもいいじゃない」
「誰のせいなのだろうな」

そんな会話をしていると、禿が横から話しかけてきた。

「話の最中失礼しますが、少し、あなたの左手のルーンをスケッチさせてもらっても構いませんか?」
「ん?これの事か?別に構わんぞ」
「それでは失礼して・・・ありがとうございます。他の物も、目覚めるようには見えませんし、あなた達はさきに、自分の部屋に戻っても構いませんよ。私は生徒たちを何とかしないといけませんから」
「はい、それではミスター・コルベール、お先に失礼します。行くわよラハール」
「オレ様に命令するな」

だが、付いて行くしか他に選択肢が無い為、言う事聞くしかないのだが。
そして、今までのゴタゴタを最初から最後まで空から見ていた者がいた。
それは、タバサという、トリステイン魔法学院の生徒だ。
ルイズが爆発を起こす、少し前に、その場を離れていたのだが様子がおかしかったので、召喚した竜に乗って、上から見ていたのだ。
356ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:24:46.71 ID:RStgJSe8
 
「・・・」

どう思っているのかよくわからないが、あまりいい感情ではないだろう。
ただの危険事物として見ているだけかもしれないが、よくわからない。
シルフィードにいたっては、さっきまで怖がっていたが、ルイズが何かやったあたりから、落ち着いている。
寮の方に消えて行ったのを確認して、自分も寮に戻っていった。



寮に戻ると、ラハールからの質問に答えていた。
ここはどこなのか、とか、なぜ自分が召喚されたのか、など。
上げていてのではキリがない。
だが、ルイズも気になっていたことなどがあったので、ある程度こたえた所で逆に聞いてみた。

「そういえば、ラハールは炎の魔法を使ってたけど、あんたって炎のメイジなの?」

これはとても重要な事だ。
今まで、自分の系統がわからなかったが、これによって自分の系統がわかるかもしれないからだ。

「メイジというのは知らんが、オレ様は他に、ウィンド系の魔法と、クール系の魔法、あとスター系の魔法が使える。もっとも、どれも初歩の魔法しか使えんのだろうがな」

スター系というのはよくわからないが、炎の他にも、風、氷などが使えるらしい。
結局、自分の系統がわかりそうにないと思ったので、別の質問に変えた。

「あんたって、どれくらい強いの?いや、さっきのを見れば、相当強いっていうのぐらいはわかるけど・・・」

少し思い出して、怖くなったのはここだけの話である。

「あんなもの、全開の半分も出していないぞ」
「な!?」

それは絶句もするだろう、あの巨大な火球を出したのに、あれですら本気の半分も出していないというのだから当然である。

「そ、それなら本気を出したらどれくらいなのよ」
「そうだな・・・あそこに山が見えるであろう?あれぐらいなら簡単に消し去れるぞ」

そういうと、窓の外に見える一番大きな山を指さし、そう言った。

「少なくとも、人間風情がいくら群がろうとオレ様の敵ではないな」

それはそうだろう、ルイズは知らないが、数百年前に魔界に来た、200万の宇宙艦隊を1人で壊滅に追いやったのだ。
それも、1人の死者を出さずにである。

(私って、本気でやばい奴を召喚しちゃったかも・・・でも、要望通りに強い使い魔を手に入れれたのは事実よ。私の言う事を聞きそうにないから、おいそれと力の開放は出来そうにないけど・・・)
「そういえば、お前はどれくらい強いのだ?お前も貴族とやらなら、魔法なりなんなり使えるのであろう?」

ラハールがそのように聞いた時、ルイズは答えるかどうか迷った。
これを言えば、ラハールに馬鹿にされないだろうか?
いやそもそも、ただでさえもいう事を聞きそうにないのに、これでもっと聞かなくなり、手
357ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:25:32.89 ID:RStgJSe8
を付けられなくたったらどうしようかとも思った。
だが、それではいけないと思い、覚悟を決めてこう言った。

「私は・・・魔法が使えないのよ。正確には、魔法を使っても爆発しか起きない。簡単に言えば落ちこぼれなのよ」

もっともルイズの場合、実践魔法を除いた座学ではほぼ学年トップの成績を収めているため、別に完全な落ちこぼれという訳ではないのだが。

「?たしか、使い魔の力=主人の力ではなかったのか?まあ、オレ様にビビっておったから半信半疑ではあったが・・・・」

そう言われて、次にラハールが何と言うか、怖くなったが。
一旦覚悟を決めたのだ。
何を言われても、我慢できる自信があった。
だが、次のラハールの言葉を聞いて、ルイズの心は我慢ができなくなった。

「ま、いいのではないか?お前はオレ様という、史上最凶の魔王を呼んだのだ。お前は誇っていいぞ・・・って、なぜ泣いておるのだ?」
「え?」

あまりの予想外の言葉に、泣いてしまったようだ。
今まで、誰かに認められた事などほとんどなく、ルイズの評価は大抵ろくでもないものばかりだ。
だが、それらの評価は本当の事なので、自分もその評価を何とかするために努力をしてきた。
それでも、現実とは非常なもので、ルイズの努力を嘲笑うかのように、魔法は失敗するばかり。
今回も、自分の実態を知り、ラハールは自分に何か言うのだろうと思っていたが。
まさか、自分を認めてくれるような言葉を言ってくれるとは思わなかった。

(何よ、そんな事を言われたらうれしいじゃない。本当に、嬉しすぎて涙が出るくらいにね。)

だが、このままではラハールのペースに持っていかれると思ったし、何よりパッと見自分より年下の男の子に言われたため。
こう言ってみた。

「何よあんた、生意気よ」
「・・・何か勘違いしておるようだから、言っておいてやるが。オレ様はお前の数百倍は生きておるからな」
「えええええええええええええええええええええええ!?」

という、主人の驚きの声が寮に響いた。



ここは、トリステイン魔法学院の学院長室。
そこへ、すべての後片づけをすませたコルベールが、真剣な顔で入室した。

「オールド・オスマン、少しお話が」
「わかっておる、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の事じゃろう?遠見の鏡で全部見ておったわ。おぬしがここに来るだろうと思って、ミス・ロングビルにも退出させてある」
「それではオールド・オスマン、あなたの意見を伺いたいのですが」
「ふむ、ヴァリエール嬢も随分と厄介なものを召喚したものよ。まさか、魔王を召喚するとは・・・」
「ええ、今はミス・ヴァリエールが力を封じていますが・・・おそらく、魔法だけでなく体術もかなりのもと予想できます」
「それは、「炎蛇」としての経験からかね?」

オスマンの言葉に、少し顔をしかめるが、すぐにこう答えた。

358ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:26:28.37 ID:RStgJSe8
「ええ、それにまだ本気ではないところを見ると・・・」
「ヴァリエール嬢共々、戦争の道具として使われる可能性がある・・・かね?」
「はい、あれだけの強さですから。それに、あの魔王だけなら、戦争なんてものに手を貸すつもりはないでしょうが・・・・ミス・ヴァリエールがどうするかはわかりませんからね」
「・・・ふ〜む、少なくともこれは、アカデミーや王宮の奴らに黙っておいた方がよかろう」
「そうでしょうね」

しばらく沈黙が続き、始めに声を出したのはオスマンであった。

「して、お主はあの魔王の左手の甲に現れた使い魔のルーン・・・・あれが何かわかるか?」
「いえ、それを含めてオールド・オスマンに伺うつもりだったので」
「あれはな、伝説のガンダールヴのルーンじゃ」
「な!?」

コルベールが驚くのも無理はないだろう。
ガンダールヴといえば、ハルケギニアでは神と並んで崇拝される伝説の偉人である、虚無の担い手の使い魔である。
それをルイズが召喚したとなれば、驚きもするだろう。
しかも、そのルーンが今付いているのは、あの圧倒的な力を持っていた魔王である。
元から強い者にそんなものが付いたとなれば、驚きを通り越して、もはや絶望物だ。

「まったく、ヴァリエール嬢も面倒な事を毎度毎度持ち込むが・・・・一気に2つもの面倒事を持ち込むとは」
「では、これも内密ということに?」
「それしかあるまい。それとじゃ、あの者はメイジという事にする。ただし、貴族ではないということにするのじゃぞ」
「何故ですか?」
「考えてもみろ、その辺の平民という事にしておいて、魔法を使ってみろ。確実に騒ぎになる。じゃが、メイジという事にしておけばある程度誤魔化せる。それに貴族という事にしたら、調べられたら一発じゃ」
「ですが、あの者の魔法は詠唱どころか、杖すらありませんぞ?エルフと勘違いをされでもしたら・・・・」
「その辺もなんとか誤魔化すしかあるまい」
「はぁ、では、その辺を話に行ってきます」
「ああ、頼・・・・いや待て、その者をここに呼んで事情を説明した方がいろいろよかろう。ただし、ヴァリエール嬢は連れてくるでないぞ」
「はぁ」

何故ルイズを連れて来てはいけないのかはわからないが、オスマンには、オスマンの考えがあると思ったので、一応そう反応したコルベールであった。

「それでは、連れてまいります」
「うむ、よろしく頼む」

そうして、コルベールは、ラハールを連れて行くために女子寮に向かっていった。

「う〜む、これからどうなるのやら、ガンダールヴの召喚・・・・何か恐ろしい事の前触れで無ければ良いのじゃが・・・・」

オスマンは静かにそう言うと、自分の使い魔である、ネズミのモートソグニルが戻ってきている事に気が付いて、こう言った。

「して、今日のミス・ロングビルの下着の色はどうであった?」

この老人にシリアス展開をさせると、締めはこうなる事はお約束であった。
359名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:27:55.12 ID:BTk1Eczr
ルーン効果ってディスガイア的には装備適正アップみてーなもんかしらねぇ支援
360名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:32:15.15 ID:w3G0FhTT
支援
361ゼロと魔王:2011/04/10(日) 21:32:36.61 ID:RStgJSe8
今回はこんな所です。
>>354 >>359 支援ありがとうございます。
たしかに、後日談から出てくるのでレベル上げが面倒ですね。
もっとも、一番好きなディスガイアの主人公なので、仲間にしたら速攻レベルを上げますけどねwww
ルーンの効果については、これから先の展開でわかります。
しかし、予告の時名前を入れるの忘れてた。
何かミスをしないと、俺は気が済まないのか・・・・
362名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:38:11.40 ID:BTk1Eczr

装備適正つーか、むしろマスタリー屋か

ぶっちゃけ俺4はデスコとベリルが居るだけで満たされるがね!!
あとはロザリンとサファイアがいれば・・・

>何かミスをしないと、俺は気が済まないのか・・・・
ミスは繰り返して直されるもんでさ
あっしは小ネタの後に名前消し忘れていたたまれなくなって、それっきりさぁ

デルフのアイテム界潜ってみてーな
363名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:41:26.68 ID:+aWklyBo
デルフ強化のためにアイテム界を駆け抜けるルイズか…胸が熱くなるな
364名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 21:53:49.69 ID:BTk1Eczr
今気が付いた・・・

アサギを召喚したら彼女一応SSの主人公になれるんじゃね!?

・・・ってことは召喚したら駄目だよな、アサギのアイデンティティを失ってしまうから
365名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 22:03:57.76 ID:RStgJSe8
いや、彼女のアイデンティティは、日本一ソフトウェア次回作主人公(仮)だから。
ルイズが召喚して、SSの主人公になっても
何も問題はないはずだ・・・むしろ、感動しているアサギを見てみたい
366名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 22:18:31.48 ID:BTk1Eczr
>>365
>むしろ、感動しているアサギを見てみたい
最終回で『これはゲームじゃない』と気づいてしまうんですね・・・
367名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 22:22:04.32 ID:wBX2OLp9
しかしアサギのことだから結局主人公からズレた立ち位置になっちゃう気がする
368名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 22:23:46.34 ID:RStgJSe8
>>367 ありえそうで怖いwww
369名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 23:33:51.73 ID:7OHEjgEB
このスレでの歴代デルフは「おい、俺を買え」以降はどんな運命をたどったっけ?
とりあえずラスボスでは使いにくいと判断されて代用品作られてたけど
原作以上に活躍する話は……あるかな?
370名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 23:45:10.85 ID:DJpsnyyp
>>363

魔剣良綱持ってアイテム界から出てきたルイズ(レベル1000オーバー)と魔改造デルフが普通に浮かんだw
371名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/10(日) 23:48:47.96 ID:+aWklyBo
>>370
アイテム界を駆け抜けるために投げられまくるルイズ…胸が熱くなるな
372名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 00:28:49.61 ID:YEV5VWwh
FF4のエッジに投げられるデルフとか
373名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 01:17:21.10 ID:DthKMMp/
>>369
ディセプティコン・ゼロだと
デルフがトランスフォームして活躍するぞ!
374名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 01:24:03.73 ID:5fMRIIJQ
ラハールの人乙

魔力が有るから人間界じゃない。って言ってるけど、地球勇者の人間界に無いだけで普通に人間界にも魔力有るよね。サロメ(生前はヒーラー)の所とか。
偽ゼノン前のヴェルダイムやアルマースの所でも召喚や魔界への転送が出来るし、魔法使いが居ても別段不思議じゃないな
375名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 01:53:15.39 ID:RlYeg65E
ディセプティコン・オデレータという名前は秀逸だったなw
作者氏には戻ってきていただきたいものです。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 03:31:58.29 ID:AdXBxnsX
FF11にグリフィンの毛皮と爪と紋章は登場したが
グリフィンMobはいなかったはずだが
377名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 05:07:12.33 ID:pPbL3YQ1
「俺を買え」以前に幻想殺しされたデルフとか、購入と同時に特製メスへと魔改造されたデルフとか居たな。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 05:58:02.90 ID:wVPBGMdU
>>374 少なくとも、ラハール達の世界の人間界は、魔力はたしかにあるけど
量が、魔界に比べて少ないと小説に書いてありましたよ
379名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 07:29:07.44 ID:aEM3P+MU
>>378
小説は公式として見ない方が…
1の剣技なら風車まででも十分いけそうだわ
次元断やっちまったらヤバいが
380名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 10:26:16.84 ID:c4b9jc3z
>>377
聖帝様は武器屋にすら行かなかった
381名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 10:43:18.47 ID:bxMXn3yU
>>369 ゴーオンジャーでは蛮機獣となって八面六臂の大活躍だぞ
382名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 10:52:27.34 ID:aEM3P+MU
>>378
と思ったら小説基準でしたね
失礼しました
383名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 10:56:52.86 ID:ZINgXGaX
大地ってなんだ
384名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 11:39:54.21 ID:4rb3xFoI
アブリアル列翼翔士は、まだ武器屋に行く前だしなぁ
385名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 12:12:59.68 ID:akDSNBT7
>>376
おらんね・・・
386名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 13:07:40.27 ID:io+dYFi5
前スレに投下された奴でまとめWikiに載らないまま流されたのが結構あるな
呪いの使い魔とかさ

気付いた人がやれとは言うが、あまり登録されないのを見てると、
嫌われてんのかな?って思ったりなんかしたり
387名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 13:35:13.79 ID:fG176F0x
犬夜叉のおすわり状態になっとるなw
388名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 15:00:14.26 ID:7YD7u++C
ビューティフルライフって、永久に人体の複製を作り続ける装置を、オリジナルの人間ごと霧亥がぶっ壊した話だよな
あの階層にいた女たちと重ねてるんだろうか

霧亥たちにとっては、ゼロ魔の世界も大差ないのかな
389名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 17:19:10.99 ID:hX8zM3sK
>>383
三沢くんいたの?
390名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 17:23:14.46 ID:hIoEc2hs
>>379
魔拳ビッグバンとかもやばいねw
391名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 17:25:01.58 ID:F/PdcZin
>>389
話しかけないでくれ・・・
俺・・・感情がねえんだ・・
392名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 17:26:26.99 ID:3fgyjvDO
ルイズが逆召喚されるのはあり?
小ネタではたまにあるけど
393名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 18:01:20.13 ID:YEV5VWwh
>>392
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1232512608/
やるならこっちがいいかもね。
地震怖いお…
394名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 18:47:58.68 ID:AdXBxnsX
このスレでいいとおもうぞ
確かだいぶ前にらきすたの世界に飛ばされたSSがあったはず
つかそのスレSSスレってよりも小ネタスレじゃねーか
395名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 19:10:49.76 ID:FU2UKh5m
不安なら避難所投下って手もある
396名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:28:20.08 ID:io+dYFi5
このスレだと作中でルイズ殺しちゃうってのはアンチ的な要素が無くても厳禁なのかね?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:34:07.86 ID:5fMRIIJQ
>>396
小ネタならわりとよく死んでるが
398名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:34:13.29 ID:OrHwpu16
>>396
そこまでやっちゃうのはここのスレでやる意味があるのか?って気がするぞ。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:43:58.38 ID:xTxrmh03
腐ってもヒロインだからな
400名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:45:19.06 ID:WdSLYhBX
>>396
召喚されたのにルイズたんに逆らうなんてもってのほか!!
とか騒ぐきもい連中が、そういうのを叩きまくったからなあ。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:46:54.52 ID:s0u70U2Y
>>396
静丘と繋がったり、ドラゴンボールで願いを叶えたけど暗い未来しか想像できない小ネタもある
402名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 20:56:03.23 ID:OrHwpu16
一応元ネタのメインヒロイン殺してアンチにならない二次創作
ってのはかなり難しいと思うが・・・
403名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 21:07:06.43 ID:h3VjgUbn
巨大隕石呼んじゃってハルケもろとも、なんてのもあったな
404名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 21:49:34.11 ID:I/l122rr
プロアクションリプレイ呼んでチートスペックなルイズになるというのもある
405名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 21:53:57.56 ID:oGe4EvVF
>>401
JOJOスレでの、プラネットウェイブス召喚の話が凄い怖かった…
406 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/04/11(月) 22:09:11.98 ID:dRJWhnqD
>>396
死んだとこからレネゲイドウィルスが発症するなり、スポーンになったりするなりするんなら、
別にいいんじゃね?

「ああ、ルイズが殺されちまった」
「なんてことするんだ、この人でなし」
とか毎回やるのはさすがにどうかと思うが。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 22:11:53.06 ID:eBbZXC0/
実はウルトラ五番目の人も第一話でルイズ殺しているんだよな。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 22:16:11.63 ID:fIMTBDck
生命はあってもヒロインとしては死んじゃったルイズもちらほら居るよね

ご立派だったり爆殺だったり
409名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 22:30:07.08 ID:iXAzurSL
>>386
萌え萌えの人も今忙しいみたいだし。誤字訂正もないくらいに。
他の人は当たり前だけど気に入ったのしかしないしね。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 23:20:08.60 ID:TpMS9VRP
ヒロインの定義ってのは別に主役の恋愛相手とかって訳ではないんだぞ?
411名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 23:24:06.34 ID:olhQ78wi
カリンちゃんとか速水厚志のことだな
412名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 23:24:34.22 ID:xTxrmh03
>>410
メーテルは鉄郎の恋愛相手じゃないしな
413名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 23:48:48.66 ID:Qx8PriRN
ヒロイン=ヒーローの女性形?
414名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/11(月) 23:53:55.57 ID:olhQ78wi
heroineだからその認識であってる
まあ女性でもヒーローって言われるキャラもいるんだが
415名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 00:03:17.92 ID:8fvqAdPk
おっと劇場版のラストで80過ぎになっちまった貧乏姫の悪口はそこまでだ
416名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 00:24:30.43 ID:FL+yRwum
昔ラッキーマンに、ヒーローに成りたいのに女だからなれないと思い込んでたキャラがいたな
417名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 00:47:34.05 ID:7vf3M+h9
BLAME!のも、召喚直後にルイズが死なないように霧亥は重傷状態にしたんだったか
普通の流れだと、それでも死にそうだけれど
418名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 01:01:19.81 ID:iqF7v4iE
スーパーヒーローになりたいな
スーパーヒーローになれば
419名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 01:54:56.16 ID:vVdm6XOh
はじめは誰もヒーローじゃない
違うかたちのただちっぽけな星なんだ
420名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 01:58:54.98 ID:NAckMxnL
待っていてもヒーローは来ない。だから、オレが守るって決めたんだ
421名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 02:37:18.97 ID:F4oRl0jz
何事もあきらめたら、そこで最終回。
キミの最終回には、まだ早すぎるよな?
422名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 03:20:25.13 ID:3TPrnmm2
何かこのスレは少しお堅い印象を受けるな
アレはダメ、コレはダメってのがちょくちょくあるような気がする
あと色々と原作設定との相違に細かいね

個人的には面白ければ細けえこたあいいんだよ!って感じなので
ちょっとここの住人との温度差を感じるなあ
423名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 03:50:21.12 ID:NAckMxnL
みんなもっと本気でかかってきて欲しい。
ここを訪れても何も書き込まずに立ち去ってしまう人、いると思う。
どうしてかな。すごくもったいないよ。
誰でも参加できるSSスレなんだ。ためらわずにどんどん書き込んで欲しい
ネタSSでも単発SSでもいいんだ。本気でかかってきて欲しい。

424名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 04:25:16.47 ID:pTXx+kkX
俺は重要な所でなければ設定のミスは両方の作品を雑に扱わなければ気にしない
どちらかと言うと俺が気になるのは口調とキャラだ
そこだけはしっかりつかんで欲しい
一応小ネタならキャラ崩壊もどんと来いって感じだな

まあ叩かれる原因が書き手の方にあることも結構ある気がするが
あとは多少の煽りや誹謗中傷をスルーできない人は2chでやるのはやめてブログとか他の所でやった方がいいとは思う
425名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 07:20:46.62 ID:2cNBBBrG
どうした急に
426名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 08:37:04.99 ID:BgYOFQHK
>>422
トリコから再生屋の与作をこのスレに召喚
与作「ならばそのルールを破る!」
427名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 09:21:53.52 ID:gUm+LzGo
シエスタの名前をシェスタにするのは許せんな
428名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 09:59:35.44 ID:U8KT6uHi
どっちも同じ言葉の表記違いだからな
片方使い慣れてると気付かず使うんだろう
429名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 12:18:34.49 ID:byke0UgV
ジョゼフをジョセフとか、ヴェルダンデをヴェルダンディとか?
430名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 12:39:39.76 ID:vVdm6XOh
とりあえずルイズのフルネームを覚えることからゼロ魔は始まるな
モンモランシーのフルネームを覚えられたら中堅
ベアトリスのフルネームを暗記していたら、まず一人前といえるだろう
431名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 13:26:31.13 ID:029bC8gT
俺の名を言ってみろ!

1.クルデンホルフ
2.クンデルホンフ
3.クルデルホルフ
432名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 14:12:28.99 ID:fayLWUtj
格ゲーの技かい
433名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 15:17:51.30 ID:t8UWSzjx
もうツンデレホフでいいや
434名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 16:11:03.23 ID:Qig9kp2c
もう元ネタのフランス語で書けよ

>>417
・召喚の直後に核融合爆発
・召喚のt「なぜなら、ネット端末遺伝子を持たない者の接触は、セーフガードを(ry」
・召喚後に寝起きの重力子放射線射出装置禁圧解除射撃連発
・契約後に顔の皮を剥がれて頭部を踏みつぶされる
・以下略

あげたらきりがないな
435名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 16:17:02.05 ID:n7vnFAiO
ルイズには福島原発を召喚して貰う。

学院の生徒は青白く光る美しい光を目にしてルイズを皆が褒め称える事になる。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 16:24:24.85 ID:+9cFT4q3
ベアトリス・イヴォンヌ・フォン・クルデンホルフ
魔法学院一年生、土系統、金髪ツインテールのツリ目ロリっ子
入学当時は家柄を鼻にかける初期ルイズ以上のやなやつ、人気をねたんでティファニアを異端審問にかけるも失敗
しかしティファニアに許されて和解後は彼女にデレデレのベタッベタになる
後に才人とマリコルヌが共謀してティファニアに恥ずかしいかっこうをさせたときはルイズと組んでおしおきをする
挿絵のボンテージ姿のロリ女王さまは至高

みなさんもっと彼女つかってss書いてくださいませ
437名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 16:26:43.63 ID:7vf3M+h9
そこまで放射能はひどくないはずだぞ
どっちにしろ、丸ごと召喚したんじゃ関係ないが
438名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 17:29:11.81 ID:byke0UgV
>>436
だって登場が遅すぎるんだもの……。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 17:41:58.34 ID:5c/magtX
クルホンデルフ
440名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 18:09:43.03 ID:vVdm6XOh
>>438
ウルトラ5番目では18巻登場のルクシャナがすでにメイン入りしてるぞ
登場時期の遅さなんてアイディアしだいでいくらでも変えられると思う
441名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 18:45:29.23 ID:iYcyTweU
テファ×ベアトリスもののSSが無い件について
442名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 19:07:46.13 ID:p7/tIMXd
>>431
なぜか五竜亭の騎士様を思い出した
そういやファンタジーRPGクイズキャラ召喚で
・いきなり召喚魔法で知らん地に呼び出された!
・使い魔になる事を迫ってくるピンクにどう答える?
・気障な魔法使いが香水を落とした、どうする?
のように話をクイズ形式で進めるのも面白そうだ
443名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 19:44:02.18 ID:iqF7v4iE
>>418
流石にカミタマンなんてドマイナーなネタには誰も反応しなかったか・・・・・・
444名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 20:04:06.35 ID:p7/tIMXd
よく分からんがボンボン系列の作品と見た
445名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 20:13:32.18 ID:pE5P+JtL
>>443
ネモトマン乙
446名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 20:17:13.77 ID:byke0UgV
>>440
総計140話くらいの大作を引き合いに出されても……。

と言うか、ベアトリスやイザベラあたりの他国キャラをすぐ出す(その上でストーリーに関わらせる)ためには、
召喚された直後にルイズをほっといて諸国を巡る旅にでも出ないとダメなんではなかろうか。
447名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 20:18:36.53 ID:9Uofe64c
>>443
名前と設定は知ってるが流石に観た事まではないからな……

>>444
ちなみに石ノ森章太郎原作のコメディ特撮な。「勝手に!カミタマン!」
448名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:15:53.86 ID:x66tEj2g
デルフリンガーの口調が何かムカつくんだよなあ
あの喋り方何とかならんのかね?
「おでれーた!」とか何処の方言だよと

デルフリンガーの出ない作品って何かある?
もしくは原作口調じゃない奴
449名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:18:45.55 ID:q7SQSUwy
>>448
まぁ驚きましたわオホホホホ、なんていうデルフとか斬新だな

読みたくないけど
450名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:33:47.52 ID:mAKpCWnH
デルフ「うわあ…これは使い手ですね、間違いない。なんだこれは…たまげたなあ」
451名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:37:16.51 ID:hX4HZEC0
>>450
誰が召喚されたかすぐに分かったわwww
……というか、その人でしょうもないネタ書いたことあるけど
今思えば実在の人物なんだから、無思慮な事しちまった orz
452名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:54:40.33 ID:vVdm6XOh
>>446
イザベラはタバ冒ですぐだせるとして、ベアトリスを序盤でだすのもそう難しくないと思うぞ
デルフ購入のとき街で出くわす、フーケに宝を盗まれた貴族として出してくる
ギーシュやモンモランシーに借金の催促の名目で嫌がらせにくる
オスマンが学院の経費の融資を得る代わりに飛び級で入学してくる

ちょっと考えた程度でこれくらいアイディアがでてきた
おれの頭でこの程度わくんだから、可能性はいくらでもあるだろうぜ
453名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 21:55:14.17 ID:fayLWUtj
「ぶほwww使い手でござるwwww」
454名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:00:41.39 ID:tSxjH2va
使い手殿wwほらwww月光www月光www
455ベルセルク 虚な火 1話 ◆GFCxRoPmpU :2011/04/12(火) 22:06:44.22 ID:D7FJHGFv
ベルセルクとの逆召喚クロスものをひとつ

トリステイン魔法学院
青々とした空の下、緑の草原のただ中、明朗ながらもやや強張った声が響く。
その声の主は少女。桃色の髪をした小柄な少女が短い杖を片手に神聖な言葉を紡ぐ。
それは、ハルキゲニアではよく知られた魔法の儀式である。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。」

すでにその呪文の詠唱は五回目を迎えていた。
精神を集中し、正しいワードを唱えるも少女の周囲に魔法による奇跡は生じなかったからである。
結果、ルイズを遠巻きに囲む同年代の少年少女の間にはルイズに対しあからさまな侮蔑を向ける者も現れた。
ルイズの教師であるジャン・コルベールはこの異常事態をどうするべきか思案したが、強い意思を示すルイズの直談判もあり再びの儀式を行うことを許可した。
五回目のサモンサーウ゛ァントともなればもう後がないだろうと誰もが感じとる。
場は五度緊張に包まれた。ルイズはワンドを持つ腕を胸に寄せ、大きく深呼吸をした。
続いた失敗にもめげず五回目の儀式を前にしてもルイズの集中力は衰えない。
疲労に負けるのは名門貴族としてのプライドが許さないからであろう。
数瞬の静寂の後、ルイズは腕を伸ばしサモンサーウ゛ァントの呪文を唱える。
そして前節の詠唱が終わった時、劇的な変化が起きた。
まず空に、今まで燦々と輝いていた太陽の一部がかけ、大地に黒い影を落とす。
ざわめく生徒達。けれど集中しきったルイズは周囲の変化などには気づかない。

「我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ!」

呪文は完成した。そして突如世界は塗り替えられる。
詠唱の終わりとともに太陽はその輝きを全く失い空に浮かぶ黒い円盤と化した。
加えてルイズの足元には無数の小さな顔のような紋様が現れる。

「な…なによ!?これ…」

詠唱を終え脱力したルイズはようやく異変に気づく。

「ミス・ヴァリエール!こっちへ来なさい!早く!」

コルベールは前代未聞の異変に動揺は覚えたが異変の中心と思われるルイズからは
目を離さず様子を伺っていた。そんな彼がルイズの名を叫ばずにはいられなくなったのは
ルイズの足元が異様な隆起を始めたからである。
456名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:08:05.32 ID:D7FJHGFv
もはや土でも岩でもない顔の塊としか言えない不気味な物体群がルイズの周りに広がりルイズを中心に隆起していく。

「きゃ…きゃぁぁぁ!?」
「今、行くから待ってなさい!」

コルベールは素早くレビテーションのスペルを描くと上昇していくルイズに追い縋る。
しかし、新たな怪異がコルベールの行く手を塞いだ。
ルイズを中心に強風が吹き荒れ瞬く間に巨大な竜巻へと変じる。

「ばかな!…」

竜巻が巨大なものとなるとルイズの姿はコルベールを始めとした学院のメ生徒達の視界から消え失せてしまった。

激しい風が渦巻く竜巻の内側でルイズは吹き飛ばされ意識を失っていく。
そのぼんやりとした視界の先にルイズは空中にふよふよと浮かぶ肉塊をみつけた。

「…気持ち悪い…なによあんた」

嫌悪感を覚えたが体が思うように動かない。顔を向けるのが精一杯だった。

「望まれし神、魔の源形」

その肉塊はそう答えた。

「…神?…なんだか知らないけど…何の…用?わたしは…使い魔を…」
「望むままを行え。選ばれし者よ」

肉塊が発した言葉をぼんやり聞き流しながらルイズの意識は途絶えた。


次にルイズが意識をとりもどしたのは薄暗い場所だった。
横たわった地面には土の感触がある。また、顔を
あげるとぽっかりと開けた空間から弱い光が差し込んでいた。

(洞窟?全くなんなのよ。わたしは使い魔を喚ばなくちゃいけないのに)

記憶が混濁しているルイズにこの状況を理解できるはずもなかった。
わけのわからない事態に苛立ちを覚えつつ、もぞもぞと動き出そうとしたルイズに人の声が届く。ルイズは動きを止めた。

「グリフィスを・・・そんな風に変えてしまった、おまえが許せない
なぜだ・・どうして・・・おまえでなければならないんだ」

聞こえてくるのは女の嗚咽混じりの詰り。目が闇に慣れてきたルイズには女と対峙している大柄の男の姿も確認できた。
共に半裸、しかも女は男の胸で泣いていた。
若い男女の情事?を目の当たりにしたルイズの頭は突然の衝撃にパンク寸前。

「あ、あんた達!神聖な学院で何してんのよ!」

ルイズは後先考えず、叫んでしまったのだった。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:09:49.94 ID:D7FJHGFv
ガッツは生まれてこのかた戦場しか知らない男である。そのためいかなる時も戦場の心得を忘れることはない。むしろできないと言っていい。
例え情事に耽る時であろうと危険を察知する鋭敏な嗅覚は活動を止めることはないだろう。
まして今のガッツは大遠征参加のさなかである。そして守るべき対象が目の前にいるのだ。
過敏な反応をとったことは致し方ない。

「なにしてるのよ!…って、きゃっ!?」

ルイズのあげた大声は直ぐさま悲鳴と変わった。
ガッツが振り向き様に投げたナイフがルイズの胸元を捉えたのである。

「突然背後に気配が現れたので追っ手かと思ったが…」
「…お前は…私を聞いて…いや…いい…それより家主だったりしないのか?今のは」
「さぁ?穴の奥までは一度確認してるが誰もいなかったぜ。つい条件反射しちまったな。
追っ手じゃなかったら運がなかったと思ってもらうしかねぇ」

鋭いナイフの衝撃を受けてルイズは仰向けに倒れた。体に突き刺さっていれば即死を免れない。

「ま、急所は外れたようだがな。そのまま動くな。声もだすな」

甲高い摩擦音とナイフの軌跡からガッツはルイズの無事を予測していた。
大剣を片手にルイズのすぐ側まで近寄る。

「なんだガキか、しかも女ときた」
「い…いきなりナイフを投げるつけるなんて…正気…?信じられない…」

ルイズは恐怖よりもただただ唖然と自分を見下ろすガッツを見上げる。
首筋には剣の冷たい感触が押し付けられた。
ガッツは突然の闖入者を観察する。桃色のロングヘアをした少女とおぼしき存在は武器は所持しておらず、
格好も小綺麗なブラウスとスカートといったいでたち。一見すれば追っ手には見えなかった。
年齢もガッツやキャスカよりは幾分下、リッケルトあたりと同じくらいに思えた。

「おい、お前は何しに来た?何で俺達に近づいた?正直に話せよ?こいつは飾りじゃねぇ」
「知らないわよ、気づいたらここにいて…その…あんた達が…いちゃついてたんだもの
なんだか頭にきて叫んだら殺されかけるし……あー思い出したらほんと頭にきたわ!」
「騒ぐなっていってるだろ。見たところ兵士じゃなさそうだが
一応確認させてもらうぜ。そのうえで生かすか殺すか判断する。まずは脱ぎな」
458名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:10:28.96 ID:D7FJHGFv
「相手はまだ子供だぞ。そんな必要があるのか?お前は少し気にしすぎだ」
「お前がこいつくらいの時にはもうグリフィスの下で剣を振ってたはずだぜ?
ここから脱出するのに後ろからぶすりなんてのはゴメンだからな。つーわけだ武器隠してないか確認する。脱ぎな」

ガッツの口調は本気だ。そこにやましい気配はなくただ純粋に武装解除の確認をルイズに要求していた。

「…こ…このバカ猿〜ヴァリエール公爵家のわたしを……貴族を…辱めようって言うわけ?
誰が従うもんですか!だいたいなんなの!?その勝ち誇った態度!?2対1だからって勝った気?
筋肉がすごいからって勝った気?
わたしがあんたの命令を聞くことなんてあんたが貴族で国王陛下で皇帝陛下でもない限り金輪際有り得ないんだから!」

互いに見上げ見下ろす位置関係は変わらない。少女の眼光のまっすぐさも変わらない。そのままガッツとルイズの睨み合いが数秒続いた。

「…止めだ」
「いいのかガッツ?」

剣をルイズの首筋から離すとくるりと踵を返すとガッツは穴の入口付近に戻っていった。
その様子をキャスカは不思議そうに見つめる。

「死が間近に迫ってるって時にただバカ正直なだけの奴に戦なんかできるはずがねぇ
よくわからねぇがそいつはただのバカだ」

ルイズ達に背を向けたままガッツは答えた。

「まぁ…私は別にいいけど。えーとお前今、自分を貴族と言ったか?」
「く…そこのバカ猿に加えてあなたもなんか失礼ね。
フン、学院の職員なんでしょあなた達?ならヴァルリエール公爵家のことは知って…」
「静にしろ…追っ手だ」

ガッツの低い声がキャスカとルイズの会話を止める。
ガッツの視線の先に二人も視線を移すとそこには武装した兵士が幾人も。
彼らはしきりになにかを捜しているようだった。
ガッツとキャスカは表情を引き締め互いに頷き合う。
ルイズとしても事態の成り行きから目の前の二人が追われているということは理解できた。
しかし、魔法学院で何故このような事が起きているのか自問するも答えは出ない。
運命の選択の時は知らず迫っていた。


終わり
459名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:15:50.55 ID:FvBd7uRO
駄文晒す前に死ねよ
460名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:21:41.15 ID:0nod6/Jj
投下する前にテンプレくらい目を通しなさいよ
461名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:25:09.01 ID:tSxjH2va
>>459
死ねは言いすぎだwやんわり注意しようぜ
462名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:28:15.70 ID:TBWYINyn
とりあえず、叩かれる可能性もあり
結構な数の人間にみられる場所に
ルールすら確認せず投稿できる感覚がわかんない
463名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:30:26.06 ID:vV9Bk12R
お隠れになって下さい
464名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:32:43.00 ID:4foHHs8s
>>434
セーフガードユニットが不正作出されたとはいえ、まだ人格も遺伝情報も残っていたシボにすら発砲したからな
統治局の代理構成体がダウンロードされたときなんか、問答無用で射殺しかけたし
中にロリ人格も混じっていたはずのモリのことですら、最初は置いていこうとした

・・・そうだ、BLAME!ネタなら「2244096時間後」とかやって>>436みたいなことすりゃいいじゃないか
465名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:41:22.90 ID:7vf3M+h9
「霧亥が召喚されてから30世紀が経つ

インテリジェンスソードも200年以上前に死んだ

もう1世紀以上人を見かけていない…

ネットスフィアは増殖を続けている」

bad end
466名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:49:17.24 ID:fayLWUtj
デルフは電池切れしたりしないのだろうか
467名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:54:06.59 ID:4foHHs8s
>>464
セーフガード「ああ、そうそう。言い忘れていたが、君が生前信仰していたブリミルは、我々から盗んだ技術で儀式を行っていたのだよ」
ルイズ「・・・・・・」
468名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:54:34.78 ID:4foHHs8s
>>465
469名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 22:54:50.61 ID:I5b9i1he
デルフはゴム動力だから大丈夫!
470名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:19:11.24 ID:vVdm6XOh
サイト「こいつの名はデルフリンガー、悪魔の実シリーズのゴムゴムの実を食った剣さ」
471名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:20:26.86 ID:Pfa75Ith
ゴルゴムの実に見えた俺はそろそろ寝た方がいいかもしれんな
472名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:40:33.56 ID:WOt72eQ8
光太郎「剣が喋った!?……ゴルゴムの仕業だ!」
473名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:41:51.57 ID:CRPUCPuq
ルイズが魔法を使えないのも?
474名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:46:06.68 ID:vVdm6XOh
光太郎「ルイズ、君が虚無の力に頼らず、一人で生きていくことは大変なことだ。
でも、そんな苦労を君一人だけにはさせない。ぼくも自分だけの力で生きてみせる」
475名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/12(火) 23:55:53.30 ID:HBYijW8x
ゴルゴムの仕業で片付けないのかよ!?
476名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 00:09:01.54 ID:5DCNMPky
デルフリンガー「ア……アリガトウ……サ……サイト」
477名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 00:29:35.66 ID:TujLEIn8
>>467
全裸で拘束されたルイズや、全裸に装甲するルイズが見れるのか

もうすっかり無表情無感動珪素基系だけど
478名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 00:58:16.59 ID:j5vKlaH+
>474-475
ウルトラマンタロウの方か。

あ、何か浮かんできた。


ケムール溶液で消えたと思われた宇田川警部が実は召喚されていた。

ルイズたちをケムールよばわりか。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 06:58:14.17 ID:dR8SOpZQ
投下する前に避難所に投下ってしといたほうがいいのかな?
480名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 07:43:50.50 ID:O1qeVT0q
答えを言うなら「必要ない」だが、
それより卿はしばらくROMった方がよいと見える。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 08:07:04.31 ID:1ajSKpJ0
卿って銀河帝国もといゴールデンバウム朝かよw
482名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 08:08:30.96 ID:zcgGAUwi
高貴ワロタw
483名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 08:42:12.10 ID:wJefR/Xk
プロージット!
484名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 08:53:22.40 ID:iqAcDRrm
BLEACHの石田雨竜を召喚した場合
石田「滅却師は弓矢以外の武器は使わない」
デルフ「俺の出番は?」
みたいなことになりそう
昨日のアニメED見て何となく思い付いただけだけど
485名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 09:25:16.64 ID:iH9pq0f9
投下の5〜15分前に「○○(元ネタ)の○○(キャラ名)召喚モノでやりやんす」
と、一言言うとか

小ネタでオチまで正体を隠したい時は「今から小ネタ投下します」とか


ま、どうでもいいことだろう
486名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 09:27:38.89 ID:eY0/soTE
>>480
それを言うなら「兄」…
「あに」にしか見えないなぁ
487名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 10:50:40.36 ID:wJefR/Xk
なんとなく月光仮面について調べていたらゼロの使い魔‐双月の仮面‐などというものを思い浮かべてしまった
まあ作品の知識はないけどね
488名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 11:33:41.78 ID:574mOZIp
意外とギャンブル作品のキャラってよばれてないのね。
まあアカギ喚んだら、ワルドとの手合わせだけで、
他作品の三倍文章が必要になるだろうけど
489名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 14:27:00.39 ID:IcJ6V5cc
>>488
カイジならあるな
490名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 15:32:35.55 ID:Jrfs3h4h
ギャンブルキャラね

「当然!正位置ィィーッ!」
491名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 16:39:41.95 ID:PAtPi/DQ
面倒と言えば、終わりのクロニクルの世界の中心
佐山御言を喚んだらどうなるんだろう・・・・
だめだロクなことになりそうにない。
それに作者の文章力がどれだけ必要になる事やら・・・・
492名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 16:49:44.76 ID:7JwvkIT+
仮面といえば


仮面ルイダー、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは改造人間である
悪の組織レコン・キスタに改造された彼女は、ベルトの風車に風力を与えることによって仮面ルイダーに変身するのだ!
「出たわねレコンの改造人間! ぶっとばすわよぉぉぉーっ!」
493名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 17:59:49.54 ID:CxekhJ3N
レコンキスタに体を弄られ復讐を誓うルイズ
「どうして胸はそのままなのかしら」
494名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 18:25:33.97 ID:o9mQ37SW
改造されても胸は無いのね。


………なんかがっかりしたようなホッとしたような。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 18:29:41.62 ID:O1qeVT0q
胸を改造していれば裏切られずに済んだものを…
496名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 18:29:46.65 ID:5fm0SZ3U
魔法も科学も万能ではない
人智を超えた現象には依然として無力なのだ
ルイズの胸を大きくすることはできない
497名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 18:45:32.85 ID:GeKPfIID
>>492
ルイズはレコン・キスタの次、その次とも戦い続けるんだな
498名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 20:36:19.06 ID:zhvWSkkx
>>488
そういや理想郷で馬鹿ップル召喚(ティファだったけれど)されたのあったな。
499名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 20:40:56.68 ID:w4aK4sO2
>>492
ライダーじゃなくてノリダーの方かよ。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 21:30:36.89 ID:uKk7NZwQ
そういえばDDFFやってて気づいたけどスコール召喚の
・ジョゼフにジャケットボロボロにされたから新しいの買ったやつはファーがついてない、最近スコール髪伸びた
ってのはKHバージョンのあれイメージだったんだなぁ

再開はいつごろだろう
501名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 23:09:21.94 ID:ZYaxPc6Y
>>488 海…サイッコー
502名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 23:12:08.74 ID:3j1cnjpA
>>501
違うカイジじゃねえかw
503名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 23:15:26.40 ID:5fm0SZ3U
鉤爪さんが召喚されたら教皇が小物にしかならないな
504名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 23:34:06.72 ID:06T7aNZQ
>>488
南倍南を召喚して使い魔の玄人について語ってもらうとか。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/13(水) 23:40:35.60 ID:EnN+dJ9Y
ウルトラシリーズの召喚を書こうと思ったけどウルトラの人がいるから恥ずかしくて出せないw
まー、Aへの変身というルイズ×ウルトラSSの中では極上級のネタの前に出せるウルトラネタなんてありゃしないか
続きに期待しながら大人しくROM専しておきます

要望が許されるなら、防衛チームOBをもう少し見たいです
出来れば、ハルキゲニアで
個人的にはイデさんが見たいだけですがw
506名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 01:18:32.34 ID:JbZg8G49
竜「わルど、背中がすすけてるぜ」
507名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 01:54:56.89 ID:N8VLVwTj
分の悪い方が大好きなベーオウルフとか・・・
508ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/14(木) 03:14:14.94 ID:rWX8EGum
3日振りくらいですかね?
誰もいなければ15:15くらいに投下します。
509ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/14(木) 03:14:58.82 ID:rWX8EGum
「食堂へ行くわよ」

キュルケとの一件で大分機嫌を悪くしたルイズの後を追っていたプリッシュが何処へ行くのかと尋ねると、彼女はムスッとしたままそう答えた。
それを聞いてプリッシュは昨日召喚されてから自分が何も口にしていないことに気が付いた。
途端にプリッシュの腹の虫が鳴き始め、彼女の体は完全に腹ペコモードになっていた。
ルイズが言うには、この学院の食堂は広く、料理も豪勢でとても美味しいらしい。
それを聞くと、プリッシュの口から思わず「じゅるり」と涎がこぼれていた。

食堂へ向かう道中、プリッシュはルイズからキュルケとの確執について説明されていた。
どうやら、キュルケの祖先がルイズの祖先の恋人を代々寝取っていたらしく、それを発端にこの両家は仲が悪くなったそうだ。
その因縁は今でも続いており、それに加え当人同士の相性もあってルイズはキュルケを敵視しているのだという。
プリッシュは適当に相槌を打ってはいたが、頭の中は食べ物でいっぱいだった。
その為、ルイズの話は右から左へと聞き流されていたのであった。

やがて食堂へ着くと、プリッシュの目には想像以上の光景が飛び込んできた。

まず目を引くのが、絶妙な火加減で焼かれた極上の肉。
ソースの匂いと混じり合った芳醇な香りが食欲を誘う。
そして、これまた絶妙な火加減で焼かれた上等な魚。
見た目は生っぽいが、匂いを嗅げばそれがちゃんと火を通したものだと分かる。
きっと口の中に入れたら、不思議な食感なのだろうと想像するに難くない。
それ以外にも豊富な野菜を使ったサラダに、色取り取りのフルーツ。
そして、多種多様なスイーツ。
正に豪勢を絵に描いたような光景を見て、プリッシュは目を宝石のように輝かせた。

「うおおおお、俺の胃袋も限界だぜ!!早く食わせろ!!」

その言葉が思わず声となって出ていた。
周りの生徒たちがそれを聞いてクスクスと笑う。
ルイズが恥ずかしそうな顔でプリッシュを睨み付けた。
しかし、プリッシュは気にする素振りも無く、席に座ろうとする。
それをルイズが制止した。

「ちょっとアンタ!ストップよストップ!」
「…?何だよ?」
「アンタはこっちよこっち」

ルイズが指差した方を見ると、そこにはパンとスープの入った小皿が地面に置かれていた。
パンは見るからに固そうで、色も良くない。
スープはほぼ水と言ってもおかしくない程薄く、完全に冷めている。
まるで囚人が食べるような食事であった。
それを見たプリッシュは顔を引き攣らせながらルイズに尋ねた。

「おい、ルイズ。まさかとは思うが、これって…」
「そうよ、アンタの食事よ」
「ぶっ!!」

プリッシュはずっこけそうになるのを何とか堪えた。
そして、済ました顔で席に座るルイズに抗議する。

「おい、いくら何でも目の前にこんなご馳走がある前でこれはねぇんじゃないのか!?」
「…アンタねえ、何か勘違いしてない?」
「勘違い?」
510ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/14(木) 03:15:42.28 ID:rWX8EGum
「本来ならここは貴族だけが入れる場所なのよ?使い魔が入るなんて厳禁もいいとこなの。ここに入れただけでも光栄と思いなさい」
「ま、マジかよ!?」

プリッシュは思わず頭を抱える。
プリッシュにとって食事とは何よりも好きな冒険に次ぐ楽しみなのである。
それなのにこの仕打ちとは、流石に想像さえしていなかった。
ショックも覚めやらぬ内に、ルイズたちが何やら唱和しながら祈りを捧げ始めた。
そしてそれが終わると同時に皆が食事を始める。
先程プリッシュの目を奪った極上の肉はあっという間に他の生徒たちの腹の中に収まっていった。

「あ〜…あ〜!!」
「うるさいわね、食事中は静かになさい」

ルイズが鶏肉をフォークとナイフで切り分けながら言った。
プリッシュは仕方なしにパンを一口頬張った。

固い。
味がしない。
パサパサしている。

次にプリッシュはスープを一口飲む。

予想以上に味気無く、冷めているから美味しいわけがなかった。

(…閉じ込められていた時だってもっとマシなもん食ってたぞ!)

プリッシュは次第に苛立って来た。
そして、とうとう立ち上がって歩き出す。

「ちょっと、何処へ行くのよ?」

ルイズの言葉を無視して、プリッシュはどんどん歩く。

(…ここにいたら俺はどうにかなっちまうぜ)

そんな風に思いながら、ルイズ一人を残して食堂を後にした。
そうして食堂を出たはいいが、これから何をすればいいのか分からない。
かといって、今更食堂内へ戻ることも出来ない。

「くっそ〜、腹減った〜!!あんなんじゃお腹いっぱいにならねぇっての!!」

愚痴愚痴言いながら廊下を歩いていると、見慣れた影を確認する。

「ん…?あれは、博士じゃねぇか?何してんだ、こんなところで?」

シャントットは何やら考え込みながら廊下をてくてくと歩いていた。

「おーい!博士ー!」

プリッシュが思わず声を掛けると、シャントットはすぐに彼女の方へと振り向いた。

「あら?プリッシュ。こんなところでどうしたのかしら?」
「博士こそ、こんなところで何してたんだよ?」
「わたくしはちょっと…それよりプリッシュ、随分苛々しているけど何かあったのかしら?」
511ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/14(木) 03:16:19.59 ID:rWX8EGum
そうそう、聞いてくれよ博士!!」

プリッシュはこれまでの経緯を身振り手振りを交えて説明した。

「…これこれこういうわけなんだよ」
「そうですの。お腹が空いた、ねえ…」

シャントットはじっとプリッシュの顔を見つめる。

「あなたは本当にお腹が空いているのかしら?」
「…?いや、もうペコペコもペコペコ、正に腹ペコマンボだぜ」

イマイチ質問の意図を飲み込めないプリッシュがそう答えると、シャントットは何やら考え込むような表情をしてブツブツと呟いた。

「元の世界の記憶を植え付けられた人形…。記憶がなければその体はただの器…。その記憶さえ曖昧…。果たして空腹なのは彼女の体か、それとも記憶か…」
「…?」
「彼女が空腹を感じたのはこの世界へ来た影響?それとも…」
「悪ぃ、言ってる意味がよく分からねぇよ博士」

自分の世界に入り込んでいるシャントットを見て、思わずプリッシュは首を傾げた。
共にコスモスに召喚されてから、それなりに長く付き合ってきた筈であったが、こんなシャントットを見るのは初めてであった。
シャントットは困惑気味のプリッシュを見て、一先ず考えることを止める。

「…失礼。今のは聞かなかったことにして頂戴な」
「…何か今日の博士は変だぞ?」
「ええ、確かに今日のわたくしはいつものわたくしではありませんわね」

そう言うと、シャントットは「オホホホ」といつもの高笑いをした。
そして、一言告げる。

「この先は厨房だから、そこで賄いを貰えばよろしいのではなくて?」
「おお、流石オバ…いや、博士だぜ!!じゃ、行って来るなー!!」
「プリッシュ!またあなたは…」

シャントットが言い終わらない内にプリッシュはその場から猛ダッシュで消え去った。
やれやれと肩をすくめると、再び一人になったシャントットはまたも考える。

(…わたくしもまた元の世界の記憶を植え付けられた、ただの人形。といったところかしら?それよりももっと気になるのは、
 仮初の存在でしかないわたくしたちがこの世界で何で存在し続けていられるのか…ですわね)

今ここにいるプリッシュもシャントットも実はオリジナルの存在では無い。
彼女たちは本物の記憶を元に作られた全く別の存在なのだ。
故に、記憶の相違や性格の不一致が発生する。
そのことをシャントットは二柱の神々が永遠の闘争を繰り返すあの世界にいる時から密かに気付いていた。
プリッシュはあの世界において、闘争が永遠に繰り返されていることには気付いていたが、この事実には気付いていなかった。

この大き過ぎる事実は自分の胸の中だけに仕舞っておこうとシャントットは思っていたが、この世界へ召喚されるとその考えに揺らぎが生じた。
仮初の存在である自分たちが何故この世界に居続けることが出来るのか。
シャントットは『虚無』の魔法にその秘密があるのではないかと睨んでいた。

(…プリッシュに刻まれたルーン、それにあの娘…まさかとは思いますが)

確信には至らない仮説。
だが、彼女の中ではそれが唯一の解答としか思えなかった。
シャントットは何かを思いつくと、そのまま踵を返す。

(まだ図書室の中で閲覧出来ていない本がありましたわね。さて…)

シャントットは先程コルベールから教わった学院内の位置関係を思い出し、歩を進める。
彼女が向かうのは学院長室がある方向だった。
512ヴァナ・ディールの使い魔:2011/04/14(木) 03:19:19.58 ID:rWX8EGum
今回はこんなところで。

ディシディアに登場するFFキャラはガーランドを除いて本人じゃない。
ということがストーリーとそしてレポートで示唆されています。
今回はそれを強調してみました。
ではまた。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 03:20:53.91 ID:2pr0lzWt
職場の先輩がブロリー召還SSを読んでたそうだ。
まさか身近にルイズに召還されました系を読んでる人がいたとは・・・
514名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 03:32:16.64 ID:DPKA0oBW
ウルトラマンなら過去に力を渇望して悪の道に進んでしまうところだったゼロならルイズと相性がいいんじゃないかな
というか名前からして適任
515名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 05:11:46.85 ID:biGFsx6q
ヴァナ・ディールの作者様。
夜分遅くの投稿、乙でございます。

次回も頑張って下さいまし。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 07:10:59.83 ID:0+FU+dGO
吸血姫美夕を召喚したら
実は学院の生徒達ははぐれ新魔だった!なんて
どんでもなおちになるんだろうか。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:11:42.44 ID:e5Uuet+b
DFFの設定ってぶっちゃけ制作者側の言い訳だよなあ
プレイヤーのイメージを損ねても本人じゃないから許してね的な
とは言え続編をプレイすると、設定の矛盾などの辻褄合わせは上手かった
518名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:18:34.06 ID:Ov1WF93x
即興で作ってみた
内藤を召喚
シエスタが臼姫
小ネタ
519名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:19:22.82 ID:/M9qF0Gi
本人じゃないならヴァナディールの名前出す必要も無いのではないかと思ったDDFF未プレイ者
520名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:19:29.94 ID:Ov1WF93x
「決闘だ!」
「ちょ、ちょっとギーシュあんたなにいってんの!平民が貴族に勝てるわけないじゃない!」
「いいわよ^^♪でもか弱い私じゃ決闘なんて出来ないから代わりに内藤が相手をするわ^^♪」
「ちょwwwwwwwwwwwww俺通りすがりwwwwwwwwwww関係ないwwwwwwwwwwwww」
「ブラックヘイロー^^♪」
「代わりに受けさせてくださいお願いします(キリッwwwwwww」
「つ、ついてきたまえ!」

〜〜〜広場〜〜〜

「僕はメイジだ!だから当然魔法を使う!」
「ちょwwwwwwwww」
「君は僕の杖を奪いとったら勝ち!君が負けを認めたら君の負けだ!」
「内藤アンタはさっさと謝って許してもらいなさい!」
「まwwwwwwwwwっうぃwwwwwwwwwwwwww「内藤^^♪」うぇwwwwwwwwいwwwwwwwwwww」
「何いってんのアンタ!?」
「ワルキューレ!」
「ちょwwwwwwwwwww何あのゴーレムwwwwwwwwww」
「僕の二つ名は青銅!土のドットメイジさ!」
「痛いwwwwwwwwwwパンチイテェwwwwwwwww」
「な、内藤!!!」
521名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:20:13.70 ID:Ov1WF93x
〜〜10分後〜〜

「wwwwwwwwwぼwwwwwwwwwすwwwwwwwwwwけwwwwwwwwてwwwwwwwww」
「ええい、早く降参と言いたまえ!」
「降wwwwwwwwwwwwwwwwww「内藤^^♪」えんwwwwwwwwwwwww」
「いでよ!ワルキューレ達!」
「ちょwwwwwwwwwふwwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwたwwwwwwwwwww」
「あらあら^^♪楽しくなってきたわね^^♪」
「内藤!ギーシュもうやめて!内藤が死んじゃう!!!」
「臼姫wwwwwwwwww助けてwwwwwwwwww」
「仕方ないわね^^♪ヘキサストライク^^♪」(ダンダンダンダンピキューンピキューン!)
「ボグェwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「なっ!僕のワルキューレが!」
「何やってんのよ!内藤も一緒に壁まで吹き飛んだわよっ!?」
「お仕置きの時間ね^^♪」
「ま、待ちたまえ!これは僕と内藤の決闘のはずだ!」
「うるさいわよ^^♪GM」
[±]<こんにちは。臼姫さんどうかしましたか?
「なんだあいつは!」「あいつの周囲陽炎みたいになってるぞ!」
「あのうるさい子お仕置き部屋に移送しておいてね^^♪」
[±]<彼はヴァナ・ディールの冒険者ではないのでそういうことは出来かねます。
「え?^^^^^^^♪」
[±]<ひっ、か、かしこまりました!直ちに!
「ギーシュが消えたぞ!」「なんだ今の魔法は!」

[±]<何故ここに呼ばれたかわかりますか?
「何のことだね!貴族にこんなことをしてただで済むと思っているのか!」
[±]<反省の色がないようですね。臼姫さんにでも着てもらいましょうか?
「ひっ、そ、それだけはやめてくれたまえ!後背中の剣かっこいいですね」
[±]<ありがとうございます。それではよい旅を!
522名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 08:22:24.42 ID:Ov1WF93x
内藤活躍してねぇ・・・後半内藤すらいなくなったし
謙虚な使いィ魔見た後で内藤だったらと妄想して書いてみた反省はしていない
523名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 09:30:12.99 ID:ZxZU4O4T
>>505
バロム1でやるんだ、或いはアイゼンボーグとかな。男女合体ならガ・キーンもあるぞ。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 10:50:26.59 ID:Dh/b7RCt
男女合体なら

釣りバカ日誌
525名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 11:20:24.50 ID:HCg7aDPa
才人が80に、ルイズがユリアンに変身するんじゃダメなわけ?
ジョーニアスとアミアとかもあるぞ
526名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 12:54:34.08 ID:KimzA+HB
男女合体なら…ゴーダンナー?
プラズマドライブの消耗的にベースごと喚ばないと駄目か
527名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 14:01:12.38 ID:PqF8Z5+d
>>525
どうもユリアンと聞くと、褌締めてて下敷き量産する人を真っ先に思いつくw
528名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 16:38:37.25 ID:HCg7aDPa
>>505
つか別にウル魔に遠慮する必要なんかないと思うが
あっちだって元は雑談から生まれた小ネタからはじまったssなんだし
529名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 16:58:19.93 ID:uej2o+0C
ユリアンは論外として、ギル召喚したらルイズは引くだろうか、喜ぶだろうか
530名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 17:04:51.22 ID:ekS1M+Wy
>>528
 最近更新ないけど、「ゼロの少女と紅い獅子」だってあるんだしねえ。
531三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:12:53.56 ID:ekS1M+Wy
 よろしければ、20分頃に幕間を投下します。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 17:19:15.57 ID:PqF8Z5+d
>>529
引くだろ、あのキカイダーみたいなカラーリング見たらw
……ふと思ったが格ゲーキャラが召喚されたら、ガンダ効果で常にゲージMAXで超必撃ち放題とかどうだろう?

>>531
待ってました!
533三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:20:46.48 ID:ekS1M+Wy
〜Extra Episode 流れゆく伝説〜

 ムジュラの仮面は、完全に追い詰められていた。
 紅蓮の炎も、高速の疾走も、連続の魔力弾も、眼前の少年剣士には通じない。どんな攻撃を
仕掛けようとも、この剣士はあっさりと活路を見出し、逆にこちらへダメージを与えていくのだ。

 歯が立たない。
 現状を表すべきその言葉に、ムジュラの仮面は内心唖然とする。たかだか12か13を数えた
ばかりだろう少年に圧倒されている事実に、屈辱よりも驚きが優っていた。それでも、相手の
強さへの恐れはない。そもそも、魔物、魔族は極端に恐怖心が薄い。相手が自分より強いと
しても、迷うことなく襲いかかるのがモンスターという存在だ。
 だから、今心にあるのは、恐れや怯えではない。

 宙を飛んで間合いをとり、ムジュラの仮面は鞭を剣士へと放つ。しゃにむに繰り出す鞭の
嵐は、しかし剣士の構えた盾に全て防がれてしまった。それどころか、こちらの攻撃の隙を突き、
剣士は弓矢を射てみせる。飴色の光を纏った魔法の矢がムジュラの仮面に突き刺さり、得も
いわれぬ激痛が全身を貫いた。

 その戦いの最中、ムジュラの仮面は一切の恐怖は感じていなかった。今まさに命の危機が
迫っているのだとしても、そこに恐れはなかった。

 あるのは、ただ妙な落ち着きだけ。

 視界に、剣を構えて向かってくる少年剣士の姿が見える。こちらが放っていたトゲ付きのコマを
避けながら、こちらへ突進していた。一方、ムジュラの仮面は剣士の放った魔法の矢のダメージが
抜けきれず、まだ動けそうにない。そして、次にあの剣士から一刀でも受ければ、恐らくそれが
止めの一撃になるだろう。

 それを理解しながらも、ムジュラの仮面に焦りはなかった。最早抵抗もできない身体では
あったが、何故だか心は静かだった。

 眼前で、少年剣士が刃を振りかぶる。それを見据えながら感じていたことは、ただこれで
終わるのだという、その一点だった。



 ムジュラの仮面程の力を持ったモンスターが、1度倒されただけで果たしてそのまま滅びるのか
ということに関しては、特に考えることもなく――



 戦いは終わったようだった。離れた位置からそれを確認すると、ムジュラの仮面を闇の封印から
解いた張本人、しあわせのお面屋は一息ついた。どうやら、あの少年剣士はムジュラの仮面を
子鬼から取り戻すという約束を守ってくれたようだ。
 見れば、その少年剣士は仮面を盗んだ子鬼や妖精2人とともに、なにやら談笑しているようで
ある。それを少し微笑ましく思いながら、紫の衣をまとったお面屋は少年たちの許へ歩み寄って
いった。ムジュラの仮面を返してもらわないといけない。
534三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:23:21.50 ID:ekS1M+Wy
 と、その途中で、お面屋は足許に転がっているものに気が付いた。少年に敗れたムジュラの
仮面が、無造作に放られていたのである。
――一応、ワタクシのものなんですがねえ
 思わず苦笑が漏れる。これが月の墜落騒ぎの元凶であることは承知しているが、伝説の呪物を
打ち捨てたままにしておくとはなかなかの罰当たりぶりだ。
 苦笑いまじりにムジュラの仮面に手を伸ばすと、今度は別の意味で驚く。
「おお、やはり仮面から邪気が無くなっている……」
 仮面を手に取りながら、我知れず声が漏れていた。剣に、古来より魔を追い払うといわれる
武器によって倒されたのだから予想はしていたが、実際に確認すれば驚きもする。それだけ、
この仮面は禍々しい力を発していたのだから。

 一方、その呟きで気が付いたらしく、少年たちがこちらへ顔を向けてくる。
「たしかに受け取りましたよ」
 言いながら、背負っている大型のリュックにムジュラの仮面をしまい、少年へ会釈した。
「さて、ワタクシは旅の途中ですので、これで……」
 これでもしあわせのお面屋はそれなりに忙しい。様々なお面を集めるため、東西南北を巡り
回らなければならない身だ。なので、約束の期限――少しオーバーしてはいるが――で少年が
ぎりぎりムジュラの仮面を取り戻してくれたことは、幸運であったといえる。リュックを軽く
背負い直し、お面屋は少年と子鬼の間を通っていった。罪の意識からなのか、子鬼がやけに
震えていたが、もはや終わったことだ。今更この子鬼を責める気はない。もう十分手酷い目に
あったようだし。

 しばらく歩いて少年たちから距離を取ると、ふと足を止めて振り返る。
「アナタもそろそろお帰りになられた方がよろしいのでは……?」
 静かに言いながら見据える先は、仮面を取り戻してくれた少年だ。
「出会いがあれば必ず別れは訪れるもの。ですが、その別れは永遠ではないはず……」
 緑の服にとんがり帽子の少年剣士が、僅かにはっとした表情を見せる。
「別れが永遠になるか一時になるか……それはアナタ次第」
 少年の眼を真っ直ぐ見詰めながら、そう言葉を締めくくった。この少年が、何かを探しながら
旅をしているのだということは、なんとなく察しが付いている。それは、恐らく過去の絆。かつて
別れた、誰かを求めてのものだということが、少年の眼から見て取ることができた。
 自分も古今東西のしあわせのお面を求めてさすらう身。求めているものこそ違うが、同じ何かを
探しての旅を続ける者として、ついこんな言葉を掛けてしまっていた。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 17:25:15.06 ID:PqF8Z5+d
ついつい読むほうに気を取られて支援を忘れがちな今日この頃w
536三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:26:58.20 ID:ekS1M+Wy
「では、失礼します……」
 そんな老婆心が我ながら可笑しくなり、誤魔化すようにもう1度会釈してその場を去ろうと
する。と、そこでまたも足が止まった。今度は、お面屋として気が付いたことがあったのだ。
「おや、アナタ随分たくさんの人をしあわせにしてあげましたね」
 言いながら、少年が持っているだろう幾多のお面の気配を探る。
「アナタの持っているお面にはしあわせがいっぱい詰まっている」
 言葉の通り、彼の持つお面は、人々の幸福の念で満ちていた。愛し合う男女の心、自分の
願いを託す想い、新たに拓けた道への希望、それらが少年への感謝という形で幸せを形作って
いる。
「これは実にいいしあわせだ」
 最後にそれだけ言い残し、今度こそしあわせのお面屋はタルミナを去っていった。

 それから少しばかり経ってのこと。森の中で、しあわせのお面屋は切り株に座りながら休憩を
取っていた。
「いやあ、あれは本当にいいしあわせでした」
 あの少年の持っていたお面のことを思い返しながら、呟いてみる。
「少し、惜しかったかもしれませんねえ」
 あれほど幸せの詰まったお面はそうそうない。1つぐらい譲ってもらった方がよかったのでは
ないかと、今更ながら思ってしまう。
「まあ、それも無粋というもの……」
 軽く頭を振って、その考えを打ち消す。あれらのお面は、あの少年への感謝が合ってこその
幸福で満たされていた。やはり、彼の許にあるのがあるべき姿だろう。

 それにしても、僅か3日間であれだけ人々に感謝され、幸福にしてしまうとは、今にして思えば
あの少年も凄まじいことをやってのけたものだ。
「まあ、だからこそこの仮面の呪いに打ち勝てたんでしょうがね」
 一人ごち、ムジュラの仮面を取りだす。伝説に謳われる程の邪悪で凄まじい力を宿していた、
伝説の仮面。事実、手にした時はその禍々しさに身の毛がよだった。それを見事に打ち破り、
邪気を祓ってみせたあの少年。彼が丁度ムジュラの仮面と関わることになってくれたとは、
僥倖としかいいようがない。

「さて、ではそろそろ行きますか」
 十分に休みは取れた。そろそろ出発しようかと腰を浮かせると、不意に違和感に気付く。空気の
流れが妙だ。普通とは違う、何やら奇怪な気配をすぐ傍から感じる。
 異様な雰囲気が周囲に漂う中、突然目の前の空間が揺らぎだした。それに驚く間もなく、揺らぎは
やがて形となり、銀色の鏡のようなものとなって顕現する。
「こ、これは一体?」
 突然の出来事に呆然としていると、うっかりムジュラの仮面を持つ手から力が抜けてしまった。
「あっ!」
 声を上げる間にも、ムジュラの仮面と鏡との距離はみるみる縮まり、やがてそれはゼロとなる。
刹那、再び空気が揺らいだ。銀色の鏡はムジュラの仮面を飲み込むと、みるみるしぼんでいって
しまう。
 そして、周囲の空気が静けさを取り戻した頃には、鏡は影も形もなくなっていた。その中に
取り込んだ、ムジュラの仮面とともに。
537三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:31:57.61 ID:ekS1M+Wy
「ああ、なんということだ……」
 折角取り返してもらったばかりの伝説の仮面が、また何処かへ消えてしまった。恐らく、先程の
鏡のようなものは大物モンスターを倒した時等に出現するワープ・ゲートのようなものだったの
だろう。ムジュラの仮面の2度目の喪失に、しあわせのお面屋は天を仰ぐ。
「またあの仮面が野放しになってしまうのか、邪気が無くなったとはいえ、魔力はまだかなり
残っていたというのに……」
 口にする声に、懸念が滲む。そう、ムジュラの仮面は確かに邪気こそ失われてはいたが、
それでも魔力の方はまだまだ強大と呼べるレベルだった。魔物の中でも特に強力なものは、
ただ倒すだけでは蘇ることがあるのだ。某大魔王や、某風の魔人等がいい例である。

「これはとんでもないことになってしまった……」
 邪気はなくても、あれだけの魔力があるなら悪用されれば、また恐ろしいことになる
だろう。
 しかし、そこでふとお面屋は考える。
「正しい使い方ならば、どうなるでしょうか……」
 顎に手をやり、思い起こす。先程の妙な鏡、あそこからは少なくとも邪気は感じられなかった。
誰がなんのために開いたゲートかは判らないが、あれを開いた者に悪意はないと見ていいだろう。
 ならば、と、しあわせのお面屋は何処の誰とも知らない相手に語りかける。

「ムジュラの仮面を持っていってしまった誰かさん。その仮面の力は、恐らくアナタの想像を
遥かに超えているでしょう」
 虚空を見据えながら、お面屋は言葉を続けた。
「ですが、それは今や災いを招くためだけの力ではないはず……その力が世に仇為すか、それとも
しあわせをもたらすか、それはアナタ次第……」
 もはやことは自分の手を離れてしまった。それならば、自分にできることは、この言葉を託す
ことのみ。
「自分の正しいと思ったことを、信じなさい……信じなさい……」
 それは、半ば自分に対して言い聞かせる様なものだった。恐らく届いてさえいないだろうその
言葉は、祈り程度の意味しか持たないかもしれない。
 それでも、今はこの言葉に全てを込めるしかなかった。しあわせのお面を求める自分が手に
入れた、あの伝説の呪物が、今度こそ世に幸福を与えてくれる。その願いとともに。

「でも、後でちゃんと返してくださいね」

〜Extra Episode Fin.〜
538名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 17:36:22.59 ID:PqF8Z5+d
投下乙です

>邪気はなくても、あれだけの魔力があるなら悪用されれば、また恐ろしいことになるだろう。
変なフラグが立ってるような気がw
539三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:51:15.06 ID:ekS1M+Wy
 以上、今回はここまでです。幕間なのでかなり短いです。
 >>532>>535の方、支援ありがとうございます。

 さて、今回はムジュラの仮面の召喚状況の補足でした。ナビィと才人とは違い、
こいつだけ気絶した状態で召喚されましたので、邪気抜けとパワーダウン状態の
説得力付けも兼ねてということで。

 ついでといってはなんですが、ここでこの物語について少し書かせていただきます。
はっきり言って、この話はゼル伝シリーズとのクロス系のタバサ×才人ものです。
 以前このスレ似合わない気がすると仰っていた方、確かにそうかもしれませんが、
「ゼロの使い魔」よりルイズがシルフィード召喚ということでどうかご容赦を。

 基本的に自分がタバサと才人両者のファンであるためにゼロ魔のssはタバサ×才人
ものが好きなのですが、良質なタバ才ssは大抵更新が凍結してしまっているので、
自分で始めてみることにしました。また、ゼロ魔とゼル伝とのクロスもやりたかったが
ために、このスレで。

 そして才人を出すのだから、召喚されるキャラは才人を主役としてたてれる奴にしようと
考え、サポートに徹するキャラ、つまりデルフと似たような立ち位置のキャラを召喚する
ことにしました。
 それで基本的にアドバイザーなナビィと、単独戦闘も可能だけれど装備される方が映える
ムジュラの仮面に白羽の矢がたち、「三重の異界の使い魔たち」の誕生となったわけです。

 長々とあとがきにつきあっていただき、ありがとうございました。
 次回はシルフィード視点からのスタートです。
540三重の異界の使い魔たち:2011/04/14(木) 17:55:16.81 ID:ekS1M+Wy
 >>538の方もありがとうございます。すいません、あとがきを書いていたために
気がつきませんでした。
541名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 18:08:32.13 ID:6BJM21rB
信じなさい…信じなさい…
542名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 18:18:46.39 ID:PqF8Z5+d
>>539
翼竜人や吸血鬼とかの話も期待してますよ
……そういえばデルフの出番は殆どなさそうだな、この作品w
543名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 22:14:26.04 ID:HCg7aDPa
乙でした
ゼル伝は夢を見る島しかクリアしたことないけどリンクの活躍が目に浮かびました
544名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/14(木) 23:49:35.65 ID:WjgAc+yk
>>543
夢をみる島は結局、リンクがあの世界の破壊者なんだよな・・
545名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 00:57:34.56 ID:c8q2+lFL
>世界の破壊者
おのれディケイドォォォォォォ!
546名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 01:39:12.80 ID:d8iSY7EA
『ぼく、オタリーマン』『理系の人々』からよしたに先生を呼んだとする。

 ネットにつなげないと原作のサイト以下。
 ただ『くぎゅ声の女』にののしられる点だけが原作と変わらない、エロパロ板の大人才人の超劣化版。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 07:23:58.93 ID:2IzxuJHB
夢を見る島→本当に夢の中の島だった→リンクが夢の主を起こして消えてしまう。
という結構切ない話。

そしてリンク・切ないで思い出したが、リンクの冒険の漫画で怪我した少女をおいて先に進むんだが、戻ってきたら木になってたって話があったな。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 08:58:45.74 ID:z1zLhDoM
世界から悪夢を消し去らなければずっとみんなと一緒にいられるという選択もあったんだけどね
ゲームのエンディングと物語の終わりをかけたメタなネタ
549名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 12:06:49.19 ID:fguEcXA1
ノーコンティニューだと最後にちょっと救いがあるんだよな
550名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 12:45:00.25 ID:/qR2s41N
>>549
え、マジ!?
551名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 15:31:18.37 ID:PmvbSNOF
>>546
大人才人ってアレ
魔改造才人が原作キャラにSEKKYOUしつつ作者の俺SUGEEEE知識をダラダラ垂れ流すだけの代物だろ
ぶっちゃけエロがなければそのへんの最低系となんら変わらん
552名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:27:11.36 ID:XxZr8oa4
エルザの言い分を聞くたびに
妖怪くされ外道と相対したらどんなリアクションになるのか
気になる・・・
553名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:49:13.54 ID:z1zLhDoM
ミギー「要するに、人間サマにゃかなわんってことさ」
554名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:50:00.74 ID:BOmSpVKo
>>553
さぁ続編を作る作業に入るんだ
555名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:54:23.99 ID:LrR27vcp
山岡さん「一週間まってください。本物の血液スープを飲ませてあげますよ」
556名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 22:56:14.46 ID:ZB3nh56O
美味しんぼでやったかどうかは知らんけど、確か本当にあるよね血液スープ
557名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 23:02:30.15 ID:hmoTSGvW
ギャオスに飲ませた人工血液もあるな
558名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/15(金) 23:59:50.90 ID:516llkZu
つスティグマ
559名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 00:26:56.28 ID:9Kkr5yyx
食べるためか…デビルマンにジンメンっていたなぁ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 02:11:39.75 ID:arsoI8S/
>>558
風の聖痕思い出して微妙な気分になったぞ・・・
561名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 03:45:03.34 ID:pNT6fb7/
召喚と言ったら悪魔、悪魔と言ったら魔王、魔王と言ったらヘルズウォーリアー魔王
562名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 03:59:48.85 ID:Nx+NQcrL
風属性の攻撃が無効な使い魔を召喚したら、ワルドがワンピースのエネルみたいな顔芸をしそうだな。
563名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 04:15:36.87 ID:K2SMhN59
とりあえずジャッキー・チュンを召喚してワルドに涼しい風をプレゼントしてあげちゃおう
564名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 06:28:47.33 ID:T+t4NCHa
呼ばれたのがSage2の剣系統モンスターだったら楽しそうなことになりそうだな。
565名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 08:11:49.14 ID:JOxpIktY
血液料理……鉄鍋のジャンであったな。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 08:47:57.95 ID:9J1ODAqG
Sage2ってどんなゲームやねん

つーかそのものズバリでデルフリンガーってモンスター居なかったかあのゲーム

・・・むしろ武器屋にデルフとうらみのつるぎが同居してて・・・
567名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 09:45:01.49 ID:0f6JPzJq
ハルケの吸血鬼は成分が血液に近けりゃ汗でもいいって、牛乳飲んでりゃ問題ないんじゃね

「殺したら喰え」「喰うなら残すな」がモットーな鍋大将・八牧のくまさん
568名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 10:07:41.78 ID:afg8sRCq
カリンちゃんの搾乳と申したか
569名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 10:19:47.99 ID:Zq/sT02b
サイトは デルフで ワルドをこうげき
クリティカルヒット!
ワルドは しんだ
570名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 10:33:56.79 ID:Zq/sT02b
サイトは デルフをかまえた
ワルドは かみなりぐもで サイトをこうげき
サイトは いなづまにつよく なにもおこらなかった

ワルドは へんざいを となえた
ワルドがふえた!
ワルドがふえた!
ワルドがふえた!
ワルドがふえた!

-------------

サイト
しゅぞく:にんげんおとこ
デルフリンガー
エーケー47
ゼロせん
タイガーせんしゃ
パーカー
ガンダールブのいん
もうそうりょく
×きょにゅう

ワルド
しゅぞく:エスパーマン
フルーレのつえ
はねぼうし
エアカッター
ウインドブレイク
エアハンマー
かみなりぐも
へんざい
×ょぅじょ
571名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 10:57:15.66 ID:aHyU3czk
ワルドがふえた
572名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 11:09:48.19 ID:vbo/GuuJ
ワルドは目を離すとぞこぞこ増えるからなぁ。月夜の晩に殴り合いを始めて、朝になると一人増えているとも聞くし。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 12:02:13.72 ID:GgfY4MSw
>>567
ちゅーちゅーが一番良さげだな
574名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 12:21:27.69 ID:f4GnAF66
バカ殿とご家老とお側役を召喚
575名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 15:14:05.55 ID:/Dcnh5Ec
乳と血液の成分は基本同じだしな
576名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 16:42:50.48 ID:T+t4NCHa
>>566
秘宝伝説にはいなかったはず。
でも無印だとLv11の剣系統は竜巻できるので
遍在されても全体攻撃ががが。

ただのデルフならWizのシナリオ3にいたはず。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:06:08.65 ID:IKiC7dan
ストームブリンガーあたりと混同してるんじゃないのか
578名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:23:49.93 ID:xQuc2LX1
>>562
風使い系召喚ですね解ります
風の聖霊王と直接契約したバケモノとかも居るけど人格破綻者だしなあ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:30:04.44 ID:ZEM5I3ru
テルフィンやテルヴィンやテルファングと言っても分からんだろうなあ
580名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:32:53.26 ID:Zt41ZP3V
デルフィンなら大航海時代作ってます。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:44:24.39 ID:RvqDbqVQ
ヴィンランド・サガのトルフィンを召喚とか。
アシェラッドが死んでからの腑抜け状態なら何でもやりそう
582名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:50:30.47 ID:ZkXe+PEK
>>578
>>風使い系召喚

風の魔装機神とその操縦者を召喚するも、極度の方向オンチの為
一方通行のはずの 召喚ゲート入り口と出口の間ですら道に迷って、いつまでたっても到着しない?
とういのが頭に浮かんだ。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 17:51:49.80 ID:0f6JPzJq
奴隷という境遇が苦になってないからなあ
香水の件ではギーシュに平謝り、フーケの件では……おマチさんには蛇ほどの凄味がないからそのまま殺されそうだ
584名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:06:14.35 ID:4+cj8EHK
>>574
アンリエッタ「おかえりなさいあなた。ごはんにする?それとも寝る?」
585名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:08:20.43 ID:2kBecVAU
>582
ここで風使いシモンとかいって何人わかるだろうか。
マガジンの某風使いと違って、派手さは無いが渋い戦い方してたな。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:26:01.90 ID:Boj2VKb4
>>582
あれも地上とラ・ギアス間ゲート自在に開けるからハルケギニアと元の世界を自由に行き来しそうだな
587名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:32:44.05 ID:PBw9i1ZJ
風使いってあれかな。闇狩人の作者書いてた奴かな。
マガジンのほうも派手で好きだがw
588名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:51:15.44 ID:zyHVzkJv
アンリエッタ「おかえりなさいあなた。前にする?それとも後ろ?」
589名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 18:54:42.50 ID:XW/eqPDx
牙からゼッド召喚してアミルさんに風でワルドを吹き飛ばしてもらいましょう
590名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 19:07:11.89 ID:puXxznke
風使い。
つFEのマリク
つ神奈子
つ早苗
つかのぷー
591名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 19:16:59.62 ID:HzC70cIR
>>585
そんな闇狩人の作者が書いてた昔の漫画なんて覚えてないなあ
592名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 19:54:21.99 ID:TNpF/Gvo
>>586
そういうの多いよな

世界の間だろうが個人でほいほい移動するやつ
どうしろと
593名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 19:57:44.13 ID:wDINZMW7
マサキのライバルの某造作もないとかだな

ラスボスだとテファのとこに呼ばれたからうまくいってるけど
呼んだのがルイズだったら確実に最大の逆鱗に触れて死んだほうがマシな目にあわされただろうな
594名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:12:50.40 ID:wysw+mVh
>>593
確か小ネタで召喚されてたな
直接的に酷い目には遭わされなかったけど、地球(というか他の世界)との繋がりを絶たれ
もう絶対召喚できなくされて、結果的にハルケギニアオワタww
595名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:26:56.84 ID:IUd47bvy
風使い? ムッツリのサスケ?
596名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:46:30.48 ID:RvqDbqVQ
俺の中では風使いと言えば忍空の風助が真っ先に思い浮かぶ。
好きなんだが更新止まってるんだよなぁ

あと、ドラえもんでふしぎ風使いって映画もあったね
597名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:56:25.44 ID:CPap+giD
 風使いといえば、風のタクトを持ってる某風の勇者。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 20:59:30.03 ID:f4GnAF66
アンリエッタ「じい、布団ひけ」
599名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:02:52.44 ID:nQx2XQPA
デッド・ロンフーン!
600名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:07:01.78 ID:9J1ODAqG
シュウもいくらなんでも事情を知らないモノ知らずの子供相手にいきなり縮退とかブラックホール食らわせるほどじゃあるまい
ありがちなパターンで気絶中に契約されてたら精神コマンド使用の上でぶっ放すだろうが

風といえば黒いほう・・・
ルイズがバルゴラ召喚して契約したらスフィア所持者に
直後にアサキム登場

アサキム「まずは君の身体に痛みと恐怖を刻み込む」
ルイズ「嫌ァァァァァァァ!!!!助けてェェェェェェ!!!!」
コッパゲ「駄目だ、この距離では間に合わない!!」

>>576
>>577
サンクス、俺の勘違いか
でもどっかにデルフリンガーという剣タイプのモンスターがいたような気がする・・・
なんのゲームだったか
601名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:19:18.29 ID:aHyU3czk
シュウはヒーロー戦記でマ・クベを洗脳して死んだと思いこませ、半年は廃人になるとかサラリと言っていたなあ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:31:48.61 ID:wDINZMW7
普通の状態なら事情を魔術で聞きだして放置してどっか行くだろうな
まあ自分を使い魔にしようとして呼び出したなんて知った時点でかなり命がヤバイと思うが

というか、あの皮肉屋と癇癪持ちで情緒不安定なルイズじゃ相性最悪だろ
603名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:45:51.17 ID:PoTaLH83
アニメ版デスザウラー召喚しようぜ。最終的にデス様のゾイドコアと融合。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 21:48:03.68 ID:pNT6fb7/
風のヒューイ
605名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:00:29.94 ID:18EjVdih
>>603
最終的になぎはらえーになるな
606名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:12:38.54 ID:TBUcUYQh
風使いなら、男子高校生の日常からヒデノリだろう
スカした言葉を飛ばしてくれるに違いない
607名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:17:27.51 ID:9B0IYPhB
相性悪い風使いよりも相性良いと思う人を語ろうべー

東京アンダーグラウンドのルミナは……あの二人で手いっぱいだしなー
風…風…風…スカイライダーを召喚しよう!

わけが分からん状態でも女の子を慰めるぐらいはやってくれるさ!
608名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:28:28.77 ID:aHyU3czk
そういや風風言ってるのにナウシカを忘れてたな。呼ばれたら死んじゃうけど
クシャナ殿下のおぞましいものを見てみたい
609名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:33:34.03 ID:GgfY4MSw
>>608
小ネタで即死してたなw
610名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:52:14.65 ID:Zt41ZP3V
風……いなかっぺ使い魔か。

風の又三郎や北風小僧の寒太郎、かぜこんこん……
611名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:52:30.19 ID:Ih30FDzi
クシャナってタバサの元ネタの一つだよな。境遇が同じ。
身内の権力争いで毒を盛られる→母親が庇って飲む→母親狂う→復讐。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 22:54:23.36 ID:lM5y3Lrr
風使いならギトー先生召喚しようぜ
613名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:01:09.50 ID:aHyU3czk
>>611
あと母親が人形を娘と思い込んでいてクシャナが来ても盗人と思われるとこもそのまんまだなあ
614名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:11:16.11 ID:v92ntQtv
>>600
真女神転生にデスブリンガーって武器があったな
元ねたはストームブリンガーだと思うが
615名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:18:04.31 ID:VZhSNp7S
>>611
ジョゼフは土鬼の皇弟ポジションとか?
タバサが上半身だけで内臓デロデロのジョゼフを引き回すのか…

>>589
爽やかな風が吹くなw
616名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:23:28.63 ID:MfHAVAEP
マガジンの風使いってコレかな?
http://comics.yahoo.co.jp/kodansha/takasita01/kazetuka01/shoshi/shoshi_0001.html

偏在こそ使えないけどワルドよりも強いんじゃね?
617名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:26:29.67 ID:f4GnAF66
爽やかな風か、ではキタキタに再登場も記念して吹かそうか

ギップリャーッ!
618名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/16(土) 23:47:49.79 ID:1l0+yK6i
あの作品のキャラが遠坂凛に召喚されました
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1302946850/l50
619名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 00:48:13.54 ID:vkSH2O+5
>>606
少女はタバサでぴったりだな
620名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 01:17:57.70 ID:laHLbQID
>616
うん、そいつ。
でも、風使いとは名ばかりのバスタードの魔法使いなので。
本気だすと、山の1つや2つといわず。40q四方が更地になる。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 02:24:46.56 ID:jwLVKrSD
>>386
そのあたり昨日登録されたぞ。誰も登録しないヴァナディールとかも。


……ところでいくつか抜けてるのはスルーされたってことでOK?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 03:10:08.92 ID:vMdVbIy3
しっ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 07:30:45.18 ID:mTuo9Yac
>>619
今日は風が騒がしいな……
624名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 09:12:04.19 ID:duEcghq/
>>623
でも少し…この風…泣いてます…
625名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 09:46:29.29 ID:H6b/s6Vt
吼えるように大泣きするタバサか・・・・良い
626名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 10:07:25.73 ID:qVFCoyLH
>>579
庄司は続き書けよな……
ヤマモトヨーコは奇跡の復活果たしているけどさ……
627名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 11:59:07.88 ID:/9jUwwqf
>>600
人生の方向音痴からしたらスフィア使えてないのは殺す価値も無いみたいだし
そうすぐにはやられんだろw
628名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 13:33:38.93 ID:kIohfROm
風使い、か。
幽遊白書の陣も忘れないでください。
ダブルクロスから八坂十字、とか。
629名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 13:34:30.08 ID:h4TUUHc9
風……FE聖戦の系譜から最終戦後のレヴィン(フォルセティ)を召喚とか妄想
虚無の血統がロプトウスの血筋だったりしてなw
630名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 13:36:09.01 ID:2i8VbJ48
風使いなら真・三國無双シリーズの?統も一応風使いだぞ
631名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 13:59:14.78 ID:+TW0TI4u
エアロハンドの金剛さんを忘れるとはなんたることか・・・っ
632名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 14:04:07.59 ID:kKV7v6nH
エアマスターのマキを召喚
武器を使わず体術だけで戦うのでデルフ涙目
ああ、ギーシュが瞬殺されるのが目に浮かぶ
633名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 14:07:26.88 ID:VHmGKgXt
そう言えば、シロッコはある種の季節風なんだよ。

>628
他にもいるだろうに、よりによってそいつかwwwww
ブラストハンドは風と言うより空気だが。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 14:53:51.56 ID:w1WnKcxY
デブの魔人ブウも息吹きかけただけで
街が壊れてたな
デブブウが召還されたらもの珍しいからルイズは喜びそう
635名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 15:05:32.09 ID:+TW0TI4u
ワルドやレコンキスタの悪意に影響されてガリを生み出すんですねわかります
636名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 15:37:15.34 ID:X3na5mne
虚無の使い魔が全員ブウとかも面白そうだな
637名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 15:42:07.68 ID:kIohfROm
つーかルイズはブラストハンドみたらどう思うんだろうか。
爆発がメインの能力だと、色々ルイズの痛いところをつきそうだ。
638ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2011/04/17(日) 16:41:06.11 ID:NEWq4PLp
皆さんこんにちは、今週は特に問題なく次の話の投下準備ができましたので、これからはじめようと思います。
ほかの方と予約がかぶっていませんでしたら、いつもどおりにさるさん回避で10分おいて16:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。

>>317の方、細かく読んでくださってありがとうございます。
ストーリー0は全巻揃えてまして、二話でゾフィーが巨大ゼットンを人々の声を受けてやっつけるシーンなどが特に好きです。
TVシリーズに負けずに熱く心に響いてくるマンガですので、私にとってはひとつの教科書になってます。
贅沢をいえば世界観がつながっている設定だから、メビウスに登場した怪獣も出してほしいと思ってるんですけどね。
テスト
640名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 16:55:43.43 ID:ZVbydiCM
シュッ
 第四十話
 ふたつめの虚無
 
 寄生怪獣 マグニア 登場!
 
 
 怪獣ゾンバイユのラ・ロシュール襲撃から一週間後、ウェールズ新国王とアンリエッタ王女との結婚式が、トリスタニアで
盛大に開催されていた。
「アルビオン王国万歳! ウェールズ陛下万歳!」
「トリステイン万歳! アンリエッタ姫万歳!」
 高らかな歓声が鳴り響き、軽快なファンファーレがそれに彩りを与える。人々は手に手に両国の旗を振り、シャンパンを
かけあってこのめでたい日を喜び合った。
642ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2011/04/17(日) 17:06:10.77 ID:NEWq4PLp
もうしわけありません、投下しようとしてるんですが、なぜか今回いつもの1/3ほどの長さでも
本文が長すぎますと規制が出てしまい、極端に短い文章しか投下できません
このままではどのみちさるさんも受けますので避難所に投下します。どなたか代理お願いいたします。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 18:05:38.83 ID:LjQ/akm0
代理いきます
644ウルトラ5番目の使い魔 40話 (1/10) 代理:2011/04/17(日) 18:06:40.87 ID:LjQ/akm0
 第四十話
 ふたつめの虚無
 
 寄生怪獣 マグニア 登場!
 
 
 怪獣ゾンバイユのラ・ロシュール襲撃から一週間後、ウェールズ新国王とアンリエッタ王女との結婚式が、トリスタニアで
盛大に開催されていた。
「アルビオン王国万歳! ウェールズ陛下万歳!」
「トリステイン万歳! アンリエッタ姫万歳!」
 高らかな歓声が鳴り響き、軽快なファンファーレがそれに彩りを与える。人々は手に手に両国の旗を振り、シャンパンを
かけあってこのめでたい日を喜び合った。
 先日のアボラス・バニラとの戦闘はトリスタニア外縁部の区画でおこなわれたために式典に影響はない。いやむしろ、人々は
そのときの苦難を笑って乗り越えようとしているように、楽しもうとしていた。
 ウェールズ王を護衛してきた魔法学院の生徒たちも、パレードの列に加わって誇らしげに行進していく。
 学院の教師たちは、小高い丘の上に立つトリスタニア王宮の正門の前に整列して彼らを待っていた。遠目からでも、
トリスタニアの大通りを悠然と行進してくる行列と、それに加わって一世一代の役割を果たしている生徒たちが見える。
「おお、来おった来おった。若い連中、張り切っておるのう」
「ウェールズ陛下にいいかっこ見せようとして、醜態をさらす子がいないか心配してましたが、杞憂だったようですわね。
皆、自分の役割をきちんと果たしてくれたみたいですわ」
 オスマンとロングビルが満足げに話し合っている。彼らの少し離れた場所では、コルベールも教え子達の晴れ舞台に
目じりを熱くして、彼らがやってくるのを今か今かと待ちわびていた。
 だが、そんな中にあってただ一人だけ、カリーヌは生徒たちの中にルイズがいないのを気にかけていた。
”ルイズ、どうしたというの? こんな国の大事に留守にするなんて、あなたになにがあったというの”
 カリーヌはルイズの身の上に何かが起きたのだと確信していた。親だから、ルイズがどんなときにどういう行動をとるのか
なとはすべて把握している。あのルイズが、親友でもあるアンリエッタの婚礼を蹴るなどありえない。
 カリーヌや教師たちは、ゾンバイユとの戦いのときにはトリスタニアに向かっていたために虚無の炸裂を知らない。
 また、ラ・ロシュールからトリスタニアまでは馬車で向かっていたために、空を飛ぶシルフィードには追い越されてしまった。
そのため、彼らがトリスタニアに着いたのはアボラス・バニラとの戦いが終結した翌日だった。
”さらにいえば、調べようとしたとたんの姫殿下からの通知。あれも、どういう意味か……”
 
『しばらくルイズの身の上を学院から外します。理由等については、式典が終了した後にお呼びしてお話いたします。
ご息女のことにつき、ご納得いただきがたいものと存じますが、わたくしを信じて少しのあいだお待ちいただきたく願います』
 
 一時は強引にアンリエッタに問いただしに行こうと思ったけれども、公爵夫人としての立場をかんがみて思いとどまった。
それに、ルイズも今では自分の庇護が必要な子供ではない。自分で考えて、自分で行動することができる。なによりも、
今のルイズには自分などよりずっと頼りになる仲間たちがいる。
645ウルトラ5番目の使い魔 40話 (2/10) 代理:2011/04/17(日) 18:07:14.38 ID:LjQ/akm0
”ルイズ、あなたが今どこでなにをしているかは知りません。しかし、あなたにあなたにしかできない役目があるというのでしたら、
それを全力で果たしなさい。母は、いつでもあなたの無事を祈ってますよ”
 カリーヌはそれでルイズのことを考えるのを打ち切った。今の自分は教師である。肌に合わない仕事かもしれないけれど、
世界はのんびりと隠居を許してくれるような状況ではない。それこそ『烈風』が十人でも百人でも欲しいような火急のときなのだ。
しかし国の将来を担う少年少女たちには、まだまだ教え導くものが必要なのである。本当の苦難と脅威に立ち向かえる
強さを教えられる人間は、残念ながらそう多くはない。
 王宮へと続く坂を上ってくるアルビオンの一行と、それに付いてやってくる生徒たちを見下ろして、カリーヌはあらためて
自分の役目を自分に言い聞かせた。
 式典はこれからアンリエッタとウェールズの顔合わせを経て最高潮にいたる。人々は、今日だけは世界の危機も忘れて、
祭りの楽しさに酔いしれた。
 
 
 一方、先日は大変なにぎわいを見せたラ・ロシュールは、現在は観光客もすっかり出て行って、やや閑散としていた。
 出店もほとんどが閉まり、道を歩く人間もまばらとなっている。ウェールズ新国王のご一行を目当ての観光客と、
彼らを目当ての商人たちがほとんどだったのだから、当然といえば当然だが、元々の住人たちは少し寂しい気分を感じていた。
 もっとも、トリスタニアでの式典が終了し、新婚夫婦が今度はアルビオンに上がる番になれば、またにぎわうことになるのは
ほぼ間違いないことである。そのため、居残った商人たちは次の出店のための準備に余念がなく、街には警備のために
銃士隊がまだ数個小隊残っている。
 そんな、やや寂れた印象を与える港町に、ルイズと才人たちはやってきていた。
『アルビオン王国、スカボロー港ゆき、旅客船【ウィンド・オブ・ウィンディア】号、第十七番ポートより間もなく出航します。ご乗船の
方はお急ぎください。お見送りの方は速やかに退船願います』
 ラ・ロシュールの象徴である巨大な世界樹の一本の枝から、鐘の音に送られて一隻の空中帆船が飛び立った。
 空は快晴、風は暖か南風。絶好の条件に後押しされてアルビオン王国を目指す船の甲板に、才人、ルイズ、キュルケ、
タバサの四人が揃って、まだ見えない天空の白の国を見据えている。
「ふぅ、うまいこと条件のいい船が見つかってよかったな。時期が時期だから、一般の船は欠航かと思ってたけど杞憂だったな」
「なにせ、急いでアルビオンに渡ろうと思ったところで、シルフィードがなぜかくたくたでラ・ロシュールまでしか飛べないって
いうんだものね。タバサ、シルフィードはどうしてるの?」
「船倉で寝てる」
「そう。でも、今回のアルビオン行きは正直言って気が進まないわね。必要とはいえ、友達の知られたくない秘密を暴きに
行くようなものなんだから……」
 甲板で話し合う四人の顔色は、この日の陽光とはまるで反比例して暗く重い。
 彼らが再びアルビオン王国を目指している理由は、決して快いものではない。それは、エレオノールが魔法学院にやってきて、
虚無の研究調査を進めたうえで判明した、一つの可能性。ルイズやデルフリンガーへの聴取から、虚無に関するわずかばかりの
伝承をもほじくり返した末、浮かんだ虚無の特徴。
「すべての物質は小さな粒からなり、虚無を含めた系統魔法はこの粒に影響して効果を表す。ただ、虚無の系統は、四系統魔法が
操れるよりもさらに極小の粒を操れるために、より高度な効果を生み出すことができる。と、なれば虚無の系統の担い手を探す
方法はさして難しくないわ。通常の系統魔法は使えない代わりに、ルイズの爆発のように異常な効果を発揮する魔法を使う
人間を探せばいい。あなたたち、そんな人物に心当たりはない?」
 エレオノールにそう問いかけられて、ルイズたちが記憶を漁った結果、一人だけそれに該当する人物がいた。
646ウルトラ5番目の使い魔 40話 (3/10) 代理:2011/04/17(日) 18:07:57.26 ID:LjQ/akm0
「ティファニア……あの子が使った『忘却』の魔法は、系統魔法とは明らかに違った」
 一度だけ見た、ティファニアの正体不明の魔法のことが、今となっては嫌に鮮明に思い出せる。
 聞いたこともない呪文に、他人の記憶を奪うという信じられない効果の魔法。四系統魔法では明らかになく、かといって
エルフが使えるという先住魔法は、杖やスペルの詠唱を必要としない。そのときはすぐにブラック星人とスノーゴンとの
戦いになり、すっかりと忘れていたけれど、ロングビルも系統がわからないと言っていたあの魔法は確かに普通ではなかった。
「でも、まさか……まさかよねえ」
 可能性よりも、ルイズたちはティファニアが虚無の担い手だということを信じたくなかった。
 エレオノールに、「思い当たる人間がいるなら、すぐに確認していらっしゃい!」と言われて飛び出してきたものの、人の家に
土足で入り込んでいくような後ろめたさはぬぐえない。いや、それ以上に、あのおっとりと、優しく明るく、子供たちに囲まれて、
ただ平和に過ごすことのみを願っていたティファニアが、世界の運命をも左右しかねない大魔法使いの片割れかもしれないという、
馬鹿げた可能性がそもそも気に入らない。
「万が一、テファが虚無だったら彼女は世界を巻き込む戦いに巻き込まれる運命にあるのかもしれない。なんで、よりにもよって
あんな虫も殺せないような子が担い手かもしれないのよ。悪い冗談だわ!」
 ルイズはここに来る途中、不愉快そうにそう吐き捨てていた。
 しかし、感情で否定しても証拠は揃っている。血統にしても、ティファニアの父はアルビオンのモード大公、始祖の力を受け継ぐ
者は王家の血筋に現れるという条件とも合致している。だからこそ、なお気に入らなかった。
「なあルイズ、やっぱりロングビルさんに伝えないで来てよかったのかな?」
「こんな妄言めいたこと、どう話せっていうのよ。第一、ハズレであってくれたほうがうれしいんだから、余計な心配かけても
しょうがないでしょ」
 才人の気遣いをルイズは一蹴した。ロングビルはティファニアにとって育ての親、子を思う親の気持ちは才人よりも女性である
自分のほうが、まがりなりにも理解できる。
「唯一の救いは、エレオノールお姉さまが直接来なかったということくらいね。資料の検分が忙しいって、まあありがたいといったら
ありがたいんだけど」
 エレオノールは虚無の研究と並行して、例の古代遺跡の発掘調査もまだおこなっていた。いまのところ、虚無に関連する
一番有力な手がかりが眠っていそうなところがそこだからだ。ただ、アボラスがアカデミーを破壊し、ドドンゴが復活するときに
遺跡を崩落させてしまったので、残った古代の碑文もほとんど破壊されていて調査は難航している。
「ただ、本気で虚無だけ調べてるかは怪しいのよね。口実つけて発掘を楽しんでるようにも見えるし、ただめんどうくさい
だけじゃないかしら?」
「そのほうがいいだろ。あの姉ちゃんに、ティファニアがハーフエルフだなんて知られたらどうなることか」
 考えるだけで身震いがすると、二人は演技ではなく本当に身震いした。
 ともかく、目的のためには手段を選ばずという人間の典型なので怖い。さすがに生体解剖するなどと残酷な行為には及ばない
だろうけど、新作のポーションの人体実験くらいは平然とおこなうらしいので、誇張ではなく恐ろしいのだ。
 キュルケも、まったく同感だとばかりにつぶやく。
「まあ、あのお姉さんの前にハーフエルフなんて出すのは、飢えたドラゴンの前に生肉を見せるようなものだしねえ」
 きわどい比喩に、才人とルイズは苦笑するしかなかった。ただ、その表現には表に出ている以上に、ツェルプストーからヴァリエールに
対する隠喩が含まれている。すなわち、臨時教師に身をやつして男子生徒まで対象に婿候補を探しているエレオノールを、
飢えたドラゴンと暗示しているのだ。
 もっとも、文学的センスには乏しい才人とルイズにはそこまで読まれなかったようである。額面どおりにだけ受け取っている
二人の反応に、キュルケは多少物足りなさを感じたが、教えてやる必要もないので方向を変えることにした。
647ウルトラ5番目の使い魔 40話 (4/10) 代理:2011/04/17(日) 18:08:49.56 ID:LjQ/akm0
「ああそれから、あのお姉さんじゃハーフエルフなんかじゃなくても、ティファニアを見たら激昂するかもね」
「は?」
「あらルイズ、なにキョトンとしてるの? あなたにも関係あることじゃない。もっかいティファニアに会うの、覚悟はできてるの?」
「覚悟? なんのことよ?」
 突然意味のわからないことを言い出したキュルケに、ルイズはやや苛立ちげに問い返す。すると、キュルケはここぞとばかりに
満面の笑みを浮かべると、ルイズの胸部を人差し指の先でツンと突いた。
「ほらここ。あなたたち『絶壁』の姉妹には、あの子の『山脈』はまさに世界の屋根じゃない。転落防止の準備はいいの?」
 ルイズはその瞬間、久々に自分の血管が切れる音を聞いた。ティファニアの持つ二つの巨峰……それは自分のささやかな
丘などでは、比べることさえはばかられる神の聖域。才人がそれを思い出して、「バ、バストレボリューション……」と、
鼻を押さえながらほざいていたので、とりあえず先に股間を蹴り上げておいた。
 そして、自分以上に、いや未満になだらかなエレオノールのレベルでは、女として屈辱を通り越して、絶望のふちに沈まなければ
ならないだろう。それが嫌だから、まして友達に嫉妬するなんてみっともないから考えないようにしていたというのに、この女は。
「キ、キュルケ……いえツェルプストー。最近ちょっと、馴れ合いが過ぎたみたいね。忘れるところだったわ、わたしはヴァリエールで、
あなたはツェルプストーだったってこと」
「あら、わたしは忘れたことはなかったわよ。でも、ティファニアほどじゃないけど、出会ったときからわたしの勝ちは決まってた
じゃない。ただ、勝者が敗者をなぶるなんて、そんな下卑た真似を誇り高いツェルプストーのわたしができるわけないじゃないの」
「どこの勝ち負けを問題にしてるのよ! そんなもの、ただの脂肪じゃない。いいわ、この際あんたとわたしは、不倶戴天の
仇同士だってこと、はっきりさせときましょう」
 勝ち誇るキュルケと、憤怒の大魔神のごとく煮えたぎるルイズの舌戦がこれまた久しぶりに開幕した。
 甲板を狭しと、先祖の因縁がどうのとか、授業中あのときはどうだったかとか大声で言い合いが続く。
 タバサはそんな二人の光景を何気なしに眺めている。
「ちょうどいい気晴らし」
 短くつぶやくと、見ていても飽きると、彼女は船内に戻ろうときびすを返した。
 昔ならいざ知らず、今のルイズとキュルケが本気で憎み合うなどあるはずがない。互いの腹の中のものを出し尽くしたら
自然に収まるか、キュルケがルイズをなだめて終わるだろう。気が沈んでいた今なら、向こうにつくまでに気分転換を
しておくのも構わないだろう。
 股間を押さえてもだえている才人の横をすり抜けると、タバサは船内の階段を下りて、最下層の船倉に向かった。
 
 騎乗用の動物などを休ませておく厩舎で、シルフィードはぐっすりと眠っていた。
 今日は朝から飛ばせたし、疲れているのだろうとタバサは起こすのをやめて、そっとシルフィードの顔を眺めるだけにしておいた。
「むにゃむにゃ……ニナちゃん……シルフィ、もうおさかなもイチゴも食べ切れないのね」
 寝言から、楽しい夢を見ているのだなとタバサは思った。あの日、仲間たちとともにニナをガギの巣から救い出して以来、
シルフィードは暇ができるたびに、ニナのところに遊びに行くようになっている。むろん、タバサはそれを知っているし、止める
つもりもない。正体がバレる危険を犯さない限り、いくら主人とてシルフィードの日常に介入する権利があるなどと思ってはいない。
自分だって、読書の邪魔をされれば不愉快なのだ。
 まして、幸せな夢を見る邪魔をする権利など誰にもない。タバサは、シルフィードを起こさないように、そっと船倉を立ち去ろうとした。
648ウルトラ5番目の使い魔 40話 (5/10) 代理:2011/04/17(日) 18:09:12.70 ID:LjQ/akm0
 だがそのとき、誰もいないはずの船倉の暗がりから、若い女の声が唐突に響いた。
「こんにちは、かわいいメイジさん」
「っ! 誰!?」
 反射的に杖を振りぬき、その場を飛びのいて身構える。タバサの体に数々の戦いを経てしみこんだ戦士としての感覚が、彼女の
意思よりも早く、臨戦態勢を整えさせていた。
「ふふふ、あなたが一人になるのをずっと待っていたわよ。私の声を、聞き忘れたかしら?」
「お前は……」
 暗がりの中から、闇が固形化したような黒いローブの人影が浮かび上がってきた。深くローブをかぶっているため顔は見えないが、
長身で元々小柄なタバサより頭一つ高い。しかし、姿は見えなくともその声には確かな聞き覚えがあった。
「シェフィールド……」
「当たり……ふふふ……」
 敵意に満ちたタバサの言葉にも、まるで動じる気配もなくシェフィールドは笑った。いや、以前にも蝶型のガーゴイルを向けてきた
ことから、この人型もガーゴイルの可能性が高い。これを粉砕したところで、本人は痛くもかゆくもないだろう。上にいるルイズたちを
呼んだとしても、すぐに消えて証拠は残すまい。ならば……
「わたしに、何の用?」
 杖を下ろして、話を聞く姿勢を見せたタバサに、シェフィールドは肩をゆすってみせた。
「うふふ、賢いわね。話が早くて助かるわ」
「わたしたちを、はってたのね」
「そう、あなたたちを泳がせれば、必ずほかの虚無の担い手を探そうとするはずだからね」
 タバサの奥歯で、ぎりりと噛み締める音が鳴った。こんな簡単な可能性に思い至らなかった自分を責めるのと同時に、冷静な
部分がシェフィールドの目的を推測しようとする。なぜそんなことを自分に明かすのか? 尾行は相手に知られたら意味がないのに。
するとシェフィールドは含み笑いの声を漏らすと、意外なことをタバサに言った。
「でもね。尾行用の小型ガーゴイルでは、声を集めるのにも限界があってね。それで、教えてほしいのよ。新たな虚無の担い手の、
住んでいる場所を」
「わたしが、それを教えるとでも?」
 杖を構えなおし、タバサは神経を研ぎ澄ませてシェフィールドのガーゴイルと向かい合った。こんな場所で接触してきたのは、
やはり虚無の情報をしゃべらせるためだった。恐らく、なんらかのマジックアイテムを利用して吐かせるつもりなのだろうが、
そうはいかない。
 タバサは呪文を高速で詠唱し、シェフィールドがなにかをする前にガーゴイルを粉砕しようと狙った。
 しかし、タバサの呪文の詠唱よりも早く、シェフィールドの放った言葉の刃が彼女の胸をえぐった。
「まあそういきり立たないで、北花壇騎士タバサ殿」
 その瞬間、タバサの舌は凍りついた。杖を持つ手が力なく下がり、急激に体温を下げていくタバサに、シェフィールドは
子猫をあやすような声で語りかける。
「いい子ね。そしてとても聡明だわ。まさに、あの方のおっしゃるとおりね。今日はあなたに特別な任務を与えるために来てあげたの。
これに成功したら、大きな報酬があるわ。あなたの母親……毒をあおって心を病んだのよね。その、心を取り戻せる薬よ」
 
 
 中型旅客船【ウィンド・オブ・ウィンディア】は一日かけてスカボロー港に到着した。
649ウルトラ5番目の使い魔 40話 (6/10) 代理:2011/04/17(日) 18:09:42.50 ID:LjQ/akm0
旅の疲れを癒すために、一行は港町で一夜の宿をとり、翌日にあらためてシルフィードで飛び立つ。彼女が疲れない程度の
速度で飛ぶことにしたから、サウスゴータ到着は数時間後となるはずだった。
「もうすぐウェストウッド村か、テファたち元気かな」
 景色を眺めていた才人が、待ちわびてつぶやいた。夏休みからおよそ三ヶ月弱、言ってしまえば一言だけれど、彼女たちと
過ごした夏休みの日々は本当に楽しかった。虚無がどうのは別で、また会えるのは皆楽しみにしていた。
「アイちゃんも、元気だといいわね」
「元気に決まってるわよ。もしかしたら、子供たちのボスに収まってるかもね」
 ルイズとキュルケも、ティファニアに預けたアイや、奔放な子供たちのことで思い出話に花を咲かせている。昨日のいざこざも、
一晩ぐっすりと眠ったらすっかりと忘れていた。
 そういえば、ベロクロンの攻撃で孤児となったアイを育てていたミラクル星人と、彼を狙ったテロリスト星人との戦い。あれももう、
かなり前のことになるかと、二人は空のかなたに去っていったミラクル星人に思いをはせた。アイを託して宇宙に帰還していった
彼も、持ち帰った資料を母星の役に立てているだろう。才人の来た宇宙とは別次元にあるこの宇宙、しかし地球をはじめ、
いくつかパラレルワールド的な歴史をたどった同じ星もあるということなので、この宇宙のミラクル星はいつまでも平和でいてほしい。
 シルフィードも、到着を楽しみにしているようで、自然と飛ぶ速さが上がってきている。どうやらシルフィードには、別の楽しみが
あるようであった。
”むふふ。この時期だったら、もう桃リンゴが一番熟れごろなのね。楽しみなのね”
 ウェストウッド周辺の名物の果実の甘さを思い出して、まだまだ食い気が一番に来るシルフィードはよだれを垂らした。
 景色はどんどんと流れていき、ウェストウッド村はもうすぐに近づいてくる。それにつれて、一行の顔もしだいにゆるんだ
ものへとなっていき、着いたらなにをしようかなど、すっかり虚無のことなど忘れた話ばかり盛り上がっている。
 そんな中にあって、タバサは雑談には加わらず、いつもと変わらない風に本を読んでいた。
 しかしこのとき、タバサの様子が不自然であることに、うかれるルイズたちは気づけなかった。
 彼女が読んでいる本にろくに目を通さず、もう五回も最初から読み直していることに。
 
 ルイズたちの明るい展望を乗せて、シルフィードはサウスゴータ地方の上空に到達した。
 かつてのアルビオン王統軍とレコン・キスタの戦場跡を横切り、ウェストウッド村のある森林地帯へと差し掛かる。
 ところが、もうすぐ空から村が見えてくるであろうと思われるところで、奇妙な光景が一行の前に現れたのだ。
「なにこれ……霧?」
 高度およそ五十メートルから見下ろすシルフィードの背で、ルイズが怪訝そうにつぶやいた。
 ウェストウッド村の周辺は、一面が真っ白な霧に覆われていて、村の様子はまったく見えなかった。わずかに、背の高い
樹木が霧の中から頭を出しているくらいで、これではどこにティファニアの家があるのかすらわからない。
 シルフィードは霧の上を何度も旋回して、裂け目がないかを探した。だが、周囲数百メートルは濃い霧に覆われている。
その霧の濃さに、ルイズはなにか嫌なものを感じた。
「おかしいわね。霧なんかが発生する天気じゃないのに」
 授業を真面目に受けていたルイズは、気象の基礎知識という普通なら忘れられそうな知識もきちんと覚えていた。
霧はおもに寒い日に、水辺で気温と水源の急激な温度差によって生じるもののはずだ。しかし、今日は真冬とはいえ
気温は比較的高く、天気のいい日中である。第一、ウェストウッド村の近くに霧を出すほどの水源はなかったはずだ。
 一方で、才人やキュルケは到着間近で足止めを受けたことで不平を漏らしている。
650ウルトラ5番目の使い魔 40話 (7/10) 代理:2011/04/17(日) 18:10:06.04 ID:LjQ/akm0
「なんだよこれ、せっかく着いたら遊んでこうと思ってたのについてねえなあ」
「ほんとね。これはもしかして、虚無のたたりじゃないかしら? あらルイズ、そんなに怖い顔で睨まないでよ」
「じゃあことあるごとに人をおちょくらないでよね……ともかく、これじゃ危なくて下りられないわ。タバサ、霧の外に
シルフィードを下ろして。あとは歩いていくしかないわ」
 タバサは無言でシルフィードを霧の外の街道に下ろした。ウェストウッド村の周辺は元々訪れる人も少ないので、今日も
静かなものであった。巨体が邪魔なシルフィードを残して、一行の前に霧の壁が立ちふさがっている。
「行くわよ」
 白煙も同然の霧の中に一行は踏み込んだ。視界はせいぜい五メートル、隣にある木がようやく見える程度でしかない。人間は
視力に頼る生き物だけに、それが封じられると本能的に不安がわいてくる。以前に迷い込んだトドラとゴルドラスのいた異次元空間を
思い出して、才人はぽつりとつぶやいた。
「嫌な予感がするな」
 あのときは時空間の歪みによって、危うく別の世界に迷い込んで帰ってこれないところになりかけた。
 幸い、高山我夢、ウルトラマンガイアに助けられて帰ってくることができたが、考えてみたら最悪のピンチであった。次元を超えて
しまったら、いくらウルトラマンAとはいえ自力での帰還は不可能であるから、永遠に次元の迷子になる可能性のほうが高かった。
時空移動マシーンを独力で作ってしまうとは、我夢は本当にすごい天才だと才人は思う。
「ウルトラマンガイアか、すっげえかっこよかったな。もう一度会いたいな」
 異世界だろうとなんだろうと、ウルトラマンのかっこよさに差はなかった。あの世界は根源的破滅招来体という敵に狙われていると
聞いたが、ガイアはその戦いに打ち勝つことができたであろうか。叶うことなら、あのときのお礼も含めてもう一度会って話がしたい。
 少し、思い出の世界を才人は楽しみ、現実に意識を戻した。ここはウェストウッド村、やってきた目的は別にある。
 しかし、霧は深くて少しでも離れたらはぐれてしまいそうだ。一行は白一色の世界で一番目立つ才人の黒髪を目印にして、
固まって移動することにした。だが、そんなチャンスを悪い意味で逃さないのが赤い髪の小悪魔少女である。
「はぐれたら、ちょっと合流するのは難しそうね。でもサイトの髪って黒くてきれいね。もっと近くでみていいかしら」
「ちょっとキュルケ! サイトに勝手に近づくんじゃないわよ」
「あら、はぐれないように仕方なくよ。いいじゃない。どうせテファの家はすぐそこなんだし」
 やれやれ、と、才人はこんなときでもルイズをからかうことを忘れないキュルケに、なかば感心すらしていた。確かに自分は
黒髪だけど、くせっ毛が強くて跳ね上がりがひどく、おせじにもきれいとはいえない。それに毎回乗るルイズもルイズだが、
唯一救いがあるとしたら、キュルケを向いているおかげで、にやけかけた自分の顔を見られずにすんだことか。
 しばらく進むと、ようやく懐かしいティファニアの家が見えてきた。ドアの前に立つと、ノックをしてさっそく才人は皆を呼んでみた。
「おーいテファ! みんな! おれだ、平賀才人だ! また来たぜ。みんないるか!」
 霧の中を声が数度こだまし、また静寂が戻ってきた。
「おかしいな。声が小さかったかな……おーい! テファ、ジム!」
「アイちゃん、エマちゃん! いないの?」
 名前を次々に呼んで求めても、返事は一切返ってこない。
「変ね。もしかして、わたしたちを驚かせようと、わざと黙ってるのかしら」
 あのいたずら小僧たちならありうると、ルイズやキュルケは顔を見合わせた。しかし、家からは灯りがもれてくるし、ついさっきまで
料理をしていたであろう香りが漂ってくる。居留守を使っても意味はないはずだ。
 いっそ、無礼は承知でドアを開けてみようかと才人はルイズたちに聞いてみた。ルイズもキュルケも、なんとなく不穏な気配を
感じたのか、開けてみろと言って来る。ならばと、ノブに手をかけたそのときだった。じゃりっ、という靴音がして才人たちはとっさに
音のしたほうへと身構えた。
651ウルトラ5番目の使い魔 40話 (8/10) 代理:2011/04/17(日) 18:10:46.18 ID:LjQ/akm0
「誰だっ……って、なんだエマちゃんか」
 ほっとして、デルフリンガーを抜きかけていた手を才人は下ろした。そこには、ティファニアといっしょに過ごしている小さな女の子が、
こちらを向いてちょこんと立っていた。
「よかった。勝手に入って、後で怒られたらどうしようかと思った。なあ、テファたちはどこにいるんだ? 誰かの家に行ってるのかい?」
 才人はかがみこんで、エマの視線まで顔を下げて尋ねた。しかし、エマは答えずに首を横に傾けた妙な姿勢でこちらを見返している。
目つきは虚ろで、なにかが妙だ。と、エマが無言のままポケットをまさぐり、果物ナイフを取り出した。
「危ねえっ!」
「サイトっ!」
 反射的に後ろに飛びのいた才人の上着が、ななめに切られてぱっくりと裂ける。今のは危なかった。喉元を狙われていたから、
避けるのが遅れていたら頚動脈を切られていたかもしれない。駆け寄ってきたルイズたちも、才人が無事なことを真っ先に確認した。
「サイト、大丈夫なの?」
「ああ、それよりもどうも……ヤバい雰囲気みたいだぜ」
「えっ……あっ!」
「村中総出でお出迎えみたいよ。でも、最近のアルビオンは刃物を持って出迎えるのが流行なのかしらねえ……」
 気づいたときには、才人たちは霧の中から現れたウェストウッドの子供たちにすっかり囲まれてしまっていた。エマのほかにも、
ジムやアイたち、見知った顔はすべている。そして子供たちの手にはすべて、ナイフやのこぎり、なたなどの凶器が握られていた。
明らかに子供のいたずらのレベルではない。才人たちは背を向け合って四人で死角をかばいあい、それぞれの武器をかまえる。
「ちょっとこれ、いったいどうなってるのよ!?」
「おれが聞きたいよ。みんな! おれたちがわからないのか!」
 大声で怒鳴っても、子供たちの様子は変わらなかった。じりじりと包囲を狭めてくる子供たちに、才人たちも身構えるものの、
子供相手に剣や魔法を使うわけにもいかない。
「こりゃ、今まで戦った中で一番の強敵かもね。タバサ、どうすればいいと思う?」
 キュルケに問われたタバサは迷わず、「一時撤退」と告げた。それを聞き、才人は「こいつらをほっていく気かよ」と抗議するが、
「今は助ける術がない」と宣告されてしまった。悔しいけれど、本当に打つ手がまったくない。だがそれに勘付いたように、子供たちは
いっせいに襲い掛かってきた。
「くそっ! みんな目を覚ましてくれ」
 ナイフや包丁をデルフリンガーではじき落としながら才人は叫んだ。しょせん子供の力なので、才人の力でも充分あしらうことが
できている。しかし、子供たちを倒してしまうわけにはいかないので、彼らはすぐにまた向かってきてきりがない。
「走るのよ! いったん村の外まで出ましょう」
 キュルケが先頭に立って、一行は村の外へと全力で走り出した。そうなると、子供の足では追いつくのは不可能になる。
だがその前に、アイが小さな体に似合わない大きな草刈がまを持って立ちふさがってきたので、やむなく才人は鎌を
はじき落として、この子だけはとアイの体を抱えて走り去った。
「はぁ、はぁ……もう、ここまで来れば」
 なんとか安全かと思われるところまで逃げ延びて、才人たちはやっと一息をついた。
 しかし、つれてきたアイは才人の腕の中で、まだ奇声をあげて暴れている。落ち着かせようと話しかけても、まるで聞く耳を
持たない。やむを得ず、タバサの催眠の魔法で眠らせようと思ったときだった。ルイズがアイの首筋に、なにやら不気味に
鼓動する風船のようなものがへばりついているのに気がついた。
「なにこれ? 生き物なの」
 例えるなら、泥水のあぶくを大きくしたような気味の悪い軟体だ。それがアイの首筋から血を吸っているかのようにうごめいている。
まるで虫の体を栄養にして育つ冬虫夏草を連想する不気味さに、才人はすぐさまそれを引き剥がそうとしたが、タバサに止められた。
652ウルトラ5番目の使い魔 40話 (9/10) 代理:2011/04/17(日) 18:11:12.01 ID:LjQ/akm0
「待って、食いついているものを無理にはがすと危ない。見てて」
 タバサは呪文を唱えると、軟体に向かって杖を振った。すると、軟体は一瞬で凍り付いて剥がれ落ち、アイの目の色が元に戻った。
「あ、あれ? あたし……あっ! おにいちゃん、おねえちゃんたち!」
「よかった。正気に戻ったのね。ねえ、ここでなにがあったの? 落ち着いて話して」
 キュルケにうながされて、最初は動揺していたアイも、やがてみんながいることで安心して話し始めた。
「ええっと、お昼前だったかな……テファおねえちゃんたちと、お昼の準備をしてたときにね。森の向こうに空からおっきな石が
降ってきたの。それでね、みんなで落ちたところを見に行ったんだ。でも、急に石から白い煙が出てきてそれから……」
 あとは覚えていないとアイは言い、才人たちは顔を見合わせた。
 空からの石、つまり隕石。ということは、そいつに乗ってきた何者かがこの霧を発生させ、あの気味の悪い軟体で子供たちを
操っているのか。
「人間に寄生する宇宙生物ってわけか、なんてこった」
 まるで、以前に戦った円盤生物ブラックテリナのようだと才人たちは思った。あのときも、テリナQのおかげでアルビオン軍と
レコン・キスタ軍がまとめて操られ、キュルケたちも一時取り付かれて大変なことになるところだった。この軟体がテリナQと
同じ能力を持っているとすると、今の子供たちは操り人形ということになる。
 憤慨した才人は、氷付けになった軟体を踏み砕いた。その剣幕にアイはおびえて、ルイズにぎゅっとしがみついた。
「ねえおねえちゃん、みんなは? エマやサマンサたちはどこにいるの? みんなに何かあったの?」
 家族を戦火の中で失ったアイにとって、やっとたどりつけた新しい家族を失うことは、なによりの恐怖に違いない。震えるアイを、
ルイズは昔カトレアにしてもらったように優しく抱きしめた。
「大丈夫、みんな無事よ。おねえちゃんたちが、きっとみんなも助けてあげるから……サイト、あんたは子供の前だってこと
わきまえなさいよね」
「う、わ、悪い」
 ルイズに母親にされるように叱られて、才人は恐縮するしかなかった。子供を守ろうとするときの女は、男よりも数段強い。
これは才人とルイズが結婚したら、夫婦生活がどうなるかは見えているなと、キュルケはわかりきったことながらも苦笑した。
「ルイズ、そんな怖い顔したら淑女が台無しよ。ともかく、その石がくせものね。子供たちやテファも、きっとそこよ」
 キュルケの意見に、皆はうなづいた。相手の正体はまだわからなくても、元凶がわかっているなら対処のしようがある。
 隕石が宇宙生命体の母体ならば、破壊するまでだ。
 だがそのとき、タバサが突然杖を振りぬいて『ウェンディ・アイシクル』を唱えた。
「敵襲!」
 いつの間にか、アイに取り付いていたものと同じ寄生体が空中を浮遊しながら無数に迫ってきていた。タバサの放った氷の矢に
射抜かれて、いくつかは撃ち落せたものの、まだ数は多い。
『ファイヤー・ボール』
『エクスプロージョン!』
 キュルケの火炎と、ルイズの詠唱省略の小型エスプロージョンがさらに撃ち落し、残ったものは才人が切り落とす。しかし、全滅
させたと思ったのもつかの間、霧の中から次々に新しい寄生体が飛んでくるではないか。
「ちっ、こいつらこうやって人間に取り付くわけか」
 まさにテリナQそのものだ。数で人間を襲って取り付いていく。これでは、今は持ってもすぐにこちらの力が尽きる。しかもこの
視界の利かない霧の中で、さらにアイをかばいながらでは逃げることもろくにできない。才人の剣は目の前の敵しか切れないし、
キュルケの炎は一度に四〜五匹程度が限界、ルイズの虚無は詠唱が長すぎる。この中で、この状況を打開できる能力を
持っているのは、一人しかいなかった。
「タバサ、あなたの出番よ。やっちゃって!」
 キュルケは親友の力に、迷わず賭けることに決めたのだった。広範囲攻撃に長けた風の系統のトライアングルであるタバサなら、
取り囲まれたこの状況でも打てる手はある。ところが、キュルケの呼びかけにもタバサは聞こえてないのか答えようとしなかった。
653ウルトラ5番目の使い魔 40話 (10/10) 代理:2011/04/17(日) 18:13:04.83 ID:LjQ/akm0
「どうしたのタバサ、ぼっとするなんてあなたらしくもない!」
「伏せてて」
 今度は明確な答えが来た。同時にタバサが呪文を詠唱しはじめるのを聞くと、キュルケは服が汚れるのもかまわずに地面に
伏せて、才人とルイズもアイを抱いたままで続く。タバサが本気で魔法を使ったときの威力に巻き込まれたら、汚れるどころでは
すまないからだ。
「ラグース・ウォータル・イス・イーサ……」
 これは現在タバサが使える中では、最大・最強のものだ。彼女を中心に魔力が渦を巻いていき、魔力は周辺の大気に干渉して
周辺の水蒸気を凝結させ、鋭い氷の刃を数百・数千と生み出す。むろん、その間にも寄生体の群れはようしゃなく迫ってくるが、
タバサは微動だにせず詠唱を続け、大気そのものを動かして猛烈な勢いの竜巻を作り出した。
『氷嵐』
 タバサを中心に発生した氷の竜巻は、その中を渦巻く氷片がまばゆく輝き、芸術的とさえ呼べる美しさを持っていた。しかし、
その実体は、すべてを切り裂き、凍りつかせて粉砕する、恐るべき『アイス・ストーム』である。完成した魔法を肌で確かめると、
タバサはそれを自らを中心に、全方向へと解き放った。
 台風の中心にいるような、すさまじい風の音が吹き荒れる。伏せていても吹き飛ばされそうな風圧に、才人たちは目を閉じて
じっとこらえるしかなかった。
 しかし、直撃を食らわされたほうはその比ではない。極低温の氷竜巻に飲み込まれた寄生体の群れは、一瞬にして凍結し、
次の瞬間には粉々に打ち砕かれた。しかも、タバサの魔法の威力はそれにとどまらず、彼らを囲んでいた霧もまとめて吹き飛ばした。
「タバサ、すげぇな……」
「はぁ……やった、全滅よ!」
「タバサ、また腕を上げたみたいね」
 一瞬で状況を一変させたタバサの力に、才人もルイズもキュルケも惜しみのない賞賛を送った。アイも「おねえちゃん、すごーい」と
拍手を送っている。本人は魔法を放つ前と同じように無表情を貫いているけれど、もう学院はおろか、魔法衛士隊にだってタバサに
匹敵するメイジはそういないのではあるまいか?
 ただ、今日のタバサはいつもと同じように見えて、どこか違うような感じがするとキュルケは思った。どことはっきり言えないが、
付き合いの長い自分だからか、かすかな違和感があるように思えた。
「タバサ……」
「……なに?」
「……いえ、なんでもないわ」
 キュルケは問いかけようとしてタバサに話しかけたけれど、彼女の青い瞳で見つめ返されると聞く気がなくなってしまった。
 やっぱり気のせいか。キュルケはタバサの魔法の成長に、心の奥で嫉妬していたのかもしれないなと、違和感を振り払った。
 周辺からは寄生体は一掃され、霧も吹き飛ばされて見慣れたウェストウッド周辺の景色があらわになっている。新手が来る
様子も今のところはない。どうやらあの寄生体は霧の中でしか生きられないか、霧からあまり離れることはできないようだ。
となると、残る問題はやはりこの霧か……はじめから不自然と思っていたが、敵の本体はこの霧を隠れ蓑にした奥か。
「でも、タバサがいれば霧なんか吹き飛ばしながら進めるから安心よね」
 ルイズはすっかりとタバサをあてにしてしまっているようだ。でも、タバサがそれを聞いてため息をついたように、魔法を使うための
精神力には限りがあるから、あまり強い風はそうそう使えないのである。しかし、霧さえなくせれば見通しは利いて、こちらが
圧倒的に優位に立てる。
 そう、思ったときだった。
「なんだっ! 霧が集まっていく」
 突然、森に充満していた霧が生き物のように動き出して一箇所に集まり始めた。すると、気体であった霧が密度を増して
固体のように凝縮していき、さらには明確な形を形成して、巨大怪獣となって実体化した。
「あれが、霧の正体だったのか!」
 才人が、とうとう本性を現した怪獣を見上げて叫んだ。怪獣はさきほど襲ってきた寄生体と同じように、大小様々なボール状
球体が無数にくっついて、いびつな恐竜型を形成したような姿をしている。いやな表現方法を使えば、目玉が寄り集まって
できた怪獣とでもいうべき醜悪な異形。
 見たこともない怪獣に、才人はGUYSメモリーディスプレイでスキャンしてみたが、該当するものはなかった。
 やはりこいつも自分の世界にはいない、異世界の宇宙怪獣か。
 タバサはシルフィードを口笛で呼び、キュルケとアイを乗せて飛び立った。
 そして、才人とルイズは残って怪獣を見据える。これまでにないおぞましい容貌をした怪獣は、森の木々を蹴散らして向かってくる。
654ウルトラ5番目の使い魔 40話 (10+α/10) 代理:2011/04/17(日) 18:14:09.69 ID:LjQ/akm0
 
 彼らの知らない敵の名は、マグニア。
 ウェストウッドの子供たちを虜にし、襲い掛かってくるこの未見の怪獣がどんな能力を持っているのか、彼らはまだ知らない。

 続く

今週はここまでです。

休憩をはさんだので、虚無の復活編を今回から再開します。
二部で主な敵役として定めているジョゼフとシェフィールドですが、一部で敵だったヤプールとは性質が違いますのでよく原作を見て比べたりしています。
実は連載開始当初はジョゼフとヤプールが手を組むという構想だったのですが、考えてみれば人間を下等生物と見下しているヤプールらしくないし、
ジョゼフも孤高の王者としたほうがかっこいいので、それぞれ独立して悪事を働かせることにしました。

また、前回の後のレスやお絵描き掲示板で応援してくださった方々、ありがとうございました。
いろいろなご意見感謝します。これから十話ほどはプロットが固まっていますが、それ以降でしたら反映する機会も
作れると思うので考慮してみます。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 18:15:41.71 ID:LjQ/akm0
代理終了

最後が容量オーバーだったので
不格好な形となってしまいましたが後書きとまとめてしまいました
申し訳ありませんでした。。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 18:58:06.44 ID:jCEUAy3/
>>634
錬金でお菓子を作り出す超高位の土メイジとして扱われるんですね
657名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 19:01:29.50 ID:+TW0TI4u
>>656
材料は船とレコンキスタか・・・胸が熱くなるな
658名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 19:05:12.04 ID:fPYetGug
ウルトラ乙
659名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 19:53:19.55 ID:ACPClFQh
しかし実際、デブブウは相性いいだろうな
初期のブウでもルイズの世話とか面白がってやってくれそうだし
サタンの役回りをルイズにさせるってのもいいかも
660名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 20:20:54.00 ID:mipjRvoH
>>659
やっぱり目覚めた当初のデブブウはやばいでしょ
星壊したり人殺したりするのは遊び感覚だからたち悪いし
サタンと出会った後は問題なさそうだけど
661名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 21:10:03.37 ID:519DCE70
ウルトラ乙
662名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 21:14:10.02 ID:nuyjIwt8
 ウルトラ5番目の使い魔作者さんと代理投稿の方、乙でした。

 寄生怪獣マグニア、平成シリーズ全然見てないから、まるで知らなかったりします。
まあ、その方がかえって新鮮に楽しめるのかもしれませんが。

 >>才人の来た宇宙とは別次元にあるこの宇宙、しかし地球をはじめ、
いくつかパラレルワールド的な歴史をたどった同じ星もあるということなので、

 才人がこの宇宙にもバルタン星人がいて、しかも地球人とメル友になってる奴が
いると知ったらどう思うんでしょうね。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 21:36:25.78 ID:/WPhjs3b
平成シリーズ見てない割にはコスモスのことよく知ってますね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/17(日) 22:15:28.61 ID:yvQw1pRS
ウル魔シリーズでの「イフ」の出番はまだですか?
665名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 02:32:26.77 ID:oNi1snvf
何かウルトラって独自路線行き過ぎててこのスレでやる意味あんの?
って感じになって来てるよなあ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 04:34:43.68 ID:5OwVVczF
>>665
ただキャラが入れ替わって同じ話をなぞるだけ何ぞまったく意味がないぞ。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 05:08:59.65 ID:2RdOAA6o
0か100しかないんかいと言ってみる
668名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 05:29:10.24 ID:r7Yy8/g/
ルイズがすごいもの召喚してふわーってなってるの見ると
幸せになってくる そういうのもっと増えないかな
669名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 06:19:51.27 ID:+VImcGZh
>>666
そんなこと言ったらまとめに載ってる大半が意味無いわけだが

ウルトラが逸脱し過ぎなのは同意
キャラだけ使った、まるで別の作品になってるしな
好きな人には悪いが、正直にじファンでやれよってレベル
670名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 07:42:30.54 ID:oNaSZU/x
永いこと続いてる作品なら、SS内の独自設定が増えていって 原作とかけ離れていくのは
ある意味二次SSの宿命ですよね。
「ウルトラ 出てけ!」って言い出すのは 定期的に涌くけど、『度量が狭いなぁ』という感じです。

参考までに どのSSがこのスレにふさわしいもので、どれがふさわしくないのか、
はっきり基準として挙げてもらいたいところです。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 08:07:15.60 ID:6OxnbAGw
イヤなら読むなよ。
672名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 09:02:33.99 ID:+VImcGZh
出た出た、嫌なら読むなよ
次は何だ?面白いから別にいい、か?

そもそも原作を大事にしようとテンプレにまで書いてて、ちょっとでもアンチ要素があると渋い顔するくせに
こういう原作無視に何も言わないのはどうかな?
無論、二次作品作ってく過程で原作とは違う展開になっていくのは有り得る
でもそれもあくまでゼロ魔の世界内の話
ウルトラなんかぶっちゃけゼロ魔じゃなくてもいいじゃんか
それをダラダラダラダラと長く続けるなら、ここよりにじファンとかの方がいいですよ
っていう進言ですよ
673名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 09:08:33.01 ID:gSsyoace
賢い人はいらない作品はNGワードでスルー
何のためにHNにタイトルがあると思ってるんだ
674名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 09:31:34.70 ID:Jz8YlX07
この長さで原作準拠続けられたら、作者の力量は化け物クラスだぞ。
675名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 09:36:40.06 ID:q1bjF3t2
ただのアンチじゃなく普通の批判レスにすら嫌なら読むなって書けばいいと思ってる人もアレだな
面白いからこそ気になる所が、ってのもある
それこそ「嫌(だと思うレス)なら読むなよ(→スルーしろ)」って話だ
676名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 10:11:20.47 ID:zPWtHWr5
ウルトラには提督みたいな信者がついてるな。これに関しては作者を責めるわけにはいかないけど。
どんなに人気のある作品だろうが、長期連載してる古株だろうが、
スレの主旨から外れたらそこらの駄作書き手と変わらないだろ。
今まで何度もウルトラはゼロ魔でやる必要性が感じられないって言われてたんだし、
信者はいい加減認めるべき。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 11:01:44.98 ID:/In2gN5F
判ったからその手の論議は避難所でどうぞ
678名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 11:06:47.94 ID:abK2kdle
クロス系の二次創作は、設定が多い方が少ない方を食ってしまうんだよ
作者の力量を問わず

40年近く地球を守ってきたヒーローとルイズじゃ、どっちが食われるかなんて・・・一度でも真剣にクロス系を書こうとしたことあったら
分かる
679ぜろ☆すた ◆wCjvbWtzPU :2011/04/18(月) 11:15:11.18 ID:H+4UDwBM
11:20から投下しますが、よろしいですか?
680名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 11:15:45.74 ID:TBBgOmR3
>>664
ウル魔ではまだマックスの怪獣は出てきてないな
イフが相手だったら、沈静化させるにはティファニアのハープが一番かな
681名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 11:20:36.76 ID:TBBgOmR3
おっと失敬、支援
682ぜろ☆すた ◆wCjvbWtzPU :2011/04/18(月) 11:22:46.31 ID:H+4UDwBM
申し訳ありません。
よりによってこのタイミングでとばっちり規制を食らってしまったので避難所の方に投下させていただきます。
どなたか代理投下をお願いします。
683ぜろ☆すた ◆wCjvbWtzPU :2011/04/18(月) 11:41:14.76 ID:H+4UDwBM
すいません。
とばっちり規制というのは勘違いだったようですが、SS本文を投下しようとすると書き込めなくなるので、やはり避難所の方に投下します。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 12:18:11.45 ID:/In2gN5F
長すぎるだけじゃね?
685ぜろ☆すた 1/8:2011/04/18(月) 12:44:13.01 ID:AuuE9D1e
んじゃ代理いきます

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「ぜろ☆すた ポケットきゃらくた〜ず 第1話」

「ねえ、見て見て。こんなに大きなぬいぐるみ、あたし初めて」
 大きな柱が高い天井を支えているとある部屋。 
 柱にもたれかかっているキュルケは、ひと抱えもあるぬいぐるみを抱き締めご満悦という表情だ。
「おー。凄いね、キュルケ〜。でっかいじゃん」
「とても可愛いですね」
 ぬいぐるみを抱き締めているキュルケの可愛らしさにこなた・ロングビル共に魅了されていたが、ただ1人ルイズだけが冷静な声で、
「あー、ちょっと待ちなさい、あんた達……」
「ん? どしたの、ルイズ?」
 普段以上に真剣なルイズの声に、こなたは彼女の方を振り返った。
「1つ大きな間違いがあるから訂正するけど……、そのぬいぐるみが大きいんじゃなくって――私達が小さいのーっ!!」
 そう、ルイズ達4人が今いる場所は、ルイズの部屋に置かれているテーブルの足付近、天井と思われていたのは天板だった。
686ぜろ☆すた 2/8:2011/04/18(月) 12:44:56.33 ID:AuuE9D1e
 前日の夜、ヴァリエール邸の一室。
「だあーっ!」
 ルイズは大きく息を吐き、半ば放り出すようにして部屋の床に荷物を置いた。
「重かったー……」
「みんな、お疲れ様〜」
 自分も荷物を置きつつ、ルイズ達同様荷物を置いたキュルケ・ロングビルにねぎらいの言葉をかけた小柄な少女。
 彼女こそルイズが召喚し、使い魔としての契約を結んだ異世界の少女・泉こなただった。
「ったく、コナタ……、『ケバキーア街に行こう』だなんて急に言い出したかと思ったら、買い物の荷物運びさせるのが目的じゃない」
「いやー、あはは」
 ベッドにもたれかかるようにして座り込み文句を言うルイズに、こなたは荷物の中の袋から中身を取り出しつつ笑った。
「どうしても手が足りなくってね〜。珍しくショップがポイント2倍セールやってて。これを逃がすと次いつになるかわかんないし」
「確かに特売は女の子にとって魅力的ですものね」
 微笑みつつロングビルがこなたにかけた言葉にキュルケも頷いていたが、
「ミス・ロングビル……、それちょっと違います……」
 ただ1人ルイズだけが冷静にツッコミを入れていた。
「あのね〜、手伝ってほしいなら変な言い回ししないでちゃんと言いなさいよ。こっちは騙されたみたいで気分悪くなるじゃない」
「あー、じゃあ……」
 照れたような笑みを浮かべつつルイズに誘いかけるこなた。
「また手伝ってね、るいずん♪」
「断るわ」
 大粒の汗を1粒垂らして硬直していたこなただったが、
「嘘吐きー!」
「な……、誰も必ず引き受けるなんて言ってないわよ!」
 ぽかぽか両手の拳でルイズを叩きにかかるこなたに、ルイズは必死で反論する。
「でもほんとたくさん買ったわね、コナタ。こんなにいっぱい何を買ったの?」
 袋いっぱいに詰まった戦利品を覗き見つつ、キュルケが興味津々という様子で尋ねる。
「ん? ほとんど本とか食玩とか細かいやつかな」
「大きな箱もありますけど」
「あ、それはフィギュアだよ」
「えー、フィギュアの箱ってこんなに大きいの!?」
「見たい?」
「うんっ」
「じゃあ開けるよ」
 ぐったりした様子でベッド上に突っ伏しているルイズを後目に、こなたは喜色満面で紙袋から箱を取り出す。
「これが結構丁寧に梱包されててね〜」
 箱の梱包を解くこなたの一挙手一投足に注目しているキュルケ・ロングビルの姿を横目で見つつルイズは、
「でも、私達が見てもわからないんじゃないの? 個人的な趣味の物なんだし……」
「いや、これは見たら驚くと思うよ〜。今日変えたのが奇跡なくらいレア中のレアだからね〜」
 と言ったが、こなたは自身満々な様子で箱を開ける。
「んっふっふ……、さあ見て驚け……」
 箱から出した中身を自分の体で隠しつつ、こなたは眼を怪しく光らせる。
687ぜろ☆すた 3/8:2011/04/18(月) 12:45:38.96 ID:AuuE9D1e
「これだあ!!」
 そして盛大にフィギュアを3人に見せつけた。
 3人がどう反応したものか困惑していると、
「よし」
 とこなたは満足そうにひとつ頷いた。
「いや、わかんないわよ」
「とりあえず限定生産でなかなか手に入らないのだよー」
「ん〜、まあそれでも凄さはわからないけど……」
 首を傾げるルイズとは裏腹に、キュルケ・ロングビルは興味津々という視線でフィギュアを眺める。
「何かかっこいいわね」
「でしょ〜♪」
「こうして見るととても精巧にできてますね」
 手に持っていたフィギュアをテーブル上に置き、改めて胸を張るこなた。
「というわけで、大漁もあって今日の私は大満足なのだよ」
「……男?」
 するとそこでベッドにもたれかかりこなたの方を向くように座り直したルイズが、訝しむように呟いた。
「ん?」
「その人形、男……なのね」
 確かにルイズの知る限り、こなたが男性キャラクターのフィギュアを購入するのはこれが初めてだった。
「あー、うん、これは男性キャラだね」
「へえ、珍しいわね。オタク(コナタ)って美少女フィギュアしか買わないと思ってたわ」
「う〜ん、それはかなり偏見だよ、るいずん……」
 歯に衣着せぬルイズの物言いに汗を垂らしていたこなただったが、その目の付け所に感心するかのように指を立てる。
「あ、でも良いとこに気付いたかも。実はこのフィギュアは2つで1つなんだよね」
「は? 2つで1つ?」
「そ。この少年と対になる女の子のフィギュアがあって、両方を揃えて初めて完成となるんだ〜」
「何だ、じゃあそれ1つじゃ意味無いの?」
「んまあ、そういうわけじゃないんだけど……、このフィギュアには悲しい物語があってね……」
 小首を傾げつつ、こなたはフィギュアの背景となる物語を語り始める……。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 12:45:53.19 ID:l5uIworX
>>677
お前避難所を隔離病棟か何かと勘違いしてるんじゃないか?
集まりもしないのに避難所勧めて、臭いものに蓋をしてたんじゃ
いつまでたっても結論が出ないんだぞ。

>>678
そのバランスを保つのもクロス系二次創作では重要な事でしょう?
元より設定や内容の量や質の差なんてわかりきっていることなんだし、
ここはゼロの使い魔がベースとなるクロススレなんだから、
設定の多い召喚元が自重しなくてどうするんだって話。
ここはウルトラマンがハルケギニアで活動始めましたスレではないんだよ。
689ぜろ☆すた 4/8:2011/04/18(月) 12:46:22.10 ID:AuuE9D1e
「とりあえず2人は結ばれない運命にあるんだ」
「ええっ、そうなの!?」
 こなたの語り始めた物語に、キュルケはいち早く反応を示し瞳を涙で潤ませた。
「そう……、それはとてもとても悲しい物語……」
 不思議な力を持つ少女は、皆にまつり崇められていた。 
 2人は些細なきっかけでお互いを知り恋に落ちるが、住む世界が違う事からその後2度と会う事は無く、物語は気持ちだけを大きくしたまま終わりを迎える……。
「ただ本当は会える方法があったんだけど、気付きそうで気付かなかったりあとちょっとで上手くいかなかったりで、そのすれ違いやまどろっこしさやじれったさがまた堪らないんだよね」
「……でも、何だか可哀想ね……」
「うん。んで、物語を現実で再現したいからなのか人気があるからなのか、ファンの間でもこのフィギュアってほんと揃いづらくて、もし揃ったら幸福を呼んで願いが叶うって噂されるくらいレアなんだ」
 ロングビルは微笑みつつ、キュルケは祈るような視線でこなたに言う。
「フィギュア、揃うといいですね」
「コナタ、2人を一緒にしてあげてね」
「あはは〜」
 そんな2人の言葉にこなたは笑みを浮かべ、
「で、今日揃った」
 と少女のフィギュアをテーブル上に置いたのだった。
「もう持ってるんかい!!」
 あまりにあっさり2体のフィギュアが揃ったために、ルイズは声を荒げて立ち上がった。
「な〜んか、奇跡とか言ってたわりには簡単に揃ってない〜?」
「あっはっは、私は幸せだよ?」
 呆れた視線のルイズをどこ吹く風と受け流し、テーブル上に置かれたフィギュアの前に座るこなた。
「ふふ〜ん、ちょ〜っとみんな見ててね〜」
 そう言ってこなたは少女のフィギュアを台座から外し、少年のフィギュアの方の台座にセットして、少女が少年に抱き寄せられているような形を取らせた。
「ほいっ、できあがりっ」
「わあっ!」
「すっご〜い、くっついたわよ!」
「なるほど、寄り添う形になるんですね」
 口々にその出来栄えに賞賛の言葉を上げたキュルケ・ロングビルに、こなたも満足そうな表情で語る。
「まあ何ていうのかな。造形師の心が表れてるというか、ファンの気持ちをわかってるというか。とにかくクオリティー高くて凄いっしょ?」
「あんたが作ったんじゃないでしょ」
 というルイズの冷静なツッコミをスルーしてこなたは、
「さあさっ、皆さん今日は疲れたでしょー。こちらへ来て2人の再会に乾杯しようじゃありませんか♪」
 いつの間にかテーブル上にお菓子の載った皿を用意し、ジュース入りの小瓶の蓋を開け、壁に「祝 2.5次元!!」と書かれた垂れ幕を掛けていたこなたが3人を誘う。
(これで私達に「ありがとう」の一言でもあれば、素直に喜んであげられるのだけどね……)
 歓声を上げつつテーブルに歩み寄るキュルケ・ロングビルに対し、ルイズは呆れた視線をこなたに向けていた。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 12:46:40.92 ID:l5uIworX
おっと投下が始まっていたのか、失礼。
そして支援します。
691ぜろ☆すた 5/8:2011/04/18(月) 12:47:06.80 ID:AuuE9D1e
「ルイズ、これ美味しいわよ」
「あー、ごめん、ダイエット中なの……。体重減るまでお菓子はいいわ……」
 皿に盛られたお菓子の1つを勧めるキュルケだったが、ルイズは固辞した。
「………」
 そんなルイズがふとこなたの方に視線を向けると、こなたはせっせと筆でフィギュアの埃を払っていた。
「コナタ、そういうのに関してだけは几帳面よね」
「いや〜、基本だよ基本。『人形には魂が宿る』っていうの、フィギュアも例外じゃないと思うんだよね。特にこっちは女の子だからね、いつも綺麗にしてあげなきゃ可哀想じゃん」
 するとキュルケもこなた・フィギュアの方に視線を向け、うっとりした表情になる。
「コナタのフィギュアって、可愛い服が多いわよね。いいわねー、あたしもそんな服着てみたいわ」
「キュルケ! 駄目よ滅多な事言っちゃ! その一言でそっちの世界に行っちゃった人が何人もいるのだから!」
 慌ててキュルケを嗜めるルイズ。その背後では、こなたが目に怪しげな光を湛えていた。
「………」
 そして再度フィギュアを眺めていたこなただったが、ある事に気付いた。
 フィギュアの周囲を眺めるように視点を移動させてみたり、台座の裏側を調べるために持ち上げたりしている。
「?」
 立ち上がって棚に置かれた物の間や机の下を探し出すに至り、ロングビルは問いかけた。
「ミス・コナタ、どうかされたんですか? 何か探しているように見えますけど……」
「……無い」
 尋ねられた時の体勢のまま動きを止めたこなたがぽつりと呟き、
「はい?」
「パーツが無あああーい!!」
 頭を抱えて上げたこなたの絶叫に、2人で何やら話していたルイズ・キュルケもびくっとして振り返る。
「探して!」
 一大事とばかり3人に声をかけるも、
「は!?」
 当然ながらルイズには事の次第がまったくわからなかった。
「さ、探すって何をよ?」
「パーツだよ、パーツ! 2人を結ぶ重要な物なんだよ〜!!」
「わ、それは大変だわ」
「私でよければお手伝いしますよ」
 快諾したキュルケ・ロングビルに対し、何を探していいのかわからなければ発見など到底不可能だという事に気付いているルイズは困惑の表情で、
「パーツって言われても……、コナタじゃないんだからどんなのかわからないと探しようが……」
 と言ったところ、こなたは手早くスケッチブックに紛失した部品の絵を描いてルイズに見せた。
 ……が、こなたの乏しい絵心で描かれたそれは、発見に有用だとはまるで思えない代物だった。
「いや……、図解は勘弁して」
 そこでこなたは、箱に掲載されている部品の絵を3人に見せる。
「ふーん、これね?」
「これを見つければいいのね」
 発見すべき部品の見た目を把握すると、ルイズは早速ベッドの掛け布団をめくってその下の捜索を開始する。
692ぜろ☆すた 6/8:2011/04/18(月) 12:47:49.09 ID:AuuE9D1e
「もう、大事な物ならちゃんと管理しなさいよ! まったく……」
 掛け布団をめくったりベッドの下を覗き込んだりしていたルイズだったが発見する事はできず、顔を上げてこなたに話しかける。
「コナタ、別に今日でなくてもいいんじゃないの? 部品1個だけなんだし、今無きゃ駄目って物でもないでしょ?」
「るいず〜ん、そんな事言ったらフィギュアの祟りに遭うぞ〜」
 ルイズの言葉に彼女のすぐ近くで探していたこなたは、顎をその頭に乗せて抗議した。
「乗っからないで! っていうか、幸運を呼ぶんじゃなかったの?」
 一方、作り付けの棚の中を探していたキュルケはロングビルに声をかける。
「ミス・ロングビル、そっちはどうですか?」
「うーん、それらしい物は見当たりませんね」
 そう答えると目をこらして探していたロングビルは顔を上げて目を擦り、
「といいますか、最近また視力が落ちたらしく細かい物はよく見えなくて」
「大変ですね」
「はい、文字等も小さいと少し……」
 ――ポッ……
 窓の方から聞こえてきたかすかな水音に気付き、キュルケはそちらに視線を向ける。
「あ……、雨だ……」
 雨足はみるみるうちに強まっていき、たちまち小雨から本降りになっていった。
「雨の音って聞いてると眠くなってくるわ……。今日たくさん歩いたから疲れちゃったし……」
 そう呟いてキュルケは眠たげに目を瞬かせる。
 その後も捜索を続けていた4人だったが、いつの間にやら1人また1人と雨音を子守唄にして眠りについていたのだった……。
693ぜろ☆すた 7/8:2011/04/18(月) 12:48:33.39 ID:AuuE9D1e
 翌朝。
 窓から差し込む陽射しと小鳥の囀りでルイズは目を覚ました。
(……ん、うわ……、いけない……、すっかり寝ちゃったわ……。疲れてたとはいえいつの間にか意識が飛ぶなんて)
 起き上がって背伸びをしたところで、ルイズは背後にある戸棚が遥か見上げるほどに巨大化している事に気付く。
「!? ……なっ、何よこれえええ!?」
 絶叫するルイズ。その体は人形並みの大きさにまで縮小していたのだった。
「ちょっとみんなこれ見て――って、嘘おおーっ!?」
 この事態をこなた達に伝えようとしたルイズだったが、3人も同様に縮小していた事に再度驚愕の叫び声を上げた。
「も〜、るいずん、朝からどしたの?」
「眠い……」
 ルイズの声で起こされた事に不満を漏らしつつこなたが起き上がると、その隣でキュルケも目を覚ます。
「わっ、るいずんちっさ!!」
「あんたに言われたくないわ!!」
「うわ、鞄が大きい……。テーブルも……」
「そっちじゃないでしょー!!」
「まあ……、私達いつの間にこんな所へ?」
「違ーう!!」
694ぜろ☆すた 8/8:2011/04/18(月) 12:49:16.83 ID:AuuE9D1e
 ……こうして現在に至る。
「……いや〜、びっくりだね」
「そんなシンプルな感想で片付けないで!」
 ルイズがこなたにツッコミを入れる一方、キュルケ・ロングビルも顔を見合わせて対策を検討している。
「でもこんな夢みたいな事ってあるのね」
「本当にどうしましょう……?」
「と、とりあえずこの状況はまずいわ、好ましくないわ! 誰かに連絡して助けてもらわなきゃ! 『遠話の手鏡』とかなら使えるでしょ」
 最近になって流行し始めた、遠く離れた場所にいる相手とも会話可能になるマジックアイテムの存在を指摘するルイズ。
 安価な物ではない(というかマジックアイテムの中でも少々高価な部類に入る)が、実家との連絡が緊密かつ時間差無くできるとあって魔法学院生徒の父兄が子供に買い与える事が多いのだ。
 当然ルイズ・キュルケも持っている……のだが、
「手鏡はテーブルの上です」
「高いわね」
「ですね」
 現状においてそのありかはまさに手の届かない高みにあった。
「じゃあ……」
 するとそこに、
「コナタちゃーん」
 とこなたを呼ぶ少女の声と、扉を叩く音が聞こえてきた。
「あ、カトちゃんだ」
「よかった。これでひとまず連絡が……!」
 予想外の訪問者に安堵の呟きを漏らしたルイズ。そうしている間に、
「入るわよ? ねえ、昨日はみんなが遊びに来てたのよね?」
 そう言いつつ小柄な少女が部屋に入ってきた。
 ヴァリエール三姉妹の次女・カトレアだ。
「あら? いないのかしら?」
「おーい、カトちゃーん」
 もぬけの殻になっている室内を訝しがるカトレアの耳にこなたの声が飛び込んできて、思わず彼女はそちらに視線を向ける。
「やほ〜」
 するとそこには、親しげに片手を上げて挨拶するこなた・懇願の表情で助けを求めるルイズをはじめ、彼女の妹・友人達が人形並みの大きさになって床の上にいた。
「あ、何だ、コナタちゃん達いたのね。こんな低い所に……」
 ひきつった笑顔のままそう答えたカトレアの体がゆっくり傾き、床に倒れ込んでしまった。
「わーっ、嘘ー!?」
「た、倒れちゃったわよ?」
「あ〜、カトちゃんのスペックじゃ分析できなかったか〜」
「驚かせてしまったようですね……」
695名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 12:49:59.66 ID:AuuE9D1e
以上終了
696名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 16:45:46.88 ID:wcJYbwby
今思ったんだけど、批判云々はともかくとして
人間どんな風に感じるかは人それぞれなんだから
レスにしても作品にしても気にしても仕方がないんじゃないか?
まあこれは直せとかそういうのは大切だと思うけど
697名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 17:10:29.96 ID:DfszrJxb
乙でした
フィギュアの元ネタなにかな?
特売は女の子にとって魅力……でもおマチさんの場合はどちらかといえばデパートのバーゲンセーw
698つかよん!:2011/04/18(月) 17:32:20.08 ID:VuqX81x6
問題なければ17:35頃から
「使い魔は四代目」
第五話を投下します。
699使い魔は四代目:2011/04/18(月) 17:35:49.31 ID:VuqX81x6
リュオは返答に詰まった。そもそも、なぜメイドがドラゴンを探すのかわからないのだ。
どう見ても何の変哲も無い只のメイドだし、怯えきったその様子をみても「凶暴なドラゴン」を退治にきた一攫千金を目指す冒険者、という線は無いだろうが…
リュオは少し逡巡した後、浮かんだ疑問をそのまま返す事にした。

「あ〜その… もし、その凶悪なドラゴンとやらを見つけたら、どうするつもりだったのかな?」
「そ、そしたら逃げるに決まってるじゃないですかっ!だって、ドラゴンですよ!火をボウって吐くんですよ!ドラゴンは!」
「…そうじゃな。じゃぁなんでドラゴンを探してたんじゃ?」
「いや、だって、危険が危ないドラゴンがいるならみんな逃げないといけないじゃないですか!だって、ドラゴンですよドラゴン!」
「……そうじゃな、ドラゴンじゃな。…要するに、もしドラゴンがいるならみんなと避難しないといけないから怖いけど確かめに来た、という事で良いのか?ちなみにそのモップは?」
「掃除中だったんです。もしもの時、素手だと心細いので…」
「………ええと、逃げる気だったんじゃよな?」
「当たり前じゃないですかっ!だって、ドラゴンですよ!重いぞ硬いぞしつこいぞのドラゴンですよ!」

メイドはこんらんしている!

「そりゃゴーレムじゃろ!あんな輩と一緒にするな!…はっ、いかんいかん。あー、まあ落ち着きなさい。
危険は去った。もうそのドラゴンはおらん。…わしが倒し…いや違うな。あー、その、何だ、なだめた?」

随分苦しい言い訳じゃ、とリュオは思わないでもなかったが、メイジで通すことにした矢先にいきなり正体をばらす様な真似はしたくなかったし、
メイドは見るからにかなりの興奮状態のようだからこれでも充分通用するだろうと判断した結果である。
仮に疑念を持たれたところでそのドラゴンはもういないのだから露見する心配は無い。多分。

「なだめたんですか!凄いです!どうやって!?」
「…えーと…なぁに、人もドラゴンも知的生物同士、誤解さえ解ければ案外上手く行ったりするもんなんじゃよ」
「す、凄いです!凄いメイジ様だったんですね!
あ、申し遅れました。私、ここでメイドとしてご奉公させていただいておりますシエスタです」
「む…わしはリュオ。ルイズの使い魔を今日より勤める事になった。しばらくここに留まる事になる故、これから世話になることもあるだろう。よろしく頼むぞよ」
「はい、よろしくお願いします!…え、使い魔?ええ、メイジ様が?」

ころころとよく表情の変わるメイドじゃなぁ、と微笑ましく思いつつ、リュオは今日ルイズに召喚されて使い魔になった、と軽く事情を説明した。勿論肝心な部分は伏せてある。

「ところでシエスタよ、いつまでもここにいて良いのか?仕事の方は大丈夫なのかな?」
「ああ、そうでした!わぁ、また怒られちゃう…くすん。…すみません。これで失礼します…」

先程までとは一転し、沈んだ様子で立ち去ろうとするシエスタが気の毒になり、リュオは呼び止めた。

「待つんじゃ、サボってたわけでもなし、叱られるのは気の毒じゃ。これも何かの縁、シエスタが何をしてたか証言してやろう」
「そ、そんな!悪いです。そんな事で貴族様の手を煩わせるわけには」
「これこれ、良いんじゃよ。わしが言い出した事なんじゃから…とは言っても納得してなさそうじゃな。じゃあこうしよう。
わしは今言ったとおり、今日ここに来たばかりでどこに何があるかさっぱりわからん。案内を兼ねて、と言う事で頼む。
ああそれと。わしは貴族ではないぞ。普通に接してくれるとわしとしてもそっちの方が楽なのじゃが」
「…分かりました。じゃぁ案内しますね。あ、行き先は厨房ですけどそれでも良いんですか?」
「かまわんかまわん。では、頼むぞよ、シエスタ」
700使い魔は四代目:2011/04/18(月) 17:38:57.73 ID:VuqX81x6
文字通り駆け足で通り道上にある学院施設等をリュオに案内しながらシエスタは厨房へ戻った。
そして、手早く身嗜みを整えると、手を洗いながら声を張り上げる。

「すみません、マルトーさん!遅くなりました!」

その声に、厨房の奥の方から怒声が返ってくる。

「シエスタ!晩の仕込みで忙しいこの時にどこで油売ってやがった!早く手を動かせ!」
「は、はいぃ!」

夕食に向け数百人分の食事を用意すべくフル回転で動く厨房はまさしく戦場であった。シエスタも素早くそこに突入し、仕事を片付けていく。その凄まじさにリュオが気圧されていると、


「…おや、こんな所に貴族様が何の用ですかな?済みませんが、ご覧の通りの慌しさでして、手短にお願いしますよ」

先程怒声を上げたマルトーと呼ばれた恰幅のいい男がリュオに気付き、話しかけてきた。言葉遣いこそ普通だったが、彼の口調には明らかにリュオに対する嫌悪の響きがあった。
が、リュオには召喚されたときの生徒達の尊大な態度を見れば「貴族様」とやらが彼等にどんな態度で接しているのかは容易に想像ができたのでそれは当然の事と受け止めた。

「ま、そう言うでない。わしは貴族じゃないぞよ。毎日生意気な小童どもの相手でうんざりするのは分かるがそう邪険にしないで欲しいのぉ。
それにシエスタはすぐ近くに凶暴なドラゴンが出たという話を聞いたので確認しに行ったんじゃ。本当にいたらすぐに逃げねばならんじゃからな。むしろ大した勇気だと褒める所じゃないかね?」
「…シエスタ、そうなのか?」
「…はい。でも大丈夫でした。このリュオ様がドラゴンをなだめて追い払ったそうですよ」
「…なだめた?」
「…うむ。まあ、その、そういう事じゃ。じゃからそのドラゴンはもう立ち去った。危険はもう無いぞよ」
「へぇ、こいつぁ驚いた!…にしても、その割にはここはいつも通りでしたがね。普段大口叩いてる貴族様は何をしていたんですか?」
「…あー、なんと言うか、その場にいた連中は腰を抜かすものが大半でのう、まるで使い物にならん。まあお子様には刺激が強すぎたな。
結局、わしが事態を収めた。その上にほれ、連中はプライドだけは高いじゃろ。無様を晒したなんて自分から言えやせんわ」

あの場にいた者の殆どがまともな行動が取れる状態でなかったのは事実だし、事態が収まったのはリュオが冗談だと明かして人間の姿に戻ったからである。
だから、リュオが事態を収めた、と言っても嘘ではない。色々と肝心な事実―そもそもは茶目っ気を出して正体を披露したせいだ―をすっ飛ばしているが。
701使い魔は四代目:2011/04/18(月) 17:41:32.21 ID:VuqX81x6
「ああ、だからこっちまでは伝わってこなかったのか…いやすまねぇリュオさん。シエスタが世話になった上に恩人にぞんざいな態度をとっちまった。シエスタもだ。悪かった。」
「気にしないでください、マルトーさん。私も様子を見に行く前に一言言っておくべきだったんです」
「わしの事も気にせんで良いぞ。わしとて、生意気なだけの貴族連中とは関わり合いになりたくないからのぉ、無理もないわ」
「全くだぜ。…しかし、その格好、本当に貴族様でないんで?」
「まぁ、見た目どおりに魔法は使うがな。貴族ではない。わしのいた所じゃ魔法使い、ってのはただの職業じゃ。
お主がコックやってるのと同じ感覚じゃよ。大体、今のわしはルイズの使い魔じゃ」
「すげぇ…」
「ん?何がじゃ」
「いやだって、リュオさん。あんたは魔法が使えて、しかも凶暴なドラゴンを宥めて追い払うような実力を持ちながら決して奢った所が無い!
おまけに平民のシエスタを気遣うその寛大さ!貴族崩れのように荒んでもいない!見たかお前ら!
これが真の達人ってやつだ。聞いてるかお前ら!達人は決して己を誇らない!」
「聞いてますよ親方!達人は誇らない!」

マルトーが振り向き大声を張り上げると、それに答えて厨房のコックが一斉に唱和した。どうやらこの厨房を仕切るだけあって、中々に人望はあるようだ。

「はっはっは、いや、そんな、大げさな、なぁ」

若干引きつった笑いを浮かべるリュオに構わず、マルトーは逆に盛り上がっていくのだった。

「いや、そうやって謙遜するところがまた凄い!そうだ!あんたは今日から『我らの杖』だ!」

 「我らの杖」の称号を手に入れた!

「わ、我らの杖?」
「シエスタ!感謝と敬意の印だ。アルビオンの古いのを持って来い!出し惜しみ無しだ!」
「はい!リュオ様、今上物のワインをお出ししますね、座ってお待ちください」
「…いや、別に、そんな、気遣わんでも良いのじゃが…それに、その、何じゃ、今は忙しいんじゃぁ」
「かぁ〜この気配り!さすが『我らの杖』は違う!なぁに、これ位で支障が出るようじゃ魔法学院のコック長はとうてい勤まりません!
ささ、こちらへ。こっちの事は気にせずにくつろいでください。さぁシエスタ、つまみを出すんだ」
「おつまみは最初はチーズでよろしいですか?種類は色々取り揃えておりますから、好みの味があるなら遠慮なくお申し付けくださいね」
「…う、うむ…」

心酔しきった眼を向けるマルトーと、晴れやかな笑顔でワインをグラスに注ぐシエスタを見比べて、もうどうにでもな〜れ、と、リュオは半ば自棄になりつつ座った。飲み込んだ溜息の味は、とても苦かった。



授業を終え、部屋に戻ってきたルイズは、部屋に漂う芳香に気付くなり、眉を顰めた。

「今戻ったわ。…何この匂い。昼間っから飲んでたの?」
「ルイズか…ふぅ、酒では酔えんかったが善意に悪酔いしてな…」
「…何よそれ、全然分からないんだけど」
「気にせんで良いぞい。ああ、酷く疲れたわい…」
「え、そんな遠くまで出歩いてたの?」
「いや、そうじゃなくて.な…はぁ、まぁいいわい。さて、色々決める事もあるんじゃろ。それじゃ、早速始めるか?」
「んー、そうしたいところだけど…。ちょっと間を置きましょ。私だって、一息つきたいし、今日の復習もあるし、
…そもそもあんたが酔いを醒ましてからでないとね。色々決めたは良いけど酔ってて何も覚えてません、ってのは勘弁よ。
…ったく、なんで使い魔になっていきなり一人で飲んだくれてるのよ…」

ぶつぶつ呟き始めたルイズに対し、リュオは全く酔っておらんのじゃがなぁ、
と若干遠い眼をしながら思ったが、この状況で何を言っても説得力が無いのは分かっていたので口には出さなかった。
702使い魔は四代目:2011/04/18(月) 17:42:34.70 ID:VuqX81x6
そんなリュオを見ながらその後もしばらく愚痴り続けていたルイズは、やがて、気を取り直したか、あるいは諦めたか、
ともかくも日課である復習の為ノートを取り出し、開くとすぐに黙り込み没入していった。その自然な様子に取り繕った所は一切無く、この事が習慣と化していることをリュオに伺わせた。
真面目な努力家である事は間違いないようだ。
あの時、コルベールが必死に食い下がってきたのも頷ける、これだけ熱心ならいずれ魔法が使えるようになるんじゃないか?
とリュオは思いつつ、集中しているルイズの邪魔にならないように黙して見守っていた。

そのまましばしの時間が流れると、ルイズを見守っていたリュオの表情が、突然怪訝なものに代わり、扉の方を振り向いた。そして、少しあってノックの音が響き、扉越しに声が掛けられた。

「失礼します、ロングビルです。ミス・ヴァリエール、学院長より頼まれた倉庫の備品の目録をお持ちしましたが」

その声に、ルイズは復習の手を止め、伸びをすると、立ち上がりつつ答えた。

「今開けます。少し待ってください、ミス・ロングビル」
「ありがとうございます、ミス・ヴァリエール。さて、こちらが倉庫の備品の目録となります。不完全な物ですが、それでも良いという事でしたので…」
そこで、ルイズに目録を手渡すと、ロングビルは言葉を切り、リュオに向かい礼をした。
「始めまして、リュオ様。私はオールド・オスマンの秘書を勤めさせていただいているロングビルと申します。
リュオ様のことは学院長から聞きましたわ。何か御用がありましたら遠慮なくお申し付けください。それでは失礼します」

と、簡潔に用件を済ませ退室していった。

「聞こえてたわよね?はい、目録よ。何か気になる物はある?」
「…む、これは…」
「な、何?何なの?」

リュオは、ルイズに手渡された目録を眺めつつ、まるで別の事を考えていた。それは、かつてカインに引き合わされた一人の男の事であった。
その男の名は、リオス。かつてムーンブルクでならした盗賊である。盗賊でありながら飄々として、抜け目無くもどこか憎めないこの男は、奇妙な縁で何度かカインの手助けをしている。
そのリオスと、今会ったばかりの秘書、ロングビルに似ている所があるのだ。
部屋に近づいてきた時の足音―というか気配―を殺した歩き方とか、身のこなしとか、注意の配り方とか、そういった諸々の事が。
と、いう事はこのロングビルという女、かなりの食わせ者かもしれぬ。

…どうやら、この学院も色々波乱がありそうじゃなぁ、何事も無ければ良いのじゃが…

そう思ったが、口にしたのはまるで別の事だった。

「…済まぬ。字が全く読めん」
「…あ、あのねぇ…」

思わせぶりな態度にルイズは思いっきり脱力するしかなかった。
703つかよん!:2011/04/18(月) 17:45:42.75 ID:VuqX81x6
というわけで第五話はここまでです。若干シエスタが残念な子と化してるような気がしますがメダパッてたと言う事で勘弁してやってください。
ちなみにドラゴンの噂に関してですが、
ルイズのクラスメートの一部の者たちが時間つぶしに食堂で愚痴る→他クラス、または他学年の者たちがその話を耳にする→「おい、あいつらの話だと近くに凶暴なドラゴンが出たらしいぜ」
「マジ?あー、でも確かに様子が変だよなぁ。で、あいつら逃げてきたのか?」的な会話をシエスタが耳にする→
近くにドラゴン?→学園襲撃→(略)みんなが死んじゃう!な論理展開→た、確かめないと…

という流れを辿ってます。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:17:28.80 ID:+VImcGZh
別に俺だってウルトラの人が嫌いなわけじゃないよ
ただルールは守ろうぜって話

ウル魔ってある意味、ゼロ魔世界の蹂躙じゃない
下手するとアンチやヘイトよりもたちが悪いよ

次に出して欲しい怪獣をリクエストするよりも、速やかに別の場所でやりなさい
って言ってあげるのが作者ひいてはファンの為だと思うよ
705名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:36:10.98 ID:OGbtYNmQ
何か言いたいことある人は避難所の運営議論スレに行けばいいんじゃないかな
いつまでも投下し辛い雰囲気を出すわけにはいかないだろう
ウル魔がどうとか個人の意見は関係ない、ただルールは守ろうぜって話
706名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:37:16.87 ID:Ny3BsEgR
散々言われてきた事だろうけど、主人公すげ替えただけの原作なぞりなんぞに
クロス物としての価値なんざあるのかという話。

大体この場合ウルトラマンAだけが目立ってゼロ魔サイドのキャラが完全空気化してるって
所まで行かなきゃゼロ魔蹂躙とはとても言えないと思うが。

クロス作品の影響で原作逸脱するのを原作蹂躙扱いされたらクロスSS物なんざ書けんわな。
707名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:42:34.96 ID:djBU61Zz
議論は議論スレでやろうぜ
ルール守らずに批判しても通るわけがない
708名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:44:26.95 ID:O9g4C/6h
709名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:45:48.20 ID:exAspR/A
・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?

以後、ここで蒸し返す人はテンプレのルールを守れない荒らし
710名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:48:29.71 ID:+VImcGZh
>>706
いくら何でも限度がある
ウル魔はキャラ改変とかストーリー改変とかもうそういうレベルじゃない
ハッキリ言って別物
クロスですらない
711名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:53:23.90 ID:+VImcGZh
しゃあない、避難所へ行くか
と思ったら、避難所のそのスレ過疎り過ぎてて機能してないじゃん

結局、有名書き手への批判は全て隔離、批判は許さんってスタンスなわけね
712名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 19:55:22.62 ID:aOcFGP3s
>>711
過疎っていても機能してないわけじゃないし
その隔離、批判をさせないと言うのは君の考えすぎ
まずは書きこんで周りの反応がある程度あってから言うのが筋じゃないかな?
713名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:04:09.49 ID:SjMWID6N
過疎ってるって議題がなければそりゃ過疎るだろ
714名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:04:28.35 ID:+VImcGZh
2ヶ月近くレスもないスレでまともに議論出来ると思うほど馬鹿じゃないぞ
まあ、ここでgdgd言う真似はもうしないが、俺と同じ様に思ってた人は過去も今もいるんだし
一度作者含めて話し合う必要があると思うね
というか作者と話したいわ、本当に
多分見てるんだろうし、何か言いたいことがあるなら言って欲しい
715名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:07:08.74 ID:RPGlHxrN
どこもそうだがクロススレってこの類の議論が尽きないよな
716名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:07:23.50 ID:8NnrBpjZ
>>714
ただ単に気に入らないなら
お前がロムってればいいだけ
717名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:09:04.34 ID:/In2gN5F
議題が無い時に議論がある訳ないだろう
718名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:09:20.14 ID:RPGlHxrN
ってよく見たらギャースカ騒いでるの一人じゃねーか
719名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:11:41.76 ID:IUl2ncmx
余所でもよくあるけど、この手の輩は議論スレには行きたがらない。周囲を味方に付けられないとわかってるからだろうか
そのくせ、本スレには時々湧いて来くるから性質が悪い。余計印象が悪くなるだけなのにね
720名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:12:41.05 ID:+VImcGZh
つまり、臭いものに蓋というわけですか
有名書き手への批判は絶対にダメってことね
幸せだなウルトラの人は
こんな素晴らしいファンに恵まれてねえ

と皮肉りたくなるくらい過保護だな
721名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:14:21.48 ID:fcti/VpO
スレの空気が悪くなるからNGでお願いします
722名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:14:33.48 ID:wcJYbwby
使い魔は四代目の人乙です。
りゅうちゃんが押されるとは・・・・さすがマルトー親父やでwww
723名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:43:32.14 ID:+VImcGZh
空気悪くなった原因は何でもかんでも隔離しようとするお前らのせいだろ
俺の意見に不備があるなら論破でも何でもしたらいいのに、
論じようとすることさえしなかったじゃないか
有名書き手の批判がそんなにダメか?
724名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:47:26.22 ID:uwJ9XR+B
>論じようとすることさえしなかったじゃないか
お前の目がどういう構造しているのかはよくわかった
念のため言っておくが、反論はあったぞ。避難所行けって意見のことじゃなくてな
725名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:48:53.10 ID:q1O0ScoC
臭いものに蓋・・・
つまり、自分は臭いものだと自覚してるってことか?
726名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:50:32.31 ID:Sa3HjDQf
個人の主観でケチつけてるだけのレスに不備がどうとか言われても…
727名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:53:49.16 ID:YYlMFiEU
ネガティブなことばっかり考えるのはよそう!
728名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:56:08.63 ID:Ny3BsEgR
大体原作のストーリーが跡形もなくなってる作品はウルトラだけじゃないぞ。
なんでウルトラだけ槍玉にあげる?

>ウル魔はキャラ改変とかストーリー改変とかもうそういうレベルじゃない
と主張してるが具体的にどう言う根拠でそう主張するのか聞かせてもらいたいものだが。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 20:58:06.54 ID:Zac/kwvx
荒らしはスルーしろ。
当方にスルーの用意あり。
730名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 21:00:19.51 ID:qbStRP3p
つよかん!さん、乙ですー!

合間に入る「メイドはこんらんしている!」などの文章がドラクエっぽくて好きです。
これからも楽しみにしてます!
731名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 21:02:02.95 ID:qbStRP3p
失礼しました。
つかよん!さんでしたね・・・すみません、間違えました。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 21:24:13.26 ID:oNaSZU/x
おい、 ID:+VImcGZh
運営議論スレが過疎ってて気に入らないのなら、雑談スレへ行ってみな
ネタにしてもらえてるぞ

自分の意見も書き込んでおいたから、反論ヨロシク
733名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 21:31:37.29 ID:pUl+ElCI
ウル魔は、NG登録してるぜ?
ゼロの使い魔じゃないからな

提督氏と似たような話のノリだから切った
734名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:06:30.58 ID:vLMfDiaa
なんとなく転載

404 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/18(月) 19:21:49.93 ID:+VImcGZh
にじファンに有りがちなクロスオーバーものなのにオリ主ってのは何なんだ?
クロスオーバーなら素直にクロスオーバー先のキャラ使えよって思う

他作品の能力を持ったオリ主なら分かるけど、世界観や設定までそのままでキャラだけオリ主ってのは頂けない
735名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:11:29.66 ID:zPWtHWr5
ウル魔の何が嫌って、きもい信者が群がって延々と語るわ
批判を許さず我が物顔でスレに居座るところ。
ようするに作者じゃなくて信者がうざいタイプの作品だわな。
勿論信者だけが悪いわけではなく、それを野放しにする作者含めたスレ住人や、
ゼロ魔の必要性を疑う作品の内容も原因だけどね。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:13:56.91 ID:1mwE3wF9
ここまで俺の自作自演
737名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:14:32.84 ID:sUECoRwr
毒吐きでやれ 空気を乱すな
738名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:14:53.00 ID:iX4M07s9
信者もアンチもうぜえ
失せろ
739名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:15:56.90 ID:aOcFGP3s
     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
740名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:18:57.40 ID:yjyd9R/6
まぁ、人間様の嫌がりそうな文章を自動生成してしまうバグを抱え込んだスクリプトの残骸など、放っておけばいいだけなのさ。
741 忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/04/18(月) 22:20:19.92 ID:2jjYp0Bu
>>637
ブラストハンドは小ネタで有るぜ? ルイズがブラストハンド名乗ってPC1が絶叫するいつものシーン。

TRPGで爆発キャラだと阿東貢(T×V)の方がルイズにとっていいんじゃないか?
『火薬』の能力による爆発と古武術を組み合わせた全く新しい戦闘法をあみ出したキャラで、
中の人がダイヤだから幼女にやさしい。
指導を受けて、自分の「爆発」を活かす方法を知ったルイズは進むべき道を見出し…
結局心にストレスが全然たまってないので『虚無』がさっぱり発動できなくなるのじゃよ。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:30:59.16 ID:oNaSZU/x
ID:zPWtHWr5が現れて以降、ID:+VImcGZhが現れる事は 二度とありませんでした。
めでたし めでたし。

743名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:35:09.75 ID:t8jcwdzk
次号で休刊なSFJにて連載再開な漫画読んで思ったが
見た目人外、人語は解するけど話せない、テレパシーなんて使えないキャラクターだとどうなんのかな
744名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 22:41:37.08 ID:TrIffDhf
あぁ、今週末にあれがあるからか
745名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 23:17:11.70 ID:J4taDzua
そういえばウルトラマンとのクロスって色々他のSSでもあるけど
タロウの時のように人間がウルトラマンにあまり頼らず突撃してくのはあんま無いのね。
娘にいいとこ見せるために巨大怪獣に光太郎さん並に突撃するヴァリエール公爵とか。
746名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/18(月) 23:30:33.37 ID:fzDvbbnG
干支が変わってもう四ヶ月も経つけど、オレンジ色の続きが読みたい
747名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:29:28.72 ID:xawR47ql
「スレの私物化」と「嫌なら読むな」の議題は
SS関係のスレで解決された記憶がないな
いっそテンプレの
>・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
を削除すりゃ解決すんじゃね(笑)
748名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:37:48.32 ID:0cf6iPX2
まあ、ウル魔信者がキモいのだけは何となく分かった
749名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:41:52.16 ID:nxVDoJyN
DQNに精神的にも肉体的にもフルボッコにされた上に
NTRまでされた零の使い手イルボラさんをだれか救ってあげてください
750名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:43:05.68 ID:nRjnSGO5
わざわざID抽出したりとかなw
案外作者本人の仕業だったりして
俺の楽園を荒らすなー!みたいな?
751名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:47:16.01 ID:X1kfDfvs
     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:50:42.71 ID:+/jTj7I/
ウル魔ねえ・・・
個人的にはこれが投下されるとスレの流れが途端にキモくなるから
あまり好きではないな
勿論、作者のせいでは無いんだが
753名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 00:51:53.45 ID:mK3/5Rpb
次はウル魔の作者をwikiから追い出したがっているというのはよく分かった。
754名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 01:03:07.76 ID:xawR47ql
俺はウルトラマン知らないからNG入れてスルーしてるんだが、
投下後のウルトラマンファンのウルトラマン語りとか
「次は〜〜星人?の〜〜」とかの話ばかりになってややウザい
それこそ避難所の雑談スレでやればいいんじゃね
755名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 01:05:01.64 ID:0cf6iPX2
>>754
同意する
756名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 01:06:14.18 ID:cB1Rk9BV
じゃあ仮性人の話でもしようか
757名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 01:25:24.93 ID:ZR2sH8R3
ウルトラマンは読んでないけど、楽しみにしている人がいるんだから叩くのはやめてほしい
叩くとここからますます人が減るし、新しい作品の投下数も減りそうだからやだ

僕は火星人だよ!
758名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 01:33:51.96 ID:BlmFbdGS
ほんとクロスSSスレはこんなんばっかり
学習しろよ、最終的に誰も居なくなんぞ
759名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 02:19:27.98 ID:XKzjOQf7
間抜けが一匹、尻丸出し。
プッw
760名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 02:21:41.06 ID:nRjnSGO5
ウル魔信者ってこんなんばっかなん?
761名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 02:23:23.36 ID:VCVL8Oq3
嫌ならNG使うかスルーすればいいのにな
一々噛み付く必要もないだろ
762名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 03:18:32.59 ID:LijSOyth
また避難所進行とか面倒な事になりそうなくらいの荒れっぷりだなぁ。
とりあえず議論も毒吐きも避難所で済ませてくればいいよ。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 04:52:40.70 ID:XKx2BdfR
興味ないならそのSSもそれに対する感想も一切流せばいい。
それができないならこういうスレを覗かなければいい。
ただそれだけだよな。

いちいちSSを叩く奴に限って
自分はSSにいくら文句をつけてもいいが
自分のレスに文句言う奴は許さない
という自己中ばっかりだ。
764名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 05:09:34.30 ID:miZA82d4
NGもしない、議論スレへの誘導も拒否するってんじゃ反応してやる義理もないだろ。
もっともらしいこと言って荒らしたいだけだよ。
以後この話題スルーでよくね?
765名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 05:35:19.81 ID:/8mBJDgK
これでまた職人さんさようならの流れかな…
766名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 05:42:46.11 ID:fAR+zKC7
そんなことよりオッパイの話しようぜ!
767名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 06:12:28.81 ID:ABjm4ouQ
俺様は真性だ。仮性どもは黙って道を開けろ
その先に病院があるんだ
768名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 06:54:48.07 ID:pjSmjoQY
>>767

ここから先は一方通行だ
769名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 07:06:23.66 ID:Xeitpo3I
投下後の感想ですらないウルトラマン話さえ止めてくれれば別に俺はいいや
○○出して〜とか、そんなのは避難所でやれ
770名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 07:16:07.33 ID:fAR+zKC7
カンピオーネ!からの召喚とかどうかなーと思ったりしたが、ハルケギニアでまつろわぬ神とか戦うのも面倒だな。
771名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 09:54:04.63 ID:1N+ONSXX
マルモの人、リュカの人と良作なドラクエとのクロス作者が帰ってこない今、
四代目の人は俺にとって最後の希望だわ。是非これからも頑張ってほしい。

ドラクエに限らず、RPG系のクロスは毎回いいところで途絶しちゃうのは何故なんだ?
772名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 12:43:37.59 ID:o5O8WFXi
みんながホイミをかけてくれないから
773名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 13:16:23.55 ID:uuVg4Gn+
元ネタが元ネタだから長く続いてる以外特に目っていたわけでもないのに、いっつも周りの人間がつまらないことをしている印象しかない>ウルトラ

>>741
TRPGと言えばやっp窓に!窓に!
774名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 13:32:06.59 ID:ImahQiOk
とりあえず新スレは?
775名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 14:39:59.35 ID:A0J2qAhm
本当ギリギリでいいんじゃないかな、今建てても新スレにまで持ち込む奴いるだろうから
776名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 15:24:17.55 ID:XKzjOQf7
パイナップルアーミーからジェド豪士を召喚。
NATO式トレーニングで身体を強化し、スナイパースコープで2Km先の障害物を破壊できるルイズ。

けど、ジョゼフの使い魔はシャオトンイーで、ヴィットーリオの使い魔はイワン。
アルビオンで指揮をとるのはトモダチ。

翼人による空挺部隊や、ハインド式ランデスロッテで襲ってくる火竜。
スキュラのフロッグマン部隊に、ジャイアントモールを従えた塹壕部隊。
777名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 15:37:28.64 ID:RsO/U1mc
レコン・キスタに傭兵としてやとわれてるオールビー・コーツと対決になるとかいうのもいいな
ジョゼフとチェス対決でチュメニ防衛作戦を披露する豪士
778名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 16:22:32.79 ID:XKzjOQf7
カゲムシャの芸人が身代わりになり、私は泣き男になりたかったというウエールズ。
アンアン「ウエールズ・テューダー、あなたはプリンスオブ・アルビオンとして死ぬべきだったのよ」

リッシュモンの殺人現場を目撃した、証人の娼婦を守るため対魔法用ベストを着て暗殺者に
立ち向かう「魅惑の妖精亭」メンバーとアニエス。

謎の暗殺武器「ザギー」や、吹き矢を使う元素の4兄弟相手に、篭城戦。
ウエストウッド村の近くの森に住み、テファと子供達を守る謎の男デビッド・ボビット。
ハリデー准将「水精霊騎士団の少年諸君。エオーの曜日は私のラッキーデーだ」

コーツは、アルビオン戦の後にワルドと合流し、共に流れの傭兵コンビでタバサの外伝
に絡んでくるポジションかねえ。
779名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 16:36:11.42 ID:wUfsoPJC
容量が危ないみたいですが、大丈夫だろうか。

何もご予定が無ければ16:38に新作投下しようかと思っています。


元ネタ作品:キャスルヴァニア −真実の嘆き−(副題は海外版)
召喚されるキャラ:ヴァルター・ベルンハルト
タイトル:黒夜のトッカータ
780名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 16:42:00.59 ID:wUfsoPJC
む。本文が長すぎる、と出てきた。しばしお待ちください
781名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 16:45:41.07 ID:wUfsoPJC
ようやっと、調整ができましたので、改めて2分後に投下していきます。
782黒夜のトッカータ 起:2011/04/19(火) 16:50:08.22 ID:wUfsoPJC
とうの昔に終わってもよいはずの夜は続いていた。
ハルケギニア一の大国、ガリア王国。その王都リュティスではひと月も前より、三日に一度、明ける事の無い夜に包まれていた。

夜――漆黒の闇が覆いつくすその時は、人々の心に自然と恐怖を植えつける。
人々は朝の温かい光を求め、早く明日が来る事を願い、床に就く。

しかし、それを好まず、むしろその闇を望む者達もいる。

「ふむ……」
顎をさする男は目の前の鏡に映し出される光景に感嘆と呟いた。
鏡の中に映し出されるのは、青い髪の少女が自分よりも大きな節くれの杖を手にし、
大振りの長剣を握る黒髪の少年に氷の槍を放つ姿だった。
少年はその攻撃を剣を振るって弾き、少女に突貫していく。
突き倒した少女に剣を振り下ろしたが、何故かその刃は少女を貫かずに地面に突き立てられていた。
「わざと外したか? ……しかし、変わった少年だ」
ここ、ガリア王国首都リュティス郊外のヴェルサルテイル宮殿、グラン・トロワの一室。
明かりも点けずに闇に包まれる中、二人の男は鏡に映し出される光景を食い入るように見続けていた。
ガリア王族の証である青い髪の男は椅子に腰を下ろしつつ机の上に置かれたチェス盤の駒を弄りながら不敵な笑みを微かに浮かべる。
鏡には彼の右腕たる使い魔が従える無数のガーゴイル達が突如爆炎に包まれて次々と砕かれていくのが映っていた。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 17:33:33.80 ID:wUfsoPJC
バイバイさるさんに引っかかっている間に原稿がクラッシュしてしまいました。

中途過ぎて誠に申し訳ありませんが、出直します……。
784名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 17:42:25.65 ID:Pf1dC4VZ
ああもう! ああもう!w
待ってるよ!
785名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 17:42:53.10 ID:RsO/U1mc
気を落とさずに再チャレンジしてきてください
786名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 17:55:26.94 ID:ZR2sH8R3
ドンマイですw
787名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 19:27:12.98 ID:P9NeJuJj
次に誰がくるにしろ残り10kくらいじゃ投下無理でない?
788名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 19:42:43.11 ID:3mV7abnm
誰かスレ立て頼む、自分トコのプロバイダじゃ立てれない
789名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 19:46:15.54 ID:p0lm54bt
いってくる
790名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 19:48:48.12 ID:p0lm54bt
791名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 20:49:33.83 ID:W3xfwPG/
>>790
スレ立て乙
792名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 21:57:23.66 ID:+0c+9s+G
>>790
スレ立て乙です。

>>771
クロス先の原作をプレイするのに忙しくて書く熱意が無くなったという本末転倒だったりしてな。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 23:30:19.29 ID:yeKQG3eG
>>773が言うように、「書きやすい作品が元ネタ」だと、やっぱりやり易いんだよな
794名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/19(火) 23:34:28.10 ID:BkJbT2oW
最近のでいえばBLAMEとかか

いや、どっちかというと、あれは書きにくいキャラか
795名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 16:33:11.50 ID:aFwz6I1t
『書きやすい作品』の基準って何?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 17:23:01.98 ID:jBqQFC8o
怪獣が出てきて、やっつけての流れで一話完結は少なくとも書きやすい作品だろうな
797名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 17:29:19.20 ID:aFwz6I1t
ぜろろの人は移転だそうだ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 17:31:57.93 ID:NpLYEojT
主人公に特殊な能力もなく、エロゲー主人公のように個性が薄くて、基本的にサイトのセリフを吐かせるだけでおかしなところが出てこないキャラクターが書きやすいと思う
799名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 17:37:00.91 ID:aFwz6I1t
サイト以外にレモンちゃんとかバストレボリューションとか違和感なく言える他作品キャラなんてそういないと思うが…
800名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 19:20:58.59 ID:VZ+CT0LD
昔、誠ごうすけという、30代が少年のころの、憧れがいましてな。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 23:06:34.62 ID:UH3oqqn1
あとは横島忠夫とかな。
802名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 23:26:07.89 ID:kY2DSv4j
イケてる2人の佐次京介とかな
803名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/20(水) 23:41:20.76 ID:GySIdWb5
>>802
佐次は好きだってストレートに言う奴だからサイトのようなもどかしい展開は起きないと思うぞ
804名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 01:33:01.08 ID:5GadmeWi
レモンちゃんとかバストレボリューションとかは普段からバンバン言いそうだが
805名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 08:48:41.07 ID:3TFIeygM
京介と言えば、俺妹の京介もレモンちゃんとか言い出しても不思議じゃない。
ただし、原作版に限る。
806名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 08:57:10.68 ID:t9kjZVVN
GTOの鬼塚とかも言いそうだな
807名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/21(木) 11:05:30.02 ID:tE3F0a4L
京介というと、ほら、しろみこの……なんだっけ、かわたなの。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 17:45:25.54 ID:kMG5pr1Z
意外と脳内ピンク色っているんだな
809名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 19:53:50.21 ID:bcBqlX09
記憶喪失のアクセルが口走りそう>レモンちゃん
810名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 20:01:55.98 ID:3LdCI+Zy
>>797
また読めるのが嬉しい
811名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 22:42:28.76 ID:0ZJj2AiJ
>>809
アホセルだったらルイズとも相性よさそうだよなw
812名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/22(金) 22:46:46.98 ID:lEUnX8hX
だがA仕様のアホセルではなくムゲフロ仕様のアホセルなら、アルフィミィもセットでついてくるんだよな
まあゼロ魔だったら、後者の方が能力的にも動かしやすいんだろうけど。
813名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 00:04:55.49 ID:UJrXBq6v
エクシードのエンディング後の設定で寄り道させたら面白いかもなぁ

「そんなにボンボン爆発させちゃだめですの!!アクセルはよく記憶が飛ぶんですから!!初期型ファミコン並みですよの!!」

もしくは虚無の使い魔ってことで
ギムノス=バシレウスを召喚、役立たずの使い魔を呼び出してしまい癇癪を起こしたルイズが爆破するが
なぜか一緒にその場に召喚されたデルフも粉微塵に
時を経て目覚めたW05は・・・!!

・・・キャラ崩壊したウォーダンだな
814名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 00:15:41.49 ID:/afkH53f
かわいそうな使い魔。

一つ、名前はトンキー。

二つ、すごいかわいそうな使い魔もいる。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 01:15:39.27 ID:bWlYFsxh
ソウルゲインはモビルトレースシステムで動くから、
A仕様でも普通に格闘の達人のはずだがな。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 04:08:00.47 ID:K7e1XaU4
>>812

アルフィミィにサクサクいかれるワルドが見えたw
817名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 07:53:16.98 ID:9LNn0017
>>815
ドモンと竜崎の攻撃をまともに受けてなんともなかったしな
818名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 13:41:07.39 ID:elub5bjB
>>813
そういやwikiでウォーダン召喚してたのあったな
獲物も剣だし結構しっくりきそう
819名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 20:02:23.89 ID:Et2XdIjQ
次スレで吸血鬼の話してて、今スレで剣士の話をしてる。

ここから導き出される答えは一つ!

『これはゾンビですか?』から吸血忍者はっぱの人を召喚しよう!

もちろんルイズが麻酔付きで吸血される!?
820名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 21:14:59.14 ID:71Y4P6ZL
スパロボから召喚……最強のフリーター、トウマ・カノウはどうだろう。
あの無茶苦茶な世界において、何の特殊能力もない普通の人間なのに強大な敵と戦い、特訓を重ねた結果「神雷」を習得するレベルに達しましたし。ある意味王道的主人公として正しいかと。
821名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 22:06:14.75 ID:SUZvsuq4
スパロボならリアル系以外は特殊能力とか無くて強い奴だらけだったような
822Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/23(土) 22:06:15.51 ID:Nl4ygRYt
すぐ後で残りの分を投下するといったことを言いながら、結局忘れて一週間も経ってしまったBLAME!ネタ
いつかEX-LOGでも書くから、誤字共々勘弁してくれ…


今回は4話もまとめて投下
823名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 22:08:16.18 ID:HUmt+tpy
投下するならこっちで頼む
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1303210094/
824Adventure-seeker Killy in the magian world quest:2011/04/23(土) 22:14:35.84 ID:Nl4ygRYt
過去レスを見なかった無能な私を、どうか許して(ry
825名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/23(土) 22:56:13.68 ID:/afkH53f
わくわく。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 19:22:29.68 ID:pHWs9gBB
827名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 22:32:15.40 ID:/0HQqjVx
何かまとまった小ネタで一気に埋めたい。

……使い魔界村?

裸のおっさんを呼び出してしまい、渋々契約したルイズ。
直後にレッドアリーマーが彼女をさらったので、ガンダールブとなったアーサーが助けにいくんだ。

なにしろガンダールブなので、大概の武器は使える。
『いっき』の鎌や竹やり、『ディグダグ』のスコップと空気入れ、『アイスクライマー』のハンマー、
『チャレンジャー』のナイフ、『グーニーズ』のパチンコ、『にんじゃくん』の手裏剣、などなど。
828名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 22:42:24.61 ID:/0HQqjVx
まとまらないなぁ。

次スレ>327が屋敷を壊す話になっているので、『レッキングクルー』からナスビ仮面を呼んで第一話のボスとしよう。
場所はモット伯の屋敷で倒すとシエスタが助け出せる。

第二話はトリステインで『お化けのQ太郎』のドロンパ誘拐犯を追いかけ回す。
その過程でデルフブリンガーをget!

第三話はフーケかな?
破壊の杖の正体は『アルカノイド』のバー。

後は……もうわからん。
829名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 22:42:56.20 ID:Np5qz3w2
>>827
それもうアーサーじゃねえw
830名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 22:57:06.23 ID:nxtOKcee
しかし、そういうハチャメチャなのは見てみたいw
831名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:05:34.26 ID:MIy45rK4
せめてカプコン縛りで・・・・
832名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:12:36.67 ID:/0HQqjVx
>829
ポリシー的なものとして、カプコンからは出さないようにしたい。
まぁ、うっかりは何時でもつきものだが。
>830
まあ、埋めネタだからやりたい放題フジえもん。

ところでギーシュを忘れていたので、一話ずらす。
ルイズがさらわれて第一話終了くらい。

第五話でレッドアリーマーの目撃情報を得てアルビオンへ。
船に乗る前にインベーダー退治。

第六話でウェールズ王子と合流する鍵となるのが『プーヤン』の風船。

第七話では地下洞窟を突破するために花火師勘太郎の力を借りる。

第八話はワルド戦。たぶんガチ。

後は……
833名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:16:56.56 ID:R53sCXyI
一筆書いていたらもう499kBで無理ぽの巻

カプコンじゃないけど壊すならボンバーマンの爆弾も是非。
いや、ルイズが白ボンを召喚したらそれはそれで面白いか?
834名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:20:51.63 ID:MIy45rK4
カプコン、コナミ、ナムコ、ハドソンあたりからそれぞれ誰か召喚とかw
835名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:21:23.19 ID:/0HQqjVx
>831
大丈夫。これはパイロット版。

もしも正式版がでたらカプコンで揃える。
ロックマンとストIIが強過ぎな気もするが。

因みに今回のバージョンでも、虚無の使い魔はカプコン。
レッドアリーマーがミョズてヴィンダがワイリー。
はばかられるのは……ゴウキ?
836名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:23:08.50 ID:mzWmyy/t
家壊すならりぜるの爆発で良いじゃん
837名無しさん@お腹いっぱい。:2011/04/24(日) 23:26:34.28 ID:/0HQqjVx
>833
そこを敢えて外して『かんしゃく玉投げ勘太郎』にした。
>834
誰がはばかられるのかで揉めそうで。

……『メタルマックス』以外のデータイーストといえば何だろう?
838名無しさん@お腹いっぱい。
>>837
チェルノブとかカルノフとかw