あの作品のキャラがルイズに召喚されました part288
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part287
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1293893550/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
一瞬のまどろみからタバサは目覚めた。
どうやらあまりの激痛から気を失っていたらしい、だらしがないと自らを叱咤して震える腕を支えに立ち上がる。
見れば傷は相変わらず以前のまま、まるでバターみたいに自分の体の真ん中にはぽっかりと穴が空いている。
最悪な状況だが、それでもまだ自分は生きている。
この穴はおそらく肉を抉ったり、棘が貫通して生まれたものではなく、触れたものを“消し去った”ゆえにできた穴なのだろう。
だから死なない、普通なら即死である傷であろうとも出血もなく、かろうじて心臓も、片方も肺も生きている。
まだ戦えるのだ。
そこまで考えて、タバサは自分の手のなかに何かを握っていることに気がついた。
それは林檎。
黄金に輝く、瑞々しさを全身に湛えた小さな小さな知恵の果実。
魅入られたようにその林檎を凝視すると、まるで操られるようにタバサはその林檎を一口食んだ。
その瞬間、タバサの体から噴出したのは林檎と同じ色をした黄金の光。
「ルイズ……」
気が付けばタバサは涙を流していた。
その林檎を一口食べた瞬間に、目の前一杯に大切な友人の顔が浮かんだのだ。
その次に体を満たしたのは、生きる事へと感謝の気持ち。
己を産み、育んだ、父へ、母へ、友人達へ、そしてこのハルケギニアへのこの上ない“感謝の心”だった。
タバサの心に呼応するように、足元に落ちたタロットカードが黄金色の光を放つ。
「私はあなた あなたは私 私はあなたの影であり あなたは私の光 今こそ仮面を解き放ち 求めるその名を呼びなさい」
イーヴァルディが謳い、彼女はコクリと頷く。
手の握り、その掌の中で黄金色の光が砕けた。
「私は、シャルロット。シャルロット・エレーヌ・オルレアン!」
既に心の中に吹きすさんでいた“雪風”は止んだ。
ならばもはや彼女の守護者たる者はか弱い“シャルロット”を救いに来る“イーヴァルディ”ではない。
「一緒に戦って」
共に戦列を歩む存在は、彼女と最も長く共にあった存在こそがふさわしい。
雪の日も風の日も、苦難と共に、誓いと共に、血と汗のにじんだ道を歩んできた存在こそがふさわしい。
「“タバサ”!!!!!!」
シャルロットは、運命の日以来はじめて心からその名を呼んだ。
大切な、共に歩む己の半身として、その名を呼んだ。
「とは言ったものの、さすがに、辛いね」
十重二十重に迫りくる触手を、異形の腕を、バルドルはその時に弾き、時にちぎってはやりすごす。
バルドルが叫ぶたび塔の床の一部が鋭利な土の槍となって“悪魔”を砕き散らす。
だがいくらなんでも相手が悪すぎた。
攻撃しても攻撃しても一切気にした様子もなく、千切れた触手は一瞬で再生し再びギーシュへと襲いかかる。
飛びのいて回避、回避できないものはワルキューレを作り出し盾にする。
そうやってギーシュは先ほどからこの塔全てを覆い尽くそうとする。
先ほどからこうやってずっと千日手が続いている。
敵の攻撃はかろうじて捌けているが、このままでは遠くないうちに破滅がやってくるのが誰の目にも明らかだった。
「やれやれ、格好付けたいけどこれはちょっとね」
そう言って肩を竦めたギーシュに後ろから声が届いたのは次にもう一度苦笑と共に魔法を放とうとした時だ。
「ごめん、遅くなった」
その言葉と共に無数のザンダインが舞い、ギーシュに襲いかかろうとする触手を細切れにしていく。
「タバサちゃん!!!!」
「おっと、早かったね。ごめんよ、なんとかお姫様のお目覚めに間に合わせようとしたんだけど」
軽口を叩くギーシュに軽く微笑んでから、タバサは一言問題ないと返した。
「一つ謝ることがある」
タバサの背後に浮かび上がる漆黒のドレスを着たペルソナのヴィジョン。
右手に剣を左手に杖を、間接にはまるで作りかけの人形のようにディフォルメされたマチ針のようなもの複数飛びだしていた。
癖のないその髪は長く蒼い、顔の右半分を覆う仮面は眠りを象ったように静謐だった。
露出されたもう半分の顔の中で、ルビーのような真紅の瞳が炎を灯して燃えあがっている。
マハー支援
「私の本当の名前はシャルロット」
そしてまっすぐに彼女は己の半身を見た。
「そしてこの子が、もう一人の私“タバサ”」
ペルソナがこくりと頷き、そして“悪魔”へと向き直る。
「両方とも私、二人揃って――私!」
決意と共に、その一対と一つで合計三つ、強い力を秘めた瞳で睨みつける。
「だから、その、こんごとも、よろしく……」
それがタバサなりの照れ隠しだと気づいて、ギーシュは笑った。
きっと今背中を見せているタバサの顔は、真っ赤に染まっているに違いない。
「ああ、よろしくシャルロット」
「よろしくだクマ!」
戦場の最中に生まれた実に和やかな光景。
だがそんな時間は一瞬で破壊された。
二人のことなど知らぬと触手がほとばしる。
「――全く、無粋にもほどあるぞ!お前!」
バルドルが向かってきた触手を掴み、千切る。
タバサが氷と刃で触手をばらばらにする。
状況は一向に変わらない。
“悪魔”はギーシュたちの攻撃をモノともせず、全てを終わらせるためにその身を増殖させ続ける。
やがてこの醜悪な肉塊は世界の全てを覆うだろう、この短い時間の間にその巨体は塔の半分以上まで広がっていた。
「どうする?」
シャルロットの誰何に、ギーシュは笑って答えた。
「きっと、なんとかなるさ。ルイズだってついてるんだ」
天を仰ぐ、そこには成長を続ける巨大な樹の姿。
ルイズから生えた世界樹は、今や青々とその枝を広げ、この塔全てを覆わんとしていた。
聞いた訳ではない、この樹が成長しきったらどうなるかなどわからない。
だがこの木々がルイズの力によって編まれたものであり、そこから膨大な力が自分たちに向かって流れてくるのを確かにギーシュは感じていた。
だから少しも負ける気はしなかったのだ。
「分かった」
ギーシュが何を言わんとしているのか、その一言で察したのだろう。
シャルロットは頷くと杖を構える。
「みんな、頑張るクマー!」
ぼろぼろになりながらクマが声援を送り、ギーシュが薔薇の杖を振る。
その光景を辛そうな目で見ている者がいた。
キュルケは見ていた。
己と言う牢獄に囚われ、どうしようもない無力を噛みしめながら。
「どうしてよ……どうしてあたしだけ……」
がつん、と床を叩く。手の皮が破れ血が流れるが、キュルケは構わず床を殴り続けた。
「どうしてあたしだけあそこにいないのっ!」
外の戦いの様子を見ながらキュルケは悔しそうに唇を噛みしめる。
ギーシュやタバサがペルソナの真の力を引き出し、この牢獄を打ち破って戦っているのに。
キュルケは見ているだけしかできない。
己の半身であるヴァナディースに呼びかけても、ウンともスンとも言わないのだ。
「ねぇなんとか言ってよ!それでもあんた私なのっ!」
皆が血を流し、決死で戦っている時に一人だけ何もできないと言う無力感。
「あなたは、私なんでしょう……」
ヴァナディースからの答えはない。
「なんで、なんでなのよ!」
「それは、私の力不足……故に」
「え?」
ほんの一瞬目を閉じた瞬間、目の前にいた筈のヴァナディースは消え。
代わりに立っていたのは蝶の仮面を付けて一人の青年だった。
キュルケは直感的にかつて夢の中であった蝶と同じ存在なのだと悟っていた。
「あなたは、フィレモン?」
フィレモンの姿は薄らぎながら明滅している。
その姿がまるで消える直前の蝋燭を連想させ、キュルケはそれ以上問うことが出来なかった。
「君の力は本来ならは資格なき君を、私が無理やりに導いたもの」
「ええ……」
フィレモンは胸を抑えながら、一言一言絞り出すように言葉を続ける。
「君自身が己の奥底を覗きこみ、拾い上げた君だけの“仮面”では……ない」
「つまり、どういうことよ……」
なんとなく次の言葉を察してはいたものの、実際に聞くまでは納得できなかった。
キュルケに与えられたのは死刑宣告に等しい言葉だった。
「私の助力が叶わぬ今、君に新たなペルソナを与えることは……でき……ない」
「そんな……」
がくりと膝が落ちる。
その場に突っ伏したキュルケに向かって、フィレモンは言った。
「君に、頼みが、ある」
指差した先にあるのは、ルイズの使い魔。
ルーンの刻まれたテレビジョンだ。
「この先は人の心の……なか……私の力すべてを……使い……彼の遺した……希望を」
最後まで言い切ることなくフィレモンは消え。
そこにはさきほどと変わらぬ姿でヴァナディースが佇んでいる。
「――いいわ、やってやろうじゃない」
キュルケは一度舌舐めずりをすると、テレビの中へ飛び込んだ。
フィレモンは胸を抑えながら、一言一言絞り出すように言葉を続ける。
「君自身が己の奥底を覗きこみ、拾い上げた君だけの“仮面”では……ない」
「つまり、どういうことよ……」
なんとなく次の言葉を察してはいたものの、実際に聞くまでは納得できなかった。
キュルケに与えられたのは死刑宣告に等しい言葉だった。
「私の助力が叶わぬ今、君に新たなペルソナを与えることは……でき……ない」
「そんな……」
がくりと膝が落ちる。
その場に突っ伏したキュルケに向かって、フィレモンは言った。
「君に、頼みが、ある」
指差した先にあるのは、ルイズの使い魔。
ルーンの刻まれたテレビジョンだ。
「この先は人の心の……なか……私の力すべてを……使い……彼の遺した……希望を」
最後まで言い切ることなくフィレモンは消え。
そこにはさきほどと変わらぬ姿でヴァナディースが佇んでいる。
「――いいわ、やってやろうじゃない」
キュルケは一度舌舐めずりをすると、テレビの中へ飛び込んだ。
「見るクマ! ルイズちゃんの樹が」
世界樹が完全に塔を覆う。
かろうじて見えていた月が隠れ、世界に完全なる闇が訪れた。
――ありがとう
三人は確かに聞いた。
天に光を放つ巨大な一輪の花が咲く、咲いて咲いて咲き誇り、そして枯れていく。
――ありがとう
枯れた花にやがて巨大な真紅の果実が一つ、果実はやがて熟して弾け、その際に小さな何かがこぼれおちた。
――ありがとう
「ルイズ……かい?」
その答えは正しいと言えば正しく、間違っていると言えば間違っている。
なぜなら、彼女は完全に彼女自身のペルソナと一体化していた。
皮膚は果実と樹脂が混じり合った独特の光沢を持ち、
その身を覆う服は極彩色の花々、
目は琥珀で出来た細工物で、
美しい桃色の髪には青々とした草木が芽吹いている。
「ええ、心配かけてごめんね」
そう言ってルイズは笑うと、まっすぐに悪魔を指さし。
「メギドラオン」
極光が生じ、“悪魔”の体積を一度に三割も削り取った。
――ヶgぽ;ジェイおlhrfおぢSjf+gLDJFNKODIANB;FLK3GDADFLJBL;KFBFGLD;SJ :;PJ+K
初めて苦しむように、“悪魔”が吠える。
「やった効いてるじゃないか!」
ギーシュの言葉にルイズは首を横に振った。
「だめよ、こいつは“全ての人と言う存在そのもの”だから人である以上けして滅ぼせない」
「そんな……」
「じゃあどうしようもないって言うのかい!?」
二人の言葉にルイズはにぃっと笑う。
「そんな訳ないでしょう!」
ルイズは今度は余った左手で愛用のつえを振った。
いくつもの爆発が生じ、“悪魔”の体を穴だらけにする。
「人じゃ勝てないって言うのなら――こうすればいいってだけよ!」
ルイズが腕を振るうと、周囲の木々の枝が伸び“悪魔”の傷口に突き刺さる。
「全ての生き物の、この星の生きようする意思。そこにこいつを取りこんでぇえええええええええ」
ざくり、ざくり、ざくり。
次々に“悪魔”に枝が突き立ち、そのたびにルイズの顔が苦痛にゆがむ。
刺さった枝が一つ一つ黒く染まるたび、ルイズの口から苦悶が漏れる。
「こいつの“虚無”を塗りつぶす!」
それは人を星へ還す行為だ。
霊長と奢り、星から決別し、普遍的無意識を寄せ集めて生きてきた人と言う種。
その中に生じたエラー、それ自体を食らい尽くす猛毒を。
一旦全てまとめて巨大な生命の奔流のなかでふるい落とし、浄化する。
喩えるならば人の身では致死量なほどに体中に飛び散ったガン細胞を、人体の方を広げることで無理やり手術に持ちこむようなものだ。
人である限りけして倒せないものを、世界の全てをぶつければ――或いは。
だがその行為は人と世界の仲介役となるルイズが、己の中を通り抜けるおぞましいもの全てに耐えきらねば破綻する戦いだ。
「ぐ……負けない、絶対負けてなんか……やんない」
“悪魔”に根を張った木々がどんどんとその身に溜めこんだ“虚無”を吸い上げる。
吸い上げるほどルイズの体が黒く染まり、そしてその心と体を汚して行く。
“悪魔”が縮むのに従い、ルイズが壊れて行く。
「大丈夫かい、ルイズっ!?」
「平気っ!?」
二人の言葉に気丈にルイズは答えた。
「勿論……よ、ただ一つだけお願い、していい?」
「なにクマ?」
「――て、欲しいの」
ぼそぼそと呟く言葉は二人の耳には届かない。
「なんだって聞こえないよ」
「手を握って欲しいのよ!」
ぷい、と顔をそむけ。ルイズはやけくそ気味にそう言った。
よっぽど恥ずかしかったのか、樹木の色に変じたその皮膚に気持ち程度赤みが差している。
「お安い御用」
「それくらいなら任せてくれたまえ」
「大丈夫ルイズちゃん、クマが付いてるクマ」
全員で手を取り合って、その“絶望”に立ち向かう。
そしてそれに立ち向かおうとするのは彼らだけではなかった。
「ルイ……ズ……」
ふらりと幽鬼のように彼らの背後から忍び寄る人影。
それは……
「え、サイ……ト?」
わき腹から血を流し、正気の失せた瞳で、ルイズへを向かって手を伸ばすのは。
まぎれもなく、もう一人の平賀才人。
並行世界の己に刺し貫かれ、息絶えた筈の彼はしかしかろうじて息があったのだ。
いや或いは蘇生したのかもしれない、ルイズのペルソナが齎した常若の林檎はこの塔にいる命ある全てのモノを祝福した。
完全に死に絶えていなければ、息を吹き返したとしてもおかしくはないのだ。
それでもこれはあり得ないことだ。
こちらの才人は、リーヴスラシルのルーンを受けたサイトとは違ってルイズを助ける謂れも想いもない。
あるとするならば、それはもう一人のサイトが残した――――想いの残滓だけ。
だが彼はそれだけを頼りにここまでの道を歩ききったのだ。
「ルイズ……」
半死、半生の今にも命を終えそうなその体で。
「ありがとう、サイト、ありがとう……」
ルイズの瞳に涙が光る。
それがこぼれないように空を見上げながら、ルイズは己に残された全ての力を燃やす。
悲劇を今度こそ終わらせるために。
――――そして、その時は訪れた。
全てを木々に吸い尽くされた後に残ったものは、黒く汚れた人型と。
それが胸に輝く異形のルーン。
「ころ……し……て……」
それがかつてサイトだったもののなれの果てだと、一体だれが信じられるだろう。
その胸のルーンに人の持つ業、これまで営々と積み重ねてきた歪みを背負わせられた青年は。
今はまるで炭の彫像のように、風の吹きすさぶ塔の屋上で顔に指をめり込ませた姿勢のまま固まっていた。
「サイト……」
ルイズは全ての歪みを吸いつくし、真っ黒に染まったその体でゆっくりとサイトへ向かって足を進める。
ふらつく足を支えるのは、周囲の友たち。
「あり、がとう……」
ぎゅっとその体を抱きしめる。
サイトのもはや眼球のなくなった瞳から、二粒の雫が零れた。
「ごめん、なさい……」
ぼろぼろと二人の体が崩れ始める。
様子がおかしいことに気づいたギーシュとタバサがルイズの名を叫ぶが、既にその体は半分以上が黒い粉となって風に散ってしまっていた。
「る……い…………ず……」
「さ……いと……」
そうして、二人はこの世界から消え去った。
呆然と、残された者達は膝をつく。
一体これまで何のために戦ってきたのか、最後の最後でこのような結末が残されていようとは。
さすがの誰も思っていなかった。
「そんな、ルイズちゃん……サイトォォォ……」
クマは力一杯床を叩く。
自分にもう少し力があれば。
あと少しでもみんなの力になれていれば。
その悔しさが、哀しみが、涙となって流れ出し。
いつしかその手から地へと零れていた、“種”へと注いだ。
その種はブリミルが残した“希望”だった。
「どうしてぼくは……こんなに無力なんだ……」
嗚咽をこぼすクマの前で静かにその種が芽を出し、ゆっくりと育っていく。
その種が一体どんな花を咲かすのか、その時は誰も知らなかった。
――物語は一旦これで幕を閉じる。
この物語の続きが紡がれる、異なる時、異なる場所、異なる世界で巻き起こる。
一つの物語の終わりを待たねばならない。
どちらにしろ再会は暫し後。
それまで、一人の少年と一人のメイジは。
小さな小さな花のゆりかごで、目覚めの時を待っている。
――――ちょっとヨースケ!チエ!早く追いかけないとルイズの魂が……
――――キュルケさん落ちついてください、まずはこのシャドウを倒さないと。
――――くっそー、せっかくマヨナカテレビが片付いたってのに、これ以上俺達の町で犠牲者を出して堪るかよ!
――――みんな、総攻撃のチャンス、一気に決めるよ!
――――行くぞー!みんなー!ルイズちゃんとサイトを助けるんだクマー!
Fin
192 :Persona 0:2011/01/29(土) 21:14:04 ID:br8zsrk2
以上になります。
代理投下の方お願い致します。
前回の投下から、かなり時間が空いてしまって申し訳ありませんでした。
なんとか完結できたことを、応援してくださった皆様。
そしてこんな駄作に時間を取って拝読頂いた読者の皆様に、最大限の謝辞を。
----------------------------------------------------------------------------
ということで代理終了
途中、長いと怒られたので勝手に分割、反省はしてない
全身全霊でその完走を乙する!
お疲れ様でした!!
ペルソナの人完走乙です!
あやかりたいですなぁ。
代理の方も乙!
というわけで、どうも、SeeDの書き手です。
今回のサブタイトルはライダーの必殺技から。
けど『カード』で『兵隊』を使役できる辺り、奴の能力は『罪を数えさせる』方ではなく『大首領よりも前から通りすがり』な彼の方寄りかも。
では、他にいらっしゃらなければ22:45頃から参ります。
mission25 Joker Extreme
ジョーカーの高度1万メイルからの夜間強行降下偵察敢行から三日。
教皇庁から北に100リーグの合流地点にて、夜陰に紛れた朱い巨体がじっと地に伏せていた。
ぱちぱちと時たま割れる音がする焚き火を眺めつつ、アニエスはじっとジョーカーの帰還を待つ。
(……そういえば、火に対しての抵抗感がまるで無くなっているな)
擬似魔法を習ったばかりの頃、火属性を余り使わないことをスコールに指摘されていたのが懐かしい。
あれからはちょくちょく使う魔法に火属性を混ぜていたのは、自分の方が年上であるというアニエスの気負いからだ。
それ以外にも、ラグドリアン湖での一件のように火が必要であったときもある。
そして仇討ちを終え、ジャンクションを日常的にするようになり、自身があの強大な火を操りうる方になってからは、殆ど火魔法に対する蟠りを忘れていた。
(これも、ジャンクションによる記憶障害の一つだろうか……)
そんなことを考えているアニエスの耳に足音が聞こえる。二時間交替のスコールとの不寝番で、次の交代までもう10分あった筈だが、ラグナロクのタラップからスコールが下りてきていた。
「何だ、まだ余裕はあるだろう?」
「目が覚めた。寝直すほどの時間もなかったから、あんたの話を聞いておきたくてな」
よく冷えた水の入ったグラスを差し出し、スコールは焚き火を挟んで反対側に座った。
「ん……水はありがたいが……話?」
「ティファニアに関して俺達が責められていたときと、あんたの状態が違いすぎる。
ついこの間もアンリエッタ前女王に虚無殺しの件で俺達は異端者呼ばわりされ、今や俺達は直接的でないにしろロマリアの教皇庁と戦闘状態にあると言っても良い。あんただってまさか理解してない訳じゃないだろう」
「それこそまさかだ」
グラスを傾け、アニエスは口元に笑みをこぼす。
「そもそも状況からして違うだろう。確かに私たちは虚無を倒した。だが、あのジョゼフを倒すことは、むしろブリミル教を排斥しようとする連中に手を貸す者を排除したことの方が大きい。
その件で責められるのは、只の単なる勘違いだ。教皇猊下も、事実を知れば我々へ向けられる追っ手をすぐに諌めてくれるはずだ」
(……カステルモール卿が言っていたはずだがな、内部に教皇庁の間者が居たと……)
「それに私は、今回の潜入を只の調査だと思っている。教皇庁にシャルロット女王が居ないという確認のためのな。それがはっきりすれば、玉座に替え玉を据えた事に教皇猊下が関わりないと証明できるだろう?」
「アニエス、自分も納得できない言い訳に意味はない」
「…………」
はっきりとスコールに言われ、アニエスは押し黙った。
そこでざっざっと足音が響き、暗闇の中から襤褸を纏った人影が現れる。
「カードの王者は?」
「臭い息」
事前に決めていた合い言葉を交わし、ジョーカーはボロボロの外套を脱ぎ捨てる。
「コードネームジョーカー、偵察任務より帰還しました」
ざっとSeeD式の敬礼を掲げるのに、スコールも応える。
「報告は機内で受けるが……お前一人ということは……」
「守りは強固だ。俺一人じゃ突破してここまで連れてくるのは難しい」
それはつまり、女王が教皇庁で見つかったということで。アニエスは顔を曇らせた。
以前撮影していた上空写真から作り上げられたロマリア教皇庁の3Dモデリング。
ブリッジのディスプレイに映されたモデルの一部が赤く点滅する。
「建物の中心部に近いこの部屋が、女王の囚われてる場所だ。きっちり一日三食運ばれてるようだが、完全に監禁状態だ」
「ラグナロク強行着陸からの揚陸は出来ないな」
外縁部からの距離が遠すぎるのだ。手持ちの戦力が三名だけで、救出をジョーカー一人に一任するとしても、アニエスと二人でラグナロクの巨体を守りきらなければならない。
以前のアルビオン帝都ロサイスで敢行したアンドバリの指輪奪還作戦では、戦争中の混乱を突いての行動だったが、今度はそんな事情もない。ブリミル教、系統魔法の総本山、ロマリアのほぼ全戦力を相手取るのは幾ら何でも無理がある。
「俺がまた上空から降下するのを提案する。委員長達は最後に強行着陸してピックアップだけしてくれればいい。というよりも、それまでは近づくのも遠慮してもらいたい」
「? 何故だ。お前一人の降下作戦だとしても、ラグナロクがサーチライトを点灯しながら目視可能距離で空を飛んでいれば、それだけでお前への注意は向かなくなるだろう」
「委員長、スニーキングミッションは俺の方が得意なんだ。任せてくれよ」
「ああ……」
実際、敵陣のど真ん中で、捕まっていたわけでもないジョーカーと会ったことのある者としては、了承せざるを得ない。
「まぁ今回は特別に理由はあるんだけど」
「理由?」
がしがし、と帽子を取った頭を掻きつつ、ジョーカーは言う。
「今代の教皇、エイジス32世は虚無だ。もし長くラグナロクをその視界に入れさせておけば、トリステインに侵攻したゲルマニア艦隊の二の舞だ」
「何!?」
この事実には、スコール、アニエス共に目を剥いた。
「……一体何人いるんだ、虚無は!……了解した、あんたの意見を聞く。同じく夜間の方が都合が良いか?」
こくりと頷かれ、艇内の時計を見やる。
「明日の艇内標準時、03:30より作戦開始。一分後に離陸し、教皇庁上空1万mで滞空。04:00よりジョーカーは降下開始。以後ラグナロクはエンジン音も聞こえないよう上空待機。
回収のタイミングは?」
「そうだな……30分ぐらい後になる。場所は……俺がメテオを使うから、落着したポイントに降下してきてくれ。予定としては街の外に出るつもりだけど、間に合わなければ最悪城付近にホバリングしてもらうかもしれない」
それはつまり庁内からの離脱が困難になった場合、ということだろう。確かにスニーキングとしては最悪の状況だ。
「メテオを持っていたのか?」
「あんまり数はないんだ。以前クィーンにちょっと貰っただけだから」
(カードクィーン?……いや、C.C.団クィーン、シュウ先輩か)
平時の委員長職の際に、キスティスと並んで助けて貰っていた。
「……アニエス」
ここまで話が進んだところで、スコールは相棒に目を向ける。
「あんたはどうする。今回の件……あんたが関わりたくないなら、俺とジョーカーだけでやるが」
「いや……やらせてもらう」
若干据わった目でアニエスは言った。
「私は……私はブリミル教徒だ。その教えには従う。だが……下らぬ権謀術手の為に一人の少女を、それも一国の王を拐かし、曳いては国一つを良いように操ろうとするような連中に唯々諾々と従う気は、無いっ!」
「燃えるなよ、アニー?」
眉をつり上げるアニエスのそばに近づき、ぽん、とジョーカーが肩を叩く。
「そう意気込む必要はないだろう?俺達は至極人道的な依頼を受けた。誘拐された人物を助け出すっていう。それをこなすだけさ。
誰かに従うだとか、どんな思想だとか、許せない奴が居るとか、あんまりあれこれ考えると、じきに動けなくなるぜ」
「……心に留めておこう」
「それから、委員長」
アニエスから目を移し、ジョーカーは今度はスコールと目線を合わせる。
「今度の潜入ではディアボロスだけじゃなくてケルベロスとパンデモニウムも貸してもらいたいんだけど」
「ああ、了解だ……作戦開始時刻までは各自休憩とする。以上」
ある未明。俄に騒がしくなった辺りを察して、シャルロットは目を開く。
囚われの身であるこの身。杖も取り上げられているが、小柄ながらに鍛えた体術は備わっているし、保有数は少ないが擬似魔法も持っている。これを切っ掛けに逃げ出すべきかと擬似魔法で扉を破壊しようとしたところで、扉が叩かれた。
油断無く身構えながら、誰何する。
「何者?」
間髪置かず、監視用ののぞき窓が開いて、どこかで見たことのある顔が現れた。
「傭兵部隊SeeDのジョーカーです。女王陛下の救出を依頼されて来ました」
成る程、見覚えのある顔立ちだった筈だ。
「判った。逃走経路は?」
「二重に確保済みです。扉を破壊しますから離れていて下さい」
軽く頷いて、マントを羽織りつつ推定射線上から退く。
「ファイラ!」
どぉっと扉が炎で吹き飛ばされる。やはりジャンクションの効果を持っているのだろう、自分の使える擬似魔法よりも遙かに強力な炎をみやり、破壊された扉をくぐる。
「杖は取り戻せてませんけど、勘弁してくださいね」
「無事に帰れたら、杖の契約をし直す。気にしなくて良い」
「寛大なお言葉に感謝します、陛下」
戯けて一礼した後、シャルロットを先導しつつ廊下で歩を進める。
角をいくつか曲がった先で、慌ただしく走っていた騎士らしき連中と出くわした。
「!?何だ貴様らは!」
誰何しつつ杖を抜く騎士の額に、ジョーカーが放ったダーツが次々と突き刺さっていく。
「思ったより建物内にメイジが残ってるな……流石はブリミル教の総本山」
脳へダメージが行ったのか、昏倒した面々からダーツを回収しておく。
「あ、そうだ」
パーカーのポケットのダーツホルダーにダーツをセットし直しつつシャルロットの方に向く。
「一つ頼みがあるんですが、宜しいですか?」
「何」
「念のためなんですが、もし自分がやられたら、この羽を体の上に置いてくれますか」
シャッとジョーカーが取り出したのは、朱い鳥の尾羽。
「……何のために?」
受け取りつつも、感じた疑問をストレートに尋ねる。
「実は、その尾は……」
「居たぞ!」
ジョーカーが何事か説明しようとしたところで、男の声が響き渡る。
「チッ、お早い到着だ」
通路の向こうから現れたメイジ達を見てジョーカーは軽くシャルロットの背中を押しつつ走り出す。もちろんシャルロットとて戦場での機微は弁えているから、その薦めに従う。
「この先は?」
「もう少し目立たずにいけると思ったんですが……そこの窓から出ましょう。着地はお任せを」
進行方向の窓を指さされ、シャルロットは軽く頷く。
「逃がすな!」
追っ手が杖を掲げたのを見て、咄嗟に半身体を向ける。
雨のように降り注ぐ雷、炎、氷の矢を全て掌と体で受け止めていく。
「お、いいのみっけ。ドロー フレア!」
スクエアの火メイジからドローしたフレアをぶちかます背後で、ひらりとシャルロットが窓の外へ舞う。すぐさまジョーカーも窓から跳んでシャルロットを抱えるようにした上で自分にレビテトを使い、滑空体制に入る。
「上手く見つけてくれよ……メテオ!」
カードで『はなっ』た鉄巨人やルブルムドラゴンといったタフででかいモンスター達が確保してくれている庭園の中心部へ隕石を降らせる。
「しばらくお待ちを、へい……」
そっと地面にシャルロットを下ろし、綺麗に一礼しようとしたところで、ジョーカーの体が吹き飛ばされた。
「がはぁっ!?」
「!?」
咄嗟にシャルロットも、手持ちの擬似魔法を起動直前にしつつ身構え、吹き飛ばされたジョーカーの反対側を見る。
「ご無事ですかな?女王陛下……」
こちらに杖を構えて見せているのは、ロマリア教皇エイジス32世。周りにも杖持ちが居るが、杖を向けているのは奴だけだ。
「申し訳ない、飼い犬の躾が出来ていないものでな……貴女を拐かそうなど……」
「飼い犬?」
意味が解らず、シャルロットは訝しげに眉を寄せる。
「ふ……くっ……そいつは大変だなぁ、飼い犬に手を噛まれた教皇さん?」
傷だらけの体を引きずるようにジョーカーはゆっくりと立ち上がる。
「ついでに飼い損ねた犬にかみ殺されてみるかい?」
「…………」
殺気と言うよりは険悪な空気が辺りを支配する。
「異端者よ……今ここで我が元に下り、使い魔として己を律するのであれば数々の非礼は許そう」
「冗談。ウチの委員長なんか、召喚したトリステインの女王に一瞥もくれずに別れたんだぜ?」
一応断っておくが誇張表現である。
「無理矢理に使い魔契約まで結ばされた俺が、あんたを殺さなかったことをむしろ感謝して欲しいくらいだよ」
「貴様!教皇猊下に何という口の利き方を!」
「止めろ。お前達ではあの者に傷を付けることすら叶わん」
騎士の一人が杖を向けるのを手で制し、自身の杖をジョーカーへ向ける。
「我が元に下らぬと言うのなら、お前の道は滅びのみだ。お前を消し、私は新たな使い魔を呼ぶ」
「そうかい。やってみな、出来るモンなら!」
だっと駆けだしたジョーカーは、その瞬間、再度教皇の杖の前に倒れた。
(やはり……今のはトリステインのルイズ女王と同じ)
伝え聞く『爆発』ではなく幾度か目にしたことのある『失敗魔法』らしき小振りな炸裂を受けて、今度こそジョーカー動かなくなった。
反動でシャルロットのすぐそばまで飛んできたジョーカーの体からは、あの特徴的な緑のパーカーが破れ取れていて、『胸に刻まれていたルーン』がスゥッと消えていった。
「さぁ、女王陛下、お部屋にお戻りを」
未だにモンスター達が暴れている庭。必死に騎士達が防戦して作っている道を指し示して教皇が半ば脅しのような促しを行う。
「その前に、彼の遺言を果たさせてもらいたい」
「遺言?」
「自分に何かあったときには、この尾羽根を体の上に置いて欲しいと」
スッと見せるのは朱い尾羽根。
「……何を考えている?」
「何も。私は只、彼の願いを聞きたいだけ」
再び視線のやりとりが行われる。
「シャルロット女王、大人しく――」
「ドロー アルテマ」
突然だった。今この時まで、油断を誘うためにシャルロットは彼らの前で擬似魔法は使っていなかった。
杖を持たないメイジと油断しきっていた教皇達に、目眩ましとしてアルテマを炸裂させ、シャルロットはフェニックスの尾をジョーカーの体に乗せた。
「貴様!一国の女王でありながら異端の業を……!」
「ありがとう、女王様!」
復活の光の中。倒れたままの体勢から、感謝の言葉を叫びつつ腕だけを使ってジョーカーは教皇にダーツを投げつけた。
命中を確認するより早くジョーカーは立ち上がり、シャルロットを抱え上げて走り出す。と、ほぼ同時にラグナロクのエンジン音が教皇庁に響き渡る。
「流石は委員長、どんぴしゃ!」
突然の巨体の登場に辺りは騒然となる。モンスター達の相手をしていた者達も、また新たな驚異と見なして一度戦線を縮小させようと後退を余儀なくされる。
そんなモンスター達の防衛戦を越えて、ラグナロクの直下に至りシャルロットをそっと下ろす。
「ジョーカー、無事かぁっ!?」
「ああ、無事だよ、アニー」
ひらひらと手を振りながら、タラップが降りていく先からアニエスの姿が目に入ってくる。
「ロマリア教皇エイジス32世」
教皇をモンスター達の間から見据えてシャルロットは些か苦手な大声を張る。
「此度のことは、後々ガリア女王として正式に抗議させてもらう。只で済むとは思わないでもらう」
軽く睨むようにしつつ、アニエスの腕に引き上げられながら滞空しているラグナロクのタラップに飛び上がる。
「貴様ぁっ!猊下に何をした!」
お付きの騎士が睨み付けてくるのにジョーカーはニヤリと笑い返す。
「なぁに、ちょっとその人に虚無を使われると色々面倒なんでね。一晩は口をきけなくさせてもらったよ」
ST攻撃にはサイレスがジャンクションされている。先程の寝転がったままのダーツはこの状況を狙ってのものだ。
「というわけで、教皇猊下、さようなら」
楽しげに口元を歪ませながら、すちゃっと掌を掲げる。
タラップに駆け上がり、端末に声をかける。
「委員長、上げてくれ。それじゃ猊下、今回は俺を倒してくれてありがとう」
教皇庁からゆっくりと離れるラグナロクのタラップで、ジョーカーの胸には傷はあってもシミ一つないきれいな状態だった。
「最後の後詰めだ。カード、はなつ!レベル7、ティアマト!」
閉じていくタラップの隙間から、カードを投げ出し、タラップは完全に閉まった。
「委員長、ミッションコンプリート。女王陛下も無事に救出」
『ご苦労だった、ジョーカー』
手近な端末での簡潔なやりとりを終えたジョーカーに、アニエスがゆっくりと近づき、上半身裸となっているジョーカーの胸の辺りをぺたぺた触る。
「……消えたな。お前のルーンが」
「ああ。おかげで、四六時中ST防御にコンフュをジャンクションしていなくても済むよ。
まぁ、本当は君か委員長に一度倒してもらって、すぐにフェニックスの尾を使ってもらうだけでも良かったんだけどね。あいつに最高の屈辱を味あわせてやりたかったから。っと、アニーの前でこの言い方は拙かったかな?」
「いや、良い……信仰を捨てるつもりはないが、やはり今の私は教会や教皇を信じる気にはなれん……政略、策略の一環とはいえ、こんな少女を拐かす連中は、な」
そっとジョーカーの胸板を撫でてから、シャルロットへと視線を移した。
「また貴方達には助けられた」
「なに、私たちは依頼を受けたに過ぎない」
「そう、だね。礼を言うんなら、陛下の使い魔と赤毛の友人にどうぞ」
「……キュルケ?」
「この機会に仲直り出来ると思いますよ」
ジョーカーの言葉に、シャルロットはこくりと頷いた。
この日から一週間後。ガリア女王シャルロットは、自らが誘拐されていた事実を発表。偽物は既に討たれ、この件の黒幕としてロマリア教皇庁を公的に弾劾するという異例措置をとった。
これに対して教皇庁側は、全て事実無根であると反駁した上で、自分たちの調べでは事件の中心人物である偽の女王は現女王の隠されていた双子の姉妹であったと主張したが、双方共に決定的な証人となりうるはずの『偽女王』を欠いていた。
後の歴史学者達は、これは双方の主張が両方とも正しかった故に起きた事象であると解釈している。
つまり、このハルケギニアに置いて凶兆とされている双子を王族に認知したガリア王宮がその存在を抹殺したわけだ。
ただ、偽女王の排除も含めてこれらの国同士のやりとりは、ツェルプストー嬢の元に女王を帰した後に行われたものであり、スコール達の関わるものではなかった。
むしろスコール達にとって重要な要素となったのは、これらのガリアとロマリアの関係悪化に伴って大きく変化した国際情勢だろう。
二週間後、ガリアはロマリアとの国交を断絶。反対に、旧王ジョゼフの頃から繋がりのあったゲルマニアと正式な国交を締結。
対ロマリアを想定しての戦力補充のため、アルビオンに駐留していた全軍を帰国させ、偽女王が対ゲルマニアに備えていた部隊と併せてガリア東方部隊に再編成した。
これに伴い実効支配の及ばなくなったアルビオン占領地を一ヶ月後をめどにゲルマニアを通じてモード大公国へ「返還」すると共に、こちらとも国交を締結。ガリア王国、ゲルマニア共和国、モード大公国とで対ロマリア同盟を締結した。
急激に増えてしまった領地に公国宰相サウスゴーダが悲鳴を上げていたとも聞くが、ともあれ、ここに始祖生誕以来最大の軍事同盟が締結されることになった。奇しくも、その始祖の教えを伝えるはずの国に敵対するために。
おまけ
俺が、こっちに来た経緯?
ああ、うん、そう。委員長と同じ。ま、話聞く限りじゃ、委員長の方が大分マシな人に呼ばれたらしいけどね……。
あの日俺も訓練施設にいたんだよ。まぁ、別のポイントだったんだけど。
訓練施設に来る他の生徒相手の商売やったりして、そろそろ今日は帰ろうかって時に、宙に浮かんだ鏡があったんだ。
何だろうと思って軽く触ってみたら、こいつが一種のゲート……門のようだって気付いてね。突っ込んだ腕が消えたと思ったら、また鏡の中から引っ張り出せたから。
あんまり深く考えないでさ、行った先が危ないところなら、また門をくぐって戻ってくればいい。そんな風に軽く考えてたのが拙かったんだよね。
ゲートを抜けた先が、いわゆるロマリアって所でさ。しかも教皇庁っていうのかな。法王サマが居るところ。
物珍しくって、色々話を聞いてみたんだけど、そしたら何でも俺を使い魔として呼び出したって言うからさ。帰ろうとしたんだけど、もう召喚のゲートは閉じてた。とりあえずその場から逃げようと思ったら魔法を一発ぶち込まれてね。
多分アレ、虚無の魔法なんじゃないかな。ほら、ジャンクションしてると普通の系統魔法じゃろくにダメージ受けないはずだし。
動けなくなって、四肢押さえつけられて、強引に男にキスされてさ。もう最悪だったよ。
ん、そう。このあいだキスした時に生き返った気がするって言ったのはそれがあったから。
それから牢屋みたいな部屋にぶち込まれてたんだけど、カードもG.F.も無事だったからね。ラムゥで建物壊して逃げ出して、大半の追撃も返り討ちにしてやってたんだけど、そこでまたあの俺を召喚したメイジが現れてね。
あの時の会話からすると、あれが教皇本人かな。
またあの一撃を受けたら堪らないって思って、カードのベヒーモスを「はなっ」て囮にして、その場を逃げ出したって訳。
まぁロマリアが壊滅したって話も聞かないから、ベヒーモスは倒されちゃったんだろうけど、それでもこっちにろくに追撃が来ないって事は、それなりに手痛い仕返しは出来たのかもね。
それからはまぁ、あちこち彷徨いながら用心棒じみた仕事を繰り返してたんだよ。
そしたら、ガリアに来たところで平民の使える魔法が広まってるって聞いてね。これは間違いなく擬似魔法だと思って、ゲルマニアに行こうとしたら、いきなりトリステインとアルビオンの戦争が始まってさ。
改めてそっちの情報を集めてみると、見たこともない城から砲撃があったとか、巨大な銀の竜が火を吐いたとか。しかもそれで圧倒的に不利だったはずのトリステインが勝っちゃうから、すぐに委員長のことを思いついたよ。
そこからはもうとるものもとりあえず、全速力でトリスタニアにむかってさ。この紅い船体を見つけたわけ。
今回はここまで。
ジョーカーの教皇による召喚については実は登場したときから決めていました。ラグナロクの登場と前後していたので判りづらいですが、ラグナロクがハルケギニアに届いたのが原作の零戦と同時期である以上、同時に来たというのは年齢的にあり得ませんからね。
消去法でもう判ると思いますが、この世界のルイズからドロー出来るG.F.はヴィンダールヴです。
「日替わり〜」さんのDQ5主人公、リュケイロム王程じゃありませんが、スコールもあれやこれやG.F.にモテ過ぎだと思ったので。
まぁ、もうこの話でルイズとスコールが会うことは無いので全く意味のない設定ではあるんですが。
そして残念ながら、来週分が間に合わなくなりそうです。残り2話(予定)なので、次に更新再開するときには、再開週とその次の週で完結予定です。
それでは、皆さん。さようなら……。
Seedの人、乙!
うおおお!続きが気になるうううう!
SeeDの人乙&ペルソナ0の方、完走おめでとう御座います。
ジョーカー4番目でしたか!これは予想外の設定でした。
大体ルイズが召喚すると順当にガンダールブか変化球だと4番目でしたので、ビックリしました。
さて、こちらも完走まで2話とのこと。
頑張ってください!
男同士のキス・・・教皇も頑張るなぁ
まぁブリミル教の信者だから呼び出した使い魔にキスをするというのは呼吸をするのと同じくらいの感覚なのだろうけど
そういやジョゼフもオダイン博士とやってたのか
どいつもこいつも勇者だ
27 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/01/30(日) 09:45:20 ID:FfOZ0D8D
SeeD・ペル乙
そういや、SeeDは今回召喚されたのは全員男か
・・・まぁ英雄のサイトよりマシじゃね!?
>28
もうねっとりとディープキスされたもんな
――――男に。
>>29 そりゃサイトも速攻嘔吐するよ。
いくら美形のナイスミドルとはいえ、男にディープキスだからな。同情する。
数あるここのサイト登場SSの中で一番惨いサイトだったんではなかろうか……ある意味で。
ジョゼフは相手が男だろうがなんだろうが躊躇も後悔もしないだろうし。
サイトじゃなくて順当にクロス先のキャラが召喚された例だと、
ジョセフないしヴィットーリオに軽い殺意と嫉妬心を抱いたのは結構あるけど、
サイトに同情しちゃったのはあの作品が最初だったなあ……
>>29 1、ピコとチコ
2、山下くん
3、秀吉
4、勇太くん
5、ブリジット
6、山田
7、瑞穂
8、涼くん
さあ、誰がいい?
アクマの人戻って来てくれ〜
もの凄くいいとこで、切ってくれるまんだから
夜も眠れん
遅れましたがSeeDの人、乙です!
ジョーカーがリーヴスラシルだったとは…
残り2話で終わるのは惜しいですが頑張ってください
>31
> 6、山田
どの山田?
まさか、「ぜんこくのやまださんごめんなさい」で知られたれいけつ高校の?
Persona 0の人、完結おめでとうございます。seedの人、乙でした。
seedの方も終わられるとのことで、また寂しくなりますが仕方ありませんね。見事に物語をしめられた構想力と筆力には心より尊敬の意を表します。
私のほうは、まだしばらくは続く予定ですが、一応ゴールは定めておりますので、お二方を見習って駆け抜けていこうと思います。
さて、ウルトラ5番目の使い魔、30話の投下準備できました。
10分おいて16:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
第三十話
封じられたウルトラタッチ
幽霊船怪獣 ゾンバイユ 登場!
「みなさーん! 朝ですよ。さっさと目を覚ましなさい! 起きないとこうですよ!」
ガンガンガンと、鉄の鐘を鳴らす耳障りな音がホテルの廊下に響き渡る。朝を知らせるロングビルの声と
鐘の音がホテルの壁もドアも通り抜けて、まだ惰眠をむさぼっていた生徒たちを無理矢理夢の世界から
引きずり出した。
生徒たちは、その貴族の子女にあるまじき起こされ方に腹を立てながらも、イモ虫のようにベッドから
這い出してくる。ルイズと才人も、楽しい時間が過ぎるのは早いというが、それはまったくの真理であると
目覚めて思った。
「う、うーん……頭が」
「あいたた……も、もう朝か」
ウェストウッド村伝統の目覚ましはさすがによく効く。二日酔いで、頭の中でベル星人が暴れているような
不快感と合わさって、二度寝の欲求が二人を襲う。でも、自分の顔をはたいて目を覚ますと、二人は
ベッドから勢いよく飛び降りた。
そう、夜が明けて、ついにめでたき婚礼の儀の朝がやってきた。部屋のカーテンを開けると、真っ白な
陽光がさあっと差し込んでくる。空は青空、日本で言うならまさに日本晴れ、まるで今日この日のために
天の神様が特別に用意していてくれたかのようだ。
朝日の洗礼を全身に浴びて、叩き起こされた全校生徒は最高の礼装に身を包み、身なりをきちんと整える。
ルイズも才人に手伝わせて、礼装に着替えるとすぐに部屋を出た。駆け足で一階ホールに集合すると、
そこで待っていたオスマン学院長から訓示を受けた。
「諸君、ついにこの日がやってきた。わしも魔法学院の学院長をして長いが、これほどめでたい日は
先王の婚礼の日以来じゃ、諸君はまだ生まれてはおらんのう。わかるじゃろう。これは諸君らにとっても
二度とめぐってくることのないであろう歴史的な行事じゃ。そこに汚名など残さぬよう、誇りと使命感を
もって勤めを果たし抜くのじゃ」
普段敬遠されるオスマンの言葉も、今日に限っては誰一人として視線を逸らす者はいない。いまさら
説明されるまでもなく、今日この日の重要性は心得ている。一世一代の大仕事、貴族の義務と誇りを
叩き込まれて育ってきた彼らにとって、これほど重要な日はない。
「では、わしらは一足先にトリスタニアで待っておる。諸君らはトリステインの代表として、ウェールズ
新国王陛下をお出迎えし、トリスタニアで待つ姫殿下のところまで、立派にお連れするように。よいか、
魔法学院は諸君らの貴族の誇りと努力に期待する」
「杖にかけて!」
全生徒の唱和が響き、その声に満足したオスマンと教師陣は退室していった。
ここからは、教師の引率はなく、トリスタニアまで生徒にすべてがまかされる。厳しいようだが、
国の大事に生徒といえどおんぶにだっこでは締まらない。三年生も一年生も、すべて一人前として
扱われ、一切甘えは許されないのだ。
それから彼らは、豪華な朝食の味も感じぬほどに腹に詰め込むと、三年生の引率で港に向かった。
ラ・ロシュールは巨大な世界樹の枯れ木の枝に空中船が停泊する港である。ここで、間もなくやってくる
ウェールズ新国王を出迎えるのが、生徒たちに与えられた最初の使命だ。空洞になった世界樹の
内部の階段を、彼らは急いで駆け上る。ウェールズ国王の座上するお召し艦が到着するのは、
最上部に位置する桟橋だった。
桟橋には、歓迎の使節団、軍楽隊がすでに並んでいた。生徒たちも三年生、二年生、一年生の順で
横一列に整列する。ルイズはその中で二年生の最前列に並んで、才人はルイズから離れて列の一番後ろ、
従者という扱いで待機していた。
「いよいよね、緊張してる? ルイズ」
直立不動の姿勢で停止していたルイズに、隣のキュルケが小声で話しかけた。
「キュルケ、こんなところで話してたら叱られるわよ。黙っててよ」
「心配しなくても、まだ時間はあるって。それよりも聞いたわよ。巫女の大役、あんた大丈夫なの?」
「審査はパレードがトリスタニアにつくまでに審議されて、合格者は結婚式の直前に発表されるそうだから、
まだわたしが巫女になると決まったわけじゃないわよ」
「そう、それで見事合格したらどうするの?」
「そのときは、ヴァリエールの名に懸けて務めを果たすだけよ。それくらいの覚悟は決めてるわ」
ルイズが小声ながら、はっきりとした物言いで返すと、キュルケはルイズにだけ見えるように唇に笑みを浮かべた。
「ならいいわ。緊張でガチガチになってるなら面白いかもと思ったけど、つまらないわね」
「神経が世界樹の幹でできてるような人らしい言い草ね。あんたこそ、せっかくの式典をぶち壊さないでね」
「心配なく、その程度の節度はわきまえてるわ。わたしの恥はツェルプストーの、ひいてはゲルマニアの
恥になるからね。留学生ってのはつらいわよ」
「よく言うわ」
うわべだけうんざりしたようなキュルケの心中など、ルイズには手に取るようにわかる。別に無理して
取り繕わなくても、キュルケの社交能力はルイズよりも上だ。だてに数百年にわたってヴァリエール家から
恋人を奪ってきたツェルプストーの末裔ではない。
キュルケは、ルイズが緊張しているようならほぐしてやろうかと思ったが、どうやら杞憂だったとわかると、
視線を流してタバサのほうを見た。こちらは想像通り直立不動で身じろぎもしていない。まあ、元々が
王族であるのだから心配するだけ無駄だろう。対して、ギーシュやギムリたちなどは見てて哀れなほどに
ガチガチに緊張していて声もかけられない。
「だめだわこりゃ」
呆れたキュルケは視線を正面に戻してため息をついた。普段でしゃばりなやつほど、こういうときになると
緊張してダメになるのはなぜだろうか? この際、式典の間中気絶でもしていたほうが恥をかかずにすんで
いいかもしれない。
そっと懐中時計に視線をやると、式典の開始時刻まで、あと十分ほどを長針が示していた。予定ならば、
そろそろウェールズ新国王のお召し艦が見え始めてもよいころだ。そのとき、生徒たちの整列している
桟橋を突然大きな影が覆いつくした。
空を見上げると、そこには数十隻の空中帆走軍艦からなる大艦隊が見事な隊列を組んで浮いている。
それはこの日のために国中の軍港から召集された、トリステイン空軍の主力艦隊であった。
「すっげぇ……」
「かっこいいなあ」
男子生徒の中からは何十もの感嘆の声が漏れ、その中には才人のものもあった。プラモ屋に行けば、
必ずアニメのガレキやロボットもののプラモに劣らない存在感で、大和をはじめとする軍艦のプラモが
のきを連ねるように、船というものは男の冒険心、ロマンを心の底からくすぐる魅力を持っている。
トリステイン艦隊の旗艦は、新鋭戦艦『ブルターニュ』号。ゲルマニアに発注して、先日届いたばかりの
木材の香りも香ばしい新品である。全長はおよそ百四十メイル、火砲は片舷八十門、総計百六十門と
戦没したアルビオンの『レキシントン』級の二百メイルの巨体に比べれば小さく、武装もたいしたことは
ないように思えるが、その分厚い装甲を持ち、巡洋艦並の速力を併せ持つ俊足の戦乙女であった。
その後甲板上で、トリステイン艦隊司令官のラ・ラメー伯爵とフェヴィス艦長は満足げに話をしていた。
「フェヴィス君。まこと壮観な眺めだと思わないかね。この空の下、一同に会したトリステイン空軍の
艨艟たちを見たまえよ。我が国も、ようやくこれだけの艦隊を配備できるようになれたのだな」
「はっ、以前のトリステイン空軍は列国の中でも最弱と見くびられ、我ら将兵もろともに屈辱に耐えて
いました。ですがこの勇姿が知れ渡れば、もはや何者もトリステインを弱国とは言いますまい」
感無量とはまさにこのことだと、二人は新造艦ばかりで構成された艦隊を見渡していた。
後方には、旧トリステイン艦隊の旗艦であった『メルカトール』号。上空にはアンリエッタ王女の
アルビオン一日行軍で名をはせた高速戦艦『エクレール』の姿もある。
その後方には、新鋭の竜母艦『ヴュセンタール』号と、以前バードンとテロチルスに襲われたがかろうじて
助かった『ガリアデス』が修復を終えた姿でいる。それに続いては、やや小型の戦列艦と旧式戦艦群。
それらを取り巻くように巡洋艦、駆逐艦の快速艦艇が輪形陣をなす。それらは、レコン・キスタの脅威が
なくなったために浮いた国費、それでも巨大戦艦を多数揃えるだけの資産がないトリステインが、
他国に対抗できる艦隊を持つために考え出された戦略。比較的安価な小型艦艇を多数使った、
高速打撃艦隊思想が、ようやく形となった姿だった。
「さて、もうすぐウェールズ国王のご座乗艦がいらす。フェヴィスくん、わかっているだろうが、この歓迎は
我ら新生トリステイン空軍の偉容を世界に示す観艦式でもある。万に一つも、無様は許されんぞ」
「はっ、この日のために我ら一同、日々の猛訓練に耐えてきたのです。その成果、とくとご覧ください」
ラ・ラメーの言葉に、任せておいてくれとフェヴィスは胸を張った。二人は、『メルカトール』号を
旗艦としていたころからの付き合いで、いっしょに船に乗るようになってからもう何年も経つ。
権威主義的な官僚軍人のラ・ラメーと、叩き上げのフェヴィスははじめは折り合いのよくない仲で
あったけれど、長く付き合っていたらそれなりに付き合い方もわかるし、相手への愛着もわいてくる。
空のかなたにその船が現れたのは、予定と数分も違わぬ時刻だった。
「ウェールズ国王ご座乗艦、ご到着!」
桟橋で待機している歓迎団にさっと緊張が走り、全員が背中に棒を入れられたように気をつけの
姿勢をとった。もはや、私語をしたりするものは一人もいない。ここで何かあったら末代までの恥となる。
普段ふざけているギーシュなども、別人のように見た目だけはきりっとしていた。
静寂の中で、時間が止まっているような感覚が続く。皆、目だけを動かして、ウェールズ国王の
乗った船がやってくるのを今か今かと待って、彼らの視界の中にその船はとうとう現れた。
十数隻の小型艦に護衛されて、一隻の大型艦がやってくる。あれがお召し艦に間違いないが、
その船が近づいてくると、才人やルイズたちは息を呑んだ。
「あの艦は……」
才人たちはその艦影に見覚えがあった。それもそのはず、その艦はかつてのアルビオン戦で
レコン・キスタ最後の船として戦い、バキシムによって無残な最後をとげた『レキシントン』号の同型艦。
正確には『ロイヤル・サブリン』級の二番艦『レゾリューション』だったからだ。
かつて、ハルケギニアを我が物にしようとしたレコン・キスタは空軍兵力の増強として、当然のごとく
最強艦であった『レキシントン』級の増産に乗り出した。が、王党派の逆襲で新造艦の建造どころでは
なくなり、船台上で放置されていたのを新王国軍が完成させたというわけだ。
アルビオンの造船所では、すでに同型の三番艦『ラミリーズ』も建造中である。ちなみに、これには
軍備の再編のほかに、造船で人を集めて復興を推し進めようという側面もある。ただし、『ロイヤル・サブリン』
級は図体が大きすぎて小回りが利かず、ガリアでさらに小型で砲戦力の強力な戦艦が建造中との
情報があったため、四番艦『リベンジ』の建造は中止され、新設計の『ドレッド・ノート』級が計画中だった。
トリステイン艦隊が道を開けるように隊列を開いた中を、『レゾリューション』はすべるように通過し、
桟橋にわずかに行き過ぎることもなく停止した。巨体にもかかわらず、見事な操船技術。感嘆した拍手が
高らかに、なによりの歓迎として鳴り響く。
『レゾリューション』からタラップが下ろされ、桟橋から軍楽隊のファンファーレが奏でられると、ついに
その人が現れた。
「アルビオン王国国王、ウェールズ一世陛下! おなーりーっ!」
いっせいに歓迎の貴族たち、生徒たちは最上級の礼をとる。タラップを降りて桟橋に、アルビオン新国王、
ウェールズ・テューダー一世陛下がその御身を現しなされたのだ。
「ようこそトリステインへ、ウェールズ陛下。我ら一同、陛下を心より歓迎いたします」
「出迎えを感謝する。すばらしき友邦たちよ。以前、私がトリステインにやってきたときはまだ若輩なる
皇太子の身分であった。そのときに受けた心よりのもてなしとよき思い出は忘れてはおらぬ。今日この日、
アルビオン王国国王として、この地を踏めることを心より喜んでいる」
さっと手を上げたウェールズに応えるように、歓迎の一団から歓声が轟いた。
「ウェールズ一世陛下、万歳!」
「アルビオン・トリステイン王国に栄光あれ!」
大歓声を浴びながら、ウェールズ国王は護衛の騎士団を引き連れてやっくりと歓迎の列の前を歩み始めた。
楽団はアルビオンの国歌を演奏し、場に荘厳な空気が流れる。その中を一歩一歩、豪奢なマントを翻して
歩むウェールズ陛下の凛々しい姿に、男子は尊敬とあこがれの視線を送り、女子はただただ見とれて
陛下が前を通り過ぎるのを見守った。
ルイズも最敬礼の姿勢を崩さず、ウェールズ国王が三年生の前を通って、二年生の自分のところに
やってくるのをじっと待った。
”殿下、いえ国王陛下、なんて凛々しくなられて”
見る限り、ウェールズにアルビオンでの憔悴した感じはもう残っていなかった。今では若々しさに
重なる形で、老齢した威厳を感じる。ノーバに憑りつかれた心の弱さを乗り越えて、母国の復興のために
心身を削って打ち込んだことが、彼の精神を大きく磨き上げたのだろう。
でも、多分国王陛下はわたしのことなんか覚えていないだろうなあ。アルビオンの陣地や城で、
多少は話ができたけれど、ほんのちょっぴりだし。そんなので、例え選ばれることができたとしても
婚礼の儀の巫女などしてもいいのだろうか。と、ルイズが自嘲気味に思っていると、国王陛下はルイズの
前を通り過ぎる一瞬、軽く視線をルイズに向けて片目を閉じて見せてくれた。
ウルトラ支援
”陛下……?”
一瞬の自失のうちに、ウェールズはルイズの前を通り過ぎて一年生のほうへと歩んでいってしまった。
けれど、明晰なルイズはそれだけで、ウェールズが自分のことも覚えていてくれたことを悟った。
私のような非才な者のことまでお心にとどめていてくださるとは、さすが姫さまの選んだお方だ。
ルイズは感動するのと同時に、あんな素敵な方といっしょになれる姫さまはなんて幸せなんだと、
少しうらやましくも感じるのだった。
だが、そうした華々しい祭典を冷ややかに見守っている目があった。
ラ・ロシュールを望む小高い丘にたたずむ漆黒のローブで全身を包んだ女。式典に湧く街とは裏腹に、
まるで喪服のような暗い衣装をまとって、薄く笑みを浮かべるその女は、シェフィールドであった。
「さあて、と。祭りも盛り上がってき始めたところで、そろそろショーには観客があっと驚くハプニングが
必要でしょうね。ちょうど始祖の秘宝もそろっている今、わたしとジョゼフさまからの心ばかりの贈り物。
受け取りにいらしてくださるかしら? 虚無の使い手どの」
暗い笑いが丘に流れて、風の中で風化して消えていく。その一瞬後には、彼女の姿は煙のように消えていた。
到着の式典はとどこおりなく進み、ウェールズ国王は桟橋から世界樹の中へと続く階段へと歩んでいった。
お召し艦から続いて、アルビオンの大臣や将軍も降り立ち、ウェールズよりも下位の礼を受けながら
主君の後へと続いていく。その中には、かつての『レキシントン』号艦長で、負傷して部下の手で
離艦されたために命拾いし、その堂々たる戦いぶりから罪を許され、『レゾリューション』艦長に任命された
ボーウッド提督の姿もあった。
「なんと凛々しき若者たち、それに勇壮なる艦隊よ。彼らと戦わずにすんだ幸運を、私は神に感謝すべきだろうな」
空を見上げて、小さな声でつぶやいたボーウッドの視線の先には、かつての敵であった自分たちを
守って浮かんでいる『ブルターニュ』の勇姿があった。
ウェールズ国王の行進の様子は、『ブルターニュ』号からもよく見え、ラ・ラメーとフェヴィスも満足げに見物していた。
そのとき、トップマストの見張り台より、見張り員の大声が伝声菅を通じてブリッジに響き渡った。
「左舷、八時の方向に大型艦見ゆ! ガリア空軍、『シャルル・オルレアン』級戦艦と認む!」
「ちっ、ガリアの野蛮人どもめ、こんな時間になってようやくやってきおったか」
悦に入っていたところを邪魔されて、ラ・ラメーは不機嫌そうにつぶやいた。この式典には、当然ながら
列国もそれぞれ婚礼の祝福のための使節を送ってくることになっている。
ロマリアはすでに高級司祭と聖堂騎士の一隊がトリスタニアに入ったし、ゲルマニアも式当日には
アルブレヒト一世がやってくることになっている。だがガリアは国王ジョゼフの大使として、代理の一団を
送ってくるだけと告げてきただけで、トリステインからは不快感を買っていた。
「あの無能王め、国が大きいことを鼻にかけて、我が国のような小国など眼中にないとでもいわんばかり
ではないか。しかもやってくるのはたかが戦艦一隻だけとは! 貧弱なトリステイン空軍など、それだけで
充分おどしになるとでもいうのか。人をなめるにもほどがある!」
貴族の例に漏れず、誇り高いラ・ラメーは軍靴で床を何度も打ち付けて吐き捨てた。けれど、彼の
そんな性格も承知しているフェヴィスは、慣れた様子で彼の機嫌をとった。
「まあまあよいではありませんか。山奥でせせこましく威張っている、世間知らずの田舎者に、今の
トリステインがどんな国か教育してやるいい機会だと思えば。この新鋭艦隊の礼砲で、図体ばかりの
でくの坊の目を覚まさせてやりましょう」
「ふむ、それもそうだな。我が空軍を弱軍とあなどっていた奴らを歓迎して、慌てさせるのも一興か」
ラ・ラメーは気を取り直すと、ブリッジに備え付けの大型双眼鏡を覗いた。しかし、まだ空のはるかかなたに
いるガリア艦は彼の視力では捉えることができない。それを手持ちの望遠鏡だけで艦種まで見分けた
見張り員の視力が、いかに優れているかということがわかるだろう。
戦闘では、常に相手の先手を取ることが勝利につながるために、敵を一秒でも早く発見するための
見張りの能力は欠くことのできない条件なのである。そのため、彼ら見張り員の視力は、最低でも3.0は
下らない。常人ではありえないその視力は、軍艦乗りの中から特に選ばれた視力の持ち主に、たゆまぬ
訓練によって培われた艦隊の財産なのだ。
その見張り員の報告からしばらくして、双眼鏡をのぞく二人の目にも巨大かつ優雅な戦艦が見えてきた。
「……あれが新鋭の『シャルル・オルレアン』級戦艦か」
「『ロイヤル・サブリン』より小型の船体に、より以上の武装を施したという、連中のご自慢の一品ですな。
奴らはハルケギニア最強の戦艦などと豪語していますが、一隻だけでくるとはたいした自信ですな」
自国の新鋭艦隊に自信を持っていた彼らも、接近してくるガリア艦が誇るに値するだけの威力を秘めている
ことは認めざるを得なかった。国王は無能でも、その軍隊は寝ぼけてはいないということか。トリステインも、
国内で大型戦艦の建造ができるよう船台の増強を急いでいるが、実際に建造できるようになるには
まだ何年も必要だろう。
「ガリア艦に信号を送れ。『貴艦ノ来訪ヲ心ヨリ歓迎スル。トリステイン艦隊司令官』。それから我の
指示に従い接岸されたし」
「了解」
フェヴィスは苦笑しつつ、司令官の命令を実行した。『ブルターニュ』のマストの先端に信号旗が掲揚される。
これで向こうから返信があり、近距離にまで近づいてくれば双方が礼砲であいさつをかわすことになる。
ラ・ラメーは人をなめたガリアの大使を、新式大砲の砲撃音で驚かせてやるのを楽しみにして、少し意地の
悪い笑みを浮かべていた。
しかし、『シャルル・オルレアン』号が近づいてくるにつれて、なにか様子がおかしいことに彼らは気づき始めた。
接近してくる『シャルル・オルレアン』号の甲板やマスト上には人影が見当たらず、こちらの送る手旗信号にも応答がない。
「ガリア艦応答せよ。貴艦は我が国の領空上にある。我の指示に従え」
再三の警告にも従わず、『シャルル・オルレアン』は進路、速度ともに変更せずに向かってくる。ラ・ラメーと
フェヴィスは、はじめガリアが新鋭戦艦の威容を誇示し、おどしをかけてくるいわゆる砲艦外交の一環かと
思ったが、それにしても妙だと気づいた。
いくら最新鋭戦艦だからといって、数十隻のトリステイン艦隊を前にしてはたった一隻に過ぎない。
まっすぐ接近し、対応にとまどうこちらを笑っているのか? いや、それにしても危険すぎる。
第一、今ガリアがトリステイン、アルビオン両国と戦端を開いて政治・軍事的に利点などはほとんどない。
フェヴィスは背中にぞくぞくときな臭いものを感じ、司令の意思を待たずに命令した。
「両舷第二戦速、本艦をガリア艦の進路上に入れろ。全艦第一級警戒態勢。右砲戦用意」
トリステイン艦隊旗艦『ブルターニュ』は、大きく舵を取り、同時に右舷に装備されたすべての砲門を開いた。
距離はおよそ三千、『シャルル・オルレアン』はなおも止まる気配を見せない。
距離は二千五百を切った。もはや向こうの船体の装飾物まで見分けられる。旗流信号は停船勧告から
命令に変わり、こちらが砲門を向けていることもわかるはずなのに止まらない。
「全艦、警戒態勢から戦闘態勢へ移行。二番艦から六番艦まで我に続け! 残りの艦は『レゾリューション』の
上空を死守せよ!」
ラ・ラメーはフェヴィスにうながされて、ついに非常事態宣言を下した。トリステイン艦隊は礼砲から
実弾へと装填しなおし、各種魔法兵器の発射準備も整えられる。
一方、空の異変は地上でも敏感に感じ取られていた。
「どうしたのかしら? 艦隊が陣形を崩すなんて」
艦隊の異常に気がついたルイズがいぶかしげにつぶやいた。周りでも、これから同盟国の国王を
歓迎して艦隊行動演習のお披露目が予定されているのにどうしんだろうかと、生徒たちが顔を見合わせている。
「すみません、なにか予定の変更があったのでしょうか?」
「いえ、特にありません。皆さんはそのままプログラムを続けるようお願いします」
不信感を持ち始めた生徒たちを、桟橋の護衛団はそういって抑えた。彼らには、すでに『ブルターニュ』
からの警報が伝えられていた。”接近中のガリア艦に不穏の気配あり、警戒されたし”と。
しかし、気配だけで世界が注目している式典に、最初から水を差すわけにはいかない。もし、騒いで
なんでもなかった場合は、トリステインが臆病さを世界に宣伝するようなものである。護衛団は彼らを
落ち着かせるために、状況の一部を公開することにした。
「現在、ガリア王国の大使を乗せた戦艦『シャルル・オルレアン』号が本港へ接近中でありますので、
艦隊の行動はそのためであります。皆様におかれましては、ご心配なきようお願いします」
その説明で、生徒たちはだいたいは納得した。だが、接近中のガリア艦の名を聞いたタバサの眉が、
ほんの少しだが震えた。『シャルル・オルレアン』、それはジョゼフに暗殺されたタバサの父の名前である。
なぜジョゼフが自ら殺した弟の名前をこの船につけたのかは知らない。また、知りたくも無い。
そんなタバサの心の機微を察して、キュルケが軽くタバサの肩を叩いた。
気を取り直した生徒たちは、歓迎式典の続きをやるために世界樹の階段を降り始める。
それでも、予兆とでもいうべきか……ぬぐいきれない何かを感じて振り返った者は、一人や二人ではなかった。
そのころ、地上で混乱が起こるのを食い止めているうちに、上空でもトリステイン艦隊が、不審な動きを続ける
『シャルル・オルレアン』をなんとか止めようと腐心していた。
「『ヴュセンタール』号に伝令、竜騎士を出して『シャルル・オルレアン』を止めさせろ。場合によっては
強行接舷してもかまわん!」
砲門を向けても応答をよこさない『シャルル・オルレアン』に、ラ・ラメーはとうとう実力行使を決意した。
警告にも威嚇にも応じない以上、これ以上近づけさせるわけにはいかない。あるいは、こちらから
手を出させることで、戦争の口実を求めているのかとも思ったが、ここにはトリステインだけでなく上空から
アルビオン艦隊も見ている、濡れ衣をかけられないための証人としては充分だ。
竜母艦『ヴュセンタール』から、厚い鎧で身を包んだ竜騎士が十騎飛び立っていく。彼らの乗っているのは
火竜で、近距離でブレスを放てば木造船ならば甚大な被害を与えることができる。それでなくとも
帆を焼いてしまえば航行不能に陥らせることができる。
「いくらなんでも、これならば止まらざるを得まい。ガリアの連中め、あとでたっぷりしぼりあげてくれるからな」
せっかくのめでたい日に水を差された不愉快さから、ラ・ラメーは毒づいた。
双眼鏡で見ている先で、竜騎士は『シャルル・オルレアン』の周りを旋回し、示威行動をおこなっている。
だが、そのときだった。
甲板に強行接舷しようとしていた竜騎士に向かって、灰褐色の毒々しい光線が放たれたと思った瞬間、
光線を受けた竜騎士は小石のようにまっ逆さまに墜落していったのだ。
「あれは!? 司令、見ましたか!」
「ガリアの奴らめ、何のつもりだ」
その光景を目撃していたフェヴィスとラ・ラメーは同時に驚愕と怒りの感情をぶちまけた。しかし、一時の
激昂がすめば、実戦経験の長いフェヴィスはすぐに冷静に戻っていた。『シャルル・オルレアン』は近づこうとした
竜騎士をその怪光線で撃ち落しつつ、なおも接近してくる。
もはや、敵対の意思は明らかだ。
「司令、ガリア艦の敵対行為は明白です。ただちに応戦許可を!」
「う、いやしかし……」
こちらも攻撃したら、それはもう戦争だ。そうなれば、自分はガリアとの戦端を開いた責任を
とらされるに違いない。軍人よりも政治家気質の強いラ・ラメーは迷った。しかし。
「早くしてください! 万一ウェールズ陛下にもしものことがあったら、我ら二人首が飛ぶだけでは
すまなくなりますよ!」
その言葉がとまどっていたラ・ラメーの迷いを吹き飛ばした。
「反撃だ! 全艦砲撃開始!」
「了解! 目標、敵戦艦『シャルル・オルレアン』、撃ち方始め!」
たちまち『ブルターニュ』『メルカトール』『エクレール』をはじめとする巨砲戦艦群が咆哮する。
距離が至近だったために初弾のほとんどは『シャルル・オルレアン』に狙い違わずに命中した。
巨艦のあらゆる箇所で着弾の爆発が起こり、船体のほとんどが爆煙に包まれる。
そこへ、第二陣として控えていた軽快艦艇が間髪入れずに追撃をかけた。
「左舷雷撃戦! 目標敵戦艦、てぇーっ!」
小艦艇から放たれた、一隻につき数十発の大型マジックミサイルが炎上する『シャルル・オルレアン』へと向かう。
これは、火薬や油の塊を風石の力で飛ばして敵にぶつけるもので、破壊力は砲弾以上ではあるが、
反面速度が遅くて射程が短いために、敵に接近してなおかつ敵の防御火力が衰えたときしか有効に使えない。
しかし今回は、炎上し、炎と煙の塊となった『シャルル・オルレアン』は回避も反撃もできずに至近距離からの
集中雷撃を浴びて槍衾となり、数十の爆発に包み込まれる。
「敵戦艦、轟沈!」
雷撃の爆煙が収まった後の『シャルル・オルレアン』を見た見張り員の報告が高らかに響き渡る。
先程まで威容を誇っていた『シャルル・オルレアン』は、船体外板の木材を撒き散らして空中で崩れていき、
原型をとどめない炎の塊となっている。
「少々やりすぎましたかね?」
「うむ、あれでは生きている人間はおるまい。捕虜を得て、奴らの意図を暴くべきであったな」
燃え盛る敵艦を眺めて、フェヴィスとラ・ラメーは憮然としていた。これで、攻撃をかけてきたガリア艦の
意図はわからずじまいとなった。しかし、あの怪光線だけでなく、『シャルル・オルレアン』の全砲門が
開かれていたらトリステイン艦隊にも甚大な被害が出たかもしれない。全力での反撃はやむを得ざる
ところであった。
『シャルル・オルレアン』は、燃え盛りながら船内に残った風石の余剰浮力からか、ゆっくりと墜落していく。
その光景を、トリステイン艦隊は上空から見守り、『シャルル・オルレアン』が、地上に激突して、
爆発炎上したとき、艦隊将兵たちはそろって万歳した。
しかし、燃え盛る炎の中に突如として黒い影が出現し、おどろおどろしい声が響き渡った。
「し、司令! あれは」
「な、なんだとお!」
フェヴィスとラ・ラメーは愕然とした。爆沈した『シャルル・オルレアン』の船体を踏み砕き、尖塔の先端部分の
円錐が横に二つつながったような胴体から足が生えたような、黒々とした体を持つ一つ目の不気味な怪獣が
出現したのだ!
「フ、フェヴィスくん、なんだねあれは!?」
「船の中から怪獣が!? あんな化け物が、『シャルル・オルレアン』の中に潜んでいたというのか」
愕然とする二人の前で、怪獣はその全容を炎の中から現した。
全長はおよそ六十メイル、胴体の正面にそのまま顔がついていて、青い一つ目と裂けた口がついている。
生き物というよりも、まるで城に手足がついて動いているかのようだ。
怪獣は壊れた笛のような鳴き声をあげて、上空を遷移する艦隊を見上げると、突然空へと飛び上がった。
「なっ!?」
なんの前触れもなく飛翔した怪獣に、ラ・ラメーもフェヴィスも一瞬脳が凍結した。翼もなく、見るからに
重く鈍重そうな見た目に反して、重力を無視して、空気の上を走るかのように怪獣は一隻の小型船に体当たりした。
避ける余裕もなくぶつけられたその船は、船体の左半分をひしゃげさせられて落ちていく。
「駆逐艦『ヘレネ』大破! 墜落していきます!」
「くっ! 応戦だ、全艦砲撃を開始せよ!」
見張り員の報告で我に返ったフェヴィスは反射的に攻撃を命じた。
「撃ち方始め」の号令と同時に、艦隊全艦の砲撃が再開される。さしもの怪獣も、一千門近い大砲の
集中砲火を受けてはひとたまりもないように思われたが、怪獣は巨体に見合わない身軽さでゆうゆうと
砲撃をかわしてしまった。
「続けて撃て!」
「だめです! とても照準が追いつきません」
「ちっ! 図体の割に猫みたいなやつだ」
怪獣は悔しがる艦隊の将兵をあざ笑うように、ヘラヘラと気味の悪い鳴き声をあげながら体を揺さぶっている。
しかも、怪獣は艦隊を無視するかのようにラ・ロシュールの街へと向かい始めたではないか。
「怪獣が来るぞ! 逃げろぉ!」
渓谷の街はお祭り騒ぎから一転して、狂騒の渦に巻き込まれていた。出店の屋台は踏み壊されて、
道は逃げ惑う人で溢れかえる。銃士隊や軍の人間が避難誘導に当たっているが、あまりにも人が
密集していたためにパニックを軽減するだけで精一杯だ。
そんなところへ、まるでスキップをするように四本の足で軽快に近づいた怪獣は、逃げ遅れた人々を
青い一つ目でじろりとにらみつけた。そして、その目から灰色の怪光線を浴びせかけた。
「うわぁ……かっ……」
怪光線を浴びた人々は悲鳴をあげる間もなく倒れていった。その光景を見たラ・ラメーやフェヴィスは
愕然として言った。
「あの光線は!? さっき竜騎士を撃ち落したものと同じ!」
「まずい、ほっておいたら被害はどんどん増えるぞ」
今、ラ・ロシュールには何万人という人が詰めているのだ。さらに、万一ウェールズ国王が
やられてしまったらせっかく復興しかけたアルビオンや、同盟国を失うトリステインも大変なことに
なってしまう。
ラ・ラメーは即座に砲撃続行を命じたがフェヴィスに止められた。怪獣が街に近すぎる。この艦隊の
砲撃の仮に一割でも流れ弾になったら、逃げ遅れた何千という人々の上に降り注ぐ。
艦隊が手を出せずに足踏みをしている前で、怪獣は怪光線を好き放題に撒き散らし人々を襲う。
しかし、不思議なことに倒れた人々には外傷らしきものはなく、ただ全身がミイラのように青色に染まっている。
まるで全身から生気を抜き取られてしまったかのようだ。
被害者は加速度的に増え続けていく。その凄惨な光景は、遠方から見守っていたシェフィールドも
鼻白むものであった。
「人の魂を食らう伝説の怪物……あいつめ、よくもまああんな化け物を用意してくれたものね……」
レコン・キスタを組織し、アルビオンを戦乱に巻き込んだ張本人も思わず目を逸らしかけた。
幽霊船怪獣ゾンバイユ……『シャルル・オルレアン』に乗り移っていた怪物の、それが正体であった。
宇宙怪獣の一種であり、宇宙を渡り歩いて宇宙船や惑星を襲い、生物のプラズマエネルギー、
いわゆる魂を食い荒らして死の世界を広げていく。さらに、襲った宇宙船に同化し、隠れ蓑とすることで
油断させて近づき、犠牲者を増やしていく。それゆえに、宇宙航海者たちから伝説の怪獣として
恐れられている存在がこいつなのだ。
怪光線を受けた人間は、魂を吸い取られて仮死状態になる。そして、ほおっておけばそのまま死んでしまう。
ゾンバイユは光線を乱射して街中の人々から好き放題に魂を吸収していった。いまや、ラ・ロシュールの
街の一割が奴の餌場として蹂躙されていた。
シェフィールドは、眼前の光景を作り出した原因が自分であるということに、戦慄すら覚えていた。
今でも怪獣を見ると、アルビオンで受けた古傷がうずく。あのときは一方的にやられるだけであったが、
同じことを自分がするとなると話は違う。
「トリスタニアの地下に眠っていた円盤といい、まだ世界には我々の知らない力が数多く存在するようね。
でも、これもジョゼフさまのため。さて、トリステインのものども、舞台は整えてやったわよ。このまま
蹂躙されるにまかせるか、それとも……」
握った手のひらから汗が染み出る。シェフィールドの中指で、アンドバリの指輪が陽光を受けて鈍く輝いていた。
ゾンバイユの暴虐はなおも続き、阿鼻叫喚のちまたはさらに広がりつつあった。怪光線がなめるように
街をかすめていき、その度に魂を吸い取られた人々が抜け殻となって地面に崩れ落ちる。
ウェールズの一行は、世界樹から出たところで怪獣の襲撃を知り、いったん世界樹の中へ戻っていた。
しかし、これからどうするかについては、護衛団のあいだで意見が真っ二つに割れていた。すなわち、
『レゾリューション』に戻って空へと退避する方法と、空は危険だから陸路で退避する方法である。
だが、激論をかわすだけでいっこうにまとまる様子を見せない護衛に向かって、ウェールズは一喝した。
「静まれ! 諸君、友邦の民が蹂躙されている前で逃げる算段しか頭にないとは、君たちは自らを
情けないとは思わないのかね? 民をあの暴虐から救おうと、私に進言する者はいないのか!」
「し、しかし国王陛下。あなた様の身にもしものことがあればアルビオンはどうなります。それに、
実際に怪物を相手にどうしようと」
「民を守るという王の責務を果たせない者が生き残っても、それはもはや王ではあるまい。なおも
意義がある者がいるならば去るがよい。追いはせぬ。しかし、卑怯者は二度と余の前に立つことを許さぬ。
次に相対するときは、敵として葬り去る!」
殺意さえ感じられるような、ウェールズの闘志の前に、足を翻す臣下は誰一人いなかった。
「さあ、余はアルビオン王国国王として命ずる。アルビオン艦隊は全艦出撃、トリステイン艦隊と協力し、
怪獣から街を死守するのだ!」
歓呼の声が世界樹のうろの中にこだまし、次の瞬間彼らは『レゾリューション』の待つ桟橋を目指して
駆け上がっていった。
「ウェールズさま、お見事です」
ルイズはその後姿を見て、惚れ惚れしたようにつぶやいた。やはりあの方は王の器だ。死ぬ可能性のほうが
はるかに大きい敵に挑むというのに、まるで臆した様子を見せない。
生徒たちは、『レゾリューション』までついていくわけにはいかないのでその場所に残っていた。
仕方がないが、艦隊が動くとなったら彼らは完全にお荷物でしかない。しかし、恥を忍んで自分たちは
陸路で街から避難しようとしたとき、外からの絶叫が悲鳴のように響いた。
「大変だ! 怪獣がこっちに向かってくるぅ!」
愕然とした生徒たちは出口から飛び出して、気の弱い者は悲鳴をあげた。
街を襲っていたゾンバイユが方向を変えて世界樹のほうへと一直線に向かってくる。
いけない! 『レゾリューション』が出航するにはまだ時間が必要だ。停泊時を襲われたら、いかな強力な
戦艦といえどもひとたまりもない。いや、もし世界樹に体当たりされて折れでもしたら、世界に二つとない
良港をトリステインは失い、ラ・ロシュールも滅びてしまう。
だがそうしているうちにも、ゾンバイユは高い渓谷を軽々と飛び越えてやってくる。
「俺たちが囮になって、怪獣の気をひきつけるんだ!」
誰かがそう叫んだ。すると、行動を決めかねていた生徒たちは、その言葉に勇気付けられたかのように
我も我もと杖を掲げ始めた。無謀かもしれない、愚かかもしれないが、彼らはそうすることが自分たちの
使命だと信じていた。貴族の誇り、それだけではなく、自分たちの国を、故郷を荒らすやつがいるのに、
じっとしていることなどできない。たとえこの身は非力でも、彼らも立派なトリステイン貴族の一員であった。
けれど、彼らにとっては幸か不幸か、勇敢な行動は始まる前に打ち砕かれた。
なぜならば、百人前後の人間の集団をゾンバイユが見逃すはずはなかったからだ。光線が発射され、
生徒たちは次々に倒れていく。ルイズたちは幸い難を逃れたものの、大半の生徒が魂を抜き取られて、
残った生徒たちは散りぢりになっていった。
「ギーシュ! モンモランシー!」
叫んでも、魂の抜け殻となった肉体は答えられない。新鮮なプラズマエネルギーを得れて喜ぶ
ゾンバイユはさらに迫ってくる。
そのとき、ルイズのそばを風が流れ、青い影が目の前に現れた。
「ルイズなにやってるのよ! こんなときにあなたがじっとしててどうするの!」
「キュルケ、タバサ!」
それはシルフィードに乗ったキュルケとタバサの二人だった。彼女たちも、とっさに空へと逃れていたのだ。
ルイズは、二人が無事だったことを喜ぶのと同時に、自分がすべきことを思い出した。
今、あの怪獣を止めることができるのは自分たち二人、ウルトラマンAしかいない。戦うことを決意した
ルイズは才人に毅然として告げた。
「サイト、やるわよ」
「ああ、わかってるぜ」
変身を決意した二人は、ぐっとこぶしを顔の前で握った。銀色のリングが白い光を放つ!
だが、二人が二つのリングを合わせようと右手を振り上げた瞬間、ゾンバイユの目がまっすぐにルイズを向いた。
「危ない!」
反射的に才人は空いていた左手でルイズを突き飛ばした。
「きゃあっ!」
小柄で体重の軽いルイズははじかれて転がり、礼服が砂まみれに汚れる。
しかし、ルイズは服のことを気遣う余裕などはなかった。転がりながらかすかに目に飛び込んできた
光景は、たった今自分がいたところを灰色の光が埋め尽くし、才人がそれに飲み込まれるものだったのだ。
「うわぁぁっ!」
「サイト!? サイトぉっ!」
才人の断末魔と、ルイズの絶叫が響き渡る。
そして、灰色の光が過ぎ去っていった後、才人の体がぐらりと揺れた。ルイズは、才人の体が地面に
叩きつけられる前に、必死で駆け寄って抱きとめたが、才人の顔はすでに生者のものではなかった。
「サイト……ねえちょっと、嘘でしょ」
揺さぶり起こそうとしても、才人はルイズの腕の中で目を閉じたままで動かない。
魂の抜け殻となった才人の手の中で、ウルトラリングもまた力を失い、くすんだ光を放っていた。
続く
ウルトラ乙
今週はここまでです。支援と乙、ありがとうございました。
さて、今回は「やっぱりな」と思われた方も多いと思いますが、そのものずばりでゾンバイユの登場でした。
また、以前よりリクエストのありました変身不能になるシチュエーションですが、こういう形で実現してみました。
ただ、盗まれて変身不能になるという定番のスタイルは、シリーズ全体を通してみてもウルトラリングやウルトラバッジ、
レオリングなど身につけるアクセサリー型のアイテムは一度も盗まれたりなくしたりしたことはないので、それならばと
「超獣は10人の女?」の変形でやってみました。
平成は特撮技術の発展もあり、理不尽な能力持ちの怪獣も多いですが、ならばなおのことファンタジー世界の
ハルケギニアには合わせやすかったです。
注)ダイナが変身できたことは、あれはアスカのド根性が起こした奇跡だったからということで
なお、先日偶然念願だった双月の騎士のコンプリートブックを見つけまして、うれしさで執筆のテンションが上がってます。
ルイズもみんなもかわいいし、ちょっと高かったけど買えてよかったです。
では、続きはまた来週に。
>>50 ウルトラ乙!
ウルトラシリーズの前後編における、前編ラストの大ピンチで〆!を思い出させる展開でした。
窮地に陥ったルイズが次回どのように逆転するのか見ものですねw
ウルトラ5番目の作者さん、乙でした。
才人がやられて変身不能、えらいこっちゃ! 平成シリーズはメビウスしか
見てないのでこの怪獣全く知らず、故にこの後どう復活するのかまったく不明!
エースの出番2部になってから極端に減ったから、ぜひ頑張ってほしい。
ウルトラ乙
乙!幼少期のトラウマがががw
『いちばんうしろの大魔王』とのクロスが無いなと思ったので自分で妄想してみた。
とりあえず主と使い魔の組合わせはこんな感じに。
ルイズ=三輪ヒロシ(ブレイブ装備済)
ヴィットーリオ=大和望一郎
ジョセフ=加寿子
ティファニア=紗伊阿九斗
……気のせいか意味深な組み合わせになった気が。
ウルトラの人、SEEDの人、乙。
誰も合言葉に突っこまないのかww
>56
自分は合い言葉と言えば、
「スターの色は?」「赤い」
だなぁ。
VL2号を呼び出して、『バラバラの使い魔』か。
58 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:07:59 ID:AUx1fFwU
皆様お久しぶりです、ひと月以上間隔が空いてしまいましたね。
5分ほど後に投下したいと思います。
Seed・Persona・ウルトラの人、乙です。
とくに完結したPersonaさん本当におつかれさまでした。
自分も完結までの案はできているのでエターナルフォースブリザードしないように頑張ります。
59 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:15:36 ID:AUx1fFwU
第一章〜旅立ち〜
その7 光の剣?デルフリンガー
『ゼロのルイズの使い魔が、ギーシュを決闘で負かした』
このあまりに刺激的なニュースに学院はどっと沸いた。
メイジを下す実力を持つ子供が現れた。
いや、ギーシュの慢心によるものだ。
様々な噂が錯綜することとなった夜、ムサシは厨房にいた。
「おっさん!完璧だぜ!これこそおにぎりだ!」
「おう!たんと食ってくれ!能なし貴族の鼻っ柱、よくへし折ってくれたな!」
ムサシの髪を大きな手で撫でる料理長マルトーは、非常に上機嫌だった。
おかげで厨房の雰囲気はすっかり宴会場になっている。
彼の好物『オニギリ』を存分に振舞いもてなし、ムサシのお腹は幸せではちきれそうだ。
「もう、マルトーさんったら……でも本当によかった、ムサシくん……」
「どうしてだい?」
「心配していたの、ムサシくんが負けちゃうんじゃないかって」
通常、ハルケギニアで貴族に平民が逆らうことは自殺行為だと思っていた。
シエスタもそんな常識を持って今まで生きていたのだが、目の前の小さな少年がそれをひっくり返したのだ。
「本当に勝っちゃうなんて。ムサシくん、まるで『サムライ』みたい」
「へへッ、おいらがあんなヘナチョコに負けるわけねえさ!……え?『侍』?」
「あ、私の故郷では、とってもすごい剣の使い手をそう呼ぶらしいの」
聞き返したのは、聞きなれぬ言葉だからでは無い。
ムサシは知っている。
刀を振るう戦士、すなわち自分のことをそうとも呼ぶと。
シエスタがこの地に存在しない戦士の呼称を知っている理由を聞こうとしたその刹那。
マルトーが二人の間に顔を突き出した。
「なんともシャレた異名だなシエスタ!」
「ひゃ、マルトーさん、酔ってるんですか!?まだ夕食の後片付けは残って……」
「よーし!シエスタの故郷に従って、ムサシを『我等が侍』と呼ぼうじゃないか!」
『あっぱれ、みごと、我等が侍!』
「うわぁっ!おいおい勘弁してくれよ!」
厨房がコック一同のどんちゃん騒ぎの場と化して、シエスタは苦笑する。
ムサシもまんざらではなさそうで、やんややんやの大騒ぎだ。
そろそろ食堂の方にも厨房の騒ぎが聞きつけられようか、といったその時。
恐怖の大王のように、それは降臨した。
60 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:17:25 ID:AUx1fFwU
「誰が恐怖の大王よっ!ムサシ!ムサシはいるの!?」
「ルイズ!?」
厨房の喧騒が、水を打ったように静まる。
ムサシはご主人様のところへ嫌々ながら進み出た。
「なんだよ、ここで飯をもらうことは言っておいたゼ?」
「だからってご主人様よりゆっくり夕食を食べてていいわけ無いでしょ!ほら、帰る!」
「うわっ、引っ張るなって……シエスター、おっさーん。ごちそうさま!」
大騒ぎはさらに騒がしいルイズの登場で一気に終焉を迎えた。
シエスタもマルトーも、ぽかんと立ち尽くしてしまう。
「行っちゃいましたね」
「全く落ち着かない主人みたいだな。同情するぜ『我等が侍』」
どこかからかいのように微笑みながら、ムサシに手を振る。
彼の次の来訪を楽しみにする、厨房の一同であった。
* * *
その後、オールド・オスマンからのお咎めも無く、ルイズは無い胸をほっと撫で下ろした。
ギーシュも後日、ムサシといがみ合うこともなく話しているのを見かけたし、特に遺恨はなさそうである。
ルイズは使い魔の順応力が優れていることに感心するやら呆れるやらであった。
当のムサシはというと、しばし穏やかな日々を過ごし、満足しているようだ。
朝、ルイズよりも早く起きて剣の稽古。
他の生徒たちの使い魔と駆けまわり足腰の鍛錬。
腹が減れば厨房でおにぎりを貰い疲れたら青空の下でごろりと寝る。
ヤクイニックで過ごした日々と、そう変わり映えはしていない。
ただひとつ、不満な点があるが。
「タイクツだ……どっかに強いヤツでもいねえかな〜」
ギーシュとの決闘騒ぎ以来、彼に決闘と呼べる出来事は舞い込むことがなかった。
三度の飯より決闘が好きのムサシにとっては、過ぎたる平穏は不謹慎ではあるが遠慮したいところなのだ。
帝国の刺客、ビンチョタイトの異常による怪生物、そしてクレスト・ガーディアン。
以前の場合は未知の強敵に事欠かない、飽くなき戦いが待ち受ける世界。
しかし今は彼を取り巻く状況が、最初から違っている。
彼はルイズの下僕であり、世界を救う英雄では無かったのだ。
下僕の立場で戦うことなどそうそうなく、ムサシは磨いた剣を持て余す日々を送らざるを得ないのだった。
* * *
そして数日後、虚無の曜日がやって来る。
いつもの時間に起こしたねぼけ眼のルイズの話によると授業が休みらしい。
着替えに入ったご主人様を置いて、寝袋をしまったムサシは寮の外へと繰り出した。
ちらほらと、他の生徒や使い魔の姿も見える。
ムサシは他人の邪魔にならないよう、人気の少ないところで黙々と鍛錬を始めた。
しばしそうしていた所、最近仲良くしている使い魔がのそのそ、と寄ってくるのを感じる。
「きゅいっ」
「やあ、元気そうだな!」
誰のかは定かでは無いが、恐らく使い魔であろう竜が頭を摺り寄せてきた。
一昨日、昼食の特製『マルトーおにぎり』(例によって残り物の高級鶏肉入り)を半分こした仲だ。
今日はまだ朝食も貰っていないが、それでもいいらしくムサシの鍛錬を眺めている。
ちゃっかりしたことに、こうして近くにいればおこぼれを貰えるという算段らしい。
だがムサシのほうも、別にそれは構わないようだ。
ヤクイニックでもここまで身体の大きい生物は目にしたことがなく、ムサシは興味があった。
この竜だけでなく他の愛らしい使い魔を見ると、ジャンや村の人々がレノを可愛がった事も多少は理解できると言うものだ。
61 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:19:02 ID:AUx1fFwU
「ムサシくん、おはよう」
「おう、おはよう!どうしたんだいシエスタ」
続く来訪者はなにやら包みを抱えたシエスタだ。
決闘をした夜以降、何かと気を使ってくれている。
腹が空いていないか、着ている物は綻びていないかなどだ。
故郷の弟を思う気持ちや感謝の念がそうさせているようだったが、その度ルイズは面白くないらしい。
シエスタも気を遣ってか、ムサシが一人で居るときに話しかけてくれるようになった。
貴族相手の口調をしなくてもいいせいか、シエスタ本人にもそれは安らぎになっているようである。
この地に珍しい黒髪の二人は、仲睦まじく会話をしていた。
「マルトーさんが持たせてくれたの、朝ごはんに食べてね」
「わざわざ届けてくれたのか?何から何までありがとな」
「ううん、気にしないでいいの。それに私ムサシくんと話していると、なんだかホッとするっていうか……」
「きゅいっ、きゅい!」
「きゃッ!?」
シエスタの包みの匂いに我慢ができなくなったか、青い竜が大きな頭を摺り寄せてきた。
少し驚いたシエスタだが、よしよしと頭を撫でてなだめてやると竜は嬉しそうに鳴き返す。
「わりい、こいつもマルトーさんの飯が好きみたいなんだ」
「うふふ、食いしん坊なのね。ムサシくんと仲良くね」
「ありがとうシエスタ、じゃあな!仕事がんばってくれ」
「ムサシくんもね!」
学生が休みとしても、使用人の彼女にとって休日では無い。
仕事にもどったシエスタにムサシは手を振り、今日も美味しそうな食事を竜と仲良くいただいた。
「うん、初めに食ったパンよりもずっとうめえ。ジャムの店を思いだすな」
「きゅいぃ〜っ」
魚のオイル漬けを野菜と一緒に挟んだサンドイッチは、パン嫌いなムサシをも唸らせた。
最初こそ苦手としていたパンだが、ヤクイニックでの常食のひとつとしての習慣が徐々に味覚を変えたらしい。
今ではおにぎりほどではないにせよ、パンも悪くない。
隣で美味しそうに頬張る竜を見ていると、よりそう思える。
「ふうー、食った食った!さて、今日は遠出しようかな…?」
「きゅいっ?」
実はムサシ、一昨日、昨日と学院の塀を乗り越え脱走している。
この塀際で眠っていた竜の身体を足場にし、ゲイシャベルトの力を発揮したのだ。
自分なりに元の世界への回帰を図るという意味もあったのだが、何よりじっとしていられなかった。
彼にこの学院は、少々狭いのかもしれない。
それに、彼は昨日見つけたのだ。
(また"あんなもん"が見つからないとも限らないしな)
深い森の中に、手がかりを。
「悪いけど、また今回も頼むゼ」
「きゅいきゅいっ」
「何を頼むのよ」
ぎょっとしたムサシが振り向くと、身繕いも綺麗に整えたルイズが立っていた。
ムサシが腕の時計を見ると、もう学生達の朝食の時間は終わっている。
黙って外出しようとしたことが後ろめたいこともあり、後ずさりして身構えた。
対するルイズは疑問を抱きながらも、珍しくムサシを見て微笑を浮かべている。
「さ、準備して」
「え?」
「剣を買いに行くわよ」
62 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:21:39 ID:AUx1fFwU
「変なところ触らないでよね」
「そんなこと言ったって、他につかまる所もねえぜ」
「誰の身体につかまるとこが無いって!?」
頭頂に肘を決めながらルイズが言う。
ムサシの身体に合う馬など流石に無く、二人で一頭の馬を使わざるを得なかった。
やいのやいの言いながらの珍道中は2,3時間続き、ようやく目的地の街にたどり着くことができた。
「随分人がいっぱい居るんだなあ」
「トリステインで一番大きな都だもの、当たり前よ」
ムサシが知る城下というのは、ヤクイニック城下村だけだった。
目の前に広がる光景は、人々が狭い道を所狭しと行き来しているもの。
穏やかな農村であった城下村とは、似ても似つかない。
これも文化の違いか、とムサシはどこか新鮮さを楽しみながらルイズの後に続いた。
「そんなにきょろきょろしてると、田舎者扱いされるじゃない。ほらこっちよ」
「ああ。にしてもなんで、剣を買ってくれるなんて言い出したんだ?」
ムサシは当然の疑問をぶつけた。
使い魔への要求はあっても、ルイズからの施しなど食事がいいところだとばかり思っていた。
ルイズは硬直してギギギ、と音を立てそうな仕草でこっちを向いた。
「そ、それはあれよ…この間あんた言ってたじゃない」
「?」
「ほら!"ニトウリュウ"って……あんた、剣二本持ってたほうが強いんでしょ?」
ルイズがごにょごにょとムサシの方を見ないでつぶやく。
本人としては主が使い魔にご褒美をやっているつもり、なのだ。
だが対象がムサシという異性であるせいなのか─
(ルイズもおいらと一緒にもっと、強くなろうぜ!)
(うっせえ!!決闘だ!!ルイズに謝れ!!)
「つ、強いほうが役に立つじゃない……それだけだからね!!」
「なんだよ?変なルイズだな」
「うるさい!」
それとも、自分にも解らないうちに他の意図ができたのか。
ルイズはやけに気恥ずかしく感じてしまっていた。
* * *
うらぶれた路地の武器屋は、サビた匂いがぷんと鼻を刺激する。
ルイズは顔を軽くしかめたものの、ムサシにとっては慣れた臭いだった。
客に気づいた店主が佇まいをのっそりと直し、二人を値踏みするような目で見つめた。
「いらっしゃってくだすってなんですがねえ、うちは貴族様に目をつけられるようなことなんかしてませんぜ。
至極真っ当な商売をしてまさあ」
「客よ」
ルイズが腕を組んでふんぞり返るのを見て、ムサシも倣って腕を組む。
店主はその言葉に驚いて目を見開いた。
「こりゃおったまげた。貴族が剣をお求めですかい?」
「だって、使うのは私じゃないもの」
「へぇ、ではどちらさんで」
「おいらだぜ!」
カウンターから乗り出した店主が、ムサシの姿を認める。
とたんに豪快に笑い出す。
突然の態度の豹変に、ルイズとムサシはむっとした。
慌てて畏まった店主が身を縮ませ弁明する。
63 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:22:59 ID:AUx1fFwU
「し、失礼貴族様。ですがねえ、こんなチビ助……ああいやお子様に振るえる剣が、
この店にありますかねえ」
「なんとかしてよ、ここ武器屋でしょ?」
「ナメてもらっちゃ困るぜ、おっさん!」
ムサシが不服そうに腰の名刀を鞘ごと抜き出し、掲げる。
鯉口を切った瞬間閃く真・雷光丸の黄金の剣光を見るやいなや、途端に店主の目が光った。
「……おぼっちゃん!その剣、言い値で買わせていただきやしょう!!」
「売らねえよ!こいつくらい良いモン、置いてないかい?」
目がらんらんと輝く店主がずずいと迫ってきて、ルイズとムサシは後ずさった。
途端にしょぼくれて老けこんだ店主がしぶしぶ店の奥に引込み、いくつか剣を用意してきた。
最初に差し出したのは、長さはここの世界で言うと一メイルほどの細剣。
細やかな装飾のレイピアだった。
「えー、確かに最近従者に剣を持たせる貴族もおりましてね」
「やる気出してくれない?客よ私ら」
「こいつぁ失礼。それというのも、トリステインで話題の盗賊というのが居るかららしいんですわ」
「盗賊?」
店主の話では、なんでもその盗賊は『土くれ』のフーケと言う通り名らしい。
貴族のお宝を片っ端から盗みまくる賊で、皆が皆恐れを抱いている。
故に、自衛のために従者に剣を持たせるのが流行しているそうだ。
ムサシは"盗賊"というフレーズに目を輝かせるがルイズは気づいていない。
剣を眺めながらふうん、とその話に相槌を打ちつつ首を捻っている。
「若奥様、ご不満でも?」
「剣のことはよく解らないけれども……細くない?これ」
「ああ、おいらにゃ細すぎるぜ」
「お言葉ですがねえ、この子の身体にゃ正直これくらいしか合いやせんぜ?」
店主はそう言うものの、ムサシの力を垣間見ていたルイズは難色を示す。
すると、剣を振るう本人がすっ、と進み出た。
「まあ見てなっておっさん」
「うん?」
それは 剣と言うにはあまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く そして
大雑把すぎた
それは 正に鉄塊だった
─とでも評されそうな片刃の剣が、店の隅に置かれていた。
よく見れば奇妙な二つの穴が開いている、どこかで金髪のトンガリ頭が振るっていそうなその巨大な剣。
ムサシは"片手"で持ち上げた。
「は!?」
「こいつはちょっと長えけど、このくらいの段平でいい剣はねえか?」
自分の使い魔がゴーレムを細身の刀で両断するほどのパワフルな子供なことは知っていたルイズ。
だが、改めてその怪力を見て驚くやら呆れるやら。
初見の店主はと言うと、くわえていたパイプをポロッと落としてしまう。
ムサシがその鉄塊をぶんっ、と一振りして元に戻したのを見て、店主がバタバタと店の奥へと引っ込んだ。
「あんた…持てるのはいいけど、本当にあんな剣使えるの?」
「おいらはもともと、この鞘に入るくらいの剣を使ってたからな」
ムサシが背中につけた朱塗りの鞘を見せる。
本当にそれに合う剣など存在するのだろうか、と言わんばかりの大きさであった。
「無茶苦茶ねあんた……」
64 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:24:34 ID:AUx1fFwU
「お待たせしやした!!こちら、こちらはどうでございましょう!一番の業物ですぜ」
見事に飾り付けられた、装飾の無いところを探すほうが難しそうな剣が出てきた。
長さは先程の剣の倍ほどもあり、かなりの幅広の大剣である。
店主が言うには、魔法も込められており鉄をも切り裂く逸品だとか。
「ムサシ、これすごいじゃない。綺麗よ」
「えー……ルイズ、おいらこんなゴテゴテした剣は好みじゃないぜ」
「何言ってるの!その刀?だっけ、それだって金ピカじゃないのよ。もう一本も当然こういうのでしょ」
ともかく手にとってみなさい、と店主に鞘ごと剣を渡すように言いつける。
しぶしぶその剣を取ったムサシ。
ルイズは店主に値段を聞いていたが、不意に大声を上げた。
「エキュー金貨で2000!?庭付きの屋敷が買える値段じゃないの!」
「そう言われましても言わずとしれたシュペー卿の作品でさぁ、このくらいが妥当ですぜ。
なにより剣は命を守るモンでしょう、値が張るのも仕方のないこってす」
「本当なのかしらねえ……」
ルイズはやはり買い物慣れしていないようで、ぼったくりに遭っているのでは?とムサシは心配になってきた。
鑑定屋のボリーじいさんでもここにいればその目利きが大いに役立っただろうに、という思いに駆られる。
すると、はたと気づいたように額の眼鏡を掛けて、まじまじとその手の剣を眺めた。
「?あんた、目が悪かったの?」
「いや、こいつは見たモノを鑑定できる伝説のゴーグルなんだぜ……えーっと、どれどれ。
『ゲルマニアのシュペー卿が鍛えた剣。だが実戦で使うには値しないおかざりの剣で、
鋼鉄を斬るどころか岩にすら負けてしまう 200エキュー』
……なんだおっさん、こりゃとんだなまくらだぜ!?値段も一桁違うじゃねえか!」
「な、ななな」
「はぁ!?ちょっと、どういう事よ!」
「すすす、すいませんでしたぁーっ!ちょ、ちょっとした手違いみたいで……ええと……」
「ぶわーっはっはは!!とんだチビどもを相手にしちまったな!!」
店主が詰め寄る二人にあたふたと言い訳を連々並べていると、途端に笑い声が響いた。
店に自分たち以外の客がいないはずなのに、とムサシとルイズは驚いて辺りを見回す。
「デル公、今取り込み中だ。お客様にそんな口を利くんじゃねえやい」
「そんな冷やかしのチビ助二人がお客様たぁ、お笑いだ」
「ちょっと!さっきから誰よ、失礼な!」
「こっから声が聞こえたぜ?」
背の低いムサシが、店の一角の棚に手をかけて顔を出す。
するとそこには剣が置かれている。
錆が浮き古びた雰囲気の漂う剣の鞘が、カタカタと鳴りそこから音が漏れているではないか。
「しゃべる剣?驚いたな、どこにでもあるもんだ」
「これって……インテリジェンスソードじゃない?」
「ええまあ……意思を持つ魔剣なんて言われてますが、とんだ厄介モノでさぁ!
客に悪態ついて喧嘩売るわ、脅かして追い返すわでこいつのせいで商売あがったりで……
デル公、今度という今度はてめえをドロドロに溶かしちまうぞ!」
「へっ!やってみやがれ、こんなしょぼくれた店にゃあもう飽き飽きしてたんだ!願ってもねえ!」
店主がずかずかと歩み寄り、お喋りな剣を取り上げようとする。
そこにムサシが口を挟んだ。
「待ってくれ、溶かす前に見せてほしいぜ」
「ムサシ、あんたこんな剣がいいの?」
あからさまな難色をルイズは示す。
どう贔屓目に見積もっても、こんな錆まみれの剣は趣味に合わなかった。
こんな見窄らしいものしか買い与えられないのか、とキュルケあたりが指差し笑うに違いない。
しかし、当のムサシは興味深げだ。
「おいらが前使ってた剣も、しゃべったからなあ」
「えっ……あんた、どんな剣使ってたのよ…」
65 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:26:58 ID:AUx1fFwU
ムサシが以前愛用していた剣、光の剣レイガンド。
その剣もまた、冒険の最中ムサシに語りかけたことがあった。
と、言っても正確に言えばレイガンドでは無く、そこに封じられた魔人が語りかけたというのが正しい。
ともあれムサシにとってこんな異郷の地でもまた、しゃべる剣に出会えたという奇妙な縁に心踊っていた。
兵法者にとって、物珍しい武器というのは否が応でも手にしたくなるものである。
ムサシはデル公と呼ばれた剣を左手に握り、鞘から抜いた。
柄から切っ先までをじっくりと眺めて、正眼の構えを取ってみる。
「へ、ナリはチビだが案外サマに……お?」
「どうかしたのか?」
「こりゃおでれーた、ガキと思って見損なってた。お前ェさん『使い手』だったのか?」
「なんだい、その『使い手』ってのは」
ムサシは再び『エキシャゴーグル』をかけ直しながら尋ねた。
伝説の武具の能力でこの剣を鑑定する。
銘は『デルフリンガー』というらしい。
なるほどそれでデル公か、とムサシは納得する。
と、握る左手が熱を持っている感覚がして目を向けた。
見ると、朱の篭手の下から光が溢れている。
外してみると、使い魔の契約のルーンが輝いていた。
ムサシは、ルイズと二人で目を見合わせる。
「えーっと『使い手』ってのはアレだ、ほら。あーっと…えー、すまねえ!はっきりとは覚えてねえ」
「なんだよそれ?」
「はっきりしない剣ねえ……ねえ、サビてるし胡散臭いわよこいつ。相手にしないでおきましょ」
「人を見た目で判断するたぁ、まだまだ青いなピンク女。ピンクの割にな」
「剣じゃないあんた」
危うく刀剣にツッコミを入れそうになったルイズが手を引っ込める。
ムサシは黙々とデルフリンガーを鑑定していたが……やがて、驚いたようにゴーグルを外した。
「ルイズ、おいらこいつに決めたぜ」
「えー!?嫌よ私、こんなボロっちい剣」
「おいおい使うのはこっちの小僧だろうが!おい親父!俺の値を言ってみろ!特価だろ!?」
抜身のデルフリンガーがムサシの手でバタバタと喚く。
先程までのからの態度の豹変ぶりにルイズはぎょっとした。
「鞘込みで100って所で結構でさ。この店で一番のがらくたで良けりゃそれくらいでお譲りしましょ」
「おいちょっと安すぎやしねえか!?しかもがらくたたぁ言ってくれるじゃねえか、表出ろ親父ぃ!!」
「お前、買われたいのかそうじゃねえのかハッキリしろよ……」
「言っとくけど100以上なら買わないわよ……」
半ば呆れてきた二人だが、ルイズの財布を開いて覗き込んでみる。
100しかなかった。
な、とムサシが片目を瞑る。
ルイズは口を尖らせながらも、しぶしぶ勘定を済ませるのであった。
「うるさくなったら、この鞘に入れりゃ黙りますぜ。できるかい坊主」
「おう!朝飯前だぜ」
ムサシの背には新たに三本目の鞘が括られる。
彼の身の丈ほどの大剣と呼べるサイズだというのに、器用にムサシは背に剣を収めた。
店主はムサシの頭を大きな手で撫でて笑いかける。
「そいつは愛想が悪ぃなまくらだけど、面倒みてやってくんな」
「ありがとな、おっさん!いい買いモンしたぜ」
「あばよ!俺っちのいない余生は辛気臭ぇだろうが、楽しみやがれ」
なんだかんだで、すっかり人が良くなった店主に手を振って二人と一振りは店を後にした。
66 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:30:32 ID:AUx1fFwU
店を出て、大通りを逆行して外へと向かう。
しかし、ルイズの方はと言うと未だ納得していないのか憮然とした様子であった。
「ホントにそんなので良かったのかしら……こんなヘンテコな剣じゃ笑われるわよ?」
「おい娘っ子、言うに事欠いてヘンテコはねえだろぉが」
「いや、ルイズ。こいつはとんでもない掘り出しモンだったぜ?」
「うそぉ?だってこんな骨董品以下の剣……」
ルイズは訝しげに背中で揺れる剣を眺めた。
どんな物好きだってゴミとして捨てそうなその外見を見て、改めてため息が洩れる。
「娘ッ子ぉ、そりゃねーぜ。そりゃ俺、いろいろ忘れてるけどもさ」
「いいよ、帰ったら説明するからさ。これからよろしくな、デルフリンガー」
「おう、俺っちのことはデルフでいいぜ。相棒、名前を教えてくれや」
「おいらは、ムサシだ」
人ごみを抜け、都の外に繋いである馬に乗り込む。
日はまだ正午、といったところか。
「ちょっと!何で私の前にあんたが乗るのよ」
「後ろにしがみつかれるより、こっちのがルイズのが楽だと思ってさ」
「い、いいからあんたは後ろ!しがみつかれて嫌がるほど心狭くないわ!」
「ケケケ、言うねえ娘ッ子。本心は違うんじゃねぇか」
帰路は行きより、少し騒がしくなりそうであった。
67 :
ルイズ伝:2011/01/31(月) 20:32:45 ID:AUx1fFwU
投下終了しました。
長い規制も解除されたようですしこれから執筆再開。
話の進むペースが遅いかもしれませんが、じわじわといくつもりです。
完結目指して皆さん頑張りましょう。
ルイズ伝乙
武蔵伝はプレイしてないのですが、このSSで興味が沸いてきたのです
ああ、金が無かった中坊時代、逃したソフトの多かったことよ・・・
>>56 先生が可哀想だから突っ込まんのよ!!
・・・先生がジャンクションしてなくて良かったな
69 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:22:37 ID:g7cMf6Wr
ルイズ伝の人、おつかれさまでした。
さて皆さんこんばんは、無重力の人です。
何もなければ少し準備を入れて21時40分から投稿を始めます。
70 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:25:32 ID:g7cMf6Wr
すいません、初っ端から誤字が…
21時40分から投稿を始めます。×
↓
21時30分から投稿を始めます。○
71 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:37:36 ID:g7cMf6Wr
霊夢が正体不明のキメラと戦ってから早三日目――
トリステイン魔法学院にある食堂の朝は早い。
日が昇る二時間前に食堂の厨房で働いているコック達が起床し、朝食の支度を始める。
魔法学院に在学している生徒や教鞭を取っている教師たちは勿論、学院の警備を担当している衛士隊の分もあるのだ。
給士達もそれに見習うかのように起きてテーブルクロスを敷いたり、パンやフルーツを入れる為のバスケットを用意する。
ハルケギニアでも一、二を争う名門校と言われているだけあってかその動きは洗練され、そして無駄がない。
一部の給士達は仕事の合間に軽い会話を交えてはいるものの、手の動きが一切乱れていない程である。
料理を作るコック達もまた一流揃いであり、料理長に至っては自分で店を開いても充分やっていける程の腕を持っている。
他の者達もまた料理の腕には大いに自身があり、また料理長の性格もあってかお互いを信頼しあって働いていた。
そうしてゆっくりと、しかし確実に朝が訪れていようとしているなか、食堂の近くに作られた水汲み場に、一人の少女がいた。
彼女が着ている長袖のブラウスに白いフリルが付いた黒のロングスカートは、魔法学院の生徒達に支給されている制服ではない。
かといって教師と呼ぶには余りにも幼く、だけど子供と呼べる程小さくもない。
しかしウェーブのかかった金髪はまだ寝癖がついており、それが何処か子供っぽさを演出している。
人形とも思える程綺麗な瞳が入った眼はとろんとしており、まだベッドに潜っていたいという願望が浮かんでいた。
そうしたければ、紐を使って背中に担いでいる箒を使ってすぐにでも自分が゛居候゛しているもう一人の少女の部屋へと行くことが出来る。
ただそれをすると部屋の主に怒られるだろうし、何より寝起きに説教というのはキツイものがある。
それに、今こうしてわざわざ日が昇る前に外へと出た一番の原因は自分の不甲斐なさであった。
両手で持っていた籠の中に入っている゛大量の洗濯物゛を見て、少女は溜め息をつく。
「まったく、霊夢を相手にジャンケンなんてどうかしてたぜ…」
少女、魔理沙は後悔の念が混じった独り言を呟きながら、3人分の洗濯物を洗い始めた。
それから軽く一時間ぐらい経ったであろうか、女子寮塔にあるルイズの部屋では霊夢が目を覚ました。
ベッド代わりに使っている大きなソファに寝そべったまま目を開けると、数回瞬きをする。
右の耳からは暖炉の中に入れていた薪がパチパチという乾いた音を立てて部屋の中を暖めていた。
(あぁそういえば、魔理沙のヤツは洗濯に行ってるのよね…)
次に眼を動かして、魔理沙がいないのとルイズが未だ寝ているのを確認した後、ゆっくりと上半身をおこした。
体の上にかかっていた柔らかいシーツをどけると大きな欠伸をし、枕元に置いていた靴下を手に取る。
今水汲み場で洗濯をしているはずの魔理沙と同じ眠たそうな顔でもたもたと靴下を履き、その足をソファの上から床に下ろした。
途端無機質らしい冷たさが足から入ってジワジワと体中に浸透していき、頭の中もスッキリしてくる。
段々と意識がハッキリとしていくのを感じながらも、霊夢はゴシゴシと目を擦るとテーブルの上に置いていた自分の着替えへと手を伸ばした。
その向かい側には魔理沙が来ていたであろう白地に黒い星の刺繍があるパジャマが脱ぎ捨てられている。
「相変わらず、片づけとかそういうのが出来てないのね」
霊夢はポツリと呟き、ゆっくりと自分が来ている寝間着を脱ぎ始めた。
◆
説明しておくが、霊夢の持ってきた着替えはいつも彼女が着ている巫女服と同じものである。
以前ルイズと共に幻想郷に帰り、再びこの世界へと戻ってくる前に神社にあった私物を幾つか持ってきていた。
といっても大した物はなく精々愛用している湯飲みや急須、戸棚に入れていた茶葉などである。
本当なら茶菓子も持っていきたかったのだが、ごっそりと消えていたので結局持ってこずじまいになってしまった。
その中には当然替えの服や下着もあるのだが、それを見ていたルイズは有り得ないと言いたげな表情を浮かべて言った。
「信じられない…なんで着替えの服が少ないうえに全部同じなのよ!」
そう、下着はともかく箪笥に入っている服という服が全て同じ巫女服なのである。
更に数も少なく、精々六、七着程度しかない。
よそ行きや私服、パーティー用に会食用、礼服といった着替えを数十着くらい持つのが基本である貴族のルイズには信じられないことであった。
しかし霊夢には当然そんなことなど関係なく、その時はふ〜んとだけ言って軽く流していた。
◆
支援
73 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:40:25 ID:g7cMf6Wr
(そういえば…私ってあまり服なんかに興味が沸いたことなんかなかったわね)
服の着替えが終わり、姿見の前に立って頭に付けたリボンの調整をしつつ、霊夢はふと思った。
人里からかなり離れている神社に住んでいるということもあるが、霊夢は服に関してはあまり興味が無い。
無論一切無いということはないが、それでも彼女ほどの年齢の少女ならば、普通自分の服やアクセサリーにかなりの興味を示すものだ。
実際霊夢の周りにいる魔理沙やアリス辺りなんかは興味があるのか、時折人里で買ったり自宅でアクセサリーや服などを自作している。
そしてこの部屋の主であるルイズも例に漏れず、クローゼットには様々なドレスがありタンスの中には装飾用の宝石や指輪も幾つかあった。
このように女の子というの生物は、自然と身の回りを綺麗な物で囲みたいお年頃なのである。
だがしかし、そんな少女の中に霊夢という例外は存在していた。
(まぁ…あまりそういうのには興味がないし…何よりも考えるのが面倒だわ)
霊夢は首を横に振りつつリボンの両端を引っ張っていると、ふと窓の開く音が聞こえた。
誰かと思いそちらの方へ目を向けると、案の定そこにいたのは洗濯籠を左腕に抱え、空飛ぶ箒に腰掛けている魔理沙がいた。
右足だけが不自然に上がっているところをみると、半開きになっていた窓を軽く蹴って開けたのであろう。
「随分早いわね。アンタのことだからもう少し時間は掛かると思ったけど」
「なーに、魔法の森よりかは大分空気が乾燥してるしな。それほど時間はかからなかったさ」
霊夢は軽い冗談でそう言いつつ、リボンの調整を終えると自分の来ていた寝間着と魔理沙のパジャマを拾い始める。
それに大使魔理沙も軽い感じの言葉で返しつつも腰掛けている箒をうまく操り、左腕で抱えている洗濯物入りの籠を部屋の中に入れた。
ついで魔理沙もすばやく部屋の中に入ると空中に浮かんでいる箒を右手で取り、空いた左手で窓を閉めた。
霊夢の方はというと拾い終えた寝間着やパジャマを洗濯物を入れているのとは別の籠に入れていた。
「まだルイズのヤツは寝てるのか。幸せなヤツだぜ」
手に持っていた箒を壁に立てかけ、勢いよく椅子に座った魔理沙は呟いた。
ルイズは幸せそうな寝顔を浮かべており、あと一時間は夢の世界でしか味わえない事を体験しているのであろう。
魔理沙の言葉にルイズの方へと顔を向けた霊夢は、白黒の魔法使いへと向けて一言言った。
「アンタみたいに朝っぱらから空を飛んでいるよう魔法使いとはワケが違うのよ」
「酷い言い草だな。そういうお前も空を飛ぶじゃないか」
魔理沙は両手でヤレヤレという仕草をしつつ、霊夢に言う。
しかし霊夢はそれに怯まず、むしろカウンターと言わんばかりの返事を返す。
「少なくとも、私は朝食を食べてから飛ぶようにしてるわ」
「よく言うぜ。そう言ってお前が飛んでるところを見たことがない」
「まぁね。その後に神社の掃除とか賽銭箱の確認もあるし」
「…実際事と言えば神社の掃除だけじゃないのか?おまえんところの賽銭箱なんて何も入ってないだろう」
遠慮のない魔理沙の言葉に、霊夢の眼がキッと鋭くなった。
魔理沙の言葉通り、博麗神社の賽銭箱には多少の埃や塵は入っているものの、肝心のお賽銭などは入っていない。
偶には言っているのは葉っぱや虫だったりと霊夢の望んでいない物が入っていることもある。
そんな神社の巫女である霊夢にとって魔理沙の言葉は少しだけ聞き逃せず、文句交じりの言葉を返した。
「そんなに言うんなら足を運んだ時にお賽銭入れていきなさいよ。この泥棒黒白魔法使い」
「冗談言うなよ貧乏紅白巫女。ご利益が何なのかわからない神社に賽銭なんて御免だぜ」
霊夢の刺々しさが混じった言葉に魔理沙は苦笑いしつつ、霊夢と同程度の刺々しさを持った言葉を返した。
そんな風にして、お互いの話が元の話題から逸れていくうえに段々と喧嘩腰になろうとした時…
『おいおい、こんな狭い部屋で喧嘩なんかしたらご主人様にボコられるぞ』
ふとベッドの方から聞こえてきた男の声に二人は会話を止め、そちらの方へと視線をやる。
74 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:42:32 ID:g7cMf6Wr
声の聞こえてきた先には鞘に収まった一振りの太刀がベッドに寄り添うかのように立てかけられており、声の主と思える者はいない。
しかし二人は知っていた。先程の声が、あの太刀から発せられたものだと。
「それは霊夢の事を言ってるんだろデルフ?言っておくが私はただの居候だぜ」
先程の゛賽銭箱゛と同じくらい聞き捨てならない言葉を聞いた霊夢は魔理沙の方へと視線を向けて言った。
「私だってアイツの使い魔になった覚えはないわ。むしろ無理矢理使い魔にされたのよ」
『ま、どっちにしろ静かにしないと。オメーラ本当に追い出されるぜ?』
デルフは笑っているのか、鞘越しに刀身をプルプルと震わせた。
◇
霧雨魔理沙とデルフリンガー。
この二人が顔を合わせたのは二日前の朝、つまりはデルフが帰ってきた日の翌日である。
その日は少し早めに起きた魔理沙はベッドの上で上半身だけ起こし、何気無く部屋の中を見渡した。
ルイズと霊夢が未だ眠っているということを知って驚いた後、ふと見慣れない物が目に入ったのである。
(なんだあの剣は…みた感じ大分古そうな代物だな。というか何時の間に?)
この部屋の住人たちにはあまり似合わない一振りのソレを見て、魔理沙は首を傾げた
そんな時であった。その太刀――デルフリンガーが話し掛けてきたのは。
『よう。見ねぇ顔だがオメェはどっから来たんだ?』
突如その刀身を動かしながら喋ってきた事に対し、魔理沙は驚きつつも返事を返した。
「…私は霧雨魔理沙、そこら辺にでも普通の魔法使いだが…お前はそこら辺の武器屋じゃ売って無さそうだな」
突然の事で一瞬驚きはしたが、魔理沙の瞳は起きたばかりだとは思えぬほど輝いている。
今まで多くのマジックアイテムを蒐集してきた彼女であったがこのような喋る剣を見たことがなかったのである。
デルフの方も魔理沙の様子を見て(目のような部分は見あたらないが)嬉しそうな感じで言った。
『あったりめーよ!何たってオレ様は、インテリジェンスソードのデルフリンガーだからよ!』
デルフは部屋に響き渡る程の大声を出した。
しかしその結果、直ぐ傍のソファーで横になっていた霊夢の足に蹴飛ばされる事となった。
それから今日に至るまで、魔理沙はデルフという面白い話し相手兼ねマジックアイテムと親しくなった。
暇さえあれば話し掛けたり錆だらけの刀身を見て苦笑したりといった事をしていた。
デルフの方もそういうのは満更でもないのかそんな魔理沙に対しては本気で怒鳴るような事も無かった。(刀身が錆びていると言われた時は流石に怒ったが)
「全く、こうも騒がしいとお茶も飲めないじゃないの」
ただ余りにも騒ぎすぎたためかルイズと霊夢に怒られたりもしたのだが。
特にルイズからは「次、騒ぎすぎたらベッドに入れてあげないからね。ダメ剣は学院の倉庫に入れてやるんだから!」と言われた。
◇
魔法学院の食堂で働く者達は朝早くから起きて仕事をするが、その後にも当然仕事はある。
料理の仕上げや貴族の子弟達が食事を出来るよう準備した後、小休止を入れて再び動く。
それが意味する事は、この食堂に朝食を頂きに学院の生徒や教師達が来るという事であった。
朝食を頂く前の祈りも終え、生徒達は目の前に広げられた食事に手を伸ばしていた。
フルーツソースのかかったパイ皮に包まれた焼き鱒や豊富な野菜が入ったスープ。
焼きたてのクックベリーパイに、大きな籠に幾つも入った真っ赤な林檎。
しっかりと中まで火が通った鳥の丸焼き、そして極めつけに朝からワインを瓶で丸ごと一本
彼らが手を付けるメニューの中には、これが朝食のメニューなのかと思ってしまう料理もある。
教師たちならともかく、まだまだ育ち盛りの多い生徒達にとって質素――彼らの目から見て―な食事では満足しないのである。
料理長であるマルトーはそんな生徒たちに対してこりゃあ将来が大変そうだな、と思っていた。
しかし作らなければ仕事にならないので、会えて同情するようなことはしなかった。
75 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:44:13 ID:g7cMf6Wr
◆
「…ねぇねぇ。三日前の事件…あれってまだ解決してないのでしょう」
「えぇそうよ。確か警備の衛士たちが全員眠らされていたって事件…一体何だったのかしら?」
ふと耳に入ってきた話に、ルイズはクックベリーパイを食べるのを止めてしまう。
そして口元にまで近づいていたパイが刺さったままのフォークを受け皿の上に下ろし、安堵の溜め息をついた。
彼女にとって、この話を原因を作ったのが誰なのかは既に知っており。事情も聞いた。
といっても半ば無理矢理にでも聞いた。そうでなければあの少女は話してもくれないだろうから。
話を聞く限り、どうやら事件の原因や何があったのかは、全然わかっていないようだ。
少女の方も「まぁ跡形もなく消したし、今頃風に乗って何処かへ行ってるはずよ」と言っていたから大丈夫であろう。
ルイズが再度安堵の溜め息をついたとき、ふと横の方から声が掛かった。
「どうしたのよルイズ?具合でも悪いのかしら」
「…え?」
ふと自分の名前が呼ばれた事に少し驚き、そちらの方へ視線を向ける。
そこにはもう食事を終えたのか、綺麗にロールした金髪が目映い『香水』のモンモランシーがいた。
普段ならば自分の名前を呼ばないような彼女に名前を呼ばれ、思わず唖然としてしまう。
まさか今日は空から雨じゃなくて香水がふってくるのではと思い、鳶色の瞳に不安の色がよぎる。
それを見て何を考えているのかわかってしまったのか。すぐさまモンモランシーの顔に怪訝な色が浮かぶ。
「私が貴方の名前を呼ぶことってそんなに珍しいのかしら…?」
「そうなんじゃない?むしろ私が声を掛けた場合より驚いてるかもね」
「へ〜、そうなんだ。…って、なんでアンタが私の後ろにいるのよ」
モンモランシーの言葉を返したのは唖然とした表情を浮かべていたルイズではなく、キュルケであった。
いつの間にか自分の背後に立っていたキュルケに軽く驚きつつ、モンモランシーは言った。
「貴方と同じよ。朝にあまり食べ過ぎるのもどうかと思ってもう出ようかと思ってたところよ」
燃えさかっている炎と同じような色をした赤色の髪を片手でサッとかき揚げつつも、キュルケはあっさりと言う。
それを聞いたモンモランシーは納得したかのような表情を浮かべた後、何度か頷いた。
「昔はそれ程気にしてなかったけど、何故か今年に入って妙に気になるしね…」
少し憂鬱そうな彼女の言葉に、キュルケも同意するかのようにウンウンと頷く。
「そうよね〜。…まぁ私が知ってる限り、二人だけはもっと食べないとダメかも知れないけど」
そう言って未だ唖然としているルイズの顔へと視線を向けた。
自分の髪と同じ色の瞳には、何故か哀れみ色が惜しげもなく浮かんでいる。
まるで路地裏に捨てられた子猫を遠くの窓から見つめているかのような悲哀の色が。
「え…?何よ、何で私をそんな目で見つめてるのよ」
入学どころか生まれる前から好敵手であったツェルプストーの娘にそんな目で見られ、思わず驚いてしまう。
困惑の表情を浮かべているルイズに、モンモランシーが声を掛ける。
「大丈夫よルイズ…私だって数年前くらいは貴方と同じだったし…その、ちゃんと食べればもっと伸びるはずよ。…多分」
その声にはキュルケの言葉とよく似た悲哀の色が漂っていた。
「何よそれ!教えるのならハッキリ教えなさいよ!?」
この二人が言っていることの意味が良くわからないでいるルイズは、思わず言葉を荒げてしまう。
一方、食堂出入り口の傍にある休憩所でも、話をしている二人と一本の姿があった。
「…そういやアンタ。意志を持ってるって他にも特徴は無いの」
霊夢は朝食とした出た白パンの一欠片をスープに浸しながら、テーブルの上に置いてあるデルフに話し掛けた。
『唐突だなオイ…いんや、オレにはそんな力はないさね』
「つまらないわねぇ。アンタ本当に暇なときの話し相手じゃない」
『あのな、オレは意志を持っているタダの武器だぞ?武器なら敵に向けて振るのが一番良い使い方さ』
「そもそもアンタ、刀身が錆びてるんだから戦うのは無理なんじゃない?……ハグ」
霊夢はカチャカチャと音を立てながら喋るデルフにそう言い放ち、スープに浸ったパンを口の中に入れる。
無造作に置かれたインテリジェンスソードはそれを聞いて悲しかったのか、鞘が小刻みに震え始めた。
そういえば霊夢の服やお祓い棒などの道具は霖之助手製のものだったなぁ
支援
77 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:47:37 ID:g7cMf6Wr
◇
霊夢とデルフが再会したのは今から三日前の夜。霊夢がキメラを倒して部屋に帰ってきた後である。
部屋に帰ってきた彼女がまず目にしたのは、ベッドで寝ている魔理沙の横でちょこんと座っていたルイズであった。
彼女は霊夢の姿を見るなりバッとベッドから飛び降り、どことなく疲れている巫女に詰め寄った。
「あっレイム!あんた今まで何処行ってたのよ!というか何してたのよ!」
「何処でも良いじゃないの。ちょっと虫退治に行ってただけだから。あとは眠いからまた明日ね…」
帰ってきて早々、ルイズの罵声を耳に入れた霊夢はうんざりとした様子で返すとソファに腰を下ろす。
霊夢としてはルイズに詰め寄られるよりも早く寝間着に着替えて横になりたかった。
そんな霊夢の態度にルイズは顔を赤くし、さっきよりも大きいボリュームで怒鳴ろうとしたとき――何者かが割って入ってきた。
『おいおい、使い魔とそのご主人さまはもっとこう…和気藹々としてるもんだろ。お前ら殺伐し過ぎだよ』
少しエコーが掛かっているような男の声に、ルイズと霊夢は一斉にそちらの方へと視線を向ける。
声の先にあるのは、ベッドの上に置かれた傍に一本の太刀であった。
何処かで見覚えがあるものの、一体何処で見たのかと一瞬だけ悩み、すぐにその答えが出た。
「デルフじゃないの。…そういや部屋に持ってきてたのをすっかり忘れてたわね」
『OK、お前らには共通点が一つだけある。お前らはまず自分たちの持ち物の存在を忘れないように心がけろ』
今思い出したかのような霊夢の言い方に、デルフは何処か諦めにも似た雰囲気を刀身から漂わせつつも言った。
◇
「まぁなんだ。武器として使われる以外にも良い使い方はきっとあると思うぜ」
霊夢とデルフの会話を横から聞いていた魔理沙は、手に持っていたフォークでデルフの入った鞘を軽く小突いた。
『おいおい…慰めてくれるのは嬉しいがそんな物で鞘を小突くなっての』
しかしそれがイヤだったのか声を荒げ、激しくその刀身を動かした。
それに驚いたのか否か魔理沙はすっとフォークを下げると受け皿に置き、肩をすくめて言った。
「何だよデルフ。フォークに付いてるソースなら洗えば落ちるだろ?」
多少の悪気が入った魔理沙の言葉にデルフはその刀身を一層激しく揺らす。
『そういう問題じゃねーっての!鞘っつーのはオレっちを剣にとって、家であり服でもあるんだぞ!』
デルフの言葉に、魔理沙は満面の笑みで言った。
「なら問題ないぜ。何せ服も家も、ついた汚れを水で洗い落とせるからな」
(ホント、見ていて飽きないわねぇ…)
霊夢は魔理沙とデルフのやりとりを見ながら、紅茶を啜っていた。
デルフと魔理沙、一見喧嘩しているようにも見えるが魔理沙の多少意地悪な性格がその一線を越えないでいる。
あっけらかんとした顔の彼女から出てくる言葉には毒が入っているものの、それを言う本人には何の悪気もない。
しかし、霊夢が知ってる限り゛毒が混じった言葉を出す゛ような性格の持ち主なら魔理沙の他にも何人かいる。
紅魔館のパチュリーはハッキリと言うし、妖怪の山からやってくる文は会話の途中途中に紛れ込ませ、紫に至っては意味が良く分からない毒を吐いてくる。
だが魔理沙にはその他にももう一つ゛笑顔゛という効くヤツには良く効く有効な武器を持っていた。
女の子の優しい笑顔とは違う、自分だけの秘密基地を作り終えたばかりの男の子のような元気で活発的な笑顔。
特に同じ魔法の森に住む人形遣いには効果抜群らしく、何度激しい喧嘩になっても結局最後には元の状態に戻ってる。
とまぁそんな魔理沙の笑顔にこのインテリジェンスソードは仕方ないと悟ったのか、
「イヤだから…はぁ〜」諦めの雰囲気がイヤでも漂う深い溜め息をついている。
霊夢は紅茶を啜りながらも、そんな二人のやり取りを静かに見守っていた。
「平和ね…本当に平和ね」
幻想郷の巫女は誰に言うとでもなく呟いた。
その姿はとても、多くの人妖と戦ってきた少女には見えなかった。
78 :
無重力巫女の人:2011/01/31(月) 21:51:02 ID:g7cMf6Wr
では、これにて短めの投稿は終了です。
30分に投稿…と書いておきながら、ついウトウトして時間を忘れていました
本当に申し訳ありません
それでは今日はここらへんで、またお会いしましょう。ノシ
無重力の方乙でした。
前回までのバトル物とは一気に変わってほのぼのな朝。
そういえば、
>>76さんの公式設定があるからこそ、二次創作で霖之助が変態扱いを受ける要因になってしまったんですよね〜。
普通に呉服用品の為に測っただけだと言うのに哀れ。
後、霊夢の服って同じ様に見えて微妙にデザイン変わってるますよね。
しかもあんなに脇が露出してるのに冬使用もあるそうで。
何はともあれ、次回も期待です。
ルイズ伝、無重力の方
それぞれ乙でした。
武蔵伝は小さい頃思い出すわw何気にめっちゃ豪華声優陣だったり
読みかえしてきたが設定をよくミックスさせてると思った、頑張ってほしい
無重力の方は台詞回しとか原作大事にしてる感じがする、ニヤリとするときあるし
素材が自由度高いとうまい具合に書けるのか、読みやすかった
これからも続き待ってる
空の大怪獣ラドンが召喚されました
seedの最新話がまとめに入ってたけど一部欠けてね?
修正した。 インフル明けだから注意力も堕ちてるな……
無重力のひと乙です
脇巫女服はめんどくさいの行き着いた果てだったのかw
さすが霊夢さんやで!
うーん、やっぱりゼロ魔側のキャラって基本的にパワーバランス悪いな
マチルダやワルドクラスならともかく、
話を面白くさせるためにギーシュ相手に苦戦させるとそのキャラの格が著しく落ちる
かといって無双させると味気ないし、
力に制約つけるともどかしいだけだしなあ
難しい
>85
ギーシュ相手だと無手だから全力が出せない、ってのはゼロ魔にも沿ってて普通だと思うよ。
ムサシしかり、下がる男しかり。
パワーバランスの調整のためにミノタウロスや吸血鬼をぶつけたり、ギーシュでは満足しないが、小悪党な高官辺りだとたいていがトライアングル以上になるから、テンプレストーリーライン以外に進めるのもあり。
戦うからいけないんだよ
>>85 そりゃクロスなんて大抵「強くなってニューゲーム」だもの
レベル99で始めて序盤のスライムに「パワーバランス悪いな」とかいうようなもんだ
というか別にギーシュと無理に戦わせんでも
これまでどんな相手だろうとさんざん無理やり戦わせられたんだ
休ませてやろうぜ
ギーシュがトラウマになるレベルに圧倒的な無双だと清々しい
まあギーシュは使い魔お披露目みたいなものだから
その後のフーケやワルドも苦も無く倒せるようだと、他の部分で頑張らなくちゃいけなさそうだけど
ギーシュの使い魔は土木作業とか破壊工作で活躍するタイプだし
さしずめジャブローのアッグ
強さ的に、
ギーシュ<召喚キャラ<フーケって感じなら話は早いんだろうけど、そんな都合のいい塩梅のキャラなんてそうそういないしなぁ。
つーか、ギーシュのレベルでもワルキューレで普通に人間を殴り殺せるし。
そこはガンダ補正でカバーとは言っても、ガンダ補正が入った時点でパワーアップで原作より強くなるし。
>>85 ロレーヌとか適当なオリキャラとでも戦わせれば良いじゃない。
>>94 まともにやりあうなら再生付き巨大ゴーレムは手強いと思うけどな
ギーシュとの勝負を回避した。ダイジェストで解説しただけ。
ガンダ補正でやっと引き分けた。という珍しい展開もあるけど。
知力が武器のキャラを出せば面白く出来るって事だな
>>97 某ラスボスはガンダ補正があっても壮絶な泥仕合になってたな
>>96 手強いよね まともに戦い続ければ負けるキャラもいると思う。
サイトじゃないからやらないだろうけど。
>>90 難しいもんだな・・・そうだ!
じゃあ「強くてニューゲーム」で始めなければいいんじゃね!?
大抵はクロス先の原作終了後から召喚されるパターンが多いしな
とは言うものの、原作開始前や物語進行中に呼び出すと
本来やるべきことを全て投げ出したまま長期間ハルケに拘束されるわけで
それはそれで難しい
一段落ついて、ここで終われますよ。ってところから召喚するとか
104 :
ゼロの賢王:2011/02/01(火) 23:31:42 ID:F0GhyAKp
お久し振りです。
年始のOCN規制で暫く投稿出来ませんでしたが、それも解けたみたいなので
特に予約が無ければ11話を投下します。
馬車は、フーケの隠れ家と目される小屋へと向かって揺れている。
道中、手綱を引いているのはオスマンにより同行を命じられたミス・ロングビルであった。
キュルケは暇つぶしがてらロングビルへと話し掛けた。
「ミス・ロングビル。貴女ほどの方が手綱引きなんて似合いませんわ。御者でも使えばよろしかったですのに」
「いいのです。私は貴族の名を無くした者・・・。寧ろ、そんな私こそこういう役が適任とも言えますわ」
ロングビルが自嘲気味に笑う。
その様子を見て、キュルケが不思議そうに訊ねる。
「あら?貴女は確かオールド・オスマンの秘書じゃありませんでしたっけ?」
「フフ・・・年齢を重ねた者には重ねた分だけの事情というものがあるのですよ。ミス・ツェルプストー」
「そう・・・ですか。もしも差しつかえなかったら、その事情とやらを聞かせて貰ってもよろしいかしら?」
「・・・面白半分で人の事情に首突っ込むのは良くないぜ」
ポロンがそう言うと、ルイズも同調する。
「そうよ。みっともないからよしなさい。無神経に過去を訊ねるのは貴族としてすべき行為じゃないわ」
「あら、親交を深める為のお喋りがいけないって言うの?」
「何事にも節度というものがあるわ。誰にでも踏み込まれたくない部分は必ずあるのだし、アンタにだってそういうのあるでしょ?」
ルイズにそう言われると、キュルケはつまらなさそうに肩をすくめる。
「ハイハイ、私が悪かったわよ。ハァ、まだ着かないのかしら?」
「緊張感が足りないわよ、ツェルプストー」
「緊張し過ぎで動けなくなるよりマシだと思うわ。それにしても、アンタからそんな風に言われるとは思ってもみなかったわ。ま、どうせアンタ足手まといで何も出来ないんだし、今の内に好きなだけ言ってればいいんじゃない?」
「な、何ですって!?」
ルイズは憤慨して、キュルケに食って掛かる。
「見てらっしゃい!!私の魔法でフーケなんて簡単に捕まえてやるわ!!」
「ハイハイ、魔法魔法。凄いわねー」
キュルケが馬鹿にするかの様にパチパチと乾いた拍手をすると、ルイズはプルプルと震える。
まさに導火線に火がついた状態であった。
ポロンがルイズを宥めようと声を掛ける。
「そんじゃあ頼りにしてるぜルイズ!」
「・・・そこはかとなく馬鹿にしていない?」
「いやいや、そんなことは無いって!」
慌てるポロンの顔をキュルケはじっと見ていた。
すると、何かいい案を思い付いた。という様に手をポンと叩く。
「そうだ!ちょうどいい機会だし、どうせならミスタの話を聞かせて下さらないかしら?」
「俺の?」
「ダメかしら?」
「俺は別にいいけど、ご主人様が何て言うか・・・」
ポロンは横目でチラっとルイズの方を見る。
「・・・別に構わないわ。私も興味なくはないし」
1人本を読んでいたタバサも本を閉じてポロンの方を見る。
「あら、タバサ。貴女がわざわざ本を閉じるなんて珍しいじゃない」
「・・・興味がある」
普段感情をあまり露にしないタバサも少しそわそわしている様である。
ポロンは何となく気分が良くなり、オッホンと軽く咳をする。
「それじゃあ、ポロン様の波乱万丈の人生と活躍の日々をお聞かせしましょう!」
芝居がかった言い方で見栄を切ると、ポロンは昔の話を語り始めた。
勿論、異世界であることを誤魔化しつつ、その上であること無いことを付け加えながら、
実際よりも自分の活躍を盛り込んでルイズたちに聞かせた。
最初は興味津々で聞いていたルイズたちも、そのあまりに荒唐無稽な内容に途中から話半分で聞くようになり、
とうとう誰も本気にする者はいなくなった。
タバサも途中から閉じた本を再び開いて読み始める。
「……そこで俺様の魔法がドカーン!と決まって世界の平和は守られたのさ!!」
「……そろそろ森に入りますよ」
ロングビルの冷静な声がポロンの話に終止符を打った。
馬車が深い森の奥へ入ると、そこは鬱蒼としており、日の光も遮られていて真昼間というのにまるで夜の様に暗かった。
薄気味悪く、聞いたことの無い鳥の鳴き声が辺りに響き渡る。
「・・・これ以上馬車で進むのは危険ですね。申し訳ありませんが、皆さん馬車から降りて頂いてもよろしいですか?」
ロングビルの問いに誰も首を横には振らなかった。
皆馬車から降りると、ロングビルの案内に従い歩き始める。
日の光が届かないせいか、辺りが湿っぽく感じられる。
生い茂る草を掻き分けて先の見えない森を進んでいくのは体力的には勿論、精神的にも消耗していく。
そんな中、ポロンは1人考えていた。
(・・・おかしいな、自然のまま過ぎる)
隠れ家として利用している以上、フーケは何度かこの森を通っている筈である。
その割には、人のいた痕跡があまりにも無さ過ぎた。
(本当にフーケの隠れ家がこの森の奥にあるのか?)
考えながら歩くポロンを見て、ルイズが不思議に思う。
「?どうしたの、ポロン?何からしくない顔しちゃって」
「ん、何でも無い」
ポロンは素っ気無く言った。
ルイズはポロンの態度に少し寂しさを覚えた。
「・・・そう」
それだけ言うと、再び無言で森の奥へと進んで行く。
暫く歩いていると、5人はようやく開けた場所に出た。
「・・・あそこですね」
ロングビルが指差した方を見ると、そこには1軒の小屋があった。
「私の聞いた情報ですと、フーケと思われる黒ずくめの男があの中へ入って行ったそうです」
遠目から見ても、人のいる気配は感じられなかった。
果たしてどう行動すべきか、ルイズたちは相談を開始した。
「皆で一緒に、はダメですね。罠だったら全滅ですから。ここは人手を分けるのは如何でしょうか?」
ロングビルが提案する。
賢王の人ktkr
誰も反対する者はいなかった。
「・・・なら俺が小屋の中を見に行くよ」
ポロンが立候補する。
「なら私も行くわ!」
ルイズは声を張り上げる。
「使い魔が行くと言うなら私も一緒に行くわ!それが主人としての務めよ!」
ルイズはそう言って後へは引かなかった。
こうなると、梃子でも動かないのがルイズであるので、ポロンは仕方なく折れることにした。
「・・・仕方無いな。危なくなったら逃げるんだぞ?俺だって逃げるから」
「貴族は敵に背中を見せたりしないわ!」
ポロンは心配そうな顔でルイズを見たが、それ以上反対はしなかった。
その他に、キュルケとタバサが付近で待機、ロングビルは森の中にフーケ、もしくはその仲間が潜んでいないか確認。といった風にそれぞれの役割を決めた。
「それでは行きましょう」
ロングビルの言葉と共にルイズたちは小屋へと向かった。
入り口付近でキュルケとタバサが所定の位置につき、ディテクトマジックで中を確認する。
どうやら中には誰もいないみたいで、それを察知したキュルケがOKのサインを出す。
ポロンは小屋の扉に手を掛けるが、どうやら鍵は掛かっていないみたいである。
ポロンとルイズは小屋の扉を開けて中へ入って行った。
小屋の中へ入ると、そこは何年も使われていないかのように埃が充満していた。
2人は思わず咽帰る。
「ゴホッゴホッ・・・凄い埃だな」
「ゴホッゴホッ・・・破壊の杖は何処!?」
2人は中へ入ると、室内を捜索した。
(・・・この埃、明らかにこの小屋に人の出入りが無かったという証拠だ。ということはここはフーケの隠れ家ではない?)
「あったわ!」
ルイズの声にポロンはハッとなる。
ルイズの元へ行くと、そこには確かにそれっぽいものが置かれていた。
「これが破壊の杖ね。確かに普通の杖とは全然違う・・・」
「つーか、それって・・・!?」
ポロンが何か言いかけた瞬間、物凄い地響きが2人を襲った。
2人は耐え切れず、尻餅をつく。
「な、何よ一体!?」
「!!ルイズ、危ない!!」
落ちてくる天井の破片からルイズを庇うと、ポロンは呪文を唱えた。
「バギ!!」
真一文字の真空の刃が落ちてくる天井の破片を粉砕する。
「た、助かったわ。ありが・・・」
「お礼はいい、早くここから出るぞ!!」
「え?わ、ひゃあ!」
言うなり、ポロンはルイズをお姫様抱っこで持ち上げて、小屋の外へと駆け抜けた。
小屋の外ではキュルケとタバサが身構えている。
「ルイズ!ミスタ!大丈夫!?」
「ああ・・・一体どうした!?」
「あれ・・・!」
タバサが杖を向けた方を見ると、そこには学院内の宝物庫を襲ったあの30メイルのゴーレムが立っていて、こちらを見下ろしていた。
久々なのでこんな感じで。
最後の方は改行制限で何度も弾かれたのでむしゃくしゃしてやっちゃいました。
読み辛かったら申し訳ありません。
だって、上手く分けられる部分が無かったから・・・。
次回もよろしくお願いします。
賢王の方乙です。
ギーシュ戦って使い魔の能力披露と同時にカタルシスを得るためのイベントだからそこで苦戦されたりすると苛々が溜まる
俺だけかもしれんが
ポロンの人乙
他人の自慢話って、ひどくつまらないからルイズたちの反応も仕方ないわなあ
>>111 キャラによってはそういうのあるな
まとめのシャンゼリオンとか、変身+ガンダールブ補整込みでワルキューレと良い勝負はいろいろ違うんじゃないかと思ったり
そこらへんのボンクラ高校生+ガンダールヴ補正でギーシュには楽勝だからな
召喚されたキャラが高校生未満の能力か何かの事情でガンダールヴ補正無し(加えてさほど強くないキャラ)でない限りギーシュに苦戦はありえまい
実力を隠したいってのもあるけどな
ヘタに手加減できないやつだとギーシュが殺されかねない。
そこで色々ストーリーに修正をかけないといけなくなる。
そりゃ手加減できるできないだけの話でなく召喚されてるのはサイトじゃないんだから
大なり小なりストーリーは変わるんだから修正は必要さ
>>114 あ〜る・田中一郎でも召喚しませうか?
逆に、逆に考えるんだ! ギーシュイベントなんて回避しちまえよ
いっそギーシュを漢の世界にいざなってしまえばよいのだ
顔立ちが妙に濃くなって、読みづらい感じの技名で魔法を使うギーシュか…
殺意の波動に目覚めたギーシュか……
ギーシュ相手に苦戦はまだいいけど、酷いときにはギーシュに負けることもあるからな
それだけは違うと思う
>>119 そういうのを姉妹スレで見たような気がする。
逆に考えるんだ。負けても不思議じゃないキャラが主人公になればいいんだ
もしくはぷれい部方式
大部分の連中はギーシュ相手にあっさり勝っちゃうんだから、
たまには辛勝とか引き分けとか敗北とかがあってもいいじゃないの。
逆に、己の魅力が足らないせいなのを男に責任押し付ける基地乙、とか何とか言ってモンモンと決闘するのはどないだろか
ちょっと何言ってるかわからないですね
>118
なるほど、彼なら決闘を申し込まれたのに気がつかないと言うのも……
「ガーゴイルだったのか!」
「ち、違うよ。ガーゴイルじゃなくて、アンドロイドだよ」
「ガーゴイルなら、サモン・サーヴァントで喚んじゃうのも、ワルキューレと平気で戦えるのも、おかしくないか」
>126
ギーシュ「ボ、僕のために争うのはやめたまえ!」
>>126 移転しちゃった作品だけど、ミズ・シタターレはモンモランシーと決闘してたっけ
>>125 いやいやギーシュ戦を敗北で終わらせるのはダメだろ
貴族に善戦した平民の使い魔じゃなくて、貴族に勝った平民の使い魔って部分が重要なんだからさ
ゼロ魔のストーリーをなぞるなら、そこを履き違えちゃダメ
ストーリーなぞらないでオリジナルで原作ブレイクしまくるというならそれでもいいが
なぜ「なぞり」をありきで考えるのか
まあその方が楽だからなんだろうけどさ
ギーシュは所謂ヤムチャだからなぁw
まぁ、勝つにせよ負けるにせよ面白けりゃいいんだよ!
これ言うとアレだけど結局は何を召喚するかに依存するね
それでもガンダールヴ発動したら元の能力値が低くても基本的には勝つだろうけど
リーヴスラシルにして、周りの人(のルイズへの態度とか)をもうちょっと優しくして、全体の最後の最後で覚醒
とかだとギーシュ戦で負けることが後のカタルシスの増大に繋がるが、多分難易度高い
>133
第四の使い魔召喚した作品ってここだと何があるっけ?
自分は英雄や小ネタの黒と零、アンパンマンあたりしか思いつかないが。
135 :
呪いの使い魔:2011/02/03(木) 00:12:46 ID:2QZt22Uz
どうもお久し振りで〜す
覚えている方いらっしゃいますでしょうか?
るい智とのクロスオーバーの2話目が出来ました
0:15頃に投下します
136 :
呪いの使い魔:2011/02/03(木) 00:15:27 ID:2QZt22Uz
サモン・サーヴァントで花城花鶏を召喚したルイズは彼女を連れて自室へと戻った。
何故か息も絶え絶えになって。
ルイズは花鶏に向かって怒りの言葉を浴びせ掛ける。
「ハァ、ハァ……、次あんなことしたら本気でぶっ殺すからね!」
「何よ?ちょっと胸揉んで筋なぞっただけじゃない!」
「ちょっとじゃないわよ!!」
部屋へ戻る間にパラダイスフィンガーなる叫びと共に体中を蹂躙されまくったルイズは、顔中を真っ赤にしながら怒る。
しかし、花鶏はそんなルイズの謗りをまったく意に介さずに視線をルイズの胸へと集中させていた。
花鶏の視線に気付くと、ルイズは再び怒りの声を上げる。
「何処見てるのよ!!」
「ああ……いいわあ。すっごくいい!その少年の様に平べったい胸……。正に芸術だわ……」
「小さくて悪かったわね!!好きで小さくなったわけじゃないわよ!!」
「まあ、智やこよりちゃんに比べたら大きいわね」
「……………………!!」
ルイズは怒りたくても何をどう怒ればいいのか分からなくなって、声にならない声を上げた。
暫くした後、冷静に冷静にと自分に言い聞かせながらベッドに腰掛け、改めて花鶏と対峙する。
「……取り敢えずアンタは私の使い魔になったわけだけど……それは分かるかしら?」
「なあに?いきなりそういうプレイ?ルイズちゃんったらマニアックねえ……」
「ち・が・う!!……アンタ自分の左手を見て見なさいよ!!」
花鶏は左手を確認する。
そこには謎のルーン文字が刻まれていた。
「……何よこれ?彫り物?そういうのは趣味じゃないっての!」
「それは使い魔のルーンよ。つまり、アンタは私の従順な使い魔なの。分かった?」
「私に受けをやらせようってわけ?」
「……もういいわ。取り敢えず使い魔は主人の目となり耳となる力があるの。要するに感覚の共有ね。どう、何か見える?」
「白いレースが見えるわね」
花鶏は何時の間にか屈み込みながらじっとルイズのスカートの奥を観察している。
「……………………!!」
ルイズは慌ててスカートを押さえた。
花鶏はペロリと舌を出す。
「じっくり堪能させて貰ったわ」
「あああああ、アンタねえ!!……つ、次行くわよ」
ルイズは気を取り直して話を再開する。
137 :
呪いの使い魔:2011/02/03(木) 00:16:59 ID:2QZt22Uz
「次に、使い魔は秘薬の材料を持って来るの!例えば苔とか硫黄とか薬草とかね。出来るかしら?」
「ルイズちゃんに生えた苔ならいくらでも採取出来るわ。寧ろしたいわね」
「何ワケ分かんないこと言ってんのよ!!」
「あら?もしかして無毛?」
「……………………!!」
ルイズは力任せに枕を殴り付け、気を落ち着かせようとする。
これが男だったら撲殺ものだが、エロ魔人とは言え花鶏は女の子である。
同姓に暴力を向ける様な真似はルイズとしてもしたくなかった。
二度三度深呼吸してから三度口を開いた。
「最後!最後よ最後!使い魔は主人の身を守るの!!……でも、貴女はどう見ても普通の女の子だし、それは無理よね」
ルイズがそう言うと、花鶏の眉がピクリと動く。
「ちょっと、それは聞き捨てなら無いわね。私にルイズちゃんが守れないって?」
「でもアンタ、ただの平民でしょ?」
「違うわ!私は由緒正しきズファロフ家と花城家の末裔よ!」
「その『ズファロフ家』も『ハナグスク家』もここトリステインでは聞いたこと無い名前だわ。第一、貴族なのに杖を持ってないってどういうことよ?」
「杖?」
「そう杖。杖はメイジである証。貴族ならば皆持っている筈よ。それを持ってないってことは平民だと考えた方が自然じゃない。まあ、どっかの野蛮な国は平民でも貴族になれるみたいだけどね」
ルイズが見下すようにそう言うと、花鶏は部屋の中に置いてあったワインを開ける用のナイフを手に取ると、それをルイズに渡した。
「?こんなのどうするのよ?」
「それを私に投げてみて」
「ハァ?そんなことしたらアンタ怪我するわよ?」
「いいから思いっ切り投げなさい。でないと指で弄くってイカすわよ?」
「!分かったわよ」
ルイズは花鶏の雰囲気に圧されて、花鶏に向けてピュッとナイフを投げた。
そんなにスピードは出ていないが、この至近距離なら避けるのは難しいかも知れない。
投げた後でルイズは後悔していた。
「あ、あぶな……」
声を掛けようとしたルイズは一瞬目を疑った。
花鶏は体に触れるギリギリに指でナイフの刃先を掴んで見せた。
あとコンマ1秒遅ければそのまま花鶏の肌に突き刺さっていた。
「……え?今、どうし……え?」
「ま、こんなとこかしら」
花鶏はつまらなさそうにナイフを元あった場所へ戻した。
その後、ルイズの方へ振り返る。
「私、バトルならちょっとはイケるわよ?」
そう言って花鶏はフッと笑って見せた。
その姿があまりにも美しく、ルイズは思わずポーっと見惚れてしまった。
その後、ルイズは花鶏に背後から優しく胸を愛撫されたことで我に返ると、掃除洗濯を押し付けてベッドに潜り込んだ。
当然、花鶏が他人の洗濯などやる筈も無く、翌朝揉めることになるが、それは次のお楽しみ。
138 :
呪いの使い魔:2011/02/03(木) 00:19:44 ID:2QZt22Uz
2話終了です
ちょっと短いかな?
もっと長いほうがいいですかね?
ちなみに花城花鶏は(ハナグスク アトリ)と読みます
このキャラは作品本編でもこんな感じです
るい智は本当に面白いので是非オススメします
ではまた!
おつおー
最後の揉めるが一瞬別の意味に見えたのは秘密だ
乙
苔wwwwその発想は無かったw
WORKING!!から小鳥遊一家を召喚
宗太を召喚したルイズであったが宗太は近くに居合わせた(小さいという理由で)タバサと契約してしまう
仕方なく一緒に召喚された梢と契約するも梢は自分の下着しか洗濯してくれないのであった
ジョセフに召喚され宗太とタバサのことを知った泉は二人の仲を引き裂こうと(無駄な)努力を始める
そう、タバサのように小さくては自分が介護してもらえないのだ
ティファニアに召喚された一枝は子供たちのため弁護士として荒稼ぎをして平和に暮らすのであった
ロマリア教皇に召喚されたなずなはその立場を最大限に利用し味方を増やしていく
全てはお兄ちゃんのため、ハルケギニア全土を巻き込む小学生の野望が幕を開ける・・・
こんな感じでどなたかお願いします
>>128 アンドロイドと聞いてPSOからキリークの旦那とか考えたが
あの世界のアンドロイドメンテフリーなんだろうか・・・
フロウゥエンの人最近きたっけ?
新作で来るみたいだけど。
>>141 避難所に隔離スレあるから、そっちでやんな
メンテフリーなロボットと言えば、勇者ロボっしょ。
……ワッハマン
レミィ……はメンテ要るから無理か
どっかに梅田を呼んだら出来そうだけど
梅田呼んだら結構カオスりそうだww
>>147 ゴッパゲと組ませたら凄いことになりそうだな
梅田と言われるとアンドローと思う。
テッカマンのパートナーでアフロでサイボーグで宇宙人とのハーフなんでしたっけ?
ドラえもんでさえ整備いるしなあ
整備フリーならユートムでも呼ぶかな。頭打たれたらアウトだけど
>>143 フロウエンの面白かったけどあれで完結なの?
俺たちの戦いはこれからだ?
そこでブレンパワードですよ
デッキブラシで磨いてやるだけでよかったっけ?
確か作者がフロウウェンを別の作品に召喚してたのを書いてたような
あれって続きモノだったんだろうか
154 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/03(木) 23:28:39 ID:hRHt0TWm
ロボライダーってメンテフリーでいいのかな?
スパロボの超機人はメンテナスフリーだったっけ?
流石に損壊状況が酷いと修理は必要みたいだけど。
>>150 知ってる奴どんぐらいいるかな…>ユートム
ここはアレだ、ウインダムにしよう
相手が相手だからウインダムでも勝てる
大好きブルーノちゃんは人間と同じ飯食ってりゃいいエコロジーなデュエルロボットだよ!
>>157 インセクタスやサラマンドラに勝ってることをお忘れなく
ゼオライマー(漫画版)ならメンテフリーだな
ロボ系→メンテどうすんのという議論はもはやパターンだな。
ならば最初にメンテに関しての話が出たときから言い続けているこの言葉を送ろう。
描写しなければいい。話の展開で都合のいい時に、メンテの問題を浮上させればいい。
逆に考えるんだ。
メンテが必要だと考えるんじゃあない。
メンテを描写しなければいいと考えるんだ。
または機能停止しない限り動き続けるロボット生命体とか
私にいい考えがある
ですねわかります
>>155 RX系統は太陽電池積んでるようなノリだからメンテフリーじゃね?
問題はロボライダーをロボットといえるかどうか不安なところだ・・・
なーに、この手の雑談が幾らあっても実際に書く奴がいないんだから何も困ることはないのさ
>>160 4人の虚無のうち誰か1人は中身がブリミルになってそうですね
もしくはリーブ21がブリミルとか
そういやラスボスの人のネオグランゾンってメンテどうしてんだ
世界を渡り歩けるのなら、別にメンテフリーである必要もないしなw
>>157 ユートムだったら地下の風石もなんとかなるじゃないか
グランゾンはHP・EN回復(大)持ってるから修理いらず燃料いらずじゃね
縮退炉に物放り込むだけの簡単なお仕事です
ナデシコ劇のブラックサレナは一機で暴れてたみたいだけど補給整備はどうなんだっけ?
アキトはガンダ修正で回復できるとして、どうも二次が氾濫し過ぎててわけわからん。
>172
たしか、母艦とセット。
>>163 なにげにその人、仲間なんていらないぐらい強かったりする。
敵の基地に単身突撃して無双して帰ってくるとかたまにやるし。
>>172 ネルガルで補給だか改修受けてるシーンはあったよ
以前誰かが、ゴーグなら問題なしとか言ってたなあ
何もないようでしたら、17:30より初投下を開始致します
召喚キャラは『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』より、オランピアです
ここは地球とも、世界樹と「魔」が飛来したとある星とも異なる世界ハルケギニア。そして、その中の王国の一つであるトリステインに存在する魔法学院。
その名の通り、魔法を扱う者――――メイジたちの学院であるここでは今、メイジがその生涯を共にする存在である使い魔を召喚する、召喚の儀が行われていた。
「また失敗かよ!いい加減諦めろって!」
――――数度目の失敗、そして起こる爆発。
既に幾度も繰り返された失敗を見飽きたか、誰かが野次を飛ばす。
この儀の監督者たる魔法学院の教師コルベールは、現在使い魔召喚の魔法……
サモン・サーヴァントの失敗を繰り返している少女が、この儀式に際しどれ程の努力をしてきたかを知っている。
知っているが故に続けさせてやりたいと思ってはいるのだが、教師という立場上それは許される事ではなく。
「ミス・ヴァリエール。そろそろ次の授業もありますし、終わりにしますよ」
次の授業までの時間が押している以上、彼女一人を贔屓するわけにも行かず、そう告げる。
それは、この少女……ルイズにとって、死刑の宣告のようなものであり。
今ここで使い魔を召喚出来なければ退学、良くて落第。
そのようなことになっては、自分はおろかこの国でも随一の貴族の家系であるヴァリエール家の名にも泥を塗る事になりかねない。
「もう一度、もう一度だけやらせてください!」
そう必死に縋る。今までの失敗の連続だ、次に唐突に成功するなどと言う奇跡が起こるとは考えにくいし、ルイズ自身もそれは分かっている――――が。
それでも、一筋でも光明があるなら行う。何もしなければ、正真正銘成功の可能性は"ゼロ"だ。
「……分かりました。それでは、次で最後です。始めなさい」
あと一回だけなら、と。
時間が押している以上は本来ならばもう切り上げるべきなのだが、それでもあと一回だけなら、と。
努力家の彼女に最後の機会を用意しても問題は無かろうと、コルベールはそう判断し告げる。
『宇宙の果てのどこかにいるわたしの下僕よ!』
『神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!!』
『私は心より訴えるわ! 我が導きに答えなさい!!!』
……そして、再びの爆発。
最後の機も失敗に終わったか――――と、誰もが思った時。
周囲で見ていた生徒の誰かが、爆発で巻き起こる土煙の中に何かを見、叫んだ。
「ゼ、ゼロのルイズが召喚に成功した!?土煙の中に影が見えるぞ!!」
信じがたいものを見た、と言わんばかりの叫びを受け、その場にいた全員が土煙の中を凝視する。
其処に浮かぶのは、人型の影。
亜人か何かを召喚したのかと誰もがその正体を空想する中、ついに土煙が晴れる。
「――――なに、これ?」
人型の、影。
その正体は、亜人でも、はたまた平民やメイジ、人間ですらなく。
謎の材質の金属のようなものでできた、人型の「なにか」だった。
「人形、というのは考えにくいな。しかし生物にも見えない……ゴーレムか、動いていないが、ガーゴイルか?
しかし、それにしては精巧すぎる……頭部はまるで人と区別が付かないし、それにこの身体の材質はなんだ?」
右側で括られた、夜空のような青みがかった紫色の髪。ゴーレムなどとは明らかに違う、人と見分けが付かないような顔。
顔を見る限りは、無機的な尖った赤い耳を除けば、それはまるで人のようで。
しかし、素材の分からない金属じみた装甲や露出している胴部の骨格、胸の部分にある赤い核の存在はあまりに人とはかけ離れた姿だった。
「ねぇ、あれって人じゃないわよね?
ガーゴイルか何かの類かしら。それにしては随分と造りが細かいけど……」
「ガリアにも、あのようなものは存在しない……恐らく、未知の技術か、存在」
遠巻きに見ていた、赤と青の対照的な髪色、そして体型をした少女二人が言葉を交わす。
召喚された"それ"は、この場の誰もが知らない謎の存在だった。
「……っと、おめでとう、ミス・ヴァリエール。
召喚されたその……彼女は動かないが、恐らくゴーレムやガーゴイルか何かの類だろう、契約があれば動くかもしれない。
さあ、コントラクト・サーヴァントを行いたまえ」
身体はあくまで人型を取っているだけで人とも思えないが、かろうじて女性的と見る事ができる体型。
そして、人間の女性のような顔をしたその存在を"彼女"と指し、コルベールが召喚の儀の続行を促す。
「はい……分かりました」
召喚された"もの"の正体はよく分からない。だが、召喚に成功したのは紛れもない事実だ。
動かないのが不安だが、まずは使い魔の契約まで行ってから、と。
ルイズは、使い魔との契約の魔法――――コントラクト・サーヴァントを行う。
『我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』
『五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』
杖を召喚された"もの"の額へと当て、そのまま口付けを交わす。
唇を離し、数瞬の後。使い魔としての契約のルーンが、その左手に当たる部分に刻まれる。
「これは……見ないルーンだな。後で調べておこう」
他の使い魔に刻まれる者とは異なる、特異な形状のルーン。
何時の間に近づいたか、コルベールがその左手を間近で興味深そうに眺め、スケッチを取り始めると。
今まで動かなかった、その使い魔の瞳が開かれた。
「………起動、完了」
唐突に発せられた無機質な声に、その声が聞こえる範囲にいたルイズとコルベールは同時に使い魔の顔を見る。
「私は……オランピア。
世界樹の指令により生まれた魔を狩るための機兵……だった」
オランピアと名乗る、その使い魔は。
「あなたの使い魔となる。それが、私の新たな役目……」
ルイズの方へと歩き目前で跪くと、冷たく、何処か抑揚のない声でそう告げた。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
「ええと、ミス……で良いのか分かりませんが。
ミス・オランピア。その、機兵……というのが、貴女なのですか?」
唐突に口を開き、謎の言葉と名前を告げたオランピアに、コルベールが質問する。
「そう。私は、迷宮の奥に眠る、今は滅びた魔を討つ為に世界樹により生まれた機兵。
深都では、私のような機兵を『アンドロ』と……そう呼んでいる」
先に述べた内容と同じような旨を、オランピアは答える。
しかし、質問をしたコルベール……否、この場にいるオランピア以外の誰もが、その説明では一切理解出来ない。
コルベールやそのそばで聞いていたルイズは、単語の意味は何も分からないまでも、
何かと敵対している存在が戦闘用に作り出した、意志を持ち動く魔法人形……ガーゴイルだろう、と大雑把に理解する。
「それで、"マ"っていう相手との戦いが理由で作られたけど、今は私の使い魔なのが役目、ってこと?」
およそ、今まで聞いた範囲で分かることから、そうルイズが確認する。
「そういうこと。
海都の冒険者達によって魔は討たれ、役目を終え活動を停止していた私はあなたに召喚された。
今は、この契約の証により貴女の使い魔としてあるのが私の役目」
"海都"と、またルイズ達にすれば意味の分からない単語……恐らく地名が出たが、
既に大雑把にしか理解の出来ない話である以上また一つ謎の単語が出たところで大して気にする事もなく。
世界樹より遙か離れた地だからか、使い魔のルーンの影響からか。
記憶は失われていないまでも、その使命は既に果たされた魔の撃破から、ルイズの使い魔として生きる事へと書き換えられていた。
「それでは……ミス・ヴァリエール。
ミス・オランピアに使い魔としての仕事を伝えておいてください」
大きな疑念は残るが最低限の認識は行えたと判断したのか、コルベールはそうルイズへ告げ、周囲にいた生徒達に撤収を促す。
「おい、お前は歩いて帰れよ!」
「なんたって、"フライ"も"レビテーション"もまともに使えないんだからな!
次々に空中へと浮かんだ生徒達は、去り際にルイズへと罵声を残し、去っていく。
(人が、それもこの人数が空を飛んだ……? 占星術師の使うような、何かの術式の類?)
去りゆく生徒達を見、思案するオランピアと、冷静に罵声に対し無視を決め込むルイズ。
あのような中傷を受けようと、最早関係はない。
自分は、なんだかよく分からない存在だが使い魔の召喚に成功したのだ。もう、ゼロではない。ゼロとは呼ばせない。
「さあ、私たちも戻るわよ」
オランピアと名乗った、使い魔の少女?を連れて。
二人は、学院へと向かった。
以上で第1話終了です。
丁度投下しようと思った矢先にロボ談義になって驚きました。
アンドロは大航海の際に食料が必要である事からすると人間の食事でもエネルギー摂取できる機構でも備わっていそうです。
ゾイドとかメンテ要らないんじゃない?
あ〜る君やガルちゃんなら、壊れても気がつかない。
>182
乙。
世界樹シリーズはSRSしか知らないけど、大体分かった。多分。
>>183 ゾイドはあの星の外では生きていけないのよ
>>184 あーるだと、ルーン効果がある時にはシリアスモードになるとか面白いかも
シリアスモードだと、人一人片手で投げ飛ばせる上に女子生徒にモテモテかつ論争もこなせると
本当に究極超人だしw
ルーン効果=剣装備でシリアスモードなロボットというと『私のカエル様』思い出すな
そういえば二重人格のキャラとか、二重人格とまでは言わないが
本気になると別人のように性格が変わるキャラって召喚された事はない気がするから
やってみると面白いかもしれない
あ〜るは全巻手放したからシリアスモードでの細かい口調がちょっと思いだせん
成恵の世界の機族も基本的にメンテフリーだな
ロボットと言うより無機生命体だけど
>>185 そこでゴーレムにゾイドコアを移植して装甲巨神Zゴーレムですよ
>>188 二重人格って訳じゃないが、スイッチが入ると異常に熱くなるヤツってことで高坂京介でも喚ぼう
ルイズ=桐乃
タバサ=黒猫
フーケ=フェイトさん
ベアトリス=かなかな
アンリエッタ=沙織・バジーナ
ルクシャナ=瀬菜
……麻奈実はどうしよう
ウルトラマンは地球以外の星でも制限時間は三分間なのかな
グレートは大気汚染の激しい地球だから三分しか戦えない設定だけどハルケギニアなら10分くらい戦えるかも
>>185 ジェネシスの時代なら…
結局燃料が無くてアウトか
ガン×ソードのオリジナルセブンのヨロイはメンテいらないな
>>194 ゾイドは生き物だからな。
結局は食糧(金属鉱石、高濃度イオン水、レッゲル等)が必要になってくる。
それにコアさえ無事なら再生するけど全くの整備要らずって訳じゃないみたいだしね。(人間で言えば整体や治癒促進、予防接種みたいなものなのかな?)
>>195 サテライトベースに自動送還されれば、だけどね
だから宇宙に上がったサウダーデにダンのベース破壊されて
定期リンクによる生命維持すら困難になって、ディアブロのベースに間借りした(それも壊されてまた別のベースに移ったけど)
スパロボじゃそこんとこ完全無視してるんだけど、仮にこっちで召喚したらベースごと召喚じゃなきゃ命に関わってくるような
>>191 カイメラの若獅子を召喚
本編の後から召喚して意識不明の間に契約、ルーン効果で洗脳
ぶち壊しにされたエーデルへの信望をルイズにすり替え維持
気持ち悪いレベルでルイズの下僕に
・・・毎度のことだが、これやったらギーシュが死ぬかもしれません
オリジナルセブンはメンテがいらないんじゃなくて全自動で勝手にメンテしてくれるだけだな
むしろメンテなしだとすぐ駄目になる
>>198 あれって定期的にやらないと、本人も死ぬんじゃなかったっけ?
ダンのサテライトベースは破壊された後、ガドヴェドのディアブロ用のサテライトベースでメンテナンスを受けた。で、その後ディアブロのベースも破壊された。
……カギ爪を殺して年単位で時間が過ぎたはずのエピローグでダンが生きていたことを考えると、実はヴァンはメンテナンス不足でも死にはしない、と言うことかも。
>>200 最後宇宙にダンが飛んでってただろ?また別のサテライトベース利用してメンテしてただけ
>>200 ジョシュアがいつの間にかきちんと引継ぎの手続き行ってたから
適当なベースに移ってた
本編エピローグでその会話アリ
ちなみに肉体改造で乗ってるのはヴァンとガドヴェドのみで
他の連中は生来から生体電流が強く、改造抜きでインターフェース使用出来る
制約少なくて済むし、ネオ・オリジナルの連中呼んだほうが楽しいかもしれんな
・・・ミハエルと売女呼んでも、双子呼んでも、マザコン呼んでもルイズとの接点が希薄になりそうというか
従いそうに無いのはどうしようってとこだが
双子の妹のほうだけならいいか
もう敵は海賊の悪魔の黒猫アプロよんじゃおうぜ
ワルド糞涙目になりそうだが
>>203 アプロの「感情凍結」は ある程度の感情操作もできるみたいだから、
契約に成功しても ルーンによって思考強制なんかされたら 自力で解除しそう。
でも あのネコモドキ、女性に対する外面だけはいいんだよなぁ。
召喚した使い魔(予定)に断固として拒絶され論破され精神的にフルボッコされるルイズちゃんが見たい
>>205 SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger
初っ端にスコールとの契約を拒否されて、その後何回か顔を合わせましたけど、碌に相手にされてませんでしたよ。
ルイズが感情的なのにスコールは何処までも理性的でした。
まあ、一人で生きていける力があればそれが一番正しい対応だろうな>碌に相手にしない
ぶっちゃけあんな癇癪持ち係わり合いになるだけ損だろ
ガンソならカギ爪さん呼べば?
例によって無自覚にそこら中に迷惑を振りまいてくれるだろう
上野顕太郎の漫画から召喚とかどうだろう。
帽子男とか、キャプテントラウマとか。
爆煙の中から現れた使い魔候補は…
「5万人だ!」
計算外の人乙。
世界樹シリーズは長編で呼べそうなのNPCくらいだよなぁ、
とか思ってたけど、オランピアさん召喚とは計算外。
原作もキャラも大好きなので次回を楽しみにさせてもらいますぜ。
カギ爪さんは天然の女誑しだから学院の女が全員ヤンデレになるな
地球からの避難船の女をコンプした結果、男連中に撃たれて義手になったんだし
DODからまたピーターと池畑慎之介が呼ばれないかなあ
神の国で撃墜されて東京タワーに刺さる直前にでも
もしくは池畑慎之介だけ召喚されて、ピーターはタルブで戦闘機モード!
ヴァン「すいません…調味料を全部」
マルトー「(怒)」
>>210 内乱ってそれが原因かよ!!
今までカギ爪に同情と理解を覚えてたが一気に崩れ落ちたぞ
>>205 使い魔拒否…とまではいかないが表人格の遊戯も精神的にフルボッコできそう
遊戯「ルイズ…君はとても傲慢なんだ。貴族のプライドにこだわって、いざとなったら自分の考えだけを貫こうとする…」
ルイズ「……」
遊戯「でもそれじゃ駄目なんだ!たった一つの価値観なんかで人の心は割り切れない。
たとえ自分が傷つこうと、相手の心の闇ごと背負う覚悟がなければ人の苦しみや悲しみは絶対に見えてこない!
フーケだってワルドさんだって、いや、レコンキスタの人たちだって、みんなが苦しむ悲鳴は聞こえてこない!」
ルイズ「みんな…苦しんでいる…?」
遊戯「そうさ!でも今の君じゃだれも救えない!自分が傷つくのを恐れているだけの、臆病者の君にはね!」
ルイズ「……!」
遊戯「そんな君が人々の上に立つ貴族だなんて、笑わせるよ!!」
って感じで
>>172 基本ネルガルの秘匿ドックからの長距離ボソンジャンプで襲撃してた
ユーチャリスは劇場版の時が初陣だそうな
>>214 そいや海馬の場合は、自分の道突っ走ってるからルイズを叩きなおそうとはしなかったな。
>>205 「使い魔拒否」で真っ先に思い浮かんだのがこれだった。
ルイズ「この私の使い魔になりなさい」 勇者「断る!」
もしくは第34代魔王『紅玉の瞳』こと駄肉様召喚。
紅玉の瞳ってスレイヤーズパロだったんかな、と今更に
爪、ときたら鉄の爪を装備したアリーナを召喚。
は、難しいならゲレゲレを召喚ならいいかな?
>>211 王子召喚してギーシュと決闘させたら爽快だろうな、殺しかねんが
竜が堕ちゆく先は、はもう続きこないのかな……
>>196 ゾイドが日常的に食う鉱石ってどれ位なんだろうな…
少なくとも魔法学院周りの鉱山じゃ無理だろうなw
声優ネタでギーシュにライガーゼロ呼ばせて、たまにはいい目を見させてみようかとは思ったことあるけど
虚無連中がもっとすごいの呼びそうだw
ガンソのヴァンはロボのメンテなくても良くねって思ったけど
無理だな人工衛星がないと死ぬし
まぁ、ルーン効果で全ての問題を取り除くって方法もあるけどね
>>222 本来の設定だと、戦闘機獣にされたゾイドは摂食できなくなるので、重金属なんかを含んだ栄養分というか燃料を人為的に与えないと死ぬ。
ただ、アニメだと野良ゾイドとかスリーパーとかあるので、その辺の設定は違うっぽい。
で、野生の肉食型ゾイドは他のゾイドを襲って食うことで金属分を補充するらしいので、錬金で適当に金属作って食わせてればなんとかなるんじゃないかと思う。
ワルキューレの踊り食いするライガーゼロってシュールすぎる光景だと思うが。
ギーシュがライガーゼロとかブレードライガーとか喚んだら溺愛するんだろうな
メンテフリー気味なロボット…
よし、9号ライダー以外の昭和ライダーならたぶん大丈夫だ。
ヤマトタケルの魔空戦神はロボットだけど生き物みたいなもんだから、
メンテはいらないんじゃなかろうか。
>>221 王子なんて言うから誰かと思ったらカイム様かw
>>225-226 いっそのこと普通にゾイドが居て、召喚されるのもゾイドな世界にしちゃうとか
まほろ召還
胸的にルイズと意気投合
日本誕生のヤマトタケルを召喚。でもなぜかロボット戦に。
>>229 虚無だとオーガノイドとか古代ゾイド人とか召喚できるんだなw
メンテフリーなロボ・・・ARMS
止まってるね
別にフィクションなんだからその辺は適当でいいんじゃね?
KY発言すれば、ロボット系は使い魔っつーよりロマリアのカタコンベで保管されてる
展開の方が想像できる。
そういえば、場違いの工芸品としてのみのクロスって見たことないな。
メンテと聞いて小ネタでアルファX02Dが召喚されていたことを思い出した。それだけ。
>>235 カタコンベでおヒゲ様が体育座りしてたらどうする気だw
>>235 竜の羽衣がゲシュペンストMK2ってのが小ネタにあったな
元ネタよろしくいろんな人が乗って好き勝手叫ぶだけだが
ちなみにお手本はサイト
漫画版の真ゲッターロボはメンテいらなそう
下手したら取り込まれそうだけど
メンテフリーといえばどこぞのカニタマ魔神を…
駄目か
戦車ですら隠れて運搬したのに苦労したといっていたのに、どうやって15mクラスのロボを運搬するのか?
案外聖地周りはロボ系の廃棄場になっているのではあるまいか?
>236
ばっかおめェ、体育座りといえばアッガイだよ。
勿論、アッガイなので13歳の少女が乗り込む。
冥府の王がパーツ状態で保管されてると聞いて
冥王ロボのコアパーツが召喚されたと聞いて
ヤマトタケル?
ゆうきまさみのか?
ロボットアニメであったんです
主人公ヤマトタケルが乗り込むスサノオというロボットは、元は敵が生体金属で
作った魔空戦神というロボットの一体で意思と自己修復能力を持ち、岩石を食べてエネルギー
にするというまさに生きたロボットです
それはルイズの貞操がやばい。
一方、天下繚乱リプでは女装どころか女体化が始まったため、モリアーティ教授の勧めでコロニー落としを企んだ。
>>245 グレイのデビュー曲がOPに使われたヤマトタケル?
>>241 13歳少女と言われてもシャーリー・メディスンしか思いつかない俺はロリコンですかメイドスキーですかそうですか。
そういやゼントラ系の耐久性をなめるな的な発言がマクロスFであった気がするが、
クァドラン系を中の人ごと召喚しちまったらどんな反応すんだろ。
特にプラス以降は耳が尖っているという外見的特長も加わったから尚更に。
ゼントラ、メルトラは細かい特徴云々関係なく
あの大きさからして問題なのでは。
クァドラン系の中身ごとってことはマイクロ化してないって事だし。
ライダー系の作品はファイズしか完結してないな
201X年。
PCはブルースクリーンの嵐に包まれた……!
マザーボードは裂け、メモリは枯れ、あらゆるファイルが絶滅したかに見えた。
だが!テキストファイルは死滅していなかった!
二巻の〆にも関わらずワルドとルイズがこの上なく空気だが
見直しが済むと思われる25分から南斗投稿拳でヒャッハー!新鮮な投下だー!をする!
ひゃっはー!
おや、聖帝様w
沈黙。
先ほどまで喧騒に包まれていたニューカッスル城のホールは、誰も話すことのない沈黙に包まれている。
その場に居る全ての者の視線の先にあるのは、金色に輝く巨大な鳳。
まるで生身で火竜にでも相対したが如き威圧感を放つそれが翼を広げきると、大きく咆哮をあげた。
「南斗鳳凰拳奥義、天翔十字鳳!」
光の正体は、南斗聖拳百八派において唯一北斗元斗に匹敵する程の圧倒的な闘気。
天を貫くような光が邪魔だと言わんばかりに頭上を崩し、空を露にする。
そして空にはいつの間にか雲がかかり雷が落ち始めた。
鳳凰がその姿を見せた時、天すらも崩す。
南斗聖拳百八派を統べる帝王が遂に真の姿を現したのだ。
「不死鳥……」
誰かが最初にその名を呟くと、動揺が水面に投げ入れられた石が起こす波紋のように広がっていく。
不死鳥(フェニックス)。
再生の炎を纏い天を駆けるそれは、ハルケギニアにおいても逸話として古くから語られている。
そして世紀末以前の世界では、鳳凰はフェニックスと同一視されてきた事が多い。
墜ちる事なく、天空を支配する鳳という意味で言えば違いは東西での呼び名ぐらいでしかない。
この姿をフェニックスと言うのならまさしくそうだろう。
眼下で浮き足立つ貴族達を軽く一瞥すると、サウザーが告げた。
「天に輝く天帝は、この俺の将星ただ一つ。それを身に刻みながら、六千年の歴史に幕を下ろすがいい!」
力の無い正義など、何の役にも立たないことは王党派がこのような窮地に追い込まれている事で証明されている。
天空に極星は一つ。
即ち、このアルビオンに君臨する王はただ一人。
障壁あらば打ち砕くのみ。反逆あらば力で従わせるのみ。
それが天を支配する鳳凰のあり方。
その道理が通らぬというのであれば、無理にでも押し通すまで。
翼を広げた鳳凰が己の力を誇示せんと中空へと飛び立った。
最終話『行進の始まり』
「あれが伝説の不死鳥……、なんと美しい……」
輝き宙を舞う鳳凰の姿は、まさに優雅華麗の一言。
鳳凰の真の姿を前にしては、水鳥ですら姿が霞む。
南斗の頂点に立つ六聖拳において、鳳凰拳のみが別格と評されているのは誇張でも何でもなく事実なのだ。
天空を舞う姿に心を奪われた貴族の数は決して少なくはない。
あれが味方であれば万の軍勢を得たに等しかったであろうが、自分たちを滅ぼさんと襲い掛かってきている。
進む先に居るのは十数人の貴族。
惚けた様に動かない者、杖を向けようとする者様々だが、ほぼ同時に翼で撫でられたような感覚を味わった。
恐れながら支援
「たわば!」
「あわびゅ!」
次いで響き渡ったのは声にならない絶叫と、弾けたかのように吹き飛ぶ人の姿。
倒れ伏す者の身体には無数の浅い傷が浮かび上がり血が滲み出ている
その気なら、傷の一つ一つが致命傷となり得ているのだから並みの人間なら身一つも動かせまい。
南斗鳳凰拳は帝王の拳。
敵は戦わずして膝を屈し頭を垂れる。
鳳凰と対峙するためには、まずその身に受ける圧を跳ね除けねばならない。
そして、アルビオンの貴族達には鳳凰の前に立つ資格は十分にあった。
「ひ、怯むな!不死鳥とは言え、ここで醜態を見せれば我らは末代までの笑い草ぞ!」
「おお!」
さすがにここまで戦い抜いてきた精鋭と言うべきか。
元より明日には捨てるはずの命。
この惨状にあっても誰一人として屈しようとしていない。
ホールに立つ貴族全員が等しくサウザーを凝視している。
「ふっ……はははははは!」
そんな背景を尻目にサウザーが高笑いをあげた。
一山幾らのモヒカン共ではこうはいくまい。
それでこそ叩き潰し甲斐もあるというもの。
挑発するかのように手を前にかざし、獰猛な笑みを見せつけながら言い放った。
「かかってくるがいい!」
その言葉を皮切りに次々と魔法がサウザーへと飛ぶ。
全てを焼き尽くす火炎。
鉄をも切り裂く風の刃。
変幻自在の水の鞭。
歴戦の兵十数人分の働きを見せるゴーレム。
どれもこれも、一つ一つが常人では太刀打ちできないような魔法がただ一人の男だけに向かう。
身じろぎすらせぬ光景に誰もが勝利を確信しただろうが、……しかし。
「効かんなぁ!」
薄笑いすら浮かべたサウザーが、全ての魔法を受けきる。
その身には傷はおろか、攻撃を受けた跡すら無い。
実体を持たぬ火水風はサウザーが纏う闘気の鎧に押し負け、土は近づく事すら出来ずに切り刻まれる。
ならばと、何人かの貴族が呪文を詠唱し、エア・ニードルやブレイドの魔法が掛かった杖を手にしサウザーへと向かった。
どちらも接近戦用の魔法で、鎧など簡単に砕く威力を持つ魔法だ。
それらを一目見ると、サウザーはその様な事を意に介せず飛んだ。
避ける素振りすら見せずの直進。
そして、宙を舞うサウザーを捉えた者はただの一人として存在しなかった。
「ははははははは!」
宙を飛んでいるにも関わらず、突かれ振るわれる魔法の刃は悉くサウザーの身体をすり抜けた。
実体はその場にあって無いがの如し。
だが、幻影などではなくそこから放たれる威圧感は紛れも無く本物。
事実、サウザーの後ろでは何人もの貴族が斬撃を浴び倒れ伏しているのだ。
「天空を舞う羽……、何人にも砕く事はできぬ!」
南斗鳳凰拳が南斗最強と呼ばれている理由は、拳の威力の高さでも踏み込みの速さでも無い。
何よりも優れているのは、あらゆる状況下においても相手の体の流れを完全に見切る力の高さ。
その力があるからこそ、南斗鳳凰拳の使い手は構えを取らず、相手の拳を受ける事無く紙一重で見切り避け、その流れの中から隙を見つけ前進し攻撃を繰り出す。
よく南斗鳳凰拳には構えが無いと勘違いされているが、拳を受ける事が無いため構えという防御の型を取る必要が無いだけなのだ。
そして、この中に天空を舞う一枚の羽を捉えきれる者が居るかと問われれば応えは否。
あのケンシロウですら、不意打ち気味に北斗神拳秘奥義『天破活殺』を放つまでは傷一つ付ける事も叶わなかった。
まして、拳法を知らぬ者達では触れる事すらできない。
僅か一分足らずで三十数人のメイジが地へ倒れ伏す事となってしまった。
「どうした?来ぬのならこちらから行くぞ」
地上に降り立ち翼を納めたサウザーが手をかざしながら言う。
一歩、二歩と歩を進めただけで、あの勇猛果敢なアルビオンの精鋭達が怯んでしまうのだから、サウザーの強さがいかに桁外れか理解できるだろう。
もう一押しで心を砕くことも出来る。
最早、天翔十字鳳の構えを取るまでもない。
そう考え、踏み込もうとした前に一つの影が立ちはだかった。
「これ以上は、我が杖と王家の誇りに賭けてやらせはしない!」
杖を掲げ鳳凰の前に歩み出たのは皇太子であるウェールズだったが、サウザーは少しだけそれを一瞥するとつまらなそうに言い放った。
「貴様一人でこの俺と戦おうなどとはな。頭に乗るなよ小僧」
言った瞬間、またしてもサウザーから暴風のような闘気が吹き荒れウェールズを襲う。
これでもまだ手を抜いているのだ。
三百でも対等足り得ぬのに、一人で挑もうなどとは思い上がりも甚だしい。
だが、ウェールズは闘気に気圧されつつも、自らを奮い立たせ一歩踏み出すと叫ぶように言った。
「一人ではない!この国の民と、戦いの中で死んでいった者達の想いを受け継いでいる!」
「っ!……想いを受け継ぐだと?」
それだけで勝てると思っているのであれば愚か者の極みだ。
しかし、どうりで心が砕けぬはずだと、どこかで納得してしまっている。
自らが手にかけたシュウの想いを受け継ぎ、ケンシロウはこの聖帝ですら及ばぬ程に強くなった。
そして恐らくはラオウですら敗れ去る事になる。
人は愛と哀しみを背負い、そのために戦うからこそ強くなれる存在なのだ。
だからこそ、目を閉じ、小さく含み笑いを漏らすと腕を振るった。
うわらばっ!支援
「よかろう。ならば貴様が受け継いだ物の全てを、この俺に見せてみるがいい!」
いかな術を使おうと、全て己の力によって打ち砕くのみ。
南斗百八派を統べる帝王には、いかなる時であれ退く事は許されない。
退かぬ、媚びぬ、省みぬ。
この不文律こそが、帝王が帝王であり続ける為の証である。
再び闘気を身に纏うとウェールズが仕掛けてくるのを静かに待った。
「アンリエッタ。君の力を僕に貸して欲しい」
そう言われたアンリエッタの身体がピクリと震える。
ウェールズがやろうとしている事はアンリエッタにも分かるつもりだ。
だがその行為は、あの強大な力を持った覇者を敵に回すことになる。
勝つにしろ敗れるにしろアルビオンとトリステイン両国の破滅に繋がってしまうのだから、迷うのも当然の事である。
迷うアンリエッタに決意を促したのは、他でも無いサウザーだった。
「何を寝惚けている。力無き者では、この俺の風下にすら立つことが出来ぬという事ぐらいは貴様とて理解していよう」
生焼けでは完全な再生は得られない。
不死鳥は灰の中からこそ蘇る。
相手の力の全てを飲み込み、喰らい尽くしてこそ、鳳凰はより高く舞い上がる事ができるのだ。
二人が揃う事で全力が出せるのならそうすればいい。
それは単に驕りや慢心といったような物ではなく、若くして頂点を極めた者のみが持つことが許された絶対の自信からの言葉だった。
「……執念」
ぽつりと、あの時サウザーが言った言葉をアンリエッタが思い起こす。
力無き者が不死鳥の傍に居たとしても、ただその身を業火に焼き滅ぼされるだけ。
サウザーは対等とは行かずとも、力と執念を見せてみろと言った。
元より答えなど見つかるはずなど無かった闇の道。
そこに差し込んできた出口へと繋がる一条の光。
その光を放つ不死鳥を見失わぬ為には、杖を手に取り、抗い、その想いも執念も全てを見せつけるしか術は無いのだ。
あえて退路を断ち修羅の道を進む者と、追い詰められ退路を断たれた者。
違いこそあれど、互いに退く事は出来ぬ状況。
だが、そんな中にあっても、アンリエッタは僅かでもウェールズと共に歩める事を嬉しく感じている。
むしろ、後が無いという事実がそう思わせているのかもしれない。
全てを失うか、望む物を手に入れるかという二つに一つ。
そんな状況だからこそ、あの時、あの場所で誓った想いを隠し通す事無くこの胸に抱く事ができる。
欲望と言えば聞こえは悪いが、愛する人を救いたいという想いも言わば欲望である。
アンリエッタが持つ想いは他の誰よりも強く激しい。
欲望。そして執念こそが強さに繋がるのだ。
「ウェールズ様の願いをわたくしが拒むはずがありません」
どこか陶酔と高揚感が混ざり合ったような声になったアンリエッタが返事を返す。
もちろん、一時の感情に身を任せただけではなく、生まれて初めて自分で選んだ道だ。
流れに身を任せるだけではなく、自らの手で運命を切り開いてみせるという決意に満ちた答え。
それが分かっているのか、ウェールズは小さく、アンリエッタにだけ聞こえるように呟いた。
「……ありがとう、アンリエッタ」
ウェールズがその言葉を言い終えると同時に、聞こえていたのかいなかったのかサウザーが腕を薙ぐようにして払う。
死にたくなければ下がれ、という意味だ。
その動きだけで動揺しきっていた貴族達の動きが止まり、一人が気付いたかのように動けなくなった者に肩を貸すと、残った者もそれに続きサウザーから距離を取った。
巻き添えを食らう事を恐れただけではなく、第三者が下手に手を出せば逆鱗に触れ皆殺しにされかねないという事を肌で感じ取った為である。
なにっ!?最終回なのか?
静まり返った空間の中、アンリエッタが静かに呪文を唱え始めると、その詠唱にウェールズが加わる。
すると、辺りの室温が見る間に下がり始めると同時に、二人の周りを無数の氷の刃を含んだ冷たい竜巻がうねり始めた。
「ほう……!」
少しづつ膨れ上がる竜巻を見て、サウザーも思わず声を漏らした。
王家の血を引く水と風のトライアングルの二人のみが許されたヘクサゴン・スペル。
その威力は通常のアイスストームとは比較にならず、見る者が見れば、かの烈風が使うカッタートルネードに匹敵すると評する程だ。
既にホールの天井は崩れ始め、このまま進めばニューカッスルは城としての役目を果たす事はできなくなるだろう。
「くっはっはははははは!面白い!」
恐れなど微塵も無く、ただただ愉快そうにサウザーが笑う。
ただの小娘と小僧が、これだけの技を見せた。
これがケンシロウの言う愛の為に戦う者のみが出す事の出来る力か。
愛と情けを捨てた者が決してたどり着く事の出来ぬ場所。
だからこそ、ケンシロウに敗れ去った。
だが、帝王に二度の敗北は無い。
愛を捨てたと言いながら、その実、愛から背を向けていた男が逃げる事をやめた時、どれ程の強さが発揮されるのかはまだ誰も見た者は居ない。
先人達が積み上げ、そして師が命を懸けて託した拳と想い。
一度敗れ、諭された今だからこそ、南斗鳳凰拳の全てを背負う事が出来る。
城の一角を吹き飛ばした巨大な竜巻を前にして再びサウザーが両手を広げ構えた。
「聖帝様!」
あれに飲み込まれれば、自分のゴレームですら一瞬で砕け散る。
焦るマチルダとは対照的にサウザーは笑みすら浮かべている。
ヘクサゴン・スペルの威力に思わず声を出してしまったが、サウザーの表情を見ると大丈夫だとも感じてしまった。
この土くれですら膝を付き従わざるを得なかった男があれしきの事で退くはずが無いのだ。
現に、サウザーを飲み込んだ竜巻はそれ以上前に進むこと無く動きを止めていた。
あらゆる物を切り刻む竜巻と言えど氷と風。
いかに強大であろうとも、鳳凰は嵐の中心にあっても吹き荒れる中を舞う。
本来、天翔十字鳳という構えの持つ意味は天破の構えと同じく、あくまで技に移る前の構えにすぎない。
その構えの先には南斗鳳凰拳歴代伝承者をして、僅か数人しか会得できなかった奥義が二つ存在する。
師と呼び父と慕った男は、まだ幼き日の頃にその技を確かに見せてくれた。
忌まわしき記憶として封じていた物の片隅に僅かに残る型の一つ。
天翔十字鳳という構えから放たれる秘奥義。
南斗鳳凰拳秘奥義
鳳 凰 炎 舞 刃
全てを飲み込み切り裂く力を持った竜巻は、より巨大な力によって内側から幾重にも寸断された。
鳳凰を模った闘気は無数の刃となり、逃げる場を与える事なく周りに居る者全てを切り刻む。
敵の体の流れを完璧に見切り、逃げ場を無くした敵を闘気の刃により止めを刺す。
天破の構えが天破活殺という技に繋ぐ型であるように、これこそが天翔十字鳳が持つ真の型だ。
「これぞ帝王の拳!」
うねる竜巻の内側から鳳凰の翼が突き破るかのようにして姿を見せた。
そして切り裂くような咆哮をあげ翼を羽ばたかせると、あれだけの竜巻が一瞬にして四散し、氷片が闘気の炎によって水飛沫と化し雨のようになって辺りへ散らばる。
ヘクサゴンスペルと鳳凰の炎舞によって風が吹き荒れる中、立っている事が出来たのはサウザー一人だけだった
「お師……、天より照覧あれ!俺はようやく鳳凰拳を……」
夜空を見上げながらどこか遠い目をしたサウザーが他の誰にも聞こえないように天に向け呟く。
ようやく、歴代の伝承者達と同じ舞台に立つ事ができるようになった。
不完全な天翔十字鳳だったがゆえに天破活殺に撃ち落とされたのだ。
そうでなければ、南斗鳳凰拳が北斗神拳に遅れを取るものか。
この空に南斗六星はありはしないが、サウザーの目には十字に光を放つ南斗十字星と、今もなお色褪せる事の無い師の姿が映っていた。
精神力を使い果たし、風圧と水飛沫に煽られたアンリエッタとウェールズが室内とは呼べなくなった床に崩れ落ちるが
それでもウェールズは辛うじて片膝を付いて踏み止まり意識を失ったアンリエッタを支える。
他の全てが尽き果てたとしても王家の誇りだけは失うものかと顔を上げたが、その先にある光景に思わず息を飲んだ。
雲の隙間を縫って差し込む月明かりに照らされ空を見上げるサウザーの表情は、あれだけ暴れまわっていたのが嘘と思える程に穏やかと言っていい。
圧倒的なまでの力でアルビオンを飲み込もうとしている覇者であるとは思えない程に。
決着が付いた。
ヘクサゴンスペルを以ってしても子揺るぎもしない者と、力を使い果たし立てぬ者。
誰が見ても勝敗は明らかである。
そして今、二人の命を握っている男は崩れ落ちた天井の先を見ている。
何人かの貴族がウェールズを救わんとサウザーに杖を向けたが、彼らは突如として吹き荒れた風に吹き飛ばされてしまう。
悲鳴をあげて吹き飛んだ者が壁に打ち付けられる前に見たのは、白い仮面を被った男だった。
「き、貴様……『レコン・キスタ』……」
攻撃してきた以上、王党派のメイジであるはずはないが、かと言ってあの男の手の者でもない。
こんな小細工を弄さずとも、この場の三百人を皆殺しにできるだけの力を目にしたのだ。
ならば残された答えは、この混乱に乗じた内部工作か暗殺。
それを声に出す前に意識を落したが、仮面の男は閃光の如き素早さでアンリエッタとウェールズに向けて走り出していた。
支援
手にするのは風の近接魔法エア・ニードル。
一体、何時から紛れ込んでいたのか分からないが、そんな事はどうでもいい。
問題なのは、今のウェールズは精神力を使い果たしアンリエッタに至っては気を失って身動きが取れないという事である。
「よせ!そこからでは殿下に当たる!」
「し、しかし、このままでは!」
もちろん、貴族達とて黙って見ていたわけではない。
素早く反応した者が何人か襲撃者に杖を向けたのだが、男はそれも考えに入れているのか射線上にウェールズが入る位置を取っている。
もし避けられたら身動きの取れない二人に当たってしまうという躊躇が一瞬の遅れを呼び、そしてそれが致命的な物になった。
もうどんな魔法でも襲撃者の凶刃から二人を守る術は無い。
そんな中でただ一人ルイズだけが杖を向けていた。
「殿下!姫様と一緒に伏せてください!」
叫びながらも、白仮面の男に向けて狙いを定める。
以前のままのルイズなら狙いを定める事すら難しかっただろうが、今は違う。
あれが閃光というのなら、ルイズはここ毎日のように神速を相手に奮闘していたのだ。
命中させられなくても、爆風でひるます事ができればなんとかなるかもしれない。
何でもいいから短い呪文を詠唱しようとすると邪魔が入った。
「無駄な事だな」
その言葉に思わずカッとなったルイズが、いつの間に傍に立っていたサウザーを睨み付ける。
例えそうであっても、黙って見ているなんて出来るわけがない。
そんなルイズを見てサウザーは何時も以上に余裕めいた笑みを見せて言った。
「もう殺している」
その言葉の意味を理解するためには僅かな時間を要した。
今にも魔法の刃を突き立てようとした仮面の男の動きが直前で止まってしまったのだ。
そして、その身体に浮かび上がった交差する二本の線。
頭頂から足先、胸から背中へと伸びたその線が意味する事は一つ。
「ばわ!」
仮面の下から聞こえるくぐもった断末魔。
極星十字拳を受けた者が至る末路だ。
だが、おかしな事に、四つに切り裂かれた身体からは一滴の血も流れる事なく消滅してしまっていた。
「こ、これは風の遍在……!いや、それ以上に一体何時の間に……」
見えなかった。
それだけならまだしも、風のトライアングルであるこの身が、どうやって遍在を切り裂いたかすら感じる事ができなかったのだ。
サウザーがやった事は極めて単純な二つの動作のみである。
ただ踏み込んで、すれ違いざまに交差させた腕を振り抜いただけ。
単純故に無駄が無く、いかな達人であっても完全に見切る事は難しい。
実際、二度目の極星十字拳を受けたケンシロウは、見切っていたつもりでも致命的な一撃を貰ってしまっている。
無論、北斗神拳が効かないという状況であったため、被弾前提で撃ち込めたという点が大きいが今は特に関係無いだろう。
どうせ、仮面の男は斬られたと気付くよりも前に死んでいたのだから。
ワルドww
再びサウザーが貴族達に向けて歩みを進める。
これ以上の事は望めそうに無いが、まだ目の光は消えていない。
ならば残り全てを悉く打ち倒すまでと踏み込もうとすると、今まで守られるようにしていたジェームズ一世が前に進み出て
サウザーの姿をじっくりと眺めると、少し堰をしながら全ての者に聞こえるように告げた。
「諸君はこれまでよく戦ってくれた。我らを晒し者にする気でいる叛乱軍には降るまいと思っていたが、この方に降るのであれば始祖も我らをお許しになられるだろう」
最後まで王に付き従った者達が他の王に仕える事は無い。
ならば、王自らが降れば他の者も続くという事だろうか。
それでも戸惑いはあるのか、どよめきがあがる。
そんな中、ウェールズがよろめきながら立ち上がると父王に近付いた。
「父上がそう望まれるのであれば、私は異論はありません。皆で空賊に扮していた時のように、やつらに一泡吹かす事ができるのであれば、むしろ望むところです」
ヘクサゴンスペルですら傷一つ負わす事ができず、あまつさえ手加減すらされていた。
ここまでされればいっそ清々しい。
それに、サウザーは王党派を殺しに来たのではない。
レコン・キスタを潰すためにアルビオンに乗り込んできたのだ。
王家は潰えるが、一度滅びかかった者が戦いの場をまた与えられるというのであれば本望である。
しかし、ジェームズ一世はウェールズの肩に手を置いて言った。
「お前はバリーと十人ばかりを連れてトリステインへ行くがいい」
「そんな!父上を残して……私だけ亡命しろというのですか!?」
「アルビオン王家の血を絶やしてはならぬ。我らの意思を受け継ぐ者がいてこそ、アルビオン王家は再び蘇る事ができるのだ」
この老王。老いてはいるが先見の明は確かなようだ。
聖帝の支配力が衰えれば何時でも国を奪い返す気でいる。
例えそれが百年先ともなろうとも、アルビオン王家の血を継ぐ者が必ずこの地に戻ってくると信じているのだ。
明確な叛意ともとれるが、まぁそれもいい。
毒虫を腹の中に飼い、御しきるのも帝王としての器量の一つ。
そもそも、サウザーにとって支配する帝国とは己一代の物にすぎない。
奪いたければ奪えばいい。
その時は全力で叩き潰すまで。
それに敗れるようであればそれまでだったという事だ。
なんにせよ、覇道に役立つのであれば、そんな考えなど些細な事である。
言いたい事を言うとジェームズ一世は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「それにだ。水の精霊の下で誓約しておきながら、王家に産まれた者が恋仲と結ばれるという滅多に無い好機を逃すつもりか?」
「い、一体何時から気付いていらしたのですか?」
「毎夜のように園遊会を抜け出しておいて気付かれていないと思っていたのか。馬鹿息子め」
呆れたような声で言われたので、ウェールズの顔が一気に朱に染まった。
何度も繰り返した密会を知られていないと思っていたのは自分達だけで、その実筒抜けだったのだからそうもなる。
まるっきり初心な男女の反応を見せたので、誰かが笑い出すと、もうそれを止める事は誰にもできなかった。
sien
「ふん……」
大方の興味は失せたのか、マントを羽織り直したサウザーがその中を歩き、辛うじて残っていた玉座へと座る。
脚を組み頬杖を付いた何時もの姿勢でマチルダを呼び寄せた。
「お呼びでしょうか」
「この城にある物資を運び出せ。必要な物かそうでないかは貴様の判断に任せる。人手が足りぬのであればやつらを使え」
「はっ!」
恭しく頭を下げると踵を返し走り出したが、言われた事をもう一度頭の中で繰り返し確認する。
やつらを使え。
父を殺し、家名を奪ったやつらを遠慮なく使う事が出来るようになった。
ついこの間まで盗賊家業に甘んじていた女がだ。
「ふふ、あはは……」
その事を考えるだけで含み笑いが漏れ出てしまう。
これが楽しくなくて何だというのだ。
走る先は宝物庫。
アルビオン王家にも、レコン・キスタにも何も残してやるものかと決めると大きく笑った。
予定とは多少違ったが、結果としてアルビオン王家の残党を糾合出来たのだから首尾としては上出来だ。
前線では使えそうに無い老兵とウェールズに付いて行く者を除いても、二百五十余名のメイジが戦力に加わった。
数の上では少ないが、質が高く目的の為ならば敵を恐れず遮二無二に突き進める兵だけあって通常の何十倍もの戦果が期待できるだろう。
既にサウザーの頭の中では、まずどの都市から落とすべきかという考えが張り巡らされている。
この城は拠点としては使えないし、一度滅びた物を拾い上げる気はサウザーには無い。
よって棄てるしかないのだが、兵站及び機動力の確保として港は抑えておきたいところだ。
敵の艦隊の戦力を削り取るという意味でも、有数の港とそれに伴う生産能力を持つロサイスを占領し、周囲の領土を併呑していくのが最も効率が良さそうではある。
まぁ、多少の戦略など己一人でひっくり返せる自信があるので、今はその考えについてはこのぐらいにしておくと、玉座から立ち上がり手を掲げた。
「聞けぃ!我が拳にあるのは制圧前進のみ!即ち、この俺に後退や敗北の文字は無い!我が聖帝の名の下に跪き戦う者には勝利か、より完全な勝利が与えられよう!」
言葉という物は使い方によっては麻薬と同じ効果を持つ。
久しく聞くことの無かった勝利という言葉のなんと甘美な事か。
戦乱が始まって以来、彼らは敗北という名の肝を嘗め続けてきたのだ。
そして目前に迫った滅びの結末。
栄光ある敗北と言っても誰もが少なからず心に絶望を背負っていたのだが、それが不死鳥を纏った王の手によって勝利という希望に塗り替えられた瞬間であった。
ヒャッハー!
「おお………、不死鳥の王が勝利を約束されたぞ!」
たった一人で三百ものメイジを圧倒していただけに言葉の持つ力は大きい。
恐怖のみで縛った支配は長くは続かない。
秩序が保たれているこの世界であればなおさらの事。
全てを支配する力はここにあり、希望も見が反射させる光に照らされ、まるで王冠でも被っているかのように輝いて見えた、と後に隠遁したジェームズ一世はそう記録に残した。
せた。
欲する物を与えれば、人を従わせる事など容易い。
それに、希望を胸に抱いて戦う者が容易には心折れぬ事はよく知っている。
南斗鳳凰拳に及ばぬと知りながらも叛旗を翻し、最期まで未来への希望の為に戦い死んでいったあの男のように。
「見よ!」
一人の貴族の装飾品から宝石を剥ぎ取ると天高く掲げ力を加える。
僅かに宝石に亀裂が入ったと思うと、宝石は四散して砕けてしまった。
サウザーからすれば、下らないパフォーマンスに過ぎないが、ハルケギニアの住人にとっては信じ難い行為である。
そして、その信じ難い事実が燻っていた熱狂を嫌が応にも加速させる。
澱みの無い金髪が月明かりと四散した宝石の破片
「聖帝サウザー様……!」
一つの声が呼び水となり、さらに多くの歓声を誘う。
外を包囲する五万の軍勢すら圧倒しそうな勢いにまで達すると、全ての歓声が一つに重なって一個の生物のようになって辺りを包んだ。
やがて消えた燭台に再び火が灯されると半壊したホールに酒や簡素な料理が運ばれてきた。
先程まで行われていた物に比べればほんのささやかな物だったが、その意味合いが違う。
滅びの為の宴から、いつの日かの復活を思い描いた宴。
その宴に集う者達が心に思う事は一つ。
生きなければならない。
国は滅んでも人は生きる。
人が生きていれば国などいくらでも作る事ができるのだ。
無論、アルビオン王家に対しての忠誠を捨てたわけではない。
しかし、それで若い二人が結ばれ、何時の日かの再興に繋がるのであれば一時の不名誉も甘んじて受け入れよう。
サウザーが酒が満たされた杯を手にし掲げると勝利の為の宴が始まった。
>>全てを支配する力はここにあり、希望も見せた。
>>澱みの無い金髪が月明かりと四散した宝石の破片が反射させる光に照らされ、まるで王冠でも被っているかのように輝いて見えた、と後に隠遁したジェームズ一世はそう記録に残した。
この二行がフュージョンして変になった事を謹んでお詫びいたします。後、技テロップも。
そうして始まった宴をルイズはただぼんやりと眺めていた。
さっきまでの、明るく派手だったがどこか悲壮感に包まれた物と違い、誰もが生き抜く為に前を見ている。
それをいとも容易くやってのけたのは言うまでも無くサウザーだ。
南斗聖拳最強にして聖帝の名を持つ男は、力を見せ付ける事であっという間に王党派の心を掌握してしまった。
それも、たった一人で。
一度飛び立った鳳凰が自らの意思で檻の中に戻ってくる事は決して無い。
そもそも、今までがほんの気紛れにすぎなかったのだ。
ならば、一人残された無力な小娘はどうすればいい。
昔の時のように小船の中で泣けばいいのか。
それは駄目だ。
泣いたところで誇り高き鳳凰はそれを見ようともせずに天空の彼方へ飛んでいってしまう。
人が足元の蟻を気に止めずに歩くように、鳳凰も無力な人間を気にかける事も無い。
振り向かせるには、その後ろ姿を追い続け無理矢理にでも力を見せるしか無いのだ。
だが、『ゼロ』と蔑まれ魔法一つ満足に使う事が出来ない自分が、あれ程までに強大な力を持った男を追い掛ける事なんて出来るのだろうかとも思う。
ヘクサゴンスペルすら通用しなかったとなると、その上を行く力はハルケギニアにおいてはたった一つ。
始祖ブリミルが使いし伝説の力『虚無』だ。
いかなる系統にも属さず、あくまで伝説で語り継がれるのみだが、その使い手はブリミルが用いたとされる四つの使い魔のどれかを召喚したという。
神の左手『ガンダールヴ』
左に握った大剣と、右に掴んだ長槍でブリミルを守った神の盾。
神の右手『ヴィンダールヴ』
あらゆる獣を自在に操り、陸海空を問わずブリミルを運んだ神の笛。
神の頭脳『ミョズニトニルン』
あらゆる知識を溜め込みて、ブリミルに助言を呈した神の本。
そして、記すことさえはばかれるとされる正体不明の存在。
オスマンの考えでは、サウザーの力はそのガンダールヴに匹敵するらしい。
メイジと使い魔の力量は比例するのであれば、この身には『虚無』かそれに匹敵するだけの力が眠っているのかもしれないと少し考えた。
その突拍子も無い考えを、ありえないと否定したのは今までの失敗や他人の評価のせい。
逆に、もしかしたらと考えてしまったのは、他でもないサウザーの言葉にある。
『この俺が、単に無能なだけのやつを気に入るわけがなかろう』
笑いながら確かにこう言った。
どこで無能ではないと判断されたのかは分からないが、少なくともサウザーは自分の事を気に入っている。
今まであらゆる事を試し失敗してきたルイズであっても、虚無だなんて事は思いもしなかったので一般的な事以上は知らなかった。
やっていない事なら調べてみる価値はある。
戻ったら学院の図書館や、アンリエッタに頼んで王宮の蔵書も調べてみようと決めた。
それで何も出てこなかったら、その時考えればいい。
不退転の決意を持ち、どのような苦境に陥ろうとも決して誇りを失わない者だけが鳳凰の前に立つ資格を持つのだ。
再び何時もの姿勢で座るサウザーの姿を見ると、月明かりの元で歌い踊る貴族、貴婦人の間を通り抜け近付いた。
「大変な事になったみたいだけど、これからどうするつもり?」
「まず港を落し勢力の拡大を計る。後は、敵の士気を削いでいけば瓦解させるのも容易かろう」
ルイズとしては、外を包囲する五万の大軍をどうするのかという風に聞いたのだが、サウザーはその事を問題にしていないかのように答えた。
そう言うのならきっと大丈夫なのだろう。
安心した反面、面と向かって戻る気が少しも無いと言っているも同然なので少し見捨てられたような気分になったが、すぐにその思いを振り切った。
それに、考えてみればアンリエッタとトリステインの為にもなる。
サウザーが貴族派をアルビオンで抑えてくれるなら、ゲルマニアとの同盟を結ばずに済むし
アンリエッタとウェールズが婚姻を結ぶ事ができれば、長年空位だった王座を埋める事ができる。
今の淀んだ空気のトリステインには、勇気と才に溢れた王が必要だったのだが
アンリエッタは国民からの人気は高いものの、政を行うには経験不足で、母であるマリアンヌ大后は先王の喪に服しており王位に付く気はない。
仮に付いたとしても、個人的感情で国力を衰退させる事態を招いていたのだから、政治的能力が足りているかどうかは火を見るよりも明らかではあるが。
その点、常に先陣を切りレコン・キスタと戦ってきたウェールズなら血筋、名声、実力のどれを取っても申し分ない。
なにより、互いに好き合っているのだから、これ以上の条件を望むのは些か贅沢が過ぎるというものだろう。
だから、さも当然そうに言ったサウザーを見てルイズもつい、つられて笑ってしまった。
「それが姫様のためになるのなら何だっていいわ。あんたが何かしないと、姫様はゲルマニアなんて所に嫁がなきゃならないんだし」
そう言うと、ルイズはサウザーの真正面に回り込み、精一杯背伸びをすると人差し指を向けながら続けた。
「でも、忘れないで。わたしは、いつかあんたの前に立つわよ。一人でどんなに先へ行っても、絶対に追い付いてみせるんだから!」
誰もが聖帝の前では膝を付く中で、この小娘はどれだけ時が経とうとも前に立つと言ってのけた。
少しも視線を反らさず燐とした目付き。
どこかで見た覚えがあると思ってはいたが、今になって思い出した。
もう何年前になるか、あの大戦が起こる前にラオウがまだ小僧だったケンシロウを連れて南斗の道場に乗り込んできた時だ。
己の光と引き換えにケンシロウの命を救った男は、強い光を感じたと言った。
あの時は小僧と呼びさして気にも留めていなかったが、今になって思えばこんな目をしていたのかもしれない。
事実、歳月を経て、北の空で輝く光は将星すら飲み込んでしまったのだ。
だからか、とこれまで感じていた違和感の正体にも納得がいった。
シュウやラオウがケンシロウの素質を見抜いたように、我が身も自らと同じ信条を持つ少女のまだ見ぬ素質を感じ取ったのかもしれない。
「ふっ……よかろう!この俺が許す。何時、如何なる時でも向かってくるがいい!」
そして、蟻の反逆も許さぬと言った男が、一人の少女が立ち向かってくる事を公然と認めた。
自分でも意外な事を言っていると思わないでもないが、まぁそれも悪くは無い。
小娘一人向かってきたところで帝王は揺るぎはしないのである。
そうしていると、また歓声が飛んだ。
「姫様……、ウェールズ皇太子……!良かった……本当に!」
さっきまで、愛しているからこそ死を選ぶと言っていたウェールズが
抱えきれないような悩みを背負っていたはずのアンリエッタがこうして誰の目もはばからずに幸せそうに踊っている。
ルイズにはそれが自分の事のに嬉しい。
紅潮した顔でボロボロと嬉し涙を流しながら見つめているルイズとは対照的に
サウザーは大して興味も無いのか頬杖を付きながらそれを眺めていると、一人の貴族がルイズに近付いてくるのが見えた。
羽根突きの帽子に髭を生やした凛々しい顔付き。
着ている物など特にどうでもよかったが、全体的な体の流れは二度見た事がある。
一度はラ・ロシェールで、二度目ついさっき見た。
それに、この目は己の野心と欲望を隠し通そうとしている目だ。
なるほど、とこれで手応えが無かった事に合点がいった。
風は遍在し、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する。
背格好と微細な動作の一致。
つまりはそういう事だ。
「くっははは、さしずめ貴様はユダ……、と言ったところか」
他人の下に甘んじながらも、その下では様々な策謀を巡らし、虎視眈々と頂点の座を狙う危険な男。
南斗六星が一星、妖かしの星の宿命に生きた男の名は南斗紅鶴拳のユダ。
裏切りの代名詞とも言える名を笑いながら言ったが、その名を持つ意味は誰も知らない。
どういう意味かと問いかけようとした瞬間、サウザーの手刀がワルドの胸元に突き刺さっていた。
「なっ……!」
物音一つ立てず、一度の瞬きも終わらぬ間に放たれた手刀に気付いた者は当事者以外には居ない。
至近に居たルイズですら何が起こったのか気付きもせずに二人が踊る姿を眺めている。
手刀を受けたワルドがよろめきながら一歩下がると、懐から白い破片が無数に零れ落ちる。
その破片を軽く一瞥すると、サウザーは今までハルケギニアでは見せる事の無かった残忍な笑みを浮かべながら言った。
「俺は裏切り者は決して許さん。だが、貴様は俺に叛いたわけではない。そこで一つ選択肢をくれてやろう。死にたく無ければ存分に舞え。この俺の為にな」
ユダの例もあるが、基本的に裏切り者は己の利の為に動き、忠誠心など皆無に等しい。
王党派の貴族を従わせるのに効果的な事が希望を与える事であるなら、裏切り者を裏切らせない為に一番いいのは圧倒的な力と恐怖で縛る事だ。
どれだけ策謀を張り巡らせても、少しでも叛意を見せれば必ず殺されるという程の隔絶した力の差を自覚させれば裏切る事は無くなる。
「こ、この『閃光』と呼ばれた僕が……」
地面に尻餅を付いたワルドがわなわなと震えた。
その震えが屈辱からくる怒りではなく、恐怖だと気付いたのは自分を見下した目で眺めている男を見た時。
人間、であるはずなのにその存在があまりに大きく感じられる。
立ち上がろうとしても脚に力が入らず立つ事が出来ない。
杖を手にしたところで腕が震え杖先を向ける事すらおぼつかない。
呪文を詠唱しようとも、言葉は出ずに変わりにカチカチと奥歯がぶつかる音が聞こえる。
一目見ただけで、あの遍在が自分が作り出した物で、トリステインを裏切っている事も見抜かれた。
遍在を一瞬で切り伏せた男はそれを知ってあえて生かしている。
身動き一つ取れずに懐に忍ばせていた仮面だけを砕かれたのは、貴様など何時でも殺せるというメッセージに他ならない。
役に立つ存在であるという事を見せ続けねば、すぐにでも切り裂かれるだろう。
気が付けばワルドはサウザーの前で片膝を付き、頭を下げて貴族の誇りでもある杖を差し出していた。
翌朝。
馬の蹄や怒号が振動となって宴の余韻の残るニューカッスル城を揺らす。
岬の向こう側からニューカッスルへ進撃するのは傭兵が主力の部隊。
数はおよそ五千と言ったところ。
城の一角が崩れ、門が破れているのを見て、あわよくば城に雪崩れ込もうというつもりだろう。
レキシントンが制圧された事を知らずにいるため、遊弋するサザンクロスを見て空軍に獲物を横取りされるものかと焦ったのかもしれない。
だが、城の中には何も残ってはいない。
あるのはマチルダが贋作であると鑑定した物ばかりだ。
後は、女子供といった非戦闘員が脱出用の船に乗り込むのを待つのみ。
それまで敵兵を一兵たりとも中に入れるわけにはいかない。
傭兵と言っても貴族から身を落した者も多く、門が破れている以上は三百では物量に抗いきれず破られてしまう。
進入されてしまえば戦利品欲しさの傭兵に虐殺を許してしまう事になるが、この城の中に慌てふためく者は誰一人としていなかった。
マチルダと数人の貴族を引き連れサウザーが門の上に立ち、向かってくる集団を一瞥する。
向かってくるのが五千とはいえ、その後ろの四万五千の軍勢の威圧感は凄まじい。
やや強張った顔付きで反射的に杖を出したマチルダを手で制止すると、何時もの笑みを浮かべたまま言った。
支援
「構わぬ。あの程度ならば、俺一人で十分だ」
その言葉だけで、サウザーの周りに居た者の緊張が和らぎマチルダも自然と杖を下ろした。
味方である限りは程頼もしい相手もそうは居ない。
あの大軍を相手にするよりも、この男一人を敵に回す方が余程恐ろしい。
「出過ぎた真似を致しました。吉報をお待ちしております」
「ふっ……、無論だ」
その言葉が放たれた時にはサウザーの姿は無く、その姿はすでに天空へと移っている。
鳳凰が狙う獲物は、軍隊という生物の胴体部分。
直上に辿り着くと、食らいつくべく降下を始める。
運悪く着地点に居た兵を文字通り粉砕すると、その勢いのまま闘気が込められた拳を地面に叩き付けた。
南斗鳳凰拳
南 斗 剽 斬 功
叩き付けられた闘気が地面と大気を伝わり、無数の衝撃波となって周囲の兵士を襲った。
集団の中にぽっかりと穴が開き、アルビオンの大地が赤く染まっていくのが門の上のマチルダからはよく見える。
たった一撃で百余りもの兵が肉片と化したのだ。
あまりに凄惨な光景に五千もの軍の進軍が一人の男の手によって止まった。
そしてこれはほんの始まりにすぎない。
地面に叩き付けた拳を離しながらサウザーがゆっくり顔を上げ仁王立ちの姿勢を取る。
かつて、皆殺しの色里と呼ばれ、難攻不落を誇っていたアスガルズルを支配していた南斗水鳥拳前伝承者ロフウは、ユダが引き連れていた千の軍をたった一人で皆殺しにした。
聖帝とは南斗の頂点に君臨する者の名。
水鳥が千ならば、鳳凰は万の軍勢すら屠ってみせよう。
今までも血の河は幾度と無く越えてきた。
新たにそこを進む事には何の躊躇いも無い。
ただ一つ違うのは、この双肩には南斗の先人達や師からの想いを全てを背負っている事。
もう何からも逃げはしない。
周りを囲み武器を向ける無数の兵を一瞥すると、この大陸全てに轟かんばかりに宣言した。
「俺は聖帝サウザー!兵を進めよ、大地を奪い尽くせ!我が聖帝の旗を全ての地に靡かせよ!!」
ヒャッハー!投下した、した?したしたたたたたたわば!
PCの故障と南斗残業拳のせいで、こんな遅くなってしまいました。
やっぱりワルドより聖帝様の方がラスボスっぽいのでこうなった次第。
この後、サイト世紀末仕様(モヒカンに非ず)をルイズが召喚したりしなかったり。
暇ができれば外伝か何か書ければいいなぁと思ったところで一先ず終わらせて頂きます。
それでは最後に、退かぬ!媚びぬ!省みぬ!
長きに渡る投下お疲れ様でした〜!
>サイト世紀末仕様
………え? それどんなの?
GJ!
帝王、まさにその一言を体感させていただきました。
すばらしき覇道、あふれるアドレナリン、本当に乙でした。
具体的に言うと、名前が平賀才人じゃなくてサイトだったり
世紀末のため、帰りたいとか一切思わないといったとこですかね。
後、身体能力も原作より大分上。
乙!
しかしサイトさんが聖帝に勝つんならそれこそ元斗皇拳クラスじゃないと(ry
乙でしたー。
>サイト世紀末仕様
修羅の国で名を名乗れるレベルなら……無理か?
は〜 凡羅破魅陀亜仏弟斗羅…
ヒャッハー、一応言っとくと鳳凰とフェニックスは実際には全然違うものなんだー
ともかく、乙でした。
聖帝様バンザーイ!
声は変だけど無双の技はかっこいいのが多いんだー
貴族の肉体強度は大体イージーモードの最初のステージの雑魚で強い奴は大きめの中ボス、攻撃力はギリギリでノーマルのボス級ってところだろうか
聖帝様はステータス全部マックスで
お疲れ様でした。
あー終わっちゃったのか〜。
某所のてつを小説も終わっちゃったし、寂しいかぎりです。
>>287 なにそれ気になる題名だけでいいから教えて
鉄雄「ワルドォォ!」
ワルド「さんをつけろよデコ助野郎」
こんな感じ?
>>282 >修羅の国で名を名乗れるレベルなら
この部分で、北斗じゃなくてスパロボを思い出してしまった。機神拳を使うサイトとかw
普段剣なんか使わないようなキャラにデルフ持たせてるSS多くないか?
そのキャラが剣無しじゃ弱いならともかく、剣がいらないような奴に無理くり持たすのは良くないだろ
無理矢理剣プレゼントしようとするルイズの印象も良くないし、そうまでして原作なぞりたいかね?
>>291 そういう場合 「剣なんて いらない」と言う召喚キャラに、相手が『使い手』だと気付いたデルフが
必死になって自分を売り込もうとしている事が多いような気がする。
>>そうまでして原作なぞりたいかね?
二次SSは『原作と つかず離れず』が基本だと思う。サジ加減は難しいけど。
自分としては 原作の主要キャラは 可能な限り出てほしいので 剣持ちでないキャラに
どうやってデルフを持たせるかってのは 書き手の腕の見せ所の一つだと思って楽しみにしてる。
>>291 そもそもサイトが普段剣なんて使わないようなキャラだから別に違和感は感じないな
剣買に行かせる理由が弱いと思ったことはあるが
きゅうベエが召喚され
「立派なメイジになりたい」と願いをかなえて貰い
最初は有頂天だったが、次第に精神的に追い詰められ、
逃げ惑い鬱になっていくルイズが見たいです
YOU、書いちゃいなYO
聖帝様最高すぎるww
完結乙!
聖帝様の人、お疲れさまでした。
機会があればサイト外伝も是非に!
原作の時点で、武器屋で買い物してるときのサイトの描写に違和感ありすぎた
なので二次創作だと却って気にならないでござる
剣士系キャラは大抵自分の剣と一緒に召喚されるし、
それ以外でも以外で愛用の武器があったり
別の戦闘スキル持ちだったりするからな…
そのためそもそも武器屋にいく必要があまりないという
テンプレみたいなもんでしょ、ギーシュと戦うのがお約束なように。
武器屋に行くのはいいとして、舞踏会はあってもなくても困らないフラグ。
ガンダールブの事を知ってる数少ない人物(?)だからそこら辺をからめた話の構成にするのであれば意味はありそう
>>301 原作で、デルフの人格?は他のものに転移出来ることが明らかになったから、人格のない単純なAIにデルフ乗り移らせると便利かもな。
SS読んでると剣を使わないキャラは大体、魔法吸収が主で
たまにぶん投げてる位だな
>>293 剣が無くても強いキャラと、剣を持った途端ギーシュ相手に逆転勝ちしたサイトじゃ話は別じゃね?
305 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/06(日) 16:35:31 ID:OdHc924M
聖帝様きてたのか乙
>>294 誰が頭をMOGUMOGUされるのかが問題だ
誤爆じゃねえだろ
>>291 召喚キャラの得物が強すぎるからルイズがこれ使え!って買わせるパターンもあったね。
萌え萌えさんのとか。
しっかり大ダメージ必至の必殺技の回避とかルイズの虚無解放とかで役立ってるし。
聖帝様乙!!
その後のハルケギニアでは、モヒカンが流行ったりしそうな感じだww
外伝および行進止まってる兄貴の方も楽しみにしてますw
>>307 ヒント:まどかマギカ
まあ放送終了するまではここで書くのは無理だが
オリジナルだからどうなるか分からないしな
???「太陽MOGUMOGU」
聖帝様に敬礼!
皆さんこんばんは。
毎週日曜日に投下させていただいています本作ですが、今週は少々事情が悪く投下を控えさせていただきます。
楽しみにしてくださっている方々には申し訳ないと思います。来週は復帰するつもりですのでご容赦ください。
>>武器
アプトムなんかは「魔法のあるなしで一般人は絶対にメイジに勝てないことになってるこの世界の武器のレベルってどんだけ低いんだ」
って思って武器をちょっと気にしただけでルイズが勝手に舞い上がって購入してたっけ
アプトムもちょっと気になることはあったけどすぐに大して気にすることでもないってわかって捨てたけど
ウルトラの人の投下を楽しみに、来たと思ったらコレだよ!
おとなしく来週を待ちます
うしおととら文庫本集めたら、るいずととらの続き読みた過ぎて漏らしそうになった
九印とかナガレとか召喚したら面白そうじゃね?
>>315 ウルトラ無念
今は、ゆっくり休んで・・・
仮面ライダーWからガイアメモリを召喚。
そしてガイアメモリ犯罪に立ち向かうサイトとルイズのW。
復讐の為にアクセルメモリを手に入れるアニエス。
実はルイズよりも先にライダーになっていたスカル=カリン。
そしてエターナルメモリの使い手ジョゼフ。
エターナル=neverのウェールズ
最初は洗脳されてるけど、後に自我が戻り味方に
とかも面白そう
クレイドール=タバサ
マグマ=キュルケ
(婚期が)タブー=エレオノール
他に何かいいのがあるかな?
>>320 Wはソウル側がデータ人間じゃないとなれないだろ、データ人間フィリップを守る為に作られたシステムなんだからw
タブーなアンアン
ナスカ、ウェザー、ユートピアはサイト、ウェールズ、ゲルマニア皇帝?
そして喪に服した王妃は包帯グルグル巻きに
ウルトラマンゼロをルイズ、グレンファイヤーをキュルケ、ミラーナイトをタバサが召喚し、
ジャンバードが竜の羽衣の名前でタルブ村に保管中、4人合わせてサーヴァントフォースゼロとか。
んで、ジョゼフはカイザーベリアル召喚してるとか。
ほかのライダーやドーパントならいいけどWは設定上無理なんだよなぁ。
データ人間で地球の記憶と直結した人間がソウル側にいないと駄目だし、
仮にその設定無視するにしてもルイズかサイトのどちらかの頭脳を知識の宝庫にしたり二人の性格を真逆に改変した方がいいと思う。
>>326 >頭脳を知識の宝庫にしたり二人の性格を真逆に改変
それ単に名前借りただけのオリキャラって言わないか?
328 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/07(月) 00:00:03 ID:7wwBjRmD
ゼロと迷宮職人の続きってもう無いのかな・・・
サイトが召喚のゲートを通過した際になんやかんやで星の本棚とアクセスしちゃってデータ人間になっちゃえばいいよ
むしろ尻彦さんを召喚してくれ
ファングジョーカーみたいなのあるし、ソウル側がデータ人間じゃなくてもいいのでは
>>329 良いかもな、尻彦さん。あの最期のシーンの死の直前に召喚されたことにして、
破壊の杖がAtoZのラストで吹っ飛んだT2ナスカということにすればいいし。
T2は確か生体コネクタをつけるあの機械不要のはずだし、
尻彦さんならきっとナスカメモリと引き合うに違いない。
面倒だからサイトが召還された時に一緒にジョーカーかスカルのメモリをロストドライバーごと召還すればいいよ。
そうすれば仮面ライダーになれるし。
もしくはエターナルメモリ召還で、散らばったT2メモリを探して回るとかさ。
ぶっちゃけデータ人間じゃなくても使えるけどな≫ダブルドライバー
ただ「フィリップ」用に使用者登録してあるだけだし
CJXですらウィスパーがあれば代用出来るという
サイトがPCを使ってグリッドマンにアクセスフラッシュできるようになったら
強みは素人でもドラゴンフォートレスやゴッドゼノンみたいなアシストウェポンが作れて
破壊した建物も修復できる事
蘇ったデジファー様がジョゼフに寄生、更にそこから怪獣を生み出してワルドやフーケも支配
ちょっと何言ってるのか分からないです
>>334 そういうことが出来るのコンピューターワールドのなかだけじゃないか。
うーん、テリー・ボガードやリュウ・サカザキ、SMKヒーローたちは呼ばれないものかな
リョウ・サカザキ「魔法を使うメイジが相手なら覇王翔吼拳を使わざるを得ない!」
最近のはともかくレトロな格ゲーキャラだと素手が多いからなぁ
ガンダールブ設定が死んでしまう
"気"を使う格闘家連中だと遍在か本体かを見切れそうだな
SNK武器格闘風雲拳がアップをはじめました
>>341 一応、ブーメランは念動というか念力で戻ってくる設定らしいから
デルフをブン投げても戻ってくるんで問題ないねw
……超必殺技にブーメランが三つに分身するのがあるけど、あれやるとデルフが三つに分身するかもwww
デルフリンガーと空手を組み合わせたまったく新しい拳法を開発するんですね
>>339 実は手甲とかナックルダスターだったりするらしいよ!
それも付けなそうだよな・・・指輪とかブレスレット?
移し替えが可能なんだから、何代か前に移し替えられてたとか
なんなら初代からそういうスタイルでしたー!ってことにしてしまえばよいではないか、よいではないか
>>343 スナイパー空手ならぬ、ガンダールヴ空手!
SMKキャラだったらせんべえやら扇子やらでもガンダールヴ発動したりするのかな
ブーメランの風雲黙示録のハヤテでも呼ぶか?
>>339 奴らは全身武器だからなー
まあどうでも武器いるならバルログやバイソンならいけるじゃん
トゲ腕輪ありなら春麗も
ビリー・カーンでもいいけど
どれも嫌ならハカン呼べよ、あいつ油武器だろw
くにおくんのアレは武器扱いか否か
サイトはただの棒切れじゃ発動しないから今一わからん
バキのガイアなら水でも砂でも武器に出来る!とか言うだろうけどそれでルーンが発動するとは思えんし
>>343 ボクシングと剣術を組み合わせたまったく新しい格闘技とか言うのがあるんだ、でルフを使った格闘術なんて余裕
>>343
刀語から変態刀奪取された侍系でも召喚しちゃえYO!
無茶か。たぶん書きづらい。
よし、ぶりぶりざえもんなら侍だからデルフもってても大丈夫だ!?
ぜんまい侍ならどうか?
マイナーだけど、ガンズ&ブレイズの佐々木清四郎を本編終了後から
あるいは北海道を逃げ回ってるときに早川伝次と一緒に喚ぶか
>>355 伝説の殺し屋(ガンズ&ローゼス)を召喚とな!
SNK格ゲーキャラは剣使えるやつらいくらでもいるじゃん。サムスピや月華があるんだし。
覇王丸や牙神幻十郎、楓や高嶺響なんか召喚したら面白そうだ。
>>356 「伝説の殺し屋」と聞いて藤沢真吾くらいしか思い浮かばん俺は弱者。
殺し屋さんはもう呼ばれてたな
>>357 響かー。人斬りED後だったらギーシュが大変な事になるな。幻の字も色んな意味でヤバイw
ウォルフガング・クラウザー召喚が見たい
餓狼2のカイザーウェイブ連打は鬼だった
>351
チェスとボクシングを組み合わせた、新感覚格闘技か。
どこの『らんま1/2』だよ。
>356
たぶん厨房を乗っ取るぞ。
そして、デルフがバラにされ、破壊の杖は歩き出す。
格ゲーはにわかにはストーリーがわからんから読むほうが楽しくないと思う
>>363 >厨房を乗っ取る
この一言でエルザム兄さん(レーツェル)召喚なんて思い浮かんだ。
本筋そっちのけでマルトーと料理談義してそうな予感がw
某ラノベの目つき悪いけど家庭的な主人公召喚したらマルトーとの勝負こそが本筋になりそう、というかルイズ、キュルケとの関係性がまんま大河、亜美ちゃんとの関係性に……
>365
エルザム兄さんなら大当たりだな。
強くて格好良くてルイズを蔑ろにせずレディとして扱う。
奥さんの事を忘れてないからキュルケに靡かず、ギーシュはともかくフーケを味方につけられるかもしれない。
ルイズがルイズを召喚!ってのはダメカナ?
既に小ネタであったよーな……
>>363 チェスボクシングはリアルでやってたみたいだぞw
>>363 学院にふらりと現れたポニーテールの謎のおっさん
彼はマルトーの勧めでコックとして過ごす事に
月日は流れ、学院を占拠しにメンヌヴィルらが攻め込む
買い出しに出ていたおっさんは難を逃れるが、学院の人々は捕まったまま
そしておっさんーースティーブン・セガールの戦いは始まる
木曜洋画劇場『沈黙のハルケギニア』
まで幻視した
374 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/08(火) 02:53:22 ID:X+JJBf37
アニメ版のミスター味っ子を召喚したら
最終回は陽一の作ったトンカツを食べて涙を流すジョセフな所までは妄想した。
ゾイド召喚だと妄想ではジョセフが
「地獄を見たいのだ!」とか言ってデスザウラーを暴走。
コッパゲさんはゲルマニアに逃げてウルトラザウルスを起動。
塩コーヒーを飲まされる学園長。
ジョセフじゃなくてジョゼフな
まとめwiki繋がらない……
とりあえず今は繋がるみたいよ
>>373 誕生日ケーキの中から出てくるキュルケを幻視した
神の左手草薙京 勇猛果敢な祓う者
神の右手が京-1 勇猛果敢な祓う者
神の頭脳が京-2 勇猛果敢な祓う者
そして最後にもう一人 (著作権的に)記す事すら憚られるK9999
てつおおおおおおお!!!!
>>378 四分の三が祓う者ってバランス悪すぎるわwww
あとKUSANAGIとK'を忘れないであげて…
>>360 虎狼死家左々右エ門を召喚ですと?
…ルイズが対応間違えたら王都楼の最期みたいになりかねんな。
ルイズってほんとよくぶっ殺されたりフルボッコされたりしないよな、あの対応で
初日でパンツ下ろして履かせようとする所で
普通レイプだろ
>>382 そりゃあねえ。あの態度もコンプレックスの表れかと思うと、見てる分には分からなくもないが。
それでも人間扱いしていないというのは文字通りに致命的だわ。
たった今妄想の出力を試みてはいるが、相方の物騒さもあってどうにも「綺麗」になっちまう。
ファントムキラーあたり喚んだ日には、ハルケギニア終了のお知らせだな。
だからそういう事する人はサモンサーバントで弾かれるんでしょなにをいまさらって感じだな
呼ばれた側も大半は元のキャラではありえないほど
性格改変されちまうサモンサーバント恐るべし
>>385 召喚された直後において、
どんな状況に置かれてどれだけ言い争いになっても女子供には手を上げたりしない人間か、
ルイズ程度がギャーギャー言っても「あー、ガキが何かうるせーなー、それよりこれからどうすっかなー」的なある意味で大物な人間、
ルイズを完全に無視するような人間、
理性的に話を進めてルイズをなだめる人間、
従順にルイズに従って取りあえず満足させる人間などに限られるってことか。
ドMが抜けてんぞ
じゃあエースキラーでも喚んでみっか?
音声コントロール式だから役に立つと思うぞ
ザ・パシフィックのバシローンを召喚
その日からオレにヘンなアダ名がついた
コルベールさんも聞いたことあるかもしれませんね…
メイジキラー南
>>387 全国の女子高生のみなさーんってよく言ってるやつは?
>391
南をカンすると必ずあがる玄人の使い魔か。
南・・・宇宙の騎士、増長天、サスページ・・・
サスページはちょうどいいかもしれんなぁ
燃え尽きる前に召喚されたとかで
コンプレックスやらを良い方向で活力に変えられたら化ける可能性が・・・
・・・無理だよなぁ、ちょっと性根がなぁ・・・
元貧民の苦労人がまたどん底に落とされて、原作の敗北を実感した失意から
シエスタや食堂と関わっていくうちに綺麗に・・・やっぱ無理だ
確実なのはルイズとはどう足掻いても良好な関係だけは築けそうに無いくらいだわ
サモンサーバント自体に洗脳的な効果とかってないんだっけ
それともその辺の設定は不明で二次作者の裁量次第なんだったか
>>395 無いよ。せいぜいホームシックを抑えるくらいみたい。
もしかするとそれもルーン関係なくて、才人の防衛本能によるものかもしれんがね。
設定をいくらでも拡大解釈できるのがゼロ魔のいいところ
大隆起でふと、暗黒星団帝国がハルケギニアの風石を採掘しに来るって話作れないかな
398 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/08(火) 20:15:04 ID:fuixfOwB
悪役が召喚されて穏やかな人物に変わるパターンがある。
FF5のエクスデス召喚作品があると聞いたときは
世界崩壊フラグかと思ったが、決闘のあとギーシュに説教をして
ケティとモンモランシーに謝っておくように言ってたな。
メイジの遺伝子をデータ化すれば魔法の力を得られる
エクスデスはDFFですっかり先生になっちゃったからなぁ
聖樹のエクスデスは出自を忘れるくらい穏やかだけど
一方で力が衰えても暴君なマティウス皇帝の続きが読みてぇ
確率的にヤバイことになってるギーシュどうなる
幻獣とかなら洗脳効果あるんでないの?
フリーマンを召喚…ごめんなさいキュルケにエレクチオンって言わせたいだけです
え、ルイズ達をハルケ製テッカマンにする為に研究漬けになるチーフがどうかしたって?
サルゲッチュを召喚、契約のために網持って駆けずり回るルイズ
大森のフサさんがハルケギニアに降りたったらどうなるのか見てみたいような見たくないような……
>>401 タバサの冒険だとシルフィード召喚時は本人(本竜?)の意思でゲートに飛び込むか否かの選択が与えられる。
キュルケのサラマンダー曰く、「野生で暮らすよりずっと楽な生活ができるらしい」とか言ってた。
本気で記憶改竄の効果でもないとでて来ない発言だし、たかがドットなギーシュがモグラと仲がいいのを見ると、
相性説が妥当だとは思う。流石に土のドットメイジに水のギアスレベルの洗脳魔法の効果を発揮させるのはむりっしょ。
逆に呼び出したメイジの方に洗脳効果があったりしてw
ナポレオン召喚
ここでトムとジェリーからトムを
切り刻まれても爆発しても踏み潰されても焼き尽くされてもなぜか復活して戦いへ
最強の使い魔ということで
アメコミ、クトゥルー神話、永遠神剣、カオスフレア
から使い魔召喚
多重クロスで全ジャンル最強の使い魔とか
>>397 そんな石ころのようなエクスプロージョンが
この自動惑星ゴルバに効くとでも
思ったか。
(by中田浩二)
エクスプロージョン・・・ギャラクシアンエクスプロージョン!
銀河を砕く聖闘士はサガ・カノン・デフテロス・アスプロスの誰を召還しても酷い事になりそうだなぁ
ていうか自力で帰りかねん
413 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/09(水) 09:42:29 ID:rMbX5+9l
手をかざせばあらゆる病を治療させる山村貞子
問題なければ11時頃に小ネタ
「魔法の国、向日葵の少女」
を投下したいがよろしいか?
他に予告はないしOKだとおもいます
>415thx では投下を開始します。
今、一瞬だが確かに見えた。煙の中に何かの影。それはつまり、その中に何かがいるという事。すなわち…
「やっと、やっと成功したわ!」
歓喜を爆発させ、ルイズが叫ぶ。失敗し続ける事…えー何回だ?まぁとにかく3桁突破してしばらくたってようやく成功したのだ。
カウンターがあれば255でストップしているところである。いやはや全く無理も無い話しである。というか延期させろコルベール。
期待と不安をない交ぜにした目でルイズは未だ煙に包まれた、自分の使い魔が召喚されたであろう一点を見つめる。
やがて、うっすらと煙が薄れてゆき、それがだんだん姿を現す。
およそ1リートだろうか?すらりと直線的に伸びたその姿はすごく健康的で、鮮やかな緑に目が奪われる。
そしてその頂上にある黄色くて丸い、まるでとても美しい向日葵のような…
ような…
「え?」
というか、とても美しい向日葵そのものだった。
「ちょ、ちょっと待ってください。やり直しでしょうコレ!植物が使い魔なんてありえないわ!」
途端に爆笑が巻き起こる。美少女に花は黄金の組み合わせだが、
その花が使い魔です、ではジョークにさえなっていない。だいたい、花に何が出来るというのだ。
「待ちたまえミス・ヴァリエール。せっかく召喚したんだ。…えーと…その」
そこでコルベールは言葉に詰まった。正直再召喚は不可だと告げるべきなのだが、さすがに植物を使い魔にさせるのは躊躇われた。
迷った挙句、コルベールの発した言葉は
「…せめてじっくり観察してからでも」
何の解決にもなってなかった。
「いくら観察したって向日葵は向日葵です!それとも観察日記でもつけろって言うんですか!
やり直しよやり直し。こんな花なんて引っこ抜いてやるんだから!」
屈辱と怒りで顔を真っ赤にしてルイズが花を引っこ抜こうと歩み寄る。
だが、その歩みは途中で止まる。
ルイズは気付いた。その向日葵の花に顔があることに。もっとも、幼児が落書きしたようなシンプル極まりない顔。
え、何よコレ。なんで顔なんか描かれてるのよ。もしかして造花?植物ですらなく造花?それって最悪じゃない?
っていうかコレってどこぞで「あらあら おやおや それからどんどこしょー」とか謎のスペルを唱えてない?
ああ畜生、自分でも何がなんだか。
だが、ルイズが呆然としていられたのはわずかな時間であった。
身に迫った危険を敏感に察したか、向日葵が激しくその体を振りだしたのだ。まるでダンスをするかのように。
「えええー!?」
断じて風のせいではない、その不思議な動きが止んだ瞬間。
呆然としていたルイズの足元から、どんな原理か無数の向日葵が一瞬にして生えてきて。
ルイズはそれに派手に吹っ飛ばされた。
「ひ っ さ つ の い ち げ き 」
地面に強かに叩きつけられたルイズは、意識を失う直前何故か脳裏にそんな言葉が浮かんだのであった。
「…というわけで、ただの向日葵ではないのは最早明白ですし、これがミス・ヴァリエールの使い魔で決定です」
吹っ飛ばされた痛みやらやるせなさやらその他諸々で涙目のルイズにコルベールは無情に告げる。
ルイズは心底嫌だったが、そう言われては他に選択肢など無い。恨みの篭った目でコルベールをしばし見つめると、
諦めの溜息を一つ付き、コントラクト・サーヴァントをするべく向日葵に向かった。
また吹っ飛ばされてはたまらないので、両手を広げ敵意が無い事を示しながら、ゆっくり、ゆっくりと近づく。
その光景は傍から見ればすごく間抜けに見えただろう事は全力で無視した。
そしてルイズは、向日葵にたどり着く。
どう見ても落書きのようにしか見えない顔だ。なんでこんなのと…と際限なく落ち込みそうになるが、
いや、そんな事を考えている場合ではない、と無理やり自分を奮い立たせ、あるいは騙して。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
首をかしげている様に見えるその向日葵に、口付けを果たした
向日葵が、悶えていた。ルーンが刻まれる激痛にのた打ち回っているせい……なのだろう、多分。
頭…というか花の部分を葉で押えた向日葵が地面を無言で(そりゃそうなんだが)のた打ち回るのはあまりにシュールな光景であった。
「植物にも痛覚ってあるのねぇ…」
あまりにあまりな出来事が続きすぎて、ズレた感慨しか抱けないルイズであった。
「あ。終わったのね。えーと、理解しているかどうかすっごく怪しいんだけど。
これでアンタはあたしの使い魔になったの。使い魔になったからにはきっちり言うことを聞いて…」
投げやりに説明していたルイズは、ふと不穏な気配を感じ、口を閉じた。向日葵がこっちを見ているのだ。
それもただ見ているだけじゃなく、ある種の力を込めて視線を投げつけている…
人間で例えるなら「涙目でこっちを睨んでいる」といった感じだ。
ゴクリ。無意識の内に喉が鳴った。勿論、脳裏にはさっきの見事なKOが再生されている。
…えと、これはカナリ危ない状況なんじゃないんでしょうかってか助けてミスタ・コルベール?
救いを求めコルベールを見る。コルベールは海よりも深い愛情と同情の念を目に湛え。
合掌していた。
……
\(^o^)/
次の瞬間。凄まじい勢いでジャンプした向日葵のヘッドバッド(?)を見事に鳩尾に喰らったルイズは、
綺麗な放物線を描きながら学園の屋根近くまで打ち上げられ、そして物理法則に従い地面に落下した。
彼(彼女?)の名はサンフラワー。もといた世界では見た目に反してドラゴンより上位の最強の魔獣の一角だったのだが…
そんなことを知らないのがルイズの不幸だった。
以上です。多分続かない。
いや、ルイズが起きたらなぜかグラサンかけて水着姿で日光浴してるサンフラワーがいてルイズさんマジ偏頭痛とか
植木鉢に収まったサンフラワー抱えてあちこち移動したりしたもんだからいつのまにか「植木鉢のルイズ」とか名づけられてマジ涙目とか考えたりはしたんですが。
というわけでGBの「リトルマスター2」よりサンフラワー召喚でした。
見た目ヒマワリ。でも最強ランクの魔獣。おまけに必殺の一撃(即死攻撃)を出しまくるといういろいろな意味でとんでもないキャラです
オマケ
「へー、あんたそんなんでも魔王の討伐に参加してたんだ。え、仲間にはマンボウもいたって?
マンボウがどうやって戦う…え、口から光線出したり空飛んで体当たりする?
つくづくあんたの世界ってどうなってんのよ」
「…オーディアストライデント?」
それは違う世界だ。
乙でした〜
サンフラワーでsaga2の方を思い出したのは俺だけでいい。
いやコッチもそこそこ以上に強いんですけどね。
乙。
タンポポは熊をも一撃で仕止める猛獣だっけ。
乙
誰かゴッドイーターからソーマ・シックザール召喚とか書かないかなー)チラッ
ふと、始祖の囁きが聞こえた。
『ゼロの使いマ』
ワカメみたいな髪の毛をした、壷をこよなく愛するあの男が!
「ふ、ギーシュ君。
私はこの世界に召喚される直前、“白い悪魔”と戦っていたのだ。
それと比べたら君の人形遊びなど恐れるに足りないのだよ」
「ワルド君、目をさまし給え。
君のような高潔で有能な人物が後三人いれば、トリステインは後十年は戦える」
見た目に反して実は鬼畜な強さを持つ存在と言えば・・・・・・・どこぞのゲートに居るハムスターとか?
>425
そんなアインヘリアルを持ち出さなくても、エターナル時空盗賊で十分だ。
「チューチュッチュッチュ!
オイラにホレちゃいけないっチュよ」
>>423 ロリコンぽいからね、彼
まぁ色々考えていても仕組み上アラガミ以外食っても意味無さそうだし
逆に神機のオラクルが原因でハルケギニアにアラガミ発生するんちゃうかとか
色々考えると長く続ける内容は厳しそうだ・・・
>>425 ニョロリン(勇者カタストロフ)
出来損ないのオバQのような姿で豪腕の怪物
カタストロフでもクライシスでも基本的にズックはこいつに痛い目に合わされていたか
サンフラワーと聞いて史上最強の0歳児を召喚とか思いついた
ゼロと0歳児
ルイズが召喚したのは生後まもない女の赤ん坊であった。
はじめは皆かわいいということではしゃいでいたのであるが、この子がとんでもない嵐を呼ぶ乳児だと知るのはすぐであった。
今日もまたルイズの部屋で。
「エッヘッヘッ」
「こらーひまわり! あたしの宝石を持っていくんじゃないの!」
「タタタタタ」
「まちなさーい! あっ、きゃーっ!」
ドガンッ!(ルイズが壁にめり込む音)
食堂に来れば。
「あらギーシュ」
「ほう、これが君の使い魔か。赤ん坊を召喚するとはさすがゼロのルイズ」
「けっ(ギーシュの顔を見て吐き捨てる音)」
「なっ、なななな!!」
また、アルビオン。
「イヘヘヘヘ」
「ねえひまわりくん、そろそろ離してくれないかな。ぼくは皇太子として戦場にいかねばならないのだが」
「こらひまわり! ウェールズさまから離れなさーい」
「たーい、たーい!(もちろんてこでも動かない)」
そして春日部では暗黒タマタマのノリでひまわり奪還大作戦がはじまっていたとさ。
クレヨンしんちゃんから野原ひまわりを召喚
>>426 ヴァーハナである彼の寿命は後1年ぐらいしか無いのが問題であろうか
>429
「チューチュッチュッ!
エターナル時空盗賊であるオイラの主観的時間軸の前では、ルイズとの出会いもまた一炊の夢に過ぎないんでチュ!」
ミーニア「大丈夫です!ルイズさんもクエスターになって、一緒に旅立てばいいんですよ!」
月島沙織「そうですね、同じ立場になれば、何とかついていけるかもしれませんよ」
ルイズ「ちょっ!
なんでアタシがこんな変なネズミと仲良くしなきゃっ!」
431 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/09(水) 21:02:22 ID:ognF2egs
ISの織斑一夏を召還したらどうなるだろう
おるちゅばんエビちゅが喚ばれ
オスマンとともに卑猥帝国へ突入する魔法学院…
チュー……
ゼノギアスからチュッチュ召喚。
初戦のギーシュは謎の液体まみれにでもなるかな?
でっかくなったらレコンキスタ一掃だなまじで。
そういやチュチュって呪術めいた力が使えたような
エーテルの一種なのか原生生物の力なのか分からんが
Wizardryのヴォーパルバニーを召喚したら間違い無く首チョンパ
>>補給とか整備を原作で必要としてるからにはメンテフリーってわけじゃないんだろうからあんま向いてないんじゃねーの?
「ウ、ウサギがワルキューレの首を刎ねた?!」ですね。
ギーシュ死ぬぞ。
ウサギ繋がりでMS旋律の連鎖の悪臭バニーは勘弁な。
あれは麻痺ガス攻撃がウザくてウザくて堪らん。対策しないとすぐ全滅する。
438 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/09(水) 23:06:27 ID:IgAlovlI
首を刎ねるウサギっていうと、モンティーパイソンしか思いつかない。
ホーリーグレネードで吹っ飛ばされたやつな。
ウサギのせいで異世界ツアー中のコブラがハルケギニアに
>438
ウィズのは、モンティパイソンのパロディだよ。
わたしはまっていたぞ。汝こそまことの勇者である。
そして、 勇者こそが魔王の贄にふさわしい
ウサギ……
ウサビッチのキレネンコとか?
バニーガールコスのゼシカとかか
G.T.喚ぼうぜ
ドラクエVの女戦士とか人気あるか、と思ったが名前自分でつけるキャラは難しいな
アレンとかリュカとか小説で名前があるのはいいんだが
キャラメイク系のキャラはどーしてもオリキャラになっちゃうからな
スーファミ時代のセリフが殆ど無い類のRPG主人公もキツいと思う
『ポートピア連続殺人事件』とか思ったが、ネタばれになるからだめか。
ウサギさんといえばPS全盛期作品のロビットさんだな。メカだけど人参食えば回復するし
後はアップルシードのブリオレアスとかか
2からヴァージアハピ呼ぼうぜ
どんな敵も屁を撒き散らして戦意を奪い自慢の拳で殴り倒すあかうさぎか
唯一の問題はストレス溜めるとビックリするほど早死にする所だな
ルイズは溺愛しそうだけど
ウサギなら、満月超獣ルナチクスがおる
やつなら地下の風石採掘も楽々だから大隆起も回避できるぜ
>>449 あれはただのパワードスーツで中の人はごく普通の宇宙市役所職員だぞw
>>446 小説版やCDシアター版の名前とキャラを使えば問題有るまい。キャラクターの半オリキャラ化も防げる。
会話の流れをぶった切るようで申し訳ありません
手札0の使い魔の者です
ただいまPCの事情により投下できません
誰も待ってはいないと思いますが
一週間以内には投下できる目途が立ちましたので
とりあえず生存報告
>>453 そういやそうだったか…。
なんかパイロットなしで瞬きしたり表情が変わってたりした記憶があったから割とルイズでも乗れると思っていた。サポートAIもついてるし
エクスプロージョンで思い出した、RAVEから誰か召喚されないかな
最近のアニメだと呼ばれたら面白そうなの……
よし、ゾンビか魔装少女でも呼ぼうぜ。あれなら狂言回しにだってなれる。
>>459 チェーンソー持って暴れるジョゼフを幻視した
>>458 ジーク召喚したら面白そうだな
チートものになっちゃうだろうけど
ARMSの人もう来ないんかねえ
せめてテキストだけでも欲しいものだけど
>>461 羽まき散らして「降臨、満を持して……」と出てくるんだな
ジーク、××と仲良くしてやってね。
さて、××には誰を入れるべきか。
雪を見て思いついた、氷雪系最強を呼んでやろうぜ
なんか色々と可哀想だし、いっそのこと異世界にでも呼ばれちまった方がいいだろうw
ガンダールヴでパワーアップもできるしな!
ジーク、ジオン
リアルタイムではまってる作品とのクロスってすごい読みたくなるよね
ってんで探したけど駄作しかなくて涙目になったぜ
きまぐれオレンジロードから春日恭介召喚
超能力を使いまくれる世界が結構快感な彼
>468
春日恭二召喚なら既にあったんだが。
>>460 おいやめろ。魔装少女のフリフリな可愛い服装で戦うナイスミドルとか嫌過ぎるw
タバサの事情を知る → (可能なら)シャルルと話をさせてやる → ジョゼフとも話させる → やったねシロちゃん!
>>463 リュウタでも面白そうだな
基本スペックはタロスズで最強なのに
子供過ぎて負けることが多いけど
ルイズよりシエスタに懐きそうとか
お姉ちゃんぶるイルククゥとか想像した
ジークか
よし、ウルトラマンダイナを喚ぼう!
>>470 ならば魔法少女姿のボディービルダーはいかがかな?
つ「魔法少女 プリティ☆ベル」
このスレにはジャンプ成分が足りない
打ち切りならいっぱい…いや、エタるのは打ち切りとは言わないか
エタるは打ち切るというより・・・冨樫る?
ハニワ幻人め!死ねぇ!
>>476 ジャンプ系ねぇ。本誌じゃなくてスーパージャンプの方だけど「ゼロ」なんかどうだね。
ブリミルの謎とか解き明かしちゃいそうだ。
>>480 ルイズ達虚無関係者がいる前で本物の香炉とか祈祷書をぶち壊して
「本物は一つでいい」と立ち去る姿が真っ先に思い浮かぶのは何故だろうw
んでがっくりと膝をつく教皇と、ゼロに怒り狂うルイズ、
それを見て「やりおったわ!」と愉快げに笑うジョゼフと、ゼロの後姿を見て「…ありがとう、ゼロ。」と感謝するテファとかwww
機皇兵はたった3枚しかないのになんであんな効果が互いに矛盾し合ってるの
Oh・・・酷い誤爆した・・・
時戒神メタイオンを召喚。7万のアルビオン兵をすべて手札に戻す!
合計3500万のダメージですねわかります
>>481 「承知した─────ッ!」と「ウガァ─────ッ!」と「カヒッ!」と
「奴さえいなければ─────ッ」と「始祖ブリミルになりきれない─────ッ!」と
「ラ・ロシェール――ゼロの別邸――」が足りない。
>>486 台詞だけ見てたら、何故だかキン肉マンを思い出した。
何か物足りないと思ったらそれかw
ゼロ 「本物は一つでいい─────」
ルイズ 「ウガァ─────ッ!」
教皇 「奴さえいなければ─────ッ」
タイムウォーカーゼロから刹那零召喚
原作終了後なら影分身に加えてブラックホールが使える
・・・使いどころがねぇけどな、お約束のワルド処分くらいか
タイムテレポートは最後まで温存するべきか・・・
ちょっと練ってみるか
日之影先輩を召喚しても能力をオフにしない限り存在に気づず終わるか
アルカディアムーブメント時代のアキを召喚。
ブラックローズドラゴンで学院壊滅。
>>475 プリティベルは読みたいな
ギーシュ戦で生徒全員が踊り出すとか楽しそう
悪魔将軍召喚とか・・・・・・
見せしめに九所封じからの断頭台にかけられるギーシュ。
見せしめなら召喚直後に喚いてるルイズか、場を仕切ってるコルベール
能力の高いタバサやキュルケじゃねえの?
ルイズ以上につるぺったんで、巨乳にコンプレックスを持ってるキャラって召喚されたことあったっけ?
>>495 小ネタで巨乳ハンターこと恭塚まさ子が召喚されてたぞ
つるぺたなルイズと相性よさそうなの…
ディスガイアからラハール殿下でも召喚しよう。
キュルケの夜這いイベントで大暴れしてくれるw
ゲートキーパーズ21から幽霊少女を召喚
幽霊少女の手によって次々とインベーダー化していく傲慢で我侭な貴族達
そしてジョゼフが悪魔伯爵、教皇が機械将軍を呼び出して更にエライ事に・・・
え?ティファ?死神紳士を呼ぶに決まってるじゃないですか。もしくは無限魔獣
ジャンプネタ…
打ち切り…
以上の事から黒岩よしひろ先生を思い出したぞ。
ちょっと前のウサギネタに絡めるなら変幻戦忍アスカのヴァニテクターだな。
古いネタですまん!
ルイズ「上等よ…私も一ついっておくことがあるわ。この私に嫁き遅れた姉がいるような気がしていたが、別にそんなことはなかったわ!」
ジョゼフ「そうか」
それはエレ姉さんをいなかったことにしてるのか、それとも既に結婚済みという意味なのか
QB「さあルイズ、はやく魔法少女の契約を」
ドヒャァ ドヒャァ
>>494 生まれついての噛ませ犬の彼がそんなおいしい状況を逃すわけがないじゃないか
>>504 >生まれついての噛ませ犬の彼
ウオーズマンの悪口を言うな!
ウギャアはないよなぁ・・・
2世とは別の未来では、バトルマンと名乗る飲んだくれに落ちぶれたりな
そういやザ・ニンジャも結構アレだよね。強キャラとして認知されてるけど、連載で見られた戦績は3戦3KO(死亡)という
ザ・ニンジャは好きだけどあいつ実は弱いぞ。
2世でもボコボコだしなw
ブロッケンJrに負けたってのも…
お前な・・・・・・ザ・ニンジャは相手が悪いんだよ。
ブロッケンはなんだかんだで相当しぶといし、結構勝ちを拾ってるからな。
サタンクロスは続くアシュラマンも、過去の件があるとはいえ引き分けだし、スグルも相当苦戦した難敵だぞ。
これはザ・ニンジャを使い魔にして彼を活躍救済させる流れ
「グオゴゴゴ」
「ギャアー」
キャプテン・トラウマ(上野顕太郎)を召喚して、
臨時小説を読んでいる間に対7万戦を解決…などと妄想してみたが、
ウエケンばりの実験小説を連載できる人がいたらある意味天才だな。
>>509 >ブロッケンはなんだかんだで相当しぶといし
そんな彼の戦績
VSウォッチマン:勝ち
VSラーメンマン:負け
VSミスターカーメン:実質負け(一応試合上では勝ってるけど、ラーメンマンに助けられなきゃ死んでた)
VSザ・ニンジャ:実質引き分け(運の悪かったニンジャがジャンクマンの針に突き刺さった)
VSスクリューキッド&ケンダマン(タッグ戦):負け(乱入されて瞬殺)
VS王位争奪編3人タッグ:実質引き分け(プリズマンをKOするも、自身も蓄積されたダメージで倒れる)
すげぇぜ、ブロッケンJr!!
び、微妙だ
ラーメンマンは親父でも勝てなかった相手。
ラーメンにされて、食われなかっただけマシ。
カーメンは悪魔超人の中でも技巧派で、他の悪魔超人の練習相手も務められる実力者。
そいつ相手に初見のミイラパッケージは、レフェリーを身代わりにして回避。
ザ・ニンジャはほぼ一方的な試合で、見よう見まねで順逆自在の術を使う。
ほぼ負けてる状態から、相手は死亡、自分は生き残るところまで持っていく。
超人トーナメントのあれは、バッファローマン、モンゴルマンのタッグでも苦戦した相手。
他にもいる完璧超人の中から、あいつらが来たということは、あれでも2人は完璧超人の上位陣と思われる。
王位争奪編のプリズマンは、超人相手に特効のカピラリア七光線を操るチートキャラ。
超人の力を捨てて人間になって食い下がる。どう考えても普通負ける。
そこからプリズマンを道連れにするところまで持っていく・・・・・・
正直、ほぼ負けてるところから命捨てても向かってきて勝ちに来るやつ。
戦いたくねえよ、こんなやつ。
ブロッケン本人も、自分はほかのアイドル超人と違って
地味な活躍しかしてないて言ってるけど
相手が悪いとしかいえないな。
ロビンマスクがキン肉マンに続いて
勝ち星が多いな
ロビンが実力で負けたのが、ネプチュームマンぐらいだし。
>>516 ネプの正体探しに夢中になった結果勝負を忘れてしまって敗北。
ロビンが負けた、アトランティスとネプはどっちも勝負よりも
余計なことに気を取られてる。
ロビン戦法とかいって、いちいち説教する割には自分の詰めは
甘い男だ。
やはり投げや関節技系のフィニッシュホールドを持ってないのが不運か。
赤ぃ雨以外の必殺技と言っても、ラーメンマンへの意趣返しに覚えたキャメルクラッチか、
存在が無かったことにされたハンブルクの黒い霧(蹴り技)ぐらいだしなあ……
>>517 余計なことって・・・・・・酷いな、アトランティス戦はミート君のパーツが砂の底に埋まる瀬戸際だったんだぞ。
>>518 プリズマン戦のブレーメンサンセット(アニメ版だとフランケンシュタイナー)を忘れてやるなよ。
皆さんこんにちは、先週は失礼いたしました。今週は問題なく時間がとれましたので投下を開始します。
他の方の予定と被らなければ、10分おいて17:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
待ってました!事前支援!
第三十一話
伝説の力
幽霊船怪獣 ゾンバイユ 登場!
ルイズは悪夢の中にいるような思いを味わっていた。才人が、自分の手の中で物言わぬ姿になって横たわっている。
あのとき……彗星怪獣ドラコから身を挺して自分を救い、命を落としたときと同じ……
もう二度と見たくない……もう二度と、味わいたくないと思っていたのに。
「起きなさい! 起きなさいよ! こら! あんたがいなくてわたしにどうしろってのよ。わたしを、わたしを
また置いて一人でかっこつけてるんじゃないわよ! 起きなさい、このバカ犬ーっ!」
ルイズは力いっぱい才人を頬を張り、あらん限りの声で揺り起こそうとしても、才人の目が開かれることはなかった。
しかし、絶望に沈むルイズをあざ笑うかのように、怪獣ゾンバイユはさらなる食料となる魂を求めて迫ってくる。
「ルイズ! 逃げてーっ!」
空の上から、自分の名を呼ぶキュルケの声も今のルイズには届かない。才人が倒れたということが、
完全にルイズから冷静さを奪っていた。自分の命が危機にさらされているという実感も、今のルイズにはなかった。
「サイト、起きてよ。あんたはわたしを救えてそれでいいかもしれないけど、残ったわたしはどうすれば
いいのよ……わたしはあんたが好きだって言ったでしょう。知ってるくせに、ばか……」
つぶやく声もだんだん細くなり、激情も冷たい悲しみへと変わっていく。
まるで、体の半分を突然失ったような、そんな喪失感が心を覆って、外の世界のことがすべてどうでも
よくなって感じられる。このまま眠ってしまいたい……才人と同じところに行けば、会えるのかな。
だが、ルイズまでも犠牲になっては才人の意思が無駄になってしまう。動かないでいるルイズへ、
キュルケはせめてルイズだけでも拾い上げようとタバサに頼んだ。
「ルイズ! タバサ、早く」
「だめ、間に合わない」
怪獣の視線はまっすぐルイズを睨んでいる。今、降りていったら自分たちも巻き込まれると、タバサは
シルフィードを上昇させた。
「タバサ! あなた」
「……」
ルイズを見捨てるつもりかと、キュルケはタバサに詰め寄った。だが、唇を噛んでいるタバサを見て
黙らざるを得なかった。友達を見捨てるなんて、気楽にできるわけがない。でも、花壇騎士として
鍛え上げたタバサの冷静な意思が、残酷な選択を彼女に強制していた。
ゾンバイユは、目の前で動かないでいる絶好の獲物へ向かって狙いを定める。このまま、ルイズまでも
あの怪光線の餌食となってしまうのか、タバサとキュルケが、思わず目を閉じかけた……そのとき!
「シュワッ!」
突如、流星のように飛び込んできた青い光がゾンバイユを横合いから弾き飛ばした。その光は、
ゾンバイユが渓谷を転がり落ちていくのを見下ろし、世界樹の傍らに降り立った。
「くっ……遅かったか」
「ウルトラマン……ヒカリ!」
ルイズは、目の前に自分たちを守るように現れたヒカリの姿に思わず叫んだ。
現れた青い巨人、ウルトラマンヒカリは構えをとり、怪獣からの反撃に備える姿勢をとりつつルイズたちを見返した。
ルイズの腕の中で才人は血色を失った体になり、学院の生徒たちも皆同じように倒れている。死屍累々、
むごたらしい惨状に、ヒカリは自らのうかつさを悔いた。
「すまん、俺がもっと早くここが襲われる可能性が高いことに気づいていれば」
水の精霊から、この世界の陰で暗躍している謎の存在のことを聞かされてから、セリザワはずっと
そいつが動き出す気配がないかを探り続けてきた。アンドバリの指輪を水の精霊から強奪した者たち、
時期から考えるとヤプールとは恐らく無関係であろう。しかし、かつてこの星を一度滅亡させたという
シャイターンと同じ気配を持つ者によって所有されているとなれば、何が起こるかはわからない。
セリザワはハルケギニアを歩き回り、怪獣や宇宙人の動静を探り、攻撃の兆候がないかを調べ続けた。
そして、先日ガリアに立ち寄ったおりのことだった。空を不気味な光を放つ船が、トリステインの方向へ
飛んでいったという話を聞き、もしやと思って飛び去った方角を追って来てみれば……まさか、こんな能力を
持った怪獣が現れるとは! ヒカリ・セリザワも初めて見る怪獣の攻撃には正直に驚いていた。GUYSの
アーカイブドキュメントにも記録のない、まったく未知の怪獣……いったいほかにどんな能力を持っているのか、
想像もできない。
だが、相手の正体がなんであれ、人々の平和を脅かす存在であることだけは間違いない。なぜ、どこから、
何者が送り込んできたのか? それを考えるのは後でよい。
この怪獣は、ここで倒す! ヒカリはそう決意し、構えをとって怪獣を牽制する。その隙に、タバサは
シルフィードを降下させてルイズと才人を拾い上げ、ヒカリの周りを旋回させた。
「ウルトラマン! サイトが、サイトが大変なの! わたし、わたし、どうしたらいいの!」
「才人くん……だめか、完全にエネルギーを抜かれてしまっている」
半泣きになっているルイズに、ヒカリは才人の様子を見ると落ち着くように語り掛けた。
「慌てるな。まだエネルギーを抜かれて時間は経っていない。奴を倒せば、エネルギーを吸われた人たちも
生き返れるかもしれん」
「そ、それは本当なの!」
「ああ、いくつか前例はある。可能性は充分ある」
それは嘘ではない。怪獣や星人に人間が異常状態にされた例としては、生物Xワイアール星人に植物人間に
された人々や、吹雪超獣フブギララに氷付けにされた人々、きのこ怪獣マシュラにきのこ人間にされた人々などが
記録されているが、どれも元凶となる怪獣が倒されるとともに正常に戻っている。
冷静さを取り戻したルイズは、精神を集中させて、自分たちの中にいるウルトラマンAへと呼びかけた。
〔エース……ホクトさん、聞こえる? 聞こえたら返事をして〕
〔ああ、大丈夫、聞こえているよ〕
〔よかった! ねえ、サイトは! サイトはどうなったんですか!?〕
〔あの怪獣によって、肉体から魂だけを吸い取られてしまったようだ。今の彼の体は、抜け殻の仮死状態と
いったところだろう。残念だが、これでは私も力を出すことはできない。だが心配はするな。ヒカリの言うとおり、
あの怪獣を倒せば、サイトくんや他の人たちもみんな助かるはずだ〕
一縷の希望を得たルイズはヒカリに向かって叫んだ。
「お願い! サイトを助けて」
「ああ! 君は彼を連れて下がっているんだ」
もとよりヒカリに異存があろうはずもない。それに、才人だけでなく、同じように魂を奪われた大勢の人々を
救うためにも、あの怪獣を倒さなければならない。
対して、ゾンバイユもヒカリを敵と認識して、ラ・ロシュールの渓谷から平地に出てヒカリを待ち構えている。
好都合だ、これで少なくともヒカリを狙っているうちは人々が危険にさらされることはない。それに、平地の
ほうが戦いやすいのはこっちも同じことだ。
支援
「いくぞ! 怪獣」
左手を前に出したゆるやかな構えから、ヒカリは怪獣に向かって駆け出した。
「デヤアッ!」
ヒカリの素早い動きを活かした速攻だ。助走して勢いをつけ、ジャンプして振り上げた手からチョップを
お見舞いしようと飛び掛る。ヒカリは元々科学者であり、ハンターナイト・ツルギだったころは、戦闘力が
不足しているのをアーブギアによって補っていたけれど、今では格闘技でも兄弟にひけはとらないのだ。
まるで、獲物に牙をむいて襲い掛かる狼のように、ヒカリの手刀がゾンバイユを襲う。
必中! 誰もがそう思った。しかし、ヒカリのチョップが命中する寸前、誰も予想だにしていなかったことが起きた。
「消えた!?」
突如、怪獣の姿が何の前触れもなく掻き消えて、ヒカリのチョップはむなしく空を切った。
これは!? だが、考える間もなく背後から聞こえてきた不気味な声に振り向いてみると、そこにはおどけるように
手足を揺らしている怪獣がいるではないか。
”この怪獣は、瞬間移動が使えるのか!?”
ヒカリの、その推測は誤っていなかった。空から、そして地上から、たった今起きたことを見守っていた
人々の目にも、チョップが当たる寸前にゾンバイユの姿が分解するように消滅し、次の瞬間にはヒカリの
背後に現れたように見えていたのだ。
”これは、厳しいかもしれないな……”
ヒカリは、再度構えを取り直しながら、早くも焦燥を感じ始めていた。
瞬間移動、いわゆるテレポーテーションはウルトラマンでさえ大幅にエネルギーを消耗し、場合によっては
寿命を削るとさえ言われている代物だ。しかし、それゆえに戦闘に応用できれば強力であり、かつて五代目
バルタン星人はこれでウルトラマン80を翻弄し、あの宇宙恐竜ゼットンもこれで初代ウルトラマンや
ウルトラマンメビウスをきりきり舞いさせている。
「強敵だな……しかし、打つ手がないわけではない!」
ヒカリはナイトブレスから光の長剣ナイトビームブレードを引き出すと、中段に構えてゾンバイユに切り込んだ。
むろん、正面からの馬鹿正直な攻撃をゾンバイユは恐れはせずに、青い単眼をいやらしく歪めて笑い声をあげる。
そして、切り込んだナイトビームブレードの切っ先がゾンバイユに触れようとした瞬間、またしても奴は全身を
分解するようにして消えてしまった。
「だが、同じ手は何度も通用しないぞ!」
ゾンバイユが消えた瞬間、ヒカリはそれを待っていた。間髪を入れず、ナイトビームブレードを後ろに向かって
振るい、半月状のエネルギーの刃を打ち出した。
『ブレードショット!』
振り返るまでも無く放たれた光刃は、まさにヒカリの背後で実体化しようとしていたゾンバイユに命中した。
単眼の左上部付近で爆発が起き、ゾンバイユはダメージを受けて慌て、うろたえる。奴にしてみれば、
攻撃をかわして死角に潜り込んだと思ったところへのダメージである、驚かないはずはない。
しかし、ヒカリからしてみたらたいして難しい問題ではない。本当に単純な話、敵が死角に入ってくるならば、
死角に向かって撃てば敵の方から当たりに来てくれるという、それだけなのだ。攻撃を当てられて
うろたえているゾンバイユに向かって、ヒカリはすかさず反撃に打って出た。
「テヤァッ!」
フットワークを活かして高速で怪獣の懐に飛び込み、ヒカリの攻撃が始まる。パンチが火花を散らし、
キックが怪獣の皮膚を削り取る。
”当たる。今ならいける!”
ゾンバイユはヒカリの攻撃を受けるだけで、先程までの人をこばかにした余裕は見せず、テレポートで
脱出することもしないでいる。恐らく、奴はテレポートで敵を翻弄する戦術を、うぬぼれに近いところまで
自信を持っていたのだろう。例えるなら、サッカーの試合ではるかにランクの低い相手に先制ゴールを
許してしまった強豪チームがそのままペースを乱して惨敗してしまうように、自信を崩してやったことが
動揺を生み、当たり前にできることもできなくしてしまっている。
ヒカリは、このチャンスを逃してはならぬと、パンチ、キック、チョップと怒涛のラッシュをかける。
だが、ヒカリとゾンバイユは人間と子牛くらいに体格に差がある。軽量級のヒカリの攻撃が、重量級の
怪獣に対してどこまで効果を発揮できるか、戦況はまだ予断を許さない。
その戦いを、トリステイン空軍艦隊と、戦艦『レゾリューション』号に乗ったウェールズ国王は息を呑んで見守っていた。
「ウルトラマン……あのときと同じように、我々のために戦ってくれるというのか」
それは半分当たり、半分外れていた。ウルトラマンは無条件に人間を守るような都合のいい神様ではない。
人の力ではどうしようもなくなったとき、失われてはいけないものが危機にさらされたとき、少しだけ手を貸してくれる、
本当にそれだけの存在なのだ。
ウェールズは、しばらくその戦いを呆けたように見つめていたが、部下から「艦砲の射撃準備完了しました」
と報告を受けると、ぐっとしてつぶやくように答えた。
「しばらく待機だ。今砲撃しては、ウルトラマンにも当たる危険が大きい」
以前アンリエッタは彼に告げた……ウルトラマンは人間の力ではどうしようもないときにだけ力を貸してくれるのだと。
けれど、それは裏を返せば、自分たち人間の非力を証明されているようなものだ。これだけの艦隊を有している
というのに、たった一匹の怪獣にすら手も足も出ないとは。
「王家は民を守るのが責務……口先ではそんなことを言っても、肝心なときには人任せにせざるを得ないとは、
情けない……」
自嘲を込めたウェールズの笑いが、『レゾリューション』の後甲板に流れて消えた。
しかし、直接怪獣に立ち向かう力はなくても自分たちなりに戦っている人は大勢いる。
「皆さん、今なら怪獣の気が逸れています。落ち着いて逃げてください」
「我々は非常事態に対応するための訓練を受けています。我々の指示に従えば助かります。皆さん、どうか
パニックにならないようお願いします!」
街の保安の任務についていた兵士たちは、必死になって逃げ惑う人々を秩序正しく避難させようとしていた。
その中には、アニエスやミシェルたち銃士隊も当然おり、衛士隊や他の街から集められてきた保安官など
いろいろいる。トリステインは、もはや特別なものではなくなってしまった市街地への突然の怪獣襲来
という事態が起きることを考慮し、備えていたのだ。
「隊長、北地区の隊員と連絡がとれません。西地区も、避難が完了したのか確認が」
「落ち着け! 戦場で連絡の不具合が起こるのはよくあることだ。三班は北地区へ、五班と六班は
商業地区の確認に向かえ。無人を確認したら打ち上げ花火で連絡、その後は、避難完了地区の閉鎖に
当たれ、引き返してくる奴らはどんな理由があろうと通すな!」
銃士隊ではアニエスが陣頭に立ち、避難誘導のための命令を次々に発していた。彼女たちは、
特にこうした経験が豊富なために中核として活躍している。中には、こうした華々しさとは無縁の仕事が
続くことに不満を持っている者もいるが、多くの者はこれまでの怪獣出現や、先日のアブドラールスの
トリスタニア襲撃で、自分たちの仕事がいかに重大であるというかを痛感していた。地球でも実際に
証明されているとおり、訓練を受けた人間が避難誘導をするのとしないのとでは生存率が大きく違ってくる。
彼らは、見るだけで肝が縮んでしまいそうな人の波に当たりながらも、必死で己の責務を果たそうとしていた。
武器なき戦いを続ける人々の、目に見えない功績によって、ラ・ロシュールは着実に無人に近づきつつある。
その光景をタバサとキュルケはシルフィードに乗って上空から暗然と見ていた。
「昨日までのにぎわいが、まるでうそみたいね……」
昨晩、タバサと連れ立って食べ歩いた店店も、男の子をひっかけて歩き回った歓楽街も、今は人っ子
一人いないゴーストタウンと化している。キュルケは、他国の姫君であるアンリエッタの結婚式には
それほどの興味関心を抱いていたわけではなかったが、思い人との婚礼……女の幸せをいきなり
踏みにじられる出来事が起きてしまったことには、内心で同情していた。
「ようし、タバサ! わたしたちも……?」
何かをやろうと言いかけたキュルケに、タバサは無言で首を横に振った。
今回は、自分たちにできることはない。戦うにせよ、人を逃がすにせよ、専門の訓練を受けた人たちが
すでに働いている以上、素人が顔を出しても邪魔にされるだけだ。
それに、今は意識不明の才人と、意気消沈しているルイズがいる。無茶はできないとうながすと、
キュルケも配慮が足りなかったことを素直に恥じた。
今やるべきことは、ルイズと才人を安全なところまで運ぶこと。ウルトラマンAになることのできる
二人に何かがあったら、ハルケギニアが危機にさらされる。シルフィードは狂乱する街と、戦いを
続けるウルトラマンたちに背を向けて飛ぶ。
だが、郊外を目指そうとしていたそのとき、シルフィードが地上を口先で射して叫んだ。
「お姉さま、あそこ、火の中に人がいるのね」
「えっ!」
驚いた二人は地上を見下ろした。怪獣の破壊活動で火災を起こしている街の中を、一人の法衣を着た
男が逃げ場を失って右往左往している。あのままでは火に巻かれてしまう。キュルケはタバサを見ると、
タバサはうなずいて、杖で降りろと命令した。
「わたしが炎を抑える」
「わかったわ」
二人には、それだけのやりとりで充分だった。タバサが風の魔法で、火災の上昇気流を抑えて
シルフィードの道を作り、地上スレスレまで降りたところでキュルケが『レビテーション』を使って男を
シルフィードの上まで引き上げた。
「あ、あなたがたは……?」
「はーい、ま、通りすがりの天女のご一行ってところかしら。飛ぶわよ、じっとしてなさいな」
呆然としている男に洒落た答えをしつつ、キュルケはタバサに目配せした。「飛んで」と短く告げると、
シルフィードは今度は上昇気流に乗って一気に上昇し、安全高度に到達した。
タバサは、シルフィードに急いで郊外へ向かうように伝える。人が大勢集まる予定だったので、万一に
備えて、あちこちに救護所が備えられており、そこでなら薬もあるだろう。その前に、応急手当として
ルイズとキュルケはハンカチを破って即席の包帯で、彼の傷を覆っていった。普段は男勝りな二人でも、
やはり女性らしい優しさが心の中には満ちている。止血をしながら、キュルケは男に話しかけた。
「ここはもう大丈夫だから心配しないでいいわよ。それにしても、なんであなたあんな危ないところに一人でいたの?」
「面目しだいも……私はこの式典の資材の運搬をまかされている者なのですが、アルビオンから預かった
積荷の中に、どうしても壊してはいけないものがありまして。仲間がすべてやられてしまい、私一人で行くしかありませんでした」
助け出した男は彼女たちに礼を言うと、大事そうに抱えていた包みを下ろした。
「助かりました。私はともかく、これをなくしてしまってはウェールズ陛下にも始祖ブリミルにも申し訳が立たないところでした」
「それは、もしやアルビオン王家の秘宝と言われる……」
「はい、風のルビーです」
包みの中から現れたのは、緑色の大きな宝石が埋め込まれた指輪であった。これは、ハルケギニアの
三つの王家と、ロマリアの法王庁に一つずつ伝わっている秘宝であり、始祖ブリミルより、それぞれの王家の
始祖と、ロマリアを開いたブリミルの弟子に与えられたと言われる。そして、この指輪には、トリステインには
”水”、アルビオンには”風”、ガリアには”土”、ロマリアには”火”というふうに、四色のルビーがはめ込まれて、
それぞれの王家の象徴ともなっているのだ。
「本当に、危ないところをお救いいただきありがとうございます。あの危機の中、貴女方はまさしく天使に
見えました。こうして命拾いできましたのも、神のお導きかと存じます」
「しゃべらないほうがいいわよ。ひどい怪我……安全なところまで連れて行ってあげるからおとなしくしていなさい」
「うう、ふがいない……申し訳ありませぬが、見れば、あなた方は身分卑しからざる方々とお見受けします。
どうか、わたくしめに代わりまして、この秘宝をお守りいただけぬでしょうか」
男はそのまま気を失った。
「どうする? ルイズ」
「わたしが預かっているわ。どうせ、始祖の祈祷書も守りきらなきゃいけないんだし、このくらいどってことないわよ」
キュルケは、まあそう言うだろうねとつぶやくと、「なくすと大変だから、身につけておいたほうがいいわよ」と忠告した。
ルイズは姫さまとウェールズさまのエンゲージリングを自分などが身につけてはと躊躇したが、ポケットに
入れておくよりは安全だろうなと、忠告に従うことにした。
「わたしの指には少し大きいかしら……あら?」
そのとき、ゆるかったリングが急に縮んでルイズの指に合ったサイズになったように思えた。しかし、
そんなことがあるはずないわねと切り捨てると、かすかに息をしている才人を、また心配そうに見下ろした。
才人は相変わらずぴくりともせずに、人形のように横たわっている。
「サイトの魂を、取り戻して……お願い」
ウルトラマンヒカリと怪獣ゾンバイユの戦いは、なおも熾烈さを加速度的に上げていっていた。
「トァッ!」
ヒカリの飛び蹴りを口元に受けたゾンバイユがのけぞる。重量級のゾンバイユに対して、ヒカリは
スピードから生まれる破壊力を活かし、連続攻撃でダメージを蓄積させる戦法をとっていた。
流れるような、息もつかせぬような攻撃が次々にきまる。しかしゾンバイユも、伊達に伝説の怪獣などと
呼ばれているわけではない。手数の多さに圧倒されているかに見えて、強固な外皮に覆われた体は
まだまだ余力を備えており、一時の動揺が収まると、また悪辣な頭脳を回転させ始める。
必殺の気合が込められたヒカリの正拳が、ゾンバイユの単眼に命中しかけた瞬間、再びテレポートして
消えてしまったのだ。
「姑息な真似を……なにっ!?」
奴が再出現したところをまた叩こうと、後ろを振り返ったヒカリは愕然とした。
怪獣は、確かにそこに実体化していた。ただし、信じられないことに一体ではなく複数いる。いや、そんな
生易しいものではなく、視界を埋め尽くすような大量のゾンバイユが右に左にとあふれかえっていたのだ。
「こいつ、分身まで使いこなせるのか!?」
平原をゾンバイユが埋め尽くす不気味この上ない光景を見渡しながら、ヒカリはどこから攻撃が
あってもいいように構えた。分身……有名どころでは宇宙忍者バルタン星人や、分身宇宙人ガッツ星人が
これを使いこなすことで知られ、特に後者はこれを狡猾に使いこなすことでウルトラセブンを倒している。
地味だが決してあなどれる能力ではないと、ヒカリは数十体のゾンバイユを前にして思った。
とにかく、どれが本物かわからないというのは始末が悪い。それはそうだ、簡単に本体を見破れるような
代物であったら使う意味は無い。どうする? どれを攻撃するべきなのか。
外れを選んでしまったら本物に死角から攻撃される。迷うヒカリをあざ笑うかのように、ゾンバイユは
聞き苦しい笑い声をあげて挑発してくる。まるで、『こないのか、こないのかな?』とでもいっているようだ。
けれど、ウルトラマンAが変身できない今、ヒカリまでもが倒されてしまってはこの世界を守るものが
いなくなってしまう。
”焦るな。冷静に、冷静になれ……”
自分自身に言い聞かせながら、ヒカリは隙を作らずにゾンバイユの分離攻撃に向き合った。
だが、そちらからこないならこちらからゆくぞとばかりに、数十のゾンバイユの一体から灰色の光線が
ヒカリに向かって放たれる。
「ヘヤッ!」
とっさに飛びのいてかわしたヒカリは肝を冷やした。危なかった、あれは街の人々や才人から魂を
奪い取ったあの光線だった。当たればどうなるかはわからないけれど、少なくとも無事ではすむまい。
しかし、今は運良くかわせたが、何発もこられてはすぐにかわせなくなる。
”どうする……どうすればいい……?”
打開策を練ろうとしても、早々都合よく名案も浮かばない。どうすれば、この無数の分身の中から
本物の怪獣を見つけ出すことができるのか。
だがそのとき、戦いの推移を見守っていたラ・ラメー率いるトリステイン艦隊、ウェールズ王指揮する
戦艦『レゾリューション』で、高らかに命令が放たれた。
「砲撃開始! ウルトラマンを援護せよ」
たちまち数十隻の戦闘帆船から放たれた数百門の大砲の弾が、ゾンバイユの群れに雨のように降り注ぐ。
ゾンバイユがいかに多数に分離しようと、大砲の数に比べたら微々たるものだ。幻影はすり抜けて
落ちるものの、全部を攻撃されたら本体にも必ず当たる。大砲の弾では怪獣にダメージは与えられないけれど、
爆発が体のあちこちで起こり、驚いたゾンバイユは分身を消してしまった。
「いまだ!」
分身攻撃が破れたことを見て取ったウェールズは、ウルトラマンヒカリに向かって叫んだ。その叫びには、
自分たちは非力ではない。こうして戦う力はあるんだ、それを証明したいんだという願いもこもっている。
ヒカリは、自ら戦う勇気を見せた彼らの声を確かに聞き届けた。
「君たちの意思、受け取った!」
ヒカリの渾身の力を込めた猛攻が、ゾンバイユに暴風のように襲い掛かっていく。
人間とともに戦うときのウルトラマンは、一人で戦うときの何倍もの力を発揮する。それは、ウルトラマンも
人間もともに心を持ったもの同士、仲間であるからだ。ヒカリの攻撃に押されるゾンバイユは、超能力を
発揮する暇も与えられずに追い詰められていく。
このままいけば、ウルトラマンの勝ちは決まりだろう。誰もがそう思った。
しかし、それを望まない邪悪な意思がここに存在することを、ヒカリは知らなかった。
「悪いけど、そんな簡単に勝たれたんじゃあジョゼフさまの計画どおりにはいかないのよ。だから、うふふ……
まだこれにも、使い道があったわね」
人目を離れた場所で、戦いを見守っていたシェフィールドの指にはめられていた指輪が怪しい光を放つ。
それは、かつて水の精霊から盗み出された古代の秘宝『アンドバリの指輪』、それにはめられた宝玉が
深海のように暗く深く輝くとき、水の精霊が懸念していた破滅への序曲が奏でられ、その戦慄を聞いた者たちは、
愕然として己の目を疑った。
「ウワアッ!?」
突如、轟いた大砲の音と、炸裂する砲弾の爆炎……そして、砲撃を受けてのけぞるウルトラマンの姿。
誰もが、一瞬何が起こったのか理解することができなかった。
ウェールズ、ラ・ラメー、艦隊の将兵たち、戦いの推移を見守っていたルイズたち。
彼らは、目の前で起きたことの意味がわからずに、その思考のすべてを一時停止させた。
しかし、現実において時が停止することはない。一瞬のときを置いて、彼らの脳が再始動したとき、
困惑は激怒となって発露した。
「ば、馬鹿な! 誰だ今撃った奴は! 誰がウルトラマンを撃てと言ったあ!」
犯人は即座に判明した。アルビオン艦『レゾリューション』の砲手四名が、無断で砲をウルトラマンに向かって
撃ったのだ。むろん、彼らは即座に拘束され、誤射だと友軍には報告された。だが、ウェールズは自艦の
砲手が反逆行為に出たことが信じられなかった。彼らはいずれも内戦時から王党派に尽くし、この艦にも
特に選ばれて乗り込んだ忠臣たちだというのに。
けれど、困惑している余裕は誰にもなかった。完全な不意打ちの形で砲撃を喰らったウルトラマンヒカリは、
砲撃によるダメージこそさしたるものはなかったが、体勢を崩してしまったことでゾンバイユに反撃の機会を
与えてしまったのだ。
人間たちから攻撃されたことで動揺するヒカリに、ゾンバイユの体当たりが命中する。受け止めることも
できなかったヒカリは、闘牛にはねられたマタドールのように宙を舞って地面に叩きつけられた。
「ヴアアッ!」
このダメージは大きく、ヒカリはすぐに立ち上がることはできない。対してゾンバイユは、やられた恨みを
晴らそうとヒカリへさらに体当たりを仕掛け、さらに巨体でのしかかっていった。
「ウッ……アアァァッ!」
背中の上で暴れられ、ヒカリの骨格がきしみをあげる。まるで象を怒らせてしまったライオンのように、
踏みにじられてつぶされ、はねとばすこともできないいままヒカリのカラータイマーが赤く点滅を始める。
あの馬鹿な砲撃さえなければ! と、そのときウルトラマンがやられるのを歯軋りしながら見守っていた
誰もが思ったことだろう。が、四人の兵隊の錯乱したとしか思えない暴挙の裏に、狡猾な影が糸を
引いていることには、気がつきようもなかった。
突然ウルトラマンを砲撃した四人の兵士はロープで柱に厳重に拘束されていたが、その顔を覗き込んだ
兵士たちは、一様に背筋を振るわせた。彼らの顔は、まるで魂を抜かれたように、ぼんやりと目を
見開いたまま呆けた形で固まっていたからだ。
そして……それこそが、シェフィールドの仕掛けた卑劣な策略の正体だった。
「うふふふ……アルビオンに内乱を起こすために、二年も前に根回ししていたことが今ごろに役立つ
とはねえ。まだまだ、モノは使いようということかしら」
暗い笑いをシェフィールドは口元に浮かべた。以前、レコン・キスタを作るためにアンドバリの指輪で
アルビオンの貴族を操って行動させたように、王党派の中にも戦闘中に王党派を不利に働かせる
ために洗脳したものたちがいたのだ。アルビオンの内戦を操る謀略自体は、途中でヤプールに
利用されたために瓦解したものの、指輪の効力を眠らせていた者たちがアルビオン艦に乗っていたのは
シェフィールドにとって幸運だった。
「さあて、これでウルトラマンを倒したら、次は上空の艦隊。そして次は地上の虫けらどもを皆殺しに
しましょうか……でも、ジョゼフさまのおっしゃるとおりなら……? さて、どうなるかしらね」
好奇心と、残忍な笑いを浮かべたシェフィールドの耳に、人々の怨嗟の声が届くことは無い。
ジョゼフと、その意を受けたシェフィールドの邪念が乗り移ったかのように、ゾンバイユの攻撃は
容赦なくヒカリを襲う。
足蹴にしていたヒカリを、ゾンバイユは子供が石ころにするように蹴飛ばした。
「ヌワアッ!」
腹を蹴られ、大きくダメージを受けたヒカリは、それでも立ち上がろうと手をついて力を込める。しかし、
もはやエネルギーも残り少ない状態では、体が別人のものになってしまったように言うことを聞かない。
絶好の標的となったヒカリに向けて、ゾンバイユの単眼が不気味に輝く。放たれた光線はヒカリの
体にロープのように絡みつき、動きを封じて持ち上げはじめた。これは、相手を拘束する牽引ビームの
一種だ。振り払うこともできず、両手両足にビームをかけられたヒカリは、マリオネットのように
空中でエネルギーロープの磔にされてしまった。
「なんてこと! これじゃなぶり殺しじゃない」
いたぶることを楽しんでいるような怪獣の攻撃に、思わずキュルケの口から怒りの声が漏れた。
同じように、上空の艦隊でもウェールズをはじめ激昂した者たちによって怪獣への攻撃命令がくだる。
「撃て! あの化け物を今度こそ吹き飛ばせ!」
艦隊の一斉砲撃が、動きの止まったゾンバイユに降り注ぐ。が、煙の薄れた後にゾンバイユは
元と変わらない姿をとどめていた。
「馬鹿な……」
落胆の声が将兵の数だけ流れる。ゾンバイユの皮膚はビーム砲の直撃に耐えるだけの強度を
兼ね備えている。不意を打たれて驚くことはあっても、まともに受ければ大砲の弾くらいでは傷つく
ことはないのだった。
人間たちの必死をまるで無視し、ゾンバイユは身動きの取れないヒカリを攻め立てる。空中で
見えない十字架にかけられているも同然のヒカリを、ビームの力でそのまま五体バラバラにする
つもりなのだ。
「ヌワァァッ……」
カラータイマーの点滅はすでに限界に達し、もう何秒も持たないだろう。「ウルトラマン、がんばれ」
という声援も、この絶望的すぎる状況を逆転させるだけの力は持っていない。
どうすればいいんだ……艦隊の砲撃すら通じなかった相手に、いったいどんな手段があるというのだ?
しかし、このままでは奴に魂を食われた大勢の人たちの命はない。それどころか、ハルケギニア中の
生き物の魂が奴に食い荒らされてしまう。
なんでもいい、何か残されている手はないのか? 絶望の中で、人々は必死に希望を探した。
そして、そんな中でルイズは深い悲しみのふちに立たされていた。
「こんなときに……サイトの命がかかってるこんなときに、なにもできないなんて……わたしは、
こんなに無力だったの……」
支援
今、ウルトラマンAへ変身することさえできれば、怪獣を倒してみんなを助けることができるのに。
小さいころから魔法の才能がなく、無能のゼロだなどと揶揄されてきた自分。でも、そんな自分でも
できることがあるとがむしゃらに突き進んできた。そうして、才人と出会い、多くの戦いや冒険を
乗り越えていくうちに、世界を守るなんて大それたことができると思ってきた。
なのに、今の自分はなんだ。うずくまっているだけで、何一つすることはできない。いつもはげまして、
くれる才人も今はいない。自分は、一人だとここまで無力だったのか。思わず歯軋りをした口元から
かきむしる音が漏れ、目じりから熱いものがこぼれた。
「サイト……わたし、いったいどうすればいいの? 教えて」
無力をなげいてすがる言葉にも、才人は答えることはできない。ヒカリが敗れれば、才人の魂は怪獣の
胃袋の中で消化されてしまうだろう。そうなれば……
「やだ! こんなことで、こんなところで永遠にお別れなんて許さないんだから! まだ、まだあんたには
この世でやることがいっぱい残ってるんでしょう! わたしだって、サイトといっしょにやりたいことが
たくさんあるんだから!」
なによりも、才人を失うかもしれないという恐怖がルイズに喉の奥から叫ばせた。風のルビーがはめられた
手が強く握り締められ、爪が手のひらに食い込んで血がにじむ。あれほど大切にしていた始祖の祈祷書も
放り出し、シルフィードの背に落ちてページが開かれる。
その……その瞬間だった。
風のルビーと始祖の祈祷書が、ともに共鳴するように光り始めたのだ。
「な、なんなの!?」
突然の目もくらむばかりの光に、ルイズはとまどった。そばで見ているタバサとキュルケも、想像も
していなかった事態に何も言うこともできずに、ただ目を覆って呆然としているだけだ。
けれど、ルイズは光の中に、白紙だったはずの始祖の祈祷書のページの中に文字を見つけた。
それは、古代のルーン文字で書かれていて、ルイズは無意識にその文字を追った。
『序文。これより、我が知りし真理をここに記す……』
ここで!ここで虚無覚醒か!
支援
ルイズはとりつかれたように文字を追う。その正気を失ってしまったかのような目に、キュルケが
「ルイズどうしたの? いったい何をつぶやいているの?」と、問いかけてくるが、ルイズの耳には入らない。
どうやら、不思議なことに文字はルイズにだけ見えているらしい。いったいなぜか……いや、今のルイズに
とってそんなことも、ここに記されていた信じられないような内容もどうでもよかった。
記述の最後、古代語の呪文の羅列をルイズは祈祷書を手に、杖をかざして読み上げる。
「エオヌー・スーヌ・フィル・ヤルンクルサ・オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド」
呪文を読み進めるごとに、自らの中に力が湧いてくるのをルイズは感じた。
生まれて今日まで、どんな魔法を唱えても爆発しか起こらず、虚しさを感じていたのとはまるで違う。
例えるなら、血が滾り、自らが炎と化していくような。今まで空回りしていた歯車が、はじめてかみ合った
ような快く、猛々しい感覚。
これが、自分が生涯初めて使う魔法だとルイズは理解した。そして、自らに隠されていた系統も知った。
だが、それすらも今のルイズにはどうでもよかった。必要なのは、今何ができるか、それだけだ。
「ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシュラ・ジュラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル……」
長い詠唱の後、呪文は完成した。
同時に、ルイズはこの呪文がどれほどの威力を持つのかを理解した。
破壊……圧倒的な破壊がもたらされる。
それは、望むのならば視界に入るすべてを焼き尽くすことも可能だろう。
選択肢はルイズの杖にある。なすべきことは、破壊すべきはなにか?
答えは、最初から決まっていた。
「キュルケ、タバサ、身構えてて。とてつもないのが来るわよ」
友への気遣いが、ルイズの魂が人のうちにあることを証明していた。
力は今、この手の中にある。それは、ただ一つの願いのためにだけ使う。
杖の先を、この瞬間にもヒカリにとどめを刺そうとしている怪獣に向け、息を吸い込み叫ぶ。
「サイト、今助けるからね。いくわよ……虚無の系統、初歩の初歩の初歩。『エクスプロージョン!!』」
その瞬間、すべての力を込めてルイズは杖を振り下ろした。
刹那……白い光がゾンバイユを包み込んだ。
続く
果たして虚無魔法が怪獣に通用するのか。
もしも致命的な効果があったのならば、ルイズと虚無の扱いはこの物語の決定的なキーとなるな…。
そしてウルトラ乙!
燃えたぜ。
今週はここまでです。
>521 >524 >532 >534の方々、支援どうもありがとうございました。
こんなに多くの方に待っていてもらえたとは、物書きのはしくれとして光栄のきわみです。
さて、ここまで書いて、ようやく本格的にジョゼフさまのターンがまわってきた気がします。
原作・アニメ等を読み返すたびに、ジョゼフとシェフィールドの悪行三昧には心胆寒からされます。
死者を操ったり心を奪ったり大量殺戮をしたりと、下手な宇宙人顔負けの非道っぷり。
『狙われない街』をごらんになられた方はおわかりと思いますが、一番怖いのは人間のようです。
また、ほとんど忘れられかけていたアンドバリの指輪も役割を持たせられました。
では、次回から新章本格突入です。
まとめのキバヤシ召喚にワロタ
>>536 どうかなあ、ルイズのエクスプロージョンが最初強力だったのは長年ためにためた精神力があったからだろ
仮に通用したとしても、2度目には効かなくなるんじゃないかな
ウルトラ乙
>>539 目の前でキスされて嫉妬パワーとか、
女がらみで怒りパワーとか、
浮気されて傷心パワーとか色々補充する方法はあるじゃないか。
全然ヒーローっぽくないけど。
ウル魔のサイトは浮気しそうにないけどな
ルイズが一方的に勘違いしてって展開はあるかもしれないけど
二倍の勢いで振ってさらに二倍。
そしていつもの三倍の詠唱を唱えれば!
あっという間に棍棒の出来上がりだ
>>541 ルイズには嫉妬マスクがすげー合いそうだなw
ルイズがカミーラと化すヴィジョンが…
ヘイトの線引きってどこらへんなんだろう
例えばカン・ユーを有能かつまともな軍人に書いたらそれはヘイトだろうか
ヘイトというよりオリ主扱いに
>>543-545 あーと、ルイズの体が1200万パワーの光の矢となった。
サイト「俺は大丈夫だ。それより他のみんなは? タバサは? キュルケは? なあ姫様?
ルイズは? ギーシュは? ま、まさかみんなやられたのでは? な、なんてことだ、帰ってきたのが俺1人なんて!!」
アンリエッタ「みんな戦えない私が悪いのです・・・・・・」
金髪が風に揺れ砂埃舞い上がる
夕焼けを背に受けてグラモンドリームがやってくる
「ギ、ギーシュ!!」
「ただいま、サイト」
「お帰り、ギーシュ」
こうですか?
>>539 どうかね。魔法の世界で魔法単体では怪獣に勝てなかったところを一発で覆すとかされたら、原作みたいに隠す方向ではなく、魔法の権威復活のために喧伝するようになってしまうかもしれんが。
初歩の初歩の初歩で勝ってしまう虚無すげーみたいな。
次の戦いで勝てるかはまた別の話だけど、人間単体で脅威とみなされたら、ルイズの周辺は騒がしくなるのは間違いない。
負の感情が力の源である虚無魔法はヤプールの格好の餌食の気が・・・
これは明鏡止水ハイパーモードを会得するしかないな
感情の昂りすべてじゃないのか?
修道院から逃げ出すときは使命感でも精神力たまってたな。
少なくとも幸せだったら虚無の精神力は溜まらないらしい
ちょっとのお金と明日のパンツさえあればいいあの男を
|\ /|
|\\ //|
: ,> `´ ̄`´ < ′
. V V
. i{ ● ● }i ねえねえそこの君、僕と契約したらすぐ魔法使えるようになるよ
八 、_,_, 八
. / 个 . _ _ . 个 ',
_/ il ,' '. li ',_
淫獣呼んだらモンモンが頭モグモグされるだろww
…ルイズとタバサはあっさり飛び付いて代償の大きさに絶望しそうだw
QBとの契約は、ほとんど『悪魔の契約』だからなぁ。
魔法少女のライトなイメージとは正反対の陰惨なアニメだよな、あれ。
画面に描写されるかは別として、陰惨な背景のアニメは割と多い
ナデシコなんて相当病んでるだろ、敵味方問わず
>>560 ×殆ど
○完全に
つーか、QBとの契約は現状判ってる部分だけ見ても、実に判りやすい破滅フラグ以外の
何物でもないからなぁ。
それ以前にゼロ魔世界だとこう言う形で魔法を得たとしても、気がついたら異端扱いされて
色々と困った事になったりして正に踏んだり蹴ったりになりそうな気が。
アニメ史上屈指の人生オワタ\(^o^)/フラグだからなぁw<QBとの契約
何で2ちゃん界隈で騒がれてるのか知らないけどOP見る限りだと普通の魔法少女アニメじゃん
〉まどか☆マギカ
>>565 そう思うんだったらEDも見てみるといい。ギャップが凄いから。
QBでクイーンズブレイドかと思った
>>562 なぜか現代人がドラクエのスキル「のみ」持つ異端の侯爵家長子に転生した作品があったな
せめて貴族らしく系統魔法を使えれば誤魔化しも効くんだが、なぜ平民設定にしなかったんだろう。
父子とも馬鹿だし廻りはキティばかりだし、改訂でエターなってるが惜しくない
仮面ライダーWのNEVERの皆さんを呼べば
平民にガイアメモリをバラ撒いてハルケを地獄にするか
DTBから召喚ってないのか
>>570 そんな箸にも棒にもかからんゴミを言われても
魔法少女ものなら、プリキュアの人またここで新作書いてくれないかなあ
でも何気にソウルジェムが本体でしたって銃夢の脳チップぐらいの衝撃度だよなw
DTBは黒以外、オペラおばさんとか犬おばさんとか変なのしかいないw
電撃でギーシュの青銅破壊出来るんだろうか
>>574 他にも『血だまりスケッチ』とか『嫌死系アニメ』とか言われてるよなw
帯電ナイフで普通に斬り飛ばしそうです
黒召還だったら
えらい食いっぷりでマルトーさんもおったまげるとか面白そう
根暗ジゴロかつ死亡フラグ作成機なんだからキュルケあたりが儚く死にそうだな
黒→黒執事→そういやセバスってBLOOD+のハジに似てるよね→ハジ
あいつは割と当たりの部類に入るのでは無かろうか
吸血鬼の一種だけど
吸血鬼といえばクリストファーさんは復活せんのだろうか?
見た目人間だが人間の枠をはみ出てる系が好きだ
脳噛ネウロからX召喚とかされんかね
吸血鬼に有効な武器といえば丸太だよな。
>>585 吸血鬼「にも」有効なんだから、何も間違っていないw
心臓に杭刺して首はねたら吸血鬼じゃなくても死ぬよな。常識的に考えて。
つーか吸血鬼って弱点多くて広く知られてる、絶滅危惧種指定されないのが不思議なモンスターだよな
>>588 仏教徒だから十字架が通用しない
好き嫌いしていたらろくな大人にならないからニンニクも大丈夫
こんな吸血鬼もいるんだし、対処法は迷信レベルなんだろう
吸○鬼だけどモリガン召喚はゼロ魔に合いそうな気がする
まあ吸血鬼の弱点って言っても、
日光、伝承でも有名なブラム・ストーカーの小説でも弱点にはなっていない。
どうも映画のノスフェラトゥ辺りから広まったものらしい。
十字架、キリスト教万歳のためのでっちあげ。
ニンニク、腐敗や虫は悪霊=塩を始め防腐・防虫効果のあるものは魔除け認定。
実際の伝承当たると、あんまり直接的な効果はない。
だからなあ。
ここは一つ増血鬼で手を打ちましょう
ルイズとタバサがみょーに前向きになったりしてな
ウィズリー・スナイプス、じゃなくてブレイドを召喚すればいいじゃん。
剣も使えるし素で強いぞ。あれで意外と優しいし。
むしろ吸魂鬼をだな
……契約、できるのかな?
>>588 戦車と同じ、とんでもなく強いからこそ多くの対処法が編み出された。
いかなる時でも対処できるようにするのは難しいし、対処できるとしてもかなり厳しい。
>>594 契約できても周囲の感情吸い取りまくって幸福感ゼロの使い魔になるな
吸血鬼って弱点だらけでむしろ弱くね?
という2chレベルの雑談からスティーブン・キングは「呪われた町」って作品を描いたらしい
小野不由美の屍鬼の元ネタ。
伝承の吸血鬼は病気の一種だと考えられていたのが元と考えられているからな
流水がアウトなのもそのためだとか
>>598 狂犬病とかだろうか、水を怖がる致命的な伝染病って
■■「……。」
>>598 狂犬病とかだな。
というか狂犬病って致死率100%に近いしゃれにならん病気なのに、俺の周り知ってる奴いやがらねえ。
狂犬とか言いながら哺乳類全部に感染するし。
吸血鬼が流行ったのは18世紀だが、どういう原因があってそういうのが流行ったのかはよく解らん。
上でも書いている人がいるけど映画のノスフェラトゥが日光が苦手な吸血鬼のイメージの元だという。
もっというと鏡に映らない吸血鬼ってのはドイツ。
吸血鬼文学のようなものが19世紀にできるんだけど、その中で各地の吸血鬼伝承がまざりあって今の吸血鬼のイメージの原型ができたらしい。
現代にもある日光で皮膚がひび割れたりする何とか病が日光に弱い伝説の元の一つ
波紋に弱いのは日本の伝承が元
世の中ニンニクは平気でもピーマンやタクアンが弱点な吸血鬼もいてだな
>>605 懐かしいものが出てきたな。
あの人、挿絵違う人でまた吸血鬼物書いてるんだよな。
その前は狼男で、忍者物もいくつか・・・・・・
吸血鬼は色んな悪い奴の集合体って感じで想像されたせいで、弱点の数も集合したんじゃなかったか。
ケツが九つある鬼とかなんとか
尻尾が九つある狐がどうしたって?
その姿は金色に輝き、白き面の大化生!
九つの尾を持つ獣の姿!
……ハルケギニア終了のお知らせ。
お久しぶりです
空いてるようなので45分ぐらいから投下します
リハビリ・・・って訳でもないですけどちょっと短めで
時を遡ること約二週間。
王都に連行される馬車から逃げ出したフーケ――マチルダは「ほとぼりが冷めるまで身を隠そう」と素人丸出しの意見を出したサイトを無視してラ・ローシェルへと向かった。
人目を避けて向かったためその道程は五日ほどもかかったが、当のラ・ローシェルの警備や手配はこれと言って変わった様子もなかった。
経路が限定されかつ戦時中であるアルビオンへの逃亡は考慮していなかったのか、それとも衛士隊が襲撃を受け敗北するという醜態を喧伝したくないのか。
ともかく、二人は拍子抜けするほどあっさりとトリステインを脱出し故郷のアルビオンへと戻ってきたのである。
フネに乗るところまではむしろ吹っ切れたかのように手際よく行動していたマチルダだったが、しかし実際に空に浮かぶ大陸を目にし、そこに降り立つと途端に歩みが遅くなってしまった。
ウェストウッドに帰り着けばそこで待つティファニアに事情を打ち明けねばならない――という未来が現実味を帯びてきたのだから致し方ないのかもしれない。
だがいくら歩みを緩めても進んでいる以上はそこへと辿り着く。
マチルダは最終的に半ばサイトに手を引かれるような形でウェストウッド村へと到着し、ティファニアと再会した。
戻ってきた二人を見た彼女は大いに喜び、その日の夜は子供達と共に贅を尽くした食事が振舞われた。
マチルダとしては暗澹とした気持ちを完全には払拭できなかったものの、その時だけはほんの少しだけ気を晴らして再会を祝した。
そうして子供達が寝静まった夜半に、その時が来た。
おそらくはその事実を想像だにしていなかったのだろう、不安よりは期待が混じった顔でサイト達にマチルダの『仕事』の事を尋ねたティファニアに全てを打ち明けたのだ。
話を聞いた彼女はその内容を把握しきれていないのか、半ば呆然とした表情のままマチルダの話に聞き入っていた。
話を終えてもやはり表情は変わらないまま。
我に返ったティファニアがどんな表情を浮かべるのか、どんな言葉を放つのか、マチルダは逃げ出したい衝動に駆られながらただじっと待ち続けた。
そしてティファニアが返した反応は……平手打ちだった。
夜の静寂を裂くほど派手な音が響き渡り、脇で話を聞いていたサイトが一瞬肩を震わせた。
およそそのような事とは程遠い――いや、子供達の世話をしているのだから手をあげるくらいはあるだろうが――ともかく、そんな彼女からは考えられないほどに力のはいった平手だった。
マチルダは痛みよりも行動そのものに忘我して呆然とティファニアを見つめる事しかできなかった。
今まで見たことのない、ティファニアの怒りにゆがんだ顔。
彼女は憤りも露に肩を震わせ、言葉もなくじっとマチルダを睨み続けた。
そして次に彼女から出てきたのは、嗚咽だった。
ティファニアは一転して眼からぼろぼろと涙を零し、床に崩れた。
慌てて寄り添ったマチルダに縋りつきながら、彼女は子供のように泣きわめく。
――平手打ちよりも、そんなティファニアの姿を見ている方がはるかにいたかった。
サイトはいつの間にか部屋から姿を消していた。
マチルダは震えるティファニアの身体を優しく抱きしめ、何度も髪や背を撫でさすりながら夜を明かした。
※ ※ ※
それから三日ほどの間、マチルダは村の外に出ることもなくティファニア(とサイト)と共に生活を共にしていた。
サイトを召喚してからの半年はともかくとして、それまでは特に理由もないのに終日村に留まった事はほとんどなかったので自主的な謹慎とでもいった所なのかもしれなかった。
もちろん最初の内はそれを喜んでいたティファニアだったが、彼女の意図に気付いてそれを気に留め、出かけてみてはどうかと促したのだ。
それを受けてマチルダはシティ――彼女の生まれ育ったシティ・オブ・サウスゴータ――に出かけると言った。
因縁の深すぎる場所だけにティファニアは不安を覚えたが、当のマチルダは軽く笑って見せる。
「四年前にすげ変わった名ばかりの元領主、その娘なんて誰も覚えちゃいないよ。顔を知られるほど街に貢献した事もないしね」
やや自嘲的に吐き出したその言葉と共に、彼女は陽が暮れる頃には帰ると村を出て行った。
ティファニアとサイトはやや遅めの昼食を終えた後、テーブルを挟んで向かい合う形で椅子に腰掛けていた。
たった三日程でしかないはずなのに、その前はいないのが当たり前だったのに、マチルダがいなくなった家は穴が空いたような寂寥をティファニアに感じさせていた。
一方のサイトは、この空間に微妙な気まずさを覚えて何も喋ることができなくなってしまっていた。
というのも、ティファニアにとってはマチルダがいないのが普通であったのと逆に、彼にとってはマチルダがいる事のほうが普通だったからだ。
ハルケギニアに召喚されてからの半年は一緒に暮らしていたし、彼女が出て行ってから間もなくサイト自身もティファニアに頼まれてウェストウッドを後にしている。
なのでこうして同じ部屋に二人っきりという状況が落ち着かないのだ。
「サイト、ありがとね」
そんな沈黙を先に破ったのはティファニアの方だった。
破るというよりは針の穴を空ける程度の囁き声にサイトが振り向くと、彼女は軽く小首を傾げて微笑む。
「マチルダ姉さんを連れて帰ってきてくれたこと」
「あー、うん……」
サイトは照れ臭そうに眼を背けて頬をかくと、ほんの少し後ろめたそうにして彼女に返す。
「でも、ホントによかったのかな。確かに盗賊とかやってんのは悪いだろうけど、あの人だってテファのためにやってたんだし……言うのも聞くのも辛かったみたいだし」
その時のことを思い出してサイトは小さく肩を震わせた。
ああいった本気の修羅場……のようなものを目の当たりにするのは初めてだったので彼は立ち竦んで動くこともできなかったのだ。
もうとにかく空気が張り詰めすぎていて息をするのも苦しかった。
傍観者だった彼でさえそうだったのだから、当事者の二人の心労はその比ではなかったはずだ。
まがりなりにもこれまで上手くいっていたのだから、お互いに知らない知らせないままでもよかったのではないか、と彼は思う。
ティファニアもそれを思い出したのか僅かに苦しそうに眉根を寄せて、しかしゆるゆると首を左右に振った。
「確かに辛かったけど、知らないままでいるよりもずっといい。それが私のためだったっていうなら、なおさら」
言って彼女は自らの胸に手を添え、眼を瞑る。
あの日の夜の事を反芻するように少し沈黙した後、ティファニアは改めてサイトに見やって口を開いた。
「姉さんももう盗賊はやらないって約束してくれたし、今はもう幸せだから。全部サイトのおかげよ」
言葉の通り、幸せそうな笑顔を見せるティファニアを見てサイトは顔を赤くしてそっぽを向いた。
照れ臭さが増して彼は半身ほど彼女から身を反らし、眼を合わせないまま呟いた。
「ま、まあ、俺、今はテファの使い魔だから。役に立てたんならそれでいいよ」
「ふふ……ありがとう、使い魔さん」
陽光の加減だろうか、横目で見るティファニアの笑顔はとても眩しくて胸が熱くなる。
この世界に召喚された当時では不満と諦観がかなり先走っていたが、こうして誰かの役に立ったり彼女が笑ってくれるのなら使い魔生活もそこまで悪いものじゃないのかもしれない。
そんな事をサイトが考えていると、ティファニアがぽつりと声を漏らした。
「何かお礼をしたいんだけど、欲しいものとかしたいこととかあるの? その……元の世界に帰すのはできないけど……ごめんなさい」
地球から召喚された事に関してマチルダは一切サイトを相手にしなかったが、ティファニアはとにかく何かと気にして謝ってくれた。
落ち着いてから改めてその辺の事を聞けば、今回の召喚は完全に彼女達の想定からは外れた事故のようなものだったと理解できた。
今にして思えばあんな怪しさ炸裂の鏡に興味本位で入ってみた自分自身にも落ち度はあると思っている。
なのでティファニアがこうして表情を翳らせて言うのを見ると、逆にこちらの方が申し訳ない気持ちになってくるのだ。
サイトは慌ててティファニアに向き直って、
「いや、別にテファが悪いって訳じゃないんだから気にする必要ねえよ。それに今んところ欲しいとかしたいとかも――」
「何でもいいのよ。私にできることならなんでもするから」
「なん……でも?」
ぴたりと動きを止めた。
翠色の瞳でじっと見つめてくるティファニアの綺麗な顔から、思わず視線が下に動く。
まさに《大鑑巨砲》とでも言わんばかりに存在を強調している胸が静かに息づいている。
何でもするって? マジで?
こんな美少女からそう言われて反応しない男がいるだろうか? いやいない(反語表現)。
サイトの視線に気付いたのか、ティファニアははっとして顔を赤く染めた。
彼女は凝視されていた隠すようにして(全く隠せてないが)身を背け、恥ずかしそうにサイトを見つめる。
「あ、や、これはその……!」
慌ててサイトはやや大仰な身振りで手を振った。
しかしティファニアはしばしサイトをねめつけたあと、おずおずと口を開いた。
「……聞いてもいい?」
「はい、なんでしょう……」
かしこまったサイトに、ティファニアは僅かな沈黙の後ぽそりと呟いた。
「やっぱり、私の胸って変なの……?」
うん、変。すっごい変。
しかしそれは決して悪いことではなく、むしろ誇るべき代物だ。胸を張って良い。むしろもっと胸を張るべきだ。
もはや地球の常識ではおしはかる事のできない領域の偉業だろう。
いうなればこれはファンタジーだ。さすがはファンタジー世界、ハルケギニアである。
……いや待て、まさか本当に幻想(ファンタジー)なのではあるまいか?
果たしてこの胸は本当にリアルなのだろうか。
サイトの好奇心が限界突破した。
「た、確かめてみればいいんじゃないカナ?」
「えっ……」
桜色だったティファニアの顔が林檎のように真っ赤に染まった。
しかしサイトの脳はそれ以上に真っ赤に茹っていた。
「せっかくだから変かどうか確かめてみればいいんじゃないカナ。むしろ確かめてみたい。今どうしてもしたいことができた」
「えぅ……」
顔を耳まで真っ赤にしたティファニアが小さく呻いた。
自分で言い出した事だけに今更撤回する事ができないのだろう、彼女はせわしなく視線をさまよわせる。
ちらちらと様子を窺ってくる彼女の視線を、サイトは極めて真顔で受け止める。
これまでの人生で一度たりとも見せたことのない真摯な表情であった。
ティファニアが口を開きかけては慌てて口を閉じ、あちこちに視線をやり、そんな事を何分か繰り返した後――覚悟を決めたかのように言った。
「じゃ、じゃあ、確認……する?」
(来ったぁあああーーー!!!)
サイトは頭の中で雄叫びをあげ、脳内でガタッと立ち上がり拳を天に向かって突き出した。
うおおおお、使い魔最ッ高ォ!!
俺、ハルケギニアに召喚されてよかったよ! テファの使い魔になってよかったよ!
これでもしご主人様が美少女だけど《戦艦の装甲板》クラスな体形のツンデレ(なんとなくピンク髪)とかだったら性癖を自己改造した上で年単位のフラグ立てしなきゃならなかったよ!!
ありがとう神様、おめでとう平賀 才人!! 今俺は人生の絶頂期に立っている!!
「サ、サイト……?」
サイトの異常な雰囲気を察したティファニアが恐る恐る声をかけると、サイトははたと正気に戻って居住まいを正した。
いや、正気には戻っていなかった。むしろ突き抜けすぎてしまったと言った方がよかった。
正気の自分との脳内問答すらすっ飛ばしてサイトは更に踏み込む。今の自分には不可能はない。
サイトはティファニアに顔を寄せてぼそぼそと提案した。
「――って言ってごらん」
「っ!?」
途端にティファニアの尖った耳がピンと揺れ、紅潮させた顔を震わせた。
そして彼女はほんの少し恐れを含んだ表情で小さく首を振る。
「な、なんでそんなこと……」
「確認するために必要な台詞なんだヨ。言わないと確認できない。てか言ってください。お願い」
「〜〜〜……」
ティファニアは至って真面目な表情でのたまうサイトから逃げるように眼を反らした。
いっその事物理的にも逃げ出してしまえばよかったのだろうが、彼女は生真面目だった。
彼に感謝していてお礼をしてあげたいというのは事実だったし、違う世界とやらから召喚してしまったという負い目も少なからずある。
提案は全くの意味不明で死ぬほど恥ずかしいけど、それで彼に報いる事ができるのならやってあげてもいいじゃないか。
ティファニアは決心して小さく息を呑んだ。
そして真っ赤な顔を俯けたまま、やや上目遣いで囁くように言った。
「……メ、メロンちゃんは今収穫期なの。……たわわに実った、う……熟れ熟れの果実をサイトに採って欲しいな」
言ってしまった後で恥ずかしさ加減を実感したのか、ティファニアは完全に顔を伏せてしまった。
サイトは感激に身を震わせ、弾けるように身を乗り出してティファニアの両肩を掴んだ。
「う、お、あ……さ、さささ最高だ!? テファ、もといメロンちゃん最高! 超可愛い、大好きだ!!」
大部分は煮えすぎた台詞だったが可愛いだの好きだのと言われればまんざらでもないのか、ティファニアはわずかに顔を上げてはにかんだ。
「メロンちゃん恥ずかしい……」
「く……っ!?」
こ、こここの女、なんて顔しやがる。明らかに誘ってるじゃねえか。
つまり最初からオッケーだったって事なのか。何かと気にかけてくれていたのも文字通り気があったという事なのか。
いままではマチルダがいたので言い出せなかったけど、あの人がいなくなったからお礼にかこつけてあんな事を言い出したのか。
……そういうことか。
サイトは全てを悟った。宇宙の真理を解き明かしたかのような開放感と達成感が彼を包んだ。
それは間違った宇宙の真理であったが、誰も彼を止めるものはいなかった。
肩に乗せた手に軽く力を込めると、ティファニアの体がわずかに強張った。
しかし彼女は逃げようとはせず、ほんの少し湿り気を帯びた瞳でサイトを見つめた。
これは……イける!?
サイトの頭に確信にも似た予感が轟いた。
もう倫理とか板の規制とかそんなものどうでもいい。
一年前に異世界に辿り着いたサイトは、今また新たな世界へと旅立とうとしていた。
まるで何かが爆発したような轟音が響いた。
瞬間、サイトは椅子を蹴倒して飛び退り、ティファニアから離れてもんどりうって床に転がった。
泡を食って起き上がったサイトが眼にしたのは、視界一杯に広がった巨大な"土くれ"の拳だった。
「あヒ」
メロンが潰れたような鈍い音が響き渡った。
床板を突き破って出現した土塊の拳にサイトが叩き潰された後、数秒ほどの忘我からようやくティファニアが我に返り悲鳴を上げる。
「サ、サイト!? サイトぉっ!?」
彼女は慌てて駆け寄ろうとするが、立ち上がると同時に酷く陰鬱な音を立てて扉が開いた。
髪が逆立つような寒気を感じてティファニアは立ち竦み、おそるおそる振り返る。
そこには恐ろしいまでの無表情で部屋の惨状を見据えるマチルダが立っていた。
「あ、……ね、ねね、姉さん……」
ティファニアは腰が抜けてその場にへたり込んでしまった。
そんな彼女にマチルダはちらりと眼をやり、吐き捨てるように呟く。
「……日も暮れてない内からサカりやがって、このクソガキ共が」
「ひぅっ……!」
冷め切った声にティファニアはびくっと身体を震わせ、頭を抱えて蹲り子猫のように身を縮込ませる。
カタカタと震える少女を一瞥した後、マチルダは部屋の中に盛大に盛られた土塊へと歩み寄った。
手にした杖を振って土を割り埋葬されたサイトの遺骸(半歩手前)を発掘すると、彼女は彼の頭をゴリッと踏みつける。
「おい、犬」
声をかけると同時にサイトの身体が派手に揺れた。
マチルダは返答のない彼の頭を砕かんばかりに足で踏み躙りながら言葉を続ける。
「お前、今、何しようとしてた? 答えな」
「……なんといいますか、若さ故の過ちといいますか、迸るパトスがダーザインの昇華を引き起こし、必殺のオーギュメントが天使ちゃんに炸裂しかけたといいますか……」
「誰が人間の言葉使っていいッつった」
「……わん」
マチルダは一つ溜息をつくと、身を屈めてサイトに言う。
「もうね、飼い主に粗相をする駄犬はどうしたらいいんだろうね? 去勢するか? あぁ?」
「きゅーんきゅーん……」
混じりっ気なしの本気の響きにサイトはガタガタと震えながら呻いた。
そんな彼を彼女はしばし見つめた後、忌々しげに舌打ちしてから足を離す。
「こんな事なら『あいつ等』を連れてくるんじゃなかったよ」
とはいえ連れて来なければこの場には間に合わなかったのだから、どちらが幸でどちらが不幸なのかわからない。
マチルダは今だに頭を抱えて蹲っているティファニアを振り返り声をかける。
「テファ、客だよ」
「ひっ……え、お、お客……?」
おっかなびっくり顔を上げて覗き込むティファニアに、マチルダは溜息をつきながら首肯する。
「といってもあんたの客じゃなくてこっちの駄犬のね。とりあえず、帽子」
「あ、は、はいっ」
「わん?」
慌てて立ち上がり部屋を出て行くティファニアと、よろよろと身を起こしながら首を捻るサイト。
帽子を目深に被って耳元を隠したティファニアが戻ってくると、マチルダは再び溜息を吐き出してから彼女に歩み寄り、髪を整える。
くすぐったそうに眼を細めるティファニアに、マチルダは耳元で囁いた。
「あんたももう子供じゃないんだから、惚れた腫れたは好きにすればいい。だけどノリで流されると後悔するよ」
「えっ……」
ティファニアは驚いてマチルダを見やる。
しかしマチルダは軽くティファニアの肩を叩くとそのまま部屋を後にしてしまった。
マチルダの出て行った扉を呆然と見つめて続けるティファニアに、おずおずとサイトが声をかけた。
「何? 何か言われたのか?」
「……うぅん、なんでもない」
ティファニアはマチルダに言われた台詞を反芻して頬を僅かに染めると、顔を隠すように帽子を目深に被ってしまった。
彼女の意図が理解できずにサイトは首を捻るばかりだったが、それを確かめる前に再びマチルダが戻ってくる。
そこでサイトはマチルダが自分に用のある客が来たと言っていたのを思い出した。
ハルケギニアに着てから客が来るほどの人脈など築いたことなどなかったので、心当たりなどまったくない。
どこか面倒臭そうな顔のマチルダに促されてその『客』が部屋に入ってくる。
それはサイトと同年代か少し上くらいの青年と、青髪の年下らしい少女。
緊張で僅かに身を強張らせたティファニアをよそに、サイトは青年の方に眼が釘付けになった。
どこかで見たことがあるような気がする。最近ではなく、結構前――そう、あれは。
視線に気付いたのか、青年がサイトに眼をやって軽く眉を潜めた。
そして彼はサイトと同じように凝視した後、呟く。
「パーカー? お前まさか……」
「あ゛ぁーーーーーーーーっ!?」
青年の疑問の声を掻き消さんばかりにサイトは大きな叫び声を上げ、彼以外の全員がぎょっと眼を剥いた。
向けられた視線を意にも介さず、サイトは青年に詰め寄った。
「お、思い出した! あんた、一年前! 秋葉原で! ヘンなコスプレ集団といた……なぁんかひいらぎぃれんじいぃっ!!」
「人を種族名みたく呼ぶんじゃねえ!? てか、それを知ってるって事はやっぱお前ファー……いや、地球の?」
「そうそれ! 地球! 地球だよ!!」
向こうの方から待望のフレーズを口にしてくれた嬉しさでサイトは青年――柊の手を取ってぶんぶんと振り回す。
「お、俺、サイト! 平賀 才人!! 地球人!!」
ようやく巡り合った同胞と交わした挨拶は、まるでSF映画のようなやりとりだった。
今回は以上。やっぱりノボルは頭おかしい(褒め言葉)
この先の小プロットが三本あってどのルートにすべきか悩んでしまいました
・・・まあ書けない時点0本だろうと10本だろうと同じなんですが
ともかく一応整いましたので次はもうちょっと早くなる予定
ルイズは甘噛み知らない子犬が喚いてるようなもんですが、おマチさんはガチでやりそうですよね
遅ればせながら乙。
まぁここの連中は気が長いので
続けられるペースで。呉々も
ご無理をなさいませんように。
>>590 学園の男共みんな喰われるんじゃないかね?主に性的な意味で
パンティ&ストッキングwithガーターベルトから
パンティなんか呼んだ日にゃ……
学院の風紀が乱れるドコロじゃないな、こりゃ
ストッキングならまだましかもしれんけど
スイーツブームが起こりそうな
ひいらぎれんじぃ乙w
おマチさんナイスタイミング
>618
乙。
サイトのPLは……ダイヤ?ダイヤだな、この衝動判定失敗ぶりは。
遅くなったけど乙!
…主しいゼロ魔SSはかず読んだけど、未だ「レモンちゃんはずかしいっていってごらん」よりイカれた台詞、ほとんど覚えがないんだぜ(褒め言葉)
ふう…
あやうく規制に引っ掛かるんじゃないかと期待…もとい心配したじゃないかw
すげぇ、原作そのものの才人が見れた。
「メロンちゃん」なんて、彼しか思いつかないし絶対言えないよ。
紳士の中の紳士に、もう完敗するっきゃないぜ!
ほかのキャラだったらどうなるか。
タバサ→さくらんぼ
ジェシカ→パイナップル
いかん、どうもレパートリーが不足だ。
そういやレモンって質の悪い中古車の俗称だよな
レモンちゃんとか馬鹿にしてるだろw
レモン…なんかの雑誌でアニメキャラがレモン持ってたり、
クリィムレモンとかいう会社かなんかあったり、
レモンピープルとかいう雑誌あったりするからオタク的なイメージがあるな。
あと、女性がすっぱい物食べたくなる時期の代表格がレモンだから性的なイメージもある。
さすがですねこのサイト、私もシリアスパート抜けたらチャレンジしてみようかな
>「……日も暮れてない内からサカりやがって、このクソガキ共が」
……俺はこんなマチルダ姐さんを渇望していたんだ……
ライミーってのはライムから来てるらしいけど、レモンが高いからライムになったそうな
ってことで、レミーなルイズちゃんは高級娼婦って感じだね!
レミーっていうとなんなんだあんたの人か。溜め分割するルイズぱねぇっす。
戦闘時に漏れなくワルキューレがBGMになるあいつが来るとオモタ
>>618 wikiで更新されてたので1話読んでみたら
一気に引き込まれていました。
これからも楽しみにしております。
レミーと聞いてハンババに変形するルイズなんてものを連想してしまった
……元ネタわかる人いるかな?
>>635 ワッハマンだな。
チカちゃん召喚しようぜ。
>>635 それはレミィだ
正体不明の坊さん喚ぼう
モーターヘッドかと思った
マドモワゼルレミー、これは運命と言うものだ
あれ雑誌と単行本で終わり辺りが違うんだよなあ
パパ殺すきっかけが両方ヒドイw
辺境パトロール/カールビンソンと同一世界のどっかの星って事にしちゃおう。
レモンといえば元キングのフェイバリットだろ
「魔法カード、《アースクェイク》でギーシュ、貴様のワルキューレをすべて守備表示にする。
ゆけレッドデーモンズ、クリムゾンパワーフォース!そして特殊効果、デモンメテオ!
守備表示モンスターを全滅させる!」
はじけるレモンの香り!
夜闇はこれからエリスがサイトに惚れたりとサイトのハーレムが始まるんです?
>>636 ワッハマンは上に出てたが彼にとっては救いのある話になりそうだな
どこにいようと最終的に訪れるものの変わらなさからあっさり従ってくれそうだし
ただ、破壊の杖を咥えつつ巨大ゴーレムを素手で撃破したりしそうだw
ところでチカちゃんはカールビンソンのほうだぞ
性質的に小ネタ向きのキャラだな
光速エスパーの鳥型サポートロボットがどうしたって?
>>645 フラグブレイカーとフラグ職人の共演だからな、胸熱
血花(チカ)だったらアイツの出番だな。
ルイズが妙な仮面とマントをはじめとする変身セット一式を召喚するんだ。
そんで宝物庫に『テキサス魂』と刻まれたチェーンソーがしまってあるんだよ。
なんでシュウ・シラカワの苦労人のファミリアが出てこないかね
>650
既にラスボスさんが出してるから、言うまでもない。
ところで、サイトが流派東方不敗の門人というのを思い付いたんだが、原作以上に女性関係が大変そうだ。バツ技能レベルという意味で。
東方から不敗の平民を召喚したとかそんな感じになるのか
そのうち亜人扱いされるんだろうな、流派的に考えて
超久しぶりにこのスレに来てみたら未だにちゃんとやってて驚くと同時に嬉しくなった
まぁ流派東方不敗に限らずガンダムファイターは皆世界のびっくり人間達だし
蹴りでビルを切断したり、持ち上げたりするもんな。
656 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/17(木) 21:48:07 ID:UktomN62
昔、ルリルラが読参だった頃、ガンダムファイター崩れと妖魔夜行の人狼、歌姫の手料理の戦闘力が同レベルだったのを思い出した。
それはそれとしてタイトルは『ゼロの東方不敗』じゃまずいな、師匠と間違う。
えっ、ネタじゃなくてマジでそんなオリキャラもどきやるの?
やったとしても小ネタだね。
万が一続いてもエロパロ板の『大人才人』の劣化版にしかならないのは目に見えている。
そうなるともう始める意味がないよ。
魔改造サイト…ウルトラの使い魔とかがそうだなぁ。
オリキャラにならないサイトとなると……よし、中国に旅行させて男溺泉にサイトを突き落とそうぜ。
吸血鬼…シュトリゴン隊の兄貴とか?
ロザバンからはまだ誰もないよな。ルイズの血はうまいだろうか
ギーシュもワルドも「身の程を知れ」
そう言えばキュウべぇ召喚ってネタはまだ誰も触れてない?
やっぱりまだキュウべぇのキャラとか設定を把握しきれてないからかな?
まぁ召喚したら召喚したで陰鬱な話にしかならないだろうけど。
仮面ライダーとかもそうだけど
現在放映中のタイトルからのクロスはエタ率が高いから余り触れたくないな
>>663 スレチだが終わってない作品のキャラだとブリーチのあいぜんみたいにおおばけする
可能性があるからなぁ。
特に内面書かれてないと、小ねた以外だと本気で詰める。
うっかり九べぇなだけだと別物になれるし。まあ全12話終われば書く人でるさ。
もう出番の終わったマミさんなら大丈夫w
誰も投下予告してない。
投下予告するなら今のうち?
23:40頃に投下します。
投下する前に軽く紹介&注意書き
作品はゴッドイーター 召喚するのは加々美リョウです。
ただしスパイラルフェイトからではなく前日譚のバーストのストーリ中からです。
また使用する神機は超電磁ブレード・50型機関砲・属性バックラーから
単なる趣味でピター装備一式にかわっています。
バースト本編のネタバレアリアリです。
今回投下するのはプロローグでルイズ達の出番はありません
ではまた後ほど。
>>423ソーマでなくてごめんね
旧日本近海に位置する人工島『エイジス』
かつて『人類最後の砦』『楽園』そしてこの地球を新生させる『神』の揺り篭として建造されたこの島は
今は無残に打ち捨てられ、人を喰らう荒ぶる『カミ』の巣窟と化していた。
そのエイジスの中央ブロック、かつて『神』が育成されていた場所。
まるで古代の円形闘技場を思わせる区画に二つの影があった。
一つは竜
長い首と尾を持っているが、その四肢のバランスは人間のそれに近い。
漆黒の鱗に覆われた肉体は、鍛え上げられた強力な筋繊維を持ち、その身体の中央からは紫の閃光を発する。
その光はまるで自身の強大な力を誇示しているようだ。
左手から紫色に輝く灼熱の炎を発し、凶暴な牙を剥き出しにして吠える様は神話に出てくる悪竜そのものである。
一つは人間の少年
黒い髪に銀色の狼のレリーフが背中に施された上着、そしてその手に携えるのは剣というには余りに奇妙な武器を持つ。
一見すると奇妙な武器以外は何の変哲も無いただの少年だが、この少年は竜とたった一人で互角の戦いを繰り広げている。
常人を遥かに上回る いや、人間の領域を超越した身体能力の持ち主であることは間違いない。
少年の持つ武器、それを神機という。
『カミを以てカミを制する武器』神機、それは人類に残された最後の希望 その担い手を人々はこう呼ぶ
神を喰らう者『ゴッドイーター』と
カミ喰ラフ使イ魔
序『堕罪』
人のボクサーの様に正確かつ鋭い動きから繰り出される黒竜の拳は、常人ならばかわすことすら叶わず肉片とされる破壊の鉄槌だ。
少年は神機の柄の装甲を展開し黒竜の鉄拳を真っ向から受け止める。
全身の骨がギシギシと軋み少年の身体越しに足元のエイジス島の床に大きなひびが入る。
一瞬の油断が いや、油断せずとも命取りになる強敵。
だが少年は戦いに集中できないでいた。
神機の装甲越しに黒竜の拳から感じる『あの人』の意思
『あの人』を殺す覚悟も救う覚悟できていないのに勢いだけでここにいる自分
それが少年の戦いのカンを鈍らせていたのだ。
少年は黒竜の拳を力づくで受け流し、その下から逃げ出すと同時に黒竜の向かって左側に駆け抜ける。
貫き胴の要領で黒竜の足を切りつけ、黒竜が怯んだ所を間髪いれずに直上に跳躍しながら切上げると同時に神機を銃形態に変形させ砲撃、その反動を利用し一気に距離を離す。
薄い紫を帯びたエネルギーの塊は爆音と共に黒竜の右腕の籠手の様な部位を吹き飛ばす。
砲弾を成すオラクル細胞が白い霧となり、たった数秒だが少年と黒竜の姿をかき消した
やったか…?
だが、それは鈍ったカンによる致命的なミス
白い霧が晴れた時、眼前に黒竜の姿は無い
消えた…!?
そう認識すると同時に頭上から熱を感じ、そちらを見る。
視線の先の空中には左腕に巨大な紫の炎の槍を出現させた黒竜の姿
装甲を展開する暇は無い、回避するため駆けだすが黒竜の突撃はそれより早かった。
「…ッ!!」
少年の左腕から感覚が無くなる、それは熱や痛みを感じるより早く左腕が消し炭になった証拠
確実に死んだはずの攻撃、だが生きている自分
かわし損なった…?あて損ねたのか…?
その直感はすぐに確信にかわる
向こうの方が有利なはずだったが、黒竜の身体から鮮血が吹き出し、その巨体を床に投げ出し悶え苦しみ始める。
こちらの攻撃が効いていた というのもあるだろうが、それ以上に黒竜の中の『あの人』の抵抗が激しいのだろう。
この隙を見逃さず、神機を剣に変形させて黒竜の首 そのコアを貫く
断末魔の叫びと共に力尽きる黒竜 だが、何も終わってはいない。
少年が体内のオラクル細胞の活性化を促す回復錠を口に含むと、即座に神経まで消し炭にされた筈の左腕が再生を始める。
何度繰り返しても、自分が真っ当な人間で無くなったとつくづく思い知らされる嫌な瞬間。
「リョウ!!」
背中越しに少年の名前を呼ぶ少女の声
「全く!1人でハンニバル相手にするなんて何考えてんだよ!」
アリサ・コウタ・サクヤ・ソーマ いずれも少年 加々美リョウと心を繋いだ大切な仲間達
そしてそれは『あの人』にとっても同じ
「クソッ!!」
ソーマが毒づいたのは黒竜 ハンニバルが再び動き出したからだ。
まるで幽鬼の如く音も無くその巨体を中空に浮かべるハンニバル。
炎を纏うその身体の中心にはあの人の『雨宮リンドウ』の姿が合った。
覚悟はしていた 確信もあった だが実際にアラガミの中のリンドウを見た衝撃は余りにも大きい。
「今ですよ」
静かに語りかける声の主はリョウと共に今までハンニバルと戦っていた神機使い レン
「この機会を逃せばもうチャンスは無いかもしれない」
そう言ってレンがリョウに差し出したのはかつてリンドウが使っていた神機『ブラッドサージ』
「さあ、この剣をリンドウに突き立てて下さい」
それはハンニバルとリンドウとを殺すことができる唯一つの武器。
だがそれを受け取ることができないリョウ。
かつて憧れ、並び立つ事すら許されないまま失ったあの背中、それをこの手で殺すことなど…
「…もういい…逃げろ…俺のことは放っておけ……」
「…嫌……もう置いていくのも………置いていかれるのも…嫌よ…」
弱り切ったリンドウの声に応えるのは恋人同士だったサクヤの慟哭
「何を迷っているんです!あなたはもう決断したんじゃないんですか!」
少女と見紛うばかりの柔和な表情をした普段のレンからは想像も出来ないような恫喝にも近い言葉
「決断が遅れれば余計な犠牲が生まれるだけだ!リンドウに仲間を殺させたいんですか!!」
出来るのか…俺に…!
「もう俺は…覚悟はできてる……自分のケツは…自分で拭くさ…」
「さあ!この血なまぐさい連鎖から、彼を解放してやって下さい!!」
どうすればいい!?どうすれば!!
「ここから逃げろ…!これは…命令だ!!」
あの時、リンドウとリョウ達の運命を分けたあの教会でのあの命令
だが、もう逃げ出すわけにはいかない
再び戦闘態勢をとるハンニバル その姿は戦闘を始める以前と同じかそれ以上の凶暴さを持っていた。
「早く!!この剣でリンドウを刺すんだ!!」
そう、全てに決着を付けるために
「うぁぁあああ!」
ブラッドサージを手にしたリョウの左腕に激痛が走る
適合していない神機に侵食される痛み だがそんなものはリョウの覚悟の前では障害にもならない
「逃げるな!!」
それは殺すことで全てを終わらせるのではなく
「生きる事から逃げるな!!」
救う事で全て終わらせようとする覚悟
「これは…!命令だ!!」
何も出来ないかも知れない 方法なんて判らない それでも必ず救って見せる
疾風の如く駆けるリョウはハンニバルの渾身の一撃を身体を捻りギリギリでかわすと、勢いを殺さずにハンニバルの頭を両手の神機で上下に裂き、露になったコアに侵食された左拳を振り下ろす。
何か考えがあった訳じゃない、感情のままに行動した暴発
だがこの行動が4つの魂と異世界に影響を及ぼすとは誰も判らなかった
世界が暗転し意識が遠のいていく。
今回はこれにて終了でございます。
では失礼いたします。
>>663 九兵衞はお妙さん一筋だからルイズとチューしてくれないだろうな
たった3レスのプロローグなら次と纏めろよ・・・
つーか投下までに20分も開けて何考えてんだ?
カミ喰いさん初めまして。
また強キャラ出てきましたね。
食事どうするんでしょうね?幻獣とか喰うんですかね?
しかし、ルイズはキスして大丈夫なのでしょうか?下手したら感染しそうな・・・。
次回に期待です。
>>666 しかし6話でまだ生きている可能性が出てきたよな
まあハードウェアの方が無いし、頭にソウルジェムがあったはずだからまどかの願いでの復活以外の可能性は限りなく0に近いだろうけど
マミさんか……
とりあえずソウルジェムが無事だという事を念頭に置いてーの
三話のあの肉塊を召喚→ルーンを刻まれる事によって魔力補充→マミさんの肉体復活!そして使い魔に
召喚させるとしたらこんなもんかな? ルイズが地獄を見る事になるが
魔女がいないとソウルジェムが浄化できないずら
QB召喚。
『魔法が使いたい』で魔法少女になったルイズ……マミさんの悲劇再び?
『お母様の病気を治して』で魔法少女になるタバサ……ジョゼットに家と家族を乗っ取られる?
QB召喚してルイズがいきなり虚無使えるようになる変わりにゾンビに(ry
>>675 アレは肉体の修復に魔力を使用→ソウルジェムの穢れが許容限度を突破→死ってプロセスじゃないの?
魔法が使えるようになりたいとカトレアの病を治したい。どっちが先に来るかね?
欝展開だったらネクサスだろう
あまりの陰惨さのおかげで打ち切りエンドというウルトラマンシリーズ始まって以来の汚点を残した代物
ソーマとかわかり易いのにしてくれよ・・・・・・誰だよ加々美リョウって
>>680 俺の予想じゃ穢れ限界突破すると魔女にクラスチェンジだな。
ほんと魔法少女は地獄だぜ!
>>683 だよな
加々美リョウでググっても10件ほどしか出ないし画像検索なんて関係なさそうなのしか出ないし
とりあえずwikipediaでゴッドイーターを調べてみたら漫画版の主人公の名前が加賀美リョウで、こっちでググったら結構出たが
>>681 ・・・魔法少女になれば魔法が使えるようになるだろうから、カトレア治してもらえば一石二鳥じゃね!?
問題なければ18:15辺りに
「Calling on the Dark Dragon King」
を投下したいがよろしいか?
「…何でよ…」
ルイズは力無く呟いた。使い魔召喚の儀式、サモン・サーヴァント。他の全ての生徒達が問題なく使い魔を召喚し、コントラクト・サーヴァントを済ませたのに対し、ルイズだけが失敗を繰り返していた。
それがようやく成功し使い魔となるものが召喚されたのである。本来なら喜んでしかるべきだ。だが、ルイズの表情は暗かった。
そこに立っていたのは、紫のローブを身に纏い、髪を二本の角の様に立てている奇妙な老人だった。その肌は青白く、どことなく不健康そうだ。
だが、それよりも重要なのは、その老人が持っているドラゴンをあしらった杖の存在だった。
杖を持っているという事は、多分メイジなのだろう。あるいは…貴族?
だとするとこれは…かなり不味い状況なのかもしれない。
ルイズのそんな焦燥を他所に、老人は興味深そうに辺りを見渡していたが、適任と見たかのんびりとコルベールに話しかけた。
「あー、ちと聞くが。ここは一体どこじゃ?」
「ここはトリステイン魔法学院です。私はここで教鞭を取るコルベールと申す者。
以後お見知りおきを下されば幸いです」
コルベールは内心冷や汗を掻きながら、慎重に言葉を選びつつ答えた。
相手がメイジ…いや、最悪貴族であれば、自分が使い魔召喚で呼び出されたと知ったら、どう出るか?
…激高してもおかしくない。というか、そうなる可能性のほうが高い。
自制してくれれば良いが、もし怒りのままに魔法を使われたら?
それに、この場は矛先を納めてくれても、その先は…
「…失礼かと思いますが、尋ねさせていただきます。貴方は杖を持っていらっしゃるが…貴族であらせられますか?」
相手が貴族ならば、どう対応するにしても自分の権限を越えている。学院長のオスマンを呼ばねば話が付かないだろう。
コルベールとしてはそこのところは是非とも確認しておかねばならない点だった。
「貴族…?わしはそんなもんじゃないわい。それよりトリステインといったか?知らん名じゃ。そりゃ国名かの?」
「はぁ。そうですが。…ここはトリステイン王国ですが、ご存じないのですか?」
老人の返事を聞いて、コルベールはひとまず安堵した。取り敢えず相手が貴族ではない、という点で。どうやら最悪の事態にはならずに済む様だ。
そして、ここまで固唾を呑んで成り行きを見守っていた生徒達の殆どは、どうやら老人が貴族どころかトリステインも知らない田舎物だと判断した。
それに伴い、
「ルイズが平民を召喚したみたいだぜ」
「田舎者の老人を召喚するなどさすがルイズだ」
といった嘲りが囁かれ始めた。
「みんな好き勝手言ってるわね…ま、召喚したのが只のお爺ちゃんじゃ、冷やかしたくなるのもわからなくはないけど」
「違う」
どことなく冷めた口調で呟くキュルケは、珍しく感情が込められたタバサのその呟きに思わずその顔を見た。
「あの老人、只者じゃない。シルフィードが驚いて…ちがう、恐れて、いる…?」
「…シルフィードってこのウィンドドラゴンよね?恐れて…って、この子が?あのお爺ちゃんを?何で?」
「…分からない。シルフィード、あれは何者なの?…え?」
シルフィードが答えた言葉は、二人を絶句させるのに十分なものだった。
「おう、さま…?」
「そ、それって…?」
トリステイン王国。その名を聞き、シルフィードが王様と呼んだその老人は考え込んでいた。そんな場所は彼の知るいかなる所にも無い。
しかし、もっと重要な事はこのコルベールと名乗った男と、目の前にいる桃色の髪をした少女以外の人間が、自分を好奇の表情で見ている事だ。
普通ならば、間違いなく恐怖と敵意が投げつけられる。いや、それ以前に大抵の人間が恥じも外聞も無く彼を見た瞬間に逃げ出そうとするだろう。
…ルイズ達は知らない。この老人が後にしてきたアレフガルドと呼ばれる地では、彼の姿は恐怖と絶望以外の何物でもない事を。
それは、かつて世界を手中に収めた魔王だった。大地の女王の祝福を受けた実り多き大地は、魔物共の跋扈する暴力と死が支配する荒野となった。
無数の村や町を滅ぼし、王国を強襲し、姫を攫った。討伐に向かった軍を骸の山に変えた。
王の中の王と自称した、恐怖と共に語られるその魔王の名は、竜王といった。
「知らん。…やはりアレフガルドではないのか。…まさか、噂に聞く上の世界、というやつなのか…?」
「は…?アレフガルドとか上の世界と言われても何のことやら」
「ではもう一つ尋ねるが、勇者ロト、或いは大地の女王ルビスという名も知らぬか?」
「ロト。ルビス…聞いた事がありませんねぇ…」
「そうか。それでは本当にここは異世界のようじゃのぉ…
さて、そこで問題があるのじゃが…誰が、何の為にわしをこんな所に召喚したのか、納得のいく説明をしてもらいたいのじゃが」
先程までののんびりとした口調とは違い、鋭いものが混じったその質問に、コルベールはまだ窮地が終わってはいなかった事を悟った。
「そ、それはですな…ここでは只今使い魔召喚の儀式を行っておりまして、
ここでメイジは一生の使い魔を決定するのですが…。あの、こういった事は何分初めてで私も非常に困惑しているのです。普段はその、他の生徒達のように動物や、実力ある者は幻獣を召喚するのですが」
「どういったわけか、このわしが呼び出されてしまった…と?」
見てみればなるほど。確かに様々な動物やら幻獣が子供達についている。その中で彼の目を引いたのは青い髪の少女を乗せた一匹の見知らぬ種類の竜であった。
その竜が張り詰めているのが分かる。異世界といえど、やはり竜族。感じるものがあった、という事か。
「は、はい。先程も申した通り、この様に人が召喚された、という事は私は聞いたことが無いのです。
それで、貴方を呼び出したのはこのミス・ヴァリエール嬢なのですが」
「ミスタ・コルベール!やり直しさせて下さい!」
話を向けられたのを幸いに、ルイズが叫ぶ。どうやら貴族ではないようだが、メイジを使い魔にしたとなれば問題が多すぎる。
メイジではないとすれば只の老人を使い魔とすることとなり、それは余りにも惨めだ。
どちらにとってもルイズには受け入れがたい選択である。思わず声を荒げたのも彼女にしてみれば無理は無い。
「それは出来ない、君も分かっている筈だ。これは神聖な儀式だ。一度呼び出した使い魔は変更できない」
「でもでも、人間を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」
「確かにこの様な例は古今東西無い。が、春の使い魔召喚のルールは他のあらゆるルールに優先する。すなわち、変更は認められない」
「無理だってルイズ!その爺さんを呼べたのだって奇跡みたいなもんだろ!」
「あきらめて契約しちまえよ!ゼロのルイズにゃぴったりな使い魔じゃないか!ま、契約出来るかどうか怪しいけどな!」
次々と投げつけられる嘲笑の言葉に唇をかみ締め、肩を震わせるルイズ。それを見つつ彼は考え込んでいた。
…さて、どうしたものか。ある程度事情は分かった。知らずにした事とはいえ、なんとも無謀な事だ。なんとこの少女はわしを使い魔にしようとしたらしい。
まぁわしを知らぬとすれば無理からぬ事かもしれぬ。
…ならばだ、一つ『教育』してやるか。騒がしい外野も多い事だし…何よりここは学院なのだから。
「あー、コルベールとやら。お主は教師なのじゃろう。口は災いの元、という言葉をそこの喚くだけの能無しに教えてやったほうがええんじゃないか?」
あからさまな嘲笑の篭ったその言葉に、ルイズを冷やかしていた一同の顔色が変わった。
只でさえ自尊心の強い貴族達である。嘲笑されただけでなく、相手が平民であるということが怒りに拍車をかけ、次々非難の声が上がる。
「へ、平民の癖に貴族に対して何たる侮辱!許さないぞ!」
「その通りだ!道理の知らない田舎者とて容赦はしないぞ!」
「ご、ご老人!突然こんな所に召喚されては不快に感じるのは当然でしょうが、そんな挑発するような言動は避けてください!
君達も冷静になるんだ!貴族たる者は無闇に動じない!」
「ミスタ・コルベール!この平民は貴族を侮辱しました!名誉を汚されて黙っているのは貴族の恥です!」
不穏な雲行きに慌てたコルベールが事態を収拾しようとする。しかし、頭に血が上った生徒達は耳を貸そうとしない。それどころか、火に油を注ぐように
「…ほぉ、有象無象の輩達の癖にどうやら一人前にプライドだけは高いらしいの。じゃが、実力も無いのでは滑稽なだけじゃわい」
老人は更に挑発を重ねた。憤慨した一同の声が大きくなる。
「実力が無い?ならば僕の魔法を体で味あわせてやるよ!」
「ルイズ!そいつを黙らせろよ!いや、黙らせるだけじゃ足りない。謝罪しろ!」
「さすがはゼロのルイズだ。使い魔の礼儀も常識もゼロだな!」
騒ぎを沈静化させようとするコルベールの努力も虚しく、老人と彼を召喚したルイズへの罵詈雑言の嵐が巻き起こる。それをルイズは屈辱に震えながら耐えた。
老人は笑みさえ浮かべ平然と受け流していた。その笑みは余裕のためだけではない。この先の展開を想像しての笑みだ。
激昂している高慢な子供が、恐怖に怯える姿を想像しての。さぁ、『教育』の始まりだ。
「実力が無いのは事実じゃろ?なぜなら、誰一人としてわしの力に気付いておらんからの。
…くっくっく… 貴様ら小童どもには勿体無いが冥土の土産に見せてくれよう!」
その言葉とともに、凄まじい威圧感が、暴風にすら感じられる勢いで老人から発生する。それとともに老人の姿が変わり行く。口が裂け、爪が伸びる。身長が伸びる。鋭い角が生え、体が鱗で覆われる。
先程まで威勢よく騒ぎ立てていた者は皆、突然の成り行きに声も無く呆然と見つめる事しかできない。そしてついに。
りゅうおう(のひまご)がしょうたいをあらわした!
そこに現れたのは神々しささえ感じさせる一頭の巨大なドラゴン。
全員が恐怖の中で悟った。こいつは只のドラゴンじゃない。そんなものより遥かに格上の存在なのだと。
硬直した一同の顔を満足そうに見渡し、それは高らかに宣言した。
「我こそは竜族の頂点にして王の中の王、竜王のひ孫なり!
志半ばで散った偉大なる曽祖父の遺志を継ぎ、今こそ人間界を征服してくれるわ!
竜王の真の姿を見られる事を光栄に思いつつ、逝ね!」
数瞬の沈黙の後、幾つもの絶叫が重なった。這々の体で逃げようとする者のはまだましな方で、腰を抜かし動けない者、気絶する者、錯乱して喚き散らす者が続出した。
コルベールは咄嗟に杖を向けていたが、恐らく全ての抵抗は無駄に終わるであろう事は彼が一番良く分かっていた。
ルイズは、これから起こる事を予想して、心の中で家族に詫び続けた。
キュルケとタバサは、目の前のドラゴンがシルフィードの言葉から想像していたより遥かに強大な存在だったことに歯噛みしていた。
要するに、誰もが最悪の結末を予想し、絶望していた。
だが、
「なーんてのは冗談じゃ、本気にしおってからに。
だからお前らは未熟だというんじゃ。いやぁ愉快愉快。ぐわはははっ」
先程とはうってかわってあまりに軽い調子で放たれたその言葉によって、そんな阿鼻叫喚の場は静まったのだった。
圧倒的な威厳をその身に纏ったドラゴンが、本当に愉快そうに朗らかな高笑いを続けているのを、一同は呆けながらしばらく眺めるだけだった。
「…確かにシルフィードの言ったとおり王様、だったわね… タバサ、あれが演技じゃなかったらどうなっていたと思う?」
「…愚問。全滅の回避すら怪しかった筈」
「…やっぱりそうよねぇ…ま、とんだ食わせ者だけど…凄い使い魔には違いないわ。やったじゃないの、ルイズ」
普段のルイズとキュルケの関係を知る者ならば、その呟きに驚いただろう。
心底恐怖させられたにもかかわらず、キュルケの言葉は皮肉ではない嬉しそうな響きがあったのだから。
タバサはそれに気付き、キュルケの顔を見つめたが、それ以上はどちらも何も言わなかった。
というわけでこれで「使い魔は四代目」第一話は終わりです。
うん、『Calling on the Dark Dragon King』は偽題だったんだ。もしエレメンタルマスター(テクノソフト)を期待した人がいたら済まない。
というわけで元ネタはDQ2 エニクス版ゲームブックより竜王のひ孫召喚です。
公式でありながらサマルと竜王のひ孫が異様に輝いてるある意味異端な作品。
これ、かなりの名作だがプレミアついちゃってるんで「興味があるなら買いだ!」と気軽に薦められないのが難点だと思う。
さぁ、次回は契約だ…
>>692 乙、面白かったです。
竜王(ひ孫)かw 結構フランクな性格だったなあれは
あと夜闇の人も乙です。
原作通りサイトは悪さをしようとするなw いっその事ナニが出来ないように
『ヴァリアブルウィッチ』の藤原一族の血統ってことにして今後ナニをやらか
そうとしたら性転換してナニ自体出来なくなったらサイト泣くなw
乙でした。
小説版では2勇者たちにこれと似たようなびっくりどっきりしてるんだよな。
ロトの剣をいなづまの剣でパワーアップさせるイベントも懐かしい。
>>649 「レーザーチェーンソー!」と言って普通のチェーンソーを振り回すあいつか
チェーンソーだったら自分で投げたカッターで自分の首を落としたあいつも...
>>682 毎週見ると迷作、まとめて見ると意外と名作と言ってみる
俺はとりあえずマンガ版が椎名氏だったことに衝撃だった
竜王ひ孫の人乙
フランクな絶対強者って好きだわ
コルベールは ショックをうけた
>>697 平成屈指の名作だよな、ネクサス
どうしようもなく暗いけどw
チェーンソーといえば
スパロボで終盤お世話になったクビキリもチェーンソーだったなぁ
原作であんなん使ってたっけ・・・アニメもよぅ覚えてないんだけど
沢渡もユリアンヌも呼ぶほどの人らじゃないんだよなぁ
ジャックくらいならインパクトは十分だが
パイルバンカーは? KISARAGIは? Team R-TYPEは?
>>R-TYPE
こねたで召喚されてたな。たしか。
ジャック、パイルバンカー、KISARAGI…
AMIDAタン召喚?
つがいで
AMIBAとな?
>>701 同意。
でも「楽しい時を創る企業が作る暗い番組」と誰かに評されてたのには笑ったw
>>708 コスモスとはいろんな意味で対照的だった。
なにを考えてあんなもん作ったのやら。
まあおかげでマックスやメビウスができたことだけはありがたいがw
まあシリーズが長く続けば、中にはよく分からんものや、人によっては駄作扱いされるものも出てくる。
ライダーしかり、戦隊しかり、ガンダムしかり。
……具体的にどれだ、とは言わんが。
>>708夜明け前が一番暗いんだってな放映時間的にも
地獄少女とかあそこのあたりに流してくれればと
所でライオン丸Gから獅子丸なんかどうだ?爆乳さん家には錠さん、ジョセフんとこには893の親分で
実写だと鬱展開、漫画なら放浪ENDで
ひまご面白い 次期待してるよ〜
変身姿早速見せたら
ギーシュ絶対に決闘しようとは思わないだろw
サマルじゃなくてあいつを仲間にしたかった
破壊の気をまといしはやぶさの剣を装備したサマルトリアをご所望とな
血は凍れ 心臓は破裂しろ 体液は沸騰して飛び散れ ザラキ!! だったかな?
詠唱が唱えるたびに違ったけどすごくかっこよかったです。
ザラキは初登場時は攻略本の説明や使用するモンスターから氷系みたいなイメージだったが
アベル伝説ではどう見ても炎系の呪文だったから違和感が凄かったな
DQ2の説明書には、血液を一瞬で凝固させる呪文っていう説明がされていたな。
凝固と凍結は意味が違うが、確かにブリザードとかも使ってたし、氷系なイメージあってもおかしくない。
ロマサガのブラッドフローズは名前の通りの血を凍らせる即死魔法だったな
漫画じゃ不発一回だけだった気がする
そんなわけで「ワグナス!!」・・・とか呼んでみたい
ぶったおれたサマルおっぽりだしてムーンとデート楽しんだ野郎ども、怒らないから手を上げなさい
「はーい」
おおなんと竜王のひ孫とは…どんな展開か予想がつかないけど話が長く続くと良いなあ。乙です
上下巻家にあるんだがプレミアなんかついてたのかあの本…
たしかゲームブックの展開では変身後の実力はキースドラゴンを圧倒するくらいなんだっけ?
ハーゴンとどっちが強いかは知らんが…まあシドーよりは劣るんだろうな
後は人間形態でもベホイミとかベギラマとか使えるんだったか。まあ大体DQ1の竜王準拠な能力と考えればいいのかな
ドラクエキャラぐらいなら系統魔法でも倒せる気がする
フレイムボールとかドラゴンでも死ぬだろあれ
んー、でもタバサは成体の火竜(ハルケ版)に完敗して「人間ではとても敵わない」みたいな感想漏らしてるしなあ…
まあモロに直撃すりゃ殺せるかもしれんけど。ハルケの竜はゼロ戦の機銃で死んでるしな
ドラクエ世界の竜は大地斬でも斬れないくらい皮膚が硬い(ダイ大とか参考)ので機銃で殺せるかは分からんが
まあ強いのになればたとえ生身の人間でもイオナズンとか直撃してピンピンしてるというドラクエ世界のナマモノは、
どんな強いメイジでもフレイムボールとかモロに当たったら絶対死ぬハルケ世界の生物とは根本的に構造が違うというか、
比較が難しいとしか言いようがないが…
竜王に関して言えば、ベギラマは効果無かったはずだから高熱呪文のフレイムボールが効くかどうかはちょっと怪しいかも
ドラクエ世界の生物は呪文が直撃しても一発や二発じゃ死なないくらいタフだが、
基本的に呪文を回避するという概念が無い(フバーハのような防御呪文や、耐性によって当たっても効かないというケースはある)
ハルケ世界の生物は呪文が直撃したら基本的に致命傷だが、
呪文を回避したり風の障壁や土の壁で防いだりして直撃を避ける
みたいなかんじかな?
そういえば昔ヴァルキリープロファイルからの召喚モノで、
呪文を回避したレナスが「此方の呪文は避けられるのか」みたいに意外そうな感想を漏らしてたのがあったな
いやそのりくつはおかしい
たたかうでミスることがあるんだから回避ぐらいはするだろ
魔法が絶対命中するのは回避できない特性が魔法の方にあると考えるのが普通じゃないか?
誘導やら範囲広すぎるやら
とするとドラクエの呪文は最初級のメラから上級のイオナズン等に至るまで、
すべて回避できないくらい攻撃範囲が広いか自動命中機能付きかもしくは亜光速とかで飛んできて回避できないってことかな
まあそうなのかもしれないが
魔法はプロレス
回避できないのはゲームシステム上そうしただけという解釈が妥当に思える
いくつかの漫画では普通に回避してるし
>>724 ドラクエ世界の人間(最終決戦レベル)って、モシャスで勇者に変身したマネマネ(orジェリーマン)のギガデインすら耐えるからな。
ライトニングクラウドで一撃死するような奴じゃ、肉体の耐久力からして違うだろ。
さすがに、ライデインならともかく、ギガデインがライトニングクラウドより弱いなんてことはないだろうし。
家庭用ゲーム機のRPGで呪文防御アクションやら呪文回避やらの概念を導入しても
システムが複雑になって海外のムズゲーで鍛えられたユーザーならともかく、
日本のプレイヤーは適応出来ないだろ、子供さんも遊ぶんだから
ダイ大基準にしちゃうと、非力な魔法使いのポップでも初期の時点で大岩持ち上げてスクワットやってるからな。
しかも平然と。 ダイでも最初は岩担ぐのに必死だったのに。
あの世界の戦闘職、魔法使いでさえ身体能力半端ねえぞ。
あいつは英雄の器だから
呪文の効果も世代によって違うよね。
ベギラマは雷の呪文だったし、ギガデインはFC版の説明書だと内部から破壊する北斗神拳みたいな呪文だった。
ゲーム的な部分を、そのまんま小説での描写に持ち込むのはナンセンスだと思うんだけどなぁ・・・
英雄だろうがなんだろうが、雑兵の矢が心臓に当たれば死ぬだろ?
大丈夫、跳ね返した
ダイはアバンとの修行1日の時点で自分の体よりでかい岩をバターのようにやすやすと斬っている
この時点で既に並みのガンダールヴレベルの能力がありそうである
↓
更に3日めの時点で魔法も使わずにドラゴンのブレスや海を切り裂く技をマスターする
こんな芸当普通のガンダールヴには出来ない
↓
その能力を持ってしてすら魔軍司令ハドラーには指一本で剣撃を止められてしまい相手にならない
↓
最終決戦の時点ではその司令ハドラーですらついていけないほど戦闘レベルが上がっている
とゆーのがダイの世界でして…
他のドラクエ世界での魔王レベルのキャラがいきなりパワーアップ復活して登場するところから始まる物語だからなあ…
魔王時代のハドラーでも既に竜王クラスの強さはあるだろう存在だから…
それが痛恨の一撃なんだろうけど攻撃力が足りないとたいしたことないしなあ
みんな一体何の議論をしているんだ……
この調子でダイ大スレ盛り上げてやれよw
ヒットポイントというのは耐久力の他に、回避能力や魔法・加護による障壁等を含めての総合的な
「致命傷を避ける力」である、というのを何処かのスレで見たな。
ヒットポイントがヒッポリトに見えた俺はブロンズ像になって反省してくる
>>736 こんなところで何やってんですか、ちよちゃんのおとーさん。
魔法を避けれる作品……っていうかゲーム。
スーパーロボット大戦NEOだったら避けれるなたぶん。
まあレベル一桁で盗賊なのに魔王倒せる勇者だっているしな。
魔法を避けられる作品といえば、FEが真っ先に思い浮かぶ。
RPGだとなんかあったかな。テイルズも一部を除いて避けられたけど、あれは戦闘パートがアクションだし。
ポーリィ=フェノールなんかLv0で魔王を倒しているしな。
“下がる男”柊蓮司に至っては、宣言するだけで冥魔王の一人を返り討ちにしちゃうくらいだ。
魔法を避けられるならスターオーシャンのファイヤーボルトやウィンドブレイドなど一部の魔法は回避可能
ライトニング・ボルテックスを月の書で回避するのは違うか
ライバック召喚
昔から疑問だったんだが竜王のひ孫って精々40歳ぐらいだよな
竜王をジョナサンとするならひ孫は空条ホリィ
当時の堀井は「竜族は長寿」ってファンタジー界の常識を認識してなかったんだろうなあ
なんかDQのキャラは魔法回避出来ないみたいに語ってるけどマヌーサとかメダパニとか回避してるでしょって
そもそもメタル系みたいに「効かなかった」とかあるんだしその辺は書き手の推量に任せりゃいいだろ
使い魔は4代目、面白かったのでまとめwikiに登録したんだが一覧ページの作成に失敗した。
どなたか補完をたのんます。
一話の登録と *長編(五十音順)さ〜な に登録はできたんだけど・・・・
>750
曾孫が40でも孫は400くらいかもしれないじゃないか。
王子たちはもっと世代が経っていそうだし。
>>749 ライドバックに見えた
ゼロ戦の代わりにライドバックでもいいかもな
ゼロ戦の代わり……紅い飛行艇とかあったらロマンだな。
スカイホエールなら白酒も作れて一トンの胡椒を上空から散布できるな
>>737 漫画版は戦闘インフレがしやすいからな
ドラクエ6の漫画なんて主人公の攻撃の余波で一キロくらいの大きさの城が消滅したり
ラスボスが大陸消滅級魔法に耐えたりしていたし
世界征服するとか滅ぼすとかぬかすラスボスなら
それぐらいやってもらわないと説得力ないと思うんだが。
みかわしの服もあるくらいだし、回避は反映されてると思う
何より、はぐれメタルに攻撃が当たらねー!
>>750 逆に考えよう。
たかだかそんな年の若造だから、ハーゴンだのに好きにさせてしまっているんだと。
もし一人前の竜王になっていたら、少なくともアレフガルドはハーゴンの好きにはさせてなかったよ!
とかw
経験値の概念を持ち込むのもことだな
ルイズははぐれメタルを召喚した
はぐれメタルの攻撃、ルイズは10のダメージを受けた
ルイズの攻撃、かいしんのいちげき、はぐれメタルに30のダメージ、はぐれメタルを倒した
パンパカパーン
ルイズはレベルがあがった、エクスプロージョンをおぼえた、ディスペルをおぼえた、
イリュージョンをおぼえた、テレポートをおぼえた、せかいとびらをおぼえた
>>759 回避できないっていってるのはDQの魔法のことであって、
普通の攻撃(たたかう)が回避できないって主張じゃないと思うけど
ダイ大とか、DQ原作の漫画作品内で魔法を回避してる描写はあるけどね
763 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/20(日) 01:10:01.68 ID:5rO3ocsd
属性防御で固めてたりみかわし率高かったり実力差が開きまくってたりしたら「ミス」になったりするんだから
ドラクエの魔法だって一概に回避出来ない、とは言えなくない?
つーか「ノベル版とかゲームブックなんかを参考にしました」とか言っとけば大概は文句も出ないだろ
っていうかリアルで考えれば
『曙が現れた』
『2ちゃんねらーAの攻撃』『会心の一撃』『2ちゃんねらーAに10000のダメージ』『2ちゃんねらーAは倒れた』
『2ちゃんねらーBの魔法』『ザムディン!』『しかし効果がない』
『2ちゃんねらーCの特技』『正拳突』『1のダメージ』
『2ちゃんねらーDの特技』『ランエボひき逃げアタック』『1000のダメージ』『曙は倒れた』
『2ちゃんねらー達は勝利した』
とかやっても経験値なんて入らないんだから、ゲームのシステムをそのまま他作品に持ち込んでくる方がおかしいんだ。
ゼロ魔だって、ゲームバージョンのシステムを元にして書かれてるSSなんて普通ないし。
>>753 主人公三人組はそれこそ承太郎世代で
竜王の曾孫とはさして離れてない気がする
DQUの世界はTの勇者がローレシアと他二国をつくってから約100年後なんだよな
皆さんおはようございます、今週はちょっと早めに投下をはじめたいと思います。
予約がありませんでしたら、10分おいて10:50より開始いたしますのでよろしくお願いします。
第三十二話
伝説を受け継いだルイズ
幽霊船怪獣 ゾンバイユ
ミイラ怪人 ミイラ人間 登場!
ウェールズは、信じられないような光景を目にしていた。
今まさにウルトラマンにとどめを刺そうとしていた怪獣の傍らに、ぽつりと小さな光球が現れた。
「あれは……」
なんだ? という言葉をつぶやく前に、光は自らの存在感を変えていった。はじめ夜空の星のような
儚げな点であったものが、みるみるうちに真昼の太陽のように膨れ上がって、瞬く間に怪獣の巨体を
覆いつくした。
白の世界、そのときに彼らが見たものを表現するとしたらその言葉しかないであろう。
とどまることなく膨張する光は、本物の太陽以上の輝きを持って人々の網膜を焼く。
とても目を開けていられなくなったウェールズや、艦隊の将兵たちは目をつぶり、手のひらで目を覆った。
それでも太陽の中に投げ込まれたような錯覚が襲い……唐突に、光は消滅した。
まぶたを開けたとき、目の前の景色は一変していた。
怪獣の体の半分……光に包まれた部分が、溶岩に触れた大木のように焼け焦げていたのだ。
悲鳴をあげて、怪獣はがくりと地面に崩れ落ちた。砂塵が舞い上がって、一呼吸遅れて地響きが鳴り響いてくる。
「やった……のか?」
ウェールズは、目の前で見たものをそのまま言っただけのつもりだったが、自分で自分の言ったことが
信じられなかった。あれだけ傍若無人を尽くした、悪魔のような怪獣が、ほんの一分前には考えられなかった
ような無残な姿をさらしている。いったい何が……? その疑問に答えられるものはいなかった。
一方、ゾンバイユがダメージを受けたことにより、同時にウルトラマンヒカリを拘束していたビームも
解除されて、解放されたヒカリはかろうじて着地して、苦しそうにひざをついた。カラータイマーは限界で、
全身に激しいダメージがあるが、どうやらギリギリのところで助かったようだ。
ヒカリが無事だったことで、艦隊から離れたところでことの推移を見守っていたキュルケたちも、
シルフィードの上で胸をなでおろした。が、ルイズはただ一人、杖を振り下ろした姿勢のままで立ち尽くし、
その視線を怪獣へと向けている。ルイズの目的は、まだ果たされていないからだ。
ゾンバイユの、城砦のような胴体の左側に直径十数メートルの大穴が開き、そこから煙が噴き出していた。
中には、生体に埋まるようにしてメカがのぞいて火花を散らしている。あれは、ゾンバイユがどこかの星の
宇宙船だったころの名残だろうか。
そのとき、もだえていたゾンバイユの様子が変わった。まるで食べすぎた人間が、胃袋の反動を受けた
ときのように、短い腕で腹をかきむしって苦しみだした。そして、ついに耐え切れなくなったとき、傷口から
蛍のように輝く光が大量に漏れ出しはじめた。
「あの光は、まさか!?」
周囲一帯へと散らばっていく光を見て、タバサははっと気がついた。光はそれ自体が意思を持っている
かのように、それぞれがゾンバイユに襲われた街のほうへと飛んでいく。そうして、タバサが予想したとおり、
光は魂を奪われた人々の体に吸い込まれていった。
「う……」
「あれ……わしは」
「ど、どうしたのかしら」
思ったとおり、光を得た人々は次々に意識を取り戻していった。
当然、街の人々だけではなく、魂を奪われていた学院の生徒たちも皆蘇生している。
「あ、あれ。俺?」
「なんか、すげえ冷たいところに行ってたような」
「ギーシュ! ギーシュ目を覚まして」
「う、ううん今行くよレディたち……あれ、モンモランシー? おかしいな、きれいな川の向こうにたくさんの
美女たちが待ってたはずなのに」
「こんのぉ、やっぱり地獄に落ちなさい!」
約一名、生き返ったはずなのに死に掛けている者がいるが、生徒たちは誰一人欠けることなく現世に
舞い戻ってきた。
そして、シルフィードの上にやってきた光が才人の体に宿ったとき、蝋人形のように血色を失っていた
彼の肉体に肌色が戻った。同時に、固く閉ざされていた瞳が動き、喉からうめくような声が漏れる。
「う……ああ」
うっすらと目を開いた才人は、陽の光のまぶしさに思わず眉をひそめた。それでも、光をさえぎっている
影から、自分を見下ろしている誰かがいることにだけは気がつくと、見慣れた髪型から無意識にその名を
つぶやいていた。
「ルイズ?」
「サイト! サイトぉ、生き返ったのね。よかった、よかったあ!」
「わっ! お、おいどうしたんだ」
突然抱きついてきたルイズに、才人は目を白黒させるばかりであった。そりゃ、何があったのかなど
知っているわけはないので当たり前ではある。でも、一部始終を知っているキュルケとタバサは、ほっとして
顔を見合わせていた。
「ほんとに、見てるこっちの寿命が縮むカップルなんだから」
「昔から……それと、あっちも」
タバサが杖で指し示した先を見て、キュルケも息を呑んだ。
怪獣ゾンバイユは、どてっぱらに風穴を開けられただけでなく、エネルギー源として取り込んだすべての
魂を解放されて、明らかに弱体化していた。鋭い爪を生やした太い腕はだらりと垂れ下がり、四本の足は
酔っ払いのようにおぼつかない。飛行能力も失ったと見えて、致命的なダメージを受けたというのに
逃げる気配も見せない。
これを、ルイズの……あのルイズの魔法がやったのかと、二人は信じられない思いだった。確かに
ルイズの魔法はすべて爆発する。しかし、軍艦の砲撃やウルトラマンの打撃でさえ大きなダメージを
負わなかった怪獣の体をえぐるとは、いくらなんでも度を越えすぎている。
死に体のゾンバイユに向かって、ウルトラマンヒカリは最後の力を振り絞ると、右手を空に向かってかざした。
「ムゥン!」
気合とともに、ナイトブレスにエネルギーが稲妻のようにスパークし、スペシウムエネルギーがチャージされる。
とどめだ! ヒカリは片ひざをついたまま、腕を十字に組んでエネルギーを解き放った。
『ナイトシュート!』
青い光芒がゾンバイユを撃ち、単眼を打ち抜いて体内でエネルギーが荒れ狂う。
断末魔の遠吠えをあげ、倒れこんだゾンバイユは次の瞬間、巨大な爆炎をあげて吹き飛んだ。
「や……やった!」
炎が立ち上がり、火花が舞い散る噴火口のような光景に、艦隊から、街中からいっせいに人々の
歓声が轟いた。ゾンバイユは、もうあとかたもなく、煙となって炎の中へと消え去っている。宇宙を荒らし、
魂を貪り歩いて恐れられた伝説の怪獣は、異世界の土となって本当の伝説のかなたへと消えたのだ。
被害を受けた人々も皆回復し、火災を発生させている市街地も、早くも銃士隊や衛士隊が避難誘導から
消火活動に切り替えつつある。それに、フェヴィス艦長の進言でラ・ラメー提督は護衛艦数隻を降下
させていった。バラストや飲料水タンクの水を放水すれば、消火にはかなり助けになることだろう。
ウルトラマンヒカリは、そんな人間たちのたくましさを見届けると、ぐっと力を込めて立ち上がった。
それだけで目がくらみ、よろめきそうになるけれど、なんとか体を支える。そして、視線をめぐらせて
シルフィードのほうを見、才人の無事を確認すると、視線をルイズに移した。
「……」
時間にしたら、多くて二秒というところだろう。そのときのヒカリは、結局最後まで何も言うことは無く、
ただじっと才人の無事を喜んでいるルイズを見つめると、やがて無言のままで空に飛び立った。
「ショワッ!」
あっというまに艦隊の上空を飛び越え、雲のかなたへとヒカリは飛び去っていった。
人々は、ウルトラマンを初めて見る人もそうでない人も、大きく手を振って見送った。
街の火災も艦隊の応援を得て急速に鎮火に向かい、ラ・ロシュールは危うく壊滅の危機から救われた。
戦艦『レゾリューション』は再び桟橋に接岸し、ウェールズ王は世界樹に降り立った。これから、誤射の
件も含めてしばらくは事後処理に当たらねばならないだろう。悪くすれば、結婚式の予定も数日遅れる
ことになるかもしれない。
それでも、民間人への被害だけは最低限に抑えることはできた。これで犠牲者が多数出るような
事態になっていたら、婚儀の中断もあったかもしれない。ウルトラマンだけでなく、艦隊や地上で人々を
逃がすために奔走した、大勢の勇敢な人たちがいてくれたおかげなのだ。
地上の騒ぎが一段落したことを確認したルイズたちは、やっと力を抜くとシルフィードの上にへたりこんだ。
疲れた……今回は、本当に疲れた。体だけでなく、心の底から力をしぼりつくしてしまったように思える。
このまま、ホテルに帰って寝てしまいたいと思ったくらいだ。しかし、今ごろは魂の戻ったギーシュたちが
心配しているかもしれない。まだ少々くたびれるが、帰ろうか。ルイズにそう言われたタバサは、シルフィードを
世界樹に向けさせた。
だが、すべてこれで終わったと思いかけていたルイズの元に、突然暗い女の声が響いた。
「ふっふふふ、見たわ、確かに見せてもらったわよ。偉大なる虚無の担い手殿」
「っ! 誰!?」
聞き覚えの無い声に、ルイズたちは周りを見渡したけれど何も見つけることはできなかった。すると、
ルイズの目の前にひらひらと一羽の蝶が飛んできた。
「蝶?」
「違うわ、これはガーゴイルの一種よ」
怪訝な顔をするキュルケに、ルイズは落ち着いた様子で指摘してみせた。形はどこにでもいる蝶
そのものだが、今は真冬。それに蝶がこんな高度にまで来るはずがない。それを裏付けるように、
蝶から先程の女の声が、今度は抑揚を下げて響いた。
「ご明察、なかなか賢いわね。とりあえず、はじめましてと言っておきましょうか」
「あなた、誰?」
「ふふふ、そうね。呼び名がなくては不便だから、とりあえずはシェフィールドとでも呼んでもらおうかしら」
「っ! ふざけないで」
明らかに本名ではない名を告げた相手に、ルイズは怒鳴り返した。キュルケとタバサは周囲を
見渡しているが、まず無駄だろう。恐らくここから見下ろせる一帯のどこかに相手はいる。けれども、
地上には何万もの人があふれていて、とても見つけ出すのは不可能だ。
ルイズは、怒りをおさめると目の前の蝶のガーゴイルに問いかけた。
「わたしに何の用? わたしが、虚無の担い手ですって」
「そうよ。すでに気づいているはずでしょう? あなたは始祖の指輪を身につけ、始祖の祈祷書を
読んだはず。それは、虚無の担い手しか読むことはできないのだから」
その言葉に、ルイズは手の中の祈祷書と風のルビーを見つめた。
気が落ち着いてくると、漠然とした不安がルイズの中に生まれてきた。先程は、才人を助けるために
一心不乱で、手段のことなどは気にも止めていなかったが、自分が使ったのは……
「虚無……虚無って」
始祖が使ったという伝説の系統ではないか。授業をまじめに受けていたルイズは、それが失われた
伝説の魔法であることを知っていた。それを自分が? あらためて思うと実感はないけれど、そういえば
才人の使い魔としてのルーンは、伝説の使い魔ガンダールヴのものであった。ならば、その主人で
あった自分も……明晰なルイズの知性は、彼女の意思とは無関係にパズルのピースを組み上げていく。
戸惑うルイズに、才人もキュルケもタバサも話しかけることができずにいる。いらだったルイズは、
その激情を、ガーゴイルの向こうの女に向けた。
「それで! わたしが虚無の担い手だからどうだっていうのよ」
「ふふふ、怒らない怒らない。可愛い顔が台無しよ。今日は、ただあなたにあいさつをしたいだけよ。
わたしはね、さる高貴なお方に仕えているのだけれども、そのお方があなたとお友達になられたいと
おっしゃられているの」
「わたしと?」
「そうよ、かつてはエルフとさえ対等に渡り合ったという伝説の魔法、それが虚無の系統。そんなすごい人と、
友好を結びたいというのは当然でしょう?」
「ふざけるんじゃないわよ!」
ルイズはシェフィールドの言葉が終わらないうちから、自分の歯を噛み潰してしまいそうなほどに激昂した。
なんのことはない、こいつらは自分を利用しようとしているのだ。そんなこと、断じて認めるわけにはいかない。
経過を見守っていた才人たちも、口々に武器を手にして言う。
「おい、シェフィールドだかなんだかしらねえが、ルイズに手を出したらただじゃおかねえぞ」
「誰だか知りませんが、あなたはわたくしたちの敵なのだけは間違いないようですわね」
「……帰れ」
今にも木っ端微塵にしそうな敵意がガーゴイルに向けられる。しかし、シェフィールドは軽い口調を
崩さずに、むしろ楽しげに言った。
「うふふふ、よいお友達をたくさんお持ちでうらやましいですわね。では、今日のところはそろそろ
おいとますることにしましょう。あなたという虚無の担い手を探し出すという、本日の目的は充分に
達成できましたからね。今日のサプライズはお気にめしたかしら?」
「なんですって!? まさか、あなたがあの怪獣を……まさか、ヤプールの手先!?」
「失礼ね。わたしをそんなものといっしょにされては迷惑ですわ。わたしはれっきとしたハルケギニアの
人間よ。ふふ、でもそれなりのことをできる手段は有していることだけはお教えしておきましょう。
では、近いうちにまたうかがいにまいりますわ」
「あっ! ま、待て!」
叫んだとき瞬間、ガーゴイルは自爆して粉々の塵となった。破片を捕まえるまでもなく、残骸は
あっという間に風に吹かれて消えていき、後には何も残らなかった。
「逃げられた……」
これで、もうシェフィールドを追跡する手がかりはなくなってしまった。
もはや、誰の声もなくなってしまった空の上で、憮然としてルイズはつぶやいた。
「シェフィールド……いったい、何者なの」
それに答えることができるものは誰もいなかった。わかっていることは、ヤプールとは別の新たな敵が
現れたということだ。それも、ハルケギニアの人間だという。そう、自分たちと同じ人間だと。
「わたしたちは、人間とまで戦わなくてはいけないの……?」
これまで、自分たちが命をかけて戦ってきたのは人間のためではなかったのか? なのに、その人間が
自分たちの敵となる? なぜ……? どうしようもない脱力感がルイズの全身を包んだ。そして、抗うことも
できないままで、ルイズは才人の腕の中にくずおれていった。
「ルイズ!? どうした!」
「ごめんサイト……すっごく、眠いの……」
激しい睡魔に襲われて、ルイズは意識を深い闇の中へと沈めていった。
ゆるやかな寝息をたてはじめたルイズを見て、才人はほっとしたようにルイズを優しく抱きかかえた。
しかし、キュルケとタバサは、気を失ったルイズと、彼女の指にはめられた風のルビー、そしてただの
古書に戻った始祖の祈祷書を見て、自分自身に確認するように憮然とつぶやいていた。
「虚無の系統……ルイズが……」
翌日、ルイズと才人、それにキュルケとタバサはトリスタニアの王宮に姿を見せていた。
すでに、ラ・ロシュールでの事件のあらましはアンリエッタの元へと報告がされていた。ガリア艦
『シャルル・オルレアン』から怪獣が出現し、ラ・ロシュールの街を破壊し、駐留艦隊やウルトラマンの
迎撃も撃退して暴れまわったが、正体不明の謎の光によって倒された。
「その、光を作り出したのがあなただというのですか、ルイズ?」
アンリエッタの、テーブルの上に置いた報告書から視線を移しての質問に、ルイズは深くうなずいた。
緊急の用があると、謁見を申し込んできたルイズを、アンリエッタは公務を中断させてまで招きいれた。
だが、人払いをさせた上で親友の口から語られた話は、覚悟していたはずのアンリエッタの想像を
はるかに超える内容だったのだ。
「信じられないと思いますが、そのとおりなのです。わたしは、この始祖の祈祷書に書いてあった文字を
読むことができました。これには、始祖ブリミルが直筆で、後世にあてた文書が残されていたのです」
どこまでも真面目な顔で驚くべきことを告げるルイズに、アンリエッタはただうなづいた。ルイズは、
自分の知る限り、こんな嘘をつく人間ではない。それに、同行してきたゲルマニアの大家ツェルプストー家の
子息と、公言はしていないがガリア王家に由来する青い髪を持つ少女も証人と言っている。
ルイズは、一呼吸をおくと、一気に続きの用件を伝えた。
「むろん、これはわたしたちにとっても晴天の霹靂でした。ですが、虚無といえば伝説上の系統……
容易に調べるわけにも他言するわけにもいかず、考えました結果、始祖の祈祷書と始祖のルビーが
伝わってきた王家になら、なにか手がかりがあるかもと愚考いたした次第です」
テーブルの上には、艦隊から届けられた映像の記録水晶が置かれている。それには報告書のとおりに、
怪獣の出現から撃破までの一部始終が映し出されており、荒唐無稽な話だと退けるわけにはいかなかった。
しかし、いくら幼少からの親友とはいえ、確証もないことをおいそれと信じるわけにはいかない。
「言っていることはわかりました。しかし、わたくしにはその始祖の祈祷書は、ただの白紙の本にしか
見えませんが……」
「ごもっともです。では、これより証拠をお見せいたします」
そう言うとルイズは風のルビーをはめ、始祖の祈祷書を開いた。すると、風のルビーと祈祷書が、
あのときと同じように神秘的な光を放ちだし、アンリエッタは息を呑んだ。
支援
そして、ルイズは最初のページに記された輝く古代文字を読み上げていった。
『序文。
これより、我が知りし真理をこの書に記す。この世のすべての物質は、小さな粒よりなる。四の系統は、
それらの粒に干渉し、影響を与え、かつ変化せしめる呪文なり。その四つの系統を『土』『風』『水』『火』と為す』
光に照らされて、憑かれたように朗読を続けるルイズを、一同は無言で見守った。
『さらに、これらの四にあてはまらざる系統の力を我は持った。四の系統が影響せし粒は、より小さき粒より
成り立つものである。我が系統は、この極小の粒に影響を与え、変化させし呪文なり。四にあらざれば
それすなわち『零』、よって我はこの力を『虚無の系統』として後世に伝えるものなり』
そこには疑いようも無く、虚無の系統と明記されていた。誰とも無くつばを飲み込む音が鳴る中で、
ルイズはさらにページをめくり、読み進める。
『我と、我の同胞がなし得なかった目標を、我はここに書き残す。我の果てる地を、『ハルケギニア』と
名づけて我は逝く。我の唯一の心残りは、『ハルケギニア』のはるかな東方、『聖地』を取り戻すことが
叶わなかったことにあり。これを読みし者は、我の『虚無』の力を受け継ぐ資格を持つ。その力は強大なり、
そして『聖地』を目指す鍵である。ただし、汝にその意思なくばそれもよし。『虚無』は詠唱は長きにわたり、
多大な精神力を消耗する。時として命すら削る諸刃の刃、我の理想と目標を受け継ぐもののみが、
この力を手にするがよし。そのため、我はこの書の読み手を選ぶ。たとえ資格なきものが指輪をはめても
この書は開かれぬ。選ばれし読み手は『四の系統』の指輪をはめよ。されば、この書は開かれん』
ページをめくり、ルイズは深く息を吸って読み上げた。
『最後に、我の目標を受け継ぐものが後世に現れることを切に願う。我の子たちは、我が第二の故郷に
それぞれ国を作った。将来、我の力を受け継ぐものたちはその血筋より現れるだろう。しかし、我は
同時に子孫たちに詫びねばならない。我と、我の同胞の犯した罪は『聖地』より、いずれこの地にまで
厄災をもたらすやもしれぬ。その日が未来永劫来ないことを願い、万一のときに備えてこれを残す
ものとする。我が末裔よ、意思あらば書を開き続けよ。時いたらば、すべてを語ろう。
ブリミル・ル・ルミル・ユリ・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリ
以下に、我が扱いし『虚無』の呪文を記す。
初歩の初歩の初歩。『エクスプロージョン』』
読み終えたルイズは祈祷書を閉じた。アンリエッタは唖然として言葉もない。
半信半疑だったアンリエッタも、国宝の祈祷書と、アルビオンの秘宝が放つ光を目の当たりにしては
考え込まざるをえなかった。ルイズが虚無? 幼馴染であり、今でも姉妹のように思っている親友が
伝説の系統の担い手だというのか。
「わかりました。正直、わたしも気持ちの整理がつきませんが、事実に間違いないようですわね。
ですが、虚無とは……いいえ、考えてみたら当然かもしれませんわね。世界が危機に陥り、破滅へと
突き進んでいるこの時、始祖の力を受け継ぐものが目覚めるのは……かつて、始祖ブリミルは三人の
子供に王家を作らせ、指輪と秘宝を残した。それらの一つがその祈祷書とルビー」
「はい」
「そして、王家には、こんな言い伝えがあります。始祖の力を受け継ぐものは、王家に現れると。
今、ルイズが読み上げた内容とも一致しています」
「わたしは王族ではありませんわ」
「いいえ、ラ・ヴァリエール公爵家は王家の庶子。あなたにも王家の血は流れているのですよ」
はっとしたルイズに、アンリエッタはうなづいてみせた。
「話してくれますね。わたくしにすべて」
「はい」
ルイズは迷うことなくすべてを告白した。
昨日、意識を失ったルイズが意識を取り戻したのはすでに日も落ちた時刻になってからであった。
それでも、自分のやったことについてはしっかりと覚えていた彼女は、気持ちを整理するとまず才人に、
続いて才人の勧めでキュルケとタバサに相談した。
いくつかの憶測と仮説が提示され、実験を重ねた結果、少しだがわかったこともあった。
まず、祈祷書に注意書きされていたとおり、文字は風のルビーをはめたときでないと読めないこと。
ルイズ以外の人間には、祈祷書が発光するのまでは見えるが、文字は見えないこと。
エクスプロージョン以外のページは、どうやっても白紙のままなこと。
また、もう一度、実験のためにエクスプロージョンを唱えてみようとしたのだが、途中で意識を
失って唱えきることができなかった。
「推測ですが、虚無の魔法は使用する精神力が膨大なために、あの一撃で力を使いきってしまった
というのが、まず正解だと思います」
「と、いうことは回復するまではしばらくは虚無の魔法は使えないということですか?」
無言でうなづいたルイズに、アンリエッタはほっとした様子を見せた。
「そうですか、それはかえって幸いだったかもしれませんね」
「どういうことですか?」
「よいですかルイズ、過ぎたる力は心を狂わせ、身を滅ぼします。今のあなたにその気が無くても、
必要に迫られれば力を行使せざるをえないことにもなるでしょう。人は、よくも悪くも『慣れ』やすい
生き物です。そして慣れは、警戒や恐怖を薄れさせます。なにが言いたいのか、わかってくれますね?」
「はい、わかります。いえ、わかっているつもりです」
ルイズは、もしもあの力が行使することに失敗し、トリスタニアの真ん中や魔法学院で炸裂させて
しまったときにはどうなるのかを想像して身震いした。あのときは、相手が怪獣であったからよい。
しかし、あの魔法はその気になったら数万の人命をも一瞬で消滅させてしまうような凶悪なことにも
使用できてしまうのだ。
アンリエッタは、手に入れてしまった強すぎる力におびえるルイズの肩を抱き、優しく話しかけた。
「次に、虚無の魔法を使えるようになるかにどのくらいかかるかわかりませんが、それまでのあいだに
じっくりと考えておくことです。わたしとしては、あなたにはその力を二度と使ってはほしくありませんけれど、
これが始祖のお導きならば、あなたが担い手になったのは、きっと何か意味があることなのでしょう。
悩みなさい。自分に問いかけ続けなさい。その苦しみがある限り、あなたは自分を見失うことはないでしょう」
あえて、迷いをぬぐうことをアンリエッタはしなかった。悩みの無い人間を人はうらやましがるけれど、
実はそういう人間は、ほかの人間にとって大変危険なのである。なぜなら、例え誤った考えを持っていた
としても、自分のやることを疑わないから過ちに気づかない。正確には、自分を妄信するというべきであろう。
確かに悩みはないだろうけれど、自分の正義のためなら他のすべてを犠牲にして平気な最悪の
人間となってしまう。
「姫さま、ですがわたしはご存知のとおり、すべての魔法を失敗させてきました。嘲りと侮蔑の中、
ついた二つ名は『ゼロ』、姫さまと祖国のために尽くしたいと考えてもなにもできぬ口惜しさに、
常に身を震わせてまいりました。運命が、わたしに力を与えてくれた今、この力を正義のために、
姫さまのためにもお役に立てたいと考えます」
「ルイズ、結論を急いではいけません。虚無には、まだ謎が多すぎます。あなたは、いわば初めて
自分の足で立った幼児のようなもの、いきなり跳んだり駆けたりすることができますか? 第一、
あなたのその力を狙っている敵がいるとのこと。なによりもまず、自分を守ることを考えなさい。
これは主君としての命令です」
「はい……」
命令という形をとられては、ルイズは貴族として従うしかなかった。アンリエッタとしても、こんな手段は
使いたくはないのだが、親友ゆえにルイズの向こう見ずさはよく知っている。内心では、心配で
仕方が無いけれど、それを知ればルイズは逆に強がるであろう。
「よろしい。それから、このことは当分のあいだはここにいる者だけの秘密としましょう。人は欲深い
生き物……あなたのその力を知れば、よからぬことを考えるものも出てくるでしょう」
ルイズは無言でうなづいた。才人は当然のこと、キュルケとタバサも異存のあろうはずもない。
皆の意思を確認すると、アンリエッタは始祖の祈祷書をあらためてルイズに渡した。
「これは、しばらくあなたに預けておきましょう。虚無の謎を解くのには、欠かせないでしょうからね。
それから、風のルビーはアルビオンに返還しなければいけませんから、代わりにわたしの水の
ルビーを預けておきます」
「姫さま! ですが、これらは姫さまの結婚式のために」
「式典用のイミテーションがありますから、それで代用することにいたします。ウェールズさまは、
わたしが何とかごまかしておきましょう」
軽くウィンクをして、まかせておけという仕草をしたアンリエッタの顔は、幼少のみぎりにルイズと
いたずらとしてまわったおてんば娘の、それそのものであった。
「ただし、あなたに頼んでおりました詔と巫女の役目は下りてもらわねばなりませんが、よいですね?」
むろん、ルイズに異存のあろうはずはない。破格の配慮に比べれば、安すぎるくらいである。
「姫さま、何からなにまでありがとうございます」
「よいのです。誰よりもまず、わたくしに相談にきてくれたあなたの友情に、応えないわけにはいきません。
しかし、独力で虚無の謎を探るにも限界があるでしょう。誰か、優秀で信頼のおける学者に心当たりは……
そういえばルイズ、あなたのお姉さまは王立アカデミーで主席研究員をしておられるとか」
「え゛っ」
ルイズが露骨にいやそうな顔をするのも無理はない。本来の筋で言えば、真っ先に相談に行くべきなのは
母のカリーヌか姉のエレオノールなのだけれど、パスしたのはこの二人が苦手だからだ。
「姫さま、それはちょっと……」
「なにか問題でも?」
「いえ、そういうわけではないのですが」
苦手だから嫌だとはさすがに言えない。でも、秘密を厳守してくれて、且つ優秀な学者といえばほかに
思いつかないのも事実だ。それはわかっているのだけれど、あの姉と四六時中顔を突き合わせて、
でなくとも見張られたり観察されたりするのは、まるで牢屋に入れられてるような気がする。
というより、小さいころにはヴァリエール家にもよく遊びに来ていたアンリエッタは、ルイズがエレオノールを
苦手としていることは知っているはずだ。なのに、平然とエレオノールを推すとは。ルイズは、「どうしたの
ルイズ?」といわんばかりに微笑を浮かべているアンリエッタを見て、気づいてしまった。
”姫さま、わかってて楽しんでるわね”
内心でルイズは、この方は幼い頃のままなのねと頭を抱えた。三つ子の魂百までとはよく言ったものだ。
しかも昔に比べて知恵がついてるから、なお性質が悪い。背中に天使の羽がついてるけれど、スカートの
中には先のとがった黒い尻尾があるらしい。
それでも、どうせいつかは話さねばならないことだからとルイズは自分に言い聞かせた。
「わかりました。エレオノールお姉さまに頼ってみます」
「賢明ですわ。辞令のほうは、わたくしからアカデミーにまわしておきます。とはいえ、調査といっても
古代の文献を調べたりするようなことが大部分でしょうから、あまり会う機会はないかもしれませんが。
まあ、あなたの体を直接いじりまわすわけにはいきませんからね」
「姫さま、冗談になっていません」
正直、ぞっとするのである。エレオノールは性格的にはもっとも強く母の血を受け継いでいると言って
いいだろう。妹相手でも何をしでかすか、保障はどこにもない。
「カリーヌ殿には、ルイズの護衛をお願いいたしましょうか?」
「いえ、母に余計な心配をかけたくありません。今の母は、騎士として教師として重責を担う身、
いずれ虚無のことが少しなりとてわかったときに、打ち明けることにいたしたほうがよいと思います」
暗に、護衛は才人がいるからほかにはいらないとルイズは言っていた。
アンリエッタはうなづくと、ペンをとってテーブルの上の公文書用紙にサインを書き込んだ。
「ルイズ、あなたをわたくし直属の女官ということにいたします。この許可証で、王宮を含む、国内外に
おけるあらゆる場所への立ち入りと、公的機関の使用が可能です。万一のときには使いなさい。
ただし、このようなものを一学生が持っていると不審を呼びますから、濫用してはいけませんよ」
「はい、お心遣いに感謝を返す術もありません」
「わたくしには、これしかできることはないだけですよ。でも、銃士隊準隊員の彼がいれば、大抵のことには
困らないでしょう」
アンリエッタに視線を向けられた才人は、どきりとすると姿勢を正した。
「本当は、そばでルイズを助けてあげたいのですが、わたしはこの国を背負う身、代わりにどうかわたくしの
大切なお友達を守ってあげてくださいね」
「それはまあ、これまでもやってきたことですから」
素直に「はい」と答えられないのが才人の未熟なところだろう。けれど、虚無だろうがなんだろうが、ルイズを
守ろうという才人の決意はいささかも変わるところはない。すると、アンリエッタは声をひそめて、才人にだけ
聞こえるようにつぶやいた。
>721
アマゾンの中古品で検索すると、ちょっと意外な値段が出て来ますよ〜
「お気持ちはけっこうです。ただし、守るだけでなくて男性として責任は持たないといけませんよ。先の
ことだからと後回しにして、女の子を泣かせるような真似をしちゃいけませんからね」
才人は、背中からいきなり氷の剣を刺されたように錯覚した。やっぱりこの人は、敵に回すと恐ろしい。
「き、肝に命じておきます」
「よろしい。女の子を泣かす男はアルビオン大陸につぶされて死ねばいいと母も言っておりました。
忘れないでくださいね。女が男に惚れるということが、どれだけ重大なことなのかを」
言葉は優しいが、アンリエッタの目は笑っていなかった。ルイズのことを親友というだけでなく、才人に
関わったすべての人も、裏切ることは許さないと言っている。女性と付き合うとは、一介の高校生であった
才人が想像していたような、甘く甘美なものばかりでは、ないようだ。
それからアンリエッタは、控えていたキュルケとタバサに「これからも、どうかルイズを助けてあげてください」
と、頼んだ。二人はそれぞれうなづくと、キュルケは「気の抜けたヴァリエールなんて見るに耐えないから」
など、憎まれ口を少々口にし、タバサは無言のままで可能な限りの協力を約束した。
そうして、ルイズたちはもうしばらく話し合いを続け、心配そうなアンリエッタに見送られながら王宮を出た。
しかし、ルイズはずっと何かを考えているように押し黙ったままで、才人も今のルイズにどう話しかけたら
よいのか思いつけない。
怪獣にすら致命傷を負わせえる伝説の魔法『虚無』、それを担わされてしまった自分、なぜわたしが?
わたしでなければならない理由があるのか? 始祖ブリミルは『聖地』を目指せと書き残していた。『聖地』には
いったい何がある? さらに、謎の女シェフィールドと、彼女の後ろで糸を引く『虚無』の力を狙う何者か。
わからないことが多すぎる……解決の糸口すら見つからず、思考の迷路の中をルイズはさまよった。
その途中、ルイズと才人に、テレパシーでウルトラマンヒカリが直接語りかけてきた。
(どうやら、ただならぬ事態が生まれてしまったようだな)
(セリザワさん……気づいていたんですか)
精神世界で、ヒカリ・セリザワはうなづいてみせた。ルイズが実質怪獣を倒したことは、彼女たちの会話を
ウルトラヒアリングで聞いていたことで知っていたのである。二人は事情を説明すると、ヒカリは憮然として
つぶやいた。
(そうか、とうとう姿を現したのか。しかし、まさか君たちのもとへと現れるとは予想外だった)
(セリザワさん、なにか知ってるんですか?)
(うむ……)
ヒカリは迷ったが、先日に水の精霊から語られた邪悪な存在のことを打ち明けた。
(アンドバリの指輪……思い出したわ)
磨耗しかけていた記憶から、ルイズはラグドリアン湖での戦いを思い出した。そういえば、あのとき水の
精霊は、アンドバリの指輪を盗んだやつはクロムウェルと呼ばれていたと言っていた。クロムウェルと
いえば、レコン・キスタの指導者だった男の名前だ。あのときは、まさかと思い同名の別人と考えたけれど、
シェフィールドの黒幕の強大さを想像すれば、もしやと思えてくる。
(わたしたち、もしかしてとんでもない相手を敵にしようとしているのかも)
その予想が当たっていたら、敵は国すら動かせるような力を持っているのかもしれない。いったい、
虚無を手に入れて何をするつもりなのだろうか? いや、レコン・キスタのしたことや、虚無を探すためだけに
怪獣に街を襲わせたことからしても、ろくなことではないだろう。
ルイズは、見えない敵のプレッシャーに押しつぶされそうになった。だが、縮こまって怯えていては
なにも始まらない。ヒカリは気休めの言葉をかけはせず、あえて厳しくルイズに告げた。
(俺も、敵の正体を探るために動くことにする。きたるべき時が迫る今、容易ならざる事態だ)
ヤプールの復活、地球との再結合の時期が近づく今になっての未知の敵の出現は、放置しておいたら
どんな不測の事態が起きるかわからない。奴らは、どんな方法かは不明だが、怪獣をも操る術を持っているのだ。
(あの怪獣のパワーは並ではなかった。俺はしばらくこの国を離れるが、君たちも油断しないようにな)
(ええ……あなたも、気をつけて)
ヒカリの声は去り、現実の静けさが戻ってきた。
王宮を出た後、城外で待っていたシルフィードの元に一行は帰った。きゅいきゅいと、深刻な空気の中でも
彼女だけは元気よく主人の帰りを喜んで迎える。けれど、シルフィードにルイズと才人は乗らなかった。
「じゃあルイズ、わたしたちはいったんラ・ロシュールに戻るから」
怪獣出現のどさくさにまぎれて出てきたが、いつまでも行方をくらませてはいられなかった。無断で飛び出した
ことはさておいても、三人もいっぺんにいなくなっては仲間たちにも迷惑がかかる。ルイズは、シルフィードに
乗ったキュルケとタバサを見上げた。
「みんなによろしくね。わたしたちは学院に戻って、エレオノールお姉さまを待つから」
「ええ、みんなには、あんたは急病で学院に帰したって説明しておくから。ともかく、早めに抜け出すつもりだから、
それまでシェフィールドとかいうのに襲われても無茶しちゃだめよ」
ルイズに対して、ここまで深刻な表情を向けるキュルケはまず見られない。それだけ、ルイズの使った
虚無の力がキュルケの中にも大きな戦慄を残しているのだろう。二人は、後ろ髪を引かれる思いながら、
学院の仲間たちの待つ街へと飛び去っていった。
残るルイズたちは、馬車を借りて学院へと帰ることにした。空には、昨日までの晴天とは嘘だったかのような、
黒く分厚い雲が立ち込めている。才人は、言葉を忘れて人形になってしまったかのようなルイズの肩を、
軽く叩くと、顔を上げて小さくつぶやいた。
「ひと雨、来そうだな……」
まるで、二人の行く手を、この世界の未来を暗示しているような光景。二人は、何事も起こらないでほしいと、
ただ願うことしかできなかった。
だが、彼らの知らないところで、すでに異変は始まっていたのだ。
王立魔法アカデミーが発掘を続けている、トリスタニア郊外の古代遺跡。その深部で見つかった石棺。
学者たちは、好奇心の赴くままに石棺を開けて、中の遺体を確認しようとした。
ところが、石棺の中に収められていた古代のミイラは突如として息を吹き返し、発掘チームを
恐怖のどん底に叩き込んだのである。
「ぎゃあああっ! ミイラ、ミイラが生き返ったあ」
「た、助けてくれぇっ!」
「ひっ、来るな! エア・ハン……うぎゃあっぁ!」
生き返ったミイラは、荒い息のようなうなり声をあげつつ、遺跡の中を徘徊した。青黒い皮膚と、
サルの様な顔を持つミイラが動くのを目の当たりにした発掘チームの人々は、口々にミイラの呪いだと
叫びながら我先にと地上に逃げ出していく。メイジの中には魔法で攻撃を試みようとする者もいたが、
ミイラは目から怪光線を放って、それらをことごとく返り討ちとしていった。
地下のパニックはミイラが地上に上がってきたことによって、一気に地上にも拡散した。
戦う術の無い平民や学者は逃げ惑い、戦闘の心得のあるものも貴重な発掘資材のある場所では
思ったように魔法を使えない。いや、むしろ古代人の生き残りかもしれないから捕まえろと、無茶な命令が
出されて飛び掛っていった工夫が、ミイラの怪力によって次々と倒されていった。
上下の区分も無く、右往左往の混乱を続ける人間たちを尻目に、ミイラは発掘テントの中を
何かを探しているかのように歩き回った。そして……
「大変だあっ! ミイラが、昨日発掘したばかりの赤いカプセルを持って逃げたぞぉ!」
暗雲から雨粒が落ち始める中を、ミイラは森の中へと消えていく。
彼がいったいなんなのか、知っているものは誰もいない。
続く
来週に続きます。
一部ではほとんど触れられないままで終わった虚無ですが、二部ではスポットを当てて書いていこうと思います。
そのため、ウルトラマンAの出番が少なめになってしまいましたが、後に出番はプロットに入ってますので、
いま少しお待ちください。
それから、避難所などで応援してくださっている方、
>>776で支援していただいた方、どうもありがとうございます。
皆様のご期待を裏切らないよう、これからもがんばりたいと思います。
乙
英雄だろうと毒矢や事故で死ぬ…ってえのはまあ現実の英雄はそうだけど、
架空作品の英雄がそうかどうかは世界観次第ってとこかな
たとえ人間であっても、架空世界の人間ってのは往々にして現実の人間とはまったく別モンだからね
世界観によっては英雄は間違っても一般人には殺せない、毒も効かない、同じ英雄かバケモノでなければ…みたいな感じのトコもあるし
ゲームでも英雄だろうと間違えば即死するってのを再現したものは結構あるね
有名どころではウィザードリィとか
どんな英雄だろうがちょっとした間違いでウサちゃんにクビチョンパされる世界よ
ウルトラの方乙ですー
ウルトラ乙
>>786 世の中には開始3秒で死ねるRPGもあるしな
現実にも30数回撃墜されて生きていたルーデルみたいなのもいるがな
機体がバラバラになっても生還したカタヤイネンもいるな
「カタヤイネン」が「カネヤン」に見えた…
疲れてるな。
ウルトラ乙
ついにミイラ来たか、あれはあれで印象深いエピソードだったな。
特に怪zyゲフン! ゲフン!
次回も楽しみにしています。
>791
カネゴンに見えた俺より傷は浅い。
ウルトラの方乙です。
>>768 小説版だと約200年後だ。
>>784 果たしてキリンビールの使いは出るんだろうか(わくわく)
ウルトラの人、乙。
>788-790
戦死して三日後に生き返った船坂軍曹もいます。
どうでもいいけどハルケギニアには「カプセル」って概念があるのか
香水の瓶があったから何とかなるんじゃないかな。
流石にカプセルと同じ概念ぐらい発見されてるだろう
概念があれば通訳システムがなんとかしてくれるさ
逆に考えるんだ。
作中で出てきてるんだから、“そのハルケギニア”にはカプセルが存在する。
そう考えるんだ。
800 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/20(日) 20:20:52.51 ID:p3giOmB9
吸血鬼ねたが出てたけどヴァンパイアはヴァンパイアでも
監視者、吸血姫美夕を召喚する。
ギーシュとの決闘はどうなることやら・・・。
「はぐれ神魔よ!闇に帰れ!」とかなったりして。
『血を吸う花はルイズの使い魔』
天地無用GXPから山田西南召喚
作品開始前なら、悪運が酷すぎる使い魔だけで済むけど、終了後だと色々ヤバい
うん、小説の新刊見たら浮かんだんだ 済まん
>>788 なにそれ? サガフロのリュートルートは2、3分はかかるし
足の速さが取り柄の勇者かな
あれの魔王はある意味虚無の使い手みたいなもんだな
>>803 昔開始直後に後ろに下がると水没したり
左右に動くと奈落の底に真っ逆さまなゲームがあってだな
だからその理不尽なゲームはなんなの?
まだ外出てすぐにスライム3匹に襲われたり、妹迎えにいくだけのはずがガンヘッドにボコられるほうがましだぞ
>>806 「開始3秒で死ねるRPG」でググれば
キングスフィールドがヒットする(キングスフィールド2)
スタート地点が小島で水没してアアーとあるので多分これ
開始地点のすぐそばに中ボス居るからなあのゲームw
どうもありがとうございます
世の中にはすごいゲームがあるんだなあ、ドラクエ7で石版集まらずに投げたおれはまだまだか
最初のスーパーマリオの1-1の一番最初のクリボーはどうだろう。マリオを倒した事ではドンキーコングのタルと一二を争う……
やばい
正直原作は15巻ぐらいから全然読んでなかった
というかここの作品読む分には5巻ぐらいまで読んでれば十分だよねw
中々ガリア戦没までいかないからな…
伏線回収しきれるのかな
22巻で終了か……。オワコン扱いされて悲しかったが、もっと続いて欲しい気持ちもあったんだがなぁ
原作が終わるだって?
SSの事を考えたら設定的固める意味で終了するのは喜ぶべきなんだろうけど…
やはり原作への愛あっての二次創作だから終わって欲しくないって思うなぁ
原作ルイズが一番デレデレでかわいいし。
22巻・・・あと三冊か
原作の設定が固まると逆に二次の自由度が失われる可能性もあるなぁ
作者のさじ加減次第だけど、遠慮や固定観念的なもんが生まれそうな
まぁ、何にせよ今は20巻が楽しみよ
・・・ルイズと才人がこじれるのもいい加減今度が最後の最後だろう
それじゃカリン外伝も結構巻数少なめなのかな?
結末どうなるか知らんが、地球編も見てみたかったな
問題はその3巻分がこれまで同様の半年ペースで出るかってことだな。
平常なら来年の今頃終わり。だが確かに何年も続きの出ないラノベもあるからな。
原作完結すればSSも完結し易くなるから楽しみ
エタらない作品増えるといいな
まあ逆にオワコンでSS自体が減るかもしれんが…
>>817 どうかな、こじれたまま終わるのかも知れんぞ?
「このバカ犬〜!」(ドカーン)で終了とか。
解釈次第なエンドにすれば二次作家もやりやすいんだがノボルのことだから全力で殺しにかかるんだろうな
もしかして、
「ゼロの使い魔が完結したよ!」
↓
「やったあ、これからは烈風の騎士姫に専念できるぞ!」
ってオチじゃないだろうな……。
やられて困る二次殺しってどんなのあるかな。
マリアンヌが実は隠居してるわけではなく、影で祖国のためにバリバリ活躍してた。
カトレアが病死。
ロマリアが水爆を持ち出してくる。
ジョゼフ復活。
思いつく限りではこんなもんかな。
今までのはガンダールヴの力じゃなくて、隠されていたサイトの能力だった。
主要登場人物全員が壮絶な死を遂げる、とか。
平民のデモで貴族没落
ハルケギニアは実は超古代、あるいは超未来の地球だった
地球に帰還したサイトが猛勉強して虚無魔法を開発
過去のハルケギニアに転移してブリミルに伝授したのであった
という最終回
あと禁じ手イデENDかマーズENDというのも。
「だからドリルは取れと言ったのだ」でお馴染みの某勇者特急みたいな最後とか
別方向の禁じ手
夢オチ・ゲームオチ
全ては交通事故にあって意識を失っていたサイトの夢だった…
流石に、寿命が尽きる寸前のカトレアと一緒に冷凍睡眠につくというENDはないだろうw
トゥルーマン・ショーENDだけはないな
まさかのルイズ×ワルド復活とか。
サイトの勇気が世界を救うと信じて!END
1.ファンタジーを嫌いつつも、実はファンタジーが好きだったサイトの父親の願望によって生まれたのがハルケギニア。
2.ついに見つけたぞ、家族の仇!!っと脇役が叫んだところで打ち切りEND
3.俺はまだ登りはじめたばかりだからな、この使い魔坂をEND
4.また会えるよねとルイズと約束したところで夢オチEND。ただしガンダルーンは残ってる。
数年後に現実世界にやってきたルイズと再開するが、すっかり忘れてて一悶着ある。
5.運命の五人の王女が登場して、王位争奪バトルを繰り広げる。
どれがいい?
混沌「納得いかない!という方は以下の内容よりお好きなエンディングをお選びください」
アリィー「はっはっは!蛮人にしてはなかなかやるではないか!
しかしシャッラールは水竜の中でも最も格下!」
才人「いーっくぞぉーーーー!!」
才人の勇気がハルケギニアを救うと信じて!
〜ご愛読ありがとうございました〜
オスマン「さぁ表彰式じゃ」
コルベール「ああ、ミス・タバサがいない!」
マリコルヌ(今・・・幸せかい?)
才人「ああ、お前のおかげだ・・・」
才人「あなたが・・・フーケだったんですね?」
テファ「・・・・・・あかん」
END
お久しぶりです。
再就職してからAM 5:30前起床のこのくらいに帰宅な毎日を送っていたら
いつの間にかこんなに時間が過ぎてましたorz
感想いただいたおかげでがんばれたよ!
……ということで、進路クリアなら21:25ごろより第45話(過去編そのはち)を
投下します。
>>才人「あなたが・・・フーケだったんですね?」
それ次当たりの話でフーケ死んじゃう。
それではいきます。
彼らは轟雷の音とともに天空を翔る。
最速の風竜ですら追いついていくことも叶わない高速で。
その武器は光とともに撃ち出される細身の大砲。
戦列艦の主砲をはじき返し、いかなる魔法ですら貫けなかった、
鉄の竜の鱗を易々と引き裂く威力に我らは畏怖した。
しかし――彼らは、公式記録には存在しない。
この日記も、私が死ぬまで誰の目に触れることもないであろう。
彼らがどこから来て、何故我らに加勢してくれたのか、それを知ることは
できなかった。
そう。歴史の影に埋もれることを彼らは選んだのだ……
(アルビオン王国王立博物館所蔵
サー・イプシロン・アレクシオス アルビオン王国王立空軍元帥の日記より)
支援
「……ようやくか」
武雄は上昇する自分と入れ替わりに逆落としで攻撃を仕掛ける濃緑色の
機体――震電の姿をその目に捉える。
試作局地戦闘機『震電』の速度は400ノットを超える。実用上昇限度
一万二千とキロ換算で750km/hの高速は、来寇する超重爆撃機『超空の
要塞』B-29、そしてやがて現れるであろう『平和の守護者』B-36を撃墜
するために与えられたものだ。日本全土を灰燼に帰するこれらを撃墜できる
新型機を一刻も早く開発することが、大日本帝国海軍航空技術廠のI野
技術少佐、そして白田技術大尉たちの目的だったという。
その未来を知らない自分を、武雄は嬉しくもあり、また悲しかった。
武雄がハルケギニアに召喚されたとき、米国最新鋭の超重爆撃機B-29は
中国から北九州の工業地帯を限定的に爆撃していたに過ぎなかったが、
白田技術大尉が召喚されたとき、陥落した沖縄を拠点として大挙来寇し
日本全土を焦土とする空襲を行っていたという。
レイテ決戦に敗北し、挽回のしようもない敗戦への坂を転がり落ちる中。
最終艤装を行うべく横須賀から呉へと回航途中、すでに機能しない日本の
対潜哨戒をくぐり抜けた米軍潜水艦に輸送船ごと沈められたという海軍の
回天の希望だった超弩級空母型鋼の乙女『信濃』、そして破壊を免れた
最後の鋼の乙女開発拠点であった硫黄島陥落時、大本営の最後の希望であった
超重爆撃機型鋼の乙女『フガク』を起動直前で破壊されたことにより、
大日本帝国はついに落日の日を迎えたと聞いたが、そのとき、刀折れ
矢尽きた日本に残っていた鋼の乙女は、陥落寸前の沖縄への特攻作戦
『菊水作戦』失敗時に撤退するやまと以下最後の聯合艦隊を佐世保に
逃がすため、弾切れ状態にもかかわらず単機で盾となった駆逐艦型
鋼の乙女ゆきかぜと、フィリピンで陸軍が小破状態で放棄して米軍に
鹵獲された九七式中戦車・チハだけだったことを聞かされたあかぎの
心情は、彼には想像できるものではなかった。
震電の機首に装備された四門の三〇ミリ機関砲は、たった一斉射で
『キョウリュウ』の右腕を吹き飛ばした。そのまま複座零戦では
考えられない発動機の馬力を生かした回避運動を行い攻撃の隙を与えない。
それに続いて、上空からたたみかける深紅の紫電改――桃山飛曹長の
四門の二〇ミリ機関砲が『キョウリュウ』の頭部を貫いた。複座零戦に
搭載されているものより改良されたものだけあり、同じ二〇ミリとは
思えないほど弾道の直進性などが安定していた。
「遅れて済まない」
「いや、俺もさっき来たところさ」
桃山飛曹長からの通信が武雄に届く。武雄は冗談めかした返答をしたが、
雑音のない無線に、武雄はあかぎと白田技術大尉の労作を戻ったら
ねぎらおうと決めた。
『こっちでも全員確認したわ。そっちの状況を教えて』
そこにあかぎの声が入る。武雄が簡単に状況を説明すると、あかぎは
『了解。私に任せて』とだけ答えて通信を終える。その直後、武雄の
複座零戦をはじめ、戦場にいるすべての友軍を緑色の輝きが包み込んだ。
支援
「『レーガン』……沈みます……」
『イーストウッド』指揮所に悲痛な声が消える。アルビオン王国の
最新鋭巡洋艦『イーストウッド』級は、今各所で爆発を繰り返しながら
高度を落とす僚艦『レーガン』が、新兵器の機密保持と鹵獲を防ぐため
巨大な爆発を残して消滅したことにより、この『イーストウッド』
ただ一隻のみを残すことになった。
「デビアス……」
サー・アレクシオスは兵学校からの親友だった『レーガン』艦長の
名を呼び拳を握りしめる。『レーガン』からの退艦者はない。彼の指揮する
『イーストウッド』も傷つき、すでに船足は半分に落ちている。
トリステイン艦隊もすでに旗艦『ラ・レアル』と、わずか二隻を残すのみ。
戦闘開始から一時間も経過しないうちに、すでにトリステイン・アルビオン
連合軍は全滅の危機に瀕していた。
サー・アレクシオスは未だ士気の衰えぬ視線で『キョウリュウ』を見る。
新たな『竜の羽衣』が加わり、『竜の羽衣』と『イーストウッド』級の
主砲以外ではまともに打撃が与えられなかった『キョウリュウ』に痛打を
浴びせているのが分かる。だが、まだ敵の足は止まらなかった。
サー・アレクシオスはぱんと音を立てて真っ青な制服のよれを直した。
指揮所にいる士官たち――試験的な意味合いもあり、艦長である彼を
除きここにいる全員が女性だ――の視線が彼に集まった。
「事ここにいたり敵の足が止まらない以上、もはや打つ手は一つしかない。
これより本艦は敵『キョウリュウ』に突撃し、主砲のゼロ距離射撃にて
敵の動きを止める。
よって、必要な人員を残して退艦を命じる。君たちも退艦したまえ」
サー・アレクシオスは指揮所を見渡す。だが、彼の言葉に応じる士官は
一人もいなかった。
「それはとても受諾できない命令です。艦長」
彼女たちを代表するように操舵長の女性士官がそう言うと、
サー・アレクシオスはかぶりを振る。
「リネット君……いいやダメだ。君たちのような、まだ若い娘まで道連れに
したとあっては、私はどんな顔でヴァルハラに行けばいいんだ」
「私も辺境とはいえアルビオンの貴族ビショップ家の人間としてここにいます。
実験部隊の婦人補助空軍ですが、こんな時だけ娘扱いされては困ります」
アルビオン王国王立婦人補助空軍とは、浮遊大陸国家故国力に劣る
アルビオン王国が、最悪の事態――すなわち本土決戦――に備えて国民
皆兵となるべく、国王ジェームズ一世が実験的に創設した予備軍である。
だが、保守派の反対により、彼女たちに与えられたのはフネや竜騎士などの
侵攻を防ぐ防空阻塞気球部隊や伝令部隊などの、海のものとも山のものとも
つかぬ新兵器のモルモット部隊や補助的な役割ばかりであった。
それでも、男子に恵まれず軍役免除金を支払うことも困難な貧乏貴族の
子女たちにとっては、家のため、そして国のために取り得る数少ない道の
一つ(竜騎士隊のミネルバ中尉のように最初から男と同じ生活ができ存在を
認めさせる強さを彼女たち全員に求めることは酷だろう)となった。
そして、『イーストウッド』級巡洋艦は、その婦人補助空軍の士官たちを
本格的に活用するためのテストベッドとして使用された。新型砲の運用艦という、
他の軍艦とは毛色の違うフネ故になしえたことであるが、同時に重量配分の
関係で有り余る艦内空間が荒くれる水兵たちと彼女たちを同居させる
間衝地帯として機能していることも、その理由のひとつといえた。
「そうですよ艦長。リネットの言うとおりです」
「私たちも最後までお供します」
「ここで退艦なんてしたら、私たち何のためにつらい訓練を乗り越えて
ここにいるのか分からなくなりますよ」
「君たちは……」
サー・アレクシオスは娘か孫かという年頃の女性士官たちに諭されて、
自らの考えが浅はかだったことを知る。そして、彼は迷いを捨てた。
「分かった。皆の命、私が預かる。帆を打て!両舷全そ……
何?これは……?!」
サー・アレクシオスは自身の命令を最後まで発することはできなかった。
彼と、そして『イーストウッド』、それに留まらずこの戦場に存在する
すべての友軍全体を緑色の輝きが包み込んだのだ。それは光に包まれた
人間の傷だけではなく、今にも墜落しそうだった騎竜の傷、そしてフネの
損傷まで修復する。光に包まれながら、リネットは思わずつぶやいた。
「……あと五分、早かったら……」
思わずにじむ視界の向こう側に、新たに巨大な『竜の羽衣』が
『キョウリュウ』への攻撃に加わったことが見えた。
そして、それはこの『イーストウッド』に乗り組む全員の偽らざる本心でもあった。
「……な……これはいかなることか?」
トリステイン艦隊の旗艦『ラ・レアル』の指揮所で、緑色の輝きに
包まれたフィリップ三世が驚きの声を上げる。そこに、答えを持つ者がいた。
「あかぎの『癒しの抱擁』です。陛下」
それはつい先程この艦に降り立ったルーリーだった。その言葉に、
国王のみならず指揮所にいる全員が驚愕の表情を隠しきれなかった。
「あの者はメイジだったのか?しかもこれほどの『水』の使い手とは」
「我々の系統魔法とは異なるものです。陛下。もちろん、エルフが使う
先住魔法とも異なります。遙か東方の魔法、いえ、あかぎの固有能力と
言った方がいいかもしれません」
「なんと!?」
フィリップ三世は今度こそ言葉が出ない。そこに拍手の音がする。
「いやはや。まさに東方の秘術ですね。あの『竜の羽衣』たちといい、
まだまだ私たちは学ばなければならないことが多いようです」
それは栗色の髪をポニーテールにし、眼鏡をかけた若い女性メイジ。
身につけているのはアルビオン王立空軍の制服のようだが、色が青では
なく白。彼女はルーリーが誰何する前に、慣れない敬礼をして官位姓名を
名乗った。
「アルビオン王国王立空軍技術廠のステラ・バダム技術少尉です。
今回の作戦のためにあなたと共闘することになりました。ミセス」
そう言ってステラは白手袋を外した右手をルーリーに差し出す。
握手をしながらルーリーが「悪いがミスだよ」と言うと、彼女は意外そうな
顔をした。
「おや?私はてっきり……ミスタ・ササキでしたか?あの『竜の羽衣』の
乗り手の方とご結婚されているのかと」
「アイツにはあかぎがいる。アタシはただつきあいが長いだけさ」
ルーリーの言葉に、ステラは「二人ですか。やりますね」とつぶやき、
きつい視線を向けられることになるのだが……彼女はそれをあっさりと
受け流した。
「こ、この『ラグナブル』がやられるなんて!」
「ジャーバス!」
赤い光を躱したはずが、ジャーバスの騎竜である一際大きな火竜は
右の翼を切り落とされ、鮮血を吹き出して墜落していく。だが……
「これは……いったい……?」
その彼らを緑の輝きが包み込んだ。突然の事態に驚きながらも、
グレッグはそれまでの傷が癒えていくのを感じていた。同時に、地面に
落ちるだけだったジャーバスも、失われた翼を取り戻した騎竜の傷が
癒えて高度を取り戻す。あっけにとられる彼らの上から、少女の声がした。
「あかぎ大姐の『癒しの抱擁』よ。間に合った人は運が良かったね」
グレッグたちエメラルド小隊、そしてマービィ大尉のガーネット小隊の
視線が一点に集まる。その視線の先には――鉄の翼が付いたカーキと
カーキグリーンの二色迷彩の脚甲を履き、袖のない東方風のドレスを
着た少女がいた。桃色の長手袋に包まれた右腕には、それが彼女に空を
飛ぶ力を与えているのであろう見たこともない機械を抱え、背中に届く
長い金髪が吹き抜ける戦風になびく。グレッグはその姿を伝説の戦乙女かと
思った。
「……君は?いったい……」
「私は中華民国……っと、今はタルブ義勇軍か。そこの少女兵器、
P-40・裴綻英(ヒ・テンエイ)。あっちにいるのが燕(えん)姐姐と霍可可
(ホゥ・ココ)。あなたたちとは通信ができないから、私たちの誰かが
あかぎ大姐の指示を伝えることにしたのよ」
綻英が指さす先には、背中に鉄の翼を背負い、彼女のをさらに派手に
したような金糸を贅沢に使った深紅の東方風のドレスを身につけ、東方の
長槍を手にした黒髪の少女と、裴綻英と似た機械に跨った緑色の東方風の
ドレスを着た少女が、『キョウリュウ』に攻撃を仕掛けようとしていた
ところだった。
「私も行くけど、あんまり無茶はしないようにね。特に、アイツの側に
長居しないように。死んじゃうから!」
そう言い残して綻英は飛び去っていく。その後ろ姿に、マービィ大尉は
不敵に笑う。
「面白い。行くぞ、ミネルバ、ジャーバス」
みなぎる力に勝利を確信し、三騎の竜騎士は突撃を再開した。
「いくよ!」
飛行艇体のエンジンを全開にした可可が、複葉機型少女兵器の利点を
最大限に生かし背中の小翼を使って驚くほど小さな旋回半径で『キョウリュウ』に
取り付き、艇体に装備された12.7ミリ機銃を放つ。防御の薄い膝の関節を
狙ったのだが、残念ながら効果は薄かった。
「うわ。予想以上に硬いよ〜」
「そこを退くアル!次は私の番ネ!」
可可の後ろから、燕が空対地空対艦ロケットを放つ。嫌な笑顔のパンダの
顔をしたロケットが、『キョウリュウ』の胸部装甲に炸裂した。
「中国四千年の力、思い知ったアルか!」
「ダメだよ〜燕姐姐。足を狙って動きを止めないと」
思わずガッツポーズを取る燕を、可可が困った顔で窘める。それを聞いて、
今更思い出したかのように燕がしまったという顔をした。
「そうは言うけど、お前たちにはろくな対地兵器がないアル」
『それだったら、膝の関節とか、駆動系を狙ってちょうだい。
それか、操縦室を無力化してね』
燕の困った声に、あかぎが指示を出す。そこに、速度に勝る綻英が
やってくる。
「そういうことなら……これで!」
右腕に抱えるエンジンユニットに装備された12.7ミリ機銃が火を噴き、
右の股関節に着弾する。一瞬動きを止めた『キョウリュウ』に思わず
拳をぐっと握りしめた綻英だが、反撃の気配に素早く高度を取った。
「さすが日本の決戦兵器。こんなのが大陸に現れなくて良かったよ」
赤い光と距離を取る綻英。だが、皮肉にもその機動が接近する
『連山』から攻撃の機会を奪ってしまった。回避行動を取る『連山』に、
綻英が謝った。
「ご、ごめんなさい」
『まぁ君たちは実質初陣じゃからの。もう少し周りに気を配ることじゃな。
ワシらはこのまま上空で管制補助に回る。あかぎ君に状況を知らせるには
ワシらが適任じゃろう』
四発陸攻故の機動性の低さから、そう告げて高度を取る『連山』。
そこに『キョウリュウ』が攻撃を仕掛けようとするが、頭部に攻撃を
受けて阻まれる。『連山』のエスコートをしていたブリゥショウ中将の
Fw-190G『グスタフ』だ。
「さすがに装甲が厚いな。機関砲(マシンカノーネ)では少々荷が重いか……」
一撃離脱で距離を取るブリゥショウ中将。戦闘機、戦闘爆撃機、
それに鋼の乙女と少女兵器が勢揃いし、『キョウリュウ』包囲網は徐々に
狭まっていく。そこにマービィ大尉たちガーネット小隊の三騎が地面
すれすれの低空から突き上げた。
「貴様に消し飛ばされた仲間たちの恨み……思い知れ!」
マービィ大尉らの裂帛の気合いとともに突き出された『ブレイド』の
魔法をまとわせた精緻なレイピア様の魔法の杖が『キョウリュウ』の
胸部装甲に突き刺さる。
これまでの攻撃に加えてカリンの『カッター・トルネード』、そして
燕のロケットでダメージを受けていた装甲のヒビが一段と大きくなる。
そこに、マービィ大尉たちは青白い光を見た。
「何だ?この……光は?」
ミネルバ中尉は間近に見るその光に薄ら寒いものを感じる。その輝きは
暗い空の中で白い光となって、上空で次の攻撃の機会をうかがっていた
ギンヌメール伯爵ら多くの騎士、兵士たちに目撃された。
そして、武内少将からそれを伝えられたあかぎが血相を変える。
『みんな、すぐに離れて!もう保たない!』
「何だって!?」
武雄は、あかぎの様子が尋常でないことに気づく。『キョウリュウ』から
武雄たち『竜の羽衣』が離れ始めたとき――上空のアテナイスから飛び降りた
カリンが愛用のレイピア様の魔法の杖に『ブレイド』の魔法をまとわせて
『キョウリュウ』の首筋に深々と突き立てる。
「この……止まれぇ!」
カリンが杖を引き抜くと一緒にメンテナンスハッチが一枚外れ、中から
見たこともない機械と、それにまとわりつくようなパイプやチューブが
あらわになる。カリンには、それが『キョウリュウ』の内臓の一部に
見えた。
「この!このっ!」
カリンはがむしゃらに杖を機械に突き立て、パイプやチューブを切断していく。
熱気がカリンの皮膚を灼き、嫌なにおいがするガスにむせながらも、
杖を振るい続け……やがて『キョウリュウ』の歩みが止まった。
「今だよ!」
ルーリーの言葉を合図に、『ラ・レアル』にいる『土』のメイジたちが
一斉に遠距離『錬金』の魔法を行使する。その巨体故に一度で鉛の塊とは
ならず、足下から徐々に鈍色の鉛へと変貌していく『キョウリュウ』。
二リーグ近い望外な遠距離魔法に、メイジたちが次々と音を上げる。
「……これは……きついですね」
ステラの口からも思わず弱気な言葉が出る。その横にいる、トリステイン
王立魔法研究所、通称『アカデミー』の主席研究員であるキュリー夫妻が
彼女を激励する。
「ここが正念場だよ。
僕たちの力のすべてを使い切ってでも、ヤツを鉛に変える」
「あなたの言うとおりね。ここで私たちが失敗したら、死んでいった
人たちに言い訳もできないわ」
「そうです……ね!」
ステラは萎えかけた心を奮い立たせ行使中の魔法に魔力を込める。
彼らの意地と執念が結実し、ついに『キョウリュウ』はその姿を鉛の
彫像へと変えた。
「これはおまけだよ……安らかに、な」
そこにルーリーが魔法で土をかぶせ、色とりどりの花を咲かせる。
その行為に疑問を持つ者もいたが、望まず召喚されたものへの手向けだと
後で聞かされ、納得することになる。
もちろん、それは『キョウリュウ』に乗っていた大日本帝国陸軍戦車兵たちへの
手向けであったが、ルーリーはそのことを口にしなかった。
「……終わった……アルか?」
遠巻きに姿を変えた『キョウリュウ』を見て燕が言う。空を見ると、
もう太陽を覆い隠す双月が作り出す黄金の環が完成しつつあった。
「……これで、私もあと三十年ここに居残りアルね……」
『燕ちゃん……』
燕の性能では、高高度への上昇は難しい。そこまでいかなくとも、
燕のエンジン性能では高度を上げることは相当の時間がかかる。諦観した
燕のつぶやきに、あかぎはかける言葉がなかった。
「まだ諦めるのは早いよ!」
そのとき。突如燕は何者かに後ろから抱きかかえられた。何事かと燕が
振り向くと、そこには――自分を抱きかかえる裴綻英と、二人を後押しする
霍可可がいた。
「お前たち、何するアル?!」
突然のことに状況を理解するまで時間がかかった燕。燕と綻英を支える
可可が、にっこりと笑って言った。
「私たちで、燕姐姐を『門』まで運ぶよ」
「無茶アル!そんなことをしたら……」
『二人とも、何をしているの?!止めなさい!』
あかぎの制止も聞かず。複葉機型の可可のエンジン出力は燕と変わらない。
そんな彼女が二人分の加重を抱えて上昇する。能力を超えた可可の艇体から、
暴走警報音が鳴り響いた。
「止めるアル!可可、そんなことをしたら、お前は……」
涙顔の燕。そのとき、可可の艇体が爆発音とともに黒煙を吐く。
「……綻英姐、あと……お願い。私は、ここまでだよ〜」
「任せて!」
最後の力で燕と裴綻英を空へ押し出して、エンジンが止まった霍可可は
重力の軛に捕らわれて落ちていく。自由落下する従妹に燕が手を伸ばそうと
するが、それは綻英に遮られた。
「前を見て!燕姐姐!」
「綻英!お前、何を言っているアルか!?」
「私のエンジンはアメリカ製!行けるところまで行くから!」
燕の糺弾にも綻英は動じない。大日本帝国海軍の主力鋼の乙女、
零式艦上戦闘機・レイをも上回る、燕より五割増しの馬力にものをいわせての
急上昇を続け、さらに上昇して高度八千に近づいたとき……綻英の抱える
エンジンユニットが暴走警報音を発しだした。
「……実用上は一万まで行けるはずだったんだけどな……やっぱり、
未完成だったね、私」
「綻英!も、もういいアル!」
燕の顔は涙でぐしゃぐしゃだ。暴走警報音はさらに大きくなり、連続した
爆発音とともにそれまでの鋭い勢いが殺がれる。
「……さあ、私もここまで。あとは、燕姐姐の力でお願い!」
綻英はそう言うと、燕を力の限り空に放り投げる。制御不能に陥った
エンジンユニットとともに落下する綻英。燕が振り返ろうとすると……
綻英は最後の力を振り絞って叫んだ。
「振り返っちゃダメだよ!燕姐姐。そのまま『門』に飛び込んで!」
「…………っ!」
従妹たちの声に後押しされるように、燕は自らの性能を超えた高度を
さらに上昇する。空を掴むように、少しでも前へ――もうダメかと思われた
そのとき。完成した天空の黄金の環から降りた光の柱が燕を包み込む――
支援
22時を回ったので再開します。
「……これは……いったいどうしたことだ!?」
『ラ・レアル』の指揮所でフィリップ三世が叫ぶ。
今まさに途切れようとした金環日食の黄金の環から降り立つ光の柱。
まばゆく輝くそれは誰かを誘うように暗闇を切り裂く。
「……これは……まさか……」
その横で、トリステイン王国空軍艦隊参謀長のアストン伯が信じられない
ような顔で光の柱を見つめていた。
「これが……『門』か。あの子は間に合ったんだな……」
複座零戦の操縦席で武雄がつぶやく。あの『門』に飛び込めば、自分も
あの懐かしい日本に帰れる……だが、武雄はふっと笑った。
「俺はもうハルケギニアの人間だ。そうだよな、あかぎ、ルーリー」
武雄は機首を返すと、『ラ・レアル』の上空をフライパスする。
ここにはルーリーがいる。そして……遠くに見える湖にはあかぎがいる。
横を見ると、右に白田技術大尉の震電、左にブリゥショウ中将の
Fw-190G『グスタフ』が。そして後方には桃山飛曹長の紫電改がつき、
見事なダイヤモンドを描いていた。上空には武内少将と加藤中佐の連山も
いる。誰も『門』には向かわなかった。そう。誰も。武雄はそれを見て、
不意におかしさがこみ上げてきた。
「任務完了。これより帰投する!」
武雄がそう告げると、全機あかぎが待つ本陣へと機首を向けた。
光を抜けた先――そこは雪降る白銀の世界だった。
燕は思わず振り返る。しかしそこはただ雪纏う風が吹き付けるだけ。
燕は、これまで見たことが夢ではないか……そう思い始めて、すぐに
それを否定した。
燕の手には、ついさっきまで握りしめられていた従妹のぬくもりが
まだ感じられた。夢ではない。ここではないどこかで、自分は生まれることなく
破壊されたはずの従妹達と出会い、そして、ここに届けられたのだ。
燕は天を向く。ひたすら降り続く雪。それはこぼれる涙を優しく隠す。
そこに、燕は砲声を聞いた。
「……この音は……間違いないアル。ドイツ軍の戦車の砲声ネ」
それはアメリカ軍の重戦車型鋼の乙女、M-26パーシングのエイミーと
初めて出会った、あのアフリカの砂漠で聞いた音。燕は涙を拭き、
迷うことなく砲声のした方角に向かう。日本、いや枢軸軍を倒し、勝利と、
何よりも混迷の祖国の地位安定のために。
かくして。西暦1942年12月11日。ドイツ軍が発動した『冬の嵐作戦』に
おいて、ドイツ軍が誇る陸戦型鋼の乙女、III号突撃砲・ミハエルと
VI号重戦車ティーガーI・フェイを中心としたホト装甲師団は迎え撃つ
ソ連のマリノフスキー中将率いる第二親衛軍、そして陸戦型鋼の乙女、
中戦車T-34・ロジーナに対して優位な戦闘を繰り広げていたが、そこに
突如加勢した中華民国の鋼の乙女、I-16・燕の活躍によって戦局は一変。
ついにドイツ軍の目的であったスターリングラードの枢軸軍将兵の救出を
阻止することに成功する。
だが、11月初頭に行方不明となったはずの燕が何故そこにいたのか、
第二次世界大戦終結から六十年以上が経過した現在でも、歴史の謎として
残ることとなった。
トリステイン王国空軍艦隊旗艦『ラ・レアル』が傷ついた戦列艦
『レドウタブール』、そしてアルビオン派遣艦隊の生き残りである
巡洋艦『イーストウッド』とともに総本陣に帰投したとき、本陣のある
丘と湖の間を走る、ガリア王国とトリステイン王国を結ぶまっすぐな
幹線道路の脇に『竜の羽衣』が並び、壮観な光景を見せていた。
『竜の羽衣』はどれも濡れて光り、傾きつつある太陽に照らされていて、
それらが先程まで獅子奮迅の活躍をしていたとは思えないほど、静かに
そこにたたずんでいる。
フィリップ三世が『ラ・レアル』から降り立ったとき、そこに濡れた
軍服を着替えたあかぎたちが整列して待っていた。全員が王に向かって
大日本帝国式とドイツ国防軍式の敬礼をしたとき、王は思わず「ほぅ」と
うなった。
「謹んで陛下の勝利をお祝い申し上げます」
一歩進み出たあかぎはそう言ってにこやかに微笑んだ。
対するフィリップ三世の顔は暗い。
「……苦い勝利だ。余は、いや、このハルケギニアはかけがえのないものを
犠牲にした」
「人類の歴史は戦いの歴史。そして、命にはどれ一つ無駄なものなど
ございません。ですが、生き残った者だからこそできることがございます」
「……そなたの言うとおりだな。
しかし、何故あの忌まわしき『キョウリュウ』はこの地に現れた?
そして、そなたらも。何故だ?」
フィリップ三世は問う。すでに人払いをしてあり、幕僚たちはここにいない。
あかぎは武雄たちに視線を向けた後、静かに目を閉じて語り始めた。
「私たちは、いえ、『場違いな工芸品』と人間たちから呼び習わされる
すべての兵器は、六千年前の大いなる災いを封じた聖者アヌビスの長槍として、
『悪魔の門』から召喚されると聞き及んでおります。
先程天より降り立った光の柱は、私たちの世界とこのハルケギニアを繋ぐ『門』。
あの『門』を通れば、私たちは元の世界に戻ることができました。
そして、聖者アヌビスはエルフの伝説に登場します。これに相当する
人間の伝説は……」
「そんなもの、一つしかないわ。なるほど、エルフどもは『悪魔の門』と
呼び、我らは『聖地』と呼ぶ。彼の地にそんないわれがあったとはな。
なんたることだ。そちらが伝説の『虚無』の使い魔『ガンダールヴ』の
右手の槍とは。
つまり、そちらが召喚された三十年前、そして今このとき、このトリステインの
いずこかに『虚無』が……そう。未だ知られることなく存在すると言うことだ!」
フィリップ三世の声が口惜しく大地を踏みしめる。解けないパズルの
最後のピースがはまったのだ。それも最悪の形で。驚いた幕僚たちの
視線がしばし王に注がれるが、王は腕を横に振り抜いてそれを抑えた。
「教えてくれ。今回はそちらのおかげで我らは窮地を乗り越えた。
だが、次はどうか?そちらも年を取り、やがて死ぬ。そのとき、再び
このような事態が起これば、我らにはもはや打つべき手がなくなる。
そのときのために、あの『竜の羽衣』を我らが造ることはできぬか?」
懇願するような王の視線を、あかぎは真正面から受け止める。
「現在のトリステイン王国の技術水準では不可能です。それに、私たちは
もうこれ以上歴史の表舞台に立ちたいとは思いません。できるなら、
今回も私たちのことは記録に残さないで欲しいと思っております」
「余がこれほど頼んでも無理か?」
フィリップ三世はなおも食い下がる。しばしの間交錯する王とあかぎの
視線。そして、ついにあかぎが折れた。
「……致し方ありません。私たちのことを記録に残さず、『竜の羽衣』に
ついて今後一切調査もしないと約束していただけるのであれば、少しばかりの
お手伝いはさせていただきます」
「すまぬ」
フィリップ三世はあかぎの手を取り、両手で強く包み込む。その目には
安堵の涙すら浮かんでいた。
二人の話が終わった頃合いを見計らって、幕僚たちが王の元へと集う。
フィリップ三世は厳格な英雄王の顔に戻り、将兵と残存兵器の洗浄を
命令した。直ちに『水』メイジたちが『ウォーター・フォール』の魔法で
フネを洗浄し、カーテンのように調整した『ウォーター・シールド』の
魔法をくぐらせて将兵たちを洗浄する。その後『風』メイジが起こした
『ウィンド』で濡れた体を乾かした。『火』メイジが『発火』の魔法で
起こしたたき火に当たる者もいる。その様子を見ながら、最初に洗浄を
受けた王が、再びあかぎのところに足を向けた。
「先程余はそちらに関する一切の記録、調査は行わないことを命じた。
アルビオン派遣艦隊にも要請ではあるが、司令官サー・アレクシオスは
快諾してくれた」
「ありがとうございます」
丁寧に頭を下げるあかぎ。そこに王は続ける。
「……確かに記録には残さぬが、そちら、余の幕臣として仕える気はないか?
サンドリオンとカリン、そしてそちらがおれば、この国に攻め入る国など
ありはしない。さすれば、余は安心してマリアンヌと、近いうちに娘の
婿となるアルビオンの皇子ヘンリーに王位を譲ることができる」
「素晴らしいお申し出、身に余る光栄にございます。ですが、謹んで
ご辞退させていただきたいと思います」
再び頭を下げるあかぎ。その流れるような黒髪に、王は「やはりな」と
言わんばかりの顔を向けた。
「そう申すと思ったわ。少なくとも、余に力添えはしてくれるのであろう?
せめて戦勝記念……いや今日の戒めとして絵の一枚くらいは残したいが」
王の言葉に、あかぎはしばし考える仕草を見せて……こう言った。
「それでしたなら……一枚お撮りいたしましょう。
そうですね。このカメラだと十二人くらいまで一度に写せますから」
そう言って、あかぎは懐からカメラを取り出して武雄たちを呼ぶ。
王は何が起ころうとしているのかと思っていると、突然あかぎから
あと三人一緒に撮す人間を選んで欲しいと言われた。だが……
「な、その箱に……一瞬の時を撮し込む、ですと!?」
トリステイン王国空軍艦隊司令長官のハイデンベルグ侯爵は青い顔で
真っ先に辞退した。魂まで封じ込められてはたまらぬと。他の幕僚たちも
ほぼ同意見。
そこに志願したのは、アストン伯とカリン、それにギンヌメール伯爵だった。
「ぐ、軍人として、この程度のことに背を向けられるか」
カリンの声は心なしか震えている。
一方でギンヌメール伯爵は「タケオに出会ってからもう十分驚いた」と
達観している。その様子をアストン伯はほほえましく見ていた。
「シャッターは私たちが押すよ〜」
そう言ってあかぎのカメラを持つのは霍可可と裴綻英。二人は墜落する
ところをギンヌメール伯爵とグレッグに助けられていた。
フィリップ三世を中心に、その両脇をあかぎとアストン伯、その二人の
横に武雄とカリンが急遽用意された椅子に座り、後ろにはギンヌメール
伯爵やブリゥショウ中将、武内少将、加藤中佐、白田技術大尉、桃山飛曹長、
そしてルーリーが立つ。ルーリーはあかぎと武雄から椅子に座るよう
勧められたが、それを断って武雄の横に来るように立っていた。
「じゃあ撮るよ〜。一二三、茄子(ちぇず)!」
「へぇ。あの絵はそうやって撮したものだったのね」
ルイズが感心したように言う。あまりの内容にシエスタは言葉が出ず、
アニエスもうなっている。
「ええ。私たち十四人が写っているわ〜。それからアルビオン艦隊の
司令官殿たちとも撮したから、これは二枚で一組ね」
「十四人?でも、あの絵には十二人しか……」
ルイズが写真を思い出すように言うと、あかぎは静かに告げる。
「綻英ちゃんと可可ちゃんも写っているわ〜。あの写真に、影が写って
いたでしょう?」
「え?」
突然のことにルイズは言葉に詰まる。それを見て、あかぎは自分の
部屋に戻された写真を食堂に持ってくる。
「ほら。ここ」
あかぎが指さしたのは、写真の右下の隅っこ。そこに二人分の影が
写っていた。
「なるほどね。うまい撮り方だわ」
ふがくも感心したように言う。セルフタイマーでも使えばいいのだろうが、
そうしなかった理由もあったのだろう。
だが、そこであかぎの言葉に影が差した。
「……でもね。これでまだお話は終わりじゃないのよ……」
「え?」
ルイズが何事かと聞き返す。あかぎは、ゆっくりと言葉を続けた――
「いやはや。これで絵が描けるとは……東方には変わったものがあるのですな」
写真を撮り終えたサー・アレクシオスが言う。感心するその様子に、
あかぎは楽しげに言う。
「できあがったらお国にお送りいたしますわ。楽しみにしていて下さいね」
カリンたちに代わり、フィリップ三世とあかぎと武雄とルーリーの
トリステイン王国の人間と、アルビオン派遣艦隊司令官であり巡洋艦
『イーストウッド』艦長のサー・アレクシオスをはじめとして、
カニンガム大尉、グレッグ、コンロッドのエメラルド小隊とマービィ大尉、
ミネルバ中尉、ジャーバス少尉のガーネット小隊、そこにステラと
リネットのアルビオン艦隊の人間で合計十三人がカメラに収められた。
皆未経験のことに緊張を隠しきれない様子だったものの……
「あの、私がご一緒して良かったんでしょうか?」
「入っちゃえばこっちのものです。あなたは『イーストウッド』指揮所
代表ってことで。こんな機会、もう一生巡ってこないと思いますし。
……それにしても、技術に携わるメイジとして興味がわきますね、あれは」
ステラに引き込まれるまま恐縮するリネットと、あかぎのカメラに
技術者としての興味を隠しきれないステラ。そのとき……ミネルバ中尉が
うずくまり、口元に手を当てた。
「おい、大丈夫か?ミネルバ」
マービィ大尉が慌てて駆け寄る。嘔吐を繰り返すミネルバ中尉。
そこにリネットがハンカチを差し出す。その様子をカリンが何かを
こらえるような青い顔で見つめていたが、やがてこらえきれずその場に
くずおれる。
だが、それはまだ始まりでしかなかったのである……
以上です。
日本敗戦への道がおかしいのは、ゲームの全シナリオの整合性を取ろうと
した結果です。
何しろ太平洋戦線ノーマルエンドはレイテ決戦で乙女坂ENDだし、
欧州戦線ノーマルエンドはベルリン空襲で「私たちの戦いはこれからだ」END。
連合軍戦線ノーマルエンドは硫黄島でフガクが破壊されて日本降伏で、
太平洋戦線ゆきかぜ編は坊ノ岬沖海戦がラストなので。
おかげで硫黄島と沖縄の陥落順序が逆転しました(汗
以前のようなペースでは書けないかもしれませんが、このくらいのペースで
何とかやっていきたいと思っています。
次回で過去編は最終回。プロットはありますが、烈風3巻の内容によっては
変更があるかもしれません……と、ここまで書いてました。
先に書いたようにペースは遅くなると思いますが、なるべく早くお目に
かかれるよう頑張ります。
乙
乙
おめでとう ワルドは ドワルダーに しんかした!
まず、ワルダーに進化する。
そして、ワルデストにならないように気を付けて育てるとドワルダーになる。
いずれにせよ、ドワルデストになる。
どこかにドワルキンが挟まるな
ドではなくザになっちゃったりすると大変なことになる
竜王(のひ孫)ワロタww
あの手の超越者は使い魔になる事自体は「対象の寿命が尽きる短い間の暇つぶし」として受け入れるかもしれんが
あんな使い魔なんて通常の学園生活を送れなくなるよな、普通
曾孫ならそこら辺含めて「自分を使い魔にしてどう使うの?自分国滅ぼせるよ?」的な覚悟を問う思いやりがありそうだ
引きこもりに何を期待するんだ
乙でした。
最後まで緊迫感のあるオリジナルストーリーで楽しめました。
震電などお気に入りの兵器が出てきたのもうれしかったです。
原作との整合性はあまり考えなくてもよいと思いますよ。おっかけてるときりがないですし。
あと坊の岬海戦なら23年後に下田に帰ってきた大和なら米軍に勝てるかも。
まあ、沖縄ごと消し飛ぶかもしれないけど。
872 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/22(火) 15:44:18.29 ID:nu2/pMhc
結構昔の時代劇だけど「若大将天下ご免!」から主人公の結城小太郎が召喚されるというようなものを考えたけど挫折した
展開としてはタバサに召喚されて才人達に北辰一刀流を教えたり再び"隅田の小天狗"になって悪徳貴族に天誅を下すという感じだったんだけど…
そもそもこの時代劇知っている人居るのか疑問になったしルイズに召喚されてもいないのでやめてしまった
>>872 君が書くから皆が知るんだ
趣味においては需要なんて些細な問題だ
ルイズに召喚されたらってのはひとつの形式で、タバサやテファが召喚した作品もごまんとある
一応スレタイにそうあるし、仕方ないんじゃね?
格闘ゲームのキャラを召喚したらワルドの役目って超必殺技の的だよな。
侍魂のいろはやアルカナハートのクラリーチェとかなら読者的には「ワルド死ねマジ死ね」になるかな。
逆にワールドヒーローズのラスプーチンだと…
アッー!な愛の園か…コワイコワイ
878 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/22(火) 18:59:09.81 ID:nu2/pMhc
ありがとうございます
ぶっちゃけ序盤しか考えてないけどそこだけでも書きます
時間軸としては最終回語の設定です
使い魔天下ご免! 主演・橋爪淳 ナレーション・横内正
結城小太郎。
両親の名を知らぬこの青年は、物心つく頃には老中・水野越前守のもとで養育された。
後、神田お玉ヶ池に道場を開く千葉周作のもとで修業を積み、今ではその師範代を務めるまでに成長していた。
小太郎は今、旅の空の下に居た。
養父である水野越前守が失脚、小太郎は養父を罠に嵌めた幕府重職の屋敷に"隅田の小天狗”として斬り込み自分の正体も公になってしまったのである。
江戸を発つ小太郎を見送るため、海老屋の女将お駒や板前の鉄五郎、その他海老屋の面々、
千葉道場に通う"自称”一心太助の子孫石松、剣術仲間で共に悪人退治をした勝小吉とその自慢の一人息子・麟太郎、
さらにいつも小太郎を目の敵にしていた同心の浜田陣十郎は涙ながらに、そして剣の師である千葉周作と姪の弥生、
越前守の女密偵お遊も小太郎に想いを寄せる越前守の娘沙織を連れて見送りに来てくれた。
いつかまた会える。小太郎はそう思い旅に出た。
「どのあたりまで来ただろうか?」
小太郎は呟いた。
江戸を出てはや数日、道場や海老屋の喧騒がやたらと懐かしく感じた。
小太郎の格好は上は白い着物に下は黒い袴、普段の下駄ではなく草履を履き、腰に大小を差し髪は総髪で後ろに束ねていた。
小太郎はふと目の前に奇妙なものを見つけた。
「あれは…鏡?」
それは巨大な鏡だった。
なぜ街道のど真ん中にこのような鏡があるのだろうか?
小太郎は疑問に思いながらも好奇心からついその鏡に触れてしまった。
「な?!なんだこれは!」
その瞬間、小太郎はその鏡に吸い込まれていった。
「…ここは?」
小太郎が気付くとそこは見たこともない場所だった。
周りには奇妙な髪や瞳の色をした(麟太郎より年上であろう)少年少女達がいて、
目の前には青い髪に眼鏡をかけた小柄な少女、さらに自分の隣には翼を生やした青い巨大な生き物がいた。
「…契約。」
「え?」
少女はそう呟くと突然小太郎に口付けたのだった。
これが江戸の町で"隅田の小天狗"として持て囃され、後にハルケギニアの救世主ともなる青年剣士・結城小太郎と"雪風"の二つ名を持つ少女・タバサとの出会いであった。
ここまでです
これ以上の展開は難しいというか、千葉先生が居ないとこの時代劇のお約束シーンである刀に清め酒ができないという問題が…
879 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/22(火) 19:04:14.43 ID:nu2/pMhc
↑最終回後が最終回語になっちゃってますねごめんなさい
ちなみにエンディングテーマを付けるなら橋爪淳さんの「風はやさしく」です(笑)
乙乙、時代劇物は少ないからこの先に期待
なるほど、タバサがシルフィードと一緒に召喚したのか。
480KB超えてるんで新スレ立てましょうか?
誰もいないみたいだし、必要になってから立てりゃいいか
480超えてんのに気づいたんなら普通に立てりゃいいものを……
立ててくるわ
> ID:nu2/pMhc
とりあえずこのスレがsage進行だってことだけは覚えといてくれ
萌え萌えの人乙
次は現代ですね。襲撃から伸びてる伏線もあるし楽しみにしてます。
890 :
使い魔ご免!:2011/02/23(水) 18:36:46.63 ID:t+cvxbt5
すみません。続きを思いついたので懲りずに書かせてもらいます。
かなり話飛んでますけど(笑)しかもアニメオリジナル回です。(だったよね?この話)
「コタロウ、行くの?」
タバサが尋ねた。
「ええ、これ以上あの者を放っておく訳には行きません。」
そう言って小太郎は盃に注がれた酒を飲み干す。
江戸のものではないが学院の料理長であるマルトーにもらった酒である。
赤くて少々甘いのが気になったが、これが小太郎にとっての"儀式"だ。
なぜこの様な事になっているのかと言えば、この学園で給仕をしていたシエスタが
モットという貴族に見初められて屋敷へ強引に連れて行かれたことから始まる。
それを聞いてシエスタと親しかったタバサの友人であるルイズの使い魔、才人が一人シエスタの救出に向かったのである。
召喚の儀式の後、ギーシュとの決闘や盗賊土くれのフーケとの闘いの中で小太郎は才人と親しくなり、
才人も小太郎が自分が居た世界の過去から来た"侍"だと知り、小太郎から剣術を学んでいた(いつの間にかギーシュも加わっていたが)。
その才人が一人でモットの屋敷に向かったというのだ。
小太郎は剣の師として、また弟の様な存在の友として、見殺しにすることはできない。
確かに才人は、"ガンダールヴ”という不思議な力で武器を持てば驚異的な身体能力を発揮するが、所詮は素人、本格的な剣の修業を始めてまだ僅かだ。
このまま行けば才人も生きて帰って来れるか分からない。
小太郎は再び"隅田の子天狗"となる事を決意した。
刀の鍔に口に含んだ酒を吹きかけ、盃を床で叩き割る。
「完膚なきまでに、叩きのめして来ます!」
「気を付けて。」
タバサが無表情の内に不安を隠して送り出す。
小太郎は窓から飛び降りるとモットの屋敷へと駆け出した。
891 :
使い魔ご免!:2011/02/23(水) 18:37:47.80 ID:t+cvxbt5
「おのれ!貴様何者だ!」
同時刻、才人は無事シエスタを見付けたのだがその後すぐにモットに見付かってしまった。
「オイオイ、ヤベーな相棒。見付かっちまったぜ」
才人の背中でデルフリンガーが喋る。
「うっせぇ!こうなりゃ戦うしか…。」
才人がデルフリンガーを抜こうとするが
「だめです!そんな事したらサイトさんもただでは済まなくなってしまいます!」
「そもそもまだオメーの腕じゃあれだけの衛兵相手にできねーよ!」
「…ぐっ!」
シエスタとデルフリンガーの声を揃えての抗議に文字通りぐうの音も出ない才人。
そうこうしている間に衛兵達に囲まれてしまった。
「さあ観念しろ、賊め!そしてシエスタを返せ!返せば命だけは助けてやる」
モットの言葉にシエスタは諦めてせめて才人だけでも助けてもらおうとした。
「分かりました!戻ります!だからサイトさんには手を出さないでください!」
「な!だめだ!シエスタ!」
「フン!初めからそうしていれば良いのだ」
モットが満足げに笑いシエスタの肩に触れようとしたまさにその時。
「その必要は無い!」
「?!何奴!」
「隅田の子天狗・結城小太郎!ジュール・ド・モット!若い平民の女性を次々に手篭めにするとは言語道断!
この隅田の子天狗が成敗致す!」
そこに居たのは紛れもない元北辰一刀流玄武館道場師範代にして現在タバサの使い魔である結城小太郎だった。
「こ、小太郎さん?!」
才人が驚いて声を上げる。
「才人殿、勇気と無謀は違います。まだまだ修行不足ですね。帰ったら打ち込み百本追加です」
そこでモットがようやくはっとなって衛兵達に命じた。
「な、何をしている!早くそいつらを捕えろ!」
命令を受けて斬りかかる衛兵を小太郎は柔術でねじ伏せた。
「才人殿はシエスタさんを守ってください!」
そう言うと小太郎は刀を抜いて峰を向け、北辰一刀流の大上段の構えで衛兵達に斬り込む。
それからはまさに小太郎の一人舞台であった。
襲い来る衛兵達を刀の峰で叩き伏せては天狗のように跳ね回りあっという間に衛兵は一人残らず地に伏せ気絶していた。
「お、おのれぇ!」
モットが杖をかざし魔法を使おうとするがそれよりも速く小太郎の刀の峰がモットの額を激しく打ち据えた。
「ぐぁッ!」
額を打たれたモットも衛兵達同様気を失ってその場に倒れた。
「すげぇ!」
「へぇ〜!」
(ほわぁーん)
才人とデルフリンガーは感嘆の声を上げシエスタは小太郎に見惚れていた。
小太郎は屋敷の柱に何かが書かれている紙を笄で張り付けると才人達の所へ歩いて来た。
「さあ学院に帰りましょうか。もちろんシエスタさんも。」
892 :
使い魔ご免!:2011/02/23(水) 18:38:13.62 ID:t+cvxbt5
「あ、あの!コタロウさん!ありがとうございました!ついでにサイトさんも!」
「俺はついでなの?!」
「まぁ、イイトコ全部持ってかれたからしょうがないぜ相棒」
学院に帰り着くとシエスタが頬を赤らめながら小太郎にお礼を言った。
ついで扱いされた才人は若干落ち込んでいる。
さらにそこにデルフリンガーが追い打ちをかけるという始末。
しかし、江戸でも沙織や弥生、お遊から慕われていてもほとんど気付かなかった小太郎が女心など分かるわけも無い。
「皆さん、本当に無事で良かった。では、タバサさんを心配させてもいけないので私はこれで」
「あ!小太郎さん!」
才人は疑問に思っていることがあった。
「どうしました?」
「あの屋敷の柱に張り付けた紙には何が書いてあったんだ?」
それはシエスタとデルフリンガーも疑問に思っていたらしく視線(デルフリンガーに目は無いが)集まった。
「明日には分かりますよ。まぁ、大半はタバサさんに書いてもらいましたが」
「「「?」」」
三人にはよく分からなかった。
「ただいま帰りました」
「おかえり」
小太郎がタバサの部屋に戻ると寝巻き姿のタバサが本を読んでいた。
(おや?)
しかし小太郎は妙な違和感を感じた。
と言うのもタバサの読んでいる本が上下逆さまなのである。
「心配をかけてしまったみたいですね」
「…!」
タバサもようやく本が逆さまだった事に気付き何とか取り繕おうとした。
「…無事で良かった」
本をベットの上に置きとりあえず何事も無かった事にしたようだ。
小太郎は笑いを堪えるのに必死だった。
翌日、モット邸が襲撃されたと聞き屋敷に役人達がやって来た。
そこで役人達が見たものは気を失っているモットと屋敷の衛兵達、そして屋敷の柱には上質な紙にモットの罪状が書き連ねられていた。
そしてその紙の一番最初には見た事もない文字が刻まれていた。
「誅 隅田の子天狗」と…。
支援!
だけどmail欄にsage
894 :
使い魔ご免!:2011/02/23(水) 18:41:41.82 ID:t+cvxbt5
以上です。
エンドテーマ「風はやさしく」
朝焼けの海に佇めば〜名残の〜星が〜瞼〜に染みる〜
思い付いたらまた書くかもしれません。(別の時代劇になるかもしれないけど)
乙
フツーに続きが読みたいッス。
なんか作者の
>>1を見ていなさそうな行動から一波乱ありそうだぞ
残量中途半端だし埋めるか
なあにあとほんのちょっとだし埋めなくても雑談で埋まるでしょ
>>894 とりあえずテンプレと前回や今回の自分宛のレスを読め
じゃあ雑談ふりで
新刊あとちょっとだけど、ネタバレ禁止は前回同様一ヶ月かな
そのぐらいでしょうな
その前回の時にも思ったんだけど、その一カ月ってのはどっから来たの?
そういうもんなの?
ラノベ板でのルールというかマナーとして
それぐらいの期間新刊の内容をそういう事用のスレ以外では
自重する事になっている。
>>894 乙。
これが破れ傘刀舟先生だったら皆殺し…
最近は常識知らずが多いですね
竜王はたしかオリジナルではベギラマとマホトーン、
リメイク版も合わせるとラリホー、ベホイミも使えるんだったか
竜王のひ孫も基本的に同じような能力かな、たしかゲームブック版ではベホイミを使ってたような気がするが
竜の姿では激しい炎を吹く
基本的にベギラマやラリホー等の攻撃系の呪文を受け付けない…だったかな
ギラがトライアングル、ベギラマはスクウェアクラスの威力ってイメージ
ベギラゴンだと虚無クラス
ハドラーのベギラゴンはまさに極大って感じだしな
戦艦や城をまとめて消滅できるレベルの虚無がベギラゴンと同等は厳しすぎる
じゃあマダンテってとこか、ドルオーラは国を消し去るから行き過ぎだし
1の勇者召喚したらタバサ助けに行くのはローラ姫そのまんまになるな
ダイ大は専用スレでやってあげなよ
あっちかそってるから
ドラクエYの漫画じゃバギマで山が削れイオナズンは地平線が吹っ飛んでたな
うっぷん溜まったら海に向かってギガデインと叫ぼう
とりあえずドットメイジの実力が「まほうつかい」、
ラインメイジで「まどうし」、
トライアングルクラスで「だいまどう」くらいだとすると、
りゅうおう一人でけっこー蹴散らせそうではあるな
あ、勿論DQTのことね。ベギラマ使うやつ
DQWの「だいまどう」じゃないから
>>913 トロル「そんなん全力で負け犬でしょー!!」
コッパゲ先生ならベギラマ、メラミ、ザキ相当の事はできるか
最終巻のサイトがまた最初の召還の時に召還されて無限ループの話絶対誰かやるだろうな
TOKIOを召喚してタルブをDASH村に改名して欲しい
TOKIOってなんかの作品の登場人物だったのか
921 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/24(木) 20:21:26.31 ID:2AHe5mkf
ビィト再開しないのかな?
ゲームセンターCXの例もあるし問題ないと思うけどな
小ネタならな
>>920 鉄腕DASH!の登場人物だよ!
でも怖い人が来るからダメなんだよ!
925 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2011/02/24(木) 21:46:59.24 ID:PpRXy6WI
デモンズのキャラ召喚マダー?
鉄腕バーディーで我慢しろ
>>918 理想郷のSSだと最終戦後にふりだし設定の話は多いな。
このスレだと、ジョジョのボスがルイズが老衰時にふりだしに戻ってたりしたけれど。
バイオメガのヒグイデさんがハルケギニアに来てもいいと思う
なんか出たり消えたりワープさせられてるし
>>927 ・・・このスレはジョジョやってなくね?
ループエンドといえば・・・・・・アニメ版のGU-GUガンモか。
>>930 原作版だとガンモの中身が羽化して、皆の記憶が全て消されたとこで終わった記憶が…
結局正体はなんだったんだろ?
ループ……アニメ版マジカノ
>>931 正体は不死鳥。
成体になるために童心を吸収する必要があったのでみんなの所に来た。
もっとも、ガンモ自身も間際までそれを知らなかった。
>>908 じゃあライン→メラ
トライアングル→メラミ
スクウェア→メラゾーマ
虚無→今のはメラだ
何故にメラがラインなのかね
じゃあドットの攻撃魔法はなんなんだ
ドットメイジの作れるワルキューレとかは少なくともスライムやドラキーよりは強そうに思えるが、
それを七体同時に作れるギーシュはメラしか使えない魔法使い未満なのか?
メラガイアー、ギラグレイド、イオグランデ、マヒャデドス、バギムーチョも加えて考えてみようぜ。
とりあえず、ドット〜スクウェアはそれで埋まるはず
他作品スゲーでゼロ魔は踏み台がこのスレの基本方針だからな
無意識のうちに他作品を上げてゼロ魔を下げて考える癖がついてしまっている
>>938 別にそんなことはないだろ。
少し前まで、どんな強キャラや悪党キャラだって召喚されたのにルイズたんに逆らうなんて言語道断!
反抗的な態度をとるなんてヘイトだとか騒ぐのが結構いたじゃないか。
メンヌヴィル(トライアングルメイジ)の炎なんかは鉄の武器をあっさりと溶かすことができ、
身長5mくらいの巨人(トロル鬼)を何体もまとめて焼き殺してしまうほどの威力らしい
描写見る限り少なくとも初期のポップが使っていたメラゾーマとかよりは強そうだぞ
まあメンヌヴィルはトライアングルながらスクウェアメイジのワルドでも勝てるかどうかわからない、というくらいの腕利きメイジではあるがな
新スレがたつたびに、偽テンプレを張りまくる荒らしが出没してたころだな。
それが「少し前」ね
ドットはメラやメラミ、或いはギラ。
ラインはメラミが安定して使えるか、ヒャドやバギ、イオを覚える。
>>938 そういう方針は聞いたことがない。
まあ全体として、ある程度の能力がないと原作展開なぞるだけになってしまうので、そういう強キャラ出す傾向があったのは確かだな
能力ではなくてキャラとしての強さで話を変えるってのは存外と難しいもんだ。
賢者ポロンの召喚モノではドットのギーシュ相手にメラやバギ、イオだけでは分が悪く、
合成魔法を使えば楽勝、ってな感じになっていたな
マリモの召喚モノはどの呪文がどのランク扱いかってのを明記してた
日替わりはバギクロスがスクウェアスペルのカッターストームくらい、
イオナズンやギガデインだとフーケのゴーレムを一撃粉砕だったかな
おっと
500KBならDFF記念でFF系クロスが増える
500KBなら、応援スレで応援された作者さんによるスレへの投下ラッシュ