21世紀深夜アニメバトルロワアイル

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここは2001年以降に放送された深夜アニメのキャラクターを対象にバトルロワイアルを
行うリレー小説の企画です。
この企画は性質上残酷な描写を含むので閲覧の際にはご注意下さい。

したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14065/

wiki
募集中
2名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 07:37:42 ID:Wpp5wz2D
参加者一覧
9/9【蒼穹のファフナー】
○真壁一騎/○皆城総士/○遠見真矢/○羽佐間翔子/○カノン・メンフィス/○春日井甲洋/○近藤剣司/○小楯衛/○要咲良
8/8【ストライクウィッチーズ】
○宮藤芳佳/○リネット・ビショップ/○エーリカ・ハルトマン/○ゲルトルート・バルクホルン/○フランチェスカ・ルッキーニ/○シャーロット・E・イェーガー/○サーニャ・V・リトヴャク/○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
8/8【武装錬金】
○武藤カズキ/○津村斗貴子/○中村剛太/○早坂桜花/○早坂秋水/○火渡赤馬/○ヴィクトリア・パワード/○ヴィクター
7/7【魁!!クロマティ高校】
○神山高志/○林田慎二郎/○メカ沢新一/○フレディ/○ゴリラ/○竹之内豊/○マスクド竹之内
7/7【ef - a tale of memories./melodies.】
○広野紘/○宮村みやこ/○麻生蓮治/○新藤千尋/○久瀬修一/○火村夕/○雨宮優子
7/7【GUNSLINGER GIRL】
○ヘンリエッタ/○ジョゼッフォ・クローチェ/○トリエラ/○ヴィクトル・ヒルシャー/○アンジェリカ/○マルコー・トーニ/○ピノッキオ
7/7【瀬戸の花嫁】
○満潮永澄/○瀬戸燦/○政/○シャーク藤代/○江戸前留奈/○銭形巡/○三河海
6/6【Angel Beats!】
○音無結弦/○仲村ゆり/○立華かなで/○ユイ/○日向秀樹/○直井文人
6/6【真・恋姫†無双】
○劉備/○関羽/○諸葛亮/○趙雲/○馬超/○曹操
4/4【エルフェンリート】
○ルーシー/○コウタ/○ナナ/○坂東
4/4【CANNAN】
○カナン/○アルファルド/○大沢マリア/○リャン・チー
4/4【Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
○吾妻玲二(ツヴァイ)/○アイン/○ドライ/○サイスマスター
3/3【DARKER THAN BLACK】
○黒/○銀/○蘇芳・パヴリチェンコ
80/80
3名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 07:39:01 ID:Wpp5wz2D

【基本ルール】
全員で殺し合いを行い、最後まで生き残った一人が勝者となる
生き残った一人だけが、元の世界に帰ることができる
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される
プレイヤー全員が死亡した場合、規定時間を超え複数が生き残った場合ゲームオーバー(勝者なし)となる


【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収(義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない)。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される
ゲーム開始直前に以下の物は「デイパック」などの鞄類、もしくはそれに類する持ち運び可能な物に詰められ支給される
「名簿」「地図」「コンパス」「懐中電灯」「筆記用具」「水と食料」「時計」「ランダムアイテム」
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1個〜3個入っている。
(回復アイテムや装飾品、補助武器など。バランスを崩しそうな物は書き手の自己責任で制限、ファフナーのような巨大ロボは制限が困難なので支給不可)

【予約について】
騙り防止のためにトリップ必須。書き込む前にトリップキーが割れていないか検索を推奨。
したらばの予約スレッドにトリップをつけて書き込んで予約する。
現在の予約期限は予約時間から3日。延長申請すればさらに1日期限を延ばせる。

【禁止事項】
一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
時間軸を遡った話の投下
話の丸投げ
トリップ割れによる成りすまし
4名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 07:40:15 ID:Wpp5wz2D
【議論・修正協議について】
したらばの議論スレにて発議。
本スレは投下をメインとして、次に投下する人の邪魔にならないようにする。
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。


【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に2エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【首輪について】
参加者の首には首輪が装着され、首輪は以下の条件で爆発し、首輪が爆発したプレイヤーは例外なく死亡する。
・首輪を無理やり外そうとした場合
・禁止区域エリアに入った場合
・ロワ会場の外に出た場合

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。

【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24

【地獄少女について】
会場内のパソコンや携帯電話などで地獄通信にアクセスが可能です。
アニメと同様に深い恨みなどを持ってアクセスをしたら、地獄少女に依頼をして相手を地獄に流す事が出来る。
地獄少女は一切の制限が掛かっていない為に、地獄流しの回避は不可能です。(死亡扱いになります)
ただし依頼をした側も死後に地獄へと落ちることになります。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 07:43:52 ID:Wpp5wz2D
現在は作品選考と参加者選考の投票が終わり
したらばでの議論も一段落付きましたので2chへのスレ立ての目途が立ちましたので
スレ立てをしました
現在の予定は以下の通りです

まとめ

・8月28日土曜日00時を持ってOPとマップの募集
・基本三日で非常時用に+1日
・したらばに仮投下スレを設地

9月1日21時:OPと地図の募集を締め切り
9月1日21時〜24時:OPと地図投票の際の事前認証
9月2日:投票
9月3日:集計と認証期間
9月5日:予約スタート
6名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 07:56:23 ID:Wpp5wz2D
それと仮スレに投下されたOP案その1を代理投下します
あくまでも募集された作品の一つでありまだどれがOPか決まってません
舞台は30世紀
人類の娯楽は多岐に渡り、かつて娯楽の頂点に位置していたテレビはマイナーな物へと変化しつつあった。
業界人は苦心し、視聴率の回復を信じあらゆる手を尽くした。
しかしクイズ番組やバラエティでは、回復を図るのにも限界がある。
けれどそれで諦めないのが職人でもある。
作り物が駄目ならと企画したのがドキュメント形式の番組である。
そして幾つか企画を打ち上げる中で、成功のきっかけを得ることに成功する。
それはバトルロワアイル。
前時代に存在が確認される映画を基にした企画である。
そして今でも誰も名前すら知らない前世紀の遺物であった。
だがそれをきっかけに番組作りへとチームを作りスタッフ一弾となって制作へと着手する。
結果としてテレビの普及率と娯楽のトップとしての座の返り咲きに成功した。
対象は50年ほど前に開発された全時空移動装置によって、強引に拉致された者達。
第一回は実験程度の意味で適当に選んだ二つの異世界のただの中高生で行った。
非人道的な行為であるが、未来の時代を生きる者達にとって、異世界の人間の殺し合いなどただの娯楽。
他人の不幸は蜜の味と同じ物だ。
はるか昔、古代ローマにおけるコロッセオでのグラディエーターの闘いと同じような物かもしれない。
更に言えばそれをより派手に、大規模にしたものである。
人類の新たな娯楽。
それは何処まで行っても、人の傷つけあう姿を楽しむ事でしかなかった。


『漆黒の闇!
厳かに始まるは死の宴
生き残れるのはただ一人
女子供も関係ない、阿鼻叫喚の地獄絵図
闇より響くは、恐怖の悲鳴か怨嗟の咆哮か。

あの全世界を熱狂させた最高視聴率73%を誇る大人気シリーズバトルロワイアルが遂に記念すべき第百回を迎える。
今回は史上最大のスケールでお送りします。しかも完全生放送アンドマルチチャンネル。
参加者一人ひとりの姿を追って楽しむ事が可能。
熱き正義の戦士、悲しい闘いを強要される少女、残酷な運命の中で生きる少女、気ままな学生生活を送る不良たち、
更には野獣、ロボット、人魚、ホムンクルスが参戦。
総勢81人の史上最大スケール!しかも今回はあの地獄少女がゲストで参加。
これは絶対見るしか無い。
放送はゴールデンウィークの5月2日、午後23時25分よりより約三日間72時間以上の超ロングラン!テレビ生放送を予定!!!』
各家庭に流れる予告編
そしてその映像が終われば次に流れるのは参加が予定される人物のPV映像
今回使われたのは子供に人気があるクールな戦士、そしてヲタクに人気がある愛らしい美少女。
テレビに流れる映像は銃を持ち静かに戦う吾妻玲二。
その自由奔放な行動が男の保護欲をかきたてる、美少女フランチェスカ・ルッキーニ。
どちらもこの世界へ強制連行する前の普段の行動を映した物だ。
このような映像が一週間以上を掛けて放送開始までに参加者81人全員の映像が二回以上流れる。
宣伝はそれほどまでに徹底して行われる。
81人は開始前から話題を集め、一部人物にはファンクラブが出来るほど人気が出る以外に勝敗予想、生存予想などで盛り上がった。

毎日のように過去の名シーン放送や100回記念のバトルロワイアルの特番が組まれ、81人の詳細プロフィールも雑誌で紹介され、
全世界が大きな関心を持つ一大イベントとして沸き立った。
ネット上ではあらゆる書き込みがされていた。

『リーネのおっぱいすげー』『皆城総士ってアイドルみたいな顔じゃね』『ルーシーが一度に何人殺せるか賭けようぜ!』
『優子ってミステリアスだ』『神山は何回ツッコミ入れるんだw』『火渡の必殺技で即終了www』『かなでちゃんマジ天使萌え』

掲示板はカオスになりつつも、毎日のように書き込みはそれ関連で埋め尽くされている。
72時間ゴールデンウィークぶち抜き生放送を前に世界は第百回バトルロワイアル一色に包まれていた。

そして放送当日。
81人の拉致は全て成功した。
放送開始はもうすぐだ。
25分から最初の5分は視聴者への前説。
残り30分で参加者への説明を終わらせなければならない。
しかし既に百回だ。
過去の九十九回、結果は様々だった。
優勝で終わったのは47回。時間切れの全滅が3回。最終的に相打ちでの全滅が4回。参加者が装置を占拠しての脱出は45回。
しかし、OPでの失敗はただの一度も無い。
故にOPの司会者は慣れた手つきでスーツを着こなし、自信に満ちた表情で百回目となるOPの説明を行うべくステージへと上がる。
既に新人タレントによる前説は終了していた。


しかしこれは全て外野の話。
ここから始まるのはそんな外野とは全く無関係。
本人達はただ必死に、生きるためだけに戦う。
テレビ局の都合とは無関係に、必死に己の命を賭けるのみ。


ただいまを持って舞台の主役は81人の参加者へと移行する。


◇ ◇ ◇
学生服の男、音無結弦が気付くと場所は自分の見知らぬ世界であった。
場所はホールのようだ。しかしステージの上は幕が下りたままであり、その奥を見ることは叶わない。
かつて死後の世界で意識が目覚めた時は校舎脇の固いアスファルトの上だったが、今回は柔らかな椅子の上だ。
座り心地が良いのは、悪いよりもそれだけで数倍マシである。
だが、それとは別の何か嫌な胸騒ぎを覚えていた。

「かなで!一体俺達はどうしてこんな所にいるんだ?」

隣に座っている少女に問いかける。
音無の隣ではかなでが物静かな雰囲気をそのままに、姿勢正しく座っていた。

「分からないわ。ただ……ここは今までの世界とは何かが違う」

かなでは要領を得ないまでも、結論は明確に示してくれた。

今までの世界と違う。
つまりは死後の世界とはまた別の世界ということだ。
突然そんな世界に放り込まれたこと、それは嫌な予感を増徴させるに充分過ぎる。
周囲を見渡すと少し遠くには音無の友人である日向やゆりっぺの姿も見えた。
TKや野田の姿は確認出来ない。背後ではどういうわけかゴリラが眠っていた。
何でゴリラ?という感情は当然あったが、ツッコミを入れるべきでないと思ったのか音無はそれには触れない。
ただ、この空間が異常であることだけは音無にも確信が持てる。

そしてその確信を確固たる物にしうるかのようにステージの幕が上がり始める。

「よっ、元気にしてるかなー!この度は皆さん、バトルロワイアル第百回大会の参加者へ選ばれた事
このウチが全力で祝福するでっ感じで始めたいと思います。良いでっか。じゃあいくわ、ハッハッハ!」

突然現れたのはスーツの男。
胡散臭い笑みと胡散臭い方言、胡散臭さの数え役満といったところだ。
会場全体に何となく嫌な空気が流れているように思う。

「あれ?のりが悪いなあ。まあ今回の参加者はウチより10世紀以上前の人ばっかやし、現代の乗りについて
これへんでもしゃーないな。じゃあ大体その頃にウケタ感じのノリで説明したるさかいに、ちゃーんと聞きや」

男の説明が関西弁っぽいものになる。
けれど胡散臭さが払拭されたわけではない。
それ以上に10世紀以上前とかの意味不明な発言により、ホール全体が男に不信感を持たせているような感さえある。
約数名、既に事情を理解できずにフリーズしているが困惑しているが男は説明を続ける。

「まず今回の大会バトルロワイアル。主演は君達81人。いいな。全員が主演、ドキュメントみたいなもんやから
気ぃ抜いたらあかんで。もし気ぃ抜い取ったら取り返しつかんことになるからな。けど全員主演は開始前の段階やから。
子供の運動会の全員一着違って、駄目な人はすぐに出番無くなるから全力尽くしなや。分かったな」

キャラが一貫していないように思えた。
趣味がテレビ鑑賞の人ならこの男のキャラがいろんなタイプの番組司会者に被っているように思え、テレビを知らない人は
ただただ男のうざ過ぎる説明に業を煮やしていた。
ただ不穏な空気が会場に満ちており、誰も我先にと立ち上がる様子は無い

「じゃあ早速本題。これは殺し合いで最後の一人になるまでやってもらう。制限時間は三日間、72時間な。
それを超えたら全員ボンッ!と爆破してお陀仏。まあ全員死亡は滅多に無いから心配せんでええよ。落ち着いて
元気に頑張って殺し合おな」
「異議がある!」

殺し合いという下りの説明を終えた男に対しタイミングよく異議の声があった。
凛とした真っ直ぐな声、それは坂本美緒の声だ。
「おう。なんでっか?」
「殺し合い?私はそれに反対の意見を述べさせてもらう」
「いやいや。困りますて。反対ってもう決まってるから。これを拒否はあきませんって」
「ふざけるな!私は認めん。絶対に断固としてな!」

坂本美緒は背後を振り返る。
そこにはウィッチーズの自分の仲間の姿があった。
なぜかペリーヌとミーナの姿は見えないが、それ以外の8人は確かにここにいる。
最後の一人とは、つまり彼女たちとも殺しあわなければならない。
それは絶対に拒否すべきことである。
この不穏な空気を打ち破り、坂本美緒は一人男に対し敵意の視線をぶつけて行く。

「ああ分かった分かった。ならこうしよ。ちょうどいいや君で。はいちゅうもーく!今からこのように逆らった人、
殺し合い会場から逃げたり、複数が生き残ったまま72時間経った場合どうなるかを実演しまーす」
「ふざけるな!私の話を聞けっ!」
「今から両手で手拍子します。そしたら五秒で結果が出ますからちゃんと見てください。はい行くよっ!」

いうが早い、男は坂本美緒を無視し手拍子をする。
乾いた音が会場に響く。
ホールにいる人の瞳はほとんど全てが坂本美緒へと注がれる。
今この瞬間、ホールの主役は他の誰でもない、まぎれもなく坂本美緒であった。

「何だ?なにがどう―――――」

坂本美緒は何かを言いかけ、その言葉の先は彼女の口から紡がれる事が無かった。
爆音がホールを占拠した。
そしてその爆音は彼女の首から上を全て、吹き飛ばしていた。
目も耳も口も、頭蓋骨と脳も例外なく、この世界から坂本美緒を形成するのに必須である首から上の部位は消滅した。


「さっ………坂本さんっ?………………えっ……嘘?いや、うそ、うそでしょ……」

一拍の遅れで呆然とした呟きがホールに響いた。
本来は聞こえるはずも無い呟き。
それが聞こえるというのは、つまり誰もが突然の惨劇に言葉を失っているからに他ならない。

「はいっ!見ましたね皆さん。皆さんの首にも同じ物がついていると思いますが首輪です。もしこれ以上逆らうなら、
皆さんも同じようにここで死んでもらいます。嫌ですよねそれなら黙って説明を聞いて下さい」

誰もが男に対し無言を貫いていた。
端々ではぼそぼそとした内緒話のようなものは聞こえるが、誰も邪魔をしたり大きなアクションを起こそうとはしない。
これ以上は危険だということは本能で誰もが理解したからだ。

「じゃあ説明を続けます。もう時間も押してきてるさかいに駆け足でいくな。皆さんには支給品を配ります。
中身は名簿や会場の地図、このバトルロワイアルのマニュアル。簡単なサバイバル用のグッズ。あと大体三日分の食料。
とりあえず飢え死にや遭難なんてことは無いように充分な物が入ってます。それから武器やアイテム。
これは個々人によって数も内容もちゃうから注意な。大体一個〜三個やけど、ごっつ良い武器が当たったり、
しょーも無いもんが当たったりするけど、完全に運任せや。運も実力の内いうからもし大ハズレでもウチら恨まんといてな。
ちなみにこれらはウチらが用意した鞄に入ってるけど、特殊仕様で重さはほとんどないから、女子でも安心してな。
それから六時間置きに放送もあるからちゃんと聞いてな。時間は6時、12時、18時、24時や。この放送は死んだ人の通知と、
地図内に順次設けられる禁止エリアの発表があるから聞き逃したらえらい事になるで。禁止エリアに進入したらさっきの人みたいに
頭が無くなるんやからな。まあウチも鬼ちゃうよって、うっかり入っても首輪から30秒の警戒音なるから、すぐに出れば死なんけど。
それからこっから先が大事。生き残って最後の一人になったら、この世界から元の世界に帰したるけど更にもう一つ。
何でも願いを叶えたる。もう何でもや。死んだ人を生き返らせる、過去をやり直したい、なんやったら自分を取り囲んだ
境遇を全く別物、自分の思い通りに変えることやって可能や。願いがあったら頑張りや」
男は一息をつく。
ここまで口を挟む者はいない。
迂闊に口を滑らせば首輪が爆破されるのだから、当然ともいえる。
修羅場を潜った者は己の直感が故に手を出せず、そうじゃないものは空気に呑まれ口を出せない。

「じゃっこれで最後や。実は会場内には面白い物を用意しといた。内容は使用したらのお楽しみや。罠とは違うから安心してな。
使用方法は会場内のパソコン、もしくは支給品のパソコンや携帯電話でネットにアクセス。地獄通信と検索するとアドレスが
出るから、一時や二時といったジャストの時間にアクセスすると繋がる仕組みや。でもまあ気軽にアクセスしても繋がらへん。
あくまでも、このロワの参加名簿の中に入っとる特定の誰かにぎょーさん強い恨み持ってへんとあかん。でもま本来やったら
24時間に一回しかアクセス出来へんけどところを一時間に一回にチェンジしたったんやから出血大サービスやでほんまな。
じゃあこれにて説明は終わりやからバイバイな」

男の説明はこうして終わる。
終始胡散臭さを残しつつ、説明が終われば時間はちょうど深夜0時を回る。
それと同時、時限式の仕掛けにより80人は会場へとテレポートしていく。
既に仕事を終えたホールは司会者と一つの死体を残し、静かな静寂へと包まれていく。

◇ ◇ ◇

予定より一人欠けた80人の参加者はホールから姿を消し、今72時間バトルロワイアルの本番の生放送が始まった。
編集ゼロ。あらゆる残酷シーンもノーモザイクで映すそれは一種の戦争ドキュメント。
モニターは無人と化したホールから会場へと映し出す映像を変えていく。


【坂本美緒@ストライクウィッチーズ 死亡】

残り80人

【主催者】未来のテレビ局@オリジナル
【進行】男の司会者

【特殊ルール】
【地獄通信@地獄少女】へのアクセスは1時間置きのジャストの時間にアクセスが可能。
ただしアニメ本編同様に強い怒りや憎しみが必要。
代理投下終了です
13名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 14:55:05 ID:N6oihJG4
なんで相談なくアニキャラ総合に立ててんの?
馬鹿なの?
14名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/28(土) 18:30:53 ID:2Sp57VmU
15名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/29(日) 08:45:19 ID:/2taPSHQ
>>14
これ何度見ても呆れて物言えんわ
こんなもん成り立つわけねーだろ
企画考えた奴アホすぎる
16名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/29(日) 21:26:05 ID:1ExpoEig
それでもSSが70話も投下されてるからな
上から目線で馬鹿に出来るほどこのロワも磐石じゃないし
むしろ80人も参加者増やした段階で軽く馬鹿にされてるだろうからな
まあ他所を馬鹿にする暇があったらSS書けってこった
17名無しさん@お腹いっぱい。:2010/08/31(火) 20:01:54 ID:utPbwmZ/
代理投下します
18胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:03:31 ID:utPbwmZ/
「うっ……なんだ、これ」

少年、音無結弦が目覚めた時、辺りは不可思議な闇に覆われていた。

闇。光を吸い込み、何も彼もを飲み込む闇。
彼がいるのはだだっ広い建物の中のようだった。視界は真っ暗でなにも見えない。
だが、不思議と周囲から人の気配自体は感じられる。どうも想像以上に沢山の人間がいるようだ。

最後に何をしていたか――よくよく考えてみてもイマイチ思い出せない。

音無は思い出そうと必死に頭を捻った。
彼の胸の中に、得体の知れない予感があったのだ。
予感。それは、悪感といってもいい。
自分がとんでもない出来事に巻き込まれてしまったのではないか――そう考える感情を止めることが出来なかった。

その時だった。

「っ――」

不意に、光が満ちた。
違う。単に照明が点されただけだ。
ただし光量は少しばかり過剰で、暗闇に慣れた目に毒であることに変わりはない。音無は思わず目を覆った。

そして、数秒の間。
唐突な光に目をやられたのは周りの人間も同じだったらしく、彼らも大半が似たような反応を示していた。
けれど人間は順応する。光に慣れた瞼をゆっくりと開く――

「へぇ。思ったよりも沢山いるんだね」


ピタリ、と周囲のざわめきが息を止めた。
鈴が鳴るような声が、音無のいた場所よりも少し高いところから響いたせいだ。
音無はすかさず視線を上げた。その際、自分がいる部屋の構造が視界に入った。

彼がいるのは無機質な鉄鋼板で覆われた部屋だった。
学校の体育館程度の広さがあるだろうか。
ただし、床も壁も天井も全てが分厚い鉄板で造られた頑強な施設だ。
そして、その中央に高さ一メートル、横幅数メートルほどの舞台があることに気付く。

そこには――ぽつん、と一人の女の子が立っていた。

いや。違う。立っている、というのは間違いだ。
なぜなら、女の子は『車椅子』に乗っていたのだから。


「こんなにいっぱい、必要なのかな……」


不思議な女の子だ。音無はぼんやりと考える。
壇上の少女は、中学二年生である音無から見ても非常に幼かった。
五、六歳といったところだろうか。小学校に上がってすらいない年頃に見える。
19胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:05:08 ID:utPbwmZ/
が、なによりも目を引くのは――――少女の桃色の髪である。
肩口ほどの鮮やかなピンクの髪を紺色のリボンで纏め上げている。
音無の周りにも不可思議な髪色をした友人はいるが、この女の子に関してはなにか妙な違和感を覚えたのだ。

まるで、この桃色に忌々しい意味があるような気がして。
単なる色彩の問題ではないような気がして。
それは――闇の鼓動の現れであるような気がして。

壇上の少女が、つまらなそうな顔でぽつりと呟いた。そして、


「いらないよね、こんなに」


――赤≠ェはじける。


「え…………」

『人間の頭』が三つ、空を飛んでいた。

音無は自分の目を疑った。人間の頭は空を飛ばない。そんなのはろくろ首くらいだ。
けれど――実際の問題として、今、彼の目の前で頭が三つ飛んでいる。
それは明確な事実だった。


音無が見た光景を順序立てて説明するとこうなる。
『舞台から最も近い場所にいた三人の少女に付いていた頭が、桃色の髪の少女の言葉と共に、空へ浮かび上がった』


妙なことを言っているように思える。意味が分からない。あまりにも荒唐無稽過ぎる。
が、誰が彼を責められるだろう。
今この場面に直面している音無だってなにが起こっているのか理解出来ないのだ。

確かに『人間の頭』は飛んでいるのである。
床から約五メートルほどの高さに、まるでオブジェか何かのように三つ。
無理矢理毟り取られたかのように、血を流しながら。
首の切断面から血液が床の鉄板に落ちる。ポタリ、ポタリと落ちる。

そういえば、なにかを毟り取るような音が聞こえた気がした。
ブチッ、と。
まるで野草を手で引っこ抜いたような音だった。
きっと、それが人間の神経が引きちぎられる音だったのだろう。骨が胴体から引っこ抜かれる音だったのだろう。

そしてようやく、音無は理解する。


――今、人が三人死んだ。


生前の彼が自身を犠牲にしてまで守ろうとしたものと同じ、尊い命が――三つ、途絶えた。

少女達の断末魔の声はない。
あるわけがない。声なんて出るわけがない。叫ぶ暇なんてないに決まっている。
即死だ。
見れば分かる。首が取れれば人は死ぬ。誰にだってそんなことは分かる。

だから、声の主は――
20胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:06:47 ID:utPbwmZ/

「きゃああああああああああああああああああああああっ!」
「なんだよ、コレ! どうなってんだ……!」


それ以外の、舞台を取り囲む人間達だった。

騒いでいるのは大半が学生であるようだった。理由は簡単だ。学校の制服を着ている。
一方、同じくらい押し黙り、死体と首とを睥睨する者の姿も散見出来たような気がする。
特に非常に多くいる外国人達は、そのような類の反応を取る者が多い。
しかし――音無は自分よりも何歳も年下のような女の子達が、そのような態度を見せていることに衝撃を覚える。

例えば、赤髪を三つ編みにした人形のような目の少女。
例えば、褐色の肌に長い金髪をツインテールで纏め上げた大人びた少女。
例えば、長い金髪を後ろで五つに結んだ怜悧な視線の少女。

大人も多い。コスプレのような妙な恰好をした者も。
中には上着だけ軍服を羽織り、下にはなんとパンツしか履いていないという、
痴女としか言えない驚愕の恰好をしている少女までいる。しかも、妙に沢山。
彼女達も大概が冷静であるように思えるが――

冷静。冷静だと?
いや――むしろ、そちらの方が多数はではないか…………?
音無自身は一切騒ぎ立てていないが、自分の顔が強張り、今にも膝から崩れ落ちてしまいそうなことは理解出来る。
音無は悲鳴を上げなかった。
だから、音無は冷静だ。
違う。それは否だ。三段論法は成立しない。
あくまでコレは『冷静と呼ばれる状況』と『今現在の音無の状況』が酷似しているに過ぎない。

――むしろ『悲鳴を上げることさえ出来なかった』というのが真実。

彼の心境を一言で語るならば『茫然自失』という奴だ。
ただし、あまりに想像を超えた事態と遭遇したせいか、頭の回転速度が妙に上がっている。
一つ一つの事象を分析し、なにが起こったかを具体的に理解してしまっている。
声が出ない。喚く声も、囀る声も、憤る声も、戦慄く声も、何一つ。

だから音無は与えられる側だ。一方的に突き付けられる。
凄惨で、猟奇的な音と絵だけを。
見えなくてもいいものを、考えなくてはいいものを――認識させられてしまう。

一方的な音無の視認は続く。
心を抉る光景は止まらない。
少女。そうだ少女だ。
見ると、浮かび上がった三つの頭の下に、首を失った人間の少女の身体があることに気付く。
当たり前だ。首だけが唐突に現れたわけがない。人間には首があって胴体がある。疑問を挟むところではない。
だが、身体を見ると理解してしまう。

彼女達が、もぎ取られたことを。
毟り取られたことを。
首を。その胴体から。

開けっ放しにした水道の蛇口のような音を立てて、少女達の身体が噴水になる。
真っ赤な血液が間歇泉のように噴き出す。一面の紅色。赤。赤がはじける――
一気に人の波がザッと引いたのを、音無は肌で感じた。
壇上の周りからマーカーで引いたかの如く、一瞬で人がいなくなった。
21胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:08:16 ID:utPbwmZ/

カラン。
カラン。
カラン。

妙に硬質の音が響いた。
どうも空に浮遊する首から、なにかが落下してきたらしい。視線を寄せる。
輪っか……? いや『首輪』とでも言うべきなのだろうか。
ツルリとしていて銀に似た光沢がある。チョーカーとは違うようだが……。


「あはははは。おもしろーい。うん。どうせだからあと四、五人くらいここで……」
「――そこまでだァ。君、状況を説明してもらおうじゃないか」
「…………? ええと、おにいさんは……ゴラン、だったかしら」
「俺の名前を知っているのか。これはいよいよもって、不思議なことになってきた」


その時だった。
一人のこれまた外国人だと思しき男が、桃色の髪の少女に話し掛けたのである。

男はくすんだ金色の髪と、鼻の頭に貼ってあるテープが印象的だった。
が、なによりも――左手に持った見慣れぬハンバーガーチェーンのビニール袋。
コレが何よりも場違い甚だしかった。
男は紙袋から慣れた手付きでハンバーガーを取り出し、それをモグモグと咀嚼しながら言葉を続ける。

「今、なにをしたんだァ? いや……《契約者》にこんなことを聞くのは野暮ってもんか」
 もう一度言う。説明してもらおうか。大人しくするならコイツを分けてもいい」

あっという間にバーガーを一個完食した男――ゴランは、ハンバーガーのビニールを掲げてそんなことを言った。
が、車椅子の少女はそんな言葉に耳を貸すことすらせずに不機嫌な様子で、

「つまんない。おにいさんも死んで」

――――小さく呟くと、『なにか』をした。

そう。なにかだ。なにかをした。
困ったことに、音無にはコレをなにかとしか言い表す術がない。
なぜなら、彼には『なにも見えなかった』のだ。
きっとコレは会場にいる全ての人間も同様のことが言えただろう。
ただし。先程の感覚から、一つの結末を予測したことは確かだ。

首が飛ぶ!

音無は感覚的に奥歯を噛み締めた。
だが、そうはならなかった。瞬間、消え失せたのはゴランの首ではなく――身体そのもの。
違う。消えたのではない。ただ、ゴランは。

「っとと! よせって。対価とはいえ、こんなものそんなに食いたくないんだ」
「…………早いのね、おにいさん」

有り得ないほどのスピードで――
ぐるり、と舞台を周回して最初に彼がいたのと正反対の位置に移動しただけなのだから。

瞬間移動。そんな言葉が音無の脳裏に浮かぶ。
違う。男は物凄い早さで部屋の中を走り抜けたのだ。
Angel Playerの能力か? いや、このハンバーガー男が言っていた《契約者》という言葉も……?

「さァてと、手荒な真似になるかもしれんが、事情を説明してもらうとするか」
22胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:10:14 ID:utPbwmZ/
更にもう一つ、ハンバーガーを食べ終わったゴランが言葉と共に、再度凄まじい速度で部屋の中を駆け回り始めた。
体育館程度の広さがあるため、数十人の人間がいるとはいえ、スペースにはかなり空きがある。
ゴランは大きく円を描くような軌道で室内を疾走した後、まっすぐ――車椅子の少女に向かっていった。

――しかし。

車椅子の少女へと突撃するべく、ゴランが彼女とギリギリまで接近した、その瞬間。

「なっ……!」
「――つかまえた」

ゴランの身体が――ピタリ、と少女にぶつかる寸前で停止したのである。
いや、それどころか……ゴランは身体ごと、宙に浮かんだ状態で静止している。
恐ろしい早さで動いていた彼の両脚も空を切るのみ。
まるで、何かに身体を押さえつけられているかのようだった。コレが少女の持つ力なのか――?

そして寸暇すら置かずに――――ゴランの左腕が、宙を舞った。
飛び散る鮮血。そのまま無遠慮な力でゴランの身体が壁へと叩きつけられる。


「ぐっ……! なんだ、この能力は――!?」
「あはははははは。おもしろーい。でも、変なの。どんなに早くても、結局近づいてくるならおんなじなのに!」


激痛に顔を曇らせたゴランとは対照的に、車椅子の少女は腹を抱えケラケラと笑っていた。
音無は戦慄した。背筋を冷たいモノが通り抜ける。
少女は、楽しんでいた。遊んでいたのである。
子供特有の無邪気さ、残酷さで――人を殺すことに、傷つけることになんの躊躇いも持たずに。

「とんでもない子供だな……っ……たく明日は筋肉痛だァ」

少女に吹き飛ばされ、左肩から血を噴き出すゴラン。
だが、彼の目はまだ死んでいなかった。どうやってこの状況を切り抜けるべきか、ただソレだけを考えている。
音無は彼の存在に、少しだけ自分の心が奮い立つような感情を覚えた。

そして、ようやくこの時点において音無は決定的な事実に気付くのであった。

――今、自分はいったいどこにいるのだろう?

あの洗練された行動を見るに、ゴランは戦闘のプロフェッショナルに違いない。
年齢だって少なくとも二十代は行っているはずだ。さすがに彼が十代の学生であるとは考えにくい。
というか、そもそもどう見ても大人にしか見えない人間はそこら中にいる。

そうなると、おかしいではないか。
音無には記憶がない――音無は既に死んだ人間だ。

彼は死後、『青春時代をまともに過ごせなかった人のために用意された世界』において、
『死んだ世界戦線(SSS)』と呼称される組織に身を置き、
仲間達を成仏させるために『天使』と呼ばれる立華かなでと共に活動をしている。

大人達は学園にいた教師と同じで全て、エキストラ――NPC(ノンプレイヤーキャラクター)なのだろうか。
いや、NPCがこんな積極的な行動を取るとは考えにくい。
大体、彼らはどれだけ切って詰めても『学園の教師』という存在に他ならない。
それ以外の役割が与えられていないからこそのNPCなのだ。こんな……不可思議な力を用い、戦闘を行うなど有り得ない。
どうなっている? これはいったい、どういうことなんだ!?

そんな――音無の思考が強大な疑問にぶち当たった時だった。


「……煩わしいな」
23胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:11:09 ID:utPbwmZ/
心底、苛立たしげな女性の声が響いた。
重い声。道端に転がる虫の死骸に向けるような冷たい声だった。

音無は声の主を見つめた。
そこには妙な出で立ちの女が立っていた。

何よりも目を引くのは髪だ。車椅子の少女と同じ、あまりにも鮮やかな桃色の髪。
背は高く、髪は肩口。見るモノに強烈な印象を残す美人だ。
目付きは鋭く、声と同じくらい冷たく……ゾッとするような雰囲気を孕んでいる。
だが、それ以上に何よりも――彼女の頭部から突き出した角≠轤オきモノに音無の視線は注がれる。

「ルーシー」
「茶番だ。こんなことをしても、なんの意味もない」
「別に大した意味があるから殺してるわけでもないわ。そういうものでしょう?」
「それも、知っている」

車椅子のルーシーと呼ばれた女がゆっくりと舞台に向けて歩みを進めた。
そして、ゴランを冷徹な視線で見下す。
当然、いきなり現れた女にそんな不躾な態度を取られれば、ゴランの方も面食らってしまう。
彼は眉を顰め、険呑な眼差しでルーシーを見返した。次の瞬間、

「んァ。おい、なんだァ。ただの女がそんな前に出て――」
「邪魔だ」

あまりに呆気なく――――ゴランの首が飛んだ。
道端の花をへし折るように。
足元の虫を踏みつぶすように。

赤い血に染まったハンバーガーが数個、部屋にぶちまけられる。
カラン、とゴランの首輪が床に落ちる。首が落ちる。
ボーリングの球のように、重い音を立てて地面を転がる。壁にぶつかって止まる。

「あっ……!」

音無の口から意味のない悲鳴が漏れた。

殺した。今、確かに。
突如として現れた壇上の少女ではない。
音無と同じように部屋の中に集められていた女が人を殺したのである。
ただ視界に入ったから。目障りだったから。
いや、根源的にはそれすら言い過ぎなのかもしれない。
女は、ルーシーは『なにか』をした。
けれど、それが『なにか』は分からない。見えないのだ。
『なにか』をしたのは分かるのに、それが一体なんなのか理解出来ない。

だから、音無の頭には事実だけが刻まれる。ルーシーがやったことだけが形を持つ。

――彼女は、人を殺した。

「これはこれは。まさか、ルールの説明をする前から参加者を殺してしまう方が現れるなんて……。
 まぁコレも一興、ですかね」

その時だった。舞台の奥の方から新たな人物が登場したことで、事態は更なる方向に進み始める。
24胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:13:39 ID:utPbwmZ/
「……説明は私にまかせるんじゃなかったの」
「いえ。このままでは、貴女方が参加者の皆さんをドンドン減らしてしまうと思いまして」
「そんなの、別にかまわないのに。どうせすぐに減っちゃうんだから。弱いのは関係なくさっさと死ぬよ。さっきの奴みたいに」
「……困りましたね。彼などはむしろ参加者の中では上位に入っていたのですが……まぁ長生きが出来そうなタイプではありませんけれど」

姿を見せたのは髪の長い眼鏡の男だった。
着ている衣服が非常に特徴的だ。
まるで古代中国の文官のようなゆったりとした着物を身につけている。

「于吉!? どうしてお前がこんなところに!」
「少し黙っていて頂けますか、関羽。今、私は貴女に構っている暇はないのです」
「なんだと……!」

…………関羽? 音無は首を捻った。
于吉と呼ばれた男がポニーテールの黒髪の女性を確かにそう呼んだのである。
関羽といえば三国志に登場する超有名な豪傑だ。
少なくともそれが女……しかもこんな美人(絶世の美女と言うにはまぁ流石に少々及ばないが)だったなど聞いたこともない。

「さて。要件だけを明確に伝えましょう。皆さんには……ええと、今は何人残っているんでしょうね。
 四人死亡されたようなので、八十人でしょうか。簡単に説明するとこうなります。
 皆さん八十人に――最後の一人になるまで殺し合いをして頂きたいのです。
 そうそう。中には勘違いされている方もいると思うので予め言っておきますが――死んだ人間は生き返りませんよ。当然」
「なっ……!」

于吉の言葉に凍りついていた部屋の空気が一気に形を変えた。
殺し合い。確かに、そう言った。この人数で一人になるまでって……。

「…………!」

音無は横目でルーシーの方を見やった。
彼女は腕を組み、苛烈な目付きで于吉とマリコを睨みつけている。

音無はSSSで拳銃を扱った経験がある。一般的な学生と比べれば、戦闘に慣れた存在と言えるだろう。
だが、彼女が放つ威圧感は、全くそれとは別モノである。
天使――立華かなで――と戦っていた頃の音無が、彼女を『殺そう』と心の奥から考えていたかは疑わしい。
だが、ここまで明確な殺意……いや、むしろ『人間を殺すことを何とも思っていない』という視線。

こんな相手と殺し合いを……!? 
それに明らかに戦う力のない者も沢山いる。こんなこと、まかり通るわけがない。
無茶苦茶過ぎやしないだろうか!?

「詳しいルールの説明などは皆さんに共通して支給されるルールブックに記載されておりますので。
 見ての通り、彼女のように、皆さん八十人の中には殺人を厭わない者も多く含まれます。
 他の方と手を組むことを禁止はしませんが…………まぁ、推奨もしませんがね」
「……くだらない遊びだ」
 吐き捨てるようにルーシーが言った。
「そうですか。貴女にとって、特に障害となる要素は存在しないと思いますが?」
「なにを企んでいるかは知らないが、気分が良いものではない。
 むしろ、こんな児戯に私を付き合わせることに強い怒りすら覚える――貴様らの意図が透けて見えるからな」

底冷えするような視線を携え、ルーシーが于吉を睥睨した。
ただ殺す――そういうわけではないのか?
音無は彼女がいまいち分からなくなった。
25胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:15:05 ID:utPbwmZ/
「…………まぁ、いいでしょう。実際にゲームが始まればいくらでも変わりうるはずですし。
 ……さて、それでは始めましょうか――殺し合いを」

于吉の言葉と共に、室内にいた人間達の身体が次々と光に飲み込まれていく。
音無も何番目かは分からないが、そうだった。

人が死ぬ光景自体は珍しくない。
だが――死んだ人間は生き返らない、という。
音無はそれはおかしいと思った。
なぜなら、音無は既に死んだ人間――死後の世界でだけ活動することを許された存在。

ならば、今、こうして音無の目の前で死んだ人間は?
他の見慣れぬ人間は死んでいるのか?
そして、ここには彼が知っている人間が含まれているのか?

様々な疑問を抱え、音無結弦の――バトルロワイアルが始まった。


【尾藤望@地獄少女 死亡】
【江上そら@地獄少女 死亡】
【椎名珠代@地獄少女 死亡】
【ゴラン@DARKER THAN BLACK−流星の双子− 死亡】

『主催』
【マリコ@エルフェンリート】
【于吉@真・恋姫†無双】

『ルールブックについて』
※最低でも以下の記述は有り

【基本ルール】
 参加者全員が、最後の一人になるまで互いに殺し合い続ける。
 優勝者の帰還は保証し、ありとあらゆる願いを一つ叶える(死者の蘇生を含む)
【スタート時の持ち物】
 参加者の持ち物は基本的に没収され、代わりに一人一つずつ鞄が支給される。
 中身は一律に地図、方位磁針、メモ帳、筆記用具、食料、ルールブック(参加者名簿込み)、時計、マグライト、ランダム支給品。
 ランダムアイテムは参加者の持ち物や武器などをランダムに1〜3個支給。
【放送について】
 6時間ごとに放送で各時間帯に出た死者と禁止エリアを発表をする。
【禁止エリアについて】
 放送時に地図の三区画が禁止エリアに指定される。
 禁止エリアの発動は二時間ごと。詳しいことは一回目の放送時に説明する。
 参加者が禁止エリアに進入した場合、首輪が警告音を鳴らす。
 この警告音から一分以内にエリアから出なかった場合、首輪が爆発する。


【ゲーム開始】
【残り八十人】
26胎動 ◇tu4bghlMIw 代理:2010/08/31(火) 20:17:00 ID:utPbwmZ/
代理投下終了です

こっちの主催はマリコと于吉か
エルフェンリートは知ってるが原作の殺伐さがよく出てるわw
ル―シ―は始まる前から目立つてるw
27名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/01(水) 20:57:37 ID:pLBGFgiF
集まったOPは二つで地図は実質一つか。
ある意味初代アニロワに近いまったり空気


最近ファフナー見直してみたけど、結構イメージと違った。
やっぱ時間経つと記憶と実際に齟齬が生まれるからちゃんと把握しなおさんと駄目かもしれん
28名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/01(水) 21:41:25 ID:VeOheLy0
したらばで、「〜だと思うがな」ってのをやたら多様するのは、全部同一人物なんだろうか
同じ語尾ばっか使ってると何かマヌケに見えるから、もうちょっと変える工夫とかした方がいいと思うがな
29名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/01(水) 23:22:33 ID:QQZjdkAu
この期に及んでテストしたらばなんぞ使わんでもこっちでやればいいと思うがな
30名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:08:56 ID:aAmjswIb
それもそうだと思うがな
31名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:17:19 ID:sZ+JV76S
ここの一が甘裁定なことは判り切ってるんだから、ちょっとくらい時間遅れたくらいでわざわざ議題にせんでもいいと思うがな
32名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:17:58 ID:0ZUmVKQ5
規制されてる人もいるから議論はしたらばでいい様な…
予約が開始されてここに投下され始めたらここも賑わうんだが

したらばで投票が始まったな
33名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:32:17 ID:sZ+JV76S
あれ、明日じゃなかったのか
まぁ早めでも別にいいと思うがな
34名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:40:22 ID:0AAZM1kt
人数に比してマップが大きいといろいろめんどくさい、とサブラノ?だっけラノオルタの前のロワでちょっと思った。
まあ俺の把握が微妙だったのもあるけど、キャラが散らばりすぎて選択肢がほとんど無くなってって……
35名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:41:53 ID:ppI9qNp1
>>31
普通の基準でもあのケースなら候補に入れるの普通だぞ
あれを『遅れたから無視、絶対候補に入れない』という風にするのはあまり見ない
ss予約も締め切り超えて1時間後ぐらいに延長申請しても大目に見るケースがほとんど

ssの内容で困った作品については何でも通しの甘裁定だと荒れ果てて困るけど
ロワが始まれば、死亡ssで一回か二回はどうしても荒れるんだから今のうちはゆったり空気の方がいい
36名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 00:42:24 ID:0AAZM1kt
って誤爆スレに書く筈のをこっちに誤爆したorz
37名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 02:41:12 ID:0ZUmVKQ5
ところでみんなの注目株は?
俺は一騎とその関係者だが
38名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/02(木) 14:44:15 ID:dP4ASZbS
男前の政さん
39名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/03(金) 20:02:47 ID:K0PW7Fuj
OPと地図は決まったみたいだな
後は5日の予約解禁だけか
40名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/03(金) 20:21:49 ID:shmp1p9a
7日じゃなかったっけ?
41名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/03(金) 23:53:49 ID:KMDpV/fG
ほんとに五日で大丈夫なのかね
日に日に人がいなくなってるような気もするが…
42名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/03(金) 23:59:09 ID:/WF/Z5+a
というかいつまでIP表示なんだ。
もうID表示でいいんじゃないのか。認証ないみたいだし
43名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 00:09:20 ID:E+T8nTrc
もう何か飽きたから後は頑張ってね
44名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 01:01:13 ID:0Jr/kfu/
もたもたしてる間に葉鍵4が始まったか
AB書きたい人はあっちに行きそうな予感
45名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 01:18:28 ID:q5iLTFjs
したらば管理人が遅い
認証が無さそうならすぐにID表示に戻せばいいのに
日程決まってるのに、いつまでIP出しっぱなしなんだ

ロワ開始前の大詰めの時にあれじゃルールの最終決定の決議が全く取れてない
五日に予約開始なのに管理人として不安すぎ
46名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 14:54:25 ID:axAnz1fD
やましいことがないならIP出てても何の問題もないだろ
「IP出てるから予約出来ない」とかふざけたこと言ってる奴は予約しなくていいよ
どうせどっか他のロワ荒らしたことがあるか、もしくはこのロワで予約荒らしとかするつもりだからIP出したくないんだろうけど
47名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 15:23:24 ID:GceeH+05
まあスタートダッシュに失敗する言い訳が出来て良かったんじゃね。
48名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 16:41:17 ID:QeH1NWdO
きっちりしてる管理人ばっかりじゃねえからな
それでも上手くいってるロワもあるがな

さて、予約が幾つくるか…

したらば
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14065/
49名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 17:12:18 ID:0Jr/kfu/
書きたいプロットはあるけど、どこか躊躇わる雰囲気があるよなあ
00秒に予約取って、他に誰も予約する人がいなかったらどうしようみたいな
さすがにそれは虚しすぎるぞ
50名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 17:17:46 ID:RpG6+OhB
ここ、使うの?
投票結果さえこっちには告知されてないみたいだし、あんまりここが本スレって感じがしないんだが
51名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 17:21:50 ID:0Jr/kfu/
ロワアイルだからなあw
1は創発でって言ってたのに、なぜかアニキャラだし
創発ならまとめて更新チェック出来るから便利なのに

まぁ使いたい人は使えばいいんじゃないか?
52名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/04(土) 17:25:18 ID:RpG6+OhB
まあ、一応決定事項らしきレスをコピペしておく

347 : ◆JnTFjVKio2:2010/09/03(金) 19:44:48
意見が纏まったので、自分の現時点での見解を述べます。
まずオープニングについては【胎動】
マップについては携帯での投票は今までと同様に無効と考えB案に当たる
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/free_uploader/src/up0456.png
の採用とします。
核鉄に関しては
支給品として渡される核鉄は大きく分けて二種類ある。
アナザータイプに固定変化する核鉄と、武装錬金関係者のみが自身の武器へと変化させられる核鉄の二つ。
前者を支給するときは、核鉄(アナザータイプの名称)@武装錬金
後者を支給するときは核鉄@武装錬金
と状態表に明記して下さい。
また後者の核鉄は武装錬金関係者以外は変化できず純粋な治療アイテムとなります。

以上です。ご意見があったらお願いします。


また誤記があったので訂正。
2ちゃん本スレ>>4の禁止エリアの項目の
>放送から1時間後、3時間後、5時間に2エリアずつ禁止エリアとなる。
これは
>放送から1時間後、3時間後、5時間後に1エリアずつ禁止エリアとなる。
の間違いです。


とりあえず、ここを使うならしたらばの表示設定が変更されたとか○○について議論中とかいうことは
こっちに連絡入れるくらいはしてほしいし、
ここを使う気が無いんならしたらばに誘導かけるくらいはしてほしいんだが。

つーか、これからも仕切りは◆JnTFjVKio2氏でいくの?
最終決定も◆JnTFjVKio2氏?
それがダメとかイヤとか言うんじゃなく、純粋な疑問として。
5352:2010/09/04(土) 17:26:45 ID:RpG6+OhB
なんか紛らわしいな

コピペは「の間違いです」までで、「とりあえず」から後は俺のレス
54名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 00:16:21 ID:cXuvvDyx
予約来たな
ル―シ―が…
他の予約も怖い人がちやほら…
55名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 00:24:04 ID:PqejYCHh
立てちゃったからには使うしかないだろ
このスレ使い切ってから、次スレを創発に立てるかどうか考えればいい
56名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 01:12:39 ID:cXuvvDyx
次スレもここでいい気もするがな…
57名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 02:02:37 ID:EFjKYQAu
制限とか決めないまま見切り発車しちゃったけど大丈夫なんだろうか
58 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:45:19 ID:p03X+lYw
投下します
59 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:46:01 ID:p03X+lYw
音無結弦は混乱していた。
目の前で繰り広げられた殺戮と、自らが置かれた状況に。


音無結弦は混乱していた。
一瞬前まで確かに暗い大部屋にいたはずなのに、今は満天の星空の下にいる。
音無が気を失っていたわけではない。
意識は完全に連続している。


音無結弦は混乱していた。
今その手の中にある拳銃の重さに。
使い慣れたグロック17が、今はまるで重いハンマーのように感じられる。


音無結弦は混乱していた。
首元に手をやれば冷たい感触がある。
首輪のようなものが巻かれている。
圧迫感を感じる。


音無結弦は混乱していた。
『人が死んだ』。
あの閉じた世界では決して起こり得ない、
絶望的なまでの断絶。
かつて音無自身何度も経験した『死』とは違う。
彼らは『生き返らなかった』。


音無結弦は混乱していた。
今この瞬間、音無へと機関銃を構える少女に、どう対処すべきかわからなかったから。
60 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:46:43 ID:p03X+lYw
銃を手にしていたのがまずかった。
お互いの姿を確認したのはほぼ同時だったが、状況を把握できていなかった音無はとっさに少女に銃を向けてしまったのだ。

少女は弾かれたように自分の銃を構えた。
まずいと思ったときにはもう遅かった。




撃たれる前に撃つか?
その少女は銃など持ったことがないのだろう。
汗に濡れ、体は震え、目線は定まらず、引き金にかけた指は哀れなほどに硬直している。
しかし機関銃だ。
乱射されれば弾丸の一発や二発が音無に命中してもおかしくはない。
この状況なら音無が勝つ確率は十分にある。
天使と戦っていたときのように引き金を引けば、簡単にあの少女を無力化できる――

(できる、のか? もしかしたら、殺してしまうんじゃ……)

ゴランという男が死んだ、否、殺されたときの光景が脳裏に浮かび、音無をためらわせる。
おそらくここでは死は絶対なのだ。
傷ついても時間がたてば癒える、致命傷だって跡形もなく。
なぜなら音無達は既に死んでいるのだから――そんな音無の常識は、どうやら通用しそうにない。
だからこそ、容易く人を死に至らしめるこの銃という武器の重さを、音無は初めて恐怖していた。

もちろん音無に人を殺す気はない。
銃を向けられたのは事故の様なものだ。
少女にもその気はなかったはず。
だからできるなら傷つけることなくこの場を収めたい。


音無と少女の間の緊張は刻一刻と高まっていき、もはや迂闊に動くこともできなかった。
少しでも音無が動く気配を見せたら、少女は反射的に引き金を引いてしまうかもしれない。
こうなったらまずなんとか機関銃の射線から逃れるように走り、
少女から銃を取り上げるしかないか――と音無が思ったとき。
61 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:47:25 ID:p03X+lYw
「銃を下ろしてください! 人間同士で殺し合うなんて、そんなの間違ってます!」

女の子が、音無と少女の間に飛び込んできた。
その人物は――なんというかよくわからない格好をしていた。
上はセーラー服だ。それはいい。
だが下が問題だ――何も履いていない。
いや、よく見れば水着のようなものを履いてはいたが、白い足がむき出しだった。
一般的な女性の観点からすれば多分恥ずかしいはずだと音無は思ったが、その女の子は気にした様子もない。
両手をいっぱいに広げ、音無と少女の間に立ちはだかっていた。

「お願いです、銃を下ろして!」

はっとして音無は銃を下ろした。
よくわからないが、これはチャンスかもしれない。

「ま、待ってくれ! 俺だって殺し合う気なんてない! 銃を向けたのは驚いたからで、君を殺そうとしたわけじゃないんだ!」

女の子の向こうにいる少女へと、音無は叫んだ。

目を白黒させる少女。
これでは足りないかと、音無は銃を地面に置いて軽く蹴った。
銃は回りながら離れていく。

「俺の名前は音無! 殺し合うつもりなんてない、本当だ!」
「……ふぁ」

風船から空気が抜けるような息を漏らして、少女は銃を下ろした。
もとより腕の筋肉も限界だったのだろう。
下ろしたというより落としたという方が適切だった。
音無もほっと息を吐く。

「良かった……」

後から現れた女の子は音無と同じように安心して力が抜けたのか、地面へ座り込んだ。
音無は近づいていって手を差し伸べる。
62 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:48:08 ID:p03X+lYw
「ありがとう、おかげで助かったよ」
「あ、いえいえ。誰も怪我をしなくて何よりです。あ……私、宮藤芳佳です」

宮藤は立ち上がると少女へと近寄っていく。

「あの、お怪我ないですか?」
「あ……だ、大丈夫……です……」
「私、宮藤芳佳です。あなたのお名前は何ですか?」
「羽佐間……翔子、です……」


体が弱いという翔子を音無が背負い、三人は地図で近くにあると確認した学校へと向かっていた。
敷地に入ったとき、

――ドンッ!!

体を震わせるような轟音とともに、学校の教室が一つ爆発した。

「な、なんだ!?」

翔子を校門の陰へと下ろし、機関銃を借りた音無が周囲を警戒した。

「誰か、もう殺し合ってるやつがいるってのか?」
「音無さん、私が様子を見てきます」
「いや宮藤は羽佐間を頼む。俺が行ってくる」

まだ引き金を引く決意はできていなかったが、それでも女の子を危険な目に遭わせるわけにはいかず音無はそろそろと校門をくぐる。
開いていた入り口から校舎へと進入した。

「誰だ!」

物音がしたところに反射的に銃を向ける。
そこには、左腕からだくだくと血を流す一人の女がいた。

「助……けて……」
「おい、しっかりしろ!」

音無は膝から崩れ落ちた女を抱き起こす。
女の左腕は何か鋭い刃物で切りつけられたように大きな傷が一つ走っていた。
63 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:48:54 ID:p03X+lYw
「何があったんだ!?」
「急に……襲われて……まだ……仲間が向こうに……」
「くっ、ちょっと待ってろ、すぐ手当てをしてやる」
「音無さん、私がやります!」

突然宮藤の声が聞こえ、音無は押し退けられた。
宮藤は傷ついた女へと手をかざし、意識を集中させる。
ぽう、と宮藤の手が輝いた。

「宮藤?」
「私、治癒魔法が使えるんです」
「魔法……?」

音無の友人である「天使」の能力ハンドソニックのようなものだろうか?
と考えて、今はそんな場合ではないと音無は頭をかいた。
横を見れば入り口のところに翔子がいた。校門に一人で置いていくわけにもいかず宮藤がつれてきたのだろう。
女の傷はゆっくりとだが塞がっているようだ。
音無が彼女にできることはない。

「宮藤、俺はあっちの様子を見てくる。この人の事、頼んだ」
「はい!」

爆発が起きたと思われる教室へ走った。
中に入ると机や椅子が散乱し
ていたが、その中に人影を見つけ音無は駆け寄った。

「おい、しっかりし……?」

人影の体に触った瞬間、そいつの体はぼろっと灰が崩れるようにばらばらになった。
至近距離で起こった爆発のあまりの高熱に一瞬で焼き尽くされたのだ。
よく見てみればその死体のそばが爆心地だったのだろう。
そこから放射状に教室は破壊されていた。

「くそ、一体誰が……あっ!」

教室の片隅に、机に埋もれて人の足のようなものが見えた。
近寄って掘り出してみると、音無と同じ年ごろの少年だった。

「まだ息がある。おい、しっかりしろ!」
「うう……」
「ちょっと待ってろ、すぐ仲間を呼んでくる! こんな怪我なんてすぐに治せるから、だから絶対に死ぬな!」
64 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:49:36 ID:p03X+lYw
音無は火傷を負った箇所を触らないようにしてその少年を背負う。

「に…………て」
「喋るな、すぐ助けてやるから!」
「にげ……て」

「だから黙ってろって!」
「逃げ……女が……襲って……っ!」
「……おい?」

喋り終えた瞬間、少年は大きく痙攣した。
背負った体から力が抜けるのを感じた。

「おい……嘘だろ……」

少年の体が軽くなったように感じた。
何かが抜け落ちたの……もう手遅れなのだと、音無は悟ってしまった。

――ドンッ!!ドンッ!!

その瞬間、教室の外でまた爆発音がした。
しかも今度は二回だ。

「また!? くそ……ごめんな、後で必ず来るから!」

もう死んだと判断するしかない少年を下ろし、音無は宮藤と翔子のところに駆け出した。
道中、ちりちり肌を焼く炎が音無を包む。
よほど強力な爆弾なのだろうと音無は考えた。

「宮藤、羽佐間!」

校舎の入り口にまで来た。
そこには宮藤が倒れていて。

「羽佐間がいない? おい宮藤、大丈夫か!?」
「…………」
「宮藤!……よかった、気を失ってるだけか」

銃を置いて宮藤を抱き起こす。
宮藤に目立った外傷を発見できず、音無は息を吐いた。

――ザクッ
65 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:50:17 ID:p03X+lYw
「え?」

ほっと安心した瞬間、音無の胸から鋭い金属の棘が生えていた。
一拍遅れて痛みというより熱さを感じた。
のどに血が吹き上がってきて、うまく呼吸できない。
なんとか首を巡らせて背後を見る。
そこには宮藤が治療していた女が、唇を吊り上げて音無を見ていた。

「あんた……どうして……?」
「ご苦労さまねえ。おかげで助かったわぁ」
「お前が……あの爆発の……?」
「運が悪かったと思いなさい。私と姉さまのために死ねるのだから、お前は幸せ者よ」

女がぐりっと手元を捻る。
音無しの胸を貫通した刃が動き、傷口をえぐった。

「ガハッ……!?」
「死んじゃうんだよォォ〜お前は死んじゃうんだよォォ〜」

うっとりと歌を口ずさみ、女は更にガラス片を押し込んだ。

――中には勘違いされている方もいると思うので予め言っておきますが――死んだ人間は生き返りませんよ。当然

唐突に、音無の脳裏に一人の男の映像が再生された。
最初の大部屋で最後に現れた男がこう言っていた。
あれは今考えれば音無に……いいや、音無達SSSメンバー全員に向けて言ったんだろうと思った。

(俺、消えるのか?)

それが最後だった。
音無結弦の意識はそれで途絶した。
66 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:50:59 ID:p03X+lYw
「サビ歌いなさい……ってあら、もう死んじゃったの? だらしねぇな」

リャン・チーは握っていた窓ガラスの破片を投げ捨て、音無の死体を突き飛ばした。
刺すときにちゃんと布で傷口を押さえていたので返り血は飛んでいない。
さきほど爆殺した小娘の死体から剥ぎ取った服だ。
今度は爆弾――リャン・チーに支給された武装錬金「ニアデスハピネス」の威力を抑えたため、跡形もなく死体が吹っ飛ぶということはなかった。
どうやら使うものの意志一つで自在に黒色火薬を生成、遠隔操作もできる武器らしい。
さきほど使ったときは加減を間違えてしまったが、今度は成功した。
手榴弾を投げるイメージをすれば火薬を生成しやすかった。

「にしても……魔法、ねぇ。ボナーとも思えないけど」

リャンは倒れている宮藤を見下ろした。
初回の爆発が予想外に大きく、飛び散った破片で傷ついてしまったリャンを治療した少女だ。
最初は殺す気だったもののその能力は使えると判断したため、ニアデスハピネスを宮藤の視界の外から爆発させ気絶させた。
そして状況を理解できない翔子を爆殺し、音無が戻ってくるのを待った。

銃を下ろした音無の背後
に回って刺すのはとても簡単だった。

「おっと、こうしちゃいられない。この娘が目を覚ます前に……」

まだ硬直の始まっていない音無の指を動かし、床に血文字を描く。


『か な ん に き を つ け ろ』


「うん、上出来ぃ♪」


そして宮藤を軽く蹴る。

「う……?」

彼女が目を覚ます前に、リャンは少し離れた場所へと横たわった。
宮藤が治療してくれた腕の傷を軽くひっかき、固まりかけていた血を再度流しだす。
そして、目を閉じた。

「あ、あれ……?私……」

宮藤が目を覚ましたらしい。
リャンは息を潜めた。
67 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/05(日) 03:52:28 ID:p03X+lYw
「音無さん!? しっかり……そ、そんな……!」

音無の死体を見つけたらしい。
だがすぐに息は無いとわかるだろう。

「翔子さん……いない。あっ、大丈夫ですか!?」

もう一人の小娘は跡形も無く爆破した。
一見して死体とわかるものはない。
そして床に倒れているリャンを発見して、宮藤が近づいてきた。

「しっかりしてください!」

「う……?」

宮藤に抱き起こされるリャン。
固く閉じていた目を弱々しく開き、か細く息を吐く。

「傷が開いてる……待っててください、すぐに治しますから!」
「あり……がとう……」

懸命に治療を施す宮藤を見て、リャンは笑い出しそうになるのを我慢した。

――いい駒拾ったわぁ。この子がいれば姉さまが怪我をしていても私が治してあげられる。
――姉さま、待っててください。すぐに私がそばに参りますから……!



【コウタ@エルフェンリート 死亡】
【広野紘@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【羽佐間翔@蒼穹のファフナー 死亡】
【音無結弦@Angel Beats! 死亡】

【残り76人】

68名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 04:08:13 ID:XySkRRKW
【一日目 E-5 学校 深夜】

【リャン・チー@CANAAN】
[状態]:左腕に切り傷
[装備]:核鉄「ニアデスハピネス・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:アルファルドのために他の参加者を皆殺しにする
1:アルファルドと合流する
2:宮藤芳佳を利用する

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、精神的に動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0〜2
[思考]
基本:
1:とにかくリャン・チー(名前は知らない)を治療する
2:音無さんと翔子さんは……?


※E-5に結構な大きさの爆発音がしました。
※学校の教室内にはコウタと紘の荷物が落ちています。
※学校の廊下にグロック17、マイクロUZI、音無と翔子の荷物が落ちています。
69代理投下:2010/09/05(日) 04:09:00 ID:XySkRRKW

62 名前: ◆RwUmY1K.wU[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 03:56:32 ID:FQwy2b8Y0 [3/3]
以上で投下終了です。
タイトルはCANAANのサブタイトルから「邪気乱遊戯」で。
70名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 04:12:35 ID:XySkRRKW
開始一発目の投下乙です

リャンチーマジ外道
芳佳は死ななかったけど回復アイテムみたいな扱いか
さりげなくカナンのせいに偽装してるしw

んーでも登場話で四人死亡か・・・多い気もするが元が80人だからこれくらいでちょうどいいのかも
71名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 04:28:16 ID:m6OBGj1r
投下一発目乙

自分はこれちょっと駄目と思うけどな
四人死亡の数は良いんだけど、コウタと紘の描写が全くといっていいほど無い
実質死体役になってるけど、参加キャラをいきなり死体役はちょっと認めたくないな
72名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 04:32:12 ID:D34VvIIi
こうして21世紀アニメロワは気に入らなければ破棄させられる議論ロワへの第一歩を踏み出したのであった
73名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 04:43:08 ID:m6OBGj1r
>>72
いや、これOKなら簡単に知らないキャラを殺せるから相当に問題だぞ
このssの限りじゃコウタと紘は知らなくても書けるレベル
というか、エルフェンとefの作品自体を一話も見なくても問題無く書ける
いくらなんでもこのまんまでOKなら禄に把握せずに書かれた死亡ss乱発しかねない
74名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 06:29:29 ID:NR8NWXwi
投下乙!

いっぱいしんだよ!やったねたえちゃん!

バトルロワイアルらしくて良いよ。むしろ序盤から死人出さなきゃね。
あと宮藤さん頑張って(´;ω;)マジ頑張って。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:08:13 ID:71OayA23
なにこれふざけてるの?
ズガンにしても適当過ぎ
流石にこれは容認できない、破棄すべき
76名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:22:29 ID:71OayA23
追記

主役級キャラを殺しまくってることからもロワの勢いの減退を狙ってる事は明らか
1氏には厳格な対応をお願いしたい
77名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:29:14 ID:lVyDLAxR
フラグを積んでないキャラに主役級キャラを名乗る資格はない
てか文句あるなら自分で書け
78名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:31:11 ID:oPyB9Ucz
うーん……叩かれたら即別館で擁護が入る辺り、F剣にいた者としてはあっちの荒らしと符号して正直怪しいとは思うが
ここは「疑わしきは許せ」みたいな空気があるから、そこまで厳格にしなくてもいい気が
ここはF剣と違って数が多くて同作品キャラが多いからこのくらいなら如何様にもフォローできると思うし
79名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:37:50 ID:71OayA23
そうやって甘さを見せるから荒らしが調子に乗るんだろ…
こんなのを一度見逃すと潰れるまで暴れられるよ
80名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:39:15 ID:xk8kAato
むしろこうやって騒いでる連中にこそ荒らしがまぎれてると思うがな
顔真っ赤にして破棄すべき!って喚いてるやつとかが
81名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:48:46 ID:WfKv8odn
大抵序盤にこういう話が来ると>>74とか>>77みたいに「荒らしと心中しようぜ!」なノリの奴が湧くから分かりやすい
とはいえ、騒ぎ立てて空気を悪くするのはNGだよ
ぶっちゃけ住民と書き手に体力があればこの程度は切り抜けられるから
F剣はただ体力がなかっただけだから、同じ荒らしが暴れて同じ対応をしてもここも潰れるとは限らん
糞、愉快犯、荒らしは別個に叩き潰すより自分でSSを一杯書いて押し流す方が排除しやすい
82名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:52:58 ID:71OayA23
ゴミは相手にするだけ無駄ってことかぁ……やだなあ
まあ構うと付け上がる、と考えればいいか
事故にあったみたいで嫌だけど仕方ないか
SS書くのに専念しよう……orz
83名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:57:53 ID:xk8kAato
予約解禁して5,6人しか予約きてないここで体力あると思うのも辛いぞ
84名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 07:59:13 ID:pjiouCEV
どう考えてもF剣より体力ないだろ
85名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:09:37 ID:VsOfP//Z
体力がないからこそ、相手にして力を浪費しない方がいいんじゃね
初期の予約数ならここの4倍近くあったF剣でも荒らしと格闘した結果半死半生なんだし
86名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:15:50 ID:B2bApJI0
作品そのものは通すか通さないかで揉めたくは無いね

ただ、荒れた雰囲気があるとよってくる荒らし書き手だけは
リスト貰って早めに規制しておいた方がよいと思うな

87名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:30:23 ID:onoz1cTJ
4人死んで、マーダー誕生して、ついでにそのマーダーに回復役も付いた。
今後の使い方に多少工夫が必要とはいえ結果だけ見れば非常に素晴らしいSSだと思うんだが……。
いちいちキャラの死に方にいちゃもんつけてたらきり無いよ。
正直そうやって殺しづらい雰囲気作る方がよっぽど荒らしだと思う。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:36:20 ID:HL+1g/Ca
一周目くらいはご祝儀で全通しすればいいのに
89名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:36:36 ID:DsTPFTTO
こんなもんが来るたびに止まってたら正直この人数ではキツイ
むしろ減らしていただいてありがとうございました!くらいのM精神でいかないと駄目だ
まあ擁護してるのは荒らしor自演乙って感じだが
90名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:37:09 ID:B2bApJI0
おっと、感想忘れていた、投下乙です

リャンチーのっけから無双かw
この人には序盤の場を思いっきり血生臭いものにして欲しいです、いけいけw
多くのキャラに影響を残すキャラがガンガン死んだが、残されたキャラは果たしてどうなる

別に今回の投下作品自体は非難するつもりは無いですよ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:39:09 ID:kgYJ63/O
実力も伴ってないのに間引こうとするとこうなりますよ、って見本みたいなSSだな
アニロワの質も落ちたもんだ
92名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:44:14 ID:MavMiGgE
文句言ってるやつは感情論でしか抗議できないんだな
住民がこの有様じゃこのロワも先が見えたようなもんだ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:47:25 ID:/Y8yHZgN
荒れると分かっている物を投下するのと荒らしは違うって話だな
ここは前提がおかしいんだから、こういう多人数ズガンが来ても文句は言えない
開幕予約も近年のロワに例を見ない少なさなんだから、このレベルのがあと4〜5個は来るくらいの覚悟はしといた方がいいよ
それでやっとロワとして正常になれるって感じ
94名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 08:49:43 ID:B2bApJI0
序盤で議論で荒れまくるのはある程度仕方が無いので
それでも書き続ける忍耐強い書き手がいるかどうかで決まる
んで、やがてフラグがたまってきて盛り上がってくる

とりあえず、どんな地味であっても、
問題ないと思った作品には感想を忘れずに。書くこと無ければ一行でもよい
議論や雑談だけで感想が無いってのは、ホント、書き手に堪えるから
95名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 10:47:08 ID:Bm9xzGdr
投下乙

これ以上通すかどうかで意見が割れるなら、したらばへ移動することを推奨する
96名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 10:55:53 ID:SX9gSBvS
つーか読み手が通すか通さないか決めるの?
まさにパターン通りの議論ロワじゃねーか
97名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 11:02:11 ID:Bm9xzGdr
序盤じゃ仕方なくね?>読み手が通すか通さないか決める
現状「深夜アニメロワの書き手」を名乗れるのは該当作の書き手を除けばOP書いた二人だけで
それだって実績としては投票に負けた結果の不採用と、採用一作なんだから
98 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:07:52 ID:Hl0XsYnk
したらばの議論スレのほうで私の意見も述べてきました。

そして予約分を投下します。
99教会と銃声 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:09:25 ID:Hl0XsYnk
例えばこんな話。
未練を無くし、安らかに天に召された少女。
過去の悲しみを背負い、愛した少女と永久の別れをした男性。

前者の少女、名はユイ
後者の男性、名は火村夕。
今回語られるはこの二人の物語。


  ◇  ◇  ◇

「殺し合い、趣味の悪いことを考える奴もいるもんだな」

火村は半ば呆れた口調で道を歩く。
彼は今、最初に飛ばされた場所から見て、偶然に自分の視界に入った教会を目指している。
教会。かつて愛した人を待ち合わせをして、そして悲劇に見舞われた場所である。
いわば彼の運命の分岐点となった場所。

「結局どこにいてもやる事は変わらないか。千尋も蓮治も……久瀬の奴も多分ここに居たら集まるだろ」

既に名簿の確認を済ませている。
雨宮優子の名は気になったが、それが本当に自分の知るあの『雨宮優子』なのかは半信半疑だ。

(死んだ人間は生き返らないか。なら優子はどうしてここに居る?………本当に優子が俺の知る優子なら間違いなく
教会に来るはずだ。それならここで待つのが一番か)

結局彼は不確かながらも、確信を持っている。
そのようなおかしな感覚を覚えながら、教会に辿り着き、そして扉を開く。
そこには彼が音羽の街の教会ではあまり見ない光景。
いつも無人のはずの教会が今回はそうではない。
つまり早い話、先客がいたのだ。


  ◇  ◇  ◇

100教会と銃声 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:10:42 ID:Hl0XsYnk
  ◇  ◇  ◇


(どうしてこんな事になったんだろ)

ユイは少し、いやかなり怯えている。
身体はかなり小刻みに震えている。
彼女自身の愛らしい外見も加味すれば、それは小動物さながらである。

「日向先輩に結婚してもらってあたし、成仏しちゃったと思ったのに……けど他にも天使とかいたし……………いったい
どうなってるの?あたし………殺されるなんていやだよ!」

ユイは銃を握り締める。
実は陽動部隊に所属していた彼女は銃を撃った経験はほとんどない。
つまり今彼女の手にはほとんどなじみのない無骨な鉄の感触があった。

(大丈夫。みんな普通に撃ってたんだ。あたしだって………あたしだって!!!)

自分に言い聞かせる。
この独特の空気と手に持った銃の発する恐怖に打ち勝つ。
それにはただ、何度も心の中で強く反芻する他に術はない。
例えそれが、間違った方向としてもだ。

突如、扉が開く音が教会内に響き渡る。

「誰!?」

音の方へ拳銃を向けて、問いかける。

(日向先輩か音無先輩だといいけど……この際ゆりさんでも天使でもいいから知ってる人でお願い!)

心の中で強く願う。
けれど、世の中は甘くない。

「誰って名前聞いてるのか?」

それは日向でも音無でもない男の声だった。

(知らない声?っていうかこれ大人の男の声)

その声にわずかばかりの恐怖を覚える。
けれど、いつまでも怯えてばかりでは駄目だ。

「ああそうだ!アタシ……ユイにゃん………ってこっちが名乗ったんだからお前も名乗れやごらあっ!!!」

途中で得意のアイドル系自己紹介を入れつつ、かなり柄が悪く好感度に過大な影響を与える口調で怒鳴った。
半ば虚勢であった。


  ◇  ◇  ◇
101教会と銃声 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:12:42 ID:Hl0XsYnk
「火村夕。見てのとおりの普通の男だ」

名乗り返してユイへと近づく。
向けられた銃口は依然として、予断を許さない状況であった。

「来るなっ!来たら撃ちます……って言ってんだろオラ!、さっさと行けよ!」

ユイは銃を向けて威嚇を繰り返す。
だが、火村にも引き返せない理由があった。

(かなり怯えているか………参ったな。だが、このまま引き返したら優子に二度と会える気がしない)

「落ち着け。何も俺はお前を……」
「ひっ!」

火村が一歩近づいたと同時、弾みでユイが銃弾を放った。
教会内で銃声が響き渡り、銃弾は火村の背後の壁へとめり込んだ。
狙いは大きく逸れていた。

(想像以上に混乱が酷い。これはどう扱えばいいんだっけな)

「別に俺はお前を殺そうとか言ってない。ただ教会で人を待つだけだ。それにここはお前の場所じゃないだろ」
「うるさいっ、来るな来るな来るな来るなくるなクルナ狂なくるな!!!!!!!」

自分が無害であるとアピールをしながら近づくが、ユイは一歩近づくたびに銃弾を撃ち続ける。


  ◇  ◇  ◇


(どうして当たらないの?まさかこいつも天使みたいな力持ってんの!?)

ユイはパニックに陥っていた。
相手は一歩ずつ確実に近づいている。
照準は少しずつだが会ってきているはずだ。
なのに一発も命中しない。
そして、やがて全弾を打ちつくし、トリガーを引いても銃弾が発射されなくなる。

「ちっ、くそ、出ろってんだごらあっ!!」

急いでポケットから新しいマガジンに取り替えようとする。
しかし、そこでようやく気付く。

(あたし………震えてる?)

マガジンの取替えに手間取り、ユイは自分が正常な思考を失っていた事を自覚する。
けれど、その時既に火村はユイの視界正面から姿を消していた。

「えっ!?」

背後を振り返る。
火村は教会の長いすの最前列に座り、丁度ユイから背を向ける形になっていた。

「どういうつもり!」

火村の背中に向けて銃口を向けながら問いかける。


  ◇  ◇  ◇
102教会と銃声 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:13:24 ID:Hl0XsYnk
「別にどういうつもりもない。ただ俺はここで人を待っている。それだけだ」

(ああそうだ。冷静に考えれば最後の一人しか生き残れないから、それは蓮治か千尋にやるべきだ。俺よりも
あいつ等の方がよほど生き残る価値があるだろう。俺は優子と同じように……ここで優子を待つことにするよ)

達観した表情で、目を閉じる。
それは諦めとはまた別の、特別な感情が込められていた。
背後のユイには見えないが、その背中からは何かを感じ取れた。

「あたしが撃ってもいいんですか」
「さっきも撃っただろ」
「さっきとは違います。今は距離が近いから当たります」

その声はかなり近くから聞こえる。
今撃てば確実に当たるだろう。
それはまず間違いがない。

「そうか。出来れば止めてほしいな」
「今更命乞いですか」
「違うよ。俺は別に死ぬ事は怖くない。だけど優子がここに来るかもしれない。あいつがこの世界のどこかにいるなら
間違いなくここに来る。だからせめてその間生きていたい。それだけだ」
「なら、その後はどうするんですか?」
「さあな。少なくとも俺はあのわけのわからない首を飛ばすような奴を相手にする気は無い」
「諦めてるつもりですか」
「諦め………そう言われても否定はしないな。ただ…………俺は死んだときは優子と同じ場所に行ってやりたい。
随分とあいつには迷惑も掛けたからな。だから人を殺すような真似は絶対に出来ないというだけだよ」
「……甘ちゃんですね。それに何だか無性にイライラします。」
「よく言われるよ」
「はい。ですけど、優子さんはとても愛されてると言うのは分かりました。あたしも馬に蹴られる気はない無いので
今は貴方を殺しません」
「そうか」

ユイは銃口を下げると、火村から少し離れた椅子へと座る。


  ◇  ◇  ◇


(死んだときは同じ場所か。死んだ後よりも今を大事にした方がいいと思うんだけどな)

そっと一つの溜息と悲しい目をユイはしていた。
火村の行動がユイには哀しいことにしか思えない。

(生きているなら優子さんと二人で生きることだけを考えなくちゃ駄目だと思う)

ユイは口に出さず、火村の背中を見つめる。
そしてやがて気付く。
自分が落ち着いていることに。

(もう夜も遅いから、明るくなったら町に出て、先輩達を探しますか)

コロコロと表情を変えて、ユイは明日への希望に胸を膨らませた。
103教会と銃声 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/05(日) 16:14:19 ID:Hl0XsYnk
【一日目 B-5 教会 深夜】

【火村夕@ef - a tale of memories./melodies.】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 ランダムアイテム1〜3(本人未確認)
[思考]
基本:雨宮優子が自分の知ってる雨宮優子か確認する
1:雨宮優子がここに来るまで待つ
2:千尋、蓮治、久瀬は機会があれば合流

【ユイ@Angel Beats!】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92(15/15)@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]:基本支給品 ベレッタM92の予備マガジン×4 ランダムアイテム0〜2(本人確認済)
[思考]
基本:日向、音無と合流
1:明るくなるまでここにいる
2:明るくなったら二人を探す。


投下終了です。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 16:31:10 ID:oyPQgl9+
>>98
自分の好きな作品が関わると公正さを失うのはまとめ役としていかがなものでしょうか?
死体役がNGなんて常識はパロロワにはありませんが……
105名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 16:45:30 ID:onoz1cTJ
修正要求じゃなくて破棄って時点で、俺の好きな作品のキャラを殺すな!って言ってるように取られても仕方ないよな。
大学票有効にした前科もあるし。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 17:20:03 ID:88ADmxES
ここは>>1の気に入るSSを書くロワってことで、それでいいじゃん。そういうアプローチも新しくていいよ
107 ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:02:18 ID:QtVODmPB
投下します
108守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:03:21 ID:QtVODmPB
ターン。

静かな森に銃声が鳴り響き、携帯食料のスパム缶に弾丸が命中する。
銃を撃ったのは黒い衣装に身を包んだ鋭い目つきの少年、吾妻玲二。
その二つ名は暗黒社会に名を轟かす世界最強とされる暗殺者、――ファントム・ツヴァイである。

「アサルトライフルステアーAUG。射程、反動、精度、威力、特に問題なし。」

よく整備されたいい銃だ。これなら効率よく参加者を処理できるだろう。
実はこの男、このようなゼロサムゲームを経験したのは初めてではない。
殺人の技術を身につける為に行った地獄のような訓練の中にこのようなサバイバルも存在した。

(……始めて人を殺したのも、こんな夜の森の中だったな。)

思い出したくもない思い出。あの時あの瞬間、記憶を失った日本人の少年は死に、一人の殺人者が誕生したのだろう。
ならばこのふざけたゲームの目的もおそらく……。

(生き残ったものは最強の殺人者。……しかし。)

名簿には同僚のアインの名もあった。彼女も殺せというのか?
それに、目を覚ましたときに居たあの得体の知れない力をもった連中。

(生き残った者は、『何を殺す者』になるんだ?宇宙人とでも戦わされるのか?)

くだらない妄想を振り払い、丘の下を見る。人影が見えた。
この暗い森の中遠目からでも致命的なくらい白く目立つ銀髪の少女が歩いている。

考察は後回しだ。今は生き残るのが先決。生き残る為には、殺す。
109守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:05:12 ID:QtVODmPB
玲二はライフルをセットし、スコープにごしに少女を見た。
よく見ると非常に美しい少女だ。しかし格好に何か違和感を感じる。
そう、明らかに下半身の布が足りない。スカートやズボンを履いておらず、白いタイツしか履いていないのだ。
何処の露出狂だろうか。しかもその手に持っているのは……。

(……モップ?)

どうみても何の変とつもない掃除道具だった。あれで戦う気か?
不幸な事に支給品にも当たり外れがあるらしい。
可愛そうだが、試し撃ちの的にはこれ以上ない位ちょうどいい。
玲司は躊躇なく、少女の顔の真ん中に照準を合わせた。

「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる、てか、ははは。」

引き金を引いた、その瞬間。

「――何!?」

少女がスコープ越しにこちらに目を合わせニヤリと笑い――姿を消した。
弾丸は誰も居ない地面に突き刺さり砂埃を巻き上げる。

(外した!?馬鹿な!?)

慌てて照準を左右に振り少女を捜すが何処にも居ない。まるで最初から存在していなかったかのように――。
「どこだ?何処に消え――!?」
110守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:08:17 ID:QtVODmPB
「ドコミテンダオメー?」

玲司は声のする方に顔を向けた。そこに見えたのは、視界いっぱいに広がる少女の股間と純白のタイツ。
あまりの眩しさに目を覆いそうになったが、直後に振り下ろされたモップのようなものの一撃で意識が戻る。
(くっ、しまった!)
後ろへ跳び頭部への攻撃は免れたものの銃器にその一撃は手に当たり銃器が地面に落ちる。

「イキナリウッテクルナンテヒドイジャネーカ。」
「貴様!?どうやってここまで来た!?」
「エ、トンダンダケド?マ、ジマンジャナイガ、コレクライデキテトーゼンナンダケドナ。ウィッチダシ。」
「ウィッチ……魔女……?」

あまりに不条理な事態に混乱する。空を飛んで一気に間合いを詰めただと?
そんな馬鹿な話があるか。だが、迷っている暇はない。
殺らなければ、殺られる!
腰に手を回し、もうひとつの支給品、コンバットナイフに手をかける。
ファントム・ツヴァイはアインの手ほどきによって格闘戦の心得もあるのだ。
「……ふっ!」
この距離なら外しようがない。喉元めがけてナイフで斬り付け―――
「な!?」
―――白刃が虚しく、空を切った。

「ムリダナ。オマエジャワタシハコロセネー。
 ワタシニハミライガミエルンダ。マ、ホンノチョットノサキダケドナ。」

バランスを崩した玲司の脇腹に少女に拾われた銃器の照準が合わせられ、銃口が火を噴いた。
「……がっ!」
弾丸に肉をえぐり取られ、地面に倒れ付す刹那。少女の足元の地面が靴の形に数センチ彫られているのが見えた。
その分だけ下がったということだろう。つまり。
(ギリギリで見切って……かわしただと……?)
ということは狙撃も外したのではなく、かわされたと言う事なのだろうか。ありえない。だが。
『魔女』という単語が頭を反芻し、ふっと苦笑いする。

(……ああ、そういえば魔法使いを殺す訓練はしてなかったな……。)
111守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:12:30 ID:QtVODmPB
 ◇  ◇  ◇

「モウダメダナ。ワルイガココデシンデモラウゾ。」

エイラはいきなりこんな殺し合いに放り込まれたかなり焦っていた。
しかもサーニャも参加しているではないか。あの優しいサーニャが人殺しなんてできる訳がない。
だから、自分が遣らないといけない。彼女を守る為に。

地面に倒れ、今銃口を向けている男は腹の肉が抉り取らる致命傷を負っている。
最初に殺すのが、こんな歩いてる人を躊躇なく撃ってくる様な殺人者で本当によかった。
何十機ものネウロイを落としてきた自分だが人を殺したことは一度もない。
だが何の違いがあるというのだろう。
重要なのはネウロイか人かではない。自分の、サーニャの、敵か味方か。それだけなのだ。

「……どうした?……早くとどめをさせよ。」
「イワレナクテモ。」
「……ああ、なるほど。これが始めてなんだな、お前。」
「ソレデ?」
「……チャンスがあったらすぐ殺せ。迷うな。でないと死ぬぞ。」
「ソウダナ。ソウスルヨ。」
「……そうだ、ころせ、そして……今日からお前が俺になれ。」
「!?」

エイラは目を見開き、

「ソンナメデワタシヲミルナァ!!」

弾装されたすべての弾を顔面に叩き込んだ。
最後にこの男が見た光景は何だったのだろう?
戦場を生きに延びてきた大切な仲間の顔か、娘のように可愛がった少女の笑顔か。
はたまた、暗殺者になる前の、普通の少年だったころにみた風景か。知る由もない。

「……ハァハァ……。」

息を切らしてかつて人間だった肉片を一瞥する。
震えも、特に感傷もなく、罪悪感など微塵も沸かない。所詮はこういうものなのだ。

「サーニャガワルインダゾ……サーニャガカワイスギルカラ!」

もはや迷いはなくなった。エイラ・イルマタル・ユーティライネンはこれより姫を守る騎士になる。
彼女を危険にさらすものは誰であろうと皆殺しにする。――たとえ芳佳だろうと!

男からナイフを奪い、エイラはその場から立ち去った。
112守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:17:01 ID:QtVODmPB

暗がりだったからか、最後の言葉に気を取られたからか。
ツヴァイが指で地面に書いていた文字に気付かなかった事はどういう結果を招くのか誰もわからない。

その言葉は

『ハ イ テ ナ イ』


【吾妻玲二(ツヴァイ)@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜 死亡】

【残り75人】




【一日目 E-5 学校 深夜】

【エイラ・イルマタル・ユーティライネン@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:アサルトライフルステアーAUG@現実
[道具]:基本支給品×1、コンバットナイフ@現実、モップ@現実、予備弾薬@現実、
    未確認支給品0〜2
[思考]
基本:サーニャのために他の参加者を皆殺しにする
1:サーニャと合流する
2:武器を集める

※E-5にツヴァイの顔面の破壊された死体があります。そばに指で書かれたダイインメッセージが書かれています。


投下終了です。
113名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 18:21:40 ID:oyPQgl9+
投下乙です
エイラ怖いなぁ
ダイイングメッセージなんだこれww
114 ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 18:25:40 ID:QtVODmPB
訂正

【一日目 E-5 学校 深夜】→【一日目 H-7 森林 深夜】
115名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 18:28:24 ID:oyPQgl9+
告知。

RwUmY1K.wU氏、貴殿のSSに荒らしの疑いがかけられていますので、
したらばルール議論スレまで来て弁明をお願いします
116名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 18:28:36 ID:v/fcq4XM
投下乙です

efはよく知らんが火村ってこんな考え方するキャラか
ダウナ―系?
ユイは落ちつけw

玲二はw なんてダイイングメッセージなんだこれはww
エイラは確かに予知能力あるがロワでここまで強いとは…
他の魔女もいるんだ。落ち着く日が来るのだろうか…

それにしてもあんな荒らしSSにここまでスレが荒れるとか今頃犯人うはうはだろうな…
117名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 18:58:30 ID:BYqk5M6w
投下乙です

efに関しては火村夕なら優子の名前を他人の前で絶対に口にしないと思う
優子を示すにしても別の表現で隠すタイプ
そこだけが気になったな

エイラのカタカナは・・ん〜、気になる人は気になるのかな
それと玲二のダイイングメッセージw
キャラ崩壊しとるww修正動議提出も辞さないぞwww
118名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 19:17:29 ID:8UWW9lrJ
>>115
一応制限時間を決めとくか
6日の0時までに返答がなかった場合、破棄ってことで
119名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 19:37:20 ID:TeANq5QU
約5時間後とか急すぎだろ
そんな勝手に期限決めて破棄とか賛同できない
120名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 19:39:06 ID:8UWW9lrJ
荒らしの擁護すんの?
自演じゃないならしたらば行って議論スレで言ってくれ
他所の荒らしと同一かどうかはともかく、SSの内容が荒らしなのは確定してるんだから
121名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 19:47:28 ID:v/fcq4XM
名無しがここで独断で決まられても効力ないだろう
制限時間を決めるのは同意するが
122名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 20:10:34 ID:ungBCD4q
玲二のキャラが明らかにおかしい。
したらばは大量死亡のほうで揉めてるからこっちで言うけど、玲二の口調と明らかにおかしい
ギャグ描写を修正希望

ギャグ話ならいいんだけど、まじめなバトルでこの玲二はキャラ崩壊が酷い
123名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 20:11:59 ID:Bm9xzGdr
したらばの管理人さんがレスしてるからルール議論スレ372を確認しよう
124名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 20:22:23 ID:BYqk5M6w
お前ら落ち着け
「ハイテナイ」というのは実は伏線なんだよ!
履いてないのは別の某麻雀作品だ
エイラの世界はズボンだろ?それを履いていないということは・・・ハァハァ


じゃなくて戦闘前あるいは戦闘移動中に「何かがあった」とかとか
125名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 20:30:26 ID:v/fcq4XM
少なくとも本気で修正して欲しいのならここでなくしたらばで言ったら?
でも今は止めておいた方が…
126名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/05(日) 21:19:40 ID:VR0DlhWK
◆JnTFjVKio2のSS読んだけどこの程度の書き手が他人のSSの描写にいちゃもんつけてるとか片腹痛いな。
こいつのユイの描写も体外だろw
あれが破棄ならユイの描写が適当とかで破棄対象になってもおかしくないレベル。
127 ◆/Fnde2WILg :2010/09/05(日) 22:19:23 ID:QtVODmPB
「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる。」と最後のダイイングメッセージはギャグなので
wiki収録時に該当箇所カットしても別に問題ないです。
エイラの喋り方もインパクト重視した結果で読みにくいのは百も承知故次回から変更してokかと

ついでに仮投下スレのSSを代理投下します
128◇PuVQoZWfJc :2010/09/05(日) 22:21:29 ID:QtVODmPB
前略 オフクロ様
僕たちは林田君の提案で北斗君の山の別荘へ遊びに行く予定でした。
ですがここに大きな問題が一つ生じてしまいました。何故だか海に来てしまっていることです。

何処の海のものとも知れない海水浴場で、二人の学生は目を覚ました。
???「う、う〜ん」
「ああ、目が覚めたようだね、林田くん」
一見して平凡そうな、しかしよく見れば何か非凡そうな青年が傍で気を失っていた友人に声をかける。

「か、神山!......あれ、もしかしてさっきのは夢か」
林田と呼ばれたモヒカンの(鬘の)青年は飛び起きると、先ほど起きた惨劇を思い出し神山に聞いた。

「いや、残念ながら夢ではないようだよ、ほら」
友人の期待の篭った問いかけを否定すると、神山は自分と林田の首輪を指差し、次に二人分の
リュックサックを見せる。夜の暗闇の中でお互いの表情は分かりにくかったが、どちらも落胆している
であろうことは用意に知る事ができた。

「一体何がどうなってんだ、どうしてこんなことに巻き込まれちまったんだ。なあ神山よぉ、俺は確かに何かっつうと
退屈だの、面白い事ないかだの言って来た。けど何もこんなことを望んでたわけじゃねえんだぜ......」
そう告げる林田の声には後悔と謝罪の色を滲んでいた。影が動くどうやら顔に手を当てたようだ。

「それは僕も同じだよ林田くん、でもこれは紛れも無く現実だ。今までワルの巣窟として色々なことがあったクロ高だけど、
とうとう裏社会、それも外国の人達の抗争もしくは人員整理に僕たちは巻き込まれてしまったみたいだ」

「そうか、やっぱりありゃ夢じゃってちょっと待て神山、どうしてそんなことがわかるんだよ」
神山の突然の説明に当然の質問を返す林田、神山はやや緊張した態度で答え始める。辺りは潮騒の音に満ちている。

「いや、これは単なる僕の想像だよ、林田君。あの時のおよそ冗談とも思えない突然の出来事の連続を、ここに来るまでに
起こったことを君は覚えているかい」
答えを求めたはずが逆に質問を返されて林田は当惑したが言われるままにこれまでの経緯を思い出してみる

「ああ、確か北斗の別荘に遊びに行こうってなって、それから学校で待ち合わせしてて、いつの間にか皆であそこにいて,,,,,,」
「それから」と続けついさっき起こった事件を思い出して林田は口を押さえると海の方へ駆け寄り一息に戻した。


「そう、何故か僕たちは揃ってここにいた。どうなっているのかは分からないがそれはあの時あの場所にいたほぼ全員が
そうだったに違いない。林田くん、僕がさっき言った風に思うのはその後の皆の反応を見たから何だよ」

林田は息を切らせながらも神山の言う事の続きを待った。頭の中は形にならない疑問符が多数を占めていたが
不思議とパニックには陥らなかった。
129◇PuVQoZWfJc :2010/09/05(日) 22:24:58 ID:QtVODmPB
「あの女の子たちがあんなことになった後、僕たちのように手と手を繋いで怯えていた人間は驚くほど少なかったんだ。
たぶん半分以上は堅気じゃないし、その中には外国の人、しかも僕たちよりも明らかに年下の人までいたんだ。むしろ
そっちの方が僕は怖かったけど、とにかくこの事から考えて、僕たちは巻き込まれてしまったんだろうと思う」
「外国は銃社会で最近は特に物騒らしいから」と付け加える。林田は今の話を聞いて考える変だ、と

「確かに神山、あの場にいた連中はそれでいいかも知れん。だが殺されてしまった子たちや俺等はどうなる、それこそ
巻き込まれる理由がねえだろう」

確かにその通りであった。今大事な事は「どうして自分達が」ということを言っているのであって他人の事情を考察している
時ではない。しかし神山の影が首を振る、やれやれと言わんばかりの気だるさを闇の中でもはっきりと示しながら。

「恐らくはテコ入れだろう、掲載紙が変ると作風の変更を迫られる事はよくあることことだよ」
「お前は何を言ってるんだ、神山......」

「冗談はさておきいいかい林田くん、恐らくあの子達はあの場にいた人達の身内か何かで、今回の見せしめに
きっと攫われて来たんだよ。そして僕たちもクロ高に通う誰かの抹殺のために連れてこられた可能性が高い」

「ちょっと待ってくれ、それはつまり俺たちの中に誰か人殺しの仲間がいるかも知れないってことか!」
声を荒げるものの林田はその可能性は高いことを神山と同じ程度には考えていた。しかしそれを実際に
言われた事が辛かった。

「そうは言ってないよ。でも僕たちは彼らの過去を全く知らない。フレディが昔外人部隊にいたかも知れない、ゴリラが
彼らの実験動物だったかも知れない、メカ沢くんに至っては何を言ってもおかしくない。違うかい、林田君」
今言った一人と一匹と一体にクロ高で最も接点が多いのは自分達だ。となれば変化に気付くのも自分達、その線が濃厚だった。


「以上のことは全て僕の妄想ですが宇宙人とも顔見知りである以上今更僕たちに何が起こっても不思議じゃありません。
僕らが生きて帰るためにはこの首輪を外して脱出を図るしかないでしょう。それと気休めですが首輪に一応ハンカチを
巻いた方がいいです。そのあとは持ち物の確認、僕はさっき読みましたが林田くんもルールブックには目を通して下さい」

そう言うと神山は波にハンカチを浸し、絞ると首輪に巻く。林田もそれに倣うと二人で明かりをともしつつリュックを漁り始める。
「あーあ、当たりで首輪を外すボタンでも入ってねぇかな」
「医薬品の類でもいいですけどね」

ぼやきつつも中身を確認していく二人そして神山のリュックから出てきたのは
「神山、それってもしかしてプールの監視員が使ってる奴じゃねえか」
「拡声器ですね、あとはこれですね、中にコートが収納されてるらしいのですが、えい」
130◇PuVQoZWfJc :2010/09/05(日) 22:31:16 ID:QtVODmPB
掛け声とともに手の平サイズの六角形の金属の塊を叩くと一瞬で海賊船の船長のような格好になる。それまでは学ラン姿で
あったはずだがどういうわけか上から突然着込んだ形になり、その服装に二人は慌てた。
「いきなり服装が変ったが、その格好まずくないか、神山」
「ああ、なんだか二度と家の敷居を跨げないような悪い事をしているよな居心地の悪さがあるよ」

服装のことは(戻り方が分からなかったので)ひとまず置いて今度は林田の荷物を確認する。
「林田くん、これはなんだい。このノートパソコンの画面だけみたいなのは」
「説明書によると首輪の位置がわかるらしいがボタンを押すだけみたいだが、5回しか使えないらしい」

その説明を聞いて神山が身を乗り出してくる。

「当たりだよ林田くん!それがあれば皆と合流することも逃げる事もできる。それで、他には何もないのかい」
「「いやまだ他にもあるが、それより神山よぉ、これから一体どうするんだ。いつまでもここにいるわけにも行かん」

神山は移動を促されて予め考えていたことを林田に告げる。

「うん、それなんだけど、僕たちでは首輪は外せない。だから外せそうな人と皆を集める所から始めよう。その為には
林田くんのそれを使わせてもらいたんだけど良いかい」

ソレと言われて首輪探知機を見ると林田は快諾した。逸れたと思わしき知人達を探すのは彼も考えていたらしい。しかし
「それはいいが神山、メカ沢はまだ良いとして俺たちあいつらの名前ちゃんと知らないよな。今考えると」
「............え?」


言われたことに戸惑う神山を他所に今度は林田が続ける。
「そもそもゴリラに名前があるかも分かんねえし、フレディはお前がつけた呼び名だ。竹之内はもう一人の名前がわかんねえ。
そんな中コレ使って意味あんのかよ、それに他の参加者には外人も多い。俺は英語なんか話せねえから手伝ってくれとさえ
言えねえ。どうすんだ神山」

「,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,」
神山は目を閉じて黙考しやがて静かにこう告げた。
「よし、じゃあこうしよう」

「ソレを使って、とりあえずメカ沢くんと竹之内くんを探す。僕がメカ沢くんで、林田くんが竹之内くんを探すんだ。僕は
この首輪に思う所がってね、もしかしたら彼のはすぐ外せるかもしれない。竹ノ内くんは英語ができる。そうすれば
無理なく合流できるはずだ」
131◇PuVQoZWfJc :2010/09/05(日) 22:34:37 ID:QtVODmPB
「わかった、それじゃ使うぞ、せーので見よう。取りこぼしがなるべくないようにだ、せーの!」

首輪探知機を使用した瞬間二人同時に『あ!』と声をあげてしまう。
「フレディだ!」「ゴリラだ!」
探知機の画面にはしっかりとそう表記されていた。その事実に危うく失念しそうになるがメカ沢と竹之内の所在を確認しておく。



「よし、これで心配事が減ったよ林田くん!それぞれ相手と合流したら6時に神社で合流しよう」
「ああ、まずはそれからだな!だが俺はこれがあるかいいが、お前一人で大丈夫か」
「わからないが頑張ってみるよ、この拡声器を使いながら歩けば向こうも気付きやすいと思うからね」

他の参加者が殺し合いに乗るかもしれないという可能性は完全に失念したまま二人は互いが探す相手の本へと歩き出した。


【一日目 G-5 海水浴場 深夜】

【神山高志@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:核鉄「シルバースキン・アナザータイプ」@武装錬金
     拡声器@現実
[道具]:基本支給品×1 未確認支給品0〜1
[思考]
基本:この島から逃げる為に仲間と協力者を集める
1:拡声器で呼びかけながらメカ沢と合流して6時に林田と神社で合流を目指す。
2:メカ沢くんならたぶん首輪が......

【林田慎二郎@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康、疲労(少)
[装備]:首輪探知機残り@使用回数4回
[道具]:基本支給品×1 未確認支給品1〜2
[思考]
基本:とにかくクロ高の仲間を集める
1:探知機を使い竹之内と合流して6時に神社で神山との合流を目指す。
2:殺し合いなんか冗談じゃねえや

タイトルは a hard day's night でお願いします


代理投下終了。
とりあえずしばらく様子見。神山と林田は是非他の作品キャラをクロ高時空に取り込んで欲しいなー。
132 ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:01:25 ID:1k0notDO
投下します
133芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:02:20 ID:BRMYjZN2


                   美しき者も滅びねばならぬ!
      人間をも神をも強いる運命が 冥府の王の鋼鉄の胸を動かすことはない

        見よ! すべての神々が泣いている。女神たちが泣いている
           美しき者が滅びることを、完全なる者が死することを

            愛する者の口で悲歌が歌われることも素晴らしい
             凡庸なるものは音もなく冥府に下っていくからだ

                                 フリードリッヒ・フォン・シラー《Nanie》より




俺の名は竹之内豊―――クロマティ高校一年を仕切る裏番だ。
クロマティ高校ってのはワルが集まる(最近は動物園かサーカスみたいになってるが……)
底辺の底辺の底辺に位置する、足し引きが出来れば余裕で入学できる学校でな。
渡された荷物の中をあさってみれば、見知った名前がいくつも確認できる。
同居しているマスクド竹之内……あいつは名簿でもこの名前なのか。
最悪な事に、俺の天敵の神山もいる。絡まなければならないのだろうか……?
ゴリラ、というのはあのゴリラだろうか……いくら俺でも、あれと殺し合いなど無謀だろう。
いつも同じクラスにいたのだから、向こうも顔くらいは覚えているかも知れないが……。

「……!」

思考が瞬断される。
銃声と怒声が、堰を切ったように流れてきていた。
5人―――いや6人? 言い争う声の合間を縫うように、殺し合いの音が鳴り響く。
俺は高校生だが、それなりの修羅場は潜ってきている。
ヤクザ者をボコボコにしたり、ちょっとした手違いで外国に渡って身一つでマフィアを掌握した事もある。
それだけに、分かってしまっていた。俺が辿りつく頃には、この音は鳴り止んでいる――――。
一つの惨劇が終わり、いくつもの命が失われている、と。
134芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:03:41 ID:BRMYjZN2

「これは……」

駆け足で行き着いた浜辺のその場所は、血と硝煙と焼ける土の臭いに覆われていた。
充満する死臭。倒れ付す人間が、やはり6人。その中の一人が、俺に気付く。
アフロヘアーの、壮年の男だった。爆発物にやられたのだろうか? 右足首が吹っ飛んでいる。
ショック死してもおかしくない重症に見えるが、男は鋭い眼光で俺を睨み続けている。
日本刀を地面に突き刺し、返り血に塗れているその姿から連想される男の職業は一つしかない。

「本職か……」

「……同業さん、笑ってくだせえよ。あっしゃ、こんな子供相手にこのザマですわ」

「いや俺は高校生だが……こいつらも、只者じゃなかったようだな」

アフロの言うとおり、転がっている死体はおしなべて女子供。
だが、彼女らが手に握った武器や、互いの身体に付いた傷痕から、プロ級の戦闘要員だと容易に読み取れる。
クロマティ高校にも、これほど鮮やかに戦える人間はそうはいまい。
アフロの男は、政と名乗った。やはり、どこぞのヤクザの構成員らしい。
既に終わっている者たちの名前は、ほとんど知らないという。
顔面に散弾を食らった形跡がある、雨宮という少女の名前だけを、政は知っていた。
改めて、動かない参加者達の様子を確認する。
まるで趣味のいい芸術品のように死に映える金と銀の髪の二人の少女は、蜂の巣にされて死んでいる。
お互いを撃ち合った末に倒れているように、俺には見えた。
死体に傷痕のない二人―――俺と同い年ほどの少年と、腹が黒そうな目の少女は、どうやって
こんな動かない躯に成り果てたのだろうか。柄にもなく、目の前のヤクザに怒りをぶつけてしまう。

「不良(ワル)ってのは……本職(ヤクザ)になろうが、自分の認めた相手以外の言いなりにはならねえのが
 信条だろうが、おっさんよ。一体どうして、あんたはこんな殺し合いなんぞに言われるがまま乗っちまったんだ?」

「勘違いしてもらっちゃ困りますな、坊や……あっしは、自分を曲げなかっただけに過ぎません。
 そしてその結果……今こうして、死に掛けている。それでも、何も恥じる事はありませんよ、そう―――」

135名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:04:26 ID:1eKIrDpi

136芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:05:19 ID:BRMYjZN2

政は、最初に雨宮を見つけ、保護すると申し出たらしい。
だが、拒絶された。当然だ。俺も人のことは言えないが、裏家業の人間は見てくれだけで人を威圧する。
そこへ銃弾と、殺意を持った金髪の女が飛んできた。雨宮は一瞬で殺害され、政は応戦する。
それを俺より先に嗅ぎつけた者たちが、各々の思惑で戦闘に介入した。
そして最後に荒い息を吐いているのが、政だったというわけだ。
話の真偽は分からない。死屍累々たるこの惨状は、
政の語るのとはまったく別の理由で出来たものなのかもしれない。
だが――― 一つだけ、確かに言える事がある、と政は言った。

「あっしも、そしてこいつらもね。自分の意志で抗い、自分の意志で乗り。自分の意志で戦ったんです。
 だからそれ自体がこの殺し合いを仕組んだ奴の思惑通りだとして―――あたしらが死ぬ事で
 仲間達がそれを蘇生させる為に道を踏み外すような事だけは許せない、それが共通の意見のはずなんです」

「政さん……」

今にも命の灯を消しそうな政の言葉には、ほんの一縷の無念が宿っていた。
年長者の、非行の先輩が見せた僅かな緩みに、俺の心が動かされる。
この殺し合いを仕組んだ奴が許せない。その思いが、政から、死者達から、俺の身体に流れ込んでくる。
彼らが殺し合いを演じたのにも、それぞれに何か理由があったのだろう。
それは誰かを守るためか、願いを叶えるためか、本当にただ殺し合いたかっただけなのか。
どういう理由があったとしても、その思いが捻じ曲げられ、放送などという下卑た手段で仲間に伝わる。
このゲームは狂っている……、というように、俺は彼らの無念を感じとっていた。

「こんな事を学生さんに頼むのは酷かもしれないが……どうか、あたしらのような事になる連中を減らして欲しい。
 どうか、この殺し合いを仕組んだ奴の鼻面に一発ブチかまして欲しいんですわ……」

「……俺に何が出来るかわからねえが、元からあんな連中に従うつもりはねえ。分かったよ政さん。
 このイカれたゲーム……クロマティ高校一年裏番の名誉にかけて、ぶっ潰してやろうじゃねえか」

決意表明。泥のように濁っていた俺の思考に、明確な目標が生まれる。
すれ違いや行き違いから殺し合い、このゲームを知らず知らずに進める者たちを止める。
死んだ者を生き返らせるなどという歪んだ願いを持つ者を、言葉ではなく拳で説得するのだ。
俺には偏差値の高さを活かした説得などより、やはりこの拳を使う方がやりやすい。
それから、俺はまだ暖かい連中の死体を、浜辺に止めてあった長船に乗せていく。
このまま放置していくのはあまりに不憫だったし、かといって全員分の墓穴を掘る体力も時間も使えない。
だから、こうして潮を見る限り岸に沿って流れるだろう船に死体を乗せて、それぞれの仲間に
上手く発見されて埋葬される事を祈らざるを得なかった。

「……」

「あっしを積んで、終わりですね……そろそろ、目がくらんできましたわ」
137芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:06:35 ID:BRMYjZN2


流石に、黙々と死体を船に積む作業は気分が悪い。
本来なら死者の荷物を全て手に入れるべきなのだろうが、そんな余裕すらなかった。
何より船……乗り物に積み込むためには、錨を下ろし、波に揺れている乗り物に乗らなくてはならない。
一瞬とはいえ、激しく揺れる船に足を踏み入れるのは俺にとっては地獄の苦痛。
乗り物酔いであることを政に隠す事に、全ての神経を集中させていた。
最後に、息も絶え絶えになった政を船に乗せる。息も絶え絶えになっているのは俺も同じだが。
なんとか全ての作業を終了し、僅かに残った気力で、散弾銃と日本刀を拾った時だった。

「きゃあああああっ!!」

「!?」

背後で、女の悲鳴が聞こえた。
見れば、始めてみるタイプの制服を着た、雨宮という女と同じか少し下くらいの女学生。
この光景を目の当たりにすれば無理もないが、彼女は顔を真っ青にして駆け出していく。
きっと、この殺し合いの中で始めて人を見つけて、接触しようと近づいた瞬間だったのだろう。
どうみても多人数を殺害して死体を処理しているようにしか見えないだろう俺の姿に、恐怖を感じない筈もない。
船に乗り降りして最悪な気分になっていた俺はとっさに何も言えず、少女を見失ってしまった。

「……」

「誤解、されちまったみたいですね……あっしが釈明してあげたいとこですが……もう、駄目みたいですわ……」

「てめえのケツはてめえで拭く……政さん……あ、ありがとうよ。
 あんたがいなきゃ、俺も自分を見失ってたかも知れねえ……」

馴れない感謝の言葉を言う俺に、政は静かに微笑みかけた。
そして、指笛を鳴らす。最後の力だったのだろう。政は静かに目を閉じる。
パカラッ、パカラッ……何かが、近づいてくる。

「うおっ!?」

「ブルルルルル……!!!」


爆撃のような嘶き。
見覚えのあるそれは、フレディの愛馬、黒龍号。
まさか、俺にこれに乗れというのか……。
政を見ると、「これが最後のプレゼントです」といわんばかりの顔で、安らかに眠りについていた。
男としてこんな顔をした漢が最後に自分に託した物を、ないがしろにするわけにはいかない。

「乗るしかねえのか……」

俺は静かに黒龍号に跨り、嘔吐感と共にこのゲームを潰す為の戦いを始めた。

138名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:06:46 ID:1eKIrDpi

139芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:07:42 ID:BRMYjZN2

【一日目 A-2 浜辺 深夜】

【竹之内豊@魁!!クロマティ高校】
[状態]:吐き気(極大)、疲労(小)
[装備]:散弾銃(残弾20セット)@現実、燦の日本刀@瀬戸の花嫁、黒龍号@魁!!クロマティ高校
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考]
基本:この殺し合いを止め、現実に帰る
1:少女(咲良)を追いかけ、誤解を解く
2:クロ高の仲間と合流(マスクド優先、神山にはできれば会いたくない)

【要咲良@蒼穹のファフナー】
[状態]:健康 恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考]
基本:生き残る
1:竹之内から逃げる
2:アルヴィスの仲間達と合流したい
140芽生える光と闇の中で ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:10:05 ID:BRMYjZN2

運がいい。まったくもって、運がいい。
中村剛太が目を覚ました時、最初に思ったのはそれだった。
乱戦に参加した際、桜花によって催眠弾を装填した銃で狙撃され、失神していたのが功を奏した。
剛太は船酔いした竹之内に死体と間違えられて、他の死体と一緒に船で島の岸辺に沿って移動しているのだ。
彼の目的は一つ。津村斗貴子を守り、錬金の戦士としてヴィクターと武藤カズキを再殺する事だけだ。

(そのためにはどんな汚い手でも使う……先輩に危害を加える恐れがある奴は、こっちから排除する!)

剛太は、カズキ達以外にも、戦力を保有する者は全て抹殺する決意を固めていた。
自分が知っているのは斗貴子と火渡だけ。それ以外の参加者は一切信用せず、確実に殺す。
戦力のない民間人なら話は別だが、それくらいの厳しい裁断を下せる意志は、錬金の戦士として持ち合せていた。
先の乱戦に巻き込まれたのも、銃撃戦に巻き込まれてしゃがんでいた少女を助ける為だった。
もっとも、少女は自分が助けに入った時にはすでに死んでいたのだが。
死体と間違われた身体で、他の死体から全ての支給品を回収して、船の端に隠す。
そして、小型の銃を手に取って、自分達を見つけて近づいてくる参加者を待つ構えを取る剛太。

(先輩……どうか、生きていてください!)

6人の人間が乗っている、屋根のない船上。
だが今現在、願いを思い、それを言葉にする権利があるのはたった一人だけである。

【早坂桜花@武装錬金 死亡確認】
【銀@DARKER THAN BLACK 死亡確認】
【雨宮優子@ef - a tale of memories./melodies 死亡確認】
【ドライ@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜 死亡確認】
【政@瀬戸の花嫁 死亡確認】

【残り70人】




【一日目 A-3 海(浜沿い) 深夜】

【中村剛太@武装連金】
[状態]:健康
[装備]:マテバ 2006M@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜4(確認済み) H&K G3A3@GUNSLINGER GIRL
     睡眠薬搭載弾装填拳銃@現実 CZE Vz.61 “スコーピオン”@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[思考]
基本:津村斗貴子を守る
1:戦力を持つ参加者の殺害(カズキ、ヴィクター優先)。
2:斗貴子、火渡と合流する。
3:民間人の保護。

※斗貴子にカズキ再殺指令を伝える直前からの参戦です。
※A-2から島の岸を沿って右側に流れる潮に、中型の船が乗っています。速度は後の書き手さんにお任せします。
※船には、中村剛太と、ドライ、桜花、優子、政、銀の死体が乗っています。
141 ◆e36QHfACtY :2010/09/06(月) 00:11:05 ID:BRMYjZN2
以上で投下終了です、支援感謝
142名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:11:51 ID:1eKIrDpi

143名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:14:40 ID:LClx2ALx
投下乙

剛太には活躍して欲しいが報われない奴だからなあ
144名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:17:38 ID:2L3NW0Ot
投下乙です
狡い、剛太狡いよ!
政さんイケメンすぎ、竹之内マスクド好きすぎ
ドライさんはきっと嬉々として殺しに来たんだろうなぁ…合掌
145名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:18:42 ID:1eKIrDpi
投下乙です
またまたザックリと行ったぁw
政さん男前です。クロ高って実はシリアスが似合うのか。
酔ってるけどなw
146名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:21:21 ID:LdgJONj1
投下乙
竹之内を馬に乗せるなよ、イジメかwww
でも揺れより密封感が駄目なタイプの車酔いだっけ・・・?
っていうか俺の嫁がー!うごご、誰か画像をくれえええー
147名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:21:53 ID:1eKIrDpi
神山の方も投下乙です
この適応力の高さは恐ろしい
いやはや、腹筋が痛いw
148名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:24:48 ID:z6pUbQqM
船で死体を移動させて他の参加者に見つかりやすくする発想はなかったわ
その中に爆弾を入れてるし、死体役でもただ描写なしに殺しただけの前のとは違うね
竹之内は果たして政さんとの約束を守れるのだろうか…追っかけてるのがあのファフのキャラだからなぁ
149名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:25:29 ID:z6pUbQqM
あー誤爆ったorz
まあいいや、投下乙でした
150名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:35:13 ID:h+p+MYaM
投下乙

もう十人死んだwwwいやぁ気持ちいいくらいガンガン減っていくなぁwww
完結は絶望的と思われたが光が見えてきましたね、この調子で頑張ろうぜ!
まぁ下らない議論なんかしてないでSSを書けってことだ
もうこれがこのロワの作風ということで諦めろ
151名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:38:24 ID:5taawt02
投下乙!
剛太剛運自重しろ
ファフナー勢といい死亡したことによる作品のキャラといいかなり血生臭い事になりそうでわくわく

今まで死んだキャラまとめ

8/9【蒼穹のファフナー】
○真壁一騎/○皆城総士/○遠見真矢/●羽佐間翔子/○カノン・メンフィス/○春日井甲洋/○近藤剣司/○小楯衛/○要咲良
8/8【ストライクウィッチーズ】
○宮藤芳佳/○リネット・ビショップ/○エーリカ・ハルトマン/○ゲルトルート・バルクホルン/○フランチェスカ・ルッキーニ/○シャーロット・E・イェーガー/○サーニャ・V・リトヴャク/○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
7/8【武装錬金】
○武藤カズキ/○津村斗貴子/○中村剛太/●早坂桜花/○早坂秋水/○火渡赤馬/○ヴィクトリア・パワード/○ヴィクター
7/7【魁!!クロマティ高校】
○神山高志/○林田慎二郎/○メカ沢新一/○フレディ/○ゴリラ/○竹之内豊/○マスクド竹之内
5/7【ef - a tale of memories./melodies.】
●広野紘/○宮村みやこ/○麻生蓮治/○新藤千尋/○久瀬修一/○火村夕/●雨宮優子
7/7【GUNSLINGER GIRL】
○ヘンリエッタ/○ジョゼッフォ・クローチェ/○トリエラ/○ヴィクトル・ヒルシャー/○アンジェリカ/○マルコー・トーニ/○ピノッキオ
6/7【瀬戸の花嫁】
○満潮永澄/○瀬戸燦/●政/○シャーク藤代/○江戸前留奈/○銭形巡/○三河海
5/6【Angel Beats!】
●音無結弦/○仲村ゆり/○立華かなで/○ユイ/○日向秀樹/○直井文人
6/6【真・恋姫†無双】
○劉備/○関羽/○諸葛亮/○趙雲/○馬超/○曹操
3/4【エルフェンリート】
○ルーシー/●コウタ/○ナナ/○坂東
4/4【CANNAN】
○カナン/○アルファルド/○大沢マリア/○リャン・チー
2/4【Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
●吾妻玲二(ツヴァイ)/○アイン/●ドライ/○サイスマスター
2/3【DARKER THAN BLACK】
○黒/●銀/○蘇芳・パヴリチェンコ
80/80
152名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:40:08 ID:5taawt02
70/80ね
153名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 00:44:11 ID:1eKIrDpi
乙です
人数いっぱいいるから、
これだけ減ってもおいしい組み合わせは多いな
154名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 01:43:04 ID:tYS6XcCY
投下乙!
普通に面白いね、死の描写を省略するのも料理人でこうも変わるのか
剛太は……嫌な予感しかしねえ

一応こっちでも告知

現在、したらばにて分岐制の議論が行われています
興味がある人は参加してください
155名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 17:25:07 ID:HayKno0R
wiki借りてきた。
分規制を取るなら分岐した人が責任を持って判り易くなる様編集してくれ
http://www26.atwiki.jp/midnightanirowa/pages/2.html
156名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 17:45:17 ID:HayKno0R
157名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 18:23:04 ID:rY/rZpJA
>>156
乙です。分岐するにしろしないにしろwikiは必要だと思うので是非頑張ってください。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 18:39:58 ID:TgIH08Uw
乙です
暫定的に現在位置をちょいと追加してみましたが
修正するたびにアプロダファイルが増加するので
別途参照にした方が良かったか……

まあ、ベストはCGIを使ったマップツールですね
159名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 19:07:20 ID:HayKno0R
ためしに現在位置CGI設置してみました
無事に動くか試してみてください
http://www22.atpages.jp/gcamkg/#
さてジャンプレーベルっていうタイトルを変更するのはどうやってするかわからねえ
160名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 19:14:02 ID:TgIH08Uw
乙です
ソースをエディタで開いて
<title>ジャンプレーベル−現在位置</title>
ここを変える
161名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 19:18:15 ID:HayKno0R
>>160
サンクス
とりあえず変えてみましたがいろいろ試してみてください
正直私も不慣れで判らない事が沢山あるので
不具合があったら報告してください
わかる範囲で対応していきます
162名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/06(月) 19:32:49 ID:d2fDcFpE
wiki氏、地図氏乙です!!
163名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 01:21:09 ID:5KrMYS5P
>>161
乙です。
このツール、たまにってかしょっちゅう不具合起こすので、
http://www22.atpages.jp/gcamkg/icons.txt
を時々見てやってください。

調子いい時は
最初の一行が
<form ……
以下、
<span ……
数字px; top:
数字px;">
名前</span>
の繰り返し
最後に
<input ...
</form>
って感じですな
時々、最後がおかしくなるんで手動で直してやってください。

多ロワとか新漫画のが常に正常な状態に保たれてるんで、見ながらやるといいと思うっす
164 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:35:16 ID:dhQ+s1sr
これより投下開始します
165 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:37:22 ID:dhQ+s1sr
 
 走る、走る、走る、走る、走る、走る。
 脇目も触れず、全力で、限界を超えて走り続ける。
 瞼の奥底に焼き付いた光景を振り払うかのように。
 思い出すだけで吐き気のする光景を忘れるように。
 一心不乱に、出口の見えぬ通路を走り抜ける。

 筋肉が悲鳴を上げる――無視。
 心臓が悲鳴を上げる――無視。
 脳髄が悲鳴を上げる――無視。
 
 無視、無視、無視。
 
 軟弱な悲鳴を全て無視しして少女――宮村みやこは走り続ける。
 どうしてこんな事になってしまったのだろう。
 
 滲む視界を必死に擦りながら、ほんの数分前までの事を思い出す。
 
 ▼
 
 「えと……これからどうしましょうか?」
 
 目の前の気弱そうな少年が不安気に話しかけてくる。
166 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:38:12 ID:dhQ+s1sr
 この殺し合いに巻き込まれて初めて出会った相手なのだが、どうにも頼りない。
 互いにあの場所から飛ばされ、気が付いたらこの場所にいた、という訳だ。
 最初は警戒したものの、どうやら殺し合いをするつもりはないらしい。
 此方の強気な性格と相手の弱気な性格が上手く噛み合ったのか、淡々と話は進んでいった。
 まずはどちらからともなく自己紹介。名前を麻生蓮冶と言うらしい彼は、不安からか今にも泣きそうな顔をしていた。

 「そうね……取り敢えず、これかな?」

 そんな彼を励ましつつ、自分も自己紹介すると思い出したように二人してデイバッグを漁り始める。
 
 一つ目は、名簿の確認。
 二つ目は、食料の確認。
 三つ目は、武器の確認。
 
 これらを行う為、黙々と中身を確認していく。
167 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:39:46 ID:dhQ+s1sr
 そして、一つ目の名簿の確認をしていると――
 
 「「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」
 
 示し合わせたわけでもなく、二人の声が重なる。
 
 「そんな……千尋までこんな所に連れて来られてるなんて……っ」
 
 「嘘……でしょ? 嘘だよね……広野、クン」 
 
 互いの声音に響くのは絶望。
 共通したソレに境遇を気付かされたのか、二人とも言葉を発さず――いや、発せずに一刻も早くと武器の確認を始める。
 
 結論から言うと、外れだった。
 自分に支給されたのは核鉄と呼ばれるらしい金属だったのだが、どうやら治癒の効果はあっても自分じゃ武器にできないらしい。
 そして、もう一つがイングラムM10と呼ばれるサブマシンガン。
 かなりの当たりアイテムのように思われたが――
 
 「弾が無いんじゃどうしようもないわよねぇ」
 
 そう、サブマシンガン自体は有るのだが肝心の弾がどこにも無かった。
168 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:40:38 ID:dhQ+s1sr
 一応鈍器として使えなくも無いが、普通の女の子にそれを求めるのは流石に酷だろう。
 
 「はぁ……蓮治クンはどうだったの?」
 
 溜息混じりに問い掛けてみるのだが、結果を聞くまでも無く彼の表情には失望と落胆の色が浮かんでいた。
 
 「えっと、これといって武器になりそうなものは有りませんでした……」
 
 そんな事を言いながら、支給された物を見せてくる。
 
 絵本に、単三乾電池、使用済み制汗スプレー。
 
 ……こんな物でどう殺し合えと?
 
 ともあれ、いつまでも落ち込んでいるわけにもいかずに二人して顔を突き合わせて今後について話し合う。
 
 「えと……やっぱ二人とも探したい人がいるわけだし、捜し回った方がいいよね?」
 
 「そう、ですね。危険かもしれないですけど、こうしてる間に千尋もその広野さんも危険な目に遭ってるかもしれないし」
 
 「なら、最初はこの、中心部に有る警察と学校を目指したほうがいいと思うんだ!
 ほら……やっぱり二人とも学生なんだし、学校か警察に逃げ込むと思わない?」
 
 「うーん……確かに、僕も逃げるとしたらここかも……」
 
 「でしょ? だったら善は急げだよ! 早く行こうっ」
169 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:41:24 ID:dhQ+s1sr
 
 「わわっ……ちょっ、待っ――」
 
 立ち上がるみやこに遅れまいと蓮治も立ち上がる。
 
 「――ッ、逃げてっ!!」
 
 だがしかし、二人の行動は突然の乱入者によって阻害される事になる。
 
 「聞こえないの!? 早く逃げて……っ」
 
 幼い体躯をした少女は、必死な形相で此方に向けて叫び続けている。
 どうやら、前後左右にあった扉の一つから入ってきたらしい。
 ふと見れば、日本人では無いように見える。
 欧州の可憐な少女、に見える少女の体を良く見ると至る所が焦げていた。
 
 「どうしたんですか!?」
 
 呆気にとられている私よりも早く蓮治クンが少女に駆けつける。
 一瞬遅れてみやこも続くのだが、少女は苛立ったように口を開く。
 
 「あァ……もう、死にたいのあなた達――」
 
 「フン、愚民どもが何を騒いでいる? 神であるこの僕に殺されるんだ――光栄に思え」
 
 しかし、少女の言葉が最後まで紡がれる事は無かった。
 古めかしい学ランと帽子を被ったやけに偉そうな男が入ってくると同時、体を炎に変化させた男が少女の体を焼き払った。
170 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:42:45 ID:dhQ+s1sr
 
 一瞬で、室内に肉が焼け焦げる臭いが充満する。
 目の前の光景が信じられず、二人とも動くことが出来ない。
 
 人が、丸焼きになった。
 
 それは、様々な事情を抱えているとは言え、普通の生活を送ってきた二人には衝撃が強過ぎた。
 眼前の光景を理会する事すら出来ない。
 只単に、“死”を意識する。
 どうしようも無く、逃れ得ない“死”の存在を。
 
 (あぁ……私、死んじゃうんだ……)
 
 怯えでも恐怖でもなく、そういうものなんだとぼんやり理解する。
 
 「うげ……うげぇぇぇぇぇぇぇ」
 
 のだが、横から聞こえてきたその音でふと我に返る。
 意識は覚醒、恐怖に震える両足を叱咤激励して隣の相手へ向き直る。
 腐臭にやられて嘔吐しているらしい蓮治の手を強引に引くと部屋から脱出しようとする。
 
 「逃げるよ……早くっ!」
 
 だがしかし、現実はそんなに甘くは無い。
 
 「逃げられる訳が無いだろう……ブレイズオブグローリィィィィィ!!!」
 
 炎と同化した男の放つ業火が二人に襲い掛かる。
 半径250m・瞬間最大火力5100℃の炎の奔流。
 制限が掛けられているとはいえ只の一般人にこれを防ぐ術は無い。
171 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:43:35 ID:dhQ+s1sr
 炎の速度からは逃げられず、その膨大な熱量に全身を焦がされながら死んでいくのみ。
 
 男は当然それを理解しているし、みやこもソレを理解した。理解させられた。
 理解した瞬間、走馬灯が脳裏を駆け巡る。
 
 「あは……走馬灯って、ホントにあるんだ」
 
 人が死ぬときはこんなものかと、妙に達観した意識のままみやこは目を瞑り炎を受け入れる。
 筈だったのだが。
 
 「宮村さん――逃げて下さい」
 
 自分が手を引いていた筈の相手から突き飛ばされ、開きっ放しの扉から外へ放り出される。
 
 「痛っ……蓮治クン!!?」
 
 何が起こったのか理解できない。
 でも、たった一つだけ聞こえた言葉に従いみやこは走り出す。
 
 ――逃げて下さい
 
 逃げるように、逃げるように、その手に六角形の金属を抱いて。
172 ◆7QxT9xA8HANx :2010/09/07(火) 16:44:16 ID:dhQ+s1sr
 
 ▼
 
 「……まだ、生きているか。存外、しぶといんだな……褒めてやろう」
 
 腐臭立ち込める室内で、炎と同化した男が全身黒焦げの男に声を掛ける。
 
 予想外、だった。
 
 逃げる獲物追って部屋に入ると、そこには更に二人の獲物が。
 意気揚々と殺しに掛かったはいいものの、咄嗟の判断と幸運――いや、悪運に邪魔をされ一人を逃がしてしまった。
 
 とは言え、最初の獲物ともう一人は仕留めたも同然であり、今すぐ追いかければ焼き殺すのは容易いだろう。
 ただ、それをする気にはなれなかった。
 自分自身にも良くわからない感情が、男をその場に残らせている。
 
 「まだ息があるのなら答えろ。……貴様、どうしてあの女を逃がした?
 お前が逃がしたように、あの女を盾にして部屋から飛び出せば助かった筈だろう?」
 
 そう。一人が逃げ出せるのなら、同じ方法で助かる事も出来た筈だ。
 なのにこの男はそれをしなかった。
 不思議そうに、どうでもよさそうに、興味深そうに、歯牙にもかけないように、問いかける。
 
 待てども、待てども。
 黒焦げの男からはヒューヒューと浅い息が漏れるばかりで応えられる様子も無い。
 
 当然か、と心中で言葉を漏らす。
 あれだけの炎をその見に受け止めて生きているのがおかしいのだ。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:53:21 ID:aOYxjXWU
 その上質問に答えろなど、無茶振りにも程がある。
 
 「つまらん……」
 
 一人呟いて男は黒焦げの物体に背を向ける。
 だがしかし。
 
 「た……け、の……に……――な、て……いらない……」
 
 最後の力を振り絞ったのであろう言葉が突き刺さる。
 
 「―――――――――――――」
 
 何も言わずに、振り返る。
 そのまま距離を詰めると、黒焦げになってしまった物を抱き締める。
 形は違えど、思いは違えどその心は美しかった。
 その心に敬意を表して力いっぱい抱き締める。
 
 「認めてやろう。貴様は、音無さんには及ばないが――美しい男だったよ」
 
 どれほどそうしていただろうか。
 男は炎を放ち、全てを灰に返す。
 
 「僕の意思の全ては、音無さんの為に。貴方の障害になる物は全て僕が焼き払います。
 貴方の意思を阻む物は全て僕が焼き払います。貴方を狙う物は全て僕が焼き払います。
 貴方に救われたこの魂この心、全身全霊をもって貴方の為に使わさせて貰います。
 だから待っていて下さい音無さん――僕が貴方を、救ってみせます」
 
 その身に刻む思いを吐き出し、男――直井文人は歩き出す。
 
【麻生蓮治@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【ヴィクトリア・パワード@武装錬金 死亡】

【一日目 B-1 遺跡 深夜】

【直井文人@Angel Beats!】
[状態]:疲労(小)
[装備]:核鉄「ブレイズオブグローリー・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:音無さんの障害になるものを排除する。
1:音無さんを探しながら出遭った人物を皆殺し。
2:最後の二人になったら自殺して音無さんを優勝させる。
※:麻生蓮治、宮村みやこ、ヴィクトリア・パワードの荷物は燃え尽きました。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:54:07 ID:aOYxjXWU


 ▼
 
 こうして、宮村みやこは一人逃げ出した。
 
「うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 
 滲む視界から抑えようも無く零れ落ちる雫を手の甲で拭いながら。
 罪悪感に襲われ、それでも必死に走り続ける。
 恐ろしき殺人者から逃れる為に、蓮治クンの想いを無駄にしない為に。
 
 そうして、全力で走り続ける事数分、外の光が漏れ出す場所が見えてきた。
 
 (……出口だ!)
 
 これでもっと広い場所に逃げられる。
 プラス思考で自分に言い聞かせながら月光であろう光に向かい走っていると、微かに人影が見える。
 もしかしたここに入って来ようとしているのかもしれない。
 恐ろしき殺人者が追ってきているかもしれないこの場所に。
 それは、駄目だ。絶対に駄目だ。
 これ以上犠牲者を増やしちゃいけない。
 そう心中で叫びながら人影の傍に駆け寄り、早口で危険を伝えようとする。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:54:16 ID:Cj8AAwy/
その上質問に答えろなど、無茶振りにも程がある。
 
 「つまらん……」
 
 一人呟いて男は黒焦げの物体に背を向ける。
 だがしかし。
 
 「た……け、の……に……――な、て……いらない……」
 
 最後の力を振り絞ったのであろう言葉が突き刺さる。
 
 「―――――――――――――」
 
 何も言わずに、振り返る。
 そのまま距離を詰めると、黒焦げになってしまった物を抱き締める。
 形は違えど、思いは違えどその心は美しかった。
 その心に敬意を表して力いっぱい抱き締める。
 
 「認めてやろう。貴様は、音無さんには及ばないが――美しい男だったよ」
 
 どれほどそうしていただろうか。
 男は炎を放ち、全てを灰に返す。
 
 「僕の意思の全ては、音無さんの為に。貴方の障害になる物は全て僕が焼き払います。
 貴方の意思を阻む物は全て僕が焼き払います。貴方を狙う物は全て僕が焼き払います。
 貴方に救われたこの魂この心、全身全霊をもって貴方の為に使わさせて貰います。
 だから待っていて下さい音無さん――僕が貴方を、救ってみせます」
 
 その身に刻む思いを吐き出し、男――直井文人は歩き出す。
 
【麻生蓮治@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【ヴィクトリア・パワード@武装錬金 死亡】

【一日目 B-1 遺跡 深夜】

【直井文人@Angel Beats!】
[状態]:疲労(小)
[装備]:核鉄「ブレイズオブグローリー・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:音無さんの障害になるものを排除する。
1:音無さんを探しながら出遭った人物を皆殺し。
2:最後の二人になったら自殺して音無さんを優勝させる。
※:麻生蓮治、宮村みやこ、ヴィクトリア・パワードの荷物は燃え尽きました。
176名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:54:50 ID:aOYxjXWU
 
「来ちゃ駄目です! この先には殺し合いにのった変な男がいて、男が急に火になって
女の子も焼かれて……蓮治クンまで私を庇って焼かれちゃって、とにかく危険なんです!」

必死の形相で、それだけを伝えると返事を待つのも惜しいとばかりに手を引いて出口に向かおうとする。
ふと横を見てみると、袴らしき物を着た優しそうな男の人だ。
一瞬見惚れてしまったのも束の間、すぐさま駆け出そうとするのだが。

「それ……貰うよ」

不意に男の人が呟いたかと思うと、掴んだ手とは逆の手から核鉄を奪い取られた。
意図が理解できない。

「てっきり君も武装錬金の使い手かと思ったけど、この状況で使わないって事は違うみたいだね。
……これは、こうやって使うんだよ。――武装錬金」
 
私から奪い取った核鉄が日本刀に変わった。
 
宮村みやこが見た最後の光景は、それだけだった。

 
【宮村みやこ@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
177名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:55:01 ID:Cj8AAwy/

 
 こうして、宮村みやこは一人逃げ出した。
 
「うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
 
 滲む視界から抑えようも無く零れ落ちる雫を手の甲で拭いながら。
 罪悪感に襲われ、それでも必死に走り続ける。
 恐ろしき殺人者から逃れる為に、蓮治クンの想いを無駄にしない為に。
 
 そうして、全力で走り続ける事数分、外の光が漏れ出す場所が見えてきた。
 
 (……出口だ!)
 
 これでもっと広い場所に逃げられる。
 プラス思考で自分に言い聞かせながら月光であろう光に向かい走っていると、微かに人影が見える。
 もしかしたここに入って来ようとしているのかもしれない。
 恐ろしき殺人者が追ってきているかもしれないこの場所に。
 それは、駄目だ。絶対に駄目だ。
 これ以上犠牲者を増やしちゃいけない。
 そう心中で叫びながら人影の傍に駆け寄り、早口で危険を伝えようとする。
178名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 16:55:35 ID:aOYxjXWU
 ▼
 
 「さて、と……心配していた武器も手に入った事だし、動こうかな」
 
 男――早坂秋水は、偶然得られた武装錬金――ソードサムライXを振りながら遺跡内部に足を進める。
 どうやらこの先には殺し合いに乗った男がいるらしい。
 その男が姉さんの障害になる前に――殺す。
 
 決意を新たに歩を進める秋水。
 だが彼は気付いていなかった。
 この遺跡には出口が二つ有るという事を。
 
【一日目 B-1 遺跡 深夜】

【早坂秋水@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:姉さん以外を排除する。
1:姉さんを探しながら出遭った人物を皆殺し。
2:最後の二人になったら自殺して姉さんを優勝させる。

83 名前: ◆dEjq8b.G0U[sage] 投稿日:2010/09/07(火) 16:52:42 ID:vjwDs5xA0 [6/6]
以上で投下終了します
タイトルは 「誰が為にその命」 でお願いします
 
本スレとでは鳥が違いますがどちらも自分です
どなたか代理投下していただけると助かります
179名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:00:06 ID:Cj8AAwy/
被ったorz
更新しておくべきでした。
読みにくくしてしまってごめんなさい。

投下乙です。
しかしやっぱ直井と早坂弟はこう動くのか。
よく似た二人だ。
しかも両方とも奉仕対象が既に死んでるってのがまた悲惨。
放送後どうなることやら。
180名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:19:08 ID:x02AASxh
投下乙です。
ブレイズオブグローリーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
火渡居るから出るとは思っていたけど、期待通りの超火力。
マーダーの装備として実に良いと思います。
これから奉仕マーダー二人はどうなることやら。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:26:50 ID:9td5bLJ8
投下乙
だがいいかげんにしろよ
特定作品のキャラを殺しすぎだろ
しかもまたひねりのない大量殺害
パロロワは死体を作ればそれでいいって企画じゃねーから
182名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:34:43 ID:Nd/dzv12
ロワがどうなろうと適当に書いた作者には関係ありませーん
って思考の奴が殆どだからな
183 ◆dEjq8b.G0U :2010/09/07(火) 17:38:18 ID:dhQ+s1sr
どこか問題があったでしょうか?
具体的に教えていただきたいです
184名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:40:32 ID:Nd/dzv12
1のオススメのefのキャラが死んだのは勿論偶然ですよね?
185名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:43:23 ID:7QF0aMx+
>>1のお気にのef勢を殺すのは明確なルール違反
186 ◆dEjq8b.G0U :2010/09/07(火) 17:44:13 ID:dhQ+s1sr
>>184
勿論です
第一>>1氏がefをおススメしていた事も知りませんでしたし
187名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:45:18 ID:KSHsA6Xp

投下乙です
物騒な奉仕マーダーがまた誕生したかw
奉仕先は死んでいるが放送後はどうなることやら

グレイスオブグローリー、そのままだと無限ナパーム弾になるので
何かしらの具体的な制限を明示するか、疲労をもっと大きくしたほうが良いですね
あと、半径250mも明示しないほうが良いかと。温度は熱量でどうにでもなるか
188 ◆dEjq8b.G0U :2010/09/07(火) 17:47:50 ID:dhQ+s1sr
>>187
了解です
もう少し制限を考え、件の一文を削除しておきます
189名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:48:07 ID:Nd/dzv12
へえ
オススメしてたことすら知らなかったとwwww
7人いたのにもう3人とは偶然が続きますね!www
190 ◆dEjq8b.G0U :2010/09/07(火) 17:57:43 ID:dhQ+s1sr
>>189
そうですね……酷い偶然ですが
これもロワの醍醐味でしょう
191名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 17:59:34 ID:9td5bLJ8
なんという面の皮の厚さ・・・覚えておけよ
かならず復讐してやる、貴様の酉は記憶した
192 ◆dEjq8b.G0U :2010/09/07(火) 18:04:07 ID:dhQ+s1sr
>>191
私が何か気に障ることをしたでしょうか?
しかし 復讐 されるのは怖いので鳥を変更して今後予約しますね
193名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:05:17 ID:9td5bLJ8
そうするがいい・・・
だがいくら逃げても文癖で追跡してやるぞ・・・ククク・・・
194名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:07:04 ID:7QF0aMx+
>>193
そこまでキャラ立てするなら自分の状態表を書くべき
195名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:07:56 ID:h8loSYMt
                U
             \、__ト.、
         ,、r===>:.`ヽ`ヽト、
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ):.:.:i:.レー-
  __,.、<:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノヽ:.:.:ノ:.:.:⌒ヽ、
    >〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:ヘVイ:.:ヘ:.:`ヽ:.:.\
   /イ:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|ヾイ.:.:.:.:.:ヾ:.ヽ:\ゝ
 / 〃:.〃:.:.:.: /:.:./:.:/:.i!:.:|:.!  ∨:.:.:.:}:.:.:.:.:ヘj
    /:.:./.:.:/:./:.:イj:.リ:.八:.リ   j:i:.:.:.:.:ト:.ヾヽ    ID:9td5bLJ8、俺はここで支援をする事ことしかできない
    !/:.:イ:./≧x、lハj _,,リ≦二イ:j.:.:i:.:ハヽ\_   きみは投下を見てもし大量殺害SSに嫌気がさしても荒らしになっちゃダメだぞ
   ノレ´ム:イィ弋Tヽ  ヽ く でリヾノイ:.:.:リ }}ソヾ   以前同じことをして書き手に迷惑をかけた大馬鹿野郎からのアドバイスだ
.     |:.∧ハ、  ̄   |       ̄´ /イ:.:./ソ:/    悔いのないようにな
     レ' リ 八   ノ          ぐ_,イL__,.  -―- 、
         ` i  ヽ -        r- '1ヽr-―  '二 _ ヾ
           ヽ  ー‐―一'´   /  / ハ、  -、 -、  \
          / ヘ         / / /  \\ ヽ ヽヽ ゝ
        イ  / i、  _,.イ / /     /`丶ヾ\  \ヽ
   ,.-'´  |  {  ヾ二 -‐ '¨´ /       /    `'ー- 、  ヾ
 /      |  ヽ        /        /         \ ゝ
         |   |      l       /            `'ー-、
196黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:11:51 ID:AX7ObTJf
投下します

男が最初に知覚したのは、寄せては返す波の音だった。
あの突然の惨劇が行われた舞台から打って変わり、いつの間にかマルコーは闇の中にいた。
単にライトが消えたというわけではあるまい。
周囲にあったざわめく人の気配が消えていたし、踏みしめた足下の感触は、砂場のそれだった。
振り向けば、20メートルほど先には堤防が設けられており、その向こうに立ち並ぶ街灯が砂浜に僅かな光を投げかけている。
ならば、この見渡す限りの闇は、どこぞの海洋であろうか。

マルコーは、眼鏡の位置を直すと、辺り一帯を睨みつけるように眺めた。
まるで夢遊病患者にでもなったような気分だった。

――妙な悪夢を見ながら、いつの間にか海岸まで歩いてきた。
職務上、そんな事になれば免職は免れないだろうが幸いにも、いや、不幸にも……だろうか。
マルコーには、先ほどの『悪夢』が現実である事を確認する為の道具が与えられていた。
あの犠牲者たちの首元にもあった冷たいリングと、自覚もないままに持っていた一つの鞄。
闇の中、悪戦苦闘しながら鞄の中にあったマグライトを見つけたマルコーは、ルールブックを読んで嘆息する。

「……ちっ、なんてこった」

八十人が、残り一人になるまで殺し合う。
イカれたサイコパスが妄想するような、性質の悪いジョークだった。
だが残念な事に、このサイコパスは社会福祉公社から三組もの兄弟(フラテッロ)を拉致する程度には力があるようだし、
一つの島を非合法に運営するだけの組織力と金もあるようだ。
先ほど見た、非現実的な殺しの手段は判らなかったが、気付かない内に麻薬の類でも使われてしまったのかもしれない。
とりあえず、現状の把握と他の担当官……ジョゼやヒルシャーとの合流を優先し、通信手段を確保して公社に連絡を――

「動くな!」

思考の最中、砂を踏む足音を聞き付けたマルコーは、鞄からジェリコ941を引き抜き、音の方角にマグライトと共に構えて向けた。
慣れた手付きでスライドを滑らせたマルコーの銃口の先にいたのは、小学生ほどの黒髪の少女だった。
社会福祉公社におけるマルコーの兄弟(フラテッロ)、アンジェリカ。
……兄妹どころか、親子ほども年は離れているのだが、これは二人の関係を示す一種の皮肉じみた暗号名である。

「マルコーさん!」
「アンジェリカか……」

銃口を下ろした中年男の元に、少女が砂を蹴り飛ばしながら駆け寄ってくる。
その小さな肩に、ベルトで吊った重たげな銃器をぶら下げて。

「その銃はどうした?」
「はい、鞄の中に入っていました」
「……そうか。渡される武器には、格差があるようだな」

自分に支給された自動拳銃と、アンジェリカの持っているFN P90では、その火力は段違いである。
どうやらこの殺し合いの主催者には、公平さなどと言った美徳は望めないようだ。

まぁ武器というのであれば。
この小さな少女こそが、マルコーにとって最強の『武器』であるのだが。

マルコーが勤務する、社会福祉公社と呼ばれるイタリアの公益法人。
表向きは、障害者への様々な支援を行う組織として知られていたが、その裏の顔は障害を持った少女たちに改造と洗脳を施し、
反政府組織に対する暗殺をはじめとした超法規活動を行わせる対テロ組織だった。
アンジェリカは、その中で最初に改造された少女。公社最古の『義体』である。

義体には、成人女性の骨を握っただけで折るほどの力や、多少の銃弾を受けても死なないほどの強靭な耐久力が備わっている。
また、その炭素フレームや炭素繊維、人工筋肉で構成された肉体は、傷付いたとしても取り換える事が可能であり、
大量の投薬によって条件付けという洗脳を施されているので、担当官の為ならば自己犠牲も、殺人にも忌避を覚えない。
197黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:12:33 ID:AX7ObTJf
公社と、兄弟(フラテッロ)と呼ばれる専属の担当官に絶対の忠誠を誓う、まさに戦うための人形。
故にこのような勝利条件が設定されたゲームの中では、唯一無条件に信頼出来る味方のはずなのだが、少女を見るマルコーの眼は冷たい。

「あ、あの……私は、どうすれば……」

その態度に気付いているのか、アンジェリカは上目づかいでマルコーに指示を求める。

「ルールブックは、もう見たか?」
「いえ……とりあえず、マルコーさんを探そうと思って」
「……とりあえず、この辺を探索して見るぞ。俺の指示に従え」
「はい! マルコーさん!!」

アンジェリカと目も合わせず、歩きはじめたマルコーに従い、少女は嬉しそうにその後をついて行った。





マグライトを使わずに歩く。
最初は現状確認の為明かりが必要だったから已む無く使ったが、闇の中でライトなど点けていたら狙撃のいい的である。
慣れてしまえば、月や街灯の僅かな明かりでも薄ぼんやりとは見えるものだ。
マルコーはかつての負傷から視力を落としてしまったが、義体であるアンジェリカの眼があれば不意を討たれる事もないだろう。

「その銃の扱い方は知っているのか?」
「はい、マルコーさん」
「俺の指示があるまでは、絶対に撃つなよ?」
「はい、マルコーさん」

少女は、マルコーの発する事務的な会話に対し、簡潔に、だが嬉しそうに返事をする。
もし、彼女に尻尾が付いていたら犬のようにぶんぶん振っているだろう。
それは決して、マルコーがアンジェリカにとって信頼に値する大人だからという訳ではない。
公社の、そして担当官の役に立つという事は至上の喜びであると、薬によって条件付けされている為だ。
だからアンジェリカは、公社のどんな命令にも従うように洗脳されてしまっている。
昔、マルコーが教えた様々な事も、全部忘れて……

不快感を振り払うように、マルコーは砂浜を速足で進む。
探しているのは、この手の孤島には付き物のモーターボートである。
この島が完全に主催者たちの管理下にあるというのであれば、そういう物は撤去されているかもしれないが
そうだと決めつけて行動するのも早計だ。

ルールブックには、逃亡した場合の罰則については書かれていなかったが、当然その場合は禁止エリアに入った場合と
同様の処置がなされると予想される。
すなわち、参加者の首に嵌められたリングの爆破である。
その処置に、主催者たちが万全の自信を持っているのなら、あえて船を残している可能性はある。
それに移動用の足としても安全な水上を行けるボートは優れている。そして無線が積まれている可能性もある。
なければないでしょうがないが、せっかくだから海岸線を見て回ろうというのがマルコーの考えであった。

「しかし、岩礁が多いな……この辺の浜からでは、船を出すのは難しいか?」

ザクザクと砂を踏みしめて歩く大柄な男の裾を、小走りになって追走していたアンジェリカが引っ張る。

「マルコーさん、あれ……」

振り向いたマルコーに、アンジェリカは前方を指さしてみせた。
釣られるように、その細い指の示す方角を見たマルコーは思わず息を呑む。
198黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:13:14 ID:AX7ObTJf
大きな月を背景に、海の中から突き出た大岩の上に亜麻色の髪の乙女が座っていた。
強い潮風に、その長い髪を嬲られながら、少女はじっと海のほうを眺めている。
真夜中の孤島の砂浜というシチュエーションに、この上なく似合う神秘的な姿が、まるでマーメイドのように見えたのは
果たしてマルコーの幻想であったか。
スカートから両ひざ揃えですらりと伸びた白い足は、確かに人間の少女のそれだというのに。
一瞬の自失の後、マルコーは少女に近付いて声をかけた。

「君! ……君も、この島に連れて来られた人間の一人……なのかな?
 こっちは……まぁ、警察のような者だ。危害を加えるつもりはない。少し話を聞かせてくれないか?」

脅えさせないように、極力穏便な口調と表情を選ぶ。
もちろん油断をしているわけではない。少女の首に光る銀の首輪は確認済み。
攻撃があれば、即座に反撃出来る姿勢を取っての事である。

「え、ええ!? お、お巡りさんですかぁー?
 堪忍してつかーさいー。許してつかーさいー」

が、少女は意に反し、ガクガクと怯え始める。
攻撃を仕掛けてくるような様子はなかったが、何かやましい事でもあるのだろうか。
しばしの尋問の後、判った事はこういう事だった。

彼女の名は瀬戸燦。
ジャパニーズ・マフィア――ヤクザの跡取り娘であり、警察を天敵としているという事だった。
だが、こんな殺し合いに乗るつもりはないし、助けたい人達もいるという。
けれど、気が付いたらこの大岩の上に移動しており、降りられなくなってしまったらしい。

大岩は、海の浅瀬に位置しており、水面から数えて5〜6メートルほどの高さがあった。
浅瀬には岩礁も多く存在しているので、迂闊に飛び込めば怪我をしてしまうだろう。
とはいえ、思いっきりジャンプすれば砂浜に着地出来る距離であったし、飛び降りられないほどの高さではない。

「ホントー? ここからじゃ、よー見えんのじゃけど、ホントにそこまで飛べば、海に落ちないー?」

少女は独特のイントネーションで、マルコーに確認を取る。

「ああ、なんなら受けとめてやるぞ。はは……いや待て、そこで伏せていろ!」

少女を尋問している間、周囲の警戒に当たらせていたアンジェリカの鋭い警告の声を聞き、マルコーは燦への指示を変える。
P90を構えながら、自分の傍へと戻ってきたアンジェリカを前に立たせ、点灯させたマグライトを前方に放る。
空中を回転しながら煌々と輝くマグライトの光が、こちらへ向かって歩いてきた人物の容姿を照らし出す。

その少女は――あの車椅子の少女と似たような特徴を持っていた。
同じ髪の色、角のような突起を持つ一人の少女。
確か、ルーシーと呼ばれていたか。
背筋を貫くような強い悪寒と共に、マルコーはあの悪夢の如き惨劇を思い出す。

彼女たちは、別に何もしていない。
ただ『いらない』、『邪魔だ』と言っただけだ。
それだけで――まるでそれが天の裁きであるかのように、人の首が飛んだ。

いや、思い出せ。それだけではなかったはずだ。
ゴランと呼ばれた男は、『死んで』と言われたにも関わらず、その超絶的なスピードで『死の裁き』を一旦は避けてみせたのだ。
結局、少女に肉薄したゴランは『持ち上げられて』腕を切断されてしまったが、その戦いはマルコーに一つの仮説をもたらした。

それは少女たちの『見えない何か』には射程距離があり、その正体はサイコキネシスのような超常的な力なのではないかと言う事だ。
自分たちが、麻薬かなにかでラリっていたのでないのなら、という前提での話だが。

故に。

「止まれ!! 動けば、撃つ」
199名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:14:31 ID:h8loSYMt
 
200黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:14:33 ID:AX7ObTJf
マルコーは、銃口を少女の足下に向けて一発撃ち、警告を発する。
彼女を危険人物だと断定するには、証拠が足りなさすぎた。
荒事に長年付き添ってきた自分の勘は、最大限の危険信号を発していたが、それを裏付けるのは自分の妄想じみた仮説だけだ。
だからこのまま距離を保ち、出来れば追い払いたかったのだが……

少女は、マルコーの威嚇射撃を意にも介さず、その歩みを止めない。
彼我の距離は、既に10メートル足らず。
これ以上距離を詰めさせてはいけない。
そう思ったマルコーは、アンジェリカに指示を出し――

「撃『止めェー』」

その指示は、大きな声によって妨げられた。
宙を舞うのは、その場に居合わせたもう一人の少女。瀬戸燦。
彼女は、この土壇場で先ほどまで降りられずにいた岩の上から大きく跳躍し、マルコーとルーシー、二人の間に立つ。

「何をしている! 逃げろ、その女は」
「判ってる!! でも、目の前で起きようとしている殺し合いを止めないなんて、そらぁ、瀬戸内人魚の名折れじゃきんっ!
 ――アンタもっ!」

燦は両手を広げ、キッとした目でルーシーを睨みつける。

「仁侠と書いて『にん――」

何を言おうとしていたのか。
その力の籠った台詞の続きを聞く事は出来なかった。
なぜなら。
瀬戸燦の、細い腰が、内側から爆発したかのように、弾け飛んだから。
闇の中、妙に白く艶めかしい、大きな骨が吹き飛ぶのが見えた。
バシャーンと、海に大質量の何かが落ちる音と共に、今度こそマルコーは叫ぶ。

「撃てっ! アンジェリカ、撃てェェェッ!!」
「ハイ!」

マルコーの発砲するジェリコの音と共に、アンジェリカが腰だめに構えたP90が、規則正しい発砲音を響かせる。
フルオート射撃ならば、僅か1.5秒で50発もの5.7mm弾全てを撃ち尽くす獰猛な攻撃力を、アンジェリカは一瞬の指切りで
バースト射撃として扱う。
射線の全てを紅の少女に集中させ、しかしその全てが少女から逸れていく。
まるで見えない何かに守られているように。

「なん……だと……?」

さすがにそれは、想定外の事だった。
マルコーの脳裏を、一瞬空白が埋める。

そんな事はお構いなしに、少女がゆっくりと近付いて来る。
それに合わせ、二人は後退しながら弾幕を張る。
弾が切れた。
リロード。
慣れ親しんだ動作のはずが、手が震えた。

「化け物め……!」

自身を鼓舞する意味合いも含め、小さく罵る。
反応は苛烈だった。
マルコー目掛けて飛んでくる、球状の何か。
それは、瀬戸燦の首だった。
アンジェリカが、身体を張ってそれを防ぐ。
重たい義体が、吹き飛ぶほどの威力だった。
201黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:15:21 ID:AX7ObTJf
瀬戸燦の頭部は粉々に砕け、脳漿が飛び散る。
その長い髪の毛が、べっとりとアンジェリカに張り付いていた。

「アンジェリカッ!!」

ルーシーから逃げるように、マルコーは吹き飛んだアンジェリカを追いかける。
アンジェリカは、倒れ込み、咳をしながらもP90のマガジンを取り換えていた。
座り込んだまま、フルオートでP90をぶちかますアンジェリカを、マルコーは後ろから支える。
だが、ルーシーは小揺るぎもせず、その歩みを止めない。
放たれた銃弾は、全て『何か』にその進路をずらされたように、ルーシーの背後へと飛んでいく。
アンジェリカの身体を抱き、P90の反動を受け止めるマルコーの心臓を、銃の反動以外の何かが乱打する。
それは、自身の心臓の鼓動だった。
これまでの常識を全て覆すような、非常識な光景を前にしてマルコーは思わず呆然としてしまう。

遂に目の前にルーシーが立つ。
P90を持ったままのアンジェリカの細腕が、一瞬抵抗するように軋むような音を立てた後、ぶちりと切れた。

「アアアアアアアッ!!」

義体と言えども、痛みは感じる。
公社に連れ帰り、『修理』すれば失った四肢も元通りになるが、大量に使われるであろう薬に今の彼女が耐えきれるか……
マルコーのどこか冷静な部分がそんな計算を頭の片隅で行うが、現状はそれどころではない。
最大の火力であるP90を失い、もはや為す術もない。
マルコーは、観念したように目を閉じる。だが――

「う、ワアアアアアアアッッ!!」

腕と武器を失ったアンジェリカが、立ちあがるとルーシーに吶喊する。
その身体は、途中で止まってしまったけれど。

「マルコーさん、逃げて……逃げてくださいっ!!」
「ア、アンジェリカ……」

喘ぐように、マルコーはアンジェリカの名を呼んだ。
その身体で、化け物の足止めをしようというのか。アンジェリカがマルコーに撤退を促す。
呆然としたままのマルコーの頭に、その『命令』がゆっくりと染み渡り……

「逃げてぇーーーーっ!!」
「う、うわああああああああーーー!!」

マルコーは、その場から逃走した。
背後で、何かが潰れるような音がしても、振り返る事もなく。





息を切らせて、堤防を駆けあがる。
島を環状に繋いでいるであろう道路の先に、キャンプ場という看板が見えた。
何も考えずに、マルコーは走る。
思い出すのは、アンジェリカの事ばかりであった。

親が起こした自作自演の事故によって、傷付いたアンジェリーナの姿。
作戦二課の『天使(アンジェロ)』だったアンジェリカ。
楽しそうに続きをせがまれた、パスタ王子の物語。
暇だった、その頃の二課のメンバーで作りあげたその物語は、大団円で終わった。

その全てを、彼女は忘れてしまったけれど。
そんな事は、アンジェリカの責任ではなかった。
全ては義体の開発を推し進めようとする公社と、全てに投げやりになってしまった自分のエゴのツケを、彼女に回しただけだ。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:15:43 ID:h8loSYMt
 
203黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:16:23 ID:AX7ObTJf
そのうっ憤をアンジェリカに冷たくする事で晴らそうとしていた自分を――アンジェリカは最後に赦してくれたのだろうか。
否。そんな都合のいい話はない。
ただの主人を守るという、条件付けの反応だったのだ。

マルコーの頬を、涙が流れる。
利き腕が痛む。
アンジェリカが庇ってくれたというのに、その手首から先は喪われていた。

彼女に関わる事に、臆病だった自分。
だから、この終わりは覚悟していたはずだった。
臆病者の末路が、ハッピーエンドで終わるはずがないのだから。

どのようにして先回りしたのか。
いつのまにか目前に立っていた、紅い髪の痩身。
その死の権化のような少女は、アンジェリカの持っていた武器を携えていた。

「……あの娘は、普通の人間ではなかったな。オマエたちが、弄ったのか?」
「あ、あ、あ……」

マルコーは泣き笑いのような表情を浮かべる。
その顔を見て、ルーシーは関心を失ったように顔を逸らした。

「まぁ、私には関係のない話だが」

軽快に鳴り響く銃撃音。
どさりと、重たげな音がアスファルトの路面に響いた。
それが一組のフラテッロの終焉。
アンハッピーエンドに終わった物語の結末だった。


【瀬戸燦@瀬戸の花嫁 死亡】
【アンジェリカ@GUNSLINGER GIRL 死亡】
【マルコー・トーニ@GUNSLINGER GIRL 死亡】

【残り67人】


【一日目 D-2 道路 深夜】

【ルーシー@エルフェンリート】
[状態]:健康
[装備]:FN P90(45/50)@現実
[道具]:基本支給品×3、FN P90の予備弾倉×1@現実、ジェリコ941(16/16)@現実、ジェリコ941の予備弾倉×2
    未確認支給品0〜7
[思考]
基本:人間を皆殺しにする
1:人間を皆殺しにする
2:だが、コウタは……

※D-1の大岩の上に、瀬戸燦の鞄が放置されています。





「おーい。ルッキーニちゃーん!」

一方、所変わって大声をあげている、この少年の名は満潮永澄。
磯野第八中学校の二年生にして、瀬戸燦の婚約者である。
204黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:17:11 ID:AX7ObTJf
彼は、この島に転送されてすぐ出会ったフランチェスカ・ルッキーニという少女を探していた。
先ほどまで商店街を二人で探索していたのだが、雑貨店で箒を手に入れた(盗んだとも言う)ルッキーニは、それに乗って
どこかへと行ってしまったのだ。

「イヒ、ちょっと試し乗りィー」

とか言っていたので、しばらくすれば戻ってくるかもしれないが、こんな場所で別行動を取るのは死亡フラグのようなものである。
永澄は、少女が飛んで行った北を目指して歩いていた。

「まったく……早く燦ちゃんや留奈ちゃんを探しに行きたいのに……」

ちなみに、ルッキーニはロマーニャ公国という所の魔女(ウィッチ)らしい。
そんな胡散臭い話を聞かされた永澄は、流石に驚きはした物の、すぐに受け入れた。
なにせ永澄は、日常的に人魚やら魚人やら極道やらが揉め事を巻き起こすハチャメチャな日々を送っている。
ソフビサイズの巻貝の人魚に殺されかけたり、鮫の魚人に喰われかけたり、アフロの極道にファーストキスを奪われたりしているのだ。
今更、魔女が登場した所でどれほどの事もない。

例えその魔女が、下半身に横ストライプでローライズな“ズボン”しか身につけておらずとも、ツッコミを入れる必要など微塵もなかった。
生活スタイルは、人それぞれ。
誰にも迷惑をかけていないのだから、別に問題ないのである。
問題ないのである。大事なことなので二回言いました。

「でも、ホントどこ行っちゃったんだろうなあ……」

永澄は既に市街地を抜け、磯の香りが漂うような海岸を眼下に臨んでいる。
その海岸線には、キャンプファイアーのような大きな焚火が赤々と灯り、周囲にその存在を誇示していた。

「って、ええー! あれ、ルッキーニちゃんじゃん!!」

彼が探していた少女が、そこには居た。
黒髪のツインテールを元気に揺らし、焚火を燃やして大はしゃぎしている。

「たっきびー、たっきびー」
「うわあああ!! そんな焚火なんてしてたら、危ないよーー!!」

永澄は猛ダッシュで堤防を駆け下りて、焚火に海水をぶっかける。
焚火は大分その規模を縮小し、目立たない程度の大きさになった。

「はぁ……はぁ……、判ってんの!? ルッキーニちゃん、俺たち殺し合えって言われてるんだよ!?
 危ないじゃないか!」
「ウジュー、あたしの焚火ー」

永澄に怒られたルッキーニは、しょんぼりしている。
そんな年下の少女がしょげかえる様子を、流石に可哀想に思った永澄はルッキーニに事情を聞いてみる事にした。

「ル、ルッキーニちゃんは、どうしてこんな焚火をしていたのかなー?」
「うにゃ、コレを焼いて食べようと思って……」

涙ぐみながら、ルッキーニが示したのは、包丁で鱗を削ぎ落されて調理の下準備の整った魚の身であった。
大きい。
半身だけではあったが、その全長は恐らくマグロ並の大きさと予測された。
美しい白身の肉が、衰えた焚火の炎に照らされてテラテラと光り輝くようであった。

「うわ、これどうしたの?」
「えーっとね。拾った」
「ひ、拾ったって……」

確かにこれだけの大きさの魚を焼こうと思ったら、あれだけの規模の焚火が必要かもしれない。
だが、これが焼き上がるまで火を使うというのも……
205黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:18:00 ID:AX7ObTJf
「あー、ルッキーニちゃん? 食糧なら、さっきの店で色々手に入ったし、わざわざコレを食べなくても……」
「ヤダヤダ、これ食べるー!! あのお店じゃろくなのなかったし、あたし、こんな魚食べた事ないもん!」

こんなでかい魚は、永澄だって見た事がない。
だからこそ、警戒心も募るのだが……しっかりと旨みが凝縮されたような肉質は、確かに食欲をそそるもので永澄の喉もごくりと鳴る。

「そうだ! 火が駄目なら、芳佳に教えて貰ったオサシミで食べればいいんだよねっ!」
「さ、刺身? それもちょっと危ないような……」

砂浜に落ちていたような魚を、刺身で食べても平気なのだろうか。
苦慮する永澄を尻目に、ルッキーニは鱗を剥ぐのに使ったらしき包丁を手に、嬉々として肉を切り分け始める。
包丁を入れると、尾がビチリと跳ねた。
どうやら新鮮ではあるようだが……

「さー、食べよー。ナガスミおしょーゆ出して! 鞄に入れてたでしょ!」
「……もー。お腹壊しても知らないからね」

商店街で手に入れた紙のお皿に、醤油を注いで渡す。
ルッキーニは、手に取ったナイフとフォークで、目の前の魚肉を食べ始めた。

「いっただっきまーす! ハグ! もぐもぐ……ムキャー! なにこれ! おっいしーーー!! ぱくぱくもぐもぐ……」

どれだけ美味だというのか。
ルッキーニは狂ったように刺身を貪る。
その美味そうな様子は、得体のしれない肉に一歩引いていた永澄にも、一口食べてみたいと思わせるのに充分なものだった。

「……ねえ、ルッキーニちゃん。俺も食べてもいいかなぁ?」
「うん、いいよー。はぐもぐはぐもぐ」

ルッキーニの許可を得て、永澄は自分用の皿に醤油を入れ、ワサビを盛った。
不格好に切り分けられた肉片を箸でつまみ、目前に持ってくる。
毒とかないだろうなと、一瞬思ったが結局刺身への興味が勝る。

「パク……うおっ!」

口に入れた瞬間、永澄の口中で歓喜が踊る。
人懐っこく舌に絡み付いてくるような、もっちりとした肉質。
それでいて歯を立てるとプリプリシコシコとした食感を楽しめ、噛み締めるたびに新たな喜びを得る事が出来た。
口中で、蕩けるような脂が自分の唾液と混ざり合い、するりと喉を通る。

「う、うっめー!!」

こんな刺身は、今まで食べた事もなかった。
身体中が、甘く溶けるような至福の味わい。
少し前までは、こんな殺し合いに巻き込まれて最悪の気分だったというのに、今は生きてて良かったと強く思う。
一口だけ、と思っていた箸がどんどん進む。
今まで感じた事もなかったほどの、強烈な多幸感が永澄の肉体の隅々まで行き渡った。

頭の中には、もうこの殺し合いという状況への警戒心も、謎肉に対する疑念の欠片もない。
今はただ、この肉の全てを味わい尽くす事に、永澄は全神経を傾けていた。


206黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:18:41 ID:AX7ObTJf
「ふにゃー、あたし、もうお腹いっぱーい。動きたくなーい……」
「うん……食ったねー。俺も今はなんだか動きたくないや……」

周囲を警戒し、知り合いを一刻も早く探さなければならないというのに、二人はどこか満ち足りたような表情でその場でだらけていた。
まだ何も為していないというのに、虚心坦懐の境地にある。
この状態を表すならば、俗に言う賢者タイムというものだろうか。
今なら、いきなり殺されたとしても笑って許せそうな二人であった。

二人を骨抜きにした、謎の魚肉はまだ残っていたので塩漬けにして、タッパーに小分けにして入れた。

やがて、食べた物を消化するに従い、心身ともに二人の活力が漲ってくる。

「うおおおおおお! 絶好調ー!! 待ってろよー! 燦ちゃーーん!」
「うみゃーーーー!!」

腕を振り上げ、気勢をあげる。
今ならなんでも出来そうな万能感を、永澄は腹の底から湧きあがってくるようなエネルギーと共に実感していた。



【一日目 F-2 海岸 黎明】

【満潮永澄@瀬戸の花嫁】
[状態]:絶好調! 満腹
[装備]:
[道具]:基本支給品、未確認支給品0〜3、商店街で手に入れた食料品、謎の魚肉の塩漬け
[思考]
基本:燦ちゃんや留奈ちゃん、巡たちを探す
1:生きてて良かった。
2:待っててくれ、燦ちゃん!


【フランチェスカ・ルッキーニ@ストライクウィッチーズ】
[状態]:絶好調! 満腹
[装備]:箒@現実
[道具]:基本支給品、未確認支給品0〜3、商店街で手に入れた調理道具、謎の魚肉の塩漬け
[思考]
基本:シャーリーや芳佳たちを探す
1:しゃーわせー。
2:うみゃーーーー!




投下終了です。
207黄昏 ◆T0uPBE7zVU :2010/09/07(火) 18:33:15 ID:AX7ObTJf
あれ、微修正したところが反映されてないな
wiki上で多少の修正を行うかもしれません
208名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:53:26 ID:hNXmXQXx
投下乙です。
流石にこれは酷い。
うっわー。まじかよ。
あー。
いや、褒め言葉なんですがね。ロワとしては全然有りだと思います。
209名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 18:56:35 ID:KSHsA6Xp
投下乙です
ひ、ひでえww
ルーシーもカッコよくてよいなあ
210名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 19:34:46 ID:2fbnxRMr
投下乙です

ル―シ―怖いがかっけええええw
原作の雰囲気よく出てるわ…
燦ちゃんは……相手が悪すぎた
そしてルッキーニと永澄はw

燃料投下になるかもしれんが虐殺ネタは好みが分かれるが
最初のSSよりはいいわ
211名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 19:38:16 ID:OV0PdAfl
負け犬破棄厨が必死すぎて笑えるw
212名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 19:47:45 ID:x02AASxh
投下乙
流石はルーシーと言わざる得ない
さて永澄さんとルッキーニのコンビは幸せそうだけど燦ちゃん死んじゃってるよ。

現在位置地図編集中ですが、a hard day's night ◆PuVQoZWfJc氏で位置が【一日目 G-5 海水浴場 深夜】
ってなってますけどG-6の間違いですかね

あと守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg氏でE-5にツヴァイの顔面の破壊された死体があります。ってのもエイラの位置をH-7に変更したんだから合わせて変更って事でいいんですかね
一応確認を、変更を既にどっかで書いていたのならごめんなさい
213名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 20:45:43 ID:0DXSozhu
>>212
編集乙です。
◆PuVQoZWfJc氏の方はしたらばで修正宣言されてましたよ。
214 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/07(火) 21:32:43 ID:p2dl5jsb
こちらこそ申し訳ない。お手数掛けますがマップG-6で海水浴場です。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 21:59:35 ID:x02AASxh
>>214
wikiの記述をG-6に変えてしまって問題ないですかね?

◆/Fnde2WILg氏もwikiの編集に不慣れだったりしたらこちらで変更しますのお申し付けください。
216 ◆2u7VFI8mcw :2010/09/07(火) 23:28:25 ID:na2SCcB6
新藤千尋、仲村ゆりで投下します

女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。

   ◆

「…………………」

雲間に月や星の光はあれど薄暗い真夜中の時分。
火曜サスペンスの舞台に打ってつけな崖の上で一人の少女は左手のマグライトの光を頼りに鞄を漁っていた。
それこそ周囲の様子が目に入らないぐらいに。
つまりその少女にとってその探し物はそれほど大事なものということだ。

実際のところ新藤千尋という少女にとって目下の探し物である手帳は「自分の命」と同じくらい大事なものと言っても過言ではなかった。

新藤千尋。
藤色の髪をショートにして左目に眼帯を付けた、どこか儚げな印象を与える少女。
ちなみに新藤景という双子の姉がいるが、性格は正反対。
千尋は大人しい性格で、文系で、少々天然なところがある、そんな少女。

だが千尋はある障害を抱えていた。

『前向性健忘症』――それこそ千尋が幼い頃に左目を失明した時の事故で負った後遺症だった。

これは記憶障害の一種であり、簡単に説明すると13時間しか記憶を保持できない症状である。
つまりよくある『物事を思い出せない』というものとは違い、『物事自体が記憶されない』というものだ。
どんな出来事も13時間以内に思い返さなければ、リセットされてなかった事にされる。
おおまかに説明するとそういうことだ。

だからこそ千尋は現在懸命に探している――千尋を千尋たらしめるメモリである手帳を。

その手帳には千尋が今の状況と自分の身の回りで起きた出来事で書き留めておくべき事を記してあり、これを読み直す事で千尋は生活できているのだ。

「……ッ、あった」

薄暗い空の下、千尋は無事に鞄の中から手帳を探り出す事に成功していた。
この地で気付いたら手元になかったのでどうなる事かと思ったが、どうやら最悪の事態は避けられたようだ。

「殺し合い……そんなの……」

いや今の状況そのものが既に最悪以外の何物でもなかった。
延べ80人が最後の一人になるまで殺し合わされるという悪夢としか言いようのない現状を最悪と言わずして何と言えよう。
今こうしている間にもこの地のどこかで誰かが誰かを殺そうとしているかもしれない。

(あ――!?)

そこで千尋は今の自分の状況を顧みて重大な事に気付いた。
薄暗い夜の中、ここだけがマグライトの光で周囲から浮き上がっている。
これではみすみす自分の居場所を相手に教えているようなものだ。
もしも近くに殺し合いに積極的な参加者がいたら――。


――ガサッ


「ひぅ!? だ、誰で――」

しかし時すでに遅し。
誘蛾灯のごとく煌々と照らされた光に群がった参加者が一人、千尋の元へ来ていたのだ。
とっさにマグライトを向けた先には鋭い目つきで拳銃を構えた少女がいた。

「…………ッ」

ここにいたら死ぬ。
千尋は無駄かもしれないと思いつつもこの場から逃げようと立ち上がり、そして走ろうとして――。


「え」


――海に落ちた。

当然と言えば当然の結果だ。
現在千尋がいるのは一歩間違えれば海に落ちてしまうかもしれない崖の上。
その事に千尋は気付いていなかった。
しかも立ち上がった際、地面に置いたままの鞄に足を引っかけてしまった。
もう体勢を立て直すのは不可能であった。

不意に現れた少女が必死に伸ばした手の意味も知らぬまま、千尋は深淵の海に吸い込まれていった。

   ◆

「嘘でしょ……」

仲村ゆり、仲間からはゆりっぺと呼ばれている少女は、目の前で起きた事故に呆然としていた。
このような狂った催しを開いた主催者に対して反抗の意志を固め、自分に支給された鞄の中身を確認。
その中にあった剣と拳銃を装備して、ルールブックを読もうとした時、視界に明かりが飛び込んできた。
何か行動を起こすのに人手があるに越した事はないと、念のため銃を構えつつ接触を試みようとした瞬間、あの事故は起きた。

「そ、そんな……」

ゆりに千尋を殺す気など全く無かった。
だが真相はどうあれ、ゆりのせいで千尋が死んだ事に変わりはない。

ゆりは今まで神に反抗するために『死んだ世界戦線』を立ち上げて戦ってきた。
そして皮肉にもその願いは今この瞬間意図せず叶っていた。
もっともそれをゆりが知る事はなく、知ったところで今のゆりは喜びはしないだろうが。

崖の上に唯一残された手帳がゆりを責めるようにバタバタと風に吹かれて、いつまでもページが捲られる音を立てていた。

【一日目 A-7 南部の崖 深夜】

【仲村ゆり@Angel Beats!】
[状態]:健康、呆然
[装備]:コルト・コンバットコマンダー(7/7)@現実、南海覇王@真・恋姫†無双
[道具]:基本支給品
[思考]
基本:この殺し合いを開いた者への反抗。
1:そんな……。

※A-7南部崖の上に千尋の手帳@ef - a tale of memories./melodies.が放置されています。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:33:08 ID:KLB+NXDQ


   ◆

暗い。
冷たい。
苦しい。

最初はそんな思考で混乱していた頭も今はひどく静かだ。
――というよりもうほとんど何も考えられなかった。

(蓮治君……)

最期の瞬間。
深い海の底で一つの命の炎が消えた瞬間。
最期に千尋の頭をよぎったものは恋人として自分を受け止めてくれた少年――麻生 蓮治のことだった。

【新藤千尋@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
※新藤千尋の死体と鞄がA-8付近に沈みました。

   ◆

最後ニ
 カミサマハ

世界ニヒトツ
 残ッタゴミヲ―

崖カラ
 捨テタ―
221名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:34:53 ID:KLB+NXDQ

222 ◆2u7VFI8mcw :2010/09/07(火) 23:35:33 ID:na2SCcB6
投下終了です
タイトルは「女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。」です


すいません、最後に少し言わせてください
正直あまりのefキャラの死亡率に投下していいものかどうか悩みました
なんでここまでefキャラの死亡が相次いだんだよ……
223名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:38:34 ID:KLB+NXDQ
投下乙です。なんたる悲劇、こういうあっさり死も好みです

ef勢減りすぎ、と感じたならば
気絶にとどめるというのもありかもしれませんね
224名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:39:56 ID:Nd/dzv12
悩んだ末の投下
つまり…1いじめは終わってない
そういうことですね?
225名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:41:57 ID:i1Z0pVtL
>>223
1乙w
226名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:42:11 ID:EwnUqfSM
投下乙です
考えようによってはここの書き手たちはものすごく連携がうまいと思うw
227名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:47:49 ID:7QF0aMx+
姉妹スレ

気に食わないアニキャラを虐待するスレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1283174049/
228名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/07(火) 23:49:22 ID:dhQ+s1sr
投下乙です!!!
 
いいペースで参加者が減っていきますね
間接的とは言え殺してしまったゆりの今後が心配だw
229 ◆S5tuZW5RXw :2010/09/07(火) 23:54:09 ID:KLB+NXDQ
1じゃないってことで一応コテを

ええと、パソコンが不安定になってるので
少し投下が遅れるかもしれません
230代理投下:2010/09/07(火) 23:57:54 ID:dhQ+s1sr
「おいおい何だよここは、パラダイスじゃねーか。こんな良い場所があるのならばなんで早く教えてくれなかったんだよ」

どこか知らない場所にいつの間にか閉じ込められたと思えば、目の前で人の頭が吹き飛び、光に包まれまたも知らない場所に飛ばされた。
持たされた荷物の中に入っていたルールブックとやらに、何をすれば良いのかは書いてあったので特に混乱する事はなかった。
つまりは、あそこにいた奴ら全員皆殺しにすればいいだけなのだろう。
これだけ大規模に誘拐して殺し会いをさせている。
それなのに警視庁特殊急襲部隊に所属して色々やっかいな案件をこなしてきた時には、この様な話はちっとも耳にしなかった。
ゲーム自体が闇に包まれていても、人が大勢消えれば噂にはなる。
それなのにこの一斉拉致が公になっていなかったという事――即ち半ば公認でこの殺し会いゲームは行われてるという事である。
しかもあの車椅子の少女の能力は見覚えがある。
忘れたくても忘れられない、両腕を千切られ、両目から光を奪っていったベクター能力に間違いない。
国のトップと何らかの繋がりがあるという証拠でもあるわけだ。

「国のお墨付きで人を殺し放題。こんな俺向きなゲームがあればさっさと教えてくれれば良かったんだよ」

『人間兵器』の異名を持つ男、板東は笑みを浮かべつつ歩みを進めていく。

「優勝したときの願いか……。次のゲームがあるとしたらそれにも出さして貰うってのもありかもな」
231代理投下:2010/09/07(火) 23:58:37 ID:dhQ+s1sr
そう呟いたとき、近くで何かが動く音が聞こえた。
場所は森の中、風は特に吹いていない。
慣れていない者ならば、移動するときに音が出てしまっても仕方がない。
物音を便りに、板東はゆっくりと近づいていく。
そして物音のすぐ近くまで来ると、木陰に隠れて静かに様子を窺った。

(ゴリラかよ……)

そういえば体育館のような場所に監禁されていたときにも、ゴリラをみた記憶がある。

(ちっ、仕方ねぇ)

心の中で舌打ちして、支給されたナチス製の機関銃MG151/20を構えた。

「おい、ゴリラ。少しは愉しませてくれよっ!」

人を合法的に撃てる。
それを期待していた板東にとって、最初の獲物がゴリラであったことは残念で仕方なかった。
木陰から狙い撃つ事も出来たのであろうが、それだと面白くない。
折角の獲物だ、愉しんで愉しんで狩ってやろうじゃないか。

「ほらほら、逃げろよ。ハンティングタイムの始まりだ」

わざと大声で場所が相手に解るように叫び、ゴリラの足下に向けて機関銃のトリガーを引いた。
15mmという中口径の機関銃の威力は流石としか言いようがない。
本来は航空機に装備させる機関砲である。
マグナムを片手で扱える板東とはいえ、流石に片手では荷が重い。
次々と撃ち出される弾丸の反動で、体勢が崩れてしまった。
232代理投下:2010/09/07(火) 23:59:19 ID:dhQ+s1sr
しかし逃げるとばかり思っていたゴリラが、体勢を崩している板東に向かって飛びかかってきた。
急に起きた出来事に混乱して飛びかかってきたのか、はたまた敵が体勢を崩している今がチャンスと野生の本能が告げたのか……。

「ちっ」

板東は咄嗟に体勢を整え、MG151/20で飛びかかってくるゴリラの横面を殴りつける。
しかしそのダメージを物ともせずに、ゴリラは機関銃をつかみ、板東から奪おうとした。
ゴリラの握力は500kgとも600kgとも言われている。
しかしそれに対し人間は200kgの握力を超えた者は正式には存在しない。
両手でMG151/20を引く板東であったが、徐々に自身ごとゴリラに引き寄せられていく。
単純な力比べではゴリラに敵うはずもなかった。
しかし――。

「畜生が人間様に敵うと本気で思ってるのか?」

急にMG151/20を手放されたゴリラは体勢を崩して尻餅をつく。
その隙を見逃さず、板東は支給されていたもう一挺のMG151/20をゴリラに構えた。

「この距離なら照準をつける必要もない」

反動で銃口がぶれてしまうのなら、反動すら関係ない距離でぶっ放せばいい。
233代理投下:2010/09/07(火) 23:59:59 ID:dhQ+s1sr
「あばよ、ゴリラ。少しは愉しませて……」
「駄目ーっ!」

板東がトリガーを引く前に、銃声を聞いてやってきた少女が銃口とゴリラの間に割り込んだ。
「殺し会いなんてしちゃ絶対駄目なんだからー!」

目の前に大の字で立ち塞がっていたのは、銀髪の少女リネット・ビショップ、通称リーネ。
その少女の懇願するような目に見つめられて、板東のトリガーにかけていた指の動きが止まった。

「銃の前に立つって事は、撃たれても良いって事だよな」
「撃たれたくない……。けどゴリラさんを殺されるのも嫌っ」

なんという我が儘な意見。
面倒だし撃ち殺そうと板東は指に力を込めたが、思うようにトリガーが引けない。
理由は自分でも解っている。
自分の強い意志を持って目の前に立ち塞がる少女と、自分の命を救ってくれた少女や、一緒に敵を倒そうと同盟を組んだ少女に無意識に姿を重ねてしまっていたからだ。

「けっ、場が白けちまった。ゴリラや雌餓鬼なんぞ殺しても愉しめねぇ」

そう言い残すと板東はゴリラからもう一挺の機関銃を奪い返すと、森の奥へと姿を消していった。
234代理投下:2010/09/08(水) 00:00:40 ID:28kAeUh0
「よかったね。ゴリラさん」

板東の背中を見送ったリーネは振り向いて、その満面の笑みを倒れていたゴリラに向けた。
命を救って貰ったゴリラもどこか嬉しそうにみえる。
立ち上がったゴリラがゆっくりとリーネの頭に手を置いた。

「きゃっ」

驚いたリーネであったが、その行為が頭を撫でてくれているのだと理解し、抵抗しなかった。

「これからも一緒に頑張ろうね!」

ゴリラが言葉をわかってくれるとは思っていない。
しかし気持ちなら伝わる筈。
リーネはそういって、再び笑った。

ゴキリ

鈍い音が森を木霊した。
崩れ落ちる少女の身体。
そして、あり得ない方向に向いている少女の笑顔。

弱肉強食の血がルールブックを読めなくても、バトルロワイヤルを理解させたのか。
はたまたクロマティ高校でそこらの生徒より知能が高いゴリラだったからなのか。
彼はこの島の唯一のルールを理解していた。

――殺される前に殺せ。

その唯一のルールを頭にゴリラもまた森の奥へと姿を消していった。
リネットの支給品をちゃんと回収して……。


【リネット・ビショップ@ストライクウィッチーズ 死亡】
235代理投下:2010/09/08(水) 00:01:20 ID:dhQ+s1sr
【一日目 B-1 森の中 深夜】


【板東@エルフェンリート】
[状態]:健康
[装備]:MG151/20二挺@ストライクウィッチーズ
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜1(確認済み)、Fw190D-6プロトタイプ@ストライクウィッチーズ
[思考]
基本:全員殺す。
1:人を合法的に撃てるなんて天国じゃねーか。
2:優勝したら、またここに連れてきて貰おう。

【ゴリラ@魁!!クロマティ高校】
[状態]:頭に軽度の打撲
[装備]:
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品×6
[思考]
基本:弱肉強食。
1:?(何考えているか解らないが、ルールだけは把握できている様子)

※板東に支給されたストライカーユニットですが、板東が魔力を持っているか、ズボン状態じゃないと飛べないかなどは後の書き手様にお任せします。
236代理投下:2010/09/08(水) 00:02:08 ID:dhQ+s1sr
◆KiK5vDV3wM:2010/09/07(火) 23:59:33 ID:GGHROqKw0
以上で投下完了です。
クロ高キャラでギャグ&シュール展開狙ったつもりでしたが
完全に他の話の大量虐殺でインパクト持っていかれて普通の話になってしまった気がします。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:03:48 ID:i1Z0pVtL
これはwwwww
意外な強マーダーの誕生だなw
ゴリラの強さはなかなか侮れない気がするw
238名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:04:44 ID:MifoQkl/
ゴリラwww
死亡話でこんなに笑えるなんてwwww
239名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:04:58 ID:tVl3PiwC
代理投下乙です

この組み合わせで予約された時、板東に殺されるか仏心で見逃されるかな…と思ったらゴリラ氏ね
巨乳美少女がああああああ!!
240名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:06:30 ID:KPs75Tb+
ゴリラw
なんだかだんだん楽しくなってきたwww
241名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:07:20 ID:6kpCA/2I
至上まれに見る死亡速度だなw
80人がたった三日で59人になったぞw
242名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:10:34 ID:MifoQkl/
>>241
じゃあこのペースが続けば後9日で終わるのか
243名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:14:20 ID:G6BhKafu
とりあえず文句言おうと思ってたけど
面白いじゃねーか、投下乙
244名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:19:52 ID:6kpCA/2I
あれ、ちと勘違いしてた
死亡は18人か、で残りは62人だ
245元気なぼくらの元気なおもちゃ ◆S5tuZW5RXw :2010/09/08(水) 00:20:05 ID:kC95/pjO

百年前、錬金戦団最強の戦士、ヴィクターはホムンクルス首領との戦いで致命傷を負った。
組織は彼を治療するため、超パワーを生み出す黒い核鉄を心臓代わりに移植した。

だが、それにはエネルギードレイン体質という、予期せぬ副作用があったのだ。
彼はまるで呼吸をするように、周囲の生命からエナジーを吸収してしまう。
その結果、一瞬で多くの同胞が命を落とす羽目になった。
ヴィクターは誰かを傷つけることを恐れ、人里離れた僻地へ逃げ込んだ。

だが、組織はヴィクターの抹殺を決定、そのために彼の娘をホムンクルスに改造さえした。
この忌まわしい戦いは彼の休眠と共に中断、百年後、その復活と共に再開された。
だが、武藤カズキと戦団長の勇気ある行動によって、双方に和解が訪れたのだった。


それなのに、錬金の戦士たちは過ちを三度繰り返すのか。


「贓物をぶちまけろっ!」

女子高生の引き締まった腕から放たれる穿鋼の突き、それに伴う十字の刃。
大男は槍を片手で掴み、相手の身体ごと5mほど放り投げる。
小柄な肉体は錆びかかった鉄柵に突き刺さる。
青と白のセーラー服は千切れ、左肩は紅に染まる。

「今の俺はただのホムンクルスだ。このまま静かに立ち去れば、無意味に命を奪うつもりは無い」

2メートル越えの巨漢が小ぶりの少女に向かって言い放つ。
その身体は褐色ではなく肌色、髪の色も茶で蛍火のように輝いてはいない。
彼は白い核鉄によって一度人間に戻り、エネルギードレイン体質は失われているのだ。
その後、ホムンクルスになったのも、月で娘のヴィクトリアと静かに暮らすためだった。
それも二人を人間に戻す技術の開発を待つためだ。

彼は自分達が人間と相容れない存在であるのは知っている。誰かと積極的に手を組めるとは期待してない。
だが、せめて放っておいてはくれないのか。この非常時に対立を選ぶのは正気の沙汰ではない。

「馬鹿を言え。ホムンクルスだからこそ、始末するのだ。この場で仕留めなければ犠牲者が増える」

錬金の少女は杭から身体を引き抜いて叫んだ。
その瞳には激しい憎悪、容赦ない軽蔑、そして戦士の強い決意。


ああ、いつの間にか、慣ってしまった光景、何度ぶつけられたか分からない感情だ。
だが、一度は希望を味わってしまった身には一層堪える。
落胆と失望で体中が焼き尽くされてしまいそうだ。

津村斗貴子、お前は武藤カズキの理解者ではなかったのか。
あの少年が黒い核鉄を使ってエナルギードレイン体質となり、錬金戦団に命を狙われた時、
お前は彼に寄り添い、守ろうとしたのではないか。
それは戦団のでっち上げた、美談に過ぎなかったのか。


彼女はこちらと一定の距離を保ちながら、公園の林を駆け抜ける。
その僅かな時間で肩の傷口は塞がれていた。

「超再生能力のある武装錬金か。ならば、それ以上の攻撃で核鉄ごと破壊するまで。武装錬金!」

ヴィクターは心臓に手を当てて核鉄を取り出し、斧型の武装連金に変換する。
人を守るという口実でホムンクルスを殺害する気なら、こちらも娘に害なす者を皆殺しにする。
殺し合いに乗った者、人外に無差別の憎悪を抱く者、そして忌むべき錬金術に携わる者、
そして言うまでもなく、この殺人遊戯を開催した連中もだ。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:20:34 ID:28kAeUh0
 
 
247元気なぼくらの元気なおもちゃ ◆S5tuZW5RXw :2010/09/08(水) 00:20:46 ID:kC95/pjO
男の血管に灼熱の激昂が駆け巡り、憎しみの焔が絶望の業火とまぐわって渾然一体となる。

「まさか、お前はカズキと同じなのか?」

少女は口を閉じるのを忘れたまま、二歩、三歩と後ずさりする。
ヴィクターは彼女の言葉に違和感を覚える。この光景は以前にも披露した筈だ。
それに彼女の武装錬金は槍ではなく、脚に装着する何枚もの刃だった気がする。

その時、男は後方から迫る物体を感知する。唸る鈍い機械音。

「近寄るな、普通の人間に勝てる相手ではない!」

斗貴子が吼える。振り返ると、ジャケットを羽織った女性が二輪車でこちらに近づいてくる。
これは確かバイクという乗り物だったか。見たところ、武装連金ではなさそうだ。
ホムンクルスの肉体に傷ひとつ付けられないだろう。

だが、女からは殺意も恐怖も勿論好意も、いかなる意思も読み取れない。
相手に感情が存在しないわけではない。奇妙な形容をすれば「色が見えない」のだ。
戦士の直感は慢心を封じ込める。この地に連れて来られてから、身体の調子が悪い。
何かしらの手段で力の枷を嵌められている。武装連金以外でも傷を負うかもしれない。

「余所見をするな、キサマの相手はこの私だっ!」

少女は樫の木を三角蹴りし飛翔。急降下する。
狙いは胸の章印か。いや違う、首輪だ。衝撃を与え、爆発させるつもりだ。

ヴィクターは彼女の攻撃を跳ね返さんと、斧を構える。
ただ、それは一瞬だけ、バイクの女に対して無防備になることを意味する。

タイヤの金切り声、ドリフトで方向転換した合図。
刹那、男の視界は注意に値する攻撃を捉える。
身長の2倍はある鉄柱が大鷲よりも早く飛んできた。





フルスロットルでバイクは走る。敗走した二人を乗せて。
斗貴子は二輪車のライダー、アルファルドの背に声をかける。

「部外者の君を巻き込んでしまってすまなかった」
「それはこちらの台詞だ。私が加勢しなければ、お前はそのまま撤退できただろう」
「いや、君に落ち度は無い。ホムンクルスがあれほどの実力者とは誰も予想できん。
 ……あの化物は下手をすると戦士長どころではないな」



確かに、アルファルド自身、渾身の一撃があのような形で無効化されるとは思わなかった。
デイバッグに入ったものは出し切る瞬間まで、少しの力で動かすことができる。
勿論、一定の速度以上で取り出すためには、本来の重さに近い力が必要になる。でないと、お手軽投擲器になってしまう。
だが、抜け道は存在する。それは慣性の法則、入れ物そのものを加速させることだ。
例えば、時速200kmの電車に乗ってボールを投げれば、電車の外の人間にとっては、200km以上の剛速球になる。
これが長さ4m、重量5tの鉄柱の高速射出の種明かしだ。

だが、怪異を使いこなすのは敵も同じだった。
男が斧をかざすと、重力法則を無視して、空へ空へと上がっていった。

アルファルドには、他に武器として有用な支給品は存在しない。
最悪でも、この牽制で僅かな時間を稼ぎ、少女を連れて撤退するつもりだったのだ。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:21:39 ID:1VsGkodB
書き手の一体感がパネェなw
特に申し合わせたわけでもないのにみんなベクトル一緒w
249名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:21:45 ID:kC95/pjO

そして、鉄柱はセーラー服の少女と共に大地に叩きつけられる。
アルファルドは立ち上がった彼女に武器を求める。そして、中国風の太刀を受け取る。
この怪物に近接武器は相性が悪すぎる。だが、自作のスリングショットが通用する相手とも思えない。

そこから先はまるで悪夢のような光景だった。今はまだ、回想する気さえ起こらない。
彼こそが超人、人間という枠組みを遥かに超えた力を持つ存在。
人は戦場で怪物を目の当たりにした時、ただ、無力に絶望するしかない。

されど、孤独なる蛇、アルファルドの心は原初の衝動に囚われず、ただ嗤っていた。
なぜなら、あの怪物はそれだけの力がありながら、瞳に絶望を宿していたからだ。
彼の魂は死んでいる、いや、死に掛けている。最後の光に縋り辛うじて生き長らえている。
それを男は守り抜けるのか、僅かながら、興味が沸いた。



彼女は怪物が追ってこないことを確認し、裏路地でエンジンを止める。
斗貴子はバイクから降りて、青く茂った花見月に背を預ける。
アルファルドはサドルに腰掛けたまま口を開いた。

「お前はホムンクルスから市民を守るのが仕事だそうだな。
 だったら、私が生き残るために、その怪物の情報を教えてもらいたい」

斗貴子は厳しい顔で、早口気味に語り始める。
彼女の説明には武装錬金、核鉄、錬金戦団と言った聞き慣れない単語が並ぶ。
アルファルドは他分野に渡って情報網を持ち、禁忌のテクノロジーにも精通している。
それにも関わらず、まったく聞いたことの無い内容ばかり、というのは奇異に感じた。
まるで、パラレルワールドの物語のようであり、実際そうなのかもしれない。

斗貴子の話を掻い摘んで要約すると、あの男の正体はホムンクルスと呼ばれる人造生命体らしい。
彼らは人食いを本能としており、時に友好的な振りをして寝首を掻いてくる油断ならない存在とか。

――見ての通り、彼女のように、皆さん八十人の中には殺人を厭わない者も多く含まれます。

忌避するどころか、種としてのサガだったという訳か。会場にいたピンク髪の少女も同類なのだろう。
殺し合いというよりも怪物の餌付けショー、厄介な余興に付き合わされたものだ。
無事帰還したら、ホムンクルス技術を兵器に転用して、一儲けできなければ勘定が合わない。

では、ホムンクルスを判別する方法は無いのか。
彼らには身体の何処かに章印と呼ばれる印があり、弱点でもあるそうだ。
それは人間型なら左胸に限定され、人にも姿を変える動物型では主に頭部に集中している。
だが、例外もある上、ただの人間にもホムンクルスの信奉者がいるらしい。


「それでは相手を丸裸にした上で、尋問でもしなくてはならないな」

アルファルドは皮相気味に笑う。錬金の戦士は首を左右に振る。

「いや、部外者にはなるべく負担をかけたくない。
 それに猜疑心の嵐が吹き荒れれば、協力し合うのも難しくなる」

女はバイクから降りて、お手上げのポーズを取りながら言う。

「だったら、具体的にどう対処しろと言うんだい。
 いったん人食い事件が発生すれば、魔女狩りは誰にも止められなくなるぞ」
「そうさせないために、錬金の戦士がいる。
 彼らと情報交換して、それとなく怪しい参加者をマークする。これが地味ながら最善の方法だ」

斗貴子によれば、確実にシロと言い切れる人間は、後輩である武藤カズキと中村剛太、
250元気なぼくらの元気なおもちゃ ◆S5tuZW5RXw :2010/09/08(水) 00:23:23 ID:kC95/pjO
直接の面識はないものの、戦士長の一人である火渡赤馬。彼は強硬派らしい。
他には学友の早坂姉弟も恐らくは善良な一般人だろうとのこと。尤も、殺し合いに乗るかは別問題だが。

「ただ、武藤カズキには探査能力を期待しないでやってくれ。
 彼は馬鹿でお人よ――いや、戦士としては不適格なのだ」
「彼は平和ボケしたどうしようもない役立たず、ということか」
「そういうわけではない。カズキは強い。信頼のおける男だ。
 ただ、彼は戦いの世界に入るべき人間ではなかった、それなのに――」

彼女はこれまでにない表情を見せる。やけに歯にものの詰まった言い方だ。
アルファルドは掌を前に出し、

「ストップだ。もしも、私が例のホムンクルスと共謀していたらどうするつもりだ」

斗貴子は咳き込む。アルファルドはあまり気にしない様子で、

「安心しろ、ただのジョークだ。私もあの戦いで何度も死の憂い目を見ている。
 彼の信奉者だったら、もっとマシな演技をしてくれと頼んでいるさ」

バイクを指差しながら言った。新品同様だったものがスクラップ寸前まで損傷している。
修理しなければ、これ以上走るのは不可能だろう。

「いや、それは分かっている。だが、私はもう、笑えるような状況ではない」
「モルヒネか何かが調達できればよかったのだがな。辛いなら、この場で楽にしてやろうか」

アルファルドは相手の脇腹を真剣に見つめながら言った。
制服の切れ目から、内臓まで食い込んだ裂傷が覗いている。
これは斗貴子が自分を庇った時にできた傷だ。

再生効果のある激戦はあのホムンクルスに一閃されてしまった。
これは制限による核鉄の弱体化を差し引いても、ホムンクルスの攻撃力の高さを物語っている。
ただ、怪物が大技で消耗した隙を突き、ここまで逃げ切れたのは不幸中の幸いと言える。

少女は彼女の問いには答えずに語りかける。

「君の性格が良いかは少々疑わしいが、理性的で現実主義者なのは違いない。
 この場で殺しあうこと……の愚かさは分かっている、はず……」
「ああ、怪物が跳梁跋扈する舞台で80人中1人まで生き残れる可能性は低いだろう。
 それに私はチンケな魔法の杖で叶えられるような願いには興味が無いし、意味も無い」

アルファルドは少女の目を見ながら、質問に答えた。

「それから、戦えない……無力な民間人を、危険から遠ざけて欲しい。
 同行させなくとも、安全な場所に避難させておけば、足手纏い、にはならないだろう」
「おいおい、信用が無いな。半死半生のお前をここまで運んだのは私だぞ。可能な限り善処はする」

斗貴子は安堵の息を漏らす。一応、アルファルドを信じてくれているらしい。
いや、藁だろうが縋らなければやっていけないと言うべきか。もう命も長くはあるまい。
満身創痍の少女は歯を食いしばり弱々しい声で、

「カズキに伝えて欲しい……」

武藤カズキ、それから中村剛太への遺言をやっとのことで搾り出した。
そして、濁った血を垂れ流して動かなくなった。よくぞここまで気力がもったものだ。


――私が突撃しなければ、そのまま撤退できただろう。

アルファルドにとっても、ホムンクルスの強さは想定外だった。
だが、彼女の戦略は不確定要素を加味し、どう転んでも目的の道筋を切り開くというもの。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:24:10 ID:kC95/pjO
その過程で何人犠牲が出ようと知ったことではない。

彼女はボイスレコーダのスイッチをオフにする。
実はバイクを止めてから少女が死ぬまでの会話を、全て録音していたのだ。

あの時、斗貴子に加勢したのは人脈を構築するため。ただし、相手の生死は問わない。
実際、この記録音声は錬金戦団との交渉で活用できるだろう。
彼女との会話で猫を被らなかったのは、会場にアルファルドの知り合いがいるため。
この状況で偽名を使っても、長期的には信用を失うだけだ。
どうせ名簿の名前も彼女本来のものではないのだから。

それに加えて、子飼いのリャンチーが暴走して、自分の評判を下げてくれるのは想像に難くない。
ならば、冷酷でも全体の利益を考えるリアリスト、ということにしておいたほうが都合が良い。

「私に関する推測は、半分は当たっている、だが、半分は外れだ」

斗貴子のデイバッグを拾い上げながら言った。
当面は優勝を狙うつもりは無い。最優先課題は主催との戦闘を避けた脱出だ。
定期放送や施設などの傾向から、敵の目的や思考を分析し、交渉の場に引き摺り下ろす。

だが、この行動指針は組織全体としての目的。
犯罪組織『蛇』の首謀者、民間軍事会社『ダイダラ社』の筆頭株主としての計画でしかない。
これと並立し、両立する形で、彼女個人として欲望が存在する。存在してしまった。

それはカナンに絶望を与えること。
あの女にとっての守るべき光、大沢マリアを追い詰め、その力を極限まで覚醒させる。
その上でカナンと決着をつけ、『ともだち』を失わせ、深い絶望の中で殺害する。
その時、私は彼女を超越し、過去の亡霊、シャムの呪縛から解放されるだろう。
ああ、この地は絶望の舞台として何と相応しいことか。


アルファルドは青龍偃月刀を取り出して、津村斗貴子の首輪を手に入れた。



【津村斗貴子@武装連金 死亡】

【残り61人】
252元気なぼくらの元気なおもちゃ ◆S5tuZW5RXw :2010/09/08(水) 00:25:15 ID:kC95/pjO
【一日目 C-7 森林 深夜】

【ヴィクター@武装連金】
[状態]:疲労(小)
[装備]:核鉄@武装連金
[道具]:基本支給品×1、確認済み支給品1〜3(核鉄はありません)
[思考]
基本:絶望した!
1:ヴィクトリアの保護、および彼女に危害をなす可能性のある存在の抹殺
2:武藤カズキへの興味
※ 26話、ホムンクルスになった後での参戦。既にヴィクター化していません。
※ 核鉄は本人の心臓として一体化しています
※ 食人衝動の大きさは次話以降にお任せします

※ 激戦@武装連金は破壊されました


【一日目 C-6 裏路地 深夜】

【アルファルド@CANAAN】
[状態]:軽傷、疲労(小)
[装備]:青龍偃月刀@真†恋姫無双
[道具]:基本支給品×2、大型バイク『MTS1200S』@現実、ボイスレコーダー@DARKER THAN BLACK、
    自作のスリング、確認済み支給品0〜2、デイバッグ×2
[思考]
基本:主催者と交渉に持ち込み、脱出する。他者の犠牲も厭わない
1:カナンに絶望を与える。
2:錬金の戦士との接触。
3:ヴィクターの末路への興味。
※ バイクは修理しないとあまり走れません
※ ボイスレコーダーには津村斗貴子との会話が録音されています。
253元気なぼくらの元気なおもちゃ ◆S5tuZW5RXw :2010/09/08(水) 00:26:19 ID:kC95/pjO
投下完了です
254名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:36:07 ID:28kAeUh0
投下乙です!!!
 
とっきゅん死んでもうた…
つーかどいつもこいつも大切な人死にすぎwww
255名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:37:19 ID:MifoQkl/
投下乙

カズキが殺されて狂わないとっきゅんは新鮮だ
256名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:43:35 ID:yfAiJez8
乙です
リャン様、奉仕先の主人はあんたのことはどうでもよいそうです

ヴィクターはヴィクトリア死んでいて
剛田はとっきゅん死んでるってw

全く報われないなあ
257名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:46:34 ID:l90e5vPw
凍るような寒さの中、裏路地に横たわった津村斗貴子。
無残にも腹部を貫かれて苦悶死だったであろう。表情は死ぬ前の無念に引きつった顔のままだった。
「むごい・・・なんてむごいんだ・・」横たわった少女の死体をみながら、緑の顔をした異星人が呟いた。
「今助けてあげます」彼は、少女の腹部に両手をかざすと、静かに念じ始めた。
念じ始めて直ぐに、少女の腹部に異変が現れた。
彼の両手から発する優しい光に包まれた傷口が、徐々に塞がっていったのである。
「あなたは、ここで死ぬべき人間ではありません」
凍てつく寒さの中、この裏路地だけは、心地良い空気につつまれていた。

258名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:49:25 ID:DX/WkiyN
おぬしは…デンデ!?
259名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 00:50:46 ID:MifoQkl/
ドラゴンボール改は朝アニメじゃないか?
260 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/08(水) 01:18:21 ID:dmWrcvRS
>>215
是非とも変更お願いします
261 ◆/Fnde2WILg :2010/09/08(水) 01:28:30 ID:JzePTFKo
>>215
すみません、どうやらマップ自体を間違えていたようです。H-7は海の中でした。
先ほどE-3に自分で訂正してきました。声を掛けて頂き感謝します。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 01:53:46 ID:6kpCA/2I
永澄→燦(死)
ヴィクター→ヴィクトリア(死)
直井→音無(死)
秋水→桜花(死)
剛太→斗貴子(死)

なんだこの芸術的な先回り死www
263名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 06:42:44 ID:vbpqsXnB
規制されたかな?
264 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:43:26 ID:vbpqsXnB
大丈夫だったか
投下します
265契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:46:05 ID:vbpqsXnB



蘇芳・パヴリチェンコの前に一人の男がいる。

彼女の父を殺し、彼女を契約者として鍛え、彼女と旅をして日本へと導き――そして彼女が恋をした男。





『黒(ヘイ)』。本名は知らない。

知っているのは彼が凄腕のエージェントだということ――そして『黒の死神』の異名をとる極めて強力な契約者だということ。




その男が今、


どこまでも冷たい瞳で、


蘇芳に向けて、月光の煌めきを反射する鋭い刃を向けていた。



.
266契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:48:00 ID:vbpqsXnB
蘇芳・パヴリチェンコはロシア人の父と日本人の母の間に生まれた13歳の少女だ。
父の死に端を発する一連の事件の行程は、遠くロシアから日本へ、そして東京のゲートで途切れる。
蘇芳はそこで双子の弟である紫苑と邂逅し、自身の出生の秘密を知り――そして、「イザナミ」へと覚醒したドール・銀によってその生涯を閉じた。

恋焦がれる黒の腕の中。
どこまでも旅を続ける。
寡黙な男の精一杯の嘘を噛み締めながら、静かな眠りについた。

その、はずだった。


しかし、今。
気がつけば蘇芳は蘇芳の記憶を保ったまま、蘇芳として存在していた。

目にも鮮やかな桃色の髪をした車椅子の少女。
少女に殺されたと思しき三人の人間。
かつて目の前で死んだはずの契約者。
その契約者を苦もなく殺害した、やはりこちらも桃色の髪の女。

あらゆる事象をその瞳でしかと確認しておきながら、蘇芳は現実感を感じられないまま茫洋と流されていた。
どうしてここにいるんだろう――その拭いがたい違和感を払拭できぬまま事態は更に進展し、気がつけば夜天の星空の下へと放り出されていた。
耳を澄ませば波濤の音が聞こえる。
コンテナ、漁船、貨物運搬用のフォークリフト。
見渡せばそこはどうやら港であるようだった。

ふと、空を見る。

偽りの星。
契約者たちの命を暗示するという空。
その一つが流れたのをなんとなく目で追う。
あれがさっきのゴランという男の星か。
そう考え、数分は空を見上げていただろうか。
ぼんやりと視線を下ろしたとき。


音もなく、黒い影が蘇芳の前に存在していた。


霞がかった蘇芳の思考に電撃が走る。
そこにいた人物を、蘇芳が見間違えるはずはない……絶対に。

「――黒?」

黒髪黒瞳、全身を包む黒コート。
紛れもなくあの契約者のものだった。
蘇芳の全身に歓喜が溢れる。
夢うつつの中、もう二度と会えないと、そう確信していた大切な人にまた逢えたのだから。
267契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:49:48 ID:vbpqsXnB
「黒!」


蘇芳は、黒へと駆け寄る。
その胸に飛び込むつもりだった。
もう絶対に離れないと、今度こそ離さないでくれと、思いの丈を込めて抱き締めようとした。

だが。
寸前に突き付けられた切っ先が、蘇芳の想いを一瞬にして冷却した。
一体誰がと考えるまでもない。
その短刀を構えているのは黒以外にいなかったのだから。

「へ、黒……?」
「お前、何者だ」

ぞっとするほど感情を感じさせない声で黒が言う。
初めて会ったときと同じくらい――いいや、あれよりももっと冷たい。
まるで「未知の敵を警戒しているような」、そんな声で黒は蘇芳へと言葉を投げかけてきた。

「なぜ俺の名を知っている?」
「な、何言ってるんだよ。ボクだよ、蘇芳だよ!」
「組織の追っ手か。契約者なら容赦はしない」
「え――わぁっ!」

黒が一歩踏み込む。
一筋の銀光となった短刀が蘇芳の首を刈るべく閃いた。
だが、蘇芳とて散々黒に鍛えられた身だ。
その動きは覚えている。次にどう動くかも予想できる。
屈めた頭の上を刀がかすめ、続けざまに放たれた下からの蹴りも両腕で受け止め、その勢いで後方に大きく間合いを取ることができた。

距離を取ると汗がどっと吹き出てきた。
今、黒は蘇芳を殺そうとした。
間違いなく殺意を持って攻撃を仕掛けてきた。
その事実に恐怖を感じるよりも先に――胸が張り裂けそうな悲しみに襲われた。

「どうして、どうしてボクを襲うんだよ! ボクのこと忘れたって言うの!?」
「お前のことなど俺は知らない」

必死に叫ぶも、返ってくる声は氷のよう。
黒の敵意と殺意を乗せた視線が、槍のように蘇芳を刺す。
それは実際に刃で傷つけられるよりもなお深く、蘇芳の心を切り刻んだ。
あの旅の中で芽生えたほのかな思いも全て否定されているようで。

気がつけば、蘇芳の頬を透明な雫が滑り落ちていた。
268契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:51:54 ID:vbpqsXnB

「嘘だよ……そんなの、信じない……黒がボクのことを忘れたって……ボクは忘れたりするもんか……!」

ここが殺し合いをする場であることなどもはや意識の外。
黒に拒絶された、その事実だけが蘇芳を契約者ではなく幼い少女へと立ち戻らせた。
ぼろぼろとこぼれる涙を抑えきれず、蘇芳は膝から崩れ落ちる。
その様子を見て――驚愕したのはなぜか黒だった。

「なぜ、泣く? お前は契約者ではないのか?」
「……ずっと……一緒に、旅を……なのに……」

黒の言葉も、もう耳に届かない。
口をついて流れ出したのは蘇芳を蘇芳として構成する全て――かけがえのない大切な記憶だ。

「ボクと、黒と……マオと、ジュライと、四人で……なのに、どうして……?」
「マオ? 今、マオと言ったか?」

黒が、短刀を下ろし蘇芳へと一歩近づいた。
蘇芳は両手で顔を覆っていたため気付かなかったが、黒の顔にはすでに戦意よりも戸惑いの方が色濃く浮かんでいた。
彼が伸ばした指先が今、蘇芳へと触れようとしたところで。

「――ッ!?」

黒は獣のごとき俊敏さで体を捻り跳躍、壁を蹴って瞬く間に数十メートルを移動して見せた。
その後を追うように激しい爆発音。
黒が今しがた蹴った壁、コンテナが爆砕した。

「そこの娘! 大丈夫か!」
「――え?」

肌を炙る熱風によって、蘇芳は自失から強引に引き戻される。
視界の隅に現れたのは巨大なロケット砲を構えた赤毛の少女だった。

「こっちへ走れ! まださっきのやつに狙われてるぞ!」

思考能力を失くした蘇芳は、少女に言われるがまま足を動かした。

(さっきのやつって誰のことなんだろ……?)

赤毛の少女の背後へと蘇芳はたどり着く。
少女はざっと蘇芳の全身を観察し、肩を叩く。
269契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:53:03 ID:vbpqsXnB
「よし、怪我はしていないな」
「えっと、うん……え、誰?」
「私はカノン・メンフィスだ。泣いていたのはお前なんだろ。それが聞こえたから走ってきたら、あの男に襲われていたからな」
「助けて……くれたの?」
「まだ助かってはいないようだ」

カノンが顔を巡らせる。
その視線の先には、背後に炎上する埠頭を背負う黒の死神――黒が、感情のない瞳で蘇芳を、乱入してきたカノンを見ている。
両手に携える短刀は構えられてはいない。
カノンを敵かどうか計りかねている、蘇芳にはそんな風に見えた。

「あ……黒……」
「下がってろ。この距離なら十分仕留められる」

カノンが大砲を構え直す。
その
大砲の名はフリーガーハマー。
とある世界の連合軍第501統合戦闘航空団に所属するウィッチ、サーニャ・V・リトヴャク中尉が愛用する携帯用の対空ロケット砲だ。
全長1318mm、口径20mm。弾薬装填時の総重量は10kg近くにもなる。
9門のロケット弾頭発射筒を一つに束ねた、過剰なまでに強力な重火器である。
その本来の用途は対ネウロイ用、間違っても人間に向けるべきものではない。

威力のほどは、積み上げられていたコンテナを粉々に吹き飛ばし港の一角を火の海に変えたことから見てわかるとおり強力無比。
いかに黒が練達の戦士であろうと、隠れる場所もなく対処できる相手ではない。

カノンの明確な敵意を感じ取り、黒が身を沈める。
疾走の兆候。
カノンが引き金を引く。
放たれるロケット弾の嵐。
黒が今までいた場所へ、一瞬にして巨大なクレーターが穿たれる。
だが蘇芳の目は黒が消滅する瞬間を映してはいない。
神速で振るわれる黒の腕。
そこから伸びたロープが、遠く離れた場所の鉄塔へと巻きついた。

(船を係留するロープだ)

黒が空中に発射されたように飛び出して、爆風の殺傷範囲から逃れていく。
蘇芳は自分がひどく冷静に黒の挙動を観察していることに気がついた。
黒があの程度で死ぬはずがないという信頼と、自分なら黒の動きを先読みして攻撃できるという漠とした感覚があった。

そう、蘇芳には最強の契約者である黒すらも倒し得る奥の手がある。
自身の契約能力――ロシア製の対戦車ライフル・デグチャレフPTRD1941を虚空から具現化し、撃発させる能力が。
一対一なら黒に当てられる道理はないが、カノンが追い立てている今なら黒の未来位置を予測するのは容易い。
なにせずっとともに旅をしてきたのだ。
彼が戦う姿も幾度となく見た。
だからこそ――
270契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:55:16 ID:vbpqsXnB
(ボクは、黒を殺せる)

そう、確信していた。

「ちょこまかと――だが、これで!」

黒を手強いと見たカノンは、懐から小ぶりな果実のようなものを取り出した。
口に近づけ、噛み付く――歯でピンを抜いた。
そして大きく腕を振り投擲する。

「伏せろ!」

そのままカノンに頭を押さえつけられた。
一拍遅れて爆発音。

(手榴弾だ)

標的の近くで爆発し爆風と破片を撒き散らす武器。
ロケットなら避けられても、無数に飛び散る破片を至近距離から全てかわしきるなど人間にはとても不可能だ。
地面に這ったままなんとか目をこじ開ける。
そこには鮮血を撒き散らしつつ地面へと転がる黒の姿があって。

「やったか――つっ!?」

仕留めたと見て油断したカノンの左肩に短刀が突き刺さった。
地面に転がりながらも黒が反撃を試みたのだ。

「くっ――だったら!」

カノンが再度フリーガーハマーを構える。
手榴弾を投げるほどの暇はなく、過剰といえどもその攻撃が最短で危険を排除できるただ一つの方法だったからだ。
黒が飛び起きるも、その動きはやや精彩を欠いている。
どこか負傷したのだろうか。
あれではカノンの攻撃を避けられない、と蘇芳は加速する意識の中で認識する。
271契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:56:43 ID:vbpqsXnB



(黒が、死ぬ――)


「これで」


(黒が、殺される――)


「とどめだ!」


(黒が――)

「当たれぇっ!」



撃発――










「――――――撃つなぁぁああああああああああぁぁあああああああっっ!!」




ドンッ。



重く深い、たった一発の銃声が駆け抜けた。
272契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 06:58:03 ID:vbpqsXnB

「――え?」


カノン・メンフィスは、フリーガーハマーを取り落とした。
空いた右手で自身の胸を撫でる。
そこには今しがたできたばかりの大穴が開いていて、本来あるべきものがなかった。
ふらふらと足を組み替え、背後を見る。
そこには長大な銃を構えた、カノンが守ろうとした少女の姿があって――


「ごめん。ボクのこと、恨んでいいよ」

涙でくしゃくしゃに歪んだ顔で、そんな言葉をかけられた。

理解する。
自分の命はここで尽きたのだと。

(すまない……みんな)

脳裏に次々と大事な人の顔が浮かんでは消える。

真壁一騎、遠見真矢、近藤剣司。
ともに蒼穹作戦を実行するはずだったアルヴィスの子供たち。

皆城総士。
フェストゥムの本拠地から救うはずだった、一騎の親友。

日野道生。
人類軍に身を置いていたとき、唯一信じられた上官。

彼らに対し申し訳ないという気持ちが生まれ、そしてすぐに消える。
最後に現れたのは羽佐間容子。
娘を失った後、島に投降したカノンを引き取り母として育ててくれた人。

(……母さんって……呼びたかった、な……)

届かない手を伸ばす。
暗闇の夜空、その向こうに求めた蒼穹があると信じて――カノンは目を閉じた。
273契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 07:00:35 ID:vbpqsXnB

生成したライフルが桜色の飛沫となって溶け消える。
蘇芳の手は無意識にデイバッグを探り、探し当てた冊子から無造作に一枚を破り取った。
ぺたんと腰を下ろし、泣きながら一心に紙を折っていく。

「それがお前の対価か」

声が聞こえた。
だが蘇芳は顔を上げられない。
また拒絶されたら今度こそ心が耐えられないと知っていたから。
炎が照らす静寂の中、蘇芳は手の中で形を成していく折鶴だけを見詰めていた。
黒は、それを黙ってみていた。

「……ぁ」

そして、折鶴は完成してしまった。
対価を払い終えてしまった。
否応なく現実へ向き合う時間がやって来る。
震える瞳が黒の足を捉え、徐々に上がっていく。
今度こそ黒は自分を殺すのだろう。
旅の全てを否定するために。

(ずっと一緒にいてくれるって、言ったのに――)

だったらせめて、殺される寸前まで黒を睨みつけてやろう。
そうすることで黒の記憶に焼きつく一片の焦げ付きになってやる。
そう、無理やりに自分を納得させて、蘇芳は黒の顔へと視線を上げきった。


すると黒は、

刀など握っていない腕を伸ばし、

蘇芳の涙を、力強く拭った。


「……え?」
「俺はお前を知らない。だがお前は俺を知っている――そうだな?」

かけられた言葉はやはり冷たい。
だがそこにさきほどまでの硬質な響きは、蘇芳に対する殺意は既になく。
274契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 07:02:06 ID:vbpqsXnB
「黒?」
「マオの名も知っている、何故だ? あいつはすでに組織に処分されたはずだ」
「それはっ……だから、一緒に旅をしてきたから! ボクと、黒と、ジュライと、ペーチャ――えっと、モモンガに憑依したマオとで……!」
「ジュライ――たしかMI6のドールがそういう名前だったな。そしてマオの能力も知っている……」

黒は短剣をコートの内に収める。
それは蘇芳を殺す気は無くなったという雄弁な証拠だった。

「蘇芳」

名を呼ばれた。
声に込められた思いは違う。
それでも、記憶にあるのと同じ声で、もう一度名前を呼んでくれた。
涙の温度が変わる。
冷たかったそれはいまや灼熱の熱さに感じられた。

「黒……!」

その熱さに突き動かされるまま、蘇芳は黒へと抱きついた。
そして、盛大に泣き始める。

「うう、ああ……うわあああ……ああああああっ!」

黒は戸惑ったようにその小さな肩を抱く。
そして周囲を見渡して、蘇芳が撃ち殺した少女の亡骸をしばし見詰める。
やがて泣き疲れたか蘇芳は寝息を立て始めた。
嘆息し、黒は蘇芳をその場に横たえカノンの遺体へと近寄っていった。

蘇芳の銃撃によって胸を撃ち抜かれたカノンの顔は、不思議と痛みに歪んではいなかった。
ただ、何かを遣り残したような、そんな無念さだけが感じられた。

「…………」

黒は、何も言わずカノンが落としたフリーガーハマーを拾う。
ストラップを肩にかけ、腰に吊るす。
合わせてデイバッグも回収し、蘇芳を背負い足早に歩き出す。

黒の背で蘇芳は眠る。
あるべき場所に戻ってきた安心感を抱いて。
人を殺した――その罪の重さを受け止めきれないままに。
275契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 07:44:04 ID:vbpqsXnB


窮地を救われたということは黒も理解していた。
東京を脱出した後執拗に黒と銀を追ってきた組織の刺客でもないらしい。
だがそうだとするとやはり蘇芳の言っていることは黒には理解できない。
死んだはずのマオ、敵のドールであるジュライとともに旅をしたなど黒の記憶にあるはずもない。
だが嘘と切り捨てるには蘇芳の様子はあまりにも尋常ではなかった。

涙を流す契約者。
黒の知らない黒の記憶を持つ少女。


殺す気には、なれなかった。


蘇芳が殺してしまった少女に、黒はかける言葉を見つけられなかった。
最初から殺す気があったわけではない。
発端は誤解だったとはいえ、応戦していくうちに油断ならない敵だということはわかった。
しかしだとしても、黒にはカノンを殺さずに止められる確信があったのだ。

カノンへ投げつけた短刀にくくりつけておいたロープ。港を探索しているときに拝借したものだ。
愛用する金属製のワイヤーではないから
使い勝手は今ひとつだが、それでも一度くらいの能力使用には耐えられただろう。
弱めに調節した電撃で少女の自由を奪う。黒はそのつもりだった。

だが、蘇芳が介入してきたのは予想外だった。
もちろんカノンも反撃を試みていたためタイミングとしてはギリギリであり、もしかしたら黒は死んでいたかもしれなかった。
つまり黒が生きているのは蘇芳のおかげと言えなくもないのだが、その代償として蘇芳は人の命を奪ってしまった。

黒はすっかり殺しの感触に慣れてしまっていたが、この少女ははたしてどうだろうか。
目覚めればその現実と向き合わざるを得なくなる。

「……とにかく、身を隠す。ここからだと商店街が近いな……」


足を動かしながらも思考は止まらない。

この状況は「組織」の仕業なのか。
確かめる必要がある。

パートナーであるドール・銀も巻き込まれている。
早急に探し出さなければならない。

蘇芳は敵か、そうではないのか。
彼女が目覚める前に黒も蘇芳をどう扱うか決めておく必要があった。

拷問して情報を引き出すのか、懐柔して情報を引き出すのか。
結果は同じだがそこに至るまでの手段でこの少女との関係も変わるだろう。

やることは多い。
黒の死神は深く嘆息し、一気にスピードを上げ夜の闇へと走り去った。
276契約の星は流れた ◆RwUmY1K.wU :2010/09/08(水) 07:45:00 ID:vbpqsXnB

【カノン・メンフィス@蒼穹のファフナー 死亡】




【一日目 H-3 港 深夜】

【黒@DARKER THAN BLACK】
[状態]疲労(小)、全身に軽い裂傷
[装備]椎名の短刀×2@Angel Beats!
[道具]基本支給品×2、ロープ@現実、フリーガーハマー(残弾70%)@ストライクウィッチーズ
[思考]
基本:銀とともに殺し合いから脱出する
1:蘇芳の素性を確かめる
2:銀と合流したい
3:この殺し合いが「組織」の仕業かどうか確かめる
[備考]
※一期最終回後から参加。契約能力使用可能。


【蘇芳・パヴリチェンコ@DARKER THAN BLACK】
[状態]気絶、疲労(小)
[装備]なし
[道具]基本支給品×1、特別支給品0〜2個(未確認)
[思考]
基本:黒と旅を続ける
1:黒に自分のことを思い出してほしい
2:黒を守る
[備考]
※二期最終回、銀に魂を吸われた直後からの参加。
※ルールブックのページを数枚消費
277名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 07:45:44 ID:vbpqsXnB
以上です
一つ修正、>>272の最後の

届かない手を伸ばす。
暗闇の夜空、その向こうに求めた蒼穹があると信じて――カノンは目を閉じた。

を、

届かない手を伸ばす。
暗闇の夜空に一筋の流れ星を見つけた。
願い事があるとするなら、夜空の向こうに求めた蒼穹があってほしい――そう願い、カノンは目を閉じた。

です。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 08:41:48 ID:yfAiJez8
投下乙です
カノンマーダーか、と思ったら死んだw
黒の契約者組は独特の雰囲気があるな
279名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 08:55:12 ID:pxX0o0gI
投下乙です。
黒さんかっこよすぎだろ。
ただ例に漏れず銀死んでるんでどうなることやら。
ほんとこのロワ放送後は楽しみだ。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 09:48:54 ID:/T7EielH
投下乙
カノンはせっかく人助けしようとしたのに、助けようとした相手から殺されたか
人の事情も知らずに、首突っ込むもんじゃないね
ファフナーはよくわからんけど、フリーガーハマー使えるような超人なのか?
そこだけちょっと気になった

今まで死んだキャラまとめ

7/9【蒼穹のファフナー】
○真壁一騎/○皆城総士/○遠見真矢/●羽佐間翔子/●カノン・メンフィス/○春日井甲洋/○近藤剣司/○小楯衛/○要咲良
7/8【ストライクウィッチーズ】
○宮藤芳佳/●リネット・ビショップ/○エーリカ・ハルトマン/○ゲルトルート・バルクホルン/○フランチェスカ・ルッキーニ/○シャーロット・E・イェーガー/○サーニャ・V・リトヴャク/○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
5/8【武装錬金】
○武藤カズキ/●津村斗貴子/○中村剛太/●早坂桜花/○早坂秋水/○火渡赤馬/●ヴィクトリア・パワード/○ヴィクター
7/7【魁!!クロマティ高校】
○神山高志/○林田慎二郎/○メカ沢新一/○フレディ/○ゴリラ/○竹之内豊/○マスクド竹之内
2/7【ef - a tale of memories./melodies.】
●広野紘/●宮村みやこ/●麻生蓮治/●新藤千尋/○久瀬修一/○火村夕/●雨宮優子
5/7【GUNSLINGER GIRL】
○ヘンリエッタ/○ジョゼッフォ・クローチェ/○トリエラ/○ヴィクトル・ヒルシャー/●アンジェリカ/●マルコー・トーニ/○ピノッキオ
5/7【瀬戸の花嫁】
○満潮永澄/●瀬戸燦/●政/○シャーク藤代/○江戸前留奈/○銭形巡/○三河海
5/6【Angel Beats!】
●音無結弦/○仲村ゆり/○立華かなで/○ユイ/○日向秀樹/○直井文人
6/6【真・恋姫†無双】
○劉備/○関羽/○諸葛亮/○趙雲/○馬超/○曹操
3/4【エルフェンリート】
○ルーシー/●コウタ/○ナナ/○坂東
4/4【CANNAN】
○カナン/○アルファルド/○大沢マリア/○リャン・チー
2/4【Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
●吾妻玲二(ツヴァイ)/○アイン/●ドライ/○サイスマスター
2/3【DARKER THAN BLACK】
○黒/●銀/○蘇芳・パヴリチェンコ
60/80
281名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 17:14:51 ID:At4fvQKR
代理投下します
282◇vS6itX.Qts 代理:2010/09/08(水) 17:15:45 ID:At4fvQKR
そこはG-8、空港の近く。
月明かりに照らされ影が地に写される。
一人の少年は肉体が再生されたこと、多くの犠牲になった仲間がここにいることに驚きながらも動き出す。
この殺し合いから逃れるため、皆と共に生きるため。

「……」

少年、皆城総士は観察していた。
上半身裸、サスペンダーつきのズボン、生い茂った胸毛に腋毛、特徴的な髭。
往年のロックスターを思い起こさせる、年輪が重なった風格のある顔つき。
対象を間違いなく竜宮島にはいない、時代のねじれから生み出されたような存在と総士は断じた。
一目見たときにはまるで未確認生命体と遭遇したような、しかし喜びが込み上げることなく、フェストゥムとはまた別種の不安が彼を襲った。
ここでは便宜上、事前に暗記しておいた名簿から無作為に異邦人の名前を選び、彼の中でフレディと呼ぶことにした。
島の子供たちの中でも頭一つ抜けて聡明な総士は息を潜め、フレディの挙動を観察し、
スタンスを分析、接触の可否を判断しようとしたのだ。

「……」

しかし判断しようにも男、フレディは動かない。
ルールブックを逆に見て、目を細めていた。
かと思えばいきなり腕立てを始めた。
総士には理解できなかった。
今から腕立てを始めても疲労するだけで、つまるところ無駄だからだ。
だがフレディはまだ腕立てを開始して1回目だというのに早くも挫折してしまった。

(な、なんて根気の無い奴だ……!!)
283◇vS6itX.Qts 代理:2010/09/08(水) 17:17:01 ID:At4fvQKR
格闘家ではないかという予想を淡くも裏切られた総士は呆然とした。
地に堕ちたフレディを見て総士が意識せず小さく息を吐くと、フレディが人間の反応とは思えぬ速度で総士の方に振り向いた。
視線と視線がかち合い、互いに逸らそうとしない。いや逸らせない。
総士の中で後悔、恐怖が芽生えた。
常人ならば何らかの感情が表象する筈であろうに、フレディの瞳から感情が読み取れない。
むしろ自分こそ覗かれているような錯覚すらする。

先に動き出したのはフレディ、一歩一歩近づく彼の右手には月光を受け煌く『何か』。
総士は緊張しフレディの瞳から視線を離せず対策を取れないが、構うことなくフレディは近づいた。
フレディの日本人とは一線を画す、年代物のワインのような濃厚で熟された香りを嗅ぐことができるほど近くに。

するとフレディの左手が獲物を狩る獰猛な獣のように総士の右腕を掴んだ。
総士はその左手の強さに顔を歪めた。
痛みが混乱に陥っていた彼を覚醒させる。

(こいつ……!!)

総士が考えを巡らせようとすると、次にフレディは右手に持っていた『何か』を総士の右手に握らせた。
そうすることで総士の意識が遂にフレディから逸れ、『何か』に向かった。


トランペットである。


総士には意図が読み取れなかった。
ジークフリード・システムを制御し、時には冷徹な態度を取る彼には珍しいことに再び、混沌の渦中にあった。
フレディの意図を探ろうとすると、フレディは目を閉じ待ち望んでいる。

「……」

総士はトランペットを一瞥し、恐る恐る口に近づけていった。
彼自身の意思か、空気に流されているのか。
いずれにせよマウスピースを口にくわえ、力強く吹いた。

プ〜〜〜〜……
284◇vS6itX.Qts 代理:2010/09/08(水) 17:18:12 ID:At4fvQKR
情けない音が出た。
といっても総士はトランペットを吹いたことが無いので責めるのは酷であるが。
バツが悪い総士がフレディのほうを再び見ると、言葉は無く、しかしトランペットを求めていた。
トランペットを渡すと、フレディは間接キスになることも躊躇わずマウスピースを口に咥え、吹いた。






プォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!






「……」

「……」

「やめろ!!!!!!!」

しばしの放心の後、総士は激怒した。



【一日目 G-8 空港近く 深夜】

【フレディ@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:トランペット@現実、基本支給品、ランダム支給品×2 
[思考]
基本:総士につきまとう
1:???
※総士になつきました。

【皆城総士@魁!!クロマティ高校】
[状態]:激怒
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考]
基本:皆を探す、殺し合いには乗らない
1:フレディィィィ!!!!!!


※トランペットの音がG−8周辺で響きました。
285◇vS6itX.Qts 代理:2010/09/08(水) 17:20:00 ID:At4fvQKR
102 : ◆vS6itX.Qts:2010/09/08(水) 15:49:34 ID:M86UVkkU0
タイトルは 冷静と情熱のあいだ です。
投下お願いします。

代理投下終わりです

総士はトンデモない奴になつかれましたwww
状態表のあれは彼がクロ高に染まった事を現してるのだろうか…
286 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/08(水) 21:02:59 ID:SIVadZAN
したらばでの話し合いの結果、このロワは分岐制となる事が決定しました。
具体的なやり方はしたらば内にあるルール議論スレの494及び497にてあります。

皆様奮ってのご参加を期待します。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 21:06:06 ID:Jf7mub9C
投下乙乙
288名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 21:06:53 ID:Jf7mub9C
黒と蘇芳は参戦時期が違うのか
カノンはとばっちりだったな
フレディ話通じないな
総士は苦労しそうだ

>>280
正規の軍人だから10キロくらいの大砲なら普通に使えるだろ

2/7【ef - a tale of memories./melodies.】
●広野紘/●宮村みやこ/●麻生蓮治/●新藤千尋/○久瀬修一/○火村夕/●雨宮優子

あっと二人!あっと二人!
289名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 21:40:52 ID:/T7EielH
>>286
いまいちよく判らんのですがBルートに採用されるSSは、いわゆる死体役が出ないSSですか?
(01:邪気乱遊戯05:芽生える光と闇の中で除外?)
それとも、efキャラが死なないSSですか?
(01:邪気乱遊戯05:芽生える光と闇の中06:誰が為にその命08:女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。除外?)
290名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 21:45:50 ID:DX/WkiyN
自演してまで自分の意見を強硬に押した>>1の、一話死亡がなく、
かつef勢が活躍するというルールに従う者が移り住むルートって事だな
291名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 21:52:09 ID:x0xNe2kN
>>288
何これひどいwwwww
292 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/08(水) 22:04:39 ID:SIVadZAN
>>289
efに限らず早く減らしたいという勢いによって、多くの一話死亡が続出したので
現時点で分岐ルートは
教会と銃声、a hard day's night、冷静と情熱のあいだの三つのみ採用のルートを考えています。
こちらのルートは登場話での大量死やあっさりした死を少なく、キャラ一人一人をじっくりと書くルートにしたいと思っています。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:08:21 ID:kKAvikBe
大学多重票ごり押ししたのがきっかけなのに、分岐て。
正直この>>1なにも反省してないよな。
efのキャラ殺してるのは全て荒らしだと思い込んでる。

あれで>>1の大好きなefキャラ死んだ時にフェアに判断できるの?って思った人はかなり多くいたと思う。
その後efのキャラ死亡→修正要求を経ずいきなり破棄宣言。
じゃあお前が満足する死亡SS書いてみろと煽られる→自演で分岐ごり押し。

今にして思えば、返答に日付跨ぐまで不自然な間が空くこともあったし恒常的に自演してたんだろうな。
正直一番このロワ荒してるのは◆JnTFjVKio2だと思う。
294名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:08:50 ID:/T7EielH
なんと
一話死亡自体がNGだったとは…
295名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:12:14 ID:5v46qFlX
じっくり書いた結果止まったままになったロワがいくらあったことか
そういうことは死者スレでも十分できるだろうに
296名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:13:31 ID:kKAvikBe
この>>1がしたらばとかwikiとかの仕事を全くしてなかったのは不幸中の幸いだな。
正直無視しても何の問題もないし。
したらばが>>1の支配下だったらと思うとぞっとする。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:15:22 ID:DX/WkiyN
だが反対を無視して強行されたとはいえいつの間にか成立してる以上、仕方ない
誰も手を貸さなければ実質無意味だし
298名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:17:48 ID:yz/D3pgA
そろそろおっぱいの話でもするか
efのみやみやのおっぱいは美乳
異論は認めない
299名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:21:03 ID:/T7EielH
劉備のおっぱい体操で宮藤をリャン・チーの魔手から救い出す
300名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:26:40 ID:w555f2xv
>>99-103、キャラ一人一人をじっくりと書くルートにしたいと思っています(キリッ って言われてもなぁ。
下手とは言わないけど、人のSSをじっくり書けてていない扱いできるレベルとは思わん。

自覚無いかもしれないけど人が書いたSSをあっさりした死扱いってかなり失礼だよ。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:29:10 ID:G6BhKafu
緊張感が無い感じになりそうだな
剣客は名簿無かったからしょうがなかったけど
302名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:29:59 ID:/T7EielH
話数さえ重ねれば、そのキャラが描ききれるってもんじゃないからなあ
結局いつかは死ぬわけだし……二話目で死ねば、それは「キャラを描ききった死」なのかな
303名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:31:24 ID:RqfIlKKV
>>1は自分の贔屓のキャラが死んだというだけで悪認定してたけど、
大量死SSはどれも後のフラグ、他キャラへの影響、扱いにくいキャラの除外と
ロワにとって有益なものだったからね
自演なんかやってまで結果的にロワを衰退させようとする奴と比べる事自体が失礼
304名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:40:50 ID:kJTIWdJe
いやいや意味がわからない
大量死亡のSSがちょっとっていうならまだわかる。でもあっさりした死って何?
一人死亡はツヴァイや千尋やリーネ、斗貴子にカノンか。こいつらはしっかり描写されてるよね
結局のところ初回で殺すなってだけか?ロワやりたいんじゃないの?

1さんさ、あなた現時点で何か人を引っ張れることまだ何もしてないでしょ
発起人であることを差し引いても、したらばやwikiの管理をするわけでもなく率先して予約・投下を繰り返すわけでもない
現時点で最多投下はあなたが荒らし扱いした◆RwUmY1K.wU 氏で、他に二回目予約してる人は◆dEjq8b.G0U 氏だけです
二人ともあなたが言うところの大量死やあっさり死を書いた人ですよ?
あなたにこの人たちを批判する権利、本当にあるんですか?
305名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:42:13 ID:RqfIlKKV
っていうか口先で荒らし認定したことを謝罪しただけで行動は一切変わってないという…
ある意味>>1はすごい
306名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 22:57:12 ID:MifoQkl/
ちなみに>>1ってどれぐらいの権力あるんだ?
今みんなでなだめにかからないと企画の存続があやしいレベル?
307名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:00:33 ID:w555f2xv
>>306
ハハワロスって言って流せば良いレベル。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:06:38 ID:G6BhKafu
ここまで来ると1が書き手デビューしたロワが気になってくる
309名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:21:06 ID:MifoQkl/
>>1
ハハワロス
310名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:36:40 ID:n8AIEZj0
1よ諦めろ。もはやこのロワにあんたの居場所は無いぞ
311名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:44:53 ID:w555f2xv
もう気にしなければ良いんじゃない?
多分第一放送超えずに消えるし。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/08(水) 23:46:52 ID:yz/D3pgA
ハハッ ピラニアの水槽に迷い込んだかと思ったぜ
313名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 00:20:38 ID:m5KGc3Yd
                   、、、 , , _
     ,. -┬i^i、._     ィ`,、,、,、,、,.、'、
.   /    | | .|=ゞ=、 __l/\ v~/!|
   l.    l l l \\{f‖ミゞ, ,ィ≪:lf^i      もういい…!
 /ヽ.   ノ「,ト、「.lヘ‐iヾ|rー~r〉〉,こlレ'
/    `ヽ//| ト、ヽlイ| |/|{王王王王}ト、
|      レニ| lニゝ冫! l!L_, , ,ー, , , ,_」シ’、    もう…
ヽ    __|ーL|┴^ーヽ>'^ヾ二三シ´\\
 ,ゝ,/  .}二二二二二二二二二lヽ.  ヽ \   休めっ…!
l/ |ト、./´\             ||. レ'´ ̄`ヽ
  || !    、\            ||. /      :|
  || |.l l゙!.|i |ヽ)          |l/       /  休めっ…!
  || `ヘ)U'J           /-─   ,イ.|
  ||     _           /-─   / ヽ|   >>1っ…!
  ||  r‐-゙=っ`ヽ,.--r-─ ''"´ ̄`ヽ   /   }
  ||. {三二    | │          /   /
  ||.  ヾ=--一'`ーゝ        _,. く   ノ|
314名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 00:41:44 ID:UYbxb0Ku
今思うと>>1の出現に不自然な間隔空くこと結構あったよな。
9月5日とか。
頭は悪いけどムキになって議論しようとせずに冷却期間置く点だけは評価できるな、とか思ってたけど多分自演してたんだろうね。

あと劉備と銀を参加決定させたのも自演入ってるんだろうなぁとか。
もうアク禁にして貰ったほうがよくね?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 00:51:43 ID:098t+bU+
あのさ、>>1は冗談抜きでよそ行くべきだと思う
よそって言っても別ロワじゃなくて別スレ立てて別にしたらばとwiki借りるってことね

好きな作品が狙い撃ちされて悔しいのはわからんでもないが、対応がまずすぎた
荒らしと決め付けての破棄・アク禁要請、自分のこの身に合わないSSを乱雑だとか描写が薄いとか貶めたりね
極め付けが書き手の賛同者がいないのに分岐宣言したこと

>>1が声を上げた企画とはいえ、すでに多数の人が関わっている企画で自分のわがままを通そうとしちゃいけなかった
>>1に気に入られるSSでなきゃ駄目なのかって思った人は俺以外にも大勢いると思うしね
初手が破棄要求じゃなくて修正要求だったなら俺もまだ>>1を手伝おうって気にはなった。けど自分が不利になったら分岐に逃げるようじゃついていく気にはなれない

よく考えて欲しい。今このロワで本当に必要とされているのは大量死や即死亡話を書いた書き手とあなたとどっちなのか。
分岐して片方を見ない振りして無理に続けるより、きっぱりと袂を分かって別々に歩んでいく方がお互いのためだと思う。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 00:58:38 ID:uCGhCWgp
序盤から手抜きな大量死や即死亡話を投下されて悔しかったのは判るが対応が悪かったな
317名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:04:59 ID:kyxitIoR
そういや未だに誰も予約してない作品があるな
まあ俺も把握してないけど
318名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:07:49 ID:qd1yFp5y
まあ手抜きといっても>>1のSSよりは描写が濃かったしな
>>1はあらゆる意味でこの企画にはもう必要ない
319名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:11:26 ID:UYbxb0Ku
大元は大学投票だと思う。あそこで
「僕もefは大好きなので出来れば有効にしたいですが、大学票を有効にすると携帯による投票を禁止した意味が無くなってしまうので残念ながら今回は無効票とさせて頂きます」
とでも言っておけばみんな>>1を尊重してくれたと思う。
それが出来なかったからef死んだ時どーすんの?って>>1を試すようなSSが来る。
そしてそこでも対応に失敗。破棄要求自体も問題だけど、その後に修正要求で良くね?って意見が来た時にすぐ対応せずに(多分)自演して解決しようとした。
んで分岐の議論がでたら懲りずに自演でごり押し。
自演が明らかになってもまだ分岐制=efの復活を諦めない。

これで誰がついてくるの?
320名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:15:35 ID:uCGhCWgp
ef以外の作品で俺が好きな作品が幾つかあったのに…
まとめの人の対応の悪さと変化球投げた書き手に潰されたわ
321名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:17:47 ID:IN1hbmOk
銀出して予想通り処理されたな
多分、劉備を出したいからついでに、とでも思ってたんだろうが
322名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:18:54 ID:IkuGDLAh
逆だろ
>>1を排除するためにまともな書き手が団結した結果、ようやく正常化したと言ったほうが正しい
このロワはこれからようやく第一歩を踏み出したって感じ
323名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:19:06 ID:bVNDNY5o
分岐制になったんだからもうほっとけよ
324名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:21:56 ID:3kHsUdF0
どれが変化球だったのか、もうさっぱりわからんw
325名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:23:29 ID:kyxitIoR
変化球 みんなで投げれば 怖くない
326名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:23:56 ID:IN1hbmOk
>>322
1を抜きにしてもお前、気持ち悪いな
327名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:27:04 ID:kyxitIoR
どうやら>>1は去っていったらしい

ささ、元のSSスレに戻ろうか↓
328名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:30:18 ID:lcayG2E0
◆7ewj4lFaFUが予約荒らしだったみたいだな
期限一杯使って荒らしがひどいので〜って空気悪くするのが目的なのが見え見えw
329名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:30:25 ID:IN1hbmOk
なんか>>322ってアニ3から来ましたって感じがするわ…
気持ち悪い…
330名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:37:30 ID:npn+l7VS
ロワは食わず嫌いしていたef好きのSS書きだけど
ひょんなことから今回のこの深夜ロワを知ってちょっと期待していたんだ
でもこうなってしまったらもうこの企画自体興味を失った
しばらくは巡回スレに入れたままにするけれど
やはりパロロワ自体水に合わなかったと思って去るよ

よく知らないけれど他ロワでも似たような不思議な駆け引きがあるみたいだし
触れない部分だな
331名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:42:17 ID:QaUsd9jv
1660 :やってられない名無しさん:2010/09/09(木) 01:39:04 ID:???0
集団ヒステリーで戦争はじまったときって、どっちが勝っても書き手が激減するからねえ
気に入らないものの排除に夢中になって遊び場壊してどうすんの
332名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:45:03 ID:m5KGc3Yd
なんてあからさまなマッチポンプ・・・
333名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:45:31 ID:kyxitIoR
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
334名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:45:35 ID:uCGhCWgp
                    ,===,====、
                   _.||___|_____||_
                // /||___|^ l|    楽しく使わなかったばっかりに、
                    // //||   |口| ||    仲良く使わなかったばっかりに。
             // //||...||   |口| ||
            // //. .||...||   |口| ||
          // //   ||...||   |口| ||
         // //.    .||...||   |口| ||
 ""   :::'' |/   |/ '' "  :::  ⌒  :: ⌒⌒⌒ :: ""  `
 :: ,, ::::: ,, ; ̄ ̄ ̄  "、 :::: " ,, , :::   " :: " ::::  "


335名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:49:57 ID:IN1hbmOk
まあ延々1を叩く書き込みよりはこんな転載の方がマシかな?
1周して>>1を過剰に叩く奴もムカついてしまいから不思議
336名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:52:25 ID:m5KGc3Yd
>>335
よーし、今度は>>1を叩いてる奴標的にすっかそんじゃ
337名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:53:05 ID:lcayG2E0
交流所に突撃でもするか?
でも今はもうないんだっけ
338名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:55:01 ID:IN1hbmOk
>>337
誤爆で同意得られなくて残念でしたねwww
339名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 01:56:22 ID:tRFu70k0
>>1が無能で邪魔だったのは確かだが、それをいつまでも叩くのはどうかと思う
>>1以外のSSはまともなんだし、>>1ルートの事はキッパリ忘れたいな
できればしたらばやwikiも>>1管理で別にしてくれるといちいち目にしなくていいんだが
340名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 02:14:39 ID:kyxitIoR
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
341名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 07:02:46 ID:Pkwe7HtK
銀は好きで書きたかったけど、対主催で組ませるとチートすぎて処分されて
マーダーと遭遇させると運動神経低すぎて死ぬ
つぅ未来しか思い浮かばんw

長生きできるキャラじゃないんだよなあ
主催側で監視担当でもしているのが似合っている
342名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 13:09:33 ID:aINcz4wV
銀は銀で誰かに拾われる可能性も勢いで誤殺される可能性もあったが
ここから先は個人の好みの問題だな
343名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 13:53:32 ID:5pbwpFMx
単純に書きにくいしなぁ。
344 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:18:44 ID:dB/WBZoJ
投下します
345心臓に放たれる迷いの銃弾 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:19:33 ID:dB/WBZoJ
夜。
海が近くに見える市街地。
そこで一人の少年が佇んでいた。
顔つきは一言で言えば優しそうといえる。
けれど彼の表情は、名簿を開きとある人物の名前を目に留めて一変する。

「翔子………翔子!!!!!???」

春日井甲洋。
ファフナーのパイロット。
そして翔子に密かに想いを寄せる男の一人でもある。
性格は穏やかで少々ノンビリした雰囲気を持つ、というのが彼のパーソナリティだ。
恐らくこの殺し合いを強要される場所に置いても、彼はすぐには殺しを決意する事は難しい。
けど、それはこのような状況に置いては異なる。
今の彼は普段とは違う。

「どうして翔子がここに……生きてたのか?けどどうして………いや、今はそんなことは考えるな。
翔子がいるなら、俺が………俺が助ける!一騎じゃない。俺が、俺が翔子をっ」

力強い決意。
一騎は翔子を助けられなかったが、俺は違う。
そんな想いを甲洋は抱いた。
彼は拳銃を握り締める。
一人しか生き残れないなら、絶対に翔子を助ける。
それが彼の決断。
行動方針、揺るぎ無き指針。

「……とにかく、まずは翔子を見つけなきゃ」

甲洋は夜の街を駆け出す。
探すべきは自身にとって大事な存在である翔子。
ただ一人。


********

346心臓に放たれる迷いの銃弾 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:20:55 ID:dB/WBZoJ
「うーん。せっかく夕くんにマフラーを渡して感動的なお別れしたと思ったのに……もちろん私だって
『もう一度夕くんと二人で生きたかった』とは思いましたよ。でもこれはないでしょう。これは。
殺し合いなんて……ああもう。最悪です。とても気分が悪いです」

雨宮優子は海に向かってぶつくさと愚痴をこぼしている。
それはミステリアスな彼女の雰囲気をかなり台無しにしてしまっているが、それでもやはり彼女は美しい。
その綺麗な横顔は、俗世にまみれ気味な愚痴をこぼしてもなお、その周囲を別世界に彩っていた。

「どうしましょうねえ。流石に殺し合いに乗るわけにもいきませんし、かといってあのSFみたいな首をちぎっちゃう人を
相手に戦うなんて私にはとてもとても……難しい問題ですね」

優子は大いに悩む。
独り言。
決して多弁というわけではないが、この異常事態には彼女も少しばかり動揺してしまい、調子を崩してしまっているのだ。

「見つけた。………悪いが死んでくれ!」
「えっ?」

突然の異質な音。男性の声である。
その声に優子が振り向く。
すると一人の男、恐らく生きていた頃の自分と同い年か少し年下ぐらいの男が自分に銃を向けていた。
春日井甲洋である。

「……えっと………私に銃を向けてるんですか?」
「ああ。俺は翔子と生き残る。だから………死んでくれっ!」

(…………うわー。私いきなり死んじゃうんですか。それもこんな知らない人に撃たれて。それよりもまずは翔子って誰と
突っ込みたい気分ですけど、そういう雰囲気じゃありませんよね。……まあいいんですけどね。既に死んでるのに、
他の皆さんを殺してまで生き残るのはさすがにどうかと思いますから)

「はいはい。まあ銃口を突きつけられたら私みたいなか弱い女の子はとても抵抗できませんからしょうがないと思って諦めます」
「っ!」

甲洋は思わず狙いがぶれる。
想像以上に飄々とした態度に底知れぬ何かを感じ取っていたのだ。

「ああ。でも待ってください。私も女の子ですからね。顔や頭は撃たないで下さい。どうせなら綺麗な顔のままで
死にたいですからね。もちろん痛いのも嫌ですし………左胸を撃ってください。多分即死しちゃうと思います」
「………」
「『………』じゃないですよ。何黙ってるんですか?まさかそれぐらいのお願いも聞かないつもりですか?」

その態度に甲洋は何か、不気味な物を感じる。
相手は銃口を向けられ、特に何をしようというでもない。
その態度がむしろ逆に嫌な感じを助長させる。

「あのですね。私も暇じゃないんですよ。撃たないのなら私はもうどこかに行っちゃいますよ」

優子は半ば呆れたように嘆息する。
けれど、甲洋は銃口を向けたまま微動だにしない。

(くそっ、………どうするっ!撃つのか?俺が女の子を………でも翔子を助ける為だけど…………駄目だ撃てない!けどっ!)

甲洋は目の前の優子を前に逡巡している。
撃つか撃たざるか。
心拍は高鳴り、銃を握る腕は震える。

「はあっ、………もう行っちゃいますねー」
347心臓に放たれる迷いの銃弾 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:23:09 ID:dB/WBZoJ
優子が一歩、甲洋へと近づく。
それは小さな一歩。
ただ優子は撃てそうにない甲洋を見かねて、彼の横を通って適当に街へと行くつもりだった。
だが、その一歩は均衡状態を崩すには充分過ぎる一歩であった。

「ぐっ!」

思わず甲洋の口から出たのは意味を成さない声。
否、思わず引き金を引いてしまい漏れ出た声。
けれど、銃は構造上、引き金を弾けば銃弾は発射される。
そしてそれは、優子の左胸に吸い込まれていく。

鈍い音。
優子は左胸に強い衝撃を受けたのを感じると、そのまま背後の海へと落下する。
大きな水の音が響く。
もう目の前には雨宮優子の姿は無い。
彼女の支給品が入ったバッグだけが寂しく残されているだけだ。

「俺………殺したのか?」

呆然とした呟き。
殺すはずじゃなかった。
実際に相手を目の前にして、甲洋は思い留まろうとしつつあった。
しかしそれを崩したのは他ならない優子の一歩。
その動きに、引き金は驚くほどに軽く引かれ、銃弾が射出された。
事実は半ば事故でしかない。
しかし本質は異なる。

「……………殺した。くそっ!!!!」

その場で地団駄を踏むが優子は生き返らず、甲洋は静かに下を向く。

(ちくしょう。………もう引き返せないのか。殺した手で皆と………ああ分かってる。もう遅いさ。俺は人を殺した。
これは事実だ。もう戻れない………)

長い逡巡。
そして顔を上げると、その表情は迷いが無い。

「引き返せないなら……翔子だけは絶対に救ってやる!!」

今、一人の男が修羅の道へと足を踏み入れた。

【一日目 C-2 大陸側 深夜】

【春日井甲洋@蒼穹のファフナー】
[状態]:健康 強い決意
[装備]:USSRマカロフ(8/8)@CANAAN
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜4 USSRマカロフの予備マガジン×9  
[思考]
基本:羽佐間翔子を優勝させる
1:翔子以外を殺す

[備考]
登場時期は7話以降
348心臓に放たれる迷いの銃弾 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:24:38 ID:dB/WBZoJ
「はあ、いったいどうしよう。殺し合いなんて出来ないよ……けどあの人また悪い事たくらんでるみたいだし、
ちゃんとやっつけないと駄目だよね……」

劉備は一人、海を前に黄昏ている。
殺し合いなど出来るはずも無く、非常に困った表情を浮かべている。

「とりあえずみんなを探さない。それからあのひとをやっつける方法を……きゃっ!」

劉備が考えを纏めようとすると、ふいに正面から人影が現れる。
思わず可愛い悲鳴を上げながら後ずさる。

「だっ、誰ですか!」

咄嗟に日本刀を向けて、影へ問いかける。

「いきなり悲鳴を上げるなんて酷いですね。少し悲しいですよ」
「いや、怪しいからっ!とっても怪しいですからっ!!」
「私は怪しい物じゃありませんよ。ちょっと人に胸を撃たれて海に落ちちゃっただけです」
「えっ胸って………大丈夫ですか!?」

目の前の人に胸を撃たれたといわれ、思わず心配する。
けれど目の前の女性は特になんとも無いように言う。

「はい。服の下にこれを入れてたのを忘れてまして。何だか丈夫そうだなって思ったからお守り代わりに入れたんですけど、
想像以上に丈夫で驚きました」
「はっ、はあ」

女性は服のしたから何やら角ばった鉄の塊のような物を見せる。
見たことの無い物だ。
またつかみどころの無い雰囲気を纏った女性には、劉備も会話を続けるのに困ってしまう。

「……あの。そういえばこれは?」

劉備は目の前の女性が自分バッグを持っていないことに気付き、とりあえずそこからアプローチを試みる。

「えっ?……そうだ。向こう側………あー多分、取られちゃいましたね。困ったなあ、みんな無くなっちゃいました」

紛失したらしい。
それで思わず劉備もこんな提案をする。

「あの。でしたら一緒に行きますか。食べ物とかも無いと困りますよね」
「そうですね。行く宛もありませんからいいですよ」
「ではまずは……着替えを探しましょうね」
「はい。実は濡れていて動きにくいので助かります」
「いえいえ」

こうして女二人の珍道中、始まる。
349心臓に放たれる迷いの銃弾 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:25:52 ID:dB/WBZoJ
【一日目 C-2 小島側 深夜】

【雨宮優子@ef - a tale of memories./melodies.】
[状態]:健康 びしょ濡れ
[装備]:核鉄(詳細不明)@武装錬金
[道具]:無し
[思考]
基本:殺し合いに乗らないが、行動の具体案は無い
1:とりあえず劉備と一緒に行動。服の着替えを探す。

[備考]
名簿を見ていない


【劉備@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:瀬戸燦の日本刀@瀬戸の花嫁
[道具]:基本支給品、ランダムアイテム0〜2
[思考]
基本:仲間と合流して、この殺し合いを止める。
1:優子さんと一緒に行動。彼女の着替えを探す。
350 ◆7jHdbxmvfI :2010/09/09(木) 17:28:00 ID:dB/WBZoJ
投下完了です。
このssは分岐ルートの方へ収録お願いします
351名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 18:07:52 ID:48JjzZaF
投下乙
ハハワロス
352名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 18:46:36 ID:ihbuWXvY
投下乙です
甲洋はやっぱりマーダーかw
とりあえずコンビが出来たか
353名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 20:24:38 ID:Z0MiRvsA
投下乙
優子分岐しても死ぬのかと思った
甲洋はまだ殺してないのに、次はマジで誰か殺しそう
354名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 21:02:40 ID:3kHsUdF0
分岐ルートは序盤死はなしでしょう
355 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:17:54 ID:0Xq7UPZ2
投下しますんすん
356名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:19:00 ID:Ba8Zsz9z

357 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:19:20 ID:0Xq7UPZ2

いいか、おまえら

        (゚д゚ )
        (| y |)


ここに三点リーダーと呼称される記号がある。
多くの場合無言や沈黙、もしくは分の省略を示すものだな。

        ( ゚д゚) 『……』
        (\/\/


この三点リーダー。
特に厳密に定められているわけではないが、
文章を書くときは『……』もしくは『…………』など偶数個つけるのが一般的だ。
まあ、奇数で使っても問題があるわけじゃない。
PCゲームなどでは『…』のように一つであることもざらにある。

         (゚д゚) 『…………』
        (\/\/
358 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:20:02 ID:0Xq7UPZ2

そこで、当スレで『………』の文字列を抽出してみた。
抽出されたレス数は19だ。
その内、『…………』の四つ付けが複数あるが、ここでは奇数で使用されている例に注目してみよう。

           ?
        ( ゚д゚) 『………』
        (\/\/


抽出された奇数例SSは三つ。

◆JnTFjVKio2氏の書かれた『未来のコロッセオ、生放送開始』と『教会と銃声』、
◆2u7VFI8mcw氏の『女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。』、
◆7jHdbxmvfI氏の『心臓に放たれる迷いの銃弾』、だな。

        (゚д゚ )
        (| y |)
359 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:20:51 ID:0Xq7UPZ2
このうち『女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。』では、
>「…………………」
として使用されている。だがひとまずこれは置いておこう。

『未来のコロッセオ、生放送開始』と『教会と銃声』、そして『心臓に放たれる迷いの銃弾』。
この三つでは『………』が頻繁に使用されている。
というかこの二人の書き手氏、おかしなことに二人とも……をいくつ使うか固定していない。
二つだったり三つだったり四つだったり五つだったりする。
時には一行の文の中で

>「さっ………○○さんっ?………………えっ……嘘?いや、うそ、うそでしょ……」
>「どうして○○がここに……生きてたのか?けどどうして………いや、今はそんなことは考えるな。

このような事例もある(プライバシー保護のため個人名は伏せております。ご了承ください)。

           ?
        (゚д゚ )
        (| y |)
360名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:21:42 ID:Ba8Zsz9z

361 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:21:41 ID:0Xq7UPZ2


そして思い出してほしいのだが、『女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。』ではefキャラクター新藤千尋が死亡している。
『教会と銃声』、『心臓に放たれる迷いの銃弾』ではefキャラクターが出ているものの、死亡していない。
ちなみに、『女の子は世界に一人。だから彼女は神様だ。』は分岐ルートには採用されていない。

         (::::::::)y-~~ …………
        (| y |/
362 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:22:53 ID:0Xq7UPZ2

つまりだ。
この二人の書き手には非常に似通っている部分があり、
ともに分岐に賛成していて、ともにefキャラが……ん?

           ?
     ◆2u (゚д゚ ) ◆7j
        \/| y |\/    >カチッ




            !!     ___ 
        ( ゚д゚)        ○_||__)~ 
        (| y |)       ○○__||___)~ 
                     カチカチカチカチ

363 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:23:53 ID:0Xq7UPZ2
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::'''''''''''': : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::''": : : :                     : : : : : : : : : '''' ー - 、:
....................                                :
:::::::::::::::::::::::::....   _................................つ......核.....世  二.............::::::::::
:::;;;;、-ー''''''''''''''''''............................................つ......の.....界:::::○;;;;::::::::::::::::::::
".......:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ま::::::炎:::::は:::::○::::::~~ ''' ー-
:::::::::::::::::::'''''''''''             れ  に::::   ×''''''''''''''''::::::::
                     た.       年: : : : : : : : :
、,;;;; :::::                 //           ,,,,,,、-'
:::::::~' 、;レノ               ・・       ソ::ヽヌ"  ,、-':::
:::::::::,'((イ(( ソ" : : :从:::::.....      ...      ´ヽ::::ヽシフ":::::::::
:::::::,'ツッ(:Y 〉人::::::::;;;;;;;;:::::::::: ,,  ...::::::::::)(:::: ::: :::、..|ー、::',ノ:::::::::::,、
~' 、i i;;;リ")f::リ):::::ゝ乂:::Y::::::::::::ミ::::y(::::::::::ー、:~' 、:::ノツ {:::;;;;i|〉:::,、 '"
ニ=( 彡リ"}、〈' ' ' ':::::  ::ノ)::::ミ:(::::: 'ー、ノ ノ::::(( )))Yrノ、)|〆:::::::::::
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~'=、;;;;|;;ー_~'___ __,,,,,,,,},,,,,,,;;;;;;;));i;i;i;;i;;;、;;;;;;;;:るヾ;;;ヽヽ~'、.............
ミ|iii~'-if、マ――― ―=ー三三二=――===;;イ彳ツ:;:从Y))、;;;;;;;;
:::::' 'ii,'ij:~iー、;;;;;;;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::;;;;:;:;:;:;:;:;;;;;;;;;:;:;:;:;/ィ〈:;::;:;jjノ((tヽ:::::::::
三::: }}ii|::j::|||:;:;:;:;:;:;,、-ー'";;;;"""""" ;;  j;;} ::;:;:;:;:/ソ从ノノ:;:;:;:/;;~'''"
二::::::::三=+}{;;;} :」}  |;;l j| :: ::  j;;;} |;;}  ,,/〆/:;:;:;:;://::|;;|}
;;;;;;:::::::ニツi彳{;;} :{;;||| |;;i||:|;| ::,,::、 ::j;;;;|iij;;;;}从/サyY:;:;:;///::|;;、-ー'''''''
::::::::: ij;;t〉ッツ;;;;}r{;;;|iii i|;;;;;ij;、'"彡''''ヽ、;;;;;;;;;////_ー、///;;、'":;:;:;:;:;;;::::
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;;、=''"=i'"ヒii:::::::::::::::ゝ"互;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;彡'、,、'",、-'":::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
::::::::::|::::::|三 |ヽ,、-'""";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;~',、-'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
364 ◆LteWzgyHpg :2010/09/09(木) 23:24:35 ID:0Xq7UPZ2


                   -―……―-
           /⌒ヽ´: : : : : : : : : : : : : : : : >.、
           /. : : : : : : : : : ヘ: : : : : : : : : : : : .:.:.:.ヽ
          / /: : : : : : : : : : : : ハ: : : ヽ: : : 、: : : : :.:..:.:.,
        ′/    〃 ,ハ  . . . :. . : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.
          i:.:.′.:.:!/ .:./  ∨:. : .:.:.!: .:.! .:! : : :!: : : : :.:.:.:.:.i
          |:.:. .:.:.:.i:. :.├  }.:.: : :.:ハ:.:.;i.:.:|==|: : : :i:.:.:.:.:.:|  以上、投下終了です!
        :.:.|:.:.:.:.|:{.:.:.{―‐ノハ:.:.:/ニ}/ハ:.:}==|:. : : |:.:.:.:.:.:|
        ヽ{、:.:.::!ハ:.:.ト┃  }:/ l::: }/|:.:.:.:.|:. : : |:.:.:.:.:/
              \{ 小} ┃ _{_└―┘.! :.:.:.|:. :.:.i|:.:.:.    タイトルは
        ず    |:(-‐ ___` ̄ ̄ ̄} : :.:.|: .:.:.リ/   『こんな話にマジになっちゃってどーするの』。
        ず :     i:.:> _||||||__ __/ :.:.:.i|:.:/
       ず     }/ヘ/ノ|||||| /V´/イ:.:.:.:リ´        支援ありがとうございました。
        :       _ _ ||||||イ/示Y⌒}:.:.:/             ちゃんちゃん♪
.         , --―‘ー'ー' ||||||┴‐ノ   ハ:/
         {`''<ZZZZr‐'⌒Y ̄´   /: :}
           、       ヽ. _}_,_ ノ: : イ                       糸冬
         \         /: : : : /                   ---------------
            r――――r: : : : : :/ヽ                 制作・著作 21深夜アニロワ
              ̄( ̄( ̄´ヽ ___ノ⌒ヽ
                   ̄` ー―'――――‐'
365名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:24:56 ID:wmTfYXg5
敵の潜水艦を発見!
366名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:32:29 ID:0Xq7UPZ2

           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           | 助けに来たぞ!さあ早くこっちに乗り移れ!
            \______________  ___
                                 ∨
                                . | ∧∧
                                | | (; ゚Д゚)
                              ┌───┐つ
                               |     ''|
               ┌┐ ┌┐ ┌┐     .|      |
 | ̄\    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 |   \ /        【アニメキャラ・バトルロワイアル3rd号】        \
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
367名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:41:02 ID:m5KGc3Yd
>>366
それ大穴空いてるし
368名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:49:36 ID:48JjzZaF
もうお前ら大好き
369名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:50:10 ID:Z0MiRvsA
新作wikiに載ってないな?
いつ載るんだろ?
370名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:50:19 ID:/kbUN0Z2
くそわろたw
371名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/09(木) 23:50:21 ID:sDcYvyS9
もうひっでえなwww
372名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:03:15 ID:fX0RtkS3
ここまで作品
373 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 00:44:30 ID:zt78zmH/
投下します
夜の闇。
少しばかりの林に囲まれた中で斗貴子は不思議な現象に首を捻っていた。

「どういうことだ?核鉄を渡されたのはいいが………どうしてバルキリースカートにならない?」

斗貴子は支給された武器の中に核鉄があったことを幸運に思ったが、おかしな事にバルキリースカートに変化しない。
参加者名簿に名前の無い毒島の武装錬金であるエアリアル=オペレーターへと変化するばかりだ。

「何故だ。………説明書きには変化がアナザータイプに固定されていると書かれてあるが………そんな細工出来るはずが………」

普通ならありえない事に斗貴子は首をかしげる。

「おかしい。このような真似を出来る者が居るとは………」
「あのー」
「うん?誰だ」

首を捻っていると背後から声を掛けられる。
女の声である。
そしてその声からは殺気は感じられない。
斗貴子は特に警戒せずに振り向き、そして――――

「っ!!!???」

――――衝撃を受けた。

「きっ、君その服はっ?」
「えっ?何かおかしいですか?」

思わず声が上ずる。
上半身はいい。
特別変わってない制服を基調としたしっかりした服だ。
だが問題は下半身である
パンツ一丁だ。スカートを穿いていない。
異常である。

「いやいやいやいや。おかしいだろ!スカートはどうした」
「スカート?別にこれで普通じゃないんですか?」
「はあっ!?恥ずかしいだろそれは」
「?」
相手の反応に斗貴子は戦慄のような物を覚える。
彼女はその服装を恥ずかしいと思っていない。
いや、恥ずかしくないだけなら露出狂なだけとも言える。
だが彼女は違う。
その姿が何の違和感も感じさせないぐらいに自然体なのだ。
自然体で公衆の面前で下半身パンツのみという格好でいる。
違和感を感じさせない自然体でありつつ、即座に違和感を覚えさせている。
ある意味とても恐ろしい事である。

「……………………一応聞こう。君の世界ではその格好は普通であり、皆そのような服装をしている。そうなのか?」
「はい。名簿を見ましたけど、私以外に七人いますよ。私と同じような服装の人は」
「………………………………………………………………」

カルチャーショッッッッッッッック!!!
今の斗貴子の感情を言葉にすればまさにそれだ。
しかし口からは言葉にならない。
激しい動揺に、斗貴子は完全に調子を崩してしまったのだ。

「それであの……もしよければ私が守ってあげますけど」
「えっ、いやいやいや、私が君を守るの間違いだろ。私はこれでも戦士だ。守られる側の人間じゃない」
「それなら私だって軍人ですよ。これでも曹長なんですから」
「えっ!」

またしても驚きだ。
曹長。
それは軍隊における階級の一つであり、下士官の中で最上級の位に位置する。
はっきり言って自分より年下と思われる少女が貰う階級ではない。

「なるほど……どうやら本当に君は私とは違う世界の人間のようだな」
「違う世界?」
「なんでもない。独り言だ。それよりも君はこれからどうする?」
「もちろんこの殺し合いをとめます。みんなで帰りたいから」
「なるほど。私と君は……文化の違いはあれど気は合いそうだ」
「そうですね」

斗貴子はもう、考えるのを止めた。
異世界とは半信半疑だが、あの服装を全くの自然体で着こなすとは自分の世界では考えられない。
異国の住民でもあのような服装は恐らく無い。
世界が違えばしょうがない。
そのように強く思い込む。
そしてどちらからともなく歩きだす。
斗貴子はもう、アナザータイプがおかしいという疑問はどこかに言っていた。
このような服装で軍人になるような世界があり、そんな異世界と自分の世界を繋げるような主催者だ。
核鉄の細工も出来ないことではないかもしれない。
そう強引に納得し、斗貴子はリネットと二人、歩きだす。
【一日目 D-7 森 深夜】

【津村斗貴子@武装錬金】
[状態]:健康
[装備]:核鉄(エアリアル=オペレーター)@武装錬金
[道具]:基本支給品 未確認支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:弱い人間を守りつつ、殺し合いに乗った人間は倒す
2:カズキと合流を目指す

【リネット・ビショップ@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 ストライカーユニットP-51@ストライクウィッチーズ 確認済支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:弱い人を守りたい。
2:ウィッチの仲間と合流する
377 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 00:48:42 ID:zt78zmH/
投下完了です。
wikiへの収録はルートBの方へお願いします。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:52:59 ID:/7PAMIVe
もうヤケクソになってるな…
379名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:54:30 ID:Iz0QaVBe
は?
「wikiへの収録はルートBの方へお願いします。」?

自分で分岐させたルートなのにwiki収録すらも人任せなの?
一向にwikiに別ルートの項目作られないなとは思ってたけど、まさかそれすらも人任せにする気だったの?

・・・あきれてものも言えない・・・
380名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:54:55 ID:SZTi5V8g
哀れすぎて逆にもっと殴りたくなるレベルだな
どうでもいいけど、分岐なんて面倒な要素入れたんなら収録くらい自分でやれよ
381名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:56:34 ID:JYVJsi2Z
◆7jHdbxmvfI氏に質問なのですが銃の弾減ってないような……?
説明お願いします。

>>377
自分で分岐させておいてwikiはよろしく!とか凄いですね。
自分で管理複雑にしたのなら自分で準備するのが筋だと思いますが……。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:58:32 ID:fX0RtkS3
まままままま待てこれは>>1を装った者が悪評を広めている罠だ
騙されるな
383名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 00:59:12 ID:SZTi5V8g
あとSS自体はびっくりするほど面白くありませんでした
斗貴子さんのキャラ勘違いしてませんか?
384 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:03:26 ID:zt78zmH/
いや、ちょっと待ってくれ
wikiはよろしくというか、他の書き手も別に自分で収録してるわけじゃないみたいだから
それが普通と思ったんだが。
そもそも書き手である自分はssは書けるけどwiki整理という高度な技術持ってませんし。
だから話し合って住民に納得してもらったんだけど。
wiki職人さんがしてくれると思ったから自分はssに専念出来ると思ってました。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:04:51 ID:SZTi5V8g
専念してこの出来というのにも突っ込みたいですが、そう思ってるならもう別にいいです
色々がんばってください
386 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:06:07 ID:gcMbfQaj
まあなんていうか、単なるトリバレなんですけどねwww
387名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:07:16 ID:ksEIDZwo
wiki整理が高度な技術とか、そんなこと全くありませんよ
それ言うなら寧ろSS書く方が高度な技術です
388名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:08:11 ID:/7PAMIVe
wiki職人ってなんだよwwwwww
389名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:08:23 ID:JYVJsi2Z
トリバレwww
でも正直この>>1だと不味くなったら鳥バレって言って逃げる可能性否定できないんだよなぁw
IP変えたり携帯使ったり。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:09:07 ID:iYtvVChL
もういい・・・>>1……てめーにはあきれて・・・何も言えねえ・・・
391 ◆W7I9TBqUrU :2010/09/10(金) 01:10:38 ID:JYVJsi2Z
テスト
392 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:11:04 ID:gcMbfQaj
疑り深いな、まあ俺本物だからググったりなんてしてないよwww
でもしたらばへの書き込みは遠慮しまーすwww
#アニソン等
393名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:12:44 ID:Q4+4spSA
もう目障りだからしたらばでアク禁した方がいいかもねこれ
自演で一回イエローカード出されてるし
394 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:12:56 ID:JYVJsi2Z
ん?こっち?
395名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:13:38 ID:fX0RtkS3
本物は誰なんです?
396名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:14:01 ID:Iz0QaVBe
トリバレだとしても他人が予約して5時間ですぐ書き上げて投下できるとはとても思えませんが
携帯で自演してるんだろうな・・・
397 ◆JYVRFa7EQ9vH :2010/09/10(金) 01:14:33 ID:zt78zmH/
とりあえず一度酉を変えます。
それと>>392と自分は別人です。
398名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:14:36 ID:2TE1+XSU
>>395
誰であろうと関係ない、>>1である事自体が罪だから
色々工作して叩きを逃れようとしても全て無駄
399 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:15:13 ID:JYVJsi2Z
>>384
釣られたwww
◆JnTFjVKio2 投下→◆7jHdbxmvfI 呼び出し→ ◆JnTFjVKio2 呼び出し
ってやろうとしてたのにw
400 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:16:48 ID:JYVJsi2Z
予約したのは本物なの?
だとしたら>>1の問題全く解決してないぞwww
荒らしがやったことにして頭冷やした方がいいwww
401 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:18:10 ID:gcMbfQaj
そっちは管理人の領分だろ、あいつも相当アホっぽいけど
ところで本物の俺が言うのもなんだけど、>>393お前真性ですか
402名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:18:43 ID:LsIbPx14
何が起きているのか理解不能状態
403名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:19:55 ID:2Z+aNSX3
俺には聞こえる…「早くアク禁して俺にとどめをさしてくれ!」という>>1の悲痛な叫びが












お前らがここまで>>1を追い詰めたんやで!!!!!!!!!!!!!!!!!!








404 ◆JYVRFa7EQ9vH :2010/09/10(金) 01:21:15 ID:zt78zmH/
IPじゃ無くて、IDを見たら分かると思うけど荒らしは投下した人とは別人。
それから酉バレしたので、以後この酉を使います。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:21:41 ID:Iz0QaVBe
とりあえずしたらばの議論スレに書き込んでください。でなければ確認が取れません
406 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:21:47 ID:fX0RtkS3
みんな落ち着いた方がいい
疑心暗鬼はロワの華と言えど俺たちが疑心暗鬼になってどうする
407名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:22:51 ID:W8UAIvSe
いや、マジで態度が本物とは思えないが…
切れた可能性も0ではないが…
他人の鳥で好き放題はやり過ぎ
408名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:24:09 ID:4pnjTX0B
面白いもんなら読むし、そうでないならNG
いつまで続くか知らんけどそれまでは楽しませてもらう
409 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:24:28 ID:JYVJsi2Z
結局
>>こちらのルートは登場話での大量死やあっさりした死を少なく、キャラ一人一人をじっくりと書くルートにしたいと思っています。
って言ってた>>1のSSが>>374-376って問題は解決してないでおk?
410名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:24:49 ID:2Z+aNSX3
酉バレじゃないとしたら、真性で「俺は分岐制をゴリ押ししたが、wikiをそのようにする義務はない。誰かやれよ」とか言ってたのか…
ある意味凄いな
411 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:26:52 ID:UamB8OGO
Wiki職人とかwwww
管理人やるのは確かに難しいけど、
編集なんざ30分ありゃ余裕で自分のSS収録出来る
難しければ聞くなりFAQ読むなりすればいい

SS書きさんには「描写が薄い」とか言うくせにw
もし絵師さんが現れたらどうするのかね。efキャラ書けって詰め寄るのかね
412名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:27:59 ID:W8UAIvSe
普通にお願いしますみたいな軽い気持ちで頼んだだけだろ
いつまで粘着するのやら
413名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:29:01 ID:2Z+aNSX3
分岐制みたいな大きくロワの形が変わる物をゴリ押ししておいて
「軽い気持ち」「普通に」・・・すっごいなー
414名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:30:07 ID:rt0/Mb4u
誰か>>1用に新規したらば作ってやれよw
wikiは弄れないみたいだから必要ないけど
415名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:31:04 ID:Iz0QaVBe
分岐制を採用するに当たり根底に「>>1が管理する」というルールができてたはずですが
まあこれ以上は嵐も混在して泥沼になりそうなので議論スレでやりましょうか
416 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:32:03 ID:gcMbfQaj
グダグダうるせえなあ
お前ら試しにしたらば行って「本スレのID:2Z+aNSX3です!」とか書き込んでみろよ

ところで真の俺、したらばは全角4文字半角8文字までしかキー認識しないよ
417 ◆JnTFjVKio2 :2010/09/10(金) 01:32:39 ID:UamB8OGO
で、どこまでが本人でどこからが俺のような偽物?
とりあえず議論はしたらばでやろうぜ
自演出来なくて来ない奴もいるだろうけどwwwww
418名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:34:17 ID:pPeCHe/R
どうでもいいけど、>>1の新酉が決まったんなら教えてくれ
NGが出来ん
419名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:35:42 ID:W8UAIvSe
さすがに延々と他人の鳥で荒らしとか萎えるわ
幾ら対応があれだからってその事で粘着するのはウザいわ
420名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:37:14 ID:/7PAMIVe
>>412>>415
まあこれが>>1だというのはわかるんだが
てかいいかげんにしろよお前住人が迷惑だろ
421名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:37:21 ID:fX0RtkS3
>>419
粘着してる人間に火種まいてる一人のくせに何言ってんだか
422 ◆Z87LXZR/rA :2010/09/10(金) 01:40:08 ID:zt78zmH/
したらばと2ちゃんの文字数が違うので、調べたけどこれが新酉です。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:45:58 ID:rsfR/sQ6
毎度何度も問題発言を繰り返す時点で叩いてるのは粘着〜ってのには無理がある
>>1も叩かれたくないなら黙ってSSだけ投下してりゃいいんだが、騒がれたいタイプみたいだし
424名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:47:29 ID:gcMbfQaj
もうお開きかよ
ちなみに◆jipdQMXxhI #ファイン な

真の俺は頑張りどころ間違えてるがそのまま頑張れ
425名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:49:20 ID:7Wup49Ir
>>412
言ってることは正しい。
だが、集団ヒステリー中の人間に正論が通じるって勘違いしてる節があるな。

黙ってろ
426名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:51:01 ID:fX0RtkS3
>>425
そいつも義憤に駆られてヒステリー状態だけどな
427名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:53:02 ID:I409iHWG
全角は割れやすいので誤解を招かないためには、トリップキーを検索するツール等を使うことをオススメします
Tripcode Explorer
ttp://dango.chu.jp/
428名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:54:57 ID:JYVJsi2Z
分岐ってwikiどうすんの?→具体的にマルチロワみたいなのを考えてます。

これをどう読むか。
具体的に〜と考えてます。 の組み合わせで自分でやるように見える。
マルチロワのような形でお願いします、なら全く自分でやる気無いって分かるけどね。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 01:58:39 ID:fHEdT/xz
まずはしたらば管理人さんに依頼して◆Z87LXZR/rAのトリの身分証明をしてもらわないとダメだよ
話はそれからだ
430名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 02:33:03 ID:UGZSj1a7
推測で語ってる1には悪いが、俺は自分のSSくらいは自分で収録しましたよ
431名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 08:15:37 ID:iM4CSnbl
で、そういうお前は誰なんだ?
432名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 10:24:24 ID:WPyeXwW8
凄まじいな
まるでアニ3で言いがかりを付けて本スレ荒らした最萌も連中と同じだわ
433名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 10:28:50 ID:rsfR/sQ6
悲しいのは>>1の行状から言いがかりをつけられてるとはとても言えない事だな
434名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 10:48:58 ID:fX0RtkS3
最萌の時は10:0でこっちに理があったが今回は2:8くらいだな
435名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 10:49:52 ID:2V3rJ9ui
なんで>>1より荒らしてる側の方がまともに見えるんだw
436名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 12:26:40 ID:JYVJsi2Z
>>384
とかまとめ役の口調じゃないよね。また荒らしかwww位にしか思ってない。
ここまで言われても自分でwikiやるって言い出さないのは凄いわ。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 12:56:00 ID:2V3rJ9ui
IDと掲示板見ろよ
438名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 13:32:17 ID:JYVJsi2Z
>>437
投下したのと>>1は同一人物だろ?
439名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 13:57:29 ID:u8p5PEdh
残念ながら>>384>>1であることは既に本人が認めている
まぁ>>1は個人ルート書いてるんだからもう叩く必要もあるまい
また自演でもしない限り実害は無い
440名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 15:29:30 ID:Q89WkyR8
wiki収録なんて簡単だから覚えちゃえよ
キャラ別追跡表とかつけなきゃ、もっと簡単だぜ
441名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 18:46:36 ID:HbMsbZFC
簡単ならやってあげればいいのでは
分岐あれば一口で二度美味しい感覚も楽しめる
442名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 19:00:59 ID:32/piSQ4
>>1必死杉だろw
443名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 19:28:03 ID:2V3rJ9ui
働きたくないでござる
444名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 19:31:51 ID:GvZ8WoKe
簡単だが時間は掛かる
445名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 19:36:04 ID:UGZSj1a7
あれ、wikiの死者欄の千尋の殺害者ってゆりでいいのか?
他ロワではこういう場合、自分の過失扱いにならね?
446名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 19:53:54 ID:GvZ8WoKe
wikiはどっちでも良いんだろうが
後々誰が誰を殺したか、という情報が得られるようになったとき
ゆりってことにしておいた方が展開が美味しい
447名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 21:24:01 ID:iM4CSnbl
とりあえずここまで読んで、自治厨がどれだけいてもスレの進行には糞の役にも立たん事がよく分かった
448名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 21:42:24 ID:hdIRPF+/
>>1みたいな無能な自治厨だといる方が治安が悪くなるからな
449名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:11:59 ID:GvZ8WoKe
地獄少女が影も形も無いな
450名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:14:25 ID:2V3rJ9ui
わざわざ地獄流しせんでも既に会場が地獄だからな
451名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:17:22 ID:UGZSj1a7
まだ使うほどの悪意が醸成されてない
452名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:18:29 ID:kdji4uiI
恋姫も正規ルートじゃ1人予約されただけだな。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:37:21 ID:fHEdT/xz
ここにいる人たち、楽しいの?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/10(金) 23:43:53 ID:GvZ8WoKe
まあ、煽りが着ている間は避難してるから

対主催エンドの絶望感は他のロワの比ではないので差別化はできてるので
第一放送が終了してからが本番
455名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 00:01:28 ID:qZGCgGr6
謎の魚肉の塩漬け…
マタ○ンゴかね
456名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 00:29:26 ID:YSK0mCer
うまい魚じゃない?
ちゃんと、それ食わせないとシドが死ぬ
457名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 01:35:55 ID:0UzkJtLk
1ンゴwwwwwwww
ついに逃げやがったwww
458名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 01:37:38 ID:cDhAeEfw
最萌民、というよりアニメサロンex民の出現確認>>457
459名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 02:15:23 ID:0UzkJtLk
530: ◆Z87LXZR/rA :2010/09/11(土) 01:22:35 ID:qtCXyXXY0
色々と考えましたけど、今後の自分の方針が纏まったので発表します。
私としては当初は皆様方と一緒にやって行きたいと思っていましたが、これ以上共存しても本スレが荒れるほかに、wikiも
紛らわしくなったり(実際に編集を試みて実感)、予約スレが混乱しそうなので運営機関ごと分離しようと考えています。
私としては明日の夜にはしたらば等の用意を行い、分離を正式に行うつもりです。

これは双方の発展の為の分離と考えているのでご理解頂ければ幸いです。

531:名無しさん :2010/09/11(土) 01:38:57 ID:Fc9M8FJo0
ばいばい

532: ◆Z87LXZR/rA :2010/09/11(土) 01:57:53 ID:qtCXyXXY0
追記です。
完全な分離を目指す関係上、差別化を図る意味で一部キャラと作品の追加を行う予定です。(投票ではなく私の独断です)
ですので、分離先では一部名簿に差異がありますが、仕様であり間違いや誤記ではございません。

そして最後に一言。

皆様とは短い期間でしたが、一緒に企画の設立と運営を行いとても楽しかったです。
当初未熟な私の仕切りについてきていただけた皆様と途中で分かれてしまう事は残念ですが、このロワが完結まで行く事を
強く願いながら、最後の挨拶とさせていただきます。
皆様楽しい時間をありがとうございました。






だっておwwwwwwwwwwwww
460名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 02:17:32 ID:fFf+mBZx
efキャラ増やすん?
461名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 02:26:49 ID:7rMpb13J
トリ違うけど1なのね。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 05:16:47 ID:t1GA1tFL
一存じゃね
463 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:19:52 ID:of3FFFdK
投下します
464闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:22:52 ID:of3FFFdK
真壁一騎は竜宮島にすむ14歳の少年だ。
少しぼんやりしているところがあるものの、父子家庭という境遇にもめげずそれなりに正直に育ってきた。
決して人付き合いが得意なタイプではないが、幼い頃からの友人もいて孤独を感じることはさほどなかった。

彼の日常は、フェストゥムの襲来によって幕を閉じた。
人型兵器ファフナーに乗って戦うことを宿命付けられ、親友である皆城総士とともに島を守るために一騎は戦っていた。

そんな中、一騎は仲間を失った。
島を守るために命を落とした羽佐間翔子と、翔子を守れなかった怒りを一騎らにぶつけ同化されていった春日井甲洋、この二人を。
甲洋は正確に言えば生きてはいる。だが、死んでいないだけだ。
現時点では目を覚ます可能性は限りなく低い。
ファフナーに乗り、敗北した者の末路だ。
だが、本当に一騎を打ちのめしたのはそれではなかった。


――――ファフナーと俺たち……お前にとって、どっちが大切なんだ?

――――ファフナーだ



親友は、皆城総士はそう言った。
ずっと一緒に生きてきた仲間ではなく、戦うための機械であるファフナーの方が大事だと。
そのとき、一騎の中で何かが切れた。

疑いながらも目を背けてきた、この世界の本当の姿。
島を守ることが何よりも、仲間の命よりも優先するという総士の言葉。

何が彼をそこまで変えたのか。
楽園の外では一体何が起こっているのか。
それを知るために、一騎は島を出たのだった。



だが、一騎が今いる場所はファフナーの操縦席ではなかった。
アルヴィスでの上官である狩谷と竜宮島を出て本土に向かう途中、目についた廃墟で野営をしていたはずだった。
といってもいつフェストゥムが出るかわからない世界だ。ファフナーの中で眠りについたはず、それなのに。

「殺し合い……だって? 何なんだよ、これ……」
465闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:23:34 ID:of3FFFdK
一騎がいる場所は、見覚えのない病院の前だ。
四人の人間が殺されたときは夢でも見ているのかと思っていた。
一瞬で景色が切り替わり、暗い夜道へと放り出されたのは数十分前。
一騎はとりあえず屋内に入ろうと目についた建造物に寄ってきていた。

自負しているわけではないが、一騎の運動能力は島内でもおそらく最高レベルだろう。
走る・跳ぶ・打つ・投げる・泳ぐ、およそ体を動かすあらゆる分野において一騎はオリンピックを狙える逸材である。
ここに来るまで十分以上も全速力で走り続けてきたのに少しも息切れしていない。
病院の中に入り、外から見えないように奥の個室に入り、鍵を閉めて明かりをつけた。
とりあえず外界と隔離されたことでようやく一騎は人心地ついた。

「っと、そうだ。名簿があるとか言ってたな」


ソファに座り、一騎はデイバッグの中を改めた。
取り出したのは名簿など記載されたルールブック、食料、水、コンパスなど数日サバイバル生活をする最低限の装備と、

「……何だこれ。け、剣?」

どう考えてもバッグの中には納まらないであろう長さの、立派な拵えの剣が一騎の手によって引き出された。
ファフナーの装備する剣とは違う。
どこかの美術館に飾られているのが自然であると思わせる、華美な装飾。
作り物かと思うにはずっしりと重く、刃に指を這わせてみると薄く血が滲む。
包丁やカッターナイフなどとは一線を画する、人を切るための本物の剣だ。

ごくりと唾を鳴らして一騎は剣をバッグに戻そうとした。
だがふと思いとどまる。

「もし、誰かに襲われたら……戦わなくちゃ、いけないんだよな」

ファフナーに乗ってフェストゥムと戦うのとは訳が違う。
人と人との殺し合いなのだ。
人の命を奪い合う戦いなのだ。

一騎は剣を戻す手を止めた。しかしそれを剣を抜く覚悟ができたわけではない。
今はいつでも最適な助言をくれる総士はいない。自分の身は自分で守らなければならない。
だからと自分に言い訳をして、一騎は刀をそばに置いた。
466闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:25:18 ID:of3FFFdK
次にルールブックをぺらぺらと確認していく。
放送、禁止エリア……基本的な事項を確認し終え、名簿を開いたとき、一騎の手が止まった。

「……羽佐間翔子? それに……春日井甲洋だって?」

名簿には知っている名前が固めて記載されていた。

 真壁一騎
 皆城総士
 遠見真矢
 羽佐間翔子
 カノン・メンフィス
 春日井甲洋
 近藤剣司
 小楯衛
 要咲良

この内自分を除けば7人、一騎の知り合いがいる。
カノンという名前は知らない。島にそんな名前の人はいなかった。
だが今一騎の頭を占めているのはそのカノン何某でも島に残っているはずの総士や剣司、咲良のことでもない。

羽佐間翔子、春日井甲洋


文字にしてたった十文字。
この二つの文字列が、激しく一騎を動揺させていた。

「甲洋、回復したのか? それにしてもまだ動ける状態じゃないはず……い、いやそうじゃない! なんで、なんで……!」

震える指でなぞる。
羽佐間翔子、の文字を。
いなくなったはずの友達――ファフナー・マークゼクスごと竜宮島の空に散った、儚い少女の名を。

「なんで翔子の名前が載ってるんだ……?」

あのとき戦えたのは一騎だけだった。
そして一騎は間に合わなかった。
翔子は無理を押してファフナーに乗り込み、島を襲ったフェストゥムを引き連れフェンリルを起動――自爆し果てたはずなのだ。

島の墓地には翔子の墓がある。
だがその下には彼女の痕跡は何一つ埋まっていない。
ファフナーが消滅するほどの規模の爆発だったのだ。
遺体が残るはずもない。
467闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:26:24 ID:of3FFFdK
ルールブックを取り落とした。
拍子でページがめくれる。
ふと視線を落とした先に、一騎は瞠目した。

「死者の蘇生?」

優勝したものに与えられる報酬には、死者の蘇生を含むと書かれていた。
皆城総士なら鼻で笑っただろう。死人が生き返るはずがない、と。
彼が今この場にいれば、一騎と同じかそれ以上に取り乱していたか――否。
何せ総士は翔子が逝った瞬間、クロッシングで意識を繋いでいた。
つまり誰よりも確実に翔子の死亡を知っているのが総士だ。
彼ならば間違いなくその「羽佐間翔子」は偽者であると断定しただろう。

だが、ここにいるのは真壁一騎だ。
論理よりも感情を優先する、まだ幼い子供なのだ。

「あいつらが羽佐間を生き返らせたっていうのか?」

だから、信じてしまう。
羽佐間翔子がここにいる。
手の届く場所で生きているのだと。

「……!」

荷物を乱雑にデイバッグに詰め直し、刀を握り締めて一騎は立ち上がった。

翔子が生きているのなら、今度こそ守ってみせる。
そうだ、総士も探さないと。
俺は戦うことしかできないけど、あいつならきっとこの島から逃げる方法だって考え付くはずだ。
遠見、剣司、咲良、衛。お前らもこんなところで死んじゃ駄目なんだ!
甲洋、元気になったのかな。でもあいつは翔子を探すために無茶するかもしれない。早く見つけないと。
みんなを生きて島に帰らせるんだ。それが、俺の……

「……誰だ!?」

一騎は個室を飛び出した。
100メートルを10秒で駆け抜け、暗いエントランスから外に出ようとした一騎の前に影が伸びていた。
扉を守る門番――あるいは囚人を見張る看守のように。
そいつは、病院の中に押し入った獲物を逃さないために、ここで待ち伏せしていたのだ。
468闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:28:20 ID:of3FFFdK
一騎はマグライトをその影に向けた。
外からの光でシルエットだけ見えていたそいつの姿が一瞬明らかになる。
そいつは、何かを振りかぶっていた。

ギャリリリリリリリリリリリリッ!

小型バイクの排気音に等しい獰猛なエンジンの唸り。

空気を裂いて自分の顔へと迫ってくるその塊に圧倒的な脅威を感じ、一騎は即座に横転した。
転がって、しかし相手は追ってくると感じた一騎はそのまま片手を地面につく。
バク転の要領で身軽に体を跳躍させ、足に触った物体――おそらく受付待ちのソファだろう――を思い切り蹴っ飛ばす。
反動でさらに一騎の体は大きく跳び、襲撃者との距離を離した。

ドッドッドッドッド……。
腹に響く重たげな音は続いている。
ちらりと見えた形状の影とその作動音から、それが何か予想がついていた。
そう、それはチェーンソー。
鎖状の刃をモーターないしはエンジンで高速駆動させることによりすさまじい切断力を発揮する自動鋸だ。
樹木伐採用の物だとは知りつつ、一騎は竜宮島で目にしたことがない。
どこかにはあったのだろうが子供の手には危険すぎるし、扱いには資格もいる。
ときおり見るテレビや新聞などで存在は知っていたというだけだ。

当然それは人に向けるべきものではない。
それほどの殺意を持って一騎を殺そうとしている人物がいる。
今度は慎重に、ライトをそいつの顔に向けた。

「……え?」

そこにいたのは。
一騎に向けてチェーンソーを構えているのは。

「甲洋、……なのか?」

紛れもなく一騎の友。
戦いの末に同化され隔離されたはずの、春日井甲洋だった。

本当に回復していた……?

自分の正体が露見したというのに、甲洋は何の感情も浮かべずチェーンソーのパワーを上げた。
唸りを増す鋸に一騎は我に帰る。
469闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:29:56 ID:of3FFFdK
「こ、甲洋! 俺だ、真壁一騎だ!」

叫ぶ一騎。
だが甲洋はむっつりと押し黙ったまま、チェーンソーで切りかかってきた。
慌てて身をかわす一騎。
ソファが切り裂かれ、詰まっていた綿がばらばらに引き裂かれて宙を舞う。
そこに一騎は本気の殺意を見た。
一騎自身がファフナーに乗っているときフェストゥムに抱くような、怒りとも憎しみともつかない激しい感情のうねりを。

「甲洋っ!」
「一騎、ここには翔子がいる」

淡々と、ぞっとするくらい冷たい声で甲洋が口を開いた。
聞いたことのないその声に一騎は戸惑うが、何か理由があるのだろうと必死に言葉を紡ぐ。

「そ、そうだ! どういうことかわからないけど、翔子が生きているんだ!だから……」
「だから、俺はお前を殺す」

それでお終いだといわんばかりに甲洋は切りかかってきた。
剣を抜いて応戦しようかとも考えたが、チェーンソー相手にこんな棒切れ一本で勝てるとは思えなかった。
何より、甲洋は仲間だ。
仲間に剣を向けることなど、一騎にはできなかった。
しかし甲洋は一騎に一片の慈悲さえ見せず苛烈な攻撃を繰り返す。

一騎と甲洋では基礎的な運動能力がまさに桁違いなので、一騎はなんとか避け続けることができていた。
だが、いつしか全身にびっしょりと汗をかいていた。
体を動かしたことによる発熱ではない。
本気の殺意をぶつけられたゆえの恐怖。それをしているのが友達だというこの状況。
優しかった面影はどこにもなく、冷徹な殺人者の顔で一騎の前にいる甲洋。
その現実をどうしても受け入れられず、一騎の精神は確実に疲弊していた。

「甲洋、どうして……?」
「言っただろう、一騎。翔子のためなんだ」
「俺を殺すことがどうして翔子のためになるんだ!?」

チェーンソーの音がうるさくても、甲洋の声はやけにはっきりと一騎に届く。
それは決意の表れだ。
迷い流されて戦うことを選んだ一騎と違い、甲洋は今この瞬間はっきりと自分の行為を認識し、肯定し、受け入れている。
一騎を殺すこと、それを純然たる自らの意志で実行していた。

「理由はどうだっていい。翔子が生きてるなら、俺は翔子を守るだけだ」
「守る? じゃあ俺と同じじゃないか!協力して証拠を探そう!」
「違う」

一騎の必死の説得を、甲洋はばっさりと切り捨てる。
470闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:31:21 ID:of3FFFdK
                               ・ ・
「ルールを読んでないのか、一騎。生き残れるのは一人だけだ」
「ひと……り?」
「そうだ。お前は翔子を探すといったが……総士や他のやつらも探すんだろ?」
「あ……ああ。総士ならこの島から脱出するための考えを持ってるかもしれない。剣司たちだっている」
「それでみんなが集まって……それからどうする? どうせ最後には殺し合わなくちゃいけないんだぞ」
「そ……そんなことはない! 殺し合わなくたってなんとかなるはずだ! 翔子だって今度こそ守れる! きっと総士が何とかしてくれる……」





「嘘だッッッッッ!!!」



咆哮。
若虎のごとき甲洋の叫び。

「そうやって、お前らはそうやって、また翔子を使い捨てて最後には見殺しにするんだろう! 翔子が死んだときのように……お前達だけが助かるために!」
「こ、甲洋……」
「俺はお前らを信じない。もう誰も信じない。俺がこの手で翔子を守るんだ! 他のやつらを皆殺しにしてでも翔子を生き残らせるんだ!」

冷静の仮面をかなぐり捨て、烈火の形相で甲洋は怒鳴る。

「ち、違う! 俺と総士は翔子を見殺しにしたわけじゃない!」
「結果的にそうなっただろう! 島のやつらは翔子のおかげで生き延びられたって言うのに誰一人感謝もしない!
あまつさえ翔子の墓を汚した! ファフナーの方が大事だと言っ 総士もだ! そんなやつらが翔子を守るだと? ふざけるのもいい加減にしろっ!」

まなじりは釣りあがり、血が上った顔は真っ赤に染まっている。
今まで見たことのない甲洋の怒りに晒され、一騎は慄いていた。


「……俺は翔子以外の全ての人間を殺す。最後には俺も死ぬ。それで……翔子が優勝だ。翔子は生きられるんだ……」
「…………こ」
「だから、一騎」

恐怖に竦み動けない一騎に、甲洋が一歩二歩と静かに歩み寄ってくる。
手の届く距離。
甲洋がチェーンソーを振り上げる。





「翔子のために、死んでくれ」




振り下ろし――今、一騎の視界が銀色の刃で埋め尽くされた。


.
471闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:33:47 ID:of3FFFdK



「ちょっと待ったァァァァァアアアアアアァァァァアアアアア―――――ッッッ!!!!」




      ・ ・ ・ ・ ・
銀色の、ガラスの刃で。



エントランスのガラス戸を突き破り。
病院内に「出現」してきたのは。

「この勝負、リベリオン合衆国第8航空軍第357戦闘飛行群第363戦闘……飛行隊、中尉……はぁ、はぁ。ごめん、ちょっと待って……」

息継ぎせずに言ったため途中でむせた。
バッグからペットボトルを取り出す。
キャップを捻り、腰に手を当てて豪快に水をのどへと流し込む。

「――プハァッ!……よし、えっとどこまで言ったっけ?ああそうだ、まあとにかく中尉の!」


指を突きつけ、決めポーズ。ビシッ!


「シャーロット・E・イェーガーが預かる!」


突然現れた軍服の女は、胸を揺らしつつそう言った。
ただし下半身は目にもまぶしい脚線美を惜しげもなく晒す、いわゆるローレグの下着一枚だけだった。


「えっ、と……?」
「いかんよ君たち! こんな状況で混乱するのは分かるけど、人間同士で殺し合いなんてやっちゃいけない!」
「……何なんだ、あんたは」

お姉さんぶって言う痴○としか思えない格好の女。
一騎は呆然と、甲洋は苛立ったようにシャーロット、以下シャーリーへと声をかける。
一騎を襲おうとしたチェーンソーはシャーリーに弾かれていた。
艶めかしい脚の先、こちらもチェーンソーに負けず劣らずの回転音を発する小型のリング――チャクラムによって。


「事情はわかんないけどさあ、そういうのは止めときなよ。見たとこ私より年下みたいだけど、やるならこう、素手での殴り合いとかにしときなさい」
「関係ないくせに、邪魔をするな!」
「へ?……わわっ!」

のんきにシュシュッと宙にパンチを繰り出しているシャーリーへ、甲洋はチェーンソーを叩きつける。
だが、たしかに殺したと甲洋が思った瞬間、シャーリーの姿はふっと雷のように消えた。
472闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 05:35:33 ID:of3FFFdK
「なにっ!?」
「ふわぁ、危ない危ない。いくらウィッチでもそんなの当たったら間違いなく死ぬって」

甲洋は振り返る。
10メートルほど離れた場所で、一騎の肩に手を掛けてシャーリーが立っていた。

「すごい、なんて速さだ!」
「そ、これがあたしの魔法なわけよ。ストライカーユニットじゃないから全速ってわけにはいかないけどね」

シャーリーの回避を見ていた一騎には分かった。
チェーンソーが当たる瞬間、シャーリーの足首に装着されたチャクラムが高速回転し、またシャーリー自身の体も発光したことが。
次の瞬間シャーリーは音速もかくやという速度でチェーンソーを回避、一騎の背後にまで回ってきたのだ。
甲洋を迂回するルートで地面に傷跡が残っている。
チャクラムが移動した跡が。

「これがあたしの武装錬金・モーターギア・スカイウォーカーモード! へへっ、すごいだろー!」
「この……馬鹿にするな!」
「おっと、怖い怖い。君、とりあえず逃げるよ!」

激高した甲洋を茶化しつつ、シャーリーは一騎の頭をしっかりと抱え込んだ。胸に。
一騎は双丘に半ば埋まる形になる。

「わ……!?」
「しっかり掴まってなよ!」

気合一声、再びシャーリーの体が発光した。

「待てぇっ!」
「甲よ――――――――!」

吹き上がる衝撃波が散ったガラスを舞い散らし、甲洋の足を止める。
躊躇したその一瞬。
シャーリーと一騎の姿は一瞬にして消失した。

後にはただ呆然とする甲洋だけが残された。





【一日目 C-4 病院 深夜】

【春日井甲洋@蒼穹のファフナー】
[状態]健康
[装備]チェーンソー@現実
[道具]基本支給品×1、不明支給品0〜1
[思考]
基本:羽佐間翔子を優勝させる
1:真壁一騎、皆城総士を殺す
2:出会った人間に翔子のことを聞いて、情報を得た後に殺す
3:竜宮島の他の仲間は……
473闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 06:02:40 ID:of3FFFdK
「あ、あの……」
「シャーリーでいいよ。仲間はみんなそう呼ぶ」
「シャーリー……さん。ありがとうございます、助けてくれて」


いまだシャーリーに抱き締められたまま(腰に掴まろうと思ったがほぼ何も履いてない下の方が危険だと一騎は判断した)、一騎は礼を言った。
病院を飛び出して今、シャーリーと一騎は二階建ての家よりやや高い位置を飛行している。
なんでもそれが彼女に支給された道具、そして彼女自身の能力なのだとか。

「俺、真壁一騎です」
「マカベカズキ……ああ、扶桑の子か。宮藤と同じだな」
「宮藤?」
「私の仲間さ。まあ、その辺は落ち着いたら話すよ。もうちょっと我慢してくれ」

一騎には良く分からないが、空気抵抗や風の影響などウィッチには関係ないらしい。
だからこうして高速で空を飛んでいても声が届くし、風で目を閉じることもない。

「派手にやってたからね。用心してもうちょっと距離を取ろう」
「は、はい……」

あくまで冷静にシャーリーは言う。
さほど自分と歳が離れているようには見えないのに……と一騎は思ったが、同世代の女生徒にはないこの弾力……いや凶器ですらあるかもしれない。
とにかくこの状況、彼女の胸にぎゅっと締め付けられている状況から早く逃れたいと一騎は願った。
あまり恋愛に興味のない一騎とてさすがに恥ずかしかったのだが、シャーリーは気にした風もない。
喋って口を動かすと余計に柔らかな感触が伝わるため、ひたすらに一騎は縮こまる。

(駄目だ、俺……もっと別のことを考えろ!そう、総士とか甲洋のこととか……!)

とたん、甲洋が自分を殺そうとしたことを思い出し一騎の血の気は一気に引いた。
シャーリーが安全そうな場所を見つけて降下するまで、彼はしばらくその状態のまま苦しむことになる。
474闇の中の少年 ◆RwUmY1K.wU :2010/09/11(土) 06:03:33 ID:of3FFFdK



そして胸の中で赤くなったり青くなったりする一騎を見て、シャーリーは


(とりあえず助けたけど、この子は危ないって感じはしないなー……でももう一人の方は警戒しとこう)

(このモーターギアは使えるって分かった。私の魔法と相性もいい)


(でもなんだ、やけに疲れるな……ストライカーじゃないからか?)


(とにかく……ルッキーニ、宮藤、みんな。すぐに見つけてやるから、死ぬんじゃないぞ!)


そんなことを、つれづれに思っていた。





【一日目 D-5 温泉 深夜】

【シャーロット・E・イェーガー@ストライクウィッチーズ】
[状態]健康
[装備]核鉄「モーターギア・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]基本支給品×1、不明支給品0〜1
[思考]
基本:501航空団の仲間と合流して脱出する
1:ひとまず安全なところへ
2:ルッキーニと芳佳が心配
3:甲洋には注意する



【真壁一騎@蒼穹のファフナー】
[状態]疲労(小)
[装備]宝剣・靖王伝家@真・恋姫†無双
[道具]基本支給品×1、不明支給品0〜1
[思考]
基本:竜宮島の仲間を島に帰す
1:総士、翔子を守る
2:竜宮島の仲間を探す
3:甲洋を説得したい
475名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 06:29:30 ID:YSK0mCer

476名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 06:53:09 ID:YSK0mCer
投下乙です
哀しい対立だ。春日井甲洋、あんたも奉仕先が死んでるぞw
でも、初めから死者蘇生前提で動いているのね
名簿の表記はああいう方法か、これまた誰かに狙われそうだ

んで、仮投下のほうは、したらばの方がよいのかな
意見があれば書き込んでみます
477名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 08:58:15 ID:wPOUUJF7
投下乙!
シャーリーカッコいいぜ
なんか乗り物使わないと使えない固有魔法だったが当たりを引いたな

そして地獄少女キタコレ
何この一撃必殺wwww
何の前触れもなく唐突に死ぬのが怖すぎるな…まあ確かに恨まれてはいたけど
あんま議論したくないし採用するかどうかは自己判断でお願いしたいがロワ全体の藁人形の数くらいは次で決た方がいいかもしれんな
478名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 09:21:39 ID:t1GA1tFL
藁人形は
>地獄少女に連絡
>藁人形を貰う
>連絡した人間が、決断して紐を解く
>地獄送り決行して藁人形元に戻るって工程だから、
藁人形貰った人間が速攻決断した場合、数に意味はないんじゃないか
やろうと思えば二期終盤みたいにバンバン送る事も可能だ。
三人以上紐を解くのを躊躇してる人間がいれば、そこで歩溜まりが出来ると思うけど。

個人的には、別にいいと思うけど地獄少女知らない人間がこれ見たらわけわからんかも。
でもここで説明パートを入れるのもな。
投下乙でした。
479名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 09:30:38 ID:tRjxOZMA
>>458
ンゴはなんJ用語
480名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 09:51:51 ID:cNJn6tQV
なんJでももう使われてねーよ
好んで今だに使ってるのはアニメ系でも限られた連中だ
481名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:01:23 ID:tRjxOZMA
>>480
「ンゴw」で検索するとアニメ系が全く見当たらないのはなぜだろうね
482名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:06:15 ID:cNJn6tQV
だから「限られた」連中だと書いたんだがね
483名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:10:25 ID:tRjxOZMA
>>482
意味が分からない
限られていようがなんだろうがヒットする形跡がないぞ
484名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:13:16 ID:cNJn6tQV
そんなに検索スキルが無いならfind.2ch.netでモリタポ使って検索してみれば?
これ以上はパロロワに無関係
485名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:15:06 ID:tRjxOZMA
>>484
で、検索したのかい?
486名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:19:08 ID:YSK0mCer
序盤、予約皆無だった鮒勢もちょっとずつ動いてきたな
ストパンもちゃっかり美味しい位置を占めているし
自分のペースで動くクロ高に、ロワの鍵になりそうなエルフェン、
奉仕マーダーだらけのブソレン、対主催寄りだが約一名いっちゃってるAB、
暗躍のカナンに、実力派のDTB、カワイソスの瀬戸とef
ファントムとガンスリはやられっぱなしなので今後に期待

あとは主催と深い関係のある恋姫連中はどうなるかだな
某ロワみたいに序盤は空気化するのか
487名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:19:45 ID:cNJn6tQV
人に提案したんだから勿論確認する為にしたよ
モリタポ余ってるからね
ログインしてる人が不用意に踏んだらモリタポ詐欺と思われるので
リンクは貼らなかったけど

ていうかなんでそんなに頑張るの?
「ンゴw」ごときで
488名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:22:11 ID:tRjxOZMA
結局地獄流しパートはどうすんだろ?
489名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:22:45 ID:ZImDBkop
誰かこのロワ勧めの巨乳と貧乳を教えてください
490名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:35:19 ID:YSK0mCer
そんなことよりフレディの胸板と黒の鎖骨をお勧めする
491名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:38:22 ID:wPOUUJF7
序盤空気が後半メインになるとかノリが尻すぼみになるので活躍させたいなら最初から飛ばして行った方がいいぞ
492名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:40:28 ID:tRjxOZMA
最初から最後までクライマックスなロワキャラって見た事あんまりないなー
目立ったら即死ぬ印象がある
493名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:40:51 ID:cNJn6tQV
検索ついでに見つけた奴

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime4vip/1282067680/214,215,233,235
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime4vip/1283016291/72,80,102
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime4vip/1283604468/445
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime4vip/1283911240/626

過去ログが見れない?
2番街でもみみずんでも見れるけど説明しなきゃわからないようならやめとき
494名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 10:45:08 ID:YSK0mCer
某青狸とか主催関係者なのに存在感が無かったなw
495名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 11:07:04 ID:wPOUUJF7
だがそもそも存在感ないと描写もされずに即死する
496名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 11:07:12 ID:t1GA1tFL
生きのこってる中で巨乳と言えるのはシャーリーとトゥルーデ、劉備、関羽、趙雲と馬超もそれなりか?
497名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 15:59:44 ID:HCwQ3c4h
ぶっちゃけ、地獄少女の面々はどう介入してくるんだろう…
主催に使われる連中だと思う反面、参加者を躊躇いも無く地獄流しにするのもありと思えるし…
498名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 16:34:56 ID:t1GA1tFL
ただそこに「存在している」だけじゃね?
499名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 16:45:35 ID:YSK0mCer
主催が地獄流しされるエンドで終わってもおかしくないなw
500名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 16:50:22 ID:wlo3NoXf
主催者=地獄少女 でいいんじゃね?
501名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 18:35:35 ID:ZImDBkop
今日はまだ、何本かSSが投下される予定だな
ちゃんと来るのかちょっとだけ不安だw

メカ沢の人のは明日2時までに投下されなければ
延長期限も切れて予約リセットか
502名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 19:10:56 ID:SWTKQq9V
去る宣言したとはいえ1が名無しで紛れ込んでそうだなここは
1を追い出した原因の一つである書き手の作品には普通に乙されたり感想書かれたりしているし
503名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 19:48:29 ID:wPOUUJF7
今週出てきた超カッコいいマルセイユさんが大人気のようだが彼女が参加してたらどうなっただろう
まあ、ああいう調子乗ってる娘は主役補正が外れた瞬間フルボッコされる未来しか見えないのだが…
504名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/11(土) 20:02:02 ID:t1GA1tFL
あの人類史上最強のエースを叩くと、自動的に他のウィッチも三下扱いになるからな
505 ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/11(土) 22:11:50 ID:Cs15J6AV
あっちはDOCOMOの携帯で書き込みが出来ないみたいなのでこっちで
延長お願いします
506名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 00:23:36 ID:SDx/9lcN
507名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 00:30:01 ID:blwuTxF5
>>506
姉妹スレですね
仲良くしましょう
508名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 00:33:43 ID:MzwKWpF9
10まで埋めないと即死するぞ
もちろんお前らアンチが埋めてくれると思うけど
509名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 00:44:11 ID:hhOYMnlj
>>508
このツンデレさんめ
510名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 14:19:18 ID:6i75gvyq
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12648/1248431474/
地獄少女の出てるロワ既にあったのね。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 15:10:33 ID:hhOYMnlj
全くやる気のなさそうな大人数だな
512名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 20:04:49 ID:CaJa6lEn
現在地のマーダーと危険人物だけ画像追加してみた
もっといい画像があったらヨロ
513名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 20:13:51 ID:MzwKWpF9
どうでもいいけど、ルーシーがコウタの奉仕とか言われるとちょっと違和感あるな
コウタだけは殺したくないってだけで、別に奉仕とは違わなくね?
514名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 20:25:11 ID:MzwKWpF9
あと坂東さんちっちぇーワロタ
515名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 20:51:57 ID:CaJa6lEn
んじゃ、ルーシーは修正します
坂東はもっと探せばあるんだろうが、画像検索だとこれしかなかった
516 ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:27:55 ID:bC+fNGGv
投下します
517Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:30:44 ID:bC+fNGGv
――立華かなで
――00:00:00


闇の中、蒼い髪の少女が立っている。
暗さに慣れない目で辺りを見回し、自分がどこかの団地の屋上にいるのだと理解する。
さらに詳しい現在位置を知るために、抱えていたディパックに触れ。

『――死んだ人間は生き返りませんよ。当然』

「…………」

先程の光景は現実なのだと、少女は再確認させられた。
無表情であった顔が僅かに曇り、不安げな色が瞳に混じる。

『……さて、それでは始めましょうか――殺し合いを』

――赤≠ェフラッシュバックする。

「…………っ」

心を覆わんとするのは悲観か、痛みか。
どちらにも受け取れる、沈痛な面持ちだった。
食いしばるような、堪えるような長い沈黙の後で。
俯いたままの少女はただ一言、ポツリと呟いた。
彼女にとってただ一つの未練であったはずの、彼の名を口にした。

「…………結弦」

これが、とある世界で『天使』と呼ばれていた一人の少女。
立華かなでにとってのゲームスタートであった。
518Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:34:17 ID:bC+fNGGv

――大沢マリア
――00:30:25


ここに至るまで、彼女はずっと走りっぱなしだった。

「……はぁー……私、なにやってんだろ……」

三流ゴシップ雑誌の駆け出しカメラマン。
大沢マリアは黒い海を見つめながらうなだれていた。
普段は太陽のような明るい笑顔を湛えている彼女も、今は暗い表情を抑えきれない。

「…………カナン」

ここに至るまで、何度その名を呼んだろうか。
開幕の空間で巻き起こった惨劇。それに対する衝撃に加え、
名簿に記された親友の名前を見れば、居ても立ってもいられなかった。
マリアはカナンを探して走った。
長い金髪を揺らして、全身が汗だくになるまで。
カナンは強い。鉄の闘争代行人と称されるほどの人物だ。
自分よりも殺し合いの世界においては遥かに生存率も高いだろう。
けれども、そんなことは関係なく。
大沢マリアにとって、カナンは大切な友達なのだ。
自分に出来る事が少なくても、彼女の傍にいたいと思う。
こんな時にこそ、友達として駆けつけなければならない。

「でも駄目だよね……こんなやりかたじゃ……」

真っ黒い海と潮風、波の音。
それらはマリアの心を少しばかり落ち着けてくれた。
上気した頬の熱が引いていくにしたがって、冷静さも戻ってくる。

気持ちがどうあれ、この状況で闇雲に走って友を探すなど明らかな危険行為。
冷えた頭ならすぐに分ること。

「しっかりしなくちゃ……。こんな時だからこそ……」

今やるべき事はカナンを見つけることだけではない。
問題の根本的解決を目指すこと。
確かにカナンは心配だ。しかしそれと同じくらいマリアはカナンのことを信じている。
友達だからこそ、ここは信じるべき所なのだ。
なのに自分が冷静さを欠いて、危険を冒して死んでしまったら、それこそ親友に申し訳が立たない。

そしてなによりも、マリアは決めたのだから。
輝いている彼女の傍で照らして貰うのではない。
自分から輝けるようになる、と。
だからカナンを頼り切るような心構えではいけない。
彼女に心を囚われていてもいけない。

「大丈夫、カナンはこんな所で死なない。だから私は、私の出来る事から始めなくちゃ」
519Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:36:54 ID:bC+fNGGv

その為の第一歩。
マリアにはカナン以外に味方の知人はいない。
しかし、そこをなんとかしてここで仲間を得なければならない。
状況を打開する光を掴む為に。

「よし……行こう……!」

空元気でも、せめて表面上は明るく振舞おうとマリアは決めた。
これまでのように、これまで通りに、決して自分を見失わないように。
心を無理やり鼓舞して前へと進む。

「……何をしているの?」

横合いから声を掛けられたのは、そんな決意を固めた時だった。

「……ひゃぁっ!」

不意打ちにマリアは跳び上がり、恐る恐る隣を見た。
そこには一人の少女が立っていた。
黒いショートカットの髪型。ノースリーブに丈の短いスカート。
そんな格好の少女がこちらを見つめている。
いつの間にそこに居たのか。
声を掛けられるまで、まったく察知できなかった。

「……ごめんなさい。驚かせてしまったわね」

少女の表情は明らかなる作り笑顔。
恐怖に押しつぶされそうになりながらも、必死に前へと進むために浮かべるもの。
殺し合いに巻き込まれたただの少女として分相応な。
まさに今のマリアと同じ表情だった。

「私は……大沢マリア。あなたは……?」

困惑しながらも、マリアは少し安心して、名を名乗る。

「……良かった。あなたは乗っていないみたいね」

その答えに、彼女もまた安心したのか。
小さく微笑むと、名乗りを返してくれた。

「私の名前は、アイン」
520Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:39:52 ID:bC+fNGGv
――アイン
――00:05:57

大沢マリアとの邂逅より三十分ほど前。

その少女――アインは海岸を歩いていた。
さくさくと、靴音だけが小さく鳴る。
強い潮風にショートカットの髪がなびき、スカートがはためいている。
周囲に人の姿は無い。虫の一匹もいない。

彼女の心内は大半が空虚で占められている。
意志も、目的も、生きる理由も。
すべて希薄。
ネジの切れた機械のようだ。

「………………」

けれど、残る思いはあった。

心の奥底に二つだけ。

一つは使い手。
アインの身体に目的と意味と機能を付与する一人の男。
彼の命令によって、己は真にただ一つの道具に成り果てることが出来る。
なにも考えず、自己の無い、使われるだけの道具で在れる。

もう一つは希望。
アインと同じく全てを奪われ、それでも自分の意志を捨てなかった一人の少年。
道具でなければ耐えられなかった自分とは違う。
闇ばかりであった彼女の人生にとって、それは唯一の光と言えた。
彼は生きている。まだこの世界のどこかで戦っている。
その事実がある限り、どんなに苦しくても生きてこられた。

今の状況がどれほど異質であっても、彼女はあまり気にしていなかった。
なぜならアインにとって最も重要な事とは、使い手と希望。その二つだけなのだから。
彼女に唯一意味をくれる人か、彼女が唯一意志を向ける人か。
どちらかを求めて彼女は歩く。

数分間、海岸沿いを歩き続け、
そうして堤防から黒い海を見下ろした時、背後から一つの足音が聞こえてきた。
存在を隠そうとする事のない、むしろ逆に誇示するかのような無警戒な足音。
ある種の確信と共に、アインはゆっくりと振り返り、その人物を視界に入れる。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:42:23 ID:hhOYMnlj

522Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:43:32 ID:bC+fNGGv
――大沢マリア
――00:55:21


「それでね、私とカナンは……」

小さく、しかし明るい声が響く。

マリアはアインと共にガラリとした商店街を進んでいた。
二人は堤防で出会いを果たした後、ひとまず一緒に行動する事になった。
行動経路を商店街を通っての消防署と定め、
互いの支給品を明かし、今は情報交換の真っ最中である。

話せば話すほど、マリアにはアインが普通の女の子のようにしか思えなかった。
明るい性格ではないものの、どんよりと暗いわけでもない。
時に小さく笑顔も見せる。
どこか儚げだが、敵意や害意はまったく見せていない。
けれでもマリアと同じく、この状況に確かな恐怖を抱いている。
そんな、どこにでもいる普通の女の子。

「アインも最近中国で起こった国際テロは知ってるでしょ? 私もあの時は現地にいて……」

重要なのは情報。
それはアインとて同じ意見であったらしく。
マリアの話を真剣に聞いてくれている。
とはいえマリアの知識ではアインに伝えられた事はごく少ない。
親友のカナンのこと、アルファルドとリャン・チーのこと。

それともう一つ。

「中国の……テロ……?」

本題のついでにそれを語った途端、アインの眼差しが少し鋭くなった。

「え? ……うん。そうだけど……?」

アルファルト率いる「蛇」が引き起こした中国のテロ騒動。
その実態は置いても、発生した事を知らぬ筈が無いだろう。
マリアはそう思っていたのだが、アインの反応は不可解だ。
彼女の反応は分りにくいが、まるで初耳だと言わんばかりに見える。

「……ん、そうね。続けて」

しかしすぐに表情は元に戻り、彼女は先を促す。追求も無い。
多少違和感を感じながらもマリアはひとまず自分の話を完遂させる事を優先とした。

「――まあ大体こんな感じかな……。質問とかはある?」

「ありがと。そうね……マリアはやっぱり、そのカナンって人が心配……よね……?」

話の終わりに向けられた質問はそれだけだった。
答えの決まっている問いかけ。

「うん」

即答する。
偽る必要など、どこにもない。

「やっぱり心配だし、逆に今頃心配かけてるんだろうなっていう自覚もある。
 助けられてばっかりだったし。でも今は、私に出来る事をしないと」
523名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:44:37 ID:hhOYMnlj

524Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:45:37 ID:bC+fNGGv

マリアは視線を下げる。
無意識に、自分の左手が胸元に当てられていた。
そこに愛用していたフィルム式のカメラは無い。
確かに持っていたはずなのだが、いつの間にか没収されてしまったようだ。
落ち着かないような、心細いような気分になる。
当たり前にあったものを喪失すると、心に一抹の空虚が過ぎるものだ。

「出来る事っていうのが……それ?」

顔を上げるとアインがマリアの右手を指差していた。
正確には、そこに握られたデジタルカメラを。

「……うん。その一つ、ではあるのかな」

今度は即答できなかったが、頷く事が出来た。
自分は駆け出しとは言え、一人のカメラマン。
その自覚と誇りがある。
人には「この状況でなんだそれは」と笑われるかもしれない。
しかしこれも彼女ができる仕事の一つだ。
真実を記録し、伝えること。

「だから、ありがとね。デジカメ」

マリアは改めてアインに礼を言った。
このデジカメは元はマリアの支給品ではなく、アインのものだった。
互いの支給品を明かしあったときに譲ってもらったのだ。

「礼なんていいわ。元々、私の物ではないもの」

「ううん。それでも、ありがと。……それじゃあ、これで私の話はおしまい。次はアインの話を聞かせてくれる?」

マリアから告げる事は全て伝えた。次はアインの話を聞く時だ。
小さくてもいい、確かな第一歩を期待して、マリアは返答を待つ。
そして、

「……」

返答の代わりに向けられるアインの左手には、黒い銃が握られていた。

ベレッタM92FS、それが銃の銘である。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:47:46 ID:GNEHtm5o
sienn
526Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:49:38 ID:bC+fNGGv
……再び時間は遡る。

――アイン
――00:07:57


ある種の確信と共に、アインはゆっくりと振り返り、その人物を視界に入れた。

「…………マスター」

「まさか最初に出会う相手がお前とはな。
 所詮ささやかな幸福にすぎんが、それでも必要な工程を三つほど短縮できる。
 感激せずにはいられんよ」

男は以前と何も変わらずそこにいる。
白一色の服装も、粘りつくような声も。

「しかし……これは、面白い事になったな……アイン?」

状況を噛み締めるように男――サイスマスターは言った。
深く落胆するようで、同時に楽しんでいるようにも聞こえる声で。

「さてアイン、邪魔な手順など廃して本題だ。お前はこの状況をどう見る?」

「敵の正体及び背景は一切不明。所有戦力は不鮮明かつ――」

「ああ、不明不鮮明不明瞭。現実的視点で見るのも馬鹿らしい。ようは何も分らない、そうだろう?
 まったくお笑い種だな。
 誰よりも現実主義者の集団にあった我々が、かくも不条理に巻き込まれて『何も分らない』ときた!」

くっくと笑いながら、
サイスマスターはつまらない冗談を言うように吐き捨てる。

「こうなってはもう意味などあるまい。昨日までの計画、昨日までの勝利、一切の常識が無意味だ」

アインも同意見だった。
この状況に至っては昨日までの倫理理屈に縛られていても死を近づけるだけである。
半端な現実主義は現実の崩壊堪えられないだろうが、彼らは筋金入りの現実主義者。
現実が切り替わったのなら、焦りも嘆きも無く、ただ受け入れる。
そして新たな現実における適切な手を打つのみだ。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:49:43 ID:hhOYMnlj

528Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:51:01 ID:bC+fNGGv

「絶望的状況、相違ない。私一人では骨の折れる事態だ。
 しかしここにはお前がいる。私のファントムがここにいる。
 これは大きな要素の一つだろう。」

「……」

その発言の違和感は追求しない。
重要ではないからだ。

「一切が無意味。そう、だが私の意味を譲る気など、ない。私と私の作品が負けるなど許さんよ。
 ――故にアイン、お前に命令を与える」

救いと諦観。
その二つを胸にアインは自分の道を知る。
男が目の前に現れた瞬間に、こうなる事は分っていた。
むしろそれを望んでいたはずだ。
これで己は一つの機械となれる、道具となれる。

ネジが、巻かれていく。

「私を勝たせろ。それだけだ。方法は問わない、行動は一切限定しない。
 お前の全てをもって私を勝利へと導け。
 インフェルノ最高のスナイパー、ファントムの称号を持つ者として――」

亡霊が動き出す。

「……はい、マスター」

アインに揺れる心など無い。
今は空虚など欠片もない。
あるのは任務を遂行するという存在意義だけだ。

そうして二人は今後の方針を一通り決め、支給品をいくつか交換する。
10分後、サイスマスターはアインとの同行を選ばず、一人その場を後にした。

アインが大沢マリアと出会うのは、その少し後のことである。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:52:41 ID:GNEHtm5o
sienn
530名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:53:04 ID:hhOYMnlj

531名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:55:12 ID:hhOYMnlj

532名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 21:56:52 ID:hhOYMnlj

533Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 21:58:35 ID:bC+fNGGv
――立華かなで
――00:54:02

立華かなで――天使は夜の路地裏をひた歩く。
スタート地点たる団地を抜けた後は、ゆっくりと北にむかって進んでいた。
目指す目的地は、E−5にある施設――学校。
そこを目指す理由は、他に目指すべき目標がなかったことと。
彼女がもと居た世界において、至極馴染み深い場所であったことに起因する。
そして学校は彼女だけでなく、彼女が知る者にとっても馴染み深い場所なのだ。
『彼』や彼の仲間達もそこを目指している、ような気がする。

「…………」

迷路のような路地裏の終わり、商店街の大通りが見えてきた。という時である。
前方から小さな声が聞こえてきた。この島では始めての人の気配。
天使は気持ち急ぎ足で路地裏を抜けて、大通りを覗き込む。
そこには二人の少女がいた。長い金髪の少女と、黒髪ショートカットの少女。
後ろから見ている限り、仲は良好な様子で明るく話し込んでいる。
これならば大丈夫かもしれない。話が出来る。
彼について聞くことも出来るかもしれない。一緒に行動する事が出来るかもしれない。
そう思ったのか、天使は彼女達に背後からゆっくりと近づいていった。
大きな声で話しかけようとしなかったのは、彼女の性格上の問題か。

トコトコと、早歩きで、距離を詰めていく。
そして彼女は見た。

「…………っ!」

天使の足が止まる。
黒髪ショートの少女が後ろ手に拳銃を取り出していた。
金髪の少女はまだ気づいていない。
銃を隠し持つ少女と笑顔で会話を続けている。

あの銃で、金髪の少女を撃つのだろうか。
人を殺すのだろうか。
死ねばもう誰も生き返らない世界の中で。

命を奪うのか。
『彼』が生前、最も尊いと信じたものを。

「…………駄目」

声は小さい。
距離は遠い。

後ろに隠されていた銃が、するりと流れるような動作で金髪の少女に向けられた。
金髪の少女の表情が強張っていく。銃を握る少女の気配が剣呑なものに変わる。
最悪の想像は現実の物になる。引き金が、引かれる。
きっと数秒も掛からない。

「…………駄目っ」

声は届かない。
伸ばした腕は届かない。
もはや絶対に間に合わない。
だから天使の使い手は、

「たすけなきゃ」

自分(天使)の力に頼る事にした。
534Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:01:15 ID:bC+fNGGv
――大沢マリア
――00:54:03


あまりに突然のことだった。

ベレッタM92FS。
今この時、大沢マリアに向けられている銃の銘である。
彼女はそれを一体どこに隠し持っていたのだろう。
そんなもの互いの荷物を確認しあった時には出してこなかったのに。

「なん……で……?」

「……」

返されるアインの視線は凍てついていた。
これまでの問答では考えられないほど突然に、唐突に、冷徹に、切り替わっている。
視線だけではない。
表情、立ち振る舞い――存在。
それら全てが急激に切り替わる。
別人に、否、ベツモノに変貌していく。

冷たく、冷たく、冷たく。

凍てつく。

貼り付けていた虚飾装飾を取り払い。
人の温かみの無い一種の道具へと、変貌する。
仮初の人格は泡沫のように消えていく。
偽りの光が、アインの眼から消え失せる。
名を名乗った際の少女の面影はどこにもない。

「……ぁ……あ……!」

恐怖がマリアの全身を縛りつけた。
心に浮かび上がる最悪の予想。
このタイミング、まるで聞くべき事は全て聞いたと言わんばかりだ。
鑑みれば、アインはこれまで自分の名前以外の情報は一切漏らしていない。
彼女の話術に乗せられて一方的に情報を引き出され、大沢マリアは殺される。
その確信に近い予感に、声も出せなくなる。

目の前の人物が普通の少女なのだと。
ほんの一分前まで、自分でそう思っていたことが信じられない。
違う。
違う。
これは絶対に違う。
何もかもが普通とは違う。
535Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:02:19 ID:bC+fNGGv
この機械のような玲瓏こそが、おそらくは少女の本来の姿。
優しさも怒りも悲しみも、人間らしい感情を全て取っ払ったキリング・マシーン。
ほんの一瞬だけ、マリアは己の親友に近い者かとも思ったが。
やはり違う。それどころかまったくの逆だ。
カナンがマリアにとって輝ける光であるのなら、今目の前にしている少女は影。
どこまでも暗い、奈落の様な存在。
人の負が作り出した極限。


「…………あ……」


そして、黒い銃口が、ゆっくりと、マリアの胸を、


・・・・・
素通りして、


「死にたくなければ、早く逃げて」


マリアの脇の下にアインの腕が差し入れられ、

銃弾はマリアの背後、商店街の一角に発射された。



――アイン
――01:00:00


そうして、今がある。


下された任務はサイスマスターを勝利させること。
いつも通り、これまで通りの任務だ。
殺害、工作、諜報、情報操作。
あらゆる全ての手段を尽くして挑むのみ。

そのために、殺す。
アインはもう一度ファントムとして人を殺す。
目的達成の為の最短の手段。
それを行使する。

目標、敵、確かな脅威に向って。
つまり背後、商店街の路地裏に続く曲がり角から、こちらに向って超スピードで走り抜けてくる、
学生服を着た蒼い長髪の少女を狙い撃つ。

隣にいた大沢マリアを正面から抱きしめるようにして、身体を密着させる。
マリアの肩越しに狙いをつけ、彼女の脇に腕を差し込み。
ベレッタの引き金を三連続で引いた。

飛翔する三発の弾丸。

向ってくる敵の速さはさっそく人外だが、真っ直ぐ一直線に掛けるのみの単純な軌道。
当てる事は造作もない。
脳天、心臓、太腿、三発の銃弾全てが急所を捉える。
その直前、対敵の口元が小さく動いた気がした。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:03:46 ID:GNEHtm5o
sienn
537Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:04:24 ID:bC+fNGGv
そして着弾。
三発全ての弾丸が想定通りの部位に命中する。
が、その瞬間に弾けた衝突音はどういうことか。
命中は即ち敵の死、ならばその音は肉を抉る歪なものでなければならない。
赤い花を咲かせる血飛沫の音でなければならない。

だというのに、この音は。
まるで銃弾が金属に衝突したような。
華々しい鉄の音はなんなのだ。

そう、崩落した理屈も道理も、当然の形で視覚情報に突き刺さる。

弾丸は一発残らず弾かれた。
蒼髪の少女に触れた瞬間に、蒼い光と火花を散らして自ら逸れていく。
不条理ここに極まれり。
かくして少女の疾走は止まらない。
こうなっては陳腐にしか感じられない鋼鉄の弾丸を軽々と突破して。
駆ける蒼髪の少女の姿はものの数秒でアインの眼と鼻の先にあった。

刹那の間隙に、アインと蒼髪の少女は顔を突きあわせる。
視線が交差する。
共に無表情、無言、無反応。
形作る表情など持たない。
語るべき言葉など持たない。
与える意志など示さない。

そのままの距離で、アインはもう一度ベレッタを敵の顔面へと撃ちこんだ。
またしても散る火花、蒼光。
想定内、もう想定の程などアインには半分無意味になってきているが、想定内に弾丸は弾かれる。
焼きなおしのように繰り返される予定調和のふざけた防御。

無論、それに見惚れる間も無く、蒼髪の少女の攻撃が開始される。
蒼髪の少女の口元がゆっくりと動き、小さな声が発せられる。
この距離ならば、アインにも聞き取ることができた。

「……ガードスキル、HandSonic」

詠唱と同時、蒼髪の少女が着る学生服の左袖口、そこから甲剣が飛び出した。
やはり異質なものであったが、これまでの超常現象的じみた挙動を見せ付けられた後では、驚きも感心もしない。
よって剣の刃が狙う先、それを見極める事もまたアインには容易だった。

武器破壊。

させはしない。
アインはマリアの身体を引き倒しながら、振り下ろされる刃を回避する。
ベレッタを一刀両断にするはずだった白刃はアインの腕の肌を薄く切って地面に突き刺さった。
マリアと共に倒れたアインと、剣を地に突き刺した蒼髪の少女。
次の動作はコンマの差でアインが速かった。
蒼髪の少女が剣を地面から抜き取った直後のタイミングで、
アインはマリアの身体に覆いかぶさったまま、両手で下半身を持ち上げて蹴り上げを放つ。
特にダメージは期待していない。
単なる牽制のつもりだった。

しかしその攻撃は、なんの障壁も無く蒼髪の少女へと直撃する。

少女の腹に突き刺さる踵。

「……つぅっ……」
538名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:04:42 ID:hhOYMnlj

539Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:06:51 ID:bC+fNGGv
対敵は初めて無表情を崩し、苦痛の声が漏を漏らして数歩下がる。

これはアインにとっても意外なことであった。
驚くより先に体が動く。
アインは身体のばねを活かして跳るように立ち上がり、靴から小型のナイフを抜き取る。
これもまた、隣で倒れたままのマリアには見せていなかったものだ。

一瞬だけマリアの目を見る。

マリアの反応はアインの予想以上に素早いものだった。
彼女はアインに一つだけ頷くと、振り切るように拳を握って、立ち上がる。
そして背をむけて走り出し、何度も振り返りながら商店街の路地裏に消えていった。

迷わぬ逃走。
戦う力は不足していながらも、人の足を引っ張るという事態をよく知っている人間の反応だ。
つまりマリア自身が戦いに巻き込まれた経験がそれなりにある事の裏づけ。
これで彼女が話していた幾つかの情報に多少の信憑性が付加される。
アインは大沢マリアに関する思考をそこで打ち切った。
今は情報の整理よりも目の前の蒼髪の少女への対応が先なのだ。

一人だけ人数の減った商店街の大通り。
たった二人で対峙する。
初戦の相手にして、蒼髪の少女はアインの想定を大きく上回るスペックの持ち主。
正面から相手にするのは出来るだけ避けたくあったが、こうなってしまっては仕様がない。

敵の情報を統合する。
対敵――蒼髪の少女、服装は見知らぬ学校の制服。
武装は甲剣一つのみ。
これまでに放った銃弾は命中したが成果を発揮せず。
ただしこちらの肉体により直接触れる事は出来る模様。
なお最初に見せた高速移動は以後使用していない。

纏めた情報から最適な攻撃方法を選び出す。
今はまだ状況はイーブンに見えるが、敵の武力は現時点で圧倒的にこちらを上回っている。
しかも未だに底は見えていないのだ。
長期戦は望めないし、望まない。
ならばこそ、次は最良の一手で望む必要が有る。
氷りつくような時間の中で、アインはその機を待っていた。



――立華かなで
――01:03:43


エンジェルプレイヤーのスキルはこの世界でも使用可能であった。
しかし、幾つかの不調が散見される。
問題は不調がある、ということよりも不調の正体が掴めないことであったが。

天使にはいまいち理解できていなかった。
目前にいるショートカットの少女が何を考えているのか。
最初は一緒にいた金髪の少女に危害を加えようとしてるのかと思った。
だからこそ、天使はそれを止めようと、咄嗟に飛び出してしまったのだ。

しかし、目前の少女はその段階になって唐突に銃口の矛先を変えた。
隣を歩いていた金髪の少女から、天使へと、標的を切り替えたのだ。
更には金髪の少女をあっさりと逃がしている。
これではまるで、天使が悪者のようだ。
金髪の少女にはショートカットの少女が、自分を天使から守ったように見えたことだろう。
540名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:08:32 ID:GNEHtm5o
sienn
541名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:08:56 ID:hhOYMnlj

542Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:10:47 ID:bC+fNGGv
いやもしかすると本当にそうなのかもしれない。
天使が誤解していただけで、目の前の少女は金髪の少女を殺そうとしていた訳ではない、かもしれない。
その可能性も少なからずある。
しかし目前の少女は天使を殺すための動作を止めようとはしない。
油断無く、こちらに襲い掛かる契機を待っている。
なんにせよ、目の前の少女は最初に見た通りの無害な人物ではない事は確かだった。

天使は表情には出さなかったが、心中で苦みを感じずにはいられない。
けれども、慣れたことではあった。悪者にされる事は慣れている。
誤解されて、敵対して、銃を向けられて、分ってもらえない。
ここに来るまでにも、何度も何度もあった事だ。
SSSのメンバーと衝突する毎日。
音無結弦が彼女の前に現れるまで、それは幾度も繰り返された風景だった。

ただしあの世界とは決定的に違う事が一つある。
今度は、人が死ぬ。
失敗すれば、命が消えてしまう。
あの世界と同じやり方ではいけない。
加減一つ間違えれば、殺してしまうし、殺されてしまう。

全力で敵を無力化して止める。
厳しいが彼女が選んだ選択はこの一択。
天使は誰も殺したくなど無かったし、
彼女が今、会いたいと願う彼もきっと同じ選択をすると思うからこそ。

「「……………」」

天使も黒髪の少女も、やはり何も語らない。
仮面のように色の無い表情を向かい合わせながら、時間だけが流れていく。


――商店街
――01:05:05


一交錯は開始された。

アインは片手に持っていたベレッタを後方に投げ捨てた。
同時に抱えていたディパックも、口を開けた状態のまま後ろに滑らせる。
今は対敵に効果を及ぼさぬ要素など不要である。
現状で意味を持つものは握るナイフ一本に限定されているのだ。

天使はその動作を見送る事も無く、踏み込みを開始する。
先手必勝。一歩前に踏み出せば既に甲剣の斬撃範囲。
リーチは彼女が勝っているのだ。
更にこれで動作は天使が先んじた事になる。
動作もリーチも初手で凌駕し、甲剣はアインのナイフを斬り飛ばさんと迫り行く。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:11:14 ID:hhOYMnlj

544Phantom Beats... ◆5YzaoxPYTw :2010/09/12(日) 22:11:53 ID:bC+fNGGv
が、そんな順当な結果など許すはずも無く、続いてコンクリート蹴るアインの両足。
同時、屈んで折りたたんでいた上半身を一気に伸ばす。
壮絶な瞬発力。目にも留まらぬ猛禽の如き一挙動であった。
最大限引き付けていた剣を空振らせ、天使の首筋へとナイフの刃が伸びていく。

「ガードスキル、HandSonic、version.3」

またしても、詠唱がアインの耳に届いた。
直感に任せてナイフを手平で回転させ、逆手に持ち変える。
空振りに終わった左の甲剣など既に脅威に値しない。
だが引き絞られていた天使の右手にはたったいま、確かな脅威が付与された。
天使の右袖口から飛び出してくるもう一本の刃。
今度はただの甲剣ではなくトライデント状の刺殺武器。

フォークのように三つに枝分かれした先端の鋼鉄。
それが迫るナイフを挟み込むように受け止めた。

止まる両者。
止められたアイン。
一交錯は終わる。

暫し流れる静寂の中で、
ナイフは滑っていく、トライデントの上を。
対敵の肉へと近づいていく。

「…………っ!」

その危機に、天使の眉間がピクリと動く。
逆手の持ち替えが間に合った事はアインにとって僥倖だった。
接近戦の技術ならば並ぶ者なしと言われた手捌きが披露される。
アインをもってしても天使の高速移動は厄介な代物であったが、
こうして鍔迫り合いのような状況に持ち込んでしまえば、後は技で勝る彼女の有利。

「――!?」

なればこそ、次の一瞬で己の手が上半身を巻き込んで地面に落下したという事態には、アインをしても驚愕を感じずにはいられなかった。

天使は特に変わったことなどしていない。
技術面では、彼女はアインに劣る。
彼女はただ人間の常識を遥かに超えた怪力で、技など関係なく無理やりアインのナイフを地面に押し込んだだけのこと。
トライデントはコンクリートをぶち破って地に突き刺さる、アインのナイフを巻き込んだまま。
それを離さなかった、否、離す間すら与えられなかったアインの腕も同様に下方に連れて行く。
当然腕が繋がっている胴体も引っ張られて、アインはつんのめるようま格好になる。

パッシブスキル――Overdrive.

高速移動、銃弾無効化、武器生成、更には常軌を逸した怪力。
爆撃機並といわれる天使の戦闘能力のまだ一端。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:12:47 ID:GNEHtm5o
支援
546名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:14:07 ID:hhOYMnlj

547名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:15:59 ID:hhOYMnlj

548名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:23:14 ID:hhOYMnlj

549代理Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:26:01 ID:hhOYMnlj
もう両腕では何をしようとも間に合わない。
武器は封じられ、さらに甲剣の腹がアインの首に迫り来る。
勝敗ここに決する――

――かに見えた。

しかしまだ、終わらない。
底が知れぬはファントムとて同じだった。

アインは、つんのめる勢いのまま地面につけていた左手に加え右手も地につけて。
両の腕の力でアスファルトを押し込む。連動して両足が地を蹴り飛ばして跳ね上がる。
アインの体勢の上下が、逆転する。
そして、右手を地面から離し、自分の懐に差し込み、『それ』を取り出した。

片手逆立ちの体勢。

その手に顕現するは核鉄。

唄われる詠唱。


「武装錬金――バルキリースカート」


空気を幾重にも切り裂いて、鋼の音が鳴り響く。

天へと緩い曲線を描いて伸ばされたアインの両足、その太腿に一つの武装が構築される。
重力に従い捲くれたスカートから飛び出してきた四本の黒いアームと、そこから続く漆黒の死の鎌(デスサイズ)。
それぞれの鎌が別個の意志を持つように旋回し、
アインの全身ごと急激回転しながら天使の頭上へ殺到する。

ここに、黒竜巻の如き斬撃乱舞が展開された。

「ガードスキル、delay――――!」

初戦における終末の攻防。

襲い来る死神の姿。

天使は瞠目と共に迎え撃つ。


――大沢マリア
――01:15:23


マリアは再び走っていた。

鞄とデジカメを握り締め、
商店街の裏路地を駆け抜ける。

あの時、アインがマリアを引き倒した時、彼女の声が聞こえていた。

『もう一度しか言わない、早く逃げて。消防署で待っていて……すぐに追いつくから』

正確な状況はマリアにもよく分らない。
アインはあの蒼い髪の少女からマリアを助けてくれたのだろうか。
単純に見ればそうなる。
しかしアインとて銃を隠し持っていた。
カナンのように戦いなれた姿を見ても、普通の女の子とはもう露ほども思えない。
550代理 Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:30:49 ID:hhOYMnlj
「アイン……あなたは……それにあの子はいったい……」

せめて、
殺し合いに乗った者が迫っていたからこそ銃を取ったのだと。
そう信じたい気持ちはあるが、確信的な事は何もいえない。

アインの正体。青い髪の少女の正体。
まだ何も分らない。
残ったものは自分の命と、アインの言葉と、

「これだけ……」

逃げる直前に咄嗟にデジカメで撮影した一枚の写真のみであった。

【一日目 G-2 路地裏 深夜】


【大沢マリア@CANAAN】
[状態]:疲労(小)
[装備]:デジタルカメラ@現実
[道具]:基本支給品×2、確認済み支給品0〜3
[思考]
基本:カナンを探す。自分の出来る事を見つける。
1:消防署を目指す――?
2:青い髪の少女(立華かなで)を警戒。
3:アインに対する疑念。
※デジタルカメラで立華かなでとアインの戦闘を撮影しました。

――立華かなで
――01:22:02

天使は商店街の路地裏をふらふらと、壁に手を付きながら歩いていた。
揺れ続ける視界の中を手探りで進んでいく。

「…………っ……ぁ……」

どうにか逃げ切ることは出来たらしい。
天使があの四本の鎌を凌ぎきった、と思った途端のこと。
黒髪の少女は後ろに飛んで、待機させてあったディパックから閃光手榴弾を取り出して投げつけ、
天使の目と耳を潰してきた。天使とて感覚器官に作用する攻撃は有効打の一つ。
前後不覚に陥った直後、脇腹に熱を覚えた瞬間には離脱を決行していた。

「…………つぅっ……」

そうして、迷い込んだ路地裏で、天使は遂に膝をついた。
こみ上げる吐き気と、ぐわんぐわんに歪む視界、限界。
脇腹から滴り落ちる血液。――傷は一向に塞がる気配を見せない。

(……倒れる)

思ったときには視界いっぱいにアスファルトが広がっている。
意識が闇に落ちていく。
そうして、天使は気を失う直前に、

「おやおや、こんな所でいかがされました? お嬢さん」

正面に立つ男性の、粘りつくような声を聞いた。
551名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:34:39 ID:SQplrW7g
支援
552代理 Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:35:16 ID:hhOYMnlj
――アイン
――01:20:14


戦闘が終わってから既に数分の時がたっていた。

結果は痛み分け。
敵に傷を一つ負わせ、こちらは無傷ですんでいたが、いかんせん消費した武装が痛い。
閃光手榴弾の使用は有効ではあったが、取り返しの付かない損失だ。
この消費は後に自分の首を絞めかねない。

敵の撤退を許し、自らも撤退したのはリスクがリターンを上回った事に起因する。
ナイフが止められた時点で、彼女は戦いを終わらせるつもりだった。
無理に殺しに掛かっても現在の装備ではこちらが死ぬか、武装がからきしになる可能性があった。

あくまでアインは暗殺者。
正面きっての戦闘など、確実な勝利が約束されていなければ続行しない。
敵も今すぐに倒させねばならない相手ではなかった。

商店街の大通り北側の路地裏で、アインは武器の点検と共にもう一度情報の整理を行なっていた。

今回の行動の総括として。
アインはマリアを殺す寸前に、行動の指針を切り替えていた。
寸前で察知できた蒼髪の少女の接近。
マリアを殺害している間など消し飛んでいた。
あの速度を見せられただけでも、サイスマスターに危害のある人間と判断。
マリアより優先して排除を決断した。

あれにくらべれば、大沢マリアはとても鉄火場で戦える人物ではなく、性格上も人畜無害。
殺そうと思えばいつでも殺せる対象なのだ。
アインが殺さなくても誰か別の人間が殺すだろう。
ならばいちいちこちらが血を被る事はない。
だからこその即興の芝居。

『死にたくないなら、早く逃げて』

小を殺して敵を増やすよりも、利用したほうが有効なのは自明の理。
大沢マリアのような人物ならば、いかようにも使えるとアインは踏んだ。
例えば一度分かれても再度出会うことがあれば、マリアが得た情報を知ることが出来る。
マリアが係わり合い信用を得た人物にも近寄れるようになる。
死んでしまっても、死体から殺した者の情報を得ることが出来るだろう。
等々、他にも色々発展性がある。

暗殺はいかに敵を殺すかだけでなく、いかに敵まで近づくかも重要。

計算外があったとすれば、あまりに蒼髪の少女の動きが速かった為に、攻撃に移行するタイミングが早まったこと。
大沢マリアに銃を隠し持っていた事に関する、偽りの事情を説明する時間がなかった事である。
あれではマリアに対してアインまでも危険人物と認識させた可能性が大いにある。
確信には至っていないだろうが、疑念は植えつけてしまっただろう。
先の戦闘の経緯はベストではない。
ギリギリでベターと言ったところか。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:39:15 ID:CaJa6lEn

554名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:39:22 ID:SQplrW7g
 
555代理 Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:39:32 ID:hhOYMnlj
さて、彼女は次の動作を決めなければならない。
大沢マリアに伝えた合流地点に赴くか、それとも違う場所を目指すか。

「…………」

立ち上がる。
方針は決まった。

彼女は次の行動に移る。

道具のように、機械のように。
けれどその胸の内に一つだけ、小さな希望を抱えながら。
その希望が既に消えていることなど知りもせず。

【一日目 G-2 北部路地裏 深夜】

【アイン@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
[状態]:健康
[装備]:ベレッタM92FS、飛び出しナイフ@現実、核鉄「バルキリースカート・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品、手榴弾セットx3
[思考]
基本:どのような形であれ、サイスマスターを勝利させる。
1:ひとまず消防署を目指す――?
2:利用できる者は利用し、このゲームを有利に進める。
3:使えない者、マスターに害ある者はリスクに応じて速やかに排除する。
4:マスターの優勝または脱出に繋がる情報を得る。
※サイスマスターとは今後の方針などを事前に決めました。
※第二部からの参戦。

――サイスマスター
――01:57:07



「始めたか……アイン」

商店街の路地裏で、サイスマスターは星を眺めていた。

アインの行動の真意を解する者は本人以外にはこの男一人であろう。

これからどのように動くかは、彼女自身からおおよそ聞いていた。
だからこその別行動でもある。
アインがこれから始める行動はファントムとしてのあらゆる手段。
殺害、工作、諜報、情報操作。
しかして行き着く結果必ずしも一つではない。
任務はサイスマスターの勝利。
しかしその勝利の形は一つではないからだ。
大別すれば三つとなる。
1.アインを含む全ての参加者を全滅させ、サイスマスターを優勝させる。
2.サイスマスターをこのゲームから、つまりはこの島から脱出させる。
3.ゲームを強要させる主催者を殺して、サイスマスターを殺し合いの舞台から逃がす。
556名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:40:34 ID:CaJa6lEn

557代理 Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:43:52 ID:hhOYMnlj
順当にいけば1の方法を取る事になるが、参加者が化け物ぞろいなのは先刻承知。
その難度があまりに高いことはサイスマスターとて心得ている。
2はまだ現実的ではあるが1と違って具体的な方策が示されていない。
3など今は言うまでもなく却下だ。リスクが不明瞭であれば方策など欠片もない。

これよりアインはマスターの優勝を目指しつつ、脱出の方法を探りながら、利用できる者は最大限利用し、
加えてサイスマスターを害するものをリスクに応じて殺害するというスタンスを取るだろう。

「さて、ならば私も行動を開始するとしようか」

サイスマスターはゆっくりと視線を下ろし、路地裏の薄汚いアスファルトの地面を見る。
そこには思わぬ拾い物、蒼い髪の少女が意識を手放して横たわっていた。

【一日目 G-2 南部路地裏 深夜】


【サイスマスター@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
[状態]:健康
[装備]:白い普段着
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み)
[思考]
基本:どのような形であれ、このゲームに勝利する。
1:蒼い髪の少女(立華かなで)をどうするか……?
2:アインを利用する。策を弄する。
3:適切な行動の為の情報を集める。
※アインとは今後の方針、緊急の連絡方法等を事前に決めました。


【立華かなで@Angel Beats!】
[状態]:疲労(中)、気絶状態、脇腹に刺し傷
[装備]:制服、エンジェルプレイヤー
[道具]:基本支給品、オートマグ@現実、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを止めたい。音無に会いたい。
1:――
2:アインの真意に対する疑問。
3:音無を探す為に学校に行きたい。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:49:16 ID:MzwKWpF9
なげえw
2分割くらいいくんじゃないのか?
投下乙でした
天使ちゃんマジ天使が変態に捕らわれてしまった…いったいどうする気だ
559 ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:49:16 ID:SQplrW7g
投下乙です。
続けて投下します
560鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:50:23 ID:SQplrW7g


『こちらサーニャ……主催者達の本拠地は発見できない』

闇夜を切り裂いて、サーニャ・V・リトヴャクは高速で飛行していた。
運よくストライカーユニットを支給され、上空からの偵察行動を取れたのだ。
使い慣れているMig60でなくスピットファイアだったのは残念だが、なんとか乗りこなせている。
サーニャは持ち前の索敵能力を活かしてこのゲームを仕組んだ者達への
手がかりを探しているのだが、一向に見つからないのだ。
それどころか、魔法陣による防御シールドや魔導針による索敵、通信範囲まで制限されているらしく、
幾度の念話の試みも失敗に終わっていた。

(あんなに簡単に人を殺すなんて……連中はネウロイ以上の悪魔! なんとかしなきゃ……ッ!?)

索敵を続けるサーニャに衝撃走る。
突如、ストライカーユニットが煙を吹いて中空での慣性制御にブレを生じさせたのだ。
サーニャがそれがユニットの故障ではなく、外的要因……狙撃だと気付いた時にはもう遅し。
音なき銃弾が再びユニットを貫き、魔導エンジンと動力部を破壊。
完全に機能を停止したスピットファイアはサーニャの脚から外れ、爆散する。

(一射目でユニットがどこを撃たれればどう動作するかを確認して、的確に動力部を見抜いて撃ち抜いた……!?)

(そんな狙撃手、いるはず……)

高度が落ちると共に、サーニャの意識が急速に薄れていく。
ウィッチとしての魔力を大幅に制限され、ユニットをも失った今の彼女では、
爆発的にその華奢な身体を襲う気圧変動と、猛風に耐え切れる筈もなかった。
両眼球は眼窟の奥深くまでめり込み、瞬く間に脳に到達して、うち一方が砕けて眼窩からすり抜けた。
四肢はまるで糸の切れた操り人形のように滑稽に曲がりながら、その先端の指を破裂させる。
失禁し、脱糞した局部からは、ドロドロの血の混ざった液体がボトボトと風にさらわれていく。
首は480度捻転し、脳味噌と頭蓋骨と顔の肉がシェイクされて可憐さを失った顔からは、
顔皮の4割が剥げ落ちた事によって、赤紫のプリンのような半固体が零れ落ちていった。
死の間際、サーニャは何を思ったのだろうか。
生き別れた両親の事だろうか、このゲームに乗って自分を殺した誰かの事だろうか。否―――

(エ……イラ……)

戦友の、面影であった。
絶命したサーニャが、バラバラになる一瞬前に教会の壁に叩きつけられる。
神のおわす場所に真っ赤な百合のような模様を残して、ウィッチの一人はあっさりと脱落した。

561名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:50:48 ID:hhOYMnlj
死者は出なかった……が、アイン−サイスコンビ怖ええw
マリアはお人よしの部分はどうしても抜けきらないか。天使ちゃん逃げてー
バトルの駆け引きも凝った大作乙です

122 : ◆5YzaoxPYTw:2010/09/12(日) 22:43:43 ID:QlQxS9WA0
投下終了です
支援及び代理投下、ありがとうございます
562名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:52:00 ID:GNEHtm5o
これで終わりみたいだね

投下&代理投下乙です

似た者同士の濃厚バトルとかいいわあ
戦いは激しいがなんて醒めた戦いだ
サイスさんがどこかであっさり死ねば、アインさんの近くに居なければアインさんもこうはならなかったのに…
そしてかなでちゃんがあ…これは二人が不幸なのかサイスが幸運なのか…両方だろうな
マリアさんはマリアさんで危機は去ったが…
563鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:52:20 ID:SQplrW7g


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ドドドドーン!

突如教会の中に響いた轟音に、ユイは素早く反応した。
何が起こっているのかを確かめるため、即座に教会の外に出ようとする。
今の音は砲撃だろう。下手をすれば、砲手は外に出ても見えない遥か遠い場所にいるのかもしれない。
しかし一瞬の気の迷いが取り返しのつかない事態を生む事を彼女は良く知っていた。
一足飛びに一目散に教会のドアに向かうユイを、しかし火村が静止する。

「迂闊に飛び出さない方がいいな」

「何でですか!」

「遠距離から何かを撃ってくるって事は、ここに近づく度胸もしくは確証がないって事だ。
 教会の中に誰かがいるとわかってしまえば、相手も腹をくくってしまう。ここは隠れてやり過ごすべきだ」

「く……私に偉そうに指図すんな!!!!!!」

ユイは一瞬躊躇するような素振りを見せたが、結局自分の最初の選択を覆さずに入り口を抜ける。
気の迷いが何を生むのか分かっていたはずなのに、愚直に突進してしまう。
その結果は、彼女が知るとおり、『死』という噛砕で報われた。

「……へ?」

ゴシュリ、と嫌な音を立てて、ユイの喉笛が消失する。
同時に噴出していく血の量が、火村にももう彼女が助からない事を理解させた。
それを行ったのは、教会の入り口前に身を潜めていたらしい金髪の青年。
荒事に慣れていそうな、狂暴な外見は、火村を恐れさせるには至らない。
だが次の瞬間、青年は異形の変貌を遂げた。
顔だけが鮫の形に変わり、目を白黒させているユイの頭部を噛み砕いたのだ。
首をなくして血を噴出するユイの体幹を見ながら、火村の精神が爆発する。
これは夢だ。夢だったのだ。こんな生き物が存在するはずがない……。
混乱に陥った思考の中で、火村はなんとか懐からスモークディスチャージャーを取り出し、撃つ。
煙に包まれた魚人は戸惑うように右往左往しているが、火村の残りの武器、
果物ナイフではとてもではないが対抗する事はできない。

「うわああああああああああああああああ!!!」

恐怖そのものを肺から吐き出しながら、火村は惨めに逃走した。
逃げる背中の後ろから、あの魚人がユイの内臓を貪るような、幻聴を耳にしながら。

564鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:53:40 ID:SQplrW7g


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


走り続けて、島の端にたどり着いた火村。
彼がそこで目にしたものは、死体を運んで島周を流れる船だった。
片手の指で足りない数の死体が載せられている。
その中に、彼の良く知る者もいた。

「……」

やはり、これは悪夢だったのだ、と火村は悟る。
彼にとって、雨宮優子は死んだ存在だ。
もういない女が、生きて歩き回っているはずがない。
だから目の前で死体になっている雨宮優子には何の矛盾もない。
だが、それでも彼にとって優子は特別だった。
死体に近寄り、自分の妄想の産物なりに目の前に現れてくれた彼女に、何かを言おうと口を開く。

ターン

銃声を認知する前に、火村は死んでいた。
心が折れた人間に、生き残りを懸けた争いに参加する資格は、既にないのだから。

「これは……煙幕弾を打ち出す装置って奴か。便利そうだな」

死体の山から起き上がった少年が、頭をポリポリ掻いて死体になった火村を船に引きずりこむ。
男はナイフを持っていた。自衛の為だろうとなんだろうと、凶器は凶器。
武器を持っている者は、何かの拍子に人を殺しかねない。故に殺す。
少年、中村剛太の意志に一切の曇りは見られない。

「この女の人を見ていたな。知り合いかもしれないし、並べておいてやるか」

ドライな彼にも、多少の情はある。
火村が優子を見る目に、どこか自分が津村斗貴子を見る目を重ね、死体を隣り合わせにしてやった。

「さて……この調子で、島を一周するまでに大勢釣れるといいな」

死体役に戻り、剛太は再び死臭の中で息を潜めた。

565鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:55:17 ID:SQplrW7g


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

B-6に、ぽつんと立っている塔がある。
その頂上に、一人の少女が居た。

(変わった格好だったな)

消音機付きの狙撃銃を収め、遠見真矢は静かに呼吸を整える。
サーニャ・V・リトヴャクを撃墜したその狙撃テクニックは、普段の彼女の物ではない。
竜を殺し、その首を奪う巨兵、ファフナーに搭乗している彼女の特性だ。
勿論、彼女は生身。ファフナーになど乗っていないし、狙撃銃だって生身で撃った事もない。
だが、彼女に支給されたニーベルング・システムとシナジェティック・スーツが、あの狙撃を可能にした。
手袋のような形状に加工されたニーベルングの指輪は、ファフナーに搭乗した際のような精神の変容を
引き起こし、スーツは狙撃の姿勢補助に役立ってくれる。
未だファフナーに搭乗していない彼女にとっては、これらを装備する事は
他のパイロット達と同じになれたような高揚感と興奮を与えてくれた。

(みんな、待っててね。私が頑張って、なんとかするから)

フェストゥムと共に自爆して死んだ筈の翔子を、真矢は最初の場所で目撃していた。
主催者達が死者を蘇らせることができる事は絶対の事実。
よって彼女の目的は、全参加者の殺害による自分の関係者の蘇生である。
冷徹な今の彼女の思考には他の参加者も全て生き返らせてもらうという選択肢は存在しないが、
そんな願いが無意味な事は十分に理解できていた。殺し合いをさせる意味がなくなるからだ。
願いは一つ、ならば生き返らせられるのも一人ということもありうる。
仲間の為に自分を殺せるかどうか……冷徹な今の真矢にも、それは分からない。
だが、最悪の場合は一騎と翔子のどちらかを生き残らせて、
死んだ片方を生き返らせるという道を選ぶだろうという予感はあった。

(翔子、一騎くんと一緒になれるんだよ。私、翔子の友達だもんね。絶対に叶えてあげるからね)

冷徹なのはあくまで思考。想いは友人思いな少女のままである。
だが、目的の為に障害になりそうな知り合いもいる、とニーベルングが真矢に語りかける。
566鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:56:18 ID:SQplrW7g

(春日井くんはフェストゥムに侵食されていたから、きっともう春日井くんじゃなくなってる。殺さなきゃ。
 皆城くんは信用できない。何を考えてるか分からないところもあるし、一騎くんを島から追い出した)

(……)

浮かぶ疑心。
だが、真矢はニーベルング・システムを取り外して深呼吸する。

「駄目だよね。友達だもん……信じなくちゃ。きっと、皆が幸せになれる道がある」

指輪を外すと同時に襲い掛かってくる恐怖と罪悪感に飲まれそうになりながらも、
真矢はきっぱりと行動方針を決めた。そこに、階段を上がってくる音。

「真矢ちゃん、お待たせ……やっぱり、この塔の中には人はいなかったよ」

「私も、この鉄砲のスコープで周りを見てみたけど、誰もいないみたい」

現れた少年の名は、武藤カズキ。
塔の中で真矢がシナジティック・スーツに着替えていた時に出会った、ごく普通の人間だ。
真矢には、周囲の人間の表情から何を考えているか看破する第六感的な力がある。
カズキが真矢を見る表情からは、思春期独特の、身体のラインが出るスーツを着ている女性に対する
遠慮の気持ちと、心から真矢を心配する真摯で清廉な、男らしい印象が読み取れていた。
だからこそ、真矢は彼を『隠れ蓑』として選んだ。
いくら何でも、何の工夫もなしに狙撃だけで生き残れるとは思っていない。
真矢は弱者を装う(実際、接近戦闘だと参加者の大半に殺されるだろうと思っている)事で、
降りかかる火の粉を少しでも減らそうと考えていた。
カズキは「少女が化け物に襲われるのを助けようとしたらここにいた」など妄言を吐いていたし、
戦力としては心もとないが、何故か真矢は彼と一緒に居るのを心地よいと感じていた。

「それで考えたんだけど……俺、神社や温泉の方へ人を探しに行こうと思うんだ!」

「危ないよ、ここにいた方がいいよ」

「大丈夫!何を隠そう、俺は人探しの天才だ!」

「誰が良い人で誰が悪い人なのかもわからないのに、人探しなんておかしいよ。
 でも、カズキくんが行くなら、止めはしないよ。私、ここでずっと待ってるから」

「分かった!じゃあ、放送が来るまでには戻ってくるよ」

「誰か来たら、隠れてやり過ごすけど、いい?」

「俺にも知り合いはいないし、良い人かどうかなんてわかんないもんな……仕方ないかな」

カズキが、バールのような物を持って塔を降りていく。
また一人になってしまって少し不安だったがエサを連れてきてくれるならしょうがない、と真矢は再び狙撃銃を担ぐ。
スコープを通してしばらく周囲を見張っていると、神社の方へ走っていくカズキが見えた。
今撃てば、簡単に殺してしまえるだろう。でも、彼にはもっと助けて貰わないといけない。

「頑張ってね、カズキくん」

ニーベルング・システムを装着しながら、真矢は狙撃銃に弾を装填した。

567名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 22:57:40 ID:hhOYMnlj

568鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:58:18 ID:SQplrW7g
【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ 死亡確認】
【火村夕@ef - a tale of memories./melodies. 死亡確認】
【ユイ@Angel Beats! 死亡確認】

【残り 56人】


【一日目 B-5 教会 黎明】

【シャーク藤代@瀬戸の花嫁】
[状態]正常
[装備]ベレッタM92(15/15)@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]基本支給品×2、ベレッタM92の予備マガジン×4 ランダムアイテム1〜5(本人確認済)
[思考]
基本:瀬戸組以外は皆殺しにし、その後のことはその後で考える
1:瀬戸燦、政以外の参加者を全て殺害する(永澄優先、留奈、巡については手心を加えないでもない)。
2:瀬戸燦、政と合流

【一日目 B-4 海(浜沿い) 黎明】

【中村剛太@武装連金】
[状態]:健康
[装備]:マテバ 2006M@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜5(確認済み) H&K G3A3@GUNSLINGER GIRL
     睡眠薬搭載弾装填拳銃@現実 CZE Vz.61 “スコーピオン”@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
     歩兵用手持式煙幕弾発射装置@現実 果物ナイフ@現実
[思考]
基本:津村斗貴子を守る
1:戦力を持つ参加者の殺害(カズキ、ヴィクター優先)。
2:斗貴子、火渡と合流する。
3:民間人の保護。
[備考]
※斗貴子にカズキ再殺指令を伝える直前からの参戦です。
※B-4から島の岸を沿って右側に流れる潮に、中型の船が乗っています。速度は後の書き手さんにお任せします。
※船には、中村剛太と、ドライ、桜花、優子、政、銀、火村の死体とそれぞれの基本支給品が乗っています。

【一日目 B-6 塔 黎明】

【遠見真矢@蒼穹のファフナー】
[状態]:健康 精神変容(冷徹・小)
[装備]:ワルサー WA2000@GUNSLINGER GIRL ニーベルング・システム@蒼穹のファフナー
     シナジェティック・スーツ@蒼穹のファフナー
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:優勝し、アルヴィスの仲間達を全員蘇生する
1:一人しか蘇生できなそうなら、翔子か一騎のどちらかを生き残らせて死んだ方を蘇生させる
2:カズキが帰ってくるのを待つ
3:狙撃の射程圏内に入った参加者は、誰であっても(翔子と一騎、カズキ除く)狙撃する。

【一日目 C-6 草原 黎明】
【武藤カズキ@武装連金】
[状態]:健康
[装備]:バールのようなもの@現実
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考]
基本:生き残る
1:友好的な参加者を探す。
2:殺し合いが起きているかどうか確かめ、起きていれば止める。
[備考]
※一話にて、斗貴子を助ける為に飛び込む寸前からの参加です。
569 ◆Xb3cjlZ4Zs :2010/09/12(日) 22:59:14 ID:SQplrW7g
以上で投下終了です
支援ありがとうございました
570名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:03:48 ID:GNEHtm5o
投下乙です

あっさり死んだな。教会の連中はどうでもいいがサーニャがあああああ
幾ら支給されてもストライカーで飛ぶのは死亡フラグなのかよw
シャークは原作ではギャグで済んでたがここでは…
剛太、お前って奴は…
真矢は真矢で乗ってるのか…

一つだけ残念なのはカズキの参戦時期が…その時期だとさすがに役にも立たずに目立たせる前に死ぬだけ名様な気が…
571名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:09:33 ID:hhOYMnlj
乙です
今度は死にまくったw
真矢はやばいことになってるなあ、シャークさんもここでは超危険人物にw
さすがはマーダー優遇ロワ

カズキは減りすぎた一般人役の補填かな
個人的には同じ一般人思考でも核鉄移植された直後の方が
面白そうだけど、そこんところは任せます
572名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:13:19 ID:bC+fNGGv
おつです
マーダーがみんなやばいぜw
にしてもサーニャ・・・やっぱストライカーは死亡フラグだったのか
カズキは一般人状態だな、彼は今後どうなっていくのだろう
573名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:15:10 ID:bC+fNGGv
あ、さる解除されたみたいなのでこちらの方でも改めて

支援ならびに代理投下ありがとうございました
574名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:39:03 ID:6i75gvyq
民間人の保護と書かれていながら、平然と殺しをする剛太はカスだな
575名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:43:34 ID:OXI/EDaT
投下乙
また奉仕マーダーの奉仕先が死んだwwwこれもうウチの特色だろwww
efキャラはざまあ、あとあの>>1の為にフラグ回収してから殺す必要はなかったと思うけど・・・・・・・
エンジェルビーツのキャラと逆でも良かったと思う、エンジェルビーツのキャラは南無でした
真矢はこえーよ!ロワで狙撃って死亡フラグですぞ、気をつけて
カズキはヴィクターが近くにいるのに一般人で残念でしたの良いとこ取り剛太は早く死ね
576名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:58:04 ID:ZkqurB1t
投下乙
地味に全滅の危機だったファントムだがアインは無事登場話を生き延びれてオメ!
天使と互角以上に戦うとはやるな…天使ちゃんはマジピンチだが
巡り巡った因果応報か流れ通りサーニャ死亡…火村は死体とはいえ最後に優子に会えて良かったね
そして地味に登場する前に奉仕先をすべて失った日向の明日はどっちだ!?
577名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/12(日) 23:58:22 ID:Ae5+hS+Y
投下乙でした
>Phantom Beats... ◇5YzaoxPYTw
長い割にはあまり話に動きがなかったのが残念
アインとサイスはどちらにでも転べる便利なキャラになりそうだ

>鮫は地を這い、竜は天を撃つ ◆Xb3cjlZ4Zs
真矢の狙撃能力凄い、その一言に尽きる
サーニャを何故グロ死させたし…使いでのないキャラの間引きも自然でよかったです
578名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:12:12 ID:tqib41wQ
使いでのないキャラではなくてこのロワで使いでのないキャラだろ
可愛いは正義だぞ
可愛い女の子は女の子で色々使いではあるぞ
ただ別に死んで欲しくないとかじゃないぞ。今回は運が無かっただけさ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:14:24 ID:/o4bPa+a
登場話の予約が入ってない一覧

【魁!!クロマティ高校】1
○メカ沢新一
【武装錬金】1
○火渡赤馬
【ef - a tale of memories./melodies.】1
○久瀬修一
【蒼穹のファフナー】2
○近藤剣司/○小楯衛
【ストライクウィッチーズ】2
○エーリカ・ハルトマン/○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
【Angel Beats!】1
○日向秀樹
【GUNSLINGER GIRL】5
○ヘンリエッタ/○ジョゼッフォ・クローチェ/○トリエラ/○ヴィクトル・ヒルシャー/○ピノッキオ
【瀬戸の花嫁】3
○江戸前留奈/○銭形巡/○三河海
【真・恋姫†無双】6
○劉備/○関羽/○諸葛亮/○趙雲/○馬超/○曹操



久瀬一人の火種でどのくらい誰得キャラ消せるかね
恋姫から3人、ガンスリから2人、久瀬なら6人減ってちょうど50人で火種満載スタートのロワみたいになるが
580名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:15:23 ID:v71omKIG
火種が久瀬だけ?
んなこたーない
581名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:17:23 ID:/o4bPa+a
しかしこれ程未登場キャラと死亡キャラの作品が偏ったロワも珍しい
あの>>1の舵取りで始めたのが間違いと言えばそこまでだが、
恋姫はもうちょっとなんとかならなかったのかね
582名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:22:57 ID:LjFGUuVo
しかしまあ把握的な意味でも久瀬には早いところ退場してもらった方がありがたい
もう誰も知り合いいないわけだしね
583名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:25:14 ID:Q0g470tW
ガンスリ→玄人に人気ありそうな作品だし、書き手がなんぼか釣れるだろ
恋姫→原作エロゲだけど話題性はあるし、書き手がなんぼか釣れるだろ

その結果がこれだよ!

投票ではまあよくあること
584名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:27:33 ID:LjFGUuVo
どうしても予約埋まらなかったらこいつら全員間引いてそっからスタートでもいい気がするが
そんでも40人、ロワとしちゃ十分なほど残る計算だし
585名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:27:57 ID:Sa7P5yub
恋姫は原作は無印、真どっちもやったんだけど、それで書けるもん?
586名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:30:38 ID:CUF4VS66
もうちょい対主催分を補給しながら出していったら
いろいろバランス良くなる思うが、そんな上手くできるかなー
587名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:31:51 ID:/RFJL8lS
マーダー一覧

【蒼穹のファフナー】
○遠見真矢/○春日井甲洋
【ストライクウィッチーズ】
○エイラ・イルマタル・ユーティライネン
【武装錬金】
○中村剛太/○早坂秋水/○ヴィクター
【魁!!クロマティ高校】
○ゴリラ
【瀬戸の花嫁】
○シャーク藤代
【Angel Beats!】
○仲村ゆり/○直井文人
【エルフェンリート】
○ルーシー/○坂東
【CANNAN】
○アルファルド/○リャン・チー
【Phantom 〜Requiem for the Phantom〜】
○アイン/○サイスマスター
588名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:32:04 ID:Q0g470tW
むしろ下手にバランス取ろうとしない方がいいかもしれない
優勝・全滅エンドを許容するだけで難易度は一気に下がるし
589名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:34:20 ID:CUF4VS66
最初から許容済みだけど対主催キャラ要素もあったほうが面白い
開き直るよりもオチは見えてないほうがやっぱ良いと思う
590名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:36:50 ID:v2BHgT+6
恋姫連中は工夫しないと、ほっといても対主催になる
放送後に奉仕者死んでスタンス変えるやつもいるだろうし
あんまり気にしなくても良いんじゃね
591名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:37:46 ID:QGQ7zhWq
>>585
恋姫はアニメとエロゲで微妙にキャラが違う。
全体的に微妙にマイルドになった感じ。
まあ大きく違わないからある程度行けると思う。
一刀が居ないことだけ注意。
592名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:39:36 ID:Q0g470tW
そういや恋姫って主催の出典作品だっけ
キャラも話も知らんが、このまま余り続けて
登場話から6人揃ってフレッシュプリキュア!とかやられると始末に困るな
593名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:46:31 ID:LjFGUuVo
そっか、主催陣営に恋姫いるんだっけ・・・
あれがなければ恋姫の参加自体なかったことにできるのにな
594名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 00:48:51 ID:v2BHgT+6
北西部 孤立空間にマーダーだらけの悪夢、何とか抜けるとルーシーが待っているという
北東部 ここもマーダーだらけなのだが、頭を使えば戦闘回避できそう
南西部 対主催の拠点になりうるが、火種がボチボチと
南東部 対主催だらけ、ただし、クロ高なので先行き不安
595名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 01:05:21 ID:/RFJL8lS
>>589
まあいざとなったら終盤に主催者を会場に入れればいいだけだしどうとでもなるさ
意見が割れた末の内乱で勝手に死んでくれるかもしれないし
596名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 02:40:20 ID:e7kAWRkc
人気投票だとこの結果になるのは仕方ないとは言え、
恋姫キャラが全員(将来の)蜀で固まってるのがキツイ。
 せめて他国の連中も混ざってれば敵対も有り得たのに、一枚岩過ぎる
597 ◆OC0lZMIUd. :2010/09/13(月) 04:20:51 ID:qtqC4Nbw
投下します。
598トゥルーデは戦場へ行った ◆OC0lZMIUd. :2010/09/13(月) 04:23:26 ID:qtqC4Nbw
(やれやれ!まったく、戦場は地獄だな!)

そう感じながら警察署の周辺をゲルトルート・バルクホルンは逃げていた。

「ちょっと待て!話を聞いてくれ!」
「うるさいうるさい!そっちがいきなり撃ってきたんじゃない!」
「すまない!人違いで!って、うゎぁぁぁ!」

不可視の力で投擲された建物の破片がこちらへ飛んでくる。
あわてて後ろへダイブしてそれをかわす。今立っていた場所に破片が突き刺さった。

少し離れた場所から攻撃してきたピンク髪のショートカットの少女の周囲には
石やら瓦礫の破片やらがふわふわ漂っている。

「へー、やるじゃない。でも無理だよ。人間がディトロニィウスに敵う訳ないんだから!」

最初はこの娘を最初に集められた広場で人間の首を吹き飛ばした女だと思っていた。
危険を感じ支給されたトカレフで後ろから撃つことに決めたのだが、寸前に違う人物だと気付いた時は既に遅く。
引き金を引いて足元の地面を撃ち抜いたせいで思いっきり警戒され今に至る。

「……悪い人はパパに代わって懲らしめてあげる。」

ゲルトは膝立ちになりその様子を観察する。
その手に銃はない。何か見えない力で手から落とされたのだ。
慌てて離れた訳だが10メートルほど離すと今度はその辺に落ちていた物を投げて来た。
これは人の技術の類ではない。それに頭から生えた二本の「耳」、
察するに、恐らくこの娘もウィッチ。とすれば広場にいたあの女も。
人違いとはいえこの類似性。髪の長い方と無関係とはとても思えない。
立ち上がり様に振り向き、全力で後方へ駆けだした。

「コラー!逃げるなー!」

追いかけながら次々瓦礫を投げてくる。走りながらゲルトは考えた。

(逃げてしまっては情報を得るチャンスを逃してしまうな。どうにか落ち着かせなければ。)

着いた場所は駐車場。まばらにだが車が放置されている。
ちらりと後ろを見ると投げつくしたのか少女の周りには何も浮いていない。
599トゥルーデは戦場へ行った ◆/Fnde2WILg :2010/09/13(月) 04:24:41 ID:qtqC4Nbw
(いいだろう、カースランド軍人の力を見せてやる。)

「ふん、車の陰にでも隠れるつもり?そんな暇あげないよ!」

そういって少女は右手を前に突き出し―――何かが発射された。

「何!?」

慌ててゲルトは車に手を触れる、その瞬間。
車が一瞬でゲルトの前方へスライドし、飛翔物を弾き返した。

「……え?何?」

目の前で起きた良く分からない現象に少女は困惑する。
そうしている内にゆっくりと車が持ち上がっていく。

「その念動力のような魔法、射程範囲はせいぜい5メートルといったところか?
 それほど重いものも投げれないようだな…………私と違って。」

右手一本で車を支えたゲルトの全身が見えた。

「……ルーシーさん並の馬鹿力……って、何する!?」

「どっりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

車を、そのまま少女へ向かって投げ飛ばした。

「ちょ!?こ、こんなもの!ベクターを全部使えば!」

軌道を変える為車へ向かって力を集中させ、

ポロッ

「あ。」

何かが、太ももの付け根から落ちた。

600トゥルーデは戦場へ行った ◆/Fnde2WILg :2010/09/13(月) 04:26:32 ID:qtqC4Nbw
「……やった、か?」

車は軌道をずらされたのか目標とは少しはなれた場所に落下している。
元々真上に落とすつもりはなかったのだがなぜか少女は崩れ落ちてピクリとも動かない。
勝負ありということなのだろうか?

「段取りが少々狂ったな。まあ結果は同じこと……ん?」

ごろりと、足元に腕が転がっている。少し驚いたが、よく見るとこれは。

「……義手?」

最後に飛ばしたのはこれかと納得し、それを拾って倒れている少女に近づいていく。
周りが暗くてよく見えなかったが近づくにつれ段々姿がはっきりとしてきて――――驚愕した。

「……な……!?」

左手腕の義手、両足の義足も外れて頭と胴体だけになった体が転がっている。
少女は四肢のない達磨の様な状態だった。

「う……うぅ……あぁ!!」

気がついたのか目をこちらへ向け、

「う……わーーーーん!!!!恥ずかしいよ!見ないでよ!」

泣き出した。

「………あ、あぁ………。」

戦火が絶えないカースランド地方では被災者や戦争孤児が後を絶たない。
一命を取り留めたものの体の一部を欠損した者、精神を病んだ者、大人の男から小さな子供まで
容赦なく人生を奪っていった。―――――妹のクリスのように。

「馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁぁ!!」」
「すま……ない……。本当にすまない。許してくれ。」

ゲルトは膝をつき、大きくうなだれる。

「……?……泣いてるの?」

それを見た少女、ナナは非難する視線を少し和らげた。
601トゥルーデは戦場へ行った ◆/Fnde2WILg :2010/09/13(月) 04:29:06 ID:qtqC4Nbw
◇  ◇  ◇

「そうか…そんなことが…。」
「うん、あの人と戦って、こんな体にされたんだよ。」

とりあえず落ち着いた二人は並んで座り込み支給された食料をほおばりながら
互いの身の上を話していた。

「つまり、ルーシーとやらとは敵対してるという訳だな。」
「そうだよ!あの人が生きてたらどんどん人が死んじゃうよ。私が止めなきゃ。」

まだクリスとさほど変わらない年齢であろうにその瞳は確かに戦士の漂っていた。
生死の境を彷徨った者にしかできない覇気。しかし。

「いや、無理だ。」
「なんでー!」
「相手は何の躊躇もなく人を殺す殺人鬼だ。ネウロイと何も変わらない。
 さっきのような戦い方じゃ甘すぎる。」

芳佳、フラウ、シャーリー、501の仲間の安否。会場の脱出方法の模索。
やることは山積みだがとりあえず―――。

「私も協力する。一緒に、奴を倒そう。」

明確な敵がいる。民間人の命が危険にさらされている中逃げ出すのは軍人の名折れである。
ゲルトが差し出した手を、少し迷った後ナナは取った。

「うん、頑張ろうね!お姉ちゃん!」

「・・・・・・。」

「……ん?どうしたの?」
「あ、いや、すまない、……すまん、頼みがあるんだが、もう一度呼んでくれないか?」
「え?どうしたの、お姉ちゃん?」

顔が赤くなっていく。どこか具合でも悪いのだろうか。

「……ああそうだ、さっきの戦闘で気になったことがあってな。」
「うん。」
「いいか、戦場でそんな長いズボンを履いちゃいけないぞ。空気抵抗が強くて思ったように動けないからな。
 ズボンは私のように膝下3cm以内に収めるのが兵士の嗜みだ。良かったらお姉ちゃんが調整してあげるぞ。どうする?」

ナナは凍りついた。

602トゥルーデは戦場へ行った ◆/Fnde2WILg :2010/09/13(月) 04:32:59 ID:qtqC4Nbw

【一日目 F-4 警察署前 深夜】
【ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:トカレフTT-33(14/15)@Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]:基本支給品×1、予備弾装×4、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考]
基本:ナナと一緒に島を廻って危険人物を片付ける
1.できれば芳佳を保護する
2.フラウやシャーリーは…あいつ等なら大丈夫だろ


【一日目 F-4 警察署前 深夜】
【武藤カズキ@武装連金】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品1〜3(未確認)
[思考]
基本:やだこのひとこわい
1.どうしようパパ、変態さんだよこの人
2.二人で協力してルーシーさんを倒す


投下終了。
もう寝る。

603名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 04:36:34 ID:1aJXKI93
武藤カズキ……?
604 ◆/Fnde2WILg :2010/09/13(月) 04:44:16 ID:NjsXrxwx
【武藤カズキ@武装連金】 →【ナナ@エルフェンリート】

(´Д`)
605名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 05:08:34 ID:v71omKIG
ディトロニィウス>ディクロニウス
カースランド軍人>カールスラント軍人
フラウ>フランチェスカ・ルッキーニ? 劇中でバルクホルンがルッキーニを呼ぶシーンがあったかどうか
わかりませんが、ここはルッキーニ少尉とか呼ぶのでは?何より読者が判りにくい。
あとこのメンバーなら、ハルトマンについても言及するのでは

トゥルーデはナナと姉妹の契りを結んだか
投下乙です
606名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 05:21:24 ID:IJwzZe6J
フラウはハルトマンの愛称

 元になったエーリッヒ・ハルトマンの徒名が「ブービー(坊や)」
 それが女性キャラになったので「フラウ(お嬢ちゃん)」
 綴りはfrauだと思うが、flauで調べると「だらけた・怠惰な・ぼんやりした」
 とか出てくるんで、性格付けとしても頷ける。

らしい
607名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 05:36:16 ID:v71omKIG
そうなのか
でも二人きりの時でも、ハルトマンかエーリカって呼んでるぞ
その愛称って設定使われてるのリーネとトゥルーデとシャーリーくらいだろ
608名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 06:04:27 ID:9eutbHDm
全然予約入らない恋姫が逆に楽しみw
>>1の贔屓作品だし、多重でもしてたのかな?
派手な爆散を期待してるぜ!
609名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 07:03:42 ID:v2BHgT+6
投下乙です
おお、このロワには珍しく、素直な共闘SSが来たか
ナナの不殺の性格は今後どうなってくるか楽しみだ
610名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 10:40:43 ID:8AEh7dSv
トカレフの装弾数おかしくね?
ファントム仕様?
611名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 12:51:38 ID:wo1VmQ8m
>>590
恋姫連中は強引にマーダーにせずに対主催でもいいけどな
他にもマーダーになりそうなヤツが数人
誤解や誤殺入れたら丁度いい数になると思うぞ
それに無理やりマーダーにしても面白くないぞ
これまでのマーダーはマーダーになる要素があったから自然な展開になったし
612名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 22:06:23 ID:v2BHgT+6
仮投下が来てたか。後で読んでみるか

ここから、恋姫どうするかってことで予約が停滞するか
既存の予約余りでアイディアがなかったら
二週目の連中と絡ませるって手もあるんだけどな
613名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 22:20:09 ID:iW7W3KNI
まさかクロ高が対主催最後の希望になるとは誰が予想してただろうか…!
614名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/13(月) 22:49:40 ID:v2BHgT+6
むしろ、クロ高だから無茶しても許されてる
615名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 00:52:32 ID:srZh3xGF
>>612
まだ焦る必要もないと思うが
616名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 00:57:44 ID:t+muO6R3
恋姫もガンスリも把握してるしアイディアもあるけど、ここでまともに書いても意味あんのかなと思う
特に対主催側とか
まだやる気有る人いるの?
自分だけ恋姫把握してても意味ねーしな
617名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:00:09 ID:arVjSw8K
名無しにそんなこといわれましても
ハハッワロスとしか返せませんな
618名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:02:35 ID:nQDZiXjr
もう>>1も潰したし
基本はefを全滅させたらネタスレとしてお開きだろ?
それでも書くなら止めはしないが、真面目にやるなら余所に移った方が楽しいぞ
619名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:10:36 ID:tOHrkibG
口から糞たれんなよカス
620名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:11:34 ID:Hlbx2Spn
いやいや、ストパンとかクロ高とかまだ色々美味しいのが残ってるじゃない
621名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:31:35 ID:vaVNtT9c
パロロワ企画リスト
http://www11.atwiki.jp/row/pages/165.html

まともな書き手の人はここから稼動してるロワを探して、自分の好みに合う所にいくのがいいかも
ここはもう大体役目は果たしただろうし
622名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:40:06 ID:pVVNHTEV
俺は本当にやるきある人が残ってる限りは書くつもり
対主催側とかもこれからに期待してたんだけどな
efはおいといても残ってるキャラには魅力があるし、
恋姫も面白そうだから把握するよ
まー誰にもやる気がないってんならこれまでだろうが
623名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 01:54:34 ID:Hlbx2Spn
せっかく完結しそうなハイペースだったんだから最後までやろうぜ
624名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 03:48:01 ID:srZh3xGF
面子はよかったのに…
もう終わったとか思われるほど士気が落ちてるのか…
>>1がいたずらに人数増やさなければ違ったかもな
好き放題に後先考えずに大虐殺上等の空気にはならなかったよな
625名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 06:53:25 ID:Q36Vr7vk
>>616
神山がシルバースキン装備しても何も言われないスレだ
マーダー地獄な分、対主催への優遇も緩い
投下したければすればよいかと

ガンスリならこっちも把握中だよ
626名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 07:00:57 ID:8oFeeepA
元1はしたらばの前科からして自演誘導はここで今もやってるかもな
ただ、見沢するのも馬鹿馬鹿しいので、心の中でスルーするが良し
627名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 07:59:54 ID:Q36Vr7vk
せっかくなんで質問、恋姫って3期あって長すぎるんだが
どの話を見ればキャラ把握できるんだ
628名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 08:51:08 ID:t+muO6R3
まぁキャラとしての性格はみんな単純だけど馬超が一番把握しやすいかなぁ
出番少ないし
1期
3話 張飛、馬超と相打つのこと
4話 馬超、曹操を討たんとするのこと
2期
1話 馬超、悶々とするのこと
11話 馬超、尿意をこらえんとするのこと
あたりを見れば充分判る
629名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 09:00:24 ID:yyVuxsM1
個人的には面白いから全部見てほしいところだけど、さすがに全部で36話はきついか
とりあえず初登場の話だけ上げると、

劉備→真・恋姫2話
関羽→恋姫1話
諸葛亮→恋姫6話
趙雲→恋姫2話
馬超→恋姫3話
曹操→恋姫3話

あとキャラ同士のからみを考慮すると
恋姫4話(馬超と曹操の因縁、関羽への曹操の執着)
恋姫11話・12話(偽劉備との因縁)
は押さえておいた方がいいと思う

手っ取り早くそれぞれの1話と最終話だけ見たらおおまかなキャラはつかめそうではあるけど
630名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 09:14:12 ID:t+muO6R3
関羽は一応主人公扱いだけど、まぁ一期だけ見れば問題はないと思う
趙雲も同上か。メイン張る話もないし…メンマ好きと華蝶仮面ネタさえ抑えておけば…
劉備は二期からの登場で、通してみないと結構性格は見えにくいかも
孔明は二期の8,9,10あたりが、軍師としての力も垣間見せておりお薦め
曹操は二期6話かなぁ。君主としての度量の広さがわかる。

問題は黒幕も出てるので、その辺も抑える必要があるって事
呉サイドの話とかは飛ばしてもいいけど、大概見る必要があると思う
631名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 09:27:41 ID:yyVuxsM1
そうか、于吉がいたか
あいつは二期4話と二期12話、あと3期の11話と12話見ればいけるか

あと書かなくてもいいかもしれないけど、
一期or無印→恋姫†無双
二期→真・恋姫†無双
三期→真・恋姫†無双 〜乙女大乱〜
ちなみに3期の4話までならレンタルされているはず
632名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 09:43:41 ID:nQDZiXjr
恋姫ってそんな面倒な把握してまで活躍させないといけない作品なのか…まあ主催にいるしなあ
設定・性格・人称だけでもWikiに登録すれば書き手は大分楽になると思うが
633名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:04:49 ID:t+muO6R3
そういう把握が面倒だから消しちまおうぜって風潮が、それを書こうとする書き手のやる気を潰すんだが…
634名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:11:03 ID:pVVNHTEV
把握してきたし書きたいって思ってんのに
「とりあえずいっぱい殺しときますね^q^」
ってノリでボコスカとキャラ減らしていく空気読めない子がいたら
そりゃー書き手も離れていくよねーって思いますわい
635名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:14:13 ID:nQDZiXjr
書き手的にどうでもいいキャラなんて序盤で死んで当然だろ
文句があるなら書きたいキャラとやらを書け
636名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:16:47 ID:8oFeeepA
というか、書き手視点でもあっさり死だろうがなんだろうが
何人かは間引かないと話を作りづらいと思う

それと作品を出した意味を全くなくす位殺すのとは別の話な
637名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:18:55 ID:vO0/N8+k
ぶっちゃけ空気読めてないのはこのロワでやたら対主催をプッシュする奴だけどね・・・
バランスバランスって、既存のロワをなぞらなきゃ何も出来ないんだろうか
638名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:22:58 ID:8oFeeepA
まあ、予約投下対主催書き手皆無の時点で離れるも何もない。読み手の幻想
その空気を変えたければ自分でそんな話を書くしかないし、このロワはそれにも寛容だ
639名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:25:06 ID:SxvqGnPY
別に一人がef勢を全滅に追いやったわけでもないんだがな
多すぎる参加者を間引く過程で、たまたまロワ的に何の旨みもない作品のキャラがチョイスされただけの話
それがたまたま旧>>1が押し通した作品だっただけ、邪推する奴が多すぎ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:31:41 ID:t+muO6R3
>>637
俺もマーダー優遇話書いたけど、さすがにそんなんばっか書いてられんぞ
バランス良く書かないとさすがに書いてるほうも飽きてくる
間引く必要があったからそうしたのを、ロワの特色とか思われて今後もそのスタイルでいけるとか思ってるなら
もう付き合いきれん
641名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:36:23 ID:9yQTaKX4
書き手を名乗ってロワを変えたいなら酉出せば?
リスクを犯さない相手に付き合う奴はいないよ
それか恋姫キャラを魅力的に書くとか
642名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:39:11 ID:pVVNHTEV
名無し同士で何言ってもしょうがないさね
これ以上マーダーばっか増やし続けてもマンネリ
次は対主催話とか書きたいけど一週間くらいSSはかけねーや
それまでこのロワが生きてたら書くよーとだけ
643名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:40:55 ID:t+muO6R3
変えたい……というか、乗るか反るかという事なんだが、極論を言えば自分が間引くのはいいが他人がそれを
するのは許せんって事になるしな…
まだまだ殺す必要あるんだし

動向を見極めたいんだが、どうにも不穏な方向に行きそう
流れを変えるには作品投下しかないが、無駄な労力を費やすのも嫌…って話だからな
うーん、もう一作書いてみるか
644名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:44:05 ID:iJSLOV49
もう言っちゃうけどここはロワじゃなくて第一放送までにどこまで人数を減らせるか、というスポーツみたいな面があるから
他ロワの書き手のストレス解消、キャラ死にSSの練習台として序盤は絶え死のぶしかない
645名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 10:44:38 ID:lIC8ElrL
孔明たんハァハァ
646名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 14:00:13 ID:9e1B8VFC
スク水こそ至高!
647名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 19:21:30 ID:Ivue5tqA
このロワの主催者を把握するには何話見ればいいのん?
648名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 19:50:08 ID:Q36Vr7vk
お、色々紹介されている。どもです
脇ならともかく、メインで書くとなると通しで必要になってくるか……

>>647
つ >>631
マリコはエルフェンの10〜12話か
649名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/14(火) 22:39:28 ID:lIC8ElrL
主催側にいる奴もメイン格て訳じゃなさそうでまだ黒幕が居るっぽいが…
650名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 00:27:02 ID:2HQKAQ3i
他の黒幕できそうなのはDTB関係だろうが、生存者2人だとちときつい
651名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 00:33:19 ID:UQq7XVXK
いざとなれば死後の世界のロワで主催者などいないということにすればいい
652名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 03:38:06 ID:MmX2//Ew
>>650
クロマティに登場した宇宙人とか
653名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 06:31:07 ID:2HQKAQ3i
対主催は対主催でも撃破のストレートなものでなく脱出狙いも多いな

お、やっと恋姫に予約来たか
654Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:12:44 ID:KU4RL425
その建物の中は明るい状態で見たならば、白と灰色、そして無機質な機械の密集した何かの施設だと気付いただろう。
その建物の外は明るい状態で見たならば、金網と高圧線にぐるりと取り囲まれた発電施設だと気付いただろう。
そして外と大して違わない暗闇の中で一組の男女、いや、男と少女が対峙していた。

発端はカナンにあった。この島に気付いたときには飛ばされていたが、幸か不幸か眼前には大きな施設があった。
自分の荷物とルールブックの確認をし、友人の名前をそこに見つけた際に彼女は内心で僅かに動揺したが彼女は
即座に辺りの探索の第一歩としてこの発電所へと乗り込んだ。

闇雲に探しても見つかる可能性は低く、万一合流ができたとしてもアテもない逃亡劇などいくらも続けられる
ものではない。生き残る為に最初に拠点を確保しておきたかった。そしてこの男がいたというわけである。最初の会場には
カナンもその名を聞いたことのある者が何人かいた。冗談だと思えるほどに冗談ではない面子、直後に見せしめ。

即刻この催しの危険度を理解したつもりだった。この発電所でもそういった参加者に会えば戦いは免れないだろう。
彼女の日常について離れない悪臭を早速嗅ぐことになることも織り込んで突入したというのに。
男の方は飛び込んできたカナンに銃を向けられ警告されても既に諦めでもしたかのように無反応だった。

厳密に言えば男の方は全く少女を相手にしておらずしきりに施設内の計器や機械を調べている。その姿はあまりにも
無防備だった。敵対する意思はおろか抵抗の素振りさえ無い事が少女、カナンの神経を逆なでしていた。少女は全くの
暗闇の中でもそれなりに見える目を持ってはいたがそれでも眼前の男の顔、それも頭部だけは全く分からなかった。
しばらく様子を見ていると男の方から声をかけられた。

(何かで顔を隠してる?例えば防毒マスクや何か薄い布みたいな............)
「それで?お前はこの殺し合いとやらに乗るつもりなのか?」 「!?」
「悪い事は言わねえ、自分が一番人を殺せるとでも思ってるんだったら止めときな、馬鹿を見るだけだぜ」

男は手を休めず何か考え事をしながらカナンにそう言ってきた。カナンも先ほどの出来事を思い出す限り自分の力
だけでは主催者を名乗る者たちと渡り合う事は到底不可能そうだと思ったが、目の前の男の言い様に妙な懐かしさ
を感じた。

「別に。そんなつもりもないけど、あなたが愚かな人だったらそうなるかもね」
淡々と言葉を紡ぐ。相手を見て話しているのかどうか疑わしい感じだ。

男の方にしても何処吹く風といった態だ。暗闇の中で島の各施設に電力を供給していることを示す計器群の明かりが男の
ほの白い顔を浮き上がらせる。彼は穏やかに言った。

「どちらにせよ駄目だな、俺程度を殺したくらいじゃ安全の確保にはならないしこの先死ぬだけだ。大人しく
隠れてた方が良い。命がいくつあっても話にならんぞ」
655Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:14:42 ID:KU4RL425
「そうかも知れないけど、私の友達にとっては安全の確保に繋がるの。彼女ならそれこそ誰だった脅威になり得るし」

カナンがそう言って銃の引き金に指を掛けると男はぷっと吹き出した。その不気味さに片方の眉が上がる。

「なんだ、始めっからそう言えばいいじゃねえか、要はツレの為にわざわざ人殺しをしてやるんだってな」
自分の意図を言い直されたがカナンは冷静だった。息を吸うとはっきりと告げる。

「うん、もう何度もしてるしね。あなたもそうじゃないの?それにここには愚かじゃない人もいるけど、
いつそうなってしまうか分からないから」
「だから私は」と言いかけたところでそれまでカナンを小馬鹿にしたような態度を取っていた男は今度は
やれやれとこぼして台詞に割って入る。

「それを悪いとは言わねえよ、だがお前の言っているそれは間違いだ。お前ら若い連中は決断したことに対して
凄ぇ力を発揮する。だがその一方で考えを途中でやめたり、物事を側面からしか見なかったり
決め付けてかかる所がある」

自分の行動の指針をいきなり間違いだと否定されたことで敵意が増すが何故か体が動かない。男は続ける。

「誰かを守る為に誰かを殺す、時にはそうするしかない時もある。だが今はその時とは違うしそれが今守りたい
相手を守ることにもならない。わかるか、今こうしてる間にもお前のツレが誰かに殺されてるかも知れないんだぞ」

相手の言いたいことは分かっている。自分の友人、大沢マリアを助ける為に探すか、他の参加者を排除するか
は一番最初に考えた。だが闇雲に探して見つかるわけがない。そのために已む無く後者を選んだのだ。

「でも何処にいるか分からないなら戦いながら探すしかない。まだ生きているって信じて、探して、
首輪を外して逃げて、それができないなら優勝して、そして............生き返らせる」


ルールブックに記されていた事から考えられる限りの善後策を考えて、それがどういうことか分かっていながら
言う少女の言葉を黙って聞いていた男がまた切り返す、それはとても辛辣で真っ直ぐな糾弾だった。

「違う、お前のソレは仲間を信じてるんじゃねえ、死んでるかも知れねえってことを考えず、自分が殺し合いに
乗るための理由に仕立て上げただけだ。一番考えたくないことは仲間の存在に甘えて向き合わねぇ。
何処にいるか分からないなんて言ってるのもそうだ。他の誰かを殺しながらだってそれは闇雲に探す事と
ここでは何も変らん。少なくともお前のやろうとしてることは相手を信じることとは何も関係がない」

もしも同じ事を考えている者がいれば、その者が非力であればあるほど守ろう思った誰かは率先して
狙われていくことになるだろう。今自分の傍にいない以上参加者を減らす事と安全の確保はイコールにはならない。
656Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:16:43 ID:KU4RL425
「それに生き返らせるなんてことも眉唾だ、あの時の事を思い出せば願いを聞いた後にこっちを殺しにかかる
なんてのも考えられるし、できることとやってくれることは別だろう。そもそも殺し合いに乗らせるだけなら人質に
して脅すだけでいい。もし優勝して自分の恋人でも生き返らせてくれってなれば、結果からしたら初めから
出さなくても良かったことになる。つまり殺し合いに乗らせるための動機であとはお役御免と考えるのが普通だ」

考えていても始まらないと思って行動を開始したカナンだが、目の前の男の言葉を聞くたび頭が重たくなってくる。
こういう見世物の為に自分達は招集されたのだと、ルールがある以上恐らく優勝時の事も見世物の一環として
守られるだろうくらいに考えていたが根拠は無く、主催者側への不審はそのままでるのには変わりなかった。

言葉を聞くたびにマリアへの焦りが募っていく、そして自分にしてみればこの手でなんとしても殺したい相手が
別の誰かに殺されているかもしれないということも思い浮かび内心は大分荒れだしていた。

「だけどそんな偉そうに言ってもあなただってコレは外せないし彼女の場所も知らないくせに」
つい剣呑な雰囲気で少しだけ反発してしまったが相手の男は平静そのものの声で注意を促してきた。
「本気で何とかしようと考えてるなら、もう少し静かにしたらどうだ、俺もそろそろ本題に入りたい」

そう告げて「これでも首に巻いておけ」と何かを放って来る。闇の中でソレを掴む、慣れた手触り、これは............
「トイレットペーパー?」「ここにあった奴だ」「なんでコレ?」「首輪の盗撮対策だ」「盗撮?」「首輪での監視
と言えば盗聴か盗撮だ、刑務所では割と珍しくもないな」「!?それなら」

短い問答を繰り返した後カナンは銃を何処かへと仕舞うとデイパックからメモ帳と筆記用具でノートに
文字を書く、その音を聞いて白い顔色の男は「いいぞ、良く気付いたな」と褒めてくる。


「だがこっちの方がいい、一番安全だ」
同じくデイパックを持ってくると男はカナンの手元に指先を持ってくる。一瞬警戒を取り戻したがその指で男は
自分の手に何かを書き始める。そしてその手を首から上に持ってくる。カナンも意図を理解し自分の手を
首から上に持って行き、手と指による筆談の準備をする。

「これは俺がメキシコの刑務所にいた時の話だ、今回の事件とそっくりの出来事を経験した奴が同じ
独房に入ってきたことがあってな、中東での捕虜の人身売買の話は知ってるか」
そう男が切り出してきた。
「ああ、前にテレビでずっとやってた奴、あれもそうなの?」
「惜しいな、正解は、アレは参加者集めが露見して、こんなことはもっと昔から横行してたってことだ」
657名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 17:18:03 ID:2HQKAQ3i

658Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:19:04 ID:KU4RL425
「そして俺が刑務所にいた時に入ってきた奴は当時の殺し合いの勝利者だった、そいつは死刑囚だった」
「それって勝っても意味なかったんじゃない」
「違う、そいつは死ぬ為に自分から新しく罪を犯した、殺し合いの勝利者になる為にしたことに
堪えられなかったんだ。ただ攫われてきただけの難民だったんだそうだ。勝利の褒章も嘘っぱち、ただ
放逐されただけたった。」

いつかのあの日を思い出すように、男はとうとうと語っていく。間近になってカナンはようやくこの男の顔を見た。
白いマスクをしている。何故そんなものを被っているのか気にはなったがぎりぎりで話の続きに集中する。
すると手を指先で叩かれた、話と別に「本題」を話すつもりなのだろう。カナンは意識を切り替える。

「道理で落ち着きすぎてると思った」
「ああ、とは言っても首輪も違うものだし、逃走防止用の兵士や機雷もないから何もかもってわけじゃない、
だがやることはいつも同じさ、技術屋と仲間を集めて脱出を図る、そいつも裏切りがなければ皆生還して
いた筈だって、何回も俺に言ってきた。刑が執行されるその日まで」

今度はカナンが黙ってマスクの男の話を聞いていた。彼の落ち着きようは死線を潜ったのではなく一度は
土壇場まで行ったが故のものなのだろう。カナンの中での評価や警戒は大分薄れていた。
(元死刑囚か、生きてるってことは脱獄したんだろうな、うん)

「私がやろうとしていた事とあんまり違わなかった」
「そんなこと一言も言ってなかったじゃねぇか」「だって頼りにならなそうだったし」」


言われてマスクの男は方を竦めて「悪いが、つい話し過ぎちまったな」と言う。しかしこの間に「本題」は既に
話された後だ。今交わしている言葉は無意味にも思えたが一応のカムフラージュだった。

「本題」の中身はこうだ。
首輪で自分達を監視しているということは首輪には、殺し合いの進み具合を知る為の簡単な生死を判断
するためのセンサー、首を吹き飛ばす爆薬、そして逃亡防止用に参加者が逃げたことを知る為の仕組み、
そしてこの殺し合いをひっくり返させないために首輪を外せる者やそれに順ずる者を察知し排除する役目も
負った盗聴器もしくは監視カメラの機能が含まれていると考えられる。

その中でマスクの男が真っ先に目をつけたのは「逃走防止用に参加者が逃げた事を察知する仕組み」である。
逃走した際に首輪が爆発する。先ずどうやって逃走を知るのか、盗聴であれば迂闊な者が喋った時に知る事
になる。監視カメラなら島の周囲の風景から遠退いて行けばわかることである。ではどうやって爆発するのか、
659Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:21:27 ID:KU4RL425
盗聴ならば判断の必要性から主催側が自分で首輪に爆発の指令を送ることになる。監視カメラなら島から
一定距離離れたことを感知し自動で爆発するよう仕向けることができる。ここだ。爆発の指令はどこから
来るのか。始めは主催からであることは当然として、構造としてどこから発信されるのか、あの会場からなのか、
違う。その場に居合わせずしてその場のことを知ることは、魔法でもなければ、機械を通してであるならば
知りたい情報を受信しまた発信する事のできる施設を利用している筈だ。

そうでなければこの島という「場」の意味がない。言い換えればこの島が殺し合いの場に選ばれたのは
この島にも首輪の情報が得られ、首輪を爆破するための仕掛けがあるからこそに他ならない。
この仮定に則れば先ほどの爆破指令がどこから来るのかという問いに新しい選択肢が出現する。

それはつまりこの島全体を覆う様に全域にその電気信号を送受信することのできる施設が大きな一つとして
あるか、もしくは島を覆えるように地図に有る各施設からそれぞれの地点から受け取って、指令を出しているか
あるいはその両方というものである。

(そしてそれらは恐らく島全体に供給される電力によって機能している)
カナンはマスクの男の「本題」とそこから来る頼み、そして自分の意思で発電所の外を走っている。
事はまさに一刻を争うものだ。それ故に彼女は今、友人のことを想い、走っている。

支給された食料は2,3日分この発電所が破壊されれば、島の中の電力供給は停止する。となればこの仮説
から考える限り、指令を飛ばせる所は予備電力が備わっており、こちらの食料の日数分以上保つ施設に
限られる。始まって間もないからこそこの破壊工作は行える。時間が経てば首輪の機能に気付いた者が
出始め、主催に警戒されるようになるだろう。初めの内だからこそ戦闘の巻き添えだと誤魔化せる。


もちろん根拠はないし、仮にこの考えがあっていても首輪の構造が分からなければ意味が無い。
島全体を電波で覆われているなら、逃亡者の有無は首輪が島の電波を感知できなくなった事を
感知した時に発覚するという可能性も出てくるからであり、その時首輪が自動で爆発するのか、それとも
指令を受け取って爆発するのかが分からなければ、島全体をデッドゾーンに塗り替えることにもなりかねない。

大きな危険地帯が出来るのか、それとも一大安全地帯が生まれるのか、それはまだ分からないが確かめて
おく必要は充分にあった。男の説明はわかったがカナンはため息を吐いてそれを言葉にする。

「あなた、GPSって知ってる?」
「ああ、ケータイとかカーナビについてる奴だな、生憎いまはどっちもないぜ」
「それがどうかしたか」と聞く男に再度溜息する。「まあ、国や人が違えば知らないこともあるかな」
頭に疑問符を浮かべているマスクの男にカナンは告げた。それはとても淡白でごく普通の物言いだった。
660Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:23:16 ID:KU4RL425
カナンからGPSについて説明を受けた男は暗闇のなかでもはっきりと分かるほど落ち込んでしまった。
さっきまでの余裕もどこにも無くいっそ気の毒にすら見える。ついここまでのやり取りで大きく見えた
相手が頭を抱えて呻きとても小さく見える、嫌、恐らくコレが等身大だと思うとつい半目になる。

必死に考えた事がいまや茶の間に登る技術に一蹴されていてしかも、それに気付いていなかったのだから
無理も無いが。

だが島の中にそう言った施設があるかないかを探索することは無意味ではないし多分ないだろうが
もしそういった施設や設備が会ったら壊しておくに越したことはないと、男の手に書いてやる。
むしろ今GPSの説明を声に出したことで会話が主題側に漏れていた場合、警戒心を解く事にもなると
カナンは今やすっかり勢いを無くした彼の失敗に内心で礼を言う。

そしてカナンのフォローに慰められたマスクの男は出発前にカナンにいくつか頼み事をした。

「済まないがもし同業者に会ってそいつらが脱出も考えてるようなら、あんたからそれとなく打診してくれ、
有る程度の力がなけりゃ単なる命乞いで一蹴されちまうだろう、そういう奴らの説得にはどうやらオレより
お前の方が向いてそうだからな。無茶な頼みだ、聞かないでもいい。オレもやって見るからよ」

カナンは走っている。生き残ろうと思うなら、目先を負うばかりではダメだ、マリアが気がかりだが最後に
どうにもできずに共倒れになるなら、他の参加者を始末して助けられないのも、自分が先に死ぬのも、
探している間に死なれるのも全て同じだ。望むことが有るなら今は欲張らなければダメだ。全てを望む勢いで。
傭兵としてはあまりに馬鹿げた選択。だが今それに賭けるしかない。

デイパックにはマスクの男から受け取ったC4爆薬が8つ、他にはデリンジャー一丁とはずれと思しき紙切れのみ。
それでもカナンは走っている。向かう先は研究所、手近な目標として向かっていた。
褐色の肌を夜に埋めながらカナンは思い出す、マスクの男が最後に言っていた言葉を

「余計なお世話だろうが言っといてやる。大事なモンほど無くすのは怖いし考えられないもんだ、だから無くした時、
奪われた時、誰かを憎んだり、何も考えられなくなって必死に目を逸らそうとする。けどよ、本当に大事なら絶対
目を逸らすんじゃねえ、最後の時までそいつを見といてやんな。頭ん中も時間も誰にも譲ってやるんじゃねえぞ」

発電所を出て少しの時間が経った。今頃マスクの男は発電所の電力を落として目的地に向かっている事だろう。
あえて破壊しなかったのは後々必要になるかも知れないからだ。流石にこの規模のものは壊したら直せない。
急がねばならない。夜が明ける前にやらなければならない。

「・・・行ったか、生きろよ嬢ちゃん。忘れんな、分かり合うことも、信じ合う事も、別に大事なことじゃねえ。
何が大事かなんて決められてねんだ。信じるってことはなんとなくでできちまう様なモンなんだ」

そう呟くと彼、マスクド竹之内はゆっくりと目を閉じて年の離れた学友たちを思い浮かべると、診療所へと歩き出した。
661Behind The Mask ◆PuVQoZWfJc :2010/09/15(水) 17:24:54 ID:KU4RL425
【一日目 D-8 発電所 深夜】

【カナン@CANAAN】
[状態]:健康 
[装備]:レミントンデリンジャー@現実 弾数残り12発
     C4爆弾x8@現実
     麻婆豆腐の食券@Angel Beats! 
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:マリアと生きて帰るためにやれる事をやる。
1:研究所の調査及び結果次第では爆破
2:マリアを探す
3:他の殺し屋や傭兵など一応説得を試みる。(マリア以外の民間人には話す気は殆どない)

【一日目 D-8 発電所 深夜】
【マスクド竹之内@魁!!クロマティ高校】
[状態]:健康
[装備]:C4爆弾x7@現実(最初は15個あった)
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考]
基本:仲間と帰る為にますは首輪のタイムリミットを外す。
1:仲間を探しながら診療所へ向かう。
2:殺し合いが起きているかどうか確かめ、可能ならば説得を試みる。
[備考]
メキシコの刑務所の話は知恵の輪の話の前段階という設定。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 17:26:03 ID:2HQKAQ3i

663名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 19:16:51 ID:5269hTMr
投下乙
しかし、誰もwiki収録しなくなったな…
目次くらい後で作っといてやるか…

月報集計人さんに悪いので
Aルート 17話(+ 17) 57/80 (- 23) 71.3 (- 28.7)
Bルート 2話(+ 2) 80/80 (- 0) 100  企画分裂により凍結
664名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:11:10 ID:iJlPiUZM
31 名前: ◆Z87LXZR/rA[sage] 投稿日:2010/09/15(水) 21:05:36 ID:xQsdZ4.w0
>>30
携帯は無効、大学はOKと前と同じように考えています。
またマップは一つのみだったので確定として、OPのみの投票とします。

OPの投票項目は
【鶺鴒計画α始動】本スレ>>40〜43
【Quo vadis, Domine?】本スレ>>111〜117
の二つです。
また本スレで意見がありますが、Quo vadis, Domine?も投票候補に入ります。
除外はありませんので、ご安心下さい。

http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1284211834/
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/14135/

ε=ε=ε=(ノ^∇^)ノアツマレー
665名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:14:30 ID:78rmT3Dt
>>664
もうそっとしてやれよ
ってOPが二つも集まったのも驚きだ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:17:12 ID:iJlPiUZM
片方が1のだからさ
でもう一つの方に噛み付いてるのも1っぽいから
667名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:25:02 ID:78rmT3Dt
>>666
あれと1は別人じゃね?
ってかあそこの1は強権持ってんだから気に食わなければ破棄させて終わりじゃないの?
668名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:30:46 ID:iJlPiUZM
さすがにそれやると人が寄り付かなくなるのを分かってるから鳥を出さずに住民の違憲として破棄させようとしてるんじゃないかな
こっちでもたびたび名無しで意見誘導してたらしいし
669名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:42:34 ID:5269hTMr
まぁバレバレだけどなー
670名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 21:55:00 ID:2HQKAQ3i
投下乙
さすがはマスクド
継続は力なり、どのロワも結局は地道な投下で血脈を保ちます

>>663
こっちも乙です
671名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 23:24:33 ID:TXg70D8m
投下乙です

マスクドがかっこいい…だと?
カナンも雰囲気出てるわ
672名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 23:46:35 ID:9GYUGTel
投下乙
この二人、主催者に対抗するキーになり得るか!?
しかし登場話デスマッチで誰も死ななかった両作品、只者ではないぞ…
673名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/15(水) 23:56:19 ID:2HQKAQ3i
実はまだ予約されていないメカ沢
674名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 00:43:24 ID:vVOHQ5aE
つってもメカ沢は原作的にも死ぬと思う。死ぬって言うのかわからんけど
675名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 22:13:09 ID:Sn1zT/mw
6話で止めてたAB見直して今噂の10話まで行ったが、噂以上にひでーなこりゃw
676名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 22:38:17 ID:qwk1Q2uS
彼らはキャラ適当に設定しても大丈夫だろうなw

皆、把握中かな
2クール以上の作品多いから時間が掛かるしな
DTB1期、結構な掘り出し物だわ
677名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 23:04:20 ID:sZczBs4M
ユイと日向の話は良かったぞ
678名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 23:09:27 ID:Sn1zT/mw
マジでか
唐突すぎだろ
679名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/16(木) 23:23:40 ID:Sn1zT/mw
せめてやりたい事は野球から初めて、あの流れにずっと日向が絡む話だったらなぁ
680名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 01:01:00 ID:/RIH3IVe
ああ、大和が沈んでいく……
681名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 02:22:30 ID:2xwyY/pD
http://www.angelbeats.jp/news/index.html

MBSでAB再放送決定だってよ
efじゃなくてよかったなw
682名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 02:54:32 ID:oQ6Y977q
>>677
ギャグ回として良かったと思ったのか、感動的な回として良かったと思ったのかを知りたい
683名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 02:58:27 ID:IIULcotr
もし今後アニメ系ロワがあったとしてもABはちょっとな…
お勧めとかある?
684名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 07:59:05 ID:+OV71L2X
ゼーガペイン
トゥルーティアーズ
天保異文禄妖奇士
ノエイン
モノノ怪
685名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 16:02:12 ID:FORTyEkm
蒼穹はもう1回出ても構わないけどな
ストパンも

黒執事やセキレイとか挙げる人いないな…
不人気なの?
686名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 18:16:58 ID:9kJNVrBn
セキレイは不明な点が多すぎる
687名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 18:23:22 ID:W8m2VcXH
黒執事もアニロワの多数層とは微妙に違うので難しい

つか、現在進行中のロワで
他のロワやろうと話すのはマナー違反じゃね
688名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 18:52:48 ID:3xEpVp7U
このロワ自体マナーもへったくれもない、ていうかリレーSS、パロロワの体裁を成していなくなっているから問題無い
689名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 20:04:23 ID:4ev3BmS8
>>688
はいはい>>1乙。投票する人が自分以外1人もいなくて寂しいのは分かるがさっさと巣に帰れ。
690名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/17(金) 22:37:24 ID:9kJNVrBn
やっぱり1さんが強力なリーダーシップを発揮せん事には、このロワは回らんようだな
691名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 00:03:23 ID:uzGOaMUi
そろそろ恋姫キャラ初投下来るのか
692名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 00:19:49 ID:/+x0U8aR
いきなり死んでたらどうしよう…
693名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 00:36:04 ID:2kq3bmKL
デイパック漁られてるよ
694名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 00:39:58 ID:uzGOaMUi
二本投下している書き手だから、予約したまま放置ってことはないだろうけど
氏のトリは検索すると、結構バレやすそうな感じなので
変えるなら早めに変えたほうが良いぞ
695死が二人を別つまで:2010/09/18(土) 01:52:52 ID:HKx26NhA
早坂秋水は、慎重に遺跡の内部へと足を踏み入れる。
先の女からの情報によれば、中には殺し合いに乗った者がいるという。

――危険だ。

先のような、戦闘の意思がない少女であれば、百歩譲って見逃してもよい。
その手に持つ、武装錬金さえなければ事実、秋水は名も知らぬ少女を殺したりはしなかっただろう。
殺し合いの意思なく、力も持たないのであれば、あの賢い姉に何の危害も与えられるはずもないだろうから。

だが、殺し合いの意思を持ち、己の身体を炎とするような異質の力を持つというのであれば――自分の命に代えても、その敵はここで討ち滅ぼさねばならない。


彼にあるのは、この世に只一人の姉への献身のみ。
その歪んだ情念に突き動かされるように――秋水は自ら危地へと向かう。

遺跡内は、重く、カビ臭い匂いに満ちている。
マグライトの明かりを点けて、進む。
この暗さでは、どの道相手も明かりを点けざるを得ないであろうから。

見敵必殺。

敵の姿を視認した瞬間、秋水は手にしたソードサムライを持って敵を貫く覚悟であった。

進む。
石造りの遺跡は、まるでピラミッドのようであった。
周囲を圧殺せんばかりの闇は、まるで呼吸すら封じ込めるよう。
息苦しさを覚えながらも、秋水はそれを否定する。

(このオレが緊張していると言うのか……)

彼が得た情報は、敵が火を使うというものである。
火とは燃焼によって解放されたエネルギーから発せられる現象である。
自己の武装錬金。ソードサムライが持つ、エネルギーを吸収するという特性を持ってすれば、決して相性は悪くない相手と言えるだろう。
だというのに、こうも息苦しさを覚えるとは。意識せぬうちに、この場の持つ雰囲気に呑みこまれているというのだろうか……。

(修行が足りんぞ、早坂秋水ッ!)

自己を叱咤しながらも、秋水は歩みを止めない。
この先に待ち受ける運命の中に、自己の死が確かに含まれると覚悟を決めながら――
玄室に足を踏み入れた。

そこにあったのは、黒の制服と学帽にきっちりと身を包んだ少年の死体だった。
いや、死体と断定は出来ないだろう。
その身に、一切の傷はないのだから。

秋水はその遺体に慎重に近付き――ソードサムライを少年の心臓へと突き入れた。
少年に、確実な死をもたらす為に。

健康な心臓が、血飛沫をあげるのを器用に避けて、秋水は少年が手に持つナパームの武装錬金「ブレイズオブグローリー」を拾い上げる。
緊張しきっていた心身が弛緩し、秋水は大きな溜息をついた。
その武装錬金の性能を知らぬ秋水には想像も付かぬことであったが、この惨劇の真相はこういう事であった。

火炎爆破によって半径250m・瞬間最大火力5100℃の炎を発するナパームの武装錬金「ブレイズオブグローリー」。
その力をこのような密室で解放した結果――部屋からは酸素が失われ、使い手である直井文人も昏睡したのである。
696死が二人を別つまで:2010/09/18(土) 01:53:37 ID:HKx26NhA
酸素欠乏症。
ただでさえ酸素濃度の低い、遺跡内での炎の解放が、この惨劇を惹き起こしたのである。
酸素濃度の低い中での呼吸は、酸素を得るのではなく、酸素を奪われるという事。
一瞬にして人間から意識を奪うその事例は――この場へと足を踏み入れた早坂秋水とて例外ではない。

急激に、秋水の脚から力が失われる。
天地がひっくり返るようなめまいを覚えた。
自らが作った少年の血溜まり。
その池の中に、沈むように秋水の長身が倒れ込んだ。

最後に脳裏をかすめるのは、生涯を共に生きた姉の横顔。
愛おしい女性の姿を思い浮かべながら――まるで眠る様に早坂秋水はその人生の幕を閉じた。
それは奇しくも、同じ時に生まれた姉と、時を同じくした死であった。


【直井文人@Angel Beats! 死亡】
【早坂秋水@武装錬金 死亡】

【一日目 B-1 遺跡 深夜】

※直井文人と早坂秋水の荷物が遺跡内に放置されています。
697名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 06:05:56 ID:uzGOaMUi
わかってやってるんだと思うが、予約なし、トリなし投下は無効だぞ

「とりゃぁぁぁぁぁ!!!!」

建物の裏で獲物を振り回す黒髪の少女が一人。名は関羽。真名は愛紗。
彼女は怒り狂っていた。
于吉の仕業にまんまとはめられてまんまと殺し合いに参加させられている事実に。
乱れた世を鎮める為戦い続ける彼女には断じて許せぬ事態であった。

この馬鹿げた遊戯は叩き潰す!

(ああ!それにしても!)

さておき、気に入らないのは支給された変な形の槍である。

(なんだこの槍は!なんで柄の部分がこんなに太いんだ!?
 くそ、于吉!私の青龍偃月刀をどこへやった!?許せん!)

仕方がないので刃をくるりと逆向けにして細い筒状になっている方を持ってみた。
うん、こっちのほうが使いやすいな。

「……さて、と。」

関羽は建物の蔭に槍の尻側を向けた。

「そこにいる者!居るのはわかってるんだぞ!隠れてないで出てきたらどうだ!?」
「へえ、よく分かりましたね。」

ゆっくりと姿を現したのは、左右の髪を束ねた褐色の肌をした金髪の少女。
その手に持っているのは一本の槍。先端に十字の刃がついたそれをこちらへ向けた。

「あぁ!それ翠の!」
「……私はこんなものを引いてあなたは大当たり。なのにその持ち方……馬鹿にしてます?」
「こんなものとはなんだ!銀閃は相当な業物だぞ!」
「まぁ、いいです。悪いけどそれはもらいますよ。倒したはずのピノッキオが何故か生きている。
 早く仕事を片付けないとヒルシャーさんに怒られるので。」
「奇遇だな。私もあのペテン妖術師は倒した筈なんだが。何故奴は生きている?」

少女、トリエラは何かを思い出したのか関羽の顔をまじまじと見定めた。

「思い出した。あなた集められた時に眼鏡の男の人と喋ってましたね。
 ……このゲームを開催した人を知ってるんですか?」
◇  ◇  ◇


自分の寿命は後どれくらいなのか。死ぬ事は恐れていない。だが、最期まで役割は果たしたい。
ゲームの主催者にはむしろいい死に場所を与えてくれたと感謝している。
ここで参加者を全員殺してヒルシャーさんを生き残らせるのが私の使命だと思う。でも。

(ヒルシャーさんは私の為だからといってそんなことはしないですよね。)

脱出の努力をしないのは職務怠慢。出会ってすぐ襲われる心配のない人を増やすのも手だしね。

「あー、うん。協力してくれるのはありがたいんだが。」

関羽さんはまじまじと私の支給品を見ている。

「悪い、その槍、私のと交換してくれないか?」
「え、いいんですか?」

あっさり承諾し、馴染み深いそれを手に取る。

「よし!これで少しはまともに戦えるぞ!すまんな翠!お前の命、しばし預からせてもらう。」

なんだか喜んでるし、ま、いいか。
トリエラは指を輪っかに引っ掛けてくるくる廻す。

「おお、手馴れてるじゃないか。」
「……ちなみに関羽さん、なにを勘違いしてるか知りませんが。」

槍の切っ先を関羽に向け、





バゴンッ。





「この槍はこうやって使うんですよ。」


ボルトアクション・ライフル、ウィンチェスターM1873の銃口が火を噴いた。
700 ◆/Fnde2WILg :2010/09/18(土) 09:38:02 ID:8EkkCpGJ

【一日目 F-6 診療所裏 深夜】

【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:ウィンチェスターM1873(4/4)@PGUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品×1、予備弾装×4、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考]
基本:ヒルシャーさんを生還させる
1.効率よく生き残る
2.ピノッキオ、殺し損ねたのかな?


【関羽@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:十字槍「銀閃」
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考]
基本:ゲームを潰す
1.……うん、武器は使い慣れてるものが使うのが一番だな。はは……。
*とりあえず銃火器の知識を得ました


投下しゅーりょー

>>695
うん、そりゃ死ぬわ
701名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 10:49:04 ID:vBv8UxH9
銃のデータが色々錯綜してね?
M1873系は小銃だけどカンスリ出展じゃなくて装弾数が変
M1897なら装弾数は5だけどまぁ近いし出展も合ってるけど散弾銃だから描写がおかしい
702名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 16:06:28 ID:uzGOaMUi
投下乙です
ついに恋姫一人目きたか
彼女ら銃器の知識がないのはマイナスだな
703魔人が目覚める日:2010/09/18(土) 17:22:16 ID:HKx26NhA
「いったい、何があったの……?」

硝煙の臭いが漂う校舎の入り口で、芳佳は呆然と呟く。
自分が気を失っている間に……少なくとも、二名の人命が失われてしまったのだ。
軍人である自分が助けなければならなかったのに。
せめてもの救いは、左腕に怪我を負った女性を無事治療出来た事だが――

「ごめんなさい……。私にも何が起こったのか、よくわからないの……でも見て! 何かダイイングメッセージが残されてるみたい!」

リャン・チーと名乗った女性が指さした場所には、音無が残したとおぼしき文字があった。
その文字は中国の簡体字で書かれていたのだが……なぜか芳佳には扶桑のひらがなとして読める。

『か な ん に き を つ け ろ』

かなん……犯人の名だろうか。
それとも何かの暗号……眉をひそめる芳佳をフォローするように、リャンは嘯く。

「きっとあの女の名前ね……」
「女?」
「ええ、ちらっとだけ見たんだけど、プラチナブロンドの……若い女だったわ。
 見て! 名簿にも名前が載っている。気を付けないと……」

女は芳佳の荷物から名簿を取り出すと、勝手にそこにアンダーラインを引く。

「また襲ってくるかもしれないわ。長居は無用よ。早くここから去りましょう」
「は、はい……」

えらく手際のいい女性だと思ったが、命令される事に慣れている下士官気質か。芳佳は従順にその言葉に従う。
飛び散った荷物を回収し、音無たちの死体は……酷い話だが、この場に放置していくより他にはなかった。

「ごめんなさい……この戦いを終わらせたら、絶対戻ってきますから……」

守れなかった少年たちに別れを告げ、芳佳たちが校舎を出ようとしたその時である。

「ま、待ってください! 騙されちゃ駄目です! 私、見てました。犯人は――その人ですっ!!」

告発の叫びをあげながら、その細い腕でリャン・チーを指さして。
桃色のロングヘアを持つ少女が、校庭の木陰から現れた。

----

「ハァ? アンタ、何言ってんのォ?」
「私、全部見ていたんです……貴方があの男の子を刺すところも……女の子を爆発させたところも……っ!」
「え? ええ!?」

ぶるぶると震えながら、桃色の少女――劉備は声を張り上げる。
そう、ずっと見ていた。助けなきゃいけなかったのに、怖くて身体が動かなかったから――。
闇の中で、目を凝らしてリャン・チーのやる事を、ただ見ていたのだ。
情けなさと、申し訳なさで涙が滲む。
だが、このまま見過ごすわけにはいかなかった。
少年少女を闇討ちにし、芳佳を騙してカナンという人を犯人に仕立てようなんて人を、野放しにするわけにはいかないから……

(鈴々ちゃん、愛紗ちゃん、力を貸してっ!)

「早く、その人から離れて!」

劉備には、義妹たちのような戦闘技能はほとんどない。
それでも荷物の中に入っていた剣を正眼に構え、勇気を振り絞ってリャン・チーと対峙する。
704魔人が目覚める日:2010/09/18(土) 17:23:03 ID:HKx26NhA
驚いたのは、芳佳である。
彼女の中では、リャンの第一印象は怪我を負った「助けなきゃいけない人」であった。
それがいきなり音無たちを殺した犯人だと決めつけられて――そうだったのかと納得出来るはずがない。
その瞳は、劉備とリャンの間を行き来し……果たしてどちらが真実を言っているのかと彷徨うばかり。
だが、言われてみれば、確かにおかしなところがなかったわけではない。
例えばなぜ『カナン』は音無を突き刺すほど間近に接近しておきながら……自分とリャンだけを見逃したのか――

「騙されないで芳佳! あの娘が『カナン』なのよ!」

猜疑心に揺れる芳佳に、リャンが声を掛ける。

「え? だって、さっきはプラチナブロンドの娘だって……」
「見間違えたのよ!」
「……そ、そうなんだ」

確かにリャンにも怪しい部分がないわけでもなかったが、それは目前の少女も同様である。
信じる根拠がどちらにもないのであれば、果たして自分はどっちを信じればいいのか。
果たしてどちらが、音無たちを殺した『カナン』なのか。

「もうっ! 嘘ばっかりっ! 私の名前は劉備です! 危ないから、早くその人から離れて! こっちに来てください!」

焦れたように、桃色の少女が腕を振るう。
すると、少女の肉体の一部が、その動きを増幅するかのように激しく揺れ、芳佳の首もそれに釣られるように小刻みに上下した。
頬を一瞬にして紅潮させ、瞳を輝かせた少女の熱い視線は、誰にも誤魔化しきれるものではない。

たゆん。ゆん。ゆん。ゆん……

「「「…………」」」

その反応を見た劉備は、今一度試すように身体を踊らせてみる。
揺れる。揺れる。
おっぱいが揺れる。
それに合わせて、意識を喪失したかのようなとろんと蕩けた顔で、ふらりと芳佳の足が、劉備に向けて一歩踏み出す。
まるで、おっぱいという名の重力圏に引き寄せられるかのように。

それを見て、劉備は確信した。
この少女には理屈や説得なんかより、おっぱいのほうが効くのだと。
南蛮の少女たちと同じなのだ。
思いだしてみれば、この少女も先ほど獣耳を生やしていた。彼女たちの同族なのかもしれない。
妙な格好もそのためだろう。

「よ、よーしっ! それなら……おっぱい体操はっじめるよーーーっ!! 寄せて寄せてイー、アル(1、2)♪」
「え? ちょ、ちょっと……なにそれ……なにやってんのよ……」
「お、おお……おおおっ!」

宣言と共に、劉備はその自身に備わった豊満な胸を、両腕を使って寄せては上げ、寄せては上げる。
さわり心地の良さそうなシルクの生地に包まれた柔軟な肉の膨らみが、キュッキュと挟み込まれて更に強調された巨乳ぶりを魅せ付ける。
突如として、戦場に現れた桃色の空気に戸惑うリャン・チー。
そんな戸惑いを尻目に、もはや芳佳の眼は劉備に釘付けである。
その芳佳の視線に応えるように、劉備のおっぱい体操は止まるところを知らない。

「横に揺らしてサン、スー(3、4)♪」
「う、うわぁーっ!?」
「縦に揺らしてウー、リュー(5、6)♪」
「ゆ、揺れて……揺れて、す、凄いっ」
「……………………」

縦に、横に、劉備の動きに合わせて縦横無尽に美巨乳が踊り狂う。
美事に張り詰めた胸の膨らみが、朗らかな劉備の掛け声に合わせて重たげに揺れる有り様は、おっぱい魔人の芳佳のみならず、
アルファルド以外には興味を持たないリャンですら思わず声を失うほどの迫力があった。
705魔人が目覚める日:2010/09/18(土) 17:24:20 ID:HKx26NhA
一歩、二歩。
両腕をまるでキョンシーのように突き出し、ふらふらと歩きだす芳佳。
その指はわきゃわきゃと、まるで異次元の生物のように蠢いている。
だがそれを――黙って見逃すほど、リャンはその空気に同化したわけではなかった。
芳佳を手放すわけにはいかない。
かと言って、リャンには劉備に対抗出来るほどのモノはない。故に。

「何チチなんぞに釣られてやがんだぁー! このド変態娘がぁーーー!!」
「あうっ!?」

ミニスカートほどもない、短いチャイナドレスの裾を翻して。
リャンがそのスリムな肉体から掃腿脚を繰り出すと、足を刈られた芳佳はその場に倒れ伏す。
溜め込んだ苛立ちをぶつけるように、芳佳のスクール水着のようなズボンに包まれた尻に、リャンはズゲシと蹴りを入れる。

「いたっ!」

元々、彼女は演技派ではあるが、それほど我慢強い性格ではない。
ゲシゲシと芳佳の尻を蹴り込みながら、リャン・チーは高らかに吼える。

「ああ、そうだよ。殺したよぉー。私が殺したんだよォォーっ! 背中をブスゥーってやってやって、頭をドカーンってふっ飛ばしてやった!
 アハハハハハ、騙されたと知った時のあいつらの顔と来たらっ、アハハハ、ハハハハハハハッ!! 文句あんのかオラーーーーーッ!!」
「そ、そんな……リャンさんがっ」

言葉と共に、背中に顕現するのは、武装錬金「ニアデスハピネス」。
まるで蝶の羽のようにも見えるこの美しい黒色火薬の武装錬金こそが、この場で3人もの命を奪った凶器である。

「あー、もうめんどくせーな。いいから黙って私に従いなっ! さもないと……」
「う……うぅ……」
「あ、ああ……」

指向性を持つ黒い火薬を、周囲に散布し始める。
それを見ても、リャンに踏みにじられている芳佳はもちろん、劉備にも為す術はない。
元より、彼女に勝利の為の戦略などなかった。
ただ、リャン・チーの無法が許せなくて――義を正すためにだけに、無力なその身をこの場に晒したのだから。


だから、この二人の命運を握る者は、黒色火薬の武装錬金を操るリャン・チーと。

――そして、その場に新たに現れた、もう一人の少女に他ならない。


「あー、もう。うっさいなー。寝てられないじゃないか……。んー? 何してるんだ? 宮藤」
「ハ、ハルトマンさん……」

現れたのは、まるで今の今まで寝ていたかのような、しどけない姿をした一人の少女。
スポーティーなブラジャーと、お揃いの白いズボンだけを身に纏い、ハルトマンと呼ばれた少女が今、校舎の中から現れた。

「ハルトマンさん、気を付けてっ! この人は――」
「殺すよぉー、ぶっとばすよぉー!! 姉さま見ててェー! 私が――私が、貴方に仇為す全てを駆逐してご覧にいれますからぁ!
Get Some!! Get Some!! Get Some!!」

周囲を漂っていた黒色火薬が、リャンの明確なイメージに基づきその姿を整えていく。
殺意を目に見える形に変えたその姿は、手榴弾。
10を超える小型の爆弾が、エーリカのブロンドの頭部に降り注ぐ。
等間隔を保つ、その攻撃に逃れる隙間などない。
点ではなく、面を制圧する爆風は、ネウロイのビームをも避けるウィッチの回避性能を持ってしても回避しきれるものではない。
だが、彼女こそはエーリカ・ハルトマン中尉。
芳佳たちストライクウィッチーズ――連合軍第501統合戦闘航空団の一員にして、人類史に燦然とその名を刻む
史上最高のスーパーエースである。
彼女と共に飛ぶ限り、その僚機が敵に撃墜される事は――ない。
706魔人が目覚める日:2010/09/18(土) 17:25:45 ID:HKx26NhA

「疾風(シュトゥルム)!!」

ぴょこんと、使い魔であるダックスフントの尻尾が、エーリカのお尻に生える。
凛々しく紡がれたその言葉は、嵐を意味する彼女の固有魔法である。

轟!!

仄かに輝く少女を中心に渦巻く気流が、黒色火薬の武装錬金を捉え、弾き返す。
その力の返る先にあるのは――武装錬金の本体である、リャンの姿だった。

「え……、ギニャーーーーーーーーーーーーー!!」

爆風に吹き飛ばされたリャンの肉体が夜空に消える。
エーリカは黒衣の軍服を羽織るように纏うと、Vサインを繰り出した。

「ヴイッ! ……あれ、宮藤はどこだ?」
「と、飛んでっちゃいました……」

エーリカの疑問に応えたのは、一部始終を見届けていた劉備であった。
エーリカ・ハルトマン中尉。彼女と共に飛ぶ限り、その僚機が敵に撃墜される記録は残されていない。
だが――地上に居る時の彼女は、非常に大味で、だらしのない性格であった。


【一日目 E-5 学校校庭 黎明】

【エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0〜3
[思考]
基本:一体何が起こってるんです?
1:宮藤はどこいった?

【劉備@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:リャン・チーの中華刀
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いを止めたい
1:こ、この人はいったい……?

----

夜空に赤い星が瞬く。
それは黒色火薬の武装錬金「ニアデスハピネス」によって宙を浮遊するリャンであった。
身に纏ったチャイナドレスはボロボロになっているが、火傷は負っていない。
手榴弾を返された瞬間、リャンは同量の火薬を使い、そのダメージを相殺したのである。

だが――その代償として、「ニアデスハピネス」の火薬量はその埋蔵量の半分以上を使いきっていた。
これでは、今までのような使い方をしていてはあっという間になくなってしまうだろう。
まだ、カナンも倒していないというのに……。
リャンはその事実に臍を噛む。

「おのれ……許さんぞ。はいてない奴らめっ!」

リャンはボロボロになったチャイナドレスを脱ぎ捨て、自分をこんな目に合わせた連中への復讐を誓った。
半透明なスリップとショーツだけになった、魔女の如きその姿を恥じる様子もなく。
707魔人が目覚める日:2010/09/18(土) 17:26:43 ID:HKx26NhA
【一日目 E-4 上空 黎明】

【リャン・チー@CANAAN】
[状態]:健康
[装備]:核鉄「ニアデスハピネス・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1、グロック17、マイクロUZI
[思考]
基本:アルファルドのために他の参加者を皆殺しにする
1:アルファルドと合流する
2:打倒カナン
3:はいてない奴らに復讐する

※ニアデスハピネス・アナザータイプの火薬量が半分を切りました。

----

一方、その爆発に巻き込まれた芳佳もまた、地に伏せていた事もありダメージはなかった。
が、高い木の枝にセーラーの襟が引っ掛かったその姿は、まるで「吊られた男」であった。

「うう……誰か助けて……」

【一日目 E-5 森 黎明】

【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0〜2、音無と翔子の荷物
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:酷いですよハルトマンさん

[備考]
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 18:29:30 ID:HKx26NhA
やっぱタイトルは悪魔が目覚める日に変更しまーっす
あとリャンの最後の台詞がちょっとおかしいので
「許さない……許さないわよっ! はいてない奴らめっ!」
に変えますです
709名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 18:56:56 ID:/Hi/JTRI
とりあえず予約してこいよ
採用されたいならさ
710名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 19:08:13 ID:Djrq1T2b
人居ねーしもったいないから二つとも採用したいんだがな…
711名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 19:52:45 ID:bvbvdshg
わざわざ採用したいほどの出来でもないがな
ゲリラ投下でも直前に予約するのに…しかも鳥無しだし
荒らしSSだろ
712名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 20:00:11 ID:1OTv/Ayd
その通りだ
荒らしに屈する訳にはいかない
713名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/18(土) 20:05:07 ID:hFoNG87X
まあ、北西の島はマーダーが詰まってて動かすの面倒だし
リャン様は負けて格が落ちてどうのこうのってキャラではないし
どっちでも良いけどな
714名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/19(日) 03:46:23 ID:YH/IsqH0
ところで書き手の想定しているトリエラの武器は多分M1897銃剣付きだと思うんだが、こういうのは後続で勝手に
スペック変更させちゃってもいいのか?
つか、カンウはこれ死んだの?
715 ◆/Fnde2WILg :2010/09/19(日) 08:57:22 ID:no83F5ek
M1873→M1897に変更
関羽死んだと思いきや実は生きてます

>>703
宮藤恐ろしい娘…!淫獣の二つ名は伊達ではない
エーリカキタコレ、やはり最強のウィッチは格が違った
716 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/19(日) 11:38:16 ID:qYJMcnaJ
投下します。
717DANCING JUNK ◆PuVQoZWfJc :2010/09/19(日) 11:43:13 ID:qYJMcnaJ
どうしよう、どうすればいい、いったいどうすれば............
「どうしてこんなことになってしまったんだ!」
長いポニーテールをなびかせながらその少女、馬超(真名は翠)は走っていた。

その背中に二つのデイパックと大きな茶筒のような青年を背負って。
元々自分はそれほど頭がいい方ではない。だから先程のような場所に突然仲間の
何人かと一緒に連れてこられたようであること、そして今また別の場所にいることに
さしたる動揺もなかった。どうせ考えてもわからない。こういうのは趙雲にでも後で聞けばいい。

今はそんなことよりも自分が死なせてしまったかもしれないこの青年の命を救う方が先決だった。
彼女は今、手持ちの荷物にあった地図から医院(病院のこと)を目指し走っている。庵の方にも行こうと
思ったが、それはあくまで医院で手の打ちようがなかった時だ。急がねばならない。
(済まない、済まない、済まない済まない済まない!あたしが余計ことしたばっかりに!)

激しい後悔と焦燥の中、彼女は全力で走っていた。どうしてこうなったのか、それは今より少し遡る。

「ッ!今度は何だ!」
見知らぬ夜に放り込まれた少女は辺りを見回す。昼と夜、屋内と屋外、コロコロと変わる状況に彼女の頭は
とっくの昔に置いてきぼりだった。だがそれでも大事なことは見失ってはいない。名簿を見たときに知ってる
名前の中に自分の友達の名前が入っていること、そして入っていない者もいることがまず一つ。

(愛紗たちも来ていたが鈴々はいなかった、もしかしたら不幸中の幸いってやつだったかもな、それに)
思い出すのは于吉を侍らせた(馬超にはそう見えた)桃色の髪の子供とそれと対立しているような
もう少しだけ年上の同じく桃色の髪の女性、まったく同じように男の首を刎ねたところを見るに二人は
妖術使いの同門か同種の妖怪化何かだろう。二人にしてみれば内輪もめの可能性もある。これが二つ。

(妖術とかが相手だとあたしはお手上げだなあ、せめて皆と一緒なら、いや皆に甘えるばっかりじゃ駄目だ!
せめてあたしひとりでも相手の手のうち暴くとか、無理矢理連れてこられた人たちを逃がすとか、主催と
グルの奴を見つけるとか何かしないと!)

そう決意を新たにしたものの、手荷物のデイパックに入っていたものは彼女からしてみれば、武器にもならないモノばかり。
組立式の釣竿に太鼓のバチのようなものがいくつかあるだけ。完全に外れだ。釣竿はとても画期的だったが今は
役に立ちそうもない。
718DANCING JUNK ◆PuVQoZWfJc :2010/09/19(日) 11:45:23 ID:qYJMcnaJ
そして今問題なのはあの主催とこの異常な大会である。ほとんど動かずに人の首を3人も飛ばし
その後に驚くほどの速さで突撃した男もやはり何をされたかもわからぬ内に無惨な最後を遂げた。
正確にはそれをやったのはもう一人の女の方であったが。

とりあえず自分の身と無害な人たちを守りつつ仲間を助けに行こうとした矢先だった。彼はそこに居た。

「音声ガイダンスに従って名前を入力して下さい。パスワードを設定します。ここには生年月日など、
個人情報はなるべく使わないで下さい」

ただそればかりをうわ言のように繰り返す青年、馬超は彼に声をかけたがまるで反応がない。あんなことをいきなり
目にすれば放心状態になるのも無理はない。自分ですら怯んでしまったのだから、普通の人なら気が触れてしまっても
おかしくはないだろう。彼女は気の毒そうに青年を見る。精悍な顔つきだが優しそうな表情が逆に痛ましかった。

首輪の位置もなんだかおかしい、太っているわけではないが彼には首が見当たらない、奇妙な印象があったがそれより
も首輪が自分と違い浮いている事に気を奪われた。まるで土星の輪のように浮いている。

「なあ、あんた、どうしたんだ、あんたもここに連れてこられたのか」
聞いて答えはない、よく見れば顔に生気が見られない。馬超は彼を諦めかけたが地図に医院の名があったのを
思い出す。ここにこのまま置いていけば間違いなく彼は死んでしまう、自分は医者ではないから助けになって
あげられないかも知れない。それでも見捨ててはおけない。

「なあ、聞こえてないかも知れないけどさ、きっと、きっと大丈夫さ、だから、元気出しなよ!」
自分を奮い立たせるという意味でも声を張り上げ茶筒のような男の後頭部をばしんと叩く。それがいけなかった。
彼の、メカ沢新一の首輪が軽い音を立てて地に落ちる。目から光も失われて、声を出さなくなる。

一瞬の間、今度は馬超から血の気が失せる番だった。
焦る。どうして首輪が落ちる?強く叩き過ぎたのか?頭に病があったのか、だからあんなふうに放心状態だったのか?
首輪が落ちたってこれは自分たちを見張るためのものだから、それが落ちたってことは............

「おい、しっかりしろ!大丈夫か、悪い、そんな強くは叩いてないんだ!本当だ!しっかりしてくれ!」
棒立ちのまま死んでしまったのではないかと思い強く揺さぶる。気が動転してもう一度同じように頭を叩く。すると

「音声ガイダンスに従って名前を入力して下さい。パスワードを...........」
またもうわ言を呟き出し足元の首輪がもう一度浮いてくる。どうやら一命を取り留めることに成功したみたいだ。
719DANCING JUNK ◆PuVQoZWfJc :2010/09/19(日) 11:48:05 ID:qYJMcnaJ
これ以上まずいことにならない内に馬超は彼を背負って病院へと駆け出した、そして今に至る。
背負い辛かったので彼の上着(学ラン)を借りて腕と腕を結び担ぎデイパックももう片腕に下げる、目指すは
医院、そして庵(診療所)。背負った際に彼の後頭部のできもののような物が肩に何度かあたる。

その度にうわ言が止み首輪が浮き沈みを繰り返す。急がなくてはいけない。まさに半死半生といった態だった。
「音声ガイダンスに、音せ、音声、音声がい、音............」
「う、うあああああああああああーーーーーーーーー!」

互いに追い詰められながら、一路病院へ急ぐも彼女の頭の中には先程の決意は失われていた。
(頼む、愛紗、誰か助けて!)と

【一日目 C-3 森(やや病院寄り) 深夜】

【馬超@真・恋姫†無双】
[状態]:混乱、疲労(中)
[装備]:組立式の釣竿@現実
[道具]:基本支給品×1 未確認のランダム支給品0〜2
[思考]
基本:今ならまだ間に合うかも知れない!
1.病院へ、それでダメなら診療所へ向かう。
2.愛紗たちを探す。


【メカ沢新一@魁!!クロマティ高校】
[状態]:意識不明の重体@初期化
[装備]:グレネード詰め合わせ@現実 爆薬、閃光、チャフが2個づつの6つ、チャフ一つ消費済み
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2(未確認)
[思考]
基本:意識不明の為未確認
備考:馬超は中身を見ていません。
また基本的にメカ沢は神山、林田以外には普通の人間、シリアス系にはサイボーグに見えます。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/19(日) 23:52:24 ID:9130l0EP
投下乙
クロ高キャラにしては珍しく、悲惨な目に
721名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/20(月) 04:21:08 ID:l16S+MMw
チャフグレネード@現実ってなんだ?
722 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/20(月) 07:00:50 ID:OBxBR9hg
支給品修正
爆薬、閃光が3個づつの6つ
チャフグレってMGSのオリジナルだったんですね、申し訳ない。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/20(月) 07:30:57 ID:Q4fUahYz
グレネードを出したいなら破片・閃光以外には白燐とか発煙、ガス弾とかなら現実にあるよ
724名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/20(月) 08:07:45 ID:qVThy2bF
いたぅのお目覚めタイム(8:00)をお知らせします。ぽぽーぽぽー

┏━┯━┓
┃   |  . ┃
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⌒ヽ         /                  /
  _ノ        ∠_____________ /        .|
           /\  \             |
           .\ \  \               |
   ○      / \ \  \           |
    />    /  / \ \  \       , "⌒ヽ       /
   ///   ./  /   .\ \  \      i    .i       ./
  ./\\\  /  / _>_ ,、 .\ \  \    .ヽ、_ノ     /
 /  .\\ ./  ,´/^^゙ヾ´`ヽ .\ \  \     .|     /
 \   \\ .イ ノノソヾ!リ' `./ \ \  \    |    /
   \   \\ヾ(l ゚ヮ゚ノi /    \ \  \   .|   /
  o .\    \\ ⊂ノ /        \ \  \  |  /
     "⌒ヽ .  \\ /            \ \  \| /
    i     i    \\   ○       _\ \/|/
  ○ ヽ _.ノ .\   \\      _,. - ''",, -  ̄
           \    \\_,. - ''",. - ''   o
            \   \\ ''  ̄ヘ _ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ○      \   \\//。 \  わーい、シャボンだま〜
    ゚   o   。   .\   \/     |  えへへぇ
   。              ̄ ̄ ̄      \__________
725名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/20(月) 08:08:28 ID:qVThy2bF
誤爆
726 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/20(月) 18:38:18 ID:OBxBR9hg
>>723
アドバイスありがとうございます
再度メカ沢の支給品を修正します。
スタン、スモーク、白燐各種2個づつの6個セット
度々変更してしまい申し訳ありません。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 20:58:02 ID:V8r+U5j0
ジョゼ山たちのSSを投下します
728名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 20:58:50 ID:V8r+U5j0
明滅を繰り返す、朽ち果てた街灯の下。
社会福祉公社の職員、ジョゼッフォ・クローチェは穴が開くほど、ルールブックのただ一文を見つめていた。

 優勝者の帰還は保証し、ありとあらゆる願いを一つ叶える(死者の蘇生を含む)

その一文を読み、何を考えているのか。
陰鬱に俯く、その表情は窺い知れない。
ジョゼは策謀と硝煙、弾丸と血の飛び交う現実を生きてきた男だ。
テロリズムに斃れた家族の復讐を誓う事はあっても、これまで蘇生など考えた事もなかった。
そのような魔法じみた夢は、高度な医療技術を獲得するに至った公社に置いても議論された事すらない。
ニンゲンは、死んでしまえばそれでお終い。
しかしそんな当たり前の理を、この一文は平然と、あっさりと否定してくれている。

 優勝者の帰還は保証し、ありとあらゆる願いを一つ叶える(死者の蘇生を含む)

おとぎ話の世界ならば、ありきたりとも言えるありふれた報酬。
常のジョゼなら、鼻で笑って否定するであろう妄想。
その妄想を――なぜか、今のジョゼは否定しきれずにいる。

チカチカと、街灯は明滅を繰り返す。
周囲は薄気味が悪いほど、静寂に包まれていた。
やがて、ブゥ――ンという虫の羽鳴りめいた音と共に。
街灯の明かりが、ぷっつりと切れてしまう。

そうして、暗闇に包まれた街の片隅で、ジョゼは――

----

海辺に面したホテルのロビーで、三人の男女が会合していた。

一人はブロンドの髪の上にベレー帽を乗せた、小学生ほどの年頃の女の子。
一人は風紀と書かれた腕章を身に付けた、気が強そうなセーラー服の少女。
一人は髪の毛を目のあたりまで伸ばした、どことなくホストっぽい印象をしたブレザーの少年。

話し合いは、最初の自己紹介から大荒れ模様を見せている。

「はぁ!? 諸葛孔明って……大昔の中国の有名な軍師じゃないっ! 自己紹介しようって時に、そんなすぐにバレる偽名を使うなんて……
 巡が社会の常識(ルール)教えてあげよっか!?」
「は、はわわ……ぎ、偽名じゃありませんよぅ。真名は朱里と申しますが……孔明は本当に私の字ですぅー」
「孔明って言ったらあれでしょ。ちょび髭で、知的なダンディーなおじ様で……偽名を使うんだったら、もうちょっとマシな――」
「まぁまぁ。落ち付けって。あながち偽名とも言い切れないかもしれないぜ」

ヒートアップしているセーラー服の少女、銭形巡を、その場で唯一の男性である日向秀樹がなだめに入る。
日向の言う論拠は、支給されたルールブックに付属する名簿であった。
そこには確かに諸葛亮という姓名と、劉備や関羽、曹操といった、誰もが知る三国時代の英傑たちの名が記されている。
まともな人間なら、そんな有名人の名を騙ろうとなどするはずもないし、これだけ揃っていては同姓同名とも思えない。

「だから、本当に私の名前は諸葛亮で間違いありません」
「ど、どういう事なのよ……」

日本の中学生なら、大概は図書室などに置いてある横山○輝の三国志を一度は読む機会があるだろう。
巡もそう詳しいわけではなかったが、劉備や関羽、諸葛亮といった主人公クラスの面々は知っており、脳内のイメージはそれに準じた物だ。
こんなちびっ子が、孔明だと言われても――激しい違和感を感じてしまう。
そもそも、三国志と言ったら西暦200年頃の話で、巡の時代からすれば遥かな太古の話である。
――まさかそれが少女として現世に転生したとか、そんなC級漫画みたいな話をしないでしょうね……
そんな巡の思いを余所に、少し年上の少年が納得したように呟く。

「ふうん。三国時代の英雄たちを、今の時代に生き返らせたってわけか……あの孔明が実は女の子だったってのには驚いたけど。
 とすると、俺たちも生き返ったって事か?」
「貴方、そんな話を信じるワケ!? て言うか、貴方“も”生き返ったってどういう事!?」
729名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 20:59:38 ID:V8r+U5j0

ベレー帽の少女に負けず劣らず、妙な事を言い始めた日向を、巡は驚愕の眼で見る。
最初に集められた人たちの中ではまともな外見をしていた日向だけに、巡の眼には裏切られたかのような色合いが混ざっている。
日向は、そんな巡に人好きのする笑顔を向けると、説明を始める。
彼とて、自分の置かれている特殊な立ち位置は理解していたから。

それは、青春時代をまともに過ごせずに死んだ者たちの世界。
死んでも死なない――そんな世界で繰り広げられる「死んだ世界戦線」
――ゆりや日向を中心とする、転生を拒む者たちの戦いの話だった。

「ほら、あの変な男が言ってただろ? 死んだ人間は生き返らないとかなんとか。
 ありゃ多分、俺たち戦線メンバーに向けて言ったんだろうな……孔明ちゃんも、自分が死後の世界から生き返ったって自覚あるの?」
「……いいえ。私には自分が死んだ自覚なんてありませんけど……確かに、あの于吉にはそんな力があるのかもしれません。
 だって、彼は――私たちが、確かに倒したはずなんですから」

朱里が語るのは、太平要術の書によって動乱を起こそうとする于吉の野望と、それを止めた諸侯たちの物語。
その結末は、劉備の持つ竜の爪が于吉を滅ぼしたというものであった。
その彼が再び現れたという事は、生き返りの術の実在を証明するものなのかもしれない。

「生き返ったのは嬉しいけど……ここで死んだらそれまでか。理不尽もここまで来るとキツいぜ」
「ちょ、ちょっと待ってよ……じゃあ、あの于吉って奴は死人たちを生き返らせて戦わせようとしてるって事なの?
 ……巡たちも、もう死んでるっていうの?」

次々に突きつけられる常識外の話に、巡の表情は青褪める。
初めて目にした人の死。そして最後の一人になるまでの殺し合いを命じられた時点で、気が強い巡の精神も参り切っていた。
警視総監の娘とはいえ、巡自身は当たり前の14歳の少女に過ぎないのだ。

「いや……でも諸葛孔明って結構長生きしたはずだしな。この年で死んだって事はないと思う。
 さっきは生き返らせたのかって言ったけど、生き返らせてまで参加させられたのは、俺らくらいなんじゃね?
 知んねーケド、タイムスリップしたとか……」
「自分が万能の力を持つ事を、参加者たちに見せつけているのかもしれませんね。
 少しでも情報交換すれば、それぞれの認識の差に気付くはずですから」

三人集まっただけでこれなのだ。
最初に集められた場所にいた車椅子の少女の力や、素早く動く男の力。下着を丸出しにした少女たちの一団の事など、文殊の知恵を絞っても
説明出来ない事はまだまだある。
どうやら想像以上におかしな事に巻き込まれてしまったという事に三人は気付き、暗澹とした気分になった。

「あの……ゴメンね? 孔明ちゃんの言う事疑っちゃって……巡の悪い癖なんだ。疑ってかかるの」
「いえー。判って頂ければいいんですよ。呼びにくければ朱里と呼んでください。
 でも私って、後世ではそんなに有名になっているんですか?」

しかしそれでも、少女たちが和解し、それぞれの事を喋り出すのを日向は微笑みながら見つめていた。
どんな企みがあるのかは知らないが、人生これからというような女の子たちを殺し合わせるなんて間違っている。
だから日向は、あの世界で神に反抗したように――この殺し合いにも、どこまでも反旗を翻すつもりだった。
その為にしなければいけないのは――

「おーい、ちょっといいか? 支給された武器の確認しようぜ」

この先、生きのこる為の戦力の確認である。
幸い、ここに集まった三人には殺し合いに乗る意思はなかったが、参加者たちの中には乗る者もいるかもしれない。
女子供が多いこのチームに必要なのは銃器による火力だ。
天使のような超常的な力を持つ者でもなければ、銃で武装された集団には手が出せないだろう。
勝ちのこる為というよりも、生きのこる為の抑止力として日向はそれを期待する。

果たして二人の少女の荷物の中に銃器は――あった。

「おおっ! 巡ちゃんのはスコーピオンじゃん。当たりだなこれは」
730名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:00:50 ID:V8r+U5j0
Vz.61。別名スコーピオンの名の通り蠍の尾のように折り畳まれたストックが特徴的なこのサブマシンガンは、コンパクトな外装と扱いやすさが売りである。
とはいえ、流石に初心者の女の子がぶっぱなすのは危なすぎるので、日向は自分に支給されたシグザウアーP232との交換を提案する。
装弾数は少ないが、その分コンパクトに設計されたこの自動拳銃なら、女の子の手にもしっくりくるだろう。

「銃……」

巡は、手渡された銃を恐る恐る握る。
将来警視総監を夢見る少女にとって銃と手錠は、法を守る正義の象徴であった。
だが、この島ではそれもただの殺人道具。
初めて手にしたその銃は、意外なほど軽かった。
それでも引き金を引けば人が死ぬ。
巡は、唾を呑みこんだ。

「孔明ちゃんのは……ハハ、こりゃいいや。エアガンか」

朱里の鞄に入っていたのは、これまたコンパクトな自動拳銃であるワルサーP99。
そのエアガンモデルであった。
実質的な戦力としては期待出来ないが、驚くほど精巧に出来たその外見は、抑止力としてだけなら期待出来るだろう。
元よりこんな幼い少女に、人殺しの道具を持たせるのは抵抗がある。
日向は秘かに胸をなでおろす。

「マガジンを入れてスライドを引けば初弾が薬室に装填されるから、扱いに気を付けろよ。
 撃つ時は、そこのセーフティを解除して……」

「死んだ世界戦線」の一員として、様々な銃器を扱った経験のある日向が、二人にとりあえずのレクチャーを施す。
形だけでも様になっていないと、抑止力にもならない。
危惧するのはせっかく銃を突きつけたのに、安全装置がうんぬんと突っ込まれて逆転されるパターンである。

「んで、銃を両手で構えたら照準具で狙いを付けて――ドンッ」

ドンッ

日向が、発砲の擬音を口にした瞬間、ホテルのロビーにそれと同種の重低音が鳴り響いた。
胸を貫く衝撃。
一瞬で視界が暗転する。
日向の肉体が床に倒れて、溢れる鮮血が絨毯を真っ赤に染めた。

「キッ、キャアアアアアアーーーーーーーーーーー!!!」

それにワンテンポ遅れて少女たちの悲鳴が轟く。
その悲鳴を聞いて、日向はようやく、自分が敵襲を受けた事に気付いた。

「に……げろ……」

そんな日向の掠れた声が聞こえたのかどうか。
巡が、朱里の手を掴んで逃げだした。
追撃は――とりあえず、ないようだ。

少女たちを心配する必要がなくなり、日向は自分の身体のチェックを行う。
攻撃を受けた胴体には、感覚もない。
傷口を触ろうとして……もう手も動かない事に日向は気付いた。
ある意味慣れた、死の感触。
だが、もう生き返る事はない――らしい。

(ハハ……せっかく生き返ったのに、もう死ぬのかよ……)

僅かに顔を横に向けて、口から血の塊を吐き出す。
確保した気道から空気を吸い込んだ。

(まぁ……死んだのに生きていた今までのほうが特別だったんだよな……)
731名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:01:58 ID:V8r+U5j0

青春に未練を残した物の為に用意された世界。
そこでバカな奴らと、思いっきりバカ騒ぎを楽しんだ。
だから実は、もうほとんど未練なんて残ってなかった。
思い残したのは、音無のやろうとした事を手伝えなかった事くらいだろうか。

(チクショー。音無……お前、うまくやれよな……。ゆりっぺ……ガンバレよ……)

最後に浅く呼吸をして、日向の肉体は、それで永久に動かなくなった。

【日向秀樹@Angel Beats! 死亡】

----

「はぁっはぁっはぁっ」

心臓が激しく脈を打つ。
背中を伝う冷や汗が気持ち悪かった。
銭形巡は、生まれて初めて経験する死の恐怖を前に――朱里の手を引いて夢中で逃げていた。

息を吸うごとに、鼻腔に残った血の匂いがぶり返す。
吐きそうになる感覚に耐えながら、巡は廊下に備え付けられた緑色の誘導灯の案内に従い、非常口を目指す。
銃の音は玄関の方からした。
だから、逃走の方向としてはこれで正しいはずだが――

(日向さん、ゴメンなさいっ!)

見捨てて来てしまった。
胸を撃ち抜かれて、大量の出血をしていた日向は、助からないように見えた。
だが、すぐに手当てをすれば助かっていたのかもしれない。
巡が上手く敵を撃退し、すぐに処置していれば――

(ゴメン、無理っ!)

そんな事は、出来るはずもない。
だから自分の判断は正しいのだと、朱里を守って逃げた自分の判断は正しいのだと思いたかったのに――
朱里を引く手に、抵抗が掛かる。

「――えっ?」
「巡さん、どこに――向かっているんですか!?」

自分の判断を、責められるのかと思ったが、違った。
この時代に疎い朱里は、ホテルという建物には、玄関の他に非常口がある事を知らなかったのだ。

「だ、大丈夫だよ、朱里ちゃん。この案内に従って歩けば、非常口があるからね。そこから逃げよ?」
「巡さんも、この建物には初めて来たはずですが……そういう構造は、この時代での常識なんですか?」

世界各国での標識の形は異なるが、ホテルに非常口を設置するのは世界の常識であろう。
日本の消防法に置いても、ホテルには最低二か所の非常口の設置が義務付けられている。
それを口早に説明すると、朱里は力強く、こう断言した。

「では、それは罠ですっ!」

----

ジョゼは手にしたThompson Center コンテンダーの銃身から、5.56mmのライフル弾の薬莢を排出し新たな弾を籠める。
小型のライフルめいた銃身を持つこの銃は、狩猟用のシングルショット・ピストルである。
ジョゼに支給されたコンテンダーはライフル弾をも装填出来る威力抜群の銃ではあるが、代償として装填出来る弾の数は単発であり、
銃同士での撃ち合いともなれば敗北は必至という極端な銃だった。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:02:52 ID:V8r+U5j0
故にジョゼはまず短機関銃という最大火力を保持し、銃の知識もあった日向を狙ったのであるが……どうやってそんな事を知ったかと
言えば、答えはロビーの机の下に仕込まれた盗聴器にあった。

あの大勢いた広間から、このホテルのロビーへと転送されたジョゼは、そこに人がやってくる気配を察知して盗聴器だけ仕掛けて
とりあえず外へと退避したのである。
そして三人の会話の全てを盗聴し――この奇襲を計画したのだった。

国家公務員であるジョゼがこのような無法を決意したのも、実はその会話内容に原因があった。
人間の蘇生。
もし、それが本当に可能なのであれば、ジョゼには生き返らせたい人間がいた。
かつてイタリアを席巻した五共和国派によるテロリズム。
世にクローチェ事件として有名な、そのテロによる犠牲者の名前はエンリカ・クローチェ。
ジョゼの妹である。
法曹家である父や母だけなら、政治闘争が過激なイタリアの法曹家としてしょうがないとも言えたが、兄ジャンの婚約者や、
妹エンリカの死を、このクローチェ兄弟は許容出来ずにいる。
それが高じて公社というテロリストへの復讐が出来る仕事に就いたのだが、もし彼女たちを生き返らせる事が出来れば
そんな不毛な戦いからも解放されるだろう。

ジョゼはそんな情報をもたらしてくれた日向という少年の元に赴き、少年の遺体を確認する。
当然だが、死んでいる。
言葉通り、本当に死を迎えた様である。

盗聴器を回収し、少年の荷物を奪う。
短機関銃が確保出来たのは幸いであった。
コンテンダーだけでは、この先どうにもならない。

逃げた二人については、予め非常口に設置しておいた最後の支給品。対人地雷クレイモアで始末出来ると思っていたのだが
中々その爆発音がしない。

「仕損じたか? 意外と冷静だな……」

さすがに二階以降の非常階段などには仕掛けていないので、そこから逃げたとすればお手上げだった。
まぁ今回はこの成果で我慢するかと思った時。

ジョゼのいるロビーに、クレイモアの破裂音が響いた。

【一日目 G-5 ホテルロビー 深夜】

【ジョゼッフォ・クローチェ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:T/C コンテンダー(1/1)@現実、Vz.61 スコーピオン(20/20)@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品×2、5.56NATO弾×18、スコーピオンの予備弾倉×4、盗聴器@GUNSLINGER GIRL、M18クレイモア@現実×2、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:優勝して、エンリカを生き返らせる
1:優勝する
2:公社の人間は利用出来る

----

「では、それは罠ですっ!」

一瞬立ち止まり、巡は朱里を見る。
罠って……伏兵でもいるというのだろうか。
流石にそれはないと、巡は思う。
きっと、社会常識の違いから来る誤解だろう。
第一、逃げずにどうしろと言うのか。
襲撃者がいたロビーに戻り、玄関から逃げろと?
733名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:04:17 ID:V8r+U5j0
「ゴメン、急ぐからっ!」

巡は小柄な朱里を肩に抱きかかえると、再び走り出す。
こうしている間にも、襲撃者は追ってきているかもしれないのだから。

「め、巡さんっ!」

問答を避け、今はただ逃げる事に専念する。
巡も小柄ではあるが、担ぎあげられた朱里は更に小さい。
学校でも足の速さで有名な巡は、その身体能力を持ってホテルの廊下を疾走する。

「あったっ」

そこには伏兵などおらず、静かに避難客を待ち受ける重そうな鉄の扉だけがあった。
巡は、そのドアノブを捻ると、一気に引っ張る。
糸の切れたような、僅かな違和感。
開けたドアの向こうにあったのは、三脚のような足に支えられた小さな箱だった。

閃光。

爆発の兆しを感じた瞬間、巡は身体に、柔らかな何かが背中にぶつかるのを感じた。

「え……」

小さな呟きを残し、爆炎と強力な殺傷兵器がその空間を蹂躙する。
破壊の納まった後、その場には何も残されていなかった。

----

気付いた時、巡たちは見知らぬ森の中にいた。
あの時、巡たちを待ち受けていた死のトラップ。
そこからどうやら生還出来たらしい事を知り、巡の全身から力が抜ける。
脱力しきった肉体には、全然力が籠らない。
ただ、ブルブルと痙攣するように、身体が震える。

「ハッハッハッ。危ないところだったな、少女たちよ!」

そんな巡を鼓舞するかのような頼もしい笑い声が、夜の森に木霊する。

「だ、誰? どこにいるの!?」

ビクリと弾けるように反応したのは巡である。
朱里はなぜかげんなりしたような表情で、黙ってそれを見ている。
かさりと、わざとらしい物音がした。
釣られて視線を向けた先に居たのは、グラマラスな肉体を露出の激しい白い衣に包んだ女性。
まるで蝶のような妖しい仮面を付けた女性が、木の枝の上に立っている。

「あ、貴方は……っ!」
「正義の華を咲かせる為に、美々しき蝶が悪を討つ! 美と正義の使者、華蝶仮面……推参!」

華蝶……仮面様。
噛みしめるように巡が呟くと、華蝶仮面と名乗った女性がうむりと頷く。

「悪人たちは、いずれこの華蝶仮面が必ず討ち果たす。それまではその命――くれぐれも、大切にな!」

それだけ言い残すと、華蝶仮面は跳躍した。
巡が当たりを見渡しても、その姿はもはやどこにもない。
ただ、反動に揺れる枝だけが、そこに残されていた。

「華蝶仮面様……一体何者なの……?」
734名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:05:37 ID:V8r+U5j0

夢見る少女のように呟く巡に隠れて、朱里はこっそりと溜息をつく。
朱里としては、こんな時まで、そんなお遊びに興じていないで趙雲(華蝶仮面)に一緒にいてもらいたかったのだが……
あんな人の知り合いだと思われるのも、それはそれで嫌だった。

【一日目 C-3 森 深夜】

【銭形巡@瀬戸の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:シグザウアー P232(8/8)@現実
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:巡がみんなに社会の常識(ルール)教えてあげなきゃ、だけど……
1:みんなを探す
2:華蝶仮面様……

【諸葛亮@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:ワルサー P99(エアガン)@CANAAN
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:再び于吉を倒す
1:とりあえず、戦力集め
2:趙雲さん何してるんですか

----

次の瞬間、趙雲は見知らぬ道路に降り立っていた。
どうもこのヘルメスドライブというレーダーの武装錬金を扱い切れずにいる。
だが、朱里を間一髪助けられたのは運が良かった。
きっと今頃、麗しき華蝶仮面の活躍の数々を同行している少女に伝えている事だろう。

「それにしても、なんと美しいマスクだ……」

趙雲は自らに支給されたマスクをうっとりと眺める。
自作のマスクも気に入っていたが、このマスクの美しさもまた格別だ。
この騒動を片付けたら、製作者に是非会ってみたいものだと、趙雲は思わずにはいられなかった。

【一日目 B-2 道路 深夜】

【趙雲@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:ヘルメスドライブ@武装錬金、パピヨンのマスク@武装錬金
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜2
[思考]
基本:美と正義の使者として振る舞う
1:ヘルメスドライブの扱いに慣れる

※ヘルメスドライブを上手くコントロールする事が出来ません
735名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:07:25 ID:V8r+U5j0
タイトルはチャオ ソレッラで
736名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:19:43 ID:V8r+U5j0
趙雲のランダム支給品0〜1に修正しまーす
737名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:19:58 ID:1E56D2y3
なんで鳥すら付けないんだろうな…
738名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 21:31:43 ID:V8r+U5j0
趙雲と諸葛亮の状態表の表記が@GUNSLINGER GIRLになっているのを
@真・恋姫†無双に変更しまーっす
739名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 22:06:22 ID:5EBZHdMh
予約もねーし
荒らしSSが定期的に投下される廃墟か
こりゃもう本格的に終焉したな
お疲れ様っしたー
740名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 22:40:05 ID:nTF8OFvi
あと42キロバイト
741名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 22:41:36 ID:29fAeqYj
ロワとしての機能なんて誰も求めてないんだよ
1を叩くのが面白かったんだから、もう十分役目は果たしてる
742名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 23:06:16 ID:pkbPm3qh
何者か知らんが投下乙
やはりパピヨンのマスクは華蝶仮面様に支給されたか…
あと登場してないのは三人くらいかな?
743名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/21(火) 23:27:42 ID:zbHtYHP7
次スレ立てない方が良さそうだな
744名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/22(水) 00:01:10 ID:eq2b6XMc
別にそのまま採用しても良いと思うんだが
当の書き手としては嫌なのか
745名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/22(水) 00:54:45 ID:kdg6uII/
普通に面白かったんだけど…
別に問題があるわけでもないし、トリップくらいいいんじゃないの?
746名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/22(水) 01:06:49 ID:2T3ECiTW
SSの内容じゃなくて予約とトリップがそこまで大事なんだったら
21世紀深夜アニメバトルロワイアル
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1284211834/
こっちに行けば幸せになれるんじゃないか?
747名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/22(水) 06:43:24 ID:3woI3Lmx
>>746
無軌道リレーにしたいんでしたら他所へ行ってくれませんか
748名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/23(木) 14:35:32 ID:Rpri9S17
と、偉そうに要請する奴がいても別に予約があるわけでもないし、書く人あっての企画だからな
好きにしていいんじゃね
予約制とか、所詮1の作ったルールだしな
749名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/23(木) 14:56:56 ID:2p95IyA8
それなら、議論スレで言ってくればよいんじゃない?
750名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/23(木) 22:54:29 ID:A6Q6o6o5
もう既に通し扱いになってるしストパンも終わったし
好きに書けばいいじゃないか、何事も書き手が優先だぜ
751名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/23(木) 23:17:29 ID:Rpri9S17
予約してやれば予約なしで書いてる奴なんて投下出来なくなるしな
気に食わないんだったら、全キャラ予約してやればいい
752名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/23(木) 23:20:45 ID:Rpri9S17
一週目未予約未登場キャラ
○近藤剣司
○小楯衛
○ヘンリエッタ
○ヴィクトル・ヒルシャー
○ピノッキオ
○江戸前留奈
○三河海
○久瀬修一
○火渡赤馬
○曹操
あと10人
753名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:16:48 ID:otdl10kM
誰かが予約スレで別人だろうがコテを名乗れば通しって流れになってるのかな
当然、修正要求には名乗ったコテが応じるって条件で
754名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:19:04 ID:Xen8IfpP
コテが好きな連中だなw
755名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:19:58 ID:otdl10kM
そりゃ、修正要求があったときに
責任持てる奴がいないとgdgdになるし
756名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:50:40 ID:G4EbBo/D
せっかくだから今のうちに自殺しとくか

パーン

レベルの文章じゃないと荒らしSSとは呼べんだろ
757名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:57:17 ID:+d+NWfHv
つか、酉嫌がる理由って何?
目立つのが嫌なら、毎回別のものに変えればよいと思うんだが
758名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 00:57:34 ID:Ovk3Tdux
恐ろしい
759名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 06:27:04 ID:ij5en6N9
もう破綻してるロワにいつまでしがみついてんのおまえら?
みっともねぇなあ
760名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 12:46:51 ID:Xen8IfpP
>>755
まぁコテ付きでも修正要求なんぞに応じるなんて保障はないけどな
761名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 18:47:58 ID:otdl10kM
コテつけた上で拒絶するのなら、それはそれでひとつの意見じゃね

常人には窺い知れない理由で、したらばにくるのが恥ずかしいのなら、
それこそ、他のコテに作品委託したら良いと思うが
762◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:47:56 ID:Wgxy11Dt
なんかコテに拘ってる人が多いようなのでつけてみました
それでは投下します
763◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:48:44 ID:Wgxy11Dt
希望なんてなかった。
ただ、1秒毎に死へと近付いていくだけの日々。
大好きな音楽も、心惹かれた少女との繋がりも自ら断ち、この世への未練を、心を苦しめる全てを、捨て去ろうと思ってきた。

では、このゲームは、希望なのか?
殺し合い、最後の一人まで生きのこれば、どんな願いも叶うとルールブックは告げていた。
死者の蘇生さえも可能だと。

「あれは、確かに優子ちゃんだったよな……」

それを証明するかのように蘇った、死んだはずの昔の知り合い。
最初の広間で見た少女の容姿を思い出す。
あれが本当に雨宮優子だとするなら、優勝者に提示された奇跡じみた報酬にも真実味が増す。

久瀬修一は、心疾患を患っている。
現代医学では、原因の究明すら困難な症例で、既に寿命も残りわずか。
座して死を待つ以外に、選択肢などなかった。

これまでは。

「優勝すれば……この病気も治るのか……?」

病気さえ治れば、死なずに済む。
音楽もまたやれる。
あの子の想いにも――応えてやる事が出来る。

だが、80人もの参加者の中から病気を抱えた自分が優勝する可能性など、ただの1%もあるのだろうか。
結果の判り切ったゲームになど、乗るつもりはない。
それが今まで貫いてきた久瀬の人生哲学であったし――どうせ死ぬなら、人殺しなどという負い目を持ったまま死にたくない。
最後はせめて、心安らかなまま逝きたかった。

じゃあとりあえず学生時代の友人――火村にでも会いに行ってみるか。
あいつの事だ。多分、島の最北端にある教会にでもいるんだろう。
そう考え、ポニーテールに結わえた髪を揺らして、くるりと方向転換した時だった。

心臓が、ひび割れた。

呼吸が出来ない。
全身を巡る血流が止まる。
全身がバラバラに弾けそうになる衝撃。
既に何度も味わった――だが、一向に慣れる事のない激痛。

心臓の発作だった。

一気に狭まった視界の中、支給された鞄だけが、眼に映る。

「ぐ、わあああぁぁーーーー」

悲鳴をあげる事すら、もどかしい。
薬だ。
764◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:49:25 ID:Wgxy11Dt
薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬

薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬

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薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬薬
765◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:50:14 ID:Wgxy11Dt
(クスリ! クスリは……入っていないのかっ!?)

まるで思い通りに動かない手が、鞄の中を必死にまさぐる。
不要な内容物を弾き飛ばしながら、痙攣する指が、触り慣れた手触りの瓶を掴み取る。

――あったっ!

瓶の中身を確認する事もなく、久瀬は瓶を口につけ、カプセルを口の中に流し込む。
水も呑まずに乱暴に体内に流しこまれたカプセルは、それでもその殻を速やかに溶かし、薬剤を体に浸透させる。
たちまちのうちに収まる久瀬の発作。
荒い息を吐きながら、久瀬は瓶を握った手を握り締める。

「死に……たくねぇよぉっ!!」

封じ込めていたかった、醜い本音が漏れる。
学生時代から大好きだった音楽。
親の反対を押し切り、音羽学園を中退してまで留学して、死に物狂いで頑張って夢を叶えた。
同世代の人間の、何倍ものリスクを冒して、努力して――その甲斐あって世界的に有名なヴァイオリニストとなり
……今では天才ヴァイオリニストとの呼び声高く、何枚もCDを出して何不自由のない生活を送っている。
それをなぜ――病気なんかの為に、失わなければいけないんだ?

なぜ? 俺なんだ?
なぜ? 病気が治らないんだ?
なぜ? 発症してしまったんだ?
なぜ? 他の奴じゃなかったんだ?
なぜ? 寿命が残りわずかなんだ?
なぜ? 今なんだ?
なぜ? 学生時代にでも死んでしまわなかったんだ?
なぜ? もっと報われた人生を楽しんでからじゃないんだ?
なぜ? 生まれて来てしまったんだ?
なぜ? 楽に死ねないんだ?
なぜ? 死ななければならないんだ?
なぜ? 生きていてはいけないんだ?
なぜ? 成功してしまったんだ?
なぜ? 苦しまなければならないんだ?
なぜ? もっと音楽を続けられないんだ?
なぜ? ヴァイオリンを手放さなければいけないんだ?
なぜ? もっと遊べないんだ?
なぜ? 楽しかった思い出まで手放さなければならないんだ?
なぜ? 恋が出来ないんだ?
なぜ? 想いに応えてやれないんだ?
なぜ? 俺に恋をしてしまったんだ?
なぜ? 悩まなければならないんだ?
なぜ? 迷わなければならないんだ?
なぜ? 押し付けるんだ?
なぜ? 絶望させるんだ?
なぜ? 希望を持たせるんだ?
なぜ? 人を傷つけなければいけないんだ?
なぜ? 俺は逃げようとしているんだ?
なぜ? 俺は弱いんだ?
なぜ? みんな強いんだ?
なぜ? 俺を選んだんだ?
なぜ? 俺を守ってくれないんだ?
なぜ? みんな死んでくれないんだ?
なぜ? こんな殺し合いに巻き込まれてしまったんだ?
なぜ? 人を生き返らせるような力を持っているのに俺を助けないんだ?

なぜ? なぜ? なぜ?
766◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:50:57 ID:Wgxy11Dt
久瀬は、散らばった荷物の中から、黒光りする銃を手に取った。
じっとりと額に汗を掻き、地面にぐったりと這うような体勢でいながらも、その眼だけは力を取り戻していた。

なぜ? 諦めなきゃいけないんだ?
なぜ? 叶わないと決めつけるんだ?
なぜ? 敵わないと決めつけるんだ?


自分はまだ生きている。
例え可能性が1%以下でも――生きられる可能性が出来たのなら。


「この世に奇跡なんて無い。あるのは偶然と必然、そして誰が何をするかだけ」


そうだったな。火村。
だったら、俺はそれを掴み取ろう。
偶然と必然が産み出す奇跡を、この手で織り上げよう。

闇の中、サファイアの瞳をした少女の笑顔を幻視する。

生き抜いて――そして帰ろう。
あの、美しい海辺の街に――。

----

三河海は手に持つ大斧で、島の山頂にある神社の境内に、文字を描いていた。

一体何を祭っている場所かは知らないが、高所恐怖症ならぬ広所恐怖症……幼い頃のトラウマにより、広くて、明るい場所が
苦手な三河にとって、ここはうってつけの避難場所だった。

鎮守の杜に囲まれたここならば、日が昇っても周囲は薄暗く、逃げ場も多い。
襲撃がなければ、本殿に籠ってしまっても良い。
そしてそのまま助けが来るのを待ち、この殺し合いから脱出しようというのが三河の計画だった。

その為にも今、三河は森の中で唯一空が見えるこの境内に、SOSという大文字を書いている。
草原を深く掘る事で形作られたこの文字を、朝になればNASAの衛星がきっと発見してくれるだろう。
そうなれば、日本一の財力を誇る三河家がすぐにでも救出部隊が編成し、助けにくるはずだ。
こんな首輪も、三河家の技術を持ってすれば簡単に外せるのだ。

「それまでの辛抱だで、燦ちゃん!」

幼馴染であり、魂の花嫁である瀬戸燦。
今は忌々しくも、満潮永澄と同居しているが、所詮は人魚と人間である。
自分がこのゲームを打破する雄々しい姿を見せれば、きっと考え直してくれるだろう。

そんな輝かしい未来を想像しながら、鼻歌交じりで土掘りに精を出す三河の耳に、葉擦れの音が聞こえた。
風によるものではない。
三河は作業を止め、息をひそめて周囲の様子を窺う。

その三河の様子に、気付かれた事を悟ったのか。
虫の鳴き声すらしない静寂を、突如鳴り響いた銃声が切り裂いた。
マズルフラッシュが、夜陰を照らす。
三河は数十メートル離れた森の木陰に、長身の男の姿を視認する。

「な、なにをするぎゃ!」
767◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:51:39 ID:Wgxy11Dt
男は、拳銃を持っていた。
幸いにも弾は当たらなかったが、三河はいきなり銃を撃たれた事に狼狽する。
三河海は、ただの人間ではない。
その正体は、シャチの魚人である。
人を大きく超える身体能力を持ってはいるが――やはり銃弾を受ければ傷付きもするし、死ぬこともあるのだ。
加えて、こちらの武器は鋼鉄製の斧槍(ハルバード)である。
接近戦なら自信はあるが、この距離では為す術もなかった。

三河は、動揺を悟られまいと声を張り上げる。
それは今の三河が唯一銃に立ち向かえる武器であり、平和裏に争いを納める唯一の術であった。

「ま、待つにゃも! 僕を誰だと思っとるがや!
 僕こそは、戦国三大名将信長、秀吉、家康を育んだ三河湾にその名も聞こえた三河家の嫡男、三河海!
 こ、こんな事になって動揺しているんだろうが、あ、安心したまえ。今、助けを呼んでいるところなも。
 朝になれば、僕の私設軍がきっと助けに来る。殺し合いをする必要なんて――」

返答は、数発の弾丸として返ってきた。
その内の一発が直立したままの三河の耳を掠め、耳たぶが吹き飛んで熱い血が零れる。

「生憎、ただ助かっても意味がないんだよ……それにゲームの中断は困る。
 私がこのゲームの勝者になるため……悪いけど、死んでもらうよ少年」
「ぎゃ、ぎゃあああー! 耳が、僕の耳がーっ!!」

痛みと、血を見たショックで足が竦む。
だが、こんな所で座り込んでしまっては、ただの的である。

「クゥ、ままよっ!」

三河は決死の覚悟で、森までの数十メートルを突っ走る。
魚人の走る速度は、人のそれとは比較にならない。
たちまちのうちに森の中に入り、背後からの銃撃をさほど気にしなくてもよくなった三河は、敵を振り切ろうと速度を上げ――
急に前方に現れた大木に、急いで手を突いた。

木という障害物は、弾避けになってくれる味方であったが、同時に三河に全力での逃走を許さない敵でもあった。
ましてや、この闇夜である。
マグライトの光すら吸い込まれてしまいそうな無窮の闇の中、三河はただ、木々の合間を無心で走る。
その行き先は、三河自身にすら判らない。

そんな逃亡を、しばらく続けていた時のことだった。
散発的に襲い掛かる銃撃から身を守る為、頭を低くして走る三河の視界に、自分の物とは違うマグライトの光が飛び込んだ。

「すわっ、先回りされたきゃ!?」

一瞬、そう思ったが、違う。
光源の位置は、自分の物より更に低い位置にある。
そこにいたのは、外国人らしき栗毛の女の子であった。
突然の遭遇に、少しだけ対応を躊躇う。

だが結局、三河はその女の子の手を取ると、引っ張って逃げた。
女性に優しくするのが三河家の家訓であったし、燦に相応しい侠を目指す彼としては、少女を見捨てて自分だけ逃げるなど出来るはずもない。

「あ、あの!?」
「シッ、逃げるぎゃ。銃を持った奴が、追い掛けて来とるがや!」

少女を引く手は、意外と重い。
抵抗されているのかと思い、手短に説明をした。
銃撃はしばし前から途絶えていたが――逃げきれたという保障はない。
もっと色々と話したい事もあるが、それはもう少し距離を取ってから――
768◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:52:42 ID:Wgxy11Dt
と、少女に少し意識を取られすぎていたのか。
今度は真正面から伸びてきたマグライトの強い光が、三河の眼を灼く。
思わず、手で眼を庇う。
いつの間にか、前方の斜面を滑り降りてきた拳銃の男が、三河の前に立ち塞がっていた。
もはや前方に障害物はなく、背後には守らなければならない少女。

三河財閥の跡取り、三河海。
侠の器量を試される時であった。

----

不安なのだろう。少女が、三河の制服の裾を握り締めてくる。
その潤んだ瞳は、三河の眼をじっと見つめていた。

「だ、大丈夫だ。僕が守る」

落ち付く為に、一度だけ深呼吸をする。
思い切り吸い込んだ森の草木の匂いに混じって、上質な香水をつけた少女の甘い体臭が香る。
それで、覚悟は決まった。
洋の東西を問わず、女の子とは少年の勇気を引き出す香辛料であるのかもしれない。
三河は手に持つ槍斧をクルリと一回転させて、石突きで大地を叩く。

「後ろに隠れてるにゃも!」

少女は三河の言葉にこくりと頷くと、離れる。
だが、拳銃の男は――久瀬修一は、少女が隠れるのを待つつもりなどないのか、手に持つリボルバー式の銃の撃鉄を起こす。

「させるかっ!」

滑るように、森の大地を駆ける。
この男が、さほど射撃が上手くない事は今までの逃亡劇で判っていた。
だから必要だったのは、銃口を前にしても、それでも前に出る事が出来る勇気だけだ。

魚人の身体能力を活かし、短距離走のメダリストもかくやという速度で、距離を詰める。
命を奪うつもりはなかった。狙いは、敵の持つリボルバーである。
疾走の勢いのまま突かれた槍の穂先が、拳銃を持つ久瀬の手を狙う。

しかし狙いが明確すぎるその一撃は、久瀬が一旦身を引く事で簡単にかわされた。
となれば、彼我の距離は既に接近戦の間合い。
如何に久瀬が銃に慣れていないといえど、引き金を絞れば眼をつぶっていても当たる距離。
撃鉄は既に起こされている。
久瀬は躊躇いもなくその引き金を絞り――同時に、その身を大きく後方に飛び退かせた。

槍の一撃をかわされた三河は、勢いをそのままに、槍斧の斧の部分を旋回させ、その遠心力を持って連続攻撃を仕掛けたのである。
地を擦りあげるかのような斧の刃を視界の端に捉えた久瀬は、射撃と同時に身体を無理矢理後方へと投げ出した。
結果として双方の攻撃は当たらずに、攻撃は次のフェイズへと移る。

だが、戦況は今や三河に大きく傾いていた。
こう見えても彼は魚人剣法の達人であり、しかも身体能力は魚人の中でもトップクラスのシャチなのだ。
省みて、銃を持つとは言え久瀬は戦いの素人であり、しかも半病人であった。

攻撃をかわしたせいで姿勢を崩し、尻もちをついたその体勢では、次の攻撃には対応出来まい。
そう見た三河は槍を返すと、柄の後ろに付いている石突きを持って久瀬の腕を穿たんとする。しかし――

「舐めるなぁー!!」
「うわぁっ」

久瀬はへたりこんだまま、握りしめた土を、前方に撒く。
少しそれが眼に入ったのか、目測を見誤った三河の突きは空を穿った。
その間に久瀬は立ち上がり、少し離れた木の影にその身を隠す。
769◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:55:13 ID:Wgxy11Dt

久瀬はへたりこんだまま、握りしめた土を、前方に撒く。
少しそれが眼に入ったのか、目測を見誤った三河の突きは空を穿った。
その間に久瀬は立ち上がり、少し離れた木の影にその身を隠す。

これなら、槍斧という武装に対する防備は万全である。
突くにしろ、払うにしろ、木が邪魔となって、その立ち回りはかなり制限される事になるだろう。
その事実に安心し、すこし落ち着きを取り戻した久瀬は、しかしそこに意外な光景を見た。

眼に入った砂を落とそうと、懸命に眼を瞬かせている三河海。
めくら滅法にハルバードを振り回している彼の遥か後方で、戦力外と思われていた幼い少女が、しゃがみながら大きな銃を構えていたのである。

「お、おいっ!」

少女が取るのは、教科書通りに構えられた丁寧な膝撃ちの姿勢。
思わず少年に声を掛けた瞬間、拳銃などとは比較にもならない、暴力的な発砲音が耳をつんざいた。
連続して噴き上げる発射炎が、射手の雪花石膏の如き肌を、夜の闇に照らし出す。

目くらましを喰らっていた三河には、何が起こったかも判らなかったであろう。
その頭部は少女の放った弾丸によって、後方から撃ち抜かれていたのだから。

久瀬にとっても、その突発的な死は他人事などではない。
木に半身を隠していた久瀬もまた、その肉体のあちこちに銃弾を受けていた。
即死こそ免れたものの、喰らったのは人体へのストッピングパワーに定評のある45ACP弾である。
あるいは、即死した三河のほうが幸せであったかもしれない。
肩と脚、そして脇腹を穿った銃創から、コールタールのような血が溢れる。
悶絶するような痛みに苦しみながらも、それでも久瀬は這いながら逃げようとしていた。

「た、助けてくれ……死にたく……ないっ! 死にたくねぇんだよぉーー!」

人形めいた少女の姿をした悪魔が、近付いて来る。
少女を助けた筈の三河もろとも、自分を撃った無情な悪魔に無駄と知りつつも久瀬は命乞いをする。

「嫌だ……まだ、やり残した事が一杯あるんだ……死んでたまるか……こんな、ところでェーー」

少女のしなやかな腕が、地面に落ちていた久瀬のリボルバーを拾い上げ、発砲。
額に弾痕を穿たれた久瀬は、無念そうな表情を歪ませて、大地に倒れ伏した。

そして少女――ヘンリエッタは、全ての弾丸を撃ち尽くした拳銃から、シリンダーをスイングアウトして薬莢を地面に落とす。
久瀬の荷物の中から、新たに弾を込めながらも、少女の眼は涙ぐんでいた。

くすん、と鼻をすする。

少女は、別に今の殺人行為に後悔の念を覚えているわけではない。
そういう、人として当然の倫理観は、公社の条件付けによって取り払われている。
この涙は、これが大好きな担当官であるジョゼの意に沿った事か、そうでないかを測りかねてのものであった。
目の前で行われた二人の戦闘。
それを見て、ヘンリエッタはもし、この二人がジョゼに危害を加えたらどうしよう――という想像を膨らませてしまったのだ。

しかし、別にヘンリエッタはジョゼから危険人物は始末しろなどという指示を受けたわけではない。
これは完全な、ヘンリエッタの独断であった。
感情のコントロール。
公社の医師からもよく注意を受けるその行為を、ヘンリエッタは苦手としていた。
今の行為を報告したら、ジョゼに叱られてしまうかもしれない。
その恐れが、少女を涙ぐませているのである。

くすん、くすん。
770◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:55:56 ID:Wgxy11Dt
少女は、べそをかきながらその場に散らばった装備を集める。
何はともあれ、武装の重要さは知悉しているヘンリエッタであった。

「ジョゼさん。早く迎えに来て下さらないと私、何をしちゃうかわかりませんよ……」

そう呟くと、少女は二人の死体をそのままに、その場から立ち去った。

【久瀬修一@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【三河海@瀬戸の花嫁 死亡】
【【残り52人】

【一日目 D-6 森 深夜】

【ヘンリエッタ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:TDI クリス・スーパーV "ベクター"ドットサイト付き(15/30)@Angel Beats!、ミネベア M60 “ニューナンブ”(5/5)@現実
[道具]:基本支給品×3、ランダム支給品0〜5、久瀬修一の薬、クリス・スーパーVの弾倉×4、ニューナンブの弾丸×10、野田のハルバード@Angel Beats!
[思考]
基本:ジョゼさんと合流する
1:ジョゼさんと合流する
771◇nanashisan:2010/09/24(金) 20:57:20 ID:Wgxy11Dt
タイトルはdollです
772名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 21:06:11 ID:NhSslhUD
foolの間違いでは?
773こんなの ◆PBnN3Wt51U :2010/09/24(金) 21:48:20 ID:otdl10kM
志村ー、酉は
#任意の文字列半角8文字(全角4文字)
だw
774 ◆x/rO98BbgY :2010/09/24(金) 21:52:48 ID:Wgxy11Dt
こうですか
775名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 21:58:31 ID:otdl10kM
そう。ただ、できればググってすぐに出てこないトリの方がよいと思うぞ

投下乙。これでef組は全滅かw
ヘンリエッタはマーダー化か、この子も危ういなあ
776名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/24(金) 23:19:34 ID:TaAWwQ95
ef 全 滅 !
どうやらミッションの一つは達成したようだな
777名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/25(土) 09:59:40 ID:LH0bbiUT
ところでwikiに所持品一覧表でも作ろうかと思ってチェックしていたんだが
12話の状態表に【皆城総士@魁!!クロマティ高校】とあった。







   、ミ川川川彡                 ,ィr彡'";;;;;;;;;;;;;;;
  ミ       彡              ,.ィi彡',.=从i、;;;;;;;;;;;;
 三  ギ  そ  三            ,ィ/イ,r'" .i!li,il i、ミ',:;;;;
 三.  ャ  れ  三    ,. -‐==- 、, /!li/'/   l'' l', ',ヾ,ヽ;
 三  グ  は  三  ,,__-=ニ三三ニヾヽl!/,_ ,_i 、,,.ィ'=-、_ヾヾ
 三  で       三,. ‐ニ三=,==‐ ''' `‐゛j,ェツ''''ー=5r‐ォ、, ヽ
 三.   言  ひ  三  .,,__/      . ,' ン′    ̄
 三   っ  ょ  三   /           i l,
 三.  て   っ  三  ノ ..::.:... ,_  i    !  `´'      J
 三   る  と  三  iェァメ`'7rェ、,ー'    i }エ=、
  三   の   し  三 ノ "'    ̄     ! '';;;;;;;
  三   か  て  三. iヽ,_ン     J   l
  三  !?    三  !し=、 ヽ         i         ,.
   彡      ミ   ! "'' `'′      ヽ、,,__,,..,_ィ,..r,',",
    彡川川川ミ.   l        _, ,   | ` ー、≡=,ン _,,,
              ヽ、 _,,,,,ィニ三"'"  ,,.'ヘ rー‐ ''''''"
                `, i'''ニ'" ,. -‐'"   `/
               ヽ !  i´       /
               ノレ'ー'!      / O

いや、多分ただのミスだと思うんだが、ひょっとしてネタだったのか?
勝手に直すのもどうかと思ったので聞いておいてみる
個人的には面白いからそのままでもいいと思うが……だいたいこういうのはコピペして使われるから
今後とも続く可能性もある
続きをもし書く人がいるなら注意されたし
778名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/25(土) 11:46:08 ID:vYzptrP2
普通にミスだろうな
ロワでは良くあることw
779名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/25(土) 12:51:51 ID:X2ZVd9l4
ここ基本はカオスロワだから世界観混合、キャラ崩壊くらいはデフォでいいはず
780名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/25(土) 20:12:52 ID:hNO3Etex
クロ高混ざってる時点で何を今更…しかもまだ誰も死んでねぇww
781名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/25(土) 20:23:05 ID:vYzptrP2
さすがに誤字のまま進めてよいのは初代葉鍵ロワくらいだw
782名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/26(日) 06:23:29 ID:EbX1j5cv
783 ◆x/rO98BbgY :2010/09/28(火) 00:29:35 ID:5i3MPtev
投下します
784 ◆x/rO98BbgY :2010/09/28(火) 00:30:49 ID:5i3MPtev
ピンクのツインテールが宙に揺れる。
突然、闇の中から伸びてきた掌が、一人おっかなびっくり夜道を歩いていた留奈の口を塞いだ。

「んうぅー!?」

いきなりの事に目を見開く暇すら与えられず、流れるような手捌きで首元に押し当てられる冷たい金属の感触。
金属。ナイフ。頸をかっ切られる。
瞬間的にそう連想したが、押し当てられた金属から、少女はわずかな逡巡を感じる。そして――

「んーーーっ!!」

次の瞬間、首筋ではなく、少女の着ていた制服を、ナイフは一気に切り裂いた。
ポリエステルの生地を裂く、軽やかな音が耳朶に響く。
容易く縊れそうな細い喉を仰け反らせて、少女は拘束から逃れようとするが口元を抑える腕は小揺るぎもしない。

(や、だァッ!)

この瞬間、命ではなく、少女としての貞操の危機を感じて――留奈の脳髄が白熱する。
薄手のスリップの上を、無骨な男の指が這いずり、ミニスカートの裾野から無遠慮に手を突っ込まれる。
怖気を振るうような嫌悪感に、強く歯を噛み締め――
次の瞬間、留奈はあっけなく解放された。

「えっ?」

逃れようとしていた力の反動で、僅かにたたらを踏んだ留奈が振り向くと、そこには外国人らしき金髪の男が立っていた。
その手には、留奈が服の下や、太腿のガンホルダーに隠していた武器がある。
交渉も何もなく、いきなり支給品を奪われた。
その事実に恐怖を覚えたが……収奪した武器を懐に仕舞った男の様子から、とりあえず自分を殺すつもりはなさそうだと判断して
留奈は制服の裂け目を手で抑える。

「ちょ、ちょっとっ! アンタ、私様(ワタクシさま)にいきなりなんて事すんのよっ!
 こう見えてもアイドルLUNARって言ったら一杯ファンがいて――って、聞いてんのっ!?」

男――。いや、まだ少年と言ってもいいかもしれない金髪の外国人は、まるで留奈の言葉が聞こえないかのようにそこを立ち去ろうとしている。
日本語が通じないのかも。
そう思い、留奈は一瞬不安を覚える。
あんな父親を持つとは言え――留奈は英語を(も)不得意としている。

「五月蠅いな。せっかく見逃してやったんだ。殺されたくなければ……とっとと僕の前からいなくなれよ」
「なっ……」

だが、そんな心配をしたのが馬鹿らしくなるほど、流暢な悪態を留奈は聞く事となる。

「死体は人を呼び寄せるって言うからね。別に優勝するつもりもないし――ここは見逃してあげるよ。
 もっとも、武器もないんじゃ、どれほど生きられるか判らないけどね」

まるで人の命など、どうなってもいいかのように少年は語る。
その表情は、まるで願いなど持たぬ人形のようで――留奈は少し背筋が寒くなる。だが。

「だったら……アンタが私様を守りなさいよっ!」
「……はぁ?」

あくまでも強気に、高飛車に留奈は決め付ける。
こんな所で死んでなどいられない。
この男に優勝する気がないと言うのなら、狙いは脱出か何かだろう。
脱出なら、自分にも少しは目処がある。
785 ◆x/rO98BbgY :2010/09/28(火) 00:32:11 ID:5i3MPtev
何せ、浚われた参加者たちは留奈が知るだけでも、
瀬戸内魚類連合の跡取り娘、瀬戸燦と、その構成員たち。
関東水中生物連合会の跡取り娘、江戸前留奈。
三河財閥の御曹司、三河海。
そして警視総監の娘である銭形巡という錚々たる面子なのだ。

下僕(満潮永澄)まで連れて来られているのは、きっと自分たちの付属物と看做されたからなのだろうが――
正直言ってどれだけの組織であろうと、これだけの勢力に敵対して、ただでは済むはずもない。
           ・・
きっと、一日もたたずにあの父親が迎えに来るだろう。
だが、それまでに死んでしまっては意味がない。
そこで留奈は、この裏社会特有の雰囲気を持つ男に、乾坤一擲の交渉を持ちかける。
武器は『くれてやった』んだから、その代償として自分を守れと。

「……やれやれ、ずうずうしいな。これだから女の子は苦手なんだ……」
「なによそれー。いーい? しっかり私様を守りなさいよね。傷一つでもつけたら承知しないんだから。
 私様は江戸前留奈。アンタ、名前はなんていうの?」
「……ピノッキオ」

名前だけは名乗ったが、護衛の件については否とも応とも答えずに歩く少年に、留奈は勝手に付いていく。
その足取りは、恐れを知らぬようでいながら、少し震えている。
しかし、それでも今はこの少年を利用するしか、他に手はないのだ。

(武器は全部取りあげたって思ってるんでしょうけど……甘いわ。人魚の武器は、歌なんだから)

実は人魚である留奈には、人魚古代歌詞(にんぎょエンシェントリリック)『戦いの詩』という切り札がある。
如何にこの男が戦いを拒絶しようが、この歌さえあれば自分の為に強制的に戦わせる事が出来るのだ。
留奈は手元に残った唯一の支給品――武器ではないからと、見逃して貰えたらしいマイクを握り締めて決意する。
絶対、下僕たちと一緒に生きて帰るのだと。


【一日目 F-5 道路 深夜】

【江戸前留奈@瀬戸の花嫁】
[状態]:健康
[装備]:拡声器(マイク)@真・恋姫†無双
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:生きて帰る
1:下僕たちと合流する

【ピノッキオ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康
[装備]:ゆりっぺのナイフ@Angel Beats!、コルト ガバメント(7/7)Phantom 〜Requiem for the Phantom〜
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0〜3
[思考]
基本:おじさんの元に帰る
1:生きてここから脱出する。

----

江戸前留奈。
彼女は知らなかった。
自分の持つ、何の変哲もなさそうなマイクが、自分の歌に魅了された人間になんでも言う事を聞かせられるというマジックアイテムである事を。
そしてそれを使えば使うだけ、この戦いの黒幕である于吉の持つ、太平要術の書に邪悪な力を与えるという事を。
786 ◆x/rO98BbgY :2010/09/28(火) 00:32:58 ID:5i3MPtev
タイトルはとある路地裏の小夜曲(セレナーデ)です
787名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/28(火) 00:56:41 ID:5i3MPtev
修正
ピノッキオの道具にコルト ガバメントの弾倉×4を追加します
788名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/28(火) 08:11:00 ID:8oBKZdlO
投下乙です
なんと、ピノッキオまさかの対主催か
便利拡声器に関しては制約としっぺ返しがあると見て良いかな
789 ◆PuVQoZWfJc :2010/09/28(火) 19:15:10 ID:1izXWhaf
790名無しさん@お腹いっぱい。:2010/09/28(火) 23:23:35 ID:8oBKZdlO
一週目未予約未登場キャラ
○近藤剣司
○小楯衛
○ヴィクトル・ヒルシャー
○火渡赤馬
○曹操
あと5人
791埋めネタ:2010/09/29(水) 21:26:11 ID:lI7ejTTk
近藤剣司
      彡:::::::::.....             ',l/
    ミ::::::::::::::::::::::......            //
    <、::::::,--‐∠___::::_::::::::::..._....-::    /
      ヽl `ヽ、  -‐ " ̄-´  |:::..   /
       {.l てヽ    ____   レl::  /
.       ,'   ̄    -┐、`ヽ ,':. /
.       l    ,'    `丶‐ヽ /,- 、
   ,....-‐:':',    ,        ./'  /
,.-'´::::::::::::::::::ヽ `‐- _      /_ -´
:::::::::::::::::::::::::::::::',      ,.. -'´:::l
:::::::::::::::::::::::::::/l`‐-‐ ' ´ ./:::::::l
::::::::::::::::::::/      ,. -'´:::::::::::l
:::::::::::::::::::l      /´::::::::::::::::::/',
::::::::::::::::::,'  -‐‐ /::::|::::::::::::::/::::::',
::::::::::::::::,'    /:::::::::l::::::/:::::::::::::::',
::::::::::::::l-‐::'::´::::::::::::::::::l::'´::::::::::::::::::::::',
::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
792埋めネタ:2010/09/29(水) 21:27:06 ID:lI7ejTTk
小楯衛(シナジェティックスーツ)
               / i、、、、i: : : :rt,;,;,;rt;,;,;,;,;,;,;,;_: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
              / /   /: ヅ         ̄`''ー-、;,;_: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::ヽ
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            〃`''''',': シ   _,,、、、、,,,_                     `'::;:::::::::::::::::::;、i
             i.i  .,':.シ        `'=:、                   : `::、::::::r'、 ヽ
                i i  ,':シ          `''-                   : : : l::::;' `'; '7
            i.ir‐-,':ソ     __                _,,,,,,,,_       : : :.i:::;'  ,' ,'
           //´冫;'      '´ ̄´`'ヽ、          '''''''""""゙`'-、     : : :/::;'   ,' ,'
           〃 i'^l;'          ゙                  ゙ヽ  : : /:::;'   ,' ,'
           i i i .i'  /  / // ,                     . : :./:::;'   ,' /
           i i i ,'        / /     ,      '''```'ヽ、    . : : :l::::/ ':-:,'./
            冫, .V    ,、- ' ´ヽ、       /: ::         ヽ   . : : /::/  //
          / .'‐-! ,、-'´   /´       /: : :.   ///       . : : :/::/_ ,//
.          ,く_,,ノ''´   ,..::;'''''´.       /: : : :.       / //   . : :.//''ヾヾ/
            ヽ、    ,.::'::::;:'         /: : :      i'''ヽ      . : ::/',i  iリ
.             ヽ、 ,.::':::::::;:'     r、、   _          ,'   ',     . : :./ ノ  //
                V:::::::::::;'      `'-、`'''-ニ_      l,   ',    . : :// ., ', '
.             ヾ:::::::i        、`'‐-、二ェ;;、   ゙i',  ',.  . : :/  , ,' '
               ヾ:::i        `'‐-、、         i::i   '.,. : : /ェ',´7
    /゙iヽ、        / ヾ、                 i:::i     ';,;/   /
  /  i  `ヽ、___,、/_    ヽ                  ,/::::i     ヽ、_/
. /   i     /  ヽ、`'-、. ヽ,、、_            /:::::リ      ,、:-'''´
/    `'-、、-''´    , >- '' ´´    ̄ `''''ー-、、、、_/:::;ジ _,、-‐''´
i         ,、-‐''´´                     ̄``''-、、、
i     ,、-''´´                             ̄``'ー-、、、 
793埋めネタ:2010/09/29(水) 21:28:47 ID:lI7ejTTk
        ,.-‐-、   ____
        / ̄ア‐二二_ヽヽソ`_ー-._
         ,. ‐'_Z´-─‐- 、Y-t ヽヽ::::\
        /,.r7// /  ̄`ヽソヘ l い ', ::::::ヽ
     〃イ|「レ'____   `l い | ! l::::::::::ヽ
     l    ノ 'エュ``   ! !、ヽ:::ヽ::::::::::::::`、
       /         | レ-、::::::::::::::::::::::i
       ヽ、         _ N l´l l:::::::::::::::::::::|
         l_‐-、    /'´ ノlノノノ/::::::::::::::::::::,'
        ,!  ̄         fニイ1 /::::::::::::::/
      ゝ._ __ _,/, ヽl.| | !:::::::::::/
        `ヽ :::::::::ィ  /   `l |:::::/
            ヽ__  /    `t::/
  「 ̄`ー‐一'ス[>、   ̄ ¨ ‐-=┴'┐
   \    / ̄`>-| ,. -‐ '' ¨ ̄ ̄ ̄\

   ヒルシャー (ガンスリンガー・ガール)
794埋めネタ:2010/09/29(水) 21:34:12 ID:lI7ejTTk
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武装錬金 火渡赤馬
795埋めネタ
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    く    \!         〈 ー─--rァ   ≧ー-  、 イ   ト、__ノl |          /
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曹操(華琳)